JP4304710B2 - 光測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光測定装置に関し、主に、生体の脳機能診断や循環器系障害診断等の医療分野に適用して光診断画像装置とすることができる。
【0002】
【従来の技術】
生体内部を生体に影響を与えずに測定する装置及び方法が医療分野で望まれており、可視から近赤外領域の波長の光を生体に照射し、照射位置から離れた位置から放出される光によって生体内部を測定する装置が提案されている。
光測定装置を医療分野に適用した光画像診断装置では、頭部や循環器等の各測定対象の酸素代謝の活性化状態を画像表示することが有効的である。
光測定装置は主に散乱吸収体である生体を被測定対象とし、被測定対象の被測定表面に複数の送光点・受光点を配置する。送光点・受光点の配置は、1つの送光点と複数の受光点および複数の送光点と1つの検出点の場合も含み、様々な送光点−受光点の組み合わせについてその散乱透過光を検出する。
【0003】
図24は従来の光測定装置の概要を説明する図である。図24において、被検体には、レーザ光源(λ1〜λ3)からの光を照射する送光点と、被検体を散乱透過してきた光を検出する受光点とが6点ずつ配置され、受光点からの検出光を検出する検出器と検出信号を増幅する増幅器と検出信号をデジタル信号に変換するA/D器とデータ処理部と画像表示部を備える。図25は、この送受光点の配置関係を示している。
一方、生体内部には酸素代謝機能により光スペクトル変化を起こす生体色素(例えば、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロームaa3など)が存在し、これら生体色素に由来する光吸収(あるいは光吸収変化)を測定することで生体内部の酸素代謝に関する情報を得ることができる。例えば、700nm〜900nmの複数波長における吸光度(あるいは吸収度変化)から酸素化/脱酸素化ヘモグロビン量(あるいは変化)に関する情報を得る装置(例えば酸素モニタ)が開発されている。
【0004】
また、生体内に色素等の光造影剤を注入し、その濃度変化を光で追跡して生体内部の情報を得ることも提案されている。光測定装置及び光測定装置を用いた光画像診断装置は、複数の送受光を生体表面に配置して測定した吸光度情報から、生体内部の情報を二次元分布・三次元分布として画像表示し、該画像を用いて診断を行う。現在、実現されている光測定装置あるいは光画像診断装置は、例えば酸素化/脱酸素化ヘモグロビン変化情報等の生体内部情報を、図25に示した送受光点平面に表示し、内部情報を生体表面に投影させた表面マッピング画像(トポグラフィ)として表している。
【0005】
光測定装置を用いて得た光画像診断装置の臨床応用としては、人頭部に適用した場合の脳機能診断や局所的脳内出血診断など、腹部測定時の臓器機能診断などを挙げることができる。特に、例えば四肢を運動させた時に起こる脳運動野の賦活状態といった測定では、画像として捉えることが非常に有効である。こうした画像診断においては、変化領域の位置精度あるいは空間分解能や定量的な精度も求められる。
変化領域の位置精度あるいは空間分解能や定量的な精度に対する要求に対して、従来の光測定装置の画像表示、例えば、特開平9−19408号公報では、その測定吸光度(あるいは吸収度変化)、又は複数の波長により測定された吸光度(あるいは吸収度変化)から演算される酸素化/脱酸素化ヘモグロビン量を送受光点の中点にある画素に代入し、送受光点の中点でない画素については複数の測定吸光度(あるいは吸収度変化)を補間した値を代入することで二次元画像を表示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
測定信号を単に画素に代入・補間する方法で得られる画像は、大まかな変化分布の傾向をみることができるため現在臨床分野で利用されつつあるが、測定上不便なところや得られる画像に対する不満が指摘されている。
従来技術のように、測定信号を単に画素に代入・補間することによって画像表示を行う場合には、以下のような問題がある。
【0007】
(1)送受光間距離の異なる測定では、同一画像を構成するデータとして扱うことができないため、従来の光測定装置では、全ての送受光点の組み合わせが同じ距離になるようにプローブを配置する必要があり、送受光点の設置位置に制限があるという問題がある。
(2)被検体内部にある吸収(あるいは吸収変化)部分と送受光点との位置関係によって、得られる画像の値が異なって表示されるという問題がある。
(3)被検体の表面からの深さ方向に対する情報に拡張することができず、三次元画像への拡張が困難であるという問題がある。
【0008】
第1の問題となるのは、送受光プローブの配置が不自由であるという問題である。従来技術による画像方法では、1つの画像を再構成するのに用いることができるデータは全て送受光点距離が等しいもののみに限られる。例えば、6照射点・6検出点の組み合わせで測定する場合、図25に示すように各送光点・受光点が等間隔の千鳥格子になるように配列すれば、送光点(A)-受光点[a],送光点(A)-受光点[c],送光点(B)-受光点[a],‥‥,送光点(F)-受光点[f]の16通りの送受光点の組み合わせで得られるデータによって画像を得ることができる。この場合、仮に送光点(A)-受光点[b],送光点(A)-受光点[d],‥‥といった組み合わせで得られる測定データは、前記した16データとは送受光距離が異なるため、組み合わせて画像化することはできない。
【0009】
更に、図26において、測定部位の一部に傷があるとか他の装置のプローブと干渉するなどの理由で送光点(B)が等間隔の位置に置けない場合、例え僅か図中の上側に(B)をずらすことによって配置できるとしても、送光点(B)−受光点[a],送光点(B)−受光点[b],送光点(B)−受光点[c],送光点(B)−受光点[d]の4つのデータは他の12データと合せて画像化することができず、補間に対する影響もあって結果的に斜線部分は欠損した画像になる。
【0010】
また、測定する部位が横長な形をしているとき、同じ6送光点・6受光点を図27のように配置することもできるが、長さaとbは等しくしなければならず、送受光点の組み合わせは17通りとなる。結局、この配置によって測定できる測定部位の形は横3:縦2(あるいは縦3:横2)のみに限定される。
こうした送受光点の配置問題は、生体を対象とした装置であることを考えると大きな制限になるばかりでなく、特に脳機能計測分野では他の装置との組み合わせた計測が望まれていることからも好ましいことではない。
【0011】
第2に問題になるのが、生体内部にある吸収(あるいは吸収変化)部分が送受光点に対してどこにあるかによって、得られる吸収(あるいは吸収変化)部分の画像値が異なって表示されるという問題である。生体内部において、送受光点に対する吸収(あるいは吸収変化)部分の位置によって、画像表示される変化部分の大きさや変化量(画像値)が異なって表示され、生体内部で同じ変化が生じたとしても、送受光点プローブの配置位置が少しずれるだけで表示画像が異なり、観測者に異なったイメージを与えてしまっていることになる。
【0012】
こうした再構成画像の定量的な問題は、異なる画像間の比較はもとより、同一画像内の異なる部分の定量的な比較すらも確実ではなく、例えば、画像の左上側の変化は中央部分の変化より大きいといった知見も不確かなものとなる。これは、内部変化を画像として表示しているメリットを著しく損ねてしまうことにもなる。
第3に問題になるのは、被検体の深さ方向に対する拡張性の問題である。これまでの表面マッピング画像は、表面からの奥行方向に関して変化を重ね合わせた画像として表示している。生体内部の変化が表面からどの程度の深さで起こっているのかは、臨床的にも有用なデータである。特に脳機能測定において、ヘモグロビンの酸素化/脱酸素化変化が皮膚表面に近いところで起こっているのか、それより深い位置にある脳表面で起こっているのかは重要な情報である。しかしながら、従来技術による画像方法では、例え送受光点を増やして得られるデータを多くしてもこうした要求に原理的に応えられない。
【0013】
そこで、本発明は従来の課題を解決して、送受光点の配置位置を制限することなく任意の配置位置で画像表示を行うことを目的とし、また、被検体内部の吸収(あるいは吸収変化)部分と送受光点との位置関係に影響されない画像表示を行うことを目的とし、また、被検体の表面からの深さ方向に対する情報に拡張して三次元の画像表示を行うことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記した従来技術の各問題は、従来技術、例えば特開平9−19408号公報では、
(a)光が散乱吸収体である被検体内部を透過する際の感度分布(飛行距離分布)は、散乱により送受光点間で拡がりをもった形となっているのにも関わらず、送受光点の中点のみを飛行するとして近似し、画素値を算出する点。
(b)送受光点の中点でない画素は、上記の近似では不定解になってしまうため、中点の画素値を補間することによって画像値を求める。そのため、中点である画素とそうでない画素との扱いが全く異なる点、に起因している。
【0015】
そこで、本発明では
(A)光の感度分布(飛行距離分布)を求め、この感度分布を利用して各画素値を求め画像を構成する。
(B)画像の各画素値を求める演算式において、求める画像の画素数に対して送受光点の組み合わせによる測定値が少ないことによる不定要素を補うために、求める画像の空間的特性を制約する条件を付加することで、送受光点の配置位置や、また、画素位置と送受光点との位置関係に影響されない画素値を求め、二次元または三次元の画像表示を行うことができる。
【0016】
なお、感度分布は、拡散理論やMonte・Carloシミュレーションなどによって求めることができる。また、測定される吸光度(吸収度変化)は、内部の吸収(吸収変化)と内部を飛行した光の距離の1次結合で近似されることから、内部の平均飛行距離分布を光拡散理論などで求め、更に求める画素に空間的な特性を与えることで二次元画像化する。なお、前記1次結合による近似は、散乱系において内部吸収変化による光の飛行分布変化が無視できるような吸光度変化であるとしている。
【0017】
本発明の第1の態様は、複数の送光点から被検体に対して光を照射し、複数の受光点で被検体を透過してきた光を受光する光送受光手段と、光送受光手段で検出された光信号の光強度信号を測定する光強度信号測定手段と、光強度信号に対する重みを被検体内の各位置毎に表す感度分布を、複数の送受光点中の送受光点の一組み合わせ毎に形成する感度分布形成手段と、光強度信号と感度分布を用いて被検体の内部状態を表す画像信号を演算する画像形成手段とを備えた構成とし、画像形成手段で求めた画像信号を用いて被検体の内部状態を画像表示する。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様に加えて、画像形成手段が形成する画像領域の空間特性を制限する空間的特性制約条件を形成する空間的特性制約条件形成手段を備えた構成とする。
画像形成手段は、求める画像の画素数に対して送受光点の組み合わせによる測定値が少ない場合、この空間的特性制約条件を加えることによって不定要素を補って画像信号を求める。空間的特性制約条件は、画像領域中の隣接する画像信号間は滑らかに変化する条件とすることができる。
【0019】
また、本発明の光強度信号測定手段が形成する光強度信号は種々の態様とすることができる。光強度信号の第1の態様は、各時点における検出信号の信号強度、あるいは吸光度又は吸光度変化とすることができ、第2の態様は、被検体にパルス光を照射した時間を基準として定まる所定時間範囲のゲート時間内における光信号を積算して得られるゲート時間内光強度信号、あるいは吸光度又は吸光度変化とすることができる。
【0020】
また、光強度信号の第3の態様は、被検体内の平均的な吸収係数あるいは吸収係数変化とすることができる。光強度信号測定手段は、光信号から被検体内の平均的飛行距離を算出して平均光路長を求める平均光路長算出部と、光信号から吸光度を算出する吸光度算出部と、吸光度を平均光路長で除算して平均吸収係数を算出する除算部を備える。また、この態様では、感度分布形成手段は、送受光点における総飛行距離を算出する総飛行距離算出部と、前記感度分布を総飛行距離で除算する除算部を含み、画像演算手段は、平均的な吸収係数あるいは吸収係数変化と、総飛行距離で除算した感度分布を用いて画像信号を演算する。
【0021】
また、感度分布形成手段は、被検体内の光学的特性と画像信号から求めた光学的特性とを比較して感度分布を補正する処理を繰り返すことによって、感度分布の精度を高めることができる。
本発明の光測定装置は、光強度信号測定を複数波長で行い、画像形成手段で複数波長について画像信号を求め、この画像信号を用いて波長間演算を行う構成、あるいは、光強度信号測定を複数波長で行い、複数波長の光強度信号を用いて波長間演算を行って得られた信号を光信号として画像信号を形成する構成とすることができ、これによって、例えば酸素化/脱酸素化ヘモグロビン等の生体に特有の成分に関する画像を表示することができる。
【0022】
本発明の光測定装置は、二次元の感度分布を用いて二次元画像を表示したり、あるいは三次元の感度分布を用いて二次元画像若しくは三次元画像を表示することができる。
また、本発明の光測定装置の画像形成手段は、任意の画素における画像信号の時間変化、あるいは任意の複数画素における画像信号の平均値の時間変化を基準とし、他画素における画像信号の時間変化との相関を求め、この相関によって被検体の内部状態を画像表示することができる。
さらに、本発明の光測定装置は、被検体の内部状態の画像表示、あるいは被検体の内部状態の画像の画素時間変化に加えて、磁気共鳴画像、X線画像、超音波画像、脳磁気画像、脳発生画像の少なくとも一画像を同一画面上に重ねて表示することができる。
【0023】
本発明の光測定装置によれば、
(1)送受光間距離の異なる測定データを用いて画像を構成することができ、被測定部位に対してプローブを自由に制限なく配置することができる。また、再構成画像に用いるメッシュあるいはボクセルをプローブ配置に関わりなく、自由に設定できる。
(2)被検体内部にある吸収部分(あるいは吸収変化部分)と送受光点との位置関係に依存しない画素値を得ることができ、位置関係の相違による画像の変化を低減して表示することができる。
(3)被検体の表面情報に深さ方向に対する情報を加えて、三次元画像に拡張することができる。
(4)画像演算で計算される値は、平均吸収係数等の、物理的に意味のある内部吸収のみに依存する値であるため、ターゲットとしている物質のモル吸光係数から平均濃度に換算することができる。従って、異なるプローブ配置で求めた2つの画像間で比較検討を行なうことができる。
(5)物理的に意味のある感度分布を用いていることによって、感度分布の選択的適用や繰り返し演算を行なうことで、再構成される画像の空間分解能や濃度の定量性を向上させることができる。
(6)物理的に意味のある画像の空間的制限を用いることによって、測定データ数などの状態により空間分解能を上げて再構成することができる。
という効果を奏することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本発明の光測定装置による画像構成の原理について説明する。本発明では、画像の再構成を行うために被検体を適当なメッシュあるいはボクセル(微小立体)に分割する。メッシュあるいはボクセルは、画像を構成する画像領域を形成する。なお、メッシュは二次元で分割する場合であり、ボクセル三次元で分割する場合である。なお、以下、二次元の場合について説明する。
図1は、被検体の送受光点及び各メッシュ点の関係を説明する図である。図1に示すように、被検体の測定範囲を適当なメッシュで区切り、該メッシュに必要数の送光点(白丸印)と受光点(黒丸印)を配する。送光点と受光点(黒丸印)の組み合わせは、各個数を掛け合わせた個数存在するが、図1ではi番目の送光点とj番目の受光点の組み合わせのみを示している。この送光点iと受光点jの組み合わせをm番目の測定データ(吸光度変化ΔAbs(m))とする。
【0025】
一方、各メッシュを各画素と対応付けると共に番号を付し、k番目のメッシュ(画素)における吸収係数の変化をΔμ(k)とすると、m番目の測定データは、(1)式で表されるように、各メッシュにおける吸収係数変化Δμ(k)と重みとの一次結合式で表すことができる。
Figure 0004304710
ここでW(m,k)は、k番目のメッシュがm番目の測定データに対して持つ重み(感度分布)である。また、W(k,m)は単位が距離になり、k番目のメッシュがm番目の測定データに寄与する平均光路長であると言うことができる。
【0026】
送光点数をI点,受光点数をJ点とすれば、測定数の組は最大I×J個まで可能であるが、実際上、送受光点の距離が遠すぎるものはS/N比が悪く計算に使えない。そのため、最大値I×J個より少ない適当な数M個だけの式(1)が得られる。この式の個数Mがメッシュの総数Kよりも多ければそのまま連立方程式として解けるが、通常MはKより小さいため不定解となって解くことができない。
そこで、画像領域の空間特性を制限する空間的特性制約条件を付加することによって連立方程式の個数を増やし、連立方程式を解ける状態とすることができる。
【0027】
空間的特性制約条件は、各メッシュが持つの値Δμ(k)に対して制約条件の式をn個形成して式(1)に追加することで、式の個数を(m+n)をM以上にすることができる。これを行列表示した連立方程式が式(2)である。
式の数を十分大きくした後、M=m+nならばWの逆行列を、M>m+nならば最小2乗法で連立方程式を解き、Δμ(k)の画像の式(3)を得る。
【0028】
【数1】
Figure 0004304710
【0029】
なお、aは測定データを示し、xはΔμ(k)を示している。
被検体のヘモグロビン濃度について画像表示する場合には、複数波長で吸収係数Δμ(k)を求め、この吸収係数Δμ(k)に所定係数を掛けて加え合わせることによって算出する。
なお、式(3)を非線形な拘束条件のもとで解かない限り、線形関係が保たれる。従って、最初に複数波長の測定データからヘモグロビン濃度に関する値を計算した後、このヘモグロビン濃度に対して前記演算を施して画像化することもできる。
【0030】
図2の簡単な例を用いて上述の拘束条件を具体的に説明する。ここでは、3×3の合計9個のメッシュについて2つの送光点A,Bと2つの受光点a,bを配置した例を示している。A−a、A−b、B−a、B−bの4つの送受光点の組み合わせから図2(b)〜図2(e)の1番目〜4番目の測定データΔA1〜ΔA4と9個のメッシュの吸収係数の変化Δμ1〜Δμ9に対して4つの式が成立する。
ΔA1=W1,1Δμ1+W1,2Δμ2+…+W1,9Δμ9
ΔA2=W2,1Δμ1+W2,2Δμ2+…+W2,9Δμ9
ΔA3=W3,1Δμ1+W3,2Δμ2+…+W3,9Δμ9
ΔA4=W4,1Δμ1+W4,2Δμ2+…+W4,9Δμ9
しかし、未知数である吸収係数Δμ(k)の個数はメッシュ数と同数の9個であるため、少なくとも5個の等式を必要とする。このため、感度分布を用いて以下の式を形成する。
0=Q1,1Δμ1+Q1,2Δμ2+…+Q1,9Δμ9
0=Q2,1Δμ1+Q2,2Δμ2+…+Q2,9Δμ9
:
0=Q5,1Δμ1+Q5,2Δμ2+…+Q5,9Δμ9
これら5つの式が空間的特性制約条件であり、測定データから求めた4つの式及び感度分布から求めた5つの式を組み合わせることによって、解を得るに必要数の9つの連立方程式を形成することができる。
【0031】
次に、本発明の光測定装置の構成例について説明する。
図3は、本発明の光測定装置の第1の構成例を説明するための概略図である。
光測定装置1の第1の構成は、光送受光手段2と光強度信号測定手段3と感度分布形成手段4と画像形成手段5とを備える。
光送受光手段2は、複数の送光点から被検体に対して光を照射し、複数の受光点で被検体を透過してきた光を受光する。光強度信号測定手段3は、光送受光手段2で検出された光信号の光強度信号を測定し、光強度信号を画像演算手段5に送る。
【0032】
感度分布形成手段4において、感度は被検体が光強度信号に対して寄与する重みの程度を表し、感度分布は被検体内の各位置毎の感度であり、複数の送受光点中の送受光点の一組み合わせに対して形成される。
画像演算手段5は、光強度信号測定手段3で光強度信号と感度分布形成手段4で形成した感度分布を用いて、被検体の内部状態を表す画像信号を演算する。画像信号を表示することによって、被検体の内部状態を画像表示することができる。
【0033】
図4は、光測定装置の第1の構成による画像表示の手順を示すフローチャートである。はじめに、光送受光手段2によって測定データを求める。この測定データは、送光点と受光点の組み合わせの中から有意な測定データを選択する(ステップS1)。一方、例えば被検体の形状や被検体内部の光学的パラメータ分布を用いて、拡散方程式に基づく理論解や有限要素法及びモンテカルロシミュレーションにより感度分布を求める(ステップS2)。なお、このステップS2はステップS1の測定工程の前にあらかじめ計算しておいてもよい。
次に、感度分布の値と被検体の内部状態を示す値(例えば吸収係数変化μa)との一次結合式を各測定データ毎に形成して連立方程式を形成し、この連立方程式を解いて内部状態を示す値を求める(ステップS3)。求めた内部状態を示す値あるいは該値から派生した値を各画素値として、画像表示する(ステップS4)。
【0034】
図5は、本発明の光測定装置の第2の構成例を説明するための概略図である。
光測定装置1の第2の構成は、第1の構成例に空間的制約条件検出手段6を付加したものである。空間的制約条件検出手段6は、光強度信号と感度分布を用いた画像演算において連立方程式の式数を増やすために、画像領域の空間特性を制限する空間的特性制約条件を形成する。画像演算手段5は、光強度信号と感度分布と空間的特性制約条件を用いて、被検体の内部状態を表す画像信号を演算し、画像表示する。
【0035】
図6は、光測定装置の第2の構成による画像表示の手順を示すフローチャートであり、図4のフローチャートのステップS1と同様の測定データを求めて選択する工程(ステップS11)と、ステップS2と同様の感度分布を求める工程(ステップS12)に加えて、空間的制約条件を求める工程を付加する(ステップS13)。
次に、感度分布の値と被検体の内部状態を示す値(例えば吸収係数変化μa)との一次結合式を各測定データ毎に形成して連立方程式を形成し、更に、内部状態を示す値について空間的制約条件を用いた方程式を形成し、連立方程式に付加する。この式を付加した連立方程式を解いて内部状態を示す値を求める(ステップS14)。求めた内部状態を示す値あるいは該値から派生した値を各画素値として、画像表示する(ステップS15)。
【0036】
次に、本発明で用いる感度分布について説明する。
本発明による光測定によって被検体の内部状態を表す画像を再構成するためには、各画素が測定データに与える影響の度合を示す重み関数を感度分布として求めておく必要がある。
感度分布は、対象とする被検体(例えば生体)の形状および被検体内部の光学パラメータ(散乱係数μs,吸収係数μa,非等方パラメータg,屈折率n等)の分布を用い、拡散方程式に基づく理論解や有限要素法(FEM)・Monte・Carloシミュレーションなどを用いて計算することができる。
被検体によっては簡易なモデルを仮定して求めることができる。例えば、無限平板でかつ光学パラメータが均一であるとして感度分布を求めることができる。
図7は点Aを送光点とし点Bを受光点とするとき、点P(x1,y1,z1)の感度を求めるための概略図であり、送光点Aを原点、送受光点A−B間の距離をρとしたとき、感度δJ(ρ)は拡散方程式に基づいて以下の式で表すことができる。
δJ(ρ)=(z1dS/8π2D)・(1/b3)・(1+(μa/D)1/2・b)・
exp(−(μa/D)1/2・b)[(1/a1)・exp(−(μa/D)1/2・a1
−(1/a2・exp(−(μa/D)1/2・a2)] …(4)
なお、Dは拡散係数(=1/3(μ+μs´))、dSは点Pの断面積、a1はAP間距離、a2はA´P間距離、bはPB間距離である。
【0037】
図8に示すようなモデル(送受光間距離25mm)を考えたとき、送受光点を含む深さ方向の平面(x−z平面,y=0mm)の測定データに対する感度分布は図9のようになる。なお、図9の縦軸は図8で設定した構成微小立体(ボクセル)内を光が飛行する平均的な距離(mm)である。これをz軸方向に対して積算することによって、深さ方向(z軸方向)を積算したx軸上の感度分布となる。更にy軸方向に走査すると、図10(a)に示すような二次元の感度分布(重み関数)を求めることができる。ただし、図10(a)中のバースケールは平均飛行距離の常与対数表示としている。なお、図10(b)は、例えば測定データを送受光点の中点に置く従来方式に従った場合を、本発明の感度分布に対応させて示している。
【0038】
したがって、対象とする生体の形状および生体内部の光学パラメータ分布などの情報を用いて厳密に求めた感度分布に代えて、経験的に知られている生理学的情報によって被検体に近似したモデルを設定して求めた感度分布によっても、従来の方式より充分良い感度分布を与えることができる。
【0039】
また、繰り返し演算によって、より精度の高い感度分布を求めることができる。図11,12は繰り返し演算による感度分布の算出構成図及びフローチャートである。図11に示す構成は、第1,2の構成例に光学的特性測定(算出)手段7及びパラメータ比較手段8を付加したものである。
測定データを求めておくと共に(ステップS21)、光学的特性測定(算出)手段7によって被検体の光学パラメータ分布を仮定して初期パラメータを設定しておく(ステップS22)。感度分布形成手段4は、仮定した初期パラメータを使い、前記した拡散方程式の解や有限要素法によるシミュレーションによって感度分布(重み関数)を求める(ステップS23)。画像演算手段5は、測定データ、感度分布、及び必要な場合には空間的制約条件形成手段6で形成した空間的特性制約を用いて、画像信号を求めて画像を再構成する(ステップS24)。
【0040】
次に、パラメータ比較手段8によって、得られた画像のパラメータと感度分布を計算したパラメータとを比較して、その差が充分に小さければ終了し、差が大きければパラメータを修正してステップS23,24により再度感度分布の計算をやり直し、収束するまで行なう(ステップS25)。
この繰り返し演算によって、より精度の高い感度分布を求め、内部の光学パラメータ分布を反映させた感度分布による画像の再構成を行なう(ステップS26)。
【0041】
次に、二次元画像の空間的特性を制限する制約条件について、具体的な設定方法を説明する。
空間的特性制約条件は、画像中の隣接位置の解の連続性を拘束条件とするものであり、被検体の空間的な吸収係数変化が滑らかであり、各メッシュが持つ値がその近傍にあるメッシュの値に対して緩やかな連続している関係であることを利用するものである。この拘束条件によれば、得られる画像は滑らかな像となる。
【0042】
一般に、滑らかな像は、元画像に高周波成分をカットする処理を施すことによって得ることができる。したがって、画像g(x,y)が滑らかである場合には、二次元フーリエ面における画像G(u,v)が高周波成分を含まない。また、二次元画像のフィルタ処理において高周波成分をカットするには、高周波成分をカットするフィルタ関数F(u,v)を元画像R(u,v)に掛合わせる信号処理を行う。なお、同様な処理を二次元実空間で行なうには、二次元フーリエ面のフィルタ関数F(u,v)を逆二次元フーリエ変換したf(x、y)を元画像r(x,y)に二次元コンボーリューションする。図13(a)は高周波成分をカットするフィルタ関数の例を示し、図13(b)は二次元フーリエ面で表示したフィルタ関数であり、逆二次元フーリエ変換することによって図13(a)の二次元実空間のフィルタ関数を得ることができる。
【0043】
したがって、メッシュが持つ値が滑らかであるという拘束条件を満たす場合には、画像に対して高周波成分をカットする制約を付けて再構成を行なった場合、元画像及び処理後の画像は共に高周波成分がカットされたものになっているはずである。言い換えれば、再構成で得られる画像は、二次元フーリエ面上において図13(b)のフィルタ関数が掛かった状態にあり、その像に図13(b)のフィルタ関数を掛合わせても同じ画像になる。
【0044】
このことは、二次元実空間上では、図13(a)のフィルタ関数を二次元コンボリューションした画像は元の画像と同一とならなければならない。この拘束条件を画像に対する空間的制約条件とすることができ、離散的フィルタ関数をf(i,j)(ただし、i,j=‥‥,−2,−1,0,1,2,‥‥)とし、離散的画像をr(i,j)(ただし、i,j=‥‥,−2,−1,0,1,2,‥‥)とするとき、fとrを二次元コンボリューションしたときの画像が元画像r(i,j)になるという関係が成り立ち、全ての画素(i,j)に対して次式(5)が成り立つことになる。
r(i,j)=ΣmΣnr(i−m,j−n)・f(m,n) …(5)
ただし、m=…,−2,−1,0,1,2,…、n=…,−2,−1,0,1,2,…とする。
【0045】
画像に対して滑らかになるという空間的な制約条件は、上記した高周波成分をカットしたフィルタを掛けても同じ画像になる制約条件の他に、画像の高次微分が0になるという制約条件とすることもできる。
この空間的制約条件によって得た式を感度分布によって形成した式に付加することによって、前記式(2)を形成することができる。
【0046】
前記説明では二次元の場合について示したが、本発明の光測定装置は三次元についても適用することができる。以下、図14〜図16を用いて三次元への適用について説明する。図1で示した平面メッシュを図14のように立体的なメッシュ(ボクセル)とすることによって、三次元画像に拡張することができる。このとき、用いる感度分布は図9に示した3次元分布をx,y,zの立体で算出して使用する。また、三次元空間の特性を制限するためのフィルタ関数としては、例えば図15に示すような三次元フーリエ面における高周波をカットするような関数があり、これを三次元逆フーリエ変換した関数から式(5)と同様に設定し、三次元コンボリューション演算を行う。
【0047】
得られた三次元画像データは、図16(a)に示すように立体的な形状のある切り口を濃淡表示したり、図16(b)に示すように表面から深さ方向に層状に見立てて平面画面表示することもできる。特に、脳機能計測では大脳皮質表面の活性分布が求められるので、例えば表面から1cm〜1.5cmにあたる層を表示することで、疑似的に大脳皮質表面マッピングすることができる。更に、図16(c)に示すように各深層マッピング画像を深さ方向に足し合わせて、二次元再構成画像と同様な表面マッピング画像を求めることができる。また、ある深さ以上の深層マッピング画像のみを積算対象としたマッピング画像を表示することも可能である。
以上のように、従来技術では求められなかった深さ方向に対する情報抽出が可能になるため、特に光脳機能診断で問題になっている皮膚下血液変化と大脳血液変化とを分離して議論できる点で新たなる臨床的見地が得られる可能性がある。
【0048】
次に、本発明の光測定装置の他の実施形態について説明する。
他の実施形態の第1は、測定データをゲート時間内吸光度(吸光度変化)とする。
図17に示すような光時間分解計測システムを用いることで、極短パルス光を被検体に照射したときに再放射される光を時間分解した波形(時間プロファイル)として計測することができる。光時間分解計測システムは、極短パルス光源と時間分解検出器、及び制御部、演算部、画像表示部を備え、極短パルス光源から発した極短パルス光を被検体に照射し、被検体から放出される光を時間変化を検出する。
【0049】
観測される時間分解波形は、図18に示すように極短パルスで入射された光が被検体内部の散乱により拡がりを生じている。そこで、この時間分解波形に対して特定の時間範囲(飛行距離)のみを使って吸光度を求めることによりゲート時間内吸光度を得ることができ、ゲート時間内吸光度の変化からゲート時間内吸光度変化を得ることができる。
このゲート時間内吸光度(吸光度変化)を測定データとして本考案に適用するには、前記式(2)における感度分布を対応するゲート時間内感度分布とする。このゲート時間内吸光度(吸光度変化)を用いることによって、1つの時間分解波形に対して設定する時間範囲(飛行距離)を変えることで、複数の測定データを得ることができ、異なる感度分布の測定データを数多く使用して演算することによって高分解・高精度の再構成画像を得ることができる。
【0050】
他の実施形態の第2は、前記他の実施形態の第1と同様に光時間分解計測システムから得られる測定データを用いるものであり、吸収係数として平均的な吸収係数を算出して画像構成を行う。図19に示す構成例は、平均的な吸収係数を算出する手段として、平均光路長算出手段3a、吸光度算出手段3b、除算手段3cを備え、平均的な吸収係数に対応する感度分布を求める手段として、感度分布形成手段4a、総飛行距離算出手段4b、除算手段4cを備える。
平均光路長算出手段3aは、光時間分解計測システムで得られる時間分解波形を用いて、各送受光点における被検体内の平均的な飛行距離(平均光路長)を計算する。平均光路長は、時間分解波形の時間軸に対する1次モーメントとも呼ばれ、図20において斜線部面積の重心点となる。除算手段3cは、吸光度算出手段3bで求めた吸光度(吸光度変化)を平均光路長で除算して、その送受光点における被検体内の平均的な吸収係数(吸光度変化)を算出する。
【0051】
また、除算手段4cは、感度分布形成手段4aで形成した感度分布を総飛行距離算出手段4bで求めた総飛行距離で除算して、平均的な吸収係数に対応する感度分布を求める。なお、総飛行距離は全メッシュにおける飛行距離の積算値によって求めることができる。平均吸収係数を用いた画像の再構成は、得られる画像の定量性が向上するという効果がある。
平均吸収係数から表面マッピング画像を得るための方法としては、演算で得られた平均吸収係数を送受光点の線上に配置する方法も考えられるが、本発明は、被検体内部の吸収(吸収変化)部分と送受光点との位置関係から影響を受けにくいという利点を有している。
【0052】
なお、平均吸収係数を求める他の方法として、拡散方程式を時間分解波形にフィティングする方法(例えば特開平7−323033号公報)を適用することもできる。
また、平均吸収係数を時間ゲートを用いて算出することもできる。この場合には、図21のようにゲート時間内の検出信号から得られるゲート時間内吸光度(吸光度変化)と、ゲート時間内平均光路長から算出されるゲート時間内平均吸収係数を用いて、画像を再構成する。
【0053】
他の実施形態の第3は、感度分布を固定的ではなく選択的に求めるものであり、被検体からの測定データに基づいて感度分布を求める。
感度分布は、あらかじめ推定した生体内部の光学パラメータ分布を用いて算出の他に、拡散方程式を時間分解波形にフィティングすることによる送受光間毎の生体内部の平均的な光学パラメータの算出、空間的な光の減衰量を用いた光学パラメータの算出等、被検体からの測定データに基づいて感度分布を求める手法で考えられる。
【0054】
選択的適用としては、画像再構成アルゴリズム内で得られた光学パラメータを用いて感度分布を計算する方法、あらかじめ複数の光学パラメータに対する感度分布を計算しておいて測定された値から選択及び補間を行う方法、推定した光学パラメータで得られた感度分布を測定された値により修正する方法等がある。 例えば、拡散方程式を時間分解波形にフィティングする方法では、送受光間における散乱係数μs´および吸収係数μaを求め、それらの値を用いて感度分布を算出する。
【0055】
また、図11,12に示したような繰り返し演算により画像を求める方法では、演算で得られた内部の光学パラメータ分布を用いて感度分布を再計算あるいは選択して感度分布を算出する。
また、あらかじめ求めた感度分布を総飛行距離で除算して平均吸収係数に対する感度分布を求めることによって、感度分布を修正することができる。
内部の光学パラメータに関する情報を用いて感度分布を選択的に適用することによって、実際の被検体に対応した感度分布を求めることができ、再構成される画像の空間分解能や濃度の定量性を向上させることができる。
【0056】
他の実施形態の第4は、空間的特性制約の選択的に適用するものである。本発明の空間的特性制約条件は、求める画像の画素数に対して送受光点の組み合わせによる測定値が少ない不定要素を補うものであり、送受光点の組み合わせ数(測定データ数)によって、その特性を選択的に適用することができる。
例えば、測定データ数が少ない程、空間的制約によってカットする高周波成分を増やした条件で再構成し、逆に測定データ数が多い程、空間的制約がカットする高周波成分を減らした条件で再構成することによって、測定データ数に応じた最適な空間分解能を得ることができる。
【0057】
この空間的特性制約の選択的適用は、1画像における各画素に対して適用することも、あるいは、複数の画素を含む画像領域に対して適用することもできる。例えば、ある画素の近辺において、測定データ密度が低い領域と高い領域で異なる空間的特性制約を設定することもでき、実際の被検体に対応した画像を得ることができる。
他の実施形態の第5は、送受光間距離の選択的に適用するものである。
本発明の感度分布は送受光間距離をパラメータとして計算される分布であり、測定した送受光間距離を用いて計算される感度分布を用いることによって、異なる送受光間距離の測定データであっても、画像を再構成するためのデータとして同等に用いることができる。
【0058】
次に、本発明によるコンピュータシミュレーション結果例を示す。
このシミュレーションでは送受光プローブを各8本ずつ、25mmピッチで配置した試料において内部の一部(18.75mm×18.75mm×6.00mm)が吸収変化を起こしたときを考える。図22はモデル図を示し、図23は本発明による構成画像と従来技術による構成画像を比較して示している。
図23において、(2−a)及び(3−a)は、(1−a)に示すように送光点の真下において吸収変化した場合について、従来技術による画像および本発明による画像を示している。同様に、吸収変化の位置が一組の送受光点の中間にある場合(図23(1−b),(2−b),(3−b))と二組の送受光点の中間にある場合(図23(1−c),(2−c),(3−c))について示している。
【0059】
画像の比較から、従来技術による画像は同じ吸収変化が生じた場合であっても、吸収変化の位置と送受光点との相対的な位置関係が変わるだけで再構成される吸収変化の画像が大きさ・濃淡の違いとして現れる。これに対して、本発明による画像は、従来技術による画像と比較して、比較的同じような濃淡で再構成される。
図23(4−a),(4−b),(4−c)は各画像における吸収変化画像の中心における断面プロット図である。この図から、吸収変化の中心における値が従来技術による画像(トポグラフィで示す)では吸収変化の位置によって約3倍程度になるのに対して、本発明による画像(新アルゴリズムで示す)では約1.5倍程度と改善されていることが分かる。
【0060】
更に本発明において吸収変化が非負の条件を用いて画像を再構成すると、図23(5−a),(5−b),(5−c)となり、ほぼ与えた吸収変化の形と同じになり、吸収変化の中心における値も更に改善される。
この吸収変化が非負という条件は本発明のみで有効であり、従来技術に適用しても改善されない。
なお、図23の画像は、表層から3mmまでは吸収変化が起こらないとし、式(3)は重み付きの最小2乗法で計算している。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光測定装置によれば、送受光点の配置位置を制限することなく任意の配置位置で画像表示を行うことができる。また、被検体内部の吸収(あるいは吸収変化)部分と送受光点との位置関係に影響されない画像表示を行うことができる。また、被検体の表面からの深さ方向に対する情報に拡張して三次元の画像表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被検体の送受光点及び各メッシュ点の関係を説明する図である。
【図2】本発明の被検体のメッシュ点及び送受光点例を説明する図である。
【図3】本発明の光測定装置の第1の構成例を説明するための概略図である。
【図4】本発明の光測定装置の第1の構成による画像表示の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の光測定装置の第2の構成例を説明するための概略図である。
【図6】本発明の光測定装置の第2の構成による画像表示の手順を示すフローチャートである。
【図7】感度を求めるための概略図である。
【図8】感度分布を求めるモデル図である。
【図9】感度分布の一例を示す図である。
【図10】二次元の感度分布の一例を示す図である。
【図11】繰り返し演算による感度分布の算出構成図である。
【図12】繰り返し演算による感度分布のフローチャートである。
【図13】高周波成分をカットするフィルタ関数の例である。
【図14】本発明による画像の立体的なメッシュ(ボクセル)を説明する図である。
【図15】三次元フーリエ面における高周波をカットする関数例である。
【図16】三次元画像の表示例である。
【図17】光時間分解計測システムを説明する図である。
【図18】ゲート時間内検出光信号の一例である。
【図19】平均的な吸収係数を算出する構成例である。
【図20】平均光路長による平均吸収係数を説明する検出信号図である。
【図21】時間ゲートによる平均吸収係数を説明する検出信号図である。
【図22】本発明によるコンピュータシミュレーションのモデル図である。
【図23】本発明によるコンピュータシミュレーションによる構成画像と従来技術による構成画像を比較する図である。
【図24】従来の光測定装置の概要を説明する図である。
【図25】送受光点の配置関係を示す図である。
【図26】送受光点の配置関係を示す図である。
【図27】送受光点の配置関係を示す図である。
【符号の説明】
1…光測定装置、2…送受光手段、3…光強度信号測定手段、3a…平均光路長算出手段、3b…吸光度算出手段、3c,4c…除算手段、4,4a…感度分布形成手段、4b…総飛行距離算出手段、5…画像演算手段、6…空間的制約条件形成手段、7…光学的特性測定手段、8…パラメータ比較手段。

Claims (11)

  1. 複数の送光点から被検体に対して光を照射し、被検体中を通った後再放出される光を複数の受光点で受光する光送受光手段と、
    前記光送受光手段で検出された光信号の光強度信号を測定する光強度信号測定手段と、
    光強度信号に対する重みを被検体内の各位置毎に表す感度分布を、前記複数の送受光点中の送受光点の一組み合わせ毎に形成する感度分布形成手段と、
    前記光強度信号と感度分布を用いて被検体の内部状態を表す画像信号を演算する画像形成手段と、
    前記画像形成手段が形成する画像において、送光点と受光点との組み合わせによる測定数の組が画像のメッシュの総数より小さいため不定解となって解くことができない条件の下で、各メッシュが持つ値がその近傍にあるメッシュの値に対して緩やかな連続している関係であることを利用して空間的特性制約条件を形成する空間的特性制約条件形成手段とを備え、
    前記画像形成手段は、光強度信号と感度分布と空間的特性制約条件を用いて、被検体の内部状態を表す画像信号を演算することを特徴とする、光測定装置。
  2. 前記空間的特性制約条件は、画像領域中の隣接する画像信号間は滑らかに変化する条件であることを特徴とする、請求項記載の光測定装置。
  3. 前記光強度信号測定手段は、被検体にパルス光を照射した時間を基準として定まる所定時間範囲のゲート時間内における光信号を積算して得られるゲート時間内光強度信号を光強度信号とすることを特徴とする、請求項1又は2記載の光測定装置。
  4. 前記光強度信号測定手段は、光信号から被検体内の平均的飛行距離を算出して平均光路長を求める平均光路長算出部と、光信号から吸光度を算出する吸光度算出部と、吸光度を平均光路長で除算して平均吸収係数を算出する除算部を備え、
    前記感度分布形成手段は、送受光点における総飛行距離を算出する総飛行距離算出部と、前記感度分布を総飛行距離で除算する除算部を含むことを特徴とする、請求項記載の光測定装置。
  5. 前記感度分布形成手段は、被検体内の光学的特性と画像信号から求めた光学的特性とを比較して感度分布を補正することを特徴とする、請求項記載の光測定装置。
  6. 光強度信号測定を複数波長で行い、
    画像形成手段で得られた複数波長の画像信号を用いて波長間演算を行い、
    得られた信号を用いて画像表示することを特徴とする、請求項記載の光測定装置。
  7. 光強度信号測定を複数波長で行い、該複数波長の光強度信号を用いて波長間演算を行い、得られた信号を前記光信号とすることを特徴とする、請求項記載の光測定装置。
  8. 二次元感度分布による二次元画像の表示、あるいは三次元感度分布による二次元画像若しくは三次元画像の表示を行うことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の光測定装置。
  9. 前記画像形成手段は、任意の画素における画像信号の時間変化、あるいは任意の複数画素における画像信号の平均値の時間変化を基準とし、他画素における画像信号の時間変化との相関を求め、該相関によって被検体の内部状態を画像表示することを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の光測定装置。
  10. 前記表示は、前記被検体の内部状態の画像表示に、磁気共鳴画像、X線画像、超音波画像、脳磁気画像、脳発生画像の少なくとも一画像を同一画面上に重ねて表示することを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の光測定装置。
  11. 前記表示は、前記被検体の内部状態の画像の画素時間変化と、磁気共鳴画像、X線画像、超音波画像、脳磁気画像、脳発生画像の少なくとも一画像の画素時間変化との相関を求め、該相関によって被検体の内部状態を画像表示することを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載の光測定装置。
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