JP4427651B2 - 円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ - Google Patents

円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ Download PDF

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Description

この発明は、光ファイバの先端から直接円偏光を射出したり、また光ファイバに直接円偏光を入射させたり、あるいは光ファイバを用いて円偏光を伝送することが特に必要とされる用途に使用するものであり、特に、1)偏波保持光ファイバが使用されている光通信ネットワーク内における光ファイバの接続や、2)偏波保持光ファイバが使用されているレーザ機器や計測器内部での光ファイバの接続、あるいは、3)原子時計、原子レーザ、原子チップ、原子リソグラフィーなど、磁場とレーザ光との相互作用を利用した原子光学装置への円偏光ビームの供給などに使用できる、円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバと、それを用いた磁気光学トラップ装置および原子チップに関している。
光ファイバを用いて位相の揃った円偏光を円偏光のまま伝送することは困難であることが知られている。単一モード光ファイバには、伝送特性に偏光依存性が無いため、一定の偏光状態を安定に伝送できる能力を備えていない。これは、光ファイバには、曲げ応力、振動、温度の不均一分布などが加わり、光ファイバ内に不規則な複屈折性が誘起され、入射した光の偏光状態は光ファイバの伝送途中で大きく崩れ、射出されるビームの偏光状態は元のそれと大きく異なる上、時間的にも偏光状態が大きく揺らぐためである。
このため、光ファイバの先端から円偏光を射出するためには、特別な工夫が必要であった。例えば、偏波保持光ファイバを用いてレーザ光を直線偏光のままで伝送した後、光ファイバからの出射光を4分の1波長板に通して円偏光に変換することで、円偏光を得ることができる。また、逆に、円偏光を光ファイバへ入射するためには、4分の1波長板を用いて、円偏光のレーザ光を一旦直線偏光に変換してから、偏波保持光ファイバに入射させる必要がある。
従って上記の例では、円偏光のレーザ光を伝送するには、偏波保持光ファイバの両端に、4分の1波長板を配置することになる。この構成は、構造的に複雑で、小型化に不向きである上、光ファイバ同士を直接接続することができないため、伝送特性が機械的振動に影響され易いという問題があった。
また、上記の構成では、偏波保持光ファイバを用いているが、この場合でも、偏波保持光ファイバ単体では入射光の任意の偏光状態を安定に伝送する能力を備えていない。この例外は、偏波保持光ファイバの光学軸に平行かあるいはそれに垂直な電場ベクトルの振動面を有する直線偏光である。
また、低複屈折特性の光ファイバでは、通常の単一モード光ファイバよりも複屈折性が低く抑えられており、上記の状況が改善される。低複屈折特性の光ファイバは市販されており、その効果の有無を容易に確認することができる。しかし、単一モード光ファイバと同様に、曲げ応力等によって引き起こされる複屈折性によって、やはり偏光状態は保持されない。
本発明に比較的類似の技術として、特許文献1の開示を挙げることができる。特許文献1は、単一モード光ファイバを用いて円偏光を伝送するものであるが、外乱によって乱された偏光状態を補償するために「光ファイバの曲がりに依存する偏光に合わせて調整するためにチルト角及びロール角調整機能を有する台」が使用されており、光ファイバ単独で円偏光の安定した伝送を実現するものではない。
また、特許文献2にも「円偏光ファイバ」の記載がある。これは、通常の単一モード光ファイバに「軸ツイスト」を与えることによって、円偏光複屈折(circular birefringence)を誘起させ、単一モード光ファイバを用いて円偏光を安定に伝送する機能を有するファイバである。また、この原理の詳細は、非特許文献1にも記載されている。
通常の単一モード光ファイバ自体を、ツイストさせる方法では、ツイストさせた状態の光ファイバの保持に工夫が必要であり、光ファイバの取り扱いが困難である。また、光ファイバの製造過程で予めツイストを与えることも可能であるが、製造に当たっては特殊なプリフォームと特殊なドローイングタワーが必要になる。
本発明は、このような特殊な光ファイバを用いずに、通常の偏波保持光ファイバを利用して、円偏光の入出力とその伝送を実現するものである。
また特許文献3に、偏波保持光ファイバの一部を溶融して、溶融部を45度稔回した偏光解消子の開示がある。また、この文献には、2本の偏波保持光ファイバを45度回転して溶融した光ファイバについても記載されている。しかし、45度回転して溶融した光ファイバの長さはレーザ光のコヒーレンス長よりも十分に長いため、このファイバは円偏光を入出力する機能を備えていない。
また、本発明を効果的に適用できるものに、磁気光学トラップ(MOT)技術がある。一般に、MOTでは、原子を真空容器に入れて隔離し、磁場と光の電場によって原子を空中にトラップする。このために、通常は、レーザ光を真空容器外から照射せざるを得ないため、真空容器にはビューイングポートの設置が不可欠であり、装置の小型化が困難であった。また円偏光を照射するために、高価な波長板を複数枚使用しなければならなかった。また、強磁場を発生する大電磁石を用い、大電流を流す必要があった。消費電力を抑制するためには、超伝導磁石を用いればよいことはよく知られているが、冷却が必要であるために装置が複雑になる。また、中性原子を捕獲し、あるいは開放するには、磁場をオン、オフする必要があり、実用上は一般に、常伝導電磁石の方が使い易い。しかし、上記の様に大電流を流す必要があることが、装置の小型化を困難にしていた。
これに対し、集積回路の配線の極近く、一般にはチップ表面から数mm以内では磁気トラップとして十分に使える大きな磁場勾配が得られることが知られている。これは、集積回路の配線を流れる電流値は小さいものの、その近傍ほど強磁場となるためである。このように、磁場に関しては、微細回路を用いた原子チップ技術が実用上有利であり、この実用化のために、光照射部分の微細化が求められている。
特開2004−004579号公報 特表2002−525647号公報 特開平06−337321号公報
Hung-chia Huang著 "Microwave approach to Highly Irregular Fiber Optics" (Willey、1998) P. Horak et al., "Possibility of single-atom detection on a chip," Physical Review A 67, 043806 (2003). P.A. Quinto-Su et al.、 "On-chip optical detection of laser cooled atoms," Optics Express 12、 5098 (2004)。
光ファイバをツイストしたり、また光ファイバの外部に4分の1波長板を設けたりすることをせずに、通常の偏波保持光ファイバを用いて円偏光の入出力あるいはその伝送を可能にする。
この発明は、円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバに関するものであり、通常の偏波保持光ファイバを用いて円偏光の入出力あるいはその伝送が可能になる。また、従来の光アイソレータとは異なる光アイソレータが実現できる。さらに、本発明の偏波保持光ファイバを磁気光学トラップ装置に用いることによって、真空容器を従来のものに比べて小型にすることができる。
本発明は、円偏光を一旦直線偏光にして伝送するものであり、偏波保持光ファイバで、第1部分と、第1部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第2部分と、第2部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第3部分を含み、上記の第1部分と第3部分は、光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは自然数陪それに波長の自然数陪を加えた分の位相差が生ずる長さを有し、第1部分へ円偏光の光を入射し、第2部分では直線偏光を伝搬させ、第3部分では、直線偏光を円偏光に変換させて第3部分の端から円偏光を出力するものである。
また、本発明は、直線偏光部分の偏光の純度を改善するものであり、上記の第2部分に、偏波保持光ファイバの偏光軸方向か、あるいはそれに垂直な方向に沿った偏光特性をもつ直線偏光素子を挿入したものである。
また、本発明は、円偏光の部分で光ファイバ間の接続を行なうものであり、偏波保持光ファイバで、第1部分と、第1部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第2部分を含み、上記の第2部分は、光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは自然数陪それに波長の自然数陪を加えた分の位相差が生ずる長さを有するAと、偏波保持光ファイバで、第3部分と、第3部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第4部分を含み、上記の第3部分は、光の偏光成分間に4分の1波長分あるいはそれに波長の自然数陪を加えた分自然数陪の位相差が生ずる長さを有するBと、を備え、AとBとを接続したものであって、第1部分を伝播した直線偏光を、第2部分を伝搬する際に円偏光に変換し、第2部分から第3部分へは円偏光のまま伝送し、第3部分で直線偏光に変換し、第4部分では直線偏光を伝搬させて伝送するものである。
また、本発明は、複数の波長で用いることが出来るようにするものであり、円偏光と直線偏光の間の変換を行う部分は、複数の異なる波長について、それぞれの波長の光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは自然数陪それに波長の自然数陪を加えた分の位相差が生ずる長さであるようにしたものである。
本発明は、光ファイバをツイストしたり、また光ファイバの外部に4分の1波長板を設けたりする代わりに、光ファイバ自身の一部分に4分の1波長板の機能を持つ部位を設けることによって、通常の偏波保持光ファイバを用いて円偏光の入出力を可能にするものである。以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。
偏波保持光ファイバの一例の断面構造を図7に示す。これはPANDAファイバと呼ばれるものであり、応力付与部によってコアに誘起される一軸性の複屈折性を用いている。また、この偏波保持光ファイバに円偏光の光が入射した直後の光の電場ベクトルPx、Pyの様子を図8(a)に示す。この媒質には、図7(a)の応力付与部分の存在で応力が常に印加されており、伝播する直線偏光の光の振動方向に応じて異なる屈折率を示すため、伝播距離に応じて光ファイバ中にさまざまな偏光状態が周期的に出現する。
この屈折率の差をΔnとし、光の波長をλ、光ファイバの長さをLとすれば、振動面の直交する2つの固有直線偏光成分の間には、伝播に伴って、
Δφ=(2π・Δn・L)/λ ラジアン、
の位相差が生じる。この位相差Δφ、あるいはΔn・Lをリターデーションという(以降、Δφをリターデーションと呼ぶ)。光ファイバが屈折率分散を有する場合は、上式は若干の修正を必要とするが、近似的には正しい結果を与える。Δφの値がちょうどπ/2ラジアンとなるような長さLの光ファイバは、この波長の光に対して4分の1波長板と等価な光学的性質を示す(図1)。以下では、このような光ファイバ片を「4分の1波長光ファイバ」と呼ぶことにする。
4分の1波長光ファイバは、材質的には通常の偏波保持光ファイバと同じものであるから、互いに融着接続することが可能である。4分の1波長光ファイバを通常の偏波保持光ファイバに対して、光学軸を互いに45度傾けた状態で融着接続することにより偏光状態の変換器として機能させることができる。以下では、このように光学軸を互いに45度傾けた状態で融着接続することでアセンブルされた光ファイバモジュールを、「円偏光適合光ファイバ」と呼ぶことにする。
偏波保持光ファイバ2の両端に円偏光適合光ファイバとして、4分の1波長光ファイバの融着加工を施すことにより、円偏光を入射した場合に、それと全く同じ偏光状態の円偏光を他端より射出できるようにすることもできる(図2)。
上記の円偏光適合光ファイバの中間部2には、通常の偏波保持光ファイバを用いるものとする。その中間部を伝播する光の偏光状態は直線偏光であるため、曲げ応力や温度変化等が加えられても偏光状態が変化しない。4分の1波長光ファイバの部分に曲げ応力等が加えられた場合は偏光状態が変化してしまう可能性があるが、この部分は通常は十分に短く(数mmから数cm)できるので、充分に保護することができる。しかも、円偏光適合光ファイバは材質的にも外観的にも通常の偏波保持光ファイバと変わるところがないため、一般に広く用いられている光ファイバ用コネクタに装填することが可能である。脆弱な4分の1波長光ファイバ部をコネクタ等のフェルール部や剛性の高いシース等で保護することによって、屈折率変化が起こりにくくすることが望ましい。
このコネクタを介して円偏光適合光ファイバ同士を相互接続することも容易である。コネクタを介して偏波保持光ファイバを相互接続する際、従来は光ファイバの光学軸を精密に一致させる調整が不可欠であったが、円偏光適合光ファイバの場合は、コネクタ端面から円偏光が射出されるため、コネクタの相互接続の際に光学軸の方向を合わせる必要がない。
また、上記の円偏光適合光ファイバの中間部2には直線偏光が伝播しているが、その偏光方向は、入射または射出させる円偏光の回転の向きによって異なる。回転の向きが異なる円偏光を混合すると、円偏光の純度が下がり、楕円偏光となる。従って、図3に示す様に、円偏光適合光ファイバの中間部に直線偏光子4を挿入しておけば、純度の低い円偏光(楕円偏光)の入射光を純度の高い円偏光に変換させることが可能であり、円偏光偏光子として動作させることが可能である(図3)。
また、円偏光適合光ファイバ内を伝播した光がコネクタの端面で後方へ反射されると、反射された光の円偏光の回転の向きは入射光のそれと反対になるため、ファイバの中間部2を(直線偏光として)逆方向に伝播する際の偏光方向は入射光のそれと垂直になる。そこでこの反射光を中間部の直線偏光子4を使って除去することができる。つまり光アイソレータを構成することができる(図3)。従来の光アイソレータでは、ファラデー回転子を用いているが、本発明では、これを用いる必要が無く、容易に小型化できる。
また、光ファイバ2の両端に接続する4分の1波長光ファイバのリターデーションの符号が互いに異なるように(つまり、光学軸の向きが互いに逆になるように)接続すれば、右円偏光を左円偏光に変換したり、またその逆にしたりも可能である。さらに、通常の光ファイバの一端だけに4分の1波長光ファイバを接続したものは、直線偏光を円偏光に変換したり、またその逆にしたりの使い方も可能であり、従来型の円偏光ファイバよりも用途が広い。
また、円偏光適合光ファイバは、光ファイバ以外に高価で容積の大きな光学素子を必要としないため、従来の光学系をそのまま置き換えて使用することができ、光ファイバとは別に設置されていた4分の1波長板を取り除くだけで、光学系の性能をそのまま引き継いで使用することができる。
4分の1波長光ファイバのリターデーション、
Δφ=(2π・Δn・L)/λ、は、
λとともに変化し、Δφがmを整数として(π/2+2πm)に一致した場合に円偏光適合型となる。このような波長λは整数mの数だけ無数に存在するが、2つの異なる波長を与えればLとmの値が一意に決まる。こうして波長板の高次性を利用して、任意の2波長で、例えば780nmと852nmに対して同時に円偏光適合型とすることができる。
また、従来型の偏波保持光ファイバ同士を接続する際には、2本の光ファイバの光学軸を精密に一致させる必要があったが、円偏光適合光ファイバは偏波保持光ファイバの一種でありながら、それら同士を接続する際に光学軸を一致させる必要がなく、接続の際の手間が省かれると同時に、光学軸調整の不完全性に伴って発生する偏波クロストークを防ぐ目的で利用できる。この接続の例を図4に示す。被覆15で保護された偏波保持光ファイバ11と4分の1波長光ファイバ12とは、光軸を中心にその周りに互いに45度の傾きを設けて融着されている。同様に、4分の1波長光ファイバ13と偏波保持光ファイバ14とは、光軸を中心にその周りに互いに45度の傾きを設けて融着されている。4分の1波長光ファイバ12と13とは、空隙を設けずに物理的に接しているかあるいは反射防止用の充填材18を挟んで接続しており、この接続部分は、コネクタのシールド部分16で保護されており、左右のシールド部分16は接続金具17で接続されている。4分の1波長光ファイバ12あるいは13の長さは、4分の1波長あるいはそれに波長の自然数陪を加えた長さであればよい。
一例を図6に示す様に、超高真空中に置かれた平面基板上にエッチング等の手段によって形成された配線パターンに電流を流すことによって発生する磁場を用いて、中性原子を平面基板の表面の極近傍に捕獲することができる。これは磁場によって中性原子を捕獲する磁気トラップの一種であるが、平面基板を用いることによってトラップの小型化と集積化が可能になることが特長である。
このように、微小なトラップを1枚の基板上に多数形成し、そこにレーザ光を照射したりトラップ電流を変調したりして捕獲された原子の状態を精密に制御できるように構成された構造体は、「原子チップ」と呼ばれている。図6に示す様に、配線パターンに電流を流して使用するほか、図には示していないが、チップ上に形成された光導波路にレーザ光を通し、漏れ出てくる近接場光による双極子力を利用して捕獲する方法もある。
また、原子チップ上に密に並んで配置される多数のトラップに捕獲された原子を光学的に検出したり、それらの状態を光学的に制御したりすることがしばしば必要になる。この場合、レーザ光を外部から集光して照射する方法では、光学部品の大きさの制約から、多数のトラップに同時にアクセスすることは極めて困難である。そこで原子チップ上に光ファイバを導入して個々のトラップに対応させて集積化して配置する方法が、非特許文献2、あるいは非特許文献3に提案されている。
この場合、光ファイバの配置に制約はないが、1対の光ファイバを数mm以下の間隔を隔てて向き合わせて配置することが多く、向き合った光ファイバの間に他の光学素子を配置することは困難である。また、非特許文献2にあるように、向き合ったファイバの端面に増反射率コーティングを施してファブリー・ペロ型共振器として機能させることもある。この場合はファブリー・ペロ型共振器のフリースペクトルレンジを拡大し、また結合損失を低減するために、2本の光ファイバを数μmの距離まで接近させる必要がある。
またよく知られているように、原子に直線偏光の光を照射すると、磁気量子数に変化が生じない遷移が起こり、円偏光を照射すると、磁気量子数が1だけ変化する遷移が引き起こされる。つまり、照射する光の偏光状態を用いて遷移に伴う磁気量子数の変化を制御することができる。このような制御はMOTの捕獲動作に不可欠であるだけでなく、磁気量子数の違いをキュビットやメモリとして活用する場合にも極めて有用である。
図6に示した集積化された光ファイバを用いて磁気量子数の制御を可能にするためには、ファイバの先端から円偏光を出力できる必要がある。この場合、1本のファイバから任意の偏光状態を出力する必要はなく、決まった偏光状態を出力できる光ファイバを2、3個並べて配置すればよい。本発明は、光ファイバの一部に波長板の機能を付加する構成としたことで、光ファイバ以外の光学素子を付加することなく、光ファイバの先端から直接円偏光を出力することを可能にするものであるため、光ファイバを用いて磁気量子数を制御する原子チップを実現する目的に適うものである。
本発明は、原子ビーム減速機、2次元または3次元の磁気光学トラップ(MOT:Magnet-optical trap)、原子の偏光勾配冷却装置、原子時計など、磁場とレーザ光との相互作用を利用した原子光学装置において、レーザ光を供給する部位の部品数を減らすことによって装置を小型で安価なものとし、また調整を容易にするために利用できる。
従来型のMOT、原子ビーム減速機などは、真空装置の外部に光学系を設置し、レーザ光を真空装置内へ導入していたため、装置全体の容積や重量が大きく、小型化が困難であった。円偏光適合光ファイバを使用すれば、光ファイバの先端を直接真空装置内に導入することによって、従来型の光学系の大部分を省くことが可能であり、小型化・軽量化に適したものとなる。光ファイバを使用することにより、光学系の調整作業も不要になり、可搬性も得られる。
また、原子光学分野では、前述のように、原子チップ上に光ファイバを集積化して断面を通過する原子の数を計数したり、共振器QED(量子電磁力学)の効果で量子力学的効果を引き出したりする可能性が指摘されているが、そのような目的のためには、ファイバ端から直接円偏光が射出できると都合がよく、円偏光適合光ファイバは有用である(図6)。
本発明によって原子チップを用いた量子情報処理装置の応用範囲が格段に広がるものと考えられる。
直線偏光を円偏光に変換する機能を持つ偏波保持光ファイバを示す図である。 円偏光適合光ファイバの構造の一例と動作原理。 円偏光適合光ファイバの中央部に直線偏光子を用いた、円偏光偏光子を示す図で、光アイソレータとしても動作する。 円偏光適合光ファイバの接続を示す図で、(a)は、長手方向の断面図、(b)は、光軸に垂直な断面図である。 円偏光適合光ファイバを用いて構成されたミラーMOT(表面磁気光学トラップ)装置を示す図である。 本発明を適用した原子チップを例示する図である。 PANDAファイバの断面を示す図である。 偏波保持光ファイバに円偏光の光が入射した直後の光の電場ベクトルの様子を示す図である。
符号の説明
1 4分の1波長光ファイバ
2 偏波保持光ファイバ
3 4分の1波長光ファイバ
4 直線偏光子
11 偏波保持光ファイバ
12 4分の1波長光ファイバ
13 4分の1波長光ファイバ
14 偏波保持光ファイバ
15 被覆
16 シールド部分
17 接続金具
18 反射防止用の充填材

Claims (5)

  1. 偏波保持光ファイバで、第1部分と、第1部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第2部分と、第2部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第3部分を含み、
    上記の第1部分と第3部分は、第2部分よりも短く、光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは前記4分の1波長分に波長の自然数倍を加えた分の位相差が生ずる長さを有し、第1部分へ円偏光の光を入射し、第2部分では直線偏光を伝搬させ、第3部分では直線偏光を円偏光に変換させて第3部分の端から円偏光を出力することを特徴とする円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ。
  2. 請求項1に記載の第2部分の任意の位置に第2部分の偏波保持光ファイバの固有偏光軸方向に沿った偏光特性をもつ直線偏光素子を挿入して、第3部分の端からの出力を純度の高い円偏光にすることを特徴とする円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ。
  3. 円偏光と直線偏光の間の変換を行う部分は、少なくとも2つの異なる波長について、それぞれの波長の光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは前記4分の1波長分に波長の自然数倍を加えた分の位相差が生ずる長さであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ。
  4. 偏波保持光ファイバで、第1部分と、第1部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第2部分を含み、上記の第2部分は、光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは前記4分の1波長分に波長の自然数倍を加えた分の位相差が生ずる長さを有するAと、
    偏波保持光ファイバで、第3部分と、第3部分に光軸を中心に45度傾いて連続する第4部分を含み、上記の第3部分は、光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは前記4分の1波長分に波長の自然数倍を加えた分の位相差が生ずる長さを有するBと、を備え、
    AとBとを接続したものであり、
    第1部分を伝播した直線偏光を、第2部分を伝搬する際に円偏光に変換し、第2部分から第3部分へは円偏光のまま伝送し、第3部分を伝搬する際に直線偏光に変換し、第4部分では直線偏光を伝搬させて伝送することを特徴とする円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ。
  5. 円偏光と直線偏光の間の変換を行う部分は、少なくとも2つの異なる波長について、それぞれの波長の光の固有偏光成分間に4分の1波長分あるいは前記4分の1波長分に波長の自然数倍を加えた分の位相差が生ずる長さであることを特徴とする請求項に記載の円偏光適合性を有する偏波保持光ファイバ。
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