JP4472273B2 - クライアント評価方法、クライアント評価装置、サービス提供方法、及び、サービス提供システム - Google Patents
クライアント評価方法、クライアント評価装置、サービス提供方法、及び、サービス提供システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画データや音楽データ等のコンテンツに係る情報あるいは個人情報等の情報を通信網を介して提供する上で、提供を受ける側のクライアントの環境にまで踏み込んでユーザ認証・評価する技術、及び、そのユーザ認証・評価結果に応じて提供する情報を変更したり制限したりする技術に係り、より詳しくは、情報提供というサービスを実行する上で、クライアントの信頼性(セキュリティの高低やコンフィデンスの高低に基づき判定)について段階的評価を行うクライアント評価方法、クライアント評価装置、及び、上記評価の結果に基づいて提供する情報の質及び/又は種類を個別に変更したり情報内容に制限を加えたりした上で情報提供するサービス提供方法及びサービス提供システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、動画、静止画、音楽等のデータや、ゲームプログラム等のソフトウェアデータからなるコンテンツに係る情報を通信網を介して配信するという情報提供サービスが行われている。このような情報提供サービスをクライアントに提供するにあたり、提供先であるクライアントからユーザIDやパスワード等のユーザ認証用のID情報の送信を受け、このID情報を予め登録されたID情報と照合することで真正なユーザであると判定・確認した上で、要求されたコンテンツの配信・提供が行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、提供されたコンテンツのクライアント側での不正使用を防止するために、配信データを暗号化して送信し複合鍵を有するクライアントのみの使用を図ろうとするコンテンツの配信方法も種々知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−359835号公報
【特許文献2】
特開2003−87237号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のユーザ認証技術においては、ユーザ認証自体のコンフィデンス(信頼性)が極めて低くセキュリティ(安全性)に欠けるおそれがあり、コンテンツ配信事業者側又は情報提供団体側にとって甚だ信頼性に欠け、提供するコンテンツ等の情報を不正使用から適切に保護し得ないという不都合がある。
【0006】
すなわち、ユーザIDやパスワード等は漏洩等のおそれがあり、他人がユーザID等の保持者になりすましてそのユーザID等のID情報を送信すると、コンテンツ配信事業者側又は情報提供団体側のサーバではそのID情報の照合により合致すれば、本来のユーザ以外の他人のクライアントに対してもコンテンツや情報を提供してしまうことになる。このような「なりすまし」によって本来は有料であるコンテンツや、特定の真正なユーザのみに提供すべき情報が他人に不正使用されることになる。これは、クライアント側の信頼性の内でもセキュリティに属するものであり、ユーザ認証が登録ID情報と合致するか否か、つまりYESかNOかの判別のみによって行われていることに起因するものである。
【0007】
また、主としてコンテンツ配信を対象としたサービスの提供においては、たとえ真正なユーザが自己のユーザID等のID情報を送信して適正にコンテンツの配信を受けたとしても、そのユーザが悪意のある場合には提供を受けたコンテンツをコピーして不正に流用したり二次使用したりするおそれがある。つまり、コンテンツ配信事業者にとっては、ユーザ認証に基づきたとえ真正なユーザのクライアントにコンテンツを配信したとしても、その真正なユーザ本人によってコンテンツの不正使用が起こり得ることになる。
【0008】
このような不正使用は、クライアント側の信頼性の内でもコンフィデンスに属するものであり、そのクライアントを操作するユーザ本人の意思に起因するものであるため、コンテンツ配信事業者側のサーバではそのユーザが不正使用の意思を持っているか否かの判別は直接には不能であるし、防ぎようのない課題ともなっている。これに対処するために、上記の暗号化データを配信する手法も採り得るものの、複合鍵自体の漏洩又は不正取得により有効ではなくなってしまうため、種々の暗号化及び復号化の技術の開発が進められている。
【0009】
その一方、コンテンツ配信を対象とした提供サービスにおいては、コンテンツの配信を受けるクライアントの性能面に起因した不都合も生じている。例えば動画データをコンテンツとして配信する場合には、クライアントの性能如何によりその動画データをスムースに再生・表示することができず、コンテンツ配信事業者に対する苦情の発生原因ともなっている。これは、コンピュータ関連技術の急速な進歩によりクライアント間で著しい性能格差が生じているためであり、これに対処するためにコンテンツ配信事業者側では各種性能に対応した動画データ(例えば同じ動画素材でも各種の解像度別に生成した動画データ)を用意したとしても、それを選択するユーザ側がクライアントの性能を主観的に判断して選択しているため、不適合な動画データを選択した場合にはうまく再生することができないことになる。
【0010】
また、近年、地方公共団体同士間、地方公共団体と他の機関との間、又は、地方公共団体と住民との間で通信網を介した情報提供サービスの実現に向けて整備が進められている。これは住民基本台帳情報等の電子データでの提供サービスや、住民票等の電子発行等に係り、主として個人情報を対象とした情報提供サービスである。これらの情報提供サービスにおいても、上記と同様に提供を受けるクライアント側のセキュリティ上やコンフィデンス上の問題により提供サービスである個人情報の保護に欠けるおそれが予想される。すなわち、上記の「なりすまし」等により地方公共団体等の情報提供団体側から真正なユーザ以外への情報提供が発生するおそれがあり、これに伴い住民基本台帳情報や住民票等の不正取得や不正使用のおそれがある。そこで、これらの不都合発生を回避するために、電子情報として提供する住民基本台帳情報や住民票等の個人情報(提供情報)の保護を図る必要がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報の提供にあたり提供先のクライアントの信頼性及び/又は性能を高低段階評価により評価し得るクライアント評価方法及びクライアント評価装置を提供することにある。加えて、かかる段階的評価結果に応じて提供する情報の質及び/又は種類を個別に変更したり提供情報を制限したりして適切な情報の提供や提供情報の適切な保護を図り得るサービス提供方法及びサービス提供システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、クライアント(利用者端末)のシステム環境(OS、CPU、インストールされているアプリケーション、外付けされている各種デバイス等の構成要素からなる環境)についての環境情報を取得し、これら取得した環境情報に基づいて、そのクライアントがどの程度信頼できるか(セキュリティの高低やコンフィデンスの高低に基づき判定)を段階的に評価・判定し得るようにしたものである。そして、この段階的評価結果に応じて、提供情報として同じ題材のコンテンツ(例えば動画データ等)を提供するにしても、その提供するコンテンツの質や種類というサービス仕様をクライアント毎に区別したり、あるいは、情報の提供を許可するか否かもしくは情報の提供をどの段階まで許容(制限)するかのサービス仕様をクライアント毎に区別したりするようにしたものである。例えば、動画データの場合、高信頼性評価であるほど高画質のものを、低信頼評価であるほど低画質のものをそれぞれ提供するようにして区別する。
【0013】
具体的には、クライアント評価方法に係る発明では、クライアントに対し通信網を介して提供する情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定するための判定基準として用いるために、上記クライアントの信頼性について評価するクライアント評価方法を対象として次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係を予め設定して記憶格納した評価基準データベースを用意しておき、個別のクライアントのシステム環境についての環境情報を受信したとき、その環境情報に含まれる構成要素毎に上記評価基準データベースの記憶内容と対比することにより構成要素毎の評価レベル値を割り出す手順と、割り出された構成要素毎の評価レベル値を積算する手順とを経て、上記個別のクライアントについての信頼性評価として上記積算された評価レベル値の大小に応じた信頼性の高低段階評価により評価し、この個別のクライアントについての信頼性の高低段階評価に応じて上記個別クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づいて上記個別クライアントに対する情報提供を実行するようにする(請求項1)。
【0014】
この請求項1に係る発明の場合、個々のクライアントについての信頼性を高低段階評価により評価し得ることになる。すなわち、クライアントのシステム環境がいかなる構成要素により構成されているかを環境情報により取得し、その構成要素の如何によりクライアントのセキュリティ機能が高ければ情報漏洩等による「なりすまし」の可能性は低くて信頼性は高いと判定したり、不正使用を行い得る環境であればコンフィデンスを裏切る可能性があり信頼性は低いと判定したりすることが可能となる。このようなクライアントのシステム環境が情報漏洩や悪用が可能な状態にあるか否かの可能性の度合を高低段階評価により信頼性評価することにより、クライアントであるコンピュータを操作するユーザのセキュリティ意識やコンフィデンス意識の高低を間接的に推測して高低段階評価による信頼性評価が可能となる。例えば、環境情報の内、OSの種類がプロユースであればセキュリティ機能は高く、そのOSのバージョンが高いほどセキュリティ機能は高く、従って、信頼性は高いと判定し得る。一方、環境情報の内、大容量の書込デバイス(ストレージデバイス)が外付けされていれば、配信されたコンテンツのコピーによる流用が可能であるため、信頼性を低めに評価し得る。このような構成要素毎に評価レベル値を予め設定して評価基準データベース化しておくことにより、クライアントの上記環境情報に基づいて高低段階評価による信頼性の評価が可能となる。そして、このような信頼性評価に基づいて提供情報のサービス仕様をクライアント毎に区別したり、情報提供を拒否したりすることにより、ユーザID情報の不正使用による提供情報の不正取得や不正使用の悪用発生を回避・抑制して提供情報の保護を図り得ることになる。
【0015】
ここで、上記の「評価レベル値」としては例えば1から無限大までの具体的な評価ポイントであっても、高低のランク付け値であってもよい。また、上記の「高低段階評価」としては上記と同様に1から無限大までの具体的な数値評価であっても、複数段階のランク付け評価であってもよい。従って、上記の積算した評価レベル値をそのまま高低段階評価に用いてもよい。これらの解釈については、以下の各請求項に係る発明においても同様である。
【0018】
上記の如きクライアント評価方法を実施するためのクライアント評価装置に係る発明では、通信網を介して情報が提供される情報提供先であるクライアントのシステム環境についての環境情報を受け、提供対象の情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かのサービス仕様を決定するための判定基準として用いられる上記クライアントの信頼性を評価するクライアント評価装置を対象として、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係が構成要素毎に予め設定されて記憶格納された評価基準データベースと、上記環境情報に基づいて個々のクライアントについての信頼性を評価する信頼性評価手段とを備えることとする。そして、上記信頼性評価手段として、上記環境情報に含まれる構成要素毎に上記評価基準データベースの記憶内容と対比することにより構成要素毎の評価レベル値を割り出す割り出し処理部と、この割り出し処理部により割り出された構成要素毎の評価レベル値を積算する積算処理部と、この積算処理部により積算された評価レベル値の大小に応じた信頼性の高低段階評価により上記個別のクライアントについての信頼性を評価する認証処理部とを備えることとする。そして、上記個別のクライアントについての信頼性の高低段階評価に応じて上記個別クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づいて上記個別クライアントに対する情報提供を実行するようにした(請求項2)。
【0019】
この請求項2に係る発明の場合、上記の請求項1に係るクライアント評価方法を自動的かつ確実に実施して高低段階評価による信頼性評価を得ることが可能になる。すなわち、情報提供先であるクライアントからのシステム環境についての環境情報に含まれる各構成要素の情報に基づき、評価基準データベースに記憶格納された構成要素毎の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値が割り出し処理部により割り出され、割り出された構成要素毎の評価レベル値が積算処理部により積算され、この積算された評価レベル値の大小に応じた信頼性の高低段階評価により上記個別のクライアントについての信頼性が認証処理部により評価されることになる。
【0022】
上記の請求項2に係るクライアント評価装置は、例えば各クライアントに情報を提供するための提供サーバに付設又は内蔵してコンテンツ配信事業者毎にあるいは情報提供団体毎に自己の提供サーバにユーザ登録されたクライアントを対象にして評価を実施するようにしてもよいが、上記クライアント評価装置を通信網に接続した環境下において、クライアント評価装置により評価した段階的評価結果を1又は2以上の提供サーバとの通信により各提供サーバに対し提供するようにしてもよい。このような場合には、上記請求項2のクライアント評価装置に対し、上記通信網を介して情報を送受信する送受信手段をさらに備え、上記送受信手段を介して上記環境情報を受ける一方、上記クライアントに情報を提供する提供サーバに対し上記送受信手段を介して段階的評価結果を送信する構成を追加するようにすればよい(請求項3)。このようにすることにより、1又は2以上の提供サーバに対し、この提供サーバから個別の評価要求を受けてその各提供サーバの情報提供先である各クライアントの信頼性又は性能についての高低段階評価を上記提供サーバに提供するという評価サービスを実施し得る。
【0023】
以上のようなクライアントについての高低段階評価による評価を利用したサービス提供方法に係る発明では、提供サーバによりクライアントに対し通信網を介して情報提供するサービス提供方法を対象にして、次の特定事項を備えるようにした。すなわち、上記クライアントから情報提供要求を受信したとき、情報提供要求した特定クライアントに対しその特定クライアントのシステム環境についての環境情報を取得する取得要求指令を送信してその環境情報を取得する手順と、取得した環境情報と、環境情報の内容に対する信頼性評価上の評価レベルについての対応関係を予め設定した評価基準との対比によって、上記特定クライアントについての上記信頼性評価を高低段階評価により判定する手順と、判定された上記信頼性評価の高低段階評価に応じて上記特定クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定する手順と、決定されたサービス仕様に基づいて上記特定クライアントに対する情報提供を実行する手順とを備えることとした(請求項4)。
【0024】
この請求項4に係る発明の場合、提供サーバからクライアントに対する情報提供を行う前に、そのクライアントについての信頼性評価をその都度行い、高低段階評価による信頼性評価に基づいてクライアントから提供要求のあった情報についての質及び/又は種類等に関するサービス仕様を決定し、決定されたサービス仕様での情報提供を行うことが可能になる。すなわち、クライアントからの情報提供要求があればそのクライアントのシステム環境についての環境情報の取得要求指令を発し、取得された環境情報に基づいて高低段階評価による信頼性評価を実施し、その信頼性評価の結果に応じて提供対象の情報(例えばクライアントから提供要求のあった動画データ等)の質及び/種類を選択設定して変更したり、情報提供を許可するか拒否するかを含めて情報提供(例えば個人情報の提供)をどの段階(レベル)まで許可するかの制限を付したりというように提供するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づく情報提供がその特定のクライアントに対し行われることになる。これにより、信頼性という従来は把握不能又は困難であったクライアント毎に異なる状況を高低段階評価により把握することが可能になり、その高低段階評価による信頼性評価に基づいて個々のクライアント毎に、しかも、各クライアントへの情報提供毎に、情報提供サービスの価値を損なうことなく、不正使用等の悪用を抑制して提供情報の保護を図った状態で情報提供サービスを実施し得ることになる。
【0025】
ここで、上記の「情報提供要求を受信したとき」とは、クライアントから情報提供を受けるためにユーザIDやパスワード等のID情報のログイン情報を受信したとき、提供を受ける情報の選択指令を受信したとき、あるいは、上記のログイン情報の受信の有無に拘わらず情報提供を受けるために提供サーバにアクセスしてきたとき等のいずれかのときである。また、「情報の質」とは提供する対象の情報が例えば動画データであればその解像度、フレームレート、圧縮率等であり、「情報の種類」とは暗号化の有無等のことである。「情報提供するか否か」とは情報の提供を許可するか拒否するかのことであり、「提供のする情報に制限を加えるか否か」とはその情報が階層構造であったり複数項目からなるものであったりする場合にどの階層までもしくはどの項目まで提供を許可するか、つまり制限を加えるかのことである。なお、これらの解釈は他の請求項に係る発明においても同じである。
【0028】
さらに、他のサービス提供方法に係る発明では、提供サーバによりクライアントに対し通信網を介して情報提供するサービス提供方法を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記クライアントから情報提供要求を受けたとき、情報提供要求した特定クライアントに対しその特定クライアントのシステム環境についての環境情報を取得する取得要求指令を送信してその環境情報を取得する手順と、取得した環境情報と、環境情報の内容に対する信頼性評価並びにコンテンツの機能を実現する機能実現性に関する性能評価のそれぞれに対する評価レベルについての対応関係を予め設定した評価基準との対比によって、上記特定クライアントについての上記信頼性評価及び性能評価をそれぞれ高低段階評価により推定する手順と、推定された上記信頼性評価の高低段階評価及び性能評価の高低段階評価の双方に応じて上記特定クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定する手順と、決定されたサービス仕様に基づいて上記特定クライアントに対する情報提供を実行する手順とを備えるこことした(請求項5)。
【0029】
この請求項5に係る発明では、請求項4に係る発明による信頼性評価に応じて決定されたサービス仕様に基づく情報提供と、性能評価に応じて決定されたサービス仕様に基づく情報提供との双方を実現し得ることになる。つまり、高低段階表評価による信頼性評価と、高低段階評価による性能評価との双方を考慮した情報提供が可能になる。
【0030】
この場合の提供すべきサービス仕様を決定する手順として、さらに具体化した方法の態様としては次のようなものがある。すなわち、第1の態様としては、コンテンツの質及び/又は種類の別、情報提供するか否かの別、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かの別により分類した複数レベルのサービス仕様を信頼性評価及び性能評価の双方と関連付けして信頼性評価の高低段階評価別及び性能評価の高低段階評価別に許容し得る上記サービス仕様の対応関係を予め設定しておき、提供すべきサービス仕様を決定する手順として、判定された信頼性評価の高低段階評価に基づいてその高低段階評価で許容されるサービス仕様を上記対応関係から抽出し、抽出されたサービス仕様の内から上記性能評価の判定結果である高低段階評価で許容される最も高い側のサービス仕様を決定するようにする(請求項6)。この場合には、上記の予め設定した対応関係を用い、判定された信頼性評価及び性能評価に基づき、まず信頼性評価結果を優先して提供すべきサービス仕様の範囲が定められ、次に、その信頼性評価結果で許容される範囲のサービス仕様の内から性能評価結果で許容される範囲の内で最も高いサービス仕様が選択設定されることになる。要するに、種々のサービス仕様が信頼性及び性能の両高低段階評価という2つの因子により関連付けされており、信頼性評価の高低段階評価別に設定されるサービス仕様範囲と、性能評価の高低段階評価別に設定されるサービス仕様範囲とが互いに部分的に重複する関係に対応付けられている場合に、まず信頼性評価によりサービス仕様範囲を決定し、次に性能評価により最終的なサービス仕様を決定するものである。これにより、個々のクライアントに提供すべき情報についてのサービス仕様を決定するにあたり、信頼性評価を重視しつつ、その信頼性評価に見合うサービス仕様範囲の内から個々のクライアントにおいて性能上で提供情報の再生機能を実現し得る最高のサービス仕様を決定することが可能になる。
【0031】
又、第2の態様としては、情報の質及び/又は種類の別、情報提供するか否かの別、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かの別により分類した複数レベルのサービス仕様を信頼性評価及び性能評価の双方と関連付けして信頼性評価の高低段階評価別及び性能評価の高低段階評価別に許容される上記サービス仕様の対応関係を予め設定しておき、提供すべきサービス仕様を決定する手順として、判定された性能評価の高低段階評価に基づいてその高低段階評価で許容されるサービス仕様の範囲を上記対応関係から抽出し、抽出されたサービス仕様の内から上記信頼性評価の判定結果である高低段階評価で許容される最も高い側のサービス仕様を決定するようにする(請求項7)。この場合には、上記の予め設定した対応関係を用い、判定された信頼性評価及び性能評価に基づき、上記の第1の態様とは逆に、まず性能評価結果を優先して提供すべきサービス仕様の範囲が定められ、次に、その性能評価結果で許容される範囲のサービス仕様の内から信頼性評価結果で許容される範囲の内で最も高いサービス仕様が決定されることになる。これにより、個々のクライアントに提供すべき情報についてのサービス仕様を決定するにあたり、提供情報の再生機能の実現性という性能評価を重視しつつ、その性能評価に見合うサービス仕様範囲の内から個々のクライアントにおける信頼性評価に見合う最高のサービス仕様を決定することが可能になる。
【0032】
以上のサービス提供方法を実施するためのサービス提供システムとしては、コンテンツ配信事業者の個々の提供サーバ又は情報提供団体の個々の提供サーバにおいて上記の特定クライアントについての高低段階評価による信頼性評価又は性能評価を判定する手順を含めて実行させるようにしてもよいが、上記の信頼性評価又は性能評価を判定する手順を上記各提供サーバとは別の評価サーバにおいて実行させ、提供サーバとの間の通信によりその特定クライアントの信頼性又は性能について評価した結果を上記提供サーバに提供させるようにシステムを構成するようにしてもよい。
【0033】
このように構成した場合の第1のサービス提供システムに係る発明では、次の特定事項を備えるものとした。すなわち、提供先に対し情報を提供する提供サーバと、上記提供先としての1又は2以上のクライアントと、上記各クライアントについて信頼性評価上の評価レベルを高低段階評価により評価する評価サーバとを通信網を介して互いに送受信可能に接続し、上記各クライアントとして、自己のシステム環境についての環境情報を採取する環境情報採取手段を備えたものとし、上記提供サーバからの環境情報についての取得要求指令を受信したとき上記環境情報採取手段により採取処理された上記環境情報を上記提供サーバに送信する構成とする。そして、上記提供サーバとして、上記評価サーバによる段階的評価結果に基づいて対応するクライアントに対し提供する情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を判定して決定する提供サービス仕様判定手段を備えたものとし、クライアントから情報提供要求を受信したとき上記環境情報の取得要求指令をそのクライアントに送信し、そのクライアントから環境情報を受信したときその環境情報と共に評価要求指令を上記評価サーバに送信し、その評価サーバから返信される段階的評価結果に基づいて上記提供サービス仕様判定手段により決定されたサービス仕様に基づいて上記クライアントに対する情報提供を実行する構成とする。加えて、上記評価サーバとして、上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係が予め設定されて記憶格納された評価基準データベースと、この評価基準データベースに記憶された上記対応関係と上記提供サーバから受信する上記環境情報との対比により対応するクライアントについての信頼性を高低段階評価により評価する信頼性評価手段とを備えたものとし、上記提供サーバから上記環境情報と共に評価要求指令を受信したとき上記信頼性評価手段による評価処理を実行し段階的評価結果を上記提供サーバに返信する構成とする(請求項8)。
【0034】
この請求項8に係る発明の場合、上記の請求項4に係るサービス提供方法を確実に実施し得るサービス提供システムを提供することが可能になり、上記請求項4に係るサービス提供方法による作用を確実に得ることが可能になる。ここで、上記の「環境情報採取手段」としては、上記の取得要求指令を受けてソフトウェア上のプロセスにより環境情報の採取が実行されるものにより構成したり、あるいは、例えば電源投入等をトリガとして上記環境情報の採取が予め自動的に実行されるチップにより構成したりすることが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1のクライアント評価方法によれば、コンテンツの配信対象である個々のクライアントのシステム環境がいかなる構成要素により構成されているかの環境情報に基づき、そのシステム環境が情報漏洩や悪用が可能な状態にあるか否かの可能性の度合を高低段階評価により信頼性評価することができ、これにより、信頼性という従来は把握不能又は困難であったクライアント毎に異なる状況を高低段階評価により把握して認証することができる。そして、このような信頼性評価に基づいて提供対象の情報についてのサービス仕様をクライアント毎に区別したり、情報提供自体を拒否したりすることにより、ユーザID情報の不正使用による情報の不正取得や不正使用等の悪用発生を回避・抑制して提供情報の保護を図ることができる。
【0039】
請求項2又は請求項3のクライアント評価装置によれば、請求項1のクライアント評価方法を自動的かつ確実に実施して高低段階評価による信頼性評価を確実に得ることができるようになる。
【0041】
特に、請求項3によれば、請求項2のクライアント評価装置を用いて、1又は2以上の提供サーバに対し、この提供サーバから個別に評価要求を受けてその情報提供先である各クライアントの信頼性又は性能についての高低段階評価を上記各提供サーバに対し提供するという評価サービスを実現させることができる。
【0042】
請求項4のサービス提供方法によれば、提供サーバからクライアントに対する情報提供を行う前に、そのクライアントについての信頼性評価を行い、高低段階評価による信頼性評価に基づいて、クライアントから提供要求のあった情報の質及び/又は種類を変更したり、情報提供をどの段階まで許可するかの制限を付したりというように提供するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づく情報提供を行うことができる。これにより、信頼性という従来は把握不能又は困難であったクライアント毎に異なる状況を高低段階評価により把握することができ、その高低段階評価による信頼性評価に基づいて個々のクライアント毎に、しかも、各クライアントへの情報提供毎に、情報提供サービスの価値を損なうことなく、不正使用等の悪用を抑制して提供情報の保護を図った状態で情報提供サービスを実施することができるようになる。
【0044】
請求項5〜請求項7のいずれかのサービス提供方法によれば、請求項4のサービス提供方法における高低段階表評価による信頼性評価と、高低段階評価による性能評価との双方を考慮した情報提供を実現させることができる。
【0045】
特に、請求項6又は請求項7によれば、請求項5のサービス提供方法において、個々のクライアントに提供すべきサービス仕様を決定するする手順として、より具体化した方法を提供することができる。そして、請求項6によれば、信頼性評価を重視しつつ、その信頼性評価に見合うサービス仕様範囲の内から個々のクライアントにおいて性能上で提供情報の再生機能を実現し得る最高の質及び/又は種類のサービス仕様を決定することができる。また、請求項7によれば、提供情報の再生機能の実現性という性能評価を重視しつつ、その性能評価に見合うサービス仕様範囲の内から個々のクライアントにおける信頼性評価に見合う最高のサービス仕様を決定することができる。
【0046】
請求項8のサービス提供システムによれば、請求項4に係るサービス提供方法を確実に実施し得るサービス提供システムを提供することができ、上記請求項4に係るサービス提供方法による効果を確実に得ることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施形態に係るサービス提供システムを示し、2,2,…はそれぞれ情報としてコンテンツ(例えば動画データ)の配信を受けるクライアント、3はコンテンツを配信する提供サーバとしての配信サーバ、4は配信サーバ3からの評価要求指令を受けて各クライアント2の信頼性及び性能について高低段階評価により評価する評価サーバである。これらのクライアント2,2,…、配信サーバ3及び評価サーバ4が通信網(例えばインターネット又はLAN等のネットワーク)5を介して互いに通信可能に接続されている。このサービス提供システムにより実行されるコンテンツ配信がサービス提供方法の実施形態を構成し、上記評価サーバ4がクライアント評価装置の実施形態を構成し、また、この評価サーバ4により実行される評価処理がクライアント評価方法に係る実施形態を構成する。すなわち、本実施形態は、配信サーバ3から情報として動画データ、静止画データ又は音楽データ等のコンテンツを各クライアント2,2,…に配信することにより提供する情報提供サービスを対象としたものである。
【0050】
上記各クライアント2は、中央処理部(CPU)21やメモリ、キーボードやマウス等の入力部22、CRT又はTFTモニタ等の表示部23、ハードディスク等の内部記憶装置24、通信網5を介して送受信する送受信部25、及び、各クライアント2のシステム環境を構成する各構成要素に関する環境情報を採取する環境情報採取手段としての環境情報採取部26を基本要素として備えている。上記環境情報採取部26は、OSの一部を構成するAPI(Application Programming Interface)により構成したものであり、OSが例えば Windows(Microsoft社商標名)であればその一部にWindows(同社商標名)APIを備えており、このWindows(同社商標名)APIを上記環境情報採取部26として用いる。そして、上記各クライアント2は、そのクライアント2を操作する個々のユーザの裁量において、外部ハードディスクや大容量の書込デバイス(例えばCD-RW等)の外部記憶装置27や、各種のデバイス(例えば指紋認証デバイス等)28が選択的に接続されてシステム環境の一部を構成している。また、上記内部記憶装置24には上記OSに加えて、ブラウザアプリケーション等の種々の機能を実現するためのプログラムが格納されている。
【0051】
上記配信サーバ3は、中央処理部(CPU)31やメモリ、キーボードやマウス等の入力部32、CRT又はTFTモニタ等の表示部33、及び、通信網5を介して送受信する送受信部34を備え、さらにこれらに加えて、各クライアント2から送信される環境情報を記憶更新する環境情報記憶部35、後述の評価サーバ4から返信される評価結果を記憶更新する評価結果記憶部36、その評価結果に基づいて対応するクライアント2に提供するコンテンツのサービス仕様(質及び/種類)を判定して決定する提供サービス仕様判定手段としての提供コンテンツ判定部37、及び、各種のDB(データベース)38を備えている。このDB38としては、各クライアント2のユーザIDやパスワード等のユーザを識別するためのID情報を記憶格納したユーザ情報DB(データベース)381、後述の如く信頼性評価と性能評価とに関連付けて提供するコンテンツのサービス仕様を定めた対応関係を記憶格納したサービスレベルDB382、及び、提供サービスの対象となる各種コンテンツの原データを記憶格納したコンテンツDB383等の各種のDBから構成されている。
【0052】
また、上記評価サーバ4は、中央処理部(CPU)41やメモリ、キーボードやマウス等の入力部42、CRT又はTFTモニタ等の表示部43、及び、通信網5を介して送受信する送受信部44を備え、さらにこれらに加えて、各クライアント2の環境情報に基づいて信頼性評価や性能評価をするための評価基準DB45、割り出し処理部、積算処理部及び認証処理部を備えた性能評価手段としての性能評価部46、及び、同様に割り出し処理部、積算処理部及び認証処理部を備えた信頼性評価手段としての信頼性評価部47を備えている。
【0053】
次に、いずれかの特定のクライアント(以下「特定クライアント」という)2が配信サーバ3にアクセスし、最終的に配信サーバ3から上記特定クライアント2に所定のコンテンツが配信されるまでの処理の流れを図2を参照しつつ説明する。なお、図2に示す点線の矢印は各送受信部25,34又は44や上記通信網5を介して行われる送信又は受信の通信を示している。
【0054】
上記特定クライアント2では、まず、配信サーバ3にアクセスし入力部22によりユーザがユーザIDやパスワード等のログイン情報を入力すると、そのログイン情報を受け付けて(ステップS1)、そのログイン情報を配信サーバ3に送信する(ステップS2)。
【0055】
次に、上記配信サーバ3から送信される取得要求指令を受信すると、環境情報採取部26を起動して特定クライアント2のシステム環境についての現時点の環境情報を採取し(ステップS3)、採取した環境情報を配信サーバ3に送信する(ステップS4)。なお、上記の環境情報の詳細については後述する。
【0056】
そして、配信サーバ3から送信されてきたコンテンツデータを受信し(ステップS5)、このコンテンツデータを表示部23に再生表示する(ステップS6)。
【0057】
上記配信サーバ3では、まず、上記ステップS2で特定クライアント2から送信されたログイン情報を受信すると(ステップS11)、そのログイン情報とユーザ情報DB381の記憶内容と照合して合致することを確認することによりユーザ認証を行った上で(ステップS12)、その特定クライアント2に対し環境情報の取得要求指令を送信する(ステップS13)。そして、ステップS4の送信により特定クライアント2から採取した環境情報を受信したら(ステップS14)、その環境情報を特定クライアント2の今回の環境情報として環境情報記憶部35に記憶する一方、その環境情報を評価要求指令と共に評価サーバ4に送信する(ステップS15)。
【0058】
次に、評価サーバ4から送信された信頼性評価及び性能評価についての評価結果(認証結果)を受信すると(ステップS16)、この評価結果を特定クライアント2についての今回の評価結果として評価結果記憶部36に記憶する一方、その評価結果及びサービスレベルDB382の記憶内容に基づいて提供コンテンツ判定部37での提供コンテンツ判定を実行する(ステップS17)。この提供コンテンツ判定の詳細内容については後述する。
【0059】
そして、上記提供コンテンツ判定により判定されて決定されたサービス仕様(質及び/又は種類)に基づいてコンテンツDB383に記憶されたコンテンツの原データを変換して提供すべきコンテンツデータを生成し(ステップS18)、この生成したコンテンツデータを特定クライアント2に対し送信する(ステップS19)。なお、上記のサービス仕様の詳細内容については後述する。
【0060】
一方、上記評価サーバ4では、上記ステップS15の配信サーバ3から送信される上記の評価要求指令と共に環境情報を受信すると(ステップS21)、この環境情報及び評価基準DB45の記憶内容に基づいて性能評価部46による性能評価判定(ステップS22)と、信頼性評価部47による信頼性評価判定(ステップS23)とを実行し、双方の評価結果を配信サーバ3に送信(返信)する(ステップS24)。
【0061】
なお、上記の特定クライアント21から配信サーバ3へ、及び、配信サーバ3から評価サーバ4への環境情報の送信は暗号化(例えばハッシュ化)して行うようにしてもよい。この場合には、各構成要素及びその内容と、これらを表すハッシュ値との対応関係についての情報を配信サーバ3及び評価サーバ4に予め記憶設定しておき、この対応関係に基づき各構成要素の情報を認識して以下に詳細に説明する評価を実行すればよい。
【0062】
次に、以上の各処理の詳細内容について説明すると、上記ステップS3で採取される環境情報とは例えば図3に「認証要素」の欄に示すように特定クライアント2のシステム環境を構成する各構成要素に関する情報のことである。具体的には、環境情報とは、CPUの種類とそのクロック周波数、メモリ容量、OSの種類とそのリビジョン、MAC(Media Access Control)アドレスベンダコード、MBR(Master Boot Record)、グラフィックチップの種類・型番とその動作クロック、内部記憶装置24のハードディスク容量とそのアクセス速度、ブラウザアプリケーションの種類とそのバージョン、ウィルスチェックアプリケーションの種類とそのバージョン、CD-R,CD-RW,DVD-R,DVD-RW,DVD-RAM等の大容量書込デバイスの接続の有無、ICカードを用いる認証デバイス,及び、指紋又は虹彩を用いる認証デバイス(バイオメトリクスデバイス)等の認証デバイスの接続の有無等についての情報を含むものである。
【0063】
そして、このような環境情報に含まれる各構成要素の内容と、これに対する性能評価上の評価レベル値及び信頼性評価上の評価レベル値との対応関係について予め設定し、これを記憶格納したものが上記評価基準DB45である。このような性能評価上及び信頼性評価上の各評価レベル値は次の基準により設定されている。上記性能評価上の評価レベル値としてはコンテンツの再生機能を実現し得る機能実現性の高いものほど、つまり高品質のコンテンツを再生又は表示し得る高機能の環境であるほど高いポイントが設定されており、また、上記信頼性評価上の評価レベル値としてはセキュリティが高いほど高ポイントが設定される反面、コンフィデンスに反する可能性が高いほど、つまり悪用が可能となる度合が高い環境ほど低いポイントが設定されている。
【0064】
例えばコンテンツが動画データである場合の評価レベル値の設定基準(評価基準)の例を図3に示している。個々の構成要素(認証要素)について説明すると、CPUの種類とそのクロック周波数についてはCPUのグレードが高いほど性能評価上の評価レベル値を高く設定し、クロック周波数が高速であるほど高く設定している。例えばIntel(インテル社商標)社製ではセレロン(インテル社商標)よりもペンティアム(インテル社商標)に、ペンティアム(同社商標)でもペンティアム(同社商標)IIよりもIIIに、ペンティアム(同社商標)IIIよりもIVにそれぞれより高い評価レベル値を設定する。加えて、低位のグレードのCPUであってもクロック周波数が高速であれば、高位のグレードのCPUで低速のクロック周波数のものよりも評価レベル値を高設定している。具体的にはCPUのグレードとクロック周波数との種々の組み合わせ毎に具体的な数値の評価レベル値を設定している。一方、信頼性評価上の評価レベル値はCPUの種類毎及びクロック周波数毎のリリース時期が新しいものほど高いポイントを設定している。これはリリース時期が新しいほどそのセキュリティ機能は強化されていると判断し得るからである。
【0065】
メモリ容量については、メモリ容量が大きいほど性能評価上の評価レベル値を高く設定する一方、信頼性評価においてはパーソナルユースの標準メモリとして設定した設定メモリ容量(例えば2003年春のリリース時点で256MB)を超えている場合にその超過分が大きいほど評価レベル値を低く設定している。メモリ容量が大きいほど高速処理が可能となって性能上は高機能となる一方、特定クライアント2が本来はパーソナルユースであるにも拘わらず不必要に大きいメモリ容量を増設している場合にはその特定クライアント2は技術的に高度な用途に利用、つまり悪用が可能な環境を備えていると判断し得るからである。
【0066】
OSの種類とそのリビジョンについては、画像表示速度又はプログラムの実行速度が高速であるほど性能評価上の評価レベル値を高く、又、リビジョンアップのリリース時期が新しいものほど上記評価レベル値を高く設定している。一方、信頼性評価においては、OSの種類がプロユースであれば高い評価レベル値を、パーソナルユースであれば低い評価レベル値をそれぞれ設定し、又、リビジョンアップのリリース時期が新しいものほど上記評価レベル値を高く設定している。上記の画像表示速度等が高速であるほど動画データの再生においては高機能であるため性能評価上は高く評価でき、また、プロユース(例えば「Windows 2000 Server」(Microsoft社商標)や、「Windows XP Professional」(Microsoft社商標))はセキュリティ機能がパーソナルユース(例えば「Windows Me」(Microsoft社商標)や、「Windows XP Home Edition」(Microsoft社商標))よりも高く、さらにリビジョンアップのリリース時期が新しければセキュリティホールの改善がなされている可能性が高いので信頼性評価上は高く評価できるからである。なお、上記の画像表示速度やプログラム実行速度、グラフィックチップの表示速度、あるいは、後述のブラウザアプリケーションやウィルスチェックアプリケーションの処理速度等については、予め全ての組み合わせについてのベンチマークテストを実施し、そのテスト結果により割り出された情報を評価基準DB45に記憶設定しておくようにする。
【0067】
MACアドレスベンダコードについては、性能評価上は評価対象とはせず、信頼性評価上は6バイト長データの内の前3バイトのベンダコードにより特定したメーカー名に基づき既出の欠陥やセキュリティホールのあるメーカーであれば低い評価レベル値を設定する。このような既出の欠陥等が報告されているメーカーについての情報が予め評価基準DB45に記憶設定されている。
【0068】
MBRについては、性能評価上も信頼性評価上も評価対象とはせずに、上記のOSの種類とそのリリース時期の裏付け確認情報として用いる。
【0069】
グラフィックチップの種類・型番とその動作クロックについては、性能評価上は表示速度が高速のものほど高機能であるため高い評価レベル値を設定する一方、信頼性評価上はグラフィックチップが動画のキャプチャー機能等のような特殊機能を備えているものは不正コピー可能であるため低い評価レベル値を設定する。このような特殊機能を有しているか否かは、グラフィックチップの型番(所定メーカーを示す型番)との関連付けにより特定した対比データが予め評価基準DB45に記憶設定されている。
【0070】
内部記憶装置24のハードディスク容量とそのアクセス速度については、性能評価上は大容量のものほど、又、アクセス速度が高速であるほど高機能であるため高い評価レベル値を設定する。一方、信頼性評価上はハードディスク容量やアクセス速度がパーソナルユースとして標準的な設定値を超える場合には低い評価レベル値を設定している。この理由はメモリ容量の場合に説明したのと同じである。
【0071】
ブラウザアプリケーションの種類とそのバージョンについては、性能評価上は処理速度が高速であるほど高機能であるため高い評価レベル値を設定する一方、信頼性評価上はブラウザアプリケーションが周知のもの(例えば「Internet Explore」(Microsoft社商標名)又は「Netscape Communicator」(Netscape社商標))であれば高い評価レベル値を設定し、余り知られていないものであれば低い評価レベル値を設定する。この理由もパーソナルユースか否かに基づくものである。加えて、信頼性評価においてバージョンが新しいものほどセキュリティ性が向上していると判断し得るため高い評価レベル値を設定している。
【0072】
ウィルスチェックアプリケーションの種類及びそのバージョン、並びに、そのウィルスパターンファイル(ウィルス定義ファイル)のバージョンについては、性能評価上は上記と同様に処理速度が高速であるほど高機能であるため高い評価レベル値を設定し、信頼性評価上は上記各バージョンが新しいものほど高い評価レベル値を設定する。ウィルスに侵されて情報漏洩等が発生する可能性が低くなるからである。
【0073】
大容量書込デバイスの接続の有無については、性能評価上は接続されていれば高い評価レベル値を設定し、その書込容量が大きいほど、より高い評価レベル値を設定する。これとは逆に、信頼性評価上は接続されていれば低い評価レベル値を設定し、その書込容量が大きいほど、より低い評価レベル値を設定している。これは、接続されていれば、悪用の意思の有無は不明ではあるものの、配信サーバ3から提供される動画データ等のコンテンツをコピーして流用等の不正使用が可能な環境であると判断し得るからである。
【0074】
認証デバイスの接続の有無については、性能評価上は評価対象とはせずに、信頼性評価上において接続されていればセキュリティ機能が高いため評価レベル値を高く設定している。この際、ICカードを用いる認証デバイスよりも指紋又は虹彩を用いる認証デバイスにより高い評価レベル値を設定している。つまり、接続れさていれば、いわゆるなりすましによる不正アクセスの防止機能が接続されていない場合よりも高いためであり、また、認証デバイスの種類によりなりすましがより困難になるためである。
【0075】
以上説明したような各構成要素と、性能評価上の評価レベル値及び信頼性評価上の評価レベル値との対応関係に基づき、性能評価部46及び信頼性評価部47ではそれぞれ環境情報に含まれる各構成要素毎の評価レベル値を割り出し処理部により割り出し、割り出された各評価レベル値を積算処理部により積算し、認証処理部において上記の積算された評価レベル値の大小により高低段階評価にして性能評価及び信頼性評価のそれぞれを認証する。なお、上記の各構成要素に設定された評価レベル値は性能評価上及び信頼性評価上で異なる重み付けを付している。例えば性能評価上は、CPUの種類とクロック周波数を第1位に、メモリ容量及びグラフィックチップの種類と動作クロックをそれぞれ第2位に、OSの種類とリビジョン及びハードディスク容量を第3位にというように重度のものから軽度のものへの順位付けがなされている。また、信頼性評価上は、OSの種類とリビジョンを第1位に、ブラウザアプリケーションやウィルスチェックアプリケーションの種類とバージョンを第2位に、大容量書込デバイスや認証デバイスの接続の有無を第3位にというように重度のものから軽度のものへの順位付けがなされている。
【0076】
上記の高低段階評価による性能評価及び信頼性評価の各認証情報を受けて実行される提供コンテンツ判定部37による提供コンテンツ判定は、次のようなサービスレベルDB382を用いて行われる。すなわち、サービス仕様の種類として、コンテンツが動画データの場合には、「質」として、フレームレート別(例えば7,10,15,30の4段階のフレームレート)、解像度別(例えば160×120ドット,320×240ドット,640×480ドット,800×600ドット,1024×768ドットの5段階の解像度)、圧縮率別(例えば1〜100%の範囲での所定数の段階)の組み合わせにより高仕様のサービスから低仕様のサービスに区別して用意され、「種類」として配信するコンテンツデータを暗号化するか否かの別が用意されている。上記の高仕様のサービスは、高機能の性能でないとその機能が実現(再生)できないため性能評価上で高い段階評価(評価レベル値の積算値が大)のクライアント2への提供対象として選択設定され、また、コンテンツとして保護価値の高いものであるため信頼性評価上で高い段階の評価(評価レベル値の積算値が大)のクライアント2への提供対象として選択設定される。また、暗号化されていないコンテンツデータは流用が容易であるため、信頼性評価上で高い段階評価のクライアント2への提供対象として選択設定され、暗号化されているコンテンツデータは流用が困難であるため、信頼性評価上で低い段階評価のクライアント2への提供対象として選択設定される。
【0077】
例えば図4に、信頼性評価を横軸とし性能評価を縦軸とする直交座標系に対し6種類のサービス仕様に分けた動画データ(コンテンツ)を領域分けして設定して信頼性評価及び性能評価と関連付けた例を示している。この場合は、高信頼性評価で高性能評価の矩形領域に暗号化されていない高精細動画データを、高信頼性評価で中性能評価の矩形領域に暗号化されていない中精細動画データを、高信頼性評価で低性能評価の矩形領域に暗号化されていない低精細動画データを、低信頼性評価で高性能評価の矩形領域に暗号化された高精細動画データを、低信頼性評価で中性能評価の矩形領域に暗号化された中精細動画データを、低信頼性評価で低性能評価の矩形領域に暗号化された低精細動画データをそれぞれ設定している。つまり、質としての解像度と、種類としての暗号化の有無との組み合わせでサービス仕様を分け、信頼性評価が高ければ暗号化せす、低ければ暗号化する一方、性能評価が高ければ高精細に、中程度であれば中解像度に、低ければ低解像度にそれぞれ設定したものである。この理由は、画素数の多い高精細な動画データはその再生のために高い性能が要求されるため、性能評価の高い領域に設定したものであり、また、暗号化を施した動画データのストリーム配信はクライアント2側での再利用が困難となるため、信頼性評価の低い領域に設定したものである。
【0078】
上記サービスレベルDB382に記憶設定されている信頼性評価及び性能評価と、これらの双方の評価に関連付けたサービス仕様との対応関係は、図5にも示すような信頼性評価及び性能評価を直交二軸とする直交座標系に領域設定することにより定義されている。すなわち、ある信頼性評価の範囲(例えば信頼性評価について積算された評価レベル値範囲)と、性能評価の範囲(例えば性能評価について積算された評価レベル値範囲)とによって定義される領域に、信頼性評価の範囲及び性能評価の範囲のクライアント2に許容されるサービス仕様の範囲(提供可能範囲のサービス仕様)が設定されている。このようなサービス仕様の領域がサービス仕様の種類数だけ上記直交座標系に領域設定されている。
【0079】
そして、図6に提供コンテンツ判定部37による提供コンテンツ判定の例を示すように、評価サーバ4から配信サーバ3に送信されてきた認証情報として信頼性評価についての信頼性評価値(積算評価レベル値)がx1、性能評価についての性能評価値(積算評価レベル値)がy1である場合には、交点(x1、y1)が属する領域に設定されたサービス仕様のコンテンツ(図6ではBサービス)を提供コンテンツとして選択設定(判定)することになる。
【0080】
一方、互いに異なる内容の複数のサービス仕様の領域が一部重複し、信頼性評価値と性能評価値との交点が上記の重複部分の領域に位置して複数のサービス仕様が該当する場合もある。この場合には上記直交座標系で信頼性評価を優先又は重視したり、逆に性能評価を優先又は重視して提供コンテンツの選択設定(判定)を行うこともできる。例えば図7に示すように信頼性評価値がx2、性能評価値がy2であるときの交点(x2、y2)は2つのサービス仕様(図7ではAサービスとBサービス)が該当することになる。この場合には、双方のサービス仕様のコンテンツを提供対象として選択してもよいし、いずれか一方のサービス仕様を選択してもよい。いずれか一方のサービス仕様を選択する場合には、信頼性評価を優先してBサービスを選択すると、性能評価上での余裕代、つまり性能上での余裕が得られることになるし、性能評価を優先してAサービスを選択すると、信頼性評価での余裕代が得られることになる。つまり、性能上での余裕を採りたい場合には信頼性評価を優先してBサービスを選択設定し、信頼性上での余裕を採りたい場合には性能評価を優先してAサービスを選択設定するというように、その選択設定の方針を配信サーバ3を運用する配信事業者側又は各クライアント2側の事情に応じて決定し提供コンテンツ判定部37に設定することもできる。
【0081】
また、上記の図7の例の場合の選択設定の方針として、信頼性評価を優先して該当するサービス仕様を選択し、その選択されたサービス仕様の範囲から性能評価で許容される高い側のサービス仕様を設定するということも採ることができる。例えば信頼性評価値x2を優先して該当するサービス仕様を選択するとAサービスとBサービスの2つがあり、両者の内から性能評価値y2が属する内で高い側のサービス仕様を選択するとAサービスが設定されることになる。これにより、信頼性評価を満足させつつも、より高い画質の動画データがクライアント2に配信されることになる。
【0082】
以上の実施形態の場合、従来はユーザ認証というYESかNOかだけで、クライアントに対し高画質の動画データ等の高い価値を有するコンテンツを画一的に配信していたために不正使用等が生じたときにコンテンツ配信事業者側は手痛い損害を被るおそれがあったのに対し、本実施形態では個々のクライアントについての信頼性評価を得ることができる上に、その信頼性評価を高低段階評価により把握することができ、この信頼性評価に基づいて提供コンテンツの質及び/又は種類を個別に変更して不正使用等の発生を未然にかつ効果的に抑制することができることになる。
【0083】
また、高低段階評価による性能評価を得ることができるため、個々のクライアント2の性能を把握してその性能により再生・表示し得る適切な質及び/又は種類のコンテンツを各クライアント2に提供することができ、クライアント2側の性能と、提供コンテンツの質との間の不適合等に起因するクライアント2側での再生又は表示の不良発生を回避することができる。
【0084】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ある1つのコンテンツ配信事業者の1つの配信サーバ3と、この配信サーバ3によりコンテンツの配信・提供が予定されているクライアント2,2,……を図1に図示しているが、これに限らず、上記コンテンツ配信事業者の他の1又は2以上の図示省略の配信サーバや、他のコンテンツ配信事業者の1又は2以上の図示省略の配信サーバが通信網と接続され、上記評価サーバ4との通信により信頼性評価及び性能評価についての認証情報が得られるようにしてもよい。これにより、1つの評価サーバ4から複数の配信サーバに対し信頼性評価及び性能評価についての認証情報を提供することができる。
【0085】
上記実施形態では、環境情報採取部26をAPIにより構成しているが、これに限らず、環境情報採取部26として例えば各クライアント2に予め搭載した環境情報採取用のチップを上記APIに代えて、あるいは、上記APIと共に用いるようにしてもよい。環境情報採取26としてAPIと上記チップとの2つのもので構成した場合には、図2にS0(ステップS0)として示すように特定クライアント2の電源投入により環境情報が上記チップに採取蓄積される一方、配信サーバ3からの取得要求指令を受けてステップS3で上記APIにより環境情報が採取され、ステップS4では上記チップとAPIとの双方で採取された環境情報が配信サーバ3に送信されることになる。この際には、電源投入して起動後に大容量書込デバイス等が特定クライアント2に対し接続される場合もあることから、最新側の環境情報を採用するか、チップにより採取されている環境情報にAPIにより採取された環境情報の差分を加えた環境情報を採用するかのいずれかの処理を行わせるようにすればよい。
【0086】
上記実施形態での認証要素(図3参照)として、ブラウザアプリケーションやウィルスチェックアプリケーションに加えて、動画の編集プログラムやDVD等の大容量書込デバイスへのコピー(書込)プログラム等のアプリケーションのインストールの有無をも採用してもよい。これらのアプリケーションがインストールされていれば、提供情報としての動画データの不正コピー等が可能であるため、信頼性評価に対する評価レベル値をより低く設定する。
【0087】
上記実施形態では特定クライアント2からのログイン情報の受信(ステップS11)及びそれに基づくユーザ認証(ステップS12)を行った上で、特定クライアント2に対する取得要求指令を送信しているが(ステップS13)、これに限らず、配信サーバ3が事前のユーザ登録を不要にしてクライアント2が配信用ホームページにアクセスして配信希望のコンテンツを選択することを許容している場合には、上記のアクセス又はコンテンツの選択のいずれかをもって提供要求指令とみなして上記の取得要求指令をそのクライアント2に送信するようにしてもよい。この場合には、図2のステップS1,S2及びステップS11,S12が省略されることになる。
【0088】
上記実施形態では、配信サーバ3を提供サーバとして、この配信サーバ3が有するコンテンツの各クライアント2への配信サービスを情報提供サービスの対象として説明したが、これに限らず、コンテンツ以外の情報を提供する情報提供サービスを対象として本発明を適用してもよい。例えば、地方公共団体に設置された提供サーバから住民基本台帳の個人情報や住民票データを通信網を介して住民等のクライアントに提供する情報提供サービスの場合に本発明を適用するようにしてもよい。この場合には、上記実施形態で説明したと同様の信頼性評価を高低段階評価によりクライアント毎に認証し、この認証結果に応じて上記の個人情報の提供レベル(提供段階)に制限を加える、又は、上記住民票データの提供を拒否するか否かに関するサービス仕様を決定するようにすればよい。
【0089】
例えば、上記の個人情報を構成する氏名、性別、生年月日及び住所の各情報について、重要性の低いものから高いものへ氏名、性別、生年月日、住所の順に順位付け設定する。そして、クライアントから提供サーバに対し住民基本台帳コードが送信されてきたとしても、クライアントの信頼性評価についての認証結果が例えば低い段階での評価であれば氏名のみ、あるいは、氏名に性別を加えたもののみというように提供レベルを制限し、信頼性評価が最も高い範囲での段階評価である場合にのみ氏名、性別、生年月日及び住所の全ての個人情報を提供可能というようにサービス仕様を決定する。あるいは、上記クライアントの信頼性評価についての認証結果が所定の低い段階範囲での評価であれば住民票データの提供を拒否する一方、所定の高い段階範囲での評価である場合にのみ上記住民票データの提供を許可するようにサービス仕様を決定する。以上により、上記の個人情報等を確実に保護した状態でその個人情報についての情報提供サービスを実施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサービス提供システムに係る実施形態を示す模式図である。
【図2】特定クライアント、配信サーバ及び評価サーバでの各処理と互いの通信を示すフローチャートである。
【図3】システム環境を構成する各構成要素と、信頼性及び性能の各評価基準との関係を示す表である。
【図4】信頼性評価及び性能評価を直交二軸とする直交座標系にサービス仕様を領域設定し例を示す図である。
【図5】信頼性評価及び性能評価と、サービス仕様の領域との対応関係を説明するための図である。
【図6】信頼性評価及び性能評価の双方の結果に基づきサービス仕様を選択設定する手法を説明するための図である。
【図7】信頼性評価及び性能評価の双方の結果が互いに重複した2つのサービス仕様に合致する場合を示す図である。
【符号の説明】
2 クライアント
3 配信サーバ(提供サーバ)
4 評価サーバ(クライアント評価装置)
5 通信網
26 環境情報採取部(環境情報採取手段)
37 提供コンテンツ判定部(提供サービス仕様判定手段)
44 送受信部(送受信手段)
45 評価基準DB(評価基準データベース)
46 性能評価部(性能評価手段)
47 信頼性評価部(信頼性評価手段)
Claims (8)
- クライアントに対し通信網を介して提供する情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定するための判定基準として用いるために、上記クライアントの信頼性について評価するクライアント評価方法であって、
上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係を予め設定して記憶格納した評価基準データベースを用意しておき、
個別のクライアントのシステム環境についての環境情報を受信したとき、その環境情報に含まれる構成要素毎に上記評価基準データベースの記憶内容と対比することにより構成要素毎の評価レベル値を割り出す手順と、割り出された構成要素毎の評価レベル値を積算する手順とを経て、上記個別のクライアントについての信頼性評価として上記積算された評価レベル値の大小に応じた信頼性の高低段階評価により評価し、この個別のクライアントについての信頼性の高低段階評価に応じて上記個別クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づいて上記個別クライアントに対する情報提供を実行するようにする
ことを特徴とするクライアント評価方法。 - 通信網を介して情報が提供される情報提供先であるクライアントのシステム環境についての環境情報を受け、提供対象の情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かのサービス仕様を決定するための判定基準として用いられる上記クライアントの信頼性を評価するクライアント評価装置であって、
上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係が予め設定されて記憶格納された評価基準データベースと、
上記環境情報に基づいて個々のクライアントについての信頼性を評価する信頼性評価手段と
を備え、
上記信頼性評価手段は、上記環境情報に含まれる構成要素毎に上記評価基準データベースの記憶内容と対比することにより構成要素毎の評価レベル値を割り出す割り出し処理部と、この割り出し処理部により割り出された構成要素毎の評価レベル値を積算する積算処理部と、この積算処理部により積算された評価レベル値の大小に応じた信頼性の高低段階評価により上記個別のクライアントについての信頼性を評価する認証処理部とを備えており、
上記個別のクライアントについての信頼性の高低段階評価に応じて上記個別クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定した上で、決定されたサービス仕様に基づいて上記個別クライアントに対する情報提供を実行するようにされている
ことを特徴とするクライアント評価装置。 - 請求項2に記載のクライアント評価装置であって、
上記通信網を介して情報を送受信する送受信手段をさらに備え、
上記送受信手段を介して上記環境情報を受ける一方、上記クライアントに情報を提供する提供サーバに対し上記送受信手段を介して段階的評価結果を送信するように構成されている、クライアント評価装置。 - 提供サーバによりクライアントに対し通信網を介して情報提供するサービス提供方法において、
上記クライアントから情報提供要求を受信したとき、情報提供要求した特定クライアントに対しその特定クライアントのシステム環境についての環境情報を取得する取得要求指令を送信してその環境情報を取得する手順と、
取得した環境情報と、環境情報の内容に対する信頼性評価上の評価レベルについての対応関係を予め設定した評価基準との対比によって、上記特定クライアントについての上記信頼性評価を高低段階評価により判定する手順と、
判定された上記信頼性評価の高低段階評価に応じて上記特定クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定する手順と、
決定されたサービス仕様に基づいて上記特定クライアントに対する情報提供を実行する手順と
を備えていることを特徴とするサービス提供方法。 - 提供サーバによりクライアントに対し通信網を介して情報提供するサービス提供方法において、
上記クライアントから情報提供要求を受信したとき、情報提供要求した特定クライアントに対しその特定クライアントのシステム環境についての環境情報を取得する取得要求指令を送信してその環境情報を取得する手順と、
取得した環境情報と、環境情報の内容に対する信頼性評価並びに提供情報の再生機能を実現する機能実現性に関する性能評価のそれぞれに対する評価レベルについての対応関係を予め設定した評価基準との対比によって、上記特定クライアントについての上記信頼性評価及び性能評価をそれぞれ高低段階評価により判定する手順と、
判定された上記信頼性評価の高低段階評価及び性能評価の高低段階評価の双方に応じて上記特定クライアントから提供要求のある情報について提供すべき質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を決定する手順と、
決定されたサービス仕様に基づいて上記特定クライアントに対する情報提供を実行する手順と
を備えていることを特徴とするサービス提供方法。 - 請求項5に記載のサービス提供方法であって、
情報の質及び/又は種類の別、情報提供するか否かの別、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かの別により分類した複数レベルのサービス仕様を信頼性評価及び性能評価の双方と関連付けして信頼性評価の高低段階評価別及び性能評価の高低段階評価別に許容し得る上記サービス仕様の対応関係を予め設定しておき、
提供すべきサービス仕様を決定する手順として、判定された信頼性評価の高低段階評価に基づいてその高低段階評価で許容されるサービス仕様を上記対応関係から抽出し、抽出されたサービス仕様の内から上記性能評価の判定結果である高低段階評価で許容される最も高い側のサービス仕様を決定するようにする、サービス提供方法。 - 請求項5に記載のサービス提供方法であって、
情報の質及び/又は種類の別、情報提供するか否かの別、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かの別により分類した複数レベルのサービス仕様を信頼性評価及び性能評価の双方と関連付けして信頼性評価の高低段階評価別及び性能評価の高低段階評価別に許容される上記サービス仕様の対応関係を予め設定しておき、
提供すべきサービス仕様を決定する手順として、判定された性能評価の高低段階評価に基づいてその高低段階評価で許容されるサービス仕様を上記対応関係から抽出し、抽出されたサービス仕様の内から上記信頼性評価の推定結果である高低段階評価で許容される最も高い側のサービス仕様を決定するようにする、サービス提供方法。 - 提供先に対し情報を提供する提供サーバと、上記提供先としての1又は2以上のクライアントと、上記各クライアントについて信頼性評価上の評価レベルを高低段階評価により評価する評価サーバとが通信網を介して互いに送受信可能に接続され、
上記各クライアントは、自己のシステム環境についての環境情報を採取する環境情報採取手段を備え、上記提供サーバからの環境情報についての取得要求指令を受信したとき上記環境情報採取手段により採取処理された上記環境情報を上記提供サーバに送信するように構成され、
上記提供サーバは、上記評価サーバによる段階的評価結果に基づいて対応するクライアントに対し提供する情報の質及び/又は種類、情報提供するか否か、あるいは、提供する情報に制限を加えるか否かに関するサービス仕様を判定して決定する提供サービス仕様判定手段を備え、クライアントから情報提供要求を受信したとき上記環境情報の取得要求指令をそのクライアントに送信し、そのクライアントから環境情報を受信したときその環境情報と共に評価要求指令を上記評価サーバに送信し、その評価サーバから返信される段階的評価結果に基づいて上記提供サービス仕様判定手段により決定されたサービス仕様に基づいて上記クライアントに対する情報提供を実行するように構成され、
上記評価サーバは、上記クライアントのシステム環境を構成する各構成要素の内容と、その内容に対する性能評価上の評価レベル値及び/又は信頼性評価上の評価レベル値との対応関係が予め設定されて記憶格納された評価基準データベースと、この評価基準データベースに記憶された上記対応関係と上記提供サーバから受信する上記環境情報との対比により対応するクライアントについての信頼性を高低段階評価により評価する信頼性評価手段とを備え、上記提供サーバから上記環境情報と共に評価要求指令を受信したとき上記信頼性評価手段による評価処理を実行し段階的評価結果を上記提供サーバに返信するように構成されている
ことを特徴とするサービス提供システム。
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