JP4301630B2 - 2-cycle internal combustion engine - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、2サイクル内燃エンジンに関し、より詳細には、掃気行程において、排気ガス層の上流側に空気層を形成して、該空気層によって前記排気ガス層を排気ポートから押し出すようにした2サイクル内燃エンジンに関する。
【従来技術】
2サイクル内燃エンジンは、クランク室内等で予圧縮された混合気をシリンダブロックの燃焼室側に供給し、それをピストンの上昇運動で圧縮して電気点火等により燃焼させ、前記燃焼室内の燃焼廃ガスを排気ポートに排出するようになっている。前記2サイクルエンジンにおいては、混合気の一部が燃焼廃ガスと混ざって未燃焼ガスとして外部へ排出されてしまうとともに、燃費が悪化してしまうという、いわゆる吹き抜け問題があり、それを解決するため、従来から、掃気行程において、排気ガス層の上流側に空気層を形成して、該空気層によって前記排気ガス層を排気ポートから押し出すようにした2サイクル内燃エンジンが知られている。
例えば、特開平9−41977号公報には、掃気ポートに至る掃気通路に、逆止弁を介して外部に連通する空気取入孔を設けた2サイクル内燃エンジンが開示されている。該2サイクル内燃エンジンは、ピストンの上昇運動によって、クランク室内の圧力が負圧になると、前記逆止弁が開き、前記空気取入孔から外部空気が前記掃気通路に流入して、空気層として滞留する。該空気層は、前記ピストンの下降運動によって圧縮される。前記ピストンが更に下降して排気ポートが開口し、排気ガスが前記排気ポートを介して外に排出される。更に、前記ピストンが下降して掃気ポートが開口すると、まず前記掃気通路内に予圧縮されて滞留している前記空気層が、掃気ポートを介して燃焼室側に吐出され、該燃焼室内に残留している排気ガスを押し出して前記排気ポートから排出する。その後、前記空気層に続いて、混合気が前記掃気ポートを介して前記燃焼室内に流入して、残留している排気ガスと空気を掃気するとともに、前記燃焼室に混合気層を形成するように構成されている。
【0002】
また、特開平9−125966号公報には、エアクリーナを介して空気を取り入れる空気供給路を有し、該空気供給路を、クランクケースからシリンダに通じる掃気流路に直接連結した層状掃気2サイクル内燃エンジンが開示されている。該2サイクル内燃エンジンは、ピストンの下降運動によって排気ポート及び掃気ポートを開き、排気ガスを前記排気ポートから排出するとともに、掃気流路内に溜まっていた空気を前記掃気ポートから燃焼室内に噴出して、排気ガスを前記排気ポートから強制的に排出する。引き続き、空気の後から混合気が前記掃気ポートを通って前記燃焼室内に入るように構成されている。
更に、特開平5−33657号に記載された2サイクル機関は、エアクリーナと空気通路を介して連結された空気容積部を有し、該空気容積部は、空気通路を介してクランク室に連通し、且つ、別の空気通路を介して掃気通路と連通している。ピストンが下降し始めると、クランク室内は正圧になって、 排気ポートが開いて排気ガスが排出され、次いで、掃気ポートが開いて前記空気容積部に充填された空気が掃気通路を通り、前記掃気ポートから燃焼室に流入するようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記のように、掃気行程において、排気ガス層の上流側に空気層を形成して、該空気層によって前記排気ガス層を排気ポートから押し出すようにした2サイクル内燃エンジンに関し、簡易且つコンパクトな構造で空気の吸入及び送出をすることができ、また、空気層と混合気層との混合をより確実に防止することができる2サイクル内燃エンジンを提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、掃気行程において、排気ガス層(E)の上流側に空気層(A)を形成して、該空気層(A)によって前記排気ガス層(E)を排気ポート(46)から押し出すようにした2サイクル内燃エンジン(4)であって、ピストン(22)の昇降運動によって生じる圧力変動によって空気を取り込み且つそれをシリンダブロック(44)内の燃焼室(56)側に向かって圧送する空気室(38)を有し、該空気室(38)は、クランクケース(24)にクランク室(28)に開放して形成された凹部(36)と、クランクシャフト(14)と一体的に回転する円板状クランクウエブ(16、18)の外側面(16a)とで、前記クランク室(28)と仕切られて画成されている、ことを特徴とする2サイクル内燃エンジンによって達成することができる。
本発明にかかる2サイクル内燃エンジンは以下のように作動する。前記ピストンが上昇運動すると、前記クランク室内が負圧になり、その負圧により、外部空気が前記空気室内に吸入され、また、混合気が気化器から前記クランク室内に吸引される。前記空気室は、前記円板状クランクウエブの側面によって前記クランク室側とは仕切られているので、前記空気室に吸入された空気と混合気は互いに混ざらない。次いで、燃焼室内の圧縮された混合気が爆発して前記ピストンが下降運動すると、まず、掃気ポートが開放し、そこから排気ガス層(E)を形成する排気ガスが流出し始める。引き続き、空気が、前記ピストンの下降運動による正圧によって、前記空気室から前記燃焼室に流入して、前記排気ガス層(E)の上流側に空気層(A)を形成する。前記排気ガス層(E)は、前記空気層(A)によって前記排気ポートから外部へ押し出される。また、前記クランク室内の正圧によって、混合気が前記クランク室から前記燃焼室側に流入するが、前記空気層(A)によって前記排気ガス層(E)とは実質的に分離され、両者の混合が防止される。
【0004】
本発明によれば、空気室は、クランクケースにクランク室に開放して形成された凹部と、クランクシャフトと一体的に回転する円板状クランクウエブの側面とで、前記クランク室と仕切られて画成されているので、構造が簡易で小型の2サイクル内燃エンジンを提供することができる。また、前記クランク室内に生じる圧力変動を利用して空気の吸入及び送出を行うので、ポンプ等の特別な手段を設ける必要がなく、軽量で小型の2サイクル内燃エンジンを提供することができる。また、前記空気室が前記クランク室と、前記円板状クランクウエブによって仕切られているので、混合気と空気が混ざるのが防止される。また、排気ガスが空気によって押し出され、また、混合気と排気ガスとの混合が空気層(A)によって効果的に防止されるので、混合気の排気ポートへの吹き抜けが防止され、未燃焼ガスの排出が防止されるとともに、燃費の悪化を防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明にかかる2サイクル内燃エンジンの一実施の形態について説明する。
本実施の形態にかかる2サイクル内燃エンジンは強制空冷式であり、様々な装置の駆動源として適しているが、ここでは例示として、チエーンソーに搭載した場合について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる2サイクル内燃エンジンを搭載したチェーンソーの、クランクシャフトに沿った水平断面図である。また、図2は、図1に示すII−II矢視断面図である。
図1に示すように、チエーンソー2は、後方に設けられた、本実施の形態の形態にかかる2サイクル内燃エンジン4と、該2サイクル内燃エンジン4が搭載された駆動部6と、前方に設けられた、前記2サイクル内燃エンジン4によって駆動されるカッターチェーンをもつ切断部8と、手で握るハンドル部10,12と、を有する。
図1及び図2を参照しつつ、前記2サイクル内燃エンジン4の詳細について説明する。前記2サイクル内燃エンジン4は、左右(図1において上下)に延びるクランクシャフト14と、該クランクシャフト14に同心円状に取付けられ、且つ、互いに間隔dを隔てて設けられた左右一対の円板状クランクウエブ16、18と、該一対の円板状クランクウエブ16,18の間に偏心して設けられた、コネクティングロッド20の大端部20aを支持するクランクピン21と、該クランクピン21に揺動自在に連結された前記コネクティングロッド20と、該コネクティングロッド20の小端部20bに揺動自在に連結されたピストン22と、を有する。前記クランクシャフト14は、クランク室28を画成するクランクケース24に、左右一対の軸受26、26を介して支持されている。前記クランクケース24の、前記クランク室28の前方には、エアクリーナ30で閉じられて画成された空間32が設けられており、該空間内にはダイヤフラム式気化器37が配設されている。
【0006】
図1及び図2を見て分かるように、前記クランク室28を画成する内壁面24aは、前記一対の円板状クランクウエブ16,18の周りに、ごく僅かな隙間を隔てて近接して配設されている。すなわち、前記クランク室28は、前記一対の円板状クランクウエブ16,18の外側面16a,18aに隣接している略円形内壁面24aと、前記一対の円板状クランクウエ16,18の周面に沿って湾曲して延びる湾曲内壁部24aとから構成されている。この湾曲内壁面24aによって、前記一対の円板状クランクウエブ16,18の間の空間が略閉じられて、それらの間に混合気室34が形成されている。これにより、前記クランク室28の中に、比較的容積の小さい前記混合気室34を設けて、前記ピストン22の昇降運動によってより大きな圧力変動が得られるようにしている。前記湾曲内壁面24aは、図1に示す前記クランクシャフト14に沿った水平断面において、前記一対の円板状クランクウエブ16,18の各周面に沿って真っ直ぐに延びる二つの平らな帯状部分24c、24cと、それらの間において前記間隔dより僅かに狭い幅をもち、且つ、前記混合気室34の内方に向かって突出した凸条部24bと、からなる。前記混合気室34とその前方に配設された前記気化器37とは、前記凸条部24bを貫通して形成された混合気取入孔35を介して互いに連通している。該混合気取入孔35には、前記ピストン22の上昇運動による前記クランク室28内の負圧によって、混合気の前記気化器37から前記混合気室34の中への流入を許すリード式第一逆止弁33が設けられている。
更に、前記クランクケース24には、前記軸受26(図1において左側の前記軸受26)を取り囲んで延び、かつ、前記クランク室28に開放する環状凹部36が形成されている。該環状凹部36の開放側には、それに近接して、左側の前記円板状クランクウエブ16の外側面16aが配置されており、該外側面16aによって前記環状凹部36がほぼ閉じられて、環状の空気室38が形成されている。該空気室38の前方には、該空気室38と前記空間32とを連通する空気取入孔40が形成されている。また、該空気取入孔40には、前記ピストン22の上昇運動による前記クランク室28内の負圧によって、空気の前記空間32から前記空気室38の中への流入を許す第二逆止弁42が設けられている。
【0007】
図3は、図1に示す2サイクル内燃エンジンのシリンダブロックの部分断面図である。
図3を参照すると、シリンダブロック44には、前記チエーンソー2の後端部の下面側、すなわち、図1において、前記クランクシャフト14の軸線方向右側に、燃焼室56側に開口する排気ポート46が形成されている。また、前記シリンダブロック44には、一端50aが前記空気室38に開口し、その他端が前記燃焼室56側に開口する空気ポート50bとなる空気通路50が形成されている。前記空気ポート50bは、前記燃焼室56内に前記排気ポート46と対向して、すなわち、前記シリンダブロック44の横断面(図示せず)において、互いに180°の角度をなして配設されている。更に、前記燃焼室56内の、前記排気ポート46と前記空気ポート50bとの間、すなわち、前記シリンダブロック44の横断面において、前記排気ポート46と前記空気ポート50bとを結ぶ軸線O’−O’(前記クランクシャフト14の長手方向)を挟んで両側に、それぞれ一対の掃気ポート52a、52a、54a、54aが互いに隣接して形成されている。これらの掃気ポート52a、52a、54a、54aは、前記排気ポート46から遠ざかる方向(排気ガスの上流側)に差し向けられている。更に、図3を見て分かるように、前記各掃気ポート52a、52a、54a、54aは、そこから水平方向前方に延びる混合気通路52、52、54、54を介して、前記混合気室34と連通している。
【0008】
図1及び図3に示すように、前記排気ポート46と前記空気ポート50bと前記各掃気ポート52a、52a、54a、54aの距離(前記クランクシャフト14の中心軸線O−Oから各ポートの開口の後端縁までの距離)の関係は、以下の条件を満たせばよい。
Lex > Lair> Lsc
Lex: 排気ポート46の距離
Lair:空気ポート50bの距離
Lsc:掃気ポート52a、54aの距離
すなわち、前記ピストン22が下降運動するとき、まず前記排気ポート46が開口し、引き続き、前記空気ポート50bが開口し、それに引き続き、前記各掃気ポート52a、52a、54a、54aが開口する。本実施の形態にかかる前記2サイクル内燃エンジン4はこのように構成されているが、前記空気ポート50bと前記掃気ポート52a、52a、54a、54aが同時に開口してもよい。
【0009】
図4及び図5は、ピストンが下降運動するときの排気ガス層E、空気層A、及び、混合気層3の関係を模式的に示す。
本実施の形態にかかる2サイクル内燃エンジン4は、以下のように作動する。
前記ピストン22が上昇運動すると、前記クランク室28内が負圧になる。その負圧により、混合気が前記気化器37から前記第一逆止弁33を介して前記混合気室34内に吸入される。また、それと同時に前記負圧によって、空気が前記エアークリーナ30、前記空間32、及び、前記第二逆止弁42を介して、前記空気室38内に吸入される。なお、前記空気室38は、前記円板状クランクウエブ16の外側面16aによって、前記混合気室34とは仕切られており、更に、前記円板状クランクウエブ16、18の間の間隙は、前記凸条部24bによって略閉じられているので、前記円板状クランクウエブ16の周囲の隙間を介して、混合気が前記空気室38に流入することはない。すなわち、前記混合気室34及び前記空気室38は、互いに独立した空間を構成しており、混合気と空気とが互いに混ざることはないが、前記クランク室28内の圧力変動は及ぶ。
次いで、前記燃焼室56内の圧縮された混合気が爆発して前記ピストン22が下降運動すると、まず、前記排気ポート46が開放し、そこから排気ガス層Eを形成する排気ガスがマフラー60を介して外部へ流出し始める。引き続き、空気が、前記ピストン22の下降運動による正圧によって排気され、前記空気室38から前記空気流路50の前記空気ポート50bを介して前記燃焼室56側に流入し、前記排気ガス層Eの上流側に空気層Aをつくる(図4参照)。前記排気ガス層Eは、前記空気層Aによって上流側(前記燃焼室56の横断面において反対側)から押されて、前記排気ポート46を介して前記マフラー60へと流出する。排気ガスは前記空気層Aによってほぼ排出される。また、前記ピストン22の下降運動による前記クランク室28内の正圧によって、前記混合気室34内の混合気が、前記各混合気通路52、52、54、54を介して、前記燃焼室56側に流入する。前記各混合気ポート52a、52a、54a、54aは、後向き且つ前記排気ポート46から遠ざかる方向に差し向けられているので、流入した混合気は、前記燃焼室56の頂面に衝突してから反転し、更に、前記空気層Aの上流側に流れて混合気層Sを形成する(図5参照)。これにより、残存した前記排気ガス層上と前記空気層Aとを、それ等の下流側から前記排気ポート46に押し出す。前記燃焼室56内の混合気は、前記空気層Aによって排気ガスと分離される。以下この行程が繰り返される。
【0010】
本実施の形態によれば、前記空気室38が、前記2サイクル内燃エンジン4の基本的構成部品である前記クランクケース24に形成された前記環状凹部36と、同様に前記2サイクル内燃エンジン4の基本的構成部品である前記円板状クランクウエブ16の外側面16aによって画成されているので、簡易かつ小形な構造にすることができる。
また、本実施の形態によれば、前記クランク室28内の圧力変動を利用して、空気の吸入及び送出を行うので、ポンプ等の特別な手段を設ける必要がなく、軽量かつ簡易な構造にすることができる。
更に、前記空気室38は、前記軸受26の周りに環状に形成されているので、空気を収容する十分な容積を確保することができるとともに、装置2全体の大きさを増大させず、コンパクトな構造にすることができる。
更に、前記クランクウエブ16が円板状であるので、前記ピストン22の昇降運動中、常に、前記空気室38が前記混合気室34と仕切られた空間とされ、空気と混合気との混合が防止される。
更に、前記一対の円板状クランクウエブ16の間の間隙が、前記混合気室34の内方に突出する前記凸条部24bによって閉じられているので、前記円板状クランクウエブ16の周囲の隙間を介して、混合気が前記空気室34に、また、空気が前記混合気室34に流入することはなく、空気と混合気との混合がより確実に防止される。
【0011】
更に、前記クランク室28には、比較的容積の小さな前記混合気室34が設けられることになるので、前記ピストン22の昇降運動によって大きな圧力変動を得ることができる。
また、混合気が前記気化器37から前記第一逆止弁33を介して前記混合気室34内に、更に、前記掃気ポート52、54を介して前記燃焼室56側に流入する。一方、空気が前記エアークリーナ30、前記空間32、及び、前記第二逆止弁42を介して、前記空気室38内に吸入され、更に、前記空気流路50を介して前記空気ポート50bから前記燃焼室56側に流入する。このように、混合気の流れ経路と空気の流れ経路が別個独立になっているので、前記燃焼室56側に導入される過程で、混合気と空気とが混合してしまうのを効果的に防止することができる。従って、排気ガス層Eと混合気層Sとを、空気層Aによってより良好に分離することができる。
また、また、前記空気ポート50bが前記掃気ポート52a、54aと別個に設けられているので、これらの開放するタイミングをそれぞれに設定することができ、排気ガスが空気によって略押し出されてから混合気を導入するように、前記燃焼室56側への空気の導入のタイミングと、混合気の導入のタイミングと、を適宜決定することができる。これにより、空気による排気ガスの排除をより確実にするとともに、混合気の前記排気ポート46への吹き抜けを一層確実に低減することができる。
【0012】
更に、空気をシリンダーに混合気より前に導入するので、燃焼室56、点火プラグ電極部61、排気ポート46へのカーボンの堆積を効果的に防止することができる。また、前記ピストン22及び前記シリンダブロック44の冷却を改善することもできる。
本発明は、以上の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、本実施の形態においては、前記燃焼室56側に、前記空気ポート50bと前記各掃気ポート52a、54aとが別個独立に設けられている。これらは、空気を前記燃焼室56側に送出する過程での、混合気との混合を確実に防止するうえで望ましいが、前記空気を前記空気室38から前記掃気ポート52a、54aに送出するようにしてもよい。
【0013】
また、本実施の形態においては、前記クランク室28内に比較的容積の小さな前記混合気室34が設けられているが、該混合気室34は混合気と空気の混合を防止する上で必須の要件ではなく、前記空気室38が前記円板状クランクウエブ16の外側面16aによって前記クランク室28と仕切られていればよい。
更に、前記空気室38は環状であるが、所要量の空気を収容するのに十分な容積をもっていれば、他の形状であってもよい。
更に、本実施の形態においては、前記空気室38との間をより確実に仕切るためには、前記混合気室34の中に向かって突出する前記凸条部24bが設けられているのが望ましいが、両者の間で混合気と空気の流通が実用上支障のないレベルであれば、前記凸条部24bが設けられている必要はなく、前記混合気室34に臨む前記クランク室28の内壁は、前記クランクシャフト14の軸線方向に平らであってもよい。
更に、本実施の形態においては、前記空気ポート50bは、前記排気ポート46と対向する位置、すなわち、前記燃焼室56の横断面において、互いに180°の角度をなして配置されているが、前記空気ポート50bは、前記横断面において、前記掃気ポート52a、54aに対して、前記排気ポート46より上流側に位置していればよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、掃気行程において、排気ガス層の上流側に空気層Aを形成して、該空気層によって前記排気ガス層を排気ポートから押し出すようにした2サイクル内燃エンジンに関し、簡易且つコンパクトな構造で空気の吸入及び送出をすることができ、また、空気層と混合気層との混合をより確実に防止することができる2サイクル内燃エンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施の形態にかかる2サイクル内燃エンジンを搭載したチェーンソーの、クランクシャフトを含む水平断面図である。
【図2】図1に示すII−II矢視断面図である。
【図3】図1に示す2サイクル内燃エンジンのシリンダブロックの部分断面図である。
【図4】ピストンが下降運動したときの排気ガス層、空気層、及び、混合気層の関係を示す。
【図5】ピストンが更に下降運動したときの排気ガス層、空気層、及び、混合気層の関係を示す。
【符号の説明】
4 2サイクル内燃エンジン
14 クランクシャフト
16 円板状クランクウエブ
16a 外側面
18 円板状クランクウエブ
22 ピストン
24 クランクケース
24a 内壁面
24b 凸条部
28 クランク室
34 混合気室
36 環状凹部
37 気化器
38 空気室
42 逆止弁
44 シリンダブロック
46 排気ポート
50b 空気ポート
52a 掃気ポート
54a 掃気ポート
56 燃焼室
E 排気ガス層
A 空気層[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a two-cycle internal combustion engine, and more specifically, an air layer is formed upstream of an exhaust gas layer in a scavenging stroke, and the exhaust gas layer is pushed out from an exhaust port by the
[Prior art]
A two-cycle internal combustion engine supplies an air-fuel mixture precompressed in a crank chamber or the like to the combustion chamber side of the cylinder block, compresses it by the upward movement of the piston, and burns it by electric ignition or the like. Gas is discharged to the exhaust port. In the two-cycle engine, there is a so-called blow-out problem that a part of the air-fuel mixture is mixed with the combustion waste gas and discharged to the outside as unburned gas, and the fuel consumption is deteriorated. Conventionally, there is known a two-cycle internal combustion engine in which an air layer is formed upstream of an exhaust gas layer in the scavenging stroke, and the exhaust gas layer is pushed out from an exhaust port by the air layer.
For example, Japanese Patent Laid-Open No. 9-41977 discloses a two-cycle internal combustion engine in which an air intake hole communicating with the outside through a check valve is provided in a scavenging passage leading to a scavenging port. In the two-cycle internal combustion engine, when the pressure in the crank chamber becomes negative due to the upward movement of the piston, the check valve opens, and external air flows into the scavenging passage from the air intake hole to form an air layer. Stay. The air layer is compressed by the downward movement of the piston. The piston is further lowered to open the exhaust port, and the exhaust gas is discharged to the outside through the exhaust port. Further, when the piston descends and the scavenging port opens, first, the air layer pre-compressed and staying in the scavenging passage is discharged to the combustion chamber side through the scavenging port and remains in the combustion chamber. Exhaust gas exhausted is pushed out and exhausted from the exhaust port. Thereafter, following the air layer, an air-fuel mixture flows into the combustion chamber via the scavenging port, scavenging remaining exhaust gas and air, and forming an air-fuel mixture layer in the combustion chamber. It is configured.
[0002]
JP-A-9-125966 discloses a stratified scavenging two-cycle internal combustion engine having an air supply path for taking in air through an air cleaner, and directly connecting the air supply path to a scavenging flow path from a crankcase to a cylinder. An engine is disclosed. The two-cycle internal combustion engine opens the exhaust port and the scavenging port by the downward movement of the piston, exhausts the exhaust gas from the exhaust port, and ejects the air accumulated in the scavenging passage from the scavenging port into the combustion chamber. Exhaust gas is forcibly discharged from the exhaust port. Subsequently, the air-fuel mixture is configured to enter the combustion chamber through the scavenging port after the air.
Further, the two-cycle engine described in JP-A-5-33657 has an air volume connected to an air cleaner via an air passage, and the air volume communicates with the crank chamber via the air passage. And communicated with the scavenging passage through another air passage. When the piston starts to descend, the crank chamber becomes positive pressure, the exhaust port opens and exhaust gas is discharged, and then the scavenging port opens and the air filled in the air volume passes through the scavenging passage, It flows into the combustion chamber from the scavenging port.
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention relates to a two-cycle internal combustion engine in which an air layer is formed on the upstream side of an exhaust gas layer in the scavenging stroke, and the exhaust gas layer is pushed out from an exhaust port by the air layer. Another object of the present invention is to provide a two-cycle internal combustion engine that can suck and deliver air with a simple and compact structure and can more reliably prevent the air layer and the air-fuel mixture from mixing with each other.
[0003]
[Means for Solving the Problems]
The object of the present invention is to form an air layer (A) on the upstream side of the exhaust gas layer (E) in the scavenging stroke, and to remove the exhaust gas layer (E) from the exhaust port (46) by the air layer (A). ) Is a two-cycle internal combustion engine (4) that is pushed out of the air by the pressure fluctuation caused by the up-and-down movement of the piston (22) and moves it toward the combustion chamber (56) in the cylinder block (44). And an air chamber (38) for pressure-feeding, the air chamber (38) having a recess (36) formed in the crankcase (24) opened to the crank chamber (28), a crankshaft (14), A two-cycle internal combustion engine characterized in that it is defined by an outer surface (16a) of a disk-shaped crank web (16, 18) that rotates integrally with the crank chamber (28). By It can be achieved to.
The two-cycle internal combustion engine according to the present invention operates as follows. When the piston moves upward, the crank chamber becomes negative pressure, and due to the negative pressure, external air is sucked into the air chamber and an air-fuel mixture is sucked into the crank chamber from a carburetor. Since the air chamber is partitioned from the crank chamber side by the side surface of the disc-shaped crank web, the air sucked into the air chamber and the air-fuel mixture do not mix with each other. Next, when the compressed air-fuel mixture in the combustion chamber explodes and the piston moves downward, the scavenging port is first opened, and the exhaust gas forming the exhaust gas layer (E) begins to flow out therefrom. Subsequently, air flows into the combustion chamber from the air chamber by a positive pressure generated by the downward movement of the piston, and forms an air layer (A) on the upstream side of the exhaust gas layer (E). The exhaust gas layer (E) is pushed out from the exhaust port by the air layer (A). Also, the air-fuel mixture flows into the combustion chamber from the crank chamber due to the positive pressure in the crank chamber, but is substantially separated from the exhaust gas layer (E) by the air layer (A). Mixing is prevented.
[0004]
According to the present invention, the air chamber is partitioned from the crank chamber by a recess formed in the crankcase so as to open to the crank chamber and a side surface of the disc-shaped crank web that rotates integrally with the crankshaft. Since it is defined, a two-cycle internal combustion engine having a simple structure and a small size can be provided. Further, since air is sucked and delivered by utilizing pressure fluctuations generated in the crank chamber, it is not necessary to provide a special means such as a pump, and a lightweight and small two-cycle internal combustion engine can be provided. Further, since the air chamber is partitioned by the crank chamber and the disc-shaped crank web, it is possible to prevent air-fuel mixture and air from being mixed. Further, since the exhaust gas is pushed out by the air and the mixture of the air-fuel mixture and the exhaust gas is effectively prevented by the air layer (A), the air-fuel mixture is prevented from being blown into the exhaust port, and the unburned gas Emissions can be prevented and fuel consumption can be prevented from deteriorating.
[0005]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of a two-cycle internal combustion engine according to the present invention will be described with reference to the accompanying drawings.
The two-cycle internal combustion engine according to the present embodiment is of a forced air cooling type and is suitable as a drive source for various devices. Here, a case where it is mounted on a chain saw will be described as an example.
FIG. 1 is a horizontal sectional view along a crankshaft of a chainsaw equipped with a two-cycle internal combustion engine according to the present embodiment. 2 is a cross-sectional view taken along arrow II-II shown in FIG.
As shown in FIG. 1, a
Details of the two-cycle internal combustion engine 4 will be described with reference to FIGS. 1 and 2. The two-cycle internal combustion engine 4 includes a
[0006]
As can be seen from FIG. 1 and FIG. 2, the
Further, the
[0007]
FIG. 3 is a partial cross-sectional view of a cylinder block of the two-cycle internal combustion engine shown in FIG.
Referring to FIG. 3, the
[0008]
As shown in FIGS. 1 and 3, the distance between the
Lex> Lair > Lsc
Lex: distance of the
[0009]
4 and 5 schematically show the relationship between the exhaust gas layer E, the air layer A, and the air-fuel mixture layer 3 when the piston moves downward.
The two-cycle internal combustion engine 4 according to the present embodiment operates as follows.
When the
Next, when the compressed air-fuel mixture in the
[0010]
According to the present embodiment, the
In addition, according to the present embodiment, since air is sucked and discharged by utilizing the pressure fluctuation in the
Further, since the
Further, since the
Further, since the gap between the pair of disc-shaped crank
[0011]
Furthermore, since the air-fuel mixture chamber 34 having a relatively small volume is provided in the
Further, the air-fuel mixture flows from the
In addition, since the
[0012]
Furthermore, since air is introduced into the cylinder before the air-fuel mixture, carbon accumulation in the
The present invention is not limited to the above-described embodiments, and various modifications are possible within the scope of the invention described in the claims, and these are also included in the scope of the present invention. Needless to say.
For example, in the present embodiment, the
[0013]
In the present embodiment, the air-fuel mixture chamber 34 having a relatively small volume is provided in the
Furthermore, although the
Furthermore, in the present embodiment, in order to more reliably partition the
Further, in the present embodiment, the
[0014]
【The invention's effect】
The present invention relates to a two-cycle internal combustion engine in which an air layer A is formed on the upstream side of an exhaust gas layer in the scavenging stroke so that the exhaust gas layer is pushed out from the exhaust port by the air layer. It is possible to provide a two-cycle internal combustion engine that can suck and deliver air with a simple structure and can more reliably prevent the air layer and the air-fuel mixture layer from being mixed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a horizontal sectional view including a crankshaft of a chainsaw equipped with a two-cycle internal combustion engine according to an embodiment of the present invention.
2 is a cross-sectional view taken along arrow II-II shown in FIG.
FIG. 3 is a partial sectional view of a cylinder block of the two-cycle internal combustion engine shown in FIG.
FIG. 4 shows a relationship among an exhaust gas layer, an air layer, and an air-fuel mixture layer when the piston moves downward.
FIG. 5 shows a relationship among an exhaust gas layer, an air layer, and an air-fuel mixture layer when the piston further moves downward.
[Explanation of symbols]
4 Two-cycle
Claims (5)
ピストン(22)の昇降運動によって生じる圧力変動によって空気を取り込み且つそれをシリンダブロック(44)内の燃焼室(56)側に向かって圧送する空気室(38)を有し、該空気室(38)は、クランクケース(24)にクランク室(28)に開放して形成された凹部(36)と、クランクシャフト(14)と一体的に回転する円板状クランクウエブ(16、18)の外側面(16a)とで、前記クランク室(28)と仕切られて画成されている、ことを特徴とする2サイクル内燃エンジン。In the scavenging stroke, an air layer (A) is formed on the upstream side of the exhaust gas layer (E), and the exhaust gas layer (E) is pushed out from the exhaust port (46) by the air layer (A). A cycle internal combustion engine (4),
It has an air chamber (38) that takes in air by pressure fluctuation caused by the up-and-down movement of the piston (22) and pumps the air toward the combustion chamber (56) side in the cylinder block (44). ) Is a recess (36) formed in the crankcase (24) so as to open to the crank chamber (28), and a disc-shaped crank web (16, 18) rotating integrally with the crankshaft (14). A two-cycle internal combustion engine characterized in that it is defined by a side surface (16a) and separated from the crank chamber (28).
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