JP4465062B2 - 計算機式断層写真装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
この発明は全般的に計算機式断層写真装置、更に具体的に言えば、多重スライス計算機式断層写真装置を用いて傾動ガントリを用いて走査を実施する時の画像の再構成に関する。
典型的なCT装置の形式では、x線源が扇形ビームを投射する。このビームは、直角座標系のX−Y平面内にあるようにコリメートされていて、この平面は一般的に「作像平面」と呼ばれている。x線ビームが患者の様な作像しようとする物体を通過する。ビームは、物体による減衰を受けた後、放射検出器の配列に入射する。検出器配列が受け取った減衰したビーム放射の強度は、物体によるx線ビームの減衰に関係する。配列の各々の検出素子又はセルが、その検出器の場所に於けるビームの減衰の測定値である別々の電気信号を発生する。すべての検出セルからの減衰測定値を別々に収集して透過分布を作る。
【0002】
典型的なCT装置では、x線源及び検出器配列が作像平面内でガントリと共に作像しようとする物体の周りを回転し、この為、x線ビームが物体と交わる時の回転角度が絶えず変化する。ある1つのガントリの回転角度で検出器配列から得られた一群のx線減衰測定値、即ち、投影データが「図」と呼ばれる。物体の「走査」は、x線源及び検出器が1回転する間の異なるガントリの回転角度または図の角度で求められた1組の図で構成される。ある走査では、投影データが、物体を通り抜ける様な2次元スライスに対応する画像を構成するように処理される。この過程が画像再構成と呼ばれ、色々な画像再構成方式がある。1組の投影データから画像を再構成するこの様な1つの方法が、この業界では、フィルタ逆投影方式と呼ばれている。この方法は、走査で得られた減衰測定値を「CT数」又は「ハウンズフィールド単位」と呼ばれる整数に変換し、この整数を使って、陰極線管表示装置の対応する画素の輝度を制御し、こうして画像を発生する。
【0003】
典型的には、各々のスライスが患者の縦軸線に対して垂直になるように、即ち、スライスが互いに略平行であって、Z方向に相隔たるように、画像スライスが収集される。しかし、患者の内部のある構造を視覚的に捉え易くするためには、垂直でない向きのスライスを収集する事が好ましい場合が多い。例えば、患者の縦軸線に対して90度以内の角度で求めたスライス、即ち非横断平面スライスが、ある内部器官を調べるときに好ましい。
【0004】
この様な角度配向にする為、装置のガントリを、x線源の回転軸線又はガントリ軸線が患者の軸線に対して傾斜するように傾ける。ガントリを異なる傾き角に位置ぎめすることが出来る様に、ガントリを旋回点の周りに傾動させる。符号器又は他の何らかの変換器をガントリに結合して、この傾き角を検出する。この符号器または変換器が示す、旋回点の周りのガントリの角度配向(θ)を、装置の動作を制御するようにプログラムされた制御プロセッサに供給する。
【0005】
しかし、「多重スライス」装置の名前で知られているように、Z方向に検出器の多数の列を持つCT装置では、傾動ガントリを利用して画像を求める事は問題がある。多重スライス装置によって収集された投影データは、Z方向に検出器の多数の列がある為に、異なる回転中心を持つデータで構成されている。しかし、典型的な画像再構成方法は、データが同じ回転中心を持つと仮定している。現在の装置を用いて投影データから画像を再構成したとき、回転の中心が異なる事により、画像の中心が上下に動く。
【0006】
更に、ストップ・アンド・シュート走査とも呼ばれている軸方向CT走査では、現在のテーブル割出し方法では、多重スライス装置に一層の誤りが導入される。現在の装置は、テーブルをスライス毎にZ方向に於けるx線ビームの厚さだけ前進させる。しかし、傾動ガントリを用いて検出器の多数の列があるとき、このテーブル割出し方式では、スライスの間隔が不均一になる。
【0007】
更に、現在の画像再構成方式では、傾動ガントリを用いた螺旋CT走査に問題が生ずる。螺旋CT走査では、所定数のスライスのデータを収集する間、テーブルが患者をZ方向に特定の速度で絶えず動かす。この様な走査では、1扇形ビームの螺旋走査からは1個の螺旋が発生し、多重スライス装置の場合は、多数の螺旋が発生する。扇形ビームの写像する螺旋が投影データを作り、それから各々の所定のスライス内の画像を再構成する事が出来る。多重スライス装置では、多数の扇形ビームからの投影データの部分が、1個のスライスを再構成する為に利用されることがある。画像を再構成するために使われるデータの各部分に対する回転の中心が異なることにより、多重スライス装置では、人為効果(アーティファクト)並びにその他画像の誤りが生ずる。更に、現在のある多重スライス装置は、前に述べたフィルタ逆投影動作の前に投影データを組合わせて、再構成速度を高めている。しかし、回転中心が異なる投影データを組合わせると、再構成画像に人為効果及びその他の画像の誤りが生ずる。
【0008】
従って、傾動ガントリを持つ多重スライス装置と共に現在の再構成方式を利用すると、画像に人為効果並びにその他の受容れられない欠陥が生ずる。しかし、多重スライス装置で傾動ガントリ走査に対してだけ、新しい再構成方式を使うことは時間がかかり、費用がかかり、現在の基準となる方式に対して例外を作り出すことになる。従って、現在の再構成方式をそのまま使って、それを多重スライス装置と一体化して同等の品質を持つ画像を発生する事が望ましい。
【0009】
【発明の要約】
この発明は、患者の縦軸線に対して異なる回転中心を持つ投影データで構成された傾動ガントリ画像を正確に再構成する装置と方法を提供する。この発明では、計算機式断層写真装置が、作像物体を取り巻く様になっている開口を持っていて、x線源及びそれと向い合った検出器配列が夫々開口の両側に回転自在に装着されているガントリを有する。x線源と検出器配列の間の平面がガントリ平面を形成し、これは物体の縦軸線に沿って位置ぎめ可能である。フレームが、縦軸線に対し、ある傾き角でガントリ平面の傾動変位が出来る様にしている。x線源は、傾き角に対して垂直な回転軸線の周りに回転可能であって、回転角度の値及び関連する傾き角の値の組合わせに対応する複数個の図の各々で、焦点スポットからx線を放出する事が出来る。検出器配列が、複数個の検出素子の各々とx線源の間に複数個の扇形ビーム平面を形成する複数個の検出素子を持っている。複数個の扇形ビーム平面の各々が、回転軸線に沿った回転中心の値を持っている。複数個の検出素子の各々が、複数個の図の各々で放出されたx線を受取って、複数個の図の各々で受取ったx線の強度を表わす生投影データを発生することが出来る。
【0010】
更に装置が、検出器配列と連絡するコンピュータ・システムを持っている。コンピュータ・システムは、生投影データと、この生投影データに対応する回転角度の値、傾き角の値、及び回転中心の値とを表わすデータを含むデータを記憶するメモリを持っている。更に、コンピュータ・システムが、生投影データから画像データを構成する為のアルゴリズムを表わすプログラム信号を含んでいる。このアルゴリズムが、画像データに関連する回転中心の値を、傾き角の関数であるオフセット量だけシフトして、画像データが物体の縦軸線を中心とする様にする。
【0011】
オフセット量はY_shift=dFBxtan(θ)と定義することが出来る。ここでdFBは、画像データに関連する生投影データに関連する扇形ビーム平面とガントリ平面の間の、回転軸線に沿った距離であり、θは画像データに関連する生投影データに対応する傾き角の値である。
更にコンピュータ・システムが、生投影データの誤り補正をするアルゴリズムを表すプログラム信号を含んでいて、対応する補正済み投影データを作ることが出来る。このアルゴリズムは補正済み投影データを更に再構成して画像データにする。
【0012】
このアルゴリズムは、複数個の扇形ビーム平面の各々に関連する画像データに関連する回転中心の値をオフセット量だけシフトさせて、複数個の画像データの各々の相対位置を整合させることが出来る。この代りに、アルゴリズムが投影データの回転中心の値をオフセット量だけシフトしてもよい。
更にコンピュータ・システムは、画像データのスライスの厚さの倍数である割出し歩進で、作像物体を前記開口の中で前進させるアルゴリズムを表す信号をも含んでいてよい。D_tで表すこの割出し歩進は、tを画像データのスライスの厚さ、θを傾き角の値として、D_t=t/cosθによって定義される。
【0013】
更に検出器配列は、何れもx線源に対して開口に沿って角度変位した複数個のチャンネルを持っていてよい。更にコンピュータ・システムは、生投影データの誤り補正をするアルゴリズムを表すプログラム信号を含んでいて、対応する補正済み投影データを作ることが出来る。このアルゴリズムが、補正済み投影データを加重関数で更に加重して、加重投影データを作り、このアルゴリズムが、複数個の図及び複数個の扇形ビーム平面に対応する複数個の加重投影データを更に組合わせて、加重和データを形成することが出来る。このアルゴリズムは加重和データを更に再構成して画像データにする。アルゴリズムは、補正済み投影データの各々の回転中心の値をオフセット量だけシフトしてもよい。オフセット量は、dFBを画像データに関連する生投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面との間の、回転軸線に沿った距離、θを画像データに関連する生投影データに対応する傾き角の値として、Y_shift=dFB*tan(θ)と定義することが出来る。
【0014】
更に装置は、開口に沿ったx線源の回転毎に、作像物体を開口の中でテーブル送り速度sで動かすことが出来るテーブルをも含んでいてよい。オフセット量が、各々の図及び各々のチャンネルに対し、補正済み投影データをチャンネル方向に沿ってシフトする。このオフセット量は次の式で与えられ、
det_shift=
atan{(sin(β)*Y0_shift)/Lfb
−(cos(β)*Y0_shift)}/det_dgamma
ここでβは回転角度の値、Lfbはx線源の焦点スポットから回転軸線までの距離、det_dgammaは検出器チャンネルの角度増分であり、
Y0_shift=Y_shift+F_shift
ここで
_shift=dFBxtan(θ)
であって、dFBは、画像データに関連する生投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面の間の、回転軸線に沿った距離、θは画像データに関連する生投影データに対応する傾き角の値であり、
_shift=[−n,−n+1,…n−1,n]
*{(Δβ)/(2Π)}*(s)*tan(θ)
である。
【0015】
更にコンピュータ・システムが、pを螺旋ピッチ、θを画像データに関連する生投影データに対応する傾き角の値、tを患者の縦軸線に於ける画像データのスライスの厚さとして、s=(p*cosθ)/tで定義されたテーブル速度sで、作像物体を開口の中で前進させるアルゴリズムを表す信号を含んでいてよい。同様に、この発明は、多重扇形ビーム検出装置から計算機式断層写真画像を求めるときにガントリの傾き角を補償する方法を開示する。この方法は、x線源が作像物体を取り巻く開口の周り並びにガントリ平面に対して垂直な回転軸線の周りに回転するとき、x線源から放出されて、検出器配列が受取ったx線の作像物体による減衰を表す複数個の投影データで構成された画像データを収集することを含む。更にこの方法は、投影データに対応する回転中心の値を表すデータを収集して、画像データの位置を、回転中心の値及び傾き角の値の関数であるオフセット量だけ調節することを含む。
【0016】
更に、この方法は、画像データに関連する投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面の間の、回転軸線に沿った距離の値dFBを収集し、θを画像データに関連する投影データに対応する傾き角の値として、オフセット量Y_shift=dFB*tan(θ)を決定することを含んでいてよい。
更にこの方法は、各々の投影データに対して用いられた誤り補正の値に基づいて、補正済み投影データを収集し、補正済み投影データを再構成して画像データとすることを含んでいてよい。調節する工程が、各々の検出器扇形ビームに関連する画像データの回転中心の値をオフセット量だけシフトさせて、各々の画像データの相対位置を整合させる。この代りに、調節する工程が、複数個の投影データの各々の回転中心の値をオフセット量だけシフトする。
【0017】
この方法は、画像データのスライスの厚さの倍数である割出し歩進で、作像物体を開口の中で前進させることを含んでいてよい。tを画像データのスライスの厚さ、θを傾き角の値として、D_tで表す割出し歩進の値が、D_t=t/cosθによって定義される。
更にこの方法は、複数個の投影データの各々に対して用いられた誤り補正の値に基づいて、補正済み投影データを収集することを含んでいてよい。各々の補正済み投影データは、x線源の回転角度を表す対応する図の値、及びx線源に対する検出器配列のチャンネルの角度変位を表す対応するチャンネルの値を持っている。この方法は、補正済み投影データに加重関数を加重して、加重済み投影データを作ることを含む。この方法は、複数個の関連した図の角度の値を持ち、複数個の検出器扇形ビーム平面に関連した複数個の加重投影データを組合わせて、加重和データを形成する。更にこの方法は、加重和データを再構成して画像データにする。
【0018】
この方法は、螺旋ピッチpを決定し、作像物体の縦軸線に於ける画像データのスライスの厚さtを決定し、θを画像データに関連する生投影データに対応するガントリの傾き角の値として、s=(p*cosθ)/tによって定義される速度sで、作像物体を開口の中で前進させることを含んでいてよい。
更にこの方法は、画像データに関連する投影データに対応する検出器扇形ビーム平面とガントリ平面の間の、回転軸線に沿った距離の値dFBを収集することを含んでいてよい。次に、この方法は、画像データに関連する投影データに対応する傾き角の値θを収集し、オフセット量Y_shift=dFB*tan(θ)を決定することを含む。
【0019】
更に、この方法は、開口に沿ったx線源の回転毎に、作像物体を開口の中で速度sで前進させることを含む。この場合、検出器配列は複数個のチャンネルで構成される。この方法は、各々の図及び各々のチャンネルに対し、補正済み投影データをチャンネル方向に沿ってシフトさせるオフセット量を決定することを含み、このオフセット量の値は次の式で与えられ、
det_shift=
atan{(sin(β)*Y0_shift)/Lfb
−(cos(β)*Y0_shift)}/det_dgamma
ここでβは回転角度の値、Lfbはx線源の焦点スポットから回転軸線までの距離、det_dgammaは検出器チャンネルの角度増分であり、
Y0_shift=Y_shift+F_shift
であって、ここで
_shift=dFBxtan(θ)
であって、dFBは画像データに関連する生投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面の間の回転軸線に沿った距離、θは画像データに関連する生投影データに対応する傾き角の値であり、
_shift=[−n,−n+1,…n−1,n]
*{(Δβ)/(2Π)}*(s)*tan(θ)
である。
【0020】
【発明の詳しい説明】
図1及び2には、計算機式断層写真(CT)作像装置10が、「第3世代」CTスキャナを表すガントリ12を含むことが示されている。ガントリ12がx線源14を持ち、これがx線ビーム14をガントリ12の反対側にある検出器配列18に向かって投射する。検出器配列18は、検出素子20によって形成されたチャンネルに分割されており、これらの検出素子が一緒になって、医療の患者22又はその他の作像物体を通過する投射されたx線を感知する。各々の検出素子20が、入射するx線ビームの強度、従って、患者22を通過したときのビームの減衰を表す電気信号を発生する。x線投影データを収集する走査の間、ガントリ12及びその上に装着された部品が回転軸線24の周りを回転する。
【0021】
ガントリ12の回転及びx線源14の動作が、CT装置10の制御機構26によって制御される。制御機構26が、x線源14に電力及びタイミング信号を供給するx線制御器28、及びガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器30を含む。制御機構26にあるデータ収集装置(DAS)32が、検出素子20からのアナログ投影データを標本化し、このアナログ・データをこの後の処理の為にディジタル投影データに変換する。画像再構成装置34が、DAS 32からの、ディジタル化されたx線投影データをそのメモリ35に受入れ、メモリに記憶されたプログラム信号によって定められた高速画像再構成アルゴリズムを実施するプロセッサ37を有する。再構成された画像がコンピュータ36に対する入力として印加され、このコンピュータが大量記憶装置38に画像を記憶する。
【0022】
走査の間、ガントリ12がZ軸に対して傾けられる場合が多い。駆動機構(図に示していない)がガントリの回転軸線24がZ軸と平行にならない様に、ガントリ12を旋回点(図に示していない)の周りに傾ける。符号器(図に示していない)がガントリ12に結合されていて、傾き角θ、即ち旋回点の周りのガントリの傾きの量を検出し、旋回点の周りのガントリの角度配向θを表すパルスを発生ずる。符号器の出力が、例えばコンピュータ36又はガントリ・モータ制御器30に結合される。
【0023】
コンピュータ36は、オペレータから、キーボードを持つコンソール40を介して、指令及び走査パラメータをも受取る。関連した陰極線管表示装置42が、オペレータが再構成された画像及びコンピュータ36からのその他のデータを観察することが出来る様にする。オペレータから供給された指令及びパラメータが、DAS 32、x線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に対する制御信号及び情報を供給するために、コンピュータ36によって利用される。更に、コンピュータ36は、ガントリ12内で患者22を位置ぎめする為にモータ式テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を作動する。ストップ・アンド・シュート走査とも呼ばれる軸方向走査では、テーブル46が患者22をある場所に割出し、その場所でガントリ12が患者の周りを回転することが出来る様にする。これと対照的に、螺旋走査では、テーブル46がガントリ12の回転毎に、Z軸に沿ったある変位に等しいテーブル速度sで、患者22を開口48の中で移動させる。
【0024】
図3に示す様に、4列の検出器20及びx線源14の焦点スポット52の間に4つの扇形ビーム平面50が定められる。x線源14及び検出器配列18を担持するガントリ平面54は、垂直位置から傾き角θだけ角度方向に変位しており、回転軸線24が同じく患者の縦軸線56から角度方向に変位する様にする。4つの扇形ビーム50の各々が、ガントリ平面54からそれ自身の等長図法の回転中心58までの、回転軸線24に沿った距離dfbだけ変位している。従って、ガントリ12が傾くとき、各々の扇形ビーム50に対する等長図法の回転中心58は、ある等長図法のオフセット量offfbだけ患者の縦軸線56から変位している。
【0025】
各々の扇形ビーム50の回転中心58に対するオフセット量offfbは、典型的な再構成方式を使った画像再構成で問題を生ずる。軸方向走査及び螺旋走査の両方に対する典型的な装置は、回転軸線24、従って各々の扇形ビーム50に対する回転中心58が、患者の縦軸線56と一致するか又は平行であると仮定している。螺旋走査データから画像を再構成する為に使うことが出来る画像再構成アルゴリズムの例が、何れもこの発明の被譲渡人に譲渡された米国特許第5,559,847号、同第5,541,970号及び同第5,606,585号に記載されており、ここで引用する。こういう装置に傾動ガントリ12を利用すると、画像の中心が患者の縦軸線56に対してシフトする。このシフトが再構成された画像に人為効果及びその他の誤りを生ずることがある。
【0026】
図4について説明すると、この発明は、異なる回転中心58を持つ生投影データ配列62A−Dから傾きを補償した画像データ60A−Dを作る画像再構成装置34を提供する。画像再構成装置は、これから説明する様な種々のアルゴリズムを表す種々のデータ及び信号を記憶するメモリ35(図2)を有する。特に、各々の扇形ビームに対してDAS 32から得られる生ディジタル・データ配列62A−Dの各々の図を夫々のプリプロセッサ64A−Dで受取り、そこで夫々のビームを、ビーム硬化、検出器及びチャンネル利得のオフセット及び変動の様な周知の種々の誤りに対して補正する為に前処理する。更に、負の対数を求めて、補正済み投影データ配列66A−Dを作る。
【0027】
ステップ・アンド・シュート走査とも呼ばれる軸方向走査では、各々の補正済み投影データ配列66A−Dが、軸方向傾き補償関数を利用する再構成動作又はアルゴリズム68A−D又はアルゴリズム70A−Dに入力し、各々の扇形ビームに対する画像データ配列72A−Dを発生する。
螺旋走査では、各々のビームに対する補正済み投影データ配列66A−Dを、螺旋傾き補償関数又はアルゴリズム76A−Dを利用する対応する加重動作又はアルゴリズム74A−Dに入力して、加重し且つ傾き補償をした投影データを作る。加重投影データが、加重投影データ配列78A−D内の対応する位置に書き込まれる。各々の加重投影データ配列78A−Dを80のところで加算して、加算データ配列82を作る。具体的に言うと、同じ図に対し、ビーム1配列にある各々の画素の大きさを、ビーム2、ビーム3及びビーム4配列にある対応する画素の大きさと加算する。次に、加算データ配列82を再構成動作又はアルゴリズム68Eで利用して、画像データ配列72Eを作る。この結果得られた画像データ配列72A−Eを、後で使う為に記憶するか、又はオペレータに対して表示することが出来る。
【0028】
前に述べた様に、異なる回転中心を持つ投影データを使うことに対する補正の為に、傾き補償が必要である。これは再構成に於ける次に述べる2つの問題に通ずる。第1に、多重スライスCTに固有であるが、各々の扇形ビーム平面50に対応する異なる検出器の列のイソセンタ58が、Y_shiftだけ、患者に対してシフトする。ここで、
_shift=dfb*tan(θ) (1)
例えば、4×5 mm走査では、ガントリを30゜傾け、最も遠く離れた2つの扇形ビームがガントリ平面54から±7.5 mmである場合、最も大きいシフトは、Y_shift=±7.5*tan(30゜)=±4.33 mmである。この代りに、傾き角30゜の2×10 mm走査で、最も遠く離れた2つの扇形ビームがガントリ平面54から±5.0 mmである場合、最も大きいシフトはY_shift=±5*tan(30゜)=±2.89 mmである。従って、(上及び下の検出器の列からの)最も大きい相対的なシフトは、4×5では8.66 mm、2×10では5.78 mmである。Y_shiftが、ガントリの傾き角及びdfbの関数であることに注意されたい。記号dfbは、回転軸線24の方向に於けるx線ビーム16のコリメートされた厚さ及び検出器列の関数である。従って、一旦こういうパラメータが選ばれれば、Y_shiftを決定することが出来る。
【0029】
2番目の更に複雑な問題が、螺旋CTで利用されるガントリの傾きの場合に起こる。螺旋CTでは、米国特許第5,606,585号に記載されている様なZフィルタ式再構成方法によって、もう1つの中心シフトであるF_shiftが導入される。即ち
_shift=[−n,−n+1,…n−1,n]
*{(Δβ)/(2Π)}*(s)*tan(θ) (2)
この式で、n及びΔβは米国特許5,606,585号に記載されたZフィルタ式再構成方法によって導入されたZ−核のパラメータである。F_shiftが、ガントリの傾き角、回転毎のテーブルの速度s、フィルタの角度変位及び核項の関数であることに注意されたい。従って、一旦こういうパラメータが選ばれれば、F_shiftを決定することが出来る。
【0030】
傾き角θを持つガントリを用いた軸方向走査は、1種類の中心シフト、即ち、Y_shiftしか含まない。このシフトは、もし補償しないと、画像データ配列72A−Eの等長図法の中心58が、患者の縦軸線56に対して、Y_shiftだけ上下にシフトする原因になる。このスライスの不整合により、3D、MPR及びページング・モードの様なアプリケーションでは、問題が生ずる。
【0031】
軸方向CTに対する解決策は、固有の中心シフトを補償する為に、見込み形及び遡及形の両方の再構成の画像の中心を、Y_shiftに等しい量だけ、但し反対向きにシフトすることである。図4について説明すると、この発明は、再構成動作68A−Dで傾きを補償した画像データ配列72A−Dを作る為に利用される軸方向傾き補償関数70A−D(Y_shiftに等しい)を有利に提供する。軸方向CTに対する傾きの補償は正確であって、IQ及び再構成速度に何の悪影響も生じない。
【0032】
現在の扇形ビームに基づく多重スライス螺旋CT再構成では、各々の扇形ビーム平面50に対応する異なる検出器列からの補正済み投影データ66A−Dが、再構成動作68Eの前に組合わされる。この投影データの組合せが、大まかに4:1のデータ圧縮をし、従って、現在の速度仕様の範囲内で、現在の扇形ビーム再構成装置を用いて多重スライス・データの処理が出来る様にする重要な考えである。この組合せを用いることが出来ないことが、傾動ガントリ再構成の再構成時間がずっと長くなる、即ち4倍も長くなり、異なるデータ・プロセス・アーキテクチュアを使わなくてはならないことを意味する。
【0033】
この発明は螺旋CT走査の為の近似的な傾き補償の解決策を有利に提供する。図4についてこれまで一般的に説明したように、中心シフトを補償する為に、この発明は、下に示す様に、各々の図及び各々の検出器列及び各々のZ核項に対し、補正投影データ66A−Dをチャンネル方向(X方向)に沿ってdet_shiftだけシフトする。
【0034】
det_shift=
atan{(sin(β)*Y0_shift)/Lfb
−(cos(β)*Y0_shift)}/det_dgamma (3)
ここで
Y0_shift=Y_shift+F_shift (4)
であり、Lfbはx線焦点スポット52から回転軸線24(図4)までの距離、det_dgammaは、γをチャンネルの角度の値として、検出器チャンネルの角度増分Δγである。
【0035】
一般的に、このシフトは補間による投影データの再標本化を必要とする。更に、上に述べた補間による平滑作用の埋合わせとして、縁強化フィルタとして作用する鮮鋭化の核がチャンネル方向に用いられる。この鮮鋭化の核は再構成の核と組合わせることが出来る。この傾き補償方法は、フィルタ逆投影の前に投影データを組合わせることが出来るようにする。従って、データ処理のアーキテクチュアは、傾動ガントリを利用する螺旋CT走査の場合と同じままである。
【0036】
更に、傾動ガントリを用いることにより、扇形ビーム平面が、傾きのないガントリを用いる場合の様に、同じ場所で患者の縦軸線56と交差しない為に、画像の再構成に不正確さを招く。この違いにより、傾きのないガントリのビーム位置に依存する画像の再構成に問題を生ずる。
傾動ガントリを使う軸方向CT走査では、x線ビーム16の厚さtとスライスの位置増分との間に食い違いがある。典型的な装置がテーブル46をtのn倍、例えば、4又は2スライス装置ではn=4又は2であることを考えると、この食い違いが問題を生ずる。多重スライス装置でテーブル46の典型的な割出しを使うと、スライスの間隔が不均一になる。ガントリの傾きがあると、軸方向CTに於ける実際のスライスの位置増分は、D_tで表し、患者の縦軸線56に沿って表すと次の様に表すことが出来る。
【0037】
_t=(t)/cos(θ) (5)
ここでtはビームの厚さであり、θは前に述べた様にガントリの傾き角の値である。従って、ガントリ12が傾く時、D_t≠tである。例えば、θ=30゜の4×5モードでは、D_t=5/cos(30゜)=5.77 mmである。同様に、θ=30゜の2×10モードでは、D_t=10/cos(30゜)=11.54 mmである。このようにテーブルの46をtのn倍だけ前進させると、スライス間隔が不均一になる。従って、この代りにテーブルはD_tのn倍だけ前進させなければならない。例えば、θ=30゜の4×5 mmモードでは、テーブル46は20 mmではなく、23.08 mmだけ増分される。
【0038】
同様に螺旋走査では、傾いていないガントリ及び傾いたガントリのビームの厚さの間のtの食い違いにより、再構成に問題が生ずる。典型的な傾いていない場合、再構成アルゴリズムは、テーブル速度をビームの厚さで割った値に等しい螺旋ピッチに頼っている。しかし、傾き角θの為、螺旋ピッチは次の様に定義すべきである。
【0039】
p=(s/t)*cos(θ) (6)
ここでs、t及びθは前に定義したように、テーブル速度、ビームの厚さ及び傾き角である。例えば、ガントリの傾きが25゜で4×1.25 mmモードでは、3:1のピッチの螺旋走査では、テーブル速度は、3.75 mm/回転ではなく、4.15 mm/回転にすることを必要とする。従って、この発明の装置は、傾きを用いる場合及び用いない場合の走査の間で、患者の縦軸線56のところでのx線ビーム16の厚さtの食い違いを考慮するテーブル速度及び割出しのオフセットを用いる。
【0040】
この為、この発明の装置及び方法は、画像のぼやけを著しく減少する傾き補償を提供する。その結果、この発明の装置及び方法は、高い画像の品質を提供しながら、且つ再構成時間に著しい悪影響を与えずに、傾動ガントリを使うことが出来る様にする。その為、この発明は、患者の縦軸線に対して異なる回転中心を持つ投影データで構成された傾動ガントリ画像の正確な再構成が出来る様にする。
【0041】
この発明を好ましい実施例の場合について説明したが、他の実施例でも同じ効果を達成することが出来る。この発明の変更は、当業者に明らかであろうし、特許請求の範囲はこの様なすべての変更を包括することを承知されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】CT作像装置の見取り図。
【図2】図1に示した装置の簡略ブロック図。
【図3】CT作像装置のガントリが傾くときの患者の縦軸線及び検出器配列の回転軸線の間の関係を示す作図。
【図4】この発明のCT作像装置の一部分を構成する画像再構成装置のブロック図。
【符号の説明】
12 ガントリ
14 x線源
18 検出器配列
22 作像物体
48 開口
50 扇形ビーム平面
54 ガントリ平面
56 作像物体の縦軸線

Claims (10)

  1. 作像物体を取巻く様にした開口を持つと共に、回転自在に装着されたx線源及び向い合う検出器配列を持ち、該x線源及び検出器配列の間の平面が、前記物体の縦軸線に沿って位置ぎめ可能なガントリ平面を形成し、フレームが、前記ガントリ平面を前記縦軸線に対して傾き角で傾動変位させるようになっているガントリを有し、前記x線源は、前記傾き角に対して垂直な回転軸線の周りに回転可能であると共に、回転角の値及び関連する傾き角の値の組合せに対応する複数個の図の各々で焦点スポットからx線を放出する事が出来、前記検出器配列は当該複数個の検出素子の各々と前記x線源の間に複数個の扇形ビーム平面を形成する複数個の検出素子を持っており、前記複数個の扇形ビーム平面の各々が前記回転軸線に沿った回転中心の値を持ち、前記複数個の検出素子の各々が、前記複数個の図の各々で放出されたx線を受け取って、該複数個の図の各々で受け取ったx線強度を表わす生投影データを作るようになっており、更に、前記検出器配列と連絡するコンピュータ・システムを有し、該コンピュータ・システムは、前記生投影データを表わすデータ、及び前記生投影データに対応する前記回転角度の値、前記傾き角の値及び回転中心の値を含むデータを記憶するメモリを持ち、更に前記コンピュータ・システムは、前記生投影データから画像データを構成するアルゴリズムを表わすプログラム信号を含んでおり、該アルゴリズムは前記画像データに関連する回転中心の値を、前記画像データが前記物体の前記縦軸線を中心とするように、前記傾き角の関数であるオフセット量だけシフトさせ
    FB を前記画像データに関連する前記生投影データに対応する前記扇形ビーム平面と前記ガントリ平面の間の、前記回転軸線に沿った距離、θを前記画像データに関連する前記生投影データに対応する傾き角の値として、前記オフセット量が
    Y_shift=d FB xtan(θ)
    である、計算機式断層写真装置。
  2. 前記コンピュータ・システムが、更に、前記生投影データの誤り補正をするためのアルゴリズムを表すプログラム信号を含んでいて、対応する補正済み投影データを作り、前記アルゴリズムが前記補正済み投影データを更に再構成して前記画像データにする請求項1記載の計算機式断層写真装置。
  3. 前記アルゴリズムが、前記複数個の扇形ビーム平面の各々に関連する前記画像データに関連する回転中心の値を前記オフセット量だけシフトして、前記複数個の画像データの各々の相対位置を整合させる請求項記載の計算機式断層写真装置。
  4. 前記アルゴリズムが、前記投影データの回転中心の値を前記オフセット量だけシフトする請求項記載の計算機式断層写真装置。
  5. 更に前記コンピュータ・システムが、前記画像データのスライスの厚さの倍数である割出し歩進だけ、前記作像物体を前記開口の中で前進させるアルゴリズムを表す信号を含み、tを前記画像データのスライスの厚さ、θを前記傾き角の値として、D_tで表すで表す割出し歩進が次の式D_t=t/cosθによって定義されている請求項1記載の計算機式断層写真装置。
  6. 更に前記検出器配列が、前記x線源に対して前記開口の周りで夫々角度変位した複数個のチャンネルを有し、更に前記コンピュータ・システムが、前記生投影データの誤り補正の為のアルゴリズムを表すプログラム信号を含んでいて、対応する補正済み投影データを作り、更に前記アルゴリズムは前記補正済み投影データに加重関数を加重して加重済み投影データを作り、更に前記アルゴリズムは、複数個の図並びに複数個の扇形ビーム平面に対応する複数個の前記加重済み投影データを組合わせて加重和データを形成し、前記アルゴリズムが前記加重和データを更に再構成して前記画像データとする請求項1記載の計算機式断層写真装置。
  7. 前記アルゴリズムが各々の前記補正済み投影データの回転中心の値を前記オフセット量だけシフトする請求項記載の計算機式断層写真装置。
  8. 更に前記開口に沿った前記x線源の回転毎に、前記作像物体を前記開口の中でテーブル送り速度sで移動させることができるテーブルを有し、前記オフセット量が、各々の図及び各々のチャンネルに対し、前記補正済み投影データをチャンネル方向に沿ってシフトさせ、該シフト量は
    det_shift=
    atan{(sin(β)*Y0_shift)/Lfb−(cos(β)*Y0_shift)}/det_dgammaであり、ここでβ は前記回転角度の値、Lfbは前記x線源の焦点スポットから回転軸線までの距離、det_dgammaは前記検出チャンネルの角度増分、
    Y0_shift=Y_shift+F_shift
    であって、ここで
    Y_shift=dFBxtan(θ)
    であって、dFBは前記画像データに関連する前記生投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面の間の回転軸線に沿った距離、θは前記画像データに関連する前記生投影データに対応する傾き角の値であり、
    F_shift=[−n,−n+1,…n−1,n]
    *{(Δβ)/(2Π)}*(s)*tan(θ)
    である請求項記載の計算機式断層写真装置。
  9. 更に前記コンピュータ・システムが、pを螺旋ピッチ、θを前記画像データに関連する前記生投影データに対応する傾き角の値、tを患者の前記縦軸線に於ける前記画像データのスライスの厚さとして、次の式
    s=(p*cosθ)/t
    によって定義されるテーブル速度sで、前記作像物体を前記開口の中で前進させるアルゴリズムを表す信号を含んでいる請求項記載の計算機式断層写真装置。
  10. 多重扇形ビーム検出装置から計算機式断層写真画像を求める時に、ガントリの傾き角を補償する方法に於て、
    x線源が作像物体を取巻く開口に沿って、ガントリの平面に対して垂直な回転軸線の周りに回転するときに、該x線源から放出されて検出器配列が受け取ったx線の作像物体による減衰を表す複数個の投影データで構成された画像データを収集する工程と
    前記投影データに対応する回転中心の値を表すデータを収集する工程と
    前記画像データに関連する投影データに対応する扇形ビーム平面とガントリ平面との間の、回転軸線に沿った距離の値d FB を収集する工程と、
    θを前記画像データに関連する投影データに対応する傾き角の値として、オフセット量
    Y_shift=d FB *tan(θ)
    を決定する工程と、
    前記画像データの位置を、前記オフセット量だけ調節する工程を含む方法。
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