JP4424176B2 - 高周波加速装置及び環状加速器システム - Google Patents

高周波加速装置及び環状加速器システム Download PDF

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Description

本発明は、高周波加速装置及び環状加速器システムに関する。
イオンビームを高エネルギーに加速する環状加速器システムは、前段加速器、及び前段加速器から出射される荷電粒子ビームであるイオンビームをさらに加速する環状加速器
(シンクロトロン)を有する。この環状加速器システムは、科学研究や医療応用,産業応用など様々な分野に利用される。環状加速器の真空ダクト内部を周回するイオンビームは、周回軌道上に設置された高周波加速空胴を通過する度に高周波加速空胴からエネルギーを与えられ、必要なエネルギーになるまで加速される。
イオンビームを周回軌道に沿って安定に周回させるためには、高周波加速空胴に印加する高周波周波数とイオンビームの周回周波数を精度良く同期させる必要がある。イオンの質量は電子の質量よりもはるかに大きいため、イオンビームの周回周波数は、電子ビームとは異なり加速中に大きく変化する。同調型の高周波加速装置は、高周波加速空胴の共振周波数を、変化するイオンビームの周回周波数と一致させる。そのためには、磁性体コアにバイアス磁場を印加するなどして高周波加速空胴のインダクタンスを変え、共振周波数を精度良く制御する必要がある。それに対し、非同調型の高周波加速装置は、高周波加速空胴のQ値を下げて周波数帯域を広帯域化することで、煩雑な共振周波数の制御を不要としており、イオンビーム加速に適している。
従来の非同調型の高周波加速装置は、特許文献1の図6に記述されている。この高周波加速装置は、外導体を備え、一対の内導体を外導体内に挿入し、それぞれの内導体を取り囲む複数の磁性体コアを外導体内に配置している。給電ループが、該当する磁性体コアの孔部内を貫通して設けられている。更に、高周波加速装置は、高周波電力発生装置から出力された高周波電力(後述の高周波信号に相当)を分配する分配器、及び分配器から増幅器を介して個々の給電ループに別々に接続され、分配された高周波電力を該当する給電ループに供給する複数の電力伝送路を設けている。特許文献1の図6に示された高周波加速装置は、複数の磁性体コア毎に個々の電力伝送路によって高周波電力を供給するため、個々の電力伝送路の増幅器側から見た負荷インピーダンスを、増幅器の出力インピーダンスと同程度にすることができるため、電力利用効率が良い。なお、特許文献1の図9には、1つの給電ループが複数の磁性体コアの孔部を貫通して設けることが示されている。
特許文献1に記載された高周波加速装置は、磁性体コアを空冷するタイプである。磁性体コアを空冷するタイプの高周波加速装置は、給電ループに大電力の高周波信号を投入することができない。
これに対し、非特許文献2の図2に示された高周波加速装置は、一対の磁性体コアの間に金属板を挟み、それぞれの磁性体コアを金属板に設置した構成を有する。このタイプの高周波加速装置は、磁性体コアが金属板で冷却されるため、大電力の高周波信号を投入することが可能になる。
特開平8−213198号公報 "RF Accelerating System for A Compact Ion Synchrotron", K. Saito, et, al., PAC’01 proceedings "The VITROVAC cavity for the TERA/PIMMS medical synchrotron", M.Crescenti, et, al., Proceedings of EPAC 2000, Vienna, Austria, P1951-1953
非特許文献2に記載された高周波加速装置は、金属板の設置により前述したように大電力の高周波信号を投入することが可能になる。しかしながら、この高周波加速装置は、真空管増幅器を用いており、半導体増幅器と比較して保守性,運転信頼性が低くなる。また、給電ループは、一対の内導体により形成される加速間隙に接続されている。よって、真空管増幅器に替えて運転信頼性の高い半導体増幅器を適用すると、給電ループ一つ当りに鎖交する負荷と半導体増幅器出力インピーダンスの整合性が悪いため、電力の利用効率が悪くなる。これらの問題を解消するために、発明者らは種々の検討を行った。その結果、非特許文献2のその問題を解決する案として、非特許文献2に記載された金属板の両側面に磁性体コアをそれぞれ設置する構成と、プッシュプル回路の構成とを組み合わせて、後述の図1に示す実施例の構成から給電ループと金属板を電気的に接続するという構成を除いた高周波加速装置を考え付いた。この構成において、1つの給電ループの両端にそれぞれ接続される高周波増幅器のうちの1つが故障した場合に、高周波信号を加速空胴に供給することができなくなるという新たな課題が生じることを、発明者等は新たに見出した。
本発明の目的は、給電ループの両端にそれぞれ接続された高周波増幅装置のうちの一方が故障した場合であっても高周波信号が供給できる高周波加速装置及び環状加速器システムを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の特徴は、外導体内に配置されて外導体に電気的に接続された金属板と、外導体内に配置されて内導体を取り囲み、金属板にそれぞれ設置されて金属板を間に挟んでいる2つの環状磁性体と、及び両方の環状磁性体の孔部を貫通して配置され、金属板に電気的に接続される給電ループとを有する高周波加速空胴と、
第1高周波信号を給電ループの一端に供給する第1高周波増幅装置と、第1高周波信号と位相が実質的に180°異なる第2高周波信号を給電ループの他端に供給する第2高周波増幅装置とを有する高周波信号供給装置とを備えたことにある。
環状磁性体の孔部を貫通して配置された給電ループが、2つの環状磁性体に挟まれてそれらの環状磁性体に取り付けられた金属板に電気的に接続されているため、給電ループに接続される第1高周波増幅装置及び第2高周波増幅装置のうちの一方が、万が一、故障した場合であっても、正常な他方の高周波増幅装置を通して給電ループに高周波信号の供給が継続して行われる。すなわち、正常な他方の高周波増幅装置,給電ループ及び金属板に高周波信号が流れ続ける。したがって、給電ループの両端にそれぞれ接続された高周波増幅装置が正常な場合に比べて供給される高周波電力が減少するが、その給電ループに高周波信号を供給し続けることができ、高周波増幅装置の故障の影響を最小限に抑えることができる。すなわち、1つの給電ループに印加される高周波信号の電圧の減少幅は、故障した1つの高周波増幅装置によって印加されていた高周波信号の電圧分だけとなる。このため、環状加速器内を周回する荷電粒子ビームのロスは、1つの高周波増幅装置の故障による印加電圧の減少の範囲に抑えることができる。
好ましくは、環状磁性体一個当りのインピーダンスを、第1高周波増幅装置または第2高周波増幅装置の出力インピーダンスの0.6倍以上で1.6倍以下にすることが望ましい。
環状磁性体一個当りのインピーダンスを、第1高周波増幅装置または第2高周波増幅装置の出力インピーダンスの0.6倍以上で1.6倍以下にすることによって、第1高周波信号を給電ループの一端に供給でき、第1高周波信号と位相が実質的に180°異なる第2高周波信号を給電ループの他端に供給できる構成において、高周波増幅装置の出力インピーダンスと環状磁性体インピーダンスを同程度にすることができる。このため、インピーダンス整合手段を別途設けることなく高周波加速空胴のインピーダンスを高周波増幅装置の出力インピーダンスに整合させることができる。したがって、効率の良い高周波信号の供給が可能である。
給電ループの両端にそれぞれ接続された高周波増幅装置のうちの一方が、万が一、故障した場合であっても、給電ループに高周波信号を供給することができ、環状加速器内を周回する荷電粒子ビームのロスは、1つの高周波増幅装置の故障による印加電圧の減少の範囲に抑えることができる。
本発明の好適な一実施例である環状加速器システムを、図2を用いて説明する。本実施例の環状加速器システムは、線形加速器である前段加速器18,環状加速器(シンクロトロン)17及び照射装置24を備えている。環状加速器17は、入射器19,偏向電磁石20,4極電磁石21,高周波加速装置22,高周波印加装置23及び出射用偏向器24を備える。前段加速器18で加速されたイオンビームは、入射器19より環状加速器17に入射される。このイオンビームは、高周波加速装置22により、所定のエネルギーまで加速される。所定のエネルギーまで加速されたイオンビームは、高周波印加装置23に高周波を印加することによって、安定限界外に移動して出射用偏向器24より出射される。出射されたイオンビームは、治療室内に設置された照射装置25より、図示されていないベッドに横たわっている患者の患部に照射される。
環状加速器17に設置された高周波加速装置22を、図1を用いて具体的に説明する。高周波加速装置22は、高周波加速空胴1及び高周波信号供給装置26を備えている。
高周波加速空胴1は、内導体4(導電性のケーシング),外導体(導電性のケーシング)5,環状の複数の磁性体コア6及び給電ループ11を有している。加速間隙2を間に挟んで配置され、内部にイオンビームの通路を有する一対の内導体4が、外導体5を貫通して外導体5に設置される。一対の内導体4は、加速間隙2を間に挟んで対向している。加速間隙2を真空封止する絶縁部材3が、それぞれの内導体4の端部に設置される。一対の磁性体コア6がそれぞれの内導体4を取り囲んで配置される。換言すれば、それぞれの内導体4は、一対の磁性体コア6内に挿入されている。
磁性体コア6は、図3に示すように、軟磁性合金製の薄いテープ状磁性体6Aを、薄い絶縁体6Bに重ねた状態で巻いて構成される。絶縁体6Bは、磁性体コア6において、高周波特性を良くするため、テープ状磁性体6Aの層間に位置している。絶縁体6Bは、例えばSiO2 で構成される。
環状の金属板16が、一対の磁性体コア6、すなわち磁性体コア6aと磁性体コア6bの間に配置され、磁性体コア6a,6bに取り付けられる。金属板16は、厚さが5〜
10mmほどであり、冷媒流路(図示せず)を有し、磁性体コア6a,6bの冷却板を兼ねている。金属板16は、磁性体コア6a,6bの冷却効率を高めるために磁性体コア6a,6bに直接接合する。このとき、冷媒は磁性体コア6a,6bと直接接していてもよいが、軟磁性合金を腐食させないために冷媒としてシリコン油などを用いる。
磁性体コア6a,6bを金属板16の両側面に直接接合する場合には、磁性体コア6a,6bのそれぞれの側面が金属板16によって短絡されるため、高周波特性が若干低下する。そこで、金属板と磁性体コアとの間の熱伝導性が低下するが、金属板16と磁性体コア6a,6bとのそれぞれの間に、ポリイミドシート及びエポキシ樹脂などの絶縁部材を配置してもよい。
給電ループ11は、内導体4の外側で、1つの金属板16に取り付けられた一対の磁性体コア6a,6b及びその金属板16に形成された孔部を貫通して配置される。給電ループ11は、そのループの中点で、金属板16の、内導体4と対向する面と電気的に接続されている。給電ループの中点とは、後述する2つのフィールドスルー部12の間に配置された給電ループ11の長さの半分の位置である。換言すれば、その中点は、給電ループ
11の、外導体5内に配置された部分の長さの半分の位置である。
金属板16は、外導体5に直接取り付けられて接地される。金属板16は、外導体5と電気的に接続されている。そのように金属板16を接地電位とする場合は、図示していないが、外導体5付近に設けられる冷媒供給用の配管の継ぎ手部分で絶縁を考える必要がないため、冷却構造を簡略化できる。外導体5に取り付けられた金属板16は、磁性体コア6の支持部材として機能する。
高周波加速空胴1は、1つの金属板16、この金属板16を間に挟んでこの金属板16の両側面に設置される2つの磁性体コア6を1つの磁性体モジュールとし、複数の磁性体モジュールを備えている。本実施例では、一方の内導体4を取り囲んで磁性体モジュール27aが配置され、他方の内導体4を取り囲んで磁性体モジュール27bが配置されている。磁性体モジュールは、2組でなく、それ以上設けても良い。
高周波信号供給装置26は、高周波発振器(高周波源)8,高周波増幅器13a,13b、及び分配器14,15a,15bを備えている。給電ループ11の一端は、外導体5に形成された1つのフィールドスルー部12で同軸ケーブル10aに接続される。この給電ループ11は、一方の内導体4の周囲を取り囲む磁性体モジュール27aの2つの磁性体コア6a,6bの孔部を貫通している。同軸ケーブル10aは、高周波増幅器13aを介して分配器(分配装置)15aに接続される。給電ループ11の他端は、外導体5に形成された他のフィールドスルー部12で同軸ケーブル10bに接続される。同軸ケーブル
10bは、高周波増幅器13bを介して分配器15bに接続される。
他方の内導体4を取り囲んで配置された他の磁性体モジュール27bの一対の磁性体コア6の各孔部を貫通する給電ループ11も、同様に、一端が同軸ケーブル10aにより高周波増幅器13aを介して分配器15aに接続され、他端が同軸ケーブル10bにより高周波増幅器13bを介して分配器15bに接続される。高周波増幅器13a,13bは、出力インピーダンス50Ωの半導体増幅器を用いている。分配器15a,15bは、分配器(分配装置)14を介して高周波発振器8に接続される。
磁性体コア一個当りのインピーダンスは、高周波増幅器13a,13bの出力インピーダンスの0.6倍以上で1.6倍以下となっている。
本実施例の高周波加速装置22の等価回路が図4に示される。図4中のLp は1つの磁性体コア6当りの並列インダクタンスであり、Rp は1つの磁性体コア6当りの並列抵抗である。Cは加速間隙2の等価的な静電容量である。図4において一点鎖線で囲まれた領域は、磁性体コア6a,6b、これらの孔部を貫通する給電ループ11、及び給電ループ11に接続される高周波増幅器13a,13bを含む等価回路を表している。この等価回路中の静電容量は全てCに含まれているものとする。この等価回路はプッシュプル回路である。このとき、1つの給電ループ11が貫通する一対の磁性体コア6の合計のインピーダンスを高周波増幅器の出力インピーダンスの倍程度とすることによって、特別な整合手段を用いることなくインピーダンス整合ができ、効率の良い高周波信号の供給が可能となる。本実施例では、使用周波数帯域においてVSWR(電圧定在波比)が2以下となるように、磁性体コア一個当りのインピーダンスを、高周波増幅器13a,13bの出力インピーダンスの0.6倍以上かつ1.6倍以下としている。例えば、磁性体コア6一つ当りのインピーダンスを、半導体増幅器の出力インピーダンス50Ωに対して30〜80Ωに設定する。
高周波加速装置22を用いて、環状加速器17内のイオンビームを加速するときには、高周波発振器8で生成された高周波信号が、分配器14に供給される。分配器14は、図1に示すように、位相が180°異なる2つの高周波信号に分けられる。一方の高周波信号が、分配器15A及び高周波増幅器13aを介して給電ループ11の一端に供給される。一方の高周波信号と位相が180°異なる他方の高周波信号が、分配器15B及び高周波増幅器13bを介して給電ループ11の他端に供給される。このようにして、給電ループ11には、位相が180°異なる高周波信号が供給されることになる。
給電ループ11はその中点で金属板16に接続されていない場合には、万が一、一つの給電ループ11に接続される高周波増幅器13a,13bのうち一方の高周波増幅器が故障した場合、給電ループ11に高周波電流が流れなくなるため、正常な残りの高周波増幅器も使用不能となる。しかしながら、給電ループ11の中点が金属板16に接続されている本実施例では、高周波増幅器13a,13bのうち一方が故障しても、高周波電流は正常な高周波増幅器に連なる給電ループ11と接地された金属板16で形成されるループを介して流れ続ける。したがって、正常な高周波増幅器の動作は、故障したもう一方の高周波増幅器の影響を受けることがない。よって、1つの高周波増幅器の故障前の半分ではあるが、正常な高周波増幅器を介して磁性体コア6に高周波信号を供給し続けることができ、故障の影響を最小限に抑えることができる。すなわち、1つの給電ループ11に印加される高周波信号の電圧の減少幅は、故障した1つの高周波増幅器によって印加されていた高周波信号の電圧分だけとなる。このため、環状加速器17内を周回するイオンビームのロスは、1つの高周波増幅器の故障による印加電圧の減少の範囲に抑えることができる。
上記したように間に挟まれるように金属板16に2つの磁性体コア6を設置した状態で、それぞれの磁性体コア6の孔部に給電ループ11を貫通させた場合には、金属板16と給電ループ11からなる閉ループがそれぞれの磁性体コア6に鎖交している限り、給電ループ11の、中点以外の部分と金属板16を電気的に接続しても良い。これにより、それぞれの磁性体コア6を取り巻く、給電ループ11の一端から金属板16に至る1つの電気回路、及び給電ループ11の他端から金属板16に至るもう1つの電気回路が形成される。このため、給電ループ11の、中点以外の部分と金属板16を電気的に接続した場合には、給電ループ11の中点と金属板16を電気的に接続した本実施例で得られる上記の効果を得ることができる。
給電ループ11の中点と金属板16を電気的に接続した本実施例では、上記した効果以外に、以下の効果を生じる。すなわち、給電ループ11の中点と金属板16を電気的に接続した場合には、磁性体コア6一枚当りにおける、その孔部を貫通する給電ループのインダクタンスと静電容量が等しくなるため、給電ループ11側から見た負荷インピーダンスのバラツキが抑えられる。その結果、給電ループ11の、中点以外の部分と金属板16を電気的に接続した場合に比べて、高周波加速空胴1内の電磁場分布の対象性がより良くなり、高周波加速空胴1によるイオンビームの加速効率が更に向上する。
本実施例は、磁性体コア6一個当りのインピーダンスを、高周波増幅器13aまたは高周波増幅器13bの出力インピーダンスの0.6倍以上で1.6倍以下にすることによって、給電ループ11の両端に、高周波増幅器13a,13bを含むプッシュプル回路を接続して位相が180°異なる高周波信号をそれぞれ供給できる構成の適用において、高周波増幅器の出力インピーダンスと磁性体コアインピーダンスを同程度にすることができる。このため、マッチングトランスなどのインピーダンス整合手段を用いることなく高周波加速空胴1のインピーダンスを高周波増幅器の出力インピーダンスに整合させることができる。よって、磁性体コア6に高周波信号を効率よく供給することが可能となる。さらに、高周波増幅器として、電子管増幅器と比較して、動作安定性が高い半導体増幅器を用いることで、メンテナンス性及び運転信頼性を向上できる。プッシュプル回路の形成によって、従来技術と比較して半導体増幅器から出力される高周波信号の高調波歪が小さくなる利点も有する。
本実施例では、磁性体コア6が冷媒流路を有する金属板16により効果的に冷却されているため、大きな高周波信号を供給することができ、高い加速勾配を得ることができる。よって、従来技術よりも磁性体コア6の設置数が少なくてよく、高周波加速空胴1を小型化することができる。換言すれば、高周波加速空胴1の小型化のために磁性体コア6の設置数を減らし、大電力の高周波信号を供給することにより磁性体コア6の発熱密度が上昇した場合であっても、磁性体コア6を効果的に冷却することができる。よって、高周波加速空胴1はより高い加速電場を発生できる。冷媒流路を有する金属板16は、磁性体コア6の冷却装置として機能する。
現在、半導体増幅器の高周波出力は、周波数帯域1〜10MHzでは最大で数KWであるが、将来、より大電力の高周波信号の出力が得られる半導体増幅器が開発された場合には本実施例は有効である。無論、半導体増幅器に替えて、電子管増幅器を使用する場合も本実施例は有効である。
一方の高周波増幅器が故障した場合、給電ループ11が貫通する磁性体コア6のインピーダンスは50Ω程度であるから、インピーダンス整合もなされる。2つの高周波増幅器13a,13bの両方が故障していない場合は、それらの高周波増幅器13a,13bが、電流,電圧振幅が等しくて位相が180°異なる高周波信号を供給しているため、金属板16に流れる高周波電流はキャンセルされる。よって、故障のない場合も、プッシュプル回路が形成されてインピーダンス整合がなされ、磁性体コア6への効率の良い高周波信号の供給が可能となる。
磁性体コアを支持する金属板を接地することによって、冷媒流路を電気的に絶縁するための絶縁カラー等が必要がなくなり、高周波加速装置の構造を更に簡略化することができる。
高周波加速装置22を適用することで、高周波信号を効率良く磁性体コア6に供給でき、従来技術よりも高い加速勾配を得ることができるようになる。したがって、高周波加速装置を小型化でき、環状加速器システムの小型化が達成できる。あるいは、従来技術よりも高い間隙電圧を発生させて、より大きな強度のイオンビームを加速することができる。
本発明の好適な一実施例である環状加速器システムに適用される高周波加速装置の構成図である。 本発明の好適な一実施例である環状加速器システムの構成図である。 図1に示す磁性体コアの詳細構成図である。 図1に示す高周波加速装置の等価回路を示す説明図である。
符号の説明
1…高周波加速空胴、2…加速間隙、3…絶縁部材、4…内導体、5…外導体、6,
6a,6b…磁性体コア、8…高周波発振器(高周波源)、11…給電ループ、13a,13b…高周波増幅器、14,15a,15b…分配器、16…金属板、17…環状加速器、18…前段加速器、22…高周波加速装置、23…高周波印加装置、25…照射装置、26…高周波信号供給装置、27a,27b…磁性体モジュール。

Claims (9)

  1. 外導体と、前記外導体を貫通して設けられて内部を前記荷電粒子ビームが通過し、間隙を挟んで対向する一対の内導体と、前記外導体内に配置されて前記外導体に電気的に接続された金属板と、前記外導体内に配置されて前記内導体を取り囲み、前記金属板にそれぞれ設置されて前記金属板を間に挟んでいる2つの環状磁性体と、及び両方の前記環状磁性体の孔部を貫通して配置され、前記金属板に電気的に接続される給電ループとを有する高周波加速空胴と、
    第1高周波信号を前記給電ループの一端に供給する第1高周波増幅装置と、前記第1高周波信号と位相が実質的に180°異なる第2高周波信号を前記給電ループの他端に供給する第2高周波増幅装置とを有する高周波信号供給装置とを備えたことを特徴とする高周波加速装置。
  2. 外導体と、前記外導体を貫通して設けられて内部を前記荷電粒子ビームが通過し、間隙を挟んで対向する一対の内導体と、前記外導体内に配置されて前記外導体に電気的に接続された金属板と、前記外導体内に配置されて前記内導体を取り囲み、前記金属板にそれぞれ設置されて前記金属板を間に挟んでいる2つの環状磁性体と、及び両方の前記環状磁性体の孔部を貫通して配置され、前記金属板に電気的に接続される給電ループとを有する高周波加速空胴と、
    高周波信号を出力する高周波発振装置と、前記高周波信号を、第1高周波信号とこの第1高周波信号と位相が実質的に180°異なる第2高周波信号とに分配する分配装置と、前記第1高周波信号を前記給電ループの一端に供給する第1高周波増幅装置と、前記第2高周波信号を前記給電ループの他端に供給する第2高周波増幅装置とを有する高周波信号供給装置とを備えたことを特徴とする高周波加速装置。
  3. 前記給電ループは、前記金属板の、前記内導体と対向している面に電気的に接続されている請求項1または請求項2記載の高周波加速装置。
  4. 前記外導体内に配置された前記給電ループの中点が、前記内導体と対向している前記面に接続される請求項3記載の高周波加速装置。
  5. 前記環状磁性体一個当りのインピーダンスが前記第1高周波増幅装置または前記第2高周波増幅装置の出力インピーダンスの0.6倍以上で1.6倍以下である請求項1または請求項2記載の高周波加速装置。
  6. 前記金属板は前記環状磁性体の冷却装置である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の高周波加速装置。
  7. 前記第1高周波増幅装置及び前記第2高周波増幅装置は半導体増幅装置である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の高周波加速装置。
  8. 前記環状磁性体が絶縁部材を介して前記金属板に設置されている請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の高周波加速装置。
  9. 前段加速器と、前記前段加速器から出射された荷電粒子ビームを入射する環状加速器と、前記環状加速器で加速された前記荷電粒子ビームが導かれる照射装置と、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載された高周波加速装置とを備えたことを特徴とする環状加速器システム。
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