JP4393302B2 - 液化天然ガスの熱量計測方法及び装置 - Google Patents
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Description
従来の天然ガスのガス発熱量を計測する方法としては、(1)ガスを燃焼させたときに得られる熱量を測定する方法、(2)ガス成分分析を行うことによりガス発熱量を算出する方法、(3)ガス密度を計測しガス密度と熱量の相関からガス発熱量を算出する方法、(4)ガスの熱伝導度を計測し熱伝導度と熱量の相関からガス発熱量を算出する方法などがある。
さらに、従来方法による熱量計測では、液化ガスが気化するのにかなりの時間を要するため、熱量計測装置にサンプルガスを導入するまでのサンプル遅れが非常に大きく、その結果熱量計測装置から得られた熱量値を利用して何かを制御しようとした場合、精度の良い制御ができない。
11種類の液化天然ガスについて、101.3 KPa飽和状態での液密度と発熱量の関係をプロセスシミュレータによって求めた。この関係を図3のグラフに示す。図3においては、図3(a)がガス発熱量と液密度との関係を示し、図3(b)がガス発熱量と窒素含有率との関係を示している。
図3(a)(b)を対比してみると分かるように、液密度とガス発熱量との関係は「窒素含有率が0%のもののグループ」と「窒素含有率が1%のもののグループ」にわかれ、それぞれのグループのものはほぼ一直線上に描かれる関係にあることがわかる。この関係は、飽和状態で規定せずに同じ温度圧力状態の液密度でも同様である。
つぎに、上記の直線を表す式を求めるために、実運用を考えて熱量換算の基準状態を仮に-160
℃ / 1101.3 kPaと仮定する。この基準状態におけるガス発熱量と液密度の関係を求め、それをグラフに示したものが図4における物性推算値のグラフである。
図4のグラフにおいては、「窒素含有率が0%のもののグループ」と「窒素含有率が1%のもののグループ」をそれぞれ1本の直線で示してある。
(窒素0%の時の直線の推定式)
Q=0.117 ρstd-9.6525
(窒素 1%の時の直線の推定式)
Q=0.117 ρstd-10.0035
窒素分率も変数にして、上記2式をまとめて表現すると下式のようになる。
Q = 0.117 ρstd - 9.6525 - 0.351N
Q : ガス発熱量 MJ/Nm3
ρstd : 液密度 kg/m3 (基準状態-160 ℃ / 1101.3 kPa)
N : 窒素分率 mol%
Q=c×ρstd−d−e×N
但し、Q :ガス発熱量 MJ/Nm3
ρstd:LNG液密度 kg/m3 (基準状態-160 ℃ / 1101.3 kPa)
N :窒素分率 mol%
c,d,e:定数
なお、液化天然ガスの熱量の相対的な変化を知るためには、上記の方法で足りる。しかしながら、熱量を用いて例えば、液化天然ガスの熱量調整を行うような場合には、ガス発熱量を正確に定量することが必要となる。この場合には温度圧力の影響を考慮する必要があり、そのためには液密度が温度、圧力とどのような関係にあるかを知る必要がある。
まず、液密度と温度との依存性があるのかどうかを調べるために、一定圧力下(1101.3KPa)において11種類の液化天然ガス(11種類のガス発熱量の液化天然ガス)について、各種類ごとに温度を-160℃から-140℃まで5℃ずつ変化させたときの液密度の変化を調査した。この結果を図5(a)のグラフに示した。この図5(a)のグラフから分かるように各種類の液化天然ガスについて温度の変化に応じてほぼ一定の関係があることが分かる。つまり、同一種類のLNG、例えば発熱量が約40MJ/Nm3のものでは温度が下がるに従って密度が大きくなっているが、この関係は他の種類のLNGでも同様である。
そこで、その関係を定量的に求めるために、図5(a)の3種類(図5(a)において破線で囲んだA、B、C)について、液温度と液密度の関係を図5(b)のグラフに示す。
図5(b)に示すグラフよりLNG液密度の温度依存性は下式にて表されることがわかる。
ρstd=ρLNG+{a×(基準温度−TLNG)}
但し、ρstd:LNG液密度 kg/m3 (基準温度、基準圧力)
ρLNG:LNG液密度 kg/m3 (実温度、実圧力)
TLNG:LNG液温度 ℃
a :定数
なお、この例ではa=-1.5 kg/m3/℃とすることができる。なお、A種のLNGの場合-1.59
kg/m3/℃、C種のLNGの場合 -1.43 kg/m3/℃となるが、ここでは平均的な -1.5 kg/m3/℃を採用することにした。もっとも、実際の熱量演算ロジック上においては、本係数を適宜変更できるようパラメータ設定しておくことが望ましい。
まず、液密度と圧力との依存性があるのかどうかを調べるために、一定温度下(-160℃)において11種類の液化天然ガス(11種類のガス発熱量の液化天然ガス)について、各種類ごとに圧力を601.03KPaから4101.3KPaまで変化させたときの液密度の変化を調査した。この結果を図6(a)のグラフに示した。この図6(a)のグラフから分かるように各種類の液化天然ガスについて圧力の変化に応じてほぼ一定の関係があることが分かる。
そこで、その関係を定量的に求めるために、図6(a)の3種類(図6(a)において破線で囲んだA、B、C)について、圧力と液密度の関係を図6(b)のグラフに示す。
図6(b)に示すグラフよりLNG液密度の圧力依存性は下式にて表されることがわかる。
ρstd=ρLNG+[b×{基準圧力−(PLNG+0.1013)}
但し、ρstd:LNG液密度 kg/m3 (基準温度、基準圧力)
ρLNG:LNG液密度 kg/m3 (実温度、実圧力)
PLNG:LNG液圧力 MPaG
b :定数
図6(b)のグラフよりb=1.45 kg/m3/MPaとすることができる。
なお、A種のLNGの場合1.5 kg/m3/MPa、C種のLNGの場合1.4
kg/m3/MPaとなるが、ここでは平均的な1.45 kg/m3/MPaを採用する。実際の熱量演算ロジック上においては、温度依存性に比べ影響度が小さいため固定係数で運用することも可能である。
ρstd=ρLNG+{a×(基準温度−TLNG)}+[b×{基準圧力−(PLNG+0.1013)}
但し、ρstd:LNG液密度 kg/m3 (基準温度、基準圧力)
ρLNG:LNG液密度 kg/m3 (実温度、実圧力)
TLNG:LNG液温度 ℃
PLNG:LNG液圧力 MPaG
a,b :定数
(1)本発明に係る液化天然ガスの熱量計測方法は、液化天然ガスの基準温度、基準圧力状態における液密度とガス発熱量との相関を予め求めておき、測定対象の液化天然ガスの液密度、温度、圧力を計測し、該計測した液密度を該計測した温度、圧力に基づいて前記基準温度、基準圧力状態における液密度に変換し、該変換した液密度に基づいて前記予め求めた相関から前記測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を算出する液化天然ガスの熱量計測方法であって、前記相関を下式で与えることを特徴とするものである。
Q=c×ρ std −d−e×N
但し、Q :ガス発熱量 MJ/Nm 3
ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
N :窒素分率 mol%
c,d,e:定数
ρ std =ρ LNG +{a×(基準温度−T LNG )}+[b×{基準圧力−(P LNG +0.1013)}
但し、ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
ρ LNG :LNG液密度 kg/m 3 (実温度、実圧力)
T LNG :LNG液温度 ℃
P LNG :LNG液圧力 MPaG
a,b :定数
前記第1演算手段は、計測した液密度を基準温度圧力状態における液密度への変換を下式(1)に基づいて行い、第2演算手段は、予め求めた液化天然ガスの基準温度、基準圧力状態における液密度とガス発熱量との相関を下式(2)に基づいて行うことを特徴とするものである。
ρ std =ρ LNG +{a×(基準温度−T LNG )}+[b×{基準圧力−(P LNG +0.1013)}------(1)
但し、ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
ρ LNG :LNG液密度 kg/m 3 (実温度、実圧力)
T LNG :LNG液温度 ℃
P LNG :LNG液圧力 MPaG
a,b :定数
Q=c×ρ std −d−e×N----------------------(2)
但し、Q :ガス発熱量 MJ/Nm 3
ρ std :LNG液密度kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
N :窒素分率mol%
c,d,e:定数
また、本実施の形態では既設設備のガスクロマトグラフィ9から窒素分率を演算部7に入力するようにしている。
<LNG液密度計>
LNG液密度計1としては、コリオリ力を利用した密度計測装置等を使用することにより、連続かつリアルタイムに液化天然ガスの液密度計測が可能である。
LNG液密度計は、図1に示されるように、LNGタンクからLNGポンプにより払い出されるLNGライン中に設置する。
前述のように、LNG液密度は、その温度、圧力の変化による影響を受ける。そのため、ガス発熱量の測定を熱量調整のために行うような場合には温度、圧力の補正を行う必要がある。
したがって、LNG液密度の計測と同時にLNG液温度および圧力の計測を行う必要があるが、この場合LNG液温度および圧力の計測点はLNG液密度計測点と同一ライン上でLNG液密度計測点の極力近傍にすることが好ましく、このように設置することで精度の高い計測が可能となる。
しかし、一般にLNG配管は保冷材等により外部入熱が遮断されているため、同一ライン上におけるLNGの液温度および液圧力は計測場所によらずほぼ同じと考えることができる。よって、既設設備として温度計および圧力計が設置されている場合はこれらを使用することで設備コストの低減が図れる。
なお、LNG液密度計には温度センサーが組込まれており、LNGの温度計測値も出力可能なタイプのLNG液密度計を使用する場合は、この温度信号を使用することで別置の温度計が不要となり更に設備コストの低減が図れる。
演算部は、例えばコンピュータによって実現される。そして、この演算部は、LNG液密度計1、温度計3及び圧力計5によって検出された液密度、温度及び圧力を入力してLNG液密度計1によって検出された液密度を基準状態の液密度に変換する第一演算手段としての補正手段と、該補正手段によって得られた基準状態の液密度を入力して予め求めた液化天然ガスの基準温度、基準状態における液密度とガス発熱量との相関に基づいて測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を演算する第2演算手段としての主演算手段を有している。以下、補正手段と主演算手段について説明する。
補正手段は、下記に示す前述の補正式に基づいて演算を行う。なお、この補正式は、前述したように数種類の液化天然ガス(LNG)組成を用いて、その液密度と温度、圧力の関係を導き出し、その関係から求めたものである。
ρstd=ρLNG+{
a×(基準温度−TLNG)}+[ b×{基準圧力−(PLNG+0.1013)}]
ρstd :LNG液密度 kg/m3 (基準温度、基準圧力)
ρLNG :LNG液密度 kg/m3 (実温度、実圧力)
TLNG :LNG液温度 ℃
PLNG :LNG液圧力 MPaG
a,b :定数
なお、定数a、bについては、当該LNG基地にて取り扱う液化天然ガスについて、前述のような検討を行って具体的に決定する。
また、基準温度、基準圧力としては、極力実際に計測するLNGの状態に近い温度、圧力値を設定したほうが精度に与える影響が小さく望ましい。
主演算手段は、基準状態における液密度とガス発熱量との相関に基づいて測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を演算する。
このときの相関式は、前述したように数種類の液化天然ガス(LNG)組成から液密度とガス発熱量の相関を導き出して求めた下式である。
Q=c×ρstd−d−e×N
Q :ガス発熱量 MJ/Nm3
ρstd:LNG液密度 kg/m3 (基準温度、基準圧力)
N :窒素分率 mol%
c,d,e :定数
演算部7では、計測された温度及び圧力に基づいて測定された液密度を基準状態の液密度に変換する。そして、変換後の液密度及びガスクロマトグラフィ9から入力された窒素分率に基づいて、予め求められた基準状態における液密度とガス発熱量との相関に基づいて測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を演算する。
この演算値は各種の制御に用いることができる。例えば、液化天然ガスの熱量調整に用いるならば、演算されたガス発熱量に基づいて、例えば増熱制御においては液化石油ガス(LPG)などの熱量調整ガスの混合割合を調整する。
また、液化天然ガスの液密度を計測してガス発熱量を求めるので、従来のガス熱量計測方法のように液化天然ガス(LNG)の気化装置およびサンプリング装置等が不要となり、熱量計測設備構成の簡素化、設備コストの低減が図れるとともに、サンプルガスの処理が不要となるため環境に与える影響も小さい。
しかしながら、大規模基地の場合にはLNGポンプの吐出ラインが大口径になるため、図1のように吐出ラインに直接LNG液密度計を設置しようとすると、特殊なLNG液密度計を別途用いる必要があり、経済的に不利となる。
そこで、このような場合には、図2に示すように、LNGポンプの吐出ラインから小口径の分岐ライン11を設け、その分岐ライン中にLNG液密度計1を設置するようにすればよい。この場合、LNG密度計1の設置にあたっては計測対象ラインの分岐部からのサンプル距離を極力小さくし、サンプル遅れを小さくすることが望ましい。
なお、LNG液密度計を経て送り出されるサンプルLNGは低圧LNGラインであるLNGタンクへ戻す保冷循環ライン等に分岐ラインを接続することで処理することができる。
以下においては、本実施の形態の装置の具体的な構成方法について検討した結果を示す。
前述の手段の項で説明したように、基本となる式は、
ρstd=ρLNG+{
a×(基準温度−TLNG)}+[ b×{基準圧力−(PLNG+0.1013)}]
Q=c×ρstd−d−e×N
である。
上式における各定数の具体例としては、「課題を解決するための手段」の項で示した以下のものを用いる。
a=-1.5、b=1.45、c=0.117、d=9.6525、e=0.351
これらの数値を上式に代入して、両式はまとめて記載すると以下のようになる。
Q = 0.117ρLNG - 0.1755(-160-TLNG)
+ 0.16965(1.0-PLNG) - 9.6525 - 0.351N
3 温度計
5 圧力計
7 演算部
Claims (3)
- 液化天然ガスの基準温度、基準圧力状態における液密度とガス発熱量との相関を予め求めておき、測定対象の液化天然ガスの液密度、温度、圧力を計測し、該計測した液密度を該計測した温度、圧力に基づいて前記基準温度、基準圧力状態における液密度に変換し、該変換した液密度に基づいて前記予め求めた相関から前記測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を算出する液化天然ガスの熱量計測方法であって、
前記相関を下式で与えることを特徴とする液化天然ガスの熱量計測方法。
Q=c×ρ std −d−e×N
但し、Q :ガス発熱量 MJ/Nm 3
ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
N :窒素分率 mol%
c,d,e:定数 - 計測した液密度の基準温度圧力状態における液密度への変換を下式に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の液化天然ガスの熱量計測方法。
ρ std =ρ LNG +{a×(基準温度−T LNG )}+[b×{基準圧力−(P LNG +0.1013)}
但し、ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
ρ LNG :LNG液密度 kg/m 3 (実温度、実圧力)
T LNG :LNG液温度 ℃
P LNG :LNG液圧力 MPaG
a,b :定数 - 測定対象の液化天然ガスの液密度を検出する液密度検出手段と、測定対象の液化天然ガスの温度を検出する温度検出手段と、測定対象の液化天然ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、前記温度検出手段によって検出された温度及び前記圧力検出手段によって検出された圧力及び前記液密度検出手段によって検出された液密度を入力して前記液密度検出手段によって検出された液密度を基準状態の液密度に変換する第1演算手段と、該第1演算手段によって得られた基準状態の液密度を入力して予め求めた液化天然ガスの基準温度、基準圧力状態における液密度とガス発熱量との相関に基づいて前記測定対象の液化天然ガスのガス発熱量を演算する第2演算手段と、を備え、
前記第1演算手段は、計測した液密度を基準温度圧力状態における液密度への変換を下式(1)に基づいて行い、第2演算手段は、予め求めた液化天然ガスの基準温度、基準圧力状態における液密度とガス発熱量との相関を下式(2)に基づいて行うことを特徴とする液化天然ガスの熱量計測装置。
ρ std =ρ LNG +{a×(基準温度−T LNG )}+[b×{基準圧力−(P LNG +0.1013)}------(1)
但し、ρ std :LNG液密度 kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
ρ LNG :LNG液密度 kg/m 3 (実温度、実圧力)
T LNG :LNG液温度 ℃
P LNG :LNG液圧力 MPaG
a,b :定数
Q=c×ρ std −d−e×N----------------------(2)
但し、Q :ガス発熱量 MJ/Nm 3
ρ std :LNG液密度kg/m 3 (基準温度、基準圧力)
N :窒素分率mol%
c,d,e:定数
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