JP4292599B2 - Composition for injection molding of inorganic powder and method for producing inorganic sintered body - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無機粉末射出成形用組成物、およびそれを用いて実施される無機焼結体の製造方法に関するもので、特に、無機粉末射出成形用組成物における特性の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミック材料や金属材料からなる無機粉末を焼結させて無機焼結体を得る方法は、たとえば電子部品の製造の技術分野において広く適用されている。
【0003】
このような電子部品の分野において製造される無機焼結体は、単純な形状のものもあるが、電子部品の小型化や高性能化を図るため、複雑な形状とされなければならないこともある。
【0004】
複雑な形状の無機焼結体を得ようとする場合、無機原料粉末に熱可塑性樹脂を含むバインダを混練することによって、可塑性を付与し、射出成形することにより成形体を得、この成形体を加熱することにより脱脂を行ない、その後、焼結可能な温度で成形体を焼成することにより無機焼結体を得る方法が実施されている。
【0005】
この射出成形に基づく方法は、プレス成形法や押出し成形法では成形不可能な複雑形状の製品の製造が可能であり、また、泥漿鋳込み成形法に比べ量産性が高く、また、寸法精度の高い製品が得られる、という利点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、たとえば、特公平7−3922号公報に記載されるようなTMモード誘電体共振器の本体部分、すなわち、内壁面によって規定される空間を形成するケース部と、このケース部の内壁面の相対向する部分間を連結するように空間内に配置される柱部とを備える構造物を、射出成形に基づき得ようとした場合、射出成形後の金型から取り出した成形体における、ケース部と柱部との連結部分に、ひび割れが発生することがある。特に、ケース部と柱部との肉厚の差が比較的大きいとき、このようなひび割れが発生しやすい。
【0007】
そこで、この発明の目的は、射出成形により得られる成形体の形状にかかわらず、上述したようなひび割れが生じにくいようにされた、無機粉末射出成形用組成物および無機焼結体の製造方法を提供しようとすることである。
【0008】
この発明は、まず、無機粉末とバインダとを含む無機粉末射出成形用組成物に向けられる。この組成物は、無機焼結体の製造方法において使用されるものであって、この製造方法では、金型を用いて上述した無機粉末射出成形用組成物を所望の形状に射出成形することによって、成形体を得、次いで、成形体からバインダを除去した後、成形体を焼成することによって無機焼結体を得る、各工程が実施される。
【0009】
このような無機焼結体の製造方法において、射出成形によって得られた成形体が有するいくつかの特性がひび割れを防止するのに重要であることを見出し、この発明をなすに至ったものである。
【0010】
すなわち、この発明では、金型寸法と金型から取り出した後の成形体寸法とから、後述する条件にて求めた成形収縮率が0.3%未満となるとともに、成形体の、バインダを除去する前の曲げ弾性率が790kgf/mm2未満となるように設定されることを特徴としている。
【0011】
上述した成形収縮率は、より具体的には、射出成形して得られた成形体を金型から取り出した後、24±1時間、常温で放置した後、この成形体の寸法を測定し、この成形体の寸法と金型の寸法とから、以下の式に基づき算出したものである。
成形収縮率(%)=〔(金型寸法−成形体寸法)/金型寸法〕×100
また、曲げ弾性率は、JIS K7171に従って3点曲げ試験により求められるものであり、より具体的には、次の式により算出される。
f =(σf2−σf1)/(εf2−εf1
ここに、Ef は曲げ弾性率、σf1はたわみs1 で測定した曲げ応力、σf2はたわみs2 で測定した曲げ応力、εf1はたわみs1 に対応する曲げひずみ、εf2はたわみs2 に対応する曲げひずみである。
【0012】
なお、曲げひずみεfiは、次の式により算出される。
εfi=6hsi /L2
ここに、Lは支点間距離、hは厚さである。
【0014】
この発明に係る無機粉末射出成形用組成物において、無機粉末の平均粒径は、好ましくは、0.01〜100μmであり、より好ましくは、0.5〜10μmである。
【0015】
また、この発明に係る無機粉末射出成形用組成物を得るため、バインダが融解した状態で、無機粉末とバインダとを混練するようにすることが好ましい。
【0016】
この発明の特徴となる成形収縮率および曲げ弾性率を上述のような特定的な範囲に設定するため、種々の方法があり得るが、たとえば、バインダの添加比率が調整される。
【0017】
好ましくは、バインダは、無機粉末とバインダとの合計に対して、30体積%以上60体積%以下添加される。
【0018】
この発明は、また、上述したような無機粉末射出成形用組成物を用いて実施される無機焼結体の製造方法にも向けられる。この無機焼結体の製造方法では、上述した無機粉末射出成形用組成物を所望の形状に射出成形することによって、成形体を得、次いで、成形体からバインダを除去した後、成形体を焼成することによって無機焼結体を得る、各工程が実施される。
【0019】
この発明に係る製造方法によって、代表的には、セラミック焼結体を得ることができ、この場合には、無機粉末射出成形用組成物に含まれる無機粉末は、セラミック材料から構成される。
【0020】
また、上述のようにセラミック焼結体を製造する場合、内壁面によって規定される空間を形成するケース部と、ケース部の内壁面の相対向する部分間を連結するように空間内に配置される柱部とを備える、TMモード誘電体共振器の本体部分を製造するのに、この発明を有利に適用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1には、この発明を適用して有利に製造されるTMモード誘電体共振器の本体部分1が斜視図で示されている。
【0022】
この本体部分は、内壁面2によって規定される空間3を形成するケース部4と、このケース部4の内壁面2の相対向する部分間を連結するように空間3内に配置される柱部5とを備えている。ここで、ケース部4の肉厚に比べて、柱部4の肉厚が厚く、これらケース部4と柱部5との間で比較的大きな肉厚差を有している。
【0023】
このような本体部分1を射出成形するため、誘電体セラミック粉末とバインダとを含む射出成形用組成物が用意される。以下に、このような誘電体共振器の本体部分のための特定的な射出成形用組成物に限らず、無機粉末とバインダとを含む無機粉末射出成形用組成物について一般的に説明する。
【0024】
無機粉末射出成形用組成物に含まれる無機粉末としては、アルミナ、ジルコニア等の酸化物セラミック材料、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛等の複合酸化物セラミック材料、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素等の非酸化物系セラミック材料等、種々のセラミック原料およびそれらの2種類以上の混合物からなるもの、あるいは、鉄、ステンレス鋼、カルボニル鉄等の鉄系金属、チタン、銅、アルミニウム等の非鉄金属またはそれらの合金からなるもの、あるいは、セラミックと金属との複合材料であるサーメット等からなるもの等、焼結可能な材料からなる無機粉末であれば、いずれを用いてもよい。
【0025】
このような無機粉末の平均粒径は、好ましくは、0.01〜100μm、より好ましくは、0.5〜10μmとされる。その理由は、平均粒径がこの範囲を超えて小さい場合、射出成形に必要な流動性を得るために必要なバインダの添加量が多くなり、後述する脱脂工程において、長い時間が必要となるためであり、他方、平均粒径が上述の範囲を超えて大きい場合には、緻密な焼結体を得ることが困難になるためである。
【0026】
無機粉末射出成形用組成物に含まれるバインダとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂等の樹脂、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、蜜蝋等のワックス、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、あるいは、フタル酸エステル等の可塑剤等、現在、バインダとして知られている種々のものを、適宜、単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0027】
上述したような無機粉末とバインダとは、十分に混練される。この混練には、加圧式ニーダのような強力なせん断作用が及ぼされる設備を用い、バインダを融解させた状態で行なうことが望ましい。この操作により、バインダは無機粉末間に均一に分散し、得られた混練物は、バインダの融点以上の高温下で流動性を持つようになる。なお、この混練の際に、無機粉末とバインダとの分散性を高めかつ流動性を向上させるために、高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル等からなる分散剤を添加してもよい。
【0028】
また、バインダの添加量は、無機粉末とバインダとの合計に対して、30体積%以上60体積%以下であることが望ましい。その理由は、次のとおりである。バインダの添加量が30体積%未満の場合には、無機粉末とバインダとの混練物の流動性が悪く、目的とする形状に成形できないことがあり、また、成形可能な場合でも、得られた焼結体にウェルドラインやフローマークといった成形に起因する欠陥が発生しやすい。他方、バインダの添加量が60体積%を超える場合には、成形体の密度が低くなるため、脱脂および焼成時における変形やひび割れが発生しやすくなる。
【0029】
この発明では、上述したような無機粉末とバインダとの混練物、すなわち無機粉末射出成形用組成物の成形収縮率が0.3%未満であり、かつ、成形体の曲げ弾性率が790kgf/mm2未満であることが特徴である。
【0030】
成形収縮率を0.3%未満に設定するのは、次の理由による。
【0031】
すなわち、たとえば、大きなアンダーカットを持つ形状の成形体を射出成形する場合、射出成形した成形体が金型内で冷却され固化する際、アンダーカット部分を形作るための金型のコア部が成形体の収縮の邪魔をすることになるが、成形収縮率が0.3%以上であると、このようなコア部による収縮の邪魔によって成形体の特定の部分にひび割れを発生させることがある。図1に示した誘電体共振器の本体部分1について言えば、成形収縮率が0.3%以上になると、成形体におけるケース部4と柱部5との連結部分にひび割れが発生しやすい。
【0032】
他方、上述した成形収縮率は、これが小さくなると、成形体と金型のキャビティ部との密着性が高くなり、型開き時に働く引張り応力により、成形体の特定の部分にひび割れが発生しやすくなる。図1に示した誘電体共振器の本体部分1について言えば、成形体におけるケース部4の部分にひび割れが発生しやすい。
【0033】
これを解決するためには、成形体に柔軟性を与えればよく、そのため、成形体の3点曲げ試験における曲げ弾性率が790kgf/mm2 未満となるような無機粉末射出成形用組成物を用いることにより、このようなひび割れを防止することができる。
【0034】
このようにして得られた混練物、すなわち無機粉末射出成形用組成物は、射出成形において取り扱いやすい大きさに造粒される。その方法としては、混練物を加熱しながら、直径3mm程度の大きさのダイスから押し出し、その直後にカッターにてカットするホットカット法、あるいは、同様にダイスから押し出し、冷却した後に、カッターにてカットするストランドカット法、さらには、平板状等の形状にした後、破砕する破砕法等がある。
【0035】
上述のような方法で造粒されかつ大きさが揃えられた混練物は、次いで、射出成形機に導入される。混練物は、射出成形機における加熱されたシリンダ内に送られ、溶融状態となった後、金型内に射出成形される。その後、金型が開かれ、成形体が取り出される。
【0036】
次いで、この成形体からバインダから除去される。その方法としては、成形体を加熱してバインダを分解し除去するのが一般的であるが、バインダ成分の一部を溶解するような溶媒や特殊な気相中に成形体を放置してバインダを除去する方法を用いることもできる。
【0037】
バインダを除去した後の成形体は、そこに含まれる無機粉末の焼結可能な温度に加熱され、それによって焼成される。このとき、特に、非酸化物系のセラミックや非金属、合金、サーメットからなる無機粉末を含む場合には、雰囲気の制御が重要である。また、この焼成工程を、上述したバインダ除去工程すなわち脱脂工程に続けて、一連の工程として実施することも可能である。
【0038】
このようにして、目的とする形状の無機焼結体、たとえば、図1に示すような誘電体共振器の本体部分1のようなセラミック焼結体が得られる。
【0039】
なお、前述した射出成形の直後に、ゲートを除去するための後加工を行なう場合が多いが、たとえば大きなアンダーカットのように、金型のみによっては付与することが困難な形状を付与するための加工等を、成形体または焼結体に対して適宜施すようにしてもよい。
【0040】
また、得られた焼結体に対して、その表面を研磨したり、めっきまたはスパッタリング等による金属膜の成膜を行なったりして、焼結体の表面に必要な処理を適宜施すようにしてもよい。図1に示した誘電体共振器の本体部分1の場合には、焼結体としての本体部分1の表面には、実電流路となる導電性の金属膜が形成される。
【0041】
【実施例】
無機粉末として、誘電体セラミック材料のための前駆体粉末、より特定的には、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫の各粉末を、焼結後において誘電体としての電気的特性が得られるような比率で混合した後、微細な粒径の粉末となるように粉砕を行なったものを準備した。
【0042】
次に、バインダとして、表1に示すように、アクリル−ポリスチレン−エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)−ステアリン酸またはパラフィンワックス−可塑剤を含み、これらを加熱下で溶解して混合した混合バインダを6種類準備した。ここで、より具体的には、アクリルとして、ポリメタクリル酸イソブチルを用い、可塑剤として、フタル酸ジブチルを用いた。
【0043】
【表1】

Figure 0004292599
これらセラミック原料粉末とバインダとを、セラミック原料粉末とバインダとの混練物になった場合に、バインダが占める割合が40体積%になるように調合し、加圧式リーダを用いて、5kgf/cm2の加圧下および150℃の温度下で60分間混練した。次に、得られた混練物を、押出し造粒機を用いてホットカット法により、直径3mm、長さ5mm程度の大きさの円柱状にそれぞれ造粒した。
【0044】
得られた円柱状の各造粒物を横型射出成形機に投入し、25mm×40mm×4mmの板状に射出成形し、金型から取り出した後、成形収縮率、ならびに成形体の曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した。表1に示すように、6種類の射出成形用組成物についての成形収縮率、曲げ強さおよび曲げ弾性率は、互いに異なることを確認した。
【0045】
また、同じ造粒物を、図1に示した誘電体共振器の本体部分1を成形するための横型射出成形機に投入し、射出成形を行なった。図1に示した本体部分1において、柱部5の最大肉厚は12mmであり、ケース部4の肉厚は2.5mmであった。また、射出成形の条件は、いずれの試料においても、ノズル温度170〜200℃、射出圧力1000〜1500kgf/cm2 、および金型温度20℃に設定した。
【0046】
得られた成形体を観察したところ、表1に示すように、試料1、2、3および6において、何らかの欠陥が生じていた。
【0047】
次に、各試料に係る成形体を、昇温速度2℃/h、最高温度500℃の条件で脱脂した後、最高温度1300〜1400℃で焼成し、焼結体を得た。焼結体の外観およびダイヤモンドカッターを用いて切断した切断面の観察を行ったところ、脱脂および焼成工程が原因と考えられるひび割れは発生しなかった。
【0048】
表1に示すように、成形収縮率が0.3%未満および曲げ弾性率が790kgf/mm2未満の双方の条件を満たす試料4および5によれば、成形時に発生するひび割れをなくすことができ、良品率を100%とすることができた。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、成形収縮率が0.3%未満となるように設定された無機粉末射出成形用組成物を用いて射出成形されるので、成形収縮による成形体内部の残留応力を緩和することができる。他方、上述のように成形収縮率を小さく設定することにより、離型時に金型のキャビティ部への成形体の食いつきが起こり、ひび割れ等の欠陥を招くことがあるが、この発明では、成形体に柔軟性を与えるため、曲げ弾性率が790kgf/mm2未満になるように設定されるので、成形収縮率を小さくしたために生じるひび割れ等の欠陥も防止することができる。
【0050】
したがって、この発明が、内壁面によって規定される空間を形成するケース部と、ケース部の内壁面の相対向する部分間を連結するように空間内に配置される柱部とを備える、TMモード誘電体共振器の本体部分の射出成形に適用されると、肉厚の比較的薄いケース部と肉厚の比較的厚い柱部との連結部分において発生しやすいひび割れを有利に防止することができるとともに、金型のキャビティ部への食いつきによって発生しやすいケース部でのひび割れも防止することができ、誘電体共振器の本体部分を高い良品率をもって能率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用して有利に製造されるTMモード誘電体共振器の本体部分1を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体共振器の本体部分
2 内壁面
3 空間
4 ケース部
5 柱部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a composition for inorganic powder injection molding and a method for producing an inorganic sintered body using the same, and particularly to improvement of properties in the composition for inorganic powder injection molding.
[0002]
[Prior art]
A method for obtaining an inorganic sintered body by sintering inorganic powder made of a ceramic material or a metal material is widely applied in the technical field of manufacturing electronic components, for example.
[0003]
Some inorganic sintered bodies manufactured in the field of electronic components have a simple shape, but may have to be complicated in order to reduce the size and performance of the electronic component. .
[0004]
When an inorganic sintered body having a complicated shape is to be obtained, plasticity is imparted by kneading a binder containing a thermoplastic resin to the inorganic raw material powder, and a molded body is obtained by injection molding. A method of obtaining an inorganic sintered body by degreasing by heating and then firing the molded body at a sinterable temperature has been practiced.
[0005]
This method based on injection molding is capable of producing products with complex shapes that cannot be molded by press molding or extrusion molding, and is more mass-productive and more dimensional accurate than mud casting. It has the advantage that a product is obtained.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, for example, a main part of a TM mode dielectric resonator as described in Japanese Patent Publication No. 7-3922, that is, a case portion that forms a space defined by an inner wall surface, and an inner wall surface of the case portion. The case part in the molded body taken out from the mold after injection molding when trying to obtain a structure comprising column parts arranged in the space so as to connect the parts facing each other based on injection molding Cracks may occur at the connection between the column and the column. In particular, when the difference in thickness between the case portion and the column portion is relatively large, such a crack is likely to occur.
[0007]
Therefore, an object of the present invention is to provide an inorganic powder injection molding composition and a method for producing an inorganic sintered body that are less likely to cause cracks as described above, regardless of the shape of the molded body obtained by injection molding. Is to try to provide.
[0008]
The present invention is first directed to an inorganic powder injection molding composition containing an inorganic powder and a binder. This composition is used in a method for manufacturing an inorganic sintered body, and in this manufacturing method, the above-described inorganic powder injection molding composition is injection-molded into a desired shape using a mold. Each process of obtaining an inorganic sintered body by obtaining a molded body and then removing the binder from the molded body and then firing the molded body is performed.
[0009]
In such a method for producing an inorganic sintered body, the inventors have found that several properties of a molded body obtained by injection molding are important for preventing cracks, and have made the present invention. .
[0010]
That is, in this invention, and a molded body dimensions after removal from the mold dimension and the mold, with the obtained mold shrinkage is less than 0.3% at below conditions, the molded body, a binder The bending elastic modulus before removal is set to be less than 790 kgf / mm 2 .
[0011]
More specifically, the molding shrinkage rate described above is measured by measuring the dimensions of the molded body after leaving the molded body obtained by injection molding from the mold and leaving it at room temperature for 24 ± 1 hours. It is calculated based on the following formula from the dimensions of the molded body and the dimensions of the mold.
Mold shrinkage (%) = [(mold dimension−molded body dimension) / mold dimension] × 100
The flexural modulus is obtained by a three-point bending test according to JIS K7171, and more specifically is calculated by the following formula.
E f = (σ f2 −σ f1 ) / (ε f2 −ε f1 )
Where E f is the flexural modulus, σ f1 is the bending stress measured with the deflection s 1 , σ f2 is the bending stress measured with the deflection s 2 , ε f1 is the bending strain corresponding to the deflection s 1 , and ε f2 is the deflection. The bending strain corresponding to s 2 .
[0012]
The bending strain ε fi is calculated by the following equation.
ε fi = 6 hs i / L 2
Here, L is the distance between fulcrums, and h is the thickness.
[0014]
In the inorganic powder injection molding composition according to the present invention, the average particle size of the inorganic powder is preferably 0.01 to 100 μm, more preferably 0.5 to 10 μm.
[0015]
In order to obtain the inorganic powder injection molding composition according to the present invention, it is preferable to knead the inorganic powder and the binder in a state where the binder is melted.
[0016]
Various methods can be used to set the molding shrinkage and bending elastic modulus, which are the features of the present invention, in the specific ranges as described above. For example, the binder addition ratio is adjusted.
[0017]
Preferably, the binder is added in an amount of 30% by volume to 60% by volume with respect to the total of the inorganic powder and the binder.
[0018]
The present invention is also directed to a method for producing an inorganic sintered body, which is carried out using the inorganic powder injection molding composition as described above. In this method of manufacturing an inorganic sintered body, the above-described inorganic powder injection molding composition is injection-molded into a desired shape to obtain a molded body, and then the binder is removed from the molded body, and then the molded body is fired. Each process of obtaining an inorganic sintered compact by doing is implemented.
[0019]
Typically, a ceramic sintered body can be obtained by the production method according to the present invention. In this case, the inorganic powder contained in the inorganic powder injection molding composition is composed of a ceramic material.
[0020]
Further, when the ceramic sintered body is manufactured as described above, the case portion that forms the space defined by the inner wall surface is arranged in the space so as to connect the opposing portions of the inner wall surface of the case portion. The present invention can be advantageously applied to manufacture a main body portion of a TM mode dielectric resonator including a column portion.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
FIG. 1 is a perspective view of a main body portion 1 of a TM mode dielectric resonator that is advantageously manufactured by applying the present invention.
[0022]
The main body portion includes a case portion 4 that forms a space 3 defined by the inner wall surface 2 and a column portion that is disposed in the space 3 so as to connect the opposing portions of the inner wall surface 2 of the case portion 4 to each other. And 5. Here, the thickness of the column part 4 is thicker than the thickness of the case part 4, and there is a relatively large thickness difference between the case part 4 and the column part 5.
[0023]
In order to injection mold such a main body portion 1, an injection molding composition including a dielectric ceramic powder and a binder is prepared. Hereinafter, not only a specific injection molding composition for the main body portion of the dielectric resonator, but also an inorganic powder injection molding composition including an inorganic powder and a binder will be generally described.
[0024]
Examples of the inorganic powder contained in the inorganic powder injection molding composition include oxide ceramic materials such as alumina and zirconia, composite oxide ceramic materials such as barium titanate, strontium titanate and lead zirconate titanate, aluminum nitride, and nitride Non-oxide ceramic materials such as silicon and silicon carbide, etc., consisting of various ceramic raw materials and mixtures of two or more thereof, or iron-based metals such as iron, stainless steel, carbonyl iron, titanium, copper, aluminum Any inorganic powder made of a sinterable material such as a non-ferrous metal such as an alloy thereof or a cermet that is a composite material of a ceramic and a metal may be used.
[0025]
The average particle diameter of such an inorganic powder is preferably 0.01 to 100 μm, more preferably 0.5 to 10 μm. The reason is that when the average particle size is smaller than this range, the amount of binder added to obtain the fluidity necessary for injection molding increases, and a long time is required in the degreasing step described later. On the other hand, when the average particle size is larger than the above range, it is difficult to obtain a dense sintered body.
[0026]
Examples of the binder contained in the inorganic powder injection molding composition include polyethylene, polystyrene, polypropylene, ethylene vinyl acetate copolymer, acrylic resin, etc., paraffin wax, microcrystalline wax, beeswax wax, stearic acid, palmitic acid. Various things now known as binders, such as higher fatty acids such as acids or plasticizers such as phthalates, can be used alone or in combination as appropriate.
[0027]
The inorganic powder and binder as described above are sufficiently kneaded. This kneading is preferably performed using a facility such as a pressure kneader that has a strong shearing action and in a state where the binder is melted. By this operation, the binder is uniformly dispersed between the inorganic powders, and the obtained kneaded material has fluidity at a high temperature equal to or higher than the melting point of the binder. During the kneading, a dispersant made of higher fatty acid, higher fatty acid ester, or the like may be added in order to improve the dispersibility between the inorganic powder and the binder and improve the fluidity.
[0028]
Further, the amount of the binder added is desirably 30% by volume or more and 60% by volume or less with respect to the total of the inorganic powder and the binder. The reason is as follows. When the added amount of the binder is less than 30% by volume, the kneaded product of the inorganic powder and the binder is poor in fluidity, and may not be molded into the target shape. Defects due to molding such as weld lines and flow marks are likely to occur in the sintered body. On the other hand, when the added amount of the binder exceeds 60% by volume, the density of the molded body is lowered, and thus deformation and cracks are easily generated during degreasing and firing.
[0029]
In this invention, the kneaded mixture of the inorganic powder and the binder as described above, that is, the molding shrinkage rate of the inorganic powder injection molding composition is less than 0.3 %, and the flexural modulus of the molded body is 790 kgf / mm. It is characterized by being less than 2 .
[0030]
The molding shrinkage ratio is set to less than 0.3 % for the following reason.
[0031]
That is, for example, when a molded body having a shape with a large undercut is injection-molded, the core portion of the mold for forming the undercut portion is molded when the molded body molded by injection molding is cooled and solidified in the mold. However, if the molding shrinkage rate is 0.3 % or more, cracking may occur in a specific part of the molded body due to such shrinkage by the core portion. Speaking of the main body portion 1 of the dielectric resonator shown in FIG. 1, if the molding shrinkage rate is 0.3 % or more, cracks are likely to occur at the connecting portion between the case portion 4 and the column portion 5 in the molded body.
[0032]
On the other hand, if the molding shrinkage rate described above becomes smaller, the adhesion between the molded body and the cavity portion of the mold becomes higher, and cracks are likely to occur in specific parts of the molded body due to the tensile stress acting when the mold is opened. . Speaking of the main body portion 1 of the dielectric resonator shown in FIG. 1, cracks are likely to occur in the case portion 4 of the molded body.
[0033]
In order to solve this, it is only necessary to give flexibility to the molded body. Therefore, an inorganic powder injection molding composition having a bending elastic modulus of less than 790 kgf / mm 2 in a three-point bending test of the molded body is used. Thus, such cracks can be prevented.
[0034]
The kneaded product thus obtained, that is, the inorganic powder injection molding composition, is granulated to a size that is easy to handle in injection molding. As the method, while the kneaded product is heated, it is extruded from a die having a diameter of about 3 mm, and immediately after that, it is cut with a cutter. There are a strand cutting method for cutting, and a crushing method for crushing after making it into a flat shape.
[0035]
The kneaded material granulated by the method as described above and having a uniform size is then introduced into an injection molding machine. The kneaded material is fed into a heated cylinder in an injection molding machine, and after being in a molten state, it is injection molded into a mold. Thereafter, the mold is opened and the molded body is taken out.
[0036]
Next, the molded body is removed from the binder. In general, the molded body is heated to decompose and remove the binder, but the molded body is left in a solvent or a special gas phase that dissolves a part of the binder components. It is also possible to use a method for removing.
[0037]
The molded body after the binder is removed is heated to a temperature at which the inorganic powder contained therein can be sintered, and is fired thereby. At this time, control of the atmosphere is important particularly when inorganic powders composed of non-oxide ceramics, non-metals, alloys, and cermets are included. Moreover, it is also possible to implement this baking process as a series of processes following the binder removal process, that is, the degreasing process described above.
[0038]
In this way, an inorganic sintered body having a desired shape, for example, a ceramic sintered body such as the main body portion 1 of the dielectric resonator as shown in FIG. 1 is obtained.
[0039]
In many cases, the post-processing for removing the gate is performed immediately after the above-described injection molding. However, for example, a shape that is difficult to apply only by a mold, such as a large undercut, is provided. Processing or the like may be appropriately performed on the molded body or the sintered body.
[0040]
In addition, the surface of the sintered body is appropriately subjected to necessary treatment by polishing the surface thereof or forming a metal film by plating or sputtering. Also good. In the case of the body portion 1 of the dielectric resonator shown in FIG. 1, a conductive metal film that forms an actual current path is formed on the surface of the body portion 1 as a sintered body.
[0041]
【Example】
As an inorganic powder, a precursor powder for a dielectric ceramic material, more specifically, titanium oxide, zirconium oxide and tin oxide powders can be used to obtain electrical characteristics as a dielectric after sintering. After mixing at a ratio, a powder that was pulverized to a fine particle size powder was prepared.
[0042]
Next, as shown in Table 1, as the binder, an acrylic-polystyrene-ethylene vinyl acetate copolymer (EVA) -stearic acid or paraffin wax-plasticizer, which was mixed by dissolving and mixing under heating 6 types were prepared. More specifically, polybutyl methacrylate was used as the acrylic, and dibutyl phthalate was used as the plasticizer.
[0043]
[Table 1]
Figure 0004292599
When these ceramic raw material powders and binders are kneaded with ceramic raw material powders and binders, they are blended so that the proportion of the binder is 40% by volume, and 5 kgf / cm 2 using a pressure reader. And kneading for 60 minutes at a temperature of 150 ° C. Next, the obtained kneaded material was granulated into a cylindrical shape having a diameter of about 3 mm and a length of about 5 mm by a hot cut method using an extrusion granulator.
[0044]
Each cylindrical granule obtained is put into a horizontal injection molding machine, injection molded into a plate shape of 25 mm × 40 mm × 4 mm, taken out from the mold, molded shrinkage, and bending strength of the molded body And the flexural modulus was measured. As shown in Table 1, it was confirmed that the molding shrinkage rate, bending strength, and bending elastic modulus of the six types of injection molding compositions were different from each other.
[0045]
Further, the same granulated product was put into a horizontal injection molding machine for molding the main body portion 1 of the dielectric resonator shown in FIG. 1, and injection molding was performed. In the main body portion 1 shown in FIG. 1, the maximum thickness of the column portion 5 is 12 mm, and the thickness of the case portion 4 is 2.5 mm. The injection molding conditions were set such that the nozzle temperature was 170 to 200 ° C., the injection pressure was 1000 to 1500 kgf / cm 2 , and the mold temperature was 20 ° C. for all samples.
[0046]
When the obtained molded body was observed, as shown in Table 1, samples 1 , 2 , 3, and 6 had some defects.
[0047]
Next, the molded body according to each sample was degreased at a temperature increase rate of 2 ° C./h and a maximum temperature of 500 ° C., and then fired at a maximum temperature of 1300 to 1400 ° C. to obtain a sintered body. When the appearance of the sintered body and the cut surface cut with a diamond cutter were observed, no cracks considered to be caused by the degreasing and firing processes were generated.
[0048]
As shown in Table 1, when the mold shrinkage rate is less than 0.3% and flexural modulus according to satisfy Samples 4 and 5 both less than 790kgf / mm 2, that camphor such cracking generated during molding in-out, we were able to yield rate of 100%.
[0049]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, injection molding is performed using the inorganic powder injection molding composition set so that the molding shrinkage rate is less than 0.3 %. Residual stress can be relaxed. On the other hand, by setting the molding shrinkage ratio small as described above, the molded body may bite into the cavity of the mold at the time of mold release, which may lead to defects such as cracks. In order to provide flexibility, the bending elastic modulus is set to be less than 790 kgf / mm 2 , so that defects such as cracks caused by reducing the molding shrinkage rate can be prevented.
[0050]
Therefore, the present invention comprises a TM mode comprising a case portion that forms a space defined by the inner wall surface, and a column portion that is disposed in the space so as to connect the opposing portions of the inner wall surface of the case portion. When applied to the injection molding of the body portion of the dielectric resonator, it is possible to advantageously prevent cracks that are likely to occur at the connecting portion between the relatively thin case portion and the relatively thick column portion. At the same time, it is possible to prevent cracks in the case portion that are likely to occur due to biting into the cavity portion of the mold, and to efficiently manufacture the main body portion of the dielectric resonator with a high yield rate.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a main body portion 1 of a TM mode dielectric resonator that is advantageously manufactured by applying the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Body part 2 of dielectric resonator 2 Inner wall surface 3 Space 4 Case part 5 Column part

Claims (9)

無機粉末とバインダとを含む無機粉末射出成形用組成物であって、
金型を用いて当該組成物を所望の形状に射出成形することによって、成形体を得、次いで、前記成形体から前記バインダを除去した後、前記成形体を焼成することによって無機焼結体を得る、各工程を備える、無機焼結体の製造方法において使用され、
記金型寸法と前記金型から取り出した後、24±1時間、常温で放置した後前記成形体寸法とから、成形収縮率(%)=〔(金型寸法−成形体寸法)/金型寸法〕×100の式に基づき求めた成形収縮率が0.3%未満となり、かつ
前記成形体の、前記バインダを除去する前の曲げ弾性率が790kgf/mm2未満となるように設定されたことを特徴とする、無機粉末射出成形用組成物
An inorganic powder injection molding composition comprising an inorganic powder and a binder,
An inorganic sintered body is obtained by injection molding the composition into a desired shape using a mold, and then removing the binder from the molded body and then firing the molded body. Used in a method for producing an inorganic sintered body comprising each step,
After removal and before Kikin type size from the mold, 24 ± 1 hour, from said molded body dimensions after leaving at room temperature, molding shrinkage (%) = [(mold dimension - shaped body dimension) / Mold dimension] Set so that the molding shrinkage obtained based on the formula of 100 is less than 0.3 %, and the flexural modulus of the molded body before removing the binder is less than 790 kgf / mm 2. is characterized in that the inorganic powder injection molding composition.
前記無機粉末の平均粒径は、0.01〜100μmである、請求項1に記載の無機粉末射出成形用組成物。The composition for inorganic powder injection molding according to claim 1, wherein the inorganic powder has an average particle size of 0.01 to 100 μm. 前記無機粉末の平均粒径は、0.5〜10μmである、請求項に記載の無機粉末射出成形用組成物。The composition for inorganic powder injection molding according to claim 2 , wherein the inorganic powder has an average particle size of 0.5 to 10 μm. 前記バインダが融解した状態で、前記無機粉末と前記バインダとを混練して得られたものである、請求項1ないしのいずれかに記載の無機粉末射出成形用組成物。The composition for inorganic powder injection molding according to any one of claims 1 to 3 , wherein the composition is obtained by kneading the inorganic powder and the binder in a state where the binder is melted. 前記バインダは、前記無機粉末と前記バインダとの合計に対して、30体積%以上60体積%以下添加されている、請求項1ないしのいずれかに記載の無機粉末射出成形用組成物。The composition for inorganic powder injection molding according to any one of claims 1 to 4 , wherein the binder is added in an amount of 30% by volume to 60% by volume with respect to a total of the inorganic powder and the binder. 前記無機粉末は、セラミック材料からなる、請求項1ないしのいずれかに記載の無機粉末射出成形用組成物。The inorganic powder is a ceramic material, according to claim 1 to an inorganic powder injection molding composition according to any one of 5. 請求項1ないしのいずれかに記載の無機粉末射出成形用組成物を所望の形状に射出成形することによって、成形体を得、次いで、前記成形体から前記バインダを除去した後、前記成形体を焼成することによって無機焼結体を得る、各工程を備える、無機焼結体の製造方法。A molded body is obtained by injection molding the inorganic powder injection molding composition according to any one of claims 1 to 6 into a desired shape, and then the binder is removed from the molded body, and then the molded body. The manufacturing method of an inorganic sintered compact provided with each process of obtaining an inorganic sintered compact by baking. 前記無機粉末は、セラミック材料からなり、前記無機焼結体は、セラミック焼結体である、請求項に記載の無機焼結体の製造方法。The method for producing an inorganic sintered body according to claim 7 , wherein the inorganic powder is made of a ceramic material, and the inorganic sintered body is a ceramic sintered body. 前記セラミック焼結体は、内壁面によって規定される空間を形成するケース部と、前記ケース部の前記内壁面の相対向する部分間を連結するように前記空間内に配置される柱部とを備える、TMモード誘電体共振器の本体部分である、請求項に記載の無機焼結体の製造方法。The ceramic sintered body includes a case portion that forms a space defined by an inner wall surface, and a column portion that is disposed in the space so as to connect the opposing portions of the inner wall surface of the case portion. The manufacturing method of the inorganic sintered compact of Claim 8 which is a main-body part of the TM mode dielectric resonator provided.
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