JP4394382B2 - 紙用塗工剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙用塗工剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙の中でも、主に段ボール等の包装材料に使われる板紙は、高い圧縮強度が求められる。高い圧縮強度を実現するためには、バージンパルプを大量に使うという方法があるが、バージンパルプの使用はコストを上昇させてしまうために、低価格に抑えられがちな包装材料用には採用され難い。また、紙の主な原料である古紙は安価ではあるが、最近の資源再利用の進展から、含まれるパルプ繊維の繊維長が短くなってきており、古紙を使った紙の圧縮強度は低下の傾向にある。
【0003】
この問題を解決し、安価でかつ高い圧縮強度を有する板紙を得る方法として、圧縮強度を向上させる塗工剤を用いる方法がある。
【0004】
このような塗工剤として、高分子多糖類を用いる方法が一般的に行われている。この高分子多糖類を紙に塗工するためには、加熱して糊化する必要がある。しかし、この糊化物は分子量が30万〜200万と高いため、高濃度にすると粘度が高くなってしまう。そのため、塗工可能な粘度にするためにはかなり低濃度にする必要があり、十分な圧縮強度を得ることが困難な場合が多かった。この点を改良するため、上記高分子多糖類である澱粉を酸分解等により低分子量化、低粘度化して用いる方法が、特許文献1に記載されている。
【0005】
また別の塗工剤として、珪酸アルカリ金属塩を板紙に塗布し、圧縮強度等の紙力を向上させる方法が、特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−26494号公報
【特許文献2】
特開昭59−27706号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法で、粘度を下げるために上記高分子多糖類を低分子量にしようとしても、低分子量にしすぎると、紙力の向上効果そのものがほとんど望めないため、ある程度高い分子量のものを使わなければならなかった。例えば、澱粉の完全加水分解物であるブドウ糖には紙力の向上効果はまったく見られない。結果として、得られる塗工剤はある程度の粘度を有することになるので、高濃度で塗工しようとすると高粘度であるために塗工が困難となる場合があった。そのため、低濃度で塗工しなければならず、水分が増える分、乾燥負荷が高くなり、乾燥に余分な時間を要することになるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の方法で、珪酸アルカリ金属塩を板紙に塗工又は含浸させると、紙力を向上させることはできるものの、乾燥させた後の紙が硬くごわつくようになってしまい、段形成不良、貼合不良を生じることがあった。また、珪酸アルカリ金属塩はpHが高いため、塗工後に紙焼けが生じて紙の白色度が低下したり、多湿時に水分を多く含んで著しく強度が劣化することもあった。
【0009】
そこでこの発明は、紙の強度を向上させるための塗工剤として、紙焼けを生じさせたり、紙をごわつかせたりすることがなく、また、高濃度で使用出来て、塗工後の乾燥負荷が小さい塗工剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、平均重合度が2〜15である糖と、珪酸アルカリ金属塩とを含有する紙用塗工剤を製造することによって上記の問題を解決したのである。
【0011】
珪酸アルカリ金属塩と併用することで、分子量の低い糖であっても、紙用塗工剤として用いることができるようになる。また、糖の分子量が低い分、粘度を低く抑えることができるので、濃度を高めても塗工することができる。これにより、添加する水を減らせるので、乾燥負荷を下げることができる。
【0012】
また、珪酸アルカリ金属塩を紙用塗工剤として用いたときに現れる紙のごわつきは、糖の含有量が増えるとともに無くなっていく。さらに、塗工剤全体に占める珪酸アルカリ金属塩の含有率が下がることによって、塗工剤のpHが低下するため、塗工後の紙に紙焼けが生じにくくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳細に説明する。
この発明にかかる紙用塗工剤は、平均重合度が2〜15である糖と、珪酸アルカリ金属塩とを含有するものである。
【0014】
上記の平均重合度が2〜15である糖とは、単糖類が平均2〜15個縮合した糖をいう。この単糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、エリスロース、グリセロース、フルクトース等が挙げられる。
【0015】
上記平均重合度が2未満であると、単糖類そのままである分子が多くなり、圧縮強度の向上等の紙用塗工剤としての効果を十分に発揮できない可能性が高くなる。一方で平均重合度が15を越えると、得られる糖の水溶液の粘度が高くなる。この粘度の高い水溶液を紙に塗工しても、紙への浸透性が悪いため、圧縮強度を向上する効果が得られない。このため、紙に塗工する前に塗工濃度を下げる必要があり、塗工できる量に限界を生じてしまい、得られる紙の圧縮強度も限定的なものとなってしまう。また、塗工濃度が低いために、水の添加量が多くなり、これを紙に塗工したときに乾燥負荷が大きくなるので、乾燥しにくくなる。
【0016】
上記の平均重合度が2〜15である糖の具体例としては、麦芽糖、ショ糖、果糖、乳糖、セロビオース、セルロース分解物、キトサン分解物、澱粉糖等が挙げられ、中でも澱粉糖がより望ましい。この澱粉糖とは、澱粉を酸や酵素で加水分解した低重合度の糖のことをいい、この場合においては、平均重合度が2〜15のものが用いられる。この澱粉糖の例としては、水飴などが挙げられる。また、上記澱粉としては、例えば、コーン、タピオカ、小麦、サゴ等の澱粉を挙げることができる。
【0017】
上記珪酸アルカリ金属塩は、下記式(2)で示される化合物である。
M2 O・nSiO2 (2)
上記式(2)中のMは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示している。また、nは0.5〜4の実数範囲であるものが実存しており、一般に市販されている。この中でも、上記紙用塗工剤に用いる化合物としては珪酸ナトリウムがより望ましい。珪酸ナトリウムは下記式(3)で表され、式(3)中、mは0.5〜4があり得るものであり、2〜4の範囲にあればより望ましい。Na2 O・mSiO2 (3)
【0018】
上記糖と上記珪酸アルカリ金属塩との混合比率は、重量比で95:5〜40:60であることが望ましく、より望ましくは90:10〜60:40である。95:5よりも珪酸アルカリ金属塩の量が少ないと、その効果が小さく、一方で、40:60よりも上記珪酸アルカリ金属塩が増加すると、上記紙用塗工剤のpHが高くなったり、紙焼けや紙のごわつき等、上記珪酸アルカリ金属塩による弊害が強く現れることがある。
【0019】
この発明にかかる紙用塗工剤を紙に塗工することにより、強化紙が得られる。この塗工方法としては、例えば、刷毛やコーティング機等による塗布、浸漬、スプレー等の方法が挙げられる。上記紙としては、例えば、ライナーや中しん等のダンボール用板紙、洋紙、あるいは、白板紙、チップボール等の紙器用板紙や、紙管原紙等が挙げられる。これらの中でも、特に強度を要求される板紙に用いると効果的な強化板紙を得ることができる。
【0020】
上記の糖及び珪酸アルカリ金属塩を塗工する処理に際して、酸や金属塩を併用してもよい。従来より、珪酸ナトリウムを漏水防止剤として使用する場合に、珪酸ナトリウムに酸や金属塩を加えて、硬いゲルを得ると同時に、ゲル化する反応時間を短縮することが知られているが、この発明においては、上記の糖及び珪酸アルカリ金属塩の混合溶液に、酸や金属塩を混合する場合、ゲル化する速度が遅いものでなればならない。この目的に沿った酸や金属塩等の添加剤としては、例えば、ホウ酸が挙げられる。
【0021】
さらに、裂断長等の、圧縮強度以外の紙力を増強させるために、上記の糖及び珪酸アルカリ金属塩や、酸や、金属塩以外に、紙用塗工剤に、紙添加用薬剤を添加したり、増量剤として填料を添加したりしてもよい。
【0022】
上記の紙用塗工剤に加える紙添加用薬剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、スチレン・アクリル共重合系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン系樹脂、エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂等の合成樹脂や、澱粉、カチオン変性澱粉、アセチル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉等の変性澱粉、グアーガム、カルボキシメチルセルロース等の天然高分子、ジルコニウム化合物、グリオキサール、多価アルコール付加物、多価カルボニル付加物、環状アミド化合物等の架橋剤等が挙げられる。
【0023】
上記填料としては、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0024】
この発明による紙用塗工剤は、平均重合度が低く、かつ弱アルカリ性であるため、紙への浸透性が良好である。この紙用塗工剤により得られる強化紙は、紙の表面だけではなく紙の内部にまで上記紙用塗工剤が存在し得る。そのため、紙力が増強され、特に圧縮強度がより増強される。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明する。まず、測定方法及び評価方法について示す。
【0026】
[塗工量測定方法]
得られた紙用塗工剤を塗工した紙を絶乾して坪量(g/m2 )を測定し、使用した原紙の絶乾坪量との差を求め、塗工量(g/m2 )を算出した。
【0027】
[圧縮強度・比圧縮強度測定方法]
JIS P 8126の方法に従って圧縮強度(N)を測定し、さらに、得られた圧縮強度を坪量(g/m2 )で割り、比圧縮強度(N・m2 /g)を算出した。
【0028】
[引張強度・裂断長測定方法]
JIS P 8116に記載の方法に従って、引張強度(kN/m)を測定し、坪量の影響を除去するため、引張強度(kN/m)を(坪量×9.81÷1000)で割り、裂断長(km)を算出した。
【0029】
[吸水性測定方法]
JAPAN TAPPI No.32−2に記載の方法に従って、10μlの蒸留水を吸収する時間を測定した。
【0030】
[平均重合度測定方法]
Somogyi−Nelson法に従って、末端基の定量を行い、フェノール硫酸法により全糖量の定量を行った。また、全糖量/末端基量より平均重合度を算出した。
【0031】
[粘度測定方法]
(株)トキメック製BH型回転粘度計を用いて、20rpmでのNo.1のローターを用い、各濃度における23℃での粘度を測定した(単位:mPa・s)。
【0032】
[ごわつき評価方法]
手触りによりごわつきを下記の基準で評価した。
良い:○
普通:△
悪い:×
【0033】
[紙焼け評価方法]
目視により、原紙に比して紙の色がどれほど濃くなっているかを下記の基準で評価した。
原紙と同じ色:○
原紙よりやや濃い色:△
原紙に比べて非常に濃い色:×
【0034】
[澱粉糖と珪酸ナトリウムとによる塗工剤]
(実施例1〜6)
平均重合度が4.31である澱粉糖(日本コーンスターチ(株)製:K.D.L−N75)を10重量%となるように水で希釈した液と、JIS K 1408に定める1号珪酸ナトリウム水溶液(ナカライテスク(株)製:試薬 表中「珪酸Na」と略す。)を水に10重量%となるように希釈させた珪酸ナトリウム水溶液とを、それぞれ95:5、90:10、80:20、70:30、60:40、40:60の割合で混合して塗工剤を得た。これに段ボール用中しん(レンゴー(株)製:坪量 115g/m2 )を30秒間浸漬させ、塗工量が表1に示すように塗工剤を塗工した。
【0035】
浸漬後の紙に吸水濾紙(アドバンテック東洋(株)製:No.26−WA)を1分間当てて余分な水分を除去した後、回転型乾燥器(ジャポー(株)製:L−3D)により130℃の温度環境で、3分間乾燥させた。得られた紙を、その後1日間に渡って、それぞれ、23℃、50%R.H.の環境、又は、23℃、75%R.H.の環境で調湿した。調湿後の、坪量、圧縮強度(比圧縮強度)、引張強度(裂断長)を上記の方法により測定した。また、23℃、50%R.H.で調湿したものについて、吸水性を測定し、ごわつきと紙焼けとを評価した。それらの結果を表1に示す。
【0036】
(比較例1)
実施例1〜6の方法において、塗工剤に珪酸ナトリウム水溶液のみ(0:100)を用い、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
(比較例2)
実施例1〜6の方法において、塗工剤に澱粉糖を希釈させた液のみ(100:0)を用い、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0038】
[塗工剤無し]
(比較例3)
塗工剤を用いず、段ボール用中しん(レンゴー(株)製: 坪量115g/m2 )そのままについて、実施例1〜6と同様に測定、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
[グルコースと珪酸ナトリウムとによる塗工剤]
(比較例4〜7)
実施例1〜6の方法において、それぞれ、澱粉糖の代わりにグルコース(ナカライテスク(株)製:試薬 重合度1)を用いて、それぞれ、グルコースを希釈させた液のみ(比較例4)、グルコースを希釈させた液と珪酸ナトリウム水溶液とを80:20(比較例5)、60:40(比較例6)で混合したもの、珪酸ナトリウム水溶液のみ(比較例7)によって塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
[ラクトースと珪酸ナトリウムとによる塗工剤]
(実施例7、8)
実施例1〜6の方法において、澱粉糖の代わりにラクトース(ナカライテスク(株)製:試薬 重合度2)を用いて、ラクトースを希釈させた液と珪酸ナトリウム水溶液とをそれぞれ、80:20(実施例7)、60:40(実施例8)で混合して塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0043】
(比較例8、9)
実施例1〜6の方法において、それぞれ、上記のラクトースを希釈させた液のみ(比較例8)、珪酸ナトリウム水溶液のみ(比較例9)を用いて、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
[澱粉糖と珪酸カリウムとによる塗工剤]
(実施例9、10)
実施例1〜6の方法において、珪酸ナトリウムの代わりに珪酸カリウム(ナカライテスク(株)製:試薬 表中、「珪酸K」と略す。)を用いて、澱粉糖を希釈させた液と珪酸カリウム水溶液とをそれぞれ、80:20(実施例9)、60:40(実施例10)で混合して、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表4に示す。
【0046】
(比較例10、11)
実施例1〜6の方法において、それぞれ、澱粉糖を希釈させた液のみ(比較例10)、上記の珪酸カリウム水溶液のみ(比較例11)を用いて、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
[酵素分解澱粉と珪酸ナトリウムとによる塗工剤]
(実施例11、12)
実施例1〜6の方法において、澱粉糖の代わりに、未変性澱粉(日本コーンスターチ(株)製)をα−アミラーゼ(ノボザイムズジャパン(株)製:BAN240L)で酵素分解し、平均重合度を14.7とした酵素分解澱粉を用いて、酵素分解澱粉を希釈させた液と珪酸ナトリウム水溶液とをそれぞれ、80:20(実施例11)、60:40(実施例12)で混合して、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表5に示す。
【0049】
(比較例12、13)
実施例1〜6の方法において、それぞれ、上記の酵素分解澱粉を希釈させた液のみ(比較例12)、珪酸ナトリウム水溶液のみ(比較例13)を用いて、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
[未変性澱粉と珪酸ナトリウムとによる塗工剤]
(比較例14〜16)
未変性澱粉(日本コーンスターチ(株)製 平均重合度376)に、水を加え10重量%とし、95℃で加熱して澱粉を溶解させて、10重量%の澱粉溶液を作製した(比較例14)。同様の手順により、3重量%の澱粉溶液(比較例15)、2重量%の澱粉溶液(比較例16)を作製した。これらについて、粘度を測定した結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
(比較例17〜20)
実施例1〜6の方法において、それぞれ、澱粉糖を希釈させた液の代わりに、比較例14〜16の未変性澱粉により作製した澱粉溶液のうち塗工可能な粘度である2重量%の澱粉溶液を用いて、澱粉溶液のみ(比較例17)、澱粉溶液と珪酸ナトリウム水溶液とを80:20(比較例18)、60:40(比較例19)で混合したもの、珪酸ナトリウム水溶液のみ(比較例20)によって、塗工剤を作製し、それ以外は実施例1〜6と同様の手順により紙に塗工剤を塗工し、測定、評価を行った。その結果を表7に示す。
【0054】
【表7】
【0055】
[結果]
実施例1〜6の、23℃、50%R.H.の環境で調湿したものは、珪酸ナトリウムのみを塗工剤に用いた比較例1の同様の湿度環境で調湿したものとほぼ同等の強度を示している。また、実施例1〜6の23℃、75%R.H.の環境で調湿したものは、比較例1の同様の湿度環境で調湿したものに比べて、ほぼ同等の強度か、あるいは著しく強度が増加し、紙焼けやごわつきを解決した以外にも、より優れていることを示した。
【0056】
また、実施例1〜6は全て、澱粉糖のみを塗工剤に用いた比較例2よりも吸水性が改善された。さらに、ごわつきと紙焼けは比較例1よりも軽減された。
【0057】
重合度が1であるグルコースと珪酸ナトリウムとを塗工剤に用いた比較例5、6は、珪酸ナトリウムのみを塗工剤に用いた比較例7の、同様の湿度環境で調湿したものと比べて、ごわつきや紙焼けは改善されたが、強度が大きく低下してしまった。なお、グルコースのみを塗工剤に用いた比較例4は、何も塗工しない比較例3と比較しても大差の無い強度となり、吸水性も改善されなかった。
【0058】
重合度が2であるラクトースと珪酸ナトリウムとを塗工剤に用いた実施例7、8では、珪酸ナトリウムのみを塗工剤に用いた比較例9の、同様の湿度環境で調湿したものと比べて、ほぼ同等の強度を示し、また、ごわつきや紙焼けも改善された。なお、ラクトースのみを塗工剤に用いた比較例8は、澱粉糖のみを塗工剤に用いた比較例2と同様に、吸水性が大きく低下した。
【0059】
珪酸ナトリウムの代わりに珪酸カリウムを用いた実施例9、10と比較例10、11とは、珪酸ナトリウムを用いた場合とほぼ同様の挙動を示し、他のアルカリ金属塩でも同様の効果が得られることがわかった。
【0060】
平均重合度が14.7である酵素分解澱粉と珪酸ナトリウムとを塗工剤に用いた実施例11、12は、珪酸ナトリウムのみを塗工剤に用いた比較例13の、同様の湿度環境で調湿したものと比べて、ほぼ同等の強度を示し、また、ごわつきや紙焼けも改善された。なお、酵素分解澱粉のみを塗工剤に用いた比較例12は、澱粉糖のみを塗工剤に用いた比較例2と同様に、吸水性が大きく低下した。
【0061】
平均重合度が376である未変性澱粉を塗工剤として用いると、濃度10重量%ではゲル化し、3重量%でも粘度が高くなりすぎ、塗工することが困難になった。2重量%まで希釈して用いると塗工可能になり、澱粉と珪酸ナトリウムとを混合したものは強度の向上が見られたが、低濃度のため塗工量が少なく、強度向上効果は充分ではなかった。
【0062】
【発明の効果】
平均重合度が2〜15である糖と、珪酸アルカリ金属塩とを含有する紙用塗工剤を紙に塗布することにより、圧縮強度等の物性に優れ、かつ、ごわつきや紙焼けの少ない紙の製造が可能となる。
Claims (5)
- 平均重合度が2〜15である糖と、珪酸アルカリ金属塩とを含有し、上記糖と、上記珪酸アルカリ金属塩との混合比率が重量比で95:5〜40:60である、紙の圧縮強度を向上させる紙用塗工剤。
- 上記糖が澱粉糖である、請求項1に記載の紙用塗工剤。
- 上記珪酸アルカリ金属塩が、下記式(1)で示される化合物である、請求項1又は2に記載の紙用塗工剤。
M2O・nSiO2 (1)
(式中Mはアルカリ金属を示し、nは0.5〜4の実数を示す。) - 請求項1乃至3のいずれかに記載の紙用塗工剤を紙に塗工した強化紙。
- 上記紙が板紙である、請求項4に記載の強化紙。
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