JP4397010B2 - 防護構造物の衝撃試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、防護構造物に落下物を衝突させてこの防護構造物の性能及び/又は挙動を試験する防護構造物の衝撃試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
静的な荷重を構造物に作用させてこの構造物を試験する静的載荷試験と、構造物に動的な荷重を作用させてこの構造物を試験する動的載荷試験(衝撃載荷試験)とが知られている。一般に、落石などから対象物を防護する防護柵又は防護壁などには衝撃力が作用するために、防護柵などに作用する衝撃力の挙動を把握する場合には、静的載荷試験では得られる情報に限界があり衝撃載荷試験が必要になる。
【0003】
例えば、自然斜面の上方から岩塊を転落させて自然斜面の下方に設置した防護柵などに衝突させる衝撃試験装置(従来技術1)や、ワイヤロープなどを介してクレーンに吊り下げた重錘又は岩塊を振り子のように落下させて解放し防護柵などに衝突させる衝撃試験装置(従来技術2)や、クレーンなどによって重錘又は岩塊を所定の高さまで引き上げた後に自由落下させて防護柵などに衝突させる衝撃試験装置(従来技術3)や、自然斜面に設置した支柱に索道を張り、この索道に取り付けた滑車などによって岩塊を滑り落とした後に自由落下させて防護柵などに衝突させる衝撃試験装置(従来技術4)が知られている。
【0004】
図9は、従来の衝撃試験装置の外観図であり、図9(A)は正面図であり、図9(B)はIX-IXB線で切断した状態を示す断面図である。
図9(A)に示す衝撃試験装置(従来技術5)101は、自然斜面102上の平坦面103に構築された櫓104と、この自然斜面102の中央部と櫓104の上部との間に設置されたシュート105とから構成されている。この衝撃試験装置101では、図9(B)に示す円筒形のコンクリート製の重錘106がシュート105と自然斜面102とを転落して、図9(A)に示す防護柵107に衝突する。このシュート105には、図9(B)に示すように、重錘106が転がる傾斜路105aと、重錘106が傾斜路105aから脱落しないようにこの重錘106をガイドする側面ガイド105b,105cとが形成されている。傾斜路105aの幅は、大きさが異なる数種類の重錘106が転がるように、この重錘106の長さよりも広く設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような衝撃試験装置では、重錘や岩塊を防護柵などに衝突させるときに、所定の大きさの衝撃力を所定の位置に作用させて防護柵などの性能を評価する必要がある。このために、防護柵などに作用する衝撃力にばらつきがあると、防護柵などの性能を客観的に評価することができない。
【0006】
例えば、従来技術1では、自然斜面を転落する岩塊の動きが複雑であり岩塊の落下経路が定まらず、防護柵などに岩塊が衝突する位置を制御することができなかった。従来技術2では、重錘や岩塊をワイヤーロープから解放するために複雑な構造の治具が必要になるとともに、クレーンに加わる荷重が解放時に急激に低下したり、大きな重錘や岩塊を吊り下げたり引き上げるときに、クレーンが倒れる危険性があった。従来技術3では、落下物が真上から落下するために、実際の設置方向とは異なる水平方向に防護柵などを設置する必要があり、防護柵などの評価が難しくなるとともに、直立した岩壁が必要になり試験場に制約が多かった。従来技術4では、岩塊が滑り落ちるときに左右に振れて落下経路が定まらず衝突位置を一定にすることが困難であり、自然斜面に支柱を立てたり索道を張る手間がかかり装置が大掛かりになっていた。
【0007】
また、従来技術5では、重錘106の両端部と側面ガイド105b,105cとの間に間隙があるために、側面ガイド105b,105cに重錘106が衝突しながら転落して落下経路が定まらず、防護柵107の所定の位置に所定の大きさの衝撃力を繰り返し作用させることが困難であった。特に、重錘106が防護柵107に衝突する直前では自然斜面102を転落するために、落下経路を特定して落下方向を制御することが困難であった。その結果、防護柵107に作用する衝撃力にばらつきが生じ再現性が低く、防護柵107の性能や挙動を客観的に評価することができなかった。また、従来技術5では、防護柵107に作用する衝撃力を変更するときには、櫓104を崩して組み替えたり嵩上げして重錘106の落下開始位置を変更する必要があり、重錘106の落下高さを任意の高さに変更することが困難であった。その結果、衝撃力を変更するためには、大きさの異なる数種類の重錘106を用意する必要があり手間がかかっていた。
【0008】
この発明の課題は、防護構造物に衝撃力を繰り返し再現性よく作用させることができる防護構造物の衝撃試験装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、防護構造物(2)に落下物(3)を衝突させてこの防護構造物の性能及び/又は挙動を試験する防護構造物の衝撃試験装置であって、前記防護構造物に向けて前記落下物を案内する案内部(8a)を有する傾斜路(8)と、前記落下物の落下開始位置を任意の位置に設定する位置設定部(11,12)とを備え、前記案内部は、前記落下物の落下経路を所定の経路に特定し、前記位置設定部は、前記傾斜路の任意の位置に設けられ、この傾斜路の一部を構成する傾斜面(11b,12b)と、前記傾斜面の下側に設けられ、前記落下物を載せる積載面(11a,12a)とを備え、前記傾斜面は、前記積載面から前記落下物を落下させるときには前記傾斜路から取り外され、前記積載面から前記落下物を落下させないときには前記傾斜路に装着されることを特徴とする防護構造物の衝撃試験装置である。
【0010】
請求項2の発明は、防護構造物(2)に落下物(3)を衝突させてこの防護構造物の性能及び/又は挙動を試験する防護構造物の衝撃試験装置であって、前記防護構造物に向けて前記落下物を案内する案内部(8a)を有する傾斜路(8)と、前記落下物の落下開始位置を任意の位置に設定する位置設定部(14)とを備え、前記案内部は、前記落下物の落下経路を所定の経路に特定し、前記位置設定部は、前記傾斜路の任意の位置に着脱可能な台座(14a)と、前記台座に設けられ、前記落下物を載せる積載面(14b)と、前記積載面から前記傾斜路に前記落下物を導く誘導路(14c)とを有することを特徴とする防護構造物の衝撃試験装置である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、前記案内部は、前記落下物が略球状の重錘であるときに、この重錘が二点支持された状態で転がるようにこの重錘を案内することを特徴としている防護構造物の衝撃試験装置である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、前記傾斜路から前記防護構造物に前記落下物が任意の角度で衝突するように、この傾斜路の角度を緩和する緩和曲線部(9)を備えることを特徴とする防護構造物の衝撃試験装置である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、前記案内部は、前記傾斜路の幅方向に所定の間隔を開けて、この傾斜路の長さ方向に沿って形成された複数の溝であることを特徴とする防護構造物の衝撃試験装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の側面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の平面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における傾斜路の断面図である。
【0016】
図1及び図2に示す衝撃試験装置1は、防護構造物2に落下物3を衝突させてこの防護構造物2の性能及び/又は挙動を試験する装置である。防護構造物2は、鉄道、道路、住宅又は宅地などを落石などから防護する防護柵などの試験対象物である。落下物3は、防護構造物2に衝突して衝撃力を作用させる物体である。落下物3は、例えば、コンクリート製の略球状の重錘(重り)である。衝撃試験装置1は、図1及び図2に示すように、防護構造物2を設置する架台4と、地表面に敷設された敷鉄板5と、この敷鉄板5上に構築されており作業用通路6a,6bを備える足場6と、この足場6上に構築された鋼材7と、この鋼材7上に敷設された傾斜路8と、この傾斜路8に連続する緩和曲線部9と、落下物3を載せる積載面10と、傾斜路8に構築された位置設定部11,12などから構成されている。
【0017】
傾斜路8は、防護構造物2に向けて落下物3を案内する案内部8aを有する斜面である。傾斜路8は、図2に示すように、長さ方向に沿って複数の溝が形成された波形鋼板(スラブプレート)であり、この波形鋼板を複数並べた状態で鋼材7上に固定されている。傾斜路8の傾斜角度は、例えば30度程度の所定の勾配に設定されている。
【0018】
案内部8aは、落下物3の落下経路を所定の経路に特定する部分である。案内部8aは、図3に示すように、落下物3が二点支持された状態で転がるようにこの落下物3を案内する。この第1実施形態では、傾斜路8の幅方向に所定の間隔を開けて案内部8aが5本形成されている。案内部8aは、底面部8bと、傾斜側面部8c,8dと、上側角部8e,8fなどが形成された断面が台形状の溝であり、上側角部8e,8fに沿って落下物3が転がり接触するようにこの落下物3を案内する。案内部8aの深さh及び幅wは、数種類の直径D1 ,D2 の落下物3を落下させるときに、これらの落下物3が上側角部8e,8fの二点のみで点接触し、底面部8b及び傾斜側面部8c,8dとは接触しないような大きさに設定されている。この第1実施形態では、落下物3が直径800mmの球体であるときに、この球体の下端と底面部8bとの間に8mmの間隙部が形成される。
【0019】
図1及び図2に示す緩和曲線部9は、傾斜路8から防護構造物2に落下物3が任意の角度で衝突するように、この傾斜路8の角度を緩和する部分である。緩和曲線部9は、傾斜路8の一部を構成するようにこの傾斜路8の下端部に連続して構築されており、傾斜路8と同様な複数の溝が形成された波形鋼板である。緩和曲線部9は、傾斜角度が徐々に緩くなるように、波形鋼板の高さを変えて複数並べた状態で敷鉄板5上に構築されている。この第1実施形態では、図1に示すように、防護構造物2に対して落下物3が水平方向に射出して衝突するように、傾斜角度を徐々に変えて長さ1m程度の波形鋼板を約6mの間に複数並べている。
【0020】
積載面10は、傾斜路8の上段の落下開始位置となる部分である。積載面10は、足場6の最上部に敷設された平坦な板材や鋼材などであり、積載面10の端部は傾斜路8の上端部と接触している。積載面10には、作業用通路6a,6bが接続されている。
【0021】
位置設定部11,12は、落下物3の落下開始位置を任意の位置に設定する部分である。図1及び図2に示すように、位置設定部11,12は、傾斜路8の任意の位置に設けられており、位置設定部11は傾斜路8の中段の落下開始位置となる部分であり、位置設定部12は傾斜路8の下段の落下開始位置となる部分である。位置設定部11,12は、図1に示すように、積載面11a,12aと、傾斜面11b,12bと、高さ調整部材11c,12cなどから構成されている。位置設定部11,12は、いずれも同一構造であり、以下では位置設定部11側の部材を説明し、位置設定部12側の部材については対応する符号を付して説明を省略する。
【0022】
図4は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における位置設定部の側面図である。図5は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における位置設定部の正面図である。
積載面11aは、落下物3を載せる平坦面である。図4及び図5に示すように、積載面11aは、傾斜面11bの下側に設けられており、積載面11aの先端面は傾斜路8の端面と接触している。積載面11aは、鋼材7上に敷設された板材や鋼材などである。傾斜面11bは、傾斜路8の一部を構成する部材である。傾斜面11bは、傾斜路8の任意の位置に設けられており、案内部8aと同一構造の溝を備える波形鋼板である。傾斜面11bは、積載面11aから落下物3を落下させるときには傾斜路8から取り外され、積載面11aから落下物3を落下させないときには傾斜路8に装着される。図1及び図4に示す高さ調整部材11cは、積載面11aの傾斜角度を調整するときに、足場6と鋼材7との間に挟み込むスペーサである。
【0023】
図4及び図5に示す位置決め装置13は、案内部8aに落下物3を位置決めする装置である。位置決め装置13は、所定の間隔を開けて平行に配置された一対のガイド部材13a,13bと、このガイド部材13a,13bに連結されたストッパ部材13cなどから構成されている。ガイド部材13a,13bは、落下物3が案内部8aに誘導されるように落下物3をガイドし、ストッパ部材13cは落下物3が脱落するのを防止する。位置決め装置13は、積載面10,11a,12a上に設置される。
【0024】
次に、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の動作を説明する。
(落下開始位置が上段である場合)
図1及び図2に示すように、位置決め装置13によって積載面10の所定の位置に落下物3が位置決めされて案内部8aに誘導されると、落下物3が案内部8aに沿って転がり落ちて緩和曲線部9に導かれる。緩和曲線部9を落下物3が転がり落ちると落下物3の移動方向が水平方向に徐々に変更される。そして、緩和曲線9の終端部から防護構造物2に向けて落下物3が射出し、防護構造物2に水平方向から落下物3が衝突する。このときに、図3に示すように、上側角部8e,8fが落下物3を案内するために、移動方向と交差する方向に落下物3が振れたり脱落することがなく、所定の落下経路に沿って落下物3が案内される。上側角部8e,8fを落下物3が二点支持された状態で転がり落ちるために、落下物3に作用する摩擦力が略一定になり、防護構造物2に衝突する直前の落下物3の射出速度も略一定になる。
【0025】
(落下開始位置が中段又は下段である場合)
図4に示すように、落下開始位置を中段に設定する場合には、傾斜面11bを傾斜路8から取り外す。そして、位置決め装置13によって積載面11aに落下物3が位置決めされて案内部8aに誘導されると、落下物3が案内部8aに沿って転がり落ちる。落下開始位置を中段から上段に変更するときには、傾斜面11bが傾斜路8に装着されて、この傾斜面11b上を落下物3が通過可能になる。落下開始位置を下段に設定する場合にも同様な手順が行われる。
【0026】
【実施例】
次に、この発明の実施例について説明する。
図1及び図2に示す下段、中段及び上段の3段階の落下開始位置から落下物3を複数回落下させる落下実験によって、防護構造物2に衝突する直前の落下物3の速度v(m/s)、摩擦係数μ及び残存係数αを測定した。この落下実験では、下段の落下開始位置の高さh=7.076(m)、中段の落下開始位置の高さh=11.276(m)、上段の落下開始位置の高さh=15.253(m)であり、落下回数は下段が2回、中段が7回、上段が4回である。表1は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における落下実験結果を示す表である。
【0027】
【表1】
【0028】
ここで、表1に示す残存係数αは、衝撃試験装置1を使用して落下物3を落下させた場合の実測値と、落下物3を自由落下させた場合の理論値との相関関係を示す係数である。残存係数αは、落下物3と案内部8aとの間に作用する摩擦力などによって影響される値であり、理論値に対して速度がどれだけ減衰したかを表している。表1に示すように、下段、中段及び上段の3段階に落下開始位置を変えて落下物3を落下させたが、速度vのばらつきは少なかった。
【0029】
図6は、この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における落下高さと落下速度との関係を示すグラフである。
図6に示す点線は、数1に示すように、落下物3を自由落下させた場合の落下高さhと速度vとの関係を示す曲線であり、この曲線は残存係数α=1の場合の理論値を示す。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、重力加速度g=9.8(m/s2 )である。図6に示す実線は、数2に示すように、残存係数αを考慮した場合の落下高さhと速度vとの関係を示す曲線であり、この曲線は残存係数α=0.81の場合の計算値を示す。また、図6に示すデータは、表1に示す速度vの実測値である。
【0032】
【数2】
【0033】
図6に示すように、速度vの実測値は、残存係数α=0.81の曲線の近傍に分布しており、落下高さhと速度vとの関係は残存係数α=0.81の場合の曲線と略一致すると考えられる。その結果、落下物3と案内部8aとの間に発生する摩擦力が略均一であり、落下時の運動エネルギーの損失が少なく、落下運動も安定していると考えられる。また、落下高さhが分かれば速度vを予測可能となり、この予測値のばらつきも小さいと考えられる。
【0034】
この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、防護構造物2に向けて落下物3を案内する案内部8aを傾斜路8が有し、この案内部8aが落下物3の落下経路を所定の経路に特定する。その結果、落下物3の落下方向を衝突直前まで制御できるために、略均一な大きさの衝撃力を防護構造物2の所定の位置に繰り返し作用させて、防護構造物2の性能や挙動を客観的に評価することができる。
【0035】
(2) この第1実施形態では、落下物3が略球状の重錘であるときに、この重錘が二点支持された状態で転がるようにこの重錘を案内部8aが案内する。例えば、図9に示す従来技術5では、円筒状の重錘106と傾斜路105aとの接触面積が大きく、重錘106の落下経路が定まらず重錘106の端面と側面ガイド105b,105cとが接触して、重錘106とシュート105との間の摩擦力が大きくなる。その結果、従来技術5では、重錘106の落下速度が低下するとともに摩擦による運動エネルギーの損失が大きくなるために、大型の重錘106を製造して大きな衝撃力を防護柵107に作用させる必要がある。一方、この第1実施形態では、落下物3と案内部8aとの間の摩擦力が小さく、落下物3の落下速度にばらつきが少ないために、比較的小型の落下物3によって防護構造物2に衝撃力を効率的に作用させることができる。
【0036】
(3) この第1実施形態では、落下物3の落下開始位置を位置設定部11,12が任意の位置に設定する。このために、防護構造物2に作用させる衝撃力(載荷エネルギー)の大きさを任意に制御することができるとともに、衝撃力を簡単に変化させて防護構造物2を様々な条件で試験することができる。
【0037】
(4) この第1実施形態では、傾斜路8の一部を構成する傾斜面11b,12bの下側に落下物3を載せる積載面11a,12aを設けるとともに、積載面11a,12aから落下物3を落下させるときには傾斜路8から傾斜面11b,12bが取り外され、積載面11a,12aから落下物3を落下させないときには傾斜路8に傾斜面11b,12bが装着される。その結果、傾斜面11b,12bを傾斜路8から取り外すだけで落下開始位置を簡単に変更したり、傾斜面11b,12bを傾斜路8に装着して落下経路として支障なく使用することができる。
【0038】
(5) この第1実施形態では、傾斜路8から防護構造物2に落下物3が任意の角度で衝突するように、緩和曲線部9が傾斜路8の角度を緩和する。その結果、防護構造物2に対して落下物3を水平方向や斜め方向から衝突させて、防護構造物2の性能や挙動を様々な条件で試験することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図7は、この発明の第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の側面図である。図8は、この発明の第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の平面図である。以下では、図1〜図3に示す部材と同一の部材は同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
この第2実施形態は、図1〜図5に示す位置設定部11,12を位置設定部14に変更した実施形態である。位置設定部14は、図7及び図8に示すように、台座14aと、積載面14bと、誘導路14cなどから構成されている。台座14aは、傾斜路8の任意の位置に着脱可能な架台である。台座14aは、鋼材などによって構築されており、図示しない固定装置によって傾斜路8に着脱自在に設置されている。積載面14bは、落下物3を載せる平坦面であり、台座14aの上側に敷設された板材や鋼材などである。誘導路14cは、積載面14bから傾斜路8に落下物3を導く部分である。誘導路14cは、図8に示すように、傾斜路8と同様な波形鋼板が湾曲した状態で台座14aに固定されており、案内部8aと同一構造の溝を備えている。
【0041】
次に、この発明の第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の動作を説明する。
図7及び図8に示すように、傾斜路8に台座14aを装着した後に、位置決め装置13によって積載面14bの所定の位置に落下物3が位置決めされて誘導路14cに誘導される。その結果、落下物3が誘導路14cに沿って転がり落ちて傾斜路8に導かれる。落下開始位置を変更するときには傾斜路8から台座14aが取り外されて、台座14aが搬送されて傾斜路8の任意の位置に装着される。
【0042】
この第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、傾斜路8の任意の位置に着脱可能な台座14aに、落下物3を載せる積載面14bを設け、この積載面14bから傾斜路8に誘導路14cが落下物3を導く。その結果、第1実施形態の位置設定部11,12に比べて落下開始位置を自由に設定して、落下速度を細かく制御することができる。
【0043】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、防護構造物2として防護柵を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、落石などから対象物を防護する落石止柵、落石防止網、落石防止壁、落石止擁壁又は落石覆いなどの落石防護工や、雪崩から対象物を防護する雪崩止柵、雪崩止擁壁、雪崩覆い又は雪崩誘導工などの防護構造物についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、複数個の落下物3を同時に又は間隔を開けて傾斜路8に連続して落下させて、防護構造物2の同一個所に連続して衝突させてもよいし、同一又は異なる大きさの落下物3を傾斜路8の幅方向に並べて、防護構造物2の異なる個所に衝突させてもよい。
【0044】
(2) この実施形態では、略球状の落下物3を例に挙げて説明したが、立方体や多角形の重錘や落石などを搭載したスライダを案内部8aに沿って滑らせてもよい。また、この実施形態では、傾斜角度を30度に設定しているが任意の傾斜角度で構築してもよい。さらに、この実施形態では、平地に足場6を立てて傾斜路8を構築しているが、自然斜面上に傾斜路8を構築してもよいし、傾斜路8を軽量足場材によって直接支持してもよい。
【0045】
(3) この実施形態では、位置設定部11,12,14を例に挙げて説明したが、傾斜路8に進退自在のストッパ部材を設置して落下開始位置を任意の位置に設定してもよい。また、この実施形態では、落下開始位置を3段に設定しているが段数はこれに限定するものではなく、位置設定部11,12と位置設定部14とを一つの傾斜路8に設置してもよい。さらに、この実施形態では、緩和曲線部9によって落下物3を水平に射出しているが、緩和曲線部9の曲率半径を任意に設定可能な構造にして落下物3を斜め方向に射出させてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によると、防護構造物に向けて落下物を案内する案内部を傾斜路が有し、落下物の落下経路を所定の経路に案内部が特定するので、防護構造物に衝撃力を繰り返し再現性よく作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の側面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の平面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における傾斜路の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における位置設定部の側面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における位置設定部の正面図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置における落下高さと落下速度との関係を示すグラフである。
【図7】この発明の第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の側面図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る防護構造物の衝撃試験装置の平面図である。
【図9】従来の衝撃試験装置の外観図であり、(A)は正面図であり、(B)はIX-IXB線で切断した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 衝撃試験装置
2 防護構造物
3 落下物(重錘)
8 傾斜路
8a 案内部
8e,8f 上側角部
9 緩和曲線部
11,12 位置設定部
11a,12a 積載面
11b,12b 傾斜面
14 位置設定部
14a 台座
14b 積載面
14c 誘導路
Claims (5)
- 防護構造物に落下物を衝突させてこの防護構造物の性能及び/又は挙動を試験する防護構造物の衝撃試験装置であって、
前記防護構造物に向けて前記落下物を案内する案内部を有する傾斜路と、
前記落下物の落下開始位置を任意の位置に設定する位置設定部とを備え、
前記案内部は、前記落下物の落下経路を所定の経路に特定し、
前記位置設定部は、
前記傾斜路の任意の位置に設けられ、この傾斜路の一部を構成する傾斜面と、
前記傾斜面の下側に設けられ、前記落下物を載せる積載面とを備え、
前記傾斜面は、前記積載面から前記落下物を落下させるときには前記傾斜路から取り外され、前記積載面から前記落下物を落下させないときには前記傾斜路に装着されること、
を特徴とする防護構造物の衝撃試験装置。 - 防護構造物に落下物を衝突させてこの防護構造物の性能及び/又は挙動を試験する防護構造物の衝撃試験装置であって、
前記防護構造物に向けて前記落下物を案内する案内部を有する傾斜路と、
前記落下物の落下開始位置を任意の位置に設定する位置設定部とを備え、
前記案内部は、前記落下物の落下経路を所定の経路に特定し、
前記位置設定部は、
前記傾斜路の任意の位置に着脱可能な台座と、
前記台座に設けられ、前記落下物を載せる積載面と、
前記積載面から前記傾斜路に前記落下物を導く誘導路とを有すること、
を特徴とする防護構造物の衝撃試験装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、
前記案内部は、前記落下物が略球状の重錘であるときに、この重錘が二点支持された状態で転がるようにこの重錘を案内すること、
を特徴とする防護構造物の衝撃試験装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、
前記傾斜路から前記防護構造物に前記落下物が任意の角度で衝突するように、この傾斜路の角度を緩和する緩和曲線部を備えること、
を特徴とする防護構造物の衝撃試験装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の防護構造物の衝撃試験装置において、
前記案内部は、前記傾斜路の幅方向に所定の間隔を開けて、この傾斜路の長さ方向に沿って形成された複数の溝であること、
を特徴とする防護構造物の衝撃試験装置。
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