JP4336178B2 - マルチピッチナットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特殊なねじに螺合する特殊なナットの製造方法に関し、リードが部分的に変化し、リードの急な部分とリードが緩い部分(あるいは平坦な部分)が交互に現れる特殊なねじ(マルチピッチねじ)と螺合する特殊なナット(マルチピッチナット)の製造方法に関する。
出願人は過去に「マルチピッチねじ及びマルチピッチナット並びにそれを用いた送りねじ装置並びにマルチピッチナット製造方法」と題した特許を出願した。出願番号は特願2002−346891号(以下、「本件先願」という)である。本件先願は未だ先行技術を構成するものではないが、本願発明は本件先願で提案したマルチピッチナット製造方法とは異なるマルチピッチナットの製造方法を提供するもである。したがって、マルチピッチねじとは如何なるものであるかを理解頂くため本件先願の明細書の一部の記載を次に引用する。
本件先願の発明は、ねじとナットに関し、一つには部材を締着するねじとナットとしてそれ自体が緩み止めの機能を有するねじとナットに関し、二つには回転運動を直線運動に変換する送りねじ装置であって、セルフロック機能を持つものに関する。
ねじとナットは機械の基本的な要素であり、従来より種々の提案がなされてきている。その一つは、ねじの緩み止めに関するものである。たとえば、実開昭58−99513号公報(特許文献1)には、雌雄いずれかのねじ山を波形にしたものが提案されている。ねじを螺合したとき波形の突出した部分が弾性変形し、軸方向に強く押圧するので、振動等によるねじの緩みを防ぐというものである。また、特開平6−330928号公報(特許文献2)には、ねじ山が1ピッチ毎に交互に大きいピッチと小さいピッチとになっているねじが提案されている。標準ピッチのナットと螺合することにより、ねじ山のフランクに強く押圧され変形する部分が生じ、それにより、ねじの緩みを防ぐというものである。
また、本件発明の発明者の一人である、藤井 洋は、ステップロックボルトを発表している。ボルトのねじ山のフランクに微細なステップ部分と傾斜部分を設け、ボルトのねじ込みに伴う、これらねじ山あるいは相手の部材の塑性変形により、ボルトの緩み止めを達成しようとするものである。これらは後述する非特許文献1乃至3に記載されている。
その二つは、送りねじ装置に関するものである。たとえば、実用新案登録第2577786号公報(特許文献3)には、ねじをウォーム減速機付きモータで回転させ、ナット部材を送る自動車パワーシートが開示されている。モータを駆動しないときのロックは、送りねじ自体のセルフロックあるいはウォーム減速機のセルフロックで実現される。また、特許開平5−288253号公報(特許文献4)には、従来の送りねじ装置が3つのカテゴリーに分けて解りやすく解説してある。その第1のグループは、三角ねじ、台形ねじ等のねじ軸とナットとの摺動回転により回転運動を直線運動に変換するものである。その第2のグループは、ボールねじのようにねじ溝に鋼球を多数介在させて動力を伝達するものである。その第3のグループは、リードの大きいねじ軸のねじ山の両方のフランクにローラーを押し当て、そのローラーを支持する部材をナットのように使用するものである。
実開昭58−99513号公報 登録請求の範囲、第3図。 特開平6−330928号公報 特許請求の範囲、図1。 実用新案登録第2577786号公報 請求項1の、おいて書き、図1。 特開平5−288253号公報 段落番号0002〜段落番号0004、段落番号0014、図1。 Journal of Materials Processing Technology Vol,56, p321-332, "Evaluation of Anti-loosening Nuts for Screw Fasteners" H,Fujii et al. 1996. 日本機械学会論文集、C編、62巻(597号)、p1963−1968、「極端にゆるみにくいねじ締結体の開発」、藤井 洋、他、1996年。 日本機械学会論文集、C編、62巻(596号)、p1527−1532、「ねじ締結体のゆるみ機構の解析とゆるみ試験法の開発」、藤井 洋、他、1996年。
しかしながら、上記従来のねじとナットは、双方の相対的回転が連続的なものであることを前提としている。その一の、部材を締着するねじとナットの緩み止めに関して言えば、ねじの相対的回転位置が1回転360°のどの回転位置にあっても締着でき、かつ、緩み止めができることを前提としている。これは、機能としては好ましいことではあるが、そのために緩み止めのための構造に過酷な負担を強いることになる。このため、ねじを締め付けたときのねじ山の変形部が弾性変形で終わらず塑性変形してしまう場合もある。このことは、一旦、ねじを締め付けてしまうと、再度の締め付け緩み止めができないことを意味する。ここで発想を転換して、締め付ける部材によっては、また、ねじのリードによっては、ねじの相対的回転位置が1回転の連続的ないかなる回転位置でも締め付け緩み止めができなくても、たとえば、20°毎のステップ的な回転位置で締め付け緩み止めができれば充分である部材へのねじナットの用途もあり得る。
そこで本件先願の発明の第1の目的は、不連続的にしかロックは掛からないものの、部材に過大な応力を掛けることなく、確実に緩み止めができるねじとナットを提供することである。
その二の、送りねじ装置に関して言えば、回転運動を直線運動に変換するにあたって、従来の装置は、暗黙の内にその連続性とリニアリティを要求してきた。従来の発明はこれを前提として、さらなる精度を求めたり高速性を求めるものであった。ここで発想を転換して、送りねじ装置の用途によっては、連続性やリニアリティを要求されないものがある。たとえば、自動車のパワーシートにおいてシート位置やシート高さを調整するのに一般的には1mm以下のピッチでの調整は要求されない。また、駆動モータの回転角に対する直線移動のリニアリティも差程要求されない。にもかかわらず、送りねじ装置に連続性とリニアリティを備えたものを使用しているため、送りねじ装置に本来以上の過剰な機能を要求してしまうことになる。
たとえば、特許文献3の自動車パワーシート装置では、特許文献4の言う第1のグループに含まれる送りねじ装置を使用している。自動車のパワーシート装置ではシート位置の調整をした後にモータの電源を切り、その位置を保持することが求められる。このため、特許文献3の自動車パワーシート装置では、その図1に示すねじ(9)にリードの小さいねじを用い、ナット(5)との間でセルフロックが掛かるようにしている。このため、モータ(7)に通電していない時でもナット(5)がシートからの荷重で動いてしまうことがない。しかしながら、ねじ(9)のリードが小さいと言うことは、シートを快適に高速で移動させるにためには、ねじ(9)を高速で回転させなければならず、モータ(7)やギヤボックス(8)に掛かる負担が大きくなり、高価なものになってしまう。また、仮に高価なものが許されたとしても、ねじ(9)とナット(5)が摺接する構造では、摩擦のため、ねじ(9)を余り高速で回転させるのは別の不都合が発生する。
また、特許文献4の言う第2あるいは第3のグループに含まれるボールねじやローラーねじを用いれば、ねじとナットとの摩擦の問題は解決でき、ねじのリードも大きくとることができ、快適な高速送りが実現できる。しかしながら、これらのねじは摩擦が非常に小さいという利点の裏返しとして、回転運動と直線運動との変換が両方向に働く。つまり、セルフロックはできない。送りモータにサーボモータを使用する工作機械等の送りねじ装置ならともかく、自動車パワーシート装置では、使用しないときはモータの電源を切るようにしているので、何らかのロック機構が必要になる。このため、高価なものになりやすいばかりではなく、ロック機構とボールねじとの間に歯車等の機械機構が介在すると、その間のバックラッシュや歪み等のロストモーションにより座席の座り心地が悪くなる恐れがある。
そこで本件先願の発明の第2の目的は、快適な高速送りがモータやギヤボックスに負担を掛けることなく実現でき、かつ、駆動源からのトルクが絶たれた時も、連続的ではないものの、セルフロック機能が働く送りねじ装置を提供することにある。
本件先願の発明の第1の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1は、第1の実施の形態のマルチピッチねじ10を示す斜視図である。円柱形状の軸部11に、つるまき線に沿ってねじ山12が形成されている。ねじ山12は台形ねじで、そのフランクには部分的にリード角がゼロすなわち平坦な区間12aとリード角が急な区間12bとが交互に連続する。以後、平坦な区間12aを平坦部12aと、急な区間12bを斜部12bと呼ぶこととする。進み側フランクと同様に、追い側フランクにも平坦部12cと斜部12dが存在する。平坦部12aと斜部12bはつるまき線の一回転を16等分し、1/16回転毎に、すなわち、22.5°毎に平坦部12aと斜部12bが交代する。したがって、ねじの平均的なリード角は斜部12bの傾斜の半分ということになる。
図から明らかなように、ねじ山12の幅に比べてねじ溝の幅が異常に大きい形状とされている。これは後述する平坦部と斜部が交代して連続するねじ山を有するナットが螺合できるようにするためである。たとえば、軸部11の径はφ13.7mm、ねじ山12の幅は4mm、ねじ山12の高さは3mm、ねじ溝の幅は12mm、ねじ10の平均的なリードは16mmに形成する。このようなマルチピッチねじ10は転造により容易に製作することができる。
図2は、図1に示したマルチピッチねじ10に螺合する第1のマルチピッチナット20を示す斜視図である。マルチピッチナット20は四角ナットであり中央にねじ穴21が明けられている。ねじ穴21にはねじ溝が彫られ雌ねじのねじ山22が形成されている。
図3は、図2に示した第1のマルチピッチナット20のねじ山22のみを概念的に抽出して示す正面図である。ねじ山22は台形ねじで、そのフランクには部分的にリード角がゼロすなわち平坦な区間22aとリード角が急な区間22bとが交互に連続する。以後、平坦な区間22aを平坦部22aと、急な区間22bを斜部22bと呼ぶこととする。進み側フランクと同様に、追い側フランクにも平坦部22cと斜部22dが存在する。平坦部22aと斜部22bはつるまき線の一回転を16等分し、1/16回転毎に、すなわち、22.5°毎に平坦部22aと斜部22bが交代する。したがって、雌ねじの平均的なリード角は斜部22bの傾斜の半分ということになる。このリードやピッチは図1に示すマルチピッチねじ10のそれと合わせてある。マルチピッチねじ10とマルチピッチナット20の螺合を可能とするためである。
雌ねじの平坦部22a、22c、斜部22b、22dはマルチピッチねじ10のねじ山12の平坦部12a、12c、斜部12b、12dに対応した形状、寸法になっている。ナット20のねじ山22の抽象的な外径(具体的にはねじ溝の内径)はφ20.3mm、ねじ山22の高さは3mmである。ねじ山22の幅は9.4mm、ねじ溝の幅は6.6mmである。ナット20の厚さ(図では高さ)は38.6mmである。ねじ溝の幅(6.6mm)は雄ねじ10のねじ山12の幅(4mm)より大きく設定してある。これは平坦部を有するマルチピッチねじ10とマルチピッチナット20との螺合を可能とするためである。このため、マルチピッチねじ10とマルチピッチナット20との間には絶えずわずかなガタが生ずることとなる。このようなマルチピッチナット20は、下穴を開けたナットブランクに数値制御によるグルービング切削加工を施すことにより作成できる。また、ナットブランクを軸方向に半割にし、半割にしたナットブランクにプレス加工等の加工を施してねじ山22を形成し、その後両者を接合することにして製作しても良い。
上述のマルチピッチねじとマルチピッチナットの螺合では、マルチピッチねじ10の回転にしたがってマルチピッチナット20がステップ的に送られるが、送りねじ装置として使用する場合にはそれが問題とならないケースも多い。たとえば、自動車の座席のパワーシートに適用する場合を想定すると、マルチピッチねじ10は5回転/秒程度の速い回転数で回転駆動される。フランクの平坦部と斜部は1回転を16分割して構成されているから、1秒間に8×5=40回の頻度で送られることになり、実質的には、各ねじ山12、22の斜部と平坦部の平均のリードで滑らかに送られることになる。
また、平均的なリードを小さくしたマルチピッチねじ10及びマルチピッチナット20は、調整ねじとしての用途もある。平均的なリードの小さいマルチピッチねじ10及びマルチピッチナット20を用い、マルチピッチナット20を機器に固着してマルチピッチねじ10を螺合させるようにすればよい。たとえば、机、テーブル、冷蔵庫等の水平を取るための調整ねじとして用いれば、簡単に調整でき、かつ、狂いのこない調整ねじとして使用できる。
図4は、マルチピッチ送りねじ40と種々のマルチピッチナットとの螺合の状態を示す正面図である。マルチピッチナットはいずれも雌ねじのねじ山が一部の区間にしか存在せずねじ山の欠損区間を有するマルチピッチナットである。各マルチピッチナットはその全体を図示せず、図2に対する図3のように、断続的なねじ山突起部分のみを抽出して描いている。マルチピッチ送りねじ40は、平坦部42aと斜部42bを有する図1に示したマルチピッチねじ10に類似のマルチピッチねじである。
図4(D)は、第2のマルチピッチナット30とマルチピッチ送りねじ40との螺合を示している。第2のマルチピッチナット30のねじ山突起32は、その進み側フランクの平坦部32aがマルチピッチ送りねじ40のねじ山42の平坦部42aより長く、図面で下方に延び、マルチピッチ送りねじ40の平坦部42aと斜部42bとを併せた長さとされている。つまり、円周の2/16の長さを有する。そして、ねじ山突起32の厚さも厚くされ、進み側フランクの平坦部32aがねじ山42の平坦部42aに摺接している時に追い側フランクの平坦部32cが一つ位相のずれたねじ山42の平坦部42cに接する厚さとされている。ねじ山突起32はこのような矩形とされている。このため、ねじ山突起32の一方の平坦部32aがマルチピッチ送りねじ40の進み側の平坦部42aにその一部が摺接している回転位置では、ねじ山突起32の他方の平坦部32cの一部がマルチピッチ送りねじ40の追い側の平坦部42cに摺接する。つまり、第2のマルチピッチナット30が軸方向には停止する回転位置では、面接触で第2のマルチピッチナット30が案内される。
ねじ山突起32がマルチピッチ送りねじ40のねじ山42の斜部42bにさしかかると、ねじ山突起32の平坦部32a、32cの縁、つまり、稜縁がねじ山42の斜部42b、42dに摺接する。つまり、第2のマルチピッチナット30が軸方向に送られる回転位置では、ねじ山突起32の稜縁が斜部42b、42dに線接触して第2のマルチピッチナット30が案内される。したがって、この実施の形態では、線接触を含みながらもマルチピッチ送りねじ40のねじ山42のフランクとの間に間隙を作ることなく、つまりガタなく、マルチピッチナット30を送ることができる。
図4(E)は、第3のマルチピッチナット50とマルチピッチ送りねじ40との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット50のねじ山突起52がつるまき線に沿って90°毎に9個配置されている。個々のねじ山突起52の形状は前述の第2のマルチピッチナット30のねじ山突起32と同じである。したがって、作動は前述の図8(D)で述べたものと同じである。ねじ山突起52の平坦部52a、52cがそれぞれねじ山42の平坦部42a、42cに摺接する。この実施の形態はねじ山突起52の数が多いのでそれだけマルチピッチナット50の強度、耐久性が向上するという利点がある。
図4(C)は、第4のマルチピッチナット60とマルチピッチ送りねじ40との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット60のねじ山突起62の長さが円周の4/16回転の長さまで伸ばされている。ねじ山突起62は全部で5個ある。各ねじ山突起62は、進み側フランク、追い側フランク共に、3/16回転の長さの平坦部62a、62cと1/16回転の長さの斜部62b、62dを有している。斜部62b、62dは勿論マルチピッチ送りねじ40の斜部42b、42dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、ねじ山突起62の一方の平坦部62aがマルチピッチ送りねじ40の進み側の平坦部42aにその一部が摺接している回転位置では、ねじ山突起62の他方の平坦部62cの一部がマルチピッチ送りねじ40の追い側の平坦部42cに摺接する。つまり、第4のマルチピッチナット60が軸方向には停止する回転位置では、面接触で第4のマルチピッチナット60が案内される。
ねじ山突起62がマルチピッチ送りねじ40のねじ山42の斜部42bにさしかかると、ねじ山突起62の斜部62b、62dがねじ山42の斜部42b、42dに摺接する。つまり、第4のマルチピッチナット60が軸方向に送られる回転位置では、ねじ山突起62の斜部62b、62dがマルチピッチ送りねじ40の斜部42b、42dに面接触して第4のマルチピッチナット60が案内される。僅かに、平坦部62a、62c、42a、42c同士の接触から斜部62b、62d、42b、42d同士の接触に移行する瞬間に線接触が発生する。図4(C)に示す位置である。したがって、この実施の形態では、マルチピッチ送りねじ40のねじ山42のフランクとの間に間隙を作ることなく、つまりガタなく、マルチピッチナット60を送ることができると共に、瞬間的な回転位置を除いてそのほとんどの回転位置でマルチピッチナット60のねじ山突起62とマルチピッチ送りねじ40のねじ山42が面接触するので、機械的強度、耐久性に優れているという利点がある。
図4(B)は、第5のマルチピッチナット70とマルチピッチ送りねじ40との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット70のねじ山突起72の長さが円周の6/16回転の長さまで伸ばされている。ねじ山突起72は全部で5個ある。向こう側の2つのねじ山突起72の端部が一部顔を覗かせている。各ねじ山突起72は、進み側フランク、追い側フランク共に、4/16回転の長さの平坦部72a、72cと2/16回転の長さの斜部72b、72dを有している。斜部72b、72dは勿論マルチピッチ送りねじ40の斜部42b、42dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、一つ一つのねじ山突起72の体積が大きくなるので、機械的強度、耐久性に優れているという利点がある。
図4(A)は、第6のマルチピッチナット80とマルチピッチ送りねじ40との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット80のねじ山突起82が、マルチピッチ送りねじ40のねじ山42との摺接に必要な部分のみ残し、残余の部分を削り取った形状をしている。ねじ山突起82は全部で5個ある。各ねじ山突起82は、進み側フランクでは1/16回転の長さの平坦部82aとそれに1位相だけ進んだ1/16回転の長さの斜部82bを有している。追い側フランクでは進み側フランクの平坦部82aから1位相遅れた1/16回転の長さの平坦部82cと、さらに1位相遅れた1/16回転の長さの斜部82dを有している。したがって、ねじ山突起82は菱形をなしている。斜部82b、82dは勿論マルチピッチ送りねじ40の斜部42b、42dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、マルチピッチ送りねじ40のねじ山42がガタなく面接触することのできるねじ山突起82が最小の容積で実現できる。したがって、ねじ山突起82の周辺に大きな空間が取れ、工作がし易いという利点がある。
図5は、2条ねじのマルチピッチねじ90を示す斜視図である。マルチピッチ2条ねじ90は、軸部91とその軸部91の回りにつるまき状に形成された第1のねじ山92と第2のねじ山93を有する。第1のねじ山92と第2のねじ山93は位相を180°異にする。第1のねじ山92の進み側フランクには平坦部92aと斜部92bが交代して連続し、遅れ側フランクにも平坦部92cと斜部92dが交代して連続する。第2のねじ山93の進み側フランクには平坦部93aと斜部93bが交代して連続し、遅れ側フランクにも平坦部93cと斜部93dが交代して連続する。第1のねじ山92の平坦部92a、92c、斜部92b、92dは、それぞれ、第2のねじ山93の平坦部93a、93c、斜部93b、93dと同じ角度位置に来るように形成される。
図6は、このマルチピッチ2条ねじを送りねじに適用したマルチピッチ2条送りねじ95を示す正面図である。このマルチピッチ2条送りねじ95は自動車のパワーシートに用いられるものである。マルチピッチ2条送りねじ95は2条のねじ山97、98を有するマルチピッチ2条ねじである。各ねじ山97、98リードは16mm、ピッチは8mm、ストロークは約200mmである。マルチピッチ2条送りねじ95の外径(ねじ山97、98の外径)はφ20mm、有効径はφ18mm、軸部96の径はφ13.7mmである。このようなマルチピッチ2条送りねじ95に対応したマルチピッチナットも、図4に示すものと同様に種々のものが考えられる。
以上述べた各種の実施の形態では、平坦部の区間をリード角がゼロである平坦な区間として説明したが、この区間のリード角をゼロとはせず、セルフロック角より緩やかな勾配を持つ区間としても同様の作用効果を奏することは明らかである。
本件先願では種々のマルチピッチナット20、30、50、60、70、80を提案した。そして、その製造方法として、ナットブランクを軸方向に2分割した部材を製作しそれを接合する方法、下穴を開けたナットブランクに数値制御によるグルービング切削加工を施す方法、雌ねじのねじ山の一部に相当するねじ山突出部を有する要素板材を形成しその要素板材を積層して一体に固着する製造方法を提案した。
しかしながら、マルチピッチナットに斜部22b、62b、72b、82bを有するものは、その斜部の勾配を正確に加工しなければならないので意外に困難であり、工数を要するものであることが判明した。そこで本発明の目的は、斜部の勾配を正確に加工することができると共に、工数を低減して容易に製作できるマルチピッチナットの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のマルチピッチナット製造方法は、ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の平坦な区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、ねじのピッチを整数で除した厚さの板材を積層する工程と、その積層された板材を前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、そのねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のマルチピッチナット製造方法は、ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、ねじのピッチを整数で除した厚さの板材を積層する工程と、その積層された板材を前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、その積層された板材を前記リード角の緩い区間のリード角でもってねじを切る工程と、前記ねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明のマルチピッチナット製造方法は、前記ねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程の前に、各板材のねじを切られたねじ山の谷径相当部分の板厚を削って薄くする工程、を備えることを特徴とすることができる。
そして、本発明のマルチピッチナット製造方法は、ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の平坦な区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、ねじのピッチを整数で除した厚さを分割し、厚さの厚い要素である板材と厚さの薄い要素であるスペーサーとを用意する工程と、その板材とスペーサーとを積層する工程と、その積層された板材及びスペーサーを前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、そのねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、を備えることを特徴とする。
上記第1の発明は、ねじを切る工程によりリード角の急な区間の傾斜面を加工するから、正確に傾斜面を加工することができる。そして、各板材を所定角度回転固定する工程により、平坦部が現れる。したがって、精度の高い形状の平坦部と斜部を有する平板を積層したマルチピッチナットが極めて容易にできるという効果がある。そして、ねじを切る加工は旋盤を用いても良いが、タップ加工により、より容易にかつ精度良く加工することができる。マルチピッチナットを金属ではなく合成樹脂で形成するときは、材質が柔らかいので斜部の傾斜が急(タップのリードが大きいもの)であってもタップ加工が有効で精度が高い。
上記第2の発明は、リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、リード角の緩い区間のリード角でもってねじを切る工程とを備えるから、急斜面と緩斜面とが精度良く容易に加工することができる。そして、各板材を所定角度回転固定する工程により、マルチピッチナットの急斜面と緩斜面がそれぞれマルチピッチねじの急斜面と緩斜面にそれぞれ当接可能になる。所定角度回転固定する工程により、平坦部も現れるが、この場合、平坦部はマルチピッチねじのフランクには当接しないので何の作用もしない。
上記第3の発明は、各板材のねじを切られたねじ山の谷径相当部分の板厚を削って薄くする工程を備えるから、マルチピッチナットの各板材のねじ部だけの厚さを板厚よりわずかに小さくできる。このため、ねじを切る加工をしただけでは相手のマルチピッチねじと干渉する様な形状のものでも、マルチピッチナットのねじ部とマルチピッチねじのねじ部との干渉を回避できる。
上記第4の発明は、スペーサーを板材の間に介在させるため、ねじ山の谷径相当部分の板厚を削って薄くする加工をしなくても、ねじを切る加工をしただけでは相手のマルチピッチねじと干渉する様な形状のものでもマルチピッチナットのねじ部とマルチピッチねじのねじ部との干渉を回避できる。スペーサーにはタップ径より大径の下孔を開けておいても良いし、タップ加工後に突起部分を切削削除する加工をしても良い。
以下、3つの実施例について説明する。これらのマルチピッチナットはパワーシート等の送り装置に用いることを考えているため、合成樹脂で形成されるものとする。螺合するマルチピッチねじは金属(鋼材)を考えている。
図3に示す第1のマルチピッチナット20は、図1に示すマルチピッチねじ10とわずかなガタを持って螺合するナットである。第1のマルチピッチナット20は、1/16回転毎に平坦部22aと斜部22bが交替する。リード角が急な区間である斜部22bのリードは32mm、平均的なリードは16mmである。したがって、16mm/8=2mmの板厚の樹脂製の平板101を積み重ね、リード32mmのタップでねじ切りをし、各平板101を1/16回転=22.5°ずつ回転させてずらすことにより平坦部22aが露出する。この状態で各平板101をボルトナット等で固定することにより、第1のマルチピッチナット20が完成する。
図7は、図6に示すマルチピッチ2条送りねじ95と螺合するマルチピッチナットの製造工程を示す斜視図である。このマルチピッチナットは図4(B)の第5のマルチピッチナット70に対応するナットで、図4の(B)が1条ねじであるのに対して2条ねじである点が異なる。マルチピッチ2条送りねじ95は、平均リードが16mm、ピッチが8mmのものである。そこで、8mm/2=4mmの板厚の樹脂製の平板111を多数枚積み重ね、リード32mmの2条ねじタップ112でタップ立てを行う。タップ立て加工が終了した平板111を右に示す。この平板111にはリードが32mmの斜部113b、114bがタップ立て加工により形成されている。2条ねじタップ112で削り残された部分が2つのねじ山突起113、114を構成する。2条ねじであるので2つのねじ山突起113、114は互いに180°離れた対向した位置にある。
図8は、図7の平板111にさらに加工を施し完成した要素板材115を示す斜視図である。要素板材115は8角形に加工され、8つのボルト孔116が開けられている。リードが32mmの斜部113b、114bがタップ立て加工により形成されている。ここで重要なのは、ねじ山突起113、114の上面と下面がそれぞれ0.5mmだけ削られ、この部分すなわちねじ山の谷径相当部分の板厚を削って薄くされていることである。わずかに薄くされた表面がねじ山113、114の平坦部113a、114aを構成している。ねじ山の谷径相当部分の板厚を削ってわずかに薄くすることにより、ねじ山突起113、114とマルチピッチマルチピッチ2条送りねじ95のねじ山との干渉を回避することができる。このように形成された要素板材115をその回転位置をずらせながら積み重ね固定することにより第7のマルチピッチナット120が完成する。
図8に示す例では、ねじ山突起113、114の上面と下面をそれぞれ0.5mmだけ削るようにしたが、上面若しくは下面のいずれか一方のみを1.0mmだけ削るようにしても良い。
また、図7、図8に示す例では、板厚4mmの樹脂製平板111を多数枚積層してタップ加工することとしたが、板厚3mmの平板と板厚1mmのスペーサを交互に積層してタップ加工をするようにしても良い。このとき、スペーサの下孔をタップ径より大きなものとしておけば、ねじ山突起113、114の上下面を削る工程を経ることなく、ねじ山突起113、114とマルチピッチ2条送りねじ95のねじ山との干渉を回避することができる。
図9は、2条ねじタップ112によるタッピングの様子を示す展開図である。横軸は円周を16等分して格子が切られている。縦軸は2mmごとに格子が切られている。マルチピッチ2条送りねじ95のピッチは8mm、平均リードは16mmである。マルチピッチ2条送りねじ95のねじ山97、98が参考のため図中に記載してあるが、ここでは関係ない。平板111は板厚4mmのものが積み重ねられて、リード32mmの2条ねじタップ112で切削される。平板111は破線で示す。2条ねじタップ112の刃が通る部分を、リード32mmの斜線201と斜線202の間、斜線203と斜線204の間、斜線205と斜線206の間で示す。この結果、一枚の平板111からは8/16回転離れた位置(対向する位置)に2つのねじ山突起113、114が形成され、下の平板111には上の平板111から2/16回転位相が遅れた位置に2つのねじ山突起117、118が形成される。上下のねじ山突起の間(113と117の間、114と118の間)にはわずかな空隙119が示されている。この空隙119はタップ立て作業により形成されるものではなく、図8で説明した、ねじ山の谷径相当部分の板厚を削ってわずかに薄くする加工により生ずる空隙119である。
図10は、要素板材115を回転させて第7のマルチピッチナット120を構成する様子を示す展開図である。図9と同様に、横軸は円周を16等分して格子が切られている。縦軸は2mmごとに格子が切られている。マルチピッチ2条送りねじ95のピッチは8mm、平均リードは16mmである。マルチピッチ2条送りねじ95のねじ山97、98が図中に記載してある。図9に示す状態から、ねじ山突起117、118が形成された下の要素板材115を2/16回転つまり45°回転させると図10の状態になり、下のねじ山突起117、118の平坦部117a,118a、斜部117b、118bがマルチピッチ2条送りねじ95のねじ山97、98に摺接して螺合した状態になる。同様に、さらに下の要素板材115をさらに2/16回転つまり45°回転させてやれば、ねじ山突起がマルチピッチ2条送りねじ95のねじ山97、98に摺接して螺合した状態になる。このように、各要素板材115を45°ずつ回転させて図示しないボルトとナットにより固定することにより、2条ねじのマルチピッチねじ95に螺合する第7のマルチピッチナット120が完成する。
図11は、マルチピッチ2条送りねじ95と上述した第7のマルチピッチナット120との螺合の様子を示す斜視図である。マルチピッチ2条送りねじ95の2つのねじ山97、98に第7のマルチピッチナット120が螺合しており、マルチピッチ2条送りねじ95の回転にしたがって第7のマルチピッチナット120が軸方向に断続的に送られる。
図12は、マルチピッチ2条送りねじ95と第7のマルチピッチナット120との螺合の様子を第7のマルチピッチナット120のねじ山を抽出して詳細に示す斜視図である。ここでは、第7のマルチピッチナット120はねじ山突起113、117、118のみ抽出して描いている。ねじ山突起114はマルチピッチ2条送りねじ95の裏側にあって見えない。図からマルチピッチ2条送りねじ95の2条のねじ山97、98にねじ山突起113、117、118が螺合し、それぞれの斜部と平坦部がねじ山97、98の斜部と平坦部に摺接しているのがわかる。
図13は、第8のマルチピッチナット130を構成する要素板材131を示す斜視図である。要素板材131は板厚6mmのものが8角形に加工され、8つのボルト孔132が開けられている。要素板材131のねじ山突起133には、リード角の緩い区間である緩斜面部133aと、リード角が急な区間である急斜面部133bが形成される。緩斜面部133aのリードは8mmであり、急斜面部133bのリードは24mmである。緩斜面部133aは前述第7のマルチピッチナット120のねじ山突起117の平坦部117aの作用をし、急斜面部133bは斜部117bの作用をする。このような要素板材131の緩斜面部133aと急斜面部133bを加工する方法について次に述べる。
図14は、第8のマルチピッチナット130のタッピング加工工程を示す展開図である。この第8のマルチピッチナット130は、そのねじ山突起133がリード24mmの急斜面133bとリード8mmの緩斜面133aを有するものであり、2条ねじの一方のねじ溝にのみ螺合するナットである。図中において、横軸は円周を16等分して格子が切られている。縦軸は2mmごとに格子が切られている。要素板材131は板厚6mmのものが積層されてタッピング加工が施される。要素板材131は実線で示す。まず、リード24mm、ピッチ12mmの2条ねじタップで切削される。この切削工程はリード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程である。2条ねじタップの刃が通る部分を、リード24mmの斜線301と斜線302の間、斜線303と斜線304の間、斜線305と斜線306の間で示す。この急斜面タップ切削工程により、ねじ山突起133の進み側フランクの急斜面部133bと遅れ側フランクの急斜面部133dが形成される。このとき、一枚の要素板材131からは8/16回転離れた位置(180°対向する位置)に急斜面部を有する2つのねじ山突起ができるはずであるが、次の緩斜面部133aを形成するタップ作業により一方のねじ山突起が削られ、ねじ山突起133は一枚の要素板材131には片方しか残らない。
図14において、斜破線401と斜破線402の間、斜破線403と斜破線404の間、斜破線405と斜破線406の間、斜破線407と斜破線408の間、が緩斜面タップねじの刃が通る部分である。この緩斜面部133aを形成する緩斜面タップねじは、1条のもので、そのリードは8mmである。このタップによる切削は、リード角の緩い区間のリード角でもってねじを切る工程である。この緩斜面タップ切削工程により、ねじ山突起133のコーナー部に小さな緩斜面部133aを形成する。遅れ側フランクにも同様に小さな緩斜面部133cを形成する。同時に同じ要素板材131にねじ山突起133と対向して残っていたねじ山突起相当部分が切削削除される。そして、緩斜面タップ切削工程により削り残された部分(要素板材131の境目と斜線302と斜破線403で囲まれた三角形部分501やその下の三角形部分502)を切削削除する。つまり、一枚の要素板材131に一つのねじ山突起133が形成され、その他の余は切削削除される。そのねじ山突起133は緩斜面部133a、133cと急斜面部133b、133dを有する。
図15は、要素板材131を回転させて固定しマルチピッチナット130を構成する様子を示す展開図である。図14と同様に、横軸は円周を16等分して格子が切られている。縦軸は2mmごとに格子が切られている。ねじ山突起133が付いた要素板材131を右に6/16回転させると下のねじ山突起134と一部が重なるようになる。同様に各要素板材131を6/16回転(135°)ずつ回転させていくと、図15に示すように、各ねじ山突起133、134、135、136、137、140が一部重なり位相のずれた状態になる。それぞれのねじ山突起133は、マルチピッチ2条送りねじと摺接する小さな緩斜面部133a、133cと急斜面部133b、133dを備える。この状態で積層された要素板材131をボルトナット等で固定することにより、第8のマルチピッチナット130が完成する。ここで注意すべきは、第8のマルチピッチナット130はマルチピッチ2条送りねじと螺合するものであるが、2つのねじ溝の内、片方のねじ溝のみに螺合するナットである。
図16は、マルチピッチ2条送りねじ150と第8のマルチピッチナット130との螺合の様子を示す正面図である。マルチピッチ2条送りねじ150は2つのねじ山151、152を有する2条ねじである。各ねじ山151、152は、緩斜面部151a,152aと急斜面部151b、152bを有する。第8のマルチピッチナット130のねじ山160は、マルチピッチ2条送りねじ150の2条のねじ溝の内の1つのねじ溝にのみ螺合する。第8のマルチピッチナット130のねじ山160は、図15で示したように、多くの要素板材131のねじ山突起133〜140が位相をずらせて積み重なったものであり、緩斜面部133aと急斜面部133bを備える。これらの緩斜面部133aと急斜面部133bがマルチピッチ2条送りねじ150の2つのねじ山151、152に摺接して螺合する。
自動車のパワーシートの送り装置、調整ねじ等に利用できる。
第1の実施の形態のマルチピッチねじを示す斜視図である。 図1に示したマルチピッチねじに螺合する第1のマルチピッチナットを示す斜視図である。 図2に示した第1のマルチピッチナットのねじ山のみを概念的に抽出して示す正面図である。 マルチピッチ送りねじと種々のマルチピッチナットとの螺合の状態を示す正面図である。 2条ねじのマルチピッチねじを示す斜視図である。 マルチピッチ2条ねじを送りねじに適用したマルチピッチ2条送りねじを示す正面図である。 図6に示すマルチピッチマルチピッチ2条送りねじと螺合するマルチピッチナットの製造工程を示す斜視図である。 図7の平板にさらに加工を施し完成した要素板材を示す斜視図である。 2条ねじタップによるタッピングの様子を示す展開図である。 要素板材を回転させて第7のマルチピッチナットを構成する様子を示す展開図である。 マルチピッチ2条送りねじと第7のマルチピッチナットとの螺合の様子を示す斜視図である。 マルチピッチ2条送りねじと第7のマルチピッチナットとの螺合の様子を第7のマルチピッチナットのねじ山を抽出して詳細に示す斜視図である。 第8のマルチピッチナットを構成する要素板材を示す斜視図である。 第8のマルチピッチナットのタッピング加工工程を示す展開図である。 要素板材を回転させて固定しマルチピッチナットを構成する様子を示す展開図である。 マルチピッチ2条送りねじと第8のマルチピッチナットとの螺合の様子を示す正面図である。
符号の説明
10 マルチピッチねじ
12 ねじ山
12a 平坦部
12b 斜部
12c 平坦部
12d 斜部
20 第1のマルチピッチナット
21 ねじ穴
22 ねじ山
22a 平坦部
22b 斜部
22c 平坦部
22d 斜部
95 マルチピッチ2条送りねじ
101 板材
111 2条ねじタップ
113 ねじ山突起
113b 斜部
115 要素板材
116 ボルト孔
119 空隙
120 第7のマルチピッチナット
130 第8のマルチピッチナット
131 要素板材
132 ボルト孔
133 ねじ山突起
133a 緩斜面部
133b 急斜面部
150 マルチピッチ2条送りねじ

Claims (4)

  1. ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の平坦な区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、
    ねじのピッチを整数で除した厚さの板材を積層する工程と、
    その積層された板材を前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、
    そのねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、
    を備えることを特徴とするマルチピッチナットの製造方法。
  2. ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、
    ねじのピッチを整数で除した厚さの板材を積層する工程と、
    その積層された板材を前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、
    その積層された板材を前記リード角の緩い区間のリード角でもってねじを切る工程と、
    前記ねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、
    を備えることを特徴とするマルチピッチナットの製造方法。
  3. 前記ねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程の前に、
    各板材のねじを切られたねじ山の谷径相当部分の板厚を削って薄くする工程、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチピッチナットの製造方法。
  4. ねじのねじ山がつるまき線に沿って1回転する間にリード角の平坦な区間とリード角の急な区間とが交代して交互に連続するように形成されたマルチピッチねじに、螺合可能なねじ山を有するマルチピッチナットの製造方法であって、
    ねじのピッチを整数で除した厚さを分割し、厚さの厚い要素である板材と厚さの薄い要素であるスペーサーとを用意する工程と、
    その板材とスペーサーとを積層する工程と、
    その積層された板材及びスペーサーを前記リード角の急な区間のリード角でもってねじを切る工程と、
    そのねじが切られた各板材を所定角度回転させた位置で固定する工程と、
    を備えることを特徴とするマルチピッチナットの製造方法。
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