JP4393757B2 - ゼオライト化材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所の排気を通して排出される石炭灰(フライアッシュ)の再利用に関し、望ましくは石炭灰から製造される石炭灰造粒物のうち、利用が難しくて従来廃棄処分されている部分を利用する材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭を燃やして発電する石炭火力発電所から排出される石炭灰は産業廃棄物であり、大量に発生することからその再利用の研究が進められてきた。特に排気を通して排出される石炭灰(フライアッシュ)は、微粉状でそのままの形態では再利用が難しく、そのため石炭灰をセメントなどのバインダーを用いて造粒・固化し、人工軽量骨材などの土木材料として利用する技術が開発されている。このような石炭灰造粒物を土木材料として利用する場合は、取扱い性や透水性の観点から一般に粒径が5mm程度以上のものが使用される。しかし、製造段階では粒径が5mm未満の小さいものも同時に発生する。そのため、このように小さいものは規格外品(残滓)として分別され廃棄処分されているのが現状である。
【0003】
一方、石炭灰(フライアッシュ)のみならず、製紙灰、焼却灰など、一定のケイ素とアルミナを含んだ廃棄物を、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液で処理し、撹拌、加熱、加圧操作などを組み合わせることで、ゼオライトに転換できることが知られており、近年、この方法によってゼオライト化した材料(以下、人工ゼオライトと記す)が、石炭灰の有効利用策の一つとして注目を集めている(例えば、特許文献1参照。)。この製造フローの一例を図1に示す。
【0004】
ここで、ゼオライトとは「沸石類」に分類される鉱物で、主にケイ素とアルミナからなる多孔質の微少な結晶である。天然のものや化学的に合成されたものがあり、例えば脱臭剤、吸湿剤、吸着材、陽イオン交換体として、様々な分野で利用されている。その主な機能と用途としては以下のものが知られている。
【0005】
▲1▼ 吸着機能: ゼオライトが持つ様々な大きさの間隙、細孔に、悪臭成分、着色成分、水分などのいろいろな分子が吸着できる。この性質を利用して脱臭剤、吸湿剤、脱色剤などに用いられる。
▲2▼ 陽イオン交換機能: 各種の陽イオンを可逆的に吸着したり脱着したりすること、すなわちイオン交換ができる。この性質を利用して保肥材などの土壌改良材、水質浄化材、洗剤の助剤(ビルダー)などに用いられる。
▲3▼ 触媒機能: 固体酸性を示すことによる触媒機能であり、NOxの分解などに用いられる。
【0006】
しかし、上記の方法によって石炭灰(フライアッシュ)から製造される人工ゼオライトは、微粉末状のために製造や利用の際に粉塵となって飛散するおそれがあり、取り扱いが難しい問題点があった。また、ゼオライト化したのち脱水と乾燥を行なうことが必要であるが、微粉末状のためにいずれの処理もなかなか困難であった。このため、石炭灰をアルカリ処理してゼオライト化したのちセメントなどのバインダーで固化して、板状やシート状に成形して用いる発明も開示されているが(例えば、特許文献2参照。)、ゼオライト化処理も含め製造コストが高くなってしまううえに、性能も低下してしまう問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59-86687号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2000-29951号公報(0010欄〜0012欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、産業廃棄物である石炭灰の再利用を図ること課題とし、さらには、石炭灰を再利用したものでありながら、製造や取り扱いが容易で製造コストも低いゼオライト化材料を提供することを課題とする。望ましくは、従来廃棄されていた粒径が5mm未満の石炭灰造粒物の有効利用を図ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石炭灰造粒物をゼオライト化処理して得られる材料である。または、石炭灰を固化材および水と混合して造粒した造粒物を、アルカリ溶液に反応せしめて一部をゼオライト化した材料である。または、石炭灰造粒物であって、表面部にゼオライト化部分を有し、中心部にゼオライト化部分を有さない材料である。好ましくは、平均粒径が5mm未満である上記のいずれかの材料である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の材料を具体的に説明する。
本発明の材料には、火力発電所の排気中から電気集塵機で捕集される産業廃棄物である石炭灰(フライアッシュ)の造粒物を用いる。ここで、造粒前の石炭灰には造粒前にゼオライト化処理を行なわない。石炭灰は微粉末状で水濡れ性が悪いためアルカリ溶液とのなじみが悪く取扱いが難しいこと、さらにはゼオライト化した後は多孔質となって水になじみやすくなるものの、逆に脱水や乾燥が難しくなりコストアップの原因となることによる。
【0011】
この石炭灰を固化材及び水と混合して造粒する。造粒するにあたり、造粒物の用途に応じて配合する成分や、各成分の配合割合を適宜調整することができる。以下、配合割合について述べる。
【0012】
まず、石炭灰は80重量部以上97重量部以下であることが望ましい。80重量部以上で造粒時に用いるミキサの出口における造粒物の付着が生じにくくなって取扱いが容易となり、97重量部以下で各種用途に向けた材料として十分な強度が得られる。より望ましくは85重量部以上95重量部以下であり、さらに望ましくは87重量部以上93重量部以下である。
【0013】
次に、固化材としてはセメントまたはセメントと二水石膏を用いることが、造粒物の強度及びコストの観点から望ましい。固化材は2重量部以上15重量部以下で配合することが望ましい。2重量部以上で材料に一般的に必要とされる強度を得ることができ、15重量部以下で造粒時に用いるミキサの出口で造粒物が付着するトラブルが発生しにくくなり、造粒物の取扱いが容易となる。より望ましくは7重量部以上13重量部以下であり、さらに望ましくは9重量部以上11重量部以下である。
【0014】
固化材に二水石膏を含む場合は、二水石膏が7重量部以上10重量部以下となるように配合することが望ましい。7重量部以上で他の固化材量の使用量を減少せしめて製造コストを抑制でき、10重量部以下で造粒が安定に行える。
【0015】
ここで、石炭灰の水濡れ性の悪さを補うために、保水材を配合するのが望ましい。保水材を用いないで造粒することも可能であるが、加えたほうが造粒がより安定となりやすい。保水材としてはベントナイトや海水性若しくは淡水性の浚渫粘土または笠岡粘土などの粘性土が、それぞれ安定して造粒物を製造する観点から望ましい。保水材として特に好ましいのはベントナイトである。保水材は5重量部以下で加えることが望ましい。5重量部以下で造粒時の付着トラブルが生じにくくなり取扱いが容易となる。より望ましくは4重量部以下である。さらに望ましくは2重量部以上3重量部以下である。
【0016】
水は、造粒が安定となり、粒子の強度が必要な範囲に入るように加えればよく、例えば、15重量部以上30重量部以下で加えることができる。15重量部以上で造粒物の形状が安定化しやすく、30重量部以下で必要な強度の造粒物を得やすくなる。より望ましくは18重量部以上25重量部以下である。
【0017】
上記の配合物をミキサに投入し、室温で攪拌混合して造粒する。攪拌混合処理に使用するミキサは、処理が行なえればよく特に制限されるものではないが、例えば、円筒ドラムが横置きされ、ドラム中心に設けられた回転する主軸に攪拌羽根が設けられ、また、ドラムの内部側面内部に設けられた独立駆動チョッパーを有する高速回転ミキサを用いることが望ましい。このミキサを用いた場合の運転条件は、攪拌羽根を50rpm〜100rpm付近で回転し、同時にチョッパーを1000rpm〜2000rpm付近で高速回転させて3分〜10分間程度運転する。これにより、平均粒径が2mm〜10mm付近の均一な造粒物が短時間で得られる。このようなミキサの例は、例えば特開2000-154526号公報に記載されている。
【0018】
その他の望ましいミキサとしては、底面と、底面中心部に設けられた排出口に向かって下降するロート状に傾斜した側面とを有する縦置きの混合層を有し、この混合槽内の中心部鉛直方向下向きに、混合槽中心部で回転する螺旋状の内側混練羽根を取り付けた高速回転軸と、外側混練羽根が混合層の側面内側に近接して回転するように外側混練羽根をアームを介して取り付けた低速回転軸とを同心的に配設し、これらの高速回転軸と低速回転軸の回転方向を逆方向とするように駆動装置を設けたミキサが例示される。
【0019】
これらのミキサを用いて造粒処理後、造粒物をミキサから取り出し、室温付近で一定の期間、造粒物を乾燥して固化造粒物を得る。乾燥温度は5℃以上で行うのが望ましく、10℃以上40℃以下で行なうのがより望ましい。最も望ましくは20℃付近で行なうことである。乾燥期間は、およそ1日から1ヶ月の間で、使用する固化材や用途、温度の条件に応じて適宜選択すればよい。
【0020】
次に、この固化造粒物をそのまま用いることもできるが、篩にかけて分級し、粒径が一定値未満の固化造粒物を得るのが望ましい。この一定値は通常5mmであるが、より再利用が難しいものとしては2mmであり、さらに再利用が難しいものとしては0.5mmである。このように粒径が小さい固化造粒物は製造プロセス上必然的に発生するが、地盤改良などに利用する際に要求される透水性能等を満たすことが難しいために従来再利用が困難であった。そのため廃棄物として処分するより無く、廃棄物ゼロエミッションへの妨げになっていた。しかし、このような粒径が小さい固化造粒物を人工ゼオライトとして利用できるようにすることで、石炭灰に由来する廃棄物の排出量をゼロにすることが可能となる。
【0021】
次に、得られた固化造粒物をゼオライト化処理する。ここで、粒径が5mm以上の固化造粒物は、そのまま人工骨材などとして問題なく再利用できるため、わざわざコストをかけて後のゼオライト化処理を行なう必要性は小さい。しかし、必要によりゼオライト化処理を行なって人工ゼオライト用途に用いてもよい。
【0022】
ゼオライト化にあたっては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ薬品を用いることが望ましい。強アルカリ薬品は、反応の均一性、安定性の観点から水溶液として用いる。アルカリ溶液の濃度は0.5モルから3.5モルが望ましく、より望ましくは1モルから3モルである。石炭灰1kgあたりに対して使用するアルカリ溶液の量は、1リットルから16リットルが望ましく、より望ましくは5リットルから12リットルである。
【0023】
ゼオライト化反応の温度は、90℃から120℃が望ましい。反応は常圧で行なえばよいが、反応温度を高めるためにオートクレーブ等を用いて常圧以上に圧力をかけて反応せしめてもよい。反応時間は、アルカリの濃度や反応温度によって異なるが、おおむね2時間から24時間の範囲で適宜選択して行なえばよい。
【0024】
これにより、固化造粒物の表面に露出している石炭灰の表面部分がゼオライト化する。一方で、固化造粒物の中心に近い部分には、アルカリが到達できないために反応が生じずゼオライト化されない。したがって、固化造粒物のうち、拡散や浸透などにより、外部から物質が到達できる部分のみがゼオライト化される。このようにして製造する結果、造粒物の粒径が一定値未満であっても、微粉末状の石炭灰よりは大きな粒径であるから製造時における取扱い上の困難が生じない。
【0025】
最後に、得られたゼオライト化材料を洗浄し、脱水、乾燥する。石炭灰を直接ゼオライト化したものと比して、脱水、乾燥は容易である。
【0026】
なお、この造粒物では、造粒物の表面に近い部分がゼオライト化され、造粒物の中心に向かうにつれてゼオライト化された部分が少なくなる。特に中心に近い部分はゼオライト化されていない。このことは、以下のようにJIS A 1121 の骨材の磨り減り減量試験と同様にして検証することができる。まず、ゼオライト化された造粒物を回転ドラムなどに入れてドラムを一定時間回転し、造粒物どうしが相互に摩擦し合うようにして表面部分を一定時間削り取り、削り取られた試料を集めてX線回折で測定して結晶の有無を確認する。次に、表面部分が削り取られた造粒物を、さらに表面から必要により何段階かに渡って同様に削り取っていき、それぞれの段階で削り取られた試料を集めてX線回折で測定すればよい。各部分からゼオライト化を意味するピークが検出されるか否かにより検証を行なうことができる。
【0027】
また、ゼオライト化材料は、反応時のアルカリ溶液に含まれるカチオンを適宜他のカチオンに交換してから用いても良い。例えば、反応時に水酸化ナトリウムを用いた場合には、その後にナトリウムイオンをカリウムイオンやカルシウムイオンなどにイオン交換してから用いてもよい。
【0028】
このようにして得られたゼオライト化材料は、石炭灰をそのままゼオライト化したものと比して取扱い上の困難もなく、脱水乾燥も容易で製造コストが低い。したがって、ゼオライトの通常用途に幅広く用いることができる。例えば、水処理剤としては、硬水軟化剤、放射性物質を含む廃水の処理、汚廃水中のアンモニア性窒素やリン酸等の処理、生活汚廃水処理等におけるSS(浮遊物質)、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)などの処理、鉛、亜鉛、カドミウム、銅等重金属イオンの処理等が挙げられる。
【0029】
化学工業資材としては、硫化水素、アンモニア、亜硫酸ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、有機酸等の吸着処理、悪臭発生施設における悪臭の除去処理、塗装工場等のトルエンなどの有機溶媒蒸気の除去処理、自動車の排ガス処理等が挙げられる。
【0030】
農業における用途としては、土壌中のアルミニウムイオンを吸着除去したり、火山性土壌のカチオン保持力(CEC)を強化し、アンモニア態窒素、カリウム、カルシウム等の塩基成肥料成分の流亡を食い止めたり、酸性化土壌の中和を行なったりする土壌改良剤が挙げられる。
【0031】
土木用途としては、海底や河川底、湖沼底における有機塩類を多量に含む底質の上に一定厚みで敷き詰めて、水中への有機塩類の溶出を防止して水質を浄化したり、水底生物の育成を図ったりするための覆砂材が挙げられる。
【0032】
一般家庭用としては、押入れなどの調湿材、乗用車等の脱臭剤、また、花器、花瓶などに植えられた生花、植木類の水の腐敗防止剤、各種の無機元素供給用の堆肥などが挙げられる。
【0033】
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、実施例で用いたX線回折装置は、リガク社製X線回折装置RINT-1100であり、電子顕微鏡は日本電子社製のJSM-5300を用いた。粒度分析は篩とレーザ回折を用いて行ない、比表面積は窒素ガスによる多点Bet法を用いた。メチレンブルーの吸着量の測定方法は、日本ベントナイト工業会標準試験方法 JBAS-107-77に準じて行なった。陽イオン交換容量(CEC)の測定方法は、図2に示したフローにより行なった。アンモニア性窒素の定量方法は、JIS K0102 42.2 に記載されたインドフェノール青吸光光度法を用いた。
【0034】
(実施例1) 火力発電所の電気集塵機から回収された石炭灰(フライアッシュ)を用い、石炭灰90重量%と高炉B種セメント10重量%を計量し、この合計に対してベントナイトを3重量%とし、さらにこれら3種の合計に対して水を24重量%として計量し、これらをドラム横置型ミキサに投入した。続いて、攪拌羽根を83rpmで、チョッパーを1500rpmで10分間運転してほぼ球状で粒径がおよそ0.1mmから20mmまで分散し平均粒径が約7.5mmの造粒物を形成した。
【0035】
次に、この造粒物をミキサから取り出し、20℃で28日間乾燥して目的とする固化造粒物を得た。この固化造粒物の取扱いは容易であった。
【0036】
次に、この石炭灰造粒物を#5mmの篩にかけて、篩を透過しなかったものを除いた。篩を透過したこれら粒径が5mm未満の石炭灰造粒物40gを、3モルの水酸化ナトリウム水溶液160mlに投入し、大気圧下で8時間反応させたあと液切りして取り出した。続いて、この石炭灰造粒物を500mlの水に投入して約1分間攪拌したあと水切りした。同様の水洗浄を10回繰り返して余剰アルカリ分を除去した。続いて、40℃の乾燥炉に一昼夜投入して乾燥を行ない、ゼオライト化材料である石炭灰造粒物転換ゼオライトを得た。
【0037】
なお、反応時、洗浄時、脱水・乾燥時にも取り扱いは容易で、特に問題はなかった。この石炭灰造粒物転換ゼオライトの表面電子顕微鏡写真を図3に、X線回折図を図4に、多孔質化の度合いを示す比表面積、カチオンの吸着能を示すCEC(陽イオン交換容量)、物理吸着量を示すメチレンブルー吸着量の各物性について調べた結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004393757
表面の電子顕微鏡写真では、ゼオライト化したと思われる表面構造が確認できた(図3)。また、X線回折では、図4に示したように、ゼオライト鉱物の一種であるフィリップサイト、Na-P1あるいはフォージャサイトのピークが見られ、それらのピークは、反応時間(図面右側に記載)が長くなるにつれて大きくなることが確認できた。なお、図4は、横軸が2θで縦軸がピーク強度であるが、反応時間が異なる複数の回折図形を対比しやすくするために、対応するピークの横位置がそろうようにして重ねて表示してある。さらに、表1から、比表面積、CEC、メチレンブルー吸着量のいずれの値も反応前より増大していることが判明した。
【0039】
また、磨り減り減量試験に準じて、順次固化造粒物から削り取ったものを集めてX線回折を行なったところ、粒子の中心部分のX線回折の測定結果にはゼオライト化を示すピークが見られなかった。従って、表面部分のみがゼオライト化した石炭灰造粒物転換ゼオライトが得られたと考えられる。
次に、表2に示す成分組成を有する人工汚水を調整した。
【0040】
【表2】
Figure 0004393757
この人工汚水1リットルと、上記のようにして複数回に分けて製造した石炭灰造粒物転換ゼオライト100gとを1リットルビーカーに入れ、約1分間攪拌した後20℃で1週間静置し、経時的に上澄液をサンプリングしてアンモニア性窒素濃度を測定し、平衡状態に達した後の上澄液のアンモニア性窒素濃度を平衡濃度とした。
【0041】
これから、人工汚水中の全アンモニア性窒素に対して吸着除去されたアンモニア性窒素の割合(吸着率)と、石炭灰転換ゼオライトの単位重量あたりのアンモニア性窒素の吸着量とを求めた。実験結果を表3に示した。
【0042】
この結果から、石炭灰造粒物転換ゼオライトは、水域の富栄養化の原因物質であるアンモニア性窒素の吸着性能が、天然ゼオライトとほぼ同等と非常に高いものであった。
【0043】
(比較例1) 石炭灰造粒物転換ゼオライトの代わりに、ゼオライト化前の石炭灰造粒物100gを用いた以外は、実施例1と同様にしてアンモニア性窒素の吸着量を測定した。実験結果を表3に示した。アンモニア性窒素の吸着量は小さかった。
【0044】
(比較例2) 石炭灰造粒物転換ゼオライトの代わりに、天然ゼオライト100g(福島県飯坂鉱山より産出したCECが160〜190meq/100g、pH6.4のモルデナイト系ゼオライト(日東ゼオライト社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして天然ゼオライトのアンモニア性窒素の吸着量を測定した。実験結果を表3に示した。アンモニア性窒素の吸着率は高い性能を示したが、天然ゼオライトのコストはかなり高いものであった。
【0045】
(比較例3) 石炭灰造粒物の代わりに、石炭灰(フライアッシュ)100gを用いて実施例1と同様にしてゼオライト化処理を試みたが、投入した石炭灰がアルカリ水溶液表面ではじいて空中に飛散してしまうため、飛散物収集のための設備を要した。ゼオライト化後にはペースト状となったため脱水にフィルタープレスを導入する必要が生じた。脱水後は板状物となってしまい、乾燥時に板状物の表面のみが乾燥してしまい内部がなかなか乾燥しなかった。そのため、板状物を破砕して乾燥させたが、そのための破砕設備を用意する必要が生じた。乾燥後のゼオライト化石炭灰を用いて、実施例1と同様にしてアンモニア性窒素の吸着量を測定した。実験結果を表3に示した。
【0046】
【表3】
Figure 0004393757
【発明の効果】
石炭灰を再利用したものでありながら、製造や取り扱いが容易で製造コストも低いゼオライト材料を提供することができる。また、産業廃棄物である石炭灰の再利用を図ってゼロエミッションを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 石炭灰をそのままゼオライト化する従来のフローの概略ブロック図である。
【図2】 CECを測定するためのフローを示した図である。
【図3】 石炭灰造粒物転換ゼオライトの表面の電子顕微鏡写真である。
【図4】 石炭灰造粒物転換ゼオライトの、X線回折図形を示した図である。

Claims (2)

  1. 石炭灰造粒物をゼオライト化処理して得られる材料であって、石炭灰と固化材とベントナイトと水とを混合して造粒し、5℃以上40℃以下で乾燥して得た造粒物を、アルカリ溶液に反応せしめることにより、表面がゼオライト化され、中心部がゼオライト化されていない非多孔質の材料。
  2. 固化材として、セメントまたはセメントと二水石膏とを用いる請求項1に記載の材料。
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