JP4367103B2 - 画像処理方法とそれを応用した金属腐食検査方法 - Google Patents

画像処理方法とそれを応用した金属腐食検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像中から特定の特徴を持つ領域を抽出する画像方法と、その方法を応用した金属材料の腐食検査方法に関する。
デジタル画像中の特徴を持つ領域を抽出する方法として、2値化処理は広く使用されている基本的な画像処理方法である。画像中の各画素の明るさと閾値との大小を比較することにより画像を2値化し、明るさが小さい画素同士、もしくは、明るさが大きい画素同士を連結することにより領域とし、各領域の位置や面積等の特徴量を計算するのが一般的である。
しかしながら、抽出すべき領域が必ずしも2値化処理では抽出できない場合がある。例えば、抽出すべき領域が背景に比べて明るい領域も暗い領域も含んでいる場合である。このような問題に対し、高低2段の閾値を用いて、低閾値より暗い部分と高閾値より明るい部分を一方の値、低閾値と高閾値の間の明るさを他方の値とする2値化処理を行うことで、対応が可能である。しかしながら、高低2段の閾値を用いた2値化では、下地が露出している腐食領域と露出していない腐食領域を分類することが出来ない。これに類似の問題に対する解決策として、デジタル画像を3値化し、ニューラルネットワークにより欠陥パターンの分類を行う方法(例えば、特許文献1)が提案されている。しかしながら、ニューラルネットワークの使用にあたっては、事前に期待する結果が得られるように教師しておく必要がある等、手間がかかるという問題があった。
一方、表面保護を目的として、製品表面への金属めっきは広く利用されている。金属めっきが保護膜として機能しているかどうかの検査を、画像処理を用いて腐食を検出することにより行うことがある。
また、水蒸気バリア膜付プラスチックフィルムのバリア性を高感度に評価するため、カルシウムなど腐食性の大きい金属膜を成膜したプラスチックフィルムを高湿度環境に保管し、金属の腐食量をもって防湿性を評価する方法(例えば、非特許文献1)が開発されている。この場合、防湿性を定量評価するためには、金属膜の腐食量を画像処理などにより算出する必要がある。
このような金属の腐食の検査や評価においては、単純に画像中の明るい部分が腐食していない領域、暗い部分が腐食した領域とは考えられない場合がある。例えば、めっきが腐食してめっきの表面より色の明るい下地が一部露出しているが、その周辺には色の暗いめっきの酸化物が付着している、というような場合である。このような場合、めっきよりも明るい部分も暗い部分も腐食領域として検出する必要があるため、2値化処理では対応できないという問題があった。
特開平7−318515号公報 Asia Display/IDW’01 p1435〜p1438
本発明は従来の画像処理方法と金属腐食検査方法のこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところはデジタル画像中から特定の特徴を持つ領域を精度良く抽出する方法を提供し、この方法を用いた金属腐食検査方法を提供することにある。
すなわち本発明は、
)金属膜の腐食量を算出する金属腐食検査方法において、金属材料表面のデジタル画像を複数段の閾値により多値化処理し、多値化処理画像中の同じ値の画素同士を連結することにより連結領域を決定し、前記連結領域の隣接関係をもとに腐食領域を判別し、判別した腐食領域における前記多値化処理画像の値毎に、設定した補正係数とその面積と金属膜厚みとを乗じた値を総和して腐食量とする金属腐食検査方法、
)前記金属材料表面のデジタル画像を複数のブロックに分割し、それぞれのブロック毎に設定した複数の閾値により多値化処理を行う()記載の金属腐食検査方法、
である。
本発明によれば、画像中から特定の特徴をもつ領域を抽出したり、金属材料表面の画像から腐食領域を検出したりすることが可能となるため、画像処理による検査や評価に好適である。
本発明は、デジタル画像中から特定の特徴を持つ領域を抽出する方法、また、画像処理によって金属材料表面のデジタル画像から、腐食領域の検出や、腐食量の算出を行うための方法である。
以下、本発明の画像処理方法、金属腐食検査方法について詳細に説明する。
図1は本発明による画像処理のフロー図である。多値化処理1では、金属材料表面のデジタル画像を複数の閾値により多値化する。連結処理2では、多値化された画像中の同じ値の画素同士を連結することにより連結領域を決定する。判別処理3では、画像中におけるそれぞれの連結領域の隣接関係が特定の条件を満たす領域を抽出する。
例えば、金属材料の表面の腐食を検出する場合、金属材料の表面画像を図1のフローに従って処理することにより、腐食領域が検出される。
図2は本発明による腐食量算出方法のフロー図である。多値化処理1、連結処理2、判別処理3は図1と同じである。腐食量算出処理4では多値化画像中の値ごとに設定した補正係数と、腐食領域の面積と、金属膜厚みとを乗じて腐食量を算出する。
図3は多値化処理1の説明図である。多値化処理の最も簡単な例として3値化処理で説明するが、4値化以上の多値化処理についても、閾値の数と処理後の画像の階数が変わるのみで処理手続きは同一である。図3(a)は、縦軸を画像の明度とした時の、デジタル画像のプロファイル5の一例である。図3(a)の画像に対し、高閾値6と低閾値7の高低2段の閾値により3値化処理した結果が図3(b)である。図3(a)中で低閾値7よりも暗い部分は図3(b)の3値化処理後の画像のプロファイル8で値が0、低閾値7よ
り明るく高閾値6より暗い部分は値が1、高閾値6よりも明るい部分は値が2となっている。
連結処理2は、多値化した画像を処理するという点以外は、2値化画像に対する連結
処理と処理内容は同一である。連結処理には、主として、8近傍画素連結、4近傍画素連結などいくつかの種類があるが、処理する画像に合わせて適切な方法を選べばよく、本発明は連結処理方法による限定は受けない。2値化画像に対する連結処理は、一般的には一方の値の画素を背景と捉えて連結は行わず、他方の値の画素のみに対して連結処理を行い、連結領域を抽出するが、本発明の連結処理としては、多値階調のうちひとつを背景と捉えるのではなく、多値階調のそれぞれに対し連結処理を行う方が、次の判別処理へのデータとして好ましい。
判別処理3は、連結処理2の出力を受けて、多値階調のそれぞれの連結領域の隣接関係から、特定の領域のみを抽出し特定領域として判断する。図4は判別処理の処理の一例を示した説明図である。金属腐食領域を判別する場合は、3値化画像中の背景を除いて値が2の領域および値が2の領域に隣接する領域のみ抽出すると良い。図4(a)の3値化画像中で、値が1の背景領域9の中にいくつかの領域が存在する。この場合、上記の条件を満たすのは、値が2の領域10、値が2の領域に隣接する値が0の領域12、値が0の領域と値が2の領域に囲まれた値が1の領域13である。図4(b)は判別結果を示し、判別された腐食領域14のみが画像中に示されている。値が1の領域のうち、どの領域が背景かを判定する方法については、本発明では規定しないが、画像中における腐食面積の割合が十分に小さい場合、一般的には、値が1の領域のうち最も面積の大きい領域が背景である。
図5は金属膜の腐食量算出処理4の説明図である。図5(a)は、下地15に金属膜16を成膜したものの断面図である。腐食により金属膜が消失した部分18があり、下地15が露出している。図5(b)は、図5(a)のような断面のものを金属膜16側の表面から撮影し、3値化した画像の一例である。図5(b)の3値化画像から、腐食により金属膜が消失した部分18の体積を算出するとき、本発明の方法は3値化画像の値に対応して適切に設定した補正値と領域面積と金属膜厚み17とを乗じて金属膜の腐食量とする。値が2の領域10については、金属膜がすべて腐食して消失しているため、例えば、補正値を1.0として、1.0と値が2の領域10の面積と金属膜厚み17とを乗じて腐食量とする。値が0の領域11については、金属膜の一部が腐食して消失しているため、補正値として例えば0.4を設定し、0.4と領域の面積と金属膜厚み17とを乗じて、これらの総和を腐食量とする。値が2の領域10と値が0の領域11を同様の腐食と判断して、単純にその面積と金属膜厚み17とを乗じて腐食量とするよりも本発明の方法は精度の高い腐食量の算出が可能である。
デジタル画像を複数のブロックに分割し、それぞれのブロック毎に設定した閾値により多値化処理を行うことにより、検出すべきではない領域の影響や照明などのムラの影響を排除することが可能となる。ブロックの分割数が多いほど、細かいムラへの対応が可能である。分割数の最小値は2であり、また、最大の分割数となるのはデジタル画像1画素毎に分割した場合となるが、分割数が増加すると処理に要する時間も増加する。ブロック毎に設定する閾値は、処理を行うデジタル画像の統計データを使って計算しても良いし、あらかじめ照明のムラを観測した結果を用いたりしても良く、条件に合わせて適切に設定すればよい。
本発明の画像処理方法は、デジタル画像中から特定の特徴をもつ領域を抽出することができ、この方法を応用した本発明の金属腐食検査方法は、デジタル画像から金属の腐食検
出及び腐食量の算出を精度良く行えるため、画像処理による検査方法として有用である。
本発明の画像処理方法のフロー図である。 腐食量を算出する方法のフロー図である。 多値化処理の説明図である。 判別処理の処理の一例を示した説明図である。 金属膜の腐食量算出処理の説明図である。
符号の説明
1 多値化処理
2 連結処理
3 判別処理
4 腐食量算出処理
5 デジタル画像のプロファイル
6 低閾値
7 高閾値
8 3値化処理後の画像のプロファイル
9 値が1の背景領域
10 値が2の領域
11 値が0の領域
12 値が0の領域に隣接する値が2の領域
13 値が1の領域と値が2の領域に囲まれた値が0の領域
14 判別された腐食領域
15 下地
16 金属膜
17 金属膜厚み
18 腐食により金属膜が消失した部分

Claims (2)

  1. 金属膜の腐食量を算出する金属腐食検査方法において、金属材料表面のデジタル画像を複数段の閾値により多値化処理し、多値化処理画像中の同じ値の画素同士を連結することにより連結領域を決定し、前記連結領域の隣接関係をもとに腐食領域を判別し、判別した腐食領域における前記多値化処理画像の値毎に、設定した補正係数とその面積と金属膜厚みとを乗じた値を総和して腐食量とする金属腐食検査方法。
  2. 前記金属材料表面のデジタル画像を複数のブロックに分割し、それぞれのブロック毎に設定した複数の閾値により多値化処理を行う請求項記載の金属腐食検査方法。
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