JP4344145B2 - 光信号交換装置および光信号交換装置の制御方法 - Google Patents
光信号交換装置および光信号交換装置の制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MEMSミラーアレイを備えた光スイッチの試験装置に関し、特に偏向制御量を効率的かつ高精度に求めることができる光スイッチ試験装置と光スイッチ試験方法に関する。また、この光スイッチを備えて光出力を安定化できる光信号交換装置と光信号交換装置の制御方法に関する。このような光スイッチを用いて、WDM信号を用いた光クロスコネクトシステムにおける光路切り換えを行うことができる。
【0002】
【従来の技術】
近時、インターネットの急速な普及とともに、トラフィックが飛躍的に増加している。トラフィックの増加に対応し大容量光通信網を構築するための方式として波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式がある。このWDM方式による基幹光ネットワークとして光クロスコネクト(OXC:Optical Cross−Connect)システムがある。この光クロスコネクトシステムは、光ファイバからなる光伝送路上に複数の光信号交換装置が相互に接続された構成である。
【0003】
光信号交換装置には、光ファイバを通じて波長多重された光信号(WDM信号)が入力され、同一の光伝送路の光信号については波長多重して伝送する。この光信号交換装置は、内部に光スイッチが設けられており、この光スイッチにより波長単位で光信号の光路を他の光路に切り換えて、他の光伝送路に出力することができる。
【0004】
このように、光信号交換装置を用いた光クロスコネクトシステムによれば、ある光伝送路を構成している光ファイバに障害が発生した場合、即時に内部の光スイッチにより光路を切り換えて予備の光伝送路等、他の光伝送路を構成する光ファイバや別ルートの光ファイバに光信号を迂回させることができる。したがって、光伝送路の障害が発生しても高速に復旧させることができ、また、波長単位での光路の切り換え(編集)が行えるようになる。
【0005】
図13は、光スイッチを示す斜視図である。図示の光スイッチは、3次元型MEMSの光スイッチ100であり、バルクマイクロマシン(Bulk Micro Electric Mechanical System)技術を応用して作製した2つのMEMSミラーアレイ101,102と、これら2つのMEMSミラーアレイ101,102に対して光を入出射するための2つのコリメータアレイ103,104を備えている。バルクマイクロマシン技術により形成されたMEMSミラーアレイ101,102は、材料基板自体をエッチングすることにより支持体やミラー形成部を所望の形状に成形し、必要に応じてミラー面や電極を薄膜形成してなる。このMEMSミラーアレイ101,102を用いることにより、空間的に光路を切り換える光スイッチを構成できる。
【0006】
MEMSミラーアレイ101,102は、それぞれマトリクス状に複数のティルトミラー105,106を備えている。各ティルトミラー105,106は独立して2軸(X軸,Y軸)方向に角度変更でき、入射する光Aの出射角度を変更することにより、光Aの光路を任意の角度に切り換えることができるようになっている。コリメータアレイ103,104は、MEMSミラーアレイ101,102の複数のティルトミラー105,106に対応した数の入出力ポートがマトリクス状に形成されてなる。
【0007】
このような3次元型MEMS光スイッチに関する技術は、例えば、下記の非特許文献1に開示されている。また、各ミラーの角度を2軸方向(X軸およびY軸)に角度変更可能な櫛歯型電極を有するMEMSミラーに関する技術は、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【0008】
このようなMEMSミラーアレイ101,102を用いた光スイッチは、小型化、波長無依存性および偏波無依存性などの点で他のスイッチに比べて優位性があり注目されている。そして、上記のような3次元型MEMSの光スイッチ100を用いた光信号交換装置は、光損失の低減化、大容量化、および多チャンネル化が実現できる。
【0009】
上記の光スイッチ100は、コリメータアレイ103,104にそれぞれ複数のポート(103−1〜103−N,104−1〜104−N)の光ファイバ(不図示)の端部が配置される。図示の例では、入力側のコリメータアレイ103と出力側のコリメータアレイ104は、いずれも光の入力方向が図の前方を向き、光の出力方向が後方を向くように並列配置されている。
【0010】
これらのコリメータアレイ103,104は、それぞれ縦横方向にマトリクス状に複数のポート(103−1〜103−N,104−1〜104−N)を有する。各ポートにはそれぞれ光信号を入出力するために不図示の光ファイバの端部が固定配置される。コリメータアレイ103,104の各ポートは、後方の面が光ファイバから光を出射する端面加工が施されている。
【0011】
コリメータアレイ103,104の奥方には、コリメータアレイ103,104の配置間隔に対応してMEMSミラーアレイ101,102が配置されている。MEMSミラーアレイ101,102は、コリメータアレイ103,104との間の光路Aの方向に対しそれぞれ45°ずつ傾斜するよう配置されている。また、コリメータアレイ103とコリメータアレイ104は、互いに直交する90°の角度で配置されている。これにより、図示のように、入力側のコリメータアレイ103の各ポートに入力された光は光路Aとして出射され、入力側のMEMSミラーアレイ101により出力側のMEMSミラーアレイ102に向けて反射される。MEMSミラーアレイ102は、コリメータアレイ104に向けて反射させ、コリメータアレイ104の各ポートから出力することができる。
【0012】
MEMSミラーアレイ101のティルトミラー105を入力ミラーとし、MEMSミラーアレイ102のティルトミラー106を出力ミラーとして説明する。これら入力ミラー105,出力ミラー106は、それぞれ前述した櫛歯型電極を有する偏向手段(不図示)を備えている。この偏向手段に対して角度変更に対応する偏向制御量(駆動電圧)を供給することにより、駆動電圧の値に対応して入力ミラー105,出力ミラー106の角度を連続的に可変させる。
【0013】
スルーパス時には、コリメータアレイ103のポート3(103−3)から出力された光Aは、MEMSミラーアレイ101の入力ミラー105−3で反射された後、MEMSミラーアレイ102の出力ミラー106−3で反射され、コリメータアレイ104のポート3(104−3)に入射される。このとき、MEMSミラーアレイ101,102の入力ミラー105−3,出力ミラー106−3の面は、MEMSミラーアレイ101,102の本体の面に対し平行な状態にある。この状態では、入力ミラー105−3,出力ミラー106−3に対する角度変更の制御を行わない。
【0014】
クロスパス時には、MEMSミラーアレイ101の入力ミラー105−3と、MEMSミラーアレイ102の出力ミラー106−3に対し角度変更の制御を行うことにより、コリメータアレイ103のポート3(103−3)の光Aに入射された光の反射方向を変更させ(偏向と称す)、コリメータアレイ104の任意のポート(104−1〜104−Nのいずれか)に入射させる。このようにして、光スイッチ100は、複数のポートから入力された光を任意のポートに切り換えて出力することができる。後述する光信号交換装置は、このポート切り換えにより、光伝送路上の複数系統の光信号を異なる系統に切り換える(交換と称す)ものである。
【0015】
ところで、上記の光スイッチ100は、スルーパスおよびクロスパスのいずれにおいても、出力側のコリメータアレイ104に接続された出力側の光ファイバに対して光路(光Aの光軸)がずれて入射することがある。この光路のずれは、MEMSミラーアレイ101,102が有する構造特性、および角度変更時の制御量に対して実際に動いたミラーの角度ずれや、組み立て時の部材配置のずれ等を要因として生じる。そして、この光路のずれは、光スイッチ100を備えた光信号交換装置の光損失を大きくする要因となる。このような光スイッチにおける光信号の光損失を低減化させる制御技術は、例えば、下記の特許文献2や、特許文献3に開示されている。
【0016】
図14は、従来技術による光スイッチの偏向制御量を得る試験手順を示すフローチャートである。この試験は、光スイッチ100の組み立て時の部材配置のずれが発生していないと仮定して行う。なお、以下の説明では、便宜上、コリメータアレイ103側が光の入力側、コリメータアレイ104が光の出力側とし、MEMSミラーアレイ101のティルトミラー105を入力ミラーとし、MEMSミラーアレイ102のティルトミラー106を出力ミラーとして説明する。
【0017】
まず、入出力ポートの設定では、コリメータアレイ103のある入力ポートと、コリメータアレイ104の出力ポートを設定する(ステップS101)。次に、コリメータアレイ103側で設定された入力ポートから光を入力させたときに、コリメータアレイ104側で設定された出力ポートから光を出力させるための偏向角を算出する(ステップS102)。この偏向角は、MEMSミラーアレイ101,102の入力ミラー105および出力ミラー106の角度変更に必要な理論値に基づき算出される。
【0018】
次に、算出された偏向角を用いてMEMSミラーアレイ101の入力ミラー105と、MEMSミラーアレイ102の出力ミラー106の各偏向手段(不図示)に対して角度変更の制御を行う。具体的には、偏向手段を駆動し(ステップS103)、入力ミラー105、および出力ミラー106の2軸(X軸,Y軸)の角度を連続的に変化させる。同時に、コリメータアレイ104の出力ポートから出力された光Aの受光レベルを光検出器(不図示)により検出し(ステップS104)、光損失の最適点を求める(ステップS105)。
【0019】
最適点が求められるまでの間は(ステップS105:No)、フィードバック制御により、ステップS103による偏向手段の駆動と、ステップS104による受光レベルの検出が継続される。最適点が求められると(ステップS105:Yes)、この最適点に対応した角度位置を偏向制御量として得る。最適点は、上記設定した入出力ポート間の光損失が最小、すなわち受光レベルが最も高く検出されたときの角度位置である。
【0020】
以上の処理により、ステップS101で設定されたある1つの入出力ポート、すなわち、コリメータアレイ103のある入力ポートと、コリメータアレイ104の出力ポートにおける偏向制御量が得られる。そして、上記の処理を新たな入出力ポートの組み合わせを設定して行う(ステップS106:No)。マトリクス状のコリメータアレイ103,104の全ポートに対する最適点が求められると(ステップS106:Yes)、上記のスルーパスおよびクロスパスによる全ての入出力ポートの組み合わせの偏向制御量を得ることができる。
【0021】
【特許文献1】
特開2002−328316号公報
【特許文献2】
特表平9−508218号公報
【特許文献3】
特開2002−236264号公報
【非特許文献1】
「高速切替3次元型MEMS光スイッチ」、2002年電子情報通信学会通信ソサエティ大会、p.447
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、光スイッチ100の組み立て時の部材配置のずれが発生したときには、出力の受光レベルが最大となる偏向制御量が前述した理論値から偏位することになる。これにより、受光レベルが最大となる偏向制御量を得るまでの処理、すなわち、ステップS103〜ステップS105におけるフィードバック制御回数が増加し、試験時間が増大するという問題があった。
【0023】
また、上記の試験処理では、MEMSミラーアレイ101,102の理論値を用いて偏向制御量を算出している。このため、MEMSミラーアレイ101,102の入力ミラー105,出力ミラー106毎に固有のばらつきが大きいと、偏向制御量の算出値のずれも大きくなり、試験時間が増大するという問題を生じた。
【0024】
光スイッチが入力ポート数N,出力ポート数Nであるとき、スルーパスおよびクロスパスによる切り換え可能な組み合わせは、N2 通りとなる。図13に示した光スイッチ100では、組み立て時に部材配置のずれが発生するため、入力ポートの番号をiとし、出力ポートの番号jとすると、i=jであるスルーパスの試験であっても、偏向制御の実行が必要なことを意味している。加えて、この組み立て時に生じる部材配置のずれは、i≠jとなるクロスパスの試験においても、偏向制御の実行が必要となる。したがって、従来の試験処理によれば、ある1つのパスを試験する時間が5(分)程度かかるため、N×Nの光スイッチの偏向制御量を試験するためには、全体として5×N2 (分)の試験時間が必要となった。
【0025】
ところで、前述した光スイッチの試験処理は、光スイッチ試験装置を用いて行われる。光スイッチ試験装置は、光スイッチの各入力ポートに光信号を出射する光源と、光スイッチの各出力ポートから得た光信号の受光レベルを検出する光検出器と、上記試験処理を実行する制御回路によって構成されている。制御回路は、上記の試験処理により得た偏向制御量をメモリに記憶するようになっている。したがって、光スイッチを試験した結果得られた偏向制御量は、各光スイッチ毎に固有な制御用のパラメータとしてメモリに格納される。
【0026】
光スイッチが組み込まれる光信号交換装置は、このメモリに格納されたパラメータを読み出して実際の光信号交換動作を運用するようになっている。例えば、光信号交換装置は、切り換え指示を受けると、メモリから設定されている入出力ポートに対応した偏向制御量を読み出して偏向手段を駆動する。
【0027】
図15は、偏向制御量を格納するメモリ内容を示す図表である。メモリ110に格納されるパラメータの内容を一覧化した。入力ポートと出力ポートの組み合わせは、前述したように、N2 通り必要となる。また、1つのパスについてMEMSミラーアレイ101,102の入力ミラー105,出力ミラー106それぞれについてX軸,Y軸の偏向制御量が必要であるため4個となる。したがって、入力ポート数N,出力ポート数Nの光スイッチの場合、4N2 個の偏向制御量を格納する必要が生じる。これにより従来技術では、メモリ110に4N2 個分の偏向制御量を格納するため、メモリ容量が増大した。特に、入出力ポート数の増大など、今後、光スイッチの規模が大きくなった場合には、必要なメモリ容量はポート数の2乗で増加するため、メモリが指数的に大容量化することとなる。
【0028】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、光スイッチの試験を効率的に行え試験時間を短縮できるとともに、光スイッチの試験結果のデータ量を削減して格納するメモリ容量を取らない光スイッチ試験装置と、光スイッチ試験方法を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、光伝送路の光信号を切り換えたときに光損失を低減させ常時安定した光交換が行える光信号交換装置と、光信号交換装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の光信号交換装置は、以下のことを特徴とする。光スイッチ試験装置による試験結果が格納されたメモリと光スイッチが光信号交換装置に装着される。光伝送路の光信号の切り換えを行う運用時、光検出器は、光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する。偏向制御量演算手段は、第2のミラーアレイによって構成される前記各出力ポートに対するスルーパスごとの光学オフセットと、前記第1のミラーアレイによって構成される各入力ポートおよび前記各出力ポートごとの構造パラメータのデフォルト値とにより偏向制御量を演算し、第1および第2の偏向手段に供給する。制御手段は、偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量と、光検出器により検出された受光レベルに基づき、偏向制御量を変えながら光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行し、前記構造パラメータは、前記第1の偏向手段における前記偏向制御量に対する前記偏向角の比率を示すパラメータである。
【0032】
この発明によれば、光信号の切り換えを行う運用時に、切り換え後の各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを最大にし光損失を最小にすることができるため、常時安定した光交換動作が行える。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、本発明にかかる光スイッチ試験装置について説明する。この光スイッチ試験装置は、光スイッチの光学的特性の試験を行う。図1は、本発明の光スイッチ試験装置の構成を示すブロック図である。図示のように、光スイッチ100は、光スイッチ試験装置1に組み込んで試験するようになっている。この光スイッチ試験装置1は、光源2と、光検出器3と、制御部4と、メモリ5と、駆動部6とを備えて構成されている。
【0034】
光源2から出力される試験用の光信号は、光ファイバ10を介して光スイッチ100に出力される。光スイッチ100は、前述した光信号の切り換えを行い光ファイバ11を介して光検出器3に出力する。光スイッチ100は、ポート数Nを有しており、光源2の光信号の出力ポート数、および光検出器3の入力ポート数は、同様に個数Nを有している。対応して光ファイバ10,11についても本数Nを有している。
【0035】
具体的には、本数Nの光ファイバ10は、それぞれ一端が光源2に接続され、他端が光スイッチ100の入力側のコリメータアレイ103の各ポート103−1〜103−Nに接続される。光ファイバ11は、それぞれ一端が光スイッチ100の出力側のコリメータアレイ104の各ポート104−1〜104−Nに接続され、他端が光検出器3に接続される。これにより、光スイッチ100の全ポートに対して光源2から光信号を入力でき、光スイッチ100の全ポートから出力される光信号を光検出器3により検出できるようになる。
【0036】
光検出器3は、例えば、光信号のレベルに応じた電気信号(フォトカレント;電流信号)を検出するフォトダイオードおよび、検出されたフォトカレントを電圧信号に変換して出力する電流/電圧変換器等により構成される。この光検出器3が検出した値(検出信号)は、制御部4に出力される。
【0037】
制御部4は、光スイッチ100に対する試験時に光スイッチ試験装置1全体の動作を制御する。この制御部4は、制御手段4aと、オフセット演算手段4bと、構造パラメータ演算手段4cと、偏向制御量演算手段4dとを有している。制御手段4aは、光スイッチ100の試験時に、光検出器3から入力される検出信号に基づき、オフセット演算手段4bと、構造パラメータ演算手段4cと、偏向制御量演算手段4dとを用いた演算を実行制御する。この演算実行時に得られた偏向制御量を駆動部6に出力するとともに、演算実行により得られた最終的な試験結果(偏向制御量)をメモリ5に格納する。
【0038】
メモリ5には、光スイッチ100の全ポートに関する入力ポートと、出力ポートの組み合わせが一覧化されている。この入出力ポートの全組み合わせ一つ一つに対応して、制御部5の演算処理により得られた偏向制御量が格納されるようになっている。
【0039】
制御部4を構成する上記各手段は、FPGA(Field Programmable Gate Arrays)等のASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成することができる。
【0040】
駆動部6は、制御部4から出力されたデジタルの偏向制御量をアナログ量に変換して、光スイッチ100を駆動する。具体的には、光スイッチ100が有するMEMSミラーアレイ101の入力ミラー105、およびMEMSミラーアレイ102の出力ミラー106に対して変更する角度に対応した駆動電圧(V)を出力する。
【0041】
次に、この発明の光スイッチ試験装置1による光スイッチ100の試験内容について説明する。光スイッチ100の試験は大きく分けて3つの算出処理からなる。この3つとは、[1]光学オフセット、[2]クロスパスの偏向制御量、[3]構造パラメータ、の各算出処理である。以下にそれぞれの算出処理内容を説明する。図2は、光スイッチ試験装置によるスイッチの試験手順を示すフローチャートである。以下、図2に示した内容に沿って試験手順を説明していく。
【0042】
[1]光学オフセットの算出処理
光スイッチ100の試験開始時は、図1に示したメモリ5のデータは全て0で初期化されている。そして、図2において入力ポート番号i,出力ポート番号jとし、i=jとなるスルーパスの切り換え指示を行う(ステップS1)。これにより制御手段4aは、メモリ5にアクセスし、切り換え指示に対応するポート情報を得て駆動部6に出力する。
【0043】
図3は、メモリに格納されるデータ内容を示す図表である。メモリ5の領域は、図示のように、光学オフセット格納領域5aと、入力ミラー構造パラメータ格納領域5bと、出力ミラー構造パラメータ格納領域5cとからなる。光学オフセット格納領域5aには、入力ポート番号i(1〜N)と、出力ポート番号j(1〜N)が一致する(i=j)スルーパスにおける光学オフセット(θoff )が格納される。入力ミラー構造パラメータ格納領域5bには、入力側のMEMSミラーアレイ101の入力ミラー105の入力ポート番号1〜Nの入力ミラー構造パラメータ(A)が格納される。出力ミラー構造パラメータ格納領域5cには、出力側のMEMSミラーアレイ102の出力ミラー106の出力ポート番号1〜Nの出力ミラー構造パラメータ(A)が格納される。
【0044】
MEMSミラーアレイ101,102は、原理上、スルーパス時には、駆動部6に出力する偏向制御量(駆動電圧)が0のとき、光スイッチ100における光損失が最小となる。しかし、前述したように、光スイッチ100の組み立て時のずれに伴い、実際には光損失は最小とはならない。
【0045】
このため、次に、駆動部6を介して光スイッチ100を構成しているMEMSミラーアレイ101,102において該当する入力ポート番号iに該当する入力ミラー105と、出力ポート番号jに該当する出力ミラー106にそれぞれ設けられた偏向手段(不図示)を駆動し、これら入力ミラー105と出力ミラー106の角度を調整する(ステップS2)。
【0046】
図4は、角度変更時における光損失の変化状態を示す図表である。入力ミラー105,出力ミラー106の角度の調整は、前述したように偏向手段に対し、偏向制御量である駆動電圧を変更させて行う。入力ミラー105,出力ミラー106の偏向手段に対する駆動電圧を連続的に変化させることにより、光検出器3が検出する光信号の受光レベルが変化することが示されている。図示のように、受光レベルが最も高いピークPが光損失が最小となる最適点である。また、駆動電圧は、電圧値αずつ変化させるようにしているが、この電圧値αは任意に設定することができる。
【0047】
このときの光信号の受光レベルを光検出器3で検出し(ステップS3)、受光レベルが最も高くなる最適点が求められたか判断する(ステップS4)。最適点の判断は、ステップS2に復帰するフィードバック制御(ステップS4:No〜ステップS2〜ステップS3)を複数回実行して行う。1回のフィードバック制御では、偏向手段に対する駆動電圧をαだけ変化させたときに得られた受光レベルを検出し、前回の受光レベルより高くなったかを判断している。
【0048】
このフィードバック制御には、制限回数Mを定めておく(ステップS5)。したがって、フィードバック制御は、制限回数Mに達するまでの期間(ステップS5:Yes)、所定回数行われる。フィードバック制御の回数が制限回数M以上となった場合は(ステップS5:No)、切り換え対象となっている入力ミラー105,出力ミラー106が正常に角度変更されていない、もしくは、該当するポート番号i,jの光ファイバに異常が発生していることが考えられる。
【0049】
この場合、ステップS1に復帰し、該当するポート番号i,jにおける最適点を求めることができない状態であると判断して、次に試験する組み合わせのポートに対する切り換え指示を行う。なお、このとき、光スイッチ試験装置1は、メモリ5の該当する格納エリアに「試験不能」や「使用不能」を示す所定の値を書き込んだり、試験不能のポートをリストで一覧化してもよい。
【0050】
そして、最適点が求められると(ステップS4:Yes)、フィードバック制御により変更させた偏向制御量がオフセット演算手段4bでオフセット角度に変換され(ステップS6)、メモリ5における切り換え指示の対象となった入出力ポートの光学オフセット格納領域5aに蓄積される。オフセット演算手段4bによる光学オフセットの算出は、下記の式(1)に基づき、上記最適点が求められたときにおける偏向手段の偏向角θを光学オフセットとする。
【0051】
θ=AV2 …(1)
ここで、θ:偏向手段の偏向角,A:偏向手段の構造パラメータ,V:駆動部が出力する偏向制御量(駆動電圧)である。
【0052】
上記の式(1)の関係に基づいて光学オフセットが算出される。この光学オフセットを算出する段階においては、構造パラメータAとしては代表的な値を用いる。但し、後述するように、後に構造パラメータAを正確に算出し、データを更新する処理が加えられる。
【0053】
そして、スルーパスに関する全ての入力ポートの組み合わせに対する光学オフセットの演算が終わったか判断する(ステップS7)。全てのスルーパスに関する光学オフセットの演算が終わっていないときには(ステップS7:No)、ステップS1に復帰する。そして、スルーパスに該当する各出力ポートを全ポート測定し終えると(ステップS7:Yes)、ポート番号i,jの全ての組み合わせに関する光学オフセットの算出を終了する。
【0054】
[2]クロスパスの偏向制御量算出処理
入力ポート番号i,出力ポート番号jとしてi=jとなる全スルーパスに関する光学オフセットの算出終了後、クロスパスの偏向制御量の算出を行う。クロスパスでは、切り換え指示がi≠jとなるクロスパスの切り換え指示を行う(ステップS8)。これにより制御手段4aは、メモリ5にアクセスし、切り換え指示に対応するポート情報を得て駆動部6に出力する。
【0055】
図5は、クロスパスの光路を説明する図である。便宜上、MEMSミラーアレイ101,102に設けられる入力ミラー105と出力ミラー106の個数を少なく記載してある。また、これら入力ミラー105と出力ミラー106の各ミラーを行列[行番号:列番号]を加えて記載してある。このクロスパスは、入力ポート番号i=4,出力ポート番号j=6とした例である。クロスパスにおける光路Aは、図示のように、入力ミラー105および出力ミラー106の角度を変更させる。
【0056】
この際、切り換え指示の対象となる入力ミラー105−4と、出力ミラー106−6の偏向角をそれぞれ光学オフセットを参照して決定する(ステップS9)。偏向制御量演算手段4dは、ステップS6で測定した光学オフセット情報をメモリ5から読み出し、クロスパスの偏向制御量(クロスパスに最適な駆動電圧)を算出する(ステップS10)。
【0057】
i≠jとなるクロスパスの偏向制御量は、下記の式(2)に基づき算出される。
【0058】
V=√((θ+θoff )/A) …(2)
ここで、θoff :光学オフセットである。
【0059】
上記の式(2)には、光学オフセットが含まれているため、光学オフセットを考慮していない場合に比較して、偏向制御量Vを高精度に算出することができる。
【0060】
次に、切り換え指示を受けた入力ポートと、出力ポートに該当する偏向制御量を格納手段(不図示)に格納し、その偏向制御量となるように駆動部6を実行することで切り換え対象となっている入力ミラー105−4、および出力ミラー106−6の変更手段を駆動し、偏向角を変化させる(ステップS11)。これにより、図5に示すような光の光路Aが形成される。この際、出力ポート番号j=6に相当するコリメータアレイ104のポート6(104−6)から出力された光信号の受光レベルを光検出器3で検出する(ステップS12)。
【0061】
そして、このときの光信号の受光レベルが最も高くなる最適点が求められたか判断する(ステップS13)。最適点の判断は、ステップS11に復帰するフィードバック制御(ステップS13:No〜ステップS11〜ステップS12)を複数回実行して行う。スルーパス時と同様に、1回のフィードバック制御では、偏向手段に対する駆動電圧をαだけ変化させたときに得られた受光レベルを検出し、前回の受光レベルより高くなったかを判断する。
【0062】
このフィードバック制御には、制限回数Nを定めておく(ステップS14)。したがって、フィードバック制御は、制限回数Nに達するまでの期間(ステップS14:Yes)、所定回数行われる。フィードバック制御の回数が制限回数N以上となった場合は(ステップS14:No)、切り換え対象となっている入力ミラー105−4,出力ミラー106−6が正常に角度変更されていない、もしくは、該当するポート番号i=4,j=6の光ファイバに異常が発生していることが考えられる。
【0063】
この場合、ステップS8に復帰し、該当するポート番号i=4,j=6における最適点を求めることができない状態であると判断して、次に試験する組み合わせのポートに対する切り換え指示を行う。なお、このとき、光スイッチ試験装置1は、メモリ5に割り当てた格納エリアに「試験不能」や「使用不能」を示す所定の値を書き込んだり、試験不能のポートをリストで一覧化してもよい。
【0064】
そして、最適点が求められると(ステップS13:Yes)、構造パラメータの算出処理に移行する。ここで、最適点が得られたときにおける偏向手段の偏向角について説明する。例えば、使用する入出力ミラーの位置が行列[行番号n:列番号m]のうち、1行ずれている場合に必要な偏向手段の偏向角をΔxとすると、図5に示すようにIN[n:m],OUT[n+N:m]でNだけ差があるミラーを使用してクロスパスの接続をするためには、上記の式(1)より、
【0065】
Δx×N=A×VN 2 …(3)
【0066】
なる偏向制御量VN が必要である。同様にIN[n:m],OUT[n+(N+1):m]のように、(N+1)行の差がある場合は、
【0067】
Δx×(N+1)=A×VN+1 2 …(4)
【0068】
なる偏向制御量VN+1 が必要である。
【0069】
[3]構造パラメータAの算出
上記の処理により、図13および図5に示す入力側のMEMSミラーアレイ101の入力ミラー105、および出力側のMEMSミラーアレイ102の出力ミラー106のうち、クロスパスの交換に関する試験を正常に行うことができた入力ミラー105,出力ミラー106は、入力ポートと出力ポートの交換が2経路以上成立したことになる。
【0070】
これらの入力ミラー105,出力ミラー106については、次に、ミラーの構造パラメータAを算出する(ステップS15)。構造パラメータ演算手段4cは、偏向角と偏向制御量を格納手段の該当エリアから読み出し、構造パラメータAを算出する。構造パラメータAは、上記の式(3)、(4)に基づき、下記の式(5)により得ることができる。
【0071】
Δx=A(VN+1 2−VN 2)
∴A=Δx/(VN+1 2−VN 2) …(5)
【0072】
構造パラメータAの値は、入力ミラー0105と出力ミラー106について算出され、メモリ5の入力ミラーの構造パラメータの格納領域5bと、出力ミラーの構造パラメータの格納領域5cにそれぞれ格納される。
【0073】
図6は、偏向制御量に対する偏向角のばらつきを説明するための図表である。図6(a)に示すように、入力ミラー105,出力ミラー106は、偏向制御量(駆動電圧)に対する偏向角が2次関数で示される特性曲線を有している。この図は、ミラーが角度変更可能な2軸方向のうち1軸についてのみ示したものである。入力ミラー105と出力ミラー106は、構造パラメータAのばらつきがあるため、図6(b)に示すように、各ミラーがそれぞれ異なる特性曲線となることがある。この図には、入力ミラー105の異なるポート番号1,2の特性曲線を例に示した。
【0074】
これら入力ミラー105,出力ミラー106は、駆動電圧が0の非駆動時を中心として、一方への角度変更時には偏向角がプラス(+)の駆動電圧を供給し、他方への角度変更時には、偏向角がマイナス(−)の駆動電圧を供給する。しかしながら、これら入力ミラー105,出力ミラー106は、図示のように、駆動電圧0を中央として左右(プラスとマイナス)で非対称の特性曲線を有する場合がある。このような入力ミラー105,出力ミラー106に対して、左右対象の特性曲線を前提として構造パラメータAを演算した場合、偏向制御量の計算値に誤差が発生する。
【0075】
このため、クロスパス接続する都度など、3経路目以降の偏向制御量の算出毎に上記の式(5)で求めたメモリ5の構造パラメータAを読み出して利用する。入力ミラー105,出力ミラー106の構造パラメータAは、任意の2つの経路が成立したミラーについて算出可能となるため、経路が成立した各入力ミラー105,出力ミラー106についてその都度計算を重ねていくことにより、構造パラメータAの精度を向上させることができる。
【0076】
上記の説明では、式(3),(4)に示したように、入力ミラー105の行列のうち、行方向のずれに対応した構造パラメータAの演算を行うものである。同様の演算により入力ミラー105の列方向、および出力ミラー106の行、列方向についても構造パラメータAを高精度化できるようになる。
【0077】
そして、クロスパスに関する全ての入力ポートの組み合わせに対する偏向角および構造パラメータの演算が終わったか判断する(ステップS16)。全てのクロスパスに関する偏向角および構造パラメータの演算が終わっていないときには(ステップS16:No)、ステップS8に復帰する。そして、クロスパスに該当する各出力ポートを全ポート測定し終えると(ステップS16:Yes)、ポート番号i,jの全ての組み合わせに関する偏向角および構造パラメータの算出を終了する。
【0078】
以上説明したように、光スイッチ100の偏向制御量の試験を行う場合に、MEMSミラー101,102の偏向手段が有する特性ばらつきを補正した偏向制御量の算出を行えるようになる。特に、スルーパス時に偏向手段が有する光学オフセットを算出し、この光学オフセットを用いて全てのクロスパスにおける偏向制御量を求めるため、偏向制御量の精度を向上できるとともに、試験時間を短縮することができる。
【0079】
次に、メモリ5に格納するデータ量について説明する。偏向制御量の算出には、入力ポートとそれに対応する出力ポート,光学オフセットθoff ,構造パラメータAの各情報が必要となる。切り換えを行う入力ポートと出力ポートの情報は入出力ポートの位置関係により定まる。
【0080】
図3に示したように、入力ポート数をN,出力ポート数をNとすると、光学オフセットθoff は、スルーパス時における入力ポート番号iと出力ポート番号jが一致する(i=j)N通りについて、それぞれ入力ミラー105のX軸とY軸、および出力ミラー106のX軸とY軸の合計4N個のデータ量となる。また、構造パラメータAは、入力ミラー105の入力ポート数Nそれぞれについて4軸の合計4N個のデータ量となる。同様に、出力ミラー106についても構造パラメータAは、出力ポート数Nそれぞれについて4軸の合計4N個のデータ量となる。これにより、メモリ5には、これら光学オフセットθoff と、構造パラメータAのために合計12N個のパラメータが格納される。偏向制御量は、これら光学オフセットθoff と、構造パラメータAに基づき、制御手段4aの演算により求められる。
【0081】
特に、光スイッチ100の入出力ポート数が増えると、メモリ5に格納する偏向制御量が増加することになる。しかし、この発明によれば、メモリ5に格納するデータ内容を最適化して、偏向制御量を算出することができるようになる。
【0082】
すなわち、入出力ポートを設定する切り換え指示を受けたときの偏向制御量は上記の式(2)により演算でき、また、偏向手段の偏向角は、入力ポートと出力ポートの位置により決定される。このため、前述した合計12N個の格納エリアを有するメモリ5を用いるだけで、上記の各式(2)〜(5)に基づいて偏向制御量を算出することができるようになる。特に、図3に示したように、入力ポートと出力ポートの全ての組み合わせに関するパラメータを記憶する必要がなく、スルーパスに該当する入出力ポートi,jが一致する(i=j)N通りに関する光学オフセットと、入力ポートi(入力ミラー105)のN個に関する構造パラメータAと、出力ポートj(出力ミラー106)のN個に関する構造パラメータAを記憶するだけで済む。
【0083】
図7は、メモリに格納されるパラメータ個数を説明するための図表である。本発明の上記手順にしたがった方式によれば、12N個のパラメータ個数で済む。これに対して、従来方式によるパラメータ個数は、図15を用いて説明したように4N2 個となる。これにより、本発明方式によれば、入出力ポートが3以上であれば、従来に比してメモリ5のメモリ容量を削減できるようになり、ポート数が増大するほどその差が顕著に表れる。例えば、ポート数が100のとき、本発明方式は、従来方式に比べて10倍以上のメモリ量削減が図れる。
【0084】
また、前述した試験方法によれば、光学オフセットの算出をスルーパスに該当する各入出力ポートに対してのみ行い、クロスパス時にこの光学オフセットを用いて構造パラメータを算出するため、偏向制御量の試験時間を1パスあたり1(分)程度で完了でき、従来に比べて1パスあたりの試験時間を5分の1に短縮できるようになる。
【0085】
以上説明した光スイッチ試験装置1は、光スイッチ100が有するN個の入出力ポートを個別に光ファイバ10,11を用いて光源2と光検出器3に接続する構成とした。これに限らず、光源2と光スイッチ100の間、および光スイッチ100と光検出器3の間、にそれぞれ不図示の光切換器を設けてもよい。光源2から出力された光は、単一本の光ファイバ10から光切換器を介して試験中の入力ポートに選択的に出力される。同様に、光スイッチ100の試験中の出力ポートの光を光切換器を介して選択的に取り出し単一本の光ファイバ11を介して光検出器3に出力させる。この構成によれば、光検出器3は、光スイッチ100のポート数Nに一致する個数の受光素子アレイを設ける必要がなく、単一個の受光素子で構成できる。
【0086】
次に、この発明による光信号交換装置について説明する。光信号交換装置は、光伝送路上で光信号のチャンネル(系統)を切り換えるものである。図8は、本発明の光信号交換装置の構成を示すブロック図である。この光信号交換装置20には、前述した光スイッチ試験装置1により試験が行われた後の光スイッチ100が組み込まれる。
【0087】
この光信号交換装置20は、光スイッチ100部分を光伝送路21の経路上に挿入させた形で配設される。光伝送路21は、N個の光ファイバからなり、各光ファイバ毎に異なるチャンネルが割り当てられている。そして、光スイッチ100は、光伝送路21のN個のチャンネルに対して、前述した光路の切り換えを行うものであり、スルーパス時には同じチャンネルのまま光信号を伝送し、クロスパス時には光信号を入力されたチャンネルと異なるチャンネルから出力する。なお、この「チャンネル」とは、光スイッチ100において用いた「ポート」と同じ意味である。
【0088】
光信号交換装置20は、光検出器22と、制御部23と、駆動部24と、メモリ25を有している。光検出器22は、光伝送路21上における光スイッチ100の後段位置に配置される。この光検出器22は、モニタPDアレイによって構成され、光伝送路21上における光スイッチ100通過後のN系統の光信号を個別に検出する。光検出器22は、光伝送路21上の光信号の大部分、例えば、入力された光信号強度の95%を光伝送路21上に出力し、残りの5%をフォトダイオード(PD)等の受光素子に分岐して出力させる。PDは、各出力光信号のレベルに応じた電気信号(フォトカレント;電流信号)を出力し、図示しない電流/電圧変換器は、PDの電気信号を電圧信号に変換して制御部23に出力する。なお、光検出器22は、光伝送路21のN個の系統の光信号の受光レベルを個別に検出して検出信号を制御部23に出力する。制御部23は、N個のポートを有し、N個のポートに入力された検出信号を時分割に走査し取り込む。
【0089】
図9は、光信号交換装置におけるメモリのデータ内容を示す図表である。メモリ25には、光スイッチ試験装置1の試験により得られた、光スイッチ100の入力ポート番号と出力ポート番号の全ての組み合わせにそれぞれ対応した偏向制御量が格納されている。
【0090】
光スイッチ試験装置1は、光学オフセットθoff と、構造パラメータAに基づき、偏向制御量(駆動電圧V)を算出し、この偏向制御量を前述のメモリ5に格納し、このメモリ5を光信号交換装置20に装着してもよい。これに限らず、光スイッチ試験装置1などの外部装置からデータ転送されて図示しない書き込み手段が既に装着されている空のメモリ25に書き込む構成としてもよい。
【0091】
制御部23は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrays)等のASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成される。この制御部23は、光伝送路21上の光信号の切り換えを行うために光スイッチ100を駆動制御する。具体的には、チャンネルの切り換え時に、入出力ポートに該当する入力ミラー105および出力ミラー106(図13参照)の偏向制御量を、メモリ25から読み出し、駆動部24を介して光スイッチ100に出力する。
【0092】
この偏向制御量は、光スイッチ試験装置1により光スイッチ100を実際に試験して得たものであるため、この偏向制御量を用いるだけで全てのチャンネルに対して光損失を最小にすることができる。しかしながら、光信号交換装置20を実際に運用すると、光スイッチ100の環境温度の変化などを要因として、同じ偏向制御量であっても、光スイッチ100の試験時と、光信号交換装置20による運用時では、入力ミラー105および出力ミラー106の偏向角度が異なり、所定の光損失が生じる。これに対応すべく、制御部23は、光信号の切り換え後における光出力レベルの安定化制御を実行する。具体的には、光スイッチ100の全ポートを走査して光信号の受光レベルを監視する。そして、光スイッチ100の光損失を最小に維持させるために、駆動部24に対して所定の偏向制御量を出力するフィードバック制御を行う。このフィードバック制御の詳細は後述する。
【0093】
駆動部24は、制御部23から出力される偏向制御量を受けて、これをアナログ制御量である駆動電圧Vに変換し、光スイッチ100の偏向手段(不図示)を駆動する。この駆動電圧Vに対応して、光スイッチ100を構成しているMEMSミラーアレイ101の入力ミラー105、およびMEMSミラーアレイ102の出力ミラー106が2軸(X軸,Y軸)方向に角度変更される。
【0094】
次に、光信号交換装置20による光出力レベルの安定化制御について説明する。光伝送路21の運用時、光信号交換装置20の制御部23は、光スイッチ100が有する全ての出力ポートの光信号の受光レベルを監視する。この運用時、光スイッチ100が有する各入力ポートと出力ポートとの間は、スルーパス、あるいはクロスパスの光路A(図5参照)が形成される。
【0095】
メモリ25には、スルーパスに該当する入力ミラー105と出力ミラー106の偏向制御量がオフセット量だけ格納され、クロスパスに該当する入力ミラー105と出力ミラー106の偏向制御量は、所定の値が格納されているとする。制御部23は、これらスルーパス、あるいはクロスパスに該当する入力ミラー105と出力ミラー106の偏向制御量を読み出して駆動部24に出力する。駆動部24は、偏向制御量に対応する駆動電圧Vをこれら入力ミラー105と出力ミラー106の偏向手段に供給する。偏向手段は、設定されたクロスパスの光路Aを形成するよう、これら入力ミラー105と出力ミラー106の角度を変更する。
【0096】
このように、光信号交換装置20は、光スイッチ100の切り換えにより光伝送路21の光信号を他のチャンネルに切り換え可能な状態で運用される。図10は、光信号交換装置による光出力レベルの安定化制御を示すフローチャートである。図には、運用時のある1つの光路Aに対する光出力レベルの安定化制御について記載されている。この際、ある1つのパスは、スルーパスあるいはクロスパスのいずれかであるが、スルーパスあるいはクロスパスのいずれであっても以下の安定化制御を行う。
【0097】
まず、制御部23は、メモリ25から偏向制御量を読み出し、駆動部24に供給し、光スイッチ100の切り換えを行う(ステップS20)。駆動部24は、偏向制御量を駆動電圧Vに変換し、対応する入力ミラー105と出力ミラー106の偏向手段にそれぞれ供給する。このときの偏向制御量は、光スイッチ試験装置1による試験結果に基づき演算されたものであるため、理論的には、最も光損失が少ない最適点となる。しかしながら、光信号交換装置20は、運用中に装置の環境温度等の変化により、光スイッチ100、制御部23、駆動部24などが影響を受ける。このため、メモリ25から読み出した偏向制御量による制御では光損失の最適点が得られないことがある。
【0098】
このため、制御部23は、このパスに該当する出力ポートの光信号の受光レベルを光検出器22から取得する(ステップS21)。この後、入力ミラー105と出力ミラー106の角度を可変させながら光信号の受光レベルを取得する処理を行う。この際、メモリ25から読み出した偏向制御量を基準として、偏向制御量を増減させ、入力ミラー105と出力ミラー106の角度を現在の角度を基準として可変させる。ここで、入力ミラー105および出力ミラー106は、2軸(X軸,Y軸)方向に角度変更可能であるため、入力ミラー105のX軸をX1軸、Y軸をY1軸とし、出力ミラー106のX軸をX2軸、Y軸をY2軸として説明する。
【0099】
はじめに、入力ミラー105の偏向手段に対して供給するX1軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS22)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS23)。この電圧の増加方向は、図4に示した駆動電圧Vのプラス方向である。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS23:Yes)、ステップS22に戻り、電圧値α分だけ増加させることを繰り返す。これにより、図4に示すように、光信号の受光レベルのピークPが得られる。なお、ピークPを検出した後には、駆動電圧Vを増加させると、受光レベルが減少し始める。
【0100】
したがって、受光レベルが増加した後、同じあるいは減少したときには(ステップS23:No)、X1軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させる(ステップS24)。この電圧の増加方向は、図4に示した駆動電圧Vのマイナス方向である。これにより、入力ミラー105のX1軸の受光レベルが最も高く、光損失が少ない最適点が得られる。
【0101】
次に、出力ミラー106の偏向手段に対して供給するX2軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS25)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS26)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS26:Yes)、ステップS25に戻り、電圧値α分だけ増加させることを繰り返す。
【0102】
このように、受光レベルが増加した後、同じあるいは減少したときには(ステップS26:No)、X2軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させる(ステップS27)。これにより、出力ミラー106のX2軸の受光レベルが最も高く、光損失が少ない最適点が得られる。
【0103】
次に、入力ミラー105の偏向手段に対して供給するY1軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS28)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS29)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS29:Yes)、ステップS28に戻り、電圧値α分だけ増加させることを繰り返す。
【0104】
このように、受光レベルが増加した後、同じあるいは減少したときには(ステップS29:No)、Y1軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させる(ステップS30)。これにより、入力ミラー105のY1軸の受光レベルが最も高く、光損失が少ない最適点が得られる。
【0105】
次に、出力ミラー106の偏向手段に対して供給するY2軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS31)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS32)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS32:Yes)、ステップS31に戻り、電圧値α分だけ増加させることを繰り返す。
【0106】
このように、受光レベルが増加した後、同じあるいは減少したときには(ステップS32:No)、Y2軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させる(ステップS33)。これにより、出力ミラー106のY2軸の受光レベルが最も高く、光損失が少ない最適点が得られる。この後、ステップS22に戻り、上記の各処理を再度実行することを繰り返す。
【0107】
以上説明した光出力レベルの安定化制御制御によれば、入力ミラー105のX1軸とY1軸、および出力ミラー106のX2軸とY2軸について、各軸毎の最適点を順次求めていくことができる。このように、光スイッチ100によりチャンネルを切り換えたポートに該当する入力ミラー105と出力ミラー106を2軸(X軸,Y軸)方向に角度を変えながら受光レベルを検出することにより、光信号交換装置20の環境温度等が変化しても切り換えたチャンネルの光信号の光損失を常に低減化できるようになる。
【0108】
次に、光信号交換装置による光出力レベルの安定化制御の他の例について説明する。図11は、光信号交換装置による光出力レベルの安定化制御の他の例を示すフローチャートである。この制御では、入力ミラー105のX1軸とY1軸、および出力ミラー106のX2軸とY2軸について、各軸に対する最適点を求める処理を順次1回ずつ行うことを繰り返していき最適点を求めていくものである。
【0109】
まず、制御部23は、メモリ25から偏向制御量を読み出し、駆動部24に供給し、光スイッチ100の切り換えを行う(ステップS41)。そして、チャンネルを切り換えたパスに該当する出力ポートの光信号の受光レベルを光検出器22から取得する(ステップS42)。この後、入力ミラー105と出力ミラー106の角度を可変させながら光信号の受光レベルの変化を検出する処理を行う。この際、メモリ25から読み出した偏向制御量を基準として、偏向制御量を増減させ、入力ミラー105と出力ミラー106の角度を現在の角度を基準として可変させる。
【0110】
はじめに、入力ミラー105の偏向手段に対して供給するX1軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS43)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS44)。この電圧の増加方向は、図4に示した駆動電圧Vのプラス方向である。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS44:Yes)、出力ミラー106のX2軸の制御(ステップS46)に移る。一方、現在の光信号の受光レベルが同じあるいは減少した場合には(ステップS44:No)、X1軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させて元の駆動電圧Vに戻す(ステップS45)。この電圧の増加方向は、図4に示した駆動電圧Vのマイナス方向である。
【0111】
受光レベルが増加すれば、入力ミラー105のX1軸における光信号の受光レベルを図4に示すピークPに近づけることができる。一方、ピークPから離れる状態であれば、駆動電圧Vを増加させると、受光レベルが減少することになるため、元の駆動電圧Vに戻す。
【0112】
次に、出力ミラー106の偏向手段に対して供給するX2軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS46)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS47)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS47:Yes)、入力ミラー105のY1軸の制御(ステップS49)に移る。一方、現在の光信号の受光レベルが同じあるいは減少した場合には(ステップS47:No)、X2軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させて元の駆動電圧Vに戻す(ステップS48)。
【0113】
次に、入力ミラー105の偏向手段に対して供給するY1軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS49)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS50)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS50:Yes)、出力ミラー106のY2軸の制御(ステップS52)に移る。一方、現在の光信号の受光レベルが同じあるいは減少した場合には(ステップS50:No)、Y1軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させて元の駆動電圧Vに戻す(ステップS51)。
【0114】
次に、出力ミラー106の偏向手段に対して供給するY2軸駆動用の駆動電圧Vを、現在の電圧に対し電圧値α分だけ増加(+α)させる(ステップS52)。そして、このときに光信号の受光レベルが増加したか判断する(ステップS53)。そして、現在の光信号の受光レベルが増加した場合には(ステップS53:Yes)、再度ステップS43に復帰して各軸の制御を再度実行する。一方、現在の光信号の受光レベルが同じあるいは減少した場合には(ステップS53:No)、Y2軸の駆動電圧Vを1回増加させた電圧値α分だけ減少(−α)させて元の駆動電圧Vに戻す(ステップS54)。
【0115】
このように、上記の処理手順によれば、入力ミラー105と出力ミラー106の角度変更を、X1軸、X2軸、Y1軸、Y2軸の順序で繰り返し実行する。これにより、各軸に対する角度変更を最小の時間で順次実行でき、ある1つのパスの最適点を求める処理を迅速に行うことができるようになる。なお、ステップS45,ステップS48,ステップS51,ステップS54において駆動電圧Vを元の値に戻す処理を行う構成としたが、これに限らず、これらのステップでは当初供給した駆動電圧Vの値に対しマイナス方向に所定倍、例えば2倍(−2α)の電圧を供給し、受光レベルが増加したか判断し、受光レベルが増加しなければ元の駆動電圧Vに戻す構成としてもよい。これにより、当初供給した駆動電圧Vを中心として一方、および他方(マイナス)側に対してミラーの角度を振って最適点を求めることができるようになる。
【0116】
なお、図10および図11に示した光出力安定化の手順においては、入力ミラー105と出力ミラー106のミラー角度変更をX1軸,X2軸,Y1軸,Y2軸の順序で行う構成としたが、これに限らず1巡する過程で各軸に対する角度変更を行えばどのような順序で角度変更してもよい。
【0117】
次に、この発明の光信号交換装置の変形例について説明する。図12は、本発明の光信号交換装置の他の構成を示すブロック図である。図12において、前述した図8の構成と同一の構成部には同一の符号を附している。
【0118】
この構成例において、メモリ25に格納するパラメータは、光学オフセットθoff と、構造パラメータAである。これらのパラメータは、図1を用いて説明した光スイッチ試験装置1が実行する試験結果として得られる。メモリ25は、光学オフセットθoff とを格納する光学オフセットメモリ25aと、構造パラメータAを格納するミラー構造パラメータメモリ25bにより構成されている。図示の構成に限らず、単一のメモリ25を用いて領域を2分割し、各領域に光学オフセットθoff と、構造パラメータAを格納する構成としてもよい。
【0119】
制御部23は、制御手段23aと、偏向制御量演算手段23bにより構成されている。偏向制御量演算手段23bは、切り換えられたチャンネルのパスに該当する入出力ポートの光学オフセットθoff と、構造パラメータAをメモリ25から読み出し、これら光学オフセットθoff と、構造パラメータAにより偏向制御量を演算して求める。この偏向制御量は、光スイッチ100の試験結果に基づく値である。
【0120】
そして、制御手段23aは、求められた偏向制御量を駆動部24に出力し、光スイッチ100を切り換えたときの入力ミラー105および出力ミラー106の角度を設定する。
【0121】
また、偏向制御量演算手段23bには、該当するパスの出力ポートにおける光信号の受光レベルが入力される。これにより、光信号交換装置20の光スイッチ100を切り換えた際に、該当するパスにおける光損失の最適点を求めて光出力安定化の制御を行う。
【0122】
この光出力安定化の制御は、図10あるいは図11を用いて説明した手順と同様であり、説明を省略する。このように、光信号交換装置20が偏向制御量を演算して求める場合であっても、環境温度の変化等に対応して常に光損失の最適点を求めることができる。
【0123】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、光信号交換装置20は、光検出器22に代えて、光伝送路21上に光分岐カプラを設けて光伝送路21上の光信号を2分岐させ、分岐側にPDアレイからなる光検出器を設ける構成とすることもできる。また、前述した光出力安定化の制御では、光スイッチ100を切り換えたパスに該当する入出力ポートについて光損失の最適点を求める構成とした。これに限らず、制御部23は、光信号交換装置20の運用中に全てのポートを順次走査して各ポートに対し上記の光出力安定化の制御を行うことができる。光スイッチ100が有するポート数が多い場合には、ポート数を複数ブロックに分け、複数のブロックのポートを同時並行して光出力安定化の制御を行うことができる。
【0124】
また、この発明に用いられる光スイッチ100が設けられる光信号交換装置20は、波長多重されたWDM信号をそのまま切り換えたり、分波後の各波長を切り換えることができる。
【0125】
さらに、以上説明した光スイッチの試験方法および光出力安定化の制御にかかる方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、各種記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0126】
以上のように本発明は、光スイッチの組み立て時にずれが生じても、入力ポートと出力ポートの間における全てのパスにおける最適な偏向制御量を得る光スイッチ試験装置と光スイッチ試験方法を提供することに適している。また、本発明は、光伝送路の光信号を切り換える際の光損失を低減化できる光信号交換装置と光信号交換装置の制御方法を提供することに適している。
【0127】
(付記1)複数の入力ポートおよび出力ポートを備え、任意のパスに該当する入力ポートと出力ポートとの間で光信号を切り換えるために光路を偏向させる光スイッチの光学的特性の試験を行う光スイッチ試験装置において、
前記光スイッチの各入力ポートに試験用の光信号を入力させる光源と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する光検出器と、
前記光スイッチの光信号を切り換える度に、前記光路の偏向状態を変えながら前記光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求め、前記偏向の状態を最適化するためのパラメータを前記最適点に基づき演算する制御手段と、
を具備することを特徴とする光スイッチ試験装置。
【0128】
(付記2)前記光スイッチは、
前記入力ポート数に対応した数のティルトミラーと、該ティルトミラーを駆動して前記入力ポートから入射された前記光信号を任意の角度方向に反射させる第1の偏向手段とを有する第1のミラーアレイと、
前記出力ポート数に対応した数のティルトミラーと、該ティルトミラーを駆動して前記第1のミラーアレイから入射された前記光信号を任意の前記出力ポートの角度方向に反射させる第2の偏向手段とを有する第2のミラーアレイとを備え、
前記制御手段は、
前記光スイッチの光信号を切り換えた際に選択した前記入力ポートと、前記出力ポートとの間で前記光路を形成するために前記ティルトミラーの角度変更に必要な偏向制御量を演算し、前記第1の偏向手段および第2の偏向手段に供給することを特徴とする付記1に記載の光スイッチ試験装置。
【0129】
(付記3)前記制御手段は、
前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段と前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に対し、ティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を変化させて供給する偏向制御量可変手段を備え、
前記入力ポートと出力ポートのポート番号が同一であるスルーパスの光路を形成させたときに、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させ、前記光検出器が検出した受光レベルが最も高くなる最適点が得られた角度位置に基づき、前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイの光学オフセットを算出するオフセット演算手段と、
前記オフセット演算手段により算出された光学オフセットに基づき、前記入力ポートおよび出力ポートのティルトミラーを角度変更させるための前記偏向制御量を演算する偏向制御量演算手段と、
を具備することを特徴とする付記2に記載の光スイッチ試験装置。
【0130】
(付記4)前記制御手段は、
前記入力ポートと出力ポートのポート番号が異なるクロスパスの光路を形成させたときに、前記光学オフセットと、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させ、前記光検出器が検出した受光レベルが最も高くなる最適点が得られた角度位置に基づき、前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイの構造パラメータを算出する構造パラメータ演算手段と、
前記オフセット演算手段により算出された光学オフセットと、前記構造パラメータ演算手段により算出された構造パラメータに基づき、前記入力ポートおよび出力ポートのティルトミラーを角度変更させるための前記偏向制御量を演算する偏向制御量演算手段と、
を具備することを特徴とする付記3に記載の光スイッチ試験装置。
【0131】
(付記5)前記制御手段により算出された前記光学オフセットおよび前記構造パラメータを、対応する入力ポートと出力ポートの演算結果として格納するメモリを具備することを特徴とする付記4に記載の光スイッチ試験装置。
【0132】
(付記6)前記制御手段は、
前記最適点を検出する際に、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させる回数に所定の制限回数を設けたことを特徴とする付記3または4に記載の光スイッチ試験装置。
【0133】
(付記7)前記制御手段は、
前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させる回数が前記所定の制限回数を超えたときに、該当する入力ポートと出力ポートが使用不能であると判断し、前記メモリに使用不能であることを示す情報を格納することを特徴とする付記6に記載の光スイッチ試験装置。
【0134】
(付記8)前記光スイッチを構成する前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイは、前記ティルトミラーをX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の2軸方向にそれぞれ角度変更自在であり、
前記制御手段は、
前記オフセット演算および前記構造パラメータの演算時に前記光スイッチを前記2軸方向の正負に角度変更させて前記最適点を検出することを特徴とする付記3または4に記載の光スイッチ試験装置。
【0135】
(付記9)光伝送路を構成する複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光スイッチが設けられた光信号交換装置において、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する光検出器と、
前記光スイッチを構成する第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーの光学オフセットと構造パラメータが格納されたメモリと、
前記メモリに格納された前記光学オフセットと、前記構造パラメータに基づき、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を演算する偏向制御量演算手段と、
前記偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量を、前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段と前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給して前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動手段と、
前記偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量と、前記光検出器により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら前記光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御手段と、
を具備することを特徴とする光信号交換装置。
【0136】
(付記10)前記光スイッチを構成する前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイは、前記ティルトミラーをX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の2軸方向にそれぞれ角度変更自在であり、
前記制御手段は、
前記光スイッチを前記2軸方向の正負に角度変更させて前記最適点を検出することを特徴とする付記9に記載の光信号交換装置。
【0137】
(付記11)前記制御手段は、
前記光スイッチを切り換えた度に該当する前記入力ポートおよび前記出力ポートついて前記最適点を求める制御を実行することを特徴とする付記9または10に記載の光信号交換装置。
【0138】
(付記12)前記制御手段は、
前記光スイッチの全チャンネルに該当する前記入力ポートおよび前記出力ポートを順次走査し、全入力ポートおよび出力ポートについて前記最適点を求める制御を実行することを特徴とする付記9または10に記載の光信号交換装置。
【0139】
(付記13)複数の入力ポートおよび出力ポートを備え、任意のパスに該当する入力ポートと出力ポートとの間で光信号を切り換えるために光路を偏向させる光スイッチの光学的特性の試験を行う光スイッチの試験方法において、
前記光スイッチの各入力ポートに試験用の光信号を入力させる光信号の入力工程と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記光スイッチの光信号を切り換える度に、前記光路の偏向状態を変えながら検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求め、該最適点に基づき前記偏向の状態を最適化するためのパラメータを演算するパラメータ演算工程と、
を含むことを特徴とする光スイッチ試験方法。
【0140】
(付記14)前記パラメータ演算工程は、
前記入力ポートと出力ポートのポート番号が同一であるスルーパスの光路を形成させたときに、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させ、前記光検出器が検出した受光レベルが最も高くなる最適点が得られた角度位置に基づき、前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイの光学オフセットを算出するオフセット演算工程を含むことを特徴とする付記13に記載の光スイッチ試験方法。
【0141】
(付記15)前記パラメータ演算工程は、
前記オフセット演算工程の実行後、前記入力ポートと出力ポートのポート番号が異なるクロスパスの光路を形成させたときに、算出された前記光学オフセットと、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させ、前記光検出器が検出した受光レベルが最も高くなる最適点が得られた角度位置に基づき、前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイの構造パラメータを算出する構造パラメータ演算工程を含むことを特徴とする付記14に記載の光スイッチ試験方法。
【0142】
(付記16)前記構造パラメータ演算工程は、
前記入力ポートと前記出力ポートをパス接続する度に該当するパスの前記入力ポートと前記出力ポートの構造パラメータを逐次算出することを特徴とする付記15に記載の光スイッチ試験方式。
【0143】
(付記17)前記パラメータ演算工程は、
前記最適点を検出する際に、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させる回数が所定の制限回数を超えたときに、該当する入力ポートと出力ポートが使用不能であると判断し、前記メモリに使用不能であることを示す情報を格納することを特徴とする付記14または15に記載の光スイッチ試験方法。
【0144】
(付記18)前記パラメータ演算工程は、
前記光学オフセットおよび前記構造パラメータの演算時に前記光スイッチの前記ティルトミラーを角度変更自在なX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の2軸方向に角度変更させて前記最適点を検出することを特徴とする付記14または15に記載の光スイッチ試験方法。
【0145】
(付記19)前記パラメータ演算工程は、
光スイッチの入力ポートと出力ポートが一致するN個の組み合わせについて、前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイのX軸およびY軸の計4N個の光学オフセットを算出し、
前記光スイッチの入力ポートのN個について、前記第1のミラーアレイのX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の計4N個の構造パラメータを算出し、
前記光スイッチの出力ポートのN個について、前記第2のミラーアレイのX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の計4N個の構造パラメータを算出することを特徴とする付記18に記載の光スイッチ試験方法。
【0146】
(付記20)前記パラメータ演算工程は、
前記オフセット演算工程により算出された光学オフセットと、前記構造パラメータ演算工程により算出された構造パラメータに基づき、前記入力ポートおよび出力ポートのティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を演算する偏向制御量演算工程を含むことを特徴とする付記19に記載の光スイッチ試験方法。
【0147】
(付記21)前記パラメータ演算工程により算出された前記光学オフセットおよび前記構造パラメータを、対応する入力ポートと出力ポートの演算結果としてメモリに格納するメモリ格納工程を含むことを特徴とする付記19に記載の光スイッチ試験方法。
【0148】
(付記22)前記パラメータ演算工程により算出された前記偏向制御量に対応する入力ポートと出力ポートの演算結果としてメモリに格納するメモリ格納工程を含むことを特徴とする付記20に記載の光スイッチ試験方法。
【0149】
(付記23)光伝送路を構成する複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光スイッチが設けられた光信号交換装置の制御方法において、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記光スイッチを構成する第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーの光学オフセットと構造パラメータのデフォルト値に基づき、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を演算する偏向制御量演算工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量を、前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段と前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給して前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量と、前記受光レベル検出工程により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御工程と、
を含むことを特徴とする光信号交換装置の制御方法。
【0150】
(付記24)前記制御工程は、
前記光スイッチを構成する前記第1のミラーアレイおよび前記第2のミラーアレイの前記ティルトミラーをX軸の正負方向、およびY軸の正負方向の2軸方向にそれぞれ角度変更させて前記最適点を検出することを特徴とする付記23に記載の光信号交換装置の制御方法。
【0151】
(付記25)前記制御工程は、
前記光スイッチを切り換えた度に該当する前記入力ポートおよび前記出力ポートについて前記最適点を求める制御を実行することを特徴とする付記23または24に記載の光信号交換装置の制御方法。
【0152】
(付記26)前記制御手段は、
前記光スイッチの全チャンネルに該当する前記入力ポートおよび前記出力ポートを順次走査し、全入力ポートおよび出力ポートについて前記最適点を求める制御を実行することを特徴とする付記23または24に記載の光信号交換装置の制御方法。
【0153】
(付記27)複数の入力ポートおよび出力ポートを備え、任意のパスに該当する入力ポートと出力ポートとの間で光信号を切り換える光スイッチを光学的特性を試験した後に光信号交換装置に装着し、光伝送路上に設けられ複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光信号交換装置の制御方法において、
前記光スイッチの光学的特性の試験は、
前記光スイッチの各入力ポートに試験用の光信号を入力させる光信号の入力工程と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記光スイッチの偏向状態を変えながら検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求め、該最適点に基づき前記偏向の状態を最適化するための光学オフセットと構造パラメータを演算するパラメータ演算工程と、
前記パラメータ演算工程により演算された前記光学オフセットと構造パラメータをメモリに格納するパラメータ格納工程とを含み、
前記光信号交換装置による制御は、
前記光学的特性の試験後の光スイッチおよび前記メモリを装着する装着工程と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記メモリに格納された前記光学オフセットと、前記構造パラメータに基づき、前記光スイッチに設けられた第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を演算する偏向制御量演算工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量を前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段および前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給し、前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動工程と、
前記偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量と、前記光検出器により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら前記光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御工程と、
を含むことを特徴とする光信号交換装置の制御方法。
【0154】
(付記28)複数の入力ポートおよび出力ポートを備え、任意のパスに該当する入力ポートと出力ポートとの間で光信号を切り換える光スイッチの光学的特性を試験した後に光信号交換装置に装着し、光伝送路上に設けられ複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光信号交換装置の制御方法において、
前記光スイッチの光学的特性の試験は、
前記光スイッチの各入力ポートに試験用の光信号を入力させる光信号の入力工程と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記光スイッチの偏向状態を変えながら検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求め、該最適点に基づき前記偏向の状態を最適化するための光学オフセットと構造パラメータを演算するパラメータ演算工程と、
前記パラメータ演算工程により演算された前記光学オフセットと構造パラメータに基づき前記光スイッチに設けられた第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための偏向制御量を演算する偏向制御量演算工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量をメモリに格納するパラメータ格納工程とを含み、
前記光信号交換装置による制御は、
前記試験後の光スイッチおよび前記メモリを装着する装着工程と、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記メモリに格納された偏向制御量を前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段および前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給し、前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動工程と、
前記偏向制御量と、前記光検出器により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら前記光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御工程と、
を含むことを特徴とする光信号交換装置の制御方法。
【0155】
(付記29)前記装着工程は、
予め装着されている空のメモリに対し、前記光学オフセットと前記構造パラメータをデータ転送により格納させることを特徴とする付記27に記載の光信号交換装置の制御方法。
【0156】
(付記30)前記装着工程は、
予め装着されている空のメモリに対し、前記偏向制御量をデータ転送により格納させることを特徴とする付記28に記載の光信号交換装置の制御方法。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光スイッチ試験装置によれば、スルーパスの光路を形成させて光スイッチの組み立て時のずれによる光学オフセットを算出するため、各入力ポートに対する各出力ポートの偏向制御量を精度よく算出することができるようになる。また、クロスパスの光路を形成する度に、算出されている光学オフセットを用いて入力ポートと出力ポートのティルトミラーの構造パラメータを算出していくことができ、ティルトミラーの光学的特性にばらつきがあっても構造パラメータを高精度化していくことができるようになる。そして、偏向制御量を求めるために受光レベルを検出して偏向手段を駆動する制御の回数を削減できるため、短時間で効率的に光スイッチの光学的特性を試験できるようになるという効果を奏する。また、スルーパスに相当する入出力ポート数分の光学オフセットに基づき、構造パラメータを演算して求めるため、これら光学オフセットと構造パラメータのデータ量を削減でき、データを格納するメモリの容量を取らないため、光スイッチの規模が大きくなっても、メモリに必要な容量を削減できるという効果を奏する。
【0158】
本発明の光スイッチ試験装置によれば、光スイッチの光学的特性である光学オフセットと構造パラメータにより偏向制御量を演算して光スイッチを切り換えることにより、光損失を最小にできるようになるとともに、ティルトミラーを駆動する偏向制御量を可変させながら、受光レベルの最適点を求める制御を行うため、環境温度等の変化が生じても光損失を常に最小にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光スイッチ試験装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、光スイッチ試験装置によるスイッチの試験手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、メモリに格納されるデータ内容を示す図表である。
【図4】図4は、角度変更時における光損失の変化状態を示す図表である。
【図5】図5は、クロスパスの光路を説明する図である。
【図6】図6は、偏向制御量に対する偏向角のばらつきを説明するための図表である。
【図7】図7は、メモリに格納されるパラメータ個数を説明するための図表である。
【図8】図8は、本発明の光信号交換装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、光信号交換装置におけるメモリのデータ内容を示す図表である。
【図10】図10は、光信号交換装置による光出力レベルの安定化制御を示すフローチャートである。
【図11】図11は、光信号交換装置による光出力レベルの安定化制御の他の例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の光信号交換装置の他の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、光スイッチを示す斜視図である。
【図14】図14は、従来技術による光スイッチの偏向制御量を得る試験手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、偏向制御量を格納するメモリ内容を示す図表である。
【符号の説明】
1 光スイッチ試験装置
2 光源
3 光検出器
4 制御部
4a 制御手段
4b オフセット演算手段
4c 構造パラメータ演算手段
4d 偏向制御量演算手段
5 メモリ
5a 光学オフセット格納領域
5b 入力ミラー構造パラメータ格納領域
5c 出力ミラー構造パラメータ格納領域
6 駆動部
10,11 光ファイバ
20 光信号交換装置
21 光伝送路
22 光検出器
23 制御部
23a 制御手段
23b 偏向制御量演算手段
24 駆動部
25 メモリ
100 光スイッチ
101,102 MEMSミラーアレイ
103,104 コリメータアレイ
105,106 ティルトミラー
Claims (2)
- 光伝送路を構成する複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光スイッチが設けられた光信号交換装置において、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する光検出器と、
前記光スイッチを構成する第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイの各ティルトミラーにおける、前記第2のミラーアレイによって構成される前記各出力ポートに対するスルーパスごとの光学オフセットと、前記第1のミラーアレイによって構成される各入力ポートおよび前記出力ポートごとの構造パラメータと、が格納されたメモリと、
前記メモリに格納された前記光学オフセットと、前記各入力ポートおよび前記各出力ポートごとの構造パラメータに基づき、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための、前記各入力ポートおよび前記各出力ポートに対するクロスパスの偏向制御量を演算する偏向制御量演算手段と、
前記偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量を、前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段と前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給して前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動手段と、
前記偏向制御量演算手段により演算された偏向制御量と、前記光検出器により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら前記光検出器が検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御手段と、を具備し、
前記構造パラメータは、前記第1の偏向手段における前記偏向制御量に対する前記偏向角の比率を示すパラメータであることを特徴とする光信号交換装置。 - 光伝送路を構成する複数のチャンネルの光信号を任意の他のチャンネルに切り換える光スイッチが設けられた光信号交換装置の制御方法において、
前記光スイッチの各出力ポートから出力される光信号の受光レベルを検出する受光レベル検出工程と、
前記光スイッチを構成する第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイの各ティルトミラーにおける、前記第2のミラーアレイによって構成される前記各出力ポートに対するスルーパスごとの光学オフセットと、前記第1のミラーアレイによって構成される各入力ポートおよび前記各出力ポートごとの構造パラメータのデフォルト値と、に基づき、前記第1のミラーアレイと前記第2のミラーアレイのティルトミラーを角度変更させるための、前記各入力ポートおよび前記各出力ポートに対するクロスパスの偏向制御量を演算する偏向制御量演算工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量を、前記第1のミラーアレイの第1の偏向手段と前記第2のミラーアレイの第2の偏向手段に供給して前記ティルトミラーの角度を変更させる駆動工程と、
前記偏向制御量演算工程により演算された偏向制御量と、前記受光レベル検出工程により検出された受光レベルに基づき、前記偏向制御量を変えながら検出した光信号の受光レベルが最大となる最適点を求める制御を実行する制御工程と、を含み、
前記構造パラメータは、前記第1の偏向手段における前記偏向制御量に対する前記偏向角の比率を示すパラメータであることを特徴とする光信号交換装置の制御方法。
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