はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技領域を形成する遊技盤(遊技盤30)と、
絵柄を変動表示する表示画面(表示画面G)が遊技盤面よりも後退した状態で、前記遊技盤に形成された開口部に設置される絵柄表示装置(第1図柄表示装置41)と、
前記遊技盤に所定間隔を隔てて対向配置され、前記遊技盤及び前記絵柄表示装置における遊技状況を遊技者に視認可能とする前面透明板(ガラス137)とを備えた遊技機において、
前記遊技盤面よりも後方に配置した軸部(軸部171a,172a)により回動可能に支持され、前記絵柄表示装置の表示画面に重なる第1状態と、その第1状態から前記前面透明板側へ起立する第2状態との間で動作する扉体(扉体171,172)を設け、
前記第2状態では、前記扉体の回動先端が前記遊技盤面と前記前面透明板との間に位置する構成であることを特徴とする遊技機。
手段1によれば、遊技領域を形成する遊技盤に形成された開口部には、表示画面が遊技盤面よりも後退するようにして絵柄表示装置が設置されている。さらに遊技盤及び絵柄表示装置における遊技状況を遊技者に視認可能とする前面透明板が遊技盤に所定間隔を隔てて対向配置されている。また、絵柄表示装置の表示画面上には扉体が設けられており、この扉体は、表示画面に重なる第1状態と、その第1状態から前面透明板側へ起立する第2状態との間で動作する。これにより、画面上の平面的な絵柄演出のみならず、表示画面の前方に形成される空間を用いた立体的な演出が実現できる。さらに、扉体の動作の中心となる軸部が遊技盤面よりも後方に設けられており、また第2状態では、扉体の回動先端が遊技盤面と前面透明板との間に位置する構成であるので、扉体の動作範囲を大きく見せることができ、立体的な演出を強調することができる。以上より、本構成によれば、表示画面前方の空間を使用した立体的な演出の実現が可能であり、さらに当該演出を強調することができるので、遊技の興趣性が大いに高められる。
手段2.手段1において、前記扉体の前記軸部から該扉体の回動先端までの長さが、前記表示画面から前記遊技盤面までの距離よりも長く、且つ前記表示画面から前記前面透明板までの距離よりも短いことを特徴とする遊技機。
手段2によれば、扉体の軸部から該扉体の回動先端までの長さが、表示画面から遊技盤面までの距離よりも長く、且つ表示画面から前面透明板までの距離よりも短い構成であるので、軸部から回動先端までの長さが比較的長い扉体を、第2状態において表示画面に対して直立させることができる。従って、第1状態と第2状態とでの扉体の位置に明確な違いを与えることができ、遊技者は、表示画面前方の空間を使用した演出をはっきりと認識することができる。これにより、遊技の興趣性が大いに高められる。
手段3.手段1において、前記表示画面の上側に前記遊技盤面よりも遊技機前方に張り出した張出部(上枠部580,630、上飾り部640)を設け、前記扉体の前記軸部から前記回動先端までの長さを、前記表示画面から前記遊技盤面までの距離よりも長く、且つ前記表示画面から前記張出部前面までの距離よりも短くし、該扉体を前記張出部の直下に配置したことを特徴とする遊技機。
遊技に際し遊技者は、表示画面の中央領域及びその周辺を見ていることが多く、外周部付近を注意深く見ていることは少ないと考えられ、特に遊技機前方に張り出した張出部があると、それが支障となって張出部付近にはより注意が払われないと考えられる。遊技者が斜め上方から表示画面を見る場合には、前記張出部が視界の妨げとなりうるため、遊技者の注意が払われにくいものとなる。かかる事情に対し手段3によれば、張出部の直下に扉体が配置されるため、遊技者は扉体の動きを視認したり又はその動きを期待したりすることとなり、扉体に重なった表示画面領域に遊技者の多くの注意が払われる。故に、遊技者の注意が払われにくい表示画面をも有効に使った表示演出が実現できるようになる。
また、張出部が遊技盤面よりも遊技機前方に張り出しており、扉体の軸部から当該扉体の回動先端までの長さが、表示画面から張出部前面までの距離よりも短く、上述したように、扉体が張出部の直下に配置されているので、例えば弾球遊技機において、扉体に遊技球が衝突する可能性が極めて低くなり、球干渉防止用の保護部材等の設置も不要となる。
パチンコ遊技機では、表示画面への遊技球の衝突を避けるために表示画面周囲がフレーム部材(センターフレーム43)にて囲まれる構成となっており、その上部が前記張出部となっている。かかる構成において、フレーム部材の一部となる張出部の直下に扉体を設けるとよい。
手段4.手段3において、前記扉体を動作させる扉体駆動部を前記張出部に配設したことを特徴とする遊技機。
手段4によれば、扉体を動作させる扉体駆動部が前記張出部に配設される。この張出部には、装飾用部材などが配設されるのが一般的であり、これら装飾用部材などを設けるためのスペースが設けられている。従って、当該スペースに扉体駆動部を配設することにより、遊技機内部という限られた空間において、当該空間を有効活用することができる。
手段5.手段4において、前記扉体駆動部として、リンク機構(可動連結部174,180)及びソレノイド(ソレノイド177,184)を備え、前記扉体の軸部は、前記リンク機構を介して前記ソレノイドに連結され、当該ソレノイドの通電又は通電遮断に応じて前記軸部が回動することにより、前記扉体が前記第1状態と前記第2状態とで切り替えられる構成であることを特徴とする遊技機。
手段5によれば、ソレノイドの通電状態により軸部が回動し、扉体が第1状態と第2状態とで切り替えられる。この場合、比較的簡易な構成にて扉体の動作を実現することができる。
手段6.手段1乃至5のいずれかにおいて、前記扉体の前記軸部を、前記絵柄表示装置の表示画面を取り囲む周囲壁(側壁部570)に沿って設けたことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、絵柄表示装置の表示画面を取り囲む周囲壁に沿って扉体を回動可能に支持する軸部が設けられているため、表示画面を視認する上で軸部やそれに付随する構成が視認の妨げとなることはない。故に、実用上好ましい構成が実現できる。
手段7.手段1乃至6のいずれかにおいて、前記扉体の前記軸部を、上下方向に延びるように配置したことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、扉体の軸部が、上下方向に延びるように配置されているため、扉体は左右方向に回動する。これにより、扉体が上下方向に回動する構成に比べ扉体を動作させるための負荷が減じられる。即ち、扉体が上下方向に回動する構成では、上方向に扉体を動作させる際に、重力に反して扉体を動作させる必要があり、その分の負荷が大きくなる。しかし、本構成では、上方向への動作はなく、左右方向のみの動作であるので、扉体を重力に反して動作させる程度の負荷は必要としない。従って、比較的動力の小さい駆動部により扉体の回動を実現することができる。
手段8.手段1乃至7のいずれかにおいて、前記第1状態では、前記扉体により前記表示画面の一部が隠される構成とすることを特徴とする遊技機。
手段8によれば、第1状態では、扉体により表示画面の一部のみが隠されるので、第1状態においても表示画面における表示演出を視認することができる。なお、第1状態において表示画面の一部のみが隠される構成であったとしても、表示画面の前方に形成される空間を用いた立体的な演出を行うことができるということに関しては変わらないので、「遊技の興趣性が大いに高められる。」という上記同様の効果が得られる。
手段9.手段8において、前記扉体を前記表示画面の隅角部に配置したことを特徴とする遊技機。
手段9によれば、第1状態では、表示画面上において扉体に重なる隅角部のみが隠されるので、第1状態において扉体が表示画面における表示演出の視認の妨げとなるという問題が生じにくい。また、表示画面の前方に形成される空間を用いた立体的な演出を行うことができるということに関しては変わらないので、「遊技の興趣性が大いに高められる。」という上記同様の効果が得られる。以上より、絵柄表示装置の表示画面を有効に用いつつ好適な表示演出が実現できる。
手段10.手段8又は9において、前記扉体を複数設け、これら扉体をすべて前記第1状態とした際には、それぞれの扉体が前記表示画面の各々異なる一部を隠す状態となるように前記複数の扉体を配置したことを特徴とする遊技機。
手段10によれば、すべての扉体を第1状態とした際には、それぞれの扉体が表示画面の各々異なる一部を隠す状態となるように複数の扉体が配置されている。この場合、扉体が1個のみ設けられている場合に比べ、表示画面前方の空間を使用した演出をより強調することができる。
手段11.手段10において、前記複数の扉体を互いに離間させて設けたことを特徴とする遊技機。
手段11によれば、複数の扉体が互いに離間させて設けられているため、各扉体間の領域では当該扉体の動き又は位置等に関係なく絵柄等が表示できる。これにより、絵柄表示装置の表示画面を有効に使った表示演出が可能となる。例えば、表示画面上において、左右一対の扉体を互いに離間させて設けると良い。
手段12.手段11において、前記複数の扉体の間には、前記絵柄表示装置の表示画面を隠す部材を何ら設けないことを特徴とする遊技機。
手段12によれば、各扉体間の領域では、絵柄等を表示するための表示領域が常に確保できる。
手段13.手段10乃至12のいずれかにおいて、前記複数の扉体が各々独立して制御されることを特徴とする遊技機。
手段13によれば、複数の扉体が各々独立して制御されるため、当該扉体を用いての多種多様な演出が可能となる。
手段14.手段1乃至13のいずれかにおいて、前記絵柄表示装置の表示画面における縦方向及び横方向の最長部分の表示領域を残すようにして前記扉体を配置したことを特徴とする遊技機。
手段14によれば、扉体を第1状態としても、表示画面において縦方向及び横方向の最長部分の表示領域が隠されずに残っているため、表示画面が縮小化されたという印象は比較的少ないものとなる。従って、絵柄表示装置の表示画面を有効に用いつつ好適な表示演出が実現できる。
手段15.手段1乃至13のいずれかにおいて、前記表示画面の中央領域を含ませて縦横に直線的に延びる表示領域を残すようにして前記扉体を配置したことを特徴とする遊技機。
手段15によれば、扉体を第1状態としても、表示画面において中央領域を含ませて縦横に直線的に延びる表示領域が隠されずに残っているため、表示画面が縮小化されたという印象は比較的少ないものとなる。従って、絵柄表示装置の表示画面を有効に用いつつ好適な表示演出が実現できる。またこの場合、表示画面の中央部は、扉体により表示が隠されることはなく、絵柄の視認性の妨げとなることが回避できる。
手段16.手段1乃至15のいずれかにおいて、前記絵柄表示装置の表示画面には、前記絵柄を変動表示するための第1の表示領域(主表示領域Rm)と、補助的な演出のための表示を行う第2の表示領域(副表示領域Rs)とが各々区画して設けられ、そのうち第2の表示領域に重なるようにして前記扉体が配されることを特徴とする遊技機。
手段16によれば、絵柄表示装置の表示画面において、第1の表示領域では前記絵柄が変動表示され、第2の表示領域では補助的な演出のための表示が行われる。この場合、第2の表示領域に重なるようにして前記扉体が配されていることで、補助的な演出を行うに際し多様性を高めることが可能となる。
手段17.手段16において、前記扉体は、前記第2の表示領域の一部(第1予告領域Rs1、第2予告領域Rs2)を隠すものであることを特徴とする遊技機。
手段17によれば、扉体により、第2の表示領域の一部が隠される。この場合、第2の表示領域では、扉体により隠される領域と同扉体により隠されない領域とができ、それら各領域を使い分けることで補助演出の多様性がより一層高められる。
手段18.手段16又は17において、前記第2の表示領域では、絵柄の変動表示に際し、特別遊技状態に移行する期待度を示す予兆告知が行われることを特徴とする遊技機。
手段18によれば、第2の表示領域において、特別遊技状態に移行する期待度を示す予兆告知が行われ、遊技者はその予兆告知により特別遊技状態に移行する期待を高め、実際に特別遊技状態が発生する前においても遊技を十分に楽しむことができる。特に、扉体の動作を組み合わせることで、その期待度を多様に設定できるようになる。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
遊技領域を拡張した遊技機:左右一側部側を中心に左右他側部側が開閉可能となるように構成され、遊技盤(遊技盤30)を支持した遊技機本体(本体枠12等)と、
前記遊技盤の前面に設けられたレール部材(レールユニット50)により略円形状に区画された遊技領域と、
前記遊技機本体の前面側にて前記左右一側部側を中心に前記左右他側部が開閉可能となるよう支持され、閉鎖状態において前記遊技領域を視認可能な視認窓(窓部101)を有した前面扉(前扉枠13)と
を備え、
前記遊技機本体の前記左右一側部には長尺状の補強部材(軸受け金具235)を上下方向へ延びるように設けるとともに、前記遊技機本体の前記左右他側部には前記遊技機本体及び前面扉の開放を禁止するように施錠する施錠装置(シリンダ錠91、連動杆248等)を設け、
該施錠装置は、遊技機本体の前記左右他側部に上下方向へ延びるようにかつ上下方向へ移動可能となるように設けられた長尺状の連動部材(連動杆248)と、遊技機本体の前記左右他側部のうち前記遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられ前記連動部材を上側又は下側に選択的に移動させる鍵部材(シリンダ錠91)とを備え、該鍵部材の操作による前記連動部材の上下一方への移動により遊技機本体の施錠が解除されるとともに、前記連動部材の上下他方への移動により前記前面扉の施錠が解除されるように構成し、
前記遊技盤を前記遊技機本体の幅内において前記補強部材及び連動部材を左右に振り分けて配置するための領域を残した幅となるように形成するとともに、前記遊技盤の左右両側部には前記遊技機本体の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように部分的に凹部(切欠38)を形成し、さらに、前記レール部材のうち、前記遊技領域の最大幅となる位置を、遊技盤の左右端位置に至るように配設することにより、
遊技領域を拡張したことを特徴とする遊技機。
弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル18)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ229等)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(レールユニット50の球案内通路)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、可変表示ユニット35等)とを備えた遊技機。
可変表示装置を備えた弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル18)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ229等)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(レールユニット50の球案内通路)と、遊技領域内に配置された作動口(作動口33)、可変表示装置(第1図柄表示装置41)及び可変入賞装置(可変入賞装置32)とを備え、作動口への遊技球の入球を検知すると可変表示装置に表示される図柄を可変表示し、その停止時の図柄が特定図柄である場合に可変入賞装置を所定態様で開放させるようにした遊技機。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図3はパチンコ機10を構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。なお、図2,3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
図1〜図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジ等の離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。従って、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用(リユース)が容易な構成となっている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって構成してもよい。
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。更に言うと、本パチンコ機10には右側に遊技球発射ハンドル18の設置箇所が設けられているため、遊技球発射ハンドル18とは反対側の側部を中心に本体枠12を開閉可能としたということができる。本体枠12は合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。ABS樹脂を用いることにより、比較的低コストで耐衝撃性の高い本体枠12を得ることができる。本体枠12をアルミニウム等の金属によって構成してもよい。なお本実施の形態では、外枠11と本体枠12とにより遊技機本体が構成されている。外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。かかる構成では、本体枠12とにより遊技機本体が構成される。
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は横長状に形成され、その横幅は本体枠12の横幅とほぼ一致するように構成されている。前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成する奥壁パネル17とを備えている。ベース部15は本体枠12に対してネジ等の締結部材により固定されていることから、ベース部15が本体枠12に対する取付部を構成している。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。奥壁パネル17には球排出口17aが設けられており、球排出口17aより排出された遊技球が下皿16内に貯留されるようになっている。
ベース部15の膨出部15a前面側にはスライド式の球抜きレバー19が設けられている。なお、球抜きレバー19はプッシュ式としてもよい。そして、球抜きレバー19が操作されると下皿16の底面に設けられた図示しない閉鎖板が一体に又はリンクを介して移動して球抜き穴が開放され、下皿16内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。球抜きレバー19には球抜き穴を塞ぐ側へ球抜きレバー19を付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられ、球抜きレバー19の操作が解除された際には付勢部材の付勢力によって閉鎖板が球抜き穴の開放位置に復帰する構成となっている。奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。
ベース部15には膨出部15aの左方に灰皿21が設けられている。灰皿21は、内部に溜まった吸い殻等を除去しやすいように手前側下方に反転可能に取り付けられており、その右側面と背面とでベース部15に対面している。具体的な図示は省略するが、灰皿21の右側面には当該灰皿21を回動可能な状態で片持ち支持するための支軸が設けられ、同背面には灰皿21が図示のように上方に開口した位置でベース部15に係止される係止部が設けられている。前面板14はその大部分が本体枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。前面板14はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。なお、灰皿21が近くに配置されている関係上、下皿16と奥壁パネル17とを構成する部位に関しては難燃性のABS樹脂を用い、仮に誤ってたばこ等を置いても燃えにくくなるよう構成することが好ましい。
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。従って、前面板14と前扉枠13とにより本体枠12の前面側全体が覆われている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。なお、前扉枠13は前面板14と同様、ABS樹脂にて成形されている。前扉枠14はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には上方に開口した上皿23が設けられている。上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置側へ導くための球受皿である。膨出部22前面側には上皿23用の球抜きレバー24が設けられており、この球抜きレバー24を操作すると上皿23の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿23内の貯留球が下皿16へ排出されるようになっている。なお、上皿23も下皿16等と同様、難燃性のABS樹脂にて構成することが可能である。
本パチンコ機10では、ガラス扉枠と前飾り枠とを個別に設けこれらを前面枠(本実施の形態の本体枠に相当)に対して各々開閉可能とすると共に前飾り枠に上皿を設けていた従来構成と異なり、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13とし、前扉枠13に対して一体的に上皿23を設ける構成としている。この場合、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13としたため、当該前扉枠13においてガラス支持構造の強度向上が実現できる。つまり、本パチンコ機10では、遊技領域の拡張を目的とし、その遊技領域拡張に伴い大きめのガラス137を前扉枠13に搭載している。従って、ガラス周囲の枠部分が幅狭になり、強度低下の問題が懸念されるが、ガラス下方に上皿一体の枠部分を設けること等によりガラス支持構造の十分な強度が確保できる。なお、ガラス137の縦横寸法は、従来一般に405mm×405mmであったのに対し、本パチンコ機10では453mm×434mmとしている。
また、前扉枠13は、少なくともその開閉の際に遊技球発射ハンドル18と干渉しないようにして下方に拡張されている。具体的な数値を示すと、パチンコ機下端から前扉枠13の下端までの寸法Laは、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機下端から上皿23の上端までの寸法Lbも小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では約261mmとなっている。ここで、上皿23の位置を下げたことにより、遊技ホールにおいてパチンコ機10左側に並設される球貸し装置のノズル先端との上下方向の距離が大きくなって貸球のこぼれ落ち等が懸念されるが、本実施の形態では、当該ノズルからの貸球排出部分となる左側部分において、膨出部22の壁面を他の壁面より高くした立ち上げ部22aを形成している。これにより、上皿23の位置を下げた構成にあっても貸球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。立ち上げ部22aの高さ寸法は上皿23の下げ寸法に見合うものであれば良く、その最大高さ寸法は本実施の形態では25mmとされている。
なお、前扉枠13においては、上皿形成のための膨出部22が手前側に大きく膨出して設けられるが、上皿23より上方のそれ以外の部位(後述する環状電飾部102等)は、球貸し装置のノズルとの干渉を避けるべく手前側への膨出が制限されている。具体的には、外枠11からの手前側への寸法が45〜50mmに制限されている。
図3に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース25の窓孔26を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30は、従来と同様、上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている。
次に、遊技盤30の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35は木ねじ等により遊技盤表面に取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット35が遊技盤30の略中央に配置され、その下方に作動口33が配置され、さらにその下方に可変入賞装置32が配置されている。また、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34が配置され、遊技盤30の下部両側に一般入賞口31がそれぞれ複数配置されている。作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。アウト口36は、遊技盤30の下端略中央を逆U字状に切り欠いて形成されている。そのため、アウト口を穴状に形成していた従来構成に比べ、アウト口形成が容易となる(但し、図4では手前側にレールユニット50が重ねて設けられているため、アウト口36が閉じた状態で示されている)。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
遊技盤30の左右両側部には、組付相手である本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように凹部としての切欠38が複数箇所に形成されている。
前述したとおり、本パチンコ機10では上皿23の位置を下げられており、それに伴い上皿23の最下流部に設けた遊技球の取込口の位置も同様に下げられている。この場合、遊技球取込口が比較的高い位置にあった従来構成では、遊技球取込口と遊技盤30とが前後に重なり、遊技盤30には遊技球取込口に対応する切欠を設ける必要があったが、本パチンコ機10では、遊技球取込口を下げたことにより遊技球取込口と遊技盤30とが前後に重なることがなく、遊技球取込口用の切欠の形成が不要となる。故に、遊技盤30の製作工程上、有利な構成となる。
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置41が設けられている。この第1図柄表示装置41は8インチサイズの比較的大型の液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。第1図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして可変表示されるようになっている。なお、第1図柄表示装置41は、8インチ以外の10インチ,7インチ等の液晶ディスプレイを備えたもの、ワイドサイズのディスプレイを備えたもの、又はCRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。この第1図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。
ここで図5乃至図10を用いてセンターフレーム43の構成について説明する。図5はセンターフレーム43の構成を示す斜視図である。図6はセンターフレーム43の分解斜視図である。図7及び図8は、センターフレーム43の一部を構成する後ベース枠550、前ベース枠600の分解斜視図である。図9の(a)は可変表示ユニット35を前方より見た正面図、(b)はセンターフレーム43を裏側から見た背面図である。図10はそれぞれ、球通路593、切欠部613b及び落下部613cより遊技盤30へと導出される遊技球の一転動態様を示すステージ部材590周辺の部分拡大図である。なお、以下のセンターフレーム43などに関する説明では、パチンコ機10の正面から見て、すなわち図9(a)の状態で左右各方向を記載することとする。
図5及び図6に示すように、センターフレーム43は、遊技盤30の背面側に配設される後ベース枠550と、当該後ベース枠550の前面に組み付けられる前ベース枠600とを備えている。後ベース枠550及び前ベース枠600はそれぞれ中央部が開口した枠体形状をなし、両ベース枠550,600が組み付けられることによって、センターフレーム43は全体として前後方向に貫通した枠体形状となっている。また、前ベース枠600の前面上部には、上飾り部640が組み付けられている。
図8に示すように、後ベース枠550の下部にはステージ取付部560が形成されている。このステージ取付部560の前面には前後方向に貫通した孔部561が横方向に4個形成されている。この孔部561には、保留ランプ用LED基板562に設けられたLEDランプ562aが配設される。このLEDランプ562aは保留ランプ用LED基板562に2個設けられており、さらに保留ランプ用LED基板562はステージ取付部560の左右背面に2個組み付けられる。また、ステージ取付部560の下縁部には、前方に延出する延出部563が形成されており、さらに当該延出部563の中央には、切欠部563aが形成されている。
このステージ取付部560に取り付けられるステージ部材590には、上段ステージ591と下段ステージ594とが前後方向に並ぶように形成されている。上段ステージ591の中央には上下方向に延び下端が遮蔽されている球通路593が形成されており、上段ステージ591の上面は球通路593に向けて若干下方に傾斜している。一方、下段ステージ594の上面は、2個の遊技球が前後方向に並んで転動できる程度の幅を有し、滑らかな流線形状となっている。また、下段ステージ594の上面は、中央部を中心として左右対称な形状である。具体的には、中央部が上方に盛り上がっており、その左右は下段ステージ594の上面において最も下側に位置する谷部594aとなっており、また左右両端は中央部よりも上方に位置する。この下段ステージ594の上面の中央部には、前方向及び後方向に向けて延び、それぞれ下方に傾斜した形状をなす前後誘導路594bが形成されている。つまり、前後誘導路594bは前後方向に見て山形状をなしている。一方、中央部の左右に位置する谷部594aは、前方に向けて下方に傾斜する形状となっている。谷部594aがこのような構成であることにより、谷部594aに案内された遊技球は前方へと導出される。
ステージ部材590を後ベース枠550に組み付けた際は、ステージ取付部560の上面と上段ステージ591の上面の左右両側部とがほぼ面一となり、球通路593は切欠部563aを介して延出部563よりも下方に突出する構成となる。この際、後ベース枠550に配設されたLEDランプ562aの前方に上段ステージ591の前面が位置する。この上段ステージ591の前面には、保留ランプ部46が左右にそれぞれ2個ずつ合計4個形成されており、LEDランプ562aから発せられる光は、それぞれに対応した保留ランプ部46を介して前方から視認することができる。なお、このLEDランプ562aは遊技球がスルーゲート34を通過する毎に左から順に点灯し、当該スルーゲート34を遊技球が4回通過した際にすべてのLEDランプ562aが点灯する。また、このLEDランプ562aは、後述する第2図柄表示装置42による変動表示が行われる毎に右から順に消灯していく。従って、保留ランプ部46を介して視認される光により、第2図柄表示装置42における変動表示の保留回数が表示されるようになっている。
後ベース枠550の左右両側部には側壁部570が形成されている。この側壁部570には、前後方向に貫通した孔部570aが縦方向に4個形成されている。この孔部570aには、側壁部570の背面側より組み付けられる装飾用LED基板572に設けられたLEDランプ572aが配設される。また、この孔部570aよりも内側には、前後方向に開口したネジ挿通孔570bが縦方向に2個形成されている。
両側壁部570の前面側には、側壁部570の前面部とほぼ同一形状な平面を有するLEDカバー573がそれぞれ組み付けられ、さらにLEDカバー573の前面側には、球通路部材574がそれぞれ組み付けられる。LEDカバー573の内側には、前後に開口する挿通部573aが縦方向に2個形成されており、外側には、曲線状の凹部573bが縦方向に3個形成されている。一方、球通路部材574は、縦方向に等間隔に並ぶ4個の脚部574aと、縦長の形状をしており且つ4個の脚部574aを連結する基部574bとを備えている。脚部574aは基部574bに対して後方に突出しており、その突出している長さは遊技球の直径よりも長い。また、最上部及び最下部に位置する脚部574aの突出先端部には後方に突出するネジ螺着部574cが形成されている。
LEDカバー573及び球通路部材574の側壁部570への組み付けは、ネジ螺着部574cを挿通部573aに挿通させ、その状態で側壁部570の背面側からネジ挿通孔570bに挿通させたネジ575をネジ螺着部574cに螺着することにより行われる。これにより、LEDカバー573及び球通路部材574が側壁部570に組み付けられ、後ベース枠550の中央開口部を挟んで左右に側部球通路551が形成される(図9(a)参照)。なお、脚部574aの突出していない側の背面部には図示しない凸部が形成されており、さらに上述したようにLEDカバー573には凹部573bが形成されている。この凸部と凹部573bは、LEDカバー573と球通路部材574とを側壁部570に組み付けた際に対向する構成となっている。これにより、側部球通路551を遊技球が落下する際は、この凸部と凹部573bとに遊技球が接触し落下速度が低減されるようになっている。また、球通路部材574は一列の格子状となっているので、側部球通路551を落下する遊技球が外部から視認可能な構成となっている。このような構成とすることにより、遊技球が側部球通路551を通過する際に、遊技者が遊技球が突然消えたと錯覚し不安になるといったことなどを抑制することができる。
後ベース枠550の上部には、上枠部580が形成されている。この上枠部580の背面側には、センターフレーム43に組み付けられる各種基板(保留ランプ用LED基板562、装飾用LED基板572など)を中継する中継基板188が組み付けられる。また、上枠部580には、左右に略矩形状の開口部580aが形成されており、この開口部580aは後述する扉体171,172及びこれら扉体171,172を作動させるための部材などをセンターフレーム43に組み付ける際に使用される。
また、後ベース枠550の外周部には、上下左右の複数箇所(本実施では5個箇所)にネジ挿通孔550aが形成されている。このネジ挿通孔550aは、後ベース枠550に前ベース枠600を組み付ける際に使用される。
後ベース枠550に組み付けられる前ベース枠600の下部には、図7に示すように、下枠部610が形成されている。この下枠部610の中央部には、略U字状の凹部614が形成されている。また、下枠部610の前面側には、上下に延出する前面部613が設けられている。
凹部614の底部は、後方から前方に向けて下方に傾斜している。また、当該凹部614の底部の略中央部には、曲線状に凹んだ形状であって前後方向に延びる誘導路614aが設けられている。凹部614がこの構成であることにより、球通路593を通過した遊技球が凹部614の略中央部から遊技盤30に導出される。一方、前面部613の中央部には、遊技球を遊技盤30に導出するための開口部613aが形成されており、その上部には、略U字状の切欠部613bが形成されている。また、前面部613の上端の形状は、下段ステージ594の上面の前端部の形状とほぼ同一である。さらに、前面部613の下部には、センターフレーム43を遊技盤30に組み付ける際に使用されるネジ挿通孔615が設けられている。
図5に示すように、ステージ部材590が前ベース枠600に組み付けられた際は、前面部613の切欠部613bと、下段ステージ594の前後誘導路594bの前方端部とが面一となる。また、前面部613の上端の最も凹んでいる落下部613cは、下段ステージ594の谷部594aの前面側に位置し、さらにこの谷部594aよりも下側に位置する。下段ステージ594での転動の結果、場合によっては、当該落下部613cより遊技球が遊技盤30に導出される。さらに、ステージ部材590の左右両端側と下枠部610の左右両端とが面一となる。これにより、上述した側部球通路551を通過してきた遊技球が、滑らかに下段ステージ594の上面へと導出される。
なお、下枠部610の下縁部の外側には、図示しないネジ螺着部が形成されており、このネジ螺着部は、後ベース枠550に前ベース枠600を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠550の背面側からネジ挿通孔550aにネジを挿通した状態で、当該ネジをネジ螺着部に螺着することにより、後ベース枠550への前ベース枠600の組み付けが行われる。
前ベース枠600の両側部には、側枠部620が形成されている。両側枠部620の外側の上部には、ネジ螺着部621が形成されている。このネジ螺着部621は、後ベース枠550に前ベース枠600を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠550の背面側からネジ挿通孔550aにネジ622を挿通した状態で、当該ネジ622がネジ螺着部621に螺着される。
前ベース枠600の上部には、上枠部630が形成されている。この上枠部630の左右両側部には、前後方向に延びる前後球通路631が形成されている。この前後球通路631により、後述する上部球通路601を通過した遊技球が側部球通路551に導かれる。上枠部630の略中心部には、背面側からLEDランプ632aが3個設けられた装飾用LED基板632が取り付けられる。また、上枠部630の左右中央部の背面側には、それぞれ装飾用LED基板633及びLEDカバー634が組み付けられる。装飾用LED基板633には、LEDランプ633aが3個設けられており、さらにネジ挿通孔633bが2個設けられている。ネジ635を装飾用LED基板633のネジ挿通孔633bに挿通させた状態で、LEDカバー634に設けられたネジ螺着部634aに螺着することにより、装飾用LED基板633がLEDカバー634に固定される。そして、LEDカバー634が前面側となるように、これら装飾用LED基板633及びLEDカバー634が上枠部630に組み付けられる。また、上枠部630の外側の上縁部には、ネジ螺着部636が形成されている。このネジ螺着部636は、後ベース枠550に前ベース枠600を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠550の背面側からネジ挿通孔550aにネジ637を挿通した状態で、当該ネジ637がネジ螺着部636に螺着される。
また、側枠部620及び上枠部630の前面側は、外方に延出する延出部638が形成されている。この延出部638には、前面部613と同様にセンターフレーム43を遊技盤30に組み付ける際に使用されるネジ挿通孔615が複数(本実施では5箇所)設けられている。また、上枠部630の前面及び延出部638には、ネジ挿通部639が複数(本実施では4個)形成されている。このネジ挿通部639は、上枠部630に上飾り部640を組み付ける際に使用される。
上枠部630の前面側には、上飾り部640が組み付けられる。当該上飾り部640の上部には、背面が開放された通路形成部641が左右に形成されている。この通路形成部641の内部は遊技球の直径よりも広く、左右の両端は、上飾り部640を上枠部630に組み付けた際に、各前後球通路631の前方に位置する。また、通路形成部641の上側壁部の中央が開口されており、それぞれ左右方向に沿って下る構成となっている。上側壁部が開口している中央部では、それぞれの通路形成部641の下側壁部が中央部に向けて上方に急傾斜しており、左右の通路形成部641の下側壁部の繋ぎ目は、上枠部630に上飾り部640を取り付けた際にネジ螺着部636のほぼ前面に位置する。上飾り部640を上枠部630に組み付けることにより、通路形成部641がLEDカバー634の前面側に位置することとなり、通路形成部641の背面側の開放部が上枠部630及びLEDカバー634により塞がれる。これにより、上部球通路601が形成される(図9(a)参照)。また、通路形成部641の前面側には、前後に貫通した隙間641aが設けられている。この隙間641aが設けられていることにより、遊技者は上部球通路601を通過する遊技球を視認することができる。これにより、遊技者が、遊技球が上部球通路601を通過する際に、当該遊技球が突然消えたと錯覚し不安になるといったことなどを抑制することができる。さらに、隙間641aは、上枠部630に組み付けられたLEDランプ633aの光の視認を可能とする視認窓としての役割も果たす。
上飾り部640の中心部には、円形状であって前後に貫通する円形開放部642が形成されている。この円形開放部642には、当該円形開放部642とほぼ同一形状であって内部が空洞であるLEDカバー643が組み付けられる。上飾り部640を上枠部630に組み付けた際には、このLEDカバー643は、LEDランプ632aの前方に位置する。従って、LEDランプ632aの光はLEDカバー643を介して前方から視認することができる。
上飾り部640の中央部下側には、第2図柄表示部45が形成されている。また、この第2図柄表示部45の左右両側には保留ランプ部644が、左右にそれぞれ2個ずつ形成されている。この第2図柄表示部45及び保留ランプ部644には、背面側からLEDカバー645が組み付けられる。また、第2図柄表示部45の背面側には、LEDカバー645を介して、LEDランプ646aが2個設けられた第2図柄用LED基板646が組み付けられる。一方、各保留ランプ部644の背面側には、各保留ランプ部644毎に1個の保留ランプ44が配設されるように、LEDカバー645を介して保留ランプ用LED基板647が組み付けられる。なお、この保留ランプ用LED基板647は左右に1個ずつ組みつけられ、各保留ランプ用LED基板647には2個ずつ保留ランプ44が設けられている。
第2図柄表示部45は、例えば「○」、「×」の2種類の第2図柄を表示する表示部であり、第2図柄表示装置42の表示部としての役割を果たす。そして、遊技球がスルーゲート34を通過する毎に第2図柄表示部45の表示図柄(第2図柄)が変動し、その変動表示が所定絵柄(例えば「○」図柄)で停止した場合に、作動口33に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。具体的な変動態様は、遊技球がスルーゲート34を通過すると、「○」と「×」の表示が付された部分の背面に組み付けられたLEDランプ646aが交互に点灯され、最終的に「○」か「×」の一方に対応したLEDのみが点灯されるというものである。また、この第2図柄表示部45の変動表示は、上述したように、保留ランプ部46が点灯している個数回分行われる。なお、第2図柄表示部45は、複数のランプ(LED)を交互に点灯させることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置41(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であってもよい。
保留ランプ44は、第1図柄表示装置41に対応したLEDランプである。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、各保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。具体的には、遊技球が作動口33を通過する毎に、左から順に保留ランプ44が点灯し、その光がLED保護部材644を介して前方から視認される。一方、第1図柄表示装置41の変動表示が行われる毎に、右から順に保留ランプ44が消灯する。なお、保留ランプ44は、第1図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。前記第1図柄表示装置41が、絵柄を変動表示するための「絵柄表示装置」に相当する。
上飾り部640の背面には、図示しないネジ螺着部が形成されている。上飾り部640の上枠部630への組み付けは、上枠部630のネジ挿通部636にネジ648を挿通し、上飾り部640に形成されたネジ螺着部に当該ネジ648を螺着することにより行われる。
以上のように種々の部材などが組み付けられた後ベース枠550と前ベース枠600とは、図5に示すように、ステージ部材590を後ベース枠550のステージ取付部560と、前ベース枠600の下枠部610とにより挟み込んだ状態で組み付けられる。この際、ステージ部材590の図示しない左右突出部が前ベース枠600の図示しない切欠部に嵌合される。このように後ベース枠550、ステージ部材590及び前ベース枠600を組み付けることにより、上部球通路601及び側部球通路551が形成され、上部球通路601、前後球通路631、側部球通路551及び下段ステージ594の上面が連結される。これら各通路601,631,551及び下段ステージ594の上面における遊技球の流れを図9(a)及び図10を用いて説明する。
本実施の形態によれば、遊技者の操作により、遊技盤30上部に打ち込まれた遊技球は、図9(a)の点線で示すように、センターフレーム43上方から上部球通路601へ案内される場合がある。この遊技球は、上部球通路601を通って前後球通路631の前方側へ案内される。そして、遊技球は前方から後方に向かって下る前後球通路631を通って側部球通路551の上方へと導かれる。側部球通路551の上方へと導かれた遊技球は、側部球通路551を落下し下枠部610の上面の左右側部に到達し下段ステージ594の上面へと導出される。なお、上述したように、脚部574aの突出していない側の背面部には凸部が形成されており、さらにLEDカバー573には凹部573bが形成されているので、側部球通路551を遊技球が落下する際は、この凸部と凹部573bとに遊技球が接触し落下速度が低減されるようになっている。これにより、側部球通路551を落下した遊技球が、円滑に下段ステージ594の上面に導出される。この下段ステージ594の上面に導出された遊技球は、図10に示すような転動の結果、遊技盤30に導出される。なお、図10においては、右側の側部球通路551から下段ステージ594の上面に導出される遊技球の転動の様子を示しているが、右側の側部球通路551においても同様である。また、遊技球の転動は図10に示す転動のみではなく、その他の転動態様も当然存在する。しかし、遊技球が遊技盤30に導出されるまでの過程は種々存在しても、遊技球が遊技盤30に導出される際の導出箇所は、図10の3態様と類似する。
図10(a)では、点線で示すように、左側の側部球通路551から下枠部610の上面の左側部に到達した遊技球は、下段ステージ594の上面へと導出される。そして、下段ステージ594の上面へと導出された遊技球は、下段ステージ594の上面に沿って右方に移動し、当該上面の右側端部付近に到達する。この右側端部付近に到達した遊技球は、反転し中央部に向かって左側に移動する。そして、速度がほぼ0となった状態で中央部に到達した遊技球は、前後誘導路594bの後方側の傾斜を下り球通路593へ案内される。球通路593へと案内された遊技球は、球通路593に沿って下方に落下し、凹部614へと案内される。当該凹部614へと案内された遊技球は、誘導路614aに沿って前方へ案内され、誘導路614aの前面端部より遊技盤30へと導出される。
図10(b)では、図10(a)の場合と同様に、点線で示すように左側の側部球通路551から下枠部610の上面の左側部に到達した遊技球は、下段ステージ594の上面に沿って右方へ移動し、当該上面の右側端部付近で反転し速度がほぼ0となった状態で中央部に到達する。この中央部に到達した遊技球は、前後誘導路594bの前方側の傾斜を下り、前ベース枠600の切欠部613bから遊技盤30へと導出される。
図10(c)では、図10(a),(b)の場合と同様に、点線で示すように左側の側部球通路551から下枠部610の上面の左側部に到達した遊技球は、下段ステージ594の上面に沿って右方へ移動し、当該上面の右側端部付近で反転し中央部に到達する。この中央部に到達した遊技球は、さらに中央部を越えて左側に移動し、左側の谷部594aへと移動する。この谷部594aは、上述したように、前方に向けて下方に傾斜する形状となっているので、左側の谷部594aに到達した遊技球は、当該谷部594aを中心にして左右に転動しながら前方へと案内される。そして、前ベース枠600の落下部613cに到達した遊技球は、当該落下部613cより遊技盤30へと導出される。なお、この場合、左側の落下部613cから遊技盤30へと導出される態様であったが、右側の落下部613cから遊技盤30へと導出される態様も有り得る。
上記3態様のうち、(a)及び(b)の場合は、作動口33が誘導路614a及び切欠部613bの下方に位置するので、(c)の場合に比べ作動口33への入球が起こりやすい。
次に本実施形態の特徴の一部である、略矩形状の板状をなす扉体171,172及びこれら扉体171,172を動作させるための部材について図6、図9、図11及び図12を用いて説明する。
センターフレーム43には、第1図柄表示装置41の表示画面上においてその一部に重なるようにして左右一対の扉体171,172が設けられている。なお、以下の説明では、説明の便宜上適宜、右側の扉体171を「右扉171」、左側の扉体172を「左扉172」と称する。
図9(a)に示すように、右扉171及び左扉172は何れも同じ大きさの略矩形状の板状をなし、第1図柄表示装置41の表示画面G上においてその右上隅部に右扉171が設けられ、同左上隅部に左扉172が設けられている。センターフレーム43は、少なくとも表示画面Gの上側が遊技盤30よりもパチンコ機前方に張り出しており、その張り出した部位(張出部)の直下に右扉171及び左扉172が配置されている。これら右扉171及び左扉172は、各扉171,172とほぼ同じ大きさの間隔を隔てて離間されている。第1図柄表示装置41の表示画面Gを縦横に各々3区分して全体で9分割した時、右扉171及び左扉172は概ね前記9分割したうちの1領域分の大きさを有する。つまりこのとき、第1図柄表示装置41の表示画面Gに重なるようにして右扉171及び左扉172が配設されることで、前記表示画面Gの約1/9×2の領域が隠されるようになっている。
この扉体171,172のセンターフレーム43への組み付け手順について図6を用いて説明する。
前ベース枠600の上枠部630の左右背面には、それぞれ扉体171,172を動作させるためのソレノイド177,184が組み付けられる。このソレノイド177,184は、出力軸178,185及びバネ179,186を備えている。このソレノイド177,184の各出力軸178,185には、それぞれ2本のリンク175,176,182,183を備えた可動連結部174,180が、後ベース枠550の開口部580aをまたぐように組み付けられる。なお、この組み付けは、各第1リンク176,183を各出力軸178,185に連結することにより行われる。また、この可動連結部174,180の第2リンク175,182は、後ベース枠550の背面側にて、それぞれ扉体171,172のアーム部171b,172bにネジ187により組み付けられる。この扉体171,172は、基端部に設けられた軸部171a,172aにおいて支軸173,181により後ベース枠550に回動可能に支持される。また、この扉体171,172の後方への離脱を防止するために、扉体171,172の軸部171a,172aを覆うように固定部材189,190が組み付けられる。なお、この固定部材189,190の組み付けは、当該固定部材189,190に設けられたネジ挿通孔189a,190aに背面側からネジ192,193を挿通させ、この状態で当該ネジ192,193を後ベース枠550に設けられた図示しないネジ螺着部に螺着することにより行われる。これにより、扉体171,172が、センターフレーム43の前後方向に貫通した枠状部の右上隅部及び左上隅部に配設される。即ち、扉体171,172は、後ベース枠550の上枠部580及び前ベース枠600の上枠部630の直下に位置する。また、扉体171,172の軸部171a,172a、アーム部171b,172b、可動連結部174,180らは側壁部570及び上枠部580に沿ってその外方に設けられており、結果としてこれらが第1図柄表示装置41の表示画面Gを囲むようにして配置される。このとき、ソレノイド177,184の出力軸178,185はバネ179,186の不勢力によって伸長状態とされ、かかる状態では扉体171,172が表示画面Gに対面した状態、すなわち当該表示画面Gの一部を隠すような状態で保持される。
次に、右扉171及び左扉172の駆動機構を図9(b)及び図11を用いて説明する。図11は、扉体171,172の駆動機構の構成を説明するための図面である。なお、図11は、基本的に図9(b)のA−A線断面を示すが、説明の便宜上、第1図柄表示装置41の表示画面Gを取り囲む周囲壁191を取り除いた状態で示している。右扉171は閉状態で、左扉172は開状態で示している。図11中、第1図柄表示装置41は遊技盤30後方のフレームカバー213に装着されており、第1図柄表示装置41の後方には、後述する表示制御装置214が設置されている。
前記構成の右扉171及び左扉172では、図11に示すように、例えば左扉172側のソレノイド184が通電されることにより、バネ186の付勢力に抗して出力軸185が縮み、それに伴いリンク182,183が揺動する。そして、左扉172が軸部172aを中心に回動することで、表示画面Gに対して直立した状態に移行する(図示の開状態)。勿論、右扉171の動作についても同様である。なお、第1図柄表示装置41は、遊技盤30の表面よりも幾分奥まった位置に設けられており、第1図柄表示装置41の表示画面Gとパチンコ機10前面のガラス137との間には十分な間隔が確保されている。故に、各扉171,172が動作する際、何ら支障なく前方側への回動動作を行わせることができるようになっている。
図9(b)に示すように、右扉171及び左扉172の駆動機構の間には中継基板188が設けられている。各扉171,172のソレノイド177,184に対しては中継基板188を介して駆動信号が出力され、その駆動信号に従って各ソレノイド177,184が通電される。このとき、右扉171及び左扉172は各々独立して開閉駆動されるようになっている。
右扉171及び左扉172がそれぞれに閉状態から開状態に移行することにより、第1図柄表示装置41の表示画面Gにおいて表示形態(画像表示領域の大きさ及び形状)が変更される。図12には、第1図柄表示装置41の表示画面Gにおける表示形態例を示す。
図12において、(a)は右扉171及び左扉172が共に閉状態にある場合の表示形態を図示している。この状態では、第1図柄表示装置41の表示画面Gの右上隅部及び左上隅部が右扉171及び左扉172により隠され、表示画面Gの上部領域では右扉171及び左扉172に挟まれた中央部分のみが露出されるようになっている。このとき、第1図柄表示装置41の全画面領域のうち約2/9の領域が右扉171及び左扉172により隠される。
(b)は右扉171が開き、左扉172が閉じた状態での表示形態を図示している。この状態では、第1図柄表示装置41の表示画面Gの左上隅部が左扉172により隠され、表示画面Gの上部領域では右側2/3の部分が露出されるようになっている。また、(c)は右扉171が閉じ、左扉172が開いた状態での表示形態を図示している。この状態では、第1図柄表示装置41の表示画面Gの右上隅部が右扉171により隠され、表示画面Gの上部領域では左側2/3の部分が露出されるようになっている。(b),(c)の状態では、第1図柄表示装置41の全画面領域のうち約1/9の領域が右扉171又は左扉172のいずれかにより隠される。
さらに、(d)は右扉171及び左扉172が共に開いた状態での表示形態を図示している。この状態では、第1図柄表示装置41の表示画面Gが隠されることが無いため画像表示領域が最大となり、全画面領域を使った表示が可能となる。
上記の通り第1図柄表示装置41の表示画面Gは、右扉171及び左扉172の開閉の状態に応じてその表示形態が変更されるが、いずれの表示形態においても表示画面Gの縦方向及び横方向の最長部分の表示領域が残るようになっている。図12で説明すれば、(a)に示すように、右扉171及び左扉172に挟まれた中央部分が隠されることなく表示領域として残るようになっている。この場合、表示画面Gに重なって右扉171及び左扉172が設けられても、表示画面Gが縮小化されたという印象は比較的少ない。従って、第1図柄表示装置41の表示画面Gを有効に用いつつ好適な表示演出が可能となる。
図4の説明に戻り、可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、特別遊技状態(以下、大当たりという)の際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、作動口33に遊技球が入賞すると第1図柄表示装置41で第1図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなった場合に大当たりが発生する。そして、可変入賞装置32が所定の開放状態となり、遊技球が入賞し易い状態になるよう構成されている。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、より具体的には、摩擦抵抗を低減するべくフッ素配合のポリカーボネート樹脂が用いられている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、外レール部52は内レール部51の上方開放領域を囲むようにかつ内レール51の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。
内レール部51は、他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられている。また、外レール部52は、内レール部51と同様に他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられた支持部52aを有し、その支持部52aの内側面に、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするための摺動プレート52bが取り付けられている。摺動プレート52bは、長尺状をなすステンレス製の金属帯よりなり、複数箇所で支持部52aに支持されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。なお、内外のレール部51,52が対向する部位では、遊技盤30との当接部53により各レール部51,52が連結されており、球案内通路は手前側に開放した溝状に形成されている。
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。ここで、レールユニット50の上下及び左右の各端部は略直線状に形成されている。つまり、レールユニット50の上下及び左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。レールユニット50は、遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置に至るように配設されている。なお、レールユニット50の球案内通路に対応する部位のなかでも特に遊技球の受け入れ部位に関しては、当該レールユニット50を強固に取り付けて遊技球の飛びを安定させるべく、該当するフランジ56が他よりも多い箇所(本実施の形態では3カ所、他は2カ所)でネジ止めされている。
内レール部51及び外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路76(図3参照)に導く機能を有する。遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するためのスペース(図のSa,Sb)となっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58a,58bが形成されている。証紙等のシールを遊技盤30に直接貼り付ける構成とすることで、証紙等の不正な貼り直し等が行いにくいものとなっている。
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機10前面側に露出されるようになっている。
次に、遊技領域について説明する。遊技盤30の盤面はレールユニット50(内外レール部51,52)により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部51及び外レール部52によって囲まれる領域のうち、内外レール部51,52の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部52によってではなく内レール部51によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定され、遊技領域の下側限界位置はアウト口36が形成された遊技盤30の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。すなわち、遊技領域の幅寸法は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上又は480mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さ寸法は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとすることができる。なお、遊技領域の幅又は高さが一定値以上となると、遊技領域の一部が遊技盤30の盤面を越えることも考えられるが、その越えた領域については他の部材を遊技盤面に沿って設けること等によって補えばよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、本実施の形態のように従来と同様の大きさの遊技盤30を使用している前提下では相当に遊技領域を拡大しているといえる。なお、パチンコ機10の外形は遊技ホールへの設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。なお、80%以上を確保するには遊技領域の形状を略円形状とすることは困難となるため、隅部(例えば右下隅部や右上隅部)を拡張したような形状とすることが好ましい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット35の両側に位置するスルーゲート34は、該ゲート34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット35を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34、風車37、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘等の誘導釘)、他の役物などを余裕をもって配設することができ、可変表示ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
遊技盤30の左右両側部に切欠38が形成されて本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉が回避されていること、レールユニット50において遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置にまで至るようになっていることは既に述べたが、更に後述するように、本体枠12の左右両側部に設けられる補強部材(軸受け金具235:図17参照)と施錠装置(基枠247、連動杆248等:図17参照)とを配置するための領域を残した幅となるようにして本体枠12に遊技盤30が取り付けられている。これらのことからも、遊技領域の拡張が図られている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース25において、窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース25に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後球案内通路を通じて遊技領域に案内される。前述のとおり遊技領域が従来よりも大幅に拡張されたことにより、球案内通路の曲率は小さくなっているため、打出球を安定化させるための工夫が必要となる。そこで、本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くして発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、また発射レール61を遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成することで発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で球案内通路に案内できるようにしている。さらに打出球の安定化を図るべく、発射レール61を設置した金属板62を大型化すると共に該金属板62を多数箇所(本実施の形態では15〜20カ所)でネジ止めしており、これにより発射レール61が遊技盤30に対して強固に位置決めされている。
発射レール61と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路76が設けられている。従って、仮に遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路76を介して下皿16に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部のファール球通路76に通じる隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が球案内通路内を逆流してくる際、その多くは外レール部52に沿って流れ、外レール部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は球案内通路内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路76に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路76に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前扉枠13側の球出口(上皿23の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前扉枠13側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の発射基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材63,64を設置してある。これにより、前扉枠13側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置には、基端部を中心に回動可能に支持された打球槌が設けられ、打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や槌シャフト部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(基端部と反対側の先端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果も得られる。
また、本体枠12の前面において発射レール61の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23又は下皿16の何れかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(図18参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
遊技球案内ユニット70は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した状態で本体枠12と前扉枠13との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。遊技球案内ユニット70には、前記排出口66,67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。従って、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機10にあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(図2参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。従って、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。なお、遊技球案内ユニット70の球排出通路71下流側には、下皿16に排出された遊技球が一杯(満タン)になったことを検知する下皿満タンスイッチが取り付けられている。
樹脂ベース25には、窓孔26の右下部に略四角形状の小窓78が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部スペース(図4のSa)に貼られた証紙等は、この小窓78を通じて視認できるようになっている。この小窓78から遊技盤30上に証紙等を直接貼り付けることも可能である。
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、図4で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59及び小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。樹脂ベース25の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ27が設けられている。前扉枠開放スイッチ27は、樹脂ベース25の前面に出没可能なピンを有しており、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠13の閉鎖が検知され、本体枠12に対して前扉枠13を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠13の開放が検知されるようになっている。樹脂ベース25の左右2カ所には、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた際に前扉枠13背面の金具類(図13に示す補強板131〜134)に接触し、且つその金具類を本体枠12側に導通させてアース(接地)するための金属片28a,28bが取り付けられている。従って、金属片28a,28bを通じて、前扉枠13背面の金具類が本体枠12側の施錠装置やヒンジ金具に導通され、これら施錠装置やヒンジ金具と共にアースされる。
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(図2参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。従って、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。この場合、シリンダ錠91は、遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
図2に示すように、本体枠12には、シリンダ錠91を囲むようにして縦長状のカバー部材92が取り付けられている。詳細な図示は省略するが、カバー部材92には、その上端部及び下端部に係止部(フック)が形成されている。従って、上側の係止部を本体枠12側に係止させると共に、下側の係止部を本体枠12と前面板14との間に挟み込むことにより、カバー部材92が本体枠12に取り付けられる。前扉枠13には、カバー部材92の形状に合わせて切欠部145が形成されており、前扉枠13を閉鎖した状態ではこの前扉枠13と共にカバー部材92がパチンコ機前面部を構成する。なお、前扉枠13を閉鎖したとき、カバー部材92に形成された鍔部が前扉枠13により押さえられ、カバー部材92のがたつきが防止されるようになっている。
次に、前扉枠13について図1,図13を参照しつつ説明する。なお、図13は、前扉枠13の背面図である。
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になる形状であってもよい。前扉枠13の窓部101上方において、最も狭い部位のフレーム幅は約61mmである。本実施の形態における上記フレーム幅寸法は、本体枠12において外レール部52の最上部(遊技領域の上端)と本体枠12の上端との間の距離とほぼ一致するものであって、85mm〜95mm程度の上記フレーム幅を有する従来機種に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域における上部領域の視認性が確保されやすくなると共に、大型の可変表示ユニット35も比較的上方に配置することができるようになっている。窓部101上方のフレーム幅(最狭部位)の寸法は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下としても差し支えない。
前扉枠13の左右のフレーム部分は、フレーム幅を小さくするには制約があり、前扉枠13自体の強度及びガラス支持強度を確保するのに十分な幅寸法を必要とする。本実施の形態では、左右の各フレーム部分において最も狭い部位のフレーム幅を何れも約44mmとしている。この場合、本パチンコ機10にあっては遊技領域を大幅に拡張したことから、パチンコ機10の正面から見て左側すなわち開閉軸線側では、前扉枠13のフレーム幅が上記の通り約44mmとなるのに対し、レールユニット50の外レール部52の左端位置と本体枠12の左端位置との距離が約21mmとなり、後者の寸法がかなり小さいものとなっている。つまり本構成では、前扉枠13を閉鎖した状態において、球案内通路の一部が、前扉枠13の左側フレーム部分と重複し覆い隠されるようになる。しかしながら、球案内通路において遊技球が一時的に視認困難となったとしても、かかる球案内通路は遊技球が遊技領域に案内されるまでの通過領域に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。以上により、前扉枠13の十分な強度及びガラス支持強度を確保しつつも、遊技に何ら支障を及ぼすことなく遊技領域の拡張が可能となる。
前扉枠13の下端部における左右両側には、本体枠12表面や遊技盤30表面等(証紙等を含む)の一部を視認できるよう透明樹脂を取り付けた小窓107が設けられている。小窓107に取り付けられる透明樹脂は、その内部の証紙等を工場等で容易に機械読み取りできるよう平坦状に構成される。但し、小窓107に、内部の証紙等をホール作業者等が容易に目視できるよう拡大レンズ部を設けることも可能である。
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態時に点灯や点滅を行うことにより大当たり中であることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。なお、環状電飾部102は、内外二重の樹脂カバー層とその内側に収容された発射板付き発光体(LED)とよりなり、樹脂カバー層の各々の内側面には各層で縦横に交差する向きに突条(又は波状の突起)が設けられている。外側の樹脂カバー層は透明であり、内側の樹脂カバー層は有色である。従って、環状電飾部102を発光させれば、多数に分散化された状態、又は立体感を伴った状態の電飾が実現できるようになる。樹脂カバー層には、ガラス粉末入りの樹脂材料を用いると良い。このような樹脂カバー層の構成は、他の電飾部(例えば中央電飾部103や賞球ランプ105)に適用することもできる。
前扉枠13には、窓部101の下方位置に、貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で、貸球操作部120によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では貸球操作部120が不要となるが、かかる場合には、貸球操作部120の設置部分に飾りシール等が付されるようになっている。これにより、貸球操作部120を設けた本パチンコ機10の構成において、カードユニットを用いたパチンコ機(いわゆるCR機)と現金機との共用が可能となる。
前扉枠13の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図13に示すように、前扉枠13の裏側にあって窓部101の左右及び上下の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。これにより、補強板131〜134による電気経路の閉じたループが切断され、ノイズの原因となる磁界の発生等が防止されている。
図13の右側となる開閉軸線側の補強板131にはその上端部及び下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。また、同補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前扉枠13を閉じた状態で本体枠12の孔部12a(図3参照)に挿入されるように構成されている。これにより、上皿23を含む形態で前扉枠13を構成し、その上下の軸支間隔を長くした本パチンコ機10においても、中間位置における前扉枠13の浮き上がりが防止できる。それ故、前扉枠13を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
図13の左側となる開閉軸線とは反対側の補強板132には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(図3参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
下側の補強板134には、前記発射レール61に対向する位置に樹脂ケース136が取り付けられている。樹脂ケース136には、前記貸球操作部120用の回路基板が収容されている。樹脂ケース136の背面(図13に見える面)は平坦状をなし、前扉枠13を閉じた際に発射レール61の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール61から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。
下側の補強板134の一部を切り欠いた部位には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機10後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の内側が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
前述した通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前扉枠13を閉じた状態にあっては、内外のレール部51,52間に形成された球案内通路の一部が前扉枠13により覆い隠される構成となっている。それ故、球案内通路では手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らず戻ってくると、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前扉枠13に、球案内通路の手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。レールカバー140は略円弧状をなす板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記球案内通路の形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、球案内通路の基端部から先端部近傍までの区間を覆うようになっている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前扉枠13に取着した図13の状態で右端となる部位)には、球案内通路がガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。以上のレールカバー140の構成により、前扉枠13が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が球案内通路のほぼ全域を覆うこととなって、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
また、レールカバー140の下部裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ後方へ向けて突出する突条142が形成されている。突条142は、前扉枠13が閉じられた状態において、球案内通路内に入り込んだ状態で内レール部51に重なり合うように配置される。従って、例えば前扉枠13と本体枠12との隙間から針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、球案内通路の内側にある遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金やフィルム等を侵入させにくくなり、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。なお、図14はパチンコ機10の背面図、図15はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
まず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置271(主基板)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、発射制御装置312(発射制御基板)及び電源装置313(電源基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図16の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
各ユニット201〜203を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット201〜203をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット201については、締結部M2の締結及び係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット201を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203がない前提であれば、第1制御基板ユニット201を取り外すことができる。また、第2制御基板ユニット202については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット202を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット202を取り外すことができる。さらに、裏パックユニット203については、締結部M7の締結及び係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット203を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203を取り外すことができる。
ここで、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。この場合、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203に一部重複して設けられるため、裏パックユニット203を開かないことには第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能であり、さらに言うと、第1制御基板ユニット201及び裏パックユニット203が各々逆方向に展開する構成であるため、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能である。従って、第1制御基板ユニット201を取り外すことに着目すると、他のユニット202,203に比べて取り外しが困難な構成となっている。さらに、施錠装置をキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっているため、より一層第1制御基板ユニット201の取り外しが困難なものとなっている。より具体的な構成については後述する。
次に、本体枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、図17は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203等を取り外した状態の構成を示す背面図、図18は本体枠12を後方より見た斜視図、図19は遊技盤30を後方より見た斜視図である。
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。図17にはロック状態を示す。左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で本体枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、下部1カ所の係止固定具212は合成樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(図4参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、第1図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂等の合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部の例えば遊技ホールの島設備等へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図17に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に集合板ユニット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複していない。従って、遊技盤30を本体枠12から取り外す際において、排出通路盤17が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿23の裏側に配置されており、上皿23に至る球排出口(図2の球通路樋138)より針金やフィルム等を差し込み、さらにその針金やフィルム等を本体枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで、本パチンコ機10では、図18に示すように、排出通路盤217には、球通路樋138の上部位置に対応する高さ位置に、本体枠12に重なり合うようにしてパチンコ機10前方に延びるプレート219を設けた。従って、本体枠12と排出通路盤217との隙間から針金やフィルム等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して可変入賞装置32を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置に特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223が設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり中に可変入賞装置32へ入賞した遊技球が特定領域に入ったことを判定するスイッチである。特定領域とはラウンドの更新可否を判定するための領域であり、Vゾーンとも称されている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226及び大入賞口中継基板227が主制御装置271に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置271に接続されている。その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口の開閉扉を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域かその他の領域に振り分けるための振分板を駆動する入賞球振分板ソレノイドとが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置271に取り込まれ、該主制御装置271よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信される。そして、払出制御装置311の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。ここで、従来のいわゆる証拠球方式では、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行うようにしていたが、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に検知して払出が直ちに行われるようにしているため、払い出す遊技球が多量にあってもその払出をいち早く実施することが可能となるとともに、入賞球処理装置が不要となる。
集合板ユニット215には、その右上部に盤用外部端子板230が設けられている。盤用外部端子板230には、第1図柄の変動が停止(確定)する毎に信号出力するための出力端子と、大当たり中又は第1図柄の変動時間短縮中に信号出力するための出力端子と、大当たり中に信号出力するための出力端子とが設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して遊技(遊技盤30側の状態)に関する信号が出力される。盤用外部端子板230は、取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられている。なお、図17に示すように、本体枠12裏側の左下部には、打球槌等を備えるセットハンドル228及び発射モータ229が設けられている。
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔231aが形成されている。また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233が設けられている。
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235が取り付けられている。この軸受け金具235は補強部材としても機能する。図20に示すように、軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。なお、第2制御基板ユニット202用の軸受け部237と裏パックユニット203用の軸受け部238とを各々個別の軸受け金具で構成することも可能である。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている。本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方及び右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。なお、裏パックユニット203は、その上部に大量の遊技球を貯留することから、裏パックユニット203の上部を支持するための固定具241,242に関しては特に十分な強度を持つ構成とするのが望ましく、本実施の形態では回動式の固定具を用いている。
上記の如く本体枠12の左右一側部(図17では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(図17では左側部)には施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
なお、本体枠12の左右側部に軸受け金具235と施錠装置(基枠247、連動杆248等)とが振り分けられる上記構成において、これら軸受け金具235及び施錠装置(基枠247、連動杆248等)を配置するための領域を残した幅となるようにして、本体枠12に前記遊技盤30が取り付けられている。これによっても遊技領域の拡張が図られていることは前述した通りである。
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。遊技球分配部245は、左側の開口部245aが第1排出口66を介して上皿23に通じ、中央の開口部245bが第2排出口67を介して下皿16に通じ、右側の開口部245cが排出通路218に通じるように、各通路が形成されている。遊技球分配部245は、本体枠12に対してネジ等により強固に取り付けられている。従って、遊技球分配部245の設置部位における浮き上がりが防止され、隙間から針金やフィルム等を侵入させることによる不正行為が防止できるようになっている。なお、本体枠12の下端部には、奥壁パネル17の裏側に設置されたスピーカ20の背後を囲むための合成樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、スピーカボックス246がスピーカ音を後方へ逃さないように機能することで低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201の構成を図21〜図24に基づいて説明する。図21は第1制御基板ユニット201の正面図、図22は同ユニット201の斜視図、図23は同ユニット201の分解斜視図、図24は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置271と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。主制御装置271は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。なお、基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニット274によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス273が封印されている。
封印ユニット274はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図22等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット274による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット274を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合発生の際や主基板の検査の際など基板ボックス273を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス273の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス273に残しておけば、基板ボックス273を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
音声ランプ制御装置272は、例えば主制御装置271又は表示制御装置214からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス275に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置272上には電源中継基板276が搭載されており、電源装置313の電源が電源中継基板276を介して表示制御装置214及び音声ランプ制御装置272にそれぞれ供給されるようになっている。つまり、表示制御装置214及び音声ランプ制御装置272には各々独立して電源が供給される。
取付台251は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製であり、例えば緑や青等に着色されて不透明とされている。但し、取付台251は無色透明又は半透明であってもよい。取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。基板搭載面252の上縁部及び下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置271が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置271は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置172は、複数箇所でネジ等により基板搭載面253に固定される。
ここで、図23及び図24に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。一方、主制御装置271の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具277が設けられている。主制御装置271を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具277が挿通されるように主制御基板271を載置し、その状態で固定具277を回動操作することで主制御装置271がロックされる。従って、主制御装置271は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具277をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が得られる。
また、取付台251において、主基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。従って、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機10裏面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
前述した通り、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ取り外すことが不可能であり、また、施錠装置を正しくキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっている。つまり、本体枠12を開くことができなければ、結果的に第1制御基板ユニット201を回動させたり取り外すことができず、ひいては主制御装置271の取り外しも不可能となる。それ故、主制御装置271の不正な載せ替えや盗難等を効果的に防止することができる。
主制御装置271は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置272はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置271及び音声ランプ制御装置272を搭載した状態において各制御装置271,272はその一部を前後に重ねて配置される。つまり、図22等にも見られるように、主制御装置271はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置される。故に、主制御装置271に重なる領域まで音声ランプ制御装置272を拡張することが可能となり、また別の見方をすれば音声ランプ制御装置272に重なる領域まで主制御装置271を拡張することが可能となり、パチンコ機10という限られた大きさの中にあっても、各制御基板271,272の大型化に良好に対処できるとともに、各制御装置271,272を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。なお、基板搭載面252の裏面には格子状のリブ258が設けられており、主制御基板271の支持強度が高められている。
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている。取付台251の上端部には前記係止爪片233が係止される長孔263が設けられている。従って、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、軸受け金具231及び掛止ピン261が前記支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ262が前記締結部M2に、係止爪片233及び長孔263が前記係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、第2制御基板ユニット202の構成を図25〜図27に基づいて説明する。図25は第2制御基板ユニット202の正面図、図26は同ユニット202の斜視図、図27は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311及び発射制御装置312は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われる。また、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、主制御装置271と同様、被包手段を構成する基板ボックス315がボックスベースとボックスカバーとを備え、それらが封印手段としての封印ユニット319によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。基板搭載面302には、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が横並びとなった状態で搭載され、ネジ等で固定されている。電源装置313の基板ボックス317上には略平板状の台座プレート303が載置されるとともに台座プレート303上に払出制御装置311が搭載され、ネジ等で固定されている。払出制御装置311と電源装置313との間には台座プレート303が介在するため、例えばノイズ除去用の金属プレート等を設置するには台座プレート303に金属プレート等を取り付ければ良く、ノイズ対策が簡単に実現できる。
取付台301には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン305が設けられており、掛止ピン305を前記軸受け部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台301の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を前記被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。なお、軸受け部237及び掛止ピン305が前記支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が前記締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を図28〜図30に基づいて説明する。図28は裏パックユニット203の正面図、図29は裏パックユニット203の分解斜視図である。図30はタンクレールの分解斜視図である。
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置272も併せて囲む構成となっている。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置214等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができるようになっている。
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出制御装置311の制御により払出モータ358aが駆動されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は払出通路359等を通じて前記上皿23等に供給される。なお、図示は省略するが、ケースレール357の上流部には、タンク355やタンクレール356から供給される遊技球の有無を検出するタンク球無しセンサが設けられている。また、払出装置358には、払出モータ358aの回転を検出する払出回転センサと、払い出される遊技球数をカウントする払出カウントスイッチとが設けられている。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。バイブレータ360は、バイブモータとそのバイブモータを収容する合成樹脂製のケースとによりユニット化されており、2本の脚部360aでタンクレール356に取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
タンクレール356の構成ついて詳述すると、図30に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。レール本体361の上流部には球面状の球受部362が形成され、球受部362によりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるようになっている。レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に塵埃を落下させるための開口部365が設けられている。レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367は、下流側ほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、その下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが発生し難くなっている。なお、レール本体361が帯電防止のために黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は球詰まり等を目視で確認できるように透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。整流板367には、遊技球の流下を阻止するための手動式のストッパ369が取り付けられている。
図28,図29の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する合成樹脂材料、例えば導電性ポリカーボネート樹脂にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
裏パック351には、その右上部に枠用外部端子板390が設けられている。枠用外部端子板390には、タンク355やタンクレール356で遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、本体枠12の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠13の開放時に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して枠側の状態に関する信号が出力される。なお、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子はいわゆる現金機においては不要である。
裏パック351には、枠用外部端子板390に隣接して略四角形状の窓部391が設けられている。従って、裏パックユニット103を本体枠12に取り付けた状態では、窓部391を通じて遊技盤30裏面の盤用外部端子板230が露出し、裏パックユニット103を装着したままで盤用外部端子板230の操作を行うことができるようになっている。前述のとおり、盤用外部端子板230は取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられていることから、盤用外部端子板230の配線を接続したままで、窓部391を介して当該盤用外部端子板230を取り出すことも可能となる。裏パック351の右上部には本体枠12の開放の状態を検出するための本体枠開放スイッチ392が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉じた状態では当該スイッチ392の金属接点が閉じて本体枠12の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠12を開いた状態では金属接点が開いて本体枠12の開放が検知されるようになっている。
裏パック351には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。なお、軸受け部238及び掛止ピン385が前記支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が前記締結部M7に、固定具242及び係止孔387が前記係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が前記係止部M9に相当する。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図31のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置271には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込み処理(図43参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図36参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
主制御装置271のCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、表示制御装置214や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置271のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込み処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置271のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により、NMI割込み処理が即座に実行されるようになっている。
払出制御装置311のCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置271、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
表示制御装置214は、主制御装置271から送信される図柄表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置41における第1図柄(特別図柄)の変動表示、及び第2図柄表示装置42における第2図柄(普通図柄)の変動表示を制御するものである。但し、表示制御装置214について第1図柄の表示制御にかかる構成は後述する。またその他に、表示制御装置214は、音声ランプ制御装置272に対して制御コマンドを送信し、音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214から受信した制御コマンドに従って各種ランプ、スピーカの制御や、第1図柄表示装置41の表示画面上に設けられた右扉171及び左扉172の駆動を制御する。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置271や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置271や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置271のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置271及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置271及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込み処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込み処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置271及び払出制御装置311は、NMI割込み処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置271及び払出制御装置311のバックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、主制御装置271及び払出制御装置311に対してRAM消去信号SG2を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御装置271及び払出制御装置311においてそれぞれのバックアップエリア503a,513aのデータがクリアされる。
次に、表示制御装置214について第1図柄(特別図柄)の表示制御にかかる構成を図32に基づいて説明する。
図32に示すように、表示制御装置214は、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)524、ビデオRAM525、キャラクタROM526及び入力ポート527を備えている。表示制御装置214のCPU521は、主制御装置271から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP524の制御(具体的にはVDP524に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
VDP524は、第1図柄表示装置41に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP524はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP524は、CPU521、ビデオRAM525等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM525に記憶される表示データを、キャラクタROM526から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置41に表示させる。
ビデオRAM525は、第1図柄表示装置41に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM525の内容を書き替えることにより第1図柄表示装置41の表示内容が変更される。キャラクタROM526は、第1図柄表示装置41に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM526には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM526を複数設け、各キャラクタROM526に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM526に記憶する構成とすることも可能である。
ここで、第1図柄表示装置41に表示される第1図柄と、同第1図柄表示装置41における表示画面上の表示内容とについて図33,図34に基づいて説明する。図33は、第1図柄たる複数の図柄を個々に示す図面である。図34は、第1図柄表示装置41の表示画面Gを示す図面であり、(a)には表示画面G内の領域区分設定と有効ライン設定とを、(b)には実際の図柄をはめ込んだ表示内容を示す。
図33の(a)〜(k)に示すように、第1図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した10種類の主図柄と、花びら形状の絵図柄からなる1種類の副図柄とにより構成されている。詳しくは、各主図柄では、木箱よりなる後方図柄の上に「0」〜「9」の数字が付されており、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)の主図柄では、木箱の前側面ほぼ一杯に各々の数字番号が大きく付されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)の主図柄では、木箱の前側面ほぼ一杯に描かれたお守り、風呂敷、ヘルメット、鉋、やかんといった付属図柄の横に各々の数字番号が比較的小さく付されている。この場合、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃うことで特別遊技状態たる大当たり状態に突入し、さらにその後、高確率時の状態に移行する。また、偶数番号(0,2,4,6,8)が付された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃うことで大当たり状態に移行するが、かかる場合には高確率時の状態には移行しない。なお、高確率時とは、第1図柄の組み合わせが予め定められた確率変動図柄の組み合わせによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
遊技者は、高確率図柄で第1図柄が揃うこと、すなわち第1図柄の変動停止時に主図柄に付された数字が高確率番号(奇数番号)であることを期待して遊技を行うが、当該高確率図柄では数字図柄が大きく描かれており高確率であることが強調されているため、遊技の興趣が高められる。
次に、第1図柄表示装置41の表示画面Gについて説明する。図34の(a)に示すように、第1図柄表示装置41の表示画面Gは、大きくは上下に2分割され、下2/3が第1図柄を変動表示する主表示領域Rm、それ以外(上1/3)が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Rsとなっている。主表示領域Rmが「第1の表示領域」に相当し、副表示領域Rsが「第2の表示領域」に相当する。
主表示領域Rmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されており、各図柄列Z1〜Z3毎に、前述した第1図柄が規定の順序で表示される。すなわち、各図柄列Z1〜Z3では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。このとき、各図柄列Z1〜Z3には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の第1図柄が設定されている。そして、主表示領域Rmでは、各図柄列Z1〜Z3毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示される。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れ、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。また、主表示領域Rmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第1図柄が表示され、結果として3段×3列の計9個の第1図柄が表示されるようになっている。
主表示領域Rmには、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際しては、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に第1図柄の変動表示が停止され、図柄確定した時に第1図柄がいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
また、副表示領域Rsは、主表示領域Rmよりも上方において横長に設けられており、さらに3領域に等区分されている。この場合、副表示領域Rsの3領域のうち、右側の領域が第1予告領域Rs1、左側の領域が第2予告領域Rs2、中央の領域が第3予告領域Rs3となっている。第1予告領域Rs1及び第2予告領域Rs2は、前述した右扉171及び左扉172(図9参照)に重なり合う領域であって、右扉171及び左扉172が配設された状態では、第1予告領域Rs1は右扉171により隠され、第2予告領域Rs2は左扉172により隠されるようになっている。これに対して、第3予告領域Rs3は、右扉171及び左扉172に重なり合うことがなく、常に遊技者により視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図34の(b)に示すように、主表示領域Rmに第1図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。なお、同図には任意の表示状態を示す。また、副表示領域Rsにおいて、右扉171及び左扉172が配設された状態では第1予告領域Rs1及び第2予告領域Rs2が隠され、その表示内容は視認できない。そして、右扉171が開放されることで第1予告領域Rs1が現出し、当該第1予告領域Rs1において所定の予告演出が行われる。また、左扉172が開放されることで第2予告領域Rs2が現出し、当該第2予告領域Rs2において所定の予告演出が行われる。第3予告領域Rs3では、通常は所定のキャラクタ(図ではハチマキを付けた少年キャラクタ)が所定動作するような表示が行われる。そして、必要に応じて当該キャラクタ等による予告演出が行われる。
上記の通り、第1図柄表示装置41の表示画面Gは、原則としては主表示領域Rmと副表示領域Rsとに領域区分されているが、各表示領域Rm,Rsを跨ぐようにして、或いは主表示領域Rmと副表示領域Rsの少なくとも一部とを一つに統合するようにして表示演出を行うこともできるようになっている。例えば、所定のリーチ発生後には、主表示領域Rmと副表示領域Rsとの領域区分をなくして各表示領域Rm,Rsを合わせて1つの表示領域とし、当該表示領域を用いての表示演出が行われる。但し、リーチ発生後の表示形態等については後で詳述する。
因みに、本実施の形態では、右扉171及び左扉172はその背後を透視できない構成となっているが、例えば右扉171及び左扉172を半透明素材で構成し、当該右扉171及び左扉172を通じてその背後の画像がぼんやり又は微かに透視できるようにしてもよい。この場合、右扉171及び左扉172に隠れた状態でも第1予告領域Rs1及び第2予告領域Rs2で表示演出を行うようにする。すると、右扉171及び左扉172により第1予告領域Rs1及び第2予告領域Rs2が隠されていても、その背後の演出が微かに透視でき、大当たり状態に移行することへの期待を遊技者に与えることなどができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御装置271内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図35に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置41の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1
回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置41の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置41において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されていることから、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、第1図柄表示装置41の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置41による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。また、図示は省略するが、第2図柄表示装置42の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
次いで、主制御装置271内のCPU501により実行される各制御処理を図36〜図43のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図41は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置271のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図41において、ステップS601では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置271に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS602では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS603では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
その後、ステップS604では、作動口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を図42のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が作動口33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、第1図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。作動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。続くステップS704では、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
なお、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い第1図柄表示装置41による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(ステップS704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットすることとしている。具体的には、上記始動入賞処理は2msec周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定されるようになっている。
図43は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置271のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。このNMI割込みにより、電源遮断時の主制御装置271の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置271内のCPU501のNMI端子に出力され、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。図43のNMI割込み処理プログラムは、主制御装置271のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置271の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理において、ステップS801では使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS802ではスタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS803では電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS804では電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。ステップS805ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS806では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図43のNMI割込み処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行わない点を除き上記説明と同様である。
図36は、主制御装置271内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
メイン処理において、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置272、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。ステップS102では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し、続くステップS105ではRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(ステップS114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114〜S116)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS116では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源遮断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では電源遮断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では電源遮断の発生情報をクリアする。ステップS110ではサブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信し、ステップS111では使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。また、ステップS112,S113では、割込み許可/不許可を電源遮断前の状態に復帰させた後、電源遮断前の番地へ戻る。
次に、通常処理の流れを図37のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置41による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等の表示コマンドを表示制御装置214に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間経過のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を説明すると、図38に示すように、ステップS301では、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS302では、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。そして、左図柄列の更新時期(ステップS301がYES)であればステップS303に進み、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中図柄列の更新時期(ステップS302がYES)であればステップS304に進み、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、右図柄列の更新時期(ステップS301,S302が共にNO)であればステップS305に進み、右図柄列の外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS303〜S305の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
その後、ステップS306では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、大当たり図柄の組み合わせである場合、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでない場合、ステップS307では、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせである場合、さらにステップS308では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチの組み合わせである場合、ステップS309に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせである場合には、ステップS310に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく、且つリーチ図柄の組み合わせでもない場合(ステップS306,S307が共にNOの場合)、これは外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが外れ図柄の組み合わせになっていることに相当し、かかる場合には、ステップS311に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の完全外れ図柄バッファに格納する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後、図37のステップS204では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込む。その後、ステップS205では、第1図柄表示装置41による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。但し、第1図柄変動処理の詳細は後述する。
その後、ステップS206では、大当たり状態である場合において可変入賞装置35の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
ステップS207では、第2図柄表示装置42による第2図柄(例えば「○」又は「×」の普通図柄)の表示制御を実行する。簡単に説明すると、遊技球がスルーゲート34を通過したことを条件に、その都度の第2図柄乱数カウンタC4の値が取得されると共に第2図柄表示装置42の表示部45にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2図柄乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、作動口33に付随する電動役物が所定時間開放される。なお説明は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図41に示すタイマ割込み処理により更新されるようになっている。
その後、ステップS208では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS209,S210)。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS210では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
次に、前記ステップS205の第1図柄変動処理を図39及び図40のフローチャートを参照して説明する。
第1図柄変動処理において、ステップS401では、今現在大当たり中であるか否かを判別する。なお、大当たり中には、大当たりの際に第1図柄表示装置41で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。続くステップS402では、第1図柄表示装置41による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別する。そして、大当たり中でなくさらに第1図柄の変動表示中でもない場合、ステップS403に進み、第1図柄表示装置41の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。そして、大当たり中であるか、又は作動保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
大当たり中又は第1図柄の変動表示中の何れでもなく且つ作動保留球数N>0であれば、ステップS404に進む。ステップS404では、作動保留球数Nを1減算する。ステップS405では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
その後、ステップS406では、第1図柄の変動開始処理を実行する。ここで、図40のフローチャートを用いて変動開始処理の詳細を説明すると、ステップS501では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合、ステップS502では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、すなわち大当たり図柄を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち予め定められた特定図柄で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(非特定図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
次に、ステップS503では、大当たり図柄で停止するまでの第1図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められるようになっている。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行う場合における変動パターンの設定でも同様である。
ステップS501で大当たりではないと判別された場合には、ステップS504で、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し、リーチ発生の場合、さらにステップS505で、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合、ステップS506に進み、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS507では、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、前記ステップS503と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
前後外れ以外リーチ発生の場合、ステップS508に進み、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS509では、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS503等と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合、ステップS510に進み、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS511では、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS503等と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
図39の説明に戻り、ステップS402がYES、すなわち第1図柄の変動表示中である場合には、ステップS407に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、第1図柄の変動パターンに応じて当該第1図柄の変動時間が決められており、この変動時間が経過した時にステップS407が肯定判別される。そして、ステップS408では、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定し、その後本処理を終了する。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。図44は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS902では、主制御装置271から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS903に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS905では電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し、続くステップS906ではRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS907ではRAM判定値を算出し、続くステップS908では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(ステップS915〜S918)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS915〜S918)に移行する。つまり、ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS916ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS918では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源遮断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909では電源遮断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910では電源遮断の発生情報をクリアする。また、ステップS911ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS912では使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS913,S914では、割込み許可/不許可を電源遮断前の状態に復帰させた後、電源遮断前の番地へ戻る。
次に、払出制御処理の流れを図45のフローチャートを参照しながら説明する。
図45において、ステップS1001では、主制御装置271からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1002では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1003では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
その後、ステップS1004では、下皿16の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿16の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1005では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS1006では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS1007〜S1009では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS1001で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1007,S1008が共にNO)、ステップS1009に進み、図46に示した後述する賞球制御処理を開始する。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が0であれば(ステップS1007,S1008の何れかがYES)、ステップS1010〜S1012の貸球払出の処理に移行する。
貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS1010がNO、S1011がYES)、ステップS1012に進み、図47に示した後述する貸球制御処理を開始する。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS1010がYES又はS1011がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS1013では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1014では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
ここで、図46に示す賞球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
また、図47に示す貸球制御処理において、ステップS1201では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1202では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1203に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1204に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1205に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1206に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1207で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図45の払出制御処理に戻る。
次に、表示制御装置214による表示制御の具体的手順について概説する。図48は、表示制御装置214内のCPU521により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。CPU521は、図48に示す手順に従って主制御装置271から提供される各種コマンドを処理しつつ第1図柄表示装置41の表示制御を実行する。
図48において、先ずステップS1301では、主制御装置271から表示コマンドを受信したか否かを判別する。ステップS1301がNOの場合、何らかのコマンドを受信するまで待機する。そして、表示コマンドを受信すると、ステップS1302に進み、その表示コマンドの内容をワークRAM523に格納する。続いてステップS1303では、ワークRAM523に格納された情報に基づき、VDP524に対する内部コマンドを生成する等の各種の演算処理を開始する。これにより、VDP524は、CPU521からの指令(内部コマンド)に応じて描画処理を行い、第1図柄表示装置41での図柄の変動表示を開始する。またこのとき、CPU521は、その都度の表示演出に同期させながら、音声類、ランプ類を駆動するための制御コマンドや右扉171及び左扉172を動作させるための制御コマンドを音声ランプ制御装置272に対して送信する。これにより、音声ランプ制御装置272は、CPU521からの制御コマンドに従って音声類、ランプ類に加え右扉171及び左扉172を駆動させる。なお、表示コマンドを一旦受信するとその後に確定コマンドを受信するまでの間、CPU521とVDP524との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。その間、CPU521は、VDP524の制御と図48に示すコマンド受信処理とを並行して行う。音声ランプ制御装置272における制御も同様である。
その後、ステップS1304では、主制御装置271から確定コマンドを受信したか否かを判別する。そして、確定コマンドを受信したことを条件にステップS1305に進み、VDP524に対して停止図柄での確定表示を指示する。これにより、VDP524は変動していた図柄を停止図柄で確定表示させる。こうして、図柄の変動開始から変動停止(確定表示)までの1ラウンドの表示処理が行われる。表示制御装置214は、図柄の変動開始時及び変動停止時に主制御装置271によるコントロールを受けるが、その間の図柄の継続的な変動については、表示制御装置214内のCPU521及びVDP524による自立的な画像制御によって担保される。
次に、表示制御装置214による表示制御において、リーチ発生に際して実際にどのような表示が行われ、さらに表示画面上の右扉171及び左扉172がどのように動作するかを具体例を挙げて説明する。図49〜図54には、各種リーチパターンでの第1図柄表示装置41の表示画面を示す表示例を示す。ここでは、パターン1〜パターン6まで6種類のリーチパターンを例示しており、このうちパターン1はノーマルリーチと称されるリーチパターンであり、パターン2〜パターン6はスーパーリーチと称されるリーチパターンである。
図49に示すパターン1では、右扉171及び左扉172は共に閉じたままであり、さらに主表示領域Rm及び副表示領域Rsは2つに領域区分されたままである。この場合、主表示領域Rmにおいて背景画面が通常時のものから変更されることはなく、最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示も通常時とほぼ同様に行われる。
図50に示すパターン2では、右扉171及び左扉172は共に閉じたままであるが、主表示領域Rm及び副表示領域Rsの領域区分が外され、主表示領域Rmと副表示領域Rsの中央領域(図34で説明した第3予告領域Rs3)とを用いてリーチ演出が行われる。この場合、背景画面が通常時とは異なるものに変更されるとともに、リーチ演出用のキャラクタ(図では花びらをバックにした少女キャラクタ)が現れ、その表示状態で最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示が行われる。最終停止図柄は、膨張及び収縮を繰り返しながら変動する。
図51に示すパターン3では、右扉171が開き、左扉172が閉じた状態とされる。また、主表示領域Rm及び副表示領域Rsの領域区分が外され、主表示領域Rmと副表示領域Rsの右側領域及び中央領域(図34で説明した第1,第3予告領域Rs1,Rs3)とを用いてリーチ演出が行われる。この場合、背景画面が通常時とは異なるものに変更されるとともに、リーチ演出用のキャラクタ(図ではクレーン車に乗った少年キャラクタ)が現れ、その表示状態で最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示が行われる。最終停止図柄は、クレーンで持ち上げられるなどされながら変動する。
図52に示すパターン4では、右扉171が閉じ、左扉172が開いた状態とされる。また、主表示領域Rm及び副表示領域Rsの領域区分が外され、主表示領域Rmと副表示領域Rsの左側領域及び中央領域(図34で説明した第2,第3予告領域Rs2,Rs3)とを用いてリーチ演出が行われる。この場合、背景画面が通常時とは異なるものに変更されるとともに、リーチ演出用のキャラクタ(図ではコンベアを操作する少年キャラクタ)が現れ、その表示状態で最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示が行われる。最終停止図柄は、元々の副表示領域Rsの左側領域及び中央領域(図34で説明した第2,第3予告領域Rs2,Rs3)でコンベアに乗せられて横方向に移動しながら変動する。
図53に示すパターン5では、右扉171及び左扉172が共に開いた状態とされる。また、主表示領域Rm及び副表示領域Rsの領域区分が外され、主表示領域Rmと副表示領域Rs全体とを用いてリーチ演出が行われる。この場合、背景画面が通常時とは異なるものに変更されるとともに、リーチ演出用のキャラクタ(図では木槌を持った少年キャラクタとそれを見つめる少女キャラクタ)が現れ、その表示状態で最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示が行われる。最終停止図柄は、上から下へと移動し、さらに1つずつ木槌で殴打されながら変動する。
最後に、図54に示すパターン6では、右扉171及び左扉172が共に開いた状態とされる。また、主表示領域Rm及び副表示領域Rsの領域区分が外され、主表示領域Rmと副表示領域Rs全体とを用いてリーチ演出が行われる。この場合、背景画面が通常時とは異なるものに変更されるとともに、リーチ演出用のキャラクタ(図では木槌を持った少年キャラクタ)が現れ、その表示状態で最終停止図柄(中図柄列の図柄)の変動表示が行われる。特にかかるパターン6では、有効ライン数が通常時の5ラインよりも増やされており、大当たり状態に移行する期待度が高められている。最終停止図柄は、上から下へと移動し、さらに1つずつ木槌で殴打されながら変動する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
可変表示ユニット35において、第1図柄表示装置41の表示画面G上に設けられた右扉171及び左扉172の動作が、表示制御装置214とは電源系が異なる音声ランプ制御装置272により制御される構成としたため、機種変更等による右扉171及び左扉172に関する設計変更に際しては、音声ランプ制御装置272側で右扉171及び左扉172の電源系の設計変更等が行われればよく、それが表示制御装置214側で強いられることはない。つまり、表示制御装置214では、表示演出の制御仕様について変更されればよい。その結果、補助演出を行うことで遊技の興趣向上等を図るようにした本パチンコ機10において機種変更時等における表示制御装置214の設計工数を削減することができるようになる。また、上記の通り電源系が異なる構成とすることにより、右扉171及び左扉172を制御する音声ランプ制御装置272側で電源電圧変動やノイズ等が発生してもそれによる表示制御装置214側への影響を抑制できる。
また、表示制御装置214により第1の図柄の変動表示が制御される際、右扉171及び左扉172の制御が表示制御装置214とは別の音声ランプ制御装置272に任されることとなり、表示制御装置214の処理負荷の増加が防止できる。
右扉171及び左扉172が表示画面G上に設けられており、それぞれの扉体171,172が表示画面Gの前方において開閉動作することにより、画面上の平面的な絵柄演出のみならず、表示画面Gの前方に形成される空間を用いた立体的な演出を効果的に実施することができ、遊技の興趣性が大いに高められる。さらに、センターフレーム43の裏側において右扉171及び左扉172を収納するための領域を必要としないので、センターフレーム43としての小型化が可能となる。また、パチンコ機10という限られた空間において、当該空間を有効活用しながら立体的な演出を実現することができる。
また、右扉171及び左扉172が軸部171a,172aを中心として左右方向に回動する構成であるので、上下方向に回動する構成に比べ各扉体171,172を動作させる動力が小さくてよい。即ち、扉体171,172が上下方向に回動する構成では、上方向に扉体171,172を動作させる際に、重力に反して扉体171,172を動作させる必要があり、その分の動力を要する。しかし、本実施の形態では、上方向への動作はなく、左右方向のみの動作であるので重力に反して動作させる程度の動力は必要としない。従って、比較的動力の小さい駆動部により扉体171,172の回動を実現することができる。また、故障原因を減らすこともできる。
また、右扉171及び左扉172が表示画面Gの隅角部に離間して配置されており、表示画面Gにおける縦方向及び横方向の最長部分の表示領域が残されるようになっている。故に、表示画面Gに重ねて回動部材が設けられても、当該表示画面Gが縮小化されたという印象は比較的少ないものとなる。従って、右扉171及び左扉172の動作を組み合わせて第1図柄の表示演出を行う場合にも、表示画面Gを有効に用いつつ好適な表示演出が実現できる。例えば、第1図柄表示装置41として比較的大きな表示画面を採用してもその大画面が十分に活かされないといった不都合も解消できる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、可変表示ユニット35(センターフレーム43)において、右扉171及び左扉172を左端部又は右端部の軸部171a,172aを中心として左右方向に回動させる構成としたが(図9,図11の構成参照)、各扉171,172の軸部をその上端部に設けて上下方向に回動させる構成としても良い。
(b)上記実施の形態では、可変表示ユニット35(センターフレーム43)において、右扉171及び左扉172にそれぞれ駆動機構を設けてそれらを各々独立して駆動したが、この構成を変更し、右扉171及び左扉172を共通の駆動機構にて駆動するようにしても良い。つまり、複数の回動部材を共用の駆動機構にて駆動可能に構成する。この場合、構成の簡素化が可能となる。
(c)上記実施の形態では、各扉171,172を開いた状態とした際には、各扉171,172が表示画面Gに対して直立する構成であったが、これを変更してもよい。例えば、各扉171,172を開いた状態とした際の表示画面Gに対する各扉171,172の回動角度が、鈍角となるように構成してもよい。この構成の場合、扉体171,172の軸部171a,172aから回動先端までの長さを、上記実施の形態における扉体171,172よりも長くすることが可能となり、扉体171,172の動作を大きく見せることが可能となる。これにより、扉体171,172による演出を強調することができる。
(d)上記実施の形態では、可変表示ユニット35(センターフレーム43)において、回動部材として矩形板状の右扉171及び左扉172を表示画面G上に2片設けたが、この構成を変更する。図55にはその変形例を示す。図55において、(a)では、例えば板状の扉体よりなる回動部材195が四角形ではなく別の多角形(図では五角形)となっている。(b)では、回動部材196が円弧を有する形状となっている。(c)では、回動部材197が表示画面Gの四隅にそれぞれ設けられている。また、(d)では、回動部材198が表示画面Gの上辺部分に沿って延びるようにして一体で設けられており、その中央部には表示画面Gを隠す部分を減らすべく表示領域拡張部としての切欠部198aが設けられている。なお、(d)の場合、回動部材198を扉体で構成するのであれば、その上端部に軸部を設けて上下方向に回動する構成とすると良い。前記(a)〜(d)以外にも、左右又は上下に複数設けられる回動部材を非対称形状にする構成、回動部材の表面に立体状の起伏や突起等を設ける構成等々を採用することも可能である。
(e)上記実施の形態では、音声ランプ制御装置272は表示制御装置214に対して従属的に設けられ、この表示制御装置214からの制御コマンドに従って制御を実施したが、この構成を変更する。例えば、音声ランプ制御装置272を、表示制御装置214ではなく主制御装置271に対して従属的に設ける。つまり、音声ランプ制御装置272は、主制御装置271からの制御コマンドに従って制御を実施する。この場合、音声類、ランプ類の制御や右扉171及び左扉172の動きは、主制御装置271により直接管理されるようになる。
(f)ランプ類(発光体)と音声類とを別系統で制御する構成とし、そのうち、ランプ類を制御するためのランプ制御用の制御装置により右扉171及び左扉172の動きを制御する構成としても良い。ランプ類による補助演出は、パチンコ機の機種変更に伴って設計変更される場合が比較的多い。音声類の補助演出と比較してもそれが言える。本構成では、ランプ制御用の制御装置において、ランプ類と合わせて右扉171及び左扉172に関する設計変更がなされるため、設計変更対象となる制御装置を必要最小限とすることが可能となる。
(g)表示制御装置214とは異なるものであることを条件に、回動部材としての右扉171及び左扉172の動作を別の制御装置により制御する構成としても良い。回動部材の動作を制御するための専用装置(専用チップ)を設ける構成も可能である。
(h)上記実施の形態では、前扉枠13に前後一対のガラス137を取り付けたが、所定の透明性を有していれば、いかなる材質のものを採用してもよい。例えば、「ガラス」に代えて「樹脂板」を採用してもよい。
(i)上記実施の形態では、多数の釘や風車37などが配設された略四角形状の合板よりなる遊技盤30により遊技領域を形成する構成であったが、板状体に釘などが配設されていることにより遊技領域が形成されていればどのような構成であってもよい。例えば、透明樹脂や動画などを表示できる電子ペーパーなどを用いた構成により遊技領域を形成してもよい。なお、電子ペーパーとは、紙のように薄く、軽く、曲げられる電子ディスプレのことである。
(j)上記実施の形態では、従来に比べて遊技領域が比較的大きいパチンコ機10について説明したが、これに限らず、従来のような遊技領域や窓部等を有するパチンコ機等の遊技機にも適用できる。また、上記実施の形態とは異なる他のタイプの弾球遊技機、例えば他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも適用できる。