以下、本発明に関連する技術の実施の形態及び本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明に関連する技術の実施の形態及び本発明の実施の形態では、バーコード化の対象となる情報として、IDの一種である海賊版防止用位置情報を用いる場合を例にとって説明する。
すなわち、先ず、前半部(I)において、そのIDの一種である海賊版防止用位置情報について詳しく説明し、さらにそれをバーコード化して光ディスクを完成し、またその光ディスクを再生することを簡単に説明し、後半部(II)においては、その海賊版防止用位置情報をバーコード化する技術を更に詳しく具体的に説明する。すなわち、前半部(I)では、(A)ディスクを作成すること、(B)レーザ光を利用してマーキングを作成すること、(C)そのマーキングの位置情報を読み取ること、(D)さらにその位置情報等を一旦暗号化等して、その暗号化された位置情報をバーコード化して、光ディスクのプリピット領域の特定領域に重ね書きすること、(E)そして、その光ディスクのプレーヤ側の再生動作などについて述べる。また、後半部(II)では、先ず(A)貼り合わせタイプの光ディスクにおけるバーコードの有用性を説明する。そして、(B)上記マーキングの位置情報をディスク固有のIDとしてバーコード化すること、(C)そのバーコードが形成された光ディスクのフォーマットの特徴とトラッキング制御方式、バーコードを再生する際の回転速度制御方法について説明し、そして、(D)上記バーコードを形成した光ディスクを再生することについて説明する。更に、(E)バーコードの記録方法における、生産上の工夫について更に詳細に説明し、バーコードの再生装置(プレーヤ)についても簡単に触れる。最後に、(F)上述したバーコードの暗号化(ディジタル署名を含む)の一例と、バーコードの他の利用方法について述べる。
なお、上記後半部(II)の(D)のうち、第2の再生方法が本発明の実施の形態に相当する。
(I)
上述した(A)〜(E)の説明に入る前に、ディスク作成工程から光ディスクの完成までの全体の大きな流れを、図1のフローチャートを用いて説明する。
なお、本明細書においては、レーザトリミングはレーザマーキングとも呼び、光学マーキング無反射部は単に、バーコード又はストライプ又はマーキング、あるいは光学マーキング、ディスク固有の物理ID等とも呼ぶ。
まずソフト会社がソフト作成工程820においてソフトのオーサリングを行う。完成したソフトは、ソフト会社から、ディスク工場に渡される。そして、ディスク工場のディスク製造工程816では、ステップ818aで完成したソフトを入力して、原盤を作成し(ステップ818b)、ディスクを成形し(ステップ818e、ステップ818g)、それぞれのディスクに反射膜を作成し(ステップ818f、ステップ818h)、それら2枚のディスクを貼り合わせて(ステップ818i)、DVDやCD等のROMディスクを完成させる(ステップ818m等)。
このようにして完成したディスク800は、ソフトメーカーもしくはソフトメーカーの管理下にある工場に渡され、二次記録工程817においては、図2に示すような、海賊版防止のマーキング584を施された後(ステップ819a)、測定手段によりこのマークの正確な位置情報を読み取り(ステップ819b)、ディスク物理特徴情報としての位置情報を得る。ステップ819Cでこのディスク物理特徴情報を暗号化する。ステップ819dでは、この暗号をPE−RZ変調した信号をレーザにより、バーコード信号としてディスク上に記録する。なおステップ819cでソフトの特徴情報とディスク物理特徴情報を合成した情報を暗号化してもよい。
さらに、上記各工程を詳しく具体的に述べる。すなわち、図4、図5、図8〜図12などを用いて本発明に関連する技術の実施の形態による詳細な光ディスクのディスク作成工程とマーキング作成工程とマーキング位置読み取り工程と暗号書き込み工程を説明する。尚、図6、図7を用いて、反射層が2つある場合について、補足説明を加える。また、ここでマーキング作成工程とマーキング位置読み取り工程と書き込み工程を総合して二次記録工程と呼ぶ。
(A)まず、ディスク作成工程について説明する。図4に示すディスク作成工程806では、工程(1)で、透明基板801を成形する。工程(2)でアルミや金等の金属をスパッタリングさせ、反射層802を形成する。別の工程で作成した基板803に紫外線硬化樹脂の接着層804をスピンコートにより塗布し、反射層802をもつ透明基板801と貼り合わせた後、高速回転させ貼り合わせ間隔を均一にさせる。外部から紫外線を照射することにより硬化し、2枚は固く接着される。工程(4)でCDやDVDのタイトルが印字された印刷層805をスクリーン印刷やオフセット印刷で印刷する。こうして、工程(4)で通常の貼り合わせ型の光ROMディスクが完成する。
(B)次に、図4と図5を用いて、マーキング作成工程について説明する。図4において、YaG等のパルスレーザ813を用いて、集束レンズ814によりレーザ光を反射層802近傍に集束させることにより、図5の工程(6)に示すように無反射部815を形成する。即ち、図5の工程(6)において形成された無反射部815から工程(7)の波形(a)に示すように顕著な波形が再生される。この波形をスライスすることにより波形(b)のようなマーキング検出信号が得られる。この様にして、得られたマーキング検出信号の立ち上がり時点において、図5の(d)に示す複数のアドレスの内の特定のアドレス(図中では、アドレスnで表した)が、光ピックアップにより再生される。図5の(d)は、特定のアドレスの物理的位置を模式的に示している。
一方、図5(e)は、データの論理的構成を示す図である。すなわち、図5(e)に示すように、アドレスnの下には、m個のフレーム同期信号が存在し、各フレーム同期信号の下には、k個の再生クロックが存在する。従って、光ピックアップにより測定されるマーキングの位置は、アドレスと、フレーム同期信号番号と、再生クロック数によって、表すことができる。
尚、ここで、上述したように、図6、図7を用いて、別のタイプのディスク(2層式の貼り合わせディスク)について、補足説明を加える。
即ち、図4、図5は、反射層が片側の基板801にのみ形成されるいわゆる一層式の貼り合わせディスクの場合を示していた。これに対して、図6、図7は、反射層が、基板801、803の両方に形成される、いわゆる2層式の貼り合わせディスクの場合を示している。両者は、レーザトリミングを行う上で、基本的には、同じ工程(5)(6)で処理されるが、主なる相違点を簡単に説明する。まず、1層式の場合は、反射層が70%以上の高反射率を有するアルミの膜であるのに対して、2層式の場合は、読みとり側の基板801に形成される反射層825が、30%の反射率を有する半透過性の金(au)の膜であり、印刷層側の基板803に形成される反射層802は、上記1層式の場合と同じものである。次に、2層式の場合は、1層式に比べて、接着層804が、光学的に透明であること、厚みが均一であること、レーザトリミングにより光学的な透明性を失わないこと等の光学的な精密度が要求される。又、図7(7)、(8)、(9)では2層の記録層のディスクの第1層から得られる信号波形を示す。又、図7の(10)〜(12)は、2層の記録層のディスクの第2層から得られる信号波形を示す。これらの信号波形の内容は、図5の(a)〜(c)で説明した内容と基本的に同じである。2層目の波形そのものは1層目の波形に比べて単に信号レベルが低いだけでさほど変わらない。しかし、1層と2層は貼り合わせてあるため両者の相対位置精度はランダムであり数百ミクロンの精度でしか制御できない。後で説明するが、レーザビームは2枚の反射膜を貫通しているため、海賊版ディスクをつくるには、例えば第1マークの1層目の位置情報と2層目の位置情報を正規ディスクと同じ値に一致させる必要がある。しかし一致させるには、サブミクロンに近い貼り合わせ精度が必要であるため、2層方式の海賊版ディスクの製造は事実上不可能となる。
ここで、この光学マーキング無反射部作成技術について、以下の(a)〜(d)で、貼り合わせタイプと単板タイプについて、更に詳しく、図8〜図12等を参照しながら説明する。図8(a),(b)は、光学マーキング無反射部を平面的に見た場合の顕微鏡写真であり、図10(a)は、2層式の貼り合わせディスクの無反射部の略示断面模式図である。
(a)5μj/パルスのYaGレーザを用いて0.6mm厚のディスクを貼り合わせた合計1.2mm厚のROMディスクの0.6ミリの深さにある500オングストロームのアルミ層にレーザを照射したところ、図8(a)の750倍の顕微鏡写真に示すような12μm幅のスリット状の無反射部815が形成された。この場合、750倍の顕微鏡写真では、無反射部815には、アルミの残りカスは全く確認できなかった。無反射部815と反射部との境界部には2000オングストロームの厚みで、2μm幅の厚く盛り上がったアルミ層が観察できた。図10(a)に示すように内部では大きな破損が起こっていないことを確認した。この場合、パルスレーザの照射によりアルミの反射層が溶融し、表面張力により両側の境界部に蓄積される現象がおこっていると考えられる。我々は、これをHMST記録方式と呼ぶ(Hot Melt Surface Tention Recording Method)。この現象は貼り合わせディスク800にのみ観察される特徴的な現象である。更に、図11に、上記レーザトリミングによる無反射部の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)により観察した結果を基にした模式図を示す。又、図11は、ディスクの接着層を溶剤を用いて取り除いた図である。尚、同図によれば、アルミの膜厚増大部の巾方向領域を1.3μm、厚みを0.20μmとすると、その部位での増大アルミの量は、1.3×(0.20−0.05)=0.195μm2となる。レーザ照射部領域(10μm)の半分の領域(5μm)にあったアルミの量は、5×0.05=0.250μm2となる。従って、それらの差を計算すると、0.250−0.195=0.055μm2となる。これを長さに、換算すると、0.055/0.05=1.1μmとなる。このことから、厚みが0.05μmのアルミ層が1.1μmの長さだけ残留していることになり、事実上、レーザ照射部のアルミはほぼ全部、膜厚増大部に引き寄せられたと考えてよい。このように、同図による解析の結果からも、上記特徴的な現象についての説明が正しいことが分かる。
(b)次に、単板の光ディスク(1枚の透明基板のディスクにより構成される光ディスク)の場合について説明する。片面の成形ディスクの0.05μm厚のアルミの反射膜に同じパワーのレーザパルスを加えた場合の実験結果を図8(b)に示す。図に示されているようにアルミの残査が残っており、このアルミ残査が再生ノイズになるため、高い密度とエラーの少なさが要求される光ディスクの情報の2次記録用途には適していないことがわかる。又、貼り合わせと異なり図10(b)に示すように単板ディスクの場合、無反射部がレーザトリミングされる時、必ず保護層862が破損する。破損の程度はレーザパワーにより様々であるが、レーザパワーを精密に制御しても破損はさけられない。さらに我々の実験では保護層862の上に数百μmの厚さでスクリーン印刷された印刷層805が熱吸収率の大きい場合破損された。単板の場合、保護層の破損に対処するため、保護層をもう一度塗布するか保護層を塗布する前にレーザカットすることが必要となる。いずれにしても単板方式ではレーザカット工程がプレス工程の中に限定されるという課題が予想される。従って単板ディスクの場合、有効度は高いが、用途が限定される。
(c)以上は、2層式の貼り合わせディスクを用いて、単板のディスクと貼り合わせディスクとの比較を説明した。上記説明からわかるように、1層式の貼り合せたディスクの場合でも、2層式の場合と同様の効果が得られる。従って、ここでは、図12(a)、(b)等を用いて、1層式の貼り合わせディスクの場合について、更に説明する。図12(a)に示すように反射層802の一方は、ポリカからなる透明基板801で、もう一方は硬化した状態の接着層804と基板により充填された密閉状態となっている。この状態で、パルスレーザを集束させ加熱すると、反射層802に本実験の場合70nsの短い時間に5μJ/パルスの熱が10〜20μmの直径の円形のスポットに加わる。このため瞬時に融点である600℃に達し溶融状態になる。熱伝導により近接した透明基板801のごく一部が溶け、接着層804も一部が溶ける。図12(b)に示すようにこの状態で溶融したアルミは表面張力により、両側に張力が加わるため、溶けたアルミは境界部821a、821bに集まり、集中部822a、822bが形成され再び固まる。こうしてアルミの残査のない無反射部584が形成される。よって、図10(a)、図12(a)に示すように貼り合わせディスクにすることにより、レーザトリミングした場合はっきりとした無反射部584が得られる。単板の場合に発生する保護膜の破壊による外部環境への反射層の露出は、レーザパワーを最適値より10倍以上上げてもみられなかった。レーザトリミングの後、図12(b)に示すように無反射部584は2枚の透明基板801と803によりサンドウィッチ構造になるとともに、接着層804により外部の環境から遮断されているため、環境の影響から保護されるという効果がある。
(d)さらに、ディスクを2枚貼り合わせることによる、他の利点について、説明する。バーコードで二次記録した場合、図10(b)に示すように、単板ディスクでは不正業者が、保護層を除去することによりアルミ層を露出させられる。このため、正規ディスクのバーコード部にアルミ層を再度蒸着し、再度別のバーコードをレーザトリミングすることにより、暗号化されていないデータ部を改ざんされる可能性がある。例えば、ID番号を平文、もしくは主暗号と分離して記録した場合、単板では改ざんされ、他のパスワードでソフトの不正使用が行われる可能性がある。しかし、図10(a)のように貼り合わせディスクに二次記録した場合、貼り合わせディスクを2枚にはがすのは困難である。このことに加えて、はがす時にアルミ反射膜が部分的に破壊される。海賊版防止マーキングが破壊された場合、海賊版ディスクと判別され、作動しなくなる。従って、貼り合わせディスクの場合不正改ざんした場合の歩留りが悪くなり、経済的に不正改ざんが抑制される。特に、2層式の貼り合わせディスクの場合、ポリカ材料は温度湿度の膨張係数をもつため、一旦はがした2枚のディスクの1層と2層の海賊版防止マーキングを数μmの精度で貼り合わせて量産することは不可能に近い。従って、2層の場合、さらに防止効果は高くなる。こうして貼り合わせディスク800にレーザトリミングすることにより鮮明な無反射部584のスリットが得られることが明らかになった。
以上の説明(a)〜(d)で、光学マーキング無反射部の作成技術に関して説明した。
(C)次に、作成されたマーキング位置の読み取り工程を説明する。
図15は、光ディスクの製作過程における、光学マーキング無反射部を検出するための低反射光量検出部586を中心としたブロック部である。又、図16は、低反射部のアドレス・クロック位置検出の原理図である。尚、以下の説明では、便宜上、1枚のディスクから構成された光ディスク上の無反射部を読み取り対象とした場合の動作原理について説明する。この動作原理は、2枚のディスクを貼り合わせた光ディスクの場合にも勿論当てはまる。
図15に示すように、ディスク800を低反射部位置検出部600を有するマーキング読み取り装置に装着し、マーキングを読み取った場合、図9(a)の波形図に示すように、ピットの有無による信号波形823と、無反射部584の存在による信号波形824とは信号レベルが大きく異なるため、簡単な構成の回路により、明確に区別できる。
尚、図9(a)は、レーザ光による無反射部584を含む、後述するPCA領域の再生信号の波形図である。又、図9(b)は、図9(a)に示す波形を、時間軸を変えて表した図である。
このように、レーザ光により反射膜を除去することにより、ピット信号の波形と区別しやすい波形が得られる。ところで、本発明に関連する技術の実施の形態のバーコードを、上記の様にレーザ光で反射膜を除去するやり方ではなく、原盤のピットの形状を変えるやり方により、形成した原盤方式について説明する。即ち、図9(d)は、上記の様にして原盤の数百本のトラックのピット824qを、他のデータのピットの長さより長くして、バーコードの幅t(=10μm)と同じ長さにそろえた原盤の部分的な平面図である。この領域では、反射率が低下するので図9(c)に示す様な波形824pが得られる。同図に示す様に、上記原盤方式による波形824pは、他のピットデータの波形と区別出来ることがわかる。この様に、上記原盤方式でも、後述するPCA領域から得られるのと同じ様な信号波形が得られる。しかし、この場合、図9(a)、(b)に示す場合に比べ、少し区別が困難となる。
図16(1)に示す様に、この波形をもつ無反射部564の開始位置と終了位置は、図15のブロック図の低反射光量検出部586によって容易に検出される。そして、再生クロック信号を基準信号とすることにより、低反射部アドレスクロック番号位置信号出力部596において位置情報が得られる。ここで、図16(1)は、光ディスクの横断面図である。
図15に示すように、低反射光量検出部586の光量レベル比較器587は光量基準値588より低い信号レベルのアナログの光再生信号を検出することにより、低反射光量部を検出する。検出期間中、図16の(5)のような波形の低反射光量検知信号を出力する。この信号の開始位置と終了位置のアドレスとクロック位置を測定する。
さて、光再生信号は、AGC590aをもつ波形整形回路590により、波形整形されデジタル信号となる。クロック再生部38aは波形整形信号より、クロック信号を再生する。復調部591の、EFM復調器592は信号を復調し、ECCデコーダ36はEFM復調器592により復調された信号を誤り訂正し、デジタル信号が出力される。EFM復調信号は物理アドレス出力部593において、CDの場合サブコードのQビットからMSFのアドレスがアドレス出力部594から出力され、フレーム同期信号等の同期信号が同期信号出力部595より出力される。クロック再生部38aからは復調クロックが出力される。
低反射部アドレスクロック番号位置出力部596においては、n−1アドレス出力部597とアドレス信号、そしてクロックカウンター598と同期クロック信号もしくは復調クロックを用いて、低反射部開始位置終了位置検出部599により低反射部584の開始点と終了点を正確に計測する。この方法を図16の波形図を用いて具体的に説明する。図16の(1)の光ディスクの断面図のように、マーク番号1の低反射部584が部分的に設けられている。図16(2)のような反射信号つまり図16(3)のようなエンベロープ信号が出力され、反射部において、光量基準値588より低くなる。これを光量レベル比較器587により検出し、図16(5)のような低反射光量検知信号が低反射光量検出部586から出力される。又、図16(4)の再生デジタル信号に示すように、マーク領域は反射層がないため、デジタル信号は出力されない。
次に、この低反射光量検知信号の開始、終了位置を求めるためには、アドレス情報と図16(6)の復調クロックもしくは同期クロックを用いる。まず、図16(7)のアドレスnの基準クロック605を測定する。n−1アドレス出力部597により、予め、アドレスnの一つ前のアドレスを検知すると、次のSync604はアドレスnのSyncであることがわかる。このSync604と低反射光量検知信号の開始点つまり基準クロック605までのクロック数をクロックカウンター598でカウントする。このクロック数を基準遅延時間TDと定義し、基準遅延時間TD測定部608が測定し、記憶する。
読み取り用再生装置により、回路の遅延時間が異なるためこの基準遅延時間TDは読み取り用再生装置により異なる。そこで、このTDを用いて時間遅れ補正部607が時間補正を行うことにより、設計の異なる読み取り用再生装置においても低反射部の開始クロック数が正確に測定できるという効果がある。次に図16(8)のようにマーク番号=1に対する開始、終了アドレス・クロック数を求めるとアドレスn+12のクロックm+14が得られる。TD=m+2であるから、クロック数は12に補正されるが説明ではm+14を用いる。この読み取り用再生装置により、基準遅延時間TDを求めなくとも、ばらつく遅延時間の影響をなくすもう一つの方法を述べる。この方法は、図16(8)のアドレスnのマーク1ともう一つのマーク2の相対的な位置関係が一致しているかを照合することにより、正規ディスクかどうかを判別できる。つまり、TDを変数として無視し、測定したマーク1の位置a1=a1+TDとマーク2の位置a2=a2+TDの差を求めるとa1−a2となる。同時に暗号を復号したマーク1の位置a1とマーク2の位置情報a2の差a1−a2と一致するかを照合することにより正規ディスクかどうかを照合できる。この方式であるとより簡単な構成で基準遅延時間TDのバラつきを補正した上で位置を照合できるという効果がある。
(D)つぎに暗号書き込み工程を説明する。(C)において読み取られた位置情報は、一旦、暗号化あるいは、ディジタル署名される。そして、このように暗号化等されたマーキングの位置情報は、光ディスク固有のIDとしてバーコード化されて、その光ディスクのプリピット領域の特定領域に重ね書きされる。図2(a)のバーコード584c〜584eは、プリピット信号領域の特定領域、即ち、プリピット信号領域の最内周部に重ね書きされたバーコードを表している。
又、バーコードの記録から、PE−RZ変調信号復調部によるバーコードの検出信号の復調までの様子を示すのが、図3(1)〜(5)である。即ち、図3(1)においてパルスレーザにより、反射層がトリミングされ、同図(2)のようなバーコード状のトリミングパターンが形成される。再生装置側(プレーヤ側)では同図(3)のように、波形が部分的に欠落したエンベロープ波形が得られる。欠落部は通常のピットによる信号では発生しない低いレベルの信号を生じさせるので、これを第2スライスレベルのコンパレータでスライスすると同図(4)のような低反射部の検出信号が得られる。同図(5)でこの低反射光量検知信号から、後半部(II)で詳しく述べるPE−RZ変調信号復調部621により、上述したバーコードの再生信号が復調される。尚、PE−RZ変調信号復調部621の代わりに、PWM(パルス幅変調信号復調部)を用いてももちろんよい。この場合でも同様の効果が得られる。
尚、上述した暗号化又は、ディジタル署名される場合、公開鍵系暗号関数の秘密鍵が用いられる。図18A、図18Bに、暗号化の一例として、RSA関数を用いた場合の例を示す。
図18Aに示すように、大きなルーチンとしては、光ディスクメーカ側における、マーキングの位置情報を測定するステップ735aと、位置情報を暗号化(又は、署名)するステップ695と、(E)で詳しく述べる再生装置側における、位置情報を復号化(又は、署名を検証あるいは認証)するステップ698と、正規の光ディスクかどうかの照合を行うステップ735wとから構成されている。
まず、ステップ735aでは、ステップ735bで、光ディスク上のマーキングの位置情報を測定する。その位置情報をステップ735dで圧縮し、ステップ735eで圧縮した位置情報Hを得る。
ステップ695では、圧縮された位置情報Hの暗号を作成する。まず、ステップ695で、512bitもしくは1024bitのdと、256bitもしくは512bitのpとqの秘密鍵を設定し、ステップ695bで、RSA関数による暗号化を行う。位置情報Hを、図中に示したMであるとすると、Mをd乗しmodnの演算を行い暗号Cを得る。ステップ695dで暗号Cをバーコード化して光ディスク上に記録する。これにより、光ディスクが完成し、光ディスクの出荷が行われる(ステップ735k)。
再生装置では、ステップ735mで光ディスクが装着され、ステップ698で暗号Cを復号する。具体的には、ステップ698eで暗号Cを再生し、ステップ698fで公開鍵としてのe,nを設定し、ステップ698bで暗号Cを復号するために、暗号Cをe乗し、更にその値のmod nを演算し平文Mを得る。この平文Mというのは、圧縮された位置情報Hである。尚、ステップ698gでエラーチェックを行ってもよい。エラーがない場合は位置情報が改ざんされてないと判断し、図18Bのディスクの照合ルーチン735wへ進む。エラーがある場合は正規のデータでないと判断して停止する。
さて、次のステップ736aでは圧縮された位置情報Hを伸張し、元の位置情報が復元される。ステップ736cでは位置情報に示されている光ディスク上の位置に、実際にマーキングがあるかをどうかを測定する。ステップ736dでは、復号により得られた位置情報と、実際に測定した位置情報の差が許容範囲内かを照合する。ステップ736eでは、照合がOKならステップ736hへ進み、光ディスク内のソフトやデータの出力もしくはプログラムを動作させる。もし照合結果が許容範囲内にない場合、即ち双方の位置情報が一致しない場合は、不正に複製された光ディスクであると表示し、ステップ736gで停止させる。RSA関数の場合は、暗号だけを記録すればよいので、小さい容量でよいという効果がある。
(E)以上は、光ディスク作成側の各種工程について説明した。次に、このようにして、完成した光ディスクをプレーヤ側で再生するための、再生装置(プレーヤ)について、図44を用いてその構成と動作を併せて説明する。
同図において、最初に光ディスク9102の構成を説明する。光ディスク9102に形成された反射膜(図示省略)には、マーキング9103が施されている。そのマーキング9103の位置が、光ディスクの製造段階において、位置検出手段によって検出され、その検出された位置がマーキングの位置情報として光ディスクに暗号化されて、バーコード9104で書き込まれている。
位置情報読みとり手段9101は、そのバーコード9104を読み取って、内蔵する復号化手段9105によって、そのバーコードの内容を復号化して出力する。マーキング読みとり手段9106は、マーキング9103の現実の位置を読み取って、出力する。比較判定手段9107は、位置情報読みとり手段9101に内蔵された復号化手段9105による復号結果と、マーキング読みとり手段9106による読み取り結果とを比較し、両者が所定の許容範囲内で一致しているか否かを判定する。一致している場合は、光ディスクを再生するための再生信号9108を出力し、一致していなければ、再生停止信号9109を出力する。制御手段(図示省略)は、それらの信号に従って、光ディスクの再生動作を制御し、再生停止信号が出された場合は、不正に複製された光ディスクである旨の表示を表示部(図示省略)に行って、再生動作を停止させる。ここで、マーキング読みとり手段9106は、マーキング9103の現実の位置を読み取る際に、復号化手段9105の復号結果を利用してももちろんよい。
即ち、この場合、復号化手段9105により復号化された位置情報に示されている光ディスク上の位置に、実際にマーキングがあるかどうかをマーキング読みとり手段9106が調べる。
この様な再生装置によれば、不正に複製された光ディスクを検知して、その再生を停止することが出来、事実上不正な複製を防止出来る。
(II)
ここで前半部(I)の説明を終えて、上記マーキングの位置情報(ID番号)をディスク固有のIDとして、バーコード化する場合の、バーコードの形成方法などの技術を中心に述べる。
(A)本発明に関連する技術の実施の形態の光ディスクの特徴について説明する。
即ち、上述した単板タイプのディスクにレーザトリミングにより、バーコードを記録をした場合、図10(b)を用いて上述した場合と同じ様に、保護層862が破壊される。そのため、プレス工場でレーザトリミングを行った後に、その破壊された保護層862を、再度そのプレス工場で形成する必要がある。
従って、そのような設備を持たないソフト会社や販売店では、光ディスクにバーコードを記録することができない。このため、バーコード記録の用途が大きく限定されるという課題が予想される。
一方、本発明に関連する技術の実施の形態による、2枚の透明基板のディスクを貼りあわせて作成された、いわゆる貼り合わせタイプのディスクに、上記マーキングの位置情報をバーコード化して、レーザトリミングにより形成した場合は、図10(a)で説明した様に、保護層804が殆ど残っていることが確認出来た。このことは、実験を行い800倍の光学顕微鏡で観察することにより確認した。また96時間、温度85度、湿度95%の環境試験後もトリミング部の反射膜に変化がないことも確認した。
このように、DVDのような貼り合わせディスクに本発明に関連する技術の実施の形態のレーザトリミングを適用することにより工場で保護層を付け直す必要がないため、プレス工場以外の例えばソフト会社や販売店で、光ディスクに対してバーコードをトリミング記録できるという大きな効果がある。これにより、貼り合わせタイプの光ディスクにおけるバーコード記録の有用性が確認出来た。
この場合、ソフト会社の暗号の秘密鍵の情報を社外に出す必要がなくなり、バーコードにセキュリティ情報として、上記位置情報以外に、例えばコピー防止用のシリアル番号を記録する場合、セキュリティが大きく向上する。また、後で述べるようにトリミング線巾をDVDの場合、14T、つまり1.82ミクロン以上に設定することにより、バーコード信号をDVDのピット信号から分離できるため、DVDのピット記録領域の上に重畳して記録することができる。このようにして形成されたバーコードは、ピット信号を再生する光ピックアップを用いて読みとることが出来るという効果を発揮する。尚、この効果は、貼り合わせタイプのディスクに限らず、上述した単板タイプの光ディスクの場合でも同様に得られる。
このように、DVDのような貼り合わせタイプのディスクに、本発明に関連する技術の実施の形態のバーコードの形成方法と変調記録方法を適用することにより、工場出荷後に、二次記録できる、貼り合わせタイプの光ディスクを提供することが出来る。以上は、貼り合わせタイプの片面2層(反射膜が2層形成されている)の光ディスクにバーコードをレーザトリミングにより形成した場合を中心に説明した。この片面2層の光ディスクは、ディスクを裏返すことなく、ディスクの片側の面から両面の再生が可能なタイプである。
尚、裏面の再生を行う際、ディスクを裏返す必要がある、貼り合わせタイプの両面型の光ディスクにトリミングした場合、レーザ光は、各面に1枚ずつ形成された、それぞれの反射膜を同時に貫通する。このため一度に、両面にバーコードが形成できる。そのため、1回の工程で両面に同時に、バーコードを記録することができるというメディア製造上の効果がある。
この場合、再生装置側では、裏面を再生する際、光ディスクを裏返してセットするので、表面を再生する場合のバーコード信号の再生に比べると、丁度、逆方向のバーコード信号が再生される。そのため裏面を識別する方法が求められるが、その点に関しては、後で詳しく述べる。
(B)次に、上記マーキングの位置情報(ID番号)をディスク固有のIDとしてバーコード化して、そのバーコードをプリピット領域の特定領域に記録するための光ディスク用バーコード形成装置の構成と動作、及びバーコードの記録方法などについて、図23〜図26等を参照しながら説明する。
(a)先ず、図23を参照しながら、光ディスク用のバーコード記録装置について述べる。
ここで、図23は、本発明に関連する技術の一実施の形態の光ディスク用バーコード形成方法を実施するためのバーコード記録装置の構成図である。尚、前述した実施の形態では、バーコード化の対象は、マーキングの位置情報を暗号化したものであったが、これに限らず、例えば、図23に示す様に、ID発生部908から発行されたID番号と入力データであってもよいし、その他どのようなデータであってもかまわない。
図23において、ID発生部908から発行されたID番号と入力データは入力部909内で合成され、暗号エンコーダ830で必要に応じてRSA関数等により署名もしくは暗号化され、ECCエンコーダ907によりエラー訂正符号化とインターリーブがかけられる。尚、暗号化のプロセス及び、再生時のプロセスの一例を図45に示し、その詳細な説明は後述する。
RZ変調部910により、後で述べるフェーズエンコーディング(PE)−RZ変調が行われる。この場合の変調クロックはモータ915もしくは回転センサ915aからの回転パルスに同期してクロック信号発生部913において作られる。
RZ変調信号にもとづいて、レーザ発光回路911によりトリガーパルスが作成され、レーザ電源回路929により確立されたYaG等のレーザ912に入力され、パルス状のレーザが発光し、集光部914により貼り合わせディスク800の反射膜802上に結像され反射膜がバーコード状に除去される。誤り訂正方式に関しては後で詳しく述べる。暗号方式は図18のような公開鍵系暗号システムを用いてシリアル番号をソフト会社のもつ秘密鍵で署名する。この場合ソフト会社以外のものは秘密鍵を持たないため新たなシリアル番号を署名できないためソフト会社以外の不法な業者のシリアル番号の発行を防止できるという大きな効果がある。この場合前述したように公開鍵は逆解読できないため安全度は高い。このため再生装置側に、公開鍵をディスクに記録して伝達しても偽造は防止される。
ここで、本発明に関連する技術の実施の形態の光ディスク用バーコード形成装置の集光部914について更に詳しく述べる。
図28(a)に示すように、レーザ912からの光は、集光部914に入光し、コリメータ916で平行光としシリンドリカルレンズ917により一方向だけ集束し、ストライプ状の光となる。この光をマスク918により、カットし、集束レンズ919により、光ディスクの反射膜802上に結像させ、ストライプ状に除去する。こうして図28(b)のようにストライプが形成される。PE変調の場合、ストライプの間隔は1T、2T、3Tの3種が存在し、この間隔がずれるとジッターが発生し、エラーレートが上がってしまう。本発明に関連する技術の実施の形態ではモータ915の回転パルスに同期させてクロック発生部913が変調クロックを発生し、変調部910へ送るので、モータ915つまりディスク800の回転に応じて正確な位置にストライプ923が記録されるためジッタが低減されるという効果がある。なお、図3の(1)に示すようにレーザのスキャニング手段950を設け、連続発振レーザを半径方向にスキャニングし、バーコードを形成することもできる。
(b)次に、上述したバーコードの記録装置によるバーコードの記録方法等について、図24〜図26を参照しながら説明する。
ここで、図24は本発明に関連する技術の実施の形態のRZ記録(極性ゼロ復帰記録)を符号化した信号及び、それらに対応して形成されたトリミングパターンを示す。図25は従来のバーコードフォーマットで符号化した信号及び、それらに対応して形成されたトリミングパターンを示す。
本発明に関連する技術の実施の形態では、図24に示すようにRZ記録を用いている。これは、一つの単位時間を複数のタイムスロット例えば第1タイムスロット920aと第2タイムスロット921a,第3タイムスロット922a等に分けデータが“00”の時は図24(1)に示すように第1タイムスロット920aに、タイムスロットの周期つまりチャンネルクロックの周期Tよりも狭い時間巾の信号924aを記録する。記録クロックの周期Tより狭いパルス924aがt=t1とt=t2の間に出力される。この場合モータ915の回転センサ915aの回転パルスが入力されるクロック信号部913が、図24(1)に示すような変調クロックを発生させ、同期させて記録するとモータの回転ムラの影響はなくなる。こうして、図24(2)に示すように、ディスク上には4つの記録領域のうち1番目の記録領域925aの中に“00”を示す923aが記録され図27(1)のような円形バーコードが形成される。
次にデータが“01”の時は図24(3)に示すように第2のタイムスロット921bにパルス924bがt=t2からt=t3の間に記録される。こうして、ディスク上には、図24(4)に示すように左から2番目の記録領域926bにストライプ923bが形成される。
次に、“10”,“11”のデータを記録する時は、各々第3タイムスロット922a,第4タイムスロットに記録する。
ここで、比較のため、従来のバーコード記録で用いられているNRZ記録(非ゼロ復帰記録)を図25を用いて説明する。
NRZの場合、図25(1)に示すようにタイムスロット920aの間隔Tと同じ巾のパルス928aと928bを出力させる。RZの場合、一つのパルス巾で、1/nTのパルス巾のみでよかったのが、NRZの場合Tの広い巾のパルスが必要で、さらにTが連続した場合、図25(3)に示すように2T,3Tの2倍,3倍巾のパルスが必要となる。本発明に関連する技術の実施の形態のようなレーザトリミングの場合、レーザのトリミング巾を変えるには設定を変更する必要があるため現実的には困難であり、NRZは適していない。図25(2)のように、左から一番目と三番目の記録領域925aと927aにストライプ929a、929bが形成され、“10”のデータの場合は図25(4)のように左から2番目と3番目の記録領域926bと927bに2Tの巾のストライプ929bが形成される。
従来のNRZ記録の場合、図25(1)(3)に示すようにパルス巾は1T,2T,であるため本発明に関連する技術の実施の形態のレーザトリミングには適していないことがわかる。
本発明に関連する技術の実施の形態のレーザトリミングによるバーコード形成の場合、図8(a)の実験結果の図に示したように形成されるが、トリミングの線巾はディスク毎に変動し、精密に制御することは難しい。ディスクの反射膜をトリミングする場合、パルスレーザの出力変動と、反射膜の厚さと材質、基板の熱電導率や厚さの変動によりトリミングの線巾は変動するからである。次に同一ディスク上に線巾の異なるスロットを設けることは記録装置を複雑にさせる。例えば図25(1)(2)に示すように商品バーコードで用いられているNRZ記録の場合、トリミングの線巾は正確にクロックの周期1Tもしくは2T,3TつまりnTに合わせる必要がある。特に2T,3T等の多種類の線巾をバー毎(ストライプ毎に)に変化させて記録することは難しい。従来の商品用のバーコードのフォーマットはNRZであるため本発明に関連する技術の実施の形態のレーザバーコードに適用するとまず2T,3Tの異なる線巾を同一ディスク上に正確に記録することは難しいため歩留りが低下する。次に、レーザトリミングの巾が変動するため安定して記録できない。このため、復調が困難となる。本発明に関連する技術の実施の形態のように、RZ記録することにより、まずレーザのトリミング巾が変動しても、デジタル記録が安定してできるという効果がある。次にRZ記録では線巾が1種類だけでよいためレーザパワーの変調をする必要がないため、記録装置の構成が簡単になるという効果がある。
以上のように本発明に関連する技術の実施の形態のディスク用のレーザバーコードの場合、RZ記録を組み合わせることにより、安定してデジタル記録ができるという効果がある。
次に、RZ記録とフェーズエンコード変調(略してPE変調)した実施例を図26に示す。
図26は、図24に示すRZ記録をPE変調させた場合の、信号とストライプ配置を示す。まず、“0”のデータを記録する場合、2つのタイムスロット920a,921aのうち左のスロット920aへ、データが“1”の時は図26(3)のように右のスロット921bに信号を記録する。ディスク上には図26の(2)と(4)に示すように“0”のデータの場合は左の記録領域925a,“1”のデータは右の記録領域926bにストライプ923a,923bとして記録される。こうして、“010”のデータの場合、図26(5)に示すようにパルス924cが左つまり“0”、パルス924dが右つまり“1”、パルス924eが左つまり“0”のタイムスロットに出力され、ディスク上にはストライプが左,右,左の位置にレーザによりトリミングされる。図26(5)に“010”のデータを変調した信号を示す。これをみるとわかるように、各々のチャンネルビットに必ず、信号が存在する。つまり信号密度は常に一定であるため、直流成分は変動しない。このようにPE変調は、直流成分が変動しないため再生時にパルスエッジを検出しても低周波成分の変動に強い。従って再生時のディスク再生装置の復調回路が簡単になるという効果がある。また、チャンネルクロック2T毎に必ず、1ヶの信号923があるため、PLLを使わなくても、チャンネルクロックの同期クロックを再生できるという効果がある。
こうして、図27の(1)に示すような円形バーコードがディスク上に記録される。図27の(4)の記録データ“01000”を記録した場合、本発明に関連する技術の実施の形態のPE−RZ変調では(3)の記録信号と同じパターンのバーコード923aが(2)のように記録される。このバーコードを再生装置の、光ピックアップで再生すると、図5(6)で説明したようにピット変調信号の一部が、バーコートの反射層欠落部により、反射信号がなくなり、(5)の再生信号のような波形が出力される。この信号を図35(a)に示す2次もしくは3次のLPFフィルタ943を通すことにより、(6)のフィルタ通過後の波形の信号が得られる。この信号をレベルスライサーでスライスすることにより、(7)の再生データ“01000”が復調される。
(C)次に、上述のようにしてバーコードを形成した光ディスクのフォーマットの特徴とトラッキング制御方式、光ディスクを再生する際に使用可能な回転速度制御方法について説明する。
(a)先ず、本発明に関連する技術の実施の形態の、バーコードを形成した光ディスクのフォーマットの特徴を述べながら、再生時にトラッキング制御が可能な場合(このような場合を、トラッキングON状態ともいう)の例について説明する。尚、トラッキング制御を用いた再生動作は図40に示し、その詳細は後述する。
即ち、図30に示すように、本実施の形態のDVDディスクの場合、ピットによる全データはCLVで記録されている。又、ストライプ923(即ち、バーコード)は、CAV記録されている。ここで、CLV記録とは、線速度一定による記録をいい、CAV記録とは、回転速度一定による記録を言う。
本発明に関連する技術の実施の形態のストライプ923はCLV記録されたアドレスが記録されたリードインデータ領域のプリピット信号に重畳してCAVで記録されている。つまり重ね書きである。尚、本発明に関連する技術の実施の形態のプリピット信号領域は、ピットが形成された全データ領域に対応している。また、本発明に関連する技術の実施の形態のプリピット信号領域の所定領域は、光ディスクの内周部の領域に対応しており、PCA領域(ポストカティングエリヤ)とも呼ぶ。このPCA領域では、バーコードはプリピット信号に重畳してCAVで記録される。このようにCLVデータは原盤のピットパターンで、CAVデータはレーザによる反射膜の欠落部で記録されている。重ね書きであるためバーコード状のストライプの1T、2T、3Tの間にはピットが記録されている。このピットの情報を利用して、光ヘッドのトラッキングが可能となり、ピットの情報のTmaxもしくはTminが検出できるので、この信号を検出してモータの回転速度制御がかけられる。Tminを検出するためには、図30に示すようにストライプ923aのトリミング巾tとピットのクロックT(pit)の関係はt>14T(pit)であれば、上記の効果が出る。tが14Tより短い場合、ピット部による信号とストライプ923aによる信号が、同じパルス巾となり、両者の弁別ができないため、ストライプ923aの信号が復調できなくなる。またピットのアドレス情報をストライプと同じ半径位置で読むには、図32に示すようにアドレス領域944の長さがピット情報の1アドレス単位以上設けられているため、アドレス情報が得られ、トラックジャンプが可能となるという効果がある。また図36に示すようにストライプと非ストライプの比率つまりデューティ比を50%以下のT(S)<T(NS)とすることにより、実質的な反射率が6db下がるだけであるので、光ヘッドのフォーカスが安定してかかるという効果がある。
次に、再生時にトラッキング制御が出来ない場合(このような場合を、トラッキングOFFの状態と呼ぶこともある)の例について説明する。
即ち、ピット上にストライプ923が存在するので、ピット信号が途切れ途切れになり、ピットデータが正常に再生されないという理由から、プレーヤによってはトラッキング制御できない機種もある。しかし、このようなプレーヤについては、CAVデータであるストライプ923はモータ17のホール素子等からの回転パルスを用いて回転制御をかけてCAV回転をさせることにより、光ピックアップにより、再生することができる。
そこで、このようにストライプ領域で光トラックのピットデータが正常に再生されない場合の、再生装置側における動作手順のフローチャートを図31に示す。
図31において、ステップ930aでディスクが挿入されると、まずステップ930bで内周部に光ヘッドを所定距離だけ移動する。すると図30のストライプ923の領域に達する。
ここではストライプ領域923のピットデータは全てのピットを正常に再生することはできない。従って、CLV記録されているピットデータに対して、通常行われている回転位相制御は、この場合には使用できない。
ステップ930cではモータのホール素子の回転センサやピット信号のT(MaX)もしくはT(MIN)や周波数を測定することにより回転速度制御をかける。ステップ930iでストライプがない時はステップ930fへジャンプする。ストライプがある場合はステップ930dでバーコードを再生し、ステップ930eでバーコードの再生を完了するとステップ930fでストライプのない外周部に光ヘッドを移動する。この領域はストライプがないため、ピットが完全に再生されて正常にフォーカスとトラッキングサーボがかかる。ピットの信号が再生できるので、通常の回転位相制御ができ、CLV回転となる。このため、ステップ930hで、ピット信号が正常に再生される。
このように回転速度制御とピット信号による回転位相制御の2つの回転制御を切り替えることにより、バーコードのストライプのデータとピット記録されたデータの異なる2種類データが再生できるという効果がある。この場合切り替える手段としては、ストライプは最内周部にあるので、光ヘッドのストッパーやピット信号のアドレスから光ヘッドの半径位置を測定し、その測定結果に基づいて、2つの回転制御を確実に切り替えることができる。
(b)次に、本発明に関連する技術の実施の形態のバーコードを再生する際の回転速度制御に関する2通りの制御方法について、図41,42を参照しながら述べる。
即ち、第1の回転速度制御方法として、ピット信号のTmax(Tmaxは、様々なピット長さの内の最大のピット長さの計測時間を意味する)を検出して回転速度制御をかける場合のブロック図を図41に示す。
光ヘッドからの信号は波形成形された後、エッジ間隔計測手段953により、ピット信号のパルス間隔を計測される。t0の基準値発生手段956は、Sync信号のパルス巾14Tより大で、バーコード信号のパルス巾tより小さいパルス巾の基準値情報t0を発生するので、この基準値情報t0と再生信号のパルス巾TRとが比較手段954で比較され、基準値t0より小さく、メモリ手段の中のTmaxより大きい場合のみ、TRをメモリ手段955へ送り、Tmaxとする。このTmaxを基準として、コントローラ957はモータ駆動回路958を制御し、Tmaxを基準としたモータの回転速度制御ができる。本発明に関連する技術の実施の形態の場合、図9(a)に示すように、3〜10μsの周期のパルスが、バーコー
ドストライプにより、多数個発生する。SyncパルスはDVDの場合14T、つまり1.82μmである。一方バーコードストライプは15μmである。Tmax制御の場合Syncパルスの巾14Tより長いバーコードパルスをTmaxと判定し誤検出してしまう。そこで図41のように基準値t0と比較し、基準値t0より大きいバーコード信号を除去することにより、正常の回転速度の回転速度制御が、バーコードストライプ領域を再生中も可能となる効果がある。
次に、第2の回転制御方法として、図42を用いてTmin(Tminは、様々なピット長さの内の最小のピット長さの計測時間を意味する)方式検出の回転速度制御方法を述べる。
図42のTminの場合、エッジ間隔計測手段953からのパルス情報TRは比較手段954aにおいて、メモリ手段955aの中のTminと比べられ、TR<Tminならば、ストローブパルスが発生し、メモリの中のTminは置き換わる。
この場合、バーコードパルス巾tは前述のように3〜10μm、一方Tminは05〜0.8μmである。従って、バーコード領域を再生してもバーコードパルスの巾tは必ずTminより大きいので、TR<Tminの条件を満たさない。つまり、バーコードパルスをTminとして誤判別する可能性はない。従ってTminの方式の回転速度制御とバーコード読取手段959を組み合わせることにより、バーコードを再生しながら、同時に、Tminによる回転速度制御を、上述したTmax方式に比べてより一層、安定的にかけられるという効果がある。この場合発振器クロック956により、エッジ間隔を検出するとともに、バーコード読み取り手段959の復調の基準クロックを得ることにより、回転と同期してバーコードを復調できる効果がある。
(D)次に、以上説明した制御方法等を使用した光ディスクの一連の再生動作について説明する。
先ず、図31及び図43を用いて回転位相制御モードと回転速度制御モードをモードスイッチ963で切り換える方法を説明しながら第1の再生方法について述べる。そのあと、図38、図40等を参照しながら本実施の形態の光ディスクの第2、第3の再生方法について述べる。尚、以下に説明する第1、第2の再生方法は、トラッキング制御が出来ない場合の再生方法であり、第3の再生方法は、トラッキング制御が行える場合の再生方法である。
図43において、図31のステップ930b,930cで説明したように、まず内周部に光ヘッドを移動すると同時にモードスイッチ963をAに切り換える。この場合、ピックアップ(PU)位置センサ962等により、移動手段964により移動した光ヘッドの半径位置が内周にきたことを検知した場合、モードスイッチ963をAに切り換えてもよい。
次に、図43において、回転速度制御モード(図31のステップ930c)に入った時の動作を説明する。
即ち、モータ969からのモータ回転周波数であるfmと第2発振器968からの周波数であるf2とを、第2周波数比較器967で比較し、誤差信号をモータ駆動回路958へ送り、モータ969を制御することにより回転速度制御される。この場合CAV回転するためバーコードストライプが再生できる。
図31のステップ930eに示すようにバーコードの再生が完了すると、移動手段964により外周部にヘッドを移動するとともに、PU位置センサ962等からの信号により、モードスイッチ963をBの回転位相制御モードに切り換える。
回転位相制御モードでは、光ヘッドからのピット信号にクロック抽出手段960によりPLL制御をかける。第1発振器966の周波数f1と再生同期信号の周波数fSとの周波数の比較を第1周波数比較器965で比較し、差信号をモータ駆動回路958に送る。これにより、回転位相制御モードに入る。ピット信号によるPLLの位相制御のため、f1の同期信号に同期したデータが再生される。回転位相制御と回転速度制御を切り替えないで、回転位相制御でバーコードストライプ領域に光ヘッドを移動させた場合、ストライプにより位相制御ができないためモータが暴走したり、エラーが発生し、モータが停止したりして、トラブルが生ずる。そこで、図43に示すように回転モードを切り替えることにより、バーコードを安定して再生できるだけでなく、上述の回転トラブルを回避できるという大きな効果がある。
次に、本発明の実施の形態の光ディスクの第2の再生方法について図38のフローチャートを用いてその動作を説明する。
この第2の再生方法は、上記第1の再生方法を更に改善したものである。
即ち、第1の再生方法は、ストライプ有無識別子937が定義されていないディスクについての再生方法である。従って、この様な光ディスクの場合は、ストライプ領域でトラッキングがかからないため、光ディスク上に正規に形成されたストライプであるのか、あるいは、光ディスク上に生じたイレギュラーな傷であるのかの判別に時間がかかる。そのため、現実には、ストライプが形成されていない場合でも、再生動作として、必ずストライプを読み行にくステップが必要となり、ストライプが本当に存在しないのか、あるいは、光ディスク上の更に内周側に存在するのか等のステップにより確認しなければならない。従って、その分、立ち上がり時間が余分にかかってしまうという問題が生じることもある。第2の再生方法は、このような問題を改善したものである。
即ち、図38に示す様に、まず光ディスクが挿入されるとステップ940aでコントロールデータ(Control Data)を再生する。コントロールデータ領域には、一般には、光ディスクの物理的な特徴情報や属性情報がコントロールデータとして記録されている。即ち、光ディスクが貼り合わせタイプの片面2層であると言った情報等は、物理的特徴情報として扱われる。
ここでは、図30に示すように、本発明の実施の形態の光ディスクのコントロールデータ領域936のコントロールデータには、PCAストライプ有無識別子937がピット信号で記録されている。そのため、一旦、ステップ940nでコントロールデータの外周部に光ヘッドを移動させる。その後、光ヘッドは光ディスクの内周側にジャンプをくりかえして、コントロールデータ領域936に移動する。ステップ940aでコントロールデータを再生する。これにより、ストライプが記録されているかどうかがわかる。ステップ940bでストライプ有無識別子が0の時はステップ940fへ進み、回転位相制御を行い通常のCLV再生を行う。ステップ940bで有無識別子937が1の時はステップ940hでストライプが再生面と逆の面、つまり裏面に記録されているかを示す裏面存在識別子948があるかどうかをチェックし、裏面ならステップ940iへ進み、光ディスクの裏面の記録面を再生する。自動的に裏面を再生できない場合は、裏面再生指示を出力し表示する。ステップ940hで再生中の面にストライプが記録されていることがわかった場合は、ステップ940cに進み、さらに内周部のストライプ領域923にヘッドを移動し、ステップ940dで回転速度制御に切り替えてCAV回転させストライプ923を再生する。ステップ940eで完了ならステップ940fで、再び回転位相制御に切り替えてCLV再生をし外周部に光ヘッドを移動し、ピット信号のデータを再生する。
このようにコントロールデータ等のピット領域にストライプ有無識別子937が記録されていることにより、図31で説明した第1の再生動作に比べて、より確実に、又短時間でストライプが再生できるという効果がある。
このようにトラッキングオフして、PCA部を再生すると、ピットが原因となって生じる雑音信号のレベルが下がる。一方PCAによる信号のレベルはトラッキングオフしても変わらない。従って、図35(b)のフィルタ通過後の波形において、ピット信号が小さくなるのでPCAとピット信号が、より弁別し易くなり、回路が簡単になりエラーレートが下がるという効果がある。
尚、ストライプ裏面存在識別子948があるため裏面にストライプが記録されていることがわかるため、両面型のDVD光ディスクの場合、確実にバーコードのストライプが再生できるという効果がある。本発明の実施の形態のストライプは両面ディスクの両方の反射膜を貫通するため裏面からも読める。ストライプ裏面存在識別子948をみて、ストライプ再生時に逆の符号にして再生することにより裏面からも再生できる。本発明の実施の形態では図34(a)に示すように同期符号は01000110を使用している。従って、裏面から再生すると"01100010"の同期符号が検出できるためバーコードを裏面から再生していることが検知できる。この時図15の再生装置において、PE−RZ復調部942は逆に符号を復調することにより、両面ディスクを裏面から再生しても貫通したバーコードを正常に再生できるという効果がある。尚、図15の再生装置については、更に後述する。
又、図30に示すように、上述したPCA領域998とコントロールデータ領域936の間に、アドレスだけが記録されていてデータが記録されていない、300μm幅のガードバンド領域999を設けることにより、コントロールデータへのアクセスがより一層安定して行える。
以下に、ガードバンド領域999について更に詳細に説明する。
即ち、光ヘッドが外周部からコントロールデータをアクセスする場合、内周部に向かって、複数のトラックをジャンプしながら、そのコントロールデータ領域936に近づいてくる。時には、目的とするコントロールデータ領域936を飛び越してしまい、コントロールデータ領域の内周部に着地することもある。この時、コントロールデータの内周部に隣接してPCA領域998が有ると、そのPCA領域998では、アドレスの再生が出来ないため、光ヘッドは、自分自身の位置がわからなくなる。そのために、光ヘッドの制御が不可能になる。
従って、光ヘッドの1回のジャンプの幅より大きい幅として、例えば300μmの幅に設定されたガードバンド領域を、上述した位置に設けることにより、たとえ、光ヘッドがコントロールデータ領域936を飛び越えたとしても、必ずこのガードバンド領域内に着地出来る。そして、光ヘッドは、ガードバンド領域内のアドレスを読む事が出来るので、自分自身の位置がわかり、そこから、目的のコントロールデータ領域へ戻ることが出来る。従って、光ヘッドをより迅速に、しかもより安定して制御することが可能となる。
又、図30に示すようにコントロールデータには追記ストライプデータ有無識別子とストライプ記録容量が記録されている。即ち、光ディスクに、最初にストライプを記録した後、まだストライプが記録されずに空いたままの領域に、更に、別のストライプを追加記録することが出来る。この様に、最初に記録したストライプを第1回目のストライプと呼び、その後、追加記録したストライプを第2回目のストライプと呼ぶ。従って図30のように第1回目のトリミングのストライプ923が既に記録されている場合、第2回目のトリミングのストライプ938を、どの容量だけ記録可能か計算できる。従ってコントロールデータにより図23の記録装置が2回目のトリミングをする時、どれだけ記録できるかが判別できるため、360゜以上記録しすぎて第1回目のトリミングのストライプを破壊するということが防止できる。なお、図30に示すように第1回目のトリミングのストライプ923と第2回目のトリミングのストライプ938の間にはピット信号1フレーム以上の空白部949を設けることにより、前のトリミングデータを破壊することが防止される。
また、後述する図34(b)に示すように、トリミング回数識別子947が同期符号部に記録されているため、1回目のトリミングのストライプと2回目のトリミングのストライプのデータが識別できるという効果がある。もしこの識別子がないと、図30の第1回目のストライプ923と第2回目のストライプ938が判別できないことになる。
以上本発明の実施の形態の光ディスクの第2の再生方法について説明した。
最後に、第3の再生方法について、図40を参照しながら説明する。
即ち、光ディスク上のストライプのデューティ比、つまり面積比率が小さい時は、図32に示すように、ストライプ領域で略々トラッキングがかかる。従って、同一半径上のアドレス領域944のアドレスが再生できる。この場合、ストライプを再生するとともに、光ヘッドの位置を変えないで、アドレスが再生できるため、ディスクを挿入してからの立ち上がり時間が早くなるという効果がある。
この場合、前述のようにアドレス領域、つまり、ストライプのない領域を連続して1フレーム以上、同一半径上に設ければよい。
図40を用いてこの方法の動作ステップを説明する。
まず、ディスクを挿入してステップ947aで光ヘッドを内周部に移動する。ステップ947nでトラッキングがかからない時は、ステップ947pでトラッキング方式を位相制御からプッシュプルに切り換える。ステップ947bで回転速度制御(CAV制御)を行いアドレスを再生する。ステップ947cでアドレス再生が可能でない時はステップ947iへ進み、光ヘッドを内周へ送り、PCAストライプを再生する。PCAの余白部(重ね書きされなかった部分に相当する)のアドレス再生が可能な場合は、ステップ947eへ進み、アドレスに基づきストライプの存在するアドレス領域へ半径方向に光ヘッドを移動する。ステップ947qでPCAストライプがあるか無いかを判定する。その判定の結果、PCAストライプが無ければ、ステップ947rでコントロールデータのPCAフラグを読みに行く。そして、ステップ947sでPCAフラグの有無を判定して、無いとの判定結果が出れば、ステップ947mへジャンプし、有るとの半径結果が出れば、ステップ947cへ戻る。
一方、ステップ947qで、PCAストライプがあるとの判定が出た場合、ステップ947fへ進み、PCAストライプを再生する。ステップ947gでその再生が完了すれば、ステップ947hで回転位相制御に切り替えて外周部に光ヘッドを移動し、ピット信号を再生する。ステップ947tでコントロールデータのPCAフラグを読み、PCAフラグが無ければステップ947kでエラーメッセージを出し、ステップ947mへ戻って、処理を続行する。
(E)次に、本発明に関連する技術の実施の形態の光ディスク用バーコード形成方法における、生産上の工夫について更に詳細に説明する。また、バーコードの再生装置についても簡単に述べる。
(a)先ず、バーコードの記録方法における、生産上の工夫について説明する。
上述した、図28に示すバーコードの記録方式の場合、発光パルスの最小間隔は1tであるから、レーザの周波数をfLとするとfC=1/fLの発光周波数のレーザが必要となる。この場合、1秒間にfL/2 本のバーコードのバーが記録できる。しかし、図29のように光偏向器931を用いると、発光パルスの最小間隔は2tでよくなるため、発光周波数がfL=1/2tとなり、半分の周波数のレーザでよい。従って同一の周波数のレーザを用いた場合、光偏向器931を用いることにより、2倍の本数、つまり1秒間にfL本のバーコードが記録できる。このため、生産のタクトを2倍に向上できるとい
う効果がある。
そこで、図29を用いて光偏向器931を用いた2倍のタクトの装置(”スイッチ記録”と呼ぶ)の動作を、図28と異なる部分を中心に更に詳細に説明する。
音響光学変調素子等の光偏向器931により、ビームはメインビーム945とサブビーム946にスイッチされる偏向信号がONの時サブビーム946にスイッチされ、サブスリット932bを通り、副ストライプ934が形成される。つまり"0"の時は通常のストライプ933が形成される。"1"のデータを記録する時のみ、図29(b)のように偏向信号がONし、光偏向器931により、サブビーム946に切り替わり、サブストライプ934の位置にストライプが記録される。こうしてディスク上には(b)に示す様な"0"のストライプ933a、933bと"1"のストライプ934aが形成される。この場合、レーザの発光パルスは2t毎でよいため図28の場合に比べて半分の周波数のレーザでよい。つまり、前述のように同一の周波数のパルスレーザを用いた場合、2倍のクロックでストライプを形成できるため、生産性が2倍になるという効果がある。
次に、図34の同期符号のデータ構成を用いて、図29で説明したスイッチ記録に適したフォーマットを述べる。この同期符号のデータ構成も、生産性の向上についての工夫である。
即ち、図34(a)の固定パターンは”01000110”である。通常は0と1が同じ数の"01000111"等が一般的であるが、本発明に関連する技術の実施の形態ではあえて、このデータ構成にしている。以下に、この理由を述べる。
図29のスイッチ記録をするには、1タイムスロット、即ち1T区間に2個以上のパルスが入らない様にする。データ領域は図33(a)に示す様にPE−RZ記録のため、スイッチ記録が可能である。しかし図34(a)の同期符号はイレギュラーなチャンネルビットを配置するため、通常の方法では1Tに2ヶパルスが存在する可能性があり、この場合、本発明に関連する技術の実施の形態のスイッチ記録ができない。本発明に関連する技術の実施の形態では図37に示す様に例えば、”01000110”にしてある。従って、T1では右の1パルス、T2では0パルス、T3では右の1パルス、T4では左の1パルスが存在することになり、各タイムスロットにおいてパルスが2ヶ以上存在することはない。従って本発明に関連する技術の実施の形態の同期符号の採用によりスイッチ記録が可能となり、生産速度を2倍に向上できるという効果がある。
(b)次に、上述した方法により光ディスクに記録されたバーコードの再生装置について、生産性の向上に触れながら、図15を用いて簡単に述べる。
図15は、既に(I)で説明した再生装置のブロック図である。
前半部の(I)では、図15は、光ディスクの反射膜上に形成されたマーキングの位置を読み取るための装置として説明したが、ここでは、図15をバーコードの読み取り装置、即ち、再生装置として利用するものとして述べる。
図15において、復調動作に絞り再度説明する。ストライプの信号出力から、まずローパスフィルタ(LPFフィルタ)943により、ピットによる高周波成分が除去される。
DVDの場合T=0.13μmの最大14Tの信号が再生される可能性がある。この場合、図35(a)に示す、2次又は3次のチェビホフ形ローパスフィルタにより、ストライプの信号とピットによる高周波成分とを分離できることを実験で確認した。つまり2次以上のLPFを使えばピット信号とバーコード信号が分離でき、安定してバーコードを再生できるという効果がある。図35(b)に、14Tのピット長さの信号が連続して記録されている場合のシミュレーション波形を示す。
このように2次以上のLPF943を用いることにより、ピット再生信号をほぼ除去してストライプ再生信号を出力できるので、確実にストライプ信号を復調できるという効果がある。尚、この様にして復調したストライプ信号の幅(図36(b)では、ストライプ信号の幅が15μmであることを示している)が、マイコンのサンプリング周期の幅(図36(c)参照)tmに比べて、小さい場合は、ストライプ信号の測定が、不正確になることがある。例えば、図36(b)に示すストライプ信号の内、左側のストライプ信号は、マイコンのサンプリング周期の間に入っているので検出できない。そのため、ストライプを読み出して得られたストライプ信号の幅を、フリップフロップ回路を用いて、図36(d)に示すように、マイコンのサンプリング周期の幅tmより大きくなるように、波形成形する。図36(d)は、ストライプの幅をBwの幅まで広げた後の波形図である。そして、その波形成形された信号は、マイコンからのサンプリングパルス(図36(c)参照)により検出できるので、ストライプ信号の測定がより一層確実に行える。
次に、図15において、復調動作の説明を続ける。即ち、こうしてPE−RZ復調部942においてデジタルデータが復調される。このデータはECCデコーダ928においてエラー訂正される。デインタリーブ部928aで、インターリーブが解除され、RSデコーダ928bにおいてリードソロモン符号の演算がなされ、エラー訂正される。
ところで、ここで、生産タクトとの関連性について若干説明する。
ここで、図33(a)は、本発明に関連する技術の実施の形態におけるバーコードデータをECCエンコード化した後のデータ構成図であり、図33(b)は、n=1の場合の本発明に関連する技術の実施の形態におけるECCエンコード後のデータ構成図である。又、図33(c)は本発明に関連する技術の実施の形態におけるECCエラー訂正能力を示す図である。
本発明に関連する技術の実施の形態では図33(a)のデータ構成に示す、インターリーブとリードソロモンエラー訂正符号化が、光ディスクへのストライプの記録の時に、図1に示すように、ECCエンコーダ927を用いて行われる。従ってこのデータエラー訂正方式をとることにより、図33(c)に示すように、10ー4のエラーが発生する条件下においても光ディスクの枚数にして10の7乗枚に1枚の割合でしか、読み取りエラーは発生しない。このデータ構成は、Codeのデータ長を小さくするために4ヶの列に同じSync Codeをつけたことにより、Sync Codeの種類が1/4になり、効率が上がる。ここで、更に、図33を用いて、データ構成のスケーラビリティについて述べる。本発明に関連する技術の実施の形態では、図34(c)の例に示すように、記録容量を例えば12B(12バイト)から188Bの範囲で16B単位で任意に増減できる。データ構成のスケーラビリティは、図33(a)に示すようにn=1からn=12まで変更できる。
例えば図33(b)及び図14(a)に示すように、n=1の場合のデータ構成としては、データ行951a、b、c、dの4行があるだけで、次にECC行952a、b、c、dとなる。図14(a)は、図33(b)をより詳しく示した図である。データ行951dはEDCの4Bとなる。又、図14(b)は、このことを等価的に示した図である。即ち、図14(b)に示す様に、951eから951zまでのデータ行は、等価的に全て0が入っているものとして、エラー訂正符号のエンコード演算が行われる。EDC、ECCの演算式を図14(c)、(d)に示す。こうしたECCのエンコードが図1の記録装置のECCエンコーダ927でなされてバーコードとしてディスク上に記録される。n=1の場合12bのデータがディスク上の51度の角度に記録できる。同様にしてn=2の場合、18Bのデータが記録でき、n=12の時、271Bのデータがディスクの336度の角度範囲に記録できる。本発明に関連する技術の実施の形態では、図14(c)、(d)に示す、EDC、ECCの演算式でエンコード、デコードすることにより、データ量が小さいときは、188Bの残りのデータに0を入れたのと同じように演算され、小さな記録容量で記録される。このため、生産タクトが短縮出来る。本発明に関連する技術の実施の形態の様にレーザトリミングする場合、上述したスケーラビリティは重要な意味を持っている。即ち、レーザトリミングを工場で行う場合、生産タクトを短くすることが重要となる。1本1本トリミングするため低速の装置では、最大容量の数千本を記録するのに十秒以上必要とする。ディスクの生産に要求される生産タクトは、ディスク1枚について4秒であるので、最大容量を記録すると生産のタクトが下がってしまう。一方、本発明に関連する技術の実施の形態の用途としては、例えば、当初はDisk ID番号が主体であるので、PCA領域の容量は10B程度でよい。10B書くのに271B記録するのはレーザの加工時間が6倍に増えるので、生産コストが上がる。本発明に関連する技術の実施の形態のスケーラビリティ方式を用いることにより、生産コストと時間が削減される。
なお、図15に示す再生装置側では、ECCデコーダ928の内部において、例えば第33(b)に示すn=1の場合は、図14(b)に示す様に、データ行951eから951zまで全て0のデータが入っているとみなして、図14(c)、(d)のEDCとECCのエラー訂正演算をすることにより、同じプログラムで12bから271bのデータをエラー訂正できるという効果がある。この場合、プログラムステップ数が少なくなるため、マイコンのROM容量が少なくてよいという効果がある。
又、図36に示すようにストライプの幅を再生した場合のパルス幅を1周期の約1/2以下にとっている。ストライプの間隔として、1Tと2Tと3Tの3種類があるため、1トラック上の全てのストライプの面積の和の、1トラックの全面積にしめる比率は1/3以下になる。この工夫をすることにより、ストライプ部の反射率は、標準反射率70%のディスクで2/3、つまり約50%になり、一般のROMディスクプレーヤでもフォーカス制御ができるためPCA部を再生できるという効果がある。
(F)次に、上述したバーコードの暗号化(ディジタル署名を含む)の一例と、バーコードの他の利用方法について図を用いて説明する。
(a)先ず、ここでは、バーコードの暗号化のプロセス及び、再生時のプロセスの一例を図45を参照しながら述べる。
即ち、図45に示す様に、各光ディスクに固有のID番号4504が、ID発生部4502により生成される。それと同時に、ID署名部4503により、各ID番号に対して、特定の公開鍵と対応する特定の秘密鍵を用いてディジタル署名が行われて、そのディジタル署名の結果4505が、それぞれのID番号4504と対応させて、一連のデータとしてプレス工場4501へ送られる。このディジタル署名は、暗号エンコーダ4508において、ID番号を公開鍵系暗号関数の秘密鍵により暗号化されたものを対象として行われる。この秘密鍵に対応する公開鍵は、プレス工場4501へ送られる。プレス工場4501では、光ディスク4506のPCA領域に、上記送られてきたID番号とそれに対応するディジタル署名の結果4505とをPCAライタ4507によりバーコード記録する。又、予め原盤つまり、ピット部には、上記の公開鍵が記録されている。そして、再生装置(プレーヤー)4509では、このようにして、作成された光ディスク4506がセットされて、ピット部からは公開鍵が読み出され、PCA領域のバーコードからはID番号とそのディジタル署名の結果が暗号デコーダ4510により読み出され、公開鍵を用いて復号される。復号結果は照合部4511に送られ、判定の結果、ディジタル署名データが正しい場合は、光ディスクの再生動作を続ける。又、判定の結果、ディジタル署名データが正しくない場合は、動作を停止させる。尚、ディジタル署名データとIDの平文がPCA領域に記録されている場合は、復号結果とIDの平文とが一致しているかを照合すればよい。又、ディジタル署名データのみがPCA領域に記録されている場合は、エラーチェックを行い照合する。このように公開鍵暗号で暗号化すると、秘密鍵を持っているソフト業者しか、新たなID番号を発行できない。従って、仮に、海賊版のディスクが作られたとしても、同じ番号のIDの暗号だけがPCA領域に記録されるので、海賊版ディスクの用途が大幅に限定されるという効果がある。なぜならば、この場合、ネットワークのプロテクションをかけることにより、同じID番号のソフトの不正使用が、防止出来るからである。尚、図45で説明した上記方法は、インターネットにおいても利用出来ることはいうまでもない。
(b)次に、バーコードの他の利用方法について、別の本発明に関連する技術の実施の形態を図46を用いて説明する。
本実施の形態は、通信の際に利用する暗号化の鍵を、上記説明したバーコードとして、PCA領域に記録する例である。
即ち、図46に示す様に、プレス工場4601は、ID番号と、それに対応する暗号鍵として、公開鍵系暗号関数の公開鍵とをテーブル4602として持っている。プレス工場4601では、PCAライタ4603を用いて、光ディスク4604のPCA領域4605に対して、これらID番号と、それに対応する公開鍵が記録される。
次に、この様にして作成された光ディスク4604をユーザが購入して、それを再生する場合を説明する。例えば、光ディスクに記録された映画ソフトを見る場合が考えられる。ユーザがその光ディスク4604の映画を見るためには、システム管理センター4610に対して課金の手続きをして、それによって、再生を可能とするパスワードをもらう必要がある。
そのため、先ずユーザは、光ディスク4604をセットする。パソコン4606の通信用ソフトにより、PCA領域等が再生され、公開鍵が読み出される。ユーザにより自身のクレジットカード番号や暗唱番号が入力されると、暗号エンコーダ4607により、公開鍵で暗号化されて通信回線4620を通じて、システム管理センター4610へ送信される。システム管理センター4610では、通信部4611が、送信データから平文のID番号を読み出す。そして、通信部4611が、暗号鍵テーブル4612の中からそのID番号に対応する秘密鍵を探し出して、送信データを復号する。即ち、システム管理センター4610は、ID番号と、公開鍵に対応する秘密鍵との対応関係を示す暗号鍵テーブル4612を予め持っている。システム管理センタ4610は、その復号データの中の、ユーザのクレジットカード番号や暗唱番号に基づいて、課金を行う。それと同時に、そのユーザに対して、パスワードを発行する。このパスワードは、光ディスク4604のID番号とその光ディスク4604内の特定の映画やコンピュータソフトの番号に対応している。このパスワードを得たユーザは、そのパスワードにより、所望の映画を見たり、コンピュータソフトをインストールすることが出来る。
このように本実施の形態によれば、公開鍵を予め光ディスクにバーコードとして記録出来るので、従来のように、システム管理センターから公開鍵をユーザに別送するといった手間と時間が省けると言った効果がある。又、セキュリティーが管理されていないプレス工場に、通信鍵(公開鍵)を渡しても、セキュリティが保てる。又、ディスク毎に公開鍵を変更しているので、一枚のディスクつまり、一人のユーザのセキュリティが破られたとしても、他のユーザのセキュリティは保たれる。又、ディスク一枚毎に公開鍵が違うので、第3者が、不法発注する恐れが減少する等の効果を有する。原盤に通信用公開鍵を記録すると、第3者が不正に発注することを防止できない。図46では、通信用鍵として、公開鍵を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、秘密鍵を用いても同様の効果がある。但し、この場合は、公開鍵を用いる場合に比べて、セキュリティは少し下がる。尚、図46で説明した方法は、インターネットにおいても利用出来ることはいうまでもない。
図46で説明したネットワークを用いてパスワードでスクランブルや暗号を解除する方法を図22を用いて具体的に説明する。図22のフローチャートのステップ901aで、ディスクの中のソフトがスクランブル識別子がONかを調べ、NOの時はステップ901bへ進み、スクランブルされていなければ続行する。Yes時はステップ901bでソフトがスクランブルされていないかを調べ、Yes時は、ステップ901cでパソコンネットワークに接続しステップ901dでユーザIDとソフトIDをユーザが入力し、ステップ901eでドライブIDがある場合はステップ901fでドライブIDのデータをパスワード発行センターへ送り、入金を確認したら、ステップ901gでドライブID、ソフトIDをサブ秘密鍵を用いて暗号演算しパスワードを生成し、ユーザへパスワードを送信し、ステップ901kへ進む。ユーザのパソコンではパスワードをサブ公開鍵で演算し、ドライブIDと照合する。OKならステップ901nへ進み、ソフトのスクランブルや暗号を解除する。
次に、ステップ901eに戻りNOの時はステップ901hでディスクIDがあるかをチェックし、Yesなら、ステップ901iでディスクIDのデータをパスワード発行センターへ送る。入金を確認したら、ステップ901jでディスクIDとソフトIDをサブ秘密鍵を用いて暗号演算し、パスワードを生成する。このパスワードはユーザへ送信され、ユーザのパソコンではステップ901mでパスワードをサブ公開鍵で演算し、ディスクIDと照合する。照合がOKならステップ901nで、スクランブル解除を行う。
このように、ディスクIDを使ってネットワークでパスワード発行センターと交信することにより、ディスクの中のソフトのスクランブルや暗号を解除することができる。本発明に関連する技術の実施の形態のディスクIDの場合、1枚ごとにIDが異なるためパスワードも異なりセキュリティが高いという効果がある。図22においては暗号通信を省略したが、ステップ901iとステップ901jの間の交信に図46のようなPCAに記録された公開鍵の暗号を使い、暗号化することにより、通信するデータのセキュリティが上がる。従って、インターネットのようなセキュリティの低い通信手段でも安全に個人の課金情報を送信できるという効果がある。
以上で、前半部(I)と、後半部(II)の説明を一旦終えて、次に、前半部(I)の上記(A)〜(E)において説明した、光ディスクの製造からプレーヤ側の再生に関連する、付随的事項について説明する。
(A)低反射部の位置情報リストである低反射部アドレス表について説明する。
(a)即ち、予め工場において、海賊版防止マーク作成工程により、無作為にレーザマーキングを形成する。この様にして、形成されたレーザマーキングは、同じ形状のものは作れない。次の工程では各ディスク毎に低反射部584を上述したようにしてDVDの場合、0.13μmの分解能で測定し、図13(a)に示すような低反射部アドレス表609を作成する。ここで、図13(a)は、本発明に関連する技術の実施の形態により作成される正規のCDの低反射部アドレス表などを表した図であり、図13(b)は、CDが不正複製されたものである場合の図である。この低反射部アドレス表609を図18に示すような一方向関数で暗号化し、図2に示すように、ディスクの最内周部に、バーコード状の、反射層のない低反射部群584c〜584eを、2回目の反射層形成工程において、記録する。図18は、暗号化に用いる一方向関数によるディスク照合のフローチャートであり、図13に示すように正規のCDと不法に複製されたCDでは低反射部アドレス表609、609xが大幅に異なる。その要因の1つは、上述したように、レーザマーキングは、同じ形状のものが作れないからである。更に、ディスクにおいて予め割り当てられたセクタのアドレスが、ディスクの原盤相互間で相違することも両者が大幅に異なる第2の要因である。
即ち、ここで、図13を参照しながら、マーキングに関して、正規ディスクと海賊版ディスクとで得られる位置情報の違いを説明する。同図では、上記第1、第2の要因が重なっている場合である。又、マーキングは、ディスク上に2つ形成されている。即ち、マーク番号1のマーキングに対して、正規のCDの場合、アドレス表609に示されているように第1マークは、論理アドレスa1のセクタの中の開始点より262番目のクロックの位置にある。1クロックはDVDの場合、0.13μmであるため、この精度で測定されている。次に、海賊版CDの場合、アドレス表609xに示されているように、アドレスa2のセクタの中の81番目のクロックの位置にある。このように、第1マークの位置が正規ディスクと海賊版ディスクでは違うことから海賊版ディスクを発見することができる。同様に、第2マークの位置も異なる。この正規ディスクと位置情報を一致させるには、アドレスa1のセクタの262番目の位置の反射膜を1クロック単位つまり、0.13μmの精度で加工しないと海賊版ディスクは作動しない。
図16に示す例では、図17に示すように正規のディスクと不正複製されたディスクでは低反射部アドレス表609、609xの値が異なる。図16(8)のように正規ディスクではマーク1の次のトラックでは開始終了はm+14、m+267であるが、図16(9)のように不法複製されたディスクではm+21、m+277となり異なる。こうして図17に示すように低反射部アドレス表609、609xの値が異なり複製ディスクを判別できる。この低反射部アドレス表609をもつディスクを不法複製業者が複製する場合は、彼らは図16(8)に示すように再生クロック信号の分解能で正確にレーザトリミングを行う必要がある。
光再生信号の中のPLL再生クロック信号の波形図を表わす図である図20(5)に示すように、DVDディスクでは、再生クロックパルスの1パルスの周期Tをディスク上の距離に換算した場合、それら1パルスのディスク上の間隔は0.13μmになる。従って、不法複製するには0.1μmのサブミクロンの分解能で反射膜を除去することが要求される。確かに光ディスク用の光ヘッドを用いた場合、サブミクロンの精度でCD-Rのような記録膜に記録できる。しかし、この再生波形は図9(c)のようになり、図9(a)のような特異な波形824は反射膜を除去しない限り得られない。
(b)従ってこの反射膜をとり除く海賊版の量産方法としてはYaG等の大出力レーザを用いたレーザトリミングが1番目の方法として考えられる。現状では最も精度の高い工作用レーザトリミングの加工精度は数μmしか得られない。半導体のマスク修正用レーザトリミングにおいても1μmが加工精度の限界であるといわれている。つまり、レーザトリミングでは0.1μmの加工精度を量産レベルで達成することは難しい。
(c)二番目の方法として、現在サブミクロンの加工精度を達成しているのは、超LSIの半導体マスクの加工用のX線露光装置やイオンビーム加工装置が知られているが、非常に高額な装置で1枚あたりの加工時間も要するため、ディスク1枚毎に加工すると1枚のコストは高額なものとなる。従って、現行では殆どの正規ディスクの販売価格を上回るコストとなり、採算がとれなくなり、海賊版ディスクを作る意味がなくなってしまう。
(d)以上のように第1の方法であるレーザトリミングでは、サブミクロン加工が困難なため、海賊版ディスクの量産が困難である。又、第2の方法であるX線露光等のサブミクロン加工技術では、1枚あたりのコストがかかりすぎて、経済面で海賊版ディスクの生産が無意味となる。従って、低コストのサブミクロンの量産加工技術が実用化されるのまでの間、海賊版の複製は防止される。このような技術が実用化されるのは遠い将来のことであるので海賊版の生産は防止される。また2層ディスクの各層に低反射部を設けた場合、図47に示すように上下のピットを合わせて精度よく貼りあわせないと海賊版ディスクは複製できないため、防止効果はさらに上がる。
(B)次に、低反射部のディスク上の配置角度を所定のように特定する事項について説明する。
本発明に関連する技術の実施の形態では、反射層レベルつまり低反射部マーキングだけで充分な海賊版防止効果がある。この場合、原盤は複製品であっても防止効果がある。しかし、原盤レベルの海賊版防止技術と組み合わせることにより、さらに防止効果を高められる。低反射部のディスク上の配置角度を図13(a)の表532aと表609のように特定すると、海賊版業者は原盤の各ピットの配置角度の状態まで正確に複製する必要がある。海賊版のコストが上がるため、抑制効果がさらに上がる。
(C)ここで、2枚のディスクを貼り合わせた光ディスクにおける光学マーキング無反射部の読み取りに関する説明における、上記動作原理では、触れなかった点を中心として述べる。
即ち、図16のように開始位置のアドレス番号、フレーム番号、クロック番号が1t単位の分解能つまり、DVD規格においては一般プレーヤで0.13μmの分解能で本発明に関連する技術の実施の形態の光学マークを正確に測定できる。図16の光学マークのアドレスの読みとり方法を図20と図21に示す。図16と同じ動作原理であるため図20、図21の信号(1)(2)(3)(4)(5)の説明は省略する。
ここで、CDの場合の低反射部の位置検出原理図である図16と、DVDの場合の図20、図21との対応について述べる。
図16(5)は、図20(1)、図21(1)に対応する。図16(6)の再生クロック信号は、図20(5)、図21(5)に対応する。図16(7)のアドレス603は、図2
0(2)、図21(2)に対応する。
図16(7)のフレームSync604は、図20(4)、図21(4)に対応する。図16(8)の開始クロック番号605aは、図20(6)の再生チャンネルクロック番号に対応する。図16(7)の終了クロック番号606に代えて、図20(7)、図21(7)では6bitのマーキング長を用いてデータの圧縮を計っている。
図示するようにCDとDVDでは基本的に検出動作は同じであるが、第1の違いとして図20(6)、(7)の1bitのマークの層に示すように、低反射部が1層であるか、2層であるかの識別子が入っている点が異なる。DVDの2層の場合、上述のように防止効果が高まる。第2の違いとして線記録密度が倍近く高いため、再生クロックの1tが0.13μmと短くなり、より位置情報の検出分解能が上がり、防止効果が高い。
図20の場合、2層の反射層をもつ2層式の光ディスクを用いた場合の一層目の信号を示し、信号(1)は1層目の光学マークの開始位置を検出した状態を示す。図21は2層目の信号の状態を示す。
2層目を読み出す時は、図15の1層、2層部切換部827より焦点制御部828に切り換え信号を送り1層から2層へ焦点駆動部829により焦点を切り換える。図20からアドレス(n)であることがわかり、信号(4)のフレーム同期信号をカウンタでカウントすることにより、フレーム4にあることがわかる。信号(5)のPLL再生クロック番号がわかり、信号(6)の光学マーキング位置データが得られる。この位置データを用いて、一般の民生用DVDプレーヤで光学マークを0.13μmの分解能で測定することができる。
(D)次に、2枚のディスクを貼り合わせた光ディスクのさらに関連事項を説明する。
図21は、2層目にできた光マーキングのアドレス位置情報を示す。図7の工程で示したように、レーザ光は1層、2層を貫通させて同じ穴で開けるため、第1層の反射層802にできた無反射部815と第2反射層825にできた無反射部826とは同じ形状をしている。この状態を図47に表わした斜視図で示す。本発明に関連する技術の実施の形態では透明基板801と第2基板803を貼り合わせた後にレーザを貫通させて2層に同じマークを作成する。この場合、1層と2層はピットの座標配置が異なることと、貼り合わせ時の1層、2層間の位置関係はランダムであるため、1層と2層では各々異なるビット部にマークが形成され、全く異なる位置情報が得られる。この2つの位置情報を暗号化して海賊版防止ディスクを作成する。このディスクを不正に複製しようとした場合、各々2層の光学マークを013μm程度の精度で一致させる必要がある。前述のように0.13μmつまり0.1μmの精度で光マークで光マークとピットを一致させて複製することは現状では無理であるが、将来、低コストで0.1μmの加工精度で1層ディスクを大量にトリミングできる量産技術が実現する可能性はある。この場合でも2枚のディスクを貼り合わせた光ディスク800の場合、上下2枚のディスクが同時トリミングされるので、上下2枚のピット配置および光学マークを数μmの精度で合わせる必要がある。しかし、ポリカ基板の温度係数等によりこの精度で貼り合わせることは、不可能に近い。このため2層のディスク800にレーザを貫通させ光学マークを作成した場合、複製が著しく困難な海賊版防止マークが得られる。このため海賊版防止効果が高くなるという効果が得られる。
以上のようにして、海賊版防止処理が施された光ディスクが完成する。この場合、海賊版防止用途の場合、単板のようにディスク工程とレーザカット工程が分離できない場合、レーザカット工程と一体となった暗号化工程及び暗号の秘密鍵の処理はディスク工場の中で行うことになる。つまり、単板方式はソフト会社のもつ暗号用の秘密鍵をディスク工場に渡す必要があり、暗号の機密性が大幅に低下する。これに対し、本発明に関連する技術の実施の形態の1つの対応である貼り合わせディスクにレーザ加工する方式はレーザトリミングがディスク製造工程とは完全に分離できる。従って、ソフトメーカーの工場でもレーザトリミングと暗号化作業が行なえる。ディスク工場にソフトメーカーがもつ暗号の秘密鍵を渡す必要がなく、暗号の秘密鍵がソフトメーカーの外部に出ないため、暗号の機密性が大幅に向上する。
(E)以上述べたことから明らかなように、本発明に関連する技術の実施の形態では正規業者は数十μmの加工精度の汎用のレーザトリミング装置で加工すれば、正規のディスクが作れる。測定精度には0.13μmが要求されるが、これは民生用のDVDプレーヤーの一般的な回路で測定できる。この測定結果を暗号の秘密鍵で暗号化することにより正規ディスクが生産できる。つまり、正規業者は秘密鍵と0.13μmの測定精度の測定器のみが要求され、要求される加工精度は2〜3桁悪い数十μmである。従って、一般のレーザ加工装置でよい。一方、海賊版業者は、秘密鍵をもっていないため、正規ディスクの暗号をそのままコピーせざるを得ない。この暗号の位置情報つまり、正規ディスクの位置情報に対応した物理マークを0.13μmの加工精度で加工する必要がある。つまり正規業者の加工機より2桁高い加工精度の加工機で低反射部マークを作成する必要がある。この2桁高い加工精度つまり、0.1μmの精度による量産は技術的にも経済的にも近い将来を考えても困難である。このため、海賊版ディスクはDVD規格存続中は防止されることになる。つまり、本発明に関連する技術の実施の形態の一つのポイントは一般的に測定精度が加工精度より数桁高いことを利用している点にある。
以上のことはCLVの場合、前述のように原盤のアドレスの座標配置が異なることを利用している。図48に実際のCDのアドレスの位置について測定した結果を示す。一般に、ディスク原盤は、一定回転数つまり等角速度(CAV)でモータを回転させて記録されたものと、一定の線速度つまり等線速度(CLV)でディスクを回転させて記録されたものの2種類がある。CAVディスクの場合、論理アドレスは所定の角度上に配置されるため、論理アドレスと原盤上の物理的配置角度は何度原盤を作成しても全く同じである。しかし、CLVディスクの場合、線速度しか制御しないため、論理アドレスの原盤上の配置角度はランダムになる。図48の実際のCDの論理アドレスの配置測定結果に示すように、全く同じデータを原盤作成装置で記録しても、トラッキングピッチや開始点や線速度が毎回微妙に違い、この誤差が累積されるため、物理的配置が異なる。図48では、第1回目に作成した原盤の各論理アドレスのディスク上の配置を白丸で示し、第2回目、第3回目に作成して原盤の配置を黒丸、三角で示す。このように原盤を作成する毎に論理アドレスの物理配置がことなることがわかる。尚、図17は、正規のディスクと不正複製されたディスクの低反射部アドレス表の比較図である。
以上、原盤レベルの防止方式を述べた。これは、同じ論理データから原盤作成装置を用いてCDやDVDのようなCLV記録の原盤を作成した場合、図48に示すように、正規ディスクと海賊版ディスクでは、各ピットの原盤上の物理的配置が原盤毎に異なる。この点に着目して正規ディスクと海賊版ディスクの識別を行うものである。原盤レベルの海賊版防止技術は単純に正規ディスクのデータのみを複写した論理レベルの海賊版を防止できる。しかし、最近ではより高度の技術をもつ海賊版業者が登場し、正規ディスクのポリカ基板を溶かすことにより、正規ディスクと全く同じ物理形状のレプリカの原盤を作成することが可能となっている。この場合、原盤レベルの海賊版防止方式は破られてしまう。この新たな海賊版ディスクの生産を防止するため、本発明に関連する技術の実施の形態では反射膜にマーキングする反射層レベルの海賊版防止方式を考案した。
さらに、本発明に関連する技術の実施の形態の方法では、上述のように、例え原盤が同じでも、原盤を用いて成形されたディスク一枚毎に反射膜作成工程で反射膜を一部除去することによりマーキングを作成する。従って、ディスク毎に低反射部マーキングの位置や形状が異なる。サブミクロンの精度で正確に反射膜を部分的に削除することは、通常工程では不可能に近い。従って本発明に関連する技術の実施の形態のディスクを複製することは経済的に成立しないため、複製防止の効果は高い。
尚、図19に低反射部アドレス表による複製CDの検出フローチャート図を示す。再生装置の光ヘッドや回路等の設計により、光マークの検出に要する遅延時間が、ごくわずかであるが異なる。この回路遅延時間TDは設計時点もしくは量産時点で、予測できる。光マークはフレーム同期信号からのクロック数つまり時間を測定して位置情報を得る。このためこの回路遅延時間の影響により、光マークの位置情報の検出データに誤差が生じる。すると正規のディスクまで海賊版ディスクであると判定してしまい正規の使用者に迷惑を与える。そこで、回路遅延時間TDの影響を軽減する工夫を述べる。又、ディスクの購入後についた傷により、再生クロック信号が途切れるため光マークの位置情報の測定値に数クロックの誤差が生じることから、これについての対策として、ディスクに図20の許容誤差866と合格回数867を記録し、再生時における測定値の許容誤差を実状に応じて認めるとともに、合格回数867に達した時点で、再生を許可することによりディスクの表面の傷による誤差の許容範囲をディスクの出荷時に著作権者がコントロールできる工夫を図19を用いて説明する。
即ち、図19において、ステップ865aでディスクを再生して、本発明に関連する技術の実施の形態のバーコード記録部もしくはピット記録部より暗号化された位置情報を入手する。ステップ865bで復号もしくは署名検証を行い、ステップ865cで光マークの位置情報リストを得る。次に再生回路の遅延時間TDが再生装置の図15の回路遅延時間記憶部608aの中に入っている場合はステップ865hより、TDを読み出し、ステップ865xへ進む。TDが再生装置にない時、もしくはディスクに測定命令が記録されている時は、ステップ865dに進み回路遅延時間TDの測定ルーチンに入る。アドレスns−1を検知すると次のアドレスnsの開始位置がわかる。フレーム同期信号と再生クロックをカウントし、ステップ865fで基準の光マークを検知する。ステップ865gで回路遅延時間TDを測定し、記憶する。なお、この動作は図16(7)を用いて後述する動作と同じである。ステップ865x、865i、865j、865k、865mにおいて、アドレスnmの中にある光マークを測定する。ステッブ865i,865j,865k,865mにおいてはステップ865d,865y,865f,865yと同様にして、光マークの位置情報をクロック単位の分解能で検出する。次にステップ865nで、海賊版ディスクの検知ルーチンに入る。まず、回路遅延時間TDを補正する。ステップ865pで、図20に示すディスクに記録されている許容誤差866つまりtaと合格回数867を読み出し、ステップ865gで測定した位置情報が許容誤差taの範囲に収まっているかを照合する。ステップ865rでこの結果がOKなら、ステップ865sで、照合したマーク数が合格回数に達したかをチェックし、OKならステップ865uで正規ディスクと判別し、再生を許可する。まだ、合格回数に達していない場合はステップ865zへ戻る。ステップ865rでNOの場合は、ステップ865tで誤検出回数がNaより少ないかをチェックしOKの場合のみ、ステップ865sへ戻る。OKでない時は、ステップ865vで不正ディスクと判定して停止する。
以上のようにして、再生装置の回路遅延時間TDをICのROM内に記録してあるので、より正確に光マークの位置情報が得られる。又、ディスクのソフト毎に許容誤差866と合格回数を設定することにより購入後のディスクについた傷に対して、実態に合わせて海賊版ディスクの判定基準を変更できるので、正規ディスクを誤判別する確率が低くなるという効果がある。
上記実施の形態で説明したように、従来の原盤レベルの物理マークに代わるものとして、ディスクの反射膜のプリピット領域に物理マークを設ける反射膜レベルの物理マークによる海賊版防止方式を提供することにより、原盤レベルで複製されても海賊版が防止できる。
上記実施の形態では、2枚貼り合わせ光ディスクにレーザで二次記録する新しい光ディスク記録手段を用いた。まず、第1ステップでランダムに物理マークを作成し、次に第2ステップで0.13μm幅の高い測定精度で、物理マークを測定した。第3ステップでこ
の位置情報を暗号化して上記二次記録手段を用いて光ディスクに数十μm、つまり通常の加工精度でバーコード記録した。こうして通常の装置の加工精度をよりはるかに高い精度、例えば0.1μmの光マーク位置情報が得られた。市販の加工光マークをこの0.1μmの精度で加工することはできないため海賊版の製造が防止出来る。
上記実施の形態では、本発明に関連する技術の実施の形態のディスク毎に異なる海賊版防止マークの位置情報をディスク識別子として用いた。位置情報とディスクのシリアル番号、つまりディスクIDを合成して、デジタル署名暗号化して、それをバーコード化してプリピット領域の所定領域に重ね書きすることにより、改ざんできないディスクIDを一枚毎に付与する。完成ディスク1枚毎にIDが異なるため、パスワードも異なる。従って、他のディスクでは、このパスワードは動作しないため、パスワードセキュリティが向上する。また、本発明に関連する技術の実施の形態の二次記録により、パスワードをディスクに二次記録することによりそのディスクは永久に動作可能となる。
尚、前半部(I)において、バーコードの一利用態様として、ディスクの海賊版の防止技術にバーコードを利用する場合を中心に述べた。この場合、図2に示す様に、プリピット領域の特定領域(ストライプ領域とも言う)に重ね書きされたバーコード(ストライプ)584c〜584eにより、その特定領域でのトラッキングは乱される。そのため、図2に示すように、バーコード584c〜584eを記録する特定領域に、レーザ光によるマーキング584が形成されていると、マーキングのアドレス・クロック位置を正確に測定することが難しくなる。従って図39に示すように、ストライプ領域923aの半径位置とは別の半径位置のピット領域941aに、マーキング941を形成することにより、マーキング941の位置を、図20(5)で示したようにクロック単位で安定して測定できる。このため、より安定して海賊版の判別ができるという効果がある。
またこの場合、図39に示すように数トラックしか、破壊しないピンホールのマーキングを形成することにより、エラーを増やさないことと同時に、現行の規格の範囲内で海賊盤防止が実現するという効果がある。
尚、上記マーキング941を、図30で示したガードバンド領域999に記録するようにしてもよい。上記ガードバンド領域999には、アドレスのみが記録されていて、データが記録されていないため、上記マーキング941の記録により、他のデータが破壊されるという不具合が生じないという効果がある。
又、本発明に関連する技術の実施の形態の、レーザにより消滅しない材料からなる2つの部材により反射膜が直接又は間接的に挟まれた構造を備えたディスクであって、その反射膜にレーザによりマーキングが施されていることを特徴とする光ディスクは、上記実施の形態では、バーコードのような二次記録や海賊版防止技術に利用した場合について説明したが、これに限らずその他の技術に応用してももちろんよい。又、本発明に関連する技術の実施の形態のこの光ディスクは、上記実施の形態では、接着層を間に設けて2枚の基板を貼り合わせたディスクについて説明したが、これに限らず接着層は無くてもよいし、あるいは、保護層の様な他の部材が存在してもよく、要するに、レーザにより消滅しない材料からなる2つの部材により反射膜が直接又は間接的に挟まれた構造であればよい。更に又、本発明に関連する技術の実施の形態のこの光ディスクは、上記実施の形態では、貼り合わせるものとして、基板を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば保護層等他の部材であってもよく、要するにレーザにより消滅しない材料からなる部材であればよい。
以上、本発明及び本発明に関連する技術の実施の形態は、例えば、ディスク固有のIDなどをバーコード化して、通常のピット領域に重ね書きすることにより、同一の光ピックアップを用いて、ピットデータとバーコードデータを読むことが出来るので、例えば、再生装置側の構造がより簡単になるといった効果を発揮する。
また、マーキングの位置情報をディスク固有のIDとしてバーコード化する場合は、海賊版などの不正な複製の防止能力を従来に比べてより一層向上させることが出来るという効果を発揮する。即ち、従来の海賊版防止技術は、ディスクの金型を作成する際に、例えば、ピットの配列をわざと蛇行させる等の方法が取られていた。この様な従来のやり方では、正規に作られた光ディスクから、金型の形状をそっくりうつしとることにより、容易に海賊版を作ることが出来た。しかしながら、上述した様に、反射膜にレーザ光によりマーキングが形成され、且つその位置情報がバーコード化されているので、両者の内容を一致させることは出来ない。そのため、上述した効果を発揮する。