本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。なお、以下では、光スイッチング素子が液晶パネルである液晶表示装置を例として説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
(第1実施の形態)
図1は第1実施の形態による液晶表示装置の回路構成を示すブロック図、図2は液晶パネル及びバックライトの模式的断面図、図3は液晶表示装置の全体の構成例を示す模式図、並びに、図4はバックライトの光源であるLEDアレイの構成例を示す図である。
図1において、21,22は図2に断面構造が示されている液晶パネル,バックライトを示している。バックライト22は、図2に示されているように、赤,緑,青の各色を発光するLEDアレイ7と導光及び光拡散板6とで構成されている。
図2及び図3で示されているように、液晶パネル21は上層(表面)側から下層(背面)側に、偏光フィルム1,ガラス基板2,共通電極3,ガラス基板4,偏光フィルム5をこの順に積層して構成されており、ガラス基板4の共通電極3側の面にはマトリクス状に配列された画素電極(ピクセル電極)40,40…が形成されている。
これら共通電極3及び画素電極40,40…間にはデータドライバ32及びスキャンドライバ33等よりなる駆動部50が接続されている。データドライバ32は、信号線42を介してTFT(Thin Film Transistor)41と接続されており、スキャンドライバ33は、走査線43を介してTFT41と接続されている。TFT41はデータドライバ32及びスキャンドライバ33によりオン/オフ制御される。また個々の画素電極40,40…は、TFT41に接続されている。そのため、信号線42及びTFT41を介して与えられるデータドライバ32からの信号により、個々の画素の透過光強度が制御される。
ガラス基板4上の画素電極40,40…の上面には配向膜12が、共通電極3の下面には配向膜11がそれぞれ配置され、これらの配向膜11,12間に液晶物質が充填されて液晶層13が形成される。なお、14は液晶層13の層厚を保持するためのスペーサである。
バックライト22は、液晶パネル21の下層(背面)側に位置し、発光領域を構成する導光及び光拡散板6の端面に臨ませた状態でLEDアレイ7が備えられている。このLEDアレイ7は図4に示されているように、導光及び光拡散板6と対向する面に3原色、即
ち赤(R),緑(G),青(B)の各色を発光するLEDが順次的且つ反復して配列されている。そして、赤,緑,青の各サブフレームにおいては赤,緑,青のLEDをそれぞれ点灯させ、白のサブフレームにおいては赤,緑,青のLEDを同時に点灯させる。導光及び光拡散板6はこのLEDアレイ7の各LEDから発光される光を自身の表面全体に導光すると共に上面へ拡散することにより、発光領域として機能する。
この液晶パネル21と、赤,緑,青の時分割発光が可能であるバックライト22とを重ね合わせる。このバックライト22の点灯タイミング及び発光色は、液晶パネル21の画像データの書込み走査/消去走査に同期して制御される。
図1において、31は、パーソナルコンピュータから同期信号SYNが入力され、表示に必要な各種の制御信号CSを生成する制御信号発生回路である。画像メモリ部30からは画素データPDが、データドライバ32へ出力される。画素データPD、及び印加電圧の極性を変えるための制御信号CSに基づき、データドライバ32を介して液晶パネル21には、極性が異なり大きさが略等しい電圧が、データ書込み走査時とデータ消去走査時とにそれぞれ印加される。
また制御信号発生回路31からは制御信号CSが、基準電圧発生回路34,データドライバ32,スキャンドライバ33及びバックライト制御回路35へそれぞれ出力される。基準電圧発生回路34は、基準電圧VR1及びVR2を生成し、生成した基準電圧VR1をデータドライバ32へ、基準電圧VR2をスキャンドライバ33へそれぞれ出力する。データドライバ32は、画像メモリ部30からの画素データPDと制御信号発生回路31からの制御信号CSとに基づいて、画素電極40の信号線42に対して信号を出力する。この信号の出力に同期して、スキャンドライバ33は、画素電極40の走査線43をライン毎に順次的に走査する。またバックライト制御回路35は、駆動電圧をバックライト22に与えバックライト22のLEDアレイ7が有している赤,緑,青の各色のLEDを時分割してそれぞれ発光させる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の動作について説明する。パーソナルコンピュータから画像メモリ部30へ表示用の画素データPDが入力され、画像メモリ部30は、この画素データPDを一旦記憶した後、制御信号発生回路31から出力される制御信号CSを受け付けた際に、この画素データPDを出力する。制御信号発生回路31で発生された制御信号CSは、データドライバ32と、スキャンドライバ33と、基準電圧発生回路34と、バックライト制御回路35とに与えられる。基準電圧発生回路34は、制御信号CSを受けた場合に基準電圧VR1及びVR2を生成し、生成した基準電圧VR1をデータドライバ32へ、基準電圧VR2をスキャンドライバ33へそれぞれ出力する。
データドライバ32は、制御信号CSを受けた場合に、画像メモリ部30から出力された画素データPDに基づいて、画素電極40の信号線42に対して信号を出力する。スキャンドライバ33は、制御信号CSを受けた場合に、画素電極40の走査線43をライン毎に順次的に走査する。データドライバ32からの信号の出力及びスキャンドライバ33の走査に従ってTFT41が駆動し、画素電極40に電圧が印加され、画素の透過光強度が制御される。
バックライト制御回路35は、制御信号CSを受けた場合に駆動電圧をバックライト22に与えてバックライト22のLEDアレイ7が有している赤,緑,青の各色のLEDを時分割して発光させて、経時的に赤色光,緑色光,青色光を順次発光させる。
以下、具体例について説明する。画素電極40,40…(画素数640×480,電極面積6×10-5cm2 ,対角3.2インチ)を有するTFT基板と共通電極3を有するガ
ラス基板2とを洗浄した後、ポリイミドを塗布して200℃で1時間焼成することにより、約200Åのポリイミド膜を配向膜11,12として成膜した。更に、これらの配向膜11,12をレーヨン製の布でラビングし、ラビング方向が平行となるようにこれらの2枚の基板を重ね合わせ、両者間に平均粒径1.6μmのシリカ製のスペーサ14でギャップを保持した状態で重ね合わせて空パネルを作製した。この空パネルの配向膜11,12間に、ナフタレン系液晶を主成分として、双安定型の電気光学応答を示す強誘電性液晶材料を封入して液晶層13とした。封入した液晶材料の自発分極の大きさは8nC/cm2 であった。作製したパネルをクロスニコル状態の2枚の偏光フィルム1,5で挟んで液晶パネル21とし、一方の極性の電圧を印加したときの液晶分子ダイレクタの平均分子軸と一方の偏光フィルムの偏光軸とを略一致させて暗状態になるようにした。
このようにして作製した液晶パネル21と、赤,緑,青の単色面発光スイッチングが可能なLEDアレイ7を光源としたバックライト22とを重ね合わせ、後述するような駆動シーケンスに従って、フィールド・シーケンシャル方式によるカラー表示を行った。
図5は、第1実施の形態における表示制御を示すタイムチャートであり、図5(a)は液晶パネル21の各ラインの走査タイミング、図5(b)はバックライト22(LED)の赤,緑,青各色の点灯/非点灯タイミングを示す。1フレームを3つのサブフレームに分割し、例えば1フレーム内の第1番目のサブフレームにおいて赤のLEDを点灯させて赤色の画像データの書込み/消去走査を行い、次の第2番目のサブフレームにおいて緑のLEDを点灯させて緑色の画像データの書込み/消去走査を行い、最後の第3番目のサブフレームにおいて青のLEDを点灯させて青色の画像データの書込み/消去走査を行う。
各サブフレームにおいて、書込み走査に要する時間(TA )及び消去走査に要する時間(TC )が何れもサブフレームの25%であり、書込み走査の終了タイミングから消去走査の開始タイミングまでの時間(TB )がサブフレームの25%であり、消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの時間(TD )がサブフレームの25%である。よって、TB +TC =TA +TD 及びTB =TD の関係を満たす。
そして、バックライト22(LED)は、書込み走査の開始タイミングから消去走査の終了タイミングまでの間に点灯させ、消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの間には消灯する。この結果、バックライト22の点灯時間(=TA +TB +TC )はサブフレームの75%である。
なお、書込み走査と消去走査とにおいて各画素の液晶に印加される電圧は、極性が反対であって大きさが実質的に等しい電圧とし、書込み走査において、より高い光透過率が得られるように印加電圧の極性を調整した。また、フレーム周波数は60Hzとした。
このようにして表示を行った結果、バックライト単体の輝度1850cd/m2 に対して176cd/m2 の画面輝度を実現できた。よって、光利用効率は9.5%と高かった。また、このときのバックライトの消費電力は、1.1Wであった。
第1実施の形態と同様の液晶パネル及びバックライトを使用して、図16に示すような従来の駆動シーケンス(各サブフレームにおいて、書込み走査に要する時間(TA )及び消去走査に要する時間(TC )が何れもサブフレームの50%であり、書込み走査の終了タイミングから消去走査の開始タイミングまでの時間(TB )及び消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの時間(TD )が何れも0%)に従って、カラー表示を行った。バックライト単体の輝度2465cd/m2 に対して174cd/m2 の画面輝度であり、光利用効率は7.1%と低かった。
また、このときのバックライトの消費電力は、1.5Wと大きかった。
このような図5に基づく第1実施の形態と図16に基づく従来例との表示における画質を比較したところ、両者に差異は感じられなかった。逆に、バックライトが消灯している時間を有する第1実施の形態では、従来例と比べて、黒輝度が低くなって、コントラスト比が約1.3倍向上した。また、コントラスト比の向上によって混色が抑えられ、表示色純度も向上した。
(第2実施の形態)
第1実施の形態とは、使用する液晶材料及び上記TA ,TB ,TC ,TD を異ならせた第2実施の形態について説明する。なお、液晶表示装置の回路構成及びその動作は、第1実施の形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
まず、第1実施の形態と全く同様に、空パネルを作製した。この空パネルの配向膜11,12間に、高温側から等方相−コレステリック相−カイラルスメクチックC相の相転移系列を示し、単安定型の電気光学応答を示す強誘電性液晶材料を封入して液晶層13とし、コレステリック相からカイラルスメクチックC相への転移温度±3℃(100〜94℃)にて、液晶層13に直流10Vを印加することで配向処理を行った。配向処理は、液晶を等方相(120℃)まで一旦昇温させ、その後の冷却速度を−1℃/分に固定し、室温(25℃)まで冷却することとした。このような配向処理により、一様な液晶配向を得ることができた。封入した液晶材料の自発分極の大きさは11nC/cm2 であった。作製したパネルをクロスニコル状態の2枚の偏光フィルム1,5で挟んで液晶パネル21とし、電圧を印加しないときの液晶分子ダイレクタの平均分子軸と一方の偏光フィルムの偏光軸とを略一致させて暗状態になるようにした。
このようにして作製した液晶パネル21と、赤,緑,青の単色面発光スイッチングが可能なLEDアレイ7を光源としたバックライト22とを重ね合わせ、後述するような駆動シーケンスに従って、フィールド・シーケンシャル方式によるカラー表示を行った。
図6は、第2実施の形態における表示制御を示すタイムチャートであり、図6(a)は液晶パネル21の各ラインの走査タイミング、図6(b)はバックライト22(LED)の赤,緑,青各色の点灯/非点灯タイミングを示す。
1フレームが3分割された各サブフレームにおいて、書込み走査に要する時間(TA )及び消去走査に要する時間(TC )が何れもサブフレームの20%であり、書込み走査の終了タイミングから消去走査の開始タイミングまでの時間(TB )がサブフレームの30%であり、消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの時間(TD )がサブフレームの30%である。よって、TB +TC =TA +TD 及びTB =TD の関係を満たす。
そして、バックライト22(LED)は、第1実施の形態と同様、書込み走査の開始タイミングから消去走査の終了タイミングまでの間に点灯させ、消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの間には消灯する。この結果、バックライト22の点灯時間(=TA +TB +TC )はサブフレームの70%である。
なお、書込み走査と消去走査とにおいて各画素の液晶に印加される電圧は、極性が反対であって大きさが実質的に等しい電圧とし、書込み走査において、より高い光透過率が得られるように印加電圧の極性を調整した。また、フレーム周波数は60Hzとした。
このようにして表示を行った結果、バックライト単体の輝度1725cd/m2 に対して183cd/m2 の画面輝度を実現できた。よって、光利用効率は10.6%と高かった。また、このときのバックライトの消費電力は、1.0Wと小さかった。
第2実施の形態と同様の液晶パネル及びバックライトを使用して、図16に示すような駆動シーケンスに従って、カラー表示を行った。バックライト単体の輝度2465cd/m2 に対して179cd/m2 の画面輝度であり、光利用効率は7.3%と低かった。また、このときのバックライトの消費電力は、1.5Wと大きかった。
このような図6に基づく第2実施の形態と図16に基づく従来例との表示における画質を比較したところ、両者に差異は感じられなかった。逆に、バックライトが消灯している時間を有する第2実施の形態では、従来例と比べて、黒輝度が低くなって、コントラスト比が約1.4倍向上した。また、コントラスト比の向上によって混色が抑えられ、表示色純度も向上した。
(第3実施の形態)
第1実施の形態とは、上記TA ,TB ,TC ,TD の値が同じであるが、バックライトの点灯時間を異ならせた第3実施の形態について説明する。なお、液晶表示装置の回路構成及びその動作は、第1実施の形態と同様であるので、それらの説明は省略する。また、使用する液晶材料も含めて液晶パネルの構成は、第1実施の形態のものと同一である。
図7は、第3実施の形態における表示制御を示すタイムチャートであり、図7(a)は液晶パネル21の各ラインの走査タイミング、図7(b)はバックライト22(LED)の赤,緑,青各色の点灯/非点灯タイミングを示す。
1フレームが3分割された各サブフレームにおいて、書込み走査に要する時間(TA )、消去走査に要する時間(TC )、書込み走査の終了タイミングから消去走査の開始タイミングまでの時間(TB )、及び、消去走査の終了タイミングから次の色(次のサブフレーム)での書込み走査の開始タイミングまでの時間(TD )は、第1実施の形態と同様、何れもサブフレームの25%である。
しかしながら、バックライト22(LED)の点灯/消灯のタイミングが、第1実施の形態とは異なる。第1実施の形態では、バックライト22の点灯の開始タイミングと書込み走査の開始タイミングとを一致させ、バックライト22の消灯の開始タイミングと消去走査の終了タイミングとを一致させたが、第3実施の形態では、バックライト22の点灯の開始タイミングを書込み走査の開始タイミングより所定時間(TE )だけ早くすると共に、バックライト22の消灯の開始タイミングを消去走査の終了タイミングより所定時間(TF )だけ遅くしている。
図7に示す例では、これらの所定時間(TE ,TF )を何れもサブフレームの5%としている。従って、バックライト22の点灯時間(=TE +TA +TB +TC +TF )はサブフレームの85%である。
なお、書込み走査と消去走査とにおいて各画素の液晶に印加される電圧は、極性が反対であって大きさが実質的に等しい電圧とし、書込み走査において、より高い光透過率が得られるように印加電圧の極性を調整した。また、フレーム周波数は60Hzとした。
このようにして表示を行った結果、バックライト単体の輝度2096cd/m2 に対して177cd/m2 の画面輝度を実現できた。よって、光利用効率は8.4%と高かった。また、このときのバックライトの消費電力は、1.2Wであった。
このような図7に基づく第3実施の形態と前述した図16に基づく従来例との表示における画質を比較したところ、両者に差異は感じられなかった。逆に、バックライトが消灯している時間を有する第1実施の形態では、従来例と比べて、黒輝度が低くなって、コントラスト比が約1.2倍向上した。また、コントラスト比の向上によって混色が抑えられ、表示色純度も向上した。
(第4実施の形態)
赤,緑,青の表示データを検出して、それぞれの色における表示データ全てが黒である(表示データ全ての階調数が略0である)サブフレームについては、対応する色の光源(LED)を非点灯にすると共に、液晶パネルに対するデータ走査を行わないようにした第4実施の形態について説明する。なお、本発明例では、画素データの階調数が大きくなるに従って表示が明るくなるとしており、その階調数が略0である場合、その表示は”黒”表示となる。
図8は第4実施の形態における液晶表示装置の回路構成を示すブロック図である。図8において、図1と同一または同様の部材には同一番号を付している。なお、第4実施の形態における液晶パネルは、使用する液晶材料も含めて、第2実施の形態のものと同一である。
図8において、23は外部の例えばパーソナルコンピュータから表示用の画素データPDを入力し、各色(赤,緑,青)毎にその階調数を検出する階調数検出回路、24は検出された階調数に基づいて各色(赤,緑,青)に対応するLEDの点灯/非点灯を制御する点灯/非点灯制御部である。
点灯/非点灯制御部24は、階調数検出回路23で検出された各サブフレームに対応するそれぞれの色(赤,緑,青)の全ての画素データPDの階調数が略0である場合に、非点灯信号をバックライト制御回路35及び制御信号発生回路31へ出力する。バックライト制御回路35は、この非点灯信号を入力した場合に、その色に対応するサブフレームでLEDを非点灯とする。また、制御信号発生回路31は、この非点灯信号を入力した場合に、制御信号CSを送出せず、液晶パネル21の駆動を停止させる。
図9は、第4実施の形態における表示制御を示すタイムチャートであり、図9(a)は液晶パネル21の各ラインの走査タイミング、図9(b)はバックライト22(LED)の赤,緑,青各色の点灯/非点灯タイミングを示す。
第4実施の形態における液晶パネルに対する駆動シーケンスは、第2実施の形態での駆動シーケンス(図6)と基本的には同じである。但し、階調数検出回路23にて、表示データにおける各色(赤,緑,青)の階調数を検出し、サブフレーム内における全ての画素データの検出した階調数が略0である場合に、点灯/非点灯制御部24からバックライト制御回路35へ非点灯信号を送って、各色において全ての画素データの階調数が略0であるサブフレーム、言い換えると各色において全ての画素データが”黒”となるサブフレームにおいては、その色に対応するLEDを点灯させないと共に、点灯/非点灯制御部24から制御信号発生回路31へ非点灯信号を送って、液晶パネル21の駆動を停止させる。
第4実施の形態における表示では、バックライト単体の輝度1725cd/m2 に対して183cd/m2 の画面輝度を実現できた。よって、光利用効率は10.6%と高かった。また、このときのバックライトの消費電力は、1.0Wと小さかった。
なお、自然画等のフルカラー表示及び白黒表示においてはバックライトの消費電力が1
.0Wであったが、単色カラー表示(赤黒,緑黒,青黒表示など)においては、表示データの検出結果に基づいてバックライトを点灯させないようにしたことにより、一層の低消費電力化を図れて、緑黒表示においては消費電力が0.28Wと僅かであった。
第4実施の形態のように赤,緑,青の表示データの階調数を検出することなく、赤,緑,青の各サブフレームにおいて常にLEDを点灯させる従来例の駆動シーケンスに従って表示した場合、自然画等のフルカラー表示及び白黒表示のみならず、単色カラー表示(赤黒,緑黒,青黒表示)においても、1.0Wの消費電力を要した。なお、第4実施の形態と従来例との表示における画質を比較したところ、両者に差異は感じられなかった。
(第5実施の形態)
第5実施の形態では、入力される赤,緑,青の3色の画素データを赤,緑,青,白の4色の画素データに変換し、変換した4色の画素データを用いてフルカラー表示を行う。まず、この変換の手法について説明する。
図10(a)は各フレームにおける元の赤(r),緑(g),青(b)の階調数を示しており、図10(b)は各フレームにおける変換後の赤(r′),緑(g′),青(b′),白(w)の階調数を示している。各フレームにおいて、赤,緑,青の画素データの階調数を比較して最低階調数を検出する。例えば、図10(a)に示す最初のフレームにおいては、緑表示のデータの階調数が最も低い。この場合、赤表示,青表示のサブフレームにおいては、比較前の赤,青の階調数(r,b)から緑の階調数(g)を差し引いた階調数(r′=r−g,b′=b−g)に応じた赤表示,青表示を行う。
赤,緑,青の混合色である白表示のサブフレームにおいては、緑の階調数(g)に応じた白表示(w=g)を行う。なお、緑表示のサブフレームにおいても、比較前の緑の階調数(g)から緑の階調数(g)を差し引いた階調数(g′=g−g)に応じた緑表示を行うことになるが、その差し引いた階調数(g′)は0となるので、これは一般的に”黒”表示となる。
そして、第5実施の形態では、この”黒”表示となる緑のサブフレームにおいて、緑のLEDを非点灯にする。このような変換処理にあっては、少なくとも1色の変換後の階調数が0となるので、光源を非点灯にできる確率が第4実施の形態よりも大きくなり、消費電力の更なる低減化を図れる。
更に、第5実施の形態では、液晶パネルへ入射される光の照射領域を複数の領域に分割し、分割した各領域毎に、各色の画素データの階調数に応じて各色に対応する光源(LED)の点灯/非点灯を制御する。
バックライト22の領域を、図11に示すように、5個の小領域22a〜22eに分割することにより、液晶パネル21への光照射領域を5個の小照射領域に分割する。そして、液晶パネル21の走査と同期させて各色のLEDの点灯/非点灯を制御することに加えて、各小照射領域毎に、赤,緑,青,白の画素データの階調数を検出し、それぞれの色において小照射領域内における全ての画素データの階調数が略0である場合に、その小照射領域においてその色に対応するLEDを非点灯とする。
図12は、第5実施の形態における液晶表示装置の回路構成を示すブロック図である。図12において、図1,図8と同一または同様の部材には同一番号を付している。なお、液晶パネル,バックライトの構成は、第1実施の形態と同様である。白色のサブフレームにおいては、LEDアレイ7における赤,緑,青のLEDを同時に点灯させる。
図12において、25は、外部の例えばパーソナルコンピュータから入力される表示用の3色の画素データPDを、上述した手法に従って表示用の4色の画素データPD′に変換する画素データ変換回路25であり、画素データ変換回路25は、変換した画素データPD′を階調数検出回路23及び画像メモリ部30へ出力する。階調数検出回路23は、液晶パネル21の5個の小照射領域毎に、各色(赤,緑,青,白)の階調数を検出し、検出結果を点灯/非点灯制御部24へ送る。点灯/非点灯制御部24は、階調数検出回路23で検出された各サブフレームに対応するそれぞれの色(赤,緑,青,白)の全ての変換画素データPD′の階調数が略0である場合に、非点灯信号をバックライト制御回路35及び制御信号発生回路31へ出力する。バックライト制御回路35は、各小照射領域において赤,緑,青,白の各発色光をバックライト22から出射させるが、この非点灯信号を入力した場合に、その色に対応する各小照射領域でLEDを非点灯とする。また、制御信号発生回路31は、この非点灯信号を入力した場合に、制御信号CSを送出せず、液晶パネル21の駆動を停止させる。
なお、制御信号発生回路31,データドライバ32,スキャンドライバ33,基準電圧発生回路34等の他の部材の構成及び動作は、画素データPDが変換画素データPD′に変わるだけであって、第1,第4実施の形態と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
図13は、第5実施の形態における表示制御を示すタイムチャートであり、図13(a)は液晶パネル21の各ラインの走査タイミング、図13(b)はバックライト22(LED)の赤,緑,青,白各色の点灯/非点灯タイミングを示す。周波数60Hzである1フレームが4分割された各サブフレームにおいて、液晶パネル21に対するデータの書込み走査/消去走査のタイミングは、第3実施の形態と同様である。但し、図13(b)に示すように、1つのサブフレーム内において5個の小照射領域毎にバックライト22の点灯/非点灯を制御しており、点灯/非点灯制御部24から、ある色のある小照射領域について非点灯信号が入力された場合には、その色のその小照射領域においてLEDを非点灯として、その色を発光させない。各小照射領域におけるバックライト22の点灯時間は、サブフレームの70%より短くなる。
前述した第2実施の形態と全く同様に、液晶パネル21を作製し、その作製した液晶パネル21と、赤,緑,青の単色面発光スイッチングが可能なLEDアレイ7を光源としたバックライト22とを重ね合わせ、図13に示す駆動シーケンスに従って、フィールド・シーケンシャル方式によるカラー表示を行った。なお、白のサブフレームにおいては、赤,緑,青のLEDを同時点灯させた。
階調数検出回路23にて、変換後の表示データにおける各色(赤,緑,青,白)の階調数を各小照射領域毎に検出し、各小照射領域内において検出した全ての変換画素データの階調数が略0である場合に、点灯/非点灯制御部24からバックライト制御回路35へ非点灯信号を送って、各色において全ての変換画素データの階調数が略0である小照射領域、言い換えると各色において全ての変換画素データが”黒”となる小照射領域においては、その色に対応するLEDを点灯させない。また、各小照射領域内において検出した全ての変換画素データの階調数が略0である場合に、点灯/非点灯制御部24から制御信号発生回路31へ非点灯信号を送って、液晶パネル21の駆動を停止させる。
このような表示の結果、自然画等のフルカラー表示におけるバックライトの消費電力は1.7Wであったが、白黒表示においては消費電力が0.9W、単色カラー表示(赤黒,緑黒,青黒表示)においては消費電力がより低くなり、緑黒表示においては0.26Wと極めて低かった。白黒表示におけるバックライト単体の輝度1190cd/m2 に対して180cd/m2 の画面輝度を実現でき、光利用効率は15.1%と高かった。
第5実施の形態と同じくバックライトを5個の小領域には分割するが、赤,緑,青,白の表示データの階調数を検出せずに赤,緑,青,白の各サブフレームにおいて常にLEDを点灯させる従来例の駆動シーケンスに従って表示した場合、自然画等のフルカラー表示及び白黒表示のみならず、単色カラー表示(赤黒,緑黒,青黒表示)においても、1.7Wの消費電力を要した。
このような第5実施の形態と従来例との表示における画質を比較したところ、両者に差異は感じられず、第5実施の形態での表示画質が従来例に比べて劣化することはなかった。
なお、上述した各実施の形態では、光スイッチング素子として液晶パネルを用いるフィールド・シーケンシャル方式の液晶表示装置を例として説明したが、他の光スイッチング素子、例えばディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等を用いた他の表示装置であっても、本発明を同様に適用できることは勿論である。また、使用する光源は、LED光源としたが、EL等のスイッチング可能な光源であれば特にLED光源に限定されることはない。
更に、カラーフィルタを用いたカラー表示装置、特に強誘電性液晶材料を用いたカラー液晶表示装置においても同様の効果が得られることは言うまでもない。なぜならば、カラーフィルタ方式においては、上述した各実施の形態における赤,緑,青の発光色を白として、液晶パネルにカラーフィルタを設ければ、本発明を同様に適用できるからである。
図14は、カラーフィルタを用いる液晶表示装置における液晶パネル及びバックライトの模式的断面図である。図14において、図2と同一部分には、同一番号を付してそれらの説明を省略する。各画素電極(ピクセル電極)40,40…の下部には、3原色(R,G,B)のカラーフィルタ60,60…が設けられている。あるいは、各画素電極(ピクセル電極)40,40…に対向する共通電極3とガラス基板2との間にカラーフィルタが設けられている。また、バックライト22は、白色光を出射する白色光源70と導光及び光拡散板6とから構成されている。
このようなカラーフィルタ方式の表示装置にあっては、各フレームにおけるデータの書込み走査及び消去走査に要する時間をフレームの50%よりも小さくして、一のフレームでの液晶パネルへの光の入射遮断タイミングから次のフレームでの液晶パネルへの光の入射開始タイミングまでの間に所定時間を設けることにより、具体的には、上述したフィールド・シーケンシャル方式の各サブフレームにおける制御と同様の制御を各フレームにおいて実行することにより、表示画質(輝度)の劣化を招くことなく、光利用効率を向上できる。
上述した実施形態1〜5に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)光源から光スイッチング素子へ入射される複数の色の光の順次的な切換えと表示画像に応じた各色の表示データの前記光スイッチング素子への入力とを同期させて表示を行うフィールド・シーケンシャル方式の表示装置において、各色における前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の開始タイミングに同期して前記光源からの対応する色の光を前記光スイッチング素子へ入射する手段と、各色における前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の終了タイミングに同期して前記光源からの対応する色の光の前記光スイッチング素子への入射を遮断する手段とを備えており、一の色の光の前記光スイッチング素子への入射遮断タイミングから、次の色の前記光スイッチング素子への入射開始タイミングまでの間に所定時間を設けるようにしたことを特徴とする表示装置
。
(付記2)前記所定時間は、前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の終了タイミングから前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の開始タイミングまでの時間に等しいことを特徴とする付記1記載の表示装置。
(付記3)光源から光スイッチング素子へ入射される複数の色の光の順次的な切換えと表示画像に応じた各色の表示データの前記光スイッチング素子への入力とを同期させて表示を行うフィールド・シーケンシャル方式の表示装置において、各色における前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の終了タイミングと前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の開始タイミングとが不一致であり、書込み走査に要する時間をTA 、書込み走査の終了タイミングから消去走査の開始タイミングまでの時間をTB 、消去走査に要する時間をTC 、消去走査の終了タイミングから次の色における前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の開始タイミングまでの時間をTD とした場合に、TB +TC =TA +TD の関係を満たすようにしたことを特徴とする表示装置。
(付記4)光源から光スイッチング素子へ入射される複数の色の光の順次的な切換えと表示画像に応じた各色の表示データの前記光スイッチング素子への入力とを同期させて表示を行うフィールド・シーケンシャル方式の表示装置において、各色における前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の開始タイミングより前に前記光源からの対応する色の光を前記光スイッチング素子へ入射する手段と、各色における前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の終了タイミングより後に前記光源からの対応する色の光の前記光スイッチング素子への入射を遮断する手段とを備えることを特徴とする表示装置。
(付記5)前記光スイッチング素子へ入射される複数の色の光は、赤色光、緑色光及び青色光であることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の表示装置。
(付記6)前記光スイッチング素子へ入射される複数の色の光は、赤色光、緑色光、青色光及び白色光であることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の表示装置。
(付記7)表示データに基づいて、表示データに対応する色の光を出射する前記光源の点灯/消灯を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の表示装置。
(付記8)前記光スイッチング素子へ入射される光の照射領域が分割されており、分割された領域の表示データに基づいて、表示データに対応する色の光を出射する前記光源の点灯/消灯を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の表示装置。
(付記9)表示データに対応する色の光を出射する前記光源を非点灯としている場合に、前記光スイッチング素子への走査処理を停止させる停止手段を更に備えることを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の表示装置。
(付記10)前記光スイッチング素子は、液晶パネルであることを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の表示装置。
(付記11)前記液晶パネルで使用される液晶材料は、強誘電性液晶材料であることを特徴とする付記10記載の表示装置。
(付記12)前記液晶パネルに対する表示データの書込み走査時の印加電圧と、前記液晶パネルに対する表示データの消去走査時の印加電圧とは、大きさが等しく極性が反対である付記10または11記載の表示装置。
(付記13)光源から光スイッチング素子へ入射される複数の色の光の順次的な切換えと表示画像に応じた各色の表示データの前記光スイッチング素子への入力とを同期させてフィールド・シーケンシャル方式の表示を行う表示方法において、各色における前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の開始タイミングに同期して前記光源からの対応する色の光を前記光スイッチング素子へ入射し、各色における前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の終了タイミングに同期して前記光源からの対応する色の光の前記光スイッチング素子への入射を遮断し、一の色の光の前記光スイッチング素子への入射遮断タイミングから、次の色の前記光スイッチング素子への入射開始タイミングまでの間に所定時間を設けることを特徴とする表示方法。
(付記14)複数の色のカラーフィルタを設けた光スイッチング素子への光源からの白色光の入射と表示画像に応じた各色の表示データの前記光スイッチング素子への入力とを同期させてカラー表示を行う表示方法において、前記光スイッチング素子への表示データの書込み走査の開始タイミングに同期して前記光源からの光を前記光スイッチング素子へ入射し、前記光スイッチング素子への表示データの消去走査の終了タイミングに同期して前記光源からの光の前記光スイッチング素子への入射を遮断し、一のフレームでの前記光スイッチング素子への入射遮断タイミングから、次のフレームでの前記光スイッチング素子への入射開始タイミングまでの間に所定時間を設けることを特徴とする表示方法。