JP4469467B2 - Cell growth inhibitor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトロンビンによる細胞の増殖を抑制しうる薬剤に関する。さらに詳しくは、PAR1型トロンビンレセプターの特定の領域に結合して該レセプターの細胞増殖に関する機能を阻害する薬剤に関する。本発明はまた、新規なヒトPAR1型トロンビンレセプター、ならびにそれをコードするDNA断片に関する。
【0002】
【従来の技術】
トロンビンは血液凝固カスケードの最終段階に関与し、血栓止血において極めて重要な役割を果たすセリンプロテアーゼである。一方、トロンビンは血管内皮細胞上のトロンボモジュリンと結合すると、凝固促進的な働きは全くなくなり、逆にプロテインCの活性化能が数千倍も増強される。このようにして活性化されたプロテインCは、第V因子や第VIII因子を分解して抗凝固作用を示す。したがって、トロンビンは抗凝固因子としての働きももっていることになる。トロンボモジュリンはトロンビン受容体の一種であるが、最近トロンビンのシグナルを伝達するタイプの受容体(レセプター)が発見された(Vu, T. K. H. et al. :Cell, 64, 1057-1068 (1991))。最初にクローニングされたシグナル伝達型のトロンビンレセプター(PAR1)のcDNAは425個のアミノ酸残基からなる蛋白質をコードしており、7個の膜貫通領域をもつ典型的なG蛋白共役型レセプターの構造を有している。
【0003】
トロンビンはPAR1型トロンビンレセプターの細胞外N末端側の部位Arg(41)−Ser(42)を限定分解する。PAR1型トロンビンレセプターのN末端側が遊離すると、新たに露呈してきたN末端部位がアゴニストとして働くという極めて特徴的な構造をしている。すなわちトロンビンはリガンドとして働くのではなく、レセプターに内在しているリガンド(TRAP: Thrombin Receptor Agonist Peptide)を露呈させる役目をもっているだけである。このリガンド部位のC末端側には隣接して酸性アミノ酸に富んだ部位がある(−Glu−Asp−Glu−Glu−)。この部位はトロンビンの天然インヒビターであるヒルの唾液中のヒルジンに相同性が高く、ヒルジン様ドメインとよばれており、トロンビンが結合する部位と考えられている(医学のあゆみ、167, 484-487 (1993))。
【0004】
トロンビンのシグナルにより、血小板や血管内皮細胞のみならず、血管平滑筋細胞やマクロファージなども活性化され、遊走し、増殖する。粥状硬化、PTCA後などにPAR1型トロンビンレセプターが過剰発現していることからみて、このレセプターが各種血管病変の成立に重要な役割を果たすと考えられてきた。
【0005】
抗トロンビン剤、すなわちトロンビン阻害剤は、前述したようなトロンビンの機能を考えると、血液凝固カスケードを阻害するばかりでなく活性化プロテインCの生成も抑制することになる。すなわち血管内皮上の凝固と抗凝固のバランスがくずれることが予想され、副作用として、例えば出血が懸念される。
【0006】
一方、トロンビンレセプター阻害剤は、その作用機序からみて、血液凝固系には全く影響を及ぼさずに細胞表面のレセプターを調節することで、細胞増殖や細胞遊走などの細胞活性化のみを抑制することが期待できる。つまり、トロンビン阻害剤と異なり、トロンビンレセプター阻害剤は、出血という副作用の少ない薬剤となりうると考えれる。さらに、対象疾患のすみわけも可能である。例えば、トロンビン阻害剤は血栓症が対象になるのに対し、トロンビンレセプター阻害剤は細胞増殖性の疾患が対象となる。
【0007】
次に、トロンビンと細胞上のレセプターとの反応が各種疾患といかに関連するかについて説明する。例えば、リウマチにおける滑膜細胞増殖や、動脈硬化における血小板凝集、平滑筋細胞増殖、あるいはマクロファージ遊走に細胞上のトロンビンレセプターが関与していることを示唆する報告を以下に示す。
【0008】
リウマチ患者の滑膜組織においてPAR1型トロンビンレセプターは過剰発現している(Ann. Rheum. Dis., 55: 841-843 (1996))。また、リウマチ患者の滑液中には活性化トロンビンが多量に存在し、さらに滑液中ではトロンビン生成量を反映するメルクマールであるTAT(Thrombin−Antithrombin Complex)が健常人血漿値に比べて数千倍も高値になっていることが最近明らかにされている(J. of Rheumatology, 23, 1505-1511 (1996); Clin. Exp. Rheumatol., 17, 161-170 (1999))。
【0009】
さらに、リウマチ患者由来の滑膜細胞は、in vitroで培養液中にトロンビンあるいはTRAPを添加することによって、トリチウムチミジンの取り込みが増加すること、すなわちトロンビンレセプターの作用を介して増殖することが示唆されている(Clinical Immunology and Immunopathology, 76: 225-233 (1995))。
【0010】
また、慢性関節リウマチにおいては増殖した滑膜組織内に新生血管が多くみられることが特徴であるが、トロンビンは血管内皮細胞の管腔形成など血管新生の過程に関与することが示唆されている(Am. J. Physiol., 273, c239-245, 1997)。
【0011】
さらに、慢性関節リウマチ患者の病態においてマトリックスメタロプロテアーゼの発現が亢進していることが知られている。トロンビンは血管内皮細胞に作用してマトリックスメタロプロテアーゼ−1および−3の発現を亢進するが、そのうちのマトリックスメタロプロテアーゼ−3の発現にPAR1型トロンビンレセプターが関与していることが報告されている(Atheroscler. Thromb. Vasc. Biol., 17, 1731-1738 (1997))。このことから、トロンビンレセプターは慢性関節リウマチの滑膜増生、およびそれに引き続いて起きる骨軟骨破壊の過程に関与していると考えられる。
【0012】
これらの報告をまとめてみると、関節局所で生成したトロンビンが滑膜組織あるいは滑膜細胞表面上のトロンビンレセプターを介してシグナル伝達を起こし、滑膜細胞増殖が惹起されていると考えられる。
【0013】
リウマチの発症機序は、最近の研究から滑膜細胞増殖が骨軟骨破壊に到るステップであることが明らかにされている。しかしながら、現行の抗リウマチ薬の作用をみると、痛みを和らげる抗炎症薬が主流であり、滑膜細胞増殖を有効に阻害調節する薬剤は未だない。早期リウマチ治療を考えた場合、滑膜細胞増殖阻害剤は、対症療法のための薬剤ではなく根治薬となりうる。
【0014】
また、粥状動脈硬化やPTCA後の再狭窄などの血管病変の病態進展においては新生内膜肥厚がその大きな要因となっており、その新生内膜組織にはPAR1型トロンビンレセプターの過剰発現が認められることが報告されている(Journal of Clinical Investigation, 90, 1614-1621 (1992))。
【0015】
一方、トロンビンはin vitroで血小板の凝集、平滑筋細胞の増殖、マクロファージの遊走を惹起することから、病変部位においても浸潤したマクロファージや血小板、内膜平滑筋細胞表面上のトロンビンレセプターを介するシグナル伝達に関与し、局所炎症亢進、平滑筋細胞増殖を起こしていることが強く示唆される。
【0016】
また、上記以外にもPAR1型トロンビンレセプターと疾患に関する報告例のひとつとして、脳神経細胞(Astrocyte)がトロンビンあるいはTRAPによってアポトーシスを起こすことが最近報告されており(The Journal of Neuroscience, 17, 5316-5326, (1997))、トロンビンレセプターと脳神経障害との関連性が示唆されている。また、トロンビンレセプターはある種のヒト肺ガン細胞の転移にも関与しているとの報告もある(Nature Med., 4, 909-914,1998)。
【0017】
PAR1型トロンビンレセプターは、その生体内における分布や機能から考えると、上述のリウマチや動脈硬化、脳神経障害に限らず、各種疾患の発症あるいは増悪に関連していると考えられる。
【0018】
しかしながら、一部の報告ではPAR1型トロンビンレセプターのTRAP部位に対する抗体でラットの血管平滑筋細胞の増殖を抑制しうることが示されているものの(Circ.Res. 82, 980-987 (1998))、ヒトPAR1型トロンビンレセプターに対する阻害剤で細胞増殖を抑制したという報告は現在のところない。また、PAR1型トロンビンレセプターのTRAP部位による刺激は細胞の増殖には不十分である可能性も報告されている(FEBS Lett., 15, 225-228 (1993); J Surg. Res., 68, 139-144 (1997); Circulation 95, 1870-1876 (1997))。さらに近年トロンビンに反応するといわれる複数のレセプター(PAR3、PAR4、N−PAR)が報告されており、それらのレセプターと細胞の増殖作用などとの関連については明らかになっていない(Nature, 386, 502-506 (1997); Nature, 394, 690-694 (1998); Biochem. J., 313, 353-368 (1996))。
【0019】
次にファージミド技術すなわちファージディスプレイライブラリーについて詳述する。
ファージ表面上に発現されたタンパク質をあたかもファージと融合した巨大タンパク質として扱うことが可能となり、目的の物質(例えば抗原タンパク質)に結合するファージクローンを効率的に選別できるようになった。いったん選択されたファージはたとえ少数であろうとも、大腸菌での感染、増殖過程を経ることにより大量のファージとすることができる。
【0020】
また、ファージディスプレイベクターの最大の特長は、ファージ表面に提示されたタンパク質の性質(表現型)を指標として選択を行うことにより、そのタンパク質をコードするDNA配列(遺伝子型)を同時に回収できることであり、したがって遺伝子レベルでの解析を行うことが容易な点である。
【0021】
特異的結合能をもつファージクローンをライブラリーから選択的に分離するためには、基本的に標的タンパク質への結合、洗浄、そして溶出という操作を行う。さらに、標的タンパク質に特異的に強く結合するファージクローンを濃縮するために、溶出操作後に得られたファージを大腸菌に感染してその増殖を行い、標的タンパク質での選択操作を繰り返す必要がある。このような結合、洗浄、溶出、増殖という過程はパンニングとよばれており、通常この操作を5回程度繰り返すことにより、ライブラリーより特異的結合能をもつファージを選択的に分離することができる。
【0022】
ファージの結合対象としては、タンパク質のみならずターゲットタンパク質を表面に発現している細胞そのもの、炭水化物、核酸、化学薬品などがある。
また、溶出過程では、酸あるいはアルカリによる処理が一般的に用いられている。
【0023】
ファージディスプレイは、その原理上いかなるポリペプチドにも応用可能である。例えば抗体のVHとVL領域をペプチドリンカーでつないだ一本鎖抗体すなわち単鎖型Fv(single chain Fv; scFv)断片の形で、外殻タンパク質IIIとの融合タンパク質としてファージ表面上に提示することができる。
【0024】
抗原(標的タンパク質あるいは細胞など)を免疫したマウスのBリンパ細胞に由来するcDNAを鋳型として、PCR法によりVHとVL遺伝子をそれぞれ増幅すると共にクローン化することにより、さまざまな抗原結合部位を提示するファージミドライブラリーを作製することができる。そのライブラリーの大きさは、通常の分子生物学的手法によれば10の8乗程度である。この方法を用いることで特定の抗原に対して異なる結合特性をもつ単鎖抗体を同時に多種類取得することが可能となる。
【0025】
従来のトロンビンレセプターに対する抗体は、アミノ末端の細胞外部分のペプチドを合成し、抗原として動物に免疫して取得されている。例えば、ウサギポリクローナル抗体の調製が報告されている(Circulation., 91, 2961-2971 (1995))。また、ラットのトロンビンレセプターのTRAP部位を含むペプチドSFFLRNPSEDTFEQFをウサギに免疫して得られたポリクローナル抗体は、ラットの平滑筋細胞のトロンビンによる増殖を抑制したことが報告されている(Circ. Res., 82, 980-987 (1998))。
【0026】
しかしながら、本発明者らの検討では、ヒトPAR1型トロンビンレセプターのTRAP部位を含むペプチドSFLLRNPNDKYEPFを免疫して得たウサギポリクローナル抗体によっては、ヒト血管平滑筋細胞およびヒト関節滑膜細胞のトロンビンによる細胞増殖を抑制することはできなかった。
【0027】
トロンビンレセプターはリガンドを分子中に内在し、トロンビンによってアミノ末端側が切断されて露呈したTRAP部分が分子内の特定部分と相互作用をすることによってシグナル伝達が起こると考えられている。また、トロンビンはトロンビンレセプターを切断した後、レセプター分子から離れて次々とレセプターを活性化していくものと考えられる。こうしたことから、トロンビンレセプターはトロンビンと結合した後に、さらにはトロンビンによって切断された後に、分子内で立体構造変化を起こしていることが示唆されている(米国心臓学会、1996年)。
【0028】
一方ファージミド技術によって得られたscFvは、1回のライブラリーの作成により多数の独立したクローンが得られること、またその各クローンは単一の抗原決定基に対して特異的であり、かつ同一の特異性を有する抗体を安定的に産生できるという利点をもつことから、リガンドとレセプターの機能解析、アンタゴニストあるいはアゴニスト分子デザイン、構造活性相関研究に近年利用されるようになってきた。
【0029】
PAR1型トロンビンレセプターの細胞増殖シグナル伝達においては、TRAP部位以外の部位が関与している可能性が考えられてきたが、その部位については今までの情報では特定できていない。
【0030】
しかしながら、PAR1型トロンビンレセプター上に存在する未知の細胞増殖に関与する部位に対する抗体を作成するために、PAR1型トロンビンレセプターの全配列を分割した複数の部分ペプチドを作成して免疫し、得られたそれぞれの抗体について細胞増殖抑制活性を検討する方法では効率が悪いといわざるを得ない。
【0031】
そこで本発明者らは、トロンビン切断部位およびTRAP部位を欠損させた組み換えPAR1型ヒトトロンビンレセプターを細胞上に発現させ、その機能および構造活性相関に関して鋭意研究を重ねた。その結果、このヒトトロンビンレセプター改変体を発現した細胞を抗原としてマウスに免疫し、構築したファージディスプレイライブラリーからヒトトロンビンレセプターに対するscFvを作製することで、トロンビンレセプターの機能を特異的に抑制する薬剤を得ることができた。
【0032】
本発明のscFvは、慢性関節リウマチ患者より取得した関節滑膜細胞のトロンビン惹起増殖を特異的に抑制する活性を有する。現在まで、トロンビンレセプターに対する抗体を含むトロンビンレセプター阻害剤によってトロンビンによる細胞増殖を有意に抑制したと報告はなく、この活性は本発明の薬剤において初めて認められたものである。
【0033】
例えば特表平6−508742号公報にはトロンビンレセプターに対する抗体を含むアンタゴニストの取得についての記載があるものの、トロンビンレセプターのアンタゴニストによる細胞増殖作用の抑制についての記載はない。
【0034】
さらに、本発明に至る過程で、種々のPAR1型トロンビンレセプターと結合しうるscFvおよび抗体についてトロンビンによる細胞増殖の抑制の検討を行ったところ、PAR1型トロンビンレセプター上の特定の配列を認識するscFvクローンのみが有意に抑制活性を示した。すなわち、従来PAR1型トロンビンレセプターのトロンビンとの結合に関与する部位といわれていたYEPFW配列を認識するscFvのうち、一部のscFvクローンのみが細胞増殖抑制活性を有することも明らかになった。この細胞増殖抑制活性をもつscFvクローンは、該活性をもたないscFvクローンと比較してトロンビンによる細胞でのCa流入反応、血小板凝集に対する抑制効果、およびエピトープペプチドに対するアフィニティの強さにおいて特に強い活性を示すことはなく、したがって従来の技術により細胞増殖抑制活性をもつscFvや抗体を取得することは困難と考えられる。
【0035】
さらに、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、トロンビンによる細胞増殖を抑制する活性のあるscFvクローンは、その認識エピトープであるヒトPAR1型トロンビンレセプターの52番目から56番目のアミノ酸配列のうちの56番目のトリプトファン残基をアラニン残基に置き換えることで、該エピトープへの結合性を失った。
【0036】
これに対し、同様のエピトープに結合しうる細胞増殖抑制活性のないscFvクローンは、PAR1型トロンビンレセプターエピトープの56番目のトリプトファンをアラニンに置き換えてもそれへの結合性を保持していた。つまり、PAR1型ヒトトロンビンレセプターの細胞増殖に関与する部位は、従来のトロンビンに対するアニオン外部部位結合領域では規定されず、そのすぐ下流に位置するヒルジン様配列(EDEE)の間に位置する56番目のトリプトファン残基を中心にした部位であることが示された。
【0037】
以上のことから、本発明はトロンビンによる細胞の増殖を抑制しうる薬剤を効率よく取得するための技術を含んでいる。すなわち、従来のトロンビンレセプター阻害剤の取得方法であるトロンビンによる細胞でのCa流入反応の抑制や、血小板の凝集抑制を評価項目とする方法では、トロンビンによる細胞の増殖を有効に抑制しうる薬剤を取得することは困難であり、本明細書に示されているように、PAR1型トロンビンレセプターの細胞増殖に関連する特定の配列の情報を得たことによってトロンビンの細胞増殖作用を有効に阻止しうる抗体や薬剤の取得が可能になったのである。
【0038】
本発明の薬剤の一例は、マウス抗体骨格をもつscFvであるが、該遺伝子配列をもとにCDRグラフティングなどの技術を利用することによって、ヒト化抗体を作製することが可能である。またscFvを改変してFc部分を付加したり、あるいは二本鎖の完全分子型の抗体にすることも可能である。これらは血中半減期が異なると予想され、対象疾患、投与部位、投与方法によって抗体の剤型を変えることができる。
【0039】
また、本発明のscFvはPAR1型トロンビンレセプターの細胞増殖に重要な部位を認識するため、このscFvを用いてより活性の高い抗体やPAR1型トロンビンレセプターと結合してその活性を修飾しうる化合物を選別、取得するためのツールとして用いることが可能である。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PAR1型トロンビンレセプターに対する多種類の抗体を取得することによってPAR1型トロンビンレセプターの細胞増殖への関与を検証するとともに、PAR1型トロンビンレセプター上の増殖に強く関与する部位を特定し、その情報をもとにトロンビンによる細胞増殖を有効に抑制しうる薬剤を取得する点にある。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはPAR1型ヒトトロンビンレセプターを特異的に認識するポリペプチドを見出し、本発明に到達した。
【0042】
すなわち本発明者らは、遺伝子工学的に各種PAR1型ヒトトロンビンレセプターを昆虫細胞表面に機能を有する蛋白として発現させた。本発明者らが作製したPAR1型トロンビンレセプター改変体は次の3種類である。
(1)△1−49TR
PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端の1番目から49番目までのアミノ酸を欠失させたレセプター:内在性リガンドであるTRAP部分やトロンビンによって切断されて遊離するペプチド部分を欠失させたレセプター。トロンビン結合部位すなわちヒルジン様ドメインは有している。△1−49TRのDNA配列およびアミノ酸配列を配列番号1に示す。
(2)△1−80TR
PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端1番目から80番目のアミノ酸を欠失したレセプター:TRAP部分、遊離ペプチド、ヒルジン様ドメインを含まないレセプター。△1−80TRのDNA配列およびアミノ酸配列を配列番号2に示す。
(3)Full TR
天然に存在するPAR1型ヒトトロンビンレセプター:各機能部位を分子内に有する。Full TRのDNA配列およびアミノ酸配列を配列番号3に示す。
【0043】
本発明者らは上記(1)〜(3)の各レセプターを発現させた昆虫細胞を抗原としてマウスに免疫し、得られたマウス抗血清から抗体を調製し、それぞれの抗体のプロファイルを検討した。その結果、△1−49TR発現昆虫細胞を抗原として免疫し得られた抗体にアンタゴニスト的な活性プロファイルが認められた。
【0044】
そこで本発明者らは、△1−49TR発現細胞を抗原として免疫したマウスの脾臓細胞よりファージミドライブラリーを作製し、そのライブラリーから吸脱着すなわちパンニング法によってヒトトロンビンレセプターを特異的に認識して結合するscFvを選別、取得した。
【0045】
本発明者らは、さらに研究を進めた結果、取得したPAR1型ヒトトロンビンレセプターを認識するscFvの中に、次のような特徴を有するものがあることを見出した。すなわち、ヒト細胞表面上のPAR1型トロンビンレセプターに結合し、トロンビンによるトロンビンレセプターを介したカルシウム流入を抑制する活性を有すること、さらにはヒト血小板上のPAR1型トロンビンレセプターに結合して、トロンビンによるトロンビンレセプターを介した血小板凝集を阻害する活性を有すること、さらにはヒト滑膜細胞のトロンビンレセプターに結合して、トロンビンによるトロンビンレセプターを介した滑膜細胞増殖を阻害する活性を有することが明らかになった。
【0046】
さらに本発明者らは、取得した抗体の結合部位のアミノ酸配列を決定した。該エピトープの解析手法としては、PAR1型ヒトトロンビンレセプターの部分合成ペプチドを固相化したELISAおよび各種トロンビンレセプター発現細胞を用いるELISAを行った。また、PAR1型ヒトトロンビンレセプターのすべての細胞外領域を包含するように1つのピン当たり15アミノ酸の長さのペプチドを計94種類ピン上に固相合成したマルチピンELISAを行った。
【0047】
トロンビンレセプターの内在性リガンドであるTRAP部分に対するポリクローナル抗体、あるいはトロンビン結合部位であるヒルジンライクドメインに対するポリクローナル抗体は、それぞれの機能部位に対して複数のエピトープで結合するため、トロンビンレセプターの機能に影響を与える可能性はある。しかしながらどのエピトープをブロックすることがアンタゴニストとして有効かはこれまで明らかではなかった。そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ヒルジン様ドメインに包含されるPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の51番目から55番目のアミノ酸が増殖惹起を含むトロンビンレセプター機能に重要であり、その部分に由来する機能を抑えることが該レセプター阻害剤として有効であることがわかった。
【0048】
このエピトープのアミノ酸配列は、トロンビンレセプターの活性化および機能発現において重要な部位であると考えられる。例えばこの部位に抗体が結合することによってトロンビンとトロンビンレセプターの相互作用が阻害されること、またトロンビンはレセプターに結合するが、TRAPによるレセプターの細胞外ループ部分への相互作用を阻害していることなど種々の可能性が考えられる。
【0049】
また、このヒトPAR1型トロンビンレセプターのアミノ末端側の51番目から55番目の配列の中でも増殖に関与する部位があることが判明した。すなわち本発明者らは同様の部位に結合し、かつ同様のエピトープに対する親和性を示す複数のscFvを取得しているが、トロンビンの細胞の増殖を抑制しうるのはその一部のscFvであった。そのトロンビンによる細胞増殖を抑制しうるscFvは、PAR1型トロンビンレセプターのアミノ末端側から55番目のトリプトファン残基をアラニンに置換するとその配列に対する結合性が消失するのに対し、トロンビンによる細胞増殖を抑制しないscFvにおいては同様な置換を行ったエピトープに対する結合性は維持されていた。すなわち、トロンビンによる細胞増殖を抑制しうるscFvのPAR1型トロンビンレセプターへの結合には該レセプターのアミノ末端から55番目のトリプトファン残基が重要であり、また該レセプターの細胞増殖に対する作用にはこの該レセプターのアミノ末端から55番目のトリプトファン残基の周辺の配列が重要な役割をもつことが示された。
【0050】
本発明者らは、前記のトロンビンレセプターおよび改変体を作製する研究過程で詳細な検討を進めた結果、新しい事実を見出した。それは従来知られているPAR1型ヒトトロンビンレセプターをコードする遺伝子とは2箇所異なる塩基配列があることが判明した点である。本発明者らは、該遺伝子が細胞表面上にPAR1型トロンビンレセプターとしての機能を有する形で発現していることを確認した。つまりトロンビンおよびTRAP(内在性リガンド部分の合成ペプチド:H2N−Ser−Phe−Leu−Leu−Arg−Asn−Pro−COOH)いずれにおいても細胞内シグナル伝達が認められた。また、TRAP部分に対するウサギポリクローナル抗体の結合性がフローサイトメトリーによって認められた。この点からも本発明者らが新たに見出した遺伝子配列は機能しているものであることが明らかになった。
【0051】
既報のPAR1型トロンビンレセプターは、最初に巨核球細胞株Dami細胞のcDNAをアフリカツメガエルの卵母細胞にトランスフェクトし、トロンビン刺激に対する応答性からクローニングされた。これに対し、本発明者らはPAR1型トロンビンレセプターをコードする遺伝子をヒト大動脈と胎盤由来の正常組織のcDNAライブラリーからクローニングした。既報のcDNAの由来がガン細胞の一種であるDami細胞だとすると、遺伝子変異もしくは遺伝子多型による可能性もある。
【0052】
また、上述のことから、本発明者らが見出したPAR1型トロンビンレセプターは、アミノ酸配列が既報のものに比べて2箇所異なったものであることがわかる。したがって本発明の薬剤は、新規なレセプターを認識し、結合するものである。
【0053】
すなわち本発明は下記の発明を包含する。
1)トロンビンによる細胞増殖を抑制しうるポリペプチドまたは化合物。
2)PAR1型ヒトトロンビンレセプターの構造のうち細胞増殖に関与する特定の領域に結合するポリペプチドまたは化合物。
3)ペプチド配列X1−Glu−Pro−X2−Trp−X3に結合する前記ポリペプチドまたは化合物。ここで、X1は任意のアミノ酸またはペプチド配列であり、X2は任意のアミノ酸を、X3は任意のアミノ酸またはペプチド配列を表す。
4)PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の52番目から56番目のアミノ酸配列:X4−Tyr−Glu−Pro−Phe−Trp−X5なる部分に結合するポリペプチドまたは化合物。ここでX4およびX5は、任意のアミノ酸またはペプチド配列を表す。
5)単鎖型Fvあるいはその断片であるPAR1型トロンビンレセプターアンタゴニストたる前記ポリペプチド。
6)抗体あるいはその断片であるPAR1型トロンビンレセプターアンタゴニストたる前記ポリペプチド。
7)トロンビンレセプターを介した細胞増殖に関わるシグナル伝達系を阻害する、PAR1型トロンビンレセプター阻害剤としての前記ポリペプチド。
8)前記ポリペプチドを取得するために用いることが可能な改変型PAR1型トロンビンレセプターの遺伝子またはその断片、ならびにそれを発現する細胞。
9)トロンビンによる細胞増殖を抑制しうる前記ポリペプチドまたは化合物を取得するための方法。
【0054】
【発明の実施の形態】
本発明におけるscFvの作製方法について詳細に説明する。
A.ファージミドライブラリーの作製
△1−49TR発現昆虫細胞をアジ化ナトリウムによって死細胞化し、死菌体(シグマ社製)と混合して生理食塩水に懸濁した。細胞の形態が生細胞と同程度であることを確認し、マウス腹腔に投与した。この免疫を2週間間隔で5回行い、最終免疫の4日後に心臓から採血すると同時に脾臓細胞を摘出した。
【0055】
上記抗原の細胞を調製する際、アジ化ナトリウムを細胞と接触させることによってレセプターの細胞内へのインターナリゼーション(internalization)を防ぐことができる。細胞表面に存在するレセプター蛋白数をインタナーナリゼーションを防いで恒常的に維持することは、免疫感作を十分に行うために必要である。
【0056】
一般的には純化精製された抗原蛋白であれば、免疫の際の必要量は比較的少量でよいと考えられている。例えばモノクローナル抗体の例では、マウス1匹あたり1回投与量として数μg〜数十μgでよい。
【0057】
しかしながら、細胞表面上のレセプターを抗原とする場合では細胞表面上には各種蛋白が存在する。レセプターに対する免疫動物の抗体価を上げるためには、レセプターの数がこれら細胞表面上の夾雑蛋白に比べてある程度多量に必要である。本発明者らはアジ化ナトリウムによってレセプターの細胞内へのインタナライゼーションを防ぎ、該トロンビンレセプター発現昆虫細胞を抗原として動物に免疫することによってレセプターの構造を反映した機能部位を特異的に認識するファージミド抗体を取得した。
【0058】
ファージミド抗体の作成はアマーシャムファルマシア・バイオテク社より市販されている「Recombinant Phage Antibody System」を用いて業者添付のプロトコールにしたがって行った。キットに含まれるpCANTAB5ベクターについては、このベクターのNotI部位に塩基配列ggccgcacatcatcatcaccatcacggを挿入し、クローニングした遺伝子が発現される際にHis6配列およびE−tag配列が付加されるようにデザインした(pCANTAB5−HE)。上記のトロンビンレセプター発現昆虫細胞を免疫したマウスの脾臓よりmRNAを取得し、抗体cDNAを作成した。そのcDNAよりキットに含まれるPCRプライマーを用いて免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の抗原結合部位(それぞれVHおよびVL)の遺伝子を取得した。このVLおよびVH遺伝子断片をキットに含まれるリンカー遺伝子を用いて一本のDNAとして連結させ、さらにVHの5’側を認識し、制限酵素SfiI認識部位を含むプライマーおよびVLの3’側を認識し、制限酵素NotI認識部位を含むプライマーを用いてPCRを行い、このVH−VL連結遺伝子を増幅して取得した。この増幅DNA産物を制限酵素SfiIおよびNotIで処理し、pCANTAB5−HEベクターのSfiI−NotIクローニング部位に挿入し、大腸菌TG1株に導入した。この遺伝子導入大腸菌にヘルパーファージM13K07を添加することで抗体蛋白質を発現し、かつ抗体遺伝子を含有するファージミドライブラリーを作成した。
【0059】
B.パンニング
上記のように作成したファージミドライブラリーは、目的のPAR1型トロンビンレセプターに対するファージミド抗体以外のものを多数含んでいる。たとえば、ここで用いた抗体遺伝子はバキュロウイルス法でトロンビンレセプターを発現させた細胞そのものを免疫しているため、細胞自体の成分やウイルスの構成成分に対するファージミド抗体も多種類存在することが考えられる。したがって、パンニング法による目的のファージミド抗体の濃縮を行った。すなわち、このファージミド抗体を天然型バキュロウイルスAcMNPVを感染させた昆虫細胞と反応させることで目的以外のファージミド抗体を吸着除去を行った後、トロンビンレセプター(△1−49TR)を発現させた昆虫細胞と反応させ、結合したファージミド抗体のみを取得することでトロンビンレセプターと結合するファージミド抗体を濃縮した。この濃縮ファージミドライブラリーを大腸菌HB2151に感染させ、アンピシリン含有寒天培地上で生育させた各コロニーを取得することで可溶型scFvを産生しうる大腸菌クローン(scFv産生大腸菌株)を取得した。
【0060】
C.キャラクタリゼーション
標準的な方法によりscFv産生株の培養およびペリプラズム画分取得を行い、標準的な方法により精製を行った。PAR1型トロンビンレセプターの機能阻害活性を評価するin vitroの方法として、ヒト巨核芽球系細胞を用いたカルシウム流入阻害評価、ヒト血小板を用いた凝集阻害評価、慢性関節リウマチ患者由来の滑膜細胞を用いた増殖阻害評価を実施した。また、上記評価にてトロンビンレセプターの機能阻害活性を認めたscFvおよび該活性を認めなかったscFvについてPAR1型トロンビンレセプター上のエピトープを決定したうえで、さらに詳細な認識ペプチド配列の解析を行った。
【0061】
以下に、標準的なscFvの産生、ペリプラズム画分取得、および精製について述べる。
scFv産生大腸菌株を2×YT培地にて終夜培養を行い、終夜培養液と本培養液を1:10の割合で混合した。30℃、160回転/分で1時間培養後、IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を最終濃度で1mM加えて6時間培養し、scFv産生を誘導した。本発明者らの用いたscFv産生システムではscFvは大腸菌のペリプラズム画分に産生、集積することが知られている。このため、培養液を遠心操作し、菌体沈殿物を10倍濃度のHEPES緩衝液に懸濁したのち、再度遠心操作により得た沈殿物を超純水に懸濁し、浸透圧ストレスを加え、再度遠心して上清を回収してペリプラズム画分を得た。
【0062】
本発明者らの調製したscFvは、そのアミノ酸配列内にポリHis領域を有しており、この領域の金属イオン結合性を利用したNi−NTAカラムによるアフィニティーカラムクロマトによる精製が可能である。取得したペリプラズム画分をNi−NTAアガロースカラムにロードし、数回洗浄の後にイミダゾールを含むHepes−tyrode緩衝液により溶出した。さらに、溶出物を限外濾過膜を用いて濃縮してからHepes−tyrode緩衝液に対して透析を行い、精製scFvを取得した。
【0063】
次に、上記工程A、Bで取得した各scFv産生大腸菌株の産生するscFvのトロンビンレセプター結合性について解析した。トロンビンレセプター発現昆虫細胞に精製scFvを反応させ、未反応のscFvを洗浄除去した。次にscFvのC末端に反応するホースラディシュパーオキシダーゼ(HRP)標識抗E−Tag抗体を結合させ、HRPの発色基質である2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩(ABTS)による発色法で結合性を解析した。また、野生型バキュロウイルスAcMNPVを感染させた細胞においても同様に結合性を解析し、トロンビンレセプター発現昆虫細胞に結合してAcMNPV感染昆虫細胞には結合しないscFv産生大腸菌株を選択した。この選択した大腸菌株の産生するscFvについてトロンビンレセプターの機能阻害活性を評価した。
【0064】
以下にトロンビンレセプターの機能阻害活性を評価する方法について述べる。ヒト巨核芽球系の株化細胞にはトロンビンレセプターの発現が認められており、またトロンビンにより細胞内カルシウム濃度が上昇することが知られている。そこで、トロンビンにより惹起された細胞内カルシウム濃度上昇を測定し、上記方法により取得したscFvに機能阻害活性があるかどうか調べた。すなわち、ヒト巨核芽球系の株化細胞に蛍光色素(Fura2−AM)を取り込ませ、室温で30分間scFvとインキュベートした後にヒトトロンビンを添加し、添加30秒後の細胞内カルシウム流入量を測定し、scFvのカルシウム流入阻害活性を調べた。その結果、トロンビンによる細胞内カルシウム濃度上昇を抑制する複数種類のscFvクローンを取得した。
【0065】
上述のように、血小板上にはトロンビンレセプターが発現し、トロンビンにより凝集が惹起されることが知られている。そこで、トロンビンで惹起した血小板凝集に対するscFvの効果について検討した。健常人ヒト血液から血小板を精製し、洗浄血小板浮遊液を調製した。得られた血小板浮遊液に上記方法にて取得したscFvを添加し、室温で20分間静置した。さらに37℃で2分間で安定化し、CaCl2(最終濃度1.5mM)を添加した。次にヒトトロンビン(最終濃度0.1〜0.2u/ml)を添加して血小板凝集を惹起し、その濁度の変化からscFvによる血小板凝集阻害を評価した。その結果、血小板凝集を抑制する数種類のscFvクローンを取得した。
【0066】
また、本発明者らにより慢性関節リウマチ患者由来滑膜細胞はLPS(リポポリサッカライド)感受性を有し、LPSにより増殖が惹起されることが判明したため、ゲルろ過法およびカニ外殻キトサン多孔性粒子を用いたアフィニティー吸着除去法を併用し、上記のように精製、取得したscFvサンプルに含まれる大腸菌由来のエンドトキシンを除去した。
【0067】
上述のように、滑膜細胞にはトロンビンレセプターが発現しており、トロンビン刺激により細胞増殖が惹起されることが知られている。そこで、トロンビンにより惹起した滑膜細胞増殖能に対して上記方法によりエンドトキシンを除去したscFvに阻害活性があるかどうか調べた。すなわち、慢性関節リウマチ患者由来の滑膜細胞を血清飢餓状態にしてから37℃で30分間scFvとインキュベートした後、ヒトトロンビンで増殖を惹起した。そしてトロンビン添加24時間から48時間までの間のチミジンアナログ(BrdU)取り込みを測定することによってDNA合成能を測定し、scFvの細胞増殖阻害活性を調べた。その結果、滑膜細胞増殖を抑制する数種類のscFvクローンを取得した。
【0068】
上記の滑膜細胞増殖を阻害するscFvクローンのエピトープを決定するためにエピトープマッピング解析を行った。すなわち、1ペプチド当たり15アミノ酸の長さで、ヒトトロンビンレセプターのすべての細胞外領域を包含するように、94種類のペプチドをピン上に固相合成し、上記方法で取得した滑膜細胞増殖を阻害するscFvの結合性を調べた。その結果、PAR1型ヒトトロンビンレセプターのヒルジン様ドメインに包含されるアミノ末端側の51番目から55番目のアミノ酸が滑膜細胞増殖阻害scFvのエピトープであることがわかった。同様に滑膜細胞増殖を示さなかったscFvについても同様の解析を行ったところ、その中にPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の50番目から55番目のアミノ酸を認識するscFvクローンが見出された。
【0069】
さらにこのPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側から51番目から55番目のアミノ酸を認識して滑膜増殖を抑制するscFvクローン、およびPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側から50番目から55番目のアミノ酸を認識して滑膜増殖を抑制しないscFvクローンについて、そのエピトープを含むPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端から47番目から67番目のアミノ酸に相当する合成ペプチドを作成し、キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)にコンジュゲート化した。これを表面プラズモン共鳴測定装置のセンサーチップ上に固定化し、それぞれの該ペプチドに対するアフィニティを計測した。滑膜細胞増殖抑制活性を有するscFvクローンと増殖抑制活性を有しないscFvクローンの間でアフィニティの差は認められなかった。
【0070】
また、以下にPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側から51番目から55番目のアミノ酸を認識して滑膜増殖を抑制するscFvクローン、およびPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側から50番目から55番目のアミノ酸を認識して滑膜増殖を抑制しないscFvクローンについて、エピトープのアミノ酸配列の一部を置換したペプチドに対する結合性を解析した。前記PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端から47番目から67番目のアミノ酸に相当する合成ペプチドをKLHにコンジュゲート化したものを表面プラズモン共鳴測定装置のセンサーチップに固定化し、この滑膜細胞増殖抑制活性を有するscFvクローンとPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端から55番目のトリプトファンをアラニンに置き換えた47番目から67番目のアミノ酸に相当するペプチドとを混合して解析を行ったところ、センサーチップに固定化したペプチドへの結合は阻害されなかった。しかしながら滑膜細胞増殖抑制活性をもたないscFvクローンについて同様の解析を行ったところ、センサーチップに固定化されたペプチドへの結合は強く阻害された。このことはエピトープペプチドの55番トリプトファンをアラニンに置換したことにより滑膜細胞増殖抑制活性を有するクローンのエピトープへの結合が失われたことを示しており、ひいてはこのPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端から55番目のトリプトファン周辺がトロンビンの細胞増殖活性に関与していることを示している。
【0071】
本発明の一態様である前記scFvあるいはその断片を有効成分として含有する薬剤(ポリペプチドまたは低分子化合物)は、炎症性の細胞、増殖した組織あるいは血小板を主体とする血栓に接触させることにより、トロンビンレセプターを介したシグナル伝達を抑制し、細胞増殖阻害やTNF−α、IL−6、IL−1βなどの炎症性メディエーターの産生や放出を抑制し、あるいは血小板凝集を阻害することにより血栓形成進展を阻害するので、各種炎症性疾患、細胞増殖性疾患、血栓性疾患の治療薬として利用できる。
【0072】
例えば本発明のトロンビンレセプター阻害剤は、静脈用注射用製剤として使用することができる。その場合、上記scFvあるいはその断片は広い範囲の含有割合でよく、投与量は種々の条件によって変動する。またこれらは通常静脈注射用として使用されている水性媒体中に溶解ないしは分散して使用することができる。また、注射剤以外にも外用剤または座薬として用いられる。非経口投与のための注射剤としては無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤が含まれる。非経口投与のためのその他の組成物としてはひとつ、またはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏、塗布剤のような外用剤、直腸内投与のための座薬およびペッサリー等が含まれる。
【0073】
【実施例】
実施例1:各種組換えTR発現細胞の調製
[ヒトトロンビンレセプターcDNAの取得]
ヒト大動脈由来mRNA(Clontechより購入)1μgからcDNA合成キットSynthesis Kit(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてcDNAを合成した。このcDNAの1/100量を用いてプライマーTR1[配列番号4]およびTR4[配列番号5]によりトロンビンレセプターのcDNA部分をPCR増幅した。そのPCR反応液をアガロースゲル電気泳動した結果、約1.3kb付近にトロンビンレセプターのcDNAフラグメントと推定されるバンドが認められた。このDNAフラグメントをDNA精製キット(QIAGEN社製QIAEXII使用)を用いてゲルから抽出、精製した。精製したDNAフラグメントをTAクローニングキット(Invitrogen社製)を用いて、pCRII pCR2.1(TM)ベクターに挿入し、数クローンについてプラスミド精製(QIAGEN社製プラスミド抽出キット使用)を行った。これらの精製したプラスミドを用いて日立DNA蛍光自動シーケンサーによりDNA配列を決定した。塩基配列決定に用いたプライマー6種を[配列番号6−11]で示す。その結果、このDNAフラグメントがトロンビンレセプターをコードしていることが明らかになった。決定したヒト大動脈由来のトロンビンレセプターの全塩基配列を[配列番号3]に示す。同様に、本発明者らはヒト胎盤由来のcDNA配列も決定したが、ヒト大動脈由来のものと一致した。この得られたヒト大動脈由来およびヒト胎盤由来のトロンビンレセプターcDNA配列と、DNA Data Base Japan(DDBJ)に登録されているトロンビンレセプターのcDNA配列(accession No. M62424)との比較を行ったところ、トロンビンレセプターの蛋白質をコードしている部分の5’末端より711番目の塩基がCがGに、712番目の塩基がGからCに、1091番目の塩基がCからGに、1092番目の塩基がGからCにデータベースでの表示から置き換わった形のcDNAとなっていることがわかった。また、ヒト胎盤由来のゲノムDNA中のトロンビンレセプター遺伝子についてもこの部位の塩基配列を解析したところ、本発明者らが取得した配列と同様の配列であることが確認された。このヒトトロンビンレセプターcDNAを挿入したpCRIIプラスミドをpCR−TR14と命名した。
【0074】
[トロンビンレセプターcDNA含有トランスファーベクターの作製]
上記pCR−TR14を制限酵素EcoRIおよびBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳動を行った。そしてトロンビンレセプターcDNAを含む約1.3kbフラグメントをDNA精製キット(QIAGEN社製QIAEXII使用)を用いてゲルから抽出、精製した。一方、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Invitrogen)[Technique, Vol. 2, No. 4, pp.173-188, 1990]を制限酵素EcoRIおよびBamHIで切断し、上記DNAフラグメントとライゲーション反応を行った。この反応液で大腸菌JM109株を形質転換し、いくつかの形質転換体のコロニーからプラスミドを抽出して約1.3kbフラグメントが挿入されたプラスミドを得た。これをpAc−TR14と命名した。このトロンビンレセプターcDNA含有トランスファーベクターを精製(QIAGEN社製プラスミド抽出キット使用)してトロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスの作製に用いた。
【0075】
[トロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスの作製]
組換えバキュロウイルスの作製にはファーミジェン社製のBaculoGold(TM)キットを用いた。Sf9昆虫細胞1×106 細胞を30mmディッシュに播種し、30分間室温にて接着させた。一方、0.25μgのBaculoGold(TM)DNAと2μgのpAc−TR14プラスミドDNAを混ぜ、室温に5分間静置し、その後0.5mlトランスフェクション緩衝液B(25mM HEPES pH7.1、125mM CaCl2、140mM NaCl)を加えてよく混ぜた。次に播種したSf9細胞の培地を抜き取り、0.5mlのトランスフェクション緩衝液A(グレース培地、10%牛血清含有)を加えた。ここに、トランスフェクション緩衝液BとDNAの溶液を少しずつ滴下していくことによりコトランスフェクションを行った。27℃でインキュベーションして4時間後に新しいグレース培地(10%牛血清含有)に取り換えた。5日後、組換えウイルスを含む培養上清を回収し、10倍、100倍、1000倍希釈液を作成し、Sf9細胞(1×106 細胞/dish)に室温で1時間感染させた。上清を抜き取り、1%SeaPlaqueアガロース含有グレース培地(42℃)を2ml滴下して加え、アガロースが固まるまで10分間程度室温に放置した。その後、27℃で3日間培養を行った。3日目にニュートラルレッド/PBS(1g/l)を1ml/dish加えた。4日目にウイルスプラークを観察したところ、100培希釈液を感染したディッシュに6個のプラークを確認した。数個のシングルウイルスプラークをアガロースごとパスツールピペットで抜き取り、グレース培地と混ぜて、ウイルスを培地中に拡散させた。このシングルプラーク由来のウイルス液を単層培養したSf9細胞(25cm2フラスコ培養)に感染させた。これを27℃で4−5日間培養してウイルス液を回収した。このウイルス液を1mlとって1.5mlエッペンドルフチューブに入れ、4℃、15000回転/分で30分間遠心し、ウイルス粒子を沈殿させた。沈殿物を200μlのTE(10mM Tris、0.1mM EDTA)緩衝液に懸濁し、50μlのLysis緩衝液(10%SDS、1mM EDTA)を加え、60℃で20分間インキュベートした。フェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により反応液中のウイルスDNAを回収した。回収したウイルスDNAの1/5を使用し、プライマーBacF[配列番号12]およびTR−S2[配列番号7]によってPCR増幅を行い、DNA中にトロンビンレセプターcDNAが含有されていることを確認した。このトロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスをAcTRFと命名した。ウイルス液は適宜希釈してプラークアッセイを行い、タイターをチェックした。さらに、ウイルス液をMOI(Multiplicity of Infection)=0.25でSf9細胞に感染させることで1〜5×107程度の高濃度のウイルス液を得た。ウイルス液は4℃および−80℃で凍結保存した。
【0076】
[改変型トロンビンレセプターcDNAの構築]
トロンビンレセプターの構造の内在性リガンドペプチド部分(TRAP)を欠損させ、トロンビン結合部位は保持させた形の改変トロンビンレセプター△1−49TR、および内在性リガンドペプチド部位およびトロンビン結合部位の両方を欠損させた形の改変トロンビンレセプター△1−80TRのcDNAを構築し、バキュロウイル−昆虫細胞系での発現を行った。△1−49TRcDNAは完全長トロンビンレセプターcDNA(pCR−TR14)の遺伝子配列のうち、塩基番号79〜147の部位を、△1−80TRcDNAは完全長トロンビンレセプターの塩基番号79〜240の部位を遺伝子工学的に欠損させて構築した。これらの遺伝子は、細胞でトロンビンレセプターが発現したときに除去されるシグナルペプチド部位(アミノ酸残基番号1〜26)に、さらに、△1−49TRでは完全長トロンビンレセプターにおいてシグナルが除去されたときにアミノ末端となる部位から33アミノ酸残基を、△1−80TRでは64アミノ酸残基を欠損させた形のアミノ酸配列を付加した形のトロンビンレセプターとなるように設計されている。△1−49TRと△1−80のcDNAの塩基配列、ならびにそれらによってコードされているアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1と配列番号2に記載する。
【0077】
[△1−49TRcDNAの構築]
完全長トロンビンレセプターcDNA(pCR−TR14)よりその塩基番号79〜147の部位を欠損させて△1−49cDNAを作成する手順を以下に示す。
▲1▼pCR−TR14より△1−49cDNAの塩基配列1−185に相当する部位を含む遺伝子断片である△1−49−5’(190bp)断片を作成した。
▲1▼−1
pCR−TR14のpCRIIベクター(INVITROGEN社)の部位に相同なプライマー M13REV22プライマー[配列番号10]、および完全長トロンビンレセプターcDNAの塩基番号59〜78に相当する部位と塩基番号148〜157に相当する部位に相補的なプライマーであるTR△27−49Rプライマー[配列番号13]を用いてPCR反応を実施した。反応液組成はpCR−TR14DNA 200ng/ml、M13REV22プライマー 300nM、TR△29−49プライマー 300nM、DNA polymerization mix{20mM dNTPs mix}(Amersham Pharmacia−Biotech社)10μl/ml、×10 ExpandTM High−Fidelity PCR system緩衝液(Boehringer Mannhaim社)100μl/ml、3.5U/ml ExpandTM High−Fidelity PCR system enzymemix(Boehringer Mannhaim社)10μl/mlのものを用い、50μlの反応スケールで行った。反応条件はGeneAmp systemR PCR system 9600(Perkin Elmer社)で94℃2分間反応した後、94℃15秒間→59℃30秒間→72℃1分間のサイクルを10サイクル行い、その後に72℃7分間反応させる温度サイクルであった。反応後のサンプルは4% NUSIEVER GTGR AGAROSE(FMC Bio Products社)−TAE(40mM Tris−acetate pH7.6、1mM EDTA)緩衝液ゲルを用い、100Vで1時間電気泳動し、224bpのDNA鎖長に相当する部分のゲルを切り出した。切り出したゲルはHot−Phenol法でDNAを抽出、精製して約200ngのDNAを得た。
【0078】
▲1▼−2
完全長トロンビンレセプターcDNAの塩基番号148〜367に相当する部分の遺伝子断片を取得するため、完全長トロンビンレセプターcDNAの塩基番号69〜78に相当する部位と塩基番号148〜169に相当する部位よりなるTR△27−49Fプライマー[配列番号14]と、完全長トロンビンレセプターcDNAの塩基番号350〜367に相補的な配列よりなるTRS1プライマー[配列番号6]を用いたPCRを行った。反応液組成は▲1▼−1に示した反応組成中のM13REV22プライマーおよびTR△27−49RプライマーをTR△27−49FプライマーとTRS1プライマーに置き換えた他は同様に実施した。反応条件も▲1▼−1と同様に行った。得られたPCR反応物は4% NUSUEVETM GTGTM AGAROSE−TAE緩衝液ゲルを用い、100Vで1時間電気泳動を行った。220bpのDNA鎖長に相当する部位のゲルを切り出し、Hot−Phenol法でDNAの抽出、精製を行った。得られたDNA断片は約240ngである。
【0079】
▲1▼−3
TR△27−49RプライマーとTR△27−49Fプライマーの間には20bpの相補的な部分が生じるようにデザインされているため、▲1▼−1で得られた224bpのDNA断片と▲1▼−2で得られた220bpのDNA断片をassembly PCR法での連結を行った。まず、▲1▼−2で得られた220bpのDNA断片80ngと▲1▼−2で得られた220bpのDNA断片96ngを混合した。反応液組成は DNA plymerization mix 10μl/ml、×10 ExpandTM High−Fidelity PCR system緩衝液100μl/ml、3.5U/ml ExpandTM High−Fidelity PCR system enzyme mix 7.5μl/mlであり、40μlの反応スケールで実施した。反応は、GeneAmpRPCR systemで94℃2分間反応後、94℃15秒間→59℃30秒間→72℃1分30秒間のサイクルを5サイクル行い、その後72℃で7分間反応を行う温度サイクルプログラムで行った。次にその反応によって得られた反応産物40μlに、M13REV22プライマー 150ng/ml、TRS1プライマー 150ng/ml、DNA polymerization mix10μl/ml、×10 ExpandTM High−Fidelity PCR system緩衝液100μl/ml、3.5U ExpandTM High−Fidelity PCR system enzyme mix 6μl/mlになるように各試薬を加え、蒸留水で全量400μlになるように調整し、50μlづつ5本の反応チューブに分注してPCR反応を行った。反応はGeneAmp PCR system 9600で94℃2分間反応させた後、94℃15秒間→59℃30秒間→72℃1分30秒間のサイクルを10サイクル行い、その後94℃15秒間→59℃30秒間→72℃1分30秒間+各サイクルごとに20秒間延長のサイクルを10サイクル行い、最後に72℃7分間で反応させる温度サイクルプログラムで行った。得られたPCR反応物からエタノール沈殿法でDNAを回収した後、CHROMASPIN−100 DEPC−H2Oカラム(CLONTECH社)で精製した。これを制限酵素BamHI(宝酒造社)30U、続いて制限酵素BsmI(New England BioLabs社)30Uで切断した。制限酵素処理を行った産物を4% NUSIEVETM GTGTM AGAROSE−TAE緩衝液ゲルを用い、50Vで1時間電気泳動を行った。その190bpのDNA鎖長に相当する部位のゲルを切り出してHot−Phenol法でDNAの抽出、精製を行った。その結果、△1−49−5’(190bp)DNA断片に相当するDNA約400ngを得た。
【0080】
▲2▼完全長トロンビンレセプターcDNAの塩基番号255〜1278と△1−49TRcDNAの塩基番号186〜1209は配列が同一であるため、pCR−TR14に含まれる完全長トロンビンレセプターcDNA部分のうちの塩基番号1〜244の部分を切り出して、その部分を△1−49TRcDNAの塩基番号1〜185を含むDNA断片である△1−49−5’(190bp)とおきかえることで△1−49cDNAの塩基番号1〜1209の部分を構築した。
【0081】
▲2▼−1
pCR−TR14DNA 2.3μgを制限酵素BamHI 30U、続いて制限酵素BsmI 30Uで切断し、それを0.75% SEAPLAQUETMGTGTM AGAROSE(FMC Bio Products)−TAE緩衝液ゲルにのせて50Vで1時間電気泳動を行った。その4.1kbpに相当するDNA断片を含むゲルを切り出し、そこからHot−Phenol法で抽出、精製して約640ngのDNA断片を得た。
【0082】
▲2▼−2
▲1▼で得られた△1−49−5’(190bp)断片80ngと、▲2▼−1で得られたpCR−TR14 4.1kbp断片 64ngとを、UNI−Amp kit(CLONTECH社)のligation試薬(T4 ligase 37.5U/ml)を用い、20μlスケールで4℃20時間反応させて結合させた。得られた結合DNAは大腸菌 DH−10B株(GIBCO BRL社)に、BRL Cell PoratorR E. coli pulserR(GIBCO BRL社)を用いて遺伝子導入した。遺伝子を導入した大腸菌をアンピシリン100μg/mlを含むLB寒天培地に播き込み、37℃で一晩培養して可視的に見られるコロニーを組換え体クローンとした。それらについて△1−49TRcDNAの塩基番号1−20に相当するプライマーTR1プライマーとTRS1プライマーを用いてPCRを行い、電気泳動的に300bpの増幅産物がみられる△1−49cTRDNAを含むベクターが導入されたクローンの有無を解析したところ、組換え体クローン84クローン中17クローンに目的のDNAが導入されていることが確認された。このうちの1クローンpCR−△1−49TR clone e−01についてDNA塩基配列解析を行った。詳細にはpCRIIR ベクター部位に対するシークェンスプライマー M13REV22プライマー[配列番号10]、およびM13FOR24プライマー[配列番号11]、△1−49TRcDNAのシークェンスプライマーTR1、TRS1、TRS2[配列番号4、6、および7]、TRS3[配列番号8]、TRS4[配列番号9]ならびに、ABI PRISMTM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction kit with AmpliTaqR DNA polymerase FS (Perkin Elmer社)を用い、業者添付のプロトコールに従った。解析装置としてはABI 373A DNA Sequencer(Applied Biosystems現Perkin Elmer社)を用いた。その結果、pCR−△1−49TR clone e−1の△1−49TRcDNAに相当する部分のDNA塩基配列は、配列番号1に示したDNA塩基配列と完全に一致したことから、目的の△1−49TRcDNAが正しく構築されていることが確認された。このpCR−△1−49TR clone e−01を含有する大腸菌を、アンピシリン100μg/mlを含むCIRCLEGROWR培地で37℃で一晩培養し、その含有するプラスミドをQIAGENR PLASMID MIDIKIT(QIAGEN社)で抽出、精製し、34μgのpCR−△1−49TR clone e−01プラスミドを得た。
【0083】
[△1−49TRcDNA含有トランスファーベクターの作成]
△1−49TRcDNAを含有するバキュロウイルストランスファーベクターの作成は、完全長トロンビンレセプターcDNAのトランスファーベクターpAC−TR14作成と同様の方法で行った。方法を簡単に示すと、pCR−△1−49TR clone e−01の△1−49TRcDNA部分1.2kbpを制限酵素BamHIとEcoRIで切り出し、そのDNA断片を制限酵素BamHIおよびEcoRIで処理したpVL1393ベクター中へサブクローニングした。得られた組換え体クローン84クローンについてBacFプライマーとTRS2プライマーを用いてのPCR解析を行い、24クローンに△1−49TRcDNAがクローニングされていることを確認した。このうちの1クローン、pAc−△1−49TR clone e01E01プラスミドを含有する大腸菌を培養し、精製することで約390μgのプラスミドを得た。
【0084】
[△1−49TR改変トロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスの作成]
△1−49TRcDNAを含有する組換えバキュロウイルスの作成は、pAc−△1−49TR clone e01E01組換えトランスファーベクター2μgを用い、完全長トロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスpAC−TRF作成と同様に行った。組換えウイルスクローンのうちBacFおよびTR−S2プライマーでのPCRにより、△1−49TRcDNAが組み込まれていることが確認されたクローンpAC−△1−49TR−3を△1−49TR改変TR発現用組換えバキュロウイルスとした。これをSf9昆虫細胞にMOI=0.25で感染させることで、3×107pfu/mlの高濃度ウイルス液を取得した。
【0085】
[組換えバキュロウイルスによるトロンビンレセプターの昆虫細胞における発現]
上記のようにして得られたトロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスAcTRFを、150cm2フラスコに播種した1.8×107のSf9細胞にMOI=0.6−1.0で感染させ、40−48時間、27℃で静置培養した。培養後、感染細胞を回収し、ウエスタンブロッティングおよびカルシウム流入実験によってトロンビンレセプターの発現および機能を有することの確認を行った。
【0086】
[ウエスタンブロッティング]
回収した感染細胞(150cm2フラスコ2本分、約6×107)をPBSで2回洗浄した。これ以後の実験はすべて4℃の条件で行った。次に、5mlのホモジェナイズ用緩衝液(20mM TrisHCl(pH8.5)、5mM EDTA、COMPLETE(TM)(ベーリンガー社製)含有)に懸濁し、テフロンホモジェナイザーを用いて、2500回転/分で30strokeホモジェナイズを行った。このホモジェネートを15mlの遠心管にいれて2500回転/分(約1000g)で10分間遠心し、上清を回収した。回収した上清を50000回転/分(約100000g)で1時間、超遠心を行い、粗膜画分を沈殿させた。沈殿物を1mlのホモジェナイズ用緩衝液に懸濁し、50μlずつ分注して−80℃で凍結保存した。Nano Orange(TM)(ベーリンガー社製)を用いて定量した結果、タンパク濃度は14mg/mlであった。このようにして得られた粗膜画分につき、25μg−50μg/laneで、10%ゲルを用いたSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、これをニトロセルロース膜に転写した。この膜を3%ゼラチン/TBSで室温で1時間ブロッキングし、TBS−0.05%Tweenで3回、TBSで1回洗浄した。その後、トロンビンレセプターの内在性リガンド領域であるTRAPをウサギに免疫して得られた抗TRAPウサギポリクローナル抗体10−20μg/mlを含む1%ゼラチン/TBS溶液中、室温で終夜反応させた。翌日、TBS−0.05%Tweenで3回、TBSで1回洗浄し、抗ウサギIgGヤギポリクローナルHRP標識抗体(約1μg/ml、1%ゼラチン/TBS溶液)を室温1時間反応させた。次にTBS−0.05%Tweenで3回、TBSで2回洗浄し、コニカイムノステインHRPで10分間、室温にて発色させてバンドを検出した。その結果、トロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞に特異的に、約45kDおよび約85kD付近のバンドが観察され、トロンビンレセプターが昆虫細胞膜上に発現していることが確認された。
【0087】
[カルシウム流入実験]
回収した感染細胞(約3×107)をHEPES−Tyrode緩衝液(−Ca)で1回洗浄した後、10mlのHEPES−Tyrode緩衝液(1μg/ml Fura2−AM含有)に懸濁してFura2−AMを27℃で30分間負荷した。室温で800回転/分で5分間遠心して細胞を回収し、HEPES−Tyrode緩衝液(−Ca)で2回洗浄した後、2mlのHEPES−Tyrode緩衝液(−Ca)に再懸濁した。この細胞懸濁液に2μlの1M CaCl2を最終濃度1mMになるように加え、遮光して室温で5分間インキュベートした。このように調製したFura2−AM負荷感染細胞を490μlとってキュベットに入れ、細胞内カルシウム測定装置(日本分光CAF−100型)で測定した。[励起光340nmによる500nmの蛍光強度]/[励起光380nmによる500nmの蛍光強度](細胞内カルシウム濃度を反映)が0.02ぐらいに安定したらキュベットに10μlの10unit/mlトロンビンもしくは1.25mM TRAPを添加して刺激を与え、細胞内カルシウム濃度を経時的に測定した。カルシウムの流入は[励起光340nmによる500nmの蛍光強度]/[励起光380nmによる500nmの蛍光強度]の値が上昇することで検出される。その結果、トロンビンレセプター発現用組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞に特異的にカルシウム流入が観察された(表1参照)。この結果から、機能を有するトロンビンレセプターが昆虫細胞に発現していることが証明された。
【0088】
【表1】
【0089】
表中の値は
[励起光340nmによる500nmの蛍光強度]/[励起光380nmによる500nmの蛍光強度]の変化量を表す(高い値ほど強い反応を表す)。4回の測定の平均値±SD。
【0090】
実施例2:マウスの免疫および脾臓細胞からのファージミドライブラリーの作製ファージミドライブラリーの作製はリコンビナント・ファージアンチボディー・システム(ファルマシア社製)の方法に準じた。
抗体遺伝子取得のための免疫は以下のように行った。Sf9昆虫細胞2×107 細胞を細胞培養フラスコに播種して30分間静置の後、前述のpc△1−49TR−3ウイルスをMOI=2で感染させ、27℃で40時間培養した。この感染細胞を回収してPBS(0.9%NaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液)で2回洗浄後、0.2Mアジ化ナトリウムを含むPBS40mlに懸濁した。この細胞懸濁液を室温で30分間放置したのち50μLを分取して等量の0.2%トレパンブルー染色液と混合し、光学顕微鏡で細胞を観察したところ、すべての細胞が青く染まったことから、回収した感染細胞が100%死細胞となったと判断した。この死細胞化した感染昆虫細胞をPBSで2回洗浄した後、約3mlのPBSに懸濁した。得られた死細胞化感染昆虫細胞は約6×107細胞であった。この細胞3mlに不活化百日咳死菌(シグマ社)を30μL添加した後、BALB/c系マウスに各1mlずつ腹腔内投与した。その後2週間おきに4回、同様の方法で免疫を行った後、最後の免疫実施から4日後にマウスを屠殺して脾臓の摘出を行った。
【0091】
△1−49TR発現昆虫細胞を免疫したマウスから脾臓を摘出し、mRNAを抽出した。これを鋳型としてHong Zhouらの報告(Nucleic Acid Reserch, 1994, vol. 22, No.5, 888-889)のPCRプライマーを使用して抗体のH鎖、L鎖の遺伝子をそれぞれ別々に増幅した。得られたDNAをリンカーを用いて連結し、アガロースゲル電気泳動により約750bpのDNA断片を分離、回収した。このDNAを制限酵素NotIとSfiIで消化し、再びアガロースゲル電気泳動により、約750bpのDNA断片を分離、回収した。こうして得られたDNAフラグメントを抗D1−49TR発現昆虫細胞scFv/NotI−SfiIと名付けた。
【0092】
アマーシャムファルマシアバイオテク社のpCANTAB5ベクターを制限酵素NotIとSfiIで消化し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離、回収した。このDNA断片にヒスチジンTagアダプター(配列番号15)をTAKARAのLigation kit VerII(TM)でライゲーションし、大腸菌DH10B株に導入した。この遺伝子ベクター導入大腸菌を100μg/mLのアンピシリンを含むLB−アガロース固形培地に播種し、クローンを取得した。そのうちの20クローンについてプラスミドDNAをQIAGEN社プラスミド抽出キットによって取得し、E−tagプライマーとPE applied Biosytems社ABI PRISM(TM) Dye terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kitおよび同社ABI Model373A DNAシークェンサーを用いて塩基配列を解析することで、ヒスチジンTagアダプターが正しい方向にクローニングされたベクターを選択し、これをpCANTAB6HEベクターと名づけた。さらにこのpCANTAB6HEベクターを制限酵素NotIおよびSfiIで切断したベクターをpCANTAB6HE/NotI−SfiIと名づけた。
【0093】
抗D1−49TR発現昆虫細胞scFv/NotI−SfiIとpCANTAB6HE/NotI−SfiIをライゲーションキット(TAKARA社製)を用いてライゲーション反応を行った。このライゲーション溶液とコンピテントセルTG1−trを用いて形質転換を行った。
【0094】
アンピシリン(最終濃度100μg/ml)を含む2×YT(トリプトン 16g、イーストエクストラクト10g、NaCl 5g/L)寒天プレートに形質転換した液をまき、37℃で一晩インキュベートした。プレート上に生じたコロニーをかきとって2×YT培地に懸濁し、これをファージミドライブラリーとした(ライブラリーのサイズは約1.3×108pfu)。作製したファージミドライブラリーはグリセロールを最終25%程度になるように加えてマイナス80℃に保存した。
【0095】
実施例3:△1−49TR発現昆虫細胞を用いるパンニング
実施例2で得られたファージミドライブラリー100μlをアンピシリン(最終濃度100μg/ml)、グルコース(2%)を含む2×YT培地50mlに加え、600nmのODが0.6になるまで37℃で培養した。ヘルパーファージM13KO7(5×1010pfu/ml)を55μl加え、1時間感染させた。
【0096】
遠心により菌体を回収し、アンピシリン(最終濃度100μg/ml)、カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を含む2×YT培地に懸濁し、37℃で一晩振とう培養した。培養液を遠心後、上清を回収し、5分の1量の20%ポリエチレングリコール、2.5M NaCl溶液を加えてファージを沈殿回収した。回収したファージは滅菌水に懸濁した。
【0097】
次に2%スキムミルクを含む溶液中でファージとAcMNPV感染昆虫細胞を混合し、室温で30分間反応させた。遠心により細胞に結合したファージを除き、上澄みを再度AcMNPV感染昆虫細胞と混合した。この操作を10回繰り返すことによりAcMNPV感染昆虫細胞に結合するファージを除去した。
【0098】
続いてそのファージ溶液と△1−49TR発現昆虫細胞を混合し、室温で1時間反応させた。遠心により結合しなかったファージ(上澄み)を除き、さらに5回の洗い操作によって非特異的な結合を排除した。その後0.1M HClで細胞からファージをはがして回収し、等量の1M Tris−HClで中和した。こうして回収したファージを大腸菌TG1−trに1時間感染させ、アンピシリン(最終濃度100μg/ml)を含む2×YT寒天プレート上で一晩培養することによりコロニーを作製し、回収したものを△1−49TR発現昆虫細胞1回パンニングファージミドライブラリーとした。
【0099】
ここまでのファージ調製、細胞に結合するファージの回収という操作を4回繰り返すことによって、△1−49TR発現昆虫細胞に結合するファージミドを濃縮した。各パンニングステップにおいて溶出されてきたファージ数は1回目から順に、8×107pfu、1×108pfu、1×109pfu、6×1010pfuである。
【0100】
実施例4:精製scFvの調製
[標準的なscFv産生株培養法およびペリプラズム画分取得方法]
(1)scFv産生大腸菌株を下記前培養液30mlに植菌して30℃、160回転/分で終夜培養を行う。(前培養液組成:2×YT培地、100μg/mlアンピシリン、0.5%グルコース含有)
(2)終夜培養液30mlを本培養液300mlに加える。(本培養液組成:2×YT培地、100μg/mlアンピシリン、0.4Mショ糖含有)
(3)30℃、160回転/分で1時間培養後、最終濃度1mMになるようにIPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を加え、scFvの産生を誘導する。さらに、30℃、160回転/分で6時間培養する。
(4)培養液を500mlの遠心管に移し、4℃、5500回転/分で20分間遠心する。
(5)沈殿物を回収し、1.8mlの10×HEPES緩衝液(1mM APMSF含有、4℃)に懸濁する。
(6)40mlの遠心管に移し、氷上で15分間静置する。(5分おきにボルテックスで攪拌)
(7)4℃、8000回転/分で10分間遠心する。
(8)上清を回収し4℃に保存する。
(9)沈殿物を16.2ml注射用水(1mM APMSF含有、4℃)に懸濁する。
(10)氷上で20分間静置する。(5分おきにボルテックスで攪拌)
(11)4℃、12000回転/分で20分間遠心する。
(12)上清を回収し、(8)で保存してあった上清と合わせて「ペリプラズム画分」とする。
(13)4℃に保存または−20℃で凍結保存する。
【0101】
[標準的なscFv精製方法]
(1)ペリプラズム画分(30ml)の約1/10量の3mlのNi−NTAアガロース(アガロース担体の量として1/20量)を測りとる。
(2)室温で600回転/分で3分間遠心する。
(3)上清を捨て、1.5mlの脱イオン水を加え、攪拌する。
(4)真空ポンプで吸引し、10−20分間脱気を行う。
(5)30mlボリュームのカラムにNi−NTAアガロースを装填する。
(6)1時間室温で静置する。
(7)15ml緩衝液1(HEPES−Tyrode、150mM NaCl、20mM イミダゾール、pH8)でカラムを平衡化する。
(8)30mlのペリプラズム画分を4℃で0.5min/mlの滴下速度で2回アプライする。以下の操作はすべて4℃で行う。
(9)15ml緩衝液2(HEPES−Tyrode、150mM NaCl、10mM イミダゾール、1mM APMSF、pH8)で洗浄する。
(10)1.5ml緩衝液3(HEPES−Tyrode、650mM NaCl、250mM イミダゾール、pH8)で2回scFvを溶出する。
(11)Millicup LGC(ミリポア社製)で濃縮を行う。
(12)1000倍量のHEPES−Tyrode緩衝液で透析を2回行う。
(13)精製されたscFvを回収し、4℃または−20℃で凍結保存する。
【0102】
実施例5:リコンビナントTR発現昆虫細胞結合性の評価
実施例1で作製した△1−49TR発現昆虫細胞で4回パンニングしたファージを大腸菌HB2151に感染させ、37℃で一晩インキュベートし、コロニーを形成させた。
【0103】
こうして得られたファージミドがトランスフォームされた大腸菌HB2151株をアンピシリン(最終濃度100μg/ml)、グルコース(最終濃度0.5%)を含む2×YT培地中、30℃で一晩振とう培養した。培養液を10μlとり、100μlのアンピシリン(最終濃度100μg/ml)を含む培地に懸濁し、30℃で1時間振とう培養した。ここで最終濃度1mMになるようにIPTGを加え、さらに6時間振とう培養を続けた後、遠心によりペレットを回収した。これに10×Hepes−Tyrode緩衝液を加えて菌体を懸濁した後、4℃で15分静置した。最後に蒸留水を加えて1×Hepes−Tyrode緩衝液(10mM HEPES、129mM NaCl、8.9mM NaHCO3、2.8mM KCl、0.8mM KH2PO4、5.6mM D−グルコース、0.8mM MgCl2/L)の状態に戻したものをペリプラズム画分として回収した。これを結合評価用のscFvサンプルとした。
【0104】
△1−49TR発現昆虫細胞に対する結合性の評価は以下のように行った。
まず96ウエルマルチスクリーンプレート(ミリポア社製)を3%ウシ血清アルブミンでコーティングしたところに、△1−49TR発現昆虫細胞とAcMNPV感染昆虫細胞をそれぞれ抗原として加え、調製したscFvを混合し、1時間室温で反応させ、scFvのC末端側に存在するE tag部分を認識するHRP/抗E tag抗体コンジュゲートで検出した。こうして540個のコロニーを評価して△1−49TR発現昆虫細胞に結合し、AcMNPV感染昆虫細胞には結合しないscFvを34個選択した。
【0105】
実施例6:ヒト巨核芽球系細胞を用いるCa流入阻害評価
実施例4において作製したscFvのトロンビン惹起カルシウム流入阻害能を、以下に示す方法によって評価した。すなわち、巨核球細胞系の株化細胞をHEPES−tyrode緩衝液に懸濁し、最終濃度1μMのFura2−AM(和光純薬社製)を37℃で50分間インキュベートしたのち、HEPES−tyrode緩衝液で2回洗浄し、細胞密度が3.33×106cells/mlになるように調製した。次にその細胞懸濁液300μlに実施例4において作製したscFv溶液を200μl混合し、室温で30分間インキュベートしたのち、最終濃度が1mMになるようにCaCl2を添加し、さらに室温で5分間インキュベートした。そこにヒト血漿由来トロンビン(シグマ社製)を最終濃度が0.4U/mlになるように添加し、添加30秒後の細胞内カルシウム流入量をCAF−100(日本分光社製)を用いて測定した。その例として、4種類のクローン(N021、N022、N023、N025)について、scFv溶液のかわりにHEPES−tyrode緩衝液とインキュベートした場合のカルシウム流入量を100としたときの相対値および阻害率を算出した(表2参照)。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例7:血小板凝集阻害評価
健常人より0.38%クエン酸加血として採血し、900回転/分で15分遠心することにより血小板を豊富に含む血漿を取得した。その血漿をセファロース2Bを用いHEPAS−Tyrode緩衝液にて展開することにより血小板を精製し、洗浄血小板浮遊液(>2×108/ml)を調製した。得られた血小板浮遊液210μlにscFv溶液90μlを混合し、20分間静置した。そのうち285μlをキュッベットに分取し、アグリゴメーターPAM8C(メバニクス株式会社)を用いて攪拌しつつ、37℃にて2分間で安定化した。その血小板浮遊液の濁度を測定しつつ、7.5μlのCaCl2 水溶液(最終濃度1.5mM)を添加した。さらに7.5μlのヒトトロンビン(最終濃度0.1〜0.2U/ml)を添加して血小板の凝集を惹起し、その濁度の変化から血小板の凝集度を11分間測定することによってscFvによる血小板凝集阻害を評価した。トロンビンで惹起された最大凝集度を100%としたときのscFvの阻害活性の例を表3に示した。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例8:滑膜細胞増殖阻害評価
実施例4に示したように、Ni−NTAカラムにて精製したscFvについて、さらにエンドトキシンの除去を行った。Ni−NTAカラム溶出物160mlを限外濾過膜を用いて90mlに濃縮したのち、φ0.22μmのフィルターで濾過した後、セファクリルS−100を用いたゲル濾過クロマトグラフィーを行い、scFvが溶出する画分を回収した。それを再度Ni−NTAカラムにロードして60mlの溶出画分を得、それを限外濾過膜を用いて10mlに濃縮した。それを2LのHEPES−tyrode緩衝液に対して2回透析した後、カニ外殻キトサン多孔性粒子を用いたアフィニティーカラムにロードし、フロースルー画分を回収し、φ0.22μmのフィルターで濾過した。各精製工程におけるエンドトキシン量、蛋白質量を表4に示した。
【0110】
【表4】
【0111】
次に、慢性関節リウマチ患者の滑膜組織から外植片法により初代培養したのち数代継代した滑膜細胞を、96穴のマイクロタイタープレートにて1ウェル当たり5×103細胞になるように播き込み、10%のFBSを含むDMEM培地中、37℃、5%CO2の条件下で3日間培養した。上清を除去し、無血清のDMEM培地で洗浄した後に0.1%のFBSを含むDMEM培地を添加し、さらに48時間血清飢餓条件下で培養した。そこにエンドトキシンを除去したscFvを添加し、30分間インキュベートした後、ヒト血漿由来トロンビン(シグマ社製)を最終濃度が10U/mlになるように添加した。添加24時間後にチミジンのアナログであるBrdUを最終濃度1mMになるように添加し、添加48時間後に蛋白固相液により細胞核内に取り込まれたBrdUを固相化し、酵素標識された抗BrdU抗体を用いて検出した。トロンビンで惹起されたBrdU取り込み量を100%としたときのscFvの阻害活性の例を表5に示した。
【0112】
【表5】
【0113】
実施例9:scFvのエピトープの決定
以下に示す94種類の15アミノ酸をC末端が固相側になるように94本のピン上に固相合成した。該ペプチドはすべてPAR1型ヒトトロンビンレセプターの細胞外領域に包含されるペプチドである。
【0114】
ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の1番目から15番目のアミノ酸配列[配列番号16]、同じく2番目から16番目のアミノ酸配列[配列番号17]、同じく3番目から17番目のアミノ酸配列[配列番号18]、同じく4番目から18番目のアミノ酸配列[配列番号19]、同じく5番目から19番目のアミノ酸配列[配列番号20]、同じく6番目から20番目のアミノ酸配列[配列番号21]、同じく7番目から21番目のアミノ酸配列[配列番号22]、同じく8番目から22番目のアミノ酸配列[配列番号23]、同じく9番目から23番目のアミノ酸配列[配列番号24]、同じく10番目から24番目のアミノ酸配列[配列番号25]、同じく11番目から25番目のアミノ酸配列[配列番号26]、同じく12番目から26番目のアミノ酸配列[配列番号27]、同じく13番目から27番目のアミノ酸配列[配列番号28]、同じく14番目から28番目のアミノ酸配列[配列番号29]、同じく15番目から29番目のアミノ酸配列[配列番号30]、同じく16番目から30番目のアミノ酸配列[配列番号31]、同じく17番目から31番目のアミノ酸配列[配列番号32]、同じく18番目から32番目のアミノ酸配列[配列番号33]、同じく19番目から33番目のアミノ酸配列[配列番号34]、同じく20番目から34番目のアミノ酸配列[配列番号35]、同じく21番目から35番目のアミノ酸配列[配列番号36]、同じく22番目から36番目のアミノ酸配列[配列番号37]、同じく23番目から37番目のアミノ酸配列[配列番号38]、同じく24番目から38番目のアミノ酸配列[配列番号39]、同じく25番目から39番目のアミノ酸配列[配列番号40]、同じく26番目から40番目のアミノ酸配列[配列番号41]、同じく27番目から41番目のアミノ酸配列[配列番号42]、同じく41番目から55番目のアミノ酸配列[配列番号43]、同じく42番目から56番目のアミノ酸配列[配列番号44]、同じく43番目から57番目のアミノ酸配列[配列番号45]、同じく44番目から58番目のアミノ酸配列[配列番号46]、同じく45番目から59番目のアミノ酸配列[配列番号47]、同じく46番目から60番目のアミノ酸配列[配列番号48]、同じく47番目から61番目のアミノ酸配列[配列番号49]、同じく48番目から62番目のアミノ酸配列[配列番号50]、同じく49番目から63番目のアミノ酸配列[配列番号51]、同じく50番目から64番目のアミノ酸配列[配列番号52]、同じく51番目から65番目のアミノ酸配列[配列番号53]、同じく52番目から66番目のアミノ酸配列[配列番号54]、同じく53番目から67番目のアミノ酸配列[配列番号55]、同じく54番目から68番目のアミノ酸配列[配列番号56]、同じく55番目から69番目のアミノ酸配列[配列番号57]、同じく56番目から70番目のアミノ酸配列[配列番号58]、同じく57番目から71番目のアミノ酸配列[配列番号59]、同じく58番目から72番目のアミノ酸配列[配列番号60]、同じく59番目から73番目のアミノ酸配列[配列番号61]、同じく60番目から74番目のアミノ酸配列[配列番号62]、同じく61番目から75番目のアミノ酸配列[配列番号63]、同じく62番目から76番目のアミノ酸配列[配列番号64]、同じく63番目から77番目のアミノ酸配列[配列番号65]、同じく64番目から78番目のアミノ酸配列[配列番号66]、同じく65番目から79番目のアミノ酸配列[配列番号67]、同じく66番目から80番目のアミノ酸配列[配列番号68]、同じく67番目から81番目のアミノ酸配列[配列番号69]、同じく68番目から82番目のアミノ酸配列[配列番号70]、同じく69番目から83番目のアミノ酸配列[配列番号71]、同じく70番目から84番目のアミノ酸配列[配列番号72]、同じく71番目から85番目のアミノ酸配列[配列番号73]、同じく72番目から86番目のアミノ酸配列[配列番号74]、同じく73番目から87番目のアミノ酸配列[配列番号75]、同じく74番目から88番目のアミノ酸配列[配列番号76]、同じく75番目から89番目のアミノ酸配列[配列番号77]、同じく76番目から90番目のアミノ酸配列[配列番号78]、同じく77番目から91番目のアミノ酸配列[配列番号79]、同じく78番目から92番目のアミノ酸配列[配列番号80]、同じく79番目から93番目のアミノ酸配列[配列番号81]、同じく80番目から94番目のアミノ酸配列[配列番号82]、同じく81番目から95番目のアミノ酸配列[配列番号83]、同じく82番目から96番目のアミノ酸配列[配列番号84]、同じく83番目から97番目のアミノ酸配列[配列番号85]、同じく84番目から98番目のアミノ酸配列[配列番号86]、同じく85番目から99番目のアミノ酸配列[配列番号87]、同じく86番目から100番目のアミノ酸配列[配列番号88]、同じく87番目から101番目のアミノ酸配列[配列番号89]、同じく88番目から102番目のアミノ酸配列[配列番号90]、同じく89番目から103番目のアミノ酸配列[配列番号91]、同じく90番目から104番目のアミノ酸配列[配列番号92]、同じく159番目から173番目のアミノ酸配列[配列番号93]、同じく160番目から174番目のアミノ酸配列[配列番号94]、同じく235番目から249番目のアミノ酸配列[配列番号95]。同じく236番目から250番目のアミノ酸配列[配列番号96]、同じく237番目から251番目のアミノ酸配列[配列番号97]、同じく238番目から252番目のアミノ酸配列[配列番号98]、同じく239番目から253番目のアミノ酸配列[配列番号99]、同じく240番目から254番目のアミノ酸配列[配列番号100]、同じく241番目から255番目のアミノ酸配列[配列番号101]、同じく242番目から256番目のアミノ酸配列[配列番号102]、同じく243番目から257番目のアミノ酸配列[配列番号103]、同じく244番目から258番目のアミノ酸配列[配列番号104]、同じく245番目から259番目のアミノ酸配列[配列番号105]、同じく246番目から260番目のアミノ酸配列[配列番号106]、同じく247番目から261番目のアミノ酸配列[配列番号107]、同じく248番目から262番目のアミノ酸配列[配列番号108]、同じく329番目から346番目のアミノ酸配列[配列番号109]
【0115】
上記94種類のペプチドが固相化されたピンをプレコートバッファー(2% BSA、0.1% Tween20、0.1%アジ化ナトリウム0.01M PBS)に室温で60分間浸したのちに、洗浄バッファー(0.01M PBS)で室温で10分間洗浄した。次に20μg/mlのscFv溶液(1%BSA、0.1%スキムミルク含有)に4℃で終夜反応させたのちに洗浄バッファーで4回洗浄した。次にscFvのc−mycタグを特異的に認識する抗体である9E10にホースラディッシュペルオキシダーゼをコンジュゲートしたものを1μg/ml(1% BSA、0.1%スキムミルク、0.01M PBS含有)の濃度で室温で60分間反応させた後、洗浄バッファーで4回洗浄した。次に発色剤溶液(ABTS)にピンを10分間浸漬し、波長405nmにおける発色剤溶液の吸光度を測定した。その結果、滑膜細胞増殖を阻害するscFvクローンN022およびN025は、以下のアミノ酸配列に対して特異的に結合した。すなわち、PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の41番目から55番目のアミノ酸配列[配列番号43]、同じく42番目から56番目のアミノ酸配列[配列番号44]、同じく43番目から57番目のアミノ酸配列[配列番号45]、同じく44番目から58番目のアミノ酸配列[配列番号46]、同じく45番目から59番目のアミノ酸配列[配列番号47]、同じく46番目から60番目のアミノ酸配列[配列番号48]、同じく47番目から61番目のアミノ酸配列[配列番号49]、同じく48番目から62番目のアミノ酸配列[配列番号50]、同じく49番目から63番目のアミノ酸配列[配列番号51]、同じく50番目から64番目のアミノ酸配列[配列番号52]、同じく51番目から65番目のアミノ酸配列[配列番号53]である。
【0116】
このことから、トロンビンで惹起した滑膜細胞増殖を阻害するscFvクローンN022およびN025のエピトープは、PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の52番目から56番目のアミノ酸配列を認識することが示された。
【0117】
また滑膜細胞増殖を阻害しないscFvクローンN018は、以下のアミノ酸配列に対して特異的に結合した。すなわち、ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の41番目から55番目のアミノ酸配列[配列番号43]、同じく42番目から56番目のアミノ酸配列[配列番号44]、同じく43番目から57番目のアミノ酸配列[配列番号45]、同じく44番目から58番目のアミノ酸配列[配列番号46]、同じく45番目から59番目のアミノ酸配列[配列番号47]、同じく46番目から60番目のアミノ酸配列[配列番号48]、同じく47番目から61番目のアミノ酸配列[配列番号49]、同じく48番目から62番目のアミノ酸配列[配列番号50]、同じく49番目から63番目のアミノ酸配列[配列番号51]、同じく50番目から64番目のアミノ酸配列[配列番号52]、同じく51番目から65番目のアミノ酸配列[配列番号53]である。
【0118】
このことから、トロンビンで惹起した滑膜細胞増殖を阻害するscFvのエピトープは、ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の51番目から56番目のアミノ酸配列であることが示された。
【0119】
実施例10:scFvのKinetics解析
滑膜細胞増殖阻害能を有するscFvのエピトープに対するKinetics特異性の検証を表面プライズモン共鳴センサーBIACORE1000(BIACORE社)を用いて行った。
【0120】
以下に示す21アミノ酸を合成した(株式会社バイオロジカ)。このペプチドはPAR1型ヒトトロンビンレセプターの細胞外領域に包含され、活膜細胞増殖阻害能を有するscFvのエピトープを含むペプチドである。
ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列[配列番号110]
Asn Pro Asn Asp Lys Tyr Glu Pro Phe Trp Glu Asp Glu Glu Lys Asn Glu Ser Gly Leu Thr
【0121】
PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列[配列番号110]のペプチドに対してKLH複合体を作成した。PIERCE社より市販されている「Imject Immunogen EDC Conjugation Kit With KLH and BSA」を用い、まずPAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列ペプチド1mgをKitのEDC Conjugation緩衝液0.25mlに溶解し(ペプチド4mg/ml)、KLH溶液(10mg/ml)0.1mlを加えた。さらにEDC(10mg/ml)25μlをペプチド、KLH混合液に攪拌しながらゆっくり滴下し、引き続き30分間室温にて攪拌した。その後、EDC Conjugation緩衝液350μlを添加し、反応を停止させた。その後、PBS緩衝液pH7.4、3Lに対して2回透析し、KLH複合体ペプチドを得た。
【0122】
ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列のKLH複合体ペプチドまたリファレンスとしてKLHをCM5センサーチップ(BIACORE社)に固定化した。BIACORE社で市販している「アミンカップリングキット」を使用し、業者添付のプログラムに準じて行なった。BIACORE Control Software Ver.1.2を用いてCM5センサーチップに同社市販のHBS−EP緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%ボリソルベート20(v/v))を流速5μl/分で流した。さらにアミンカップリングキットのEDC/NHSの1:1混合液を7分間(35μl)反応させ、センサーチップ表面上のカルボキシメチルデキストランを活性化させた。100μg/mlのKLH ConjugatedペプチドまたはKLHを7分間(35μl)反応させることによりセンサーチップ上に結合させ、さらにアミンカップリングキット中のエタノールアミンを7分間(35μl)反応させて残余の活性型NHS基をブロッキングした。
【0123】
上記センサーチップ上に固定化されたKLHをリファレンスとし、ペプチドに対するscFvの結合解離曲線を測定した。HBS−EP緩衝液にてscFvを50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/ml、6.25μg/mlに調製し、各scFv溶液について、流速20μl/分で3分間センサーチップに反応させた。その後、HBS−EP緩衝液を流速20μl/分で5分間流し、センサーチップを10mM HClで20μl/分で1分間洗浄することを繰り返した。一連の操作におけるセンサーチップ表面の質量変化を測定することによってペプチドに対する各scFvの結合解離曲線を得た。得られた結合解離曲線と各scFvの濃度から、BIAevaluation software ver.2.1を用いて同社添付のプログラムに準じ、各scFvの結合解離定数を算出した。その結果、各scFvの結合解離定数(KD値)は滑膜細胞増殖阻害活性をもつscFvでKD値:約5×10-7M、滑膜細胞増殖阻害活性をもたないscFvでKD値:約1×10-7Mであった(表6参照)。
【0124】
【表6】
【0125】
実施例11:scFvのエピトープのアミノ酸残基特異性の比較
滑膜細胞増殖阻害能を有するscFvのエピトープにおけるアミノ酸残基特異性の検証を、表面プライズモン共鳴センサーBIACORE1000(BIACORE社)を用いて行った。
【0126】
以下に示す5種類の21アミノ酸を合成した(株式会社バイオロジカ)。4種のペプチドはヒトトロンビンレセプターの細胞外領域に包含されるペプチドとそのアミノ酸残基置換ペプチドである。
【0127】
すなわち、ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列[配列番号112]、同じく47番目から67番目のアミノ酸残基中51番目のリジンをアラニンに置換したアミノ酸配列[配列番号113]、同じく47番目から67番目のアミノ酸残基中55番目のフェニルアラニンをアラニンに置換したアミノ酸配列[配列番号114]、同じく47番目から67番目のアミノ酸残基中56番目のトリプトファンをアラニンに置換したアミノ酸配列[配列番号115]、およびコントロールの21アミノ酸配列[配列番号111]
Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Ile Met Lys Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe
である。
【0128】
PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列[配列番号112]のペプチドに対してKLH複合体を作成した。PIERCE社より市販されている「Imject Immunogen EDC Conjugation Kit With KLH and BSA」を用い、PAR1型ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列ペプチド1mgをKitのEDC Conjugation緩衝液0.25mlに溶解し(ペプチド4mg/ml)、KLH溶解液(10mg/ml)0.1mlを加えた。さらにEDC(10mg/ml)25μlをペプチド、KLH混合液に攪拌しながらゆっくり滴下し、引き続き30分間室温にて攪拌した。その後、EDC Conjugation緩衝液350μlを添加し、反応を停止させた。さらにPBS緩衝液pH7.4、3Lに対して2回透析し、KLH複合体ペプチドを得た。
【0129】
ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列のKLH複合体ペプチド、またリファレンスとしてKLHをCM5センサーチップ(BIACORE社)に固定化した。BIACORE社で市販している「アミンカップリングキット」を使用し、業者添付のプログラムに準じて行なった。BIACORE Control Software Ver.1.2を用いてCM5センサーチップに同社市販のHBS−EP緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%ボリソルベート20(v/v))を流速5μl/分で流した。さらにアミンカップリングキットのEDC/NHSの1:1混合液を7分間(35μl)反応させ、センサーチップ表面上のカルボキシルデキストランを活性化させた。100μg/mlの KLH複合体ペプチドまたはKLHを7分間(35μl)反応させることによりセンサーチップ上に結合させ、さらにアミンカップリングキット中のエタノールアミンを7分間(35μl)反応させて残余のNHS基をブロッキングした。
【0130】
上記センサーチップ上に固定化されたKLHをリファレンスとし、ペプチドに対するscFvの結合を確認した。scFvをHBS−EP緩衝液にて50μg/mlに調製し、流速10μl/分で3分間反応させた。その後HBS−EP緩衝液を流速20μl/分で5分間流し、センサーチップを10mM HClで20μl/分で1分間洗浄することを繰り返した。一連の操作におけるセンサーチップ表面の質量変化を測定することによってペプチドに対する各scFvの最大結合量を得た。滑膜細胞増殖活性を有するscFvで最大結合量約300RU、滑膜細胞増殖活性のないscFvで最大結合量約600RUの結合値を得た。
【0131】
上記線センサーチップ上に固定化されたKLHをリファレンスに、ペプチドに対するscFv5種の各ペプチドによる競合結合阻害を測定した。HBS−EP緩衝液にてscFv(終濃度50μg/ml)とペプチド(終濃度5μg/ml)の混合液を調製し、scFv−ペプチド混合液を流速10μl/分で3分間反応させた。
【0132】
コントロールペプチドでは滑膜細胞増殖阻害活性をもつscFv、もたないscFvともに結合を阻害されなかった。ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸配列ペプチドでは滑膜細胞増殖阻害活性をもつscFv、もたないscFvともに結合が阻害された。
【0133】
活膜細胞増殖阻害活性をもたないscFvではヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸残基中、51番目のリジンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチド、および47番目から67番目のアミノ酸残基中、55番目のフェニルアラニンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチドでは結合阻害が認められず、アミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸残基中、56番目のトリプトファンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチドで結合阻害が認められた。
【0134】
滑膜細胞増殖阻害活性をもつscFvではヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸残基中、51番目のリジンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチドおよび47番目から67番目のアミノ酸残基中、55番目のフェニルアラニンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチドで結合阻害が認められ、ヒトトロンビンレセプターのアミノ末端側の47番目から67番目のアミノ酸残基中、56番目のトリプトファンをアラニンに置換したアミノ酸ペプチドでは結合阻害が認められなかった。
【0135】
滑膜細胞増殖阻害活性をもつscFv、もたないscFvともにエピトープとして重複したアミノ酸配列を認識しているものの、そのエピトープにおける各アミノ酸残基に対する重要度に違いがあることが確認された。
【0136】
トロンビン惹起滑膜細胞増殖阻害にはヒトトロンビンレセプターのアミノ酸末端から56番目のトリプトファン残基がscFvの重要な結合部位であることが確認された。
【0137】
【発明の効果】
本発明の薬剤(ポリペプチドまたは化合物)は、トロンビンレセプターを介したシグナル伝達を抑制し、細胞増殖阻害活性やTNF−α、IL−6、IL−1βなどの炎症性メディエーターの産生や放出を抑制する活性を有し、各種炎症性疾患や細胞増殖性疾患の治療薬として用いられる。
【0138】
【配列表】
【0139】
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a drug capable of suppressing cell proliferation by thrombin. More specifically, the present invention relates to an agent that binds to a specific region of the PAR type 1 thrombin receptor and inhibits the function of the receptor related to cell proliferation. The present invention also relates to a novel human PAR type 1 thrombin receptor, and a DNA fragment encoding the same.
[0002]
[Prior art]
Thrombin is a serine protease that participates in the final stages of the blood coagulation cascade and plays a vital role in thrombostasis. On the other hand, when thrombin binds to thrombomodulin on vascular endothelial cells, the procoagulant function is completely lost, and conversely, the activation ability of protein C is enhanced several thousand times. Protein C activated in this manner decomposes factor V and factor VIII and exhibits an anticoagulant action. Therefore, thrombin also acts as an anticoagulant factor. Although thrombomodulin is a type of thrombin receptor, a type of receptor (receptor) that transmits a thrombin signal has recently been discovered (Vu, T. K. H. et al .: Cell, 64, 1057-1068 (1991)). The first cloned signal transduction thrombin receptor (PAR1) cDNA encodes a protein of 425 amino acid residues, and the structure of a typical G protein-coupled receptor having seven transmembrane domains. have.
[0003]
Thrombin degrades the site Arg (41) -Ser (42) on the extracellular N-terminal side of the PAR1-type thrombin receptor. When the N-terminal side of the PAR1 type thrombin receptor is liberated, the newly exposed N-terminal site works as an agonist. That is, thrombin does not act as a ligand but only serves to expose a ligand (TRAP: Thrombin Receptor Agonist Peptide) inherent in the receptor. There is a site rich in acidic amino acids adjacent to the C-terminal side of this ligand site (-Glu-Asp-Glu-Glu-). This site is highly homologous to hirudin in the saliva of leech, a natural inhibitor of thrombin, and is called the hirudin-like domain, and is thought to be the site to which thrombin binds (Ayumi of Medicine, 167, 484-487 (1993)).
[0004]
The thrombin signal activates not only platelets and vascular endothelial cells but also vascular smooth muscle cells and macrophages to migrate and proliferate. In view of the overexpression of PAR1-type thrombin receptor after atherosclerosis and PTCA, it has been considered that this receptor plays an important role in the establishment of various vascular lesions.
[0005]
An antithrombin agent, that is, a thrombin inhibitor, not only inhibits the blood coagulation cascade but also suppresses the production of activated protein C in view of the function of thrombin as described above. That is, the balance between coagulation and anticoagulation on the vascular endothelium is expected to be lost, and as a side effect, for example, bleeding is a concern.
[0006]
On the other hand, thrombin receptor inhibitors suppress only cell activation such as cell proliferation and cell migration by regulating cell surface receptors without affecting the blood coagulation system at all from the viewpoint of their mechanism of action. I can expect that. That is, unlike a thrombin inhibitor, a thrombin receptor inhibitor may be a drug with few side effects of bleeding. Furthermore, it is possible to divide the target disease. For example, a thrombin inhibitor targets thrombosis, whereas a thrombin receptor inhibitor targets cell proliferative diseases.
[0007]
Next, how the reaction between thrombin and receptors on cells is related to various diseases will be described. For example, the following reports suggest that the thrombin receptor on cells is involved in synovial cell proliferation in rheumatism, platelet aggregation in arteriosclerosis, smooth muscle cell proliferation, or macrophage migration.
[0008]
PAR1-type thrombin receptor is overexpressed in the synovial tissue of rheumatic patients (Ann. Rheum. Dis., 55: 841-843 (1996)). In addition, a large amount of activated thrombin is present in the synovial fluid of rheumatic patients, and TAT (Thrombin-Anthrombin Complex) that reflects the amount of thrombin generated in the synovial fluid is several thousand compared with the plasma value of healthy subjects. It has recently been clarified that the value is twice as high (J. of Rheumatology, 23, 1505-1511 (1996); Clin. Exp. Rheumatol., 17, 161-170 (1999)).
[0009]
Furthermore, it is suggested that synovial cells derived from rheumatic patients increase tritium thymidine incorporation by adding thrombin or TRAP to the culture medium in vitro, that is, through the action of thrombin receptor. (Clinical Immunology and Immunopathology, 76: 225-233 (1995)).
[0010]
In rheumatoid arthritis, there are many new blood vessels in the synovial tissue that has proliferated, but it has been suggested that thrombin is involved in the process of angiogenesis, such as luminal formation of vascular endothelial cells. (Am. J. Physiol., 273, c239-245, 1997).
[0011]
Furthermore, it is known that the expression of matrix metalloprotease is increased in the pathology of patients with rheumatoid arthritis. Thrombin acts on vascular endothelial cells to enhance the expression of matrix metalloproteinase-1 and -3, and it has been reported that PAR1-type thrombin receptor is involved in the expression of matrix metalloproteinase-3 (among others) ( Atheroscler. Thromb. Vasc. Biol., 17, 1731-1738 (1997)). This suggests that the thrombin receptor is involved in the synovial hyperplasia of rheumatoid arthritis and the subsequent osteochondral destruction process.
[0012]
Summarizing these reports, it is considered that thrombin generated locally in the joint causes signal transduction via a thrombin receptor on the surface of synovial tissue or synovial cells, and synovial cell proliferation is induced.
[0013]
The pathogenesis of rheumatism has been clarified from recent studies as a step where synovial cell proliferation leads to osteochondral destruction. However, looking at the effects of current anti-rheumatic drugs, anti-inflammatory drugs that relieve pain are the mainstream, and there are still no drugs that effectively inhibit and regulate synovial cell proliferation. When considering early rheumatic treatment, synoviocyte growth inhibitors can be curatives rather than symptomatic treatments.
[0014]
In addition, neointimal thickening is a major factor in the progression of vascular lesions such as atherosclerosis and restenosis after PTCA, and overexpression of PAR1 thrombin receptor is observed in the neointimal tissue. (Journal of Clinical Investigation, 90, 1614-1621 (1992)).
[0015]
On the other hand, thrombin induces platelet aggregation, smooth muscle cell proliferation, and macrophage migration in vitro, so that signal transduction occurs through thrombin receptors on the surface of infiltrated macrophages and platelets and intimal smooth muscle cells. It is strongly suggested that local inflammation is promoted and smooth muscle cell proliferation occurs.
[0016]
In addition to the above, as one of reports on the PAR1 thrombin receptor and diseases, it has been recently reported that cerebral neurons (Atrocyte) undergo apoptosis by thrombin or TRAP (The Journal of Neuroscience, 17, 5316-5326). , (1997)), suggesting a relationship between thrombin receptors and cranial neuropathy. There is also a report that the thrombin receptor is also involved in the metastasis of certain human lung cancer cells (Nature Med., 4, 909-914, 1998).
[0017]
PAR1-type thrombin receptor is considered to be related to the onset or exacerbation of various diseases, not limited to the above-mentioned rheumatism, arteriosclerosis, and cranial nerve disorder, in view of its distribution and function in the living body.
[0018]
However, some reports show that antibodies against the TRAP site of the PAR type 1 thrombin receptor can suppress the proliferation of rat vascular smooth muscle cells (Circ. Res. 82, 980-987 (1998)). There is currently no report that cell growth was suppressed with an inhibitor against the human PAR1-type thrombin receptor. It has also been reported that stimulation by the TRAP site of the PAR1-type thrombin receptor may be insufficient for cell proliferation (FEBS Lett., 15, 225-228 (1993); J Surg. Res., 68, 139-144 (1997); Circulation 95, 1870-1876 (1997)). In recent years, a plurality of receptors (PAR3, PAR4, N-PAR), which are said to react with thrombin, have been reported, and the relationship between these receptors and the proliferation action of cells has not been clarified (Nature, 386, 502-506 (1997); Nature, 394, 690-694 (1998); Biochem. J., 313, 353-368 (1996)).
[0019]
Next, the phagemid technology, that is, the phage display library will be described in detail.
Proteins expressed on the surface of phages can be handled as if they were huge proteins fused with phages, and phage clones that bind to the target substance (eg, antigen protein) can be efficiently selected. Even if a small number of phages are selected, a large amount of phages can be obtained through infection and propagation in E. coli.
[0020]
The greatest feature of the phage display vector is that the DNA sequence (genotype) encoding the protein can be recovered at the same time by selecting using the property (phenotype) of the protein displayed on the phage surface as an index. Therefore, it is easy to perform analysis at the gene level.
[0021]
In order to selectively separate phage clones having specific binding ability from the library, operations such as binding to a target protein, washing, and elution are basically performed. Furthermore, in order to concentrate phage clones that bind specifically and strongly to the target protein, it is necessary to infect Escherichia coli with the phage obtained after the elution operation, propagate the phage, and repeat the selection operation with the target protein. Such a process of binding, washing, elution, and proliferation is called panning. Usually, by repeating this operation about 5 times, phages having specific binding ability can be selectively separated from the library. .
[0022]
Examples of the binding target of the phage include not only a protein but also a cell itself expressing a target protein on its surface, a carbohydrate, a nucleic acid, a chemical, and the like.
In the elution process, treatment with acid or alkali is generally used.
[0023]
Phage display is applicable to any polypeptide in principle. For example, presenting on the phage surface as a fusion protein with the outer shell protein III in the form of a single chain Fv (single chain Fv; scFv) fragment in which the VH and VL regions of the antibody are connected by a peptide linker Can do.
[0024]
Using the cDNA derived from B lymphocytes of mice immunized with antigen (target protein or cells, etc.) as a template, VH and VL genes are amplified and cloned by PCR method to present various antigen binding sites. A phagemid library can be generated. The size of the library is about 10 to the 8th power according to a normal molecular biological technique. By using this method, it is possible to simultaneously obtain many types of single-chain antibodies having different binding characteristics for a specific antigen.
[0025]
Conventional antibodies against the thrombin receptor are obtained by synthesizing amino-terminal extracellular peptides and immunizing animals as antigens. For example, the preparation of rabbit polyclonal antibodies has been reported (Circulation., 91, 2961-2971 (1995)). In addition, it has been reported that a polyclonal antibody obtained by immunizing rabbits with the peptide SFFLRNPSEDTFFEQF containing the TRAP site of rat thrombin receptor suppressed the proliferation of rat smooth muscle cells by thrombin (Circ. Res., 82, 980-987 (1998)).
[0026]
However, in our study, depending on the rabbit polyclonal antibody obtained by immunizing the peptide SFLLRNPNDKKYEPF containing the TRAP site of the human PAR1-type thrombin receptor, cell proliferation by thrombin of human vascular smooth muscle cells and human synovial cells Could not be suppressed.
[0027]
The thrombin receptor has a ligand in the molecule, and it is considered that signal transduction occurs when the TRAP moiety exposed by cleaving the amino terminal side by thrombin interacts with a specific part in the molecule. In addition, thrombin is thought to cleave the thrombin receptor and then activate the receptor one after another away from the receptor molecule. This suggests that the thrombin receptor undergoes a conformational change in the molecule after binding to thrombin and then cleaving by thrombin (American Heart Association, 1996).
[0028]
On the other hand, the scFv obtained by the phagemid technique is capable of obtaining a large number of independent clones by creating a single library, and each clone is specific for a single antigenic determinant and is identical. In recent years, it has been used for functional analysis of ligands and receptors, antagonist or agonist molecule design, and structure-activity relationship studies because it has the advantage of being able to stably produce antibodies with specificity.
[0029]
In cell proliferation signaling of the PAR1-type thrombin receptor, it has been considered that a site other than the TRAP site may be involved, but the site has not been identified by the information so far.
[0030]
However, in order to prepare an antibody against a site involved in unknown cell growth existing on the PAR type 1 thrombin receptor, a plurality of partial peptides obtained by dividing the entire sequence of the PAR type 1 thrombin receptor were immunized and obtained. It cannot be said that the efficiency of the method for examining the cell growth inhibitory activity of each antibody is poor.
[0031]
Therefore, the present inventors expressed recombinant PAR1-type human thrombin receptor lacking a thrombin cleavage site and a TRAP site on cells, and conducted extensive research on the function and structure-activity relationship. As a result, a drug that specifically suppresses the function of thrombin receptor by immunizing a mouse with cells expressing this human thrombin receptor variant as an antigen and preparing scFv against human thrombin receptor from the constructed phage display library Could get.
[0032]
The scFv of the present invention has an activity of specifically suppressing thrombin-induced proliferation of joint synovial cells obtained from patients with rheumatoid arthritis. To date, there has been no report that thrombin receptor inhibitors including antibodies to the thrombin receptor have significantly suppressed cell growth by thrombin, and this activity was first observed in the drug of the present invention.
[0033]
For example, Japanese Patent Publication No. 6-508742 discloses a method for obtaining an antagonist including an antibody against a thrombin receptor, but does not describe a suppression of cell proliferation action by the thrombin receptor antagonist.
[0034]
Furthermore, in the course of the present invention, scFv clones that recognize specific sequences on PAR1-type thrombin receptors were studied for the suppression of cell proliferation by thrombin for scFv and antibodies that can bind to various PAR1-type thrombin receptors. Only showed significant inhibitory activity. That is, it was also clarified that only some scFv clones have cytostatic activity among the scFvs that recognize the YEPFW sequence, which has been said to be a site related to the binding of the PAR1-type thrombin receptor to thrombin. This scFv clone having cytostatic activity is particularly strong in the Ca influx reaction in cells by thrombin, the inhibitory effect on platelet aggregation, and the strength of affinity for the epitope peptide compared to the scFv clone having no such activity. Therefore, it is considered difficult to obtain scFv and antibodies having cytostatic activity by conventional techniques.
[0035]
Furthermore, as a result of intensive studies by the present inventors, an scFv clone having an activity of inhibiting cell growth by thrombin is the amino acid sequence of the amino acid sequence from the 52nd to the 56th amino acid sequence of the recognition epitope human PAR1-type thrombin receptor. By replacing the 56th tryptophan residue with an alanine residue, binding to the epitope was lost.
[0036]
On the other hand, the scFv clone having no cytostatic activity capable of binding to the same epitope retained its binding property even when the 56th tryptophan of the PAR type 1 thrombin receptor epitope was replaced with alanine. In other words, the site involved in cell growth of the PAR1-type human thrombin receptor is not defined by the conventional anion external site binding region for thrombin, and the 56th position located between the hirudin-like sequence (EDEE) located immediately downstream thereof. It was shown to be a site centered on tryptophan residues.
[0037]
From the above, the present invention includes a technique for efficiently obtaining a drug capable of suppressing cell proliferation by thrombin. That is, in the method for obtaining thrombin receptor inhibitor, which is a method for evaluating thrombin inhibition of Ca influx reaction in cells and platelet aggregation inhibition as an evaluation item, a drug capable of effectively inhibiting cell growth by thrombin is used. Obtaining specific sequence information related to cell growth of the PAR1-type thrombin receptor can effectively block the cell growth action of thrombin as shown herein. It became possible to obtain antibodies and drugs.
[0038]
An example of the agent of the present invention is scFv having a mouse antibody skeleton, but humanized antibodies can be prepared by utilizing a technique such as CDR grafting based on the gene sequence. It is also possible to modify the scFv to add an Fc part, or to form a double-chain complete molecular antibody. These are expected to have different blood half-lives, and the dosage form of the antibody can be changed depending on the target disease, administration site, and administration method.
[0039]
In addition, since the scFv of the present invention recognizes a site important for cell growth of the PAR1-type thrombin receptor, a compound capable of modifying its activity by binding to a more active antibody or PAR1-type thrombin receptor using this scFv. It can be used as a tool for sorting and obtaining.
[0040]
[Problems to be solved by the invention]
The purpose of the present invention is to verify the involvement of the PAR1 thrombin receptor in cell proliferation by obtaining various types of antibodies against the PAR1 thrombin receptor, and to identify a site strongly involved in proliferation on the PAR1 thrombin receptor. Based on the information, a drug capable of effectively suppressing cell growth by thrombin is obtained.
[0041]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have found a polypeptide that specifically recognizes the PAR1-type human thrombin receptor, and have reached the present invention.
[0042]
That is, the present inventors expressed various PAR1-type human thrombin receptors as proteins having a function on the insect cell surface by genetic engineering. The PAR1-type thrombin receptor variants prepared by the present inventors are the following three types.
(1) △ 1-49TR
Receptor in which amino acids 1 to 49 at the amino terminus of PAR type 1 human thrombin receptor are deleted: a receptor in which a peptide moiety that is cleaved by thrombin or released by thrombin is deleted. It has a thrombin binding site or hirudin-like domain. The DNA sequence and amino acid sequence of Δ1-49TR are shown in SEQ ID NO: 1.
(2) △ 1-80TR
PAR1-type human thrombin receptor lacking amino acids 1 to 80 of the amino terminus: a receptor that does not contain a TRAP moiety, free peptide, or hirudin-like domain The DNA sequence and amino acid sequence of Δ1-80TR are shown in SEQ ID NO: 2.
(3) Full TR
Naturally occurring PAR type 1 human thrombin receptor: Each functional site is present in the molecule. The DNA sequence and amino acid sequence of Full TR are shown in SEQ ID NO: 3.
[0043]
The present inventors immunized mice with insect cells expressing each of the receptors (1) to (3) as antigens, prepared antibodies from the obtained mouse antisera, and examined the profiles of the respective antibodies. . As a result, an antagonistic activity profile was observed in the antibody obtained by immunization using Δ1-49TR-expressing insect cells as an antigen.
[0044]
Therefore, the present inventors prepared a phagemid library from spleen cells of mice immunized with Δ1-49TR-expressing cells as an antigen, and specifically recognized human thrombin receptor by adsorption / desorption, ie, panning method, from the library. The scFv to be bound was selected and obtained.
[0045]
As a result of further studies, the present inventors have found that some scFvs that recognize the PAR1-type human thrombin receptor have the following characteristics. That is, it binds to the PAR1-type thrombin receptor on the surface of human cells and has an activity of suppressing calcium influx through the thrombin receptor by thrombin, and further binds to the PAR1-type thrombin receptor on human platelets, It has been shown to have an activity of inhibiting receptor-mediated platelet aggregation, and further to have an activity of binding to thrombin receptor of human synovial cells to inhibit synovial cell proliferation via thrombin receptor by thrombin. It was.
[0046]
Furthermore, the present inventors determined the amino acid sequence of the binding site of the obtained antibody. As a method for analyzing the epitope, ELISA using a partially synthetic peptide of PAR1 type human thrombin receptor and ELISA using various thrombin receptor-expressing cells were performed. In addition, a multi-pin ELISA was carried out by solid-phase synthesis of a total of 94 kinds of peptides having a length of 15 amino acids per pin so as to include all extracellular regions of the PAR type 1 human thrombin receptor.
[0047]
Polyclonal antibodies against the TRAP moiety, which is the endogenous ligand of the thrombin receptor, or polyclonal antibodies against the hirudin-like domain, which is the thrombin binding site, bind to each functional site with multiple epitopes, and thus affect the function of the thrombin receptor. There is a possibility to give. However, it has not been clear so far which epitopes are effective as antagonists. Thus, as a result of intensive studies by the present inventors, the amino acids 51 to 55 of the amino terminal side of the PAR1-type human thrombin receptor included in the hirudin-like domain are important for the function of thrombin receptor including growth induction. It has been found that suppressing the function derived from the portion is effective as the receptor inhibitor.
[0048]
The amino acid sequence of this epitope is considered to be an important site in the activation and functional expression of the thrombin receptor. For example, the binding of an antibody to this site inhibits the interaction between thrombin and the thrombin receptor, and thrombin binds to the receptor but inhibits the interaction of TRAP to the extracellular loop of the receptor. Various possibilities are conceivable.
[0049]
It was also found that there is a site involved in growth among the 51st to 55th sequences on the amino-terminal side of this human PAR1-type thrombin receptor. That is, the present inventors have obtained a plurality of scFvs that bind to similar sites and show affinity for similar epitopes, but only some of the scFvs can inhibit thrombin cell proliferation. It was. ScFv, which can suppress cell growth by thrombin, suppresses cell growth by thrombin, whereas substitution of the 55th tryptophan residue from the amino terminal side of the PAR1 thrombin receptor with alanine loses its binding to the sequence. In the non-scFv, the binding to the epitope with the same substitution was maintained. That is, the 55th tryptophan residue from the amino terminus of the receptor is important for the binding of scFv capable of inhibiting cell growth by thrombin to the PAR1-type thrombin receptor, and this receptor has an effect on cell growth. The sequence around the 55th tryptophan residue from the amino terminus of the receptor was shown to play an important role.
[0050]
The present inventors have discovered a new fact as a result of a detailed study in the course of research for producing the above thrombin receptor and variants. That is, it has been found that there are two different base sequences from the conventionally known gene encoding PAR type 1 human thrombin receptor. The present inventors have confirmed that the gene is expressed on the cell surface in a form having a function as a PAR1-type thrombin receptor. That is, thrombin and TRAP (synthetic peptide of endogenous ligand moiety: H2N-Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-COOH) showed intracellular signal transduction. In addition, binding of the rabbit polyclonal antibody to the TRAP moiety was confirmed by flow cytometry. Also from this point, it has been clarified that the gene sequence newly found by the present inventors is functional.
[0051]
The previously reported PAR type 1 thrombin receptor was cloned from the responsiveness to thrombin stimulation by first transfecting the megakaryocyte cell line Dami cell cDNA into Xenopus oocytes. In contrast, the present inventors cloned a gene encoding the PAR1 thrombin receptor from cDNA libraries of normal tissues derived from human aorta and placenta. If the reported cDNA is derived from a Dami cell, which is a kind of cancer cell, it may be due to a gene mutation or gene polymorphism.
[0052]
Further, from the above, it can be seen that the PAR1-type thrombin receptor found by the present inventors is different in amino acid sequence from that reported in two places. Therefore, the agent of the present invention recognizes and binds a novel receptor.
[0053]
That is, the present invention includes the following inventions.
1) A polypeptide or compound capable of suppressing cell growth by thrombin.
2) A polypeptide or compound that binds to a specific region involved in cell growth in the structure of the PAR1-type human thrombin receptor.
3) Peptide sequence X1-Glu-Pro-X2-Trp-XThreeSaid polypeptide or compound which binds to. Where X1Is any amino acid or peptide sequence and X2Is any amino acid, XThreeRepresents any amino acid or peptide sequence.
4) Amino acid sequence of amino acids 52 to 56 on the amino terminal side of the PAR1 type human thrombin receptor: XFour-Tyr-Glu-Pro-Phe-Trp-XFiveA polypeptide or compound that binds to the moiety. Where XFourAnd XFiveRepresents any amino acid or peptide sequence.
5) The polypeptide as a PAR1-type thrombin receptor antagonist which is a single-chain Fv or a fragment thereof.
6) The polypeptide as a PAR1 thrombin receptor antagonist which is an antibody or a fragment thereof.
7) The polypeptide as a PAR1-type thrombin receptor inhibitor, which inhibits a signal transduction system involved in cell growth via a thrombin receptor.
8) A modified PAR1-type thrombin receptor gene or a fragment thereof that can be used to obtain the polypeptide, and a cell that expresses the gene.
9) A method for obtaining the polypeptide or compound capable of suppressing cell growth by thrombin.
[0054]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
A method for producing scFv in the present invention will be described in detail.
A. Preparation of phagemid library
Δ1-49TR-expressing insect cells were made dead by sodium azide, mixed with dead cells (manufactured by Sigma) and suspended in physiological saline. After confirming that the cell morphology was similar to that of living cells, the cells were administered to the peritoneal cavity of mice. This immunization was performed 5 times at 2-week intervals, and blood was collected from the heart 4 days after the final immunization, and at the same time, spleen cells were removed.
[0055]
When preparing cells of the antigen, sodium azide can be brought into contact with the cells to prevent internalization of the receptor into the cells. Maintaining the number of receptor proteins present on the cell surface constantly to prevent internalization is necessary for sufficient immunization.
[0056]
In general, it is considered that a relatively small amount of immunization is required for a purified and purified antigen protein. For example, in the case of a monoclonal antibody, the dose per mouse may be several μg to several tens of μg.
[0057]
However, when a receptor on the cell surface is used as an antigen, various proteins exist on the cell surface. In order to raise the antibody titer of the immunized animal against the receptor, the number of receptors is required to be somewhat larger than the contaminating proteins on the cell surface. The present inventors specifically recognize a functional site reflecting the structure of the receptor by preventing internalization of the receptor into the cell with sodium azide and immunizing the animal with the thrombin receptor-expressing insect cell as an antigen. A phagemid antibody was obtained.
[0058]
The preparation of the phagemid antibody was carried out according to the protocol attached to the manufacturer using “Recombinant Page Antibody System” commercially available from Amersham Pharmacia Biotech. The pCANTAB5 vector included in the kit was designed such that a His6 sequence and an E-tag sequence were added when the cloned gene was expressed by inserting the base sequence ggccgcacatcatcatcataccacggg into the NotI site of this vector (pCANTAB5-HE). ). MRNA was obtained from the spleen of a mouse immunized with the above thrombin receptor-expressing insect cells, and an antibody cDNA was prepared. From the cDNA, immunoglobulin heavy chain and light chain antigen binding sites (VH and VL, respectively) genes were obtained using PCR primers included in the kit. The VL and VH gene fragments are ligated as a single DNA using a linker gene included in the kit, and further recognize the 5 ′ side of VH, recognize the primer containing the restriction enzyme SfiI recognition site and the 3 ′ side of VL. Then, PCR was performed using a primer containing a restriction enzyme NotI recognition site, and this VH-VL linked gene was amplified and obtained. This amplified DNA product was treated with restriction enzymes SfiI and NotI, inserted into the SfiI-NotI cloning site of the pCANTAB5-HE vector, and introduced into E. coli TG1. By adding the helper phage M13K07 to this gene-transferred Escherichia coli, an antibody protein was expressed and a phagemid library containing the antibody gene was prepared.
[0059]
B. Panning
The phagemid library prepared as described above contains many things other than the phagemid antibody against the target PAR1-type thrombin receptor. For example, since the antibody gene used here immunizes the cell itself in which the thrombin receptor is expressed by the baculovirus method, there may be many types of phagemid antibodies against the cell components and virus components. Therefore, the target phagemid antibody was concentrated by the panning method. That is, by reacting this phagemid antibody with an insect cell infected with a natural baculovirus AcMNPV, the phagemid antibody other than the target was adsorbed and removed, and then an insect cell expressing thrombin receptor (Δ1-49TR) By reacting and obtaining only the bound phagemid antibody, the phagemid antibody binding to the thrombin receptor was concentrated. This concentrated phagemid library was infected with E. coli HB2151, and each colony grown on an ampicillin-containing agar medium was obtained to obtain an E. coli clone (scFv-producing E. coli strain) capable of producing a soluble scFv.
[0060]
C. characterization
The scFv-producing strain was cultured and the periplasm fraction was obtained by a standard method, and purified by a standard method. In vitro methods for evaluating the function inhibition activity of PAR type 1 thrombin receptor include calcium influx inhibition evaluation using human megakaryoblastic cells, aggregation inhibition evaluation using human platelets, and synovial cells derived from patients with rheumatoid arthritis. The growth inhibition evaluation used was performed. In addition, epitopes on the PAR1-type thrombin receptor were determined for scFv in which the thrombin receptor function-inhibiting activity was recognized and scFv in which the activity was not observed in the above evaluation, and then the recognition peptide sequence was analyzed in more detail.
[0061]
The following describes standard scFv production, periplasmic fraction acquisition, and purification.
The scFv-producing Escherichia coli strain was cultured overnight in 2 × YT medium, and the overnight culture solution and the main culture solution were mixed at a ratio of 1:10. After incubation at 30 ° C. and 160 rpm for 1 hour, IPTG (isopropylthiogalactoside) was added at a final concentration of 1 mM and cultured for 6 hours to induce scFv production. In the scFv production system used by the present inventors, scFv is known to be produced and accumulated in the periplasmic fraction of E. coli. Therefore, after centrifuging the culture solution and suspending the bacterial cell precipitate in a 10-fold concentration of HEPES buffer, the precipitate obtained by centrifugation again is suspended in ultrapure water, and osmotic stress is applied. The supernatant was collected by centrifugation again to obtain a periplasmic fraction.
[0062]
The scFv prepared by the present inventors has a poly-His region in its amino acid sequence, and can be purified by affinity column chromatography using a Ni-NTA column utilizing the metal ion binding property of this region. The obtained periplasmic fraction was loaded onto a Ni-NTA agarose column, and after several washings, eluted with Hepes-tyrod buffer containing imidazole. Further, the eluate was concentrated using an ultrafiltration membrane and then dialyzed against Hepes-tyrode buffer to obtain purified scFv.
[0063]
Next, the scFv produced by each of the scFv-producing Escherichia coli strains obtained in steps A and B was analyzed for the thrombin receptor binding property. Purified scFv was reacted with thrombin receptor-expressing insect cells, and unreacted scFv was washed away. Next, a horseradish peroxidase (HRP) -labeled anti-E-Tag antibody that reacts with the C-terminus of scFv was bound, and 2,2′-azinobis (3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid), a chromogenic substrate for HRP. The binding property was analyzed by a color development method using diammonium salt (ABTS). In addition, the binding property was similarly analyzed in cells infected with wild-type baculovirus AcMNPV, and scFv-producing Escherichia coli strains that bind to thrombin receptor-expressing insect cells but not to AcMNPV-infected insect cells were selected. The function inhibiting activity of the thrombin receptor was evaluated for the scFv produced by the selected Escherichia coli strain.
[0064]
The method for evaluating the function inhibitory activity of the thrombin receptor is described below. Expression of thrombin receptor is recognized in human megakaryoblastic cell lines, and it is known that thrombin increases intracellular calcium concentration. Thus, the increase in intracellular calcium concentration induced by thrombin was measured, and it was examined whether the scFv obtained by the above method has a function inhibitory activity. That is, fluorescent dye (Fura2-AM) was incorporated into human megakaryoblastic cell lines, incubated with scFv for 30 minutes at room temperature, human thrombin was added, and intracellular calcium influx 30 seconds after addition was measured. Then, the calcium influx inhibition activity of scFv was examined. As a result, multiple types of scFv clones that suppress the increase in intracellular calcium concentration caused by thrombin were obtained.
[0065]
As described above, it is known that thrombin receptor is expressed on platelets and aggregation is induced by thrombin. Thus, the effect of scFv on platelet aggregation induced by thrombin was examined. Platelets were purified from normal human blood and washed platelet suspensions were prepared. The scFv obtained by the above method was added to the obtained platelet suspension and allowed to stand at room temperature for 20 minutes. Further stabilization at 37 ° C for 2 minutes, CaCl2(Final concentration 1.5 mM) was added. Next, human thrombin (final concentration 0.1-0.2 u / ml) was added to induce platelet aggregation, and the inhibition of platelet aggregation by scFv was evaluated from the change in turbidity. As a result, several types of scFv clones that suppress platelet aggregation were obtained.
[0066]
In addition, since the present inventors have found that synovial cells derived from rheumatoid arthritis patients have LPS (lipopolysaccharide) sensitivity and are proliferated by LPS, gel filtration and crab shell chitosan porous particles The endotoxin derived from Escherichia coli contained in the scFv sample purified and obtained as described above was removed in combination with the affinity adsorption removal method using
[0067]
As described above, the thrombin receptor is expressed in synovial cells, and it is known that cell proliferation is induced by thrombin stimulation. Then, it was investigated whether scFv from which endotoxin was removed by the above method had an inhibitory activity against the synovial cell proliferation ability induced by thrombin. That is, synovial cells derived from rheumatoid arthritis patients were serum-starved, incubated with scFv at 37 ° C. for 30 minutes, and then proliferated with human thrombin. The ability to synthesize DNA was measured by measuring thymidine analog (BrdU) incorporation from 24 to 48 hours after addition of thrombin, and the cell growth inhibitory activity of scFv was examined. As a result, several types of scFv clones that suppress synovial cell proliferation were obtained.
[0068]
Epitope mapping analysis was performed to determine the epitope of the scFv clone that inhibits the above synovial cell proliferation. That is, 94 peptides were solid-phase-synthesized on a pin so as to include all extracellular regions of human thrombin receptor with a length of 15 amino acids per peptide, and the synovial cell proliferation obtained by the above method was increased. The binding of inhibiting scFv was examined. As a result, it was found that the amino terminal amino acids 51 to 55 included in the hirudin-like domain of the PAR type 1 human thrombin receptor are epitopes of the synovial cell growth inhibitory scFv. Similarly, scFv clones that did not show synovial cell proliferation were also analyzed. As a result, scFv clones that recognize amino acids 50 to 55 on the amino terminal side of the PAR type 1 human thrombin receptor were found. It was.
[0069]
Furthermore, the scFv clone which recognizes the 51st to 55th amino acids from the amino terminal side of this PAR1 type human thrombin receptor and suppresses synovial proliferation, and the 50th to 55th amino acids from the amino terminal side of the PAR1 type human thrombin receptor A synthetic peptide corresponding to the 47th to 67th amino acids from the amino terminus of the PAR1-type human thrombin receptor containing the epitope was prepared for the scFv clone that recognizes the above and does not suppress synovial proliferation. Keyhole rimpet hemocyanin (KLH) ). This was immobilized on a sensor chip of a surface plasmon resonance measuring apparatus, and the affinity for each peptide was measured. There was no difference in affinity between scFv clones having synoviocyte growth inhibitory activity and scFv clones having no growth inhibitory activity.
[0070]
In addition, the scFv clone that recognizes amino acids 51 to 55 from the amino terminal side of the PAR1 type human thrombin receptor and suppresses synovial proliferation, and the 50th to 55th amino acids from the amino terminal side of the PAR1 type human thrombin receptor are shown below. The scFv clone that recognizes the amino acid of and does not suppress synovial proliferation was analyzed for the binding to a peptide in which a part of the amino acid sequence of the epitope was substituted. A synthetic peptide corresponding to amino acids 47 to 67 from the amino terminus of the PAR type 1 human thrombin receptor is conjugated to KLH and immobilized on a sensor chip of a surface plasmon resonance measuring apparatus, and this synovial cell proliferation inhibitory activity And the peptide corresponding to the 47th to 67th amino acids in which the 55th tryptophan from the amino terminus of the PAR1-type human thrombin receptor was replaced with alanine were analyzed, and immobilized on the sensor chip. Binding to the peptide was not inhibited. However, when the same analysis was performed on the scFv clone having no synovial cell proliferation inhibitory activity, the binding to the peptide immobilized on the sensor chip was strongly inhibited. This indicates that the substitution of the epitope peptide 55th tryptophan with alanine has lost the binding of the clone having synoviocyte growth inhibitory activity to the epitope, and thus the amino terminal of this PAR1-type human thrombin receptor. No. 55 to tryptophan are involved in thrombin cell proliferation activity.
[0071]
The drug (polypeptide or low molecular weight compound) containing the scFv or fragment thereof as an active ingredient according to one aspect of the present invention is brought into contact with a thrombus mainly composed of inflammatory cells, proliferated tissue, or platelets, Inhibition of signal transduction through the thrombin receptor, inhibition of cell growth, production and release of inflammatory mediators such as TNF-α, IL-6, and IL-1β, or thrombus formation by inhibiting platelet aggregation Can be used as a therapeutic agent for various inflammatory diseases, cell proliferative diseases, and thrombotic diseases.
[0072]
For example, the thrombin receptor inhibitor of the present invention can be used as a preparation for intravenous injection. In that case, the scFv or a fragment thereof may be contained in a wide range, and the dosage varies depending on various conditions. These can be dissolved or dispersed in an aqueous medium usually used for intravenous injection. In addition to injections, they are used as external preparations or suppositories. Injections for parenteral administration include sterile aqueous or non-aqueous solutions, suspensions, and emulsions. Other compositions for parenteral administration contain one or more active substances and are formulated by conventional methods, such as topical solutions, ointments, coatings, suppositories for rectal administration and Includes pessaries.
[0073]
【Example】
Example 1:Preparation of various recombinant TR expressing cells
[Acquisition of human thrombin receptor cDNA]
CDNA was synthesized from 1 μg of human aorta-derived mRNA (purchased from Clontech) using a cDNA synthesis kit Synthesis Kit (Amersham Pharmacia Biotech). The cDNA portion of the thrombin receptor was PCR amplified with primers TR1 [SEQ ID NO: 4] and TR4 [SEQ ID NO: 5] using 1/100 of this cDNA. As a result of agarose gel electrophoresis of the PCR reaction solution, a band estimated to be a thrombin receptor cDNA fragment was observed at about 1.3 kb. This DNA fragment was extracted from the gel and purified using a DNA purification kit (QIAEXII manufactured by QIAGEN). The purified DNA fragment was inserted into the pCRII pCR2.1 (TM) vector using a TA cloning kit (Invitrogen), and plasmid purification (using a plasmid extraction kit from QIAGEN) was performed on several clones. Using these purified plasmids, DNA sequence was determined by Hitachi DNA fluorescence automatic sequencer. Six types of primers used for base sequence determination are shown in [SEQ ID NO: 6-11]. As a result, it was revealed that this DNA fragment encodes the thrombin receptor. The entire base sequence of the determined human aorta-derived thrombin receptor is shown in [SEQ ID NO: 3]. Similarly, the inventors also determined the cDNA sequence derived from human placenta, which was consistent with that derived from human aorta. The thrombin receptor cDNA sequences derived from human aorta and human placenta were compared with the thrombin receptor cDNA sequence (accession No. M62424) registered in DNA Data Base Japan (DDBJ). From the 5 'end of the portion encoding the receptor protein, the 711st base is C from G, the 712st base is from G to C, the 1091st base is from C to G, and the 1092nd base is G. From C to C, it was found that the cDNA was replaced from the display in the database. The thrombin receptor gene in the genomic DNA derived from human placenta was also analyzed for the nucleotide sequence of this site, and it was confirmed that the sequence was the same as the sequence obtained by the present inventors. The pCRII plasmid into which this human thrombin receptor cDNA was inserted was named pCR-TR14.
[0074]
[Preparation of transfer vector containing thrombin receptor cDNA]
The pCR-TR14 was cleaved with restriction enzymes EcoRI and BamHI and subjected to agarose gel electrophoresis. Then, an approximately 1.3 kb fragment containing thrombin receptor cDNA was extracted from the gel and purified using a DNA purification kit (QIAEXII manufactured by QIAGEN). On the other hand, baculovirus transfer vector pVL1393 (Invitrogen) [Technique, Vol. 2, No. 4, pp.173-188, 1990] was cleaved with restriction enzymes EcoRI and BamHI, and ligated with the above DNA fragment. Escherichia coli JM109 strain was transformed with this reaction solution, and plasmids were extracted from several transformant colonies to obtain a plasmid into which an about 1.3 kb fragment had been inserted. This was named pAc-TR14. This thrombin receptor cDNA-containing transfer vector was purified (using a plasmid extraction kit manufactured by QIAGEN) and used to produce a recombinant baculovirus for thrombin receptor expression.
[0075]
[Preparation of recombinant baculovirus for thrombin receptor expression]
For the production of recombinant baculovirus, a BaculoGold ™ kit manufactured by Fermigen was used. Sf9 insect cell 1 × 106Cells were seeded in 30 mm dishes and allowed to adhere for 30 minutes at room temperature. On the other hand, 0.25 μg of BaculoGold (TM) DNA and 2 μg of pAc-TR14 plasmid DNA were mixed and allowed to stand at room temperature for 5 minutes, and then 0.5 ml transfection buffer B (25 mM HEPES pH 7.1, 125 mM CaCl2, 140 mM NaCl) was added and mixed well. Next, the medium of the seeded Sf9 cells was extracted, and 0.5 ml of transfection buffer A (Grace medium, containing 10% bovine serum) was added. Here, cotransfection was performed by adding dropwise the transfection buffer B and the DNA solution little by little. Four hours after incubation at 27 ° C., the medium was replaced with fresh Grace medium (containing 10% bovine serum). After 5 days, the culture supernatant containing the recombinant virus was recovered, and 10-fold, 100-fold, and 1000-fold dilutions were prepared, and Sf9 cells (1 × 106Cells / dish) were infected for 1 hour at room temperature. The supernatant was extracted, 2 ml of 1% SeaPlaque agarose-containing grace medium (42 ° C.) was added dropwise, and the mixture was allowed to stand at room temperature for about 10 minutes until the agarose solidified. Then, it culture | cultivated at 27 degreeC for 3 days. On day 3, 1 ml / dish of neutral red / PBS (1 g / l) was added. When virus plaques were observed on the 4th day, 6 plaques were confirmed in the dish infected with the 100 culture dilution. Several single virus plaques with agarose were extracted with a Pasteur pipette and mixed with Grace's medium to spread the virus into the medium. Sf9 cells (25 cm) obtained by monolayer culture of the virus solution derived from this single plaque2Flask culture). This was cultured at 27 ° C. for 4-5 days to recover the virus solution. 1 ml of this virus solution was placed in a 1.5 ml Eppendorf tube and centrifuged at 4 ° C. and 15000 rpm for 30 minutes to precipitate virus particles. The precipitate was suspended in 200 μl of TE (10 mM Tris, 0.1 mM EDTA) buffer, 50 μl of Lysis buffer (10% SDS, 1 mM EDTA) was added, and incubated at 60 ° C. for 20 minutes. Viral DNA in the reaction solution was recovered by phenol / chloroform extraction and ethanol precipitation. Using 1/5 of the collected viral DNA, PCR amplification was performed with primers BacF [SEQ ID NO: 12] and TR-S2 [SEQ ID NO: 7], and it was confirmed that the thrombin receptor cDNA was contained in the DNA. This recombinant baculovirus for thrombin receptor expression was named AcTRF. The virus solution was appropriately diluted and plaque assay was performed to check the titer. Further, by infecting Sf9 cells with a virus solution at MOI (Multiplicity of Infection) = 0.25, 1 to 5 × 107A virus solution with a high concentration was obtained. The virus solution was stored frozen at 4 ° C and -80 ° C.
[0076]
[Construction of modified thrombin receptor cDNA]
The endogenous ligand peptide portion (TRAP) of the structure of the thrombin receptor was deleted, the thrombin binding site was retained, and the modified thrombin receptor Δ1-49TR was retained, and both the endogenous ligand peptide site and the thrombin binding site were deleted. The modified thrombin receptor Δ1-80TR cDNA was constructed and expressed in a baculoyl-insect cell system. Δ1-49TR cDNA is the site of bases 79 to 147 in the gene sequence of full-length thrombin receptor cDNA (pCR-TR14), and Δ1-80TR cDNA is the site of bases 79 to 240 of the full-length thrombin receptor. It was made to be deficient. These genes are located in the signal peptide site (amino acid residues 1 to 26) that is removed when the thrombin receptor is expressed in the cell, and in the case of Δ1-49TR when the signal is removed in the full-length thrombin receptor. It is designed to be a thrombin receptor in which 33 amino acid residues from the amino terminal site and an amino acid sequence in which 64 amino acid residues are deleted in Δ1-80TR are added. The nucleotide sequences of the Δ1-49TR and Δ1-80 cDNAs and the amino acid sequences encoded by them are shown in SEQ ID NO: 1 and SEQ ID NO: 2, respectively.
[0077]
[Construction of Δ1-49TR cDNA]
The procedure for preparing Δ1-49 cDNA by deleting the site of base numbers 79 to 147 from full-length thrombin receptor cDNA (pCR-TR14) is shown below.
(1) A Δ1-49-5 ′ (190 bp) fragment, which is a gene fragment containing a site corresponding to the base sequence 1-185 of Δ1-49 cDNA, was prepared from pCR-TR14.
▲ 1 ▼ -1
Primer homologous to the pCRII vector (INVITROGEN) site of pCR-TR14 M13REV22 primer [SEQ ID NO: 10], and the site corresponding to base numbers 59 to 78 and the site corresponding to base numbers 148 to 157 of the full-length thrombin receptor cDNA PCR reaction was carried out using TRΔ27-49R primer [SEQ ID NO: 13] which is a primer complementary to. The composition of the reaction solution was pCR-TR14 DNA 200 ng / ml, M13REV22 primer 300 nM, TRΔ29-49 primer 300 nM, DNA polymerization mix {20 mM dNTPs mix} (Amersham Pharmacia-Biotech) 10 μl / ml and × 10 ExTM High-Fidelity PCR system buffer (Boehringer Mannheim) 100 μl / ml, 3.5 U / ml ExpandTM High-fidelity PCR system enzyme mix (Boehringer Mannheim) 10 μl / ml was used, and the reaction was performed at a reaction scale of 50 μl. Reaction conditions are GeneAmp systemR This is a temperature cycle in which a reaction is performed at 94 ° C for 2 minutes using PCR system 9600 (Perkin Elmer), followed by 10 cycles of 94 ° C for 15 seconds → 59 ° C for 30 seconds → 72 ° C for 1 minute, followed by 72 ° C for 7 minutes. It was. The sample after the reaction is 4% NUSIEVER GTGR Using an AGAROSE (FMC BioProducts) -TAE (40 mM Tris-acetate pH 7.6, 1 mM EDTA) buffer gel, electrophoresis was performed at 100 V for 1 hour, and a gel corresponding to a DNA chain length of 224 bp was cut out. The excised gel was extracted and purified by Hot-Phenol method to obtain about 200 ng of DNA.
[0078]
▲ 1 ▼ -2
In order to obtain a gene fragment corresponding to base numbers 148 to 367 of full-length thrombin receptor cDNA, it comprises a portion corresponding to base numbers 69 to 78 of full-length thrombin receptor cDNA and a portion corresponding to base numbers 148 to 169. PCR was performed using TRΔ27-49F primer [SEQ ID NO: 14] and TRS1 primer [SEQ ID NO: 6] consisting of a sequence complementary to base numbers 350 to 367 of the full-length thrombin receptor cDNA. The reaction solution was prepared in the same manner except that the M13REV22 primer and TRΔ27-49R primer in the reaction composition shown in (1) -1 were replaced with TRΔ27-49F primer and TRS1 primer. The reaction conditions were the same as in (1) -1. The resulting PCR reaction was 4% NUSUEVE.TM GTGTM Electrophoresis was performed at 100 V for 1 hour using an AGAROSE-TAE buffer gel. A gel corresponding to a 220 bp DNA chain length was cut out, and DNA was extracted and purified by the Hot-Phenol method. The obtained DNA fragment is about 240 ng.
[0079]
▲ 1 ▼ -3
Since it is designed so that a 20 bp complementary portion is generated between the TRΔ27-49R primer and the TRΔ27-49F primer, the 224 bp DNA fragment obtained in (1) -1 and (1) The 220 bp DNA fragment obtained in step-2 was ligated by the assembly PCR method. First, 80 ng of the 220 bp DNA fragment obtained in (1) -2 and 96 ng of the 220 bp DNA fragment obtained in (1) -2 were mixed. The reaction solution composition was DNA primer mix 10 μl / ml, × 10 ExpandTM High-Fidelity PCR system buffer 100 μl / ml, 3.5 U / ml ExpandTM High-Fidelity PCR system enzyme mix was 7.5 μl / ml and was performed on a 40 μl reaction scale. The reaction is GeneAmpRAfter a reaction at 94 ° C. for 2 minutes in the PCR system, a cycle of 94 ° C. for 15 seconds → 59 ° C. for 30 seconds → 72 ° C. for 1 minute and 30 seconds was performed in a temperature cycle program in which the reaction was performed at 72 ° C. for 7 minutes. Next, 40 μl of the reaction product obtained by the reaction was added to 150 ng / ml of M13REV22 primer, 150 ng / ml of TRS1 primer, 10 μl / ml of DNA polymerization mix, × 10 ExpandTM High-Fidelity PCR system buffer 100 μl / ml, 3.5 U ExpandTM High-fidelity PCR system enzyme mix Each reagent was added to 6 μl / ml, adjusted to a total volume of 400 μl with distilled water, and 50 μl was dispensed into 5 reaction tubes to carry out the PCR reaction. The reaction was performed by GeneAmp PCR system 9600 at 94 ° C. for 2 minutes, followed by 10 cycles of 94 ° C. for 15 seconds → 59 ° C. for 30 seconds → 72 ° C. for 1 minute 30 seconds, and then 94 ° C. for 15 seconds → 59 ° C. for 30 seconds → 10 cycles of 72 ° C. for 1 minute and 30 seconds plus 20 seconds extension for each cycle were performed, and finally a temperature cycle program was performed in which the reaction was performed at 72 ° C. for 7 minutes. After recovering DNA from the obtained PCR reaction product by ethanol precipitation, CHROMASPIN-100 DEPC-H2Purified with O column (CLONTECH). This was cleaved with restriction enzyme BamHI (Takara Shuzo) 30 U, and then restriction enzyme BsmI (New England BioLabs) 30 U. 4% NUSIEVE is the product of restriction enzyme treatment.TM GTGTM Electrophoresis was performed at 50 V for 1 hour using an AGAROSE-TAE buffer gel. A gel corresponding to the 190 bp DNA chain length was cut out, and DNA was extracted and purified by the Hot-Phenol method. As a result, about 400 ng of DNA corresponding to the Δ1-49-5 ′ (190 bp) DNA fragment was obtained.
[0080]
(2) Since the base numbers 255 to 1278 of the full-length thrombin receptor cDNA and the base numbers 186 to 1209 of the Δ1-49TR cDNA have the same sequence, the base number of the full-length thrombin receptor cDNA portion contained in pCR-TR14 A portion of 1 to 244 is excised and replaced with Δ1-49-5 ′ (190 bp), which is a DNA fragment containing base numbers 1 to 185 of Δ1-49TR cDNA, to obtain base number 1 of Δ1-49 cDNA. The part of ˜1209 was constructed.
[0081]
▲ 2 ▼ -1
2.3 μg of pCR-TR14DNA was cleaved with restriction enzyme BamHI 30U followed by restriction enzyme BsmI 30U, which was 0.75% SEAPLAQUETMGTGTM Electrophoresis was performed at 50 V for 1 hour on AGAROSE (FMC Bio Products) -TAE buffer gel. The gel containing the DNA fragment corresponding to 4.1 kbp was cut out, extracted from the gel by the Hot-Phenol method, and purified to obtain about 640 ng of DNA fragment.
[0082]
▲ 2 ▼ -2
80 ng of the Δ1-49-5 ′ (190 bp) fragment obtained in (1) and 64 ng of the pCR-TR14 4.1 kbp fragment obtained in (2) -1 were obtained from UNI-Amp kit (CLONTECH). Using a ligation reagent (T4 ligase 37.5 U / ml), the reaction was carried out at 20 ° C. for 20 hours at 4 ° C. for binding. The obtained binding DNA was transferred to E. coli DH-10B strain (GIBCO BRL), BRL CellR E. coli pulserRThe gene was introduced using (GIBCO BRL). Escherichia coli into which the gene was introduced was inoculated on an LB agar medium containing 100 μg / ml of ampicillin and cultured overnight at 37 ° C., and a colony that was visually observed was used as a recombinant clone. These were subjected to PCR using the primers TR1 primer and TRS1 primer corresponding to base numbers 1-20 of Δ1-49TR cDNA, and a vector containing Δ1-49 cTR DNA in which an amplification product of 300 bp was observed by electrophoresis was introduced. When the presence or absence of the clone was analyzed, it was confirmed that the target DNA was introduced into 17 clones out of 84 recombinant clones. Among these clones, one clone pCR-Δ1-49TR clone e-01 was subjected to DNA base sequence analysis. For details pCRIIRSequence primer for vector site M13REV22 primer [SEQ ID NO: 10], M13FOR24 primer [SEQ ID NO: 11], Δ1-49 TR cDNA sequence primer TR1, TRS1, TRS2 [SEQ ID NO: 4, 6, and 7], TRS3 [SEQ ID NO: 8] ], TRS4 [SEQ ID NO: 9] and ABI PRISMTM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Reaction with AmplTaqR Using DNA polymerase FS (Perkin Elmer), the protocol attached to the manufacturer was followed. As an analysis apparatus, ABI 373A DNA Sequencer (Applied Biosystems, currently Perkin Elmer) was used. As a result, the DNA base sequence corresponding to the Δ1-49TR cDNA of pCR-Δ1-49TR clone e-1 was completely identical with the DNA base sequence shown in SEQ ID NO: 1, and therefore the target Δ1- It was confirmed that 49TR cDNA was correctly constructed. E. coli containing this pCR-Δ1-49TR clone e-01 was transformed into CIRCLEGROW containing 100 μg / ml of ampicillin.RIncubate overnight at 37 ° C. in the medium and transfer the contained plasmid to QIAGENR Extraction and purification with PLASMID MIDIKIT (QIAGEN) gave 34 μg of pCR-Δ1-49TR clone e-01 plasmid.
[0083]
[Preparation of Δ1-49TR cDNA-containing transfer vector]
A baculovirus transfer vector containing Δ1-49TR cDNA was prepared in the same manner as the transfer vector pAC-TR14 of full-length thrombin receptor cDNA. Briefly, a 1.2 kbp Δ1-49TR cDNA portion of pCR-Δ1-49TR clone e-01 was excised with the restriction enzymes BamHI and EcoRI, and the DNA fragment was treated with the restriction enzymes BamHI and EcoRI in the pVL1393 vector. Subcloned into PCR analysis using BacF primer and TRS2 primer was performed on the obtained 84 clones of recombinant clones, and it was confirmed that Δ1-49TR cDNA was cloned in 24 clones. Escherichia coli containing one of these clones, pAc-Δ1-49TR clone e01E01 plasmid, was cultured and purified to obtain about 390 μg of plasmid.
[0084]
[Preparation of recombinant baculovirus for expressing Δ1-49TR modified thrombin receptor]
A recombinant baculovirus containing Δ1-49TR cDNA was prepared in the same manner as the preparation of recombinant baculovirus pAC-TRF for expression of full-length thrombin receptor using 2 μg of pAc-Δ1-49TR clone e01E01 recombinant transfer vector. . Among recombinant virus clones, clone pAC-Δ1-49TR-3, which was confirmed to have Δ1-49TR cDNA incorporated by PCR with BacF and TR-S2 primers, was used as a set for Δ1-49TR modified TR expression. A replacement baculovirus was used. By infecting Sf9 insect cells with MOI = 0.25, 3 × 107A high concentration virus solution of pfu / ml was obtained.
[0085]
[Expression of thrombin receptor in insect cells by recombinant baculovirus]
Recombinant baculovirus AcTRF for thrombin receptor expression obtained as described above was prepared in a size of 150 cm.21.8 × 10 seeded in flask7Of Sf9 cells were infected at MOI = 0.6-1.0, and statically cultured at 27 ° C. for 40-48 hours. After culturing, the infected cells were collected and confirmed to have thrombin receptor expression and function by Western blotting and calcium influx experiments.
[0086]
[Western blotting]
Collected infected cells (150cm2About 6 x 10 flasks7) Was washed twice with PBS. All subsequent experiments were performed at 4 ° C. Next, it is suspended in 5 ml of a buffer for homogenization (containing 20 mM TrisHCl (pH 8.5), 5 mM EDTA, COMPLETE (TM) (manufactured by Boehringer)), and 30 strokes at 2500 rpm with a Teflon homogenizer. Homogenization was performed. This homogenate was placed in a 15 ml centrifuge tube and centrifuged at 2500 rpm (about 1000 g) for 10 minutes, and the supernatant was collected. The collected supernatant was subjected to ultracentrifugation at 50000 rpm for 1 hour to precipitate the crude membrane fraction. The precipitate was suspended in 1 ml of homogenizing buffer, dispensed in 50 μl aliquots, and stored frozen at −80 ° C. As a result of quantification using Nano Orange (TM) (manufactured by Boehringer), the protein concentration was 14 mg / ml. The crude membrane fraction thus obtained was subjected to SDS polyacrylamide gel electrophoresis using 10% gel at 25 μg-50 μg / lane, and transferred to a nitrocellulose membrane. The membrane was blocked with 3% gelatin / TBS for 1 hour at room temperature, washed 3 times with TBS-0.05% Tween and once with TBS. Thereafter, the reaction was carried out overnight at room temperature in a 1% gelatin / TBS solution containing 10-20 μg / ml of anti-TRAP rabbit polyclonal antibody obtained by immunizing rabbits with TRAP, which is the endogenous ligand region of thrombin receptor. The next day, the cells were washed three times with TBS-0.05% Tween and once with TBS, and reacted with an anti-rabbit IgG goat polyclonal HRP-labeled antibody (approximately 1 μg / ml, 1% gelatin / TBS solution) at room temperature for 1 hour. Next, it was washed 3 times with TBS-0.05% Tween and twice with TBS, and developed with Konica Immunostain HRP for 10 minutes at room temperature to detect the band. As a result, specific bands of about 45 kD and about 85 kD were observed in insect cells infected with the recombinant baculovirus for thrombin receptor expression, confirming that the thrombin receptor was expressed on the insect cell membrane. .
[0087]
[Calcium inflow experiment]
Collected infected cells (approximately 3 × 107) Was washed once with HEPES-Tyrode buffer (-Ca), suspended in 10 ml of HEPES-Tyrode buffer (containing 1 μg / ml Fura2-AM), and Fura2-AM was loaded at 27 ° C. for 30 minutes. The cells were collected by centrifugation at 800 rpm for 5 minutes at room temperature, washed twice with HEPES-Tyrode buffer (-Ca), and resuspended in 2 ml of HEPES-Tyrode buffer (-Ca). 2 μl of 1M CaCl in this cell suspension2Was added to a final concentration of 1 mM and incubated for 5 minutes at room temperature, protected from light. 490 μl of the Fura2-AM-loaded infected cells prepared as described above was put in a cuvette and measured with an intracellular calcium measuring apparatus (JASCO CAF-100 type). When [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light of 340 nm] / [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light of 380 nm] (reflecting intracellular calcium concentration) is stabilized at about 0.02, 10 μl of 10 unit / ml thrombin or 1.25 mM TRAP is added to the cuvette. Was added to stimulate and intracellular calcium concentration was measured over time. The inflow of calcium is detected by increasing the value of [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light 340 nm] / [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light 380 nm]. As a result, calcium influx was specifically observed in insect cells infected with the recombinant baculovirus for thrombin receptor expression (see Table 1). From this result, it was proved that a thrombin receptor having a function was expressed in insect cells.
[0088]
[Table 1]
[0089]
The values in the table are
The amount of change of [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light of 340 nm] / [fluorescence intensity of 500 nm by excitation light of 380 nm] is represented (a higher value represents a stronger reaction). Mean value SD of 4 measurements.
[0090]
Example 2:Immunization of mice and preparation of phagemid library from spleen cellsThe preparation of the phagemid library was in accordance with the method of the recombinant phage antibody system (Pharmacia).
Immunization for antibody gene acquisition was performed as follows. Sf9 insect cell 2 × 107The cells were seeded in a cell culture flask and allowed to stand for 30 minutes, and then infected with the aforementioned pcΔ1-49TR-3 virus at MOI = 2 and cultured at 27 ° C. for 40 hours. The infected cells were collected, washed twice with PBS (20 mM sodium phosphate buffer containing 0.9% NaCl), and suspended in 40 ml of PBS containing 0.2 M sodium azide. The cell suspension was allowed to stand at room temperature for 30 minutes, and 50 μL was collected and mixed with an equal amount of 0.2% trepan blue staining solution. When the cells were observed with an optical microscope, all cells were stained blue. From this, it was judged that the collected infected cells were 100% dead cells. The dead insect cells were washed twice with PBS and then suspended in about 3 ml of PBS. The resulting dead cellized insect cells are approximately 6 × 107It was a cell. 30 μL of inactivated pertussis bacteria (Sigma) was added to 3 ml of the cells, and then 1 ml each was intraperitoneally administered to BALB / c mice. Thereafter, immunization was carried out 4 times every 2 weeks in the same manner, and after 4 days from the last immunization, the mice were sacrificed and the spleen was removed.
[0091]
The spleen was excised from mice immunized with Δ1-49TR expressing insect cells, and mRNA was extracted. Using this as a template, the antibody H chain and L chain genes were amplified separately using PCR primers of Hong Zhou et al. (Nucleic Acid Reserch, 1994, vol. 22, No. 5, 888-889). . The obtained DNA was ligated using a linker, and a DNA fragment of about 750 bp was separated and recovered by agarose gel electrophoresis. This DNA was digested with restriction enzymes NotI and SfiI, and a DNA fragment of about 750 bp was again separated and collected by agarose gel electrophoresis. The thus obtained DNA fragment was named anti-D1-49TR expressing insect cell scFv / NotI-SfiI.
[0092]
The pCANTAB5 vector of Amersham Pharmacia Biotech was digested with restriction enzymes NotI and SfiI, and DNA fragments were separated and collected by agarose gel electrophoresis. A histidine Tag adapter (SEQ ID NO: 15) was ligated to this DNA fragment using TAKARA's Ligation kit VerII (TM) and introduced into E. coli DH10B. This gene vector-introduced Escherichia coli was inoculated on an LB-agarose solid medium containing 100 μg / mL ampicillin to obtain a clone. Plasmid DNA of 20 clones of them was obtained by QIAGEN plasmid extraction kit, and EBI tag primer and PE applied Biosystems ABI PRISM (TM) Dye terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit and ABI DNA sequence 37A By analyzing the above, a vector in which the histidine Tag adapter was cloned in the correct direction was selected and named pCANTAB6HE vector. Further, a vector obtained by cleaving this pCANTAB6HE vector with restriction enzymes NotI and SfiI was named pCANTAB6HE / NotI-SfiI.
[0093]
Ligation reaction of anti-D1-49TR expressing insect cells scFv / NotI-SfiI and pCANTAB6HE / NotI-SfiI was performed using a ligation kit (manufactured by TAKARA). Transformation was performed using this ligation solution and competent cells TG1-tr.
[0094]
The transformed solution was plated on 2 × YT (tryptone 16 g, yeast extract 10 g, NaCl 5 g / L) agar plate containing ampicillin (final concentration 100 μg / ml), and incubated at 37 ° C. overnight. The colonies formed on the plate were scraped and suspended in 2 × YT medium to obtain a phagemid library (the size of the library was about 1.3 × 10 × 10).8pfu). The prepared phagemid library was added at a final concentration of about 25% and stored at −80 ° C.
[0095]
Example 3:Panning using Δ1-49TR expressing insect cells
100 μl of the phagemid library obtained in Example 2 was added to 50 ml of 2 × YT medium containing ampicillin (final concentration 100 μg / ml) and glucose (2%), and cultured at 37 ° C. until the OD at 600 nm reached 0.6. did. Helper phage M13KO7 (5 × 10Ten55 μl of pfu / ml) was added and infected for 1 hour.
[0096]
The cells were collected by centrifugation, suspended in 2 × YT medium containing ampicillin (final concentration 100 μg / ml) and kanamycin (final concentration 50 μg / ml), and cultured with shaking at 37 ° C. overnight. After centrifuging the culture solution, the supernatant was collected, and a 1/5 volume of 20% polyethylene glycol and 2.5 M NaCl solution was added to precipitate and collect the phage. The recovered phage was suspended in sterilized water.
[0097]
Next, phage and AcMNPV-infected insect cells were mixed in a solution containing 2% skim milk and allowed to react at room temperature for 30 minutes. Phage bound to the cells were removed by centrifugation and the supernatant was again mixed with AcMNPV infected insect cells. This operation was repeated 10 times to remove phages that bound to AcMNPV-infected insect cells.
[0098]
Subsequently, the phage solution and Δ1-49TR-expressing insect cells were mixed and reacted at room temperature for 1 hour. Phage that did not bind by centrifugation (supernatant) was removed, and non-specific binding was eliminated by 5 additional washing operations. Thereafter, phages were removed from the cells with 0.1 M HCl and recovered, and neutralized with an equal amount of 1 M Tris-HCl. The collected phages were infected with E. coli TG1-tr for 1 hour, and cultured on 2 × YT agar plates containing ampicillin (final concentration 100 μg / ml) overnight to produce colonies. 49TR-expressing insect cells were used as a single panning phagemid library.
[0099]
Phagemids that bind to Δ1-49TR-expressing insect cells were concentrated by repeating the operations of phage preparation and recovery of phages that bind to cells four times. The number of phage eluted in each panning step was 8 × 10 in order from the first.7pfu, 1 × 108pfu, 1 × 109pfu, 6 × 10Tenpfu.
[0100]
Example 4:Preparation of purified scFv
[Standard scFv producing strain culture method and periplasm fraction acquisition method]
(1) The scFv-producing Escherichia coli strain is inoculated into 30 ml of the following preculture solution and cultured overnight at 30 ° C. and 160 rpm. (Preculture composition: 2 × YT medium, 100 μg / ml ampicillin, containing 0.5% glucose)
(2) Add 30 ml of the overnight culture to 300 ml of the main culture. (Main culture solution composition: 2 × YT medium, 100 μg / ml ampicillin, 0.4 M sucrose contained)
(3) After culturing at 30 ° C. and 160 rpm for 1 hour, IPTG (isopropylthiogalactoside) is added to a final concentration of 1 mM to induce scFv production. Furthermore, it culture | cultivates for 6 hours at 30 degreeC and 160 rotation / min.
(4) The culture solution is transferred to a 500 ml centrifuge tube and centrifuged at 4 ° C. and 5500 rpm for 20 minutes.
(5) The precipitate is collected and suspended in 1.8 ml of 10 × HEPES buffer (containing 1 mM APMSF, 4 ° C.).
(6) Transfer to a 40 ml centrifuge tube and leave on ice for 15 minutes. (Vortex every 5 minutes)
(7) Centrifuge at 4 ° C. and 8000 rpm for 10 minutes.
(8) Collect the supernatant and store at 4 ° C.
(9) The precipitate is suspended in 16.2 ml of water for injection (containing 1 mM APMSF, 4 ° C.).
(10) Let stand on ice for 20 minutes. (Vortex every 5 minutes)
(11) Centrifuge at 4 ° C. and 12,000 rpm for 20 minutes.
(12) Collect the supernatant and combine it with the supernatant stored in (8) to make the “periplasm fraction”.
(13) Store at 4 ° C. or store frozen at −20 ° C.
[0101]
[Standard scFv purification method]
(1) About 3/10 Ni-NTA agarose (1/20 amount as the amount of agarose carrier) of about 1/10 amount of periplasm fraction (30 ml) is measured.
(2) Centrifuge at 600 rpm for 3 minutes at room temperature.
(3) Discard the supernatant, add 1.5 ml of deionized water, and stir.
(4) Suction with a vacuum pump and degas for 10-20 minutes.
(5) Load a 30 ml volume column with Ni-NTA agarose.
(6) Let stand at room temperature for 1 hour.
(7) Equilibrate the column with 15 ml buffer 1 (HEPES-Tyrode, 150 mM NaCl, 20 mM imidazole, pH 8).
(8) Apply 30 ml of periplasm fraction twice at 4 ° C. at a dropping rate of 0.5 min / ml. All the following operations are performed at 4 ° C.
(9) Wash with 15 ml buffer 2 (HEPES-Tyrode, 150 mM NaCl, 10 mM imidazole, 1 mM APMSF, pH 8).
(10) Elute scFv twice with 1.5 ml buffer 3 (HEPES-Tyrode, 650 mM NaCl, 250 mM imidazole, pH 8).
(11) Concentrate with Millicup LGC (Millipore).
(12) Dialyze twice with 1000 volumes of HEPES-Tyrode buffer.
(13) The purified scFv is recovered and stored frozen at 4 ° C or -20 ° C.
[0102]
Example 5:Evaluation of recombinant TR-expressing insect cells
The phage panned four times with the Δ1-49TR-expressing insect cells prepared in Example 1 were infected with E. coli HB2151, and incubated overnight at 37 ° C. to form colonies.
[0103]
The thus obtained phagemid-transformed Escherichia coli HB2151 strain was cultured overnight at 30 ° C. in 2 × YT medium containing ampicillin (final concentration 100 μg / ml) and glucose (final concentration 0.5%). 10 μl of the culture solution was taken, suspended in a medium containing 100 μl of ampicillin (final concentration 100 μg / ml), and cultured with shaking at 30 ° C. for 1 hour. Here, IPTG was added to a final concentration of 1 mM, and shaking culture was further continued for 6 hours, and then the pellet was collected by centrifugation. To this was added 10 × Hepes-Tyrode buffer to suspend the cells, and the mixture was allowed to stand at 4 ° C. for 15 minutes. Finally, distilled water was added and 1 × Hepes-Tyrode buffer (10 mM HEPES, 129 mM NaCl, 8.9 mM NaHCO 3) was added.Three2.8 mM KCl, 0.8 mM KH2POFour5.6 mM D-glucose, 0.8 mM MgCl2/ L) was recovered as a periplasmic fraction. This was used as a scFv sample for binding evaluation.
[0104]
Evaluation of the binding to Δ1-49TR expressing insect cells was performed as follows.
First, a 96-well multiscreen plate (Millipore) was coated with 3% bovine serum albumin, Δ1-49TR-expressing insect cells and AcMNPV-infected insect cells were added as antigens, and the prepared scFv was mixed for 1 hour. The mixture was reacted at room temperature and detected with an HRP / anti-E tag antibody conjugate that recognizes the E tag portion present on the C-terminal side of scFv. Thus, 540 colonies were evaluated and 34 scFvs that bound to Δ1-49TR-expressing insect cells and did not bind to AcMNPV-infected insect cells were selected.
[0105]
Example 6:Ca influx inhibition evaluation using human megakaryocyte cells
The ability of the scFv prepared in Example 4 to inhibit thrombin-induced calcium influx was evaluated by the method shown below. That is, a megakaryocyte cell line is suspended in HEPES-tyrode buffer, and Fura2-AM (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) having a final concentration of 1 μM is incubated at 37 ° C. for 50 minutes. Washed twice and cell density 3.33 × 106It was prepared to be cells / ml. Next, 200 μl of the scFv solution prepared in Example 4 was mixed with 300 μl of the cell suspension, incubated at room temperature for 30 minutes, and CaCl was adjusted to a final concentration of 1 mM.2And further incubated at room temperature for 5 minutes. Human plasma-derived thrombin (manufactured by Sigma) was added so that the final concentration was 0.4 U / ml, and the amount of intracellular calcium influx 30 seconds after the addition was determined using CAF-100 (manufactured by JASCO Corporation). It was measured. As an example, relative values and inhibition rates are calculated for four clones (N021, N022, N023, N025) when the calcium influx is 100 when incubated with HEPES-tyrode buffer instead of scFv solution. (See Table 2).
[0106]
[Table 2]
[0107]
Example 7:Evaluation of platelet aggregation inhibition
Blood was collected as a 0.38% citrated blood from a healthy person and centrifuged at 900 rpm for 15 minutes to obtain plasma rich in platelets. Platelets were purified by developing the plasma with Sepharose 2B in HEPAS-Tyrode buffer, and washed platelet suspension (> 2 × 108/ Ml) was prepared. 90 μl of scFv solution was mixed with 210 μl of the obtained platelet suspension and allowed to stand for 20 minutes. Of these, 285 μl was dispensed into a cuvette and stabilized at 37 ° C. for 2 minutes while stirring with an aggregometer PAM8C (Mebanics Corp.). While measuring the turbidity of the platelet suspension, 7.5 μl CaCl2Aqueous solution (final concentration 1.5 mM) was added. In addition, 7.5 μl of human thrombin (final concentration 0.1-0.2 U / ml) was added to induce platelet aggregation, and the degree of platelet aggregation was measured for 11 minutes from the change in turbidity. Platelet aggregation inhibition was evaluated. Table 3 shows examples of scFv inhibitory activity when the maximum aggregation degree induced by thrombin is 100%.
[0108]
[Table 3]
[0109]
Example 8:Synovial cell growth inhibition evaluation
As shown in Example 4, the endotoxin was further removed from the scFv purified with the Ni-NTA column. Fractions from which 160 ml of Ni-NTA column eluate was concentrated to 90 ml using an ultrafiltration membrane, filtered through a 0.22 μm filter, and then subjected to gel filtration chromatography using Sephacryl S-100 to elute scFv Minutes were collected. It was loaded again onto a Ni-NTA column to obtain 60 ml elution fraction, which was concentrated to 10 ml using an ultrafiltration membrane. It was dialyzed twice against 2 L of HEPES-tyrode buffer, then loaded onto an affinity column using crab shell chitosan porous particles, and the flow-through fraction was collected and filtered through a 0.22 μm filter. . Table 4 shows the amounts of endotoxin and protein in each purification step.
[0110]
[Table 4]
[0111]
Next, synovial cells that were subcultured after several primary passages from the synovial tissue of patients with rheumatoid arthritis by the explant method were transferred to 5 × 10 5 per well in a 96-well microtiter plate.ThreeInoculate cells to 37 ° C, 5% CO in DMEM medium containing 10% FBS.2For 3 days. The supernatant was removed, washed with serum-free DMEM medium, DMEM medium containing 0.1% FBS was added, and the cells were further cultured under serum starvation conditions for 48 hours. The scFv from which endotoxin was removed was added thereto and incubated for 30 minutes, and then human plasma-derived thrombin (manufactured by Sigma) was added to a final concentration of 10 U / ml. 24 hours after the addition, BrdU, which is an analog of thymidine, was added to a final concentration of 1 mM, and 48 hours after the addition, BrdU incorporated into the cell nucleus was immobilized by a protein solid phase solution, and an enzyme-labeled anti-BrdU antibody was immobilized. Detected. Table 5 shows examples of scFv inhibitory activity when the amount of BrdU incorporation induced by thrombin is 100%.
[0112]
[Table 5]
[0113]
Example 9:Determination of the epitope of scFv
The following 94 types of 15 amino acids were solid-phase synthesized on 94 pins so that the C-terminal was on the solid-phase side. The peptides are all peptides included in the extracellular region of the PAR type 1 human thrombin receptor.
[0114]
1st to 15th amino acid sequence [SEQ ID NO: 16] on the amino terminal side of the human thrombin receptor, also 2nd to 16th amino acid sequence [SEQ ID NO: 17], and 3rd to 17th amino acid sequence [SEQ ID NO: 18] ], From the 4th to 18th amino acid sequence [SEQ ID NO: 19], from the 5th to 19th amino acid sequence [SEQ ID NO: 20], from the 6th to 20th amino acid sequence [SEQ ID NO: 21], also from the 7th 21st amino acid sequence [SEQ ID NO: 22], 8th to 22nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 23], 9th to 23rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 24], 10th to 24th amino acid Sequence [SEQ ID NO: 25], also the 11th to 25th amino acid sequence [SEQ ID NO: 26], also 12 26th amino acid sequence [SEQ ID NO: 27], 13th to 27th amino acid sequence [SEQ ID NO: 28], 14th to 28th amino acid sequence [SEQ ID NO: 29], 15th to 29th amino acid Sequence [SEQ ID NO: 30], 16th to 30th amino acid sequence [SEQ ID NO: 31], 17th to 31st amino acid sequence [SEQ ID NO: 32], 18th to 32nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 33] ], 19th to 33rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 34], 20th to 34th amino acid sequence [SEQ ID NO: 35], 21st to 35th amino acid sequence [SEQ ID NO: 36], 22nd To the 36th amino acid sequence [SEQ ID NO: 37], also from the 23rd to 37th amino acid sequence SEQ ID NO: 38], also from the 24th to 38th amino acid sequence [SEQ ID NO: 39], from the 25th to 39th amino acid sequence [SEQ ID NO: 40], from the 26th to 40th amino acid sequence [SEQ ID NO: 41], Similarly, the 27th to 41st amino acid sequence [SEQ ID NO: 42], the 41st to 55th amino acid sequence [SEQ ID NO: 43], the 42nd to 56th amino acid sequence [SEQ ID NO: 44], and the 43rd to 57th amino acid sequence. The amino acid sequence [SEQ ID NO: 45], the 44th to 58th amino acid sequence [SEQ ID NO: 46], the 45th to 59th amino acid sequence [SEQ ID NO: 47], the 46th to 60th amino acid sequence [ SEQ ID NO: 48], the 47th to 61st amino acid sequence [SEQ ID NO: 49], also the 48th 62nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 50], 49th to 63rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 51], 50th to 64th amino acid sequence [SEQ ID NO: 52], 51st to 65th amino acid sequence Amino acid sequence [SEQ ID NO: 53], 52nd to 66th amino acid sequence [SEQ ID NO: 54], 53rd to 67th amino acid sequence [SEQ ID NO: 55], 54th to 68th amino acid sequence [SEQ ID NO: 56], 55th to 69th amino acid sequence [SEQ ID NO: 57], 56th to 70th amino acid sequence [SEQ ID NO: 58], 57th to 71st amino acid sequence [SEQ ID NO: 59], 58 From the 72nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 60], also from the 59th to 73rd amino acid sequence SEQ ID NO: 61], 60th to 74th amino acid sequence [SEQ ID NO: 62], 61st to 75th amino acid sequence [SEQ ID NO: 63], 62nd to 76th amino acid sequence [SEQ ID NO: 64], Also from the 63rd to 77th amino acid sequence [SEQ ID NO: 65], from 64th to 78th amino acid sequence [SEQ ID NO: 66], from 65th to 79th amino acid sequence [SEQ ID NO: 67], from 66th to 80th The amino acid sequence [SEQ ID NO: 68], the 67th to 81st amino acid sequence [SEQ ID NO: 69], the 68th to 82nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 70], and the 69th to 83rd amino acid sequence [ SEQ ID NO: 71], also from the 70th to 84th amino acid sequence [SEQ ID NO: 72], also from 71 The 85th amino acid sequence [SEQ ID NO: 73], the 72nd to 86th amino acid sequence [SEQ ID NO: 74], the 73rd to 87th amino acid sequence [SEQ ID NO: 75], and the 74th to 88th amino acid sequence. Amino acid sequence [SEQ ID NO: 76], 75th to 89th amino acid sequence [SEQ ID NO: 77], 76th to 90th amino acid sequence [SEQ ID NO: 78], 77th to 91st amino acid sequence [SEQ ID NO: 79], also from the 78th to 92nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 80], from the 79th to 93rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 81], from the 80th to 94th amino acid sequence [SEQ ID NO: 82], also from 81 95th to 95th amino acid sequence [SEQ ID NO: 83], also the 82nd to 96th amino acid sequence [SEQ ID NO: 84], 83rd to 97th amino acid sequence [SEQ ID NO: 85], 84th to 98th amino acid sequence [SEQ ID NO: 86], 85th to 99th amino acid sequence [SEQ ID NO: 87] Also from the 86th to the 100th amino acid sequence [SEQ ID NO: 88], from the 87th to the 101st amino acid sequence [SEQ ID NO: 89], from the 88th to the 102nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 90], also from the 89th 103rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 91], 90th to 104th amino acid sequence [SEQ ID NO: 92], 159th to 173rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 93], 160th to 174th amino acid sequence [SEQ ID NO: 94], similarly, amino acid sequence from position 235 to position 249 [sequence Issue 95]. Also from the 236th to 250th amino acid sequence [SEQ ID NO: 96], from 237th to 251st amino acid sequence [SEQ ID NO: 97], from 238th to 252nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 98], from 239th to 253 The amino acid sequence [SEQ ID NO: 99], the 240th to 254th amino acid sequence [SEQ ID NO: 100], the 241st to 255th amino acid sequence [SEQ ID NO: 101], and the 242nd to 256th amino acid sequence [ SEQ ID NO: 102], amino acid sequence from 243 to 257 [SEQ ID NO: 103], amino acid from 244 to 258 [SEQ ID NO: 104], amino acid from 245 to 259 [SEQ ID NO: 105], Also from 246th to 260th a No acid sequence [SEQ ID NO: 106], amino acid sequence from 247 to 261 [SEQ ID NO: 107], amino acid sequence from 248 to 262 [SEQ ID NO: 108], amino acid sequence from 329 to 346 [sequence] Number 109]
[0115]
After immersing the pins on which 94 kinds of peptides were immobilized in precoat buffer (2% BSA, 0.1% Tween 20, 0.1% sodium azide 0.01M PBS) at room temperature for 60 minutes, washing buffer Wash with (0.01M PBS) at room temperature for 10 minutes. Next, the mixture was reacted at 20 ° C./scFv solution (containing 1% BSA and 0.1% skim milk) at 4 ° C. overnight, and then washed 4 times with a washing buffer. Next, the concentration of 1Eg / ml (containing 1% BSA, 0.1% skim milk, 0.01M PBS) of 9E10, which is an antibody specifically recognizing the cF-myc tag of scFv, conjugated with horseradish peroxidase The mixture was reacted at room temperature for 60 minutes and then washed 4 times with a washing buffer. Next, the pin was immersed in the color former solution (ABTS) for 10 minutes, and the absorbance of the color former solution at a wavelength of 405 nm was measured. As a result, scFv clones N022 and N025 that inhibit synovial cell proliferation specifically bound to the following amino acid sequences. That is, the amino acid sequence from the 41st to 55th amino acid sequence [SEQ ID NO: 43] on the amino terminal side of the PAR1 type human thrombin receptor, the 42nd to 56th amino acid sequence [SEQ ID NO: 44], and the 43rd to 57th amino acid sequence. [SEQ ID NO: 45], also the amino acid sequence from the 44th to the 58th amino acid [SEQ ID NO: 46], the amino acid sequence from the 45th to the 59th amino acid [SEQ ID NO: 47], and the amino acid sequence from the 46th to the 60th [SEQ ID NO: 48] The 47th to 61st amino acid sequence [SEQ ID NO: 49], the 48th to 62nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 50], the 49th to 63rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 51], and the 50th amino acid sequence. 64th amino acid sequence [SEQ ID NO: 52], also the 51st to 65th amino acids Is acid sequence [SEQ ID NO: 53].
[0116]
This indicates that the epitopes of scFv clones N022 and N025 that inhibit the synovial cell proliferation induced by thrombin recognize the amino acid sequences 52 to 56 on the amino terminal side of the PAR1 human thrombin receptor. .
[0117]
Moreover, scFv clone N018 which does not inhibit synovial cell proliferation specifically bound to the following amino acid sequence. That is, the amino acid sequence from the 41st to 55th amino acid sequence [SEQ ID NO: 43] on the amino terminal side of the human thrombin receptor, the 42nd to 56th amino acid sequence [SEQ ID NO: 44], and the 43rd to 57th amino acid sequence [sequence] No. 45], the 44th to 58th amino acid sequence [SEQ ID NO: 46], the 45th to 59th amino acid sequence [SEQ ID NO: 47], the 46th to 60th amino acid sequence [SEQ ID NO: 48], 47th to 61st amino acid sequence [SEQ ID NO: 49], 48th to 62nd amino acid sequence [SEQ ID NO: 50], 49th to 63rd amino acid sequence [SEQ ID NO: 51], 50th to 64th Amino acid sequence [SEQ ID NO: 52], and also from the 51st to 65th amino acid sequence [ Column number 53 is a.
[0118]
From this, it was shown that the epitope of scFv that inhibits synovial cell proliferation induced by thrombin is the amino acid sequence from the 51st to the 56th amino acid side of the human thrombin receptor.
[0119]
Example 10:Kinetics analysis of scFv
Kinetics specificity for the scFv epitope having the ability to inhibit synovial cell proliferation was verified using a surface plasmon resonance sensor BIACORE1000 (BIACORE).
[0120]
The following 21 amino acids were synthesized (Biologica Inc.). This peptide is included in the extracellular region of the PAR1-type human thrombin receptor and contains a scFv epitope having an ability to inhibit active cell growth.
Amino acid sequence of amino acids 47 to 67 of the human thrombin receptor [SEQ ID NO: 110]
Asn Pro Asn Asp Lys Tyr Glu Pro Phe Trp Glu Asp Glu Glu Lys Asn Glu Ser Gly Leu Thr
[0121]
A KLH complex was prepared for a peptide having the amino acid sequence of the 47th to 67th amino acids [SEQ ID NO: 110] on the amino terminal side of the PAR1 human thrombin receptor. First, 1 mg of the 47th to 67th amino acid sequence peptide of the amino terminal side of the PAR type 1 human thrombin receptor was transferred to the EDC Conjugation Buffer 0 of Kit using the “Immun Immunogen EDC Conjugation Kit With KLH and BSA” commercially available from PIERCE. Dissolved in 25 ml (peptide 4 mg / ml) and 0.1 ml of KLH solution (10 mg / ml) was added. Further, 25 μl of EDC (10 mg / ml) was slowly added dropwise to the peptide / KLH mixture with stirring, and the mixture was subsequently stirred for 30 minutes at room temperature. Thereafter, 350 μl of EDC Conjugation Buffer was added to stop the reaction. Then, it dialyzed twice with respect to PBS buffer pH7.4, 3L, and obtained KLH complex peptide.
[0122]
The KLH complex peptide having the amino acid sequence from the 47th to the 67th amino acid sequence on the amino terminal side of the human thrombin receptor or KLH as a reference was immobilized on a CM5 sensor chip (BIACORE). The “amine coupling kit” commercially available from BIACORE was used in accordance with the program attached to the supplier. BIACORE Control Software Ver. 1.2 using CMBS sensor chip with commercially available HBS-EP buffer (0.01 M HEPES, 0.15 M NaCl, 3 mM EDTA, 0.005% polysorbate 20 (v / v)) at a flow rate of 5 μl / min. Washed away. Further, a 1: 1 mixture of EDC / NHS from the amine coupling kit was reacted for 7 minutes (35 μl) to activate carboxymethyldextran on the sensor chip surface. 100 μg / ml of KLH Conjugated Peptide or KLH was allowed to react on the sensor chip for 7 minutes (35 μl), and ethanolamine in the amine coupling kit was reacted for 7 minutes (35 μl) to react with the remaining active NHS groups. Blocked.
[0123]
Using the KLH immobilized on the sensor chip as a reference, the scFv binding dissociation curve for the peptide was measured. The scFv was adjusted to 50 μg / ml, 25 μg / ml, 12.5 μg / ml, and 6.25 μg / ml with HBS-EP buffer, and each scFv solution was reacted with the sensor chip at a flow rate of 20 μl / min for 3 minutes. . Thereafter, HBS-EP buffer was flowed at a flow rate of 20 μl / min for 5 minutes, and the sensor chip was repeatedly washed with 10 mM HCl at 20 μl / min for 1 minute. The binding dissociation curve of each scFv for the peptide was obtained by measuring the mass change of the sensor chip surface in a series of operations. From the obtained binding dissociation curve and the concentration of each scFv, BIAevaluation software ver. The binding dissociation constant of each scFv was calculated using 2.1 according to the program attached to the company. As a result, the binding dissociation constant (KD value) of each scFv is scFv having synovial cell proliferation inhibitory activity, and the KD value is about 5 × 10.-7M, scFv without synovial cell proliferation inhibitory activity, KD value: about 1 × 10-7M (see Table 6).
[0124]
[Table 6]
[0125]
Example 11:Comparison of amino acid residue specificity of epitopes of scFv
Verification of amino acid residue specificity in the epitope of scFv having the ability to inhibit synovial cell proliferation was performed using a surface plasmon resonance sensor BIACORE1000 (BIACORE).
[0126]
Five types of 21 amino acids shown below were synthesized (Biologica Co., Ltd.). The four peptides are peptides included in the extracellular region of the human thrombin receptor and amino acid residue-substituted peptides.
[0127]
That is, the amino acid sequence from the 47th to the 67th amino acid sequence [SEQ ID NO: 112] on the amino terminal side of the human thrombin receptor, and the amino acid sequence in which the 51st lysine in the 47th to 67th amino acid residues is substituted with alanine [SEQ ID NO: 113] ], The amino acid sequence in which the 55th phenylalanine in the 47th to 67th amino acid residues is substituted with alanine [SEQ ID NO: 114], and the 56th tryptophan in the 47th to 67th amino acid residues is also substituted with alanine. Amino acid sequence [SEQ ID NO: 115] and control 21 amino acid sequence [SEQ ID NO: 111]
Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Ile Met Lys Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe
It is.
[0128]
A KLH complex was prepared for a peptide having the amino acid sequence from the 47th to the 67th amino acid sequence [SEQ ID NO: 112] on the amino terminal side of the PAR1-type human thrombin receptor. Using “Image Immunogen EDC Conjugation Kit With KLH and BSA” commercially available from PIERCE, 1 mg of the amino acid sequence peptide from the 47th to the 67th amino acid side of the PAR1 human thrombin receptor was added to the EDC Conjugation buffer solution of Kit. It melt | dissolved in 25 ml (peptide 4 mg / ml), and 0.1 ml of KLH solution (10 mg / ml) was added. Further, 25 μl of EDC (10 mg / ml) was slowly added dropwise to the peptide / KLH mixed solution while stirring, and then stirred for 30 minutes at room temperature. Thereafter, 350 μl of EDC Conjugation buffer was added to stop the reaction. Furthermore, it dialyzed twice against PBS buffer pH7.4, 3L, and obtained KLH complex peptide.
[0129]
A KLH complex peptide having the amino acid sequence from the 47th to the 67th amino acid sequence on the amino terminal side of the human thrombin receptor and KLH as a reference were immobilized on a CM5 sensor chip (BIACORE). The “amine coupling kit” commercially available from BIACORE was used in accordance with the program attached to the supplier. BIACORE Control Software Ver. 1.2 using CMBS sensor chip with commercially available HBS-EP buffer (0.01 M HEPES, 0.15 M NaCl, 3 mM EDTA, 0.005% polysorbate 20 (v / v)) at a flow rate of 5 μl / min. Washed away. Further, a 1: 1 mixture of EDC / NHS from the amine coupling kit was reacted for 7 minutes (35 μl) to activate carboxyl dextran on the sensor chip surface. 100 μg / ml of KLH conjugate peptide or KLH was allowed to react on the sensor chip for 7 minutes (35 μl), and ethanolamine in the amine coupling kit was reacted for 7 minutes (35 μl) to remove the remaining NHS groups. Blocked.
[0130]
Using KLH immobilized on the sensor chip as a reference, the binding of scFv to the peptide was confirmed. scFv was adjusted to 50 μg / ml with HBS-EP buffer, and reacted at a flow rate of 10 μl / min for 3 minutes. Thereafter, HBS-EP buffer was flowed at a flow rate of 20 μl / min for 5 minutes, and the sensor chip was repeatedly washed with 10 mM HCl at 20 μl / min for 1 minute. The maximum amount of each scFv binding to the peptide was obtained by measuring the mass change of the sensor chip surface in a series of operations. A scFv with synovial cell proliferating activity gave a maximum binding amount of about 300 RU, and a scFv without synovial cell proliferating activity gave a binding value of about 600 RU.
[0131]
With reference to KLH immobilized on the above-mentioned line sensor chip, competitive binding inhibition by each peptide of the scFv5 species against the peptide was measured. A mixture of scFv (final concentration 50 μg / ml) and peptide (final concentration 5 μg / ml) was prepared in HBS-EP buffer, and the scFv-peptide mixture was reacted at a flow rate of 10 μl / min for 3 minutes.
[0132]
The control peptide did not inhibit the binding of both scFv with and without synoviocyte growth inhibitory activity. In the amino acid sequence peptide from the 47th to the 67th amino acid side of the human thrombin receptor, the binding was inhibited for both scFv having and synovial cell proliferation inhibitory activity.
[0133]
In scFv having no active membrane cell growth inhibitory activity, an amino acid peptide in which the 51st lysine is substituted with alanine in the 47th to 67th amino acid residues on the amino terminal side of the human thrombin receptor, and the 47th to 67th Among amino acid residues, amino acid peptide in which 55th phenylalanine is substituted with alanine does not inhibit binding, and amino acid peptide in which 56th tryptophan is substituted with alanine in 47th to 67th amino acid residues on the amino terminal side Binding inhibition was observed.
[0134]
In scFv having synoviocyte growth inhibitory activity, among the 47 th to 67 th amino acid residues on the amino terminal side of the human thrombin receptor, the amino acid peptide in which the 51 st lysine is substituted with alanine and the 47 th to 67 th amino acid residues Among them, the amino acid peptide in which the 55th phenylalanine was substituted with alanine was found to inhibit binding, and the amino acid peptide in which the 56th tryptophan was substituted with alanine in the 47th to 67th amino acid residues on the amino terminal side of the human thrombin receptor. No binding inhibition was observed.
[0135]
Although both scFv with and without synoviocyte growth inhibitory activity recognized an overlapping amino acid sequence as an epitope, it was confirmed that there is a difference in importance for each amino acid residue in the epitope.
[0136]
For thrombin-induced synoviocyte growth inhibition, it was confirmed that the 56th tryptophan residue from the amino acid terminal of the human thrombin receptor is an important binding site for scFv.
[0137]
【The invention's effect】
The agent (polypeptide or compound) of the present invention suppresses signal transduction through the thrombin receptor and suppresses cell growth inhibitory activity and production and release of inflammatory mediators such as TNF-α, IL-6, and IL-1β. It is used as a therapeutic agent for various inflammatory diseases and cell proliferative diseases.
[0138]
[Sequence Listing]
[0139]
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