JP4338264B2 - Method for producing porous body - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、断熱材および絶縁材料などに利用される耐熱性に優れた多孔質体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド系樹脂は、耐熱性および絶縁性に優れ、液晶配向膜、半導体回路の層間絶縁膜など広範な応用がなされている。このようなポリイミド系樹脂の特長を活かし、従来の汎用樹脂の代替としてポリイミド系樹脂を用いて製品の高性能化を図ることが検討されている。またポリイミド系樹脂に新たな機能を持たせて、ポリイミド系樹脂へのさらなる高付加価値化が検討されている。
このようなポリイミド系樹脂の技術展開の例として、ポリイミド系樹脂を多孔質化することによって、誘電率または熱伝導率を低下させる試みがある。例えば、特開平5−205526号公報や、サーマル・コンダクティビティ誌第18巻第437〜443頁1985年(著者D.D.バーレイ、題目サーマルコンダクティビティ オブ ア ポリイミド フォーム)に、ポリイミド系樹脂を多孔質化する技術が開示されている。
【0003】
前記公報には、ポリイミドマトリクスと熱分解性ポリマーマトリクスのブロック共重合体を形成し、成膜後に加熱処理して熱分解性ポリマーを除去して多孔質化する方法が開示されている。また、前記論文には、ポリイミドを発泡剤によって発泡してフォームにする方法が開示されている。
ポリイミド系樹脂自体は、耐薬品性が高く、またガラス転移点が300℃以上であるため、成形加工が難しい材料である。したがって、この樹脂を多孔質化する方法についても、それぞれ長所・短所が存在する。例えば、断熱材として用いる場合について考える。
前記公報記載の方法では、孔径1μm以下の微細な多孔質体を得ることができる。しかし、熱分解するための加熱工程があるため、耐熱性の低い基材に対して適用できないという問題があった。また、前記論文記載の技術では、数100μmオーダーの気泡が生じるため、断熱性をさらに向上させるには、この気泡を微細化する必要がある。上記のような方法以外にも、ポリイミド系樹脂を多孔質化する技術が種々試みられている。
しかし、ポリイミド系樹脂から多孔質体を得るための技術はいまだ確立されておらず、必要となった用途に応じて、その都度研究がされているといった状況である。つまり、ポリイミド系樹脂から低密度で、平均孔径の小さな多孔質体を得るための方法が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題に鑑み、本発明は、低密度で、平均孔径の小さな多孔質体を提供することを目的とする。また、このような多孔質体を製造する方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、断熱性の優れた断熱体および誘電性能に優れた絶縁体を有する半導体回路を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述の目的に鑑み、本発明の多孔質体の製造方法は、平均孔径が1nm以上100nm以下の範囲にあり、みかけ密度が50kg/m 3 以上500kg/m 3 以下の範囲にあるポリイミド系樹脂の乾燥ゲルからなる多孔質体を製造する方法であって、
(i)ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体をイミド化することにより、上記ポリイミド系樹脂を得るイミド化工程と、このイミド化工程で得られたポリイミド系樹脂と、上記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、上記ポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、この溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、上記ポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、このゲル化工程で得られたポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを乾燥して、上記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、を含むか、
(ii)ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体と、上記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、上記ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、この溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド前駆体の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、上記ポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、上記ゲル化工程で得られたポリイミド前駆体の湿潤ゲルをイミド化することにより、上記ポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを得るイミド化工程と、上記イミド化工程で得られたポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを乾燥して、上記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、を含むか、あるいは、
(iii)ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体と、上記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、上記ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、この溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド前駆体の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、上記ポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、上記ゲル化工程で得られたポリイミド前駆体の湿潤ゲルを乾燥して、上記ポリイミド前駆体の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、上記乾燥工程で得られたポリイミド前駆体の乾燥ゲルをイミド化することにより、上記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得るイミド化工程と、を含む、ことを特徴とする。
本発明の多孔質体の製造方法は、上記の工程で得られたポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを不活性気体雰囲気の下、500℃以上で加熱処理して炭素材からなる多孔質体を得る焼成処理工程を含むことを特徴とする。
また、本発明による断熱体は、上記のいずれかの方法で作製された多孔質体を容器内に充填してなることを特徴とする。
ここにおいて、前記容器が気体遮蔽性の容器であり、かつ前記容器内が減圧されていることが好ましい。
さらに、本発明による半導体回路は、上記のいずれかの方法によって作製された多孔質体を用いて、基板上に配置された複数の電極線間を絶縁する層間絶縁膜を形成していることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明による多孔質体は、連続する微小な孔を有し、微細なゲル骨格の乾燥ゲルからなる構造体である。このような構造を有することによって、優れた断熱性能を発揮することができる。また、空隙率が高いため、低誘電率の絶縁体となることができる。
なお、乾燥ゲルは、溶媒を含む樹脂がゲル骨格を形成した湿潤ゲルを乾燥することによって得られるものである。そして、乾燥ゲル中の溶媒が抜けた空間(孔)には空気が存在し、固体状態である。また、乾燥ゲルが、湿潤ゲルを超臨界乾燥したエアロゲルであると、断熱性能および誘電性能が向上して都合がよい。
【0007】
また、ポリイミド系樹脂は、原料から前駆体であるポリアミド酸(以下、「ポリイミド前駆体」という。)を得て、ついでこの前駆体をイミド化することによって得ることができる。
本発明におけるポリイミド系樹脂は、一般的にポリイミドとして分類されるもの以外に、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのイミド環構造を主鎖骨格に有する合成高分子を広く含む。そして、いずれも耐熱性、絶縁性、耐薬品性および耐環境性に優れているものである。
【0008】
以下に、本発明の多孔質体について説明する。
本発明の多孔質体は、ポリイミド系樹脂からなる乾燥ゲルであり、ポリイミド系樹脂がゲルのマトリックス骨格を構成し、その空孔内には空気が存在している。特に、乾燥ゲルのみかけ密度が800kg/m3以下、平均孔径が1μm以下である場合は、熱絶縁性である断熱性能と電気絶縁性である誘電性能に優れた多孔質体となる。
ここで、多孔質体の熱伝導率は、多孔質体の骨格部の熱伝導率、空孔内の気体の熱伝導率および輻射対流による熱伝導率の合計から求められ、それぞれの熱伝導率を低下させることによって断熱性能の向上をはかることができる。本発明の多孔質体は、ゲルの骨格が空気の流れを遮断しているため、輻射対流による熱伝導率は、他の2つの熱伝導率と比較して極めて小さい。したがって、空孔内の気体の熱伝導率も低下する。
【0009】
特に、本発明の多孔質体の平均孔径は100nm以下であるのが好ましい。この場合、平均孔径が空気中の分子の平均自由行程と同等またはそれ以下となり、空孔内の気体の熱伝導率が急激に低下し、多孔質体の断熱性能が向上するからである。なお、多孔質体の平均孔径の下限は、小さいほど好ましいが、本発明においては1nm程度であればよい。
みかけ密度は500kg/m3以下であるのが好ましい。この場合、骨格の容積が小さくなり、多孔質体の骨格部の熱伝導率を低下させることができるからである。なお、多孔質体のみかけ密度の下限は、小さいほど好ましいが、本発明においては50kg/m3程度であればよい。
また、本発明の多孔質体の形状としては、ブロック状、シート状、板状、粉体状などいかなる形状でも良い。
【0010】
つぎに、本発明の多孔質体は、上記のポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを焼成することによって得られる炭素材からなってもよい。この炭素材からなる多孔質体は、前記乾燥ゲルの形状を保持し、みかけ密度が800kg/m3以下、平均孔径が1μm以下であると、特に優れた性能を有している。
一般に、ポリイミド系樹脂を焼成処理によって炭素化させたものが、電極材料や活性炭などに用いられている。本発明の炭素材からなる多孔質体は、低密度の炭素材で構成されているため、比表面積が大きく、炭素材としての性能も優れている。
特に、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法で測定した比表面積の値が、400m2/g以上あるものが炭素材として優れた性能を有する。そのため、炭素材として用いる場合には、焼成する前のポリイミド系樹脂の乾燥ゲルもBET比表面積が400m2/g以上の値であるのが好ましい。
【0011】
ここで、図1に、本発明の多孔質体を用いて作製した断熱体の断面図を示す。本発明による多孔質体1をコア材として用い、気体遮蔽性の容器2に挿入する。ついで、容器2を排気した後に容器を密封することによって断熱体を作製する。容器2内を真空排気することで、より高性能な真空断熱体となる。
この断熱体に用いる場合、多孔質体の平均孔径は100nm以下であるのが好ましい。なぜなら、この場合、従来の粉末からなる真空断熱材を充填した容器内を0.01Torr程度の真空度に排気した場合に得られる熱伝導率と同程度の熱伝導率を、容器内を10〜100Torr程度の真空度に排気しただけで得ることができるからである。このような効果は、本発明の多孔質体の形状に依存して得られるものである。
このような優れた性能を発揮する本発明の多孔質体は、半導体回路の層間絶縁膜として好適に用いることができる。図2に、本発明の多孔質体からなる層間絶縁膜を有する半導体回路の一実施の形態の概略断面図を示す。図2に示すように、半導体基板3上に金属などの電極4を配線し、その電極間を埋設するように本発明の多孔質体からなる層間絶縁層5を形成する。さらに、層間絶縁層5の上部に保護層6を形成する。保護層6を形成せずに、さらに上層に素子を形成して多層構造の回路としてもよい。
【0012】
本発明の多孔質体は、ゲルの骨格部の容積に対して空気の占有する容積が大きく、かつ空孔が小さく緻密であるため、優れた強度を保持し得る。そのため、前記半導体回路において、構造強度を維持する低誘電率の誘電体として好適に用いることができる。
したがって、本発明の多孔質体を半導体回路やプリント基板などに用いると、絶縁体の誘電損失を低下することができ、信号の伝搬速度の高速化を図ることができる。また、電気・電子機器の高周波電力損失を低下することができる。さらに、モータなどの回転機に応用すると高周波での電力漏洩を低減することができ、機器の省エネルギー化を図ることができる。
つぎに、本発明の多孔質体の製造方法について説明する。本発明の多孔質体の製造方法は、大きく分けて2種類あげられる。それぞれの製造方法における工程の順序について、図3を用いて説明する。
【0013】
図3のA法〜C法は、ポリイミド湿潤ゲルを得てから、これを乾燥してポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る方法であり、ポリイミド湿潤ゲルを製造するプロセスによって分けて示している。
A法においては、ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド系樹脂を形成し、このポリイミド系樹脂を溶媒に溶解して溶液にした後、または親和性を持たせて湿潤性を与えたポリイミド系樹脂の膨潤体にした後、架橋処理などによってゲル化して、ポリイミド湿潤ゲルを得る。
B法においては、ポリイミド前駆体の溶液、またはポリイミド前駆体の膨潤体を得た後、前記溶液または膨潤体をゲル化し、得られたポリイミド前駆体の湿潤ゲルを、湿潤状態のままイミド化してポリイミド湿潤ゲルを得る。湿潤状態で加熱処理してイミド化する場合には、高沸点の溶剤を選択する。または、化学処理によってイミド化する。
C法においては、ポリイミド前駆体の溶液、またはポリイミド前駆体の膨潤体を得た後、前記溶液または膨潤体をゲル化処理するとともに、ゲル化促進のための加熱処理を併せて行い、イミド化処理を同時に行ってポリイミド湿潤ゲルを得る。
これらの方法を比較すると、A法は、B法およびC法と異なり、イミド化時のゲル収縮が生じるプロセスがないため、工法による寸法設計が容易であるという長所がある。しかし、溶媒に対して可溶性または湿潤性のポリイミド分子構造を選択しなければならないという制限がある。
【0014】
また、D法においては、ポリイミド前駆体の溶液、またはポリイミド前駆体の膨潤体を得た後、これらの溶液または膨潤体をゲル化してポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得る。続いて、このポリイミド前駆体の湿潤ゲルを乾燥工程によって乾燥ゲルにし、イミド化して、ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る。
このD法は、溶媒に溶けやすいポリイミド前駆体によって、多孔質体の骨格形成をしておくことができるため、製造作業がしやすいという特徴がある。特に、溶媒に溶けにくいポリイミド系樹脂を得る場合に有効である。この場合、得られた乾燥ゲルの再湿潤を防ぐために、最後のイミド化は加熱処理の乾式プロセスでおこなうことが適している。
また、炭素材からなる多孔質体を得る場合には、上記のようにして得たポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを加熱して炭化処理する工程を含む。炭化処理は、その処理中に乾燥ゲルが燃焼してしまうことを避けるために、真空中、または不活性気体中で行う。
特に簡便な方法としては、チッ素、アルゴンなどの不活性雰囲気下、500℃以上の温度雰囲気下で焼成するのが好ましい。500℃以上であれば乾燥ゲルの炭化が進行する。完全に炭化するためには加熱温度は800℃以上、好ましくは1000℃以上であるのがよい。また、炭化を効率に進行させるという理由から、温度の上限は1500℃程度であればよい。
【0015】
さらに、得られた多孔質体を活性炭として用いる場合には、この炭化処理に加えて、水蒸気や無機塩などによる賦活処理を行ってもよい。
次に、本発明の多孔質体の製造方法を、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(1)A法について
(i)工程A−1
工程A−1において、まず、ポリイミド前駆体を合成する。
ポリイミド系樹脂は、通常、芳香族または脂肪族のテトラカルボン酸二無水物化合物(以下、「化合物a」という。)と、芳香族または脂肪族のジアミン化合物(以下、「化合物b」という。)との縮合反応で合成される。そこで、ここでは化合物aと化合物bが縮合してポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を生成する。このポリイミド前駆体は、有機溶媒に可溶であるため、シート状などの形状に加工することができる。
ポリイミド前駆体、および工程A−2において得られるポリイミド系樹脂の有機溶媒への溶解性を高めるには、化合物aおよび化合物bの分子構造を選択すればよい。エーテル基やケトン基などを主鎖に有する化合物、フェニル基、アルキル基、トリフルオロメチル基などの嵩高い基を側鎖に有する化合物などが溶媒に溶解しやすい。
また、置換基として、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基などを導入することによって、ポリイミド前駆体およびポリイミド系樹脂の溶解性および湿潤性を向上させることができる。さらに、これらの置換基は、ゲル化させるときの架橋部分としての役割を果たす。
【0017】
化合物aとしては、例えば無水ピロメリット酸、ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(フタル酸無水物)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物などがあげられる。これらは、それぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせ用いることができる。
また、化合物bとしては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノトリフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−4”−ヒドロキシトリフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、3,5−ジアミノ安息香酸などがあげられる。これらは、それぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせ用いることができる。
なお、原料である化合物aおよび化合物bは、ポリイミド構造の樹脂が形成できるものであれば、これらに限定されるものではない。
【0018】
ポリイミド前駆体の合成に用いる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなどがよく用いられる。その他にも、得られるポリイミドの分子構造によって、クレゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノールなどが用いられる。これらは、単独、あるいは任意に混合して用いることができる。
さらに、上記の中で、沸点が100℃以上の高沸点の溶媒は、ポリイミド前駆体の合成だけでなく、工程A−2の加熱処理を伴うポリイミド系樹脂の合成にも用いることができる。
【0019】
(ii)工程A−2
さらに、このポリイミド前駆体を、加熱処理、または無水酢酸、ピリジンなどの脱水した溶剤を用いる化学処理によってイミド化し、ポリイミド系樹脂を得ることができる。得られたポリイミド系樹脂は、耐溶剤性が高く、溶媒には難溶なものが多い。
ポリイミド前駆体からポリイミドにするイミド化処理は、加熱処理と化学処理に大別される。
加熱処理によるイミド化は、50〜400℃程度の加熱によって行う。好ましくは100〜300℃の範囲の温度で加熱を行う。イミド化は、ポリアミド酸から脱水してイミド環を形成する反応であるため、急激に加熱温度を上昇させずに、例えば100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で1時間というように段階的に温度をあげて処理するのがよい。また、雰囲気としては、空気のほか、チッ素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うのが好ましい。また、真空中での熱処理でもよい。
化学処理によるイミド化としては、例えば無水酢酸、ピリジンなどの脱水溶剤中にポリイミド前駆体を浸漬して、イミド環を形成させる。なお、この方法は湿式であるため、D法のようにポリイミド前駆体の乾燥ゲルのイミド化に利用するには適していない。
【0020】
(iii)工程A−3
次に、ポリイミド系樹脂溶液または膨潤体を得る。このときに用いる溶媒としては、上記の合成用溶媒の他に、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、2−ブタノン、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの極性溶媒や非極性溶媒を、それぞれ単独で、または任意に混合して用いることができる。また、これらに水を加えて湿潤させることもできる。さらに、樹脂の骨格に水酸基、カルボキシル基、スルホ基などの親水基を有する場合には、水のみを用いることができる。
ポリイミド系樹脂の溶液は、樹脂成分が溶解する溶媒を選択し、最終得ようとする乾燥ゲルのみかけ密度となるように樹脂成分重量と溶媒容積を調製して作製する。
ポリイミド系樹脂の膨潤体も、前述したような樹脂成分が膨潤する溶媒を選択して、最終的に得ようとする乾燥ゲルのみかけ密度となるように樹脂成分重量と溶媒容積を調製して作製する。
このときの溶媒は、単独溶媒だけでなく混合溶媒でもよい。単独溶媒の場合には、樹脂成分と親和性が高いが溶解しないものが好ましい。例えば、水酸基を有する樹脂成分の場合には、水、アルコール系の溶媒が適している。
混合溶媒の場合には、樹脂成分が溶解するものと非溶解のもの、例えばN−メチルピロリドンとメタノールなどが選択できる。さらに、混合する溶媒がそれぞれ相溶しない場合には、樹脂成分と混合した際に相溶−非相溶状態のエマルジョンを形成してもよい。
【0021】
(iv)工程A−4
次に、ポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体から湿潤ゲルを得るゲル化方法について述べる。
膨潤体の場合には、溶媒の種類によっては、その状態でゲル化してしまうことがある。ゲルの強度を高めるためには、架橋を行わせることが効果的である。樹脂成分に、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基などを導入しておき、これと反応する架橋剤を添加して架橋を行わせる。
架橋剤としては、樹脂成分中の官能基と反応する官能基を有しているものであればよい。このような官能基としては、例えば水酸基、メチロール基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、クロロホルミル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基などを用いることができる。これらの官能基を有する架橋剤は、強度を保持するために官能基を2つ以上有しているのが好ましい。また、これらを架橋するために酸、塩基、酸無水物などを硬化剤として加えることもできる。
【0022】
具体的な架橋剤としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオールなどのジオール類、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類、フェノール樹脂、メラミン樹脂などのメチロール基含有樹脂類、アンモニア、メチルアミンなどのアミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの多価アミン類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート類、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックジグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、グリオキサール、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、フタルアルデヒドなどのジアルデヒド類、マレイン酸、シュウ酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸などのジカルボン酸類およびその酸クロライド化合物類、無水フタル酸、無水マレイン酸などの酸無水物類、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのシラン化合物類およびそれらが縮合したシランオリゴマー類などを用いることができる。もちろん、本発明において用いることのできる架橋剤はこれらのみに限定されるものではない。
【0023】
(v)工程A−5
次に、湿潤ゲルから乾燥ゲルを得る乾燥工程について述べる。乾燥処理には、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥の通常乾燥法や、超臨界乾燥法、凍結乾燥法を用いることができる。
乾燥ゲルを低密度にするために湿潤ゲル中の固体成分量を少なくするとゲル強度が低下する。また、通常、ただ単に乾燥しただけの乾燥法では、溶媒蒸発時のストレスによってゲルが収縮してしまう。前述の架橋処理は、この乾燥収縮を抑制することにも効果がある。また、乾燥方法として超臨界乾燥や凍結乾燥を用いることによって、乾燥時のゲルの収縮を防ぐことができる。
超臨界乾燥法や凍結乾燥法では、溶媒を液体状態から相状態を変えることによって、気液界面を無くして表面張力によるゲル骨格へのストレスを無くして乾燥することができるため、乾燥時のゲルの収縮を防ぐことができ、低密度の乾燥ゲルの多孔質体を得るのに適した方法である。特に、超臨界乾燥法で作られた乾燥ゲルをエアロゲルと呼ぶ。
【0024】
この超臨界乾燥に用いる溶媒は、湿潤ゲルの溶媒を用いることができるが、超臨界乾燥において扱いやすい溶媒に置換しておくのが好ましい。
置換する溶媒としては、直接その溶媒を超臨界流体にするメタノール、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類や二酸化炭素が挙げられる。さらに、これらの超臨界流体で溶出しやすいアセトン、酢酸イソアミルやヘキサンなどの一般的な取扱いしやすい有機溶剤に置換しておいてもよい。
超臨界乾燥条件としては、オートクレーブなどの圧力容器中で行い、例えばメタノールではその臨界条件である臨界圧力8.09MPa、臨界温度239.4℃以上にし、温度一定の状態で圧力を徐々に開放して乾燥を行う。また、二酸化炭素の場合には、臨界圧力7.38MPa、臨界温度31.1℃以上にして、同じように温度一定の状態で超臨界状態から圧力を開放して気体状態にして乾燥を行う。
【0025】
(2)B法について
(i)工程B−1
B法においては、まず工程A−1と同様にしてポリイミド前駆体を調製する。(ii)工程B−2
ついで、工程A−3と同様にして、ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を得る。この場合、ポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体を得るために用いる溶媒と同じ溶媒を用いることができる。
ここで、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のカルボン酸部分に、トリエチルアミンなどの三級アミンを形成させることで、水との親和性を上げて膨潤させることができる。すなわち、ポリイミド前駆体を溶解または膨潤させるためには、トリエチルアミンなどの3級アミンを、前駆体であるポリアミド酸のカルボン酸部分と反応させて塩構造にするのが好ましい。ポリイミド前駆体の有機溶媒または水に対する親和性を制御して、溶解、膨潤状態を制御することができるからである。
ポリイミド前駆体の溶液は、樹脂成分が溶解する溶媒を選択し、最終得ようとする乾燥ゲルのみかけ密度となるように樹脂成分重量と溶媒容積を調製して作製する。また、ポリイミド前駆体の膨潤体も、前述したような樹脂成分が膨潤する溶媒を選択して、最終的に得ようとする乾燥ゲルのみかけ密度となるように樹脂成分重量と溶媒容積を調製して作製する。
【0026】
このときの溶媒は、単独溶媒だけでなく混合溶媒でもよい。単独溶媒の場合には、樹脂成分と親和性が高いが溶解しないものが好ましい。例えば、水酸基を有する樹脂成分の場合には、水、アルコール系の溶媒が適している。さらに、ポリイミド前駆体の場合には、その樹脂骨格であるポリアミド酸のカルボン酸部にトリエチルアミンなどの三級アミンを形成させることで水との親和性を上げて膨潤させることができる。
混合溶媒の場合には、樹脂成分が溶解するものと非溶解のもの、例えばN−メチルピロリドンとメタノールなどが選択できる。さらに、混合する溶媒がそれぞれ相溶しない場合には、樹脂成分と混合した際に相溶−非相溶状態のエマルジョンを形成してもよい。
【0027】
(iii)工程B−3
次に、ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を、前記工程A−4と同様にしてゲル化し、ポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得る。
(iv)工程B−4および工程B−5
ついで、ポリイミド前駆体の湿潤ゲルをイミド化してポリイミド湿潤ゲルを得、乾燥してポリイミド乾燥ゲルを得る。この工程は、前記工程A−2およびA−5と同様に行えばよい。
【0028】
(3)C法およびD法について
C法は、工程C−3において、イミド化およびゲル化を同時に行うこと以外は、B法と同じである。
工程C−3においては、ポリイミド前駆体を湿潤状態で加熱してイミド化してもよい。すなわち、ポリイミド前駆体がポリイミドになることで、溶媒に対して不溶化または非相溶化し、ゲルを形成する。この場合も、架橋処理を行うことでゲルの強度を補強することができる。
また、D法は、イミド化工程と乾燥工程の順序が逆であること以外は、B法と同じである。
このようにA法〜D法のいずれかにおいて得られたポリイミド乾燥ゲルは、そのまま多孔質体として用いることができるが、さらに炭化処理を行って炭素材とすることもできる。そして、この炭素材を多孔質体として用いることもできる。この炭化処理は、電気炉、雰囲気炉、乾留炉などの加熱炉中に乾燥ゲルを入れて加熱することにより行う。特に、チッ素、アルゴンなどの不活性雰囲気下で、ポリイミド系樹脂の一般的な耐熱上限である500℃以上で熱処理することで行えばよい。この温度以上であれば、ポリイミド系樹脂は自己縮合して炭化する。
【0029】
次に、上記の方法で得られる本発明の多孔質体の特徴について述べる。
本発明の製造方法によると、みかけ密度1000kg/m3以下、平均孔径1μm以下のポリイミド系樹脂からなる乾燥ゲルの多孔質体を得ることができる。
特に、断熱性能および誘電性能に優れた多孔質体として、みかけ密度が800kg/m3以下、平均孔径が1μm以下の多孔質体を提供することができる。さらに、大気圧で優れた断熱性能を有するみかけ密度が500kg/m3以下、平均孔径が100nm以下の多孔質体を提供することができる。また、比表面積が、BET法で測定した値が400m2/g以上となるものを提供できる。
一般的に、熱可塑性樹脂は、200℃以下で融解、軟化するため、耐熱温度は200℃以下である。また、熱硬化性樹脂でも、200℃以上になると熱分解が進行しはじめるが、耐熱温度は250℃程度である。
これに対し、バルクのポリイミド系樹脂は、連続使用耐久温度が250℃以上であり、非定常的には400℃までの耐熱性を有しているといわれている。
本発明の多孔質体は、多孔質体でないバルクのポリイミド系樹脂の耐熱性と同程度の耐熱性を有するため、優れた耐熱性を有する多孔質体を提供することができる。
【0030】
また、大気圧下、平均温度24℃での熱伝導率が、0.025W/mK以下であり、一般的なグラスウール熱伝導率の0.035W/mKよりも低い値を有する多孔質体を提供できる。平均孔径が100nm以下であれば、さらに低い熱伝導率(0.017W/mK以下)の多孔質体を提供できる。
さらに、アルミニウムやステンレス鋼のラミネートフィルム容器に、本発明の多孔質体を充填して真空封止すると、熱伝導率0.012W/mK以下の優れた断熱性能を有する断熱体を得ることができる。
また、周波数1MHzでの比誘電率が約2以下である多孔質体を提供できる。周波数1MHzでのバルクのポリイミド系樹脂の比誘電率が約3.3であり、バルク状態の物質において最も比誘電率の低いテトラフルオロエチレンの比誘電率約2よりも低い値を得られることから、本発明の多孔質体は、優れた高周波特性を有するといえる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
本実施例においては、A法にしたがって本発明の多孔質体を製造した。
化合物aとして4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(フタル酸無水物)、化合物bとして2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンを用い、室温で両者がモル比で1:1になるように、N,N’−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」という。)中で混合してポリイミド前駆体を合成した。
この溶液をメタノールを用いて再沈澱させた後、乾燥した。得られた固体状態のポリイミド前駆体をチッ素気流下、100℃で1時間、200℃で2時間加熱処理してイミド化し、ポリイミド系樹脂を得た。
得られたポリイミド10gを、50ccのテトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)に溶解してポリイミド溶液を得た。この溶液に架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを3g加え、55℃で3日間加熱してポリイミド湿潤ゲルを得た。このポリイミド湿潤ゲルをステンレス鋼製のオートクレーブに入れ、二酸化炭素を用いて50℃、9MPaで超臨界乾燥し、ポリイミド乾燥ゲルのエアロゲルを得た。
以上のように、A法にしたがって作製した乾燥ゲルのみかけ密度は約300kg/m3、平均孔径は40nm、BET比表面積は600m2/gであった。また、300℃で2時間の恒温槽中に放置しても、みかけ密度などに変化はみられず、優れた耐熱性を有していた。
得られた多孔質体の熱伝導率は、平均温度24℃において約0.020W/mKであった。また、多孔質体をアルミラミネートフィルムの容器内に挿入し、容器内圧を0.01Torrにした後、密閉して作製した断熱体の熱伝導率は、平均温度24℃において約0.008W/mKであり、優れた断熱性能を示した。
【0032】
《実施例2》
本実施例においては、B法にしたがって本発明の多孔質体を製造した。
化合物aとして無水ピロメリット酸、化合物bとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという)を用い、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体を合成した。この溶液をNMPで希釈してポリイミド前駆体の濃度が0.10g/ccの溶液を得た。
この溶液に、架橋剤としてp−フタル酸クロライドを濃度0.04g/ccとなる量を加えて、80℃で加熱架橋してポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得た。
この湿潤ゲルを160℃で5時間加熱処理してポリイミド湿潤ゲルを得た。この処理によって、顕著な湿潤ゲルの収縮はみられなかった。
このポリイミド湿潤ゲルをホルムアルデヒド水溶液に漬け、ついで、希釈塩酸を加えて80℃、2日間かけてさらに架橋処理を行った。この架橋したポリイミド湿潤ゲルをアセトンで溶媒置換した後に、減圧下で50℃で乾燥してポリイミド乾燥ゲルを得た。
以上のように、B法にしたがって作製した乾燥ゲルのみかけ密度は、約180kg/m3、平均孔径は約100nm、BET比表面積は約800m2/gであった。また、300℃で2時間の恒温槽中に放置しても、みかけ密度などに変化はみられず、優れた耐熱性を有していた。
【0033】
《実施例3》
実施例2で作製したポリイミド乾燥ゲルを窒素雰囲気下、1000℃で1時間加熱して炭化処理を行い、炭素材からなる多孔質体を得た。
この乾燥ゲルからの炭素材のみかけ密度は約200kg/m3、平均孔径は約90nm、BET比表面積は約800m2/gであった。若干の収縮をしているが、低密度の多孔質構造を維持していた。また、テスターによって電気抵抗率を測定したところ、カーボン化しているため、炭化処理する前の多孔質体よりも電気抵抗率が低下していた。
【0034】
《実施例4》
本実施例においては、C法にしたがって本発明の多孔質体を得た。
化合物aとして4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(フタル酸無水物)、化合物bとして4,4’−ジアミノ−4”−ヒドロキシトリフェニルメタン、溶媒としてDMAcを用い、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体を合成した。この溶液をメタノールに再沈澱したのちに乾燥して固体状態のポリイミド前駆体を得た。
このポリイミド前駆体8gを50ccのm−クレゾールに溶解してポリイミド前駆体溶液を得た。この溶液に架橋剤としてスクシンジアルデヒドを4g加え、160℃で1日間加熱して、架橋処理とイミド化処理を同時に行ってポリイミド湿潤ゲルを得た。湿潤ゲルの溶媒をm−クレゾールからメタノールに置換してから、ステンレス鋼製のオートクレーブに入れ、250℃、10MPaで超臨界乾燥して、ポリイミド乾燥ゲルのエアロゲルを得た。
以上のように、C法にしたがって作製した乾燥ゲルのみかけ密度は約250kg/m3、平均孔径は約80nm、BET比表面積は約800m2/gであった。また、300℃で2時間の恒温槽中に放置しても、みかけ密度などに変化はみられず、優れた耐熱性を有していた。
得られた多孔質体の熱伝導率は、平均温度24℃において約0.018W/mKであった。また、多孔質体をアルミラミネートフィルムの容器内に挿入し、容器内圧を10Torrにして密閉して作製した断熱体の熱伝導率は、平均温度24℃において約0.0108W/mKであり、優れた断熱性能を有していた。
【0035】
《参考例》
本参考例においては、A法と同様にして多孔質体を製造した。
化合物aとして無水ピロメリット酸、化合物bとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルおよび4、4’−ジアミノジフェニルエーテルを、モル比で1:0.5:0.5となるようにNMPに混合し、ポリイミド前駆体を室温で合成した。この溶液をメタノールを用いて再沈澱させた後、乾燥した。これを再度NMPに溶解して、キャスト法によってシート状に加工し、乾燥したのちに、窒素雰囲気下200℃で3時間イミド化処理を行い、ポリイミド系樹脂シートを得た。
このポリイミドシートをメタノール/水の混合溶媒に浸漬して50℃で1日間加温してポリイミド膨潤体を得た。この状態でさらに7日間加温を続けることでゲル化した。そして、このポリイミド湿潤ゲルを二酸化炭素を用いて超臨界乾燥してポリイミド乾燥ゲルを得た。
以上のように、A法と同様にして作製した乾燥ゲルのみかけ密度は約500kg/m3、平均孔径は約700nm、BET比表面積は約450m2/gであった。
次に、このポリイミド乾燥ゲルを、800℃の窒素雰囲気下で炭化処理し、炭素材からなる多孔質体を得た。この炭素材からなる多孔質体のみかけ密度は約800kg/m3、平均孔径は約600nm、BET比表面積は約500m2/gであり、テスターにより電気抵抗率の低下を確認した。
【0036】
《実施例6》
本実施例においては、D法にしたがって本発明の多孔質体を製造した。
実施例5で用いた化合物aと化合物b、および溶媒としてTHF/メタノールを用い、実施例5と同様にしてポリイミド前駆体を合成した。この溶液にメタノールを混合し、架橋剤としてノボラックポリグリシジルエーテルおよび無水フタル酸を加えて、ポリイミド前駆体湿潤ゲルを得た。
この湿潤ゲルを、窒素雰囲気下、60℃で3日間乾燥処理し、ポリイミド前駆体の乾燥ゲルを得た。さらに、窒素雰囲気下、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間のイミド化処理を行い、ポリイミド乾燥ゲルを得た。
以上のように、D法にしたがって作製した乾燥ゲルのみかけ密度は約250kg/m3、平均孔径は約80nm、BET比表面積は約600m2/gであった。
【0037】
《実施例7》
化合物aとしてビスフェニルテトラカルボン酸無水物、化合物bとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを、室温でモル比で1:1となるようにDMAc中で混合し、ポリイミド前駆体を合成した。この溶液をトリエチルアミン水溶液で希釈してポリイミド前駆体トリエチルアミン塩を形成した。この混合溶液をメタノールに再沈澱して固体のポリイミド前駆体トリエチルアミン塩を得た。
このポリイミド前駆体トリエチルアミン塩を、架橋剤であるテトラエトキシシランを含む水/エタノール溶液に加え、ポリイミド前駆体のトリエチルアミン塩が膨潤したエマルジョンを得た。
このエマルジョンを、銅電極配線されたシリコン基板上にコーティングした。この基板を70℃で1時間、90℃で1時間、110℃で1時間加熱して架橋させてゲル化し、ついで乾燥処理を行った。さらに、真空中、200℃で2時間乾燥することによってイミド化を行い、ポリイミド乾燥ゲルの層間絶縁層を形成した。さらに、この上に化学気相法によってシリカの保護層を形成して半導体回路を得た。
この半導体回路の層間絶縁層の見掛け密度は約400kg/m3、平均孔径は約100nmであった。層間絶縁層の電極間の比誘電率は、周波数1MHzにおいて約1.4であり、このポリイミド系樹脂のバルクの比誘電率約3.3に対して低い値が得られた。このことによって、高周波での電力の漏洩は約半分に低減でき、信号伝搬遅延は1.5倍に改善された。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、優れた耐熱性を有し、低密度で、平均孔径の小さな多孔質体を提供できる。また、本発明の多孔質体を用いると、低熱伝導率で断熱性能の優れた断熱体を提供できる。さらに、低誘電率で高周波領域の誘電性能に優れた絶縁体を提供でき、それを用いた半導体回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の多孔質体を用いた断熱体の断面図である。
【図2】図2は、本発明の多孔質体を層間絶縁膜に用いた半導体回路の断面の模式図である。
【図3】図3は、本発明の多孔質体の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 多孔質体
2 気体遮蔽性の容器
3 基板
4 層間絶縁膜
5 保護膜[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a porous body having excellent heat resistance used for building materials, heat insulating materials, insulating materials, and the like, and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Polyimide resins are excellent in heat resistance and insulation, and have a wide range of applications such as liquid crystal alignment films and interlayer insulation films for semiconductor circuits. Taking advantage of the characteristics of such polyimide resins, it has been studied to improve the performance of products using polyimide resins as an alternative to conventional general-purpose resins. In addition, a new function is added to the polyimide resin to further increase the value added to the polyimide resin.
As an example of the technical development of such a polyimide resin, there is an attempt to lower the dielectric constant or the thermal conductivity by making the polyimide resin porous. For example, in Japanese Patent Laid-Open No. 5-205526 and Thermal Conductivity magazine Vol. 18, pages 437-443, 1985 (Author DD Burley, title Thermal Conductivity of a Polyimide Foam), a porous polyimide resin is used. Techniques for quality improvement are disclosed.
[0003]
The above publication discloses a method in which a block copolymer of a polyimide matrix and a thermally decomposable polymer matrix is formed, and heat treatment is performed after the film formation to remove the thermally decomposable polymer to make it porous. The paper also discloses a method of forming a foam by foaming polyimide with a foaming agent.
The polyimide resin itself has a high chemical resistance and has a glass transition point of 300 ° C. or higher, so that it is a difficult material to mold. Therefore, there are advantages and disadvantages in the method of making the resin porous. For example, consider the case where it is used as a heat insulating material.
According to the method described in the above publication, a fine porous body having a pore diameter of 1 μm or less can be obtained. However, since there is a heating step for thermal decomposition, there is a problem that it cannot be applied to a substrate having low heat resistance. Further, in the technique described in the paper, bubbles of the order of several hundreds of μm are generated. Therefore, in order to further improve the heat insulation, it is necessary to make the bubbles fine. In addition to the methods described above, various techniques for making a polyimide resin porous have been tried.
However, a technique for obtaining a porous body from a polyimide resin has not yet been established, and research is being conducted each time according to the required use. That is, a method for obtaining a porous body having a low density and a small average pore diameter from a polyimide resin is desired.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the above problems, an object of the present invention is to provide a porous body having a low density and a small average pore diameter. Moreover, it aims at providing the method of manufacturing such a porous body. Furthermore, an object of the present invention is to provide a semiconductor circuit having a heat insulator excellent in heat insulation and an insulator excellent in dielectric performance.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In view of the above-mentioned object, the porous body of the present inventionManufacturing methodIsThe average pore diameter is in the range of 1 nm to 100 nm, and the apparent density is 50 kg / m. Three 500 kg / m or more Three In the following rangeFrom a dry gel of polyimide resinA method for producing a porous body comprising:
(I) Imidizing a polyimide precursor that is a polyamide solution to obtain the polyimide resin, an polyimide resin obtained in the imidization process, a solvent in which the polyimide resin is dissolved, From the dissolution or swelling step of obtaining the polyimide resin solution or swelling body, and adding the crosslinking agent to the polyimide resin solution or swelling body obtained in the dissolution or swelling step and heating, Drying to obtain a dried gel of the polyimide resin by crosslinking and gelling, drying the gelled step of obtaining the polyimide resin wet gel, and drying the polyimide resin wet gel obtained in the gelation step Including a process,
(Ii) It is obtained by a dissolution or swelling step of obtaining a solution or swelling body of the polyimide precursor from a polyimide precursor that is a polyamide solution and a solvent in which the polyimide resin is dissolved, and the dissolution or swelling step. The polyimide precursor solution or swollen body was added with a cross-linking material and heated to perform cross-linking and gelation to obtain a wet gel of the polyimide precursor, and obtained in the gelation step Imidizing the polyimide precursor wet gel to obtain the polyimide resin wet gel, and drying the polyimide resin wet gel obtained in the imidization step, the polyimide resin Or a drying step to obtain a dry gel of
(Iii) It is obtained by a dissolution or swelling step of obtaining a solution or swelling body of the polyimide precursor from a polyimide precursor that is a polyamide solution and a solvent in which the polyimide resin is dissolved, and the dissolution or swelling step. The polyimide precursor solution or swollen body was added with a cross-linking material and heated to perform cross-linking and gelation to obtain a wet gel of the polyimide precursor, and obtained in the gelation step Drying the polyimide resin by drying the polyimide precursor wet gel to obtain the polyimide precursor dry gel and imidizing the polyimide precursor dry gel obtained in the drying step. Imidization step to obtain a gel,It is characterized by that.
The method for producing a porous body according to the present invention is a method for obtaining a porous body made of a carbon material by heat-treating the dried gel of the polyimide resin obtained in the above step at 500 ° C. or higher in an inert gas atmosphere. It includes a processing step.
In addition, the heat insulator according to the present invention is characterized in that the container is filled with the porous body produced by any one of the methods described above.
Here, it is preferable that the container is a gas shielding container and the inside of the container is decompressed.
Furthermore, in the semiconductor circuit according to the present invention, an interlayer insulating film that insulates a plurality of electrode lines arranged on the substrate is formed using the porous body manufactured by any of the above methods. Features.
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The porous body according to the present invention is a structure having a continuous fine pore and comprising a dry gel having a fine gel skeleton. By having such a structure, excellent heat insulation performance can be exhibited. Further, since the porosity is high, an insulator having a low dielectric constant can be obtained.
The dry gel is obtained by drying a wet gel in which a resin containing a solvent forms a gel skeleton. And air exists in the space (hole) from which the solvent in the dried gel was removed, and it is in a solid state. Moreover, when the dried gel is an airgel obtained by supercritically drying a wet gel, it is advantageous in that the heat insulating performance and the dielectric performance are improved.
[0007]
The polyimide resin can be obtained by obtaining a polyamic acid as a precursor (hereinafter referred to as “polyimide precursor”) from a raw material, and then imidizing the precursor.
The polyimide resin in the present invention widely includes synthetic polymers having an imide ring structure in the main chain skeleton such as polyamideimide and polyetherimide, in addition to those generally classified as polyimide. And all are excellent in heat resistance, insulation, chemical resistance, and environmental resistance.
[0008]
Below, the porous body of this invention is demonstrated.
The porous body of the present invention is a dry gel made of a polyimide resin, and the polyimide resin forms a matrix skeleton of the gel, and air exists in the pores. In particular, the apparent density of the dried gel is 800 kg / mThreeHereinafter, when the average pore diameter is 1 μm or less, the porous body is excellent in heat insulation performance that is heat insulation and dielectric performance that is electrical insulation.
Here, the thermal conductivity of the porous body is obtained from the sum of the thermal conductivity of the skeleton of the porous body, the thermal conductivity of the gas in the pores, and the thermal conductivity due to radiant convection. It is possible to improve the heat insulation performance by lowering. In the porous body of the present invention, since the gel skeleton blocks the air flow, the thermal conductivity by radiant convection is extremely small compared to the other two thermal conductivities. Therefore, the thermal conductivity of the gas in the holes is also reduced.
[0009]
In particular, the average pore size of the porous body of the present invention is preferably 100 nm or less. In this case, the average pore diameter becomes equal to or less than the average free path of the molecules in the air, the thermal conductivity of the gas in the pores rapidly decreases, and the heat insulating performance of the porous body is improved. In addition, although the minimum of the average hole diameter of a porous body is so preferable that it is small, in this invention, what is necessary is just about 1 nm.
Apparent density is 500kg / mThreeIt is preferable that: In this case, the volume of the skeleton is reduced, and the thermal conductivity of the skeleton portion of the porous body can be reduced. In addition, although the lower limit of the apparent density of the porous body is preferably as small as possible, in the present invention, 50 kg / mThreeAny degree is acceptable.
In addition, the shape of the porous body of the present invention may be any shape such as a block shape, a sheet shape, a plate shape, and a powder shape.
[0010]
Next, the porous body of the present invention may be made of a carbon material obtained by firing the above-described polyimide resin dry gel. The porous body made of this carbon material retains the shape of the dried gel and has an apparent density of 800 kg / m.ThreeHereinafter, when the average pore diameter is 1 μm or less, particularly excellent performance is obtained.
In general, a carbonized polyimide resin is used for electrode materials, activated carbon, and the like. Since the porous body made of the carbon material of the present invention is composed of a low-density carbon material, the specific surface area is large and the performance as a carbon material is also excellent.
In particular, the specific surface area measured by Brunauer Emmett Teller (BET) method is 400 m.2/ G or more has excellent performance as a carbon material. Therefore, when used as a carbon material, the dry gel of the polyimide resin before firing also has a BET specific surface area of 400 m.2/ G or more is preferable.
[0011]
Here, in FIG. 1, sectional drawing of the heat insulating body produced using the porous body of this invention is shown. The
When used for this heat insulator, the average pore diameter of the porous body is preferably 100 nm or less. This is because, in this case, a thermal conductivity comparable to that obtained when the inside of a container filled with a vacuum heat insulating material made of conventional powder is exhausted to a degree of vacuum of about 0.01 Torr, This is because it can be obtained only by exhausting to a vacuum degree of about 100 Torr. Such an effect is obtained depending on the shape of the porous body of the present invention.
The porous body of the present invention that exhibits such excellent performance can be suitably used as an interlayer insulating film of a semiconductor circuit. FIG. 2 shows a schematic cross-sectional view of an embodiment of a semiconductor circuit having an interlayer insulating film made of a porous body of the present invention. As shown in FIG. 2, an
[0012]
Since the porous body of the present invention has a large volume occupied by air with respect to the volume of the skeleton of the gel, and the pores are small and dense, it can maintain excellent strength. Therefore, in the semiconductor circuit, it can be suitably used as a dielectric having a low dielectric constant that maintains the structural strength.
Therefore, when the porous body of the present invention is used for a semiconductor circuit, a printed board or the like, the dielectric loss of the insulator can be reduced, and the signal propagation speed can be increased. Moreover, the high frequency power loss of an electric / electronic device can be reduced. Furthermore, when applied to a rotating machine such as a motor, power leakage at a high frequency can be reduced, and energy saving of the device can be achieved.
Below, the manufacturing method of the porous body of this invention is demonstrated. The method for producing the porous body of the present invention can be roughly classified into two types. The order of steps in each manufacturing method will be described with reference to FIG.
[0013]
The method A to method C in FIG. 3 is a method of obtaining a polyimide wet gel and then drying it to obtain a polyimide-based resin dry gel, which is shown separately depending on the process for producing the polyimide wet gel.
In the method A, a polyimide resin is formed by imidizing a polyimide precursor, and the polyimide resin is dissolved in a solvent to form a solution, or the polyimide resin that has wettability with affinity is given. After making it into a swollen body, it is gelled by a crosslinking treatment or the like to obtain a polyimide wet gel.
In the method B, after obtaining a polyimide precursor solution or a polyimide precursor swollen body, the solution or swollen body is gelled, and the resulting polyimide precursor wet gel is imidized in a wet state. A polyimide wet gel is obtained. When imidizing by heat treatment in a wet state, a solvent having a high boiling point is selected. Alternatively, it is imidized by chemical treatment.
In the method C, after obtaining a polyimide precursor solution or a polyimide precursor swollen body, the solution or swollen body is subjected to a gelation treatment, and a heat treatment for promoting gelation is performed in combination. The treatment is performed simultaneously to obtain a polyimide wet gel.
Comparing these methods, the method A has the advantage that, unlike the methods B and C, there is no process in which gel shrinkage occurs during imidization, and therefore the dimensional design by the construction method is easy. However, there is a limitation that a polyimide molecular structure that is soluble or wettable in the solvent must be selected.
[0014]
In the method D, a polyimide precursor solution or a polyimide precursor swell is obtained, and then the solution or swell is gelled to obtain a polyimide precursor wet gel. Subsequently, the wet gel of the polyimide precursor is converted into a dry gel by a drying process and imidized to obtain a dry gel of a polyimide resin.
This method D is characterized in that the manufacturing process is easy because the skeleton of the porous body can be formed by a polyimide precursor that is easily dissolved in a solvent. In particular, it is effective when obtaining a polyimide resin that is hardly soluble in a solvent. In this case, in order to prevent rewetting of the obtained dried gel, it is suitable that the final imidization is performed by a dry process of heat treatment.
Moreover, when obtaining the porous body which consists of carbon materials, the process of heating and carbonizing the dry gel of the polyimide-type resin obtained as mentioned above is included. The carbonization treatment is performed in a vacuum or in an inert gas in order to avoid burning the dry gel during the treatment.
As a particularly simple method, it is preferable to perform firing in an inert atmosphere such as nitrogen or argon in a temperature atmosphere of 500 ° C. or higher. If it is 500 degreeC or more, carbonization of a dry gel will advance. In order to completely carbonize, the heating temperature is 800 ° C. or higher, preferably 1000 ° C. or higher. Moreover, the upper limit of temperature should just be about 1500 degreeC from the reason that carbonization advances efficiently.
[0015]
Furthermore, when using the obtained porous body as activated carbon, in addition to this carbonization treatment, activation treatment with water vapor or inorganic salt may be performed.
Next, the manufacturing method of the porous body of this invention is demonstrated in detail, referring FIG.
[0016]
(1) About Method A
(i) Process A-1
In step A-1, first, a polyimide precursor is synthesized.
The polyimide resin is usually an aromatic or aliphatic tetracarboxylic dianhydride compound (hereinafter referred to as “compound a”) and an aromatic or aliphatic diamine compound (hereinafter referred to as “compound b”). It is synthesized by the condensation reaction. Therefore, here, the compound a and the compound b are condensed to produce a polyamic acid which is a polyimide precursor. Since this polyimide precursor is soluble in an organic solvent, it can be processed into a sheet-like shape.
In order to increase the solubility of the polyimide precursor and the polyimide resin obtained in Step A-2 in an organic solvent, the molecular structures of the compound a and the compound b may be selected. A compound having an ether group or a ketone group in the main chain, a compound having a bulky group such as a phenyl group, an alkyl group, or a trifluoromethyl group in the side chain is easily dissolved in the solvent.
Moreover, the solubility and wettability of a polyimide precursor and a polyimide-type resin can be improved by introduce | transducing a hydroxyl group, a sulfo group, a carboxyl group, an amino group etc. as a substituent. Furthermore, these substituents serve as a crosslinking moiety when gelling.
[0017]
Examples of the compound a include pyromellitic anhydride, bisphenyltetracarboxylic dianhydride, benzophenone tetracarboxylic dianhydride, 4,4′-hexafluoroisopropylidenebis (phthalic anhydride), cyclobutanetetracarboxylic acid Anhydrides, 2,3,5-tricarboxycyclopentyl acetic acid dianhydride, and the like. These may be used alone or in any combination as long as the effects of the present invention are not impaired.
As compound b, paraphenylenediamine, metaphenylenediamine, bis (4-aminophenyl) ether, 4,4′-diaminotriphenylmethane, 2,2-bis (4-aminophenyl) -hexafluoropropane, 4,4′-diamino-4 ″ -hydroxytriphenylmethane, 3,3′-dihydroxy-4,4′-diaminobiphenyl, 2,2-bis (3-amino-4-hydroxyphenyl) -hexafluoropropane, 3,5-diaminobenzoic acid, etc. These may be used alone or in any combination as long as the effects of the present invention are not impaired.
The raw material compound a and compound b are not limited to these as long as a polyimide resin can be formed.
[0018]
As a solvent used for the synthesis of the polyimide precursor, N-methylpyrrolidone, N, N-dimethylacetamide, dimethyl sulfoxide, hexamethylphosphoramide and the like are often used. In addition, cresol, tetrahydrofuran, dioxane, methanol and the like are used depending on the molecular structure of the obtained polyimide. These can be used alone or in any desired mixture.
Furthermore, in the above, the high boiling point solvent having a boiling point of 100 ° C. or more can be used not only for the synthesis of the polyimide precursor but also for the synthesis of the polyimide resin accompanied by the heat treatment in the step A-2.
[0019]
(ii) Step A-2
Furthermore, this polyimide precursor can be imidized by a heat treatment or a chemical treatment using a dehydrated solvent such as acetic anhydride or pyridine to obtain a polyimide resin. The obtained polyimide resin has a high solvent resistance, and many of them are hardly soluble in the solvent.
The imidation process from polyimide precursor to polyimide is roughly classified into heat treatment and chemical treatment.
Imidization by heat treatment is performed by heating at about 50 to 400 ° C. Heating is preferably performed at a temperature in the range of 100 to 300 ° C. Since imidation is a reaction in which an imide ring is formed by dehydrating from polyamic acid, for example, 100 ° C. for 1 hour, 200 ° C. for 1 hour, and 300 ° C. for 1 hour without rapidly increasing the heating temperature. It is better to increase the temperature stepwise. In addition to air, the atmosphere is preferably an inert atmosphere such as nitrogen or argon. Further, heat treatment in a vacuum may be used.
As imidization by chemical treatment, for example, a polyimide precursor is immersed in a dehydrating solvent such as acetic anhydride or pyridine to form an imide ring. In addition, since this method is wet, it is not suitable for utilizing for imidation of the dry gel of a polyimide precursor like the D method.
[0020]
(iii) Step A-3
Next, a polyimide resin solution or a swollen body is obtained. As the solvent used at this time, in addition to the above-mentioned synthesis solvent, polar solvents and nonpolar solvents such as xylene, toluene, hexane, cyclohexane, 2-butanone, methanol, ethanol, 2-methoxyethanol, dichloromethane, dichloroethane and the like are used. These can be used alone or in any mixture. Moreover, water can be added to these to wet them. Furthermore, when the resin skeleton has a hydrophilic group such as a hydroxyl group, a carboxyl group, or a sulfo group, only water can be used.
The solution of the polyimide resin is prepared by selecting a solvent in which the resin component is dissolved and adjusting the resin component weight and the solvent volume so that the apparent density of the dried gel to be finally obtained is obtained.
The swelling body of the polyimide resin is also prepared by selecting the solvent in which the resin component swells as described above, and adjusting the resin component weight and solvent volume so that the apparent density of the dry gel to be finally obtained is obtained. To do.
The solvent at this time may be not only a single solvent but also a mixed solvent. In the case of a single solvent, those that have high affinity with the resin component but do not dissolve are preferred. For example, in the case of a resin component having a hydroxyl group, water or an alcohol solvent is suitable.
In the case of a mixed solvent, those in which the resin component is dissolved and those insoluble, for example, N-methylpyrrolidone and methanol can be selected. Further, when the solvents to be mixed are not compatible with each other, an emulsion in a compatible / incompatible state may be formed when mixed with the resin component.
[0021]
(iv) Step A-4
Next, a gelation method for obtaining a wet gel from a polyimide resin solution or swollen body will be described.
In the case of a swollen body, depending on the type of solvent, it may gel in that state. In order to increase the strength of the gel, it is effective to perform crosslinking. A hydroxyl group, a carboxyl group, a sulfo group, an amino group or the like is introduced into the resin component, and a crosslinking agent that reacts with the hydroxyl group, carboxyl group, sulfo group or amino group is added to cause crosslinking.
Any crosslinking agent may be used as long as it has a functional group that reacts with a functional group in the resin component. As such a functional group, for example, a hydroxyl group, a methylol group, an amino group, an isocyanate group, an epoxy group, an aldehyde group, a carboxyl group, a chloroformyl group, a chlorosilyl group, an alkoxysilyl group, and the like can be used. The crosslinking agent having these functional groups preferably has two or more functional groups in order to maintain strength. In addition, an acid, a base, an acid anhydride, or the like can be added as a curing agent in order to crosslink these.
[0022]
Specific examples of the crosslinking agent include diols such as ethylene glycol, 1,4-butanediol, and cyclopentane-1,2-diol, polyhydric alcohols such as glycerin and pentaerythritol, phenol resins, and melamine resins. Methylol group-containing resins, amines such as ammonia and methylamine, polyvalent amines such as ethylenediamine, hexamethylenediamine, phenylenediamine and diethylenetriamine, isocyanates such as tolylene diisocyanate, diphenylmethane diisocyanate and hexamethylene diisocyanate, phenylglycidyl ether , Epoxy resins such as ethylene glycol diglycidyl ether, bisphenol A diglycidyl ether, novolak diglycidyl ether, formaldehyde Aldehydes such as acetaldehyde, furfural and benzaldehyde, dialdehydes such as glyoxal, succindialdehyde, glutardialdehyde and phthalaldehyde, dicarboxylic acids such as maleic acid, oxalic acid, adipic acid, suberic acid, sebacic acid and phthalic acid And acid chloride compounds thereof, acid anhydrides such as phthalic anhydride and maleic anhydride, silane compounds such as tetrachlorosilane, trichlorosilane, tetramethoxysilane and tetraethoxysilane, and silane oligomers condensed with them be able to. Of course, the crosslinking agent that can be used in the present invention is not limited to these.
[0023]
(v) Step A-5
Next, a drying process for obtaining a dried gel from the wet gel will be described. For the drying treatment, a normal drying method such as natural drying, heat drying or reduced pressure drying, a supercritical drying method, or a freeze drying method can be used.
If the amount of the solid component in the wet gel is reduced in order to reduce the density of the dry gel, the gel strength is lowered. In general, in a drying method in which the gel is simply dried, the gel contracts due to stress during evaporation of the solvent. The aforementioned crosslinking treatment is also effective in suppressing this drying shrinkage. Moreover, the shrinkage | contraction of the gel at the time of drying can be prevented by using supercritical drying or freeze-drying as a drying method.
In the supercritical drying method or freeze-drying method, by changing the phase of the solvent from the liquid state, the gas-liquid interface can be eliminated and the gel skeleton can be dried without stress on the surface of the gel. This is a method suitable for obtaining a porous body of a low density dry gel. In particular, a dry gel made by a supercritical drying method is called an aerogel.
[0024]
The solvent used for the supercritical drying can be a wet gel solvent, but is preferably replaced with a solvent that is easy to handle in the supercritical drying.
Examples of the solvent to be substituted include methanol, ethanol such as ethanol and isopropanol, and carbon dioxide which directly make the solvent a supercritical fluid. Furthermore, it may be replaced with a common organic solvent such as acetone, isoamyl acetate or hexane which is easily eluted with these supercritical fluids.
Supercritical drying conditions are carried out in a pressure vessel such as an autoclave. For example, in methanol, the critical conditions are a critical pressure of 8.09 MPa and a critical temperature of 239.4 ° C. or higher, and the pressure is gradually released at a constant temperature. And dry. In the case of carbon dioxide, the critical pressure is 7.38 MPa and the critical temperature is 31.1 ° C. or higher. Similarly, the pressure is released from the supercritical state at a constant temperature, and the gas is dried.
[0025]
(2) About Method B
(i) Process B-1
In Method B, a polyimide precursor is first prepared in the same manner as in Step A-1. (ii) Step B-2
Next, a solution or swollen polyimide precursor is obtained in the same manner as in Step A-3. In this case, the same solvent as the solvent used to obtain a polyimide resin solution or swollen body can be used.
Here, by forming a tertiary amine such as triethylamine in the carboxylic acid portion of the polyamic acid, which is a polyimide precursor, the affinity with water can be increased and swollen. That is, in order to dissolve or swell the polyimide precursor, a tertiary amine such as triethylamine is preferably reacted with the carboxylic acid portion of the polyamic acid as a precursor to form a salt structure. This is because the affinity of the polyimide precursor to the organic solvent or water can be controlled to control the dissolved and swollen state.
The solution of the polyimide precursor is prepared by selecting a solvent in which the resin component is dissolved and adjusting the resin component weight and the solvent volume so that the apparent density of the dried gel to be finally obtained is obtained. Also, for the swollen body of the polyimide precursor, select the solvent in which the resin component swells as described above, and adjust the resin component weight and solvent volume so that the apparent density of the dry gel to be finally obtained is adjusted. To make.
[0026]
The solvent at this time may be not only a single solvent but also a mixed solvent. In the case of a single solvent, those that have high affinity with the resin component but do not dissolve are preferred. For example, in the case of a resin component having a hydroxyl group, water or an alcohol solvent is suitable. Furthermore, in the case of a polyimide precursor, the affinity with water can be increased and swollen by forming a tertiary amine such as triethylamine in the carboxylic acid portion of the polyamic acid that is the resin skeleton.
In the case of a mixed solvent, those in which the resin component is dissolved and those insoluble, for example, N-methylpyrrolidone and methanol can be selected. Further, when the solvents to be mixed are not compatible with each other, an emulsion in a compatible / incompatible state may be formed when mixed with the resin component.
[0027]
(iii) Step B-3
Next, the solution or swollen body of the polyimide precursor is gelled in the same manner as in Step A-4 to obtain a wet polyimide gel precursor.
(iv) Step B-4 and Step B-5
Next, the polyimide precursor wet gel is imidized to obtain a polyimide wet gel, and dried to obtain a polyimide dry gel. This step may be performed in the same manner as the steps A-2 and A-5.
[0028]
(3) About Method C and Method D
Method C is the same as Method B except that imidization and gelation are simultaneously performed in Step C-3.
In step C-3, the polyimide precursor may be imidized by heating in a wet state. That is, when the polyimide precursor becomes polyimide, it is insolubilized or incompatible with the solvent to form a gel. Also in this case, the strength of the gel can be reinforced by performing the crosslinking treatment.
The method D is the same as the method B except that the order of the imidization step and the drying step is reversed.
As described above, the polyimide dry gel obtained in any one of the methods A to D can be used as a porous material as it is, but it can be further carbonized to obtain a carbon material. And this carbon material can also be used as a porous body. This carbonization treatment is performed by placing the dried gel in a heating furnace such as an electric furnace, an atmospheric furnace, or a carbonization furnace and heating it. In particular, the heat treatment may be performed by heat treatment at 500 ° C. or more which is a general upper limit of heat resistance of a polyimide resin in an inert atmosphere such as nitrogen or argon. Above this temperature, the polyimide resin self-condenses and carbonizes.
[0029]
Next, the characteristics of the porous body of the present invention obtained by the above method will be described.
According to the production method of the present invention, the apparent density is 1000 kg / m.ThreeHereinafter, a porous body of a dry gel made of a polyimide resin having an average pore diameter of 1 μm or less can be obtained.
In particular, as a porous body excellent in heat insulation performance and dielectric performance, the apparent density is 800 kg / m.ThreeHereinafter, a porous body having an average pore diameter of 1 μm or less can be provided. Furthermore, the apparent density with excellent heat insulation performance at atmospheric pressure is 500 kg / mThreeHereinafter, a porous body having an average pore diameter of 100 nm or less can be provided. The specific surface area is 400 m as measured by the BET method.2/ G or more can be provided.
Generally, since a thermoplastic resin melts and softens at 200 ° C. or lower, the heat resistant temperature is 200 ° C. or lower. Further, even with a thermosetting resin, thermal decomposition starts to proceed at 200 ° C. or higher, but the heat resistant temperature is about 250 ° C.
On the other hand, the bulk polyimide resin has a continuous use durability temperature of 250 ° C. or higher, and is said to have heat resistance up to 400 ° C. unsteadyly.
Since the porous body of the present invention has a heat resistance comparable to that of a bulk polyimide resin that is not a porous body, it can provide a porous body having excellent heat resistance.
[0030]
In addition, a porous body having a thermal conductivity at an average temperature of 24 ° C. under atmospheric pressure of 0.025 W / mK or lower and a value lower than a general glass wool thermal conductivity of 0.035 W / mK is provided. it can. When the average pore diameter is 100 nm or less, a porous body having a lower thermal conductivity (0.017 W / mK or less) can be provided.
Furthermore, when a porous film of the present invention is filled in an aluminum or stainless steel laminate film container and vacuum sealed, a heat insulator having excellent heat insulation performance with a thermal conductivity of 0.012 W / mK or less can be obtained. .
In addition, a porous body having a relative dielectric constant of about 2 or less at a frequency of 1 MHz can be provided. Since the relative dielectric constant of bulk polyimide resin at a frequency of 1 MHz is about 3.3, a value lower than the relative dielectric constant of about 2 of tetrafluoroethylene having the lowest relative dielectric constant can be obtained in the bulk material. It can be said that the porous body of the present invention has excellent high-frequency characteristics.
[0031]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described by way of examples. However, the present invention is not limited to these examples.
Example 1
In this example, the porous body of the present invention was produced according to Method A.
4,4′-hexafluoroisopropylidenebis (phthalic anhydride) is used as compound a, and 2,2-bis (3-amino-4-hydroxyphenyl) -hexafluoropropane is used as compound b. A polyimide precursor was synthesized by mixing in N, N′-dimethylacetamide (hereinafter referred to as “DMAc”) so that the ratio was 1: 1.
This solution was reprecipitated with methanol and dried. The obtained polyimide precursor in a solid state was heat-treated at 100 ° C. for 1 hour and at 200 ° C. for 2 hours in a nitrogen stream to obtain a polyimide resin.
10 g of the obtained polyimide was dissolved in 50 cc of tetrahydrofuran (hereinafter referred to as “THF”) to obtain a polyimide solution. To this solution, 3 g of hexamethylene diisocyanate was added as a crosslinking agent and heated at 55 ° C. for 3 days to obtain a polyimide wet gel. This polyimide wet gel was placed in a stainless steel autoclave and supercritically dried at 50 ° C. and 9 MPa using carbon dioxide to obtain an airgel of polyimide dry gel.
As described above, the apparent density of the dried gel prepared according to the method A is about 300 kg / m.ThreeThe average pore size is 40 nm and the BET specific surface area is 600 m.2/ G. Moreover, even if it was left in a thermostat bath at 300 ° C. for 2 hours, the apparent density was not changed, and it had excellent heat resistance.
The obtained porous body had a thermal conductivity of about 0.020 W / mK at an average temperature of 24 ° C. In addition, the thermal conductivity of the heat insulator manufactured by inserting the porous body into an aluminum laminate film container and setting the container internal pressure to 0.01 Torr and then sealing it is about 0.008 W / mK at an average temperature of 24 ° C. It showed excellent heat insulation performance.
[0032]
Example 2
In this example, the porous body of the present invention was produced according to Method B.
A polyimide precursor was prepared in the same manner as in Example 1, using pyromellitic anhydride as the compound a, 3,3′-dihydroxy-4,4′-diaminobiphenyl as the compound b, and N-methylpyrrolidone (hereinafter referred to as NMP) as the solvent. The body was synthesized. This solution was diluted with NMP to obtain a solution having a polyimide precursor concentration of 0.10 g / cc.
To this solution, p-phthalic acid chloride as a crosslinking agent was added in an amount to a concentration of 0.04 g / cc, and heated and cross-linked at 80 ° C. to obtain a polyimide precursor wet gel.
This wet gel was heat-treated at 160 ° C. for 5 hours to obtain a polyimide wet gel. This treatment did not cause significant wet gel shrinkage.
This polyimide wet gel was soaked in an aqueous formaldehyde solution, and then diluted hydrochloric acid was added, followed by further crosslinking treatment at 80 ° C. for 2 days. The crosslinked polyimide wet gel was solvent-substituted with acetone and then dried at 50 ° C. under reduced pressure to obtain a polyimide dry gel.
As described above, the apparent density of the dried gel prepared according to the method B is about 180 kg / m.ThreeThe average pore diameter is about 100 nm and the BET specific surface area is about 800 m.2/ G. Moreover, even if it was left in a thermostat bath at 300 ° C. for 2 hours, the apparent density was not changed, and it had excellent heat resistance.
[0033]
Example 3
The polyimide dry gel prepared in Example 2 was heated at 1000 ° C. for 1 hour in a nitrogen atmosphere to perform carbonization treatment to obtain a porous body made of a carbon material.
The apparent density of the carbon material from this dried gel is about 200 kg / m.ThreeThe average pore diameter is about 90 nm and the BET specific surface area is about 800 m.2/ G. Although it contracted slightly, it maintained a low-density porous structure. Moreover, when the electrical resistivity was measured with a tester, it was carbonized, and thus the electrical resistivity was lower than that of the porous body before carbonization.
[0034]
Example 4
In this example, the porous body of the present invention was obtained according to the C method.
4,4'-hexafluoroisopropylidenebis (phthalic anhydride) as compound a, 4,4'-diamino- as compound b4 "A polyimide precursor was synthesized in the same manner as in Example 1, using -hydroxytriphenylmethane and DMAc as the solvent. This solution was reprecipitated in methanol and then dried to obtain a solid state polyimide precursor.
8 g of this polyimide precursor was dissolved in 50 cc of m-cresol to obtain a polyimide precursor solution. To this solution, 4 g of succindialdehyde was added as a cross-linking agent and heated at 160 ° C. for 1 day to perform cross-linking treatment and imidization treatment simultaneously to obtain a polyimide wet gel. After the solvent of the wet gel was replaced with methanol from m-cresol, it was placed in a stainless steel autoclave and supercritically dried at 250 ° C. and 10 MPa to obtain a polyimide dry gel airgel.
As described above, the apparent density of the dried gel prepared according to the C method is about 250 kg / m.ThreeThe average pore diameter is about 80 nm and the BET specific surface area is about 800 m.2/ G. Moreover, even if it was left in a thermostat bath at 300 ° C. for 2 hours, the apparent density was not changed, and it had excellent heat resistance.
The obtained porous body had a thermal conductivity of about 0.018 W / mK at an average temperature of 24 ° C. In addition, the thermal conductivity of a heat insulating body produced by inserting a porous body into an aluminum laminate film container and sealing the container with an internal pressure of 10 Torr is about 0.0108 W / mK at an average temperature of 24 ° C., which is excellent. It had a good thermal insulation performance.
[0035]
《Reference example》
BookreferenceIn the example, method ALikeA porous body was produced.
Pyromellitic anhydride as compound a and 3,3′-dihydroxy-4,4′-diaminobiphenyl and 4,4′-diaminodiphenyl ether as compound b so that the molar ratio is 1: 0.5: 0.5 The polyimide precursor was synthesized at room temperature. This solution was reprecipitated with methanol and dried. This was dissolved again in NMP, processed into a sheet by a casting method, dried, and then imidized at 200 ° C. for 3 hours in a nitrogen atmosphere to obtain a polyimide resin sheet.
This polyimide sheet was immersed in a mixed solvent of methanol / water and heated at 50 ° C. for 1 day to obtain a polyimide swollen body. In this state, gelation occurred by further heating for 7 days. The polyimide wet gel was supercritically dried using carbon dioxide to obtain a polyimide dry gel.
As mentioned above, method ALikeThe apparent density of the prepared dried gel is about 500 kg / m.ThreeThe average pore diameter is about 700 nm and the BET specific surface area is about 450 m.2/ G.
Next, this polyimide dry gel was carbonized in a nitrogen atmosphere at 800 ° C. to obtain a porous body made of a carbon material. The apparent density of the porous body made of this carbon material is about 800 kg / m.ThreeThe average pore size is about 600 nm and the BET specific surface area is about 500 m.2/ G, and a decrease in electrical resistivity was confirmed by a tester.
[0036]
Example 6
In this example, the porous body of the present invention was produced according to the D method.
A polyimide precursor was synthesized in the same manner as in Example 5 using Compound a and Compound b used in Example 5 and THF / methanol as a solvent. Methanol was mixed with this solution, and novolak polyglycidyl ether and phthalic anhydride were added as a crosslinking agent to obtain a polyimide precursor wet gel.
The wet gel was dried at 60 ° C. for 3 days under a nitrogen atmosphere to obtain a polyimide precursor dry gel. Furthermore, imidation treatment was performed at 150 ° C. for 1 hour, 200 ° C. for 1 hour, and 250 ° C. for 1 hour in a nitrogen atmosphere to obtain a polyimide dry gel.
As described above, the apparent density of the dried gel prepared according to the D method is about 250 kg / m.ThreeThe average pore diameter is about 80 nm and the BET specific surface area is about 600 m.2/ G.
[0037]
Example 7
Bisphenyltetracarboxylic anhydride as compound a and 3,3′-dihydroxy-4,4′-diaminobiphenyl as compound b are mixed in DMAc so as to have a molar ratio of 1: 1 at room temperature. The body was synthesized. This solution was diluted with an aqueous triethylamine solution to form a polyimide precursor triethylamine salt. This mixed solution was reprecipitated in methanol to obtain a solid polyimide precursor triethylamine salt.
This polyimide precursor triethylamine salt was added to a water / ethanol solution containing tetraethoxysilane as a crosslinking agent to obtain an emulsion in which the triethylamine salt of the polyimide precursor was swollen.
This emulsion was coated on a silicon substrate wired with a copper electrode. This substrate was heated at 70 ° C. for 1 hour, 90 ° C. for 1 hour, and 110 ° C. for 1 hour to crosslink to gel, and then dried. Furthermore, imidation was performed by drying at 200 ° C. for 2 hours in a vacuum to form an interlayer insulating layer of polyimide dry gel. Further, a silica protective layer was formed thereon by a chemical vapor deposition method to obtain a semiconductor circuit.
The apparent density of the interlayer insulating layer of this semiconductor circuit is about 400 kg / mThreeThe average pore diameter was about 100 nm. The relative dielectric constant between the electrodes of the interlayer insulating layer was about 1.4 at a frequency of 1 MHz, and a low value was obtained with respect to the bulk relative dielectric constant of about 3.3 of this polyimide resin. As a result, power leakage at high frequencies can be reduced by about half, and the signal propagation delay has been improved by a factor of 1.5.
[0038]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a porous body having excellent heat resistance, low density and a small average pore diameter can be provided. Moreover, when the porous body of the present invention is used, it is possible to provide a heat insulator having low heat conductivity and excellent heat insulating performance. Furthermore, an insulator having a low dielectric constant and excellent dielectric performance in a high frequency region can be provided, and a semiconductor circuit using the insulator can be provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a heat insulator using a porous body of the present invention.
FIG. 2 is a schematic cross-sectional view of a semiconductor circuit using the porous body of the present invention as an interlayer insulating film.
FIG. 3 is a diagram showing a production process of a porous body of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 Porous material
2 Gas shielding container
3 Substrate
4 Interlayer insulation film
5 Protective film
Claims (10)
ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体をイミド化することにより、前記ポリイミド系樹脂を得るイミド化工程と、An imidization step of obtaining the polyimide resin by imidizing a polyimide precursor which is a polyamide solution;
前記イミド化工程で得られたポリイミド系樹脂と、前記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、前記ポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、From the polyimide resin obtained in the imidization step and the solvent in which the polyimide resin is dissolved, a solution or swelling step of obtaining a solution or swelling body of the polyimide resin,
前記溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド系樹脂の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、前記ポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、A gelling step of adding a cross-linking material to the solution or swollen body of the polyimide resin obtained in the dissolving or swelling step and heating to obtain a wet gel of the polyimide resin; ,
前記ゲル化工程で得られたポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを乾燥して、前記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、を含む多孔質体の製造方法。A drying step of drying the wet gel of the polyimide resin obtained in the gelation step to obtain a dry gel of the polyimide resin.
ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体と、前記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、前記ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、A dissolving or swelling step of obtaining a solution or swelling body of the polyimide precursor from a polyimide precursor that is a polyamide solution and a solvent in which the polyimide resin is dissolved;
前記溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド前駆体の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、前記ポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、A gelling step of adding a cross-linking material to the solution or swollen body of the polyimide precursor obtained in the dissolving or swelling step and heating to cross-link and gelate to obtain a wet gel of the polyimide precursor; ,
前記ゲル化工程で得られたポリイミド前駆体の湿潤ゲルをイミド化することにより、前記ポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを得るイミド化工程と、An imidization step of obtaining a wet gel of the polyimide resin by imidizing a wet gel of the polyimide precursor obtained in the gelation step;
前記イミド化工程で得られたポリイミド系樹脂の湿潤ゲルを乾燥して、前記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、を含む多孔質体の製造方法。A drying step of drying the polyimide resin wet gel obtained in the imidization step to obtain a dry gel of the polyimide resin.
ポリアミド溶液であるポリイミド前駆体と、前記ポリイミド系樹脂が溶解する溶媒とから、前記ポリイミド前駆体の溶液または膨潤体を得る溶解または膨潤化工程と、A dissolving or swelling step of obtaining a solution or swelling body of the polyimide precursor from a polyimide precursor that is a polyamide solution and a solvent in which the polyimide resin is dissolved;
前記溶解または膨潤化工程で得られたポリイミド前駆体の溶液または膨潤体に架橋材を加えて、加熱することにより、架橋およびゲル化を行い、前記ポリイミド前駆体の湿潤ゲルを得るゲル化工程と、A gelling step of adding a cross-linking material to the solution or swollen body of the polyimide precursor obtained in the dissolving or swelling step and heating to cross-link and gelate to obtain a wet gel of the polyimide precursor; ,
前記ゲル化工程で得られたポリイミド前駆体の湿潤ゲルを乾燥して、前記ポリイミド前駆体の乾燥ゲルを得る乾燥工程と、Drying the polyimide precursor wet gel obtained in the gelation step to obtain the polyimide precursor dry gel; and
前記乾燥工程で得られたポリイミド前駆体の乾燥ゲルをイミド化することにより、前記ポリイミド系樹脂の乾燥ゲルを得るイミド化工程と、を含む多孔質体の製造方法。The imidization process of obtaining the dry gel of the said polyimide-type resin by imidating the dry gel of the polyimide precursor obtained at the said drying process.
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