JP4339928B2 - 医療装置 - Google Patents
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Description
本開示は、一般に、病変の看護又は治療のための医療装置に関する。特に本開示は、創傷被覆材、例えば、抗微生物、治療、又は予防特性を有する導電性創傷被覆材、及び前記被覆材を作製する方法に関する。
治癒の速度の増大は医療費を減少させ、かつ二次感染による合併症の危険を減少させるので、傷の治療は、科学的及び商業的調査の高度に発展した分野になっている。現在治癒は、傷の程度、ホストの免疫学的及び栄養学的状態、傷の汚染、傷表面の湿気の度合い、pH及び酸素圧、並びに周囲の無傷で損傷のない組織に関係する傷の部位の電気的パラメーターに関連していると信じられている。特に、両生類の再生及びほ乳類における骨折の治療は、局所における直流電流(DC)電界における複雑な変化と関連している。傷が治癒するにつれ徐々に、電界は、正常な、損傷を受ける前のレベルに戻ると信じられている。逆に、例えば、骨折の癒着不能における、正常な治癒の過程の失敗は、特に、傷又は感染部位における適切な電気的信号の欠如と関連している。
例えば、特定の送り穴付きフィルムにおいて、該送り穴は、傷の滲出液がフィルムを通って、解離の共通の原因である傷の表面に貯まることを妨げる速度で拡散することを許容するのに十分である。この創傷被覆材は、滲出液によって飽和した場合は、被覆材は除去されなければならない。
更に、傷の治癒過程の間、水分含有量の変更として、被覆材のタイプを変更することが必要である。
傷の部位における微生物種の存在は、治癒過程を遅延させ得る生体的負担(bioburden)をもたらす。傷の生体的負担が、103CFU/ml未満の微生物数へと減少するにつれて、傷の治癒は向上する。通常、傷の治療は、傷の生体的負担の減少と共に、外部環境からの病原性微生物による汚染を防止することを含む。
金属イオンの移行のメカニズムを創造するために、種々の方法が用いられてきた。
創傷被覆材由来の銀イオン及び粒子の受動的な放出のために用いられる別のメカニズムは、種々の基板に種々のサイズの銀粒子を包埋するか配置することを含む。不活性ポリマーの厚い連続的な層に積層された、再構築されたコラーゲンフォームの外科手術用被覆材に、コラーゲン中の超微粒子金属銀が組み込まれている。これは、最大数のイオンと傷との直接接触を許容しない。
銀箔は、薬物治療を施すための電極として作用すると同様に、抗微生物剤としての銀イオンを供給する手段として創傷被覆材に組み込まれている。更に、銀は、傷に治療電圧を印加する手段を組み込む装置に製造された。銀箔は空気の循環を供給せず、表面領域に限定されている。
このような化合物は高い体積抵抗を有し、導電率が非常に低い。
陰圧又は減圧は、軟組織の損傷の治療及び創傷閉鎖のために創傷被覆材と組み合わせて使用されてきた。陰圧創傷療法(negative pressure wound therapy)は、局所的に陰圧(減圧)を加えて傷の治癒を促進することによって創傷閉鎖を補助する。一般に、真空圧が、創傷腔内、又は皮弁若しくは移植片の上に位置付けられた、特別な被覆材に加えられる。この圧力分布傷充填材は、傷から液体を除去し、正常な治癒の過程を促進する助けとなる。
傷に陰圧を加えることに関連した問題としては:被覆材内への組織成長;血管及び内臓等の繊細な構造の潜在的損傷;並びに被覆材の交換時に繰り返し外傷を引き起こす(従って痛みを増加させ、治癒時間を増加させる)、傷の基部への被覆材の粘着;が挙げられる。
本開示の態様は、一般に、生体の病変を治療するための組成物及び方法に関する。1つの態様は、約1,000μm未満の内径を有する抗微生物金属で被覆されたチューブと、約1,000オーム/平方未満の表面抵抗とを含む、第1の形状適合性(conformable)の導電性織物を含む創傷被覆材を提供する。別の態様は、1以上の繊維又は発泡体を含む少なくとも1層の形状適合性の導電層を含む装置であって、前記1以上の繊維又は発泡体が、約1,000オーム/cm2以下、5オーム/cm2以下、若しくは1オーム/cm2以下の表面抵抗を有する導電層を提供するのに十分な量の抗微生物金属で被覆され、かつ前記少なくとも1層が当該装置に少なくとも約5%の液体吸上値(liquid wicking value)を提供するのに十分な複数の開口を含む、前記装置を提供する。他の態様では、装置は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれを超える液体吸上値を有することができる。
好ましい導電層は、複数の繊維を含み、少なくとも1つの繊維は三次元構造を有し、該繊維は実質的に金属で被覆されている。
本開示の別の態様は、各層を含む導電性繊維と非導電性繊維との割合に従って配置された複数の層を有する創傷被覆材に関する。本開示の付加的な態様は、新規な被覆材の機能的形態の種々の構成に関する。本開示の別の態様は、人又は動物において傷を治療するために新規な被覆材を使用する方法に関する。本開示の更なる態様は開示される装置を製造する方法に関する。
本開示の実施態様は、病変を治療又は予防するための組成物、及びそれらの使用方法を含む。1つの実施態様は、人又は動物における病変の治療に有用な医療装置を提供する。典型的な医療装置は、単一又は多層の創傷被覆材を含むが、これに限定されない。他の実施態様は、傷又は病変を治療又は予防する方法、及び開示される装置を製造する方法を提供する。
様々な実施態様を詳細に議論するのに先立ち、開示される主題を明確にするために以下の定義を提供する。特に指摘されない限り、これらの定義が使用される。
用語「抗微生物金属」は、微生物の成長若しくは再生を阻害、防止、又は減少させる金属、合金、又は1以上の前記金属を含む金属組成物をいう。
用語「織物」は、基礎を成す構造をいう。基礎を成す構造は、天然若しくは合成繊維の製織、フェルト化、編成、かぎ針編み、又はこれらの組み合わせによって製造した基材を含むが、これらに限定されない。該用語は、圧縮しマット状にした動物繊維、天然繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせを含む。
本明細書で用いられるように、用語「繊維」又は「繊維(複数)」、「発泡体」又は「発泡体(複数)」は交換可能である。用語のうちの1つが用いられる場合、用語は異なって別々に形成される物質を意味するが、他方又はいずれかの複数が意図される。
用語「微生物」は、細菌、真菌、RNA若しくはDNAウィルス、プリオン、マイコプラズマ、及び単細胞生物又は寄生体を含むが、これらに限定されない微小生物形態(minute life form)をいう。
用語「三次元被覆」は、繊維又は発泡体の完全長であり得るか、若しくは該繊維又は発泡体の1つ以上の被覆された部分を含み得る、繊維又は発泡体の全ての表面の、周囲の同心の均一な被覆をいう。
一実施態様は、第1の形状適合性の導電性材料又は織物を含む、病変を治療又は予防するための装置を提供し、該材料又は織物は、(1)抗微生物金属と、(2)約1,000オーム/cm2未満の表面抵抗、及び(3)装置に少なくとも約5%の液体吸上値を提供するのに有効な複数の開口とを含む。他の実施態様では、装置は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれを超える液体吸上値を有することができる。
多層装置又は被覆材の液体吸上値は、層の任意の1層によって提供される最大液体吸上値である。例えば、二層装置の液体吸上値は、その二層によって提供される2つの液体吸上値の大きい方である。
開示される装置のある実施態様は陰圧療法に有用である。これらの実施態様では、装置は、少なくとも約10%の液体吸上値を提供し、かつ傷の中の液体によって遮断されることなく真空の生成を促進する、開口を有して構成される。被覆材は、都合よく、傷の感染を予防、減少、又は治療するイオン銀を放出する。
従来の発泡体作製方法によって作製された従来の発泡体は、直径50〜100ミクロンの空隙又は細孔を有する。いくつかの定義により、微孔質発泡体は、直径50ミクロン未満の気泡を含むものである。しかし、本明細書及び特許請求の範囲では、微孔質発泡体として言及される材料は、バイオ医学用途に適した、変化する幾何学形状の空隙又は細孔を含むような発泡体である。そのような発泡体は、好ましくは、寸法約1〜約400ミクロン、最も好ましくは約5〜約200ミクロンの細孔又は空隙を含む。
選択されたポリマー、及び発泡体内における空隙又は細孔のサイズ及び分布によって、発泡体は、柔軟から半柔軟、剛性まで、力学的性質が変動してもよい。従って、ある実施態様における発泡体は、発泡体作製物の意図される用途に応じて、ポリマー、及び空隙又は細孔のサイズを慎重に選択することによって、特定の用途向けに調整されてもよい。
基材10は、任意に、基材内に位置付けられた複数の開口11を含み、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれを超える液体吸上値を提供する。開口は、また、陰圧療法と組み合わせて用いられたとき、真空の形成を容易にするように、基材内に位置付けることができる。例えば、開口は、陰圧下にあるときに基材を傷に均一に当てるように、基材10内に位置付けることができる。
図3及び11は、創傷被覆材の典型的な実施態様を示す。図11は、少なくとも1層の導電層、該導電層に隣接して位置するか又は水分調節層に隣接して位置する少なくとも1層の吸収層、及び該吸収層に隣接して位置するか又は導電層に隣接して位置する少なくとも1の水分調節層を含み、該水分調節層の実質的に全体及びその中に種々のサイズの複数の開口を含む、創傷被覆材を示す。
中空繊維を作製する方法は、当業界で公知であり、ポリマー物質を抗微生物金属で被覆し、次いでポリマーを、薬剤、例えばキレート剤と接触させて、ポリマーを解重合させることを含むが、これらに限定されない。或いは、チューブは、押出し成形、鋳造、又は他の従来の手段によって形成することができる。
好ましくは、基材は繊維の形態である。繊維のデニールの範囲は約0.0001〜約10,000デニール、好ましくは約1.0〜約1000デニールであり、更に好ましくは約5〜約300デニールである。
図7Cは、ポリマー基材を被覆する均一な金属めっきを示す図7Bの拡大詳細図である。図7Dは、約62μm2の表面積を示す、自己触媒的にめっきされた重合体フィラメントの金属表面の拡大図である。
吸収層は、傷内において、表面層の複数の開口を通じて吸収層に外部源から提供される液体を受け取り、保持することによって、最小の液体排水及び吸収液で湿気の源を提供し得る。該吸収層は、非導電性繊維と均一に混合された、導電性金属をめっきされた繊維の任意の数の層を含み得る。また、該吸収層は、非導電性繊維又は材料のみを含んでもよい。本開示の目的について、非導電性繊維又は材料は、金属又は合金で被覆されておらず、及び電荷又は放出イオンを伝導することができない、任意の繊維又は材料である。
本発明の吸収層に適切な吸収材料は、当業界で公知のいずれかの生体適合性の合成又は天然吸収材料であり、発泡体、スポンジ又はスポンジ様材料、セルロース系材料、綿、レーヨン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン親水コロイド、アルギン酸塩、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、ヒドロフィブリル(hydrofibris)、コラーゲン又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
図10の層(131、132及び133)の厚みは同一あってもよく、異なっていてもよい。理想的には、層の厚みは、傷表面からの距離の増加に伴い増加する。付加的な好ましい態様においては、層の増加した厚みは、吸収剤数の比(例えば、1、2、3、5、8、13、21・・・)で生じる。
図11に示される水分調節層(118)は、吸収層及び傷表面からの水分の蒸発を制限する、生体適合性の半浸透性、又は不浸透性材料であることができる。少なくとも1層の水分調節層(118)は、被覆材の導電層に隣接して、又は吸収層に隣接して位置することができる。都合に合わせて、水分調節層は、吸収層に隣接して配置されることができ、及び固定して取り付けられるか、又は容易な取りはずし及び置換のために着脱自在に取り付けることができる。
発泡体水分調節層に適切な材料は、ゴム、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレンポリビニル、ポリオレフィン、シリコーン又はそれらの組み合わせを含む、半浸透性又は不浸透性の天然又は合成の化合物を含むが、これらに限定されない。
好ましくは、該フィルムは、約10μm〜約100μm、約10μm〜約90μm、約10μm〜約80μm、約15μm〜約100μm、約15μm〜約90μm、約15μm〜約80μm、約15μm〜約70μm、約20μm〜約100μm、約20μm〜約90μm、及び更に好ましくは約20μm〜約80μmの厚みを有する。いくつかの材料において、10μm未満の厚みは、機械的強度又は取扱適性を乏しくし、約100μmを超える透明なエラストマーフィルムは、ボディーの柔軟性及び心地よさを乏しくすることがある。好ましくは、該水分調節層は約300〜約5,000グラム/メートル/24時間、好ましくは約800〜約2,000グラム/メートル/24時間のMVTRを有する。水分調節層は、当業界で十分に認識されている方法によって吸収層に積層することができる。
該形状は、細長い孔、星形、楕円形、円形、半円形、正方形、長方形、多角形又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。該開口は、ランダムに、又は均一に配置され、群又は束とすることができる。このような開口は、吸収層から液体を付加又は除去することを可能にする。傷の治療のための使用法においては、該被覆材を除去することなく、該開口は、液体、薬物、クレンジング又は治療剤を分配することによって傷を浸すことを可能にする。
本開示の他の態様において、該被覆材の吸収層又は導電層に、剥離可能又は着脱可能に取り付けられる水分調節層を提供することは有用である。これは、傷を害することなく、水分調節層の除去及び置換を許容する。該吸収層からの速い除去を可能にするいかなる人工的手段によっても隣接する層に固定することができ、該人工的手段は、接着、編み物技術、積層又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
開示される創傷被覆材は、また、導電性被覆、例えばヒドロゲルで、及び任意にアルギン酸カルシウムで被覆された導電層を有することができる。
本開示の別の態様においては、開示された装置の導電層、吸収層、及び水分調節層を有する種々の態様のいずれかを含む織物が提供され得る。該層の組み立ての後、該層は積層されて創傷被覆材又は傷治癒装置の種々の構成になるよう切断又は形成に適した織物になる。
該導電層は、金属で三次元被覆されている繊維又は発泡体を含んでいてもよい。
少なくとも1層の水分調節層は、少なくとも1層の吸収層に隣接して位置してもよい。該層は、高分子シート、フィルム又は発泡体として形成されてもよい。被覆材の実施様態は、導電層及び吸収層の多層を含んでいてもよい。少なくとも1層の吸収層は複数の層を含み、各層の厚みは傷からの近接度が増すほど増大する。実施様態は、導電層及び吸収層が交互になっている被覆材を含む。該被覆材は、パッド、タンポン、管状携帯、島状被覆材、細長い被覆材又はそれらの組み合わせからなる形態に形成されてもよい。該被覆材の開口は、曲線、直線又はそれらの組み合わせを有する幾何学形状であってもよい。
開示された装置のある実施態様は、銀イオンの形成及び送達のために外部エネルギー源又はガルバニ電池を必要としないので、先行技術を超えて有利である。創傷被覆材は、特定の適用に応じて、多くの異なる有用な形態に形成され得る。更に、傷を害することなく、治療部位における適当な水分環境を創り出し、傷の部位において液体の量を制御することによって調節することができる。
健康なヒトの皮膚は、経上皮電位(TEP)又は表皮性電池(epidermal battery)と呼ばれる上皮全体の電位を示す。TEPは、上記細胞の外側の膜の特定のチャンネルを介して上皮の外側の細胞に入り、急な電気化学勾配に沿って移動する、ナトリウムイオンの活性イオン伝達系よって発生する。表皮性電池は、ナトリウムイオンの逆の通過を許容しない上皮細胞の間で、活動的にナトリウムイオン及び硬いギャップ結合をくみ出す、一連の起電性のポンプによって発生する。これは、上皮細胞を浸した水から動物の身体内部の液体にナトリウムイオンを輸送し、かつ上皮を介して−10mV〜−70mVのオーダーでの電位を生じさせる。
傷の中の上皮の起電性のナトリウム輸送メカニズムの破壊により、該傷表面におけるTEPは逆方向に顕著に変化する。該破壊が、傷表面から傷の周囲の正常組織へ横方向に進行するにつれ、ポイントが皮膚全体の電位が傷のない皮膚で正常に見られる最大の値に到達するまで皮膚全体の電位は上昇する。従って、横方向の電圧勾配は、傷ついた組織から正常組織への1つの移行として、傷の縁の近くで発生する。様々な研究は、実験動物における横方向の電圧勾配が140mV/mmであると報告している。また、傷が形成されて24時間以内に、表皮に生成された横方向の電圧が95%にまで落ちることが報告されている。従って、横方向の電圧勾配又は「横方向の電位」が傷の縁の近くの表皮内にあることが認識されている。表皮に形成された最も大きな横方向の電圧は、最も高い組織抵抗の領域において見出された。両生類において、大きな横方向の電位は表皮と真皮との間の高抵抗空間にある。ほ乳類においては、大きな横方向の電位は、生きている角化層と死んでいる角化層との間の空間にある。
第一に、銀は抗菌性の環境を形成し、細菌によって引き起こされる炎症を減少させ、次いで痛みを減少させることができる。また、第二に、高い導電層の効果は、治癒すべき傷の電場環境におけるポジティブな効果を有することができる。
傷の水分レベルは、有益であり得る水分の予め決められたいくつかのレベルと比較して調整することができる。都合に合わせて、水分レベル、電位、金属イオン濃度又はpHを示すために、インジケーターを創傷被覆材に加えることができる。
代替的に、水分調節層は、除去することができ、傷の治癒を妨げることなく、新しい水分調節層と置換することができる。水分を加え、及び除去する手段は、スポンジ、サクションバルブ、陰圧導入装置又はバキューム、注射器、ガーゼパッド等が含まれるが、これらに限定されない。
本開示の別の態様において、創傷被覆材は、器官又は内部外科的切開を治療するために内部に配置されることができる。第2の被覆材は、ガーゼパッド、充填材料、繊維性ダム、又は傷を治療するためのあらゆる手段の形態であり得る。
繊維又は発泡体を三次元被覆で均一に被覆するので、本開示の導電層のための繊維又は発泡体の金属をめっきする好ましい方法は、自己触媒的めっきである。これは、近づきやすい金属イオンについての最大の利用できる表面積を提供する。一般に、繊維又は発泡体は窒素基を有する。繊維又は発泡体が製造される材料が表面に窒素基を提供しない場合、このような窒素は材料の層、又は表面に窒素基を提供する被覆を加える。本開示は、自己触媒的な金属めっきのために増感され得る材料の使用を含む。このような材料は、本明細書に記載した装置に起因する傷の治癒を提供するように機能する、繊維、発泡体、フィルム又はその他の構造に製造され得る。例えば、これらの材料は、増感され得る窒素又は二酸化ケイ素又は同等の官能基を有する材料を含むが、これらに限定されない。例えば、表面上の窒素族又は二酸化ケイ素については、該材料は、次いで当業界で公知の方法を用いて増感され得る。該材料が、いったん増感されると、自己触媒的な金属めっき又は被覆が実施される。
銅、金、ニッケル、及び銀などの純金属要素、並びに、ニッケル、コバルト又は白金とリン又はホウ素との二元合金が、自己触媒的めっき工程により非導電性材料又は基材上にめっきされ得る。
自己触媒的な金属めっき工程は、静電気的放電、電磁放電及び高周波干渉産業においてフィラメント、繊維、編み糸及び織物について選択されるめっき工程である。非導電性基板の自己触媒的金属めっきは優れた導電率及び抵抗率を提供するので、真空蒸気蒸着法、マグネトロンスパッタ法を含むイオンスパッタ蒸着法、及びイオンビームアシスト蒸着法よりも優れているので使用される。真空蒸気蒸着、イオンスパッタ蒸着法及びイオンビーム蒸着法とは異なり、自己触媒的工程により金属めっきされたフィラメント、繊維、編み糸及び織物(織布、編み物及び不織布)は、基礎原料の物性を維持しながら三次元連続導電性経路を生じる。真空蒸気蒸着及びイオンスパッタ蒸着は、連続した影を伴う二元性の基材にめっきし、該めっきされた金属被覆の均一性に欠け、かつ該基材の柔軟性及び適応性が変わるので、劣っている。真空蒸気蒸着及びイオンスパッタ蒸着法では、通常は圧縮空気による市販のスプレー塗装と同様の「照準線(line of sight)」様式で基材をめっきする。
該層は、創傷被覆材の意図する性状によって予め決められたあらゆる構成に組み立てられる。自己触媒的に銀でめっきされた繊維、フィラメント、編み糸、及び織物は商業的に入手できる。
代替的に、水分調節層、又は水分調節層、皮膚接着層及び裏打ちシートの積層物は、織物の積層前に切断することができ、又は水分調節層は被覆材の組み立て前に切断することができる。様々な層における開口は、組み立て前に各層に予め形成するか、又は製造後に層に成形することができる。
本開示の創傷被覆材は、滅菌したときに最も適当である。
好ましくは、本開示の被覆材は、微生物に耐えるパッケージ内に封鎖されて供給される。該被覆材は、例えばγ線照射によって無菌化してもよい。
水溶液中の銀イオン放出濃度はγ線照射によって向上することが判っている。
本開示は、以下の実施例で更に例示され、それは、いかなる形であれ、本開示の範囲を限定することとして解釈するべきではない。逆に、本明細書における記述を読んだ後に、種々の他の態様、修飾及び同等物を有し得る手段が、本開示の精神及び/又は添付の請求の範囲の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得る。
第10胸部皮膚分節において、5.08cm(2インチ)×7.62cm(3インチ)と測定された一側性のヘルペス・ゾスターウイルス(Herpes zoster virus)による帯状疱疹の皮膚症状に苦しんでいる、45歳男性を治療するために、本開示の被覆材を用いた。該患者に、水道水でパッドを湿らせた後、図12に示す多層被覆材パッドを貼付した。該被覆材は、接着層及び裏打ち層によって適当な状態に維持された。5分以内に、患者は痛みが25%減少したと報告し、2時間以内に痛みがほぼ90%減少したと報告した。該患者は、該被覆材が乾燥すると痛みが戻るが、被覆材の配置前に経験するレベルには戻らないと報告した。該被覆材を再び水で湿らせると、10分以内に痛みのレベルは有意に減少した。皮膚のウィルス性障害部から該被覆材を除去することなく、水分調節層を通じて湿らせた。皮膚の外傷は適用後、36時間以内に治癒した。
3歳の女性が火炎傷害に伴う全身の表面積の80%の全層熱傷(第III度熱傷)を受けた。彼女は入院の直後に手術を受け、全ての表面積が壊死組織の中で創傷清拭された。完全合成皮膚が貼付され、図12に示す創傷被覆材で覆った。その被覆材は、適所に合成皮膚を残し、2日毎に交換された。段階的に合成皮膚を外科的に切除し、網目状分層植皮片を貼付した。該創傷被覆材を網目状分層植皮片の上に貼付し、傷が治癒するまで2日毎に交換した。被覆材を治癒の過程の間、12時間毎に湿らせた。
表1は、銀イオンの放出を示す。10.16cm(4インチ)×10.16cm(4インチ)の正方形の自己触媒的非電着性金属析出の銀をめっきした155.9g(5.5オンス)/0.8m2(平方ヤード)の縦編みメリヤス織物を、37℃においてトリプシンソイブロース(tryptic soy broth)中でインキュベートした。銀イオンの濃度は、12日間にわたり誘導結合プラズマ分光法により測定した。図8は、銀イオン濃度が最初の1時間目の10μg/ml未満から、5日目の60μg/mlをこえて増加したことを示す。
図9及び表2は、10.16cm(4インチ)×10.16cm(4インチ)の正方形の自己触媒的に銀をめっきした155.9g(5.5オンス)/0.8m2(平方ヤード)の縦編みメリヤス織物の抗微生物活性を示す。該織物は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を接種した培地に置かれ、37℃でインキュベートされた。該生物の成長は、動的な一定条件下における、固定化された抗微生物試薬の抗微生物活性を測定するためのASTM 標準試験法であるASTM E 2149−01によって測定された。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) ATCC 9027及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)ATCC 33591の106CFU/mlからのCFU/mlにおける減少が研究された。
コロニー形成単位(CFU)/mlで表わされる生物のカウントにおける減少を0時間、1/2時間、1時間、1.5時間、2時間及び4時間目に測定した。
火傷治療に使用される人工皮膚であるインテグラ(登録商標)と共に使用した時の本開示の創傷被覆材の有効性を判定するために研究を実施した。
創傷被覆材は、導電層用に自己触媒的にめっきされた銀繊維を含んで構成され、吸収材料の1層を導電層及び水分調節層の間に配置した。該水分調節層は、層に切り込まれた5mmスリット型の開口を有するポリウレタンフィルムから構成された。
傷を覆うために共に結合された2つのインテグラの断片をシミュレートするために、縫い目が各正方形の中に形成された。各インテグラ断片を、個々の標準血液寒天平板の中心に置いた。各インテグラ(登録商標)の断片を、本発明の創傷被覆材の5.08cm(2インチ)正方形の断片で完全に多い、37℃で24時間インキュベートした。24時間で、105コロニー形成単位/mlより多い緑膿菌又は黄色ブドウ球菌を含む懸濁液を2滴(約100μl)、各被覆材の中心に加え、術後患者の汚染をシミュレートした。該被覆材を再び湿らせ、48時間インキュベートした。48時間後、被覆材及びインテグラを、無菌技術を用いて慎重に除去した。培養組織は、かつてインテグラで覆われていた領域から得られ、製品の縫い目がある領域を横切って拭き取った。新鮮な寒天プレートに、これらのサンプルですじを付け、24時間インキュベートした。結果を下記表に示した。
インビトロ設定における本開示の創傷被覆材の抗微生物性の効果を測定するための試験を実施した。106CFU/mlの緑膿菌、及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含有する培養液ですじを付けた血液寒天培地で試験を行った。
本開示の創傷被覆材は、導電層用に自己触媒的に銀めっきされた繊維から構成され、吸収材料の1つの層は導電層と水分調節層との間に配置した。該水分調節層は、層内に5mmの細長い形状の開口を有するポリウレタンから構成された。
細菌の増殖の結果を数え、以下の表に記載した。
縦編みメリヤス銀ナイロン織物(比抵抗約1オーム/cm2)の、細菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌、及び緑膿菌)の3つの共通菌株の成長の阻害における有効性をインビトロで試験した。細菌培養物は、1つの皿に1つの培養物を、Kirby Bauer法を用いて寒天を充填したペトリ皿に移植した。殺菌した1cmの正方形の織物を、該培養物の表面上に置いた。24時間毎に、織物の正方形をそれぞれ培地から除去し、同じ皿の異なる領域に再移植した。72時間後、織物の正方形の真下にある培地をきれいにした(すなわち、その領域の細菌を死滅させた)。更に、織物の正方形がそれまで置かれていた領域は全てきれいなままであった。
実施例7の縦編みメリヤス銀ナイロン織物は、哺乳動物細胞の脱分化をインビトロで引き起こすことが見出された。観察された結果は、培地中の銀イオンの濃度に比例し、織物からの距離に反比例し、織物により近いほど、脱分化細胞の濃度はより高く、銀イオン濃度はより高い。
スルファジアジン銀クリーム、銀ナイロン織物、及び単純なナイロン織物の、細菌成長の阻害における有効性を比較した(L. Smeeの文献「銀ナイロン布及びスルファジアジン銀クリームの消毒薬としての有効性」(Piedmont College Senior Thesis, April, 1996))。2つのグラム陰性菌(大腸菌、緑膿菌)と3つのグラム陽性菌(腸球菌(E. faecalis)、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌(S. pyogenes))を含む細菌の5の共通菌株を調査した。
結果は、銀ナイロン織物及びスルファジアジン銀クリームが、全ての試験された菌株に対して有効な細菌成長阻害因子であることを示した。2つの実験に対する平均結果を表5に列挙する。
銀ナイロン織物(Agナイロン)、スルファジアジン銀クリームを有するナイロン織物(ナイロン+Agクリーム)、及び単純なナイロン織物(ナイロン)の阻害域(mm)。
示される結果は、2つの実験の平均を表す。
添付の特許請求の範囲によって規定されるような本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される好ましい実施態様に対して多くの変更及び置換えを行うことができることは、当業者に明白であろう。
Claims (20)
- 第1の形状適合性の導電層を含む装置であって、該導電層が、
a)抗微生物金属で被覆された繊維又は発泡体、ここで該被覆された繊維又は発泡体が、該導電層に10オーム/cm2〜0.001オーム/cm2の表面抵抗を付与し;及び
b)前記装置に少なくとも5%の液体吸上値を付与し、該装置を介して傷から液体を除去させるのに有効な複数の開口、ここで該開口部は該装置が陰圧下にあるときに、該装置が傷に均一に当たるように位置付けられている;を含む前記装置。 - 前記液体吸上値が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれを超える、請求項1記載の装置。
- 前記開口が0.2ミクロン未満の平均直径を有する、請求項1〜2のいずれか1項記載の装置。
- 前記抗微生物金属が銀を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
- 前記抗微生物金属が、5〜20重量%の銀を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
- 前記表面抵抗が5オーム/cm2以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
- 前記表面抵抗が1オーム/cm2以下である、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
- 前記繊維が弾性要素を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
- 前記弾性要素が、少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンを含む長鎖合成ポリマーを含む、請求項8記載の装置。
- 前記弾性要素が前記抗微生物金属で被覆されていない、請求項9記載の装置。
- 前記弾性要素が前記合成ポリマー繊維を包み込んでいる、請求項10記載の装置。
- 前記繊維がナイロンを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の装置。
- 第2の層を更に含む、請求項1記載の装置。
- 前記第2の層が、形状適合性の導電性織物の第2の層を含む、請求項13記載の装置。
- 前記形状適合性の導電性織物の第2の層が、前記第1の形状適合性の導電性織物から複数の支持体によって分離されている、請求項14記載の装置。
- 前記第2の層に隣接した第3の層を更に含み、前記第3の層は半透過性材料で作られている、請求項14記載の装置。
- 前記第2の層に隣接した第3の層を更に含み、前記第3の層は液体透過性材料で作られている、請求項14記載の装置。
- 前記繊維又は発泡体が、中空又は多孔性であり、かつ治療物質を含む、請求項1記載の装置。
- 前記治療物質が、抗生物質、抗炎症剤、酸化防止剤、抗体、栄養素、コラーゲン、自己由来組織、自己由来細胞、組換え細胞、成長因子、幹細胞、成人幹細胞、脂肪幹細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞、サイトカイン、ケモカイン、及びポリペプチドホルモンからなる群から選ばれたものである、請求項18記載の装置。
- 前記装置が傷の電位を0.1mV〜20mV減少させるものである、請求項1記載の装置。
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