JP4302343B2 - 配線パターン露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被露光媒体に配線パターンを露光するための配線パターン露光装置に関し、特に、電子回路の印刷配線板、いわゆるプリント基板、を製作するために配線パターンを被露光媒体に露光するための配線パターン露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭62−44718号公報には、液晶パネルに配線パターンを表示させて、フォトレジストを露光するためのパターン露光装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、液晶パネルは、不連続的に並べられた多数の液晶画素により構成されている。したがって、液晶パネルが表示する配線パターンは、互いに分断されながら並べられた複数の画素から形成されている。フォトレジストが、かかる配線パターンで露光されると、不連続的に硬化し、その結果、断線が生じた配線パターンが形成されてしまう。
【0004】
そこで本発明は、断線されていない配線パターンを形成することができる配線パターン露光装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の画素が所定のピッチPにて配列されて構成された画素構造を有し、所望の配線パターンに基づいて該複数の画素が選択的に駆動されることにより、入射した第1の読み出し光を空間的に変調し、該所望の配線パターンを担持した第1のパターン光を生成する電気アドレス型空間光変調器と、該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り、該第1のパターン光から該画素構造を示す信号成分を除去しつつ、該所望の配線パターンを伝達する画素構造除去手段とを備え、該画素構造除去手段は、1/P以上の空間周波数成分を除去する光学的ローパスフィルタからなることを特徴とする配線パターン露光装置を提供している。
【0006】
本発明によれば、電気アドレス型空間光変調器は、複数の画素が所定のピッチPにて配列されて構成された画素構造を有している。電気アドレス型空間光変調器は、所望の配線パターンに基づいて該複数の画素が選択的に駆動されることで、入射した第1の読み出し光を空間的に変調し、該所望の配線パターンを担持した第1のパターン光を生成する。画素構造除去手段が、該第1のパターン光から該画素構造を示す信号成分を除去しつつ、該所望の配線パターンを伝達する。ここで、電気アドレス型空間光変調器の画素構造が所定のピッチPにて配列された複数の画素からなるため、かかる画素構造を有する空間光変調器は、配線パターンを1/(2P)以下の空間周波数成分にて表示する。画素構造除去手段は、1/P以上の空間周波数成分を除去する光学的ローパスフィルタからなる。光学的ローパスフィルタが1/P以上の空間周波数成分を除去することにより、第1のパターンから画素構造に起因する信号成分を除去しつつ、配線パターンを伝達することができる。
【0007】
ここで、画素構造除去手段により画素構造が除去された第1のパターン光を、被露光媒体に伝達することが好ましい。画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達することにより、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0008】
もしくは、画素構造除去手段により画素構造が除去された第1のパターン光を、後段に配置された光アドレス型空間光変調器に伝達しても良い。
【0009】
すなわち、本発明の配線パターン露光装置は、書き込み部と読みだし部とを有する光アドレス型空間光変調器を更に備えていても良い。光アドレス型空間光変調器の書き込み部は、光学的ローパスフィルタから、1/P以上の空間周波数成分が除去された第1のパターン光を受け取り、光アドレス型空間光変調器の読みだし部は、第2の読みだし光を受け取り、書き込み部に入射した第1のパターン光に応じて第2の読みだし光を空間的に変調することにより、第2のパターン光を生成する。
【0010】
光アドレス型空間光変調器は、前記画素構造が除去された第1のパターン光により光アドレスされているので、第2の読みだし光を変調して、該画素構造が除去された第2のパターン光を生成する。このように該画素構造が除去された第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体に、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0011】
光学的ローパスフィルタは、例えば、該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り、該第1のパターン光を空間的にフーリエ変換してそのフーリエ面において該第1のパターン光を空間周波数成分に展開する第1のレンズと、該第1のレンズの該フーリエ面に設けられたアパーチャ板とを備え、該アパーチャ板には、該第1のレンズの光軸を中心に形成されたアパーチャが形成されており、該光学的ローパスフィルタは、該アパーチャ板の該アパーチャを通過した該第1のパターン光を伝達する第2のレンズを更に備え、該アパーチャは、1/(2P)以下の空間周波数を透過し1/P以上の空間周波数をカットするサイズを有していることが好ましい。
【0012】
アパーチャのサイズを、1/P以上の空間周波数をカットしつつ、1/(2P)以下の空間周波数は透過するように設定しているので、光学的ローパスフィルタは、第1のパターン光から1/P以上の空間周波数成分を除去し、1/(2P)以下の空間周波数成分を伝達することができる。したがって、この光学的ローパスフィルタにより、第1のパターン光から画素構造を除去することができる。
【0013】
このように画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。また、画素構造が除去された第1のパターン光を光アドレス型空間光変調器に伝達すれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第2のパターン光を生成する。第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体に対し、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0014】
アパーチャは、3/(4P)以下の空間周波数を透過するサイズを有していることがより好ましい。第1のパターン光から画素構造を除去することができる。
【0015】
もしくは、光学的ローパスフィルタは、該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り該第1のパターン光を結像面に結像する結像レンズからなり、該結像レンズは、該電気アドレス型空間光変調器側の開口数NA L を有し、該開口数NA L は、前記第1のパターン光の波長λに対して、NA L /λ<1/Pの条件を満足するのでも良い。結像レンズが伝達できる最大空間周波数NA L /λが1/Pより低いため、当該結像レンズは、第1のパターン光から1/P以上の空間周波数成分を除去する。したがって、この結像レンズにより、第1のパターン光から画素構造を除去することができる。
【0016】
開口数NA L は、前記第1の読み出し光の波長λに対して、1/(2P)<NA L /λ<1/Pの条件を満足することが、より好ましい。
【0017】
結像レンズが伝達できる最大空間周波数NA L /λが1/(2P)より高く1/Pより低いため、当該結像レンズは、第1のパターン光から1/P以上の空間周波数成分を除去し、1/(2P)以下の空間周波数成分を伝達する。したがって、結像レンズは、第1のパターン光を、画素構造を除去しつつ、配線パターンを劣化させることなく、伝達することができる。
【0018】
この場合、被露光媒体が前記結像レンズの前記結像面に配置されることが好ましい。
【0019】
このように画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0020】
もしくは、本発明の配線パターン露光装置は、書き込み部と読みだし部とを有する光アドレス型空間光変調器を更に備え、該光アドレス型空間光変調器は、該書き込み部が前記結像レンズの前記結像面に位置するように配置され、該書き込み部が記結像レンズから前記第1のパターン光を受け取り、該光アドレス型空間光変調器の該読みだし部は、第2の読みだし光を受け取り、該書き込み部に入射した該第1のパターン光に応じて該第2の読みだし光を空間的に変調することにより、第2のパターン光を生成するように構成しても良い。
【0021】
画素構造が除去された第1のパターン光を光アドレス型空間光変調器に伝達すれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第2のパターン光を生成する。第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体に対し、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0022】
また、該電気アドレス型空間光変調器が該画素構造により生成された該第1のパターン光を伝達する光伝達部を備え、該光伝達部が該第1のパターン光の波長に対する屈折率n G と厚さdとを有する場合には、前記光学的ローパスフィルタは、該電気アドレス型空間光変調器の該光伝達部に接続された該第1のパターン光を伝達するためのファイバー光学プレートからなり、該ファイバー光学プレートの開口数NA FOP は、前記ピッチPと該屈折率n G と該厚さdとに対して、n G ・P/d<NA FOP の条件を満足することが好ましい。ファイバー光学プレートが伝達できる最大空間周波数n G /(d・NA FOP )が1/Pより低くなるため、ファイバー光学プレートは、1/P以上の空間周波数成分を除去する。
【0023】
該ファイバー光学プレートの開口数NA FOP は、前記ピッチPと該屈折率n G と該厚さdとに対して、n G ・P/d<NA FOP <2n G ・P/dの条件を満足することが、より好ましい。ファイバー光学プレートが伝達できる最大空間周波数n G /(d・NA FOP )が1/(2P)より高く1/Pより低くなるため、ファイバー光学プレートは、1/P以上の空間周波数成分を除去しつつ、1/(2P)以下の空間周波数成分を伝達する。したがって、ファイバー光学プレートは、第1のパターン光を、配線パターンを劣化させることなく伝達することができる。
【0024】
例えば、光学的ローパスフィルタの後段に光アドレス型空間光変調器を設ける場合、光学的ローパスフィルタを、電気アドレス型空間光変調器と光アドレス型空間光変調器とに直接接続されたファイバー光学プレートから構成することができる。電気アドレス型空間光変調器が、所定のピッチPにて配列された複数の画素からなる画素構造を有しており、しかも、該画素構造により生成された第1のパターン光を一様な屈折率n G と厚さdとを有する光伝達部を介して伝達する場合において、該ファイバー光学プレートを該光伝達部に直接接続する場合には、該ファイバー光学プレートの開口数NA FOP は、ピッチPと屈折率n G と厚さdとに対して、n G ・P/d<NA FOP <2n G ・P/dの条件を満足することが好ましい。
【0025】
ファイバー光学プレートが伝達できる最大空間周波数n G /(d・NA FOP )が1/(2P)より高く1/Pより低くなるため、ファイバー光学プレートは、1/P以上の空間周波数成分を除去しつつ、1/(2P)以下の空間周波数成分を伝達する。したがって、ファイバー光学プレートの後段に配置された光アドレス型空間光変調器には、第1のパターン光が、画素構造の信号成分が除去された状態で伝達される。したがって、光アドレス型空間光変調器は、画素構造の信号成分が除去された第2のパターン光を生成する。かかる第2のパターン光を被露光媒体に露光すれば、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0026】
また、光学的ローパスフィルタは、位相板からなるのでも良い。位相板は、第1のパターン光を構成する各画素からの光を受け取り、0次回折光を生成すると共に、その両側に一対の1次回折光を生成する。これら一対の1次回折光が当該画素の両側の隙間を埋めることにより、画素構造を除去する。
【0027】
このように画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に露光すれば、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。また、画素構造が除去された第1のパターン光を光アドレス型空間光変調器に伝達すれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第2のパターン光を生成する。第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体に対し、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0028】
もしくは、光学的ローパスフィルタは、複屈折板、たとえば、水晶板でもよい。複屈折板により、第1のパターン光を構成する各画素からの光を拡散し、当該画素の周りの隙間を埋めることで、画素構造を除去することができる。
【0029】
このように画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に露光すれば、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。また、画素構造が除去された第1のパターン光を光アドレス型空間光変調器に伝達すれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第2のパターン光を生成する。第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体に対し、配線パターンを、断線していない状態で、露光することができる。
【0030】
特に、光アドレス型空間光変調器は、平行配向液晶空間光変調器(以下、PAL−SLM(Parallel-aligned nematic liquid crystal spatial light modulator)という)からなることが好ましい。
【0031】
ここで、画素構造除去手段が画素構造を完全には除去できず、第1のパターン光のうち画素からの部分と画素と画素との間の隙間からの部分とでその光強度にわずかに差が残ってしまうことが考えられる。しかしながら、PAL−SLMは、光アドレスされる光強度に対しlog特性を有しているため、第1のパターン光におけるこのわずかな光強度差を除去して第2の読みだし光を変調することができる。したがって、画素からの部分と画素と画素との間の隙間からの部分とでその光強度の差を略完全に除去した、すなわち、画素構造が略完全に除去された第2のパターン光を生成することができる。かかる第2のパターン光を被露光媒体に露光すれば、配線パターンを、略完全に断線していない状態で、露光することができる。
【0032】
また、本発明は、複数の画素が配列されて構成された画素構造を有し、所望の配線パターンに基づいて該複数の画素が選択的に駆動されることにより、入射した第1の読み出し光を空間的に変調し、該所望の配線パターンを担持した第1のパターン光を生成する電気アドレス型空間光変調器と、該第1のパターン光から該画素構造を示す信号成分を除去しつつ、該所望の配線パターンを伝達する画素構造除去手段と、所定の配線パターンのデータを保持するデータ保持手段と、該所定の配線パターンのデータに対し所望の割合にて拡大・縮小演算を施すことで前記所望の配線パターンを生成する拡大・縮小演算手段と、該拡大・縮小演算手段にて生成した該所望の配線パターンに基づいて前記電気アドレス型空間光変調器の複数の画素を選択的に駆動するための画像信号を生成する制御手段とを備え、前記データ保持手段は、積層回路基板を構成する複数の回路基板を作成するための複数の所定の配線パターンのデータを保持しており、更に、既に作成された第i(ここで、iは1以上の自然数)層目の回路基板の歪み状態の計測結果を入力する入力手段を備え、前記拡大・縮小演算手段は、当該入力された計測結果に基づいて、第(i+1)層目の回路基板用の配線パターンを拡大または縮小するための拡大・縮小率を決定し、該決定した拡大・縮小率にて、第(i+1)層目の回路基板用の配線パターンのデータに対し拡大・縮小演算を施し、第(i+1)層目用の所望の配線パターンを生成することを特徴とする配線パターン露光装置を提供している。かかる構成によれば、たとえ、第i層目の回路基板に歪みが生じていたとしても、第(i+1)層目用の回路基板作成用基板上に、第(i+1)層目の配線パターンを第i層目の回路基板の配線パターンと適合した状態で、露光することができる。したがって、積層回路基板を、その連続する上下の層の間で配線パターンにずれが生じないように、作成することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による配線パターン露光装置について図に基づき説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態による配線パターン露光装置1について図1〜図10に基づき説明する。
【0035】
本実施の形態の配線パターン露光装置1は、図1に示すように、回路基板作成用基板Bに対し所望の配線パターンを露光するための装置である。ここで、回路基板作成用基板Bは、プラスチック基板Pと、プラスチック基板P上に形成された銅箔Cと、銅箔C上に形成された感光材S(例えば、フォトレジスト)とからなる。
【0036】
配線パターン露光装置1は、図1に示すように、書き込み光源10と、コリメートレンズ20と、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)30と、結像レンズ40と、制御装置50とからなる。
【0037】
書き込み光源10は、一様な強度分布を有する書き込み光(第1の読み出し光)を生成するためのものである。書き込み光源10は、例えば、YAG−SHGレーザ(第2高調波発生モジュールを備えたYAGレーザ)で構成されている。
【0038】
コリメートレンズ20は、書き込み光源10からの書き込み光をコリメートして平行光を生成するためのものである。
【0039】
LCD30は、所望のパターンにて電気アドレス駆動されることにより、コリメートレンズ20からの書き込み光を強度変調して、当該所望のパターンの強度分布を有する強度変調光(第1のパターン光)を生成するためのものである。LCD30は、透過型の電気アドレス型強度変調型空間光変調器であり、光入射層30a、光伝達層30b、及び、光入射層30aと光伝達層30bとの間に設けられた光変調層30cとから構成されている。
【0040】
結像レンズ40は、LCD30で生成された強度変調光を感光材S上に結像するためのものである。すなわち、回路基板作成用基板Bが、感光材Sが結像レンズ40の結像面に位置するように、配置されている。
【0041】
制御装置50は、パーソナルコンピュータからなり、所望の配線パターンのデータに基づいて、LCD30を駆動することにより、読みだし光に該所望の配線パターンを担持させるためのものである。
【0042】
以下、図2を参照して、LCD30の構造の具体例を説明する。
【0043】
光入射層30aは、偏光板31と透明ガラス基板32とから構成されている。光伝達層30bも、他の透明ガラス基板38と偏光板39とから構成されている。光変調層30cは、透明ガラス基板32上に形成されたシリコン単結晶フィルム33と、シリコン単結晶フィルム33上に形成された画素構造34と、透明ガラス基板38上に形成された対向電極37と、対向電極37と画素構造34との間に形成されたツイストネマチック液晶層36とから構成されている。
【0044】
画素構造34は、シリコン単結晶フィルム33上に配列された複数の透明画素電極35aから形成されている。これら複数の透明画素電極35aは、所定のピッチPにて2次元マトリックス状に配列されている。隣り合う透明画素電極35aの間には、薄膜トランジスタTFTからなるスイッチング素子35bが設けられており、遮光マスクにより覆われている。各透明画素電極35aが書き込み光に対する開口部として機能し、各スイッチング素子35bが書き込み光を遮蔽する光遮蔽部として機能する。こうして、開口部35aが所定のピッチPで配列した画素構造34が形成されている。
【0045】
かかる構成を有するLCD30は、図1に示すように、光入射層30aがコリメートレンズ20に対向し、光伝達層30bが結像レンズ40に対向するように配置されている。光変調層30cの透明画素電極35aが、制御装置50の後述する制御部50dに接続されており、所望の配線パターンにて電気アドレス駆動される。より詳しくは、制御部50dは、所望の配線パターンを示す画像信号により所望のスイッチング素子35bを駆動することにより、対応する画素電極35aを選択的に駆動する。液晶層36では、液晶分子の配向状態が、選択駆動された画素電極35aと対向電極47との間の領域にて変化する。コリメートレンズ20からの書き込み光が偏光板31を介して液晶層36に入射すると、その偏光状態が変化し、偏光板39を介して出射することで、所望の配線パターンの強度分布を担持した強度変調光を生成する。このように、LCD30は、所望の配線パターンの強度分布を有する強度変調光を生成する。
【0046】
ここで、透明画素電極35aは所定のピッチPにて配列されているため、LCD30によって生成可能な信号画像の最大空間周波数(LCD30の解像度)、すなわち、隣り合う透明画素電極35aに交互に白黒を表示した場合の空間周波数は、1/(2P)である。一方、透明画素電極35a自体に起因する信号成分の空間周波数は1/Pであり、上記信号画像最大空間周波数(1/(2P))の2倍の大きさである。
【0047】
結像レンズ40は、LCD30から出力された強度変調光を感光材Sに結像する。ここで、LCD30は、配線パターンを、選択された複数の透明画素電極35aによって、図3の例に示すように表示する。なお、図3は、LCD30の表示画像をCCD撮像装置にて撮像した撮像図である。ここで、透明画素電極35aは遮光層で覆われたスイッチ素子35bにて互いに離隔して配置されている。このため、LCD30は、互いに分断されながら並べられた複数の画素によって、配線パターンを表示している。このため、表示された配線パターンは、不連続にサンプリングされた画像として形成されている。したがって、結像レンズ40がこの配線パターンをこのまま感光材Sに結像したのでは、配線パターンは細切れに断線された状態で感光材Sに露光されてしまう。
【0048】
ここで、平行光が結像レンズ40に入射した場合に結像レンズ40が伝達できる最大空間周波数は、結像レンズの開口数と光の波長とにより決定される。すなわち、結像レンズ40が伝達できる最大空間周波数はNAL/λで表される。ここで、NALは、結像レンズ40のLCD30側の開口数NALであり、λは書き込み光源10からの書き込み光の波長である。したがって、最大空間周波数NAL/λを、LCD30の画素ピッチPに対して、NAL/λ<1/Pの関係を有するように選択すれば、結像レンズ40は、LCD30の画素構造34に起因する空間周波数1/Pの信号成分を、結像面である感光材Sに伝達せずに消去する光学的ローパスフィルタとして機能する。
【0049】
特に、開口数NALを、1/(2P)<NAL/λ<1/Pの関係を満足するように設定すれば、結像レンズ40は、画素構造を除去しつつ、LCD30に表示されている配線パターンの空間周波数成分の全範囲(すなわち、1/(2P)以下の空間周波数成分)について劣化を生じることなく、感光材Sに伝達することができる。したがって、結像面である感光材S上には、LCD30に表示されている配線パターン情報が伝達され、しかも、画素構造34に起因する情報が除去されている像を得ることができる。
【0050】
本実施の形態では、結像レンズ40として、その開口数が1/(2P)<NAL/λ<1/Pの関係を満足しているものを配置している。したがって、結像レンズ40は、LCD30に表示されている図3に示す配線パターンから画素構造34に起因した信号成分を除去し、配線パターンを感光材Sに対し図4に示すように結像する。したがって、感光材Sには、配線パターンが断線されていない状態で露光される。なお、図4は、図1の配線パターン露光装置において、回路基板作成用基板Bの位置に、回路基板作成用基板Bの代わりにCCD撮像装置を配置して撮像した撮像図である。
【0051】
制御装置50は、図1に示すように、メモリ部50aと、入力部50bと、拡大・縮小演算部50cと、制御部50dとからなる。
【0052】
メモリ部50aは、所定の配線パターンのデータを予め格納している。
【0053】
入力部50bは、キーボードやマウス等からなり、ユーザが必要な指示やデータを入力するためのものである。
【0054】
拡大・縮小演算部50cは、所定の配線パターンのデータをメモリ部50aから読み出し、当該所定の配線パターンを所望の拡大・縮小率にて拡大または縮小する演算処理を行うためのものである。拡大・縮小演算部50cは、こうして生成した所望サイズの配線パターンデータを、制御部50dに出力する。
【0055】
ここで、所望の拡大・縮小率の値は、メモリ部50aに予め設定されていてもよく、ユーザが入力部50bに入力しても良く、もしくは、拡大・縮小演算部50cが演算により求めても良い。なお、所望の拡大・縮小率の値が1である場合には、拡大・縮小演算部50cは、拡大・縮小演算を行うことなく、メモリ部50aから読み出した配線パターンのデータをそのまま制御部50dに出力する。
【0056】
制御部50dは、拡大・縮小演算部50cから受け取った配線パターンデータに基づいて画像信号を生成し、当該画像信号に基づいてLCD30のスイッチング素子35b(図2参照)を選択的に駆動するためのものである。こうして、LCD30に対し、所望のサイズの配線パターンを担持した強度変調パターン光を生成させる。
【0057】
以下、上記構成を有する配線パターン露光装置1の動作について説明する。
【0058】
ユーザは、書き込み光源10をオンし、入力部50aに対し露光動作の開始を指示する。かかる指示に従い、拡大・縮小演算部50cは、所定の配線パターンのデータをメモリ部50aから読み出し、当該配線パターンを所望の拡大・縮小率にて拡大・縮小する演算処理を行い、演算結果の配線パターンデータを制御部50dに出力する。制御部50dは、拡大・縮小演算部50cから受け取った配線パターンデータに基づいて画像信号を生成し、当該画像信号に基づいてLCD30のスイッチング素子35bを選択的に駆動する。この結果、LCD30は、図3に示すように、所定の配線パターンを、所望のサイズにて表示する。
【0059】
結像レンズ40は、LCD30に表示されている配線パターンから画素構造34に起因した信号成分を除去し、配線パターンを、図4に示すように、感光材Sに結像する。したがって、感光材Sには、所定の配線パターンが所望のサイズにて、しかも、断線されていない状態で露光される。こうして、配線パターンが、図5の(A)に示すように、感光材Sに照射される。感光材Sは、当該配線パターンの位置で硬化する。
【0060】
露光後の回路基板作成用基板Bは以下のように処理され、回路基板Mが作成される。
【0061】
まず、図5の(B)に示すように、感光材Sのうち硬化していない部分が所定の溶剤にて溶かされ除去される。この結果、硬化していない感光材Sの部分の下の銅箔Cが露出する。次に、露出した銅箔Cが、所定の溶剤により溶かされ除去される。最後に、硬化して残った感光材Sが、所定の溶剤で除去される。この結果、図5の(C)に示すように、配線パターンを有する銅箔Cのみがプラスチック基板P上に残された回路基板Mが完成する。こうして作成された回路基板Mには、所定の配線パターンCが、所望のサイズにて、かつ、断線されていない状態で形成されている。
【0062】
本実施の形態の配線パターン露光装置1は、更に、複数枚の回路基板Mが積層された積層回路基板Nを作成するのにも使用することができる。ただし、この場合には、メモリ部50aには、積層基板Nを構成する複数の回路基板M用の複数の配線パターンのデータが予め格納されている。
【0063】
なお、以下の説明では、2枚の回路基板Mが積層された2層構造の積層回路基板Nを作成する場合について、説明する。したがって、メモリ部50aには、第1層目用の所定の配線パターンのデータと第2層目用の所定の配線パターンのデータとが、予め格納されている。
【0064】
まず、積層回路基板Nを作成する方法の基本原理を、図5を参照して、説明する。
【0065】
まず、配線パターン露光装置1に、第1層目用の回路基板作成用基板Bを、図1に示すように配置する。第1層目用の配線パターンを、第1層目用の回路基板作成用基板Bに露光する(図5(A))。露光された第1層目用の回路基板作成用基板Bから不要な感光材Sと銅箔Cとを除去して、第1層目の回路基板Mを作成する(図5(B)、(C))。次に、図5(D)に示すように、第2層目用の回路基板作成用基板Bを第1層目の回路基板Mの上に積層し、再び、配線パターン露光装置1に配置する。なお、図5(D)の積層基板は、第2層目用の回路基板作成用基板Bの感光材Sが結像レンズ40の結像面に位置するように、配置される。そして、第2層目用の配線パターンを、第2層目用の回路基板作成用基板Bに露光する。その後、図5(E)に示すように、不要な感光材Sと銅箔Cとを第2層目用の回路基板作成用基板Bから除去し、第2層目の回路基板Mを作成する。この結果、2枚の回路基板Mが積層された積層回路基板Nが完成する。
【0066】
しかし、第1層目用の回路基板作成用基板Bが第1層目用の配線パターンにて露光される際(図5(A))、プラスチック基板Pが、レーザ光の熱等の影響により、膨張または収縮する可能性がある。そのため、本実施の形態では、図6に示すように、積層回路基板Nを作成するようにしている。
【0067】
以下、本実施の形態による積層基板作成処理について、図6を参照して、説明する。
【0068】
ここで、第1層目用の配線パターンは、第2層目用の配線パターンと電気的に接続されるための導通点を備えている。同様に、第2層目用の配線パターンも、第1層目用の配線パターンと電気的に接続されるための導通点を備えている。また、第1及び第2層目用の配線パターンは、互いに同一の拡大・縮小率(この場合、1であり、以下、「所定倍率」という)kにて拡大・縮小されて露光されると、その導通点が互いに同一の所定の位置に露光されるように作成されている。このため、メモリ部50aには、第1,第2層目用の所望の拡大・縮小率として、該所定倍率k(この場合、1)が、予め設定されている。
【0069】
まず、配線パターン露光装置1に、第1層目用の回路基板作成用基板Bが、図1に示すように配置される(ステップS10)。
【0070】
次に、拡大・縮小演算部50cは、第1層目用の配線パターンをメモリ部50aから読み出し、これに、所定倍率k(この場合、1)による拡大・縮小演算を施すことで、第1層目用の配線パターンを拡大・縮小し、得られた配線パターンを制御部50dに出力する(ステップS20)。なお、この例では、所定倍率kは1であるため、拡大・縮小演算部50cは、読み出した第1層目用の配線パターンをそのまま制御部50dに出力する。
【0071】
次に、制御部50dは、受け取った配線パターンに基づいて画像信号を生成し、LCD30を駆動して、第1層目用の回路基板作成用基板Bに対し露光動作を行う(ステップS30、図5(A))。この結果、第1層目の回路基板作成用基板Bに、所定倍率k(=1)にて拡大・縮小された第1層目用の配線パターンが露光される。露光された第1層目用の回路基板作成用基板Bから不要な感光材Sと銅箔Cとが除去されて、第1層目の回路基板Mが作成される(図5(B)、(C))。
【0072】
ここで、ステップS30の工程中、第1層目の回路基板Mが、図7の(A)に示すように、膨張も収縮もしなかった場合には、第1層目用の配線パターンは所望のサイズを維持し、そのため、導通点も所定の位置に維持される。したがって、第2層目用の配線パターンを、所定倍率k(この場合、1)にて拡大・縮小して第2層目用の回路基板作成用基板B上に露光すれば、図5(D)及び図7(A)に示すように、第1層目の導通点の位置と第2層目の導通点の位置とが正確に合致することがわかる。
【0073】
一方、第1層目の回路基板Mが、例えば図7の(B)に示すように、全体的に収縮してしまった場合には、導通点が、所定の位置からずれてしまう。かかる場合に、第2層目用の配線パターンを、単に、所定倍率k(この場合、1)にて拡大・縮小して露光したのでは、第1層目の導通点の位置と第2層目の導通点の位置とが、ずれてしまう。
【0074】
そこで、第1層目の回路基板Mが作成されると、ユーザは、第1層目の回路基板Mの歪みの状態を計測し、その計測結果を入力部50bに入力する(S40)。
【0075】
より詳しくは、予め、第1層目用の回路基板作成用基板Bのプラスチック基板Pに、複数の基準点(例えば、4隅の点)をマーキングしておく。ここで、これら基準点は、プラスチック基板Pが膨張や収縮していない元の状態では、所定の基準位置に位置している。なお、当該所定の基準位置を示す基準データを、メモリ部50aに予め格納しておく。ユーザは、第1層目の回路基板M作成後、当該回路基板M上の基準点の位置を計測し、その計測結果を入力部50bに入力する。
【0076】
ユーザは、その後、第2層目用の回路基板作成用基板Bを、図5(D)のように第1層目の回路基板M上に積層し、その状態で、配線パターン露光装置1に配置する(ステップS50)。
【0077】
次に、拡大・縮小演算部50cは、入力された計測結果に基づいて、第1層目の回路基板Mの膨張・収縮率α1を求める(S60)。より詳しくは、拡大・縮小演算部50cは、各基準点の計測位置を、メモリ部50aに格納されている基準データと比較する。すなわち、いずれかの基準点の計測位置が所定の基準位置よりずれているか否かを判断する。いずれかの基準点の計測位置がある割合でずれていれば、第1層目の回路基板Mが、対応する割合で膨張または収縮していることがわかる。そこで、拡大・縮小演算部50cは、この割合を、膨張・収縮割合α1として決定する。
【0078】
拡大・縮小演算部50cは、求めた膨張・収縮率α1を所定倍率k(この例では1)に掛け算して、第2層目の拡大・縮小率β2(=α1xk)を演算する(S70)。
【0079】
なお、全基準点の計測位置が所定の基準位置に合致している場合には、第1層目の回路基板Mは膨張も収縮もしていないので、膨張・収縮割合α1が1と決定される。したがって、膨張・収縮割合α1(この場合、1)が所定倍率k(この場合、1)に掛け算され、第2層目用の配線パターンの拡大・縮小率β2(=α1xk=1)が求められる。
【0080】
次に、拡大・縮小演算部50cは、第2層目用の配線パターンに、求めた拡大・縮小率β2による拡大・縮小演算を施して、得られた配線パターンを制御部50dに出力する(S80)。制御部50dは、受け取った配線パターンに基づいて画像信号を生成し、LCD30を駆動して第2層目用の回路基板作成用基板Bに対し露光を行う(S90、図5(D))。この結果、第2層目の回路基板作成用基板Bには、第1層目の回路基板Mの膨張・収縮割合α1に対応した割合β2(=α1xk)にて拡大・縮小された配線パターンが露光される。したがって、第2層目の回路基板作成用基板Bに露光される導通点の位置は、第1層目の回路基板M上の導通点の位置に正確に合致する。
【0081】
その後、不要な感光材Sと銅箔Cとが第2層目用の回路基板作成用基板Bから除去され(図5(E))、第2層目の回路基板Mが作成され、積層回路基板Nが完成する。こうして、積層基板作成処理が終了する。
【0082】
例えば、第1層目の回路基板Mが、その露光工程(S30,図5(A))の結果、図7の(A)に示すように、例えば、3/4倍収縮したとする。その場合には、拡大・縮小演算部50cは、入力された計測結果と基準データとの比較結果に基づき、第1層目の収縮割合α1を3/4と決定する。拡大・縮小演算部50cは、所定倍率k(=1)に当該収縮割合α1(=3/4)を掛け算して、得られた値α1xk(=3/4)を、第2層目用の配線パターン用の縮小率β2として設定する。拡大・縮小演算部50cは、第2層目用の配線パターンを、設定した縮小率β2(=3/4)にて縮小した後、制御部50dに出力する。この結果、第2層目の回路基板作成用基板Bには、第1層目の回路基板Mの収縮割合α1(=3/4)に等しい割合β2(=3/4)にて縮小された配線パターンが露光される。したがって、第2層目の回路基板作成用基板Bに露光される導通点の位置が、第1層目の回路基板M上の導通点の位置に合致することになる。
【0083】
なお、第2層目用の回路基板作成用基板Bが露光される(図5(D))際にも、第2層目用のプラスチック基板Pが膨張または収縮する可能性がある。しかしながら、かかる露光の際には、第2層目用のプラスチック基板Pと第1層目のプラスチック基板Pとが同一の割合で膨張または収縮すると考えられる。したがって、第1層目の膨張・収縮割合を第2層目の露光を行う前に計測し、その割合と同一の拡大・縮小割合で第2層目の配線パターンを拡大・縮小して第2層目の露光を行えばよい。たとえ、第1,2層目のプラスチック基板Pが膨張または収縮しても、両者は、同一の割合で、すなわち、その導通点の位置を合致させた状態を維持したまま膨張または収縮することになるからである。
【0084】
また、プラスチック基板Pは、一般には、全体が一定の割合で膨張・収縮するのではなく、位置によって膨張・収縮のしかたが異なる。そこで、第1層目の回路基板Mを複数の領域に分割して考え、各領域の膨張・収縮の具合を計測して第1層目の回路基板Mの歪み具合を把握するようにすれば、第2層目の導通点を第1層目の導通点に対しより精度良く合致させることができる。
【0085】
具体的には、第1層目のプラスチック基板Pの複数の領域のそれぞれに対し、複数の基準点(例えば、4隅の点)をマーキングしておく。各領域は、膨張・収縮していない場合、対応する基準点が所定の基準位置に位置するようになっている。この所定の基準位置を示す基準データをメモリ部50aに予め格納しておく。また、第2層目用の配線パターンを、対応する領域毎に複数の配線パターンに分割し、各配線パターンのデータをメモリ部50aに予め格納しておく。ユーザは、第1層目の回路基板M作成後、各領域の基準点の位置を計測し、その計測結果を入力部50bに入力する(S40)。拡大・縮小演算部50cは、S60にて、各領域について、メモリ部50aに格納されている基準データと入力結果とを比較して、当該領域の膨張・縮小割合を求める。拡大・縮小演算部50cは、当該膨張・縮小割合を所定倍率に掛け算して、第2層目用の対応する領域のパターンの拡大・縮小率を決定する(S70)。ただし、S70において各領域のパターンに対する拡大・縮小率を決定するにあたっては、隣り合う領域のパターンが、拡大・縮小後も、互いに正しく導通し回路として動作するような値に決定する。こうして決定された拡大・縮小率に基づき、各領域用のパターンを拡大・縮小する(S80)。そして、拡大・縮小された各領域用のパターンを、隣りの領域用のパターンと導通するように位置決めしながら、順番に、第2層目用の回路基板作成用基板Bに露光する(S90)。
【0086】
更に、本実施の形態の配線パターン露光装置1によれば、3枚以上の任意の枚数の回路基板Mを積層して積層回路基板Nを作成することもできる。なお、各層用の配線パターンは、上下に隣あう層の配線パターンと導通する導通点を備えている。また、各層用の配線パターンは、同一の所定倍率k(例えば、1)にて拡大・縮小されると、その導通点が、隣り合う層の導通点の位置と合致するように、作成され、メモリ部50aに格納されている。
【0087】
この場合には、2層目までを、図6に示す方法で作成する。第3層目以降の各層(以下、第(i+1)(ここで、iは2以上の自然数)層目という)については、図6のS40〜S90の第2層目に対する処理を第(i+1)層目に対して行えば良い。
【0088】
より詳しくは、ユーザは、第i層目の回路基板Mを作成すると、該第i層目の回路基板Mの歪みの状態を計測し、その計測結果を入力部50bに入力する(S40)。そして、第(i+1)層目用の回路基板作成用基板Bを第i層目の回路基板M上に積層し、配線パターン露光装置1に設置する(S50)。拡大・縮小演算部50cは、第i層目の回路基板の膨張・収縮割合αiを求める(S60)。なお、S70では、拡大・縮小演算部50cは、この膨張・収縮割合αiを、第1〜第(i−1)層目の回路基板Mの膨張・収縮割合α1〜αi−1と共に、所定倍率kに掛け算することで、第(i+1)層目用の拡大・縮小率βi+1を決定する。すなわち、数式βi+1=α1xα2x・・・xαi−1xαixkを演算する。拡大・縮小演算部50cは、第(i+1)層目用の配線パターンを、決定した拡大・縮小率βi+1にて拡大または縮小する(S80)。
【0089】
具体的には、まず、第1層目用の配線パターンを所定倍率kにて拡大・縮小して第1層目用の回路基板作成用基板Bに露光し第1層目の回路基板Mを作成する。ここで、第1層目の回路基板Mが膨張・収縮割合α1にて膨張・収縮していたとする。この場合には、第2層目用の配線パターンを、拡大・縮小率β2(=膨張・収縮割合α1x所定倍率k)にて拡大・縮小して、第2層目用の回路基板作成基板Bに露光する。さらに、第2層目の回路基板Mが、その露光工程中、膨張・収縮割合α2にて膨張・収縮したとする。その場合には、第3層目用の配線パターンを、拡大・縮小率β3(=第1層目の膨張・収縮割合α1x第2層目の膨張・収縮率α2x所定倍率k)にて拡大または縮小する。さらに、第3層目の回路基板Mが、その露光工程中、膨張・収縮割合α3にて膨張・収縮したとする。その場合には、第4層目用の配線パターンを、拡大・縮小率β4(=第1層目の膨張・収縮割合α1x第2層目の膨張・収縮割合α2x第3層目の膨張・収縮割合α3x所定倍率k)にて拡大または縮小する。このように、拡大・縮小演算部50cは、第3層目以上の各層(第(i+1)層(iは2以上の自然数))に対する露光を行うにあたり、それまでに形成された層の膨張・収縮割合α1〜αiの積と所定倍率kとの積に基づいて拡大・縮小倍率βi+1を決定し、当該第(i+1)層用のパターンを整形することにより、連続する上下の層の間で配線パターンにずれが生じることを防止する。
【0090】
なお、上記説明では、各層用の配線パターンは、互いに等しい所定倍率k(例えば、1)にて拡大・縮小されて露光されるとその導通点が合致するように作成されていた。しかしながら、互いに異なる所定倍率にて拡大・縮小されて露光されるとその導通点が合致するように作成されていても良い。この場合、第(i+1)層目用の所定倍率をki+1とすると、第(i+1)層目用の拡大・縮小率βi+1は、第1〜i層目の回路基板の膨張・収縮割合α1〜αiの積と、第(i+1)層目用の所定倍率ki+1とを掛け算して求めれば良い。すなわち、数式βi+1=α1xα2x・・・xαixki+1を演算すれば良い。かかる拡大・縮小率βi+1にて第(i+1)層目用のパターンを拡大・縮小すれば、第(i+1)層目用の配線パターン上の導通点の位置を、第i層目の回路基板上の配線パターン上の導通点の位置に合致させることができる。
【0091】
以下、本実施の形態の変更例について説明する。
【0092】
(第1の変更例)
本変更例では、結像レンズ40の代わりに、図8に示すような光学的ローパスフィルタ60を配置する。
【0093】
光学的ローパスフィルタ60は、例えば、第1のレンズ62と、第2のレンズ64と、第1のレンズ62のフーリエ面Fに設けられたアパーチャ板66とからなる。アパーチャ板66には、第1のレンズ62の光軸を中心に形成された所定のサイズのアパーチャ66aが形成されている。
【0094】
かかる構成の光学的ローパスフィルタ60によれば、コリメートレンズ20からの平行光がLCD30を透過することにより生成された強度変調光は、第1のレンズ62にて空間的にフーリエ変換される。その結果、強度変調光は、フーリエ面Fにおいて、空間周波成分に展開される。すなわち、フーリエ面F上では、強度変調光の空間周波数成分が、図9に示すように分布している。なお、図9は、フーリエ面での様子を1次元的に示したものである。ここで、LCD30上に表示されるパターンの空間周波数成分のうち、画素構造34の空間周波数1/Pが最も高い成分である。したがって、フーリエ面Fには、画素構造34による回折光が、中心(光軸)から最も離れたところに輝点として現れる。そこで、本変更例では、アパーチャ板66のアパーチャ66aのサイズを、当該回折光をカットしつつ、LCD30が表示するパターンの最大空間周波数1/(2P)以下を透過させるように設定する。具体的には、図9に示すように、アパーチャ66aのサイズを、例えば空間周波数3/(4P)以下を透過するように設定する。したがって、フーリエ面F上に配置されたアパーチャ板66は、空間周波数1/P以上をカットしつつ、空間周波数1/(2P)以下を透過するフィルタとして機能する。このため、光学的ローパスフィルタ60の出力面である感光材Sには、LCD30に表示されている配線パターン情報は伝達され、しかも、画素構造34に起因した情報が除去された像が得られる。したがって、感光材Sには、配線パターンが断線していない状態で露光される。
【0095】
(第2の変更例)
本変更例では、結像レンズ40の開口数NALを調整する代わりに、図10に示すように、LCD30と結像レンズ40との間に位相回折格子(位相板)70を配置する。
【0096】
ここで、位相回折格子70には、1/Pより低い空間周波数成分のみを通過させるような回折格子パターンが形成されており、光学的ローパスフィルタとして機能する。具体的には、位相回折格子70の回折格子パターンは、LCD30の各画素35aから出射した光を受け取り、そのままの出射方向に0次回折光を生成すると共に、その両側の所定の回折方向に、+1次回折光及び−1次回折光を生成する。その結果、出力面である感光材S上には、図10に示すように、これら+1次及び−1次回折光が、対応する画素35aの両側の隙間35bを埋めるような位置に到達する。したがって、LCD30上で不連続にサンプリングされていた画像が、感光材S上では、隙間が補間された状態で再現されることになる。このため、配線パターンが、断線していない状態で、感光材Sに露光される。
【0097】
なお、位相回折格子70の代わりに、1/P以上の空間周波数成分を除去するよう、厚みやカット軸が選択された水晶板等の複屈折板を設けてもよい。かかる複屈折板も、光学的ローパスフィルタとして機能することで、画素構造を除去することができる。
【0098】
(第3の変更例)
上記第1の実施の形態及びその第1、第2の変更例では、物体側の開口数NALが所定の条件を満足する結像レンズ40や光学的ローパスフィルタ60や位相回折格子70等に、画素構造34による回折光をカットするローパスフィルタとして機能させることで、画素構造34に起因した信号成分を除去させた。
【0099】
一方、本変更例では、図1の構成において、回路基板作成用基板Bの感光材Sの位置を、わざと、結像レンズ40の結像面からずれた位置に配置する。したがって、LCD30上に表示されている配線パターンをぼけさせながら感光材Sに露光させることができる。感光材S上で画素構造が目立たなくなるため、画素と画素との間の隙間が埋められ、断線のない配線パターンを露光することができる。
【0100】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態による配線パターン露光装置について図11〜図23に基づき説明する。
【0101】
本実施の形態の配線パターン露光装置2では、LCD30を単体で使用する代わりに、空間光変調モジュール100を使用している。
【0102】
すなわち、本実施形態の配線パターン露光装置2は、制御装置50と、空間光変調モジュール100と、読みだし光源160と、コリメートレンズ170と、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)180と、結像レンズ190とからなる。
【0103】
読みだし光源160は、一様な強度分布を有する読み出し光(第2の読み出し光)を生成するためのものである。本実施形態では、読みだし光源160は、例えば、YAG−SHGレーザである。なお、読み出し光源160からの読み出し光は、略一様な位相分布を有し、かつ、所定の偏光面を有する直線偏光である。本実施の形態では、読みだし光源160は、その偏光面が図11の紙面に対して直交するような向きに配置されている。
【0104】
コリメートレンズ170は、読みだし光源160からの読み出し光をコリメートして平行光とするためのものである。
【0105】
PBS180は、偏光方向が図11の紙面に対して直交するs偏光成分の光を略100%反射し、偏光方向が紙面に対して平行なp偏光成分の光を略100%透過するためのものである。ここで、本実施の形態の場合、読みだし光源160から出射した直線偏光は図11の紙面に対して直交する向きに偏光面を有しているため、コリメートレンズ170を透過後、s偏光としてPBSに入射する。このため、PBS180は、コリメートレンズ170を透過した読みだし光を空間光変調モジュール100に導く。PBS180は、また、空間光変調モジュール100で偏光面の回転を受けた読みだし光のうちp偏光成分を透過させることによって、強度変調光を生成する機能をも有する。
【0106】
結像レンズ190は、PBS180を透過した強度変調光を回路基板作成用基板Bの感光材S上に結像するためのものである。すなわち、回路基板作成用基板Bが、感光材Sが結像レンズ190の結像面に位置するように配置されている。なお、回路基板作成用基板Bは、第1層目の回路基板作成用のものでもよく、もしくは、第2層目の回路基板作成用のもので、その下に、図示されていない第1層目の回路基板Mが設けられていても良い。
【0107】
制御装置50は、第1の実施の形態の制御装置50と同一の構成を有している。すなわち、図11では図示していないが、制御装置50は、図1に示す第1の実施の形態と同様、メモリ部50aと、入力部50bと、拡大・縮小演算部50cと、制御部50dとを備えている。但し、本実施の形態では、制御部50dは、空間光変調モジュール100内のLCD30を駆動する。
【0108】
次に、図12を参照して、空間光変調モジュール100について説明する。
【0109】
空間光変調モジュール100は、書き込み光源10と、コリメートレンズ20と、LCD30と、結像レンズ40と、平行配向型ネマチック液晶空間光変調器(以下、PAL−SLM(Parallel-Aligned nematic-Liquid-crystal Spatial Light Modulator)という)150とから構成されている。
【0110】
書き込み光源10、コリメートレンズ20、LCD30、及び、結像レンズ40は、それぞれ、第1の実施の形態の書き込み光源10、コリメートレンズ20、LCD30、及び、結像レンズ40(図1,2)と同一の構成を有し、第1の実施の形態の場合と同一の位置関係で配置され同一の機能を有する。但し、本実施の形態では、結像レンズ40は、LCD30から出力された強度変調光(第1のパターン光)を、回路基板作成用基板Bにではなく、PAL−SLM150に伝達する。
【0111】
PAL−SLM150は、書き込み部150aと読み出し部150bとを有する反射型の光アドレス型位相変調型空間光変調器である。書き込み部150aは、結像レンズ40にて伝達された強度変調光によって光アドレスされるためのものである。読みだし部150bは、PBS180から入射されてきたs偏光の読み出し光の波面を、書き込み部150bに入射した強度変調光のパターンに応じて回転することにより、変調光(第2のパターン光)を生成する。
【0112】
図13は、PAL−SLM150の具体例を示している。図13に示すように、書き込み部150aは、アモルファスシリコン製の光導電層151と、透明電極154aと、透明基板155aと、反射防止コート156aとから構成されている。読み出し部150bは、ネマティック液晶層152と、透明電極154bと、透明基板155bと、反射防止コート156bとから構成されている。液晶層152の液晶分子は、配向層152aによって、透明電極154a及び154bに対して平行に捻れなく一様に配向された水平配向状態となっている。透明電極154a及び154bは交流電源157に接続されている。ミラー層153が、書き込み部150aと読み出し部150bとの間に設けられている。
【0113】
かかる構成のPAL−SLM150は、図12に示されるように、書き込み部150aが結像レンズ40に対向し、読み出し部150bがPBS180に対向するように、配置されている。ここで、書き込み部150a(光導電層151)は、結像レンズ40の結像面上に配置されている。さらに、PAL−SLM150は、液晶層152内の液晶分子の配向方向が、PBS180から入射されてくるs偏光読み出し光の偏光面(図12の紙面に直交する偏光成分)に対して45度傾いているような向きに配置されている。したがって、PAL−SLM150は、強度変調モードで動作する。すなわち、LCD30から出射した強度変調光が結像レンズ40を介して光導電層151に入射・結像すると、光導電層151を構成するアモルファスシリコンの結晶構造が変化して、液晶層152の液晶分子に与えられる電圧が変化し液晶の屈折率が変化する。このため、PBS180で反射された読み出し光は、液晶層152を伝搬する際、その偏光面が屈折率の変化に応じた量だけ回転する。読み出し光は、ミラー層153にて反射し、液晶層152中を再び伝搬して偏光面がさらに回転した後、変調光として出射する。かかる変調光のうちp偏光成分(図12の紙面に対して平行な偏光成分)のみがPBS180を透過して、結像レンズ190に到達する。したがって、PBS180を透過した変調光は、結像レンズ40からの強度変調光の強度分布に対応した強度分布を有する強度変調光となる。こうして生成された強度変調光が、結像レンズ190により感光材S上に結像される。
【0114】
ここで、LCD30は、第1の実施の形態と同様、図3の例に示す配線パターンを表示する。そこで、本実施の形態でも、結像レンズ40のLCD30側の開口数NALを、LCD30の画素ピッチPと書き込み光源10からの書き込み光の波長λに対して、1/(2P)<NAL/λ<1/Pの関係を有するように選択している。このため、結像レンズ40は、LCD30の画素構造34に起因する空間周波数1/Pの信号成分をPAL−SLM150に伝達せず、しかも、LCD30に表示された情報の全空間周波数成分(1/(2P)以上の空間周波数成分)を劣化することなく伝達する。
【0115】
ここで、LCD30では、図14の(A)に示すように、隙間35bにより互いに分断されながら並べられた複数の画素35aが、不連続にサンプリングされた画像を表示している。結像レンズ40が、この画像を受け取り、当該表示画像を構成している画素と画素との間の隙間を埋めた状態で、その結像面に伝達する。しかしながら、結像レンズ40が画素構造34の空間周波数1/Pの信号成分を完全には除去できない可能性がある。その場合には、PAL−SLM150には、配線パターンが、図14の(B)に示すように、画素35aからの強度と隙間35bからの強度との間に強度変化が残った状態で、伝達されてしまう。しかしながら、PAL−SLM150は、図15に示すようなlog特性を有している。したがって、PAL−SLM150は、結像レンズ40の出力におけるこのわずかな強度変化の影響を読みだし光に対して与えない変調動作を行うことができる。したがって、PAL−SLM150は、図14の(C)に示すように、配線パターン光を、画素35aと隙間35bとの間の光強度差を略完全に除去した状態で生成することができる。具体的には、LCD30が図3のパターンを表示した場合、PAL−SLM150は、図16に示すような配線パターンを出力することができる。なお、図16は、図11の配線パターン露光装置2において、回路基板作成用基板Bの位置に、回路基板作成用基板Bの代わりにCCD撮像装置を配置して撮像した撮像図である。
【0116】
このように、本実施の形態によれば、PAL−SLM150からは、LCD30に表示されている配線パターンから画素構造成分が略完全に除去された配線パターンを担持した変調光が出力される。当該変調光がPBS180により強度変調光に変換され、結像レンズ190により感光材S上に結像されることにより、配線パターン光が、断線されていない状態で、感光材S上に露光される。したがって、断線されていない配線パターンを有する回路基板Mを作成することができる。
【0117】
上記構成を有する配線パターン露光装置2は、第1の実施の形態と同様に、配線パターン露光動作を行う。すなわち、第1の実施の形態の構成(図1)と同一の構成を有する制御装置50が、以下のように、露光動作を制御する。
【0118】
ユーザは、書き込み光源10と読みだし光源160と交流電源157とをオンし、制御装置50の入力部50aに対し露光動作の開始を指示する。かかる指示に従い、拡大・縮小演算部50cは、所定の配線パターンのデータをメモリ部50aから読み出し、当該配線パターンを所望の拡大・縮小率にて拡大・縮小する演算処理を行い、演算結果の配線パターンデータを制御部50dに出力する。制御部50dは、拡大・縮小演算部50cから受け取った配線パターンデータに基づいて画像信号を生成し、当該画像信号に基づいて、空間光変調モジュール100内のLCD30のスイッチング素子35bを選択的に駆動する。この結果、LCD30は、図3に示すように、所定の配線パターンを、所望のサイズにて表示する。結像レンズ40は、LCD30に表示されている配線パターンから画素構造34に起因した信号成分を除去し、PAL−SLM150に結像する。PAL−SLM150は読み出し光を変調し、変調光を出力する。PBS180が、この変調光を強度変調光に変換する。こうして生成された強度変調光が、結像レンズ190により感光材S上に結像される。したがって、感光材Sには、所定の配線パターンが所望のサイズにて、しかも、断線されていない状態(図16)で露光される。また、本実施の形態の配線パターン露光装置2は、第1の実施の形態と同様、図6に示す方法により積層回路基板を作成することもできる。
【0119】
以下、本実施の形態の変更例について説明する。
【0120】
(第1の変更例)
第1の実施形態に対する第1の変更例同様、結像レンズ40(図12)の代わりに、図8に示す光学的ローパスフィルタ60を設けてもよい。この場合には、光学的ローパスフィルタ60は、その出力面(図8)にPAL−SLM150の書き込み部150aが位置するように、配置される。
【0121】
本変更例によれば、光学的ローパスフィルタ60により画素構造に起因した空間周波数1/Pの信号成分をカットし、しかも、PAL−SLM150がそのlog特性により変調動作を行うので、空間光変調モジュール100からは、配線パターンから画素構造成分が略完全に除去されたパターンが出力される。したがって、感光材Sには、配線パターンが、断線のない状態で露光される。
【0122】
また、第1の実施形態に対する第2の変更例と同様、図12におけるLCD30と結像レンズ40との間に、図10に示すように、位相回折格子70を設けても良い。この場合にも、位相回折格子70は、その出力面(図10)にPAL−SLM150の書き込み部150aが位置するように、配置される。なお、位相回折格子70の代わりに、水晶板などの複屈折板を設けてもよい。
【0123】
もしくは、第1の実施形態に対する第3の変更例同様、図12の構成において、PAL−SLM150の書き込み部150aの位置を結像レンズ40の結像面からわざとずらし、配線パターンを適度にぼけた状態でPAL−SLM50に伝達し、画素と画素との間の隙間を目立たなくさせるようにしてもよい。
【0124】
(第2の変更例)
本変更例では、LCD30とPAL−SLM150とを、結像レンズ40を介して光接続する代わりに、図17に示すように、ファイバー光学プレート145を介して直接接続する。
【0125】
具体的には、本変更例では、図18に示すように、PAL−SLM150より反射防止コート156aと透明基板155a(図13参照)とを除去し、透明電極154aをファイバー光学プレート145を介して、LCD30の偏光板39(図2参照)に直接接続する。
【0126】
この場合には、ファイバー光学プレート145の開口数NAFOPが、LCD30の画素ピッチPと、光伝達層30b(偏光板39と透明ガラス基板38)の厚さdと、書き込み光源10の波長λに対する光伝達層30b(偏光板39と透明ガラス基板38)の屈折率nGに対して、nG・P/d<NAFOPという条件を満足するように構成すれば、ファイバー光学プレート145は、LCD30の画素構造34に起因する信号成分をPAL−SLM150に伝達せずに消去することができる。したがって、配線パターンを断線していない状態で感光材Sに露光することができる。さらに、NAFOP<2nG・P/dという条件を満足するように構成すれば、LCD30に表示された配線パターンを劣化させることなく伝達することができる。
【0127】
(第3の変更例)
本変更例では、図19に示すように、LCD30は、その光入射層30a上にマイクロレンズアレイ200を備えている。
【0128】
ここで、マイクロレンズアレイ200は、図20に示すように、LCD30の偏光板31上に固定されている。マイクロレンズアレイ200は、複数の透明画素電極35aに1対1に対応して設けられた複数のマイクロレンズ210から構成されている。各マイクロレンズ210は、偏光板31上において、対応する透明画素電極35aが形成されている位置に設けられている。
【0129】
かかる構成によれば、図21に示すように、コリメートレンズ20により平行光とされた書き込み光は、各マイクロレンズ210に入射すると、対応する透明画素電極35aを通過して、マイクロレンズ210の後焦点面f上に一旦集光された後、再び拡がっていく。書き込み光は、同時に、対応する透明画素電極35aの駆動状態に応じた変調を受ける。
【0130】
ここで、PAL−SLM150の解像度は、個々の製品の特性によって異なる。PAL−SLM150の解像度が良好で、図22に破線で示すように、LCD30の画素構造34の空間周波数である1/Pを含みそれ以下の全空間周波数を含む広範囲の空間周波数領域に対して高いMTF(Modulation Transfer Function)値を有する場合には、PAL−SLM150は、LCD30の信号画像(空間周波数1/(2P)以下)のみならず画素構造34に起因する信号成分(空間周波数1/P)をも伝達してしまう。一方、PAL−SLM150の解像度が悪く、図22に一点鎖線で示すように、LCD30の信号画像の最大空間周波数である1/(2P)より低い周波数成分に対してしか高いMTF値を有しない場合には、PAL−SLM150は、LCD30の画素構造34に起因する信号成分のみならず、LCD30の信号画像のうちの高周波数成分(1/(2P)近辺)をも伝達できない。
【0131】
そこで、本変更例では、かかるPAL−SLM150の解像度を考慮し、図19に示すように、レンズ位置調整機構300を設け、当該解像度に応じて結像レンズ40の位置を調整することにしている。かかる位置調整により、空間光変調モジュール100全体としてのMTFを、図22の実線で示すように、LCD30の解像度(信号画像の最大空間周波数)1/(2P)を含みそれ以下の空間周波数に対しては高く、しかも、画素構造34の空間周波数1/P以上の空間周波数に対しては低くなるように調整する。したがって、LCD30による信号画像を良好に伝達しつつ、画素構造34に起因する信号成分をほとんど伝達しない。
【0132】
ここで、レンズ位置調整機構300は、図19に示すように、結像レンズ40の位置を光軸方向に調整することで、結像レンズ40とLCD30との距離、及び、結像レンズ40とPAL−SLM150との距離を調整する。レンズ位置調整機構300は、たとえば、結像レンズ40を保持する図示しない保持手段と、この保持手段を結像レンズ40の光軸方向にスライドする図示しないスライド手段とからなる。
【0133】
具体的には、結像レンズ40が、例えば、図21に実線で示すように、マイクロレンズアレイ200の後焦点面f上の像をPAL−SLM150の書き込み部150a(光導電層151)に結像する位置に配置されている場合には、LCD30の各画素をぼけていない状態で、PAL−SLM150に結像する。一方、結像レンズ40が、図21に破線で示すように、マイクロレンズアレイ200の後焦点面fからずれた位置の像をPAL−SLM150の書き込み部150a(光導電層151)に結像する位置に配置されている場合には、LCD30の各画素をぼけている状態で、PAL−SLM150に結像する。
【0134】
かかる構成のもと、PAL−SLM150の解像度が図22の一点鎖線で示すように悪い場合には、レンズ位置調整機構300により、結像レンズ40を、図21の実線で示す位置に配置する。この結果、マイクロレンズアレイ200の後焦点面f上の像を、PAL−SLM150の光導電層151に結像させることができる。したがって、LCD30の各画素をぼけのない状態でPAL−SLM150に結像させ、空間光変調モジュール100全体としてのMTF値を、図22の実線で示すように、LCD30の解像度(信号画像の最大空間周波数)1/(2P)を含みそれ以下の空間周波数に対しては高く、しかも、画素構造34の空間周波数1/P以上の空間周波数に対しては低くなるような最適なMTF特性に調整する。
【0135】
また、PAL−SLM150の解像度が図22の破線で示すように良好な場合には、レンズ位置調整機構300により、結像レンズ40を、図21に破線で示すように、マイクロレンズアレイ200の後焦点面fからずれた位置の像をPAL−SLM150の光導電層151に結像する位置に配置する。この結果、LCD30の各画素を適度にぼけた状態でPAL−SLM150に結像させることができる。したがって、空間光変調モジュール100全体としてのMTF値を、やはり、図21に実線で示すように、LCD30の解像度(信号画像の最大空間周波数)1/(2P)を含みそれ以下の空間周波数に対しては高く、しかも、LCD30の画素構造34の空間周波数1/P以上の空間周波数に対しては低くなるような最適なMTF特性に調整する。
【0136】
このため、PAL−SLM150の解像度に関わらず、常に、LCD30に表示されている配線パターンから画素構造を除去しつつ、配線パターンの全空間周波数(1/(2P)以下)を劣化させずに伝達できる適度なMTF特性を得ることができる。しかも、かかる調整にも関わらず、結像レンズ40が画素構造34を完全に除去できずにPAL−SLM150に伝達してしまっても、PAL−SLM150は、そのlog特性(図15参照)により、画素構造34を略完全に除去したパターンを出力することができる。したがって、断線がない配線パターンを確実に感光材Sに露光することができる。
【0137】
この点について図23を参照してより詳しく説明する。
【0138】
LCD30の各画素35aからの強度パターン(図23の(A))を、結像レンズ40の位置調整によりぼかしながらPAL−SLM150に結像させると、当該各画素35aからの光は、それぞれ、中心部は明るく周辺部にいくにしたがってだんだん暗くなるような強度パターンとして、PAL−SLM150に結像される(図23の(B))。ここで、PAL−SLM150は、そのlog特性により2値化に近い変換を行う。したがって、PAL−SLM150からの出力(図23の(C))は、結像レンズ40によるぼかされた状態(図23の(B))より、ぼけが少なくなり、より鮮明となる。そこで、レンズ位置調整機構300により結像レンズ40の位置を調整し、画素構造がちょうどなくなるくらいにぼかす量を調整すれば、PAL−SLM150は、画素構造が除去され、しかも、LCD30の解像度が維持された配線パターンを出力することができる。したがって、配線パターンを、断線がなく、しかも、LCD30の解像度を維持した状態で、感光材Sに露光することができる。
【0139】
なお、上記説明では、LCD30とPAL−SLM150とを固定し、結像レンズ40を位置調整可能としたが、逆に、結像レンズ40を固定し、LCD30とPAL−SLM150とに、それぞれ、液晶素子位置調整機構とPAL−SLM位置調整機構とを設けて、これらLCD30とPAL−SLM150とを、結像レンズ40に対して光軸方向に位置調整可能としても良い。
【0140】
また、上記説明では、複数のマイクロレンズ210は、複数の画素電極35aに対し1対1に対応して設けられていたが、そのように設けなくてもよい。たとえば、1個の画素電極35aに対し複数のマイクロレンズ210を設けてもよく、逆に、複数の画素電極35aに対し1個のマイクロレンズ210を設けてもよい。複数のマイクロレンズ210により書き込み光を集光させ、かかる集光された光を複数の画素電極35aにおいて変調させれば良い。
【0141】
また、コリメートレンズ20にて平行とさせず、所定の収束光または拡散光をマイクロレンズアレイ200に照射するのでも良い。
【0142】
本発明による配線パターン露光装置は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0143】
例えば、上記実施の形態の配線パターン露光装置を、積層回路基板ではなく単一の層からなる回路基板を作成するためにのみ使用するようにしても良い。この場合、所定の配線パターンのデータを予め所望のサイズにて作成してメモリ部50aに格納しておけば、拡大・縮小演算部50cや入力部50bを省略することができる。制御部50dは、メモリ部50aから所定の配線パターンデータを読み出し、拡大・縮小処理することなく、画像信号をそのまま作成すれば良い。
【0144】
上記実施の形態では、被露光媒体の備える感光材Sは、露光すると硬化するタイプのフォトレジストであった。しかしながら、被露光媒体の備える感光材Sとしては、露光すると軟化するタイプのフォトレジスト等、他の任意の感光材を使用することができる。
【0145】
第1の実施の形態においても、第2の実施の形態の第2の変更例同様、LCD30と感光材Sとを、結像レンズ40ではなく、ファイバー光学プレートを介して直接接続しても良い。この場合にも、nG・P/d<NAFOP<2nG・P/dという条件を満足するように構成すれば、ファイバー光学プレートは、LCD30の画素構造34に起因する信号成分を感光材Sに伝達せず、しかも、LCD30に表示された配線パターンを劣化させることなく伝達することができる。
【0146】
また、第1の実施の形態においても、第2の実施の形態の第3の変更例同様、LCD30として、図20に示すマイクロレンズアレイ付きのものを採用しても良い。この場合には、図19の場合と同様、結像レンズ40の位置をLCD30と感光材Sとに対して調整するレンズ位置調整機構300を、図1の構成に対して追加すれば良い。かかる構成によれば、第1の実施の形態における第3の変更例同様、配線パターンを適度にぼけた状態で感光材Sに露光することができるため、画素と画素との間の隙間を目立たなくすることができる。したがって、配線パターンを断線のない状態で感光材Sに露光することができる。
【0147】
なお、第1の実施の形態の第3の変更例において、マイクロレンズアレイが設けられていない図2のLCD30を採用している場合においても、結像レンズ40の位置をLCD30と感光材Sとに対して調整するレンズ位置調整機構300を追加しても良い。配線パターンを適度にぼけた状態で感光材Sに露光することができるため、画素と画素との間の隙間を目立たなくすることができる。したがって、配線パターンを断線のない状態で感光材Sに露光することができる。
【0148】
同様に、第2の実施の形態の第1の変更例でPAL−SLM150の書き込み部150aの位置を結像レンズ40の結像面からわざとずらす場合にも、第2の実施の形態の第3の変更例(図19)同様、結像レンズ40の位置をLCD30とPAL−SLM150とに対して調整するレンズ位置調整機構300を、図12の構成に追加しても良い。かかる構成によれば、配線パターンを適度にぼけた状態で感光材Sに露光することができるため、画素と画素との間の隙間を目立たなくすることができる。したがって、配線パターンを断線のない状態で感光材Sに露光することができる。
【0149】
LCD30の構成は、上記のものに限られない。LCD30としては、任意の構成の液晶ディスプレイを使用することができる。例えば、図2、図20の構造では、液晶層36にツイストネマチック液晶を用いたため、偏光板31,39が必要となったが、液晶層にゲストホスト型液晶やポリマー分散型液晶を用いる場合には、偏光板を必要としない。この場合において、第2の実施の形態の第3の変更例の場合には、マイクロレンズアレイ200は、ガラス基板32上に直接設けられることになる。
【0150】
また、LCD30の代わりに、他の任意の構成の電気アドレス型強度変調型空間光変調器を使用することもできる。また、こうして使用する空間光変調器は、透過型でも反射型でもよい。
【0151】
同様に、PAL−SLM150の構成も、上記のものに限られない。また、PAL−SLM150の代わりに、他の任意の構成の光アドレス型位相変調型空間光変調器を使用することができる。こうして使用する空間光変調器も、透過型でも反射型でもよい。
【0152】
書き込み光源10はYAG−SHGレーザでなくてもよく、他のレーザ光源でも良い。レーザ光源以外の光源でも良い。
【0153】
読み出し光源160もYAG−SHGレーザでなく、他のレーザ光源でも良い。レーザ光源以外の光源でも良い。
【0154】
【発明の効果】
請求項1記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光が電気アドレス型空間光変調器により生成され、第1のパターン光から画素構造を示す信号成分が画素構造除去手段により除去されるので、画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0155】
請求項2記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光から画素構造を示す信号成分が除去されるので、画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0156】
請求項3記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光から画素構造を示す信号成分が除去されるので、画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0157】
請求項4記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光から画素構造を示す信号成分が除去されるので、画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0158】
請求項5記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光を配線パターンを劣化させることなく伝達することができるため、第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが劣化していない状態で露光することができる。
【0159】
請求項6記載の配線パターン露光装置によれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第1のパターン光に基づいて第2のパターン光を生成する。したがって、第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で、露光することができる。
【0160】
請求項7記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光から画素構造を示す信号成分が除去されるので、画素構造が除去された第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0161】
請求項8記載の配線パターン露光装置によれば、第1のパターン光を配線パターンを劣化させることなく伝達することができるため、第1のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが劣化していない状態で露光することができる。
【0162】
請求項9記載の配線パターン露光装置によれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で露光することができる。
【0163】
請求項10記載の配線パターン露光装置によれば、光アドレス型空間光変調器は、画素構造が除去された第1のパターン光に基づいて第2のパターン光を生成する。したがって、第2のパターン光を被露光媒体に伝達すれば、被露光媒体を、配線パターンが断線していない状態で、露光することができる。
【0164】
請求項11記載の配線パターン露光装置によれば、積層回路基板を、その連続する上下の層の間で配線パターンにずれが生じず、しかも各層の配線パターンに断線が生じないように、作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態による配線パターン露光装置の構成を示す構成図。
【図2】 図1の配線パターン露光装置におけるLCDの拡大構成図。
【図3】 図1の配線パターン露光装置において、LCDの表示画像をCCD撮像装置にて撮像した撮像図。
【図4】 図1の配線パターン露光装置において、回路基板作成用基板Bの位置に、回路基板作成用基板Bの代わりにCCD撮像装置を配置して撮像した撮像図。
【図5】 図1の配線パターン露光装置を用いて、回路基板作成用基板を露光して回路基板を作成し、更に、次の層を作成するための回路基板作成用基板を積層し露光して、積層回路基板を作成する方法を説明する説明図。(A)は、回路基板作成用基板Bに配線パターンを露光する工程を示す図。(B)は、露光後の回路基板作成用基板Bから硬化していない感光材を除去する工程を示す図。(C)は、露光後の回路基板作成用基板Bから不要な銅箔と感光材とを除去し、回路基板Mを作成する工程を示す図。(D)は、回路基板Mの上に次の層用の回路基板作成用基板Bを積層し、当該次の層用の配線パターンを露光する工程を示す図。(E)は、露光後の当該次の層用の回路基板作成用基板Bから不要な銅箔と感光材とを除去し、積層回路基板を作成する工程を示す図。
【図6】 積層回路基板作成処理のフローチャート。
【図7】 第1層目の歪み状態を考慮せずに第2層目に配線パターンを露光する場合に導通点の位置が合致するか否かを示す説明図。(A)は、第1層目が歪んでいない場合に、導通点の位置が互いに合致することを示す説明図。(B)は、第1層目が歪んでいる場合に、導通点の位置が互いにずれてしまうことを示す説明図。
【図8】 第1の実施の形態において、光学的ローパスフィルタを配置した第1の変更例の構成を示す構成図。
【図9】 図8の光学的ローパスフィルタにおいて、アパーチャの大きさとフーリエ面での空間周波数分布との関係を1次元的に示す説明図。
【図10】 第1の実施の形態において、結像レンズの前に位相回折格子を配置した第2の変更例の構成を示す構成図。
【図11】 本発明の第2の実施の形態による配線パターン露光装置の構成を示す構成図。
【図12】 図11の配線パターン露光装置に設けられた空間光変調モジュールの構成を示す構成図。
【図13】 図12の空間光変調モジュールに設けられたPAL−SLMの具体例の拡大構成図。
【図14】 図12の空間光変調モジュールにおいて、結像レンズとPAL−SLMとが、LCD表示画像における画素と画素間隙間との強度差を除去していくことを示す説明図。(A)は、LCD表示画像における画素と画素間隙間との強度差を示す図。(B)は、結像レンズが、LCD表示画像における画素と画素間隙間との強度差を除去することを示す図。(C)は、PAL−SLMが、残った強度差を略完全に除去することを示す図。
【図15】 PAL−SLMの書き込み光パワーに対する出力光強度特性を示す図。
【図16】 図11の配線パターン露光装置において、回路基板作成用基板Bの位置に、回路基板作成用基板Bの代わりにCCD撮像装置を配置して撮像した撮像図。
【図17】 第2の実施の形態の第2の変更例における空間光変調モジュールの構成を示す構成図。
【図18】 図17の空間光変調モジュールにおいて、LCDとPAL−SLMとがファイバー光学プレートにて一体化されていることを示す拡大構成図。
【図19】 第2の実施の形態の第3の変更例における空間光変調モジュールの構成を示す構成図。
【図20】 図19の空間光変調モジュールに設けられたマイクロレンズアレイ付きLCDの具体例の拡大構成図。
【図21】 図19の空間光変調モジュールにおいて、コリメートレンズからの平行光が、1つのマイクロレンズにより集光され、結像レンズによりPAL−SLMに伝達される状態を示す説明図。
【図22】 図19の空間光変調モジュールにおいて、MTF特性が調整される状態を示す図。
【図23】 図19の空間光変調モジュールにおいて、LCDの強度パターンをぼかしてPAL−SLMに結像させPAL−SLMが変調光を出力する状態について説明する図。(A)はLCD上の画素パターンを示す図。(B)は(A)の画素パターンがPAL−SLMに結像される際の強度パターンを示す図。(C)はPAL−SLMが(B)のパターンの入力に基づき出力するパターンを示す図。
【符号の説明】
1 配線パターン露光装置
2 配線パターン露光装置
10 書き込み光源
20 コリメートレンズ
30 LCD
34 画素構造
35a 透明画素電極
35b スイッチング素子
40 結像レンズ
50 制御装置
50a メモリ部
50b 入力部
50c 拡大・縮小演算部
50d 制御部
B 回路基板作成用基板
P プラスチック基板
C 銅箔
M 回路基板
N 積層回路基板
60 光学的ローパスフィルタ
70 位相回折格子
100 空間光変調モジュール
145 ファイバー光学プレート
150 PAL−SLM
160 読み出し光源
170 コリメートレンズ
180 PBS
190 結像レンズ
200 マイクロレンズアレイ
210 マイクロレンズ
300 レンズ位置調整機構
Claims (11)
- 複数の画素が所定のピッチPにて配列されて構成された画素構造を有し、所望の配線パターンに基づいて該複数の画素が選択的に駆動されることにより、入射した第1の読み出し光を空間的に変調し、該所望の配線パターンを担持した第1のパターン光を生成する電気アドレス型空間光変調器と、
該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り、該第1のパターン光から該画素構造を示す信号成分を除去しつつ、該所望の配線パターンを伝達する画素構造除去手段とを備え、
該画素構造除去手段は、1/P以上の空間周波数成分を除去する光学的ローパスフィルタからなることを特徴とする配線パターン露光装置。 - 前記光学的ローパスフィルタは、
該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り、該第1のパターン光を空間的にフーリエ変換してそのフーリエ面において該第1のパターン光を空間周波数成分に展開する第1のレンズと、
該第1のレンズの該フーリエ面に設けられたアパーチャ板とを備え、
該アパーチャ板には、該第1のレンズの光軸を中心に形成されたアパーチャが形成されており、
該光学的ローパスフィルタは、該アパーチャ板の該アパーチャを通過した該第1のパターン光を伝達する第2のレンズを更に備え、
該アパーチャは、1/(2P)以下の空間周波数を透過し1/P以上の空間周波数をカットするサイズを有していることを特徴とする請求項1記載の配線パターン露光装置。 - 該アパーチャは、3/(4P)以下の空間周波数を透過するサイズを有していることを特徴とする請求項2記載の配線パターン露光装置。
- 該電気アドレス型空間光変調器は、該画素構造により生成された該第1のパターン光を伝達する光伝達部を備え、該光伝達部は、該第1のパターン光の波長に対する屈折率n G と厚さdとを有し、
前記光学的ローパスフィルタは、該電気アドレス型空間光変調器の該光伝達部に接続された該第1のパターン光を伝達するためのファイバー光学プレートからなり、
該ファイバー光学プレートの開口数NA FOP は、前記ピッチPと該屈折率n G と該厚さdとに対して、n G ・P/d<NA FOP の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の配線パターン露光装置。 - 該ファイバー光学プレートの開口数NA FOP は、前記ピッチPと該屈折率n G と該厚さdとに対して、n G ・P/d<NA FOP <2n G ・P/dの条件を満足することを特徴とする請求項2記載の配線パターン露光装置。
- 書き込み部と読みだし部とを有する光アドレス型空間光変調器を更に備え、
該光アドレス型空間光変調器の該書き込み部は、前記光学的ローパスフィルタから、該1/P以上の空間周波数成分が除去された第1のパターン光を受け取り、
該光アドレス型空間光変調器の該読みだし部は、第2の読みだし光を受け取り、該書き込み部に入射した該第1のパターン光に応じて該第2の読みだし光を空間的に変調することにより、第2のパターン光を生成することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の配線パターン露光装置。 - 前記光学的ローパスフィルタは、該電気アドレス型空間光変調器から該第1のパターン光を受け取り該第1のパターン光を結像面に結像する結像レンズからなり、
該結像レンズは、該電気アドレス型空間光変調器側の開口数NA L を有し、
該開口数NA L は、前記第1のパターン光の波長λに対して、NA L /λ<1/Pの条件を満足することを特徴とする請求項1記載の配線パターン露光装置。 - 前記開口数NA L は、前記第1の読み出し光の波長λに対して、1/(2P)<NA L /λ<1/Pの条件を満足することを特徴とする、請求項7記載の配線パターン露光装置。
- 被露光媒体が前記結像レンズの前記結像面に配置されることを特徴とする、請求項7もしくは8記載の配線パターン露光装置。
- 書き込み部と読みだし部とを有する光アドレス型空間光変調器を更に備え、
該光アドレス型空間光変調器は、該書き込み部が前記結像レンズの前記結像面に位置するように配置され、該書き込み部が記結像レンズから前記第1のパターン光を受け取り、
該光アドレス型空間光変調器の該読みだし部は、第2の読みだし光を受け取り、該書き込み部に入射した該第1のパターン光に応じて該第2の読みだし光を空間的に変調することにより、第2のパターン光を生成することを特徴とする請求項7もしくは8に記載の配線パターン露光装置。 - 複数の画素が配列されて構成された画素構造を有し、所望の配線パターンに基づいて該複数の画素が選択的に駆動されることにより、入射した第1の読み出し光を空間的に変調し、該所望の配線パターンを担持した第1のパターン光を生成する電気アドレス型空間光変調器と、
該第1のパターン光から該画素構造を示す信号成分を除去しつつ、該所望の配線パターンを伝達する画素構造除去手段と、
所定の配線パターンのデータを保持するデータ保持手段と、
該所定の配線パターンのデータに対し所望の割合にて拡大・縮小演算を施すことで前記所望の配線パターンを生成する拡大・縮小演算手段と、
該拡大・縮小演算手段にて生成した該所望の配線パターンに基づいて前記電気アドレス型空間光変調器の複数の画素を選択的に駆動するための画像信号を生成する制御手段とを備え、
前記データ保持手段は、積層回路基板を構成する複数の回路基板を作成するための複数の所定の配線パターンのデータを保持しており、
更に、既に作成された第i(ここで、iは1以上の自然数)層目の回路基板の歪み状態の計測結果を入力する入力手段を備え、
前記拡大・縮小演算手段は、当該入力された計測結果に基づいて、第(i+1)層目の回路基板用の配線パターンを拡大または縮小するための拡大・縮小率を決定し、該決定した拡大・縮小率にて、第(i+1)層目の回路基板用の配線パターンのデータに対し拡大・縮小演算を施し、第(i+1)層目用の所望の配線パターンを生成することを特徴とする配線パターン露光装置。
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