JP4460246B2 - 動力噴霧機の調圧機構 - Google Patents

Description

本発明は、動力噴霧機のポンプ吐出圧を調整するための調圧機構に関するものである。

一般的なこの種の動力噴霧機の調圧機構を図３について説明する。図中１はポンプ、２はポンプ１の壁外面に突設して設けた弁箱、３は弁箱２内にあってポンプ吐出圧のかかる弁体、４は弁体３をバネ受け５を介して受けるスプリング、６は弁箱２内に弁体３の開閉方向に沿って摺動可能に挿着される弁軸、７は弁軸６に挿入したオーリング、８は弁軸６を往復動させる調圧ハンドルで、弁箱２にある軸９を支点にして３個の調圧面８ａ，８ｂ，８ｃを切り換えることにより弁軸６を３段階に押し込むようになっている。なお、図中１０は弁座、１１は吐出口である。

今、図示の状態，つまり弁軸６が調圧ハンドル８の調圧面８ａにより最も右側に位置するときには、弁体３を押すスプリング４の力が最も弱くなるために吐出口１１は低圧の（除草）モードとなる。そして、調圧ハンドル８を矢印方向に回転させて調圧面８ｂにより弁軸６を押し込むと、弁軸６が押し込まれた分スプリング４が圧縮されて弁体３が強く押し込まれて吐出口１１は中圧の（噴霧）モードとなる。さらに、調圧ハンドル８を矢印方向に回転させて調圧面８ｃにより弁軸６をさらに押し込むと、弁軸６がさらに押し込まれた分スプリング４がさらに圧縮されて弁体３がさらに強く押し込まれて吐出口１１は高圧の（洗浄）モードとなる。
特開２００２−５９０４２号公報

解決しようとする問題は、前記したように従来のこの種の動力噴霧機の調圧機構では調圧ハンドル８にある３個の調圧面８ａ，８ｂ，８ｃによりポンプ吐出圧を３段階（高圧，中圧，低圧）に切り換えるようにしたものであるので、除草剤散布から散水，農薬（殺菌，殺虫）散布，洗浄の用途まで広く使用される中で、除草剤散布でもノズルによっては極めて低い圧力用から低圧用のフオームノズルまで分かれるし、農薬散布でも直進ノズルと広角ノズルでは必要な圧力が異なるし、農薬の使用量を少なくする方向にある現在では適正量の散布のために圧力の設定も細かく調節できるほうが良いというように、ポンプ吐出圧を無段階に近い多段階に切り換えることが必要となるこれらの幅広いニーズに対応できないという点である。

本発明は、ポンプの吐出圧のかかる弁体と、この弁体を格納する弁箱と、この弁箱に前記弁体の開閉方向に沿って摺動可能に挿着されて前記弁体をスプリングを介して保持する弁軸と、この弁軸にその摺動方向と直交する方向に突出するピンと、回転面の偏心円線上にある偏心溝に前記ピンを係合してこれを往復動させる回転式調圧ハンドルと、前記偏心溝のピン係合面に設けられて前記ピンを無段階に近い多段階に止めるためのセレーションとを備え、スプリングの反力が小さい低圧側ではセレーションの山を高く、スプリングの反力が大きい高圧側ではセレーションの山を低くしたことを特徴とする。

本発明は、回転式調圧ハンドルの偏心溝によりピンを往復動させるようにしたので、偏心溝内のセレーションを細かくすれば無段階に近い多段階の切り換えが可能になって多様化される幅広いニーズに対応できると共にピンをセレーションで止めることにより、回転式調圧ハンドルを回すときにクリック感が出てハンドルの角度変化が感覚でも確認できるし、また回転式調圧ハンドルの回転中心がある一直線上で弁体，スプリング，ピンが動作するので、機構全体に不要な力が掛からず、回転式調圧ハンドルが逆に機構側から不要に押されて回ることがなく停止位置に確実に停止するという効果がある。

回転式調圧ハンドルの偏心溝により弁軸のピンを往復動させると共に偏心溝内にセレーションを設けて、ポンプ吐出圧の無段階に近い多段階の切り換えを実現した。

図１は本発明機構の一実施例を示す縦断側面図、図２は図１の回転式調圧ハンドル部分を示す横断平面図であり、図中前記した従来のものと同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。

図において、１２は軸９に回転可能に保持される回転式調圧ハンドル、１３は回転式調圧ハンドル１２の回転面１２ａに設けた偏心溝、１４は偏心溝１３のピン係合面に設けたセレーション、１５は弁軸６に設けられて偏心溝１３に係合するピンで、図面では向かい合った二枚の回転式調圧ハンドル１２の対向する両偏心溝１３に両端側がそれぞれ係合することにより両端側がガイドされるようになっている。

回転式調圧ハンドル１２の偏心溝１３は、イ側からロ側にゆくにしたがって軸９から離れるように偏心円線上に沿う形状になっているので、ピン１５により往復動する弁軸６はピン１５の係合位置がイ側からロ側にゆくにしたがってスプリング４を押し込む量が大きくなって、弁体３の閉塞力が強くなる。つまり、ポンプ吐出圧が高圧になってゆくことになる。

よって、従来のように低圧の（除草）モードにするときには、ピン１５が偏心溝１３の図１に示す位置（イ側に近い位置）にくるように回転式調圧ハンドル１２を回し、また高圧の（洗浄）モードにするときには、ピン１５が偏心溝１３のロの位置にくるように回転式調圧ハンドル１２を回せば良い。

このように回転式調圧ハンドル１２を回してポンプ吐出圧を調整するときには、回転式調圧ハンドル１２を離した位置でピン１５がセレーション１４の一つに嵌り込んで停止する（クリックされる）ので、このセレーション１４により回転式調圧ハンドル１２は無段階に近い多段階の位置に止まることになる。よって、弁体３の押し込み量が無段階に近い多段階になって、ポンプ吐出圧を無段階に近い多段階に調整することが可能となるので、幅広いニーズに対応できるようになる。

図１に示すように回転式調圧ハンドル１２の回転中心（軸９）がある一直線上で弁体３，スプリング４，ピン１５が動作すると、機構全体に不要な力が掛からず、回転式調圧ハンドル１２が逆に機構側から不要に押されて回ることがなく停止位置に確実に停止する。また、図２に示すように向かい合った二枚の回転式調圧ハンドル１２でピン１５の両端側を支持（ガイド）すると、ピン１５の動きがスムーズかつ安定するので、偏心溝１３による弁軸６の動き（往復動）が確実なものになる。

その際、ピン１５がセレーション１４にクリックされながら回るので、回転式調圧ハンドル１２の回転にクリック感が出てハンドルの角度変化が感覚でも確認できるようになる。なお、回転式調圧ハンドル１２は片側一枚の構造であっても良い。

また、図１に示すようにピン１５の低圧位置が軸９に近くなるように偏心溝１３の形状を設定すると、圧力を下げる方向に回転式調圧ハンドル１２を回すとスプリング４を押している弁軸６をピン１５が引き戻すことになってオーリング７の固着などでスプリング４に不要な力が掛かることがなく、空気が抜けず，水を吸い込めないということがなくなる。

この偏心溝１３を回転式調圧ハンドル１２に形成するときのその切り方（形状）によっては、回転式調圧ハンドル１２の回転数を多くしたり，少なくしたり、あるいは特定の圧力範囲での調節幅を広げたりすることも可能になる。

さらに、偏心溝１３のセレーション１４において、スプリング４の反力が小さい低圧側（偏心溝１３のイ側）では山を高く，スプリング４の反力が大きい高圧側（偏心溝１３のロ側）では山を低くすることで、回転式調圧ハンドル１２を回す力（山を乗り越える力）の差を小さくでき、滑らかな回転式調圧ハンドル１２の回転操作が可能になる。

また、図１に示すように回転式調圧ハンドル１２の構造から低圧時は偏心溝１３がハンドルの内側，高圧時は偏心溝１３がハンドルの外側になるので、回転式調圧ハンドル１２の回転角度を同じとすると、高圧側の外側にゆくほどピン１５の移動する偏心溝１３の傾斜が緩やかになる。このために低圧側でセレーション１４の山を高くして振動などでハンドルが回るのを防ぐと共に、高圧側でセレーション１４の山を低くしても前記したように傾斜が緩やかでしかもスプリング４の反力が大きいのでセレーション１４の山が低くてもピン１５が勝手に飛び越えることがなく，クリック力が得られる。

本発明は、背負式のものなど動力噴霧機全般にわたって広く活用できる。

本発明機構の一実施例を示す縦断側面図である。 図１の回転式調圧ハンドル部分を示す横断平面図である。 従来のものを示す縦断側面図である。

符号の説明

１：ポンプ
２：弁箱
３：弁体
４：スプリング
６：弁軸
７：オーリング
９：軸
１１：吐出口
１２：回転式調圧ハンドル
１２ａ：回転面
１３：偏心溝
１４：セレーション
１５：ピン

Claims (1)

1. ポンプの吐出圧のかかる弁体と、この弁体を格納する弁箱と、この弁箱に前記弁体の開閉方向に沿って摺動可能に挿着されて前記弁体をスプリングを介して保持する弁軸と、この弁軸にその摺動方向と直交する方向に突出するピンと、回転面の偏心円線上にある偏心溝に前記ピンを係合してこれを往復動させる回転式調圧ハンドルと、前記偏心溝のピン係合面に設けられて前記ピンを無段階に近い多段階に止めるためのセレーションとを備え、スプリングの反力が小さい低圧側ではセレーションの山を高く、スプリングの反力が大きい高圧側ではセレーションの山を低くしたことを特徴とする農薬散布用の動力噴霧機の調圧機構。

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