以下、従来の通信システムについて説明する。たとえば、CDMAセルラシステムでは、セル内で同一キャリア周波数を繰り返し使用しているため、同一システム内においては、周波数間ハンドオーバの必要性がない。しかしながら、既存のシステムと共存するような場合を考えると、異なるキャリア周波数間におけるハンドオーバが必要となる。以下、異なるキャリア周波数間におけるハンドオーバが発生する具体的な場合を3点挙げる。
第1点としては、隣接セル間でハンドオーバを行う場合である。たとえば、トラヒックの多い場所では、加入者数増大に応じて隣接セルにそれぞれ別のキャリア周波数が用いられているため、そのセル間でのハンドオーバが必要となる。第2点としては、アンブレラセル構成のセル間でハンドオーバを行う場合である。たとえば、アンブレラセル構成時には、大小のセルに異なるキャリア周波数が割り当てられており、そのセル間でのハンドオーバが必要となる。そして、第3点としては、W(Wide)−CDMAシステムのような第3世代システムと、現行の携帯電話システムのような第2世代システムの間でハンドオーバを行う場合である。
また、上記のような状態でハンドオーバが行われる場合には、異なる周波数キャリアの電力を検出する必要がある。そして、この検出を実現するためには、受信機が、2つの周波数を検波できる必要がある。しかしながら、受信機が2つの周波数を検波する場合は、その構造により、受信機の構成が大きくなるか、もしくはその構成が複雑になる。
また、ハンドオーバの方法としては、移動機主導のハンドオーバ(Mobile Assisted Handover:MAHO)とネットワーク主導のハンドオーバ(Network Assisted Handover:NAHO)の2種類が考えられる。たとえば、MAHOとNAHOとを比較した場合、NAHOの方が移動機の負担は小さくなるが、そのために、基地局においては、各移動機との同期が必要となり、さらに、一つ一つの移動機を追跡できるようにするためには、基地局/ネットワークの構成がより複雑化かつ巨大化する。
このようなことから、移動機では、MAHOの実現が望まれることになるが、ハンドオーバを「する」、または「しない」の判断のため、2つの異なる周波数キャリアの強度を観測する必要がある。しかしながら、CDMAセルラシステムは、第2世代で用いられている時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式と違って、送信/受信ともに通常は連続送信の形態を用いている。そのため、2つの異なる周波数キャリアの強度を観測するためには、2つの周波数に対応する受信装置を用意しない限り、送信あるいは受信タイミングを一旦停止させた状態で他の周波数を観測する必要があった。
そこで、従来の通信システムにおいては、通常モードでの送信情報を時間圧縮して短時間に伝送し、残りの時間で他の周波数キャリアを観測する、という圧縮モード(Compressed Mode:コンプレスドモード)に関する技術が提案されている。その一例として、たとえば、下記特許文献1に記載された「DS−CDMAシステムにおけるシームレス・ハンドオーバーのための不連続送信」がある。この公報には、使用する拡散符号の拡散率を下げることによりデータ送信時間を短縮する圧縮モードの実現手法が開示されている。
ここで、上記公報による圧縮モードの実現手法を説明する。図20は、従来のCDMAセルラシステムにおける通常モードおよび圧縮モードでの送信例を示す図である。図20においては、縦軸が伝送速度/送信電力を示し、横軸が時間を示しており、通常伝送のフレーム間に、圧縮モード伝送が挿入されている。たとえば、圧縮モード時の伝送では、下りフレーム(コンプレスドフレーム)内に無伝送時間が設けられており、その時間は、任意に設定可能である。そして、この無伝送時間は、他の周波数キャリアの強度を測定するためのアイドル時間となる。このように、従来のCDMAセルラシステムにおいては、圧縮モードフレーム伝送の間にアイドル時間を挿入することで、スロット化伝送を実現する。
また、このような圧縮モード伝送では、アイドル時間とフレーム(圧縮モードフレーム)伝送時間との時間比に応じて送信電力が増加されるため、図20に示したように、通常伝送時のフレームに比べて圧縮モードフレームの方が高い送信電力で伝送される。これにより、圧縮モードでのフレーム伝送においても伝送品質を保つことが可能となる。
この他、圧縮モードに関する文献としては、たとえば、下記非特許文献1がある。この文献には、拡散率を下げる場合の他、コーディングレートを増加させる場合、マルチコード伝送を用いる場合、または、16QAM等の多ビット伝送変調方式を用いる場合における圧縮モードの実現手法が開示されている。
一方、従来のCDMAセルラシステムにおいては、遠い局からの希望信号に近い局からの非希望信号が干渉する「遠近問題」を解決するために、各基地局における受信電力が均等になるように移動局への送信電力制御を行っている。これにより、従来のCDMAセルラシステムでは、フェージング等の影響によって時間的に変化する回線状態を補正し、受信局の所要通信品質を確保するとともに、回線容量を有効に使うことができる。以下、従来の通信システムにおける送信電力制御を図面にしたがって説明する。
図21は、従来の通信システムにおける通常モード伝送時の送信電力制御を示す図である。まず、受信局では、所要通信品質を満たすように、目標となる受信電力、すなわち、ターゲット電力を決定する。なお、このとき、目標とする所要通信品質については、受信電力に限らず、たとえば、希望信号と干渉信号との電力比(SIR:Signal-Interference Ratio)を用いることとしてもよい。つぎに、受信局では、受信した希望信号の電力とターゲット電力とを比較し、希望信号の電力が大きい場合には、送信局に対して送信電力を下げるように、一方、希望信号の電力が小さい場合には、送信電力を上げるように、送信局に対して送信電力制御コマンド(TPC)を送る。そして、TPCコマンドを受信した送信局では、TPCコマンドの内容に応じて、規定の電力幅:Δを用いて送信電力を変化させる。このとき、送信電力制御は、図示のチャネル状態(回線状態)の変化に追従するためにスロットと呼ばれる時間単位で行われる。なお、Δの値は、固定値でも、ある一定の規則のもとで変化する値であってもよい。
図22は、従来の通信システムにおけるコンプレスドモード伝送時の送信電力制御を示す図である。なお、ここでは、説明の便宜上、通常モード伝送時とコンプレスドモード伝送時でターゲット電力を変更していないが、通常は、コンプレスドモード伝送時の所要品質を保証するためにターゲット電力の設定値を変更する場合がある。図22において、たとえば、チャネル状態の変化に追随する、という基本的な動作については、コンプレスドモード伝送時においても通常モード伝送時と同様である。しかしながら、コンプレスドモード伝送時においては、受信局が、コンプレスドモードのアイドル時間中、信号を受信していないので、送信局に対して送信電力制御コマンド(TPC)を正しく送信することができない。そのため、送信側では、チャネル状態の変化に追随することができなくなり、送信の再開時には、図示のとおり、コンプレスドモードに入る直前の送信電力で信号を送信することになるため、「送信電力制御誤差」が発生することになる。そこで、従来の通信システムにおいては、たとえば、電力幅Δを大きくする、という方法を用いることで、コンプレスドモード伝送によって発生する送信電力制御誤差をできるだけ早く収束させている。なお、上記送信再開時から送信電力制御誤差が収束するまでの間(すなわち、受信電力がターゲット電力近傍に回復するまでの間)を、以降、送信電力制御収束時間と呼ぶ。
また、従来の通信システムでは、インタリーブの効果を得るために、コンプレスドモード時におけるアイドル時間(無伝送時間)の設定位置を、図23に示すように、複数のスロットで構成されるフレーム内の中央付近に配置し、フレームを基本単位としてインタリーブを行う。このとき、十分なインタリーブの効果を得るためには、フレームの端にアイドル時間を配置してインタリーブ後のビットの範囲を狭くするよりも、フレーム中のビットを時間的に分散させられるフレームの中央付近にアイドル時間を配置するほうがよい。
しかしながら、上記、従来の通信システムにおいて、コンプレスドモード伝送時は、実際の送信時間が圧縮された状態で、1フレーム内のデータ量を補償するため、たとえば、拡散率を下げて伝送レートを上げる方法や、あるいは、符号化率を低減して伝送レートを上げる方法が採用される。そのため、従来技術にて説明したように、フレームの中央付近にアイドル時間を配置した場合、図23に示すように、送信電力制御収束時間に、拡散率を下げたスロット、または符号化率を低減したスロットが配置されることになり、信号の復調精度が大幅に劣化する。すなわち、従来の通信システムでは、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響が、通常フレームに比べて非常に大きい、という問題があった。
また、従来の通信システムにおいては、アイドル時間による送信電力制御誤差を低減するために、アイドル時間を複数に分散させ、時間的に分離して配置する方法も提案されている。しかしながら、この方法では、一度のアイドル時間が短くなるため、処理時間等を考慮すると、異なる周波数キャリアの強度を観測する場合の効率が悪くなる、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンプレスドモード伝送時のアイドル時間をフレーム内に分散させることなく、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響の低減を実現可能な通信システム、送信機および受信機、ならびに通信方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる通信システムにあっては、通常モード、または所定の無伝送時間を設定可能な圧縮モードで動作可能な送信機および受信機を備え、該送信機が各モードのフレームに対して送信電力制御を行い、さらに、前記圧縮モードで動作する場合、前記送信機は、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように、無伝送時間の位置を変更することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モード(コンプレスドモード)における無伝送時間(アイドル時間)の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。したがって、従来のように、圧縮モード伝送時の無伝送時間をフレーム内に分散させる方法をとる必要がない。
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、インタリーブの単位を単一フレームとした場合、前記送信機は、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレーム(コンプレスドフレーム)の中心よりも後方となるように決定し、この無伝送時間内に異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、前記送信機は、十分なインタリーブの効果が得られるように、圧縮フレーム内の無伝送時間後に、少なくとも1スロット分のデータを配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置し、この無伝送時間内に異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、インタリーブの単位を単一フレームとし、かつ前記無伝送時間が2つのフレームにまたがる場合、前記送信機は、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置することを特徴とする。
この発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるように場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置する。
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、前記受信機は、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定しておく最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、前記推定値の周波数がしきい値より高い場合、無伝送時間の位置変更に関する制御を行わないように、前記送信機とネゴシエーションを行い、前記送信機は、前記推定値の周波数がしきい値より低い場合、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が低い場合に、無伝送時間を圧縮フレームの後方に配置する。一方、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。すなわち、ここでは、フェージング周波数の高低に対応して圧縮フレームの無伝送時間の位置を変更する。
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、前記送信機および前記受信機は、ネゴシエーションにより、送信電力制御における電力のステップサイズを、基準値として設定されている所定の値よりも大きく設定し、さらに、無伝送時間後の送信電力制御誤差の収束に必要なスロット数を減少させることを特徴とする。
この発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定することにより、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
つぎの発明にかかる通信システムにあっては、高速での移動が想定されるエリアでは、無伝送時間の位置変更に関する制御を行わず、高速での移動が想定されないエリアでは、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、セル半径の大きさによりフェージング周波数を推定することにより、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
つぎの発明にかかる送信機にあっては、通常モード、または所定の無伝送時間を設定可能な圧縮モードで動作し、各モードのフレームに対して送信電力制御を行い、さらに、前記圧縮モードで動作する場合、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように、無伝送時間の位置を変更することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。
つぎの発明にかかる送信機にあっては、インタリーブの単位を単一フレームとした場合、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる送信機にあっては、十分なインタリーブの効果が得られるように、圧縮フレーム内の無伝送時間後に、少なくとも1スロット分のデータを配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置し、異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる送信機にあっては、インタリーブの単位を単一フレームとし、かつ前記無伝送時間が2つのフレームにまたがる場合、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置することを特徴とする。
この発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるように場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置する。
つぎの発明にかかる送信機にあっては、受信機とのネゴシエーションにより、送信電力制御における電力のステップサイズを、基準値として設定されている所定の値よりも大きく設定し、さらに、無伝送時間後の送信電力制御誤差の収束に必要なスロット数を減少させることを特徴とする。
この発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定し、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
つぎの発明にかかる受信機にあっては、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定しておく最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、前記推定値の周波数がしきい値より高い場合、無伝送時間の位置変更に関する制御を行わないように、送信機とネゴシエーションを行うことを特徴とする。
この発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。
つぎの発明にかかる受信機にあっては、送信機とのネゴシエーションにより、送信電力制御における電力のステップサイズを、基準値として設定されている所定の値よりも大きく設定し、さらに、無伝送時間後の送信電力制御誤差の収束に必要なスロット数を減少させることを特徴とする。
この発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定し、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
つぎの発明にかかる通信方法にあっては、通常モード、または所定の無伝送時間を設定可能な圧縮モードで動作する送信ステップおよび受信ステップを含み、該送信ステップにて送信電力制御を行い、さらに、前記圧縮モードで動作する場合、前記送信ステップでは、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように、無伝送時間の位置を変更することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。
つぎの発明にかかる通信方法において、インタリーブの単位を単一フレームとした場合、前記送信ステップでは、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる通信方法において、前記送信ステップでは、十分なインタリーブの効果が得られるように、圧縮フレーム内の無伝送時間後に、少なくとも1スロット分のデータを配置することを特徴とする。
この発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置し、異なる周波数キャリアの観測を行う。
つぎの発明にかかる通信方法において、インタリーブの単位を単一フレームとし、かつ前記無伝送時間が2つのフレームにまたがる場合、前記送信ステップでは、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置することを特徴とする。
この発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるように場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置する。
つぎの発明にかかる通信方法において、前記受信ステップでは、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定しておく最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、前記推定値の周波数がしきい値より高い場合、無伝送時間の位置変更に関する制御を行わないように、送信機とネゴシエーションを行い、前記送信ステップでは、前記推定値の周波数がしきい値より低い場合、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が低い場合に、無伝送時間を圧縮フレームの後方に配置する。一方、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。
つぎの発明にかかる通信方法において、前記送信ステップおよび前記受信ステップでは、ネゴシエーションにより、送信電力制御における電力のステップサイズを、基準値として設定されている所定の値よりも大きく設定し、さらに、無伝送時間後の送信電力制御誤差の収束に必要なスロット数を減少させることを特徴とする。
この発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定し、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
つぎの発明にかかる通信方法にあっては、高速での移動が想定されるエリアでは、無伝送時間の位置変更に関する制御を行わず、高速での移動が想定されないエリアでは、前記圧縮モードにおける無伝送時間を、圧縮フレームの中心よりも後方に配置することを特徴とする。
この発明によれば、セル半径の大きさによりフェージング周波数を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定を行う。
以上、説明したとおり、本発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モード(コンプレスドモード)における無伝送時間(アイドル時間)の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。これにより、従来のように、圧縮モード伝送時の無伝送時間をフレーム内に分散させる方法をとらずに、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響を低減させることが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレーム(コンプレスドフレーム)の中心よりも後方となるように決定するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質の劣化を防ぐことが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質を向上させることが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるように場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置するため、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が低い場合に、無伝送時間を圧縮フレームの後方に配置する。一方、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。このように、フェージング周波数の高低に対応して圧縮フレームの無伝送時間の位置を変更することにより、フェージング周波数が高い場合におけるインタリーブの効果と、フェージング周波数が低い場合における送信電力制御の効果と、を劣化させないような制御が可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、セル半径が大きい場合にはフェージング周波数が高く、セル半径が小さい場合にはフェージング周波数が低い。したがって、セル半径の大きさによりフェージング周波数を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信システムを得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。これにより、従来のように、圧縮モード伝送時の無伝送時間をフレーム内に分散させる方法をとらずに、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響を低減させることが可能な送信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質の劣化を防ぐことが可能な送信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質を向上させることが可能な送信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるような場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置するため、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な送信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した圧縮モードにおける無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な送信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。このように、フェージング周波数に対応して圧縮フレームの無伝送時間の位置を変更することにより、フェージング周波数が高い場合におけるインタリーブの効果を劣化させないような制御が可能な受信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な受信機を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、無伝送時間後の送信電力制御誤差の影響が最も少なくなるように変更する。これにより、従来のように、圧縮モード伝送時の無伝送時間をフレーム内に分散させる方法をとらずに、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響を低減させることが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質の劣化を防ぐことが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、圧縮モードにおける無伝送時間の位置を、たとえば、圧縮フレームの中心よりも後方となるように決定し、さらに、圧縮フレーム内の無伝送時間後に少なくとも1スロット分のデータを配置するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質を向上させることが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、無伝送時間が前後のフレームにまたがるように場合においても、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、無伝送時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置するため、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、最大ドップラー周波数の推定値と、予め設定されている最大ドップラー周波数のしきい値と、を比較し、推定値の方がしきい値より周波数が低い場合に、無伝送時間を圧縮フレームの後方に配置する。一方、推定値の方がしきい値より周波数が高い場合に、無伝送時間の調整を行わないように、ネゴシエーションを行い、無伝送時間を圧縮フレームの中心付近に配置する。このように、フェージング周波数の高低に対応して圧縮フレームの無伝送時間の位置を変更することにより、フェージング周波数が高い場合におけるインタリーブの効果と、フェージング周波数が低い場合における送信電力制御の効果と、を劣化させないような制御が可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した圧縮モードにおける無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
つぎの発明によれば、セル半径が大きい場合にはフェージング周波数が高く、セル半径が小さい場合にはフェージング周波数が低い。したがって、セル半径の大きさによりフェージング周波数を推定するため、無伝送時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮した無伝送時間の設定が可能となり、さらに、圧縮モードによる通信品質の劣化を抑えることが可能な通信方法を得ることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる通信システムおよび通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる通信システムにおける実施の形態1の構成を示す図である。なお、本実施の形態では、通信システムの一例として、CDMA(Code Division Multiple Access)システムについて説明を行うが、これに限らず、たとえば、本発明の通信方法を使用するすべての無線通信システム(移動体通信、衛星通信等)に適用可能である。
本発明にかかる通信システムは、図1に示すように、送信機1Aおよび受信機2Aより構成される。なお、この送信機1Aおよび受信機2Aは、システムを構成する基地局、移動局のそれぞれに設けられ、ここでは、基地局と各移動局がCDMA通信方式により無線通信を行っている。
まず、上記通信システムを構成する送信機1Aについて説明する。図1において、送信機1Aは、送信制御器11A、誤り訂正符号化器12、インタリーバ13、フレーム化/拡散器14、および無線周波数送信機15を備えている。送信制御器11Aでは、主に、受信機2Aとのネゴシエーションを通じてインタリーバ13、フレーム化/拡散器14および無線周波数送信機15の動作を制御する。たとえば、この送信制御器11Aは、受信機2Aとのネゴシエーションで、通常モード(非コンプレスドモード)、圧縮モード(コンプレスドモード)のそれぞれに適したインタリーブ対象をフレーム数で指示する。また、この送信制御器11Aは、フレーム化/拡散器14に対して、コンプレスドモード時に、拡散率の変更とコンプレスドモード時のフレームを送信するための送信タイミングとを指示する。また、この送信制御器11Aは、無線周波数送信機15に対して送信電力の増加/減少を指示する。
また、誤り訂正符号化器12では、送信データ系列を誤り訂正符号化して符号化データを生成する。そして、インタリーバ13では、たとえば、フェージングにより送信信号の連続するビットが伝送時に失われた場合(バースト性のデータ誤りが発生した場合)に、伝送誤りの影響を最小限化できるようにするため、符号化データに対してビット単位で時間的順序の並べ替え(インタリーブ)を行う。また、インタリーバ13では、複数フレーム分のインタリーブを行うことができ、送信制御器11Aからインタリーブ対象フレーム数を指示され、そのフレーム数に応じたインタリーブを行う。
フレーム化/拡散器14では、通常モード、およびコンプレスドモードのそれぞれに応じて、ユーザ毎の拡散符号を用いて広帯域に拡散し、各モードに応じたフレームを形成する。また、このフレーム化/拡散器14は、送信制御器11Aから各モードに応じた送信タイミングを指示されると、その送信タイミングでフレームを無線周波数送信機15へ送出する。さらに、このフレーム化/拡散器14は、コンプレスドモードの際に、送信制御器11Aから拡散率の変更を指示され、その指示に応じて通常モードよりも低い拡散率を用いて送信信号を生成する。
無線周波数送信機15では、フレーム化/拡散器14で得られた送信信号を無線周波数に変換して送信する。この無線周波数送信機15は、送信制御器11Aの制御にしたがって、送信電力を増減して送信信号を出力する。たとえば、通常モード時に比べてコンプレスドモード時の平均送信電力を増加して、送信信号を出力する。
つぎに、上記通信システムを構成する受信機2Aについて説明する。図1において、受信機2Aは、受信制御器21A、誤り訂正復号化器22、デインタリーバ23、デフレーム化/逆拡散器24、無線周波数受信機25Aを備えている。受信制御器21Aでは、主に、送信機1Aとのネゴシエーションを通じて、デインタリーバ23およびデフレーム化/逆拡散器24の動作を制御する。たとえば、この受信制御器21Aは、送信機1Aとのネゴシエーションで通常モード、およびコンプレスドモードのそれぞれに適したデインタリーバ対象をフレーム数で指示する。また、この受信制御器21Aは、デフレーム化/逆拡散器24に対して、コンプレスドモード時に、拡散率の変更とコンプレスドモード時のフレームを受信するための受信タイミングとを指示する。
無線周波数受信機25Aでは、図示していないアンテナから送られてくる受信信号を復調する。デフレーム化/逆拡散器24では、通常モード、およびコンプレスドモードのそれぞれに応じて、受信機2Aのユーザに割り当てられた拡散符号を用いて逆拡散し、各モードに応じたフレームを形成する。また、このデフレーム化/逆拡散器24は、受信制御器21Aから各モードに応じた受信タイミングを指示されると、その受信タイミングで受信信号を無線周波数受信機25Aから取り込む。さらに、このデフレーム化/逆拡散器24は、コンプレスドモードの際に、受信制御器21Aから拡散率の変更を指示され、その指示に応じて通常モードよりも低い拡散率を用いて受信信号を生成する。
デインタリーバ23では、送信機1Aでのインタリーバ13とは逆の順序で、デフレーム化/逆拡散器24にて生成したフレームに対してビット単位で時間的順序の並べ替え(デインタリーブ)を行う。このデインタリーバ23は、インタリーバ13にあわせて、複数フレームにまたがるデインタリーブを行うことができ、受信制御器21Aから指示されるデインタリーブ対象フレーム数に応じてデインタリーブを行う。また、誤り訂正復号化器22では、デインタリーブされた信号を誤り訂正復号化して復号化データ、すなわち、受信データ列を生成する。
以下、本実施の形態における送信制御器11Aおよび受信制御器21Aの特徴的な動作を図面にしたがって説明する。図2は、本実施の形態における送信制御器11Aの送信電力制御に関する構成を示す図である。図2において、111Aは通常モード/コンプレスドモード判定器であり、112Aは送信電力制御器である。通常モード/コンプレスドモード判定器111Aでは、受信機2Aとのネゴシエーションを通じてコンプレスドモードへ移行するタイミングを決定し、フレーム化/拡散器14に拡散率の変更、および送信タイミングを指示する。同時に、コンプレスドモード時のデータの圧縮によって発生する通信品質の劣化を抑えるために、送信電力制御器112Aに平均送信電力の増加を指示する。そして、平均送信電力の増加を指示された送信電力制御器112Aでは、その平均送信電力と受信機2Aからの送信電力制御コマンド(TPCコマンド)からスロット単位の送信電力を決定し、その決定結果を無線周波数送信器15に指示する。
図3は、本実施の形態における受信制御器21Aの送信電力制御に関する構成を示す図である。図3において、211Aは通常モード/コンプレスドモード判定器であり、212は受信電力制御器である。通常モード/コンプレスドモード判定器211Aは、送信機1Aとのネゴシエーションを通じてコンプレスドモードへ移行するタイミングを決定し、デフレーム化/逆拡散器24に拡散率の変更、受信タイミングを指示する。そして、受信電力制御器212では、通常モード時およびコンプレスドモード時に、所要の通信品質を満たすように設定されるターゲット電力と、無線周波数受信機25Bから通知される受信電力制御情報からわかる受信信号の電力と、を比較し、受信信号電力の方が大きい場合には、所定の電力幅Δだけ、送信機1Aが送信電力を下げるように、一方、受信信号電力の方が小さい場合には、所定の電力幅Δだけ、送信機1Aが送信電力を上げるように、送信電力制御コマンドを送信機1Aに対して通知する。
つぎに、本実施の形態におけるコンプレスドモード伝送のアイドル時間の設定位置を図面にしたがって説明する。図4は、コンプレスドモード伝送におけるアイドル時間の設定位置の一例を示す図である。なお、ここでは、インタリーブの単位を1フレームとする。たとえば、コンプレスドモードでは、データを圧縮して伝送するため、送信電力制御誤差収束時間が同じであれば、通常モード時のフレームに比べて、送信電力制御誤差の影響による復調特性の劣化が大きくなる。そのため、本実施の形態における通常モード/コンプレスドモード判定器111Aでは、図2に示す送信タイミング指示で、アイドル時間をコンプレスドフレームの中心よりも後方となるように制御する。そして、この指示を受けたフレーム化/拡散器14が、コンプレスドフレーム内の所望の位置にアイドル時間を配置する。
このとき、コンプレスドフレーム内におけるアイドル時間後のスロット数が少なくなると、コンプレスドフレーム内のインタリーブの効果が小さくなるため、十分なインタリーブの効果が得られるように、コンプレスドフレーム内のアイドル時間後のスロット数を少なくとも1とする。なお、本実施の形態では、インタリーブの単位を1フレームとしているため、コンプレスドフレーム内におけるアイドル時間後のスロット数を1以上としたが、たとえば、インターリ−ブの単位が複数フレームにまたがる場合には、アイドル時間後のスロット数を0としてもよい。
このように、コンプレスドフレームの中央よりも後方にアイドル時間を配置した場合、アイドル時間後のスロット、すなわち、送信電力制御収束時間に配置される拡散率を下げたスロット、または符号化率を低減したスロットが、図23に示す従来のスロット数よりも少なくなり、これに伴って、信号の復調精度が大幅に向上する。すなわち、本実施の形態における通信システムでは、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響が、従来技術と比較して非常に小さくなる。また、コンプレスドフレーム内におけるアイドル時間後のスロット数を1以上とした場合には、送信電力制御収束時間が、前後のフレームに分割されることになるため、すなわち、2つのフレームにまたがるため、後ろのフレームにおける復調精度の劣化についても緩和されることになる。
なお、アイドル時間後のスロット数を0とした場合には、送信電力制御誤差の影響が最小となるが、その場合、スロットがコンプレスドフレームの前方にかたよることになるため、逆に十分なインタリーブの効果が得られなくなる場合がある。そこで、本実施の形態においては、インタリーブの効果と、送信電力制御誤差の影響と、を考慮し、アイドル時間をコンプレスドフレームの後方とし、かつコンプレスドフレーム内におけるアイドル時間後のスロット数を1以上とした。
図5(a)および(b)は、送信電力制御誤差の影響を考慮した場合におけるアイドル時間の最適な位置を示す図である。本実施の形態においては、説明の便宜上、たとえば、通常フレームの1フレームを15スロットとした場合について説明する。なお、図示のTGL(トランスミッション・ギャップ・レングス)はコンプレスドモードにおけるアイドル時間のスロット数を表し、bはコンプレスドフレームにおけるアイドル時間後のスロット数を表し、15−TGL−bはコンプレスドフレームにおけるアイドル時間前のスロット数を表し、RL(リカバリ・レングス)は送信電力制御誤差収束時間を表す。また、図5においては、コンプレスドモードのアイドルスロット数TGLを7スロット、送信電力制御誤差収束時間RLを7スロットとしている。
たとえば、コンプレスドモード時のアイドル時間がTGL=7の場合、送信機1Aは、(15−TGL)=8スロットで、すべてのデータ(ビット)を送信する必要がある。ここで、アイドル時間による影響で発生した送信電力制御誤差収束時間がRL=7の場合に、スロット数b(0〜4)を変化させると、送信電力制御誤差により影響を受ける割合、すなわち、データを送信するスロット数(8スロット)に対するアイドル時間後のスロット数(bスロット)の割合cは、図5のように表すことができる。ここでは、アイドル時間後のスロット数bが少ないほど、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響が小さくなることがわかる。ただし、連続的に発生する誤りをランダマイズ化し、誤り訂正符号化の効果を引き出すインタリーブの効果を十分に得るためには、アイドル時間後のスロット数をある程度考慮する必要がある。
つぎに、図1に示す通信システムにてコンプレスドモード時のアイドル時間を上記最適な位置に配置する場合における、送信機1Aおよび受信機2A間の具体的な通信方法を、図面にしたがって説明する。図6は、本実施の形態における通信方法を示すフローチャートである。
まず、送信機1Aの送信制御器11Aおよび受信機1Aの受信制御器21Aでは、コンプレスドモード伝送を開始する前の通常モード伝送時のネゴシエーションで、送信電力制御誤差収束用のフレームタイミングのオフセットを決定する(ステップS1)。つぎに、通常モード/コンプレスドモード判定器111Aおよび通常モード/コンプレスドモード判定器211Aでは、異なるキャリア周波数の観測に必要なアイドル時間に基づいて、インタリーブ方法(インタリーブ対象フレーム数等)、コンプレスドフレームに関する送受信タイミング、拡散率、平均送信電力などのパラメータを決定する(ステップS2)。そして、送信機1Aおよび受信機1Bは、指定されたインタリーブ方法を用いて(ステップS21)、決定されたコンプレスドフレームタイミングまで通常モードによる送受信を行う(ステップS22,No、ステップS31,No)。
この状態で、コンプレスドフレームタイミングになると(ステップS22,Yes、ステップS31,Yes)、送信機1Aでは、送信制御器11Aがフレーム化/拡散器14に対して拡散率の変更、および送信タイミング指示を行い、それらの指示を受けたフレーム化/拡散器14が、インタリーブ後のデータから、アイドル時間をコンプレスドフレーム内の後方に配置した送信データフレームを生成する(ステップS23)。そして、送信制御器11Aの制御により指示された平均送信電力にしたがって(ステップS24)、無線周波数送信機15が、コンプレスドモードにおける送信信号を出力する(ステップS25)。
一方、受信機2Aでは、受信制御器21Aがデフレーム化/逆拡散器24に対して拡散率の変更、および受信タイミング指示を行い(ステップS32)、それらの指示を受けたデフレーム化/逆拡散器24が、無線周波数受信機25Aを介して受け取った受信信号から受信データフレームを生成し(ステップS33)、さらに、デインタリーバ23が、所定の方法でデインタリーブを実行し(ステップS34)、最終的に復調精度の高いデータを得る。
このように、本実施の形態では、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、コンプレスドモードにおけるアイドル時間の位置をコンプレスドフレームの中心よりも後方となるように決定するため、異なる周波数キャリアの観測に伴う通信品質の劣化を防ぐことが可能となる。
以上、本実施の形態においては、上記方法を用いて、アイドル時間をコンプレスドフレームの中心よりも後方となるように配置することにより、従来のように、コンプレスドモード伝送時のアイドル時間をフレーム内に分散させる方法をとらずに、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響を低減させることが可能となる。なお、本実施の形態においては、インタリーブの単位を1フレームとした場合のアイドル時間の位置を決定したが、たとえば、インタリーブの単位を複数フレームとした場合においても、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮して、コンプレスドモードにおけるアイドル時間の位置を決定する。
実施の形態2.
図7は、実施の形態2におけるコンプレスドモード伝送のアイドル時間の設定位置を示す図である。本実施の形態では、コンプレスドモードにおけるアイドル時間が2フレームにまたがり、かつインタリーブの単位を1フレームとした場合を想定する。なお、本実施の形態における通信システムの構成、送信制御器の構成、および受信制御器の構成については、先に説明した実施の形態1の図1、図2、および図3と同様であるため、ここでは同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の通信システムにおけるコンプレスドモード時の通信方法も、先に説明した図6のフローチャートと同様であるため、説明を省略する。
たとえば、上記条件を想定した場合において、アイドル時間後の送信電力制御誤差は、図7に示すとおり、後ろのフレームだけに影響を与える。具体的にいうと、たとえば、図8に示すように、TGL=7、RL=4、およびアイドル時間が2フレームにまたがるコンプレスドフレームを30スロット(通常モードにおける1フレームを15スロットとした場合)とした場合、図8の上の図に示す位置にアイドル時間を配置すると、送信電力制御誤差収束時間が後ろのフレームに与える影響は、4スロット/12スロットとなる。一方、図8の下の図に示す位置にアイドル時間を配置すると、送信電力制御誤差収束時間が後ろのフレームに与える影響は、4スロット/14スロットとなる。
そこで、本実施の形態における送信制御器11Aの通常モード/コンプレスドモード判定器111Aでは、アイドル時間が前後のフレームにまたがる場合、送信電力制御誤差が後ろのフレームに与える影響を考慮して、十分なインタリーブの効果が得られるように、アイドル時間を、前のフレームに大きく、後ろのフレームに小さく配置する(図7参照)。
このように、本実施の形態では、アイドル時間が2フレームにまたがる場合においても、送信電力制御誤差の影響を考慮して、後ろのフレームに十分なインタリーブの効果が得られるように、アイドル時間を配置するため、コンプレスドモードによる通信品質の劣化を抑えることが可能となる。
実施の形態3.
図9は、本発明にかかる通信システムにおける実施の形態3の構成を示す図である。なお、本実施の形態において、先に説明した実施の形態1に示す図1の構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態では、通信システムの一例として、CDMAシステムについて説明を行うが、これに限らず、たとえば、本発明の通信方法を使用するすべての無線通信システム(移動体通信、衛星通信等)に適用可能である。
本発明にかかる通信システムは、図9に示すように、送信機1Aおよび受信機2Bにより構成される。この送信機1Aおよび受信機2Bは、システムを構成する基地局、移動局のそれぞれに設けられ、ここでは、基地局と各移動局がCDMA通信方式により無線通信を行っている。なお、送信機1Aについては、実施の形態1と同様であるため説明を省略し、ここでは、受信機2Bにおける実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
図9において、受信機2Bは、受信制御器21B、誤り訂正復号器22、デインタリーバ23、デフレーム化/逆拡散器24、無線周波数受信器25Bを備えている。受信制御器21Bでは、主に、送信機1Aとのネゴシエーションを通じてデインタリーバ23およびデフレーム化/逆拡散器24の動作を制御する。また、この受信制御器21Bでは、デフレーム化/逆拡散器24に対して、コンプレスドモード時に、拡散率の変更とコンプレスドフレームを受信するための受信タイミングとを指示する。さらに、この受信制御器21Bでは、無線周波数受信機25Bからフェージング情報として通知される最大ドップラー周波数(フェージング周波数)の推定値と、予め設定してある最大ドップラー周波数の閾値と、を比較し、推定値の周波数が高い場合に、アイドル時間の位置の制御を行わないように、すなわち、アイドル時間の位置をフレームの中心付近に設定するように、送信機1Aとネゴシエーションを行う。
無線周波数受信機25Bでは、図示していないアンテナから送られてくる受信信号を復調する。また、受信信号から最大ドップラー周波数を推定し、それをフェージング情報として受信制御器21Bに通知する。
以下、本実施の形態の受信制御器21Bにおける受信制御器21Aとは異なる動作を、図面にしたがって説明する。図10は、本実施の形態における受信制御器21Bの送信電力制御に関する構成を示す図である。図10において、211Bは通常モード/コンプレスドモード判定器である。通常モード/コンプレスドモード判定器211Bは、送信機1Aとのネゴシエーションを通じてコンプレスドモードへ移行するタイミングを決定し、デフレーム化/逆拡散器24に拡散率の変更、受信タイミングを指示する。さらに、通常モード/コンプレスドモード判定器211Bは、無線周波数受信機25Bから通知されるフェージング情報と、予め設定されている最大ドップラー周波数の閾値と、を比較し、フェージング情報として通知される最大ドップラー周波数に関する推定値の周波数の方が高い場合に、アイドル時間の調整を行わないように、送信機1Aとネゴシエーションを行う。
つぎに、本実施の形態におけるコンプレスドモード伝送のアイドル時間の設定位置を図面にしたがって説明する。図11および図12は、コンプレスドモード伝送におけるアイドル時間の設定位置の一例を示す図である。なお、本実施の形態は、前述した実施の形態1より最大ドップラー周波数が高い場合に適用可能である。
たとえば、フェージング(図示のチャネル状態)周波数が高い場合には、受信電力が落ち込む時間間隔が比較的短いため、誤りの発生が時間的に分散する。そのため、送信電力制御による通信品質改善の効果は、チャネル状態の追随性の劣化に伴って小さくなり、逆に誤り訂正符号化/インタリーブによる通信品質の改善効果が大きくなる。したがって、たとえば、フェージング周波数が高い場合に、アイドル時間位置を実施の形態1と同様にコンプレスドフレームの後方に配置すると、圧縮されたデータビットは、コンプレスドフレーム内の前方に偏在することになり、インタリーブによるランダム化の効果が損なわれることになる。
そこで、本実施の形態においては、受信制御器21Bが、無線周波数受信機25Bから通知されるフェージング情報と、予め設定されている最大ドップラー周波数の閾値と、を比較し、フェージング情報として通知される最大ドップラー周波数の推定値の方が、周波数が低い場合に、図11に示すように、実施の形態1と同様、アイドル時間をコンプレスドフレームの後方に配置する。
一方、受信制御器21Bが、無線周波数受信機25Bから通知されるフェージング情報と、予め設定されている最大ドップラー周波数の閾値と、を比較し、フェージング情報として通知される最大ドップラー周波数の推定値の方が、周波数が高い場合に、アイドル時間の調整を行わないように、送信機1Aとネゴシエーションを行い、たとえば、図12に示すように、アイドル時間をコンプレスドフレームの中心付近に配置する。
このように、フェージング周波数の高低に対応してコンプレスドフレームのアイドル時間の位置を変更することにより、フェージング周波数が高い場合におけるインタリーブの効果と、フェージング周波数が低い場合における送信電力制御の効果と、を劣化させないような制御が可能となる。また、たとえば、高速での移動が想定されないエリア(フェージング周波数が低い場合)では、実施の形態1と同様に、アイドル時間をコンプレスドフレームの後ろの方に配置し、高速での移動が想定されるエリア(フェージング周波数が高い場合)では、アイドル時間をコンプレスドフレームの中心付近に配置することとしても、同様の効果が得られる。
つぎに、図8に示す通信システムにてコンプレスドモード時のアイドル時間を上記最適な位置に配置する場合における、送信機1Aおよび受信機2B間の具体的な通信方法を、図面にしたがって説明する。図13は、本実施の形態における通信方法を示すフローチャートである。なお、前述した実施の形態1と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
まず、受信機2Bの無線周波数受信機25Bは、コンプレスドモード伝送を行う以前の通常モード伝送時に、受け取った受信信号に基づいて最大ドップラー周波数を推定し、その推定値をフェージング情報として受信制御器21Bに通知する(ステップS41)。そして、フェージング情報を受け取った受信制御器21Bでは、そのフェージング情報と、予め設定されている最大ドップラー周波数の閾値と、を比較し、推定値の周波数が高い場合に(ステップS42,No)、送信電力制御誤差収束用アイドル時間のオフセットの設定を停止し(ステップS43)、アイドル時間をコンプレスドフレームの中心付近に配置する処理を行う。なお、推定値の周波数が低い場合には(ステップS42,Yes)、以降、実施の形態1と同様、アイドル時間をコンプレスドフレームの後方に配置する処理を行う。
このように、本実施の形態では、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、フェージング周波数の高低に対応してコンプレスドフレームのアイドル時間の位置を変更するため、フェージング周波数が高い場合におけるインタリーブの効果と、フェージング周波数が低い場合における送信電力制御の効果と、を劣化させない制御が可能となる。
なお、最大ドップラー周波数の推定は、必ずしも受信信号を測定することにより実現しなくてもよい。たとえば、セルラ通信では、一般に、自動車や列車などの移動速度の速い移動機に対するサービスに対しては、基地局による通信サービスを提供するセル半径が大きく、徒歩や半固定局などの準静的な移動機に対するサービスに対しては、セル半径が小さい。そのため、一般的にセル半径が大きい場合にはフェージング周波数が高く、セル半径が小さい場合にはフェージング周波数が低い、ということがいえる。したがって、この場合は、セル半径の大きさによりドップラー周波数(フェージング周波数)を推定し、上記制御を行うことにより、同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
図14は、本発明にかかる通信システムにおける実施の形態4の構成を示す図である。なお、本実施の形態において、先に説明した実施の形態1に示す図1の構成、または実施の形態2に示す図9の構成、と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態では、通信システムの一例として、CDMAシステムについて説明を行うが、これに限らず、たとえば、本発明の通信方法を使用するすべての無線通信システム(移動体通信、衛星通信等)に適用可能である。
本発明にかかる通信システムは、図14に示すように、送信機1Cおよび受信機2Cにより構成される。この送信機1Cおよび受信機2Cは、システムを構成する基地局、移動局のそれぞれに設けられ、ここでは、基地局と各移動局がCDMA通信方式により無線通信を行っている。なお、ここでは、送信機1Cおよび受信機2Cにおける実施の形態1または2と異なる構成についてのみ説明を行う。
まず、上記通信システムを構成する送信機1Cについて説明する。図14において、送信機1Cは、送信制御器11C、誤り訂正符号化部12、インタリーバ13、フレーム化/拡散器14、無線周波数送信器15を備えている。
図15は、本実施の形態における送信制御器11Cの送信電力制御に関する構成を示す図である。図15において、111Cは通常モード/コンプレスドモード判定器であり、112Cは送信電力制御器である。通常モード/コンプレスドモード判定器111Cは、受信機2Cから通知されるフェージング情報に基づいて、受信機2Cとネゴシエーションを行い、送信電力制御ステップサイズを決定し、ステップサイズ指示信号を送信電力制御器112Cに通知する。同時に、コンプレスドモード時のアイドル時間後に発生する送信電力制御誤差の収束時間を上記フェージング情報と上記送信電力制御ステップサイズから推定する。そして、送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮し、アイドル時間の位置を決定する。なお、これ以外の通常モード/コンプレスドモード判定器111Cの動作は、実施の形態1と同様である。
また、送信電力制御器112Cは、上記通常モード/コンプレスドモード判定器111Cから送られるステップサイズ指示信号にしたがい、送信電力制御の電力幅を制御する。なお、これ以外の送信電力制御器112Cの動作は、実施の形態1と同様である。
つぎに、上記通信システムを構成する受信機2Cについて説明する。図14において、受信機2Cは、受信制御器21C、誤り訂正復号器22、デインタリーバ23、デフレーム化/逆拡散器24、無線周波数受信器25Bを備えている。
受信制御器21Cは、主に、送信機1Cとのネゴシエーションを通じてデインタリーバ23およびデフレーム化/逆拡散器24の動作を制御する。また、この受信制御器21Cは、デフレーム化/逆拡散器24に対して、コンプレスドモード時に、拡散率の変更と、コンプレスドフレームを受信するための受信タイミングと、を指示する。さらに、この受信制御器21Cは、無線周波数受信機25Bからフェージング情報として通知される最大ドップラー周波数の推定値を送信機1Cに通知し、送信機1Cとのネゴシエーションにより送信電力制御誤差収束時間を推定し、送信電力制御ステップサイズ、およびアイドル時間のオフセット量を決定する。
図16は、上記の動作により設定した、コンプレスドモード伝送におけるアイドル時間の設定位置、および送信制御ステップサイズの一例を示す図である。なお、図16においては、コンプレスドフレームのアイドル時間前のステップサイズをΔとし、アイドル時間後のステップサイズをaΔ(a>1)としている。たとえば、本実施の形態では、送信制御ステップサイズ、実施の形態1のときよりも大きく設定することにより、アイドル時間後の送信電力制御誤差の収束に必要なスロット数を減少させている。
なお、図17(a)〜(e)および図18(a)〜(c)は、上記の動作で送信制御ステップサイズを変更することにより、アイドル時間後の送信電力制御誤差収束時間のスロット数を減少させた場合の、コンプレスドモードにおけるアイドル時間の最適な位置を示す図である。これらの図からは、アイドル時間後のスロット数bが少ないほど、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響が小さくなることがわかる。ただし、連続的に発生する誤りをランダマイズ化し、誤り訂正符号化の効果を引き出すインタリーブの効果を十分に得るためには、アイドル時間後のスロット数をある程度考慮する必要がある。
つぎに、図14に示す通信システムにてコンプレスドモード時のアイドル時間を上記最適な位置に配置する場合における、送信機1Cおよび受信機2C間の具体的な通信方法を、図面にしたがって説明する。図19は、本実施の形態における通信方法を示すフローチャートである。なお、前述した実施の形態1と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
まず、受信機2Cの無線周波数受信機15Bは、コンプレスドモード伝送を行う以前の通常モード伝送時に、受け取った受信信号に基づいて最大ドップラー周波数を推定し、その推定値をフェージング情報として受信制御器21Cに通知する(ステップS51)。そして、受信機2Cでは、上記推定した最大ドップラー周波数を、さらに、送信機1Cの送信制御器11Cに通知する(ステップS52)。その後、送信制御器11Cおよび受信制御器21Cでは、通知されたドップラー周波数に基づいて、送信電力制御におけるステップサイズを決定し、送信電力制御誤差が収束する時間を推定するとともに、アイドル時間位置を決定するようネゴシエーションを行う(ステップS53)。なお、以降の動作については、実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態においては、フェージング周波数に応じて送信電力制御のステップサイズを決定し、さらに、そのステップサイズから送信電力制御誤差収束時間を推定するため、アイドル時間による送信電力制御誤差の影響と、インタリーブの効果と、を考慮したコンプレスドモードにおけるアイドル時間の設定が可能となり、伴って、コンプレスドモードによる通信品質の劣化を抑えることも可能となる。
なお、最大ドップラー周波数の推定は、必ずしも受信信号を測定することにより実現しなくてもよい。たとえば、セルラ通信では、一般に、自動車や列車などの移動速度の速い移動機に対するサービスに対しては、基地局による通信サービスを提供するセル半径が大きく、徒歩や半固定局などの準静的な移動機に対するサービスに対しては、セル半径が小さい。そのため、一般的にセル半径が大きい場合にはフェージング周波数が高く、セル半径が小さい場合にはフェージング周波数が低い、ということがいえる。したがって、この場合は、セル半径の大きさによりドップラー周波数(フェージング周波数)を推定し、上記制御を行うことにより、同様の効果を得ることができる。