(実施例1)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、互いに遊技性を打ち消し合わないよう片方ずつ実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、第1始動入賞口(以下、「第1始動口」という)62、第2始動入賞口(以下、「第2始動口」という)63、第3始動入賞口(以下、「第3始動口」という)67、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動口62と第3始動口67は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口63は、始動入賞検出装置75を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。第3始動口67は、始動入賞検出装置77と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置77は、第3始動口67への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第3始動入賞情報を生成する。
第1始動口62と第3始動口67は第1の遊技に対応する点で機能が共通するが、それぞれへの入球に対する賞球数が異なる。たとえば第1始動口62の賞球数が「3」に設定されるのに対して、第3始動口67の賞球数が「7」に設定されるなど、賞球数に差を設けることにより多様な遊技性を実現する。第1始動口62は第3始動口67の入口を覆うような位置に設けられているので、第3始動口67は普通電動役物65が開放されなければ遊技球が入球しない構造となっている。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の左上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。
遊技領域52の略中央に演出表示装置60が設けられ、その左右に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71が設けられている。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動口62または第3始動口67への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当たり態様にて停止されたときに第1特別遊技としての大当たりが発生する。第1特別図柄表示装置70は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192は「0」〜「9」の10種類の数字で表される。第2特別図柄193は、第2始動口63への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当たり態様にて停止されたときに第2特別遊技としての大当たりが発生する。第2特別図柄表示装置71は、例えば「○」と「×」のマークが交互に点灯するランプで構成される表示手段であり、第2特別図柄193は「○」と「×」の2種類のマークで表される。
演出表示装置60の画面には第1の遊技に対応する第1領域194と第2の遊技に対応する第2領域195が設定される。第1領域194には第1特別図柄192に連動する第1装飾図柄190を含む演出画像の変動が表示され、第2領域195には第2特別図柄193に連動する第2装飾図柄191を含む演出画像の変動が表示される。第1領域194と第2領域195は、それぞれの背景に対照的な色を施して視覚的に区別させてもよい。演出表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。第1装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。第2装飾図柄191は、第2特別図柄193で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄であり、第2の遊技に対応する。演出表示装置60は、第1装飾図柄190および第2装飾図柄191として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および右下方の第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第3始動口67の普通電動役物65を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動口62、第2始動口63、第3始動口67、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動口62または第3始動口67に落入すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出表示装置60の第1領域194において第1装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動口63に落入すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出表示装置60の第2領域195において第2装飾図柄191が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、第1装飾図柄190、第2装飾図柄191の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および第1装飾図柄190が当たり態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である第1特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した第1装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および第2装飾図柄191が当たり態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である第2特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した第2装飾図柄191もまた、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
第1大入賞口91および第2大入賞口92は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。時短は、所定の終期、たとえば第1特別図柄192または第2特別図柄193が100回変動するまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当たり態様にて停止すると、第3始動口67の普通電動役物65が所定時間拡開する。通常状態においては、普通図柄が当たり態様で停止する確率は低確率に設定されるが、時短中にはその確率が高確率に変動する。そのため、通常状態においては第3始動口67の普通電動役物65が開放される確率も低いが、時短中にはその開放される確率が高くなる。また時短中においては、普通図柄の変動表示時間が短縮されるとともに、普通電動役物65が開放状態となる時間が相対的に長くなるよう設定される。このように、時短中以外は普通電動役物65が開放されにくいのに対し、時短中は普通電動役物65が開放されやすく、しかも開放される回数や開放時間も増加する。したがって、時短中であるか否かで第3始動口67への入球容易性が大きく異なり、その結果時短中であるか否かによって始動入賞口への入賞に対する出玉に大きな差が生じる。時短中は遊技者が出玉をほとんど減らさずに遊技を進行させることができるので、時短中であるか否かに応じて異なる遊技性を実現することができる。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64は、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20が下部左側に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21が下部右側に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22が左側部に設けられている。第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ4個のランプからなり、それぞれの点灯個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中、第2特別図柄193の変動中、第1特別遊技の実行中、第2特別遊技の実行中のうちいずれかの間に第1始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中、第2特別図柄193の変動中、第1特別遊技の実行中、第2特別遊技の実行中のうちいずれかの間に第2始動口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。普図保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。また遊技効果ランプ90が遊技領域52に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動口62、第2始動口63、第3始動口67へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動口62、第2始動口63、第3始動口67、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、テーブル保持手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、作動条件保持手段176を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口63に入賞したと判断し、第3始動入賞情報を受け取ると遊技球が第3始動口67に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136を含む。第1抽選手段126は、第1始動口62または第3始動口67への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である第1特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を第1の当否抽選値として取得する。第2抽選手段128は、第2始動口63への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である第2特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を第2の当否抽選値として取得する。たとえば、第1と第2の当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに普図抽選値を取得する。各抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ当否抽選値または普図抽選値が取得され、保留される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確変時には通常確率より当たりの確率が高い当否テーブルを参照する。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、それぞれが当否テーブルを複数ずつ保持してもよいし、あるいは、複数の当否テーブルを第1抽選手段126と第2抽選手段128とで共用してもよい。それぞれが保持する場合、第1抽選手段126が保持する複数の当否テーブルと第2抽選手段128が保持する複数の当否テーブルは内容が同じである。確変時には、第1抽選手段126と第2抽選手段128の双方とも当たりの確率が高い当否テーブルを参照する。普図抽選手段136もまた、普通図柄抽選の当否を判定するときに参照する普図当否テーブルを複数保持する。複数の普図当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と普図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。普図抽選手段136は、通常時には通常確率による当否判定のための普図当否テーブルを参照し、時短時には通常確率より当たりの確率が高い普図当否テーブルを参照する。
第1抽選手段126による判定結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の形で変動表示され、演出表示装置60の第1領域194において第1装飾図柄190の形で変動表示される。第2抽選手段128による判定結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の形で変動表示され、演出表示装置60の第2領域195において第2装飾図柄191の形で変動表示される。普図抽選手段136による判定結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。
図柄決定手段114は、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60に表示させる停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄および変動パターンを選択するときに、テーブル保持手段115に保持された各種テーブルを参照する。テーブル保持手段115の詳細を図4に示す。テーブル保持手段115は、図柄範囲テーブル保持手段200と変動パターン保持手段202を含む。図柄範囲テーブル保持手段200は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。第1特別図柄192を決定するためのテーブルとして第1図柄範囲テーブル204が保持され、第2特別図柄193を決定するためのテーブルとして第2図柄範囲テーブル206が保持される。また、普通図柄表示装置59に表示する普通図柄を決定するためのテーブルとして普図範囲テーブル208が保持される。第1図柄範囲テーブル204には、「0」〜「9」の数字で表される第1特別図柄192と図柄決定抽選値との対応関係が定められている。第2図柄範囲テーブル206には、「○」および「×」のマークで表される第2特別図柄193と図柄決定抽選値との対応関係が定められている。また、普図範囲テーブル208には、例えば「赤」および「緑」のLEDで構成されるマークで表される普通図柄と普通図柄決定抽選値との対応関係が定められている。テーブル保持手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきテーブルを変動パターン保持手段202に保持する。第1特別図柄192の変動パターンを決定するためのテーブルとして、第1変動テーブル保持手段210には第1変動パターンテーブル214が保持され、第2特別図柄193の変動パターンを決定するためのテーブルとして、第2変動テーブル保持手段212には第2変動パターンテーブル216が保持される。なお、第1変動パターンテーブル214と、第2変動パターンテーブル216は、変動パターンの特徴や変動パターンと変動パターン抽選値との対応付けの特徴が異なるテーブルとすることが好ましいが、変形例においては、両者を実質的に同等の特徴のテーブルとしてもよい。普通図柄表示装置59に表示する普通図柄の変動パターンを決定するためのテーブルとして、普図変動テーブル保持手段218には普図変動パターンテーブル220が保持される。なお、第1変動パターンテーブル214および第2変動パターンテーブル216の詳細は後述する。
図柄決定手段114は、第1図柄決定手段138、第2図柄決定手段140、普図決定手段142を含む。第1図柄決定手段138は、第1特別図柄192を決定するための図柄決定抽選値を取得し、第1図柄範囲テーブル204を参照し、第1抽選手段126による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて第1特別図柄192の停止図柄を決定する。また、第1図柄決定手段138は、第1変動パターンテーブル214を参照し、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。第2図柄決定手段140は、第2特別図柄193を決定するための図柄決定抽選値を取得し、第2図柄範囲テーブル206を参照し、第2抽選手段128による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて第2特別図柄193の停止図柄を決定する。また、第2図柄決定手段140は、第2変動パターンテーブル216を参照し、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。第1図柄決定手段138および第2図柄決定手段140は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
第1変動テーブル保持手段210および第2変動テーブル保持手段212は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
普図決定手段142は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得する。そして、その抽選乱数に応じて普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を普図範囲テーブル208から選択し決定する。また、普図変動テーブル保持手段218の普図変動パターンテーブル220を参照し、普通図柄の変動パターン、つまり、変動時間を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が第3始動口67の普通電動役物65を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、第1抽選手段126により取得された第1の当否抽選値を保留球として保持する。第2保留手段146は、第2抽選手段128により取得された第2の当否抽選値を保留球として保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。第1と第2の当否抽選値と普図抽選値は、それぞれの保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限はそれぞれ4である。第1保留手段144により保留された第1の当否抽選値の数は第1特図保留ランプ20におけるランプの点灯数で表され、第2保留手段146により保留された第2の当否抽選値の数は第2特図保留ランプ21におけるランプの点灯数で表され、普図保留手段147により保留された普図抽選値の数は普図保留ランプ22におけるランプの点灯数で表される。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、特図調整手段152、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による抽選の結果である第1特別図柄192を変動表示として第1特別図柄表示装置70に表示させる。このときの変動表示は、第1図柄決定手段138が第1変動パターンテーブル214を参照することにより決定した変動パターンにしたがって行われる。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による抽選の結果である第2特別図柄193を変動表示として第2特別図柄表示装置71に表示させる。このときの変動表示は、第2図柄決定手段140が第2変動パターンテーブル216を参照することにより決定した変動パターンにしたがって行われる。第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。このときの変動表示は普図決定手段142が普図変動パターンテーブル220を参照することにより決定した変動パターンにしたがって行われる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。特図調整手段152は、第1始動口62または第3始動口67、および、第2始動口63のうちいずれに遊技球が入球したかの順序にしたがって第1特別図柄192と第2特別図柄193とを選択的に変動表示させる。たとえば、第1始動口62、第1始動口62、第2始動口63の順序で入球したときは、第1特別図柄192、第1特別図柄192、第2特別図柄193の順序で変動表示される。特図調整手段152は保留制御手段116を監視して当否抽選値の保留順序を記憶する。どちらの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順、すなわち保留制御手段116における当否抽選値の保留順序にしたがって決定されるので、遊技者は変動の順序を視覚的に把握しやすい。これにより、複数の遊技性が混在してもそれぞれの遊技性が個別に把握できるよう制御することにより、遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
なお、変形例における特図調整手段152は、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを交互に優先してもよい。たとえば第1保留手段144および第2保留手段146のうちいずれかにだけ当否抽選値が保留されているときは、第1特別図柄および第2特別図柄のうち一方のみが連続して変動表示され得る。しかし、第1保留手段144と第2保留手段146の双方に当否抽選値が保留されているときは、第1特別図柄と第2特別図柄とが交互に変動表示される。このように、変形例においては第1特別図柄192と第2特別図柄193は同時には変動表示されないので、遊技者は複数の遊技性のそれぞれを個別に把握しやすい。また、いずれの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順に関係なく単純に交互に入れ替わるので、遊技者は変動の順序を感覚的に把握しやすい。これにより遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方が当たり態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。このように、複数の遊技性が混在してもそれぞれの遊技性が個別に把握できるよう制御することにより、遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
作動条件保持手段176は、第1作動条件保持手段178および第2作動条件保持手段180を含む。第1作動条件保持手段178は、第1特別遊技へ移行するための条件である第1作動条件を保持する。第2作動条件保持手段180は、第2特別遊技へ移行するための条件である第2作動条件を保持する。第1作動条件および第2作動条件は、特別遊技制御手段120によって参照され、いずれかの作動条件が成立したときに特別遊技が実行される。
特別遊技制御手段120は、第1特別遊技制御手段154および第2特別遊技制御手段156を含む。第1特別遊技制御手段154は、第1抽選手段126による当否抽選結果が当たりである場合、第1特別図柄192が所定の当たり態様で停止されたときに第1作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより第1特別遊技を実行する。第2特別遊技制御手段156は、第2抽選手段128による当否抽選結果が当たりである場合、第2特別図柄193が所定の当たり態様で停止されたときに第2作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより第2特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、第1特別遊技の単位遊技の回数や開放時間を、第1図柄決定手段138により決定された第1特別図柄192に応じて決定してもよい。特別遊技制御手段120は、第2特別遊技の単位遊技の回数や開放時間を、所定の抽選値に応じて決定してもよい。第1特別遊技制御手段154および第2特別遊技制御手段156は、単位遊技の継続回数を消化したときに特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、確変および時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、第1図柄決定手段138により決定された第1特別図柄192が当たり態様であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させるか否かを第1特別図柄192の種類に応じて決定する。すなわち、第1特別図柄192が所定の図柄、たとえば「奇数の数字」であった場合に特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させることを決定する。また、特定遊技実行手段122は、第2図柄決定手段140により決定された第2特別図柄193が当たり態様であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させるか否かを所定の抽選により決定する。すなわち、第2特別図柄193が「○」であった場合に所定の抽選を実行し、その抽選値に応じて確変への移行を決定する。この抽選値に応じた決定の結果は、たとえば演出表示装置60の画面に表示させてもよいし、表示させなくてもよい。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、第1特別遊技および第2特別遊技のうちいずれかが終了した後、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数が所定回数、たとえば100回に達するまで、遊技状態を時短状態へ移行させる。時短状態においては、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、図柄決定手段114が変動時間の短い変動パターンを選択する。普図抽選手段136は、時短中においては通常確率より当たりの確率が高い普図当否テーブルを参照する。これにより、時短中には第3始動口67の普通電動役物65が高い確率で開放される。
開閉制御手段124は、第3始動口67の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第3始動口67を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
パターン記憶手段130は、第1パターン記憶手段158および第2パターン記憶手段160を含む。第1パターン記憶手段158および第2パターン記憶手段160は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして複数の変動パターンデータを保持する。
演出決定手段132は、第1演出決定手段162および第2演出決定手段164を含む。第1演出決定手段162は、第1装飾図柄190の停止図柄と変動パターンを、第1抽選手段126による抽選の結果、第1特別図柄192の停止図柄、第1特別図柄192の変動パターンに応じて決定する。第1演出決定手段162は、第1装飾図柄190の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。第2演出決定手段164は、第2装飾図柄191の停止図柄と変動パターンを、第2抽選手段128による抽選の結果、第2特別図柄193の停止図柄、第2特別図柄193の変動パターンに応じて決定する。第2演出決定手段164は、第2装飾図柄191の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
第1装飾図柄190および第2装飾図柄191の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、第1装飾図柄190や第2装飾図柄191として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「3」の場合は第1装飾図柄190または第2装飾図柄191が「333」となる。第1抽選手段126または第2抽選手段128による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。第1演出決定手段162および第2演出決定手段164は、第1装飾図柄190および第2装飾図柄191の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
演出画像の変動パターンには、演出画像の変動表示態様、すなわち演出画像の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168、第2演出制御手段170、演出調整手段172、および領域設定手段174を含む。第1演出制御手段168は、第1抽選手段126による第1の当否抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって演出画像として演出表示装置60の第1領域194に変動表示させる。第2演出制御手段170は、第2抽選手段128による第2の当否抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって演出画像として演出表示装置60の第2領域195に変動表示させる。
領域設定手段174は、演出表示装置60の画面において第1領域194および第2領域195を設定する。第1領域194および第2領域195は、同じ画面内に並べられるように、または、重ね合わされるように設定されてもよい。本実施例においては、演出表示装置60として単一の表示装置を例示するが、変形例においては複数の表示装置で複合的に構成させてもよい。その場合、第1領域194と第2領域195はそれぞれ別個の表示装置に設定されてもよい。領域設定手段174は、演出表示装置60の画面において、第1領域194を第2始動口63よりも第1始動口62および第3始動口67に近い位置へ設定し、第2領域195を第1始動口62および第3始動口67よりも第2始動口63に近い位置へ設定する。本実施例においては、第1始動口62および第3始動口67が左側に設けられ、第2始動口63が右側に設けられているのに合わせて、第1領域194が左側に設けられ、第2領域195が右側に設けられる。これにより、第1領域194と第1始動口62および第3始動口67とが対応し、第2領域195と第2始動口63とが対応する関係が遊技者にとって感覚的に把握しやすい。このように、複数の遊技性が混在してもそれぞれの遊技性が個別に把握できるよう制御することにより、遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
演出調整手段172は、第1装飾図柄190および第2装飾図柄191のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の進行を規制する。演出調整手段172は、たとえば第1装飾図柄190の変動表示が開始された場合、第1装飾図柄190の変動が停止されるまで第2装飾図柄191の変動表示開始を待機させてもよいし、第2装飾図柄191を変動表示させたまま第1装飾図柄190の変動が停止されるまでその状態を継続させてもよい。第2装飾図柄191を変動表示させたままの状態を継続する場合、たとえば第2装飾図柄191の変動時間を計測するタイマの進行を一時停止することによって変動状態を維持してもよい。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
上述したように、特別図柄の変動パターンは、第1変動パターンテーブル214および第2変動パターンテーブル216を用いて選択される。そして、演出決定手段132は、選択された変動パターンの変動時間と等しい変動時間の変動パターンを有する装飾図柄の演出画像を選択する。例えば、装飾図柄を用いた演出として、通常の外れ図柄を表示するパターンや、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するパターンや、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンを選択する。これら全て、特別図柄の変動時間と一致する変動時間を有する装飾図柄演出パターンとなっている。つまり、装飾図柄の変動パターンは、特別図柄の変動パターンに関連して選択される。
図5、図6には、特別図柄の変動パターンを決定するために用いる第1変動テーブル保持手段210および第2変動テーブル保持手段212に保持されている変動パターンテーブルの例が示されている。第1図柄決定手段138および第2図柄決定手段140は、それぞれ第1抽選手段126および第2抽選手段128による抽選の結果に基づき、変動パターンを決定するための変動パターン抽選乱数を取得する。この変動パターン抽選乱数は、例えば「0」から「255」の値範囲から取得される。なお、このときの乱数は数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。
例えば、本実施例のぱちんこ遊技機10においては、第1変動パターンテーブル214として、第2変動パターンテーブル216に基づいて選択される場合と比べて変動時間の長い変動パターンの選択確率が高くなるように規定されたテーブルを保持している。また、第2変動パターンテーブル216として、第1変動パターンテーブル214に基づいて選択される場合と比べて変動時間の短い変動パターンの選択確率が高くなるように規定されたテーブルを保持している。ここで、「長い変動パターン」と「短い変動パターン」とは、相対的な長さの違いとすることができる。「長い変動パターン」は、例えば30秒以上のように遊技者が感覚的に長い変動であると感じる長さとすることができる。また、「短い変動パターン」は、例えば3秒以下のように遊技者が感覚的に短い変動であると感じる長さとすることができる。
図5に変動時間の長い変動パターンテーブルを示す。この長い変動パターンは、例えば約2/3の選択確率で、30秒以上の変動時間が選択されるようになっている。上述のように、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間は、一致するように選択されるので、長い変動時間は、リーチ演出を行いやすい変動パターンであるということができる。図5の例では、第1図柄決定手段138が取得した変動パターン抽選乱数値が「192」から「255」に含まれる場合、変動時間が「180秒」のパターンAが選択される。前述したように、第1特別図柄192が変動している間、第1装飾図柄190の変動は停止しない。したがって、このとき、第1装飾図柄190による演出は180秒間継続される。例えば、第1領域194に表示される演出ストーリーが2転3転する、いわゆる「スーパーリーチ」を演出表示することができる。同様に、第1図柄決定手段138が取得した変動パターン乱数値が「128」から「191」に含まれる場合、変動時間が「60秒」のパターンBが選択される。このとき、第1装飾図柄190による演出は60秒間継続される。例えば、第1領域194に表示される演出ストーリーが長い、いわゆる「ロングリーチ」を演出表示することができる。以下、パターンCが選択された場合、第1装飾図柄190による演出は30秒間継続され、いわゆる「ノーマルリーチ」を演出表示することができる。また、パターンDが選択された場合には、第1装飾図柄190による演出は10秒間継続され、リーチを伴わない「通常変動」を演出表示することができる。さらに、図5に示す第1変動パターンテーブル214を利用する場合の選択確率は低いが、パターンEが選択された場合には、第1装飾図柄190による演出は3秒で終了し、「短時間変動」を演出表示することができる。
このように、第1変動パターンテーブル214は、変動時間の長いリーチ演出がなされやすいテーブルとなっている。その結果、遊技者に遊技球を入球させる始動口として第1始動口62または第3始動口67を選択させることにより、リーチ演出が頻繁に行われる遊技を積極的に提供することができる。また、変動時間が長い場合、その間に遊技球の消費が抑制されるので、遊技者はリーチ演出が頻繁に行われる遊技をゆっくりとしかも少額の投資額で楽しむことができる。さらに、始動口と変動パターンテーブルとの対応関係が遊技者に提示されていない場合、遊技者はリーチの発生し易い始動口を探すという新たな遊技を楽しむことができる。一方、遊技場は、この遊技機をリーチが頻繁に出る楽しめる遊技台としてアピールすることができる。
一方、本実施例のぱちんこ遊技機10は、別の変動パターンテーブルとして、図6に示す変動時間の短い変動パターンテーブルを有する。上述のように、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間は、一致するように選択されるので、短い変動時間は、特別遊技へ移行するか否かの当否抽選結果を効率的に遊技者に提供する変動パターンであるといえる。この場合、いわゆる、「よく回る台」を形成しやすくなる。この短い変動パターンは、例えば約2/3の選択確率で、3秒の変動時間が選択されるようになっている。この例では、第2図柄決定手段140が取得した変動パターン抽選乱数値が「64」から「255」に含まれる場合、変動時間が「3秒」のパターンEが選択される。前述したように、第2特別図柄193が変動している間のみ、第2装飾図柄191が変動するので、第2装飾図柄191による演出は3秒間で終了する。いわゆる「短時間変動」を演出表示することができる。同様に、第2図柄決定手段140が取得した変動パターン抽選乱数値が「16」から「63」に含まれる場合、変動時間が「10秒」のパターンDが選択される。このとき、第2装飾図柄191による演出は10秒間継続される。いわゆる「通常変動」を演出表示することができる。また、第2変動パターンテーブル216を利用する場合の選択確率は低いが、パターンC、パターンB、パターンAが選択された場合、第2装飾図柄191による演出がそれぞれの変動時間で行われる。
このように、遊技者に遊技球を入球させる始動口として第2始動口63を選択させることにより、抽選結果を短時間で効率よく表示できる遊技を提供することができる。また、始動口と変動パターンテーブルとの対応関係が遊技者に提示されていない場合、遊技者は、よく回るための始動口を探すという新たな遊技を楽しむことができる。一方、遊技場は、この遊技機を「よく回る台」としてアピールすることができる。
このように、第1特別図柄192の変動時間として長い変動時間が選択されやすくなる。一方、第2特別図柄193の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動時間に明確な差を設けることが可能になり、第1特別図柄192に基づく遊技性と第2特別図柄193に基づく遊技性を容易に差別化することができる。例えば、遊技者が第1特別図柄192に基づく遊技を選択して遊技する場合、第1特別図柄192の1回の変動時間が長く、遊技者は遊技をゆっくり進めることが可能になり、少額の投資額により長時間遊技することができる。また、遊技者が、第2特別図柄193に基づく遊技を選択して遊技する場合、第2特別図柄193の1回の変動時間が短く、遊技者は特別遊技移行のための抽選結果を効率的に得られる遊技が可能になり、テンポのよい遊技をすることができる。
本実施例のぱちんこ遊技機は、第1特別図柄192の変動パターンと、第2特別図柄193の変動パターンをそれぞれ異なる変動パターンテーブルから選択するので、第1特別図柄192、第2特別図柄193のそれぞれに関連した特徴的な変動時間による演出を容易に行える。例えば、図1に示すぱちんこ遊技機10の場合、第1始動口62または第3始動口67への入球を狙い、第1特別図柄192を変動させる第1の遊技形態と、第2始動口63への入球を狙い、第2特別図柄193を変動させる第2の遊技形態を遊技者に選択させることができる。第1の遊技形態の場合、第1特別図柄192のパターンとして長い変動パターンが選択されやすくなる。つまり、第1装飾図柄190の図柄変動として長いパターンが選択されやすくなる。この場合、第1始動口62、第3始動口67への入球に基づく第1抽選の結果表示回数は少なくなるが、変動時間が長くリーチ演出を頻繁に導く遊技を提供できる。逆に、第2の遊技形態の場合、第2特別図柄193のパターンとして短い変動パターンが選択されやすくなる。つまり、第2装飾図柄191の図柄変動のパターンとして短いパターンが選択されやすくなる。その結果、リーチ演出の頻度は低下するが、第2始動口63の入球に基づく第2抽選の結果表示が効率的に行われる遊技を提供することができる。
このように、第1特別図柄192と第2特別図柄193とで、異なる変動パターンテーブルを利用して変動時間を変化させることにより、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動演出性の向上のみならず、第1装飾図柄190および第2装飾図柄191の変動演出性を容易に向上できる。言い換えれば、第1図柄決定手段138および第2図柄決定手段140が特別図柄の変動パターンを選択するときに、別々の変動パターンテーブルを参照するので、第1特別図柄192と第2特別図柄193は異なる傾向の変動時間の選択が可能となり、第1抽選の結果と第2抽選の結果を異なるパターンで遊技者に提示できる。その結果、第1特別図柄192に基づく遊技性と第2特別図柄193に基づく遊技性の差異を容易に設定できる。
また、長い変動時間の変動パターンテーブルを用いることにより、単位時間あたりの特別遊技の抽選結果表示回数を減らすことができる。つまり、単位時間あたりの特別遊技の発生確率を低くできる。逆に短い変動時間の変動パターンテーブルを用いることにより、単位時間あたりの特別遊技の抽選結果表示回数を増やすことができる。つまり、単位時間あたりの特別遊技の発生確率を高くできる。このように、第1特別図柄192と第2特別図柄193とで、選ばれやすい変動時間が異なる変動パターンテーブルを利用することにより特別遊技の発生確率も容易に調整できる。
なお、図5、図6に示す変動パターンテーブルは一例であり、変動時間の長さや変動時間に対する変動パターン抽選乱数の振分けは、適宜変更することができる。また、上述の例では、第1特別図柄192の変動パターンを選択するとき、図5に示す長い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを用い、第2特別図柄193の変動パターンを選択するとき、図6に示す短い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを用いる例を説明した。しかし、使用する変動パターンテーブルは任意であり、第1特別図柄192用として、図6に示す短い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを用い、第2特別図柄193用として、図5に示す長い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを用いてもよい。
さらに、第1変動テーブル保持手段210および第2変動テーブル保持手段212に、それぞれ特徴の異なる複数の変動パターンテーブルを保持させてもよい。そして、遊技の進行状況などに応じて適宜変動パターンテーブルを選択するようにしてもよい。例えば、第1変動テーブル保持手段210に、図5に示す長い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルと、図6に示す短い変動パターンがされやすい変動パターンテーブルを保持させる。そして、第1装飾図柄190の変動パターンを選択するとき、通常遊技時には、長い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを参照させ、特定遊技である確変時や時短時に移行した場合や、または保留制御手段116により管理される保留球数が所定球数以上になった場合、例えば3球以上になった場合などに、短い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを参照させてもよい。この場合、変動パターンテーブルを使い分け、変動時間を明確に変化させることにより、通常遊技時には、リーチ演出が頻繁に行われる遊技を提供し、特定遊技時には、抽選の結果表示が効率的に行われる遊技を提供することができる。このように、使用する変動パターンテーブルを適宜選択することにより、遊技状態に応じた異なるゲーム形態を容易に形成できる。このとき第2変動テーブル保持手段212には、例えば、10秒などの標準の変動時間が頻繁に選択される変動パターンテーブルを保持させたり、特徴の異なる複数の変動パターンテーブルを保持させてもよい。この場合、第1変動テーブル保持手段210または第2変動テーブル保持手段212を選択すること、つまり、第1始動口62(第3始動口67)または、第2始動口63への入球を選択することによっても異なる形態の遊技へと発展させることができる。
なお、第1変動テーブル保持手段210や第2変動テーブル保持手段212が特徴の異なる複数の変動パターンテーブルを保持する場合、その組合せは適宜選択可能である。例えば、10秒などの標準的な変動時間が頻繁に選択される変動パターンテーブルと、図5に示す長い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを一つの変動テーブル保持手段に保持させることができる。この場合、通常遊技時は標準的な変動時間が選択される頻度が高く、確変時や時短時には長い変動パターンが選択される頻度が高くなるような遊技形態を形成できる。同様に、標準的な変動時間が頻繁に選択される変動パターンテーブルと、図6に示すような短い変動パターンが選択されやすい変動パターンテーブルを一つの変動テーブル保持手段に保持させることができる。この場合も特徴的な遊技形態を形成できる。なお、変動パターンテーブルに含まれる変動時間の種類が同じでも、その選択確率が異なるようにしてもよい。
さらに、第1変動パターンテーブルを利用するための第1始動口62への入球確率と、第2変動パターンテーブルを利用するための第2始動口63への入球確率を変動パターンテーブルに関連付けて変化させてもよい。例えば、遊技盤上の釘の調整や普通電動役物の利用により、入球し易い始動口と、それより入球し難い始動口を形成してもよい。そして、入球し易い始動口への入球により利用される変動パターンテーブルを、例えば変動時間30秒が頻繁に選択されるものとすることができる。また、入球し難い始動口への入球により利用される変動パターンテーブルを、例えば変動時間3秒が頻繁に選択されるものとすることができる。このような設定を行うことにより、特別図柄が比較的長い変動時間となる遊技と、特別図柄が比較的短い変動時間となる遊技とを容易に構成できる。この場合、遊技者は、遊技球を入球する始動口を選ぶことにより所望の遊技形態を容易に選択できる。
このように、本実施例のぱちんこ遊技機10のように、複数の遊技性が融合した弾球遊技機でも遊技者は、第1特別図柄192に基づく遊技と第2特別図柄193に基づく遊技の違いが理解し易く、遊技の混乱を招くことを防止できる。また、変動パターンを明確に分けることにより融合した遊技同士がそれぞれの特徴を打ち消しあうことを容易に防止できる。例えば、第1特別図柄192に基づく遊技と第2特別図柄193に基づく遊技で同一の変動パターンテーブルを利用する場合、変動パターンの出現傾向は互いに似てくる。しかし、本実施例のように、それぞれが別々の変動パターンテーブルを用いることにより、明確に異なる変動パターンを選択させることが可能になる。さらに、第1特別図柄192に基づく遊技性と第2特別図柄193に基づく遊技性を互いに明確に異ならせることができるので、各遊技と変動パターンとを明確に関連付けることができる。例えば、遊技者が第1特別図柄192に基づく遊技を行う場合、長い変動パターンが頻繁に選択される明確な遊技とすることができる。また、第2特別図柄193に基づく遊技を行う場合、短い変動パターンが頻繁に選択される明確な遊技とすることができる。
図7は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動口62、第2始動口63、第3始動口67、一般入賞口72、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、第1特別遊技または第2特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図8は、図7におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。第1始動口62または第3始動口67へ入賞した場合であって(S50のY)、第1保留手段144への保留が上限を超えない場合(S52のY)、特図調整手段152が第1始動口62または第3始動口67への入賞の順序を記録し(S54)、第1保留手段144に第1の当否抽選値が格納される(S56)。S50において第1始動口62または第3始動口67へ入賞がない場合は(S50のN)、S52〜S56の処理をスキップする。S52において、第1始動口62または第3始動口67へ入賞したもののその保留が第1保留手段144の上限数を超えてしまう場合は(S52のN)、S54とS56の処理をスキップする。次に、第2始動口63へ入賞した場合であって(S58のY)、第2保留手段146への保留が上限を超えない場合(S60のY)、特図調整手段152が第2始動口63への入賞の順序を記録し(S61)、第2保留手段146に第2の当否抽選値が格納される(S62)。S58において第2始動口63へ入賞がない場合は(S58のN)、S60〜S62の処理をスキップする。S60において、第2始動口63へ入賞したもののその保留が第2保留手段146の上限数を超えてしまう場合は(S60のN)、S61とS62の処理をスキップする。次に、作動口68へ遊技球が通過した場合であって(S63のY)、普図保留手段147への保留が上限を超えない場合(S64のY)、普図保留手段147に普図抽選値が格納される(S65)。S63において作動口68への遊技球の通過がない場合は(S63のN)、S64およびS65の処理をスキップする。S64において作動口68を遊技球が通過したもののその保留が普図保留手段147の上限数を超えてしまう場合は(S64のN)、S65の処理をスキップする。
図9は、図7におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。第1特別図柄192の変動表示タイミングである場合(S66のY)、第1特別図柄192および第1装飾図柄190の変動表示を処理し(S67)、第1特別図柄192の変動表示タイミングでない場合(S66のN)、第2特別図柄193および第2装飾図柄191の変動表示を処理する(S68)。第1特別図柄192の変動表示タイミングであるか、第2特別図柄193の変動表示タイミングであるかは、特図調整手段152により記録された第1始動口62および第3始動口67への入賞と第2始動口63への入賞の順序に応じて決定される。次に、普通図柄の変動表示を処理する(S69)。このように第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち一方のみが選択的に変動表示されるとともに、第1装飾図柄190および第2装飾図柄191のうち一方のみが選択的に変動表示される。
図10は、図9におけるS67、S68、S69の図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。S67、S68、S69における各図柄変動は、基本的に処理が共通するので、これらを一つのフローでまとめて説明する。以下、S67の処理としては第1特別図柄192および第1装飾図柄190の変動表示を示し、S68の処理としては第2特別図柄193および第2装飾図柄191の変動表示を示し、S69の処理としては普通図柄の変動表示を示す。保留制御手段116に抽選値の保留がなされている場合(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じた変動パターンにしたがって変動表示が開始される(S36)。S30において抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、すでに図柄変動表示が開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示を処理し(S40)、図柄表示の停止タイミングに達したときは(S42のY)、表示中の図柄変動を停止する(S44)。S38において図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40からS44の処理をスキップする。S42において図柄表示の停止タイミングに達していないときは(S42のN)、S44の処理をスキップする。
図11は、図10におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。図10におけるS67、S68、S69に関する当否判定処理は、基本的に処理が共通するので、これらを一つのフローでまとめて説明する。S67に関する当否判定処理の場合、第1特別図柄192を変動させる場合の処理であり、S68に関する当否判定処理は、第2特別図柄193を変動させる場合の処理である。また、S69に関する当否判定処理は、普通図柄を変動させる場合の処理である。
当否判定処理が開始されると、当否抽選手段112は、保留制御手段116によって保留状態になっている当否抽選値(乱数)を読み出す(S100)。例えば、第1特別図柄192の図柄変動を行う場合、第1抽選手段126が第1保留手段144から当否抽選値を読み出してくる。そして、第1抽選手段126により当否判定が行われ、当否判定結果が取得される(S102)。続いて、図柄決定手段114は、当否抽選値に基づき、例えば、0〜255までの値範囲から取得される乱数である停止図柄抽選値を取得する(S104)。第1特別図柄192の図柄変動を行う場合、第1図柄決定手段138がテーブル保持手段115の第1図柄範囲テーブル204を参照して、停止図柄抽選値に対応する停止図柄を決定する(S106)。さらに、図柄決定手段114は、当否抽選値に基づき、例えば、0〜255までの値範囲から取得される乱数である変動パターン抽選値を取得する(S108)。例えば、第1特別図柄192の図柄変動を行う場合、第1図柄決定手段138がテーブル保持手段115の第1変動テーブル保持手段210を参照する。このとき、第1変動テーブル保持手段210に保持されている変動パターンテーブルが1種類の場合はその変動パターンテーブルを選択する(S110)。また、第1変動テーブル保持手段210に特徴の異なる変動パターンテーブルが複数保持されている場合には、ぱちんこ遊技機10の動作状態などに基づき変動パターンテーブルの選択を行う。例えば、通常遊技の場合は、標準的な変動時間が頻繁に選択される変動パターンテーブルを選択する。また、確変中や時短中の場合には、短い変動時間が頻繁に選択される変動パターンテーブルを選択する。第1特別図柄192の図柄変動を行う場合、第1変動パターンテーブル214が選択され、変動パターン抽選値に対応する変動パターンの選択が行われる(S112)。第1特別図柄192について、当否結果と停止図柄と変動パターンとが決定されると、図10のS36に移行し、変動表示を開始する。S68に関連する処理やS69に関連する処理を行う場合も同様な手順で処理が行われる。
このように、第1特別図柄および第2特別図柄のそれぞれに専用の変動パターンテーブルを利用することにより、第1特別図柄の変動に基づく遊技および第2特別図柄の変動に基づく遊技にそれぞれ特徴的な遊技性を持たせることが容易にできる。例えば、第1特別図柄が対応する第1の遊技は、変動パターンが長くリーチ演出が発生し易い遊技とすることができる。また、第2特別図柄が対応する第2の遊技は、変動パターンが短く、抽選結果の表示効率が高い遊技とすることができる。また、第1特別図柄の変動に基づく遊技および第2特別図柄の変動に基づく遊技に関連性を容易に持たせることもできる。例えば、第1特別図柄の変動に関する第1の遊技が例えば確変遊技や時短遊技に移行した場合、第2の遊技も確変遊技や時短遊技に移行させる場合がある。このような場合、第2特別図柄の変動パターンを決める第2変動パターンテーブルを第1の遊技に応じて選択することにより第1の遊技との関連を持たせつつ、第2の遊技として、リーチが多い遊技や回転効率がよい遊技を提供できる。なお、第1変動テーブル保持手段210または第2変動テーブル保持手段212に保持する変動パターンテーブルの変動時間の特徴やその変動時間の選択確率、一つの変動テーブル保持手段に保持する変動パターンテーブル数などは、適宜選択可能である。第1変動テーブル保持手段210および第2変動テーブル保持手段212で保持する変動パターンテーブルを変化させることにより容易に第1特別図柄および第2特別図柄の変動パターンを増加でき、遊技性の向上に寄与できる。
図12は、図7におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。実行中の特別遊技が第1特別遊技であれば(S90のY)、第1特別遊技の制御を処理し(S92)、実行中の特別遊技が第1特別遊技でなければ(S90のN)、第2特別遊技の制御を処理する(S94)。このように第1特別遊技および第2特別遊技のいずれか一方のみが選択的に実行される。
図13は、図12におけるS92の第1特別遊技とS94の第2特別遊技を詳細に示すフローチャートである。S92、S94における各特別遊技は、基本的に処理が共通するので、これらを一つのフローでまとめて説明する。まず、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放する(S74)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数が9球以上に達した場合(S78のY)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS92またはS94のフローを終了する。
S80における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS92またはS94のフローを終了する(S90)。
(実施例2)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、設けられた大入賞口が1個である点で、2個の大入賞口が設けられた実施例1のぱちんこ遊技機と異なる。大入賞口の数以外は、基本的に実施例1のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例1との相違点を中心に本実施例を説明する。
図14は、実施例2におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。大入賞口66は、遊技領域52の下部に設けられる。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、入口を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を含む。大入賞口66は第1の遊技および第2の遊技の双方に対応する大入賞口として共用される。入賞検出装置78は、遊技球の入球を示す入賞情報として、第1特別遊技中は第1大入賞口入賞情報を生成し、第2特別遊技中は第2大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、アウト口58の上方の位置に設けられる。以上のように、単体の大入賞口66が、実施例1における第1大入賞口91および第2大入賞口92の機能を兼ね備える構成となっている。これにより、遊技領域上のスペースを有効活用できる。また、連続的に状態変化する可変入球装置を共通とすることで、特別遊技の動作制御を単純にすることができ、また製造コストの削減にもつながる。
(実施例3)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、演出表示装置の画面における第1領域と第2領域の位置関係およびサイズが実施例1のぱちんこ遊技機と異なる。演出表示装置の画面以外は、基本的に実施例1のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例1との相違点を中心に本実施例を説明する。
図15は、実施例3におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。本実施例の領域設定手段174は、演出表示装置60の画面において、第2領域195が第1領域194より小さな領域となるよう第1領域194および第2領域195を設定する。また、第2装飾図柄191が表示される第2領域195において、いわゆるスーパーリーチのようなとくに遊技者が注目すべき演出を表示させる場合に第2領域195のサイズを拡大することにより第2装飾図柄191を拡大表示させる。このように、第1領域194および第2領域195に対して表示領域の大きさに優劣がつけられることにより、遊技者は視覚的にこれらを区別しやすい。また、小さく表示された内容に対して注目すべきタイミングでは、その内容を拡大表示させることにより容易に遊技者の注目を得ることができる。このように、複数の遊技性が混在してもそれぞれの遊技性が個別に把握できるよう制御することにより、遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
(実施例4)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、設けられた大入賞口が1個である点で、2個の大入賞口が設けられた実施例3のぱちんこ遊技機と異なる。大入賞口の数以外は、基本的に実施例3のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例3との相違点を中心に本実施例を説明する。
図16は、実施例4におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。大入賞口66は、実施例2における大入賞口66と同様の位置に同様の形状および機能をもつ大入賞口として設けられる。このように、単体の大入賞口66が、実施例3における第1大入賞口91および第2大入賞口92の機能を兼ね備える構成となっている。これにより、遊技領域上のスペースを有効活用できる。また、連続的に状態変化する可変入球装置を共通とすることで、特別遊技の動作制御を単純にすることができ、また製造コストの削減にもつながる。
(実施例5)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、設けられた始動口が2個である点で、3個の始動口が設けられた実施例1のぱちんこ遊技機と異なる。始動口の数以外は、基本的に実施例1のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例1との相違点を中心に本実施例を説明する。
図17は、実施例5におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。遊技領域52には、第1の遊技に対応する第1始動口62と、第2の遊技に対応する第2始動口63が設けられる。本実施例の第2始動口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。第1始動口62が第2始動口63の入口を覆うような位置に設けられているので、第2始動口63は普通電動役物65が開放されなければ遊技球が入球しない。第1始動口62と第2始動口63は、それぞれへの入球に対する賞球数が異なる。たとえば第1始動口62の賞球数が「3」に設定されるのに対して、第2始動口63の賞球数が「7」に設定されるなど、賞球数に差を設けることにより多様な遊技性を実現する。これにより、時短中以外は賞球数が「3」である第1始動口62にしかほとんど入球しないのに対し、時短中は賞球数が「7」である第2始動口63にも多くの遊技球が入球可能となる。遊技者は時短中に持ち玉をほとんど減らさずに遊技を進行させることができる。
(実施例6)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、設けられた大入賞口が1個である点で、2個の大入賞口が設けられた実施例5のぱちんこ遊技機と異なる。大入賞口の数以外は、基本的に実施例5のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例5との相違点を中心に本実施例を説明する。
図18は、実施例6におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。大入賞口66は、実施例2における大入賞口66と同様の位置に同様の形状および機能をもつ大入賞口として設けられる。このように、単体の大入賞口66が、実施例5における第1大入賞口91および第2大入賞口92の機能を兼ね備える構成となっている。これにより、遊技領域上のスペースを有効活用できる。また、連続的に状態変化する可変入球装置を共通とすることで、特別遊技の動作制御を単純にすることができ、また製造コストの削減にもつながる。
(実施例7)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、演出表示装置の画面における第1領域と第2領域の位置関係およびサイズが実施例5のぱちんこ遊技機と異なる。演出表示装置の画面以外は、基本的に実施例5のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例5との相違点を中心に本実施例を説明する。
図19は、実施例7におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。本実施例の領域設定手段174は、実施例3の領域設定手段174と同様に、演出表示装置60の画面において、第2領域195が第1領域194より小さな領域となるよう第1領域194および第2領域195を設定する。また、第2装飾図柄191が表示される第2領域195において、いわゆるスーパーリーチのようなとくに遊技者が注目すべき演出を表示させる場合に第2領域195のサイズを拡大することにより第2装飾図柄191を拡大表示させる。このように、第1領域194および第2領域195に対して表示領域の大きさに優劣がつけられることにより、遊技者は視覚的にこれらを区別しやすい。また、小さく表示された内容に対して注目すべきタイミングでは、その内容を拡大表示させることにより容易に遊技者の注目を得ることができる。このように、複数の遊技性が混在してもそれぞれの遊技性が個別に把握できるよう制御することにより、遊技の複雑化を回避しつつ斬新な遊技性を実現することができる。
(実施例8)
本実施例におけるぱちんこ遊技機は、設けられた大入賞口が1個である点で、2個の大入賞口が設けられた実施例7のぱちんこ遊技機と異なる。大入賞口の数以外は、基本的に実施例7のぱちんこ遊技機と同様の構成および機能を有する。以下、実施例7との相違点を中心に本実施例を説明する。
図20は、実施例8におけるぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。大入賞口66は、実施例2における大入賞口66と同様の位置に同様の形状および機能をもつ大入賞口として設けられる。このように、単体の大入賞口66が、実施例7における第1大入賞口91および第2大入賞口92の機能を兼ね備える構成となっている。これにより、遊技領域上のスペースを有効活用できる。また、連続的に状態変化する可変入球装置を共通とすることで、特別遊技の動作制御を単純にすることができ、また製造コストの削減にもつながる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
各実施例においては、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71として、それぞれ異なる形態の表示装置を用いた例を説明した。すなわち、第1特別図柄表示装置70として7セグメントLED表示装置を用い、第2特別図柄表示装置71として「○」と「×」の2種類のマークを表示する装置を用いる例を説明した。変形例においては、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71として、それぞれ同じ形態の表示装置を用いてもよい。たとえば、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71として、ともに7セグメントLED表示装置を用いる構成としてもよいし、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71として、ともに他の形態の表示装置を用いる構成としてもよい。これにより、第1特別図柄192および第2特別図柄193を決定するときに参照する第1図柄範囲テーブルおよび第2図柄範囲テーブルを一つの図柄範囲テーブルに共通化でき、構成および処理を簡素にすることができる。また、第2特別図柄表示装置71として、第1特別図柄表示装置70と同様の7セグメントLED表示装置を用いれば、確変への移行、第2特別遊技の単位遊技回数や開放時間を、特別な抽選を実行しなくとも第2特別図柄193に応じて決定することができ、構成や処理を簡素にすることができる。