JP4300290B2 - 太陽熱推進システム、及びそれを用いた使用済み人工衛星の自主廃棄方法 - Google Patents

太陽熱推進システム、及びそれを用いた使用済み人工衛星の自主廃棄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集光した太陽光によって推進剤を加熱して噴射し、人工衛星搭載用のサブシステムとしても適用可能な太陽熱推進システム、及びこの太陽熱推進システムを用いた使用済み人工衛星の自主廃棄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軌道変換や姿勢制御を目的として人工衛星に搭載される推進機(スラスタ)には、固体推進剤による固体ロケットや、一液式又は二液式のガスジェットが用いられて来た。しかし、それらの化学推進の推力は大きくとも比推力が300秒程度と低いので、必要な推進剤総量が大きくなって搭載すべき計測系重量が制限されるか、或いは限られた推進剤総量によって運用期間が制限されていた。
【0003】
最近になって、アーク放電によって推進剤を加熱して噴射するDCアークジェットや、イオン化した推進剤を高電圧グリッドによって加速して噴射するイオンスラスタ等の、小推力(10mN〜100mN)且つ高比推力(800〜2000秒)の電気推進が用いられるようになった(アーク放電を利用して推進剤を加熱加速する例として、特許文献1参照)。しかしながら、これらの電気推進方式はスラスタ作動のために大電力を必要としているので、電力供給の面で制限がある小型や超小型の人工衛星は、電気推進装置を搭載することが困難である。また、太陽光から太陽電池パネルによって電気推進方式利用に十分な電力を得ることが可能であっても、太陽電池の電力変換効率が20%程度と低いため、推進系の全体的な効率は非常に低い。
【0004】
上記の化学推進系と電気推進系の中間の特性を有する太陽熱推進系が、主に、日本及び米国において研究されている。しかしながら、その目的は、地球周回低軌道から静止軌道への軌道変換用の推進系に的を絞ったものであり、使用済み人工衛星の自主廃棄に適用することまでは全く考慮されていない。太陽光を超軽量な高分子膜集光鏡で集光する技術が、例えば、本出願人が先に出願した特願2002−239694において開示されている。この高分子膜集光鏡によれば、打上時の振動によって変形や裏返りが生じる可能性のない構造が提供される。
【0005】
また、使用済み人工衛星は、現在ではその廃棄に関しての規制が無く、軌道上に放置され、自然落下に任されているのが殆どである。特に高度300km以上の軌道を有する人工衛星の場合、自然落下により大気圏に突入して消失するまでに何十年、何百年、或いはそれ以上もの歳月を要する。現在、人工衛星への需要は益々増大しているので、使用済みの人工衛星は、軌道上において宇宙ゴミ(スペースデブリ)として蓄積されることが懸念される。運用中の人工衛星や、国際宇宙ステーション、或いはスペースシャトル等の有人宇宙船に対してスペースデブリは最も危険な事案であり、例え小さな衛星でも、これらと衝突すれば致命的な被害を引き起こし、経済的又は人的被害を発生させることになる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−68154号公報(段落[0006]〜[0007];図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の化学推進と電気推進との中間的な推進性能を有する推進系が望まれる。即ち、高比推力を有する推進系を用いれば、必要推進剤が少なくなり、人工衛星には、その分、科学的又は商業的な目的を持つより多くの装置を搭載することが可能になる。或いは、現在と同程度の推進剤を搭載する場合には、高比推力の推進系を用いることで、人工衛星の運用期間を現行より長くすることが可能となる。どちらも人工衛星の単位質量、又は運用の単位時間当りの単価を安くすることとなり、経済的な利点が発生する。また、高比推力の推進系であって、電力を殆ど必要としないものであれば、大きな太陽電池パネルや原子力電池を搭載しない人工衛星であっても、それを使用することが可能となる。このような推進系をひとつのサブシステムに纏め、簡便な作業によって人工衛星に取り付けることができれば、人工衛星の製造等に費やされるコストの低減にも繋がる。
【0008】
また、使用済み人工衛星を自主廃棄することは、軌道上の環境悪化を防ぎ、今後益々増大すると予測される軌道上での様々なミッションの安全を確保することにつながる。ところが、人工衛星の自主廃棄は、現在のところ、それ自体が科学的、商業的に恩恵を齎すものではないので、非生産的なミッションであると位置付けられている。しかしながら、自主廃棄は、倫理的な問題のみならず、運用上の安全を確保すると言う明確な利点を有するので、避けて通れない課題である。そこで、中推力高比推力の太陽熱推進系を使用済み人工衛星の自主廃棄ミッションに用いることができれば、短期間のミッション期間で効率良く自主廃棄を達成することが可能となり、経済的にも利点が発生する。
【0009】
本発明の目的は、これらの要求に応えられる、高比推力の太陽熱推進システムを得ること、また、該太陽熱推進システムを用いることで経済的にも利点もある、軌道上の安全を確保する自主廃棄方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、この発明による太陽熱推進システムは、集光鏡又は集光レンズ等から成る太陽光集光装置、前記太陽光集光装置の焦点位置近傍に配置された熱交換器、前記熱交換器で加熱された推進剤を噴射するノズル、及び前記推進剤を前記熱交換器に供給する推進剤供給系を備えるシステムとして構成されている。
【0011】
集光鏡又は集光レンズ等から成る太陽光集光装置が集光した太陽光は、焦点位置に置かれた推進剤供給系の途中、又は熱交換器において熱エネルギーに変換されて、推進剤を加熱、あるいは液体推進剤の場合は気化して加熱する。太陽熱推進システムは、中推力(〜10N)且つ高比推力(800〜1000秒)の非化学推進のひとつで、太陽光を熱交換器に集光させることにより推進剤を加熱し、ノズルによって噴射する熱推進機関の一種である。太陽光から直接熱交換器によって推進剤を加熱するので、全体的な効率が70%と大変良く、又、電力を殆ど必要としない点が特徴である。太陽熱推進システムを人工衛星の軌道変換、又は姿勢制御に用いることで、推進剤総量の点でも、電力的な点でも、現在の状況を改善することが可能となる。
【0012】
この太陽熱推進システムにおいて、前記太陽光集光装置は、銀又はアルミニウム等の蒸着を施して高反射率面を有するポリエステル又はポリイミド、テフロン(登録商標)等の高分子薄膜を材料とする超軽量高分子膜集光鏡とすることができる。人工衛星搭載用の太陽熱推進システムでは、この超軽量高分子膜集光鏡を用いると重量的に有利となり、特に、サブシステムとして人工衛星に搭載される場合には軽量化の点で特に有利である。
【0013】
この太陽熱推進システムにおいて、熱交換器部とノズル部とを一体化して推進機(スラスタ)とすることができる。熱交換器部とノズル部とを一体構成した場合には、推進剤加熱から噴射までを簡単化し、かつ熱損失を小さくして高効率とすることが可能となる。該スラスタにおいて、該熱交換部と該ノズル部とが一直線上にある場合は同軸型スラスタ、一直線上にない場合は軸外し型スラスタ又は対向型スラスタと呼ばれる。スラスタの型式に応じて用いる高分子膜集光鏡の型式が異なる。即ち、同軸型スラスタの場合には軸対称型の高分子膜集光鏡を用いられ、対向型スラスタの場合には軸外し型の高分子膜集光鏡が用いられる。
【0014】
この太陽熱推進システムにおいて、前記熱交換器及び前記ノズルを蓄熱材で覆うことができる。熱交換器及びノズルを蓄熱材で覆うことにより、人工衛星の軌道上の位置や太陽光集光装置の向き等に起因して、太陽光集光装置に太陽光が照射されていないときでも、熱交換器やスラスタは蓄熱材に蓄えられた熱によって推進剤を加熱することができる。
【0015】
この太陽熱推進システムを、人工衛星本体に対するサブシステムとして、インターフェースを介してパワー及び電気的信号を授受可能に取り付け、前記人工衛星の姿勢又は軌道の変更用の推力を得るために用いることができる。動力源、信号処理、あるいは推進源をメインシステムとしての人工衛星本体からの供給に依存することで、必要最小限な構造のみを有するサブシステムとして機能することができる。
【0016】
サブシステムとしての太陽熱推進システムにおいて、前記人工衛星への収納性を高めるため、前記熱交換器又は該スラスタを不使用時には格納状態とし、使用時に展開状態とする展開機構を備えることができる。
熱交換器又はスラスタは、集光鏡の焦点位置かその近傍に配置される。集光鏡の焦点距離は、おおよそその集光鏡の直径の半分から直径と同程度である。この太陽熱推進システムを人工衛星搭載の太陽熱推進系サブシステムとして適用した場合、熱交換器又はスラスタはサブシステムの他要素とは異なり、ただひとつだけ飛び出すこととなる。太陽熱推進サブシステムの場合、これが原因となってロケットフェアリング内への収納性が悪くなり、又、飛び出しているので何らかの原因により破損する可能性が高くなる。そこで、太陽熱推進サブシステムを運用しない場合には、熱交換器又はスラスタを集光鏡の中央部の凹部に収納すると共に、熱交換器又はスラスタが集光鏡の中央部を支持することで打上時の集光鏡の変形や裏返りを防止する役目を持たせ、運用する場合にはそれを展開し、集光鏡の焦点位置かその近傍に配置する、熱交換器・スラスタ展開機構を太陽熱推進系サブシステムに含めることが好ましい。
【0017】
サブシステムとしての太陽熱推進システムにおいて、前記推進剤を、前記人工衛星本体に搭載の推進剤貯蔵メインタンクより、前記インターフェースを通じて供給することができる。即ち、推進剤については、人工衛星本体が推進剤貯蔵メインタンクを有していれば、太陽熱推進サブシステムの運用中はそこから供給を受けることが考えられる。その場合、太陽熱推進サブシステムは、インターフェースを通じて推進剤の供給を受ける。人工衛星本体又は太陽熱推進サブシステムには、推進剤流路の切換器を取り付け、必要に応じて推進剤の供給先を推進剤貯蔵メインタンクとサブシステム内の供給源とに切り換えることが必要である。
【0018】
一方、超小型衛星等では人工衛星本体には推進剤を持たない場合が多い。その場合には、太陽熱推進システムにおいて、前記推進剤供給系に推進剤貯蔵タンクを備えることができる。推進剤供給系に自ら備わる推進剤貯蔵タンクから推進剤が、熱交換器へ、更に熱交換器を経てノズルに供給される。
【0019】
太陽熱推進システムにおいて、前記推進剤貯蔵タンクを、トーラス形状を有し、トーラス内部の空間に推進剤を貯蔵可能なトーラス型の推進剤貯蔵タンクを採用することが考えられる。トーラス型タンクの一般的な例としては、例えば特開平7−213638公報に開示のものがある。本太陽熱推進システムでは、前記推進剤貯蔵タンクは、前記太陽光集光装置の湾曲外周部の背面側に配置されたトーラス型タンクとすることができる。特に、人工衛星本体から推進剤の供給を受けない太陽熱推進サブシステムの場合には、サブシステム自体に推進剤貯蔵タンクを備える必要があるが、必要推進剤量が多くなると、従来の球形タンクでは直径が大きくなり、サブシステムの占める容積が大きくなってしまうため、人工衛星搭載の際、ロケットフェアリング内への格納や、重心位置制御等の点で困難を生じる。そこで、推進剤貯蔵タンクをトーラス型の推進剤貯蔵タンクとし、太陽光集光装置の形状・構造を考慮して湾曲外周部の背面側に残存状態に形成される環状空間を利用して配置することにより、推進剤貯蔵タンクを備えるサブシステムとして可及的にコンパクトに構成することができる。即ち、トーラス型タンクの大直径を該集光鏡の直径と同程度とし、トーラス型タンクの小直径を該集光鏡の深さに対応した径と同程度とし、トーラス型タンクを集光鏡の背面外周側に隣接配置することで、集光鏡の背面側に形成される環状空間を有効利用することができ、太陽熱推進系サブシステムの占有容積を小さくすることが可能となる。更に、熱交換器・スラスタ展開機構やその他の計測・制御装置をトーラス型タンクの内側に形成されるスペースに配置することも可能となって、太陽熱推進系サブシステムを更にコンパクトに構成することが可能となる。
【0020】
トーラス型タンクに液体の推進剤を貯蔵する場合、微小重力環境下、又は推力発生による任意の一方向の加速度環境下にある宇宙等でそれを用いるときには、該液体推進剤を何らかの手段によってトーラス型タンクから排出させる必要がある。そこで、トーラス型タンクを推進剤貯蔵タンクとした本太陽熱推進システムにおいて、前記トーラスの内部に、ガス供給系統から供給されるガスを封入することで膨張又は変位可能であり、前記トーラス内部に貯蔵された前記推進剤を推進剤供給管を通じて前記熱交換器に向けて送り出すブラダ(風船)を配置することが好ましい。ブラダにガスを封入することによりブラダ内のガス圧力が上昇し、トーラス型タンク内部に貯蔵された液体推進剤に圧力が加えられる。液体は圧縮率が小さいので、ブラダにより圧力が加えられた液体推進剤は、ブラダが膨張した分の体積だけトーラス型タンクの排出口から排出され、推進剤供給管を経由して熱交換器・スラスタへ供給される。
【0021】
トーラス型タンク内部にブラダを配置した太陽熱推進システムにおいて、前記ブラダは、前記トーラス型タンクの円周方向に湾曲した形状若しくは膨張形態を有し、前記ガスを封入するときに太さと長さの一方又は両方が増大するか又はその位置が変位するものとすることができる。前記ブラダの前記膨張形態は、前記ガスを封入するときに、前記トーラス型タンクの送出口から最も遠い側から前記送出口に向かって膨張する形態とすることができる。ブラダの膨張方向をこのように定めることにより、トーラス型タンク内の推進剤をタンク内に残すことなく、送出口へ向かって押し出すことができる。
【0022】
トーラス型タンクを備えた太陽熱推進システムにおいて、前記推進剤供給系は、前記トーラスの内部が周方向に複数に等分割された小タンク、並びに前記各小タンク毎に設けられた前記ブラダ、前記ガス供給系統及び前記推進剤排出系統を備えた複数の推進剤並列供給系から成り、前記各推進剤並列供給系は前記トーラス型タンクの大円中心に対して回転対称に配置されることができる。各推進剤並列供給系の推進剤残量が異なると、トーラス型タンクの重心位置が変化して、人工衛星の運動に影響が及ぶ。そこで、推進剤供給系を複数の推進剤並列供給系に構成する場合に、推進剤並列供給系を回転対称に配置することによって、推進剤を使用しても、各小タンク内における推進剤残量が同量となり、全体としてトーラス型タンクの重心位置が変化するのを防止することができる。
【0023】
運用の終了した使用済み人工衛星は、現在ではその廃棄・処分に規制が無いため、殆どの場合は軌道上に放置されている。軌道上であっても希薄大気が存在するので、希薄大気による抵抗を受けて使用済み人工衛星の軌道速度は低下し、それに伴い軌道高度も降下し、最終的には大気圏に突入して消失する。しかしながら、それまでに要する期間は高度300km程度の場合で数10年単位(より高高度では一層長い期間)と長く、その間は宇宙ゴミ(スペースデブリ)として軌道上に存在し、他の人工衛星や有人宇宙船に対して危険を及ぼす可能性がある。現在、直径10cm以上で地上から常時監視されているスペースデブリだけでも約9千個存在し、有人宇宙船への衝突の危険が予測される場合には宇宙船の軌道制御によりその衝突を回避させているのが実情である。これらのスペースデブリがもたらす危険性や、その常時監視に費やすコスト等を考慮すれば、今後の宇宙開発では、可能な限り新しいスペースデブリを発生させないよう努めることがまず必要である。そこで、使用済み人工衛星の自主廃棄を行うことが求められる。
【0024】
上記の使用済み人工衛星の自主廃棄ミッションでは、それ自体では科学的、商業的恩恵をもたらさないため、非生産的なミッションであるとみなされる傾向がある。従って、該自主廃棄ミッションで使用する推進系には、効率、推力、比推力、使用電力、信頼性等を考慮して選定する必要がある。自主廃棄ミッションを短期間で終了させるためには、推力密度の大きな熱推進機関が有力候補となる。熱推進機関にはガスジェット、レジストジェット、DCアークジェット等もあるが、使用電力が大きい為、人工衛星によっては電力供給ができない場合もある。また、レーザー推進では、その実現性に課題を残している。
【0025】
そこで、太陽熱推進システムを使用済み人工衛星の自主廃棄に効率的且つ簡便に用いる方法を考案した。人工衛星の自主廃棄方法としては、構造が簡単、推進剤が自由に選べる、推力密度が大きい、比推力が高い、効率が良い、使用電力が殆ど不要である、との観点から、太陽熱推進システムが最も有力となる。太陽熱推進システムを自主廃棄用推進系として人工衛星に搭載することで、人工衛星に自主廃棄能力を付与することが可能となる。人工衛星に付加的に搭載される太陽熱推進系サブシステムを自主廃棄以外の軌道遷移、軌道制御、姿勢制御に用いても良い。人工衛星の運用終了後は、軌道上で太陽熱推進システム又はサブシステムにより減速を行い、周回軌道の一部を高度100km以下にまで下げる。周回軌道の一部が高度100km以下となれば、人工衛星が大気圏に突入し、消失するまでの期間は数日から数ヶ月と、極めて短くなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の、太陽熱推進システム、及び使用済み人工衛星の自主廃棄方法について、図を用いて説明する。図1は、本発明による太陽熱推進システムの一例を概念的に示す斜視図である。人工衛星(図示せず)への取り付け用プレートであるベースプレート2上には、太陽光集光装置としての高分子膜集光鏡4、推進剤を蓄えておくことができる推進剤貯蔵タンク7、推進剤貯蔵タンク7内の推進剤を熱交換器・スラスタ3に向かって排出する推進剤供給管5に設けられた調圧弁8、ベースプレート2上のこれらの機器等を制御するための制御装置9等が配置されている。推進剤貯蔵タンク7、推進剤供給管5、及び調圧弁8は、太陽熱推進システムの発明推進剤供給系を構成している。高分子膜集光鏡4の焦点位置1に、スラスタ展開機構支持部6によって支持された熱交換器・スラスタ3が配置され、推進剤供給管路5を経由して熱交換器・スラスタ3に推進剤が供給される。太陽光集光装置としては、集光鏡に代えて集光レンズを用いることもできる。集光レンズの場合、レンズでの屈折角に波長依存性があり、高集光度で効率良く太陽光を集光させることは困難である。高分子膜集光鏡4のような集光鏡の場合には、そうした波長依存性の影響が無く、1000倍以上の集光度を実現することができる。
【0027】
高分子膜集光鏡4は、銀又はアルミニウム等の蒸着を施して高反射率面を有するポリエステル又はポリイミド、テフロン(登録商標)等の高分子薄膜を材料とする超軽量高分子膜集光鏡である。この超軽量高分子膜集光鏡を用いると重量的に有利となり、特に、サブシステムとして人工衛星に搭載される場合には軽量化の点で特に有利である。高分子膜集光鏡4は、周辺部を支持材によってベースプレート2に支持されており、その中央部には、後述するスラスタ展開機構支持部6を通すために孔4aが開いている。
【0028】
図2は、本発明による太陽熱推進システムに用いられる、熱交換器部とノズル部とを一体化したスラスタ(以下、「一体型スラスタ」と称す)を概念的に示す断面図である。一体型スラスタ3は、熱交換器部10と超音速ノズルとしてのノズル部11とを一体構成したスラスタであるが、熱交換部10とノズル部11とが一直線上にあるので、同軸型スラスタである。一体型スラスタ3の熱交換部10の端面を高分子膜集光鏡4の焦点位置1に一致させており、高分子膜鏡4で集光された集光太陽光21により熱交換部10の内部が加熱される。推進剤供給管5から供給された推進剤は、熱交換部10を通過する間に高温に加熱され、ノズル部11により超音速で噴射されることで、推力を発生する。一体型スラスタ3を太陽熱推進システムに含めることにより、推進剤加熱から噴射までを簡単化し、且つ熱損失を小さくして高効率とすることができる。
【0029】
図1に示されている太陽熱推進システムは、推進剤貯蔵タンクを含む太陽熱推進サブシステムとして適用可能である。太陽熱推進サブシステムに推進剤貯蔵タンク7、推進剤供給管5及び調圧弁8を含めることで、人工衛星本体に推進剤及びその供給経路を依存することなく、太陽熱推進サブシステムを制御系統以外を自立的に作動させることが可能となる。人工衛星本体内のメイン制御装置(図示せず)は、信号系統を通じて制御装置9と交信し、太陽熱推進サブシステムの各要素の制御及び計測を行う。人工衛星本体に対して適用したサブシステムの場合、サブシステムは、人工衛星本体との間においてインターフェースを介してパワー及び電気的信号を授受可能に搭載される。また、サブシステムが生じさせる推力は人工衛星の姿勢又は軌道の変更のために用いられる。動力源や信号処理をメインシステムとしての人工衛星本体からの供給に依存することで、必要最小限な構造のみを有するサブシステムとして機能することができる。
【0030】
推進剤貯蔵タンク7を含まない太陽熱推進サブシステムの場合は、人工衛星本体に搭載の推進剤貯蔵メインタンクに貯蔵されている推進剤の供給を受ける必要がある。その場合、推進剤については、インターフェースを介して人工衛星本体の推進剤貯蔵メインタンク(図示しない)から供給を受ける。また、図1に示されている推進剤タンク7、調圧弁8の一部又は全部は太陽熱推進サブシステムに含まれない。
【0031】
図3は、本発明による太陽熱推進システムにおいて、スラスタ展開機構の概念図であり、(A)は収納状態を示し、(B)は展開状態を示す縦断面図である。一体型スラスタ3は太陽熱推進サブシステムにおいて突出した位置を締めるので、ロケット打ち上げ時等の太陽熱推進サブシステムを運用しない場合には、一体型スラスタ3を椀状に湾曲した高分子膜集光鏡4の中央部の凹部に収納してコンパクト化を図るのが好ましい。そこで、スラスタ展開機構支持部6(図1)は、モータ等の駆動源によって回転される一対のローラから成るスラスタ展開機構駆動部12によって展開駆動される。スラスタ展開機構支持部6は、収納時には、高分子膜集光鏡4の中央部の凹部に後退され、停止しているスラスタ展開機構駆動部12によって保持・固定される。同時に、一体型スラスタ3に接続された推進剤供給管5の一部分は、高分子膜集光鏡4が打上時等における衝撃でも変形や裏返りを起こさないよう、スラスタ展開機構駆動部12との間に高分子膜集光鏡4の中央部を挟んで支持する押さえ具として機能している。一体型スラスタ3へ接続される推進剤供給管5は、スラスタ展開機構支持部6の内部に配置されている。
【0032】
太陽熱推進サブシステムを運用する場合には、一体型スラスタ3が展開される。即ち、太陽熱推進サブシステムに含まれるスラスタ展開機構支持部6がスラスタ展開機構駆動部12によって送り出されることによって上昇し、一体型スラスタ3の端面が高分子膜集光鏡4の集光太陽光21の焦点位置1或いはその近傍に達した時点で展開完了となる。スラスタ展開機構支持部6は、モータの回転方向を変えることにより、一体型スラスタ3の展開と収納とを可逆に何度でも行うことができる。また、スラスタ展開機構駆動部としては、符号12で図示する駆動部に代えて、収納していた一体型スラスタ3を一度展開すれば再収納不可能な不可逆なバネや空圧シリンダ等の駆動手段としてもよい。
【0033】
図4は、本発明による太陽熱推進システムにおいて推進剤貯蔵タンクとして用いられるトーラス型タンクを示す概念図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。人工衛星本体には推進剤を持たない超小型衛星等の場合には、太陽熱推進システムにおいて、前記推進剤供給系に推進剤貯蔵タンクを自ら備えることで、推進剤貯蔵タンクから推進剤が、熱交換器へ、更に熱交換器を経てノズルに供給される。
【0034】
太陽熱推進サブシステムの場合には、サブシステム自体に推進剤貯蔵タンクを備える必要があるが、必要推進剤量が多くなると、サブシステムが大きくなって、人工衛星搭載の際、ロケットフェアリング内への格納や、重心位置制御等の点で困難を生じる。そこで、推進剤貯蔵タンクは、高分子膜集光鏡4の湾曲した形状・構造に着目して、高分子膜集光鏡4の湾曲外周部の背面側に配置されたトーラス型タンク13とされる。トーラス型タンク13は、その大直径が高分子膜集光鏡4の直径と同程度であって、トーラス型タンク13の小直径を高分子膜集光鏡4の深さに対応した径と同程度な大きさを持ち、その断面が円又は楕円であり、内圧に対して高い強度を示す構造に製作されている。トーラス型タンク13を、高分子膜集光鏡4の湾曲外周部の背面側に形成される環状空間を有効利用して配置することにより、太陽熱推進サブシステムを可及的にコンパクトに構成することができる。更に、一体型スラスタ3やその展開機構、及びその他の計測・制御装置をトーラス型タンク13の内側に形成されるスペースに配置することもできる。トーラス型タンク13には、図4に示すように1個、又は該トーラス型タンク13の大円の中心に対して回転対称となる位置に複数個の推進剤排出口14が設けられており、トーラス型タンク13に貯蔵された推進剤は、推進剤排出口14から排出され、推進剤供給管5を経て一体型スラスタ3へ供給される。
【0035】
トーラス型タンク13に液体推進剤を貯蔵する場合、微小重力環境下や推力発生による任意の一方向の加速度環境下にある宇宙で用いるときには、液体推進剤を積極的にトーラス型タンク13から排出させる手段が必要である。図5及び図6には、推進剤を積極的に排出させる手段としてブラダを設けたトーラス型タンクの例が示されている。ブラダ(風船)17は、トーラス型タンク13の内部に、トーラス型タンク13の中心に対して回転対称となる位置に複数個(図示の例では2個)設けられる。トーラスの内部に、ガス供給系統であるガス供給管16からガス供給口15を通じて供給されるガスを封入することで膨張又は変位可能なブラダ17が配置される。ブラダ17にガスを封入することにより、ブラダ17内のガス圧力が上昇しブラダ17が膨張する。液体は圧縮率は非常に小さいので、膨張したブラダ17により圧力が加えられた液体推進剤は、ブラダ17が膨張した分の体積だけトーラス型タンク13の推進剤排出口14から推進剤供給管5を経由して一体型スラスタ3に向けて送り出すことができる。
【0036】
ガスを封入するときのブラダ17の膨張形態には、太さ方向と長さ方向とがあるが、これらのどちらか一方を優先させて増大させる方法と、両方を同時に増大させる方法とが考えられる。図5は、太陽熱推進システムにおいて、内部にその長さを増大させることで液体推進剤を加圧するブラダが配置されたトーラス型タンクの一実施例であり、(A)は膨張前の状態を示し、(B)は膨張中の状態を示す概念図である。図5に示す場合、長さのみを増大させるブラダ17の膨張形態は、ガスを封入するときに、トーラス型タンク13の推進剤排出口14から最も遠い側(即ち、ガス供給口15が形成されている側)から推進剤排出口14に向かって膨張する形態とすることができる。ブラダの膨張方向をこのように定めることにより、トーラス型タンク内の推進剤をタンク内に残すことなく、送出口へ向かって押し出すことができる。また、図6は、太陽熱推進システムにおいて、内部にその径を増大させるプラダを備えたトーラス型タンクの一実施例であり、(A)は膨張前の状態を示し、(B)膨張中の状態を示す概念図である。径のみを増大させるブラダ17は、膨張前においてトーラス型タンク13の円周方向に湾曲した形状を持ち、ガスの供給を受けてトーラス型タンク13の内部を埋めつくす膨張形態を有する。更に、ブラダの形態として、その位置が変位するものを採用することもできる。
【0037】
図5又は図6に示す推進剤供給系は、トーラスの内部が周方向に複数に等分割された小タンク13a,13a、並びに各小タンク13a毎に設けられたブラダ17、ガス供給系統(ガス供給管16)及び推進剤排出系統(推進剤供給管5等)を備えた複数の推進剤並列供給系から構成されている。各推進剤並列供給系はトーラス型タンク13の大円中心に対して回転対称に配置されているので、推進剤を使用しても、各小タンク13a内における推進剤残量が同量となる。従って、全体としてトーラス型タンク13の重心位置が変化するのを防止することができ、人工衛星の運動を定める重心の位置が予想以外の移動をすることを、未然に防ぐことができる。
【0038】
図7には、太陽熱推進システムを用いた使用済み人工衛星の自主廃棄方法について、(A)楕円軌道からの廃棄、(B)円軌道からの廃棄方法の例の一例を示す概念図である。人工衛星は地球31を一つの焦点とする楕円の初期軌道33、又は地球31を中心とする円形の初期軌道43を周回している。自主廃棄ミッションではこれらの初期軌道33,43の内、楕円軌道では遠地点又はその近傍で、円軌道ではある一点又はその近傍を本太陽熱推進システムによる推進剤の噴射点32,42とすることが考えられる。同軸型スラスタを使用する場合には、噴射点32,42と地球とを結ぶ直線と、噴射点32,42と太陽とを結ぶ直線とは、略直角となる場合に最も効率良く自主廃棄ミッションが達成される。対向型スラスタを使用する場合にはこれに限らず、噴射点32,42は人工衛星の周回軌道上の複数点とすることも可能となる。
【0039】
噴射点32,42において推進系により軌道速度を減速することで、噴射点32,42と反対側の軌道高度が降下する。この軌道速度減速及び軌道高度降下を周回の度に行うことにより、人工衛星軌道は次第に、初期軌道33,43から途中軌道34,44を経て、最終的に廃棄軌道35,45へと軌道遷移する。廃棄軌道35,45は、その周回中に軌道高度100km程度以下となる部分を含んでおり、この部分で大気による大きな抗力を受けて減速され、最終的には大気圏に突入し、大気との摩擦による発熱により高温に加熱される。これによって、人工衛星の一部又は全部が大気中で消失する。人工衛星の一部しか消失しなかった場合は、残存部分が地上に到達するが、その到達点は軌道設計により任意に選ぶことが可能であるので、安全な地点に設定することが可能である。
【0040】
人工衛星に本太陽熱推進システムを取り付けることで、人工衛星の自主廃棄ミッションが可能となる。このとき、システムが太陽熱推進サブシステムである場合は、人工衛星の一部分に取り付け、電気系統を配線するだけで良いとする、殆ど独立なサブシステムに位置付けられる。但し、推進剤供給を人工衛星本体に依存する場合には、電気系統の他、推進剤供給に関する接続も必要となる。従って、極めて簡便な作業を行うだけで、人工衛星に自主廃棄ミッションが可能となる機能を付与することが出来る。
【0041】
【発明の効果】
本発明によって、太陽光集光装置で集光された太陽エネルギーを推進剤の加熱に直接利用しているので、高効率の推進性能を有し、且つ限られた容積を活用した高比推力の太陽熱推進システムを得ることができる。また、人工衛星の限られた電力や容積に大きな負担を掛けることなく、簡便な作業を行うだけで、人工衛星に自主廃棄ミッションが可能となる機能を付与することができる。そして、使用済み人工衛星の自主廃棄を行うことで、地球近傍の軌道上や宇宙空間でのスペースデブリの発生を抑制することとなって、その危険性を高めない環境を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による太陽熱推進システムの一例を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明による太陽熱推進システムに用いられる、熱交換器部とノズル部とを一体化したスラスタを概念的に示す断面図である。
【図3】本発明の太陽熱推進システムにおいて、スラスタ展開機構の概念図であり、(A)は収納状態を示し、(B)は展開状態をす縦断面図である。
【図4】本発明による太陽熱推進システムに用いられるトーラス型タンクの一例を概念的に示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図5】本発明による太陽熱推進システムにおいて、内部にその長さを増大させることで液体推進剤を加圧するブラダが配置されたトーラス型タンクの一実施例であり、(A)は膨張前の状態を示し、(B)は膨張中の状態を示す概念図である。
【図6】本発明による太陽熱推進システムにおいて、内部にその径を増大させることで液体推進剤を加圧するブラダが配置されたトーラス型タンクの一実施例であり、(A)は膨張前の状態を示し、(B)は膨張中の状態を示す概念図である。
【図7】太陽熱推進システムを用いた使用済み人工衛星の自主廃棄方法について、(A)楕円軌道からの廃棄、(B)円軌道からの廃棄方法の一例の概念図である。
【符号の説明】
1 焦点位置 2 ベースプレート
3 一体型スラスタ 4 高分子膜集光鏡
5 推進剤供給管 6 スラスタ展開機構支持部
7 推進剤貯蔵タンク 8 調圧弁
9 制御装置 10 熱交換器部
11 ノズル部 12 スラスタ展開機構駆動部
13 トーラス型タンク 14 推進剤排出口
15 ガス供給口 16 ガス供給管
17 ブラダ
21 集光太陽光
31 地球 32 噴射点
33,43 初期軌道 34,44 途中軌道
35,45 廃棄軌道

Claims (11)

  1. 集光鏡から成る太陽光集光装置、前記太陽光集光装置の焦点位置近傍に配置された熱交換器、前記熱交換器で加熱された推進剤を噴射するノズル、及び前記推進剤を前記熱交換器に供給する推進剤供給系を備え、
    前記太陽光集光装置は、銀又はアルミニウム等の蒸着を施して高反射率面を有する高分子薄膜を材料とする超軽量高分子膜集光鏡であり、
    且つ前記熱交換器と前記ノズルとをスラスタとして一体化して成り、
    人工衛星本体に対するサブシステムとして、インターフェースを介してパワー及び電気的信号が授受可能に取り付けられ、前記人工衛星の姿勢又は軌道の変更用の推力を得るために用いられることから成ることを特徴とする太陽熱推進システム。
  2. 前記熱交換器及び前記ノズルは蓄熱材で覆われていることから成る請求項1に記載の太陽熱推進システム。
  3. 前記人工衛星への収納性を高めるため、前記熱交換器又は前記スラスタを不使用時には格納状態とし、使用時に展開状態とする展開機構を備えることから成る請求項1又は2に記載の太陽熱推進システム。
  4. 前記推進剤は、前記人工衛星本体に搭載の推進剤メイン貯蔵タンクより、前記インターフェースを通じて供給されることから成る請求項に記載の太陽熱推進システム。
  5. 前記推進剤供給系は、推進剤貯蔵タンクを含むことから成る請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽熱推進システム。
  6. 前記推進剤貯蔵タンクは、前記太陽光集光装置の湾曲外周部の背面側に配置されたトーラスの内部に推進剤を貯蔵することができるトーラス型タンクであることから成る請求項に記載の太陽熱推進システム。
  7. 前記トーラスの内部には、ガス供給系統から供給されるガスを封入することで膨張又は変位可能であり、前記トーラス内部に貯蔵された前記推進剤を推進剤供給管を通じて前記熱交換器に向けて送り出すブラダが配置されていることから成る請求項に記載の太陽熱推進システム。
  8. 前記ブラダは、前記トーラス型タンクの円周方向に湾曲した形状若しくは膨張形態を有し、前記ガスを封入するときに太さと長さの一方又は両方が増大するか又はその位置が変位することからなる請求項に記載の太陽熱推進システム。
  9. 前記ブラダの前記膨張形態は、前記ガスを封入するときに、前記トーラス型タンクの送出口から最も遠い側から前記送出口に向かって膨張する形態であることからなる請求項に記載の太陽熱推進システム。
  10. 前記推進剤供給系は、前記トーラスの内部が周方向に複数に等分割された小タンク、並びに前記各小タンク毎に設けられた前記ブラダ、前記ガス供給系統及び前記推進剤排出系統を備えた複数の推進剤並列供給系から成り、前記各推進剤並列供給系は前記トーラス型タンクの大円中心に対して回転対称に配置されていることから成る請求項に記載の太陽熱推進システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記太陽熱推進システムを用いて前記人工衛星の軌道変更することにより、運用の終了した前記人工衛星を大気圏に突入させて消失・廃棄することから成る使用済み人工衛星の自主廃棄方法。
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