JP4433830B2 - 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム - Google Patents

筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP4433830B2
JP4433830B2 JP2004060421A JP2004060421A JP4433830B2 JP 4433830 B2 JP4433830 B2 JP 4433830B2 JP 2004060421 A JP2004060421 A JP 2004060421A JP 2004060421 A JP2004060421 A JP 2004060421A JP 4433830 B2 JP4433830 B2 JP 4433830B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
housing
heat transfer
transfer coefficient
calculated
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004060421A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005250855A (ja
JP2005250855A5 (ja
Inventor
顕 戸田
研一 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2004060421A priority Critical patent/JP4433830B2/ja
Publication of JP2005250855A publication Critical patent/JP2005250855A/ja
Publication of JP2005250855A5 publication Critical patent/JP2005250855A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4433830B2 publication Critical patent/JP4433830B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、内部に発熱体を有する電子機器筐体の表面温度を簡便かつ正確に予測できるようにした筐体表面の温度予測装置及びその方法、電子機器の製造装置及び方法、筐体表面の温度予測システム、このシステムに用いられるサーバ、データベースサーバ、クライアント、筐体表面の温度予測プログラム及びこれを記録した記録媒体に関する。
電子機器の動作状態では、一般に筐体内部で部品の消費電力相当の発熱が生じ、その部品の発熱に起因して筐体表面が発熱しがちである。近年、電子機器の小型化や高機能化が進むにつれて、筐体からの発熱の影響は無視できなくなっている。特に、携帯電話機や電子スチルカメラなどの携帯型電子機器は、サイズが小さいわりに消費電力が大きいので筐体表面の温度も高くなりやすい。
そのためこれら機器の開発では、熱設計が重要になってくる。具体的には、人が操作する部分や触れる可能性のある筐体表面温度は使用者が不快に感じない程度の温度に保たなければならない。このため、設計初期において、計画される筐体寸法と部品の消費電力(発熱量)などに基づいて、筐体表面の温度上昇を正確に予測し、適正な設計仕様を検討する必要がある。
その予測に際しては、筐体表面からの熱輻射による放熱量と、自然対流熱伝達による放熱量とを正確に予測する必要がある。このうちで、自然対流による熱伝達の作用は流体(空気)の流れと密接な関係があって、その流体の流れの現象は非常に複雑であり、そのために固体中の熱伝導の問題のように理論的に解くことは一般に困難である。そこで、例えば特許文献1に示されるような3次元熱流体解析のような大規模なシミュレーションに頼るか、あるいは、単純な流れ場のみを対象として、その流れ場を仮定したうえで理論式導出を行うのが普通のやり方である。
特開2003−216660号公報
3次元熱流体解析によって熱伝達率を得る方法は、流体運動の基礎方程式であるナビエ・ストークスの式が扱いにくく、また、筐体の置かれる空間をモデル化しなければならないなどの解析用モデルの作成(要素分割)が大変であり、解析モデル構築に知識と経験が必要となる。また、解析計算に時間がかかる、解析精度に個人差が出るといった問題がある。
また、単純な流れ場を仮定して導出された理論式の中では、現状では、筐体のような箱形物体を対象として、その表面温度上昇を算出する計算式には信頼に足るものがなく、正確な熱伝達率が得られ難く、この結果、筐体表面温度予測の精度も悪いものとなってしまう。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、その目的とするところは、電子器筐体のような箱型物体を対象として、その表面温度上昇を信頼性高く、かつ簡便に予測できる筐体表面の温度予測装置及びその方法筐体表面の温度予測システム、このシステムに用いられるサーバ、データベースサーバ及び筐体表面の温度予測プログラム提供することにある。
本発明の一形態に係る筐体表面の温度予測方法は、
内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3としたときに
代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
代表長さにL3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と、
前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理とをコンピュータに実行させる。
本発明の他の形態に係る筐体表面の温度予測方法は、
内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1と、奥行きL2と、高さL3と、前記筐体の表面の熱輻射率とを表示装置に表示させる処理と、
代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と
前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理と、
前記筐体表面の温度を表示装置に表示させる処理とをコンピュータに実行させる。
本発明の一形態に係る筐体表面の温度予測プログラムは、
内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3としたときに
代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と、
前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理とをコンピュータに実行させる。
本発明の他の形態に係る筐体表面の温度予測プログラムは、
内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1と、奥行きL2と、高さL3と、前記筐体の表面の熱輻射率とを表示装置に表示させる処理と、
代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と
前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理と、
前記筐体表面の温度を表示装置に表示させる処理とを
コンピュータに実行させる
上記筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3は、筐体の底面、側面、天面それぞれの自然対流熱伝達率h1、h2、h3の算出に用いられ、この算出によって得られたh1、h2、h3と、上記L1、L2、L3と、筐体表面の熱輻射率とから、筐体表面の温度が、筐体内部に与えられた発熱量Qの関数として算出される。
これによって、寸法(L1、L2、L3)及び熱輻射率が既知である筐体内部にどれくらいの発熱量Qを与えると(筐体内部にどれくらいの消費電力の部品を内蔵させると)、筐体表面温度はどれくらいになるのかを予測できる。この予測結果は、今のままの設計で製造を進めてよいのか、あるいは設計の見直しをすべきかといった検討材料となる。
上記筐体表面温度を予測する上で考慮しなければならない現象である筐体表面とこれが接する空気との間の自然対流による熱伝達の度合い(流れの中に置かれた物体の表面を通して熱が出入りする度合い)を表すものとしてヌッセルト数が一般に用いられる。ヌッセルト数Nuは、Nu=hL/λで定義される無次元数である(hは自然対流熱伝達率、λは流体の熱伝導率、Lは流体の流れを特徴づける代表長さ。)。
上記自然対流熱伝達率h1、h2、h3を算出するに際して、そのヌッセルト数における代表長さに筐体のどの寸法を用いるかを本発明では工夫している。特に、筐体天面の自然対流熱伝達率h3を算出するのに用いるヌッセルト数ではその代表長さに筐体の高さL3を含めることで、側面から天面に流れてくる熱流体の流れを反映した天面のh3を算出することができる。これによって、手間と時間のかかる3次元熱流体解析を行わない簡易な式であっても箱型の筐体形状に適した正確な自然対流熱伝達率を得ることができる。
筐体内部に与えられた発熱量(筐体表面からの放熱量)Qと、筐体表面温度との関数式に含まれる各種パラメータの中でも上述した自然対流熱伝達率が最も正確に求め難く、これが正確に求められることは、結果として上記発熱量Qと筐体表面温度との関係を正確に求めることができ、これにより発熱量Qに対する筐体表面温度を正確に予測できる。
また、筐体内部の発熱は、上述した自然対流以外にも、筐体表面からの熱輻射によっても筐体表面から放熱される。したがって、上記筐体表面温度の算出に際して筐体表面の熱輻射率も用いられる。この結果、筐体表面からの放熱現象を厳密に反映した筐体表面温度の予測が行える。
本発明によれば、代表長さに筐体の幅L1を採用したヌッセルト数と筐体の奥行きL2を採用したヌッセルト数とを用いて筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、代表長さに筐体の高さL3を採用したヌッセルト数を用いて筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、代表長さに(L1+L3)を採用したヌッセルト数と(L2+L3)を採用したヌッセルト数とを用いて筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出し、h1、h2、h3、L1、L2、L3、筐体表面の熱輻射率とから、筐体表面の温度を筐体内部に与えられた発熱量Qの関数として算出するので、簡便な計算でもってなおかつ正確な筐体表面温度予測が行える。このように、電子機器の設計初期において、筐体表面の温度と内部の発熱量との関係が手間と時間をかけることなく、なおかつ正確に得られることは、設計のやり直し回数の低減につながる。このことは、評価用試作品の製造回数の削減や、開発期間の短縮につながる。すなわち、基本レイアウトから熱評価検証の完了までを短縮でき、設計〜熱検証〜改良のサイクルが短くなる。
[第1の実施形態]
(筐体表面温度予測装置の構成)
図1は本実施形態に係る筐体表面温度予測装置1の機能ブロック図である。本実施形態に係る筐体表面温度予測装置1は具体的にはコンピュータであり、入力装置3と、記憶装置5と、演算装置7と、表示装置9とを備えている。
入力装置3は、例えばマウスやキーボードなどである。この入力装置3から入力された各種データは記憶装置5を介して演算装置7や表示装置9に送られる。表示装置9は、例えばブラウン管表示装置や液晶表示装置である。
記憶装置5は、主記憶装置5aと補助記憶装置5bとからなる。主記憶装置5aはいわゆるメインメモリとも呼ばれ、実行中のプログラムや処理中のデータを一時保存する。この主記憶装置5aは演算装置7から直接アクセスできる。
補助記憶装置5bはデータやプログラムの恒久的な保存場所である。例えば、ハードディスク装置などの磁気ディスク装置、あるいは光ディスク装置である。補助記憶装置5bのデータやプログラムは、いったん主記憶装置5aに読み込まれてから演算装置7によって実行される。
演算装置7は、入力装置3や記憶装置5から送られてきたプログラムやデータを処理し、また表示装置9にその処理結果を送る。演算装置7は単なるデータの演算機能だけでなく筐体表面温度予測装置1全体を制御する制御機能も備えている。あるいは、演算装置7とは別に筐体表面温度予測装置1全体を制御する制御装置を設けてもよい。
後述する筐体表面温度予測を実行するプログラムは補助記憶装置5bにインストールされ格納される。そのプログラムの実行時には主記憶装置5aに読み出され、演算装置7は主記憶装置5aに読み出されたプログラムを読み込み、その命令にしたがった処理を行う。
入力装置3から入力されたデータは主記憶装置5aに保持され、上記プログラムにしたがってそのデータは演算装置7によって読み出され後述する計算が行われる。この処理結果は主記憶装置5aに保持され、表示装置9に送られて表示装置9の表示画面に表示されたり、補助記憶装置5bに格納される。表示装置9の表示画面には、演算装置7による処理結果だけでなく、入力装置3から入力されたデータも表示できる。
(筐体表面温度予測方法)
次に、上記筐体表面温度予測装置1を用いた筐体表面温度予測方法について説明する。
(筐体のモデル化)
先ず、表面温度予測対象となる電子機器の筐体を、図2に示すように、内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化する。このモデル化された筐体10は、2枚の水平平板(天面10a及び底面10b)と4枚の垂直平板(側面10c)からなる孔のあいていない密閉筐体であり、内部で発熱があると、すべての熱は筐体表面から自然対流と輻射によって逃げていくとする。
筐体10の幅L1は、実際の電子機器筐体の幅方向寸法の最大値、あるいは平均値を採用する。同様に、奥行きL2は実際の電子機器筐体の奥行き方向寸法の最大値、あるいは平均値を採用し、高さL3は実際の電子機器筐体の高さ方向寸法の最大値、あるいは平均値を採用する。発熱量Qは、実際の電子機器の筐体内に内蔵される各種部品の消費電力に相当する。
上記筐体10において、何れの面が天面、側面、底面になるのかや、どこが幅L1、奥行きL2、高さL3になるのかは、当然筐体10の姿勢が変われば変化する。底面10bは重力作用方向(図2において下方向)に向けられた面であり、側面10cは重力作用方向に平行な面である。したがって、図2における側面10c(4つのうちの何れか1側面)を重力作用方向に向けた状態ではその側面10cが底面となり、図2では幅とされているL1が高さL3となる。
(データの入力)
次に、入力装置3を用いて、予測対象物を特定する情報である検討名称、上記のようにモデル化された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3、筐体表面の熱輻射率などを入力する。これらデータは、図3に示すように表示装置9に表示される入力画面の各指定欄に入力し、各指定欄に入力されたデータも画面上に表示される。検討名称は空欄でもよいが、筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3、筐体表面の熱輻射率は後述する計算で使用されるので必ず入力する。
図3に示す入力画面例では、2つの熱輻射率の値0.4と0.7が入力可能となっている。筐体表面の熱輻射率は筐体表面の材料、塗装の材料や膜厚などによって変わり、表面温度予測を行う設計初期の段階ではどういう塗装にするかということは決まっていないことが多い(決まっていたとしても後で変更になることもある)ため、本例では1つの熱輻射率に決めつけるのではなく複数の熱輻射率ごとに後述の演算により筐体表面温度の予測を行えるようにする。
上記熱輻射率0.4と0.7は、今回の予測対象物である電子機器に施される塗装条件などを過去の同種実機などのデータを基に決められ、0.4は熱輻射率を低く見積もった場合の値であり、0.7は高く見積もった場合の値である。すなわち、過去の経験やデータなどから考えて今回の予測対象機器の筐体表面の熱輻射率は0.4〜0.7の範囲内になるだろうとの検討に基づき予め設定されている。もちろん、実際の筐体表面の熱輻射率を測定してその値を入力してもよい。また、熱輻射率の検討範囲を変更する際には、使用者が入力装置3を使って直接変更することが可能である。
また、図3に示される入力画面例には、後述する一連の計算を行う際の計算設定として、求めるべき温度範囲(例えば0℃から30℃)、温度刻み幅(例えば1℃)が表示される。これは、想定される妥当値として設定されるが、使用者の入力による変更も可能である。入力画面には、その他、入力された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3から計算される筐体表面積と筐体容積が参考のため表示される。
(筐体表面温度の算出)
上記入力データを受けて、演算装置7は以下に示す計算を行い、筐体表面温度を、筐体内部に与えられた発熱量Qの関数として算出する。その関数関係を示す式の一例を下記数1の(1)式に示す。
(1)式において、Qは筐体内部に与えられた発熱量であり、上述したように筐体は密閉筐体であるので、筐体内部からの発熱はすべて、筐体表面からの熱輻射と、筐体表面と接する周囲空気との間で生じる自然対流によって筐体表面から放熱される。すなわち、Q=(筐体内部の発熱量)=(筐体表面からの放熱量)である。
(1)式右辺の第1項は筐体表面の周囲に生じる空気の自然対流による放熱量であり、第2項は熱輻射による放熱量である。(1)式中、Tは筐体表面温度である。Tambは周囲空気温度で例えば25℃(298K)とする。Aは筐体表面積で、上述した筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3から計算される。εは熱輻射率で上記輻射率入力欄より値が取得される。σはボルツマン定数である。
(1)式右辺第1項のhは自然対流熱伝達率(以下、単に熱伝達率とも称する)である。本実施形態では、筐体の底面の熱伝達率h1、側面の熱伝達率h2、天面の熱伝達率h3のそれぞれを計算し、これらを面積平均した値を(1)式中のhとする。
各熱伝達率h1、h2、h3の値は、伝熱工学の知見から得られる垂直加熱平板や水平加熱平板、垂直円柱を対象とした熱伝達率の算出式に変更を加えて、箱型形状の筐体に適した熱伝達率として、以下に詳説するようにして計算される。
先ず、側面の熱伝達率h2は、垂直平板を対象とした熱伝達率の算出式と、垂直円柱を対象とした熱伝達率の算出式とを応用して、下記数2のようにして計算される。
数2の各式中、L1、L2、L3は、それぞれ、上記入力装置3からの入力により得られる筐体の幅、奥行き、高さである。ν、λ、β、Prは、それぞれ大気圧下にある空気の動粘性係数、熱伝導率、体膨張係数、プラントル数である。これらは温度依存性があるが、本実施形態では例えば25℃における値を定数として扱う。gは重力加速度であり、これも定数として扱う。
(2a)式は垂直平板周囲に生じる単純な流れ場を対象とした熱伝達率の算出式の一例であり、(2b)式及び(2c)式は垂直円柱周囲に生じる単純な流れ場を対象とした熱伝達率の算出式の一例であり、これら(2a)式、(2b)式、(2c)式を用いて側面の熱伝達率h2が得られる。熱伝達率を求めるべき筐体側面を単に1枚の垂直平板あるいは垂直円柱の側面として扱うのではなく、上記各式を組み合わせることにより、垂直平板4面からなる角筒状となっている筐体側面に適した熱伝達率の算出が行え、3次元熱流体解析を行わずに簡単な計算を行うだけであるにもかかわらず精度のよい熱伝達率を求めることができる。
(2a)式の右辺において、(λ/L3)以外の項は、自然対流による熱伝達の度合い(流れの中に置かれた物体の表面を通して熱が出入りする度合い)を表すヌッセルト数である。そのヌッセルト数をNuとすると、(2a)式は、Nu=h2a・L3/λと表せる。(2a)式は垂直平板を対象とした熱伝達率の算出式を基に作られているので、上記ヌッセルト数Nuを表す式における代表長さとして筐体側面の高さL3を採用している。
また、(2a)式中、(gβ│T−Tamb│L33/ν2)は、グラスホフ数Grである。筐体表面とこれが接する空気との間の自然対流は、浮力(空気を動かそうとする力)と、粘性の作用による内部摩擦力(空気を止めようとする力)との作用によって発生し、これら両者の比(浮力/内部摩擦力)の大きさが自然対流の起り方に影響する。この比が大きいほど浮力が大きく自然対流が活発なことを表す。この比には、自然対流では一定の値とならない空気の速度が含まれているので、その速度を除去するために、流れに関係した無次元量のレイノルズ数を上記比に乗じ、それがグラスホフ数(無次元量)である。グラスホフ数Grの値が一定の限界値に達すると、自然対流は層流から乱流に遷移する。グラスホフ数Grにおける代表長さとしても筐体側面の高さL3を採用している。
次に、天面の熱伝達率h3は、筐体天面の自然対流が、水平平板である筐体天面からの熱の影響を受けるだけでなく、筐体天面には筐体側面から熱を受けた空気も流れてくるという、単なる水平平板には見られない現象も考慮して、垂直平板を対象とした熱伝達率の算出式も利用し、下記数3のようにして計算される。
(3a)式の右辺において、[λ/(L3+L1)]以外の項は、ヌッセルト数である。そのヌッセルト数をNuとすると、(3a)式は、Nu=h3a・(L3+L1)/λと表せる。そのヌッセルト数Nuを表す式における代表長さとしては筐体側面の高さL3と幅L1との和を採用している。(3a)式は、天面に流れる空気が、(L3+L1)の流路長さを通過した空気流れであることを反映している。
また、(3a)式中、[gβ│T−Tamb│(L3+L1)3/ν2]はグラスホフ数Grである。グラスホフ数Grにおける代表長さとしても筐体側面の高さL3と幅L1との和を採用している。
(3b)式の右辺において、[λ/(L3+L2)]以外の項は、ヌッセルト数である。そのヌッセルト数をNuとすると、(3b)式は、Nu=h3b・(L3+L2)/λと表せる。そのヌッセルト数Nuを表す式における代表長さとしては筐体側面の高さL3と奥行きL2との和を採用している。(3b)式は、天面に流れる空気が、(L3+L2)の流路長さを通過した空気流れであることを反映している。
また、(3b)式中、[gβ│T−Tamb│(L3+L2)3/ν2]はグラスホフ数Grである。グラスホフ数Grにおける代表長さとしても筐体側面の高さL3と奥行きL2との和を採用している。
以上のように、筐体天面の熱伝達率を算出するにあたって、筐体天面自体からの熱の影響を受けた自然対流だけでなく、側面から熱を受けて天面に流れる自然対流の影響をも算出式に反映させることにより、実際の筐体天面に適した熱伝達率の算出が行え、簡単な計算を行うだけであるにもかかわらず精度のよい熱伝達率を求めることができる。
次に、底面の熱伝達率h1は、水平平板を対象とした熱伝達率の算出式に変更を加えて、下記数4のようにして計算される。
(4a)式の右辺において、(λ/L1)以外の項は、ヌッセルト数である。そのヌッセルト数をNuとすると、(4a)式は、Nu=h4a・L1/λと表せる。そのヌッセルト数Nuを表す式における代表長さとしては筐体の幅L1を採用している。
また、(4a)式中、(gβ│T−Tamb│L13/ν2)はグラスホフ数Grである。グラスホフ数Grにおける代表長さとしても筐体の幅L1を採用している。
(4b)式の右辺において、(λ/L2)以外の項は、ヌッセルト数である。そのヌッセルト数をNuとすると、(4b)式は、Nu=h4b・L2/λと表せる。そのヌッセルト数Nuを表す式における代表長さとしては筐体の奥行きL2を採用している。
また、(4b)式中、(gβ│T−Tamb│L23/ν2)はグラスホフ数Grである。グラスホフ数Grにおける代表長さとしても筐体の奥行きL2を採用している。
これら(4a)、(4b)式を用いることにより、(L1×L2)の面積を有する底面の熱伝達率が算出される。底面は側面の下方に位置するので、底面については側面からの熱を受けた空気が重力に逆らって流れてくることは反映されていない。
(1)式第1項における筐体表面の自然対流熱伝達率hは、上述のようにして求められるh1、h2、h3に基づいて下記数5に示すように筐体表面の面積平均として算出される。なお、数5に示す(5)式において「側面面積」は4つの側面の合計面積である。
以上のようにして得られた熱伝達率hは、上述したように伝熱工学の理論的関係を応用して作成されるが、各式の係数や式の形は、下記に示す3次元熱流体解析による詳細な計算結果との照らし合わせを行って調整されたものである。
(3次元熱流体解析結果との比較)
様々な寸法の複数の検証用筐体(例えば図6のグラフ下方に示すようなA〜Fの6つの筐体)を用意し、これらについて、上述した本実施形態の算出式を用いた熱伝達率の算出と、3次元熱流体解析による熱伝達率の算出を行い、両者の比較を行った。
3次元熱流体解析は、内部に発熱量Qを与えられた密閉筐体表面周囲の空気の流れ(その様子を模式的に図5に示す)を詳細にシミュレーションして熱伝達率を求めるものである。手間と時間はかかるが正確に熱伝達率を求めることができる。
図6に比較結果を示す。本実施形態による算出式によって得られた熱伝達率は、簡単な計算を行うだけで、3次元熱流体解析による詳細計算で得られた熱伝達率とほぼ同等の値が得られ、その値の正確さが確認された。なお、本実施形態による算出式によって得られた熱伝達率の方が、3次元熱流体解析による詳細計算で得られた熱伝達率に比べてわずかに小さいが、これら両者の差は各筐体A〜F間で同程度でありばらつきがないので、例えば本実施形態による算出式によって得られた熱伝達率を補正係数で補正して用いればより厳密な熱伝達率を得ることができる。ただし、図6に示される程度の差は筐体の表面温度予測をする上で実用上問題ないのでそのまま上記熱伝達率hを(1)式に用いてもよい。
図4は、図3に示された各種入力データ(筐体の幅L1=75mm、奥行きL2=75mm、高さL3=25mm、熱輻射率ε=0.7、ε=0.4、温度範囲、温刻み幅)にて計算された各値の計算結果を示す。この計算結果は一例であり、当然ながら上記入力データが変われば計算結果も違ったものとなる。
この計算は、3次元熱流体解析のように筐体表面周囲の空気の流れ場計算を行わないために、上記演算装置7のようなCPU(Central Processing Unit)であれば瞬時に完了する。
(結果表示)
図7は、図4の結果を基に、筐体内部の発熱量(筐体表面からの放熱量)Qを横軸に、筐体周囲空気温度(例えば25℃)からの筐体表面の温度上昇を縦軸にして、これら両者の関係をグラフで表したものである。すなわち、数1の(1)式に示される、Qと(T−Tamb)との関係を示す。これは、上述したプログラムにしたがって演算装置7が実行し表示装置9の画面上に表示する。グラフの各軸範囲は、上記計算設定から自動設定されるが、使用者による変更も可能とする。
使用者はこのグラフを見ることで、筐体内部で発生する熱量が筐体表面から放熱される際の筐体表面温度の上昇を知ることができる。電子機器の設計を始める段階で筐体内部の発熱量、すなわち内蔵部品のだいたいの消費電力はわかるので、この寸法及び熱輻射率の筐体であったら表面温度は何℃くらいになるかを予測できる。あるいは、筐体表面の温度上昇をある値以下に抑えたいときの、内部発熱量の限界値を知ることができる。
また、本実施形態では、熱輻射率εが2種類入力される設定であるため、それぞれについて計算を行い、それぞれの熱輻射率について2本の線が示され、熱輻射率の違いによる効果を検討することが可能となっている。このほか、入力装置3から複数の筐体寸法(L1、L2、L3の組み合わせ)を入力する設定としておき、画面上には、筐体寸法(L1、L2、L3)の違いによる筐体表面温度上昇の違いを比較検討することもできる。また、確認の意味から、計算された上記熱伝達率hの値もグラフで示してもよい。
上述した一連の計算処理は、上記プログラムにしたがって演算装置7が実行する。また、図3に示す入力データや図4に示す計算結果や図7に示すグラフを表示装置9に表示させる表示処理もそのプログラムにしたがって演算装置7が実行する。これらを実行するプログラムは記録媒体である補助記憶装置5bに格納される。補助記憶装置5bは例えばハードディスク装置などの磁気ディスク装置であるが、プログラムが格納される記録媒体は光ディスク装置、半導体メモリなどであってもよい。
次に、図9は、本実施形態に係る電子機器製造装置20の機能ブロック図を示す。この電子機器製造装置20は、上述した筐体表面温度予測装置1と、設計装置21と、筐体製造装置23と、回路基板製造装置25と、各部品製造装置27と、組立装置29とを備えている。
電子機器製造の流れについて説明すると、先ず設計装置21にて各種設計が行われる。例えば、CAD(Computer Aided Design)システムなどを用いて、筐体の寸法、デザイン、材料、内蔵される回路基板の搭載部品、配線レイアウトなどが行われる。
次いで、上記設計に基づいた筐体表面温度予測が行われ、ここで、例えば必要以上に筐体表面温度が上昇してしまうという結果が得られた場合には、設計の見直し(筐体寸法や材料、塗装、回路基板の消費電力などの見直し)が行われ、筐体表面温度予測にて許容あるいは満足できる結果が得られると、上記設計に基づいて筐体製造、回路基板製造(配線基板製造、配線基板への部品実装など)、その他各部品(例えば液晶ディスプレイ、光学部品)製造が行われる。
そして、それら筐体、回路基板、その他各部品を組み立てて電子機器が得られる。電子機器の具体例としては、コンピュータ、ディスプレイ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ、オーディオ機器、映像機器、その他筐体内部に回路基板などの発熱部品を持つものを挙げられる。
以上述べたように本実施形態によれば、入力データを入力すれば演算装置7が簡易な計算式に基づいて瞬時に計算を行い結果表示をしてくれるので、筐体表面温度予測を3次元熱流体解析のような専門的知識を有さない者でも簡単に行える。また、使用者間で結果のばらつきも出ない。
しかも、上述したように、従来は筐体のような箱型形状についての表面の熱伝達率を簡易式にて求めるとなると正確さに問題があったが、上述したように本実施形態の算出式で得られる熱伝達率は簡易な算出式から得られるにもかかわらず、3次元熱流体解析で得られるものとほぼ同じ値が得られ、信頼性も高い。
電子機器の設計初期において、筐体表面の温度と内部の発熱量との関係が手間と時間をかけることなく、なおかつ正確に得られることは、設計のやり直し回数の低減につながる。このことは、評価用試作品の製造回数の削減や、開発期間の短縮につながる。すなわち、基本レイアウトから熱評価検証の完了までを短縮でき、設計〜熱検証〜改良のサイクルが短くなる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10は、本実施形態に係る筐体表面温度予測システムを示す。本システムはクライアント34a〜34cとサーバ30とがLAN(Local Area Network)などのネットワーク32を介して接続されている。クライアント34a〜34cは図示では3台示されているが、これに限られることなく1台でも4台以上でもよい。
各クライアント34a〜34cに、上記第1の実施形態で示した入力装置3と表示装置9が備えられ、サーバ30に演算装置7と、上記プログラムが格納された記憶装置5が備えられる。
そして、使用者は、クライアント34a〜34cから筐体寸法や熱輻射率などの入力データを入力し、この入力データはネットワーク32を介してサーバ30に送られ、サーバ30の演算装置7は主記憶装置5aに保持されたプログラムにしたがった処理を実行し、入力データを基に上述したような計算を行い、その結果をクライアント34a〜34cに送り、クライアント34a〜34cの表示装置に表示させる。
各クライアント34a〜34cは、例えばWebブラウザが利用できるコンピュータであり、上記筐体表面温度予測を実行するにあたって、各クライアント34a〜34cごとに、上記プログラムをインストールする必要はなく、クライアント34a〜34cに必要なツールはWebブラウザだけなので、アプリケーションの保守が容易になり、運用管理コストが削減できる。また、各種操作をWebブラウザ上で行えるため、オリジナル画面が不要となり、開発期間やコストが短縮できほか、Webページを見る感覚で操作できるため、新たな操作教育なども不要となる。
また、サーバ30は1台に限らず、複数に分散させれば、仮に一部のサーバがダウンしても残りのサーバで処理を実行できるなど、システムの安全性も向上する。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、上記第1、第2の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11は、本実施形態に係る筐体表面温度予測システムを示す。本システムはクライアント34a〜34cとサーバ30とがLAN(Local Area Network)などのネットワーク32を介して接続され、さらにサーバ30はデータベース部36を備えている。データベース部36は例えばハードディスク装置である。
データベース部36には、過去に行われた筐体表面温度予測における、検討名称、実機種名、筐体の寸法(幅L1、奥行きL2、高さL3)、内蔵される部品の消費電力量(発熱量Q)、熱輻射率ε、筐体表面温度上昇などがデータベースとして蓄積されている。これら蓄積データは、クライアント34a〜34c側からの要求により、クライアント34a〜34cに備えられた表示装置9の画面上に表示可能である。
また、最終結果だけでなく、途中の計算結果を蓄積してもよいし、入力装置3を用いて実機種の筐体表面温度上昇などのデータをデータベース部36に入力することも可能である。これら、データベースのデータは、今行われた筐体表面温度予測の結果と併せて表示装置9の画面上に表示させることで、過去の知見を基にした結果検討を可能とする。
図8はその画面の一例を示し、既に販売されている実機種A〜Cのデータが今回の予測結果のグラフ上に併せて表示される。この画面から過去に得られた知見と新規検討内容との比較検討を行うことができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、上記第1、第2、第3の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12は、本実施形態に係る筐体表面温度予測システムを示す。本システムはクライアント34a〜34cとアプリケーションサーバ40と、データベースサーバ41とがLAN(Local Area Network)などのネットワーク32を介して接続されている。
各クライアント34a〜34cに、上記入力装置3と表示装置9が備えられ、アプリケーションサーバ40に演算装置7と、上記プログラムが格納された記憶装置5が備えられる。さらに、アプリケーションサーバ40とは別に、データベースサーバ41がネットワーク32に接続されている。
図11に示す構成において、データベース部36を備えたサーバ30が複数ある場合に、過去の蓄積データが複数のサーバ30に散在することになると不便である。また、ダウンしているサーバ30のデータベース部36にはアクセスできない。
本実施形態では、データベースサーバ41は、筐体表面温度予測を実行するアプリケーションサーバ40と独立してネットワーク32に接続され、蓄積データの一元管理を可能としている。データベースサーバ41には、上記第3の実施形態のデータベース部36に蓄積されるデータと同様なデータが蓄積され、クライアント34a〜34bから要求があると、その蓄積データをクライアント34a〜34bに送り、表示装置9の画面上に表示させる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
上記第2、第3、第4の実施形態におけるシステムにおいて、筐体表面温度予測プログラムの実行をサーバで実行し、結果のみをクライアントに送るのではなく、サーバにインストールされているプログラムをネットワーク経由でクライアントにダウンロードして、クライアントでプログラムの実行を行ってもよい。
また、第1の実施形態においては、過去のデータの蓄積を補助記憶装置5bにて行わせることで、データベース機能を備えさせてもよい。
また、上記実施形態では、熱伝達率の算出式に用いる空気の物性値を例えば25℃における定数としたが、通常それらの物性値は空気温度が変化すると変化するので、電子機器の使用が想定される環境温度に応じてそれら物性値を変えてもよい。例えば、空気温度が上昇すると、空気の熱伝導率λは大きくなり、(熱伝達率は大きくなり)、空気の動粘性係数νは大きくなり(自然対流抑制の方向、熱伝達率は悪化)、空気の比重量は小さくなり(浮力減少、熱伝達率は悪化)、定圧比熱はやや大きくなる(熱伝達率はやや大きくなる)。
本発明の実施形態に係る筐体表面温度予測装置の機能ブロック図である。 内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の斜視図である。 図1の表示装置の入力画面の一例である。 図1の演算装置による演算結果の一例である。 3次元熱流体解析による筐体周囲の自然対流の様子を示す図である。 3次元熱流体解析による自然対流熱伝達率の計算結果と、本発明の実施形態の算出式を用いた自然対流熱伝達率の計算結果とを比較するグラフである。 本発明の実施形態に係る筐体表面温度予測方法によって得られた、筐体表面温度の周囲温度からの上昇と、筐体内部の発熱量との関係を示すグラフである。 図7に示すグラフに過去の実機種のデータを合わせて表示したグラフである。 本発明の実施形態に係る電子機器製造装置の機能ブロック図である。 本発明の実施形態に係る筐体表面温度予測システムの概略図である。 本発明の他実施形態に係る筐体表面温度予測システムの概略図である。 本発明のさらに他実施形態に係る筐体表面温度予測システムの概略図である。
符号の説明
1…筐体表面温度予測装置、3…入力装置、5…記憶装置、7…演算装置、9…表示装置、10…筐体、10a…天面、10b…底面、10c…側面、20…電子機器製造装置、30…サーバ、32…ネットワーク、34a〜34c…クライアント、36…データベース部、40…アプリケーションサーバ、41…データベースサーバ。

Claims (12)

  1. 内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3としたときに
    代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
    代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
    代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と、
    前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
    前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理とを
    コンピュータに実行させる筐体表面の温度予測方法。
  2. 複数の異なる熱輻射率ごとに前記筐体表面の温度を算出する処理をコンピュータに実行させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  3. 内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1と、奥行きL2と、高さL3と、前記筐体の表面の熱輻射率とを表示装置に表示させる処理と、
    代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
    代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
    代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と
    前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
    前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理と、
    前記筐体表面の温度を表示装置に表示させる処理とを
    コンピュータに実行させる筐体表面の温度予測方法。
  4. 前記筐体表面の温度を複数の異なる熱輻射率ごとに前記表示装置に表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  5. 前記筐体表面の温度と前記発熱量Qとの関係を前記表示装置にグラフで表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  6. 前記筐体表面の温度と前記発熱量との関係を、過去の処理結果と合わせて前記表示装置に表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  7. 内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1、奥行きL2、高さL3としたときに
    代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
    代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
    代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と、
    前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
    前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理とを
    コンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 複数の異なる熱輻射率ごとに前記筐体表面の温度を算出する処理をコンピュータに実行させる請求項に記載のプログラム。
  9. 内部に発熱量Qを与えられた四角柱体にモデル化された筐体の幅L1と、奥行きL2と、高さL3と、前記筐体の表面の熱輻射率とを表示装置に表示させる処理と、
    代表長さに前記L1を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに前記L2を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の底面の自然対流熱伝達率h1を算出し、
    代表長さに前記L3を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率を用いて前記筐体の側面の自然対流熱伝達率h2を算出し、
    代表長さに(前記L1+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率と、代表長さに(前記L2+前記L3)を採用したグラスホフ数を用いて算出される熱伝達率とを用いて前記筐体の天面の自然対流熱伝達率h3を算出する処理と
    前記h1と前記筐体の底面面積との積と、前記h2と前記筐体の側面面積との積と、前記h3と前記筐体の天面面積との積との総和を、前記筐体の総表面積Aで除することで、前記筐体表面の自然対流熱伝達率hを算出する処理と、
    前記、L1、L2、L3及び前記筐体表面の熱輻射率を係数に用いて、前記筐体表面の温度を前記発熱量Qの関数として算出する処理と、
    前記筐体表面の温度を表示装置に表示させる処理とを
    コンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 前記筐体表面の温度を複数の異なる熱輻射率ごとに前記表示装置に表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  11. 前記筐体表面の温度と前記発熱量Qとの関係を前記表示装置にグラフで表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
  12. 前記筐体表面の温度と前記発熱量との関係を、過去の処理結果と合わせて前記表示装置に表示させる請求項に記載の筐体表面の温度予測方法。
JP2004060421A 2004-03-04 2004-03-04 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム Expired - Fee Related JP4433830B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004060421A JP4433830B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004060421A JP4433830B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005250855A JP2005250855A (ja) 2005-09-15
JP2005250855A5 JP2005250855A5 (ja) 2006-11-24
JP4433830B2 true JP4433830B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=35031277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004060421A Expired - Fee Related JP4433830B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4433830B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8452463B2 (en) 2010-06-04 2013-05-28 Apple Inc. Adjusting the thermal behavior of a computing system using indirect information about ambient temperature
JP7088055B2 (ja) * 2019-02-01 2022-06-21 トヨタ自動車株式会社 設計支援装置
CN111353231B (zh) * 2020-03-05 2023-04-07 闽南师范大学 基于遗传算法的led散热器设计方法及系统
CN114611232A (zh) * 2022-03-08 2022-06-10 太仓市同维电子有限公司 一种三维热阻网络模型及壳温和最大散热功率预测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005250855A (ja) 2005-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10034417B2 (en) System and methods for simulation-based optimization of data center cooling equipment
Sato et al. A conservative local interface sharpening scheme for the constrained interpolation profile method
Choi et al. Modeling and managing thermal profiles of rack-mounted servers with thermostat
CN103370712A (zh) 用于机架冷却分析的系统和方法
Lasance The conceivable accuracy of experimental and numerical thermal analyses of electronic systems
Phan et al. Reduced order modeling of a data center model with multi-Parameters
JP4797157B2 (ja) 浮力を伴う乱流の流体的及び熱的諸特性の推定方法及び推定プログラム
JP6181079B2 (ja) 計算流体力学システムおよびその使用方法
JP4433830B2 (ja) 筐体表面の温度予測方法及び筐体表面の温度予測プログラム
Upreti et al. Stochastic Finite Element Thermal Analysis of a Ball Grid Array Package
Liu et al. A data-assisted first-principle approach to modeling server outlet temperature in air free-cooled data centers
Frank et al. Electronic component cooling inside switch cabinets: combined radiation and natural convection heat transfer
Seymour et al. Computational fluid dynamics applications in data centers
JP2006350504A (ja) 解析結果表示方法、解析結果表示プログラム、および、解析結果表示装置
US20170262558A1 (en) Computer-readable recording medium storing program for thermal conductivity calculation program, thermal conductivity calculation method, and information processing apparatus
Baris Dogruoz Assessment of Joule heating and temperature distribution on printed circuit boards via electrothermal simulations
Gilbert Validation of computational fluid dynamics based data center cyber-physical models
Sideroff et al. Verification and Validation of CFD for the Personal Micro-Environment.
Shi et al. An advanced hybrid smoothed particle hydrodynamics–fluid implicit particle method on adaptive grid for condensation simulation
Shahane et al. Simulations of die casting with uncertainty quantification
Alexandru et al. Heat transfer simulation for thermal management of electronic components
Stafford et al. A compact modeling approach to enhance collaborative design of thermal-fluid systems
Free et al. Recent advances in thermal/flow simulation: Integrating thermal analysis into the mechanical design process
Shahane et al. Virtually-guided certification with uncertainty quantification applied to die casting
US20160153922A1 (en) System and method for adaptive thermal analysis

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061004

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061004

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20071028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090915

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091208

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091221

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees