JP4382292B2 - 離散的なデジタル音声フォーマットにおいて互換性を持つマトリクスコード化されたサラウンドサウンドチャンネル - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は多重チャネルオーディオの分野に関し、より特に、映画サウンドトラックのための離散的な通常デジタルのサウンドフォーマットでのマトリクスでコード化されたサラウンドサウンドチャンネルに関する。
【0002】
【背景技術】
映画のための光学サウンドトラックは世紀のかわり目に初めて実演され、1930年代以来、映画にサウンドを与える最も一般的な方法である。近代的なシステムでは、フィルムを通る光の透過はサウンドトラック幅の変化量によって変調され、そこでは、サウンドトラックの理想的に透明な幅が理想的に不透明な周辺の中に位置して変化する。このタイプのサウンドトラックは「可変領域」として知られている。
【0003】
サウンドトラック幅と他の幾何学的ひずみ構成要素上の不均等な光によるひずみを減少させるために、「双方」可変領域トラックが導入された。このフォーマットは固定センターラインに関して同一の鏡像である2つの変調されたエッジを持っている。後の進展−これは現在では標準のモノラルのアナログ光学サウンドトラックフォーマットである−は「デュアルバイラタラル(2重双方、dual bilateral)」(又は「ダブルバイラタラル(dual bilateral)」若しくは「デュオバイラタラル(duo bilateral)」)サウンドトラックと呼ばれる。このフォーマットは同じサウンドトラック領域の中に2つの双方要素を持ち、その結果、イルミネーション不均一性エラーに対する一層の免疫的抵抗を与える。光学サウンドトラックの歴史及び可能性に関する有益な議論を「J.SMPTE」、1975年9月、第84巻720-729ページのアイオアン・アレン(Ioan Allen)による「ドルビーノイズ低減回路を利用した広範囲低ひずみ光学サウンドトラックの制作」に見つけることができる。
【0004】
1970年代の半ば、2つの独自に変調された双方サウンドトラックが通常のモノラル可変領域トラックと同じ領域に並んで位置するステレオ可変領域(Stereo Variable Area:SVA)トラックはますますポピュラーになった。
【0005】
1976年に、ドルビー・ラボラトリーズは、2つのSVA光学トラック上に4チャンネルサウンドを持つためにオーディオマトリクスコード化と復号化を使用する、ドルビーステレオの4チャンネルステレオ光学バージョンを導入した。「ドルビー(Dolby)」と「ドルビーステレオ(Dolby Stereo)」はドルビー・ラボラトリーズ・ライセンス・コーポレーション(Dolby Laboratories Licensing Corporation)の商標である。SVA光学トラックのためのドルビーステレオは、2つのSVAトラック上に4つのソースチャンネルの音(左、右、中及びサラウンド)を記録する一種の4:2:4マトリクスシステムである「MP」マトリクスを使って4チャンネルを再生させる。オリジナルのドルビーステレオ・ステレオ光学フォーマットはドルビーAタイプのアナログのオーディオノイズ低減を使ったが、1980年代の半ば、ドルビー・ラボラトリーズは改良されたアナログオーディオ信号処理システムであるドルビー SRを導入した。ドルビーSRは現在、ドルビーステレオ光学サウンドトラックフィルムに使用されている。
【0006】
多重チャネル映画サウンドは、映画「ファンタジア(Fantasia)」の4チャンネルサウンドトラックが画像を持つフィルムと同期する別のフィルム上のそれぞれの光学トラックに運ばれる「Fantasound」と少なくとも同じくらい早く商業的に使われた。次に、1950年代に、様々な「磁気ストライプ」テクニックが導入され、そこでは、多重チャンネルの音が画像を持つフィルムに付けられた磁化可能な素材上の別々のトラックに記録された。
【0007】
通常、70mmの磁気ストライプフィルムは6つの別々のサウンドトラックを持ち、35mmの磁気ストライプフィルムは3又は4つの別々のサウンドトラックを持つ。磁気ストライプのサウンドトラックを備えるほとんどの映画フィルムが各磁気トラックに1つの別々のチャンネルを持つが、1970年代の半ばにリリースされた少なくとも1つのフィルム("Quintaphonic"サウンドによる「トミー(Tommy)」)はマトリクスコード化−通常、左右のトラックが左前、左後、右前及び右後サウンドチャンネルでマトリクスコード化されている−を採用する。3番目の中チャンネルは離散的のままであった。位相に敏感なマトリクスシステムは、マトリクスでコード化されたトラックの間の位相変化に因る音像ワンダーをこうむった。
【0008】
映画「80日間世界一週」のいくつかの版で使用されたパースペクタサウンド(PerspectaSound)の変形として、35mm上の4つの磁気トラックは左、中、右及びサラウンドチャンネル情報を載せている。サラウンド情報に加えて、4番目のトラックは、サラウンドサウンドスピーカの3つのバンクの選択されたバンクにサラウンドサウンドを向けるために副可聴トーンを載せた。PerspectaSoundの初期の形態は、スクリーンの背後においてサウンドを選択されたスピーカへ指向させるために、モノラルサウンドトラック上に副可聴トーン制御を使用した。
【0009】
35mm磁気ストライプフィルムは、35mmドルビーステレオ光学フォーマットが導入された後に時代遅れになった。
【0010】
1970年代に導入されたドルビーステレオの別のバージョンでは、ドルビーノイズ低減は70mm磁気ストライプ映画フィルムの6つの離散的オーディオトラックのうちの4つに適用された。このドルビーステレオフォーマットの特徴として、トラック1及び2(フィルムの左エッジと、左側の繰出し孔の間に位置する磁気ストライプに記録される)はそれぞれ、左メインスクリーンチャンネルと、低周波だけの「低音拡張」情報を持ち、トラック3(左側の繰出し孔と画像の間に位置する磁気ストライプに記録される)はセンターメインスクリーンチャンネルを持ち、トラック4(画像と右側の繰出し孔の間に位置する磁気ストライプに記録される)はまた低周波だけの「低音拡張」情報を持ち、そして、トラック5と6(右繰出し孔とフィルムの右エッジの間に位置する磁気ストライプに記録される)はそれぞれ右メインスクリーンチャンネルと単一のサラウンドチャンネルを持つ。ドルビーノイズ低減は低音拡張情報に適用されない。
【0011】
70mmの磁気サウンドトラック映画フィルムのドルビーステレオの変形として、1つのサラウンドチャンネルに代えて、2つのサラウンドチャンネル(「スプリットサラウンド」又は「ステレオサラウンド」と呼ばれている)が与えられる。トラック1、3、5、および6は従来の70mmドルビーステレオと同じであるが、中間波及び高周波左サラウンド情報は(ドルビーノイズ低減がなされて)低周波低音情報と(ドルビーノイズ低減がなされて)伴にトラック2に記録され、中間波及び高周波右サラウンド情報は低周波低音情報と伴にトラック4に記録される。劇場で再生すると、トラック2と4に関する中間波と高周波ステレオサラウンド情報はそれぞれ、トラック6からのモノラルサラウンド低音情報に結合されて左右のサラウンドスピーカへ供給される。70mmドルビーステレオのこの変形は、今は「5.1」チャンネル(時として6チャンネルと呼ばれる)、即ち、左、中及び右メインスクリーンチャンネル、左右サウンドチャンネル並びに低周波低音拡張(LFE)又は「サブウーファ」チャンネルとしてよく知られている構成の初期形態であった。LFEチャンネル−これは他の全バンド幅チャネルよりはるかに少ない情報を運ぶ−はここでは「0 . 1」チャンネルと呼ばれる。
【0012】
アナログサウンドトラックの忠実度におけるこれらの進歩にもかかわらず、フィルムサウンドトラックにおいて、70mm磁気サウンドトラックフィルムの高い費用と35mm光学サウンドトラックフィルムに使われるマトリクス技術の知覚された制限のため、デジタルコード化の候補が長い間考慮されていた。1992年に、ドルビー・ラボラトリーズは35mm映画フィルムのためにドルビーデジタルの光学サウンドトラックフォーマットを導入した。ドルビーデジタルはドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションの商標である。5.1チャンネル(左、中、右、左サラウンド、右サラウンド、およびLFE)サウンドトラック情報は、ドルビー・ラボラトリーズのAC-3知覚コード化理論体系を使うことでデジタルコード化される。そのコード化された情報は次に、フィルムの片側に沿ったフィルムの繰出し孔の間に光学的に印刷されたシンボルのブロックとしてコード化される。アナログSVAトラックは互換性のために保有される。ドルビーデジタル35mmフィルムフォーマットの細目は米国特許5,544,140、5,710,752、および5,75,7465で詳しく説明されている。ドルビーAC-3知覚コード化理論体系の基本的要素は米国特許5,583,962に詳しく説明される。ドルビーAC-3の実用的なインプリメンテーションの詳細は、1995年12月20日の米国テレビジョン・システムズ・コミッティ(Television Systems Committee:ATSC)のドキュメントA/52「デジタル・オーディオ圧縮基準(AC-3)」(インターネットのワールドワイドウェブ<www.atsc.org >又は<www.dolby.com >で入手利用可)に詳しく説明されている。ドルビーデジタルシステムは、35mmの光学サウンドトラックフィルムの低価額と互換性を保持したまま、70mm磁気サウンドトラックフィルムのチャンネル離散を通常提供する。
【0013】
次に、1993年に、ソニーは35mmの映画フィルムのためのソニーダイナミックデジタルサウンド(SDDS)フォーマットを導入した。SDDSシステムでは、ソニーのATRAC知覚コード化を使用して、「7.1」チャンネル(ときとして8チャンネルと呼ばれる)(左、左中、中、右中、右、左サラウンド、右サラウンド、およびLFE)サウンドトラック情報はデジタルコード化される。そのコード化された情報は次に、フィルムの各エッジと最も近い繰り出し孔の間に光学的に印刷される帯状のシンボルとしてコード化される。ソニー、ソニーダイナミックデジタルサウンド(Sony Dynamic Digital Sound)、SDDS、およびATRACは商標である。ソニーSDDSシステムのいくつかの細部が米国特許5,550,603、5,600,617と5,639,585で詳しく説明される。
【0014】
また1993年に、デジタル・シアター・システムズ・コーポレーション(Digital Theater Systems Corporation: DTS))は、5.1チャンネルサウンドトラック情報(左、中、右、左サラウンド、右サラウンド、およびLFE)の知覚コード化を用いてコード化されたCD-ROMに対して画像を同期させるために、35mmの映画フィルムが時間コードトラックを載せるという別の分離メディアデジタルサウンドトラックシステムを導入した。DTSは商標である。DTSシステムのいくつかの細部が米国特許5,155,510、5,386,255、5,450,146と5,451,942で詳しく説明される。ドルビーデジタル、ソニーSDDS、およびDTSシステムの詳細は「Mlx」1995年10月、第116、117、119、121および122ページ、ラリーブレークによる「シネマにおけるデジタルサウンド」に詳しく説明されている。
【0015】
図1は、ドルビーデジタル又はDTS5.1チャンネルシステムを使う典型的な劇場10のための理想化されたスピーカ配置を示す。左チャンネルサウンドトラックLは左のスピーカ12に適用され、中チャンネルサウンドトラックCは中スピーカ14に適用され、右チャンネルサウンドトラックRは右スピーカ16に適用され、これらの全てのスピーカは映画スクリーン18の後に位置する。これらはメインスクリーンチャンネルと呼ばれることもある。左サラウンドチャンネルLSは劇場の左の壁22の後部部に示される左サラウンドスピーカ20に適用される。右サラウンドチャンネルRSは劇場の右の壁26の後部に示される右サラウンドスピーカ24に適用される。通常実際には、劇場の左側壁に沿って離間して配設された複数の左サラウンドスピーカが存在し、最初のスピーカは劇場の前部と後部の間のほぼ中間位置にあり、そしてスピーカは後部壁28に達し、次に、後部壁に沿って後部壁の中点の近くの位置まで配設される。右サラウンドスピーカは、左サラウンドスピーカと鏡像関係になうように、右側壁と後部壁に沿って配設される。さらに、無指向性低周波サウンドを運ぶ低周波効果(LFE)又は「サブウーファ」スピーカ(図示省略)は通常スクリーン18の後ろに位置するが、ほかの場所に位置させることもできる。簡単に表示するために、いずれのLFE又は「サブウーファ」スピーカも図面において省略する。
【0016】
図2はソニーSDDS7.1チャンネルシステムを使う典型的な劇場l0のために理想化されたスピーカ配置を示す。その配置は、ソニーSDDSシステムが2個の追加メインスクリーンチャンネル、即ち、左中スピーカ13に適用される左中チャンネルLCと、右中スピーカ15に適用される右中チャンネルRCを提供するという例外を除き、ドルビー及びDTSシステムに関して図1に示すものと同じである。
【0017】
すべての3個のデジタル映画サウンドシステムは少なくとも3個の離散的なメインスクリーンチャンネルと2個の離散的なサラウンドサウンドチャンネルを提供する。2サラウンドサウンドチャンネルは、ほとんどの多重チャネル発声映画に関して創作者と聴衆を満足させるのに十分であるが、それにもかかわらず、いくつかの映画のために2以上のサラウンドサウンドチャンネルに関する願望がある。
【0018】
2以上のサラウンドサウンドに対する願望は、7.1チャンネルソニーSDDSシステムに追加サラウンドサウンドチャンネルを与えるアプローチを開示した2つの米国特許(第5,602,923号と5,717,765号)に向けられる。これらの特許は、SDDSシステムが「8チャンネルの情報を得るために現在の映画技術のバンド幅限界を取り払う」ものであり、「メイン又はサラウンド通信路の帯域幅が犠牲にされない場合、追加トラックは従来の映画フィルムで利用可能な現在の実用的なバンド幅を超えている」と指摘する。
【0019】
上記米国特許第5,602,923号と5,717,765号は、それぞれのサラウンドチャンネルの情報のすべて又は一部を標準の左サラウンドスピーカ及び右サラウンドスピーカから聴衆及び映画スクリーン上のスピーカに向けるために1つ以上の超高周波トーンを左サラウンドと右サラウンドチャンネルに追加する。しかしながら、その手法の短所は、サラウンドサウンドスピーカの2以上のバンクのそれぞれから同時に異なったサラウンドサウンドチャンネルを再生することができないことである。言い換えれば、それらのチャンネルを生じるスピーカの位置を変えることができるかもしれないが、いかなる時にも、可能なサラウンドサウンドチャンネルは2つしかない。
【0020】
レイモンド・イー・キャァラハンとローン・アール・アレンにより1998年5月5日に出願されて本願の譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第09/072,707号、発明の名称「離散デジタルサウンドフォーマットにおけるマトリクスコード化サラウンドサウンドチャンネル」において、ドルビーデジタル、ソニーSDDS、およびDTSのデジタルサウンドトラックシステムの現在のフォーマット内で2個以上のサラウンドサウンドチャンネルを提供する解決方法が詳しく説明されている。ここにおいて図3(そして前記出願においても図3)で示される前記出願の好ましい実施形態は、3つのサラウンドチャンネルを用いた典型的な劇場10のための理想化されたスピーカの配置を示す。図3には3個のメインスクリーンスピーカチャンネル(L、C、およびR)だけを示すが、図2の方法のように5個のメインスクリーンスピーカチャンネル(L, LC, C, RC, R)を使用できることが理解される。ドルビーデジタル、ソニーSDDSまたはDTSのデジタルサウンドトラックデコーディング装置からの左サラウンドと右サラウンドチャンネルオーディオストリームは、そのLTS(左総サラウンド)とRTS(右総サラウンド)入力として2:3マトリクスデコーダ32に適用される。この場合、左総サラウンドと右総サラウンドチャンネルオーディオストリームはそれぞれ、ドルビーデジタル、ソニーSDDSまたはDTSのデジタルサウンドトラックの制作の前に左サラウンド(LS)、右サラウンド(RS)及び後サラウンド(BS)可聴周波入力でコード化される3:2のマトリクスである。言い換えればLS、RS、およびBS可聴周波入力は2つのサラウンド可聴周波入力にコード化される3:2マトリクスであり、そして、それらの2つのサラウンド可聴周波入力が、メインスクリーンとLFE入力と共に、通常のドルビーデジタル、ソニーSDDSまたはDTSのデジタルサウンドトラックエンコーディング・リコーディング装置(図示省略)に適用される。デコーダ32からの3個の復号されたサラウンドサウンドチャンネルLS、RS、およびBSはそれぞれ左サラウンドスピーカ34、右サラウンドスピーカ38、および後サラウンドスピーカ36に適用される。サラウンドスピーカの位置は理想化された位置に示される。実際には、通常の劇場の前部と後部のほぼ中間位置から始まり後部壁28に達する劇場の左側壁に沿って離間して設けられた複数個の左サラウンドスピーカがある。複数個の右サラウンドスピーカが、左サラウンドスピーカの配置と鏡像関係に、右側壁に離間して配設され、後サラウンドスピーカは劇場の後部壁28に離間して配設される。
【0021】
本発明以前の実施においては、図3の環境における2:3マトリクスデコーダ32は、米国特許第4,799,260号に説明されかつインターネットの<www.dolby.com>から入手可能で、また、ドルビー・ラボラトリーズ・インーポレーティッドによって発行番号S93/8624/9827として配付されているロジャー・ドレスラーによる「ドルビープロロジックサウンドデコーダの作動原理」(また、以下の説明を参照)に説明されている2:4アクティブ(能動)MPマトリクスデコーダ(「MP」はドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションの商標)の左(L)、中(C)、および右(R)入力を使用していた。どの信号も「S」エンコーダ入力に適用されない。この復号化形態を用いる需要家のデコーダは、ドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションの商標を持つ。この復号化形態を使うドルビー・ラボラトリーズ・インーポレーティッドによって製造されたプロ用のシネマプロセッサはドルビーCP45、ドルビーCP65、およびドルビーCP500シネマプロセッサを含む。また、プロセッサデコーダのデジタルバージョンは公知である−例えば、デジタルで実行されるプロロジックアクティブマトリクスデコーダについて説明する米国特許第5,642,423号と第5,818,941号を参照されたい。
【0022】
図4は、従来技術の4:2MPマトリクスパッシブ(リニアタイム不変)エンコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。エンコーダは4つの別々の入力信号、即ち、左、中(中央)、右、およびサラウンド(L、C、R、S)を受け、2つの最終出力である左合計、および右合計(LtとRt)を創成する。C(中)入力は等しく分割され、一定の音響パワーを維持するためにレベルが3dB低減された(減衰器44で低減される)L(左)とR(右)入力と(コンバイナ40,42内でそれぞれ)合計される。レベルが低減されたC入力とそれぞれ合計されたLとR入力は、各径路における、第1コンバイナ(40と42)と2番目のセットのコンバイナ50,52の間に位置するそれぞれの同じ全域通過回路網46,48で位相をずらされている。サラウンド(S)入力もまた、3dBのレベル低減(減衰器54で行われる)がなされ、第3全域通過回路網60に接続されたLtとRtの間において等しく分配されているが、S入力はまた、ブロック56での以下の追加の2つの処理ステップ(順不同)を受ける。
a.100Hzから7kHzまでの周波数帯域制限(帯域通過フィルタリング)と、
b.ドルビーBタイプノイズ低減の変更された形態でのコード化。
【0023】
ブロック56の出力は、Lt出力を作り出すためにコンバイナ50において、位相がずらされたL/C径路と合計され、また、Rt出力を作り出すためにコンバイナ52において位相がずらされたR/C径路から引き算される。したがって、サラウンド入力Sは反対の極性でLtとRt出力へ供給される。さらに、サラウンド信号Sの位相はLCR入力に対しておよそ90°である。サラウンドが他の入力より進もうと、または遅れようと、それは重要ではない。原則として、サラウンド径路において1つの位相偏位ブロック、例えば、-90°、だけあればよく、その出力は、他の信号経路、1つは同相(例えば、Lt)で、他方は位相外れ(逆位相)(例えば、Rt)のものと合計される。実際には、図4に示すように、90°の移相器は実現できず、それで3つの全域通過回路網が使用される。すなわち、3つの全域通過回路網のうちの2つは中チャンネル合計器と、サラウンドチャンネル合計器との間の経路にある、同一のものであり、第3の全域通過回路網はサラウンド径路におけるものである。これらの回路網は、第3のものの非常に大きい位相偏位が、最初の2つのものの位相偏位(これも非常に大きい)よりもおおよそ90°大きくなるように設計される。
【0024】
左合計(Lt)と右合計(Rt)のコード化された信号をそれぞれ次のように表すことができる。
Lt = L + 0.707C + 0.707jS'
Rt = R + 0.707C - 0.707jS'
ここで、Lは左入力信号、Rは右入力信号、Cは中入力信号、S’はバンド限定的な、ノイズ低減コード化されたサラウンド入力信号Sである。この書類中の上の方程式と他の方程式において、jを含む項(0.707jS'等)は他の項に対して90°位相がずれた信号を表す。
【0025】
読者は、0.707が2の平方根の逆数であり、3dBの減衰を表すことを理解できるであろう。以上のように、左サラウンドと右サラウンドトラックが3個のサラウンドサウンドチャンネルでマトリクスコード化されるデジタルサウンドトラックを製作する際に、MP4:2エンコードマトリクスは、好ましくは、エンコードマトリクス「S」入力にどのような入力も適用せずに3:2マトリクスとして使用される。その結果、MP3:2エンコードマトリクスは以下の関係によって定義される。
【0026】
【式1】
【式2】
ここで、Lは左チャネル信号、Rは右チャネル信号、Cは中チャネル信号であり、Sはサラウンドチャンネル信号である。したがって、マトリクスエンコーダ出力信号は3つのソース信号の加重和である。LTとRTはマトリクス出力信号である。
【0027】
パッシブ(受動)MP2:3復号マトリクスは以下の関係によって定義される。
【0028】
【式3】
【式4】
【式5】
ここで、L'は復号された左チャネル信号、R'は復号された右チャネル信号、C'は復号された中チャネル信号を表す。このように、マトリクスデコーダは、3:2エンコーダマトリクス出力信号LTとRTの加重合計から出力信号を形成する。
【0029】
3:2:3マトリクス配置の既知の短所に因り、復号化マトリクスからの出力信号L'、C'、R'、S'はコード化マトリクスに対する対応4入力と全く同じでない。これは式1及び2からのL、C、およびRの荷重値を式3乃至5に代入することによって容易に実証される。
【0030】
【式6】
【式7】
【式8】
【0031】
クロストーク成分(L'信号などにおける0.707C)は望まれないが、基本的3:2:3マトリクステクニックの制限である。2:3MPマトリクスデコーダの性能を向上させるための好みの手法は、プロロジックデコーダとして知られているアクティブマトリクスデコーダの基本要素に向けられる米国特許4,799,260に詳しく説明される。
【0032】
上にまさしく示されるように、パッシブデコーダは、オーディオマトリクスにおけるその固有のクロストーク制限に因り、全ての聴衆の位置に対して正確にサウンドをくばる能力が制限される。ドルビープロロジックのアクティブデコーダはそのようなクロストーク成分を減少させる指向性向上技術を使う。アクティブサラウンドデコーダの使用は本発明にとっても好ましい。
【0033】
図5は、ドルビーMPマトリクスコード化信号を復号するのに適当な従来技術のパッシブ(受動)サラウンドデコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。その操作を理解することはドルビープロロジックの有効なデコーダを理解するのに必須である。パッシブマトリクスデコーディングプロセスの本質は簡単なL-R差動増幅器である。Lt入力信号は変更されずに通過して左の出力になり、Rt入力信号は同様に右出力になる。また、LtとRtは中信号を運ぶので、その中信号は左右のスピーカ間の「仮想」イメージとして聞かれ、そして、ステレオ音場を横切ってどこかでミックスされたサウンドはそれらの適切な遠近関係で提示されるであろう。中(中央)スピーカは、中信号を再生させるのに必要でないので、オプションとして示される。デコーダにおけるL-R段階では、LtとRtの差を取ることによってサラウンド信号を検出して、次にその信号を7kHzのローパスフィルタ、遅延線、および補足的な変更されたドルビーBタイプノイズ低減に通すであろう。また、サラウンド信号は左右のスピーカによって再生されるが、イメージを拡散させる位相外れとして聞かれるであろう。復号されたサラウンドサウンド信号を適切に再生させるために、サラウンド信号は通常、リスナの横及び/又は後に位置する1個以上のサラウンドスピーカによって再生される。この従来技術のパッシブドルビーMPマトリクスデコーダを以下に説明する本発明の実施の形態に使用することができるが、マトリクスデコーダを必要とする本発明の実施の形態は、ドルビープロロジックマトリクスデコーダなどのアクティブマトリクスデコーダを使うことが好ましい。
【0034】
再び図5を参照すると、LtおよびRt入力はコンバイナ68とコンバイナ70に与えられ、コンバイナ68はこれらの入力を合計してオプションの中信号Cを作り出し、コンバイナ70はLからRを差し引く引算をしてサラウンド信号(S)を作り出してアンチエリアジングフィルタ72、オーディオ時間遅延74(これは、時間遅延セット76によって制御される)、7kHzローパスフィルタ76、および変更されたBタイプNR(ノイズリダクション)デコーダ78を通過させる。
【0035】
プロロジックアクティブマトリクスデコーダでは、関連する2組の制御信号は、可変マトリクスを制御するために作り出される。一組の制御信号、即ち、左右支配制御信号FL、FRはそれぞれ、2つの入力チャネル信号LT、RTの絶対値の比(即ち、|LT|/|RT|、|RT|/|LT|)によって制御され、もう片方の組、即ち、中/サラウンド支配制御信号、FC、FSは、2つの入力チャネル信号の合計と差の絶対値の比によって制御される。一度に各組の制御信号の1つだけが休止状態から変化することができる。4つのすべての制御信号が休止状態にあるとき、前記可変マトリクスは、従来のパッシブMPマトリクスと同じ特性を持つ固定マトリクスとなる。他の条件において、復号化マトリクスは、分離機能を改善させて復号した出力チャネルを作るために制御信号によって変更、即ち「操作」される。
【0036】
主要な方向(0度、90度、180度、および270度、米国特許第4,799,260号の図2A参照)のうちのただ1つの方向から来る単一音源の場合、その主要な方向に対応するF制御信号だけがその休止状態の値から変化する。もちろん、音源は360°回ったどこからでも来ることができ、その場合、「FL、FR」組の「F」項の1つはその休止状態の値を脱し、同じく「FC、FS」組の「F」項の1つもその休止状態の値を脱する。したがって、2つの「F」制御信号が同時に動くことができる。ただし、それらが異なった「F」制御信号の組にあるときだけである。多くの方向から来る複数音源があるとき、また、同じ結果である。その場合、各組の支配音源が制御する。
【0037】
同じ音を、一般に同じ極性(位相)で左右両方のサラウンドチャンネルに等しく与えることは、ドルビーデジタル及びDTS5.1チャンネルサウンドトラックとソニーSDDS7.1チャンネルサウンドトラックの準備においては共通した方法である。以下に時として単に「5.1/7.1」と呼ぶ通常の5.1又は7.1チャンネル再生(即ち、順次2バンク以上のサラウンドスピーカに与えるマトリクスデコーダに与える代わりに、2バンクのサラウンドサウンドスピーカに直接与えられる2つのサラウンドチャンネル)で、この音はすべての(すなわち、両方の)バンクのサラウンドスピーカから再生される。しかしながら、図3の環境におけるように、3バンクのサラウンドスピーカに送るプロロジックアクティブマトリクスデコーダで音が復号されるとき、その音は、アクティブマトリクスデコーダが同一の同相の信号をサラウンドサウンドスピーカの後バンクに「導き」、その結果、サウンドトラックプリペアラーの意図をくじくので、サラウンドスピーカの後バンクだけから現れる。プロロジックデコーダにおいて、この条件、即ち、LT−RTに対するLT+RTの優位性により、FC制御信号をその休止状態の値を脱し、その結果、信号を「中」出力(これは後サラウンドスピーカに接続されている)に導くようにマトリクスを変える。サウンドトラックプリペアラーが同じ音であるが、位相はずれ(極性が反対)の音を左右両方のサラウンドチャンネルに等しく入れることによりこの問題を克服しようとするならば、アクティブマトリクスデコーダは信号を4番目の出力にのみ提供する(4番目の出力は、図3の環境では用いられておらず、又は、他の応用例においては、オーバーヘッドスピーカなどの別のバンクのスピーカと結合されるかもしれない)。プロロジックデコーダでは、この条件、即ち、LT+RTに対するLT−RTの優位性により、FC制御信号をその休止状態の値を脱し、その結果、信号を「望ましくない」サラウンド(S)出力に導くようにマトリクスを変える。パッシブMPマトリクスデコーダは、同相又は異相のサウンドが受信されるとき、これらの問題で苦しむことはないが(パッシブMPマトリクスデコーダは両方の位相条件に対して4つの全ての出力において同じ信号を供給するであろう)、パッシブデコーダの使用は、隣接チャネルの間のその固有のクロストークのために望ましくない。
【0038】
アクティブマトリクスデコーダの導入は、同じサウンドを等しい振幅でそのデコーダの入力に、その一方の入力を他方の入力に対して「非相関化」して与えるとき、無効にされるかもしれないことが知られている。位相シフティング、櫛形フィルタリング、時間遅延、及びピッチシフティングを含めて、様々なオーディオ信号非相関化技術は従来技術で知られている。位相シフトに関して、2つの同じ入力の1つをもう片方に対して位相を90°ずらすことによってアクティブマトリクスデコーダをパッシブデコーダにして、アクティブマトリクスデコーダを無効にできることが知られている(ドルビープロロジックデコーダの場合に、入力の絶対値は同じなままで残っていて、左右の制御信号をそれらの休止状態の値に保ち、2つの入力の合計と差の絶対値が同じになって、その結果、また、中及びサラウンド制御信号をそれらの休止状態の値に保っている)。
【0039】
その問題に対する本発明者によって発想された1つの解決法は、相対的に位相が90°ずれた入力信号を両方のエンコーダ出力に与えるような、例えば、「すべてのサラウンド」に指定される追加入力をエンコーダに加えることであったかもしれない。そのようなエンコーダは、一方、3か4つの従来の入力(したがって、対応するアクティブ又はパッシブデコーダ出力)間の信号のパニングを許容するが、また他方、ミキシングコンソールから異なったミキシング実施、余分な接続、および送りを必要として、従来の入力と「すべて」入力の間での滑らかなパニングを許容しないであろう。したがって、そのような解決法は非実用的であろう。
【0040】
本発明の前に知られていたその問題への別の潜在的な解決法は、1つの入力径路においてもう片方の入力経路に対して90°の位相ずれを供給するのによって、MPマトリクスエンコーダを変更することである。例えば、2つの追加の全域通過回路網を挿入、即ち、1つをコンバイナ40と全域通過フィルタ46の間、もう1つをコンバイナ42と全域通過フィルタ48の間に挿入するのによって、上で説明された図4の従来技術エンコーダを変更することである。代わりに、それぞれ新しい全域通過フィルタをそれぞれ左右の入力とコンバイナ40、42の間に挿入することである。上で述べたように実際には90度移相器は非現実的であるので、非常に大きい位相偏位がある全域通過回路網が使用されている。全域通過回路網は、一方の非常に大きい位相偏位がもう片方のもの(これもまた非常に大きい)よりも90°大きいかあるいは小さく設計される。しかしながら、問題は、後(中)サラウンドチャンネルと左右のチャンネルの間の非常に大きい位相差のために、左と後、又は右と後の間のパニングが(アクティブ又はパッシブマトリクスデコーダを使用して復号される否かに関係なく)もはや可能でないことである。
【0041】
上記問題へのより一層の潜在的解決法は、入力径路で別のタイプの非相関化(例えば、櫛形フィルタリング、動作遅延またはピッチシフト)を使うことによってMPマトリクスエンコーダを変更することである。しかしながら、そのような非相関化テクニックは、パニングの際に、変化したスペクトル(櫛形フィルタリング又は櫛形フィルタ効果を生じさせる時間遅延の場合)又は可聴ビート(ピッチシフトの場合)をもたらし、同じ入力信号がLSとRS入力に適用されるときにいくつかの信号条件に関してアクティブマトリクスデコーダをその非誘導パッシブマトリクスモードからそらせ、その結果、そのような替わりの非相関化テクニックを望ましくないものにするであろう。
【0042】
従って、標準の5.1チャンネル及び7.1チャンネルシステムにおける従来の2サラウンドチャンネル再生と互換性を持つと共に、同じ信号をすべてのサラウンドサウンドチャンネル(「すべてのサラウンド」結果物)に送らせることをサウンドトラックプリペアラーにさせ、かつ、3サラウンドサウンドチャンネルを提供するためにアクティブマトリクスデコーダを使う構成において3マトリクス復号サラウンドサウンドチャンネル間でパンする能力を保持できるような、ドルビーデジタル、ソニーSDDS、およびDTSデジタルサウンドトラックシステムの現在のフォーマット内での3サラウンドサウンドチャンネルを提供する、満たされていない要求がいまだ存在する。
【0043】
米国特許第5,594,800号のマトリクス再生デコード手段は、n2スピーカに代えてn1スピーカ(n2>n1)で再生することを意図した再生である。この従来技術の目的は、「n1スピーカでの再生のためにステレオコード化された」信号を取り込み、かつ、「n2スピーカでの再生のためにステレオコード化された」変更信号を生成する「変換マトリクス」を定義することである。
【0044】
【発明の開示】
本発明の目的は、2つのサラウンドサウンドチャンネルだけを提供するように設計したデジタルサウンドトラックシステムの構成内において、アクティブマトリクスデコーダを用いると共に、サラウンドを同時にすべての3サラウンドサウンドチャンネルに提供する能力を有する3サラウンドサウンドチャンネルを提供するである。
【0045】
本発明の目的はまた、2つのサラウンドサウンドチャンネルだけを提供するように設計したデジタルサウンドトラックシステムの構成内において、アクティブマトリクスデコーダを用いると共に、サラウンドを同時にすべての3サラウンドサウンドチャンネルに提供する能力を有しかつ標準の5.1チャンネル及び7.1チャンネルシステムにおいて両方のサラウンドサウンドチャンネルに同時にサウンドを送るという互換機能を保持する3サラウンドサウンドチャンネルを提供することである。
【0046】
本発明のさらなる目的は、2つのサラウンドサウンドチャンネルだけを提供するように設計したデジタルサウンドトラックシステムの構成内において、アクティブマトリクスデコーダを用いると共に、サラウンドを同時にすべての3サラウンドサウンドチャンネルに提供し3サラウンドサウンドチャンネル間でサウンドをパンする能力を有する3サラウンドサウンドチャンネルを提供することである。
【0047】
本発明のさらなる目的は、2つのサラウンドサウンドチャンネルだけを提供するように設計したデジタルサウンドトラックシステムの構成内において、アクティブマトリクスデコーダを用いると共に、サラウンドを同時にすべての3サラウンドサウンドチャンネルに提供し3サラウンドサウンドチャンネル間でサウンドをパンする能力を有しかつ標準の5.1チャンネル及び7.1チャンネルシステムにおいて2つの従来のサラウンドサウンドチャンネル間でパンする互換機能を保持する3サラウンドサウンドチャンネルを提供することである。
【0048】
これらの目的は、請求項1に記載のオーディオエンコーダによって達成される。発明の好ましい実施の態様は従属項の主題である。
【0049】
本発明によると、標準の5.1チャンネル及び7.1チャンネルシステムにおける従来の2サラウンドチャンネル再生と互換性を持ち、サウンドトラックプリペアラーに同じ信号をすべてのサラウンドサウンドチャンネルへ送らせ、かつ、3サラウンドサウンドチャンネルを与えるためにアクティブマトリクスデコーダを使う構成において3マトリクス復号サラウンドサウンドチャンネル間でパンする能力を保持するように、ドルビーデジタル、ソニーSDDS、およびDTSデジタルサウンドトラックシステムの現在の構成内の3サラウンドサウンドチャンネルが与えられる。
【0050】
発明のこれら及び他の目的、利点と、特徴は本明細書、図面、および請求項を考慮することにより当業者にとって明らかになるであろう。
【0051】
本発明の最初の形態によると、オーディオエンコーダは、入力1、入力2、および入力3の少なくとも3つのオーディオ信号入力と、出力1と出力2の少なくとも2つのオーディオ信号出力を有する。また、オーディオエンコーダはオーディオマトリクスを含んでおり、このマトリクスは、入力1与えられた信号を実質的に出力1のみに送り、入力2に与えられた信号を実質的に出力2のみに送り、入力3に与えられた信号を実質的に等しく出力1と2に送り、これらの出力における信号は、オーディオスペクトルの少なくとも一部に渡って、第3入力から得た出力の位相に対して第1及び第2入力から得た信号の位相が反対方向に実質的に45°ずれているという位相関係を持つ。
【0052】
発明の第1形態が、アクティブサラウンドマトリクスデコーダを介してサウンドを後に再生して3つのスピーカ又はスピーカバンク(聴衆の左後、後及び右後)に流すためにサウンドをコード化するためのものであるとき、第1及び第2信号入力はそれぞれ左と右サラウンド信号の入力を構成し、第3信号入力は後サラウンド信号の入力を構成し、第1信号出力は左総サラウンド信号出力を構成し、第2信号出力は右総サラウンド信号出力を構成する。
【0053】
したがって、同じ信号が左サラウンドと右サラウンド入力に適用されるとき、その同じ信号は左総出力及び右総出力信号によって作り出されるが、出力の間に90°の位相ずれがある。図3の環境などで、3サラウンドチャンネルアクティブマトリクス再生方式は信号をすべての3個のサラウンドチャンネルに渡すだろう(プロロジックアクティブマトリクスデコーダは上で説明されるようにその信号入力条件のためにパッシブマトリクスデコーダとして機能する)。従来の5.1又は7.1チャンネル再生は左総信号と右総信をそれぞれ、左サラウンドと右サラウンドに配送する。
【0054】
本発明のエンコーダは、デコーダの左サラウンドと右サラウンド入力に適用される入力信号から生じる出力信号間の90度の相対位相ずれを与えると共に、左サラウンドか右サラウンド入力及び後サラウンド入力に適用される入力信号から生じる出力信号間で+45°又は-45°の相対位相ずれを与える。これは5.1/1.7互換「総サラウンド」アクティブマトリクス復号結果を達成することを可能にすると共に、同時に、3つのフロントチャンネル間の3チャンネルパニングが従来技術のドルビーステレオ4:2:4マトリクス再生において達成された方法と基本的に同じ方法で左、右及び後サラウンドチャンネル間で左から後へ、右へとパンする能力を与えることができる。このパニング能力も従来の5.1/7.1再生と互換性を有する。「パニング」は信号を1つのサラウンドサウンドチャンネル及び1つのサラウンドスピーカまたはサラウンドサウンドスピーカバンクだけに提供する能力を含んでいる。後入力を省略して左から右へパニングすることは、サウンドをすべてのスピーカを介して左から右だけへスムーズに動かすだろう。
【0055】
したがって、本発明に従ったエンコーダは、ドルビープロロジックアクティブマトリクスデコーダが用いられている図3などの環境で以下の結果を引き起こす。
a)いずれのエンコーダ入力が信号により単独で送られるとき、その信号はマトリクスデコーダの対応する出力からのみ現れるように操作されるだろう、
b)後サラウンド(BS入力)上の信号で送られるとき、エンコーダは位相ずれのない同じ出力LTSとRTSを配送し、デコーダに後出力だけを操作する(これは上のa)の特別な場合である)、
c)LS及びRS入力上の同じ入力信号で送られるとき、エンコーダは位相が90°ずれた出力LTSとRTSを配送し、デコーダにいずれも操作しない基本パッシブマトリクスモードを採用させて信号をすべての出力に導かせる、
d)LSからBS又はBSからRSへパンされる信号で送られるとき、LTSとRTS信号のBS信号成分と、それらの信号のLSとRS信号成分との位相差が3つの信号の中で、比較的高度な相関関係を保持し、したがって、パンは、聞く上で好ましくない副作用(ビート又は櫛形フィルタリング効果等)もなく、従来技術MPマトリクスエンコーダによって作り出されたパンと同様に復号される(そのような望ましくない成果物は、本発明の非相関化技術以外の非相関化技術を採用したときにパニングの間に生じる2つの信号をミキシングすることによって引き起こされることに留意されたい)。
【0056】
したがって、エンコーダにおいてLS、RS、およびBS間で適切に選択された位相ずれを使うことによって、同じ入力に対する非相関化(「操作がないこと」)が提供されると共に、重要な副作用を生じることなく、左と後の間、または右と後の間を含み、完全なパニングを与える。
【0057】
本発明の第2の実施形態によれば、オーディオをコード化及び復号するシステムは、上述のエンコーダと、デコーダを含み、該デコーダは、適用された2つの信号の位相が相対的に約90°ずれているときに実質的にパッシブマトリクスデコーダとして機能するタイプの2入力アクティブマトリクスオーディオデコーダを含み、該マトリクスデコーダは前記出力1及び出力2から信号を受け取る。
【0058】
さらに本発明の第2の実施形態によれば、オーディオをコード化及び復号するシステムは、上述のエンコーダと、デコーダを含み、該デコーダは、2入力パッシブマトリクスオーディオデコーダを含み、該マトリクスデコーダは前記出力1及び出力2から信号を受け取る。
【0059】
【発明の実施形態】
図6は本発明の1形態に従った新しいMPマトリクスエンコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。エンコーダは3つの別々の入力信号、即ち、左サラウンド(LS)、後サラウンド(BS)、および右サラウンド(RS)を受け付け、2つの最終的な出力、即ち、左総サラウンド(LTS)と、右総サラウンド(RTS)を創成する。Bs入力は等しく分割されて、デコーダの3つの出力間で一定の音響パワーを維持するためにレベルが3dB低減され(減衰器85によって乗数0.707を掛けることにより提供される)、(それぞれコンバイナ80と92で)LSとRSに付加されて合計される。コンバイナ80と82におけるそれらのそれぞれの累和計算(そして、減衰器85によるBsの減衰)の前に、LS入力は第1全域通過回路網86で位相がシフトされ、RS入力は2第2全域通過回路網88で位相がシフトされ、BS入力は第3全域通過回路網84で位相がシフトされる。減衰器85と全域通過回路網84の順番を逆にすることができる。コンバイナ80の出力はエンコーダのLTS出力を与え、コンバイナ82の出力はエンコーダのRTS出力を与える。
【0060】
良く知られているように、それぞれ非常に大きい位相ずれ(何百度も)を通常供給する2つの全域通過回路網は、可聴周波数スペクトルの少なくとも一部に渡って実質的に一定の周波数非依存位相ずれ差を提供するように設計されうる。
【0061】
LTS及びRTS信号は、オーディオスペクトルの少なくとも一部に渡って、BS入力から得られる出力信号の位相に対して、LS及びRS入力から得られる信号の位相がそれぞれ反対方向に実質的に45°ずれているという位相関係を持つことが望ましい。原則として、これは、LS及びRS入力径路でのほぼ+45°とほぼ-45°(この逆でも良い)の位相ずれ及びBS入力径路における位相ずれがないことで達成されるであろう。この理論上の配置は図7で示される。しかしながら、実際には、45°の移相器は実現的ではないので、位相ずれは、信号を3つの位相シフトプロセスに与えて、興味がある周波数帯の少なくともかなりの部分に渡って所望の位相ずれに十分に近い相対位相差を持つ3つの信号を発生させることによって達成される。適当な位相シフトプロセスはネットワーク86、88、および90などの全域通過回路網である。これらの回路網はそれぞれがオーディオスペクトルに渡って非常に大きい位相ずれを供給するように設計されているが、また、典型的なアクティブマトリクスデコーダが位相に最も敏感であるオーディオスペクトルの少なくとも一部に渡って、それらの相対位相ずれが、BS入力径路に対するLs入力径路の+45°の位相ずれと、BS入力径路に対するRS入力径路の-45°の位相ずれ(この逆でも良い)を供給するように設計されている。
【0062】
極めて低いコンピュータ処理能力(デジタル/ソフトウェアの実行の場合)を使用して、1次全域通過フィルタによる1つ又は2つの位相シフトプロセスと、短時遅延だけ(これはまた、全域通過特性を持つ)による別の位相シフトプロセスを実行することで満足できる可聴結果を達成することができる。それぞれの位相シフトプロセスにおいて1つ若しくは2つ以上の一連の全域通過フィルタを加えること、又は、高次全域通過フィルタを用いることによって、より正確な位相シフトを達成することができる。
【0063】
アクティブマトリクスデコーダは、オーディオスペクトルの限界で信号を操作することを防ぐために、それらの制御サーキットリーにバンドパスフィルタを含んでいる。したがって、エンコーダ移相器は、そのデコーダバンドパスフィルタによって通過される周波数、プロロジックデコーダにおいて通常、およそ200Hzからおよそ5kHzまで、内で合理的に正確な位相応答を提供するべきである。位相ずれが、特にアナログの実現における複雑さと費用に関して経済性を有しながら、この周波数領域の外側で理想から離れることは許容される。さらに、デコーダが最も敏感であるこの周波数領域内での+45度と-45度の相対位相ずれは臨界的なものではない。操作動作(アクティブデコーダのパッシブマトリクスモードを脱した可変マトリクス動作)が聴衆にとって顕著に聞こえることがないならば、最適値から変わることは許容できる。頭の後での何らかの操作は、人間の耳が前方で生じているサウンドに対する感度と比べて、後方で生じているサウンドに対して相対的に感度が低いため、聴衆によって知覚されにくい。そのうえ、サラウンドサウンドチャンネルは聴衆には点音源として与えられておらず、より小さい操作動作をさらにマスキングしている。アナログ又はデジタルのものにかかわらず、位相偏位回路網の設計では、一方では費用と複雑さがあり、他方では、周波数に対する位相ずれの不変性、その位相ずれが実現されるバンド幅及び振幅応答特性の平坦性があり、これらの間のトレードオフが存在する。したがって、本発明に従ったエンコーダの実際の実施において、設計目標は、a)平坦な周波数応答、b)合理的に正確な位相ずれ、通常200Hzから5kHzに渡り、おそらく5°又は10°以内、およびc)この範囲の外ではより広い位相応答許容を与える、を達成する。現実的なサーキットは、興味があるバンドの外でレスポンスにおける重大なエラーを与えるほど位相シフトを不正確にしそうにない。
【0064】
虚数jで90°のずれを表わし、+45°のずれは0.707(1+j)を掛けることを表し、-45°のずれは0.707(1-j)を掛けることを表す。したがって、(エンコーダを実現するために必要である実用的な全域通過回路網によって必要とされる大きい位相ずれよりむしろ)相対位相について言及すると、コード化を以下のように表すことができる。
LTS = 0.707(1-j)LS + 0.707BS
RTS= 0.707(1+j)RS + 0.707BS
【0065】
アナログステレオ光学サウンドトラックに既に共通して使用されているタイプのアクティブデコーダを与えるこのエンコーダは、エンコーダ入力の1つを与えることによってスピーカバンクのうちのいずれか1つからサラウンドソースを配送するだろう。ソースがLSとRS入力に同相又は逆極性で与えられると、そのソースはすべてのサラウンドスピーカから現れるだろう。ソースをたとえば、左から右へ、後へパンすることはソースを左から後へ、次に後から右へパンすることを必要とする。後入力を省略した左から右までのパニングはサウンドをすべてのスピーカを介して左だけから右だけまでスムーズに動かすだろう。いずれの場合も、LTSとRTSの合計は、たった2つのサラウンドスピーカバンクを用いることで、従来の5.1チャンネル又は7.1チャンネル再生と互換性を有する。
【0066】
図8は本発明の別の形態に従ったシステムの機能ブロックダイヤグラムであり、図6の実施形態で説明される新しいMPマトリクスエンコーダをアクティブマトリクスデコーダと組み合わせて示す。エンコーダのLTSとRTS出力は、アクティブ(能動)MPオーディオマトリクスデコーダ94によって復号するために、ドルビーデジタル、ソニーSDDSとDTSのデジタル映画サウンドトラックシステムの3つのうちのいずれか(または、将来のデジタル映画サウンドトラックシステム)における右サラウンド及び左サラウンドチャンネルによって運ばれる。それぞれのデジタルサウンドトラックシステムのための適切なコード化及び復号はエンコーダとデコーダの間の径路で使われることが理解されるだろう。上で議論したように、パッシブマトリクスデコーダとして上で議論した入力信号位相の条件の下で作動するならば他のアクティブマトリクスデコーダも使用可能であるかもしれないが、望ましくは、アクティブマトリクスデコーダはプロロジックデコーダである。LS、BS、およびRS出力は、図3の環境のように、それぞれのサラウンドスピーカ又はスピーカバンクに適用される。
【0067】
図9は、本発明の図7に示すものと同じ形態に従ったシステムの機能ブロックダイヤグラムであり、図6の実施形態で説明される新しいMPマトリクスエンコーダをパッシブマトリクスデコーダと組み合わせて示す。エンコーダのLTSとRTS出力は、パッシブ(受動)MPオーディオマトリクスデコーダ96によって復号するために、ドルビーデジタル、ソニーSDDSとDTSのデジタル映画サウンドトラックシステムの3つのうちのいずれか(または、将来のデジタル映画サウンドトラックシステム)における右サラウンド及び左サラウンドチャンネルによって運ばれる。それぞれのデジタルサウンドトラックシステムのための適切なコード化及び復号はエンコーダとデコーダの間の径路で使われることが理解されるだろう。上で議論したように、アクティブマトリクスデコーダは望ましくはプロロジックデコーダであるが、パッシブマトリクスデコーダも使用可能である。LS、BS、およびRS出力は、図3の環境のように、それぞれのサラウンドスピーカ又はスピーカバンクに適用される。LS、BS、およびRS出力は図3の環境の方法でそれぞれのサラウンドスピーカかスピーカバンクに適用される。
【0068】
本発明は、機能がソフトウェア及び/又はファームウェアで実行されるアナログ、デジタル、アナログ/デジタルのハイブリッド及び/又はディジタル信号処理を使用することで実行される。ドルビーデジタル、ソニーSDDS、およびDTSデジタル映画サウンドトラックシステムに関連して説明したが、本発明はまた、2個の離散的なサラウンドサウンドチャンネルが3個のサラウンドサウンドチャンネルでコード化されるマトリクスである離散的チャンネルを載せた映画フィルム、磁気テープ、光学ディスク(DVDを含むがこれに限定されない)、または光磁気ディスクのような他のデジタル又はアナログ構成メディアに関して使用できる。
【0069】
本発明およびその種々の態様の他の変形及び変更の実施も当業者にとって明白であり、発明は実施の態様に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドルビーデジタルとDTSのデジタルサウンドトラックによって提供されるような左(L)、中(中央又はセンター)(C)、右(R)、左サラウンド(Ls)、および右サラウンド(Rs)映画サウンドトラックチャンネルを再生させるための理想化されたスピーカ位置を示す映画劇場の概略平面図である。
【図2】 ソニーSDDSデジタルサウンドトラックによって提供されるような左(L)、左中(LC)、中(C)、右中(RC)、右(R)、左サラウンド(Ls)、および右サラウンド(Rs)映画サウンドトラックチャンネル再生するための理想化されたスピーカ位置を示す映画劇場の概略平面図である。
【図3】 本出願の譲受人に譲渡された同時係属中の出願の3サラウンドチャンネルに従って理想化されたスピーカ配置を示す映画劇場の概略の平面図である。
【図4】 従来技術のドルビーMPマトリックスエンコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。
【図5】 ドルビーMPマトリクスコード化信号を復号するのに適当な従来技術のパッシブサラウンドデコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。
【図6】 本発明の1形態に従った新規のMPマトリックスエンコーダの理想化された機能ブロックダイヤグラムである。
【図7】 本発明の1形態に従った新規のMPマトリックスエンコーダの理想化された理論的機能ブロックダイヤグラムである。
【図8】 本発明の1形態の新規なMPマトリックスエンコーダと、アクティブマトリクスデコーダを用いる本発明の別の形態のシステムの機能ブロックダイヤグラムである。
【図9】 本発明の1形態の新規なMPマトリックスエンコーダと、単純パッシブマトリクスデコーダを用いる本発明の別の形態のシステムの機能ブロックダイヤグラムである。
Claims (7)
- 入力1、入力2、および入力3の少なくとも3つのオーディオ入力信号と;
出力1と出力2の少なくとも2つのオーディオ出力信号と;
入力1に与えられた信号を実質的に出力1のみに送り、入力2に与えられた信号を実質的に出力2のみに送り、入力3に与えられた信号を実質的に等しく出力1と出力2に送るオーディオマトリクスであって、前記両出力における前記信号は、オーディオスペクトルの少なくとも一部にわたり、前記第1及び第2入力からそれぞれ得られる信号の位相が前記第3入力から得られる出力信号の位相に対して反対方向に実質的に45°ずれているという位相関係を有するオーディオマトリクスと;
を含んでなるオーディオエンコーダ。 - 前記エンコーダは、聴衆の左後、後及び右後に位置する3つ又は一群のラウドスピーカで演奏するためのアクティブサラウンドマトリックスデコーダを介して再生するために、サラウンドサウンドをコード化するためのものであり、前記第1の入力信号と及び第2の入力信号は、それぞれ左サラウンド入力信号と右サラウンド入力信号とを構成し、前記第3の入力信号は、後サラウンド入力信号を構成し、前記第1の出力信号は左総サラウンド出力信号を構成し前記第2の出力信号は右総サラウンド出力信号を構成することを特徴とする請求項1に記載のオーディオエンコーダ。
- 前記オーディオマトリックスによって生成された出力信号は、少なくとも、前記アクティブサラウンドマトリックスデコーダが信号位相に対して最も敏感である範囲内にある信号に関しては、前記位相関係を実質的に維持することを特徴とする請求項2に記載のオーディオエンコーダ。
- 前記オーディオマトリックスは:
2つの入力と1つの出力を持つ第1加算コンバイナと;
2つの入力と1つの出力を持つ第2加算コンバイナと;
約0.707の係数をかけて入力信号の振幅を減少させる信号振幅減衰器と;
前記第1入力に接続された入力と、前記第1加算コンバイナの1つの入力に接続された出力とを有する第1全域通過回路網と;
前記第2入力に接続された入力と、前記第2加算コンバイナの1つの入力に接続された出力とを有する第2全域通過回路網と;
前記減衰器を含む第3全域通過回路網であって、前記第3入力に接続された入力と、前記第1加算コンバイナの他方の入力及び前記第2加算コンバイナの他方の入力に接続された出力とを持つ第3全域通過回路網と;
を含んでなり、
前記第3全域通過回路網は、オーディオスペクトルの少なくとも一部に渡って、前記第1全域通過回路網の位相ずれに対して約+45°の相対位相ずれを持ちかつ前記第2全域通過回路網の位相ずれに対して約−45°の相対位相ずれを持ち、あるいは、前記第1全域通過回路網の位相ずれに対して約−45°の相対位相ずれを持ちかつ前記第2全域通過回路網の位相ずれに対して約+45°の相対位相ずれを持ち、前記第1全域通過回路網は、前記オーディオスペクトルの少なくとも一部に渡って、前記第2全域通過回路網の位相ずれに対して約90°の相対位相ずれをもつことを特徴とする請求項1に記載のオーディオエンコーダ。 - 前記オーディオマトリックスによって生成された出力信号は、少なくとも、前記アクティブサラウンドマトリックスデコーダが信号位相に対して最も敏感な範囲内の信号に関しては前記位相関係に実質的に従うことを特徴とする請求項4に記載のオーディオエンコーダ。
- オーディオコード化マトリクスによって生成された第1及び第2の受信オーディオ信号であって、前記第1の受信オーディオ信号は前記マトリクスに与えられた第1のオーディオ信号から派生し、前記第2の受信オーディオ信号は前記マトリクスに与えられた第2のオーディオ信号から派生し、前記第1及び第2の受信オーディオ信号はまた、前記マトリクスに与えられた第3のオーディオ信号から派生し、前記第1及び第2の受信オーディオ信号は、オーディオスペクトルの少なくとも一部にわたり、前記マトリクスに与えられた前記第1及び第2のオーディオ信号から派生するそれぞれの位相が前記マトリクスに与えられた前記第3のオーディオ信号から派生する位相に対して、反対方向に実質的に45°ずれているという位相関係を有する第1及び第2の受信オーディオ信号を受信するステップと;
前記第1及び第2の受信オーディオ信号を、前記与えられた2つの信号の位相が互いに約90度ずれたときに実質的にパッシブマトリックスデコーダとして働く、アクティブマトリックスオーディオデコーダに与えるステップと;
を含むオーディオ信号を復号化する方法。 - 入力1、入力2、および入力3の少なくとも3つのオーディオ入力信号と;
出力1と出力2の少なくとも2つのオーディオ出力信号と;
入力1に与えられた信号を実質的に出力1のみに送り、入力2に与えられた信号を実質的に出力2のみに送り、入力3に与えられた信号を実質的に等しく出力1と出力2に送るオーディオマトリクスであって、前記両出力における前記信号は、オーディオスペクトルの少なくとも一部にわたり、前記第1及び第2入力からそれぞれ得られる信号の位相が前記第3入力から得られる出力信号の位相に対して反対方向に実質的に45°ずれているという位相関係を有するオーディオマトリクスと;
を含むエンコーダと、
前記与えられた2つの信号の位相が互いに約90度ずれたときに実質的にパッシブマトリックスデコーダとして働くタイプの2入力アクティブマトリックスデコーダであって、前記出力1と前記出力2からの信号を受けるオーディオデコーダを含むデコーダと、
を含んでなるオーディオをコード化し復号化するシステム。
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