JP4297392B2 - Steel wire manufacturing method - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチールワイヤの製造方法に関し、詳しくは高品質の線材を高い生産性で供給可能としたスチールワイヤの製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般的には、スチールワイヤをスリップ型多段式伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する場合、最終およびそれに近い段のダイスの減面率を下げると、発熱量の減少によって時効硬化が抑制されるとともに、ワイヤ表面に圧縮残留応力を付与することができるために、ワイヤの延性や疲労性が向上する。従って、ワイヤの延性や耐疲労性を向上させるには、これらのダイスの減面率を出来る限り下げることが望ましい。
【０００３】
しかし、かかる減面率が０％近傍となるようなダイス設計は、量産レベルにおいて極めて困難である。また、ダイス１つあたりの減面率を下げることは、使用するダイスが増えたり、ダイス−ワイヤ間の面圧向上によってダイスの摩耗が速くなったり、ワイヤの真直性が著しく悪くなったりするといった問題が発生する。
【０００４】
さらに、ダイス１つあたりの減面率は上げた方が、ワイヤの半径方向の硬度分布がより均一なものとなり、ワイヤ表面の異常硬化による脆化を抑制することができることも一般によく知られている。
【０００５】
一方、減面率を下げることによるワイヤの延性や疲労性の向上効果の有無や程度は、ワイヤの抗張力に大きく依存するため、場合によっては、その効果が曖昧だったり、全く無かったりすることも多く、このような場合には前述の減面率を下げた場合の問題点だけが顕在化してしまうことになる。
【０００６】
更に、スリップ型多段式伸線機に用いられるキャプスタンにおいて、ダイスの減面率が、そのダイスの巻き取り側の駆動キャプスタンに対する巻き出し側の駆動キャプスタンの減速比を下回った場合には、ワイヤの張力が高くなりすぎ、断線に至る場合もある。
【０００７】
上述のようにスチールワイヤをスリップ型多段式伸線機により湿式伸線する場合、ダイスの減面率、特には最終およびそれに近い段のダイスの減面率をどのように設定するかは、高品質の線材を高い生産性で製造する上で重要なことであり、これまでに以下の提案がなされている。
【０００８】
例えば、特開平８−５７５３１号公報には、最終段に２つのダイスを配し、そのうち出側のダイスの減面率を３％以下、望ましくは０．５〜１．５％とすることが開示されている。しかし、ダイスの減面率を１．５％以下にすると、使用ダイスの増加、ダイス寿命の低下、およびワイヤの真直性の悪化といった問題が顕著に現れてくる。また、最終ダイスの減面率について、４〜５％のものに対する３％以下のものの延性、疲労性に関する優位性も確認できていない。
【０００９】
また、特開平７−２６５９３６号公報には、最終段以外のダイスの減面率を１０〜２５％とし、最終ダイスの減面率を２〜６％とし、かつ最終ダイスのアプローチ角を５〜１０°とすることが開示されている。しかし、かかる最終ダイスの減面率について、ワイヤ抗張力によっては６％未満の必要がある場合もあれば、６％より大きくても問題がない場合もあり、また、真直性や駆動キャプスタンの減速比を考慮すると、むしろ６％超の減面率の方が生産性の高い場合もある。従って、上述のようにダイスの減面率を規定したところで、最適な条件設定とはいいえず、またワイヤ抗張力によっては、最終から１段巻き出し側のダイスの減面率を１０％としたのでは明らかに高すぎる場合もある。
【００１０】
一方、特開平９−２４４１３号公報には、次式、
スリップ速度率＝（駆動キャプスタン回転速さ−ワイヤ速さ）／巻き取り速さ×１００（％）
で表されるスリップ速度率を３〜８％（但し、最も巻き取りに近い駆動キャプスタンにおけるスリップ速度率はほぼ０％）とすることが開示されている。しかしこの場合、最終段近傍においては、ワイヤの延性、疲労性、生産性へのスリップ速度率の寄与よりも、ダイス減面率を下げることの寄与の方が大きく、駆動キャプスタンの減速比との兼ね合いの中で、スリップ速度率を犠牲にした方が総合的に判断して有利な場合がある。従って、理想的なダイス減面率に合わせて、駆動キャプスタンの減速比を設計する必要性があった。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来においては高品質の線材を高い生産性で製造しようとする場合に、減面率、ワイヤの抗張力、駆動キャプスタンの夫々の関係を明確にしたものはなく、よってすべての要求特性を満足するスチールワイヤを得ることはできなかった。
【００１２】
そこで本発明の目的は、高い延性と優れた疲労性を持ったスチールワイヤを従来にない高い生産性で製造する方法を提供することにある。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のスチールワイヤの製造方法は下記に示す通りである。
【００１４】
（１）スチールワイヤをスリップ型多段式伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法において、上記工程における最終ダイスでのワイヤの減面率（ＲＡ１）が下記式、ＲＡ１≦０．０００２３６×ＴＳ２−０．２３６×ＴＳ＋６４．４（％）（Ａ）
（式中、ＴＳは最終ワイヤの抗張力（ｋｇｆ／ｍｍ２）であり、３４０ｋｇｆ／ｍｍ２以上５００ｋｇｆ／ｍｍ２未満である）で表される関係を満足することを特徴とするスチールワイヤの製造方法である。
【００１５】
（２）上記（１）の製造方法における上記工程において、最終より１段巻き出し側のダイスにおけるワイヤの減面率（ＲＡ２）が下記式、
ＲＡ２≦ＲＡ１＋４．０（％） （Ｂ）
で表される関係を満足するスチールワイヤの製造方法である。
【００１６】
（３）上記（１）または（２）の製造方法における上記工程において、最終ダイスでのワイヤの減面率（ＲＡ１）が下記式、
ＲＡ１≧２（％） （Ｃ）
で表される関係を満足するスチールワイヤの製造方法である。
【００１７】
（４）上記（１）〜（３）のいずれかの製造方法における上記工程において、最終より１段巻き出し側のダイスでのワイヤの減面率（ＲＡ２）が下記式、
ＲＡ２≧２（％） （Ｄ）
で表される関係を満足するスチールワイヤの製造方法である。
【００１８】
（５）上記（１）〜（４）のいずれかの製造方法における上記工程において、上記スリップ型多段式伸線機において、その最も巻き取り側の駆動キャプスタンに対する、それと最終ダイスを挟んで１段巻き出し側の駆動キャプスタンの減速比（ＲＳ１）が下記式、
ＲＳ１＜０．０００２３６×ＴＳ２−０．２３６×ＴＳ＋６４．４（％）（Ｅ）
（式中、ＴＳは最終ワイヤの抗張力（ｋｇｆ／ｍｍ２）であり、５００ｋｇｆ／ｍｍ２未満である）で表される関係を満足するスチールワイヤの製造方法である。
【００１９】
（６）上記（５）の製造方法における上記スリップ型多段式伸線機において、その巻き取り側から２段目の駆動キャプスタンに対する、巻き取り側から３段目の駆動キャプスタンの減速比（ＲＳ２）が下記式、
ＲＳ２＜ＲＡ１＋４．０（％） （Ｆ）
で表される関係を満足するスチールワイヤの製造方法である。
ここで、駆動キャプスタンの減速比は式（Ｖｎ＋１−Ｖｎ）／Ｖｎ＋１×１００（％）
（Ｖｎ：巻き出し側から数えてｎ番目の駆動キャプスタンの回転速さ）で表される。
【００２０】
以下に、上記（１）〜（６）の発明の作用効果について個々に詳述する。
上記（１）の発明について
図１は、様々な抗張力のワイヤについて、それを伸線する最終ダイスの減面率とワイヤ延性との関係を表したものである。縦軸の捻回値とは、ワイヤに１ｋｇｆの張力をかけ、６０ｒｐｍの速さで捻っていったときに、ワイヤにクラックが発生するまでに捻った回転数を、ワイヤ径の１００倍のワイヤ長当たりに換算した数値で、値が大きいほど高延性であることを表している。図１から、最終ダイスの減面率がある値を超えると捻回値、すなわち、延性が急に低くなっていることがわかる。従って、最終ダイスの減面率はその値を超えることがないようにする必要がある。
【００２１】
また、図１からは、その捻回値が急落する最終ダイスの減面率は、ワイヤの抗張力によって異なることもわかる。ここで、ワイヤの抗張力と捻回値が急落する最終ダイスの減面率との関係についてまとめてみると、図２に示すようになる。図２から、ワイヤの抗張力が高くなるに従い、捻回値が急落する最終ダイス減面率が低くなることがわかる。
【００２２】
図１および図２に示す関係に基づき更に検討した結果、最終ダイスの減面率（ＲＡ１）が上記式（Ａ）で表される関係を満足するときに、いずれの抗張力においても高い延性を有するワイヤを得ることができることを突き止め、上記（１）の発明を完成するに至った。
【００２３】
上記（２）の発明について
最終段より１段巻き出し側のダイスについても、最終ダイスと同様なことが起こり、減面率（ＲＡ２）が最終ダイスでのワイヤの減面率（ＲＡ１）より４％を超えて高い減面率で伸線することはワイヤの延性低下を引き起こすことがわかった。よって、上記式（Ａ）で表される関係に加え、上記式（Ｂ）で表される関係を満足するときに、より高い延性を有するワイヤを得ることができることがわかった。
【００２４】
上記（３）の発明について
最終ダイスの減面率（ＲＡ１）が２％を下回ると、ワイヤの引き太りが発生し、狙いのワイヤ径が得られなくなる上、真直性の悪化やダイス寿命の低下といった低減面率伸線特有の問題が顕著に現れ始めるため、上記式（Ｃ）で表される関係を満足することが好ましい。
【００２５】
上記（４）の発明について
最終段より１段巻き出し側のダイスの減面率（ＲＡ２）についても最終ダイスの減面率（ＲＡ１）と同様に、２％を下回ると低減面率伸線特有の問題が顕著に現れ始めるため、上記式（Ｄ）で表される関係を満足することが好ましい。
【００２６】
上記（５）の発明について
最終ダイスを挟む駆動キャプスタン間の減速比（ＲＳ１）について、最終ダイスの減面率（ＲＡ１）が最終ダイスを挟む駆動キャプスタン間の減速比（ＲＳ１）を下回ると、ワイヤ張力が高くなりすぎ、断線が発生しやすくなるため、上記式（Ａ）で表される関係を満足するとともに、上記式（Ｅ）で表される関係を満足することが好ましい。
【００２７】
上記（６）の発明について
最終段より１段巻き出し側のダイスを挟む駆動キャプスタン間の減速比（ＲＳ２）についても上記（５）と同様のことが起こり、よって上記式（Ａ）および（Ｂ）で表される関係を満足するとともに、上記式（Ｆ）で表される関係を満足することが好ましい。
【００２８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のスチールワイヤの製造方法においては、図３に示すスリップ型多段式伸線機によりスチールワイヤを湿式伸線する。図中、１は潤滑液水槽、２は駆動キャプスタン、３はダイス群、４は最後のダイス、５はスチールワイヤである。本発明においては、スリップ型多段式伸線機による伸線工程以外の工程や湿式潤滑剤の種類は特に制限されるべきものではなく、慣用に従い定めることができる。以下、本発明の好適実施形態について説明する。
【００２９】
本発明においては、図３に示すスリップ型多段式伸線機における最終ダイス４および最終より１段巻き出し側のダイスは、その工作精度や摩耗を考慮すると、ダイス減面率の設計値を、上記式（Ｃ）および（Ｄ）による下限値（２％）＋１％とし、また上記式（Ａ）および（Ｂ）による上限値−１％とすることが好ましい。
【００３０】
また、使用するダイスは、図４に示すようにアプローチ角αが８〜１３°で、かつベアリング長さＥが０．３ｄ〜０．７ｄ（ｄ：出線径）のものが望ましい。尚、ｄ０は入線径である。
【００３１】
さらに、使用するダイスをダイヤダイスとすることにより、その耐摩耗性を高めることができる。
【００３２】
スリップ型多段式伸線機の減速比については、同一段のダイスの減面率−２％から同一段のダイスの減面率−８％までとすることが望ましい。ここで、ダイス減面率−８％までとしたのは、過剰なスリップを避けるためである。
【００３３】
また、本発明に使用し得るスリップ型多段式伸線機の駆動キャプスタンについては、夫々以下の条件を満足することが本発明を実施する上で好ましい。
Ｒａ（外周面の中心線平均粗さ）＜０．２μｍ
ヴィッカース硬さ（Vickers hardness）＞７００
テーパー角（図５中のβ）：０．９〜１．２°
さらに好ましくは、以下の条件を満足するようにする。
Ｒａ＜０．１μｍ、
ヴィッカース硬さ＞７５０、
テーパー角：１．００±０．０５°
【００３４】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
約０．８２重量％の炭素を含有する直径約５．５ｍｍの高炭素鋼線材に、直径が夫々約１．３９０ｍｍ、１．４６０ｍｍ、１．７２０ｍｍとなるまで繰り返し乾式伸線を施した後、パテンティング処理およびブラスメッキ処理を施した線材を供試線材として準備した。これら線材に対し、下記の表１〜７に示す湿式伸線条件にて伸線を行った。得られた結果を延性の指標である捻回値（ワイヤに１ｋｇｆの張力をかけ、６０ｒｐｍの速さで捻っていったときに、ワイヤにクラックが発生するまでに捻った回転数を、ワイヤ径の１００倍のワイヤ長当たりに換算した数値）として下記の表１に併記する。
【００３５】
なお、伸線機（Ｒａ：０．０６４μｍ、ヴィッカース硬さ：７６３、テーパー角：０．９８３°）では多段スリップ型湿式伸線機にて、巻き取り速度は定常状態で分速約６００ｍとし、ダイスには、そのベアリング長さが孔径の約０．５倍のものを使用した。
【００３６】
【表１】
【表２】
【表３】
【表４】
【表５】
【表６】
【表７】
表１に示す捻回値の測定値から、図１に示す最終ダイスの減面率のワイヤ延性に対する影響と同様に、最終から１段巻き出し側のダイスの減面率も、高延性のワイヤを得るためには極めて重要であることがわかる。
【００４４】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の多段スリップ型湿式伸線によるスチールワイヤの製造方法においては、最終段、特には最終段とともに最終から１つ巻き出し側の段におけるダイス減面率、特にはダイス減面率とともに駆動キャプスタンの減速比を適正化することにより、これまで両立の難しかった、ワイヤの延性、疲労性と、ワイヤ真直性、ダイス寿命、耐断線性とを両立させることが可能になり、高品質の線材を出来るだけ高い生産性で供給出来るようになった。本発明は、高抗張力鋼線の伸線において特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図１】最終ダイスの減面率と捻回値との関係を示すグラフである。
【図２】ワイヤ抗張力と捻回値が急落する最終ダイスの減面率との関係を示すグラフである。
【図３】スリップ型多段式伸線機を示す模式図である。
【図４】ダイスの断面図である。
【図５】駆動キャプスタンの部分断面図である。
【符号の説明】
１ 潤滑液水槽
２ 駆動キャプスタン
３ ダイス群
４ 最後のダイス
５ スチールワイヤ
６ ダイスチップ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing a steel wire, and more particularly to a method for manufacturing a steel wire that can supply a high-quality wire with high productivity.
[0002]
[Prior art]
Generally, when steel wire is manufactured through a wet-type drawing process using a slip-type multi-stage wire drawing machine, if the area reduction rate of the final and near-stage dies is lowered, age hardening is caused by a decrease in the amount of heat generated. In addition to being suppressed, compressive residual stress can be applied to the wire surface, so that the ductility and fatigue of the wire are improved. Therefore, in order to improve the ductility and fatigue resistance of the wire, it is desirable to reduce the area reduction rate of these dies as much as possible.
[0003]
However, it is extremely difficult to design a die such that the area reduction rate is close to 0% at the mass production level. In addition, reducing the area reduction per die may increase the number of dies used, increase die wear due to improved surface pressure between the dies and wires, and significantly reduce the straightness of the wires. A problem occurs.
[0004]
Furthermore, it is generally well known that increasing the surface area reduction per die makes the wire's radial hardness distribution more uniform and suppresses embrittlement due to abnormal hardening of the wire surface. Yes.
[0005]
On the other hand, the presence / absence and extent of the effect of improving the ductility and fatigue of the wire by lowering the area reduction ratio largely depend on the tensile strength of the wire, so the effect may be ambiguous or not at all. In many cases, only the problems associated with lowering the above-described area reduction rate become apparent.
[0006]
Furthermore, in the capstan used in the slip type multi-stage wire drawing machine, when the area reduction rate of the die is lower than the reduction ratio of the driving capstan on the unwinding side to the driving capstan on the winding side of the die In some cases, the wire tension becomes too high, leading to disconnection.
[0007]
When steel wire is wet-drawn with a slip-type multi-stage wire drawing machine as described above, how to set the die area reduction rate, especially the final and near-stage die area reduction rate, is high. It is important for producing high quality wire rods with high productivity, and the following proposals have been made so far.
[0008]
For example, in JP-A-8-57531, two dies are arranged at the final stage, and the area reduction rate of the die on the exit side is 3% or less, preferably 0.5 to 1.5%. It is disclosed. However, when the area reduction rate of the dies is 1.5% or less, problems such as an increase in the number of dies used, a reduction in the life of the dies, and a deterioration in the straightness of the wires become prominent. In addition, regarding the area reduction rate of the final die, the superiority regarding ductility and fatigue of 3% or less with respect to 4-5% has not been confirmed.
[0009]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-265936 discloses that the area reduction rate of the dies other than the final stage is 10 to 25%, the area reduction rate of the final die is 2 to 6%, and the approach angle of the final die is 5 to 5%. It is disclosed that the angle is 10 °. However, the area reduction ratio of the final die may need to be less than 6% depending on the wire tensile strength, or it may not be a problem if it exceeds 6%, and straightness and deceleration of the drive capstan are also possible. Considering the ratio, a reduction rate of more than 6% may be more productive. Therefore, when the area reduction rate of the die is defined as described above, the optimum condition setting is not set, and depending on the wire tensile strength, the area reduction rate of the die on the one-stage unwinding side from the end is set to 10%. Then it is clearly too high.
[0010]
On the other hand, Japanese Patent Laid-Open No. 9-24413 discloses the following formula:
Slip speed ratio = (drive capstan rotation speed−wire speed) / winding speed × 100 (%)
Is set to 3 to 8% (however, the slip speed rate in the drive capstan closest to winding is approximately 0%). However, in this case, in the vicinity of the final stage, the contribution of lowering the die area reduction ratio is greater than the contribution of the slip speed ratio to the ductility, fatigue, and productivity of the wire. Of these, it may be advantageous to comprehensively judge that the slip rate is sacrificed. Therefore, it has been necessary to design the reduction ratio of the drive capstan in accordance with the ideal die area reduction rate.
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the past, when producing high-quality wire rods with high productivity, there has been no clarification of the relationship between the area reduction rate, the wire tensile strength, and the drive capstan. A steel wire satisfying the required characteristics could not be obtained.
[0012]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a method for producing a steel wire having high ductility and excellent fatigue properties with high productivity that has not been achieved in the past.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problems, the steel wire manufacturing method of the present invention is as follows.
[0014]
(1) In a method of manufacturing a steel wire through a step of wet drawing with a slip type multi-stage wire drawing machine, the area reduction ratio (RA 1 ) of the wire at the final die in the above step is expressed by the following formula: RA 1 ≦ 0 .000236 × TS 2 −0.236 × TS + 64.4 (%) (A)
(Wherein, TS is the tensile strength of the final wire (kgf / mm 2), 340kgf /
[0015]
(2) In the above step in the manufacturing method of (1), the area reduction ratio (RA 2 ) of the wire in the die on the one-stage unwinding side from the final is represented by the following formula:
RA 2 ≦ RA 1 +4.0 (%) (B)
It is a manufacturing method of the steel wire which satisfies the relationship represented by these.
[0016]
(3) In the above step in the manufacturing method of (1) or (2) above, the area reduction ratio (RA 1 ) of the wire in the final die is represented by the following formula:
RA 1 ≧ 2 (%) (C)
It is a manufacturing method of the steel wire which satisfies the relationship represented by these.
[0017]
(4) In the above step in the production method of any one of (1) to (3), the area reduction ratio (RA 2 ) of the wire at the die on the one-stage unwinding side from the final is expressed by
RA 2 ≧ 2 (%) (D)
It is a manufacturing method of the steel wire which satisfies the relationship represented by these.
[0018]
(5) In the above step of the manufacturing method of any one of (1) to (4), in the slip type multi-stage wire drawing machine, with respect to the drive capstan on the most winding side, sandwiching it and the
RS 1 <0.000236 × TS 2 −0.236 × TS + 64.4 (%) (E)
(Wherein, TS is the tensile strength of the final wire (kgf / mm 2), it is less than 500 kgf / mm 2) is a steel wire production method of satisfying the relationship represented by.
[0019]
(6) In the slip-type multistage wire drawing machine in the manufacturing method of (5) above, the reduction ratio of the third drive capstan from the winding side to the second drive capstan from the winding side ( RS 2 ) is the following formula:
RS 2 <RA 1 +4.0 (%) (F)
It is a manufacturing method of the steel wire which satisfies the relationship represented by these.
Here, the reduction ratio of the drive capstan is expressed by the equation (V n + 1 −V n ) / V n + 1 × 100 (%)
(Vn: rotational speed of the nth drive capstan counted from the unwinding side).
[0020]
The operational effects of the inventions (1) to (6) will be described in detail below.
FIG. 1 shows the relationship between the area reduction ratio of the final die for drawing the wire and the ductility of the wire having various tensile strengths. The twist value on the vertical axis means the number of rotations twisted until a crack occurs in the wire when a tension of 1 kgf is applied to the wire and the wire is twisted at a speed of 60 rpm. It is a numerical value converted per length, and the higher the value, the higher the ductility. From FIG. 1, it can be seen that when the area reduction rate of the final die exceeds a certain value, the twist value, that is, the ductility suddenly decreases. Therefore, it is necessary to prevent the area reduction of the final die from exceeding that value.
[0021]
Further, FIG. 1 also shows that the area reduction rate of the final die where the twist value drops sharply depends on the tensile strength of the wire. Here, FIG. 2 shows a summary of the relationship between the tensile strength of the wire and the area reduction rate of the final die where the twist value drops sharply. From FIG. 2, it can be seen that as the tensile strength of the wire increases, the final die area reduction rate at which the twist value drops sharply decreases.
[0022]
As a result of further investigation based on the relationship shown in FIG. 1 and FIG. 2, when the area reduction ratio (RA 1 ) of the final die satisfies the relationship represented by the above formula (A), high ductility is obtained at any tensile strength. The present inventors have found out that a wire having the above can be obtained, and have completed the invention of (1) above.
[0023]
Regarding the invention of (2) above, the same thing as that of the final die occurs with respect to the die on the one-stage unwinding side from the final stage, and the area reduction rate (RA 2 ) is the area reduction rate of the wire at the final die (RA 1 ). It has been found that drawing with a high area reduction exceeding 4% causes a reduction in the ductility of the wire. Therefore, it was found that a wire having higher ductility can be obtained when the relationship represented by the above formula (B) is satisfied in addition to the relationship represented by the above formula (A).
[0024]
Regarding the invention of (3) above, if the area reduction ratio (RA 1 ) of the final die is less than 2%, the wire becomes thicker, the target wire diameter cannot be obtained, the straightness is deteriorated and the die life is reduced. Since a problem peculiar to reduced surface area drawing such as a reduction starts to appear remarkably, it is preferable to satisfy the relationship represented by the above formula (C).
[0025]
Regarding the invention of (4) above, the area reduction rate (RA 2 ) of the die unwinding by one stage from the final stage is also less than 2%, as is the area reduction ratio (RA 1 ) of the final die. Since problems peculiar to lines begin to appear prominently, it is preferable to satisfy the relationship represented by the above formula (D).
[0026]
The reduction ratio between the drive capstan sandwiching the final die for the invention of (5) (RS 1), reduction of area of the final die (RA 1) is the reduction ratio between the drive capstan sandwiching the final die (RS 1) If the ratio is less than 1, the wire tension becomes too high and disconnection is likely to occur. Therefore, it is preferable to satisfy the relationship represented by the above formula (A) and the relationship represented by the above formula (E). .
[0027]
With regard to the invention of (6) above, the same thing as the above (5) occurs with respect to the reduction ratio (RS 2 ) between the drive capstans sandwiching the die on the one-stage unwinding side from the final stage. While satisfying the relationship represented by (B), it is preferable to satisfy the relationship represented by the said Formula (F).
[0028]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below.
In the steel wire manufacturing method of the present invention, the steel wire is wet-drawn by a slip-type multistage wire drawing machine shown in FIG. In the figure, 1 is a lubricating liquid tank, 2 is a drive capstan, 3 is a die group, 4 is the last die, and 5 is a steel wire. In the present invention, the process other than the wire drawing process by the slip type multi-stage wire drawing machine and the type of the wet lubricant are not particularly limited and can be determined according to common usage. Hereinafter, preferred embodiments of the present invention will be described.
[0029]
In the present invention, the
[0030]
Further, as shown in FIG. 4, it is desirable that the die used has an approach angle α of 8 to 13 ° and a bearing length E of 0.3 d to 0.7 d (d: outgoing wire diameter). Incidentally, d 0 is the incoming lines diameter.
[0031]
Furthermore, the wear resistance can be improved by using a diamond die as the die to be used.
[0032]
The reduction ratio of the slip-type multi-stage wire drawing machine is preferably from the area reduction rate of the same stage die to 2% to the area reduction ratio of the same stage die to -8%. Here, the reason why the die area reduction rate is set to -8% is to avoid excessive slip.
[0033]
Further, the drive capstan of the slip type multi-stage wire drawing machine that can be used in the present invention preferably satisfies the following conditions.
Ra (center line average roughness of outer peripheral surface) <0.2 μm
Vickers hardness> 700
Taper angle (β in FIG. 5): 0.9 to 1.2 °
More preferably, the following conditions are satisfied.
Ra <0.1 μm,
Vickers hardness> 750,
Taper angle: 1.00 ± 0.05 °
[0034]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described based on examples.
After repeatedly dry-drawing a high carbon steel wire having a diameter of about 5.5 mm containing about 0.82% by weight of carbon until the diameters are about 1.390 mm, 1.460 mm, and 1.720 mm, respectively, A wire material subjected to patenting treatment and brass plating treatment was prepared as a test wire material. These wires were drawn under the wet drawing conditions shown in Tables 1 to 7 below. The obtained result is a twist value that is an index of ductility (when the wire is subjected to a tension of 1 kgf and twisted at a speed of 60 rpm, the number of rotations until the wire is cracked is determined by the wire diameter Table 1 below also shows the numerical values converted per 100 times the wire length.
[0035]
The wire drawing machine (Ra: 0.064 μm, Vickers hardness: 763, taper angle: 0.983 °) is a multi-stage slip type wet wire drawing machine, and the winding speed is about 600 m / min in a steady state. A die having a bearing length of about 0.5 times the hole diameter was used.
[0036]
[Table 1]
[Table 2]
[Table 3]
[Table 4]
[Table 5]
[Table 6]
[Table 7]
From the measured values of the twist values shown in Table 1, the area reduction rate of the die on the one-stage unwinding side from the final side is also high ductility wire as well as the influence of the area reduction rate of the final die shown in FIG. 1 on the wire ductility. It can be seen that it is extremely important to obtain
[0044]
【The invention's effect】
As described above, in the method of manufacturing a steel wire by the multi-stage slip type wet wire drawing according to the present invention, the die area reduction rate in the final stage, in particular, one stage from the final side together with the final stage, in particular, By optimizing the reduction ratio of the drive capstan along with the die area reduction rate, it is possible to achieve both wire ductility and fatigue, wire straightness, die life, and breakage resistance, which had previously been difficult to achieve. As a result, high-quality wire rods can be supplied with as high a productivity as possible. The present invention is particularly effective in drawing high tensile strength steel wires.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing a relationship between a surface area reduction rate of a final die and a twist value.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the wire tensile strength and the area reduction rate of the final die where the twist value drops sharply.
FIG. 3 is a schematic view showing a slip-type multistage wire drawing machine.
FIG. 4 is a cross-sectional view of a die.
FIG. 5 is a partial cross-sectional view of a drive capstan.
[Explanation of symbols]
1
Claims (6)
（式中、ＴＳは最終ワイヤの抗張力（ｋｇｆ／ｍｍ２）であり、３４０ｋｇｆ／ｍｍ ２ 以上５００ｋｇｆ／ｍｍ２未満である）で表される関係を満足することを特徴とするスチールワイヤの製造方法。In a method of manufacturing a steel wire through a wet drawing process using a slip type multi-stage drawing machine, the area reduction ratio (RA 1 ) of the wire at the final die in the above process is expressed by the following formula: RA 1 ≦ 0.000236 × TS 2 −0.236 × TS + 64.4 (%) (A)
(Wherein, TS is the tensile strength of the final wire (kgf / mm 2), 340kgf / mm 2 or more 500kgf less than / mm 2) Steel wire manufacturing method, characterized by satisfying the relationship represented by .
で表される関係を満足する請求項１記載のスチールワイヤの製造方法。In the above process, the area reduction ratio (RA 2 ) of the wire in the die on the one-stage unwinding side from the final is expressed by the following formula: RA 2 ≦ RA 1 +4.0 (%) (B)
The method of manufacturing a steel wire according to claim 1, wherein the relationship represented by:
で表される関係を満足する請求項１または２記載のスチールワイヤの製造方法。In the above process, the area reduction ratio (RA 1 ) of the wire in the final die is expressed by the following formula: RA 1 ≧ 2 (%) (C)
The manufacturing method of the steel wire of Claim 1 or 2 which satisfies the relationship represented by these.
で表される関係を満足する請求項１〜３のうちいずれか一項記載のスチールワイヤの製造方法。In the above process, the area reduction ratio (RA 2 ) of the wire at the first-stage unwinding die from the final is expressed by the following formula: RA 2 ≧ 2 (%) (D)
The manufacturing method of the steel wire as described in any one of Claims 1-3 which satisfy | fills the relationship represented by these.
（式中、ＴＳは最終ワイヤの抗張力（ｋｇｆ／ｍｍ２）であり、５００ｋｇｆ／ｍｍ２未満である）で表される関係を満足する請求項１〜４のうちいずれか一項記載のスチールワイヤの製造方法。In the slip type multi-stage wire drawing machine, the reduction ratio (RS 1 ) of the drive capstan on the first unwinding side with respect to the drive capstan on the most winding side and the final die is expressed by the following formula: RS 1 < 0.000236 × TS 2 −0.236 × TS + 64.4 (%) (E)
5. The steel wire according to claim 1, wherein TS is a tensile strength (kgf / mm 2 ) of the final wire and is less than 500 kgf / mm 2. Manufacturing method.
で表される関係を満足する請求項５記載のスチールワイヤの製造方法。In the slip type multi-stage wire drawing machine, the reduction ratio (RS 2 ) of the third drive capstan from the winding side to the second drive capstan from the winding side is expressed by the following formula: RS 2 <RA 1 +4.0 (%) (F)
The method of manufacturing a steel wire according to claim 5, wherein the relationship represented by:
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