以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図10は本発明の第1実施例を示すものであり、図1はエンジンの部分縦断面図であって図2の1−1線断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線矢視図、図4はリフト可変機構の側面図、図5はリフト可変機構の分解斜視図、図6は図3の6矢視図、図7Aはリフト量大の状態でのリフト可変機構の作用説明図、図7Bはリフト量小の状態でのリフト可変機構の作用説明図、図8は機関弁のリフト曲線を示す図、図9は図3の要部拡大図、図10はコントロールアームの回転角とセンサアームの回転角との関係を示すグラフである。
先ず図1において、直列多気筒であるエンジンEのエンジン本体10は、内部にシリンダボア11…が設けられたシリンダブロック12と、シリンダブロック12の頂面に結合されたシリンダヘッド14と、シリンダヘッド14の頂面に結合されるヘッドカバー16とを備え、各シリンダボア11…にはピストン13…が摺動自在に嵌合され、各ピストン13…の頂部を臨ませる燃焼室15…がシリンダブロック12およびシリンダヘッド14間に形成される。
シリンダヘッド14には、各燃焼室15…に通じ得る吸気ポート17…および排気ポート18…が設けられており、各吸気ポート17…が一対の機関弁である吸気弁19…でそれぞれ開閉され、各排気ポート18が一対の排気弁20…でそれぞれ開閉される。吸気弁19のステム19aはシリンダヘッド14に設けられたガイド筒21に摺動自在に嵌合され、ステム19aの上端部に設けられるスプリングシート22ならびにシリンダヘッド14に当接されるスプリングシート23間に設けられる弁ばね24によって各吸気弁19…は閉弁方向に付勢される。また排気弁20のステム20aはシリンダヘッド14に設けられるガイド筒25に摺動自在に嵌合され、ステム20aの上端部に設けられるスプリングシート26ならびにシリンダヘッド14に当接されるスプリングシート27間に設けられる弁ばね28によって各排気弁20…は閉弁方向に付勢される。
図2を併せて参照して、シリンダヘッド14に設けられたカムシャフトホルダ29と、該カムシャフトホルダ29に結合されるカムシャフトキャップ30との間に、吸気カムシャフト31および排気カムシャフト32が回転自在に支持される。吸気弁19…は吸気カムシャフト31によってリフト可変機構33を介して駆動され、排気弁20…は排気カムシャフト32によってリフト・タイミング可変機構34を介して駆動される。
排気弁20…を駆動するリフト・タイミング可変機構34は周知のものであり、ここではその概略を説明する。カムシャフトホルダ29に支持された排気ロッカアームシャフト35には、一対の低速用排気側ロッカアーム36,36の一端と、単一の高速用排気側ロッカアーム37の一端とが枢支されており、低速用排気側ロッカアーム36,36の中間部に軸支されたローラ38,38に排気カムシャフト32に設けられた2個の低速用カム39,39が当接し、高速用排気側ロッカアーム37の中間部に軸支されたローラ40に排気カムシャフト32に設けられた高速用カム41が当接する。また低速用排気側ロッカアーム36,36の他端には、排気弁20…のステム20a…に当接するタペットねじ42…が進退位置を調節可能として螺合される。
しかも両低速用排気側ロッカアーム36,36および高速用排気側ロッカアーム37とは、油圧の制御によって連結および連結解除を切換可能であり、エンジンEの低速運転時に、低速用排気側ロッカアーム36,36および高速用排気側ロッカアーム37の連結を解除すると、低速用排気側ロッカアーム36,36は対応する低速用カム39,39により駆動され、排気弁20,20は低リフト・低開角で開閉される。またエンジンEの高速運転時に、低速用排気側ロッカアーム36,36および高速用排気側ロッカアーム37を連結すると、高速用排気側ロッカアーム37は対応する高速用カム41により駆動され、高速用排気側ロッカアーム37に結合された低速用排気側ロッカアーム36,36により、排気弁20,20は高リフト・高開角で開閉される。このように、リフト・タイミング可変機構34により、排気弁20,20のリフトおよびタイミングが2段階に制御される。
次に図3〜図6を併せて参照しつつリフト可変機構33の構造を説明すると、該リフト可変機構33は、一対の第1リンクアーム61,61と、それらの第1リンクアーム61…の下方に配置される単一の第2リンクアーム62と、カムフォロアとしての吸気側ロッカアーム63とを備える。
第1リンクアーム61は、吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結される第1連結部61aを一端部に有するとともにエンジン本体10の固定位置に回動可能に支承される固定支持部61bを他端部に有するものであり、一対の第1リンクアーム61,61の他端部の固定支持部61b,61bは円筒状の支持筒60で一体に連結される。すなわち一対の第1リンクアーム61,61と、円筒状の支持筒60とが略U字状となるようにして一体に連結される。
吸気側ロッカアーム63の一端部には、一対の吸気弁19…におけるステム19a…の上端に上方から当接するタペットねじ70,70が進退位置を調節可能として螺合される一対の弁連結部63a,63aが設けられる。また吸気側ロッカアーム63の他端部には、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて配置される一対の第1支持壁部63b…と、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて第1支持壁部63b…の下方に配置される一対の第2支持壁部63c…と、吸気側ロッカアーム63における他端部の剛性を高めるために第1および第2支持壁部63b…,63c…間を連結する一対の連結壁部63d…とが設けられており、第1支持壁部63b…、第2支持壁部63c…および連結壁部63d…は、吸気カムシャフト31側に開くようにして略U字状に形成される。
しかも第1支持壁部63b…、第2支持壁部63c…および連結壁部63d…の内側面および外側面は面一に連なるように形成されるものであり、これにより、吸気側ロッカアーム63における他端部の剛性向上を図るとともに、吸気側ロッカアーム63の他端部の内側面および外側面の加工が容易となる。
吸気カムシャフト31に設けられる動弁カム69に転がり接触するカム当接部としてのローラ65は、吸気側ロッカアーム63の他端部における第1支持壁部63b…間に配置されており、第1連結軸64を介してそれらの第1支持壁部63b…に軸支される。しかも第1リンクアーム61…は、吸気側ロッカアーム63の第1支持壁部63b…を両側から挟むように配置されるものであり、第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…は、前記第1連結軸64を介して前記吸気側ロッカアーム63の他端部の第1支持壁部63b…に回動可能に連結され、動弁カム69は、前記両第1リンク61…の内側面間の距離よりも狭い幅を有するように形成される。
このように動弁カム69に当接するローラ65を有する吸気側ロッカアーム63を一対の第1リンクアーム61,61で両側から挟むことにより、吸気側ロッカアーム63のコンパクト化を図りつつ吸気弁19…のリフト量制御精度の向上を図ることができる。また動弁カム69が両第1リンクアーム61…の内側面間の距離よりも狭い幅を有するように形成されることにより、動弁カム69および両第1リンクアーム61…の干渉を回避しつつ、第1リンクアーム61…の形状の自由度ならびに第1リンクアーム61…の回動範囲の設定の自由度を増大することができる。さらに両第1リンクアーム61…の第1連結部61a…が、ローラ65を吸気側ロッカアーム63に軸支する第1連結軸64を介して吸気側ロッカアーム63に連結されるので、部品点数の低減に寄与することができる。
また吸気側ロッカアーム63の他端部の第1支持壁部63b…のうち前記吸気カムシャフト31に対向する部分の外側面ならびに第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…の外側面は、側面視では重なるようにして前記第1連結軸64の軸線を中心とする優弧状に形成され、これにより、吸気カムシャフト31と、吸気側ロッカアーム63および第1リンクアーム61…を極力近接させてリフト可変機構33のコンパクト化を図ることができる。
また吸気側ロッカアーム63の上部には、該吸気側ロッカアーム63の一端部と、該ロッカアーム63の他端部すなわち第1支持壁部63b…側との間にかけて、前記両弁連結部63a,63a間に位置するリブ63eが突設される。
第2リンクアーム62は、その一端部に第2連結部62aを有するとともに他端部には可動支持部62bを有して平板状に形成され、軽量化を図るために第2リンクアーム62の中間部に肉抜き部62cが設けられる。しかも第2リンクアーム62の第2連結部62aは、吸気側ロッカアーム63の他端部の第2支持壁部63c…間に、前記ローラ65に下方から対向するようにして配置されており、上方から見て第2リンクアーム62は両第1リンクアーム61…間に配置され、第1リンクアーム61…の両端部の回動軸線間を結ぶ直線L1に直交する方向から見て第2リンクアーム62は、第1リンクアーム61の下方に配置される。
吸気側ロッカアーム63の他端部の両第2支持壁63c…間に第2リンクアーム62の一端部の第2連結部62aが配置される構成とすることにより、一対の第2支持壁63c間のスペースを有効活用して第2リンクアーム62を配置することになり、吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向でのリフト可変機構33のコンパクト化に寄与することができ、また第2リンクアーム62の第2連結部62aを下方からローラ65に対向させることにより、ローラ65と対向するスペースを有効活用して第2リンクアーム62を配置することになり、これによっても吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向でのリフト可変機構33のコンパクト化に寄与することができる。また上方から見て両第1リンクアーム61…間に第2リンクアーム62が配置される構成とすることにより、第2リンクアーム62が第1リンクアーム61…の外側に配置される構成としたものに比べれば、リフト可変機構33を吸気側ロッカアーム63の回動軸線に沿う方向でコンパクト化することが可能である。
第2リンクアーム62の一端部に設けられる第2連結部62aは、前記第1連結軸64よりも下方で吸気側ロッカアーム63の他端部の第2支持壁部63c…に第2連結軸66を介して回動可能に連結される。すなわち動弁カム69に当接する前記ローラ65を他端側上部に有する吸気側ロッカアーム63の一端部が一対の吸気弁19…に連動、連結され、上方の第1リンクアーム61…がその一端に有する第1連結部61a…と、第1リンクアーム61…の下方に配置される第2リンクアーム62がその一端に有する第2連結部62aとが、吸気側ロッカアーム63の他端部に上下に並列して相対回動可能に連結されることになる。
ところで、吸気カムシャフト31と、第1リンクアーム61を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第1連結軸64と、第2リンクアーム62を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第2連結軸65とは、吸気弁19…の作動軸線に沿う方向で吸気カムシャフト31の下方に第1連結軸64が配置されるとともに第1連結軸65の下方に第2連結軸65が配置されるようにして、吸気弁19…の作動軸線に沿う方向に配列されており、吸気弁19…の閉弁着座状態で、第1および第2連結軸64,65の少なくとも一方の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D1,D2が、吸気カムシャフト31の軸線および吸気弁19…の作動軸線間の距離よりも小さく設定されており、これにより可変リフト機構33のコンパクト化が可能となる。特に、この実施例では第1および第2連結軸64,65の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D1,D2が、ともに吸気カムシャフト31の軸線および吸気弁19…の作動軸線間の距離よりも小さく設定されるので、可変リフト機構33をより一層コンパクト化することができる。
また第2連結軸65は、その少なくとも一部がリフト量を最大として吸気弁19…が開弁した状態にあっても吸気弁19…におけるステム19a…の上端よりも下方に位置するように配置されており、それにより吸気弁19…の作動軸線に沿う方向で可変リフト機構33ひいては動弁装置をコンパクト化することができる。
しかも第2リンクアーム62の第2連結部62aおよび吸気側ロッカアーム63の連結軸心すなわち第2連結軸66の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D2は、吸気側ロッカアーム63に軸支されるローラ65の軸心すなわち第1リンクアーム61…における第1連結部61a…を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第1連結軸64の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D1よりも、吸気弁19…の閉弁着座状態で小さく設定されている。
第1リンクアーム61…の他端部の固定支持部61b…を一体に連結する支持筒60は、エンジン本体10におけるカムシャフトホルダ29に固定した固定支軸67に回動可能に支承され、第2リンクアーム62がその他端に有する可動支持部62bは、可動軸68aで回動可能に支承される。しかも第2リンクアーム62は第1リンクアーム61よりも短く形成されており、第2リンクアーム62の他端の可動支持部62bは、第1リンクアーム61の他端の固定支持部61bよりも吸気弁19…に近い位置に配置されることになる。
また前記ローラ65を吸気側ロッカアーム63に軸支するとともに第1リンクアーム61…を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第1連結軸64の外径DM1は、第1リンクアーム61…の他端部の固定支持部61b…を回動可能に支承する固定支軸67の外径DM2よりも大きく設定されるものであり、これにより、ローラ65の支持剛性を高めることができるとともに、第2リンクアーム62の他端側の可動支持部62bを固定支軸67の軸線により近接させることができ、可動支持部62bの可動範囲を拡大することができる。
前記可動軸68aはコントロール軸68に設けられる。このコントロール軸68は、第2リンクアーム62の作動平面と平行な平面に配置される連結板68bと、その連結板68bの両端に相互に反対方向に突出するようにして直角に設けられる前記可動軸68aおよび支軸68cとを、各気筒毎に備えてクランク状に構成されるものであり、各支軸68cは、シリンダヘッド14に設けられたカムシャフトホルダ29に回動可能に支承され、気筒配列方向に沿う一端の前記支軸68cは、エンジン本体10におけるヘッドカバー16に設けられる支持孔16aに回転自在に支持される。したがってコントロール軸68が支軸68cの軸線まわりに揺動すると、可動軸68aは支軸68cを中心とする円弧A(図4参照)上を移動することになる。
また第1リンクアーム61…、第2リンクアーム62および吸気側ロッカアーム63は、図4で示すように、吸気弁19…を最大リフト量として第2リンクアーム62の可動支持部62bを第1リンクアーム61…側に最も近接させた状態では、第1リンクアーム61…および第2リンクアーム62が平行な状態よりも可動軸68aが固定支軸67側に近い位置となるように、リンクを構成するものであり、このようなリンク構成とすることにより、リンク可変機構33をコンパクト化することができる。すなわち特許文献2(特開2004−36560号公報)では、吸気弁を最大リフト量として第2リンクアームの可動支持部を第1リンクアーム側に最も近接させた状態では、第1および第2リンクアームが平行な状態となる可変リンク機構が開示されており、そのような可変リンク機構に比べてリンク可変機構33のコンパクト化が可能となる。
また動弁カム69の回動軸線すなわち吸気カムシャフト31の軸線に直交する平面上で、ローラ65および動弁カム69の当接部を通るとともに吸気カムシャフト31の軸線を通る直線L3と、固定支軸67および吸気カムシャフト31の軸線を通る直線L4との間の範囲に、吸気弁19…の閉弁着座状態で第1連結軸64、固定支軸67、第2連結軸66および可動軸68aの少なくとも一部が配置されるものであり、この実施例では、第2連結軸66および可動軸68aの全てが吸気弁19…の閉弁着座状態で前記範囲内に配置され、第1連結軸64および固定支軸67の一部が前記範囲内に配置される。このような第1連結軸64、固定支軸67、第2連結軸66および可動軸68aの配置とすることで、リフト可変機構33ひいては動弁装置のコンパクト化を図ることができる。
しかも固定支軸67と、前記可動軸68aと、第2リンクアーム62を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第2連結軸66とは、吸気弁19…の最大リフト状態では動弁カム69の回動軸線すなわち吸気カムシャフト31の軸線に直交する平面で少なくとも軸径の一部を共通の一直線L5が通るように配置される。
また支軸68cは前記可動軸68aよりも大径に形成されるとともに、第2連結軸66よりも大径に形成されるものであり、このように比較的大径とした支軸68cによりコントロール軸68をエンジン本体10を構成するシリンダヘッド14のカムシャフトホルダ29およびヘッドカバー16に支承するのでコントロール軸68の支持剛性を高めることができ、それにより吸気弁19…の安定したリフト量制御が可能となる。しかもコントロール軸68をカムシャフトホルダ29で支承することにより、コントロール軸ホルダを設けることを不要として部品点数低減に寄与することができる。
而して吸気カムシャフト31の軸線方向から見てコントロール軸68および第2リンクアーム62の少なくとも一部が重なるようにコントロール軸68が配置されるものであり、この実施例では、吸気側ロッカアーム63が図4に示す上昇位置にあるとき、すなわち吸気弁19…が閉弁状態にあるときに、コントロール軸68の支軸68cの軸線が第2リンクアーム62を吸気側ロッカアーム63の他端側下部に連結する第2連結軸66の軸線C上に配置される(図5参照)ようにして、第2連結軸66および支軸68cの一部が吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向から見て重なるように配置される。
このようなコントロール軸68および第2リンクアーム62の相対配置によれば、コントロール軸68および第2リンクアーム62をコンパクトにまとめて配置することができ、この実施例のように第2連結軸66および支軸68cの一部が吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向から見て重なるように配置されることで、より一層のコンパクト化を図ることができる。
ところで、少なくとも第2リンクアーム62の他端部の可動支持部62bが第1リンクアーム61…側に最も近づいた状態では、第1リンクアーム61…の第1連結部61a…および固定支持部61b…の第2リンクアーム62側の側面間を結ぶ直線L2と、前記可動支持部62bの一部が側面視で重なるようにして、可動支持部62bを収容可能な収容部59が、第1リンクアーム61…に形成される。
前記収容部59は、可動支持部62bの一部を収容可能として両第1リンクアーム61…間に形成される開口部59aと、前記可動軸68aの少なくとも一部を収容可能として両第1リンクアーム61…の下部に形成される凹部59b…とから成るものであり、第1リンクアーム61…は、前記凹部59b…を形成すべく側面視では瓢箪形になるように形成される。
前記コントロール軸68の支軸68cは、ヘッドカバー16の支持孔16aから突出するものであり、この支軸68cの先端にコントロールアーム71が固定され、該コントロールアーム71がシリンダヘッド14の外壁に取付けられた駆動手段としてのアクチュエータモータ72によって駆動される。すなわちアクチュエータモータ72により回転するねじ軸73にナット部材74が噛み合っており、ナット部材74にピン75で一端を枢支された連結リンク76の他端が、ピン77,77を介してコントロールアーム71に連結される。したがってアクチュエータモータ72を作動せしめると、回転するねじ軸73に沿ってナット部材74が移動し、ナット部材74に連結リンク76を介して連結されたコントロールアーム71によって支軸68cまわりにコントロール軸68が揺動することで、可動軸68aが図7Aの位置と図7Bの位置との間を移動する。
ヘッドカバー16の外壁面には、たとえばロータリエンコーダのような回転角センサ80が設けられており、この回転角センサ80が備えるセンサ軸80aの先端にセンサアーム81の一端が固定される。コントロールアーム71には、その長手方向に沿って直線状に延びるガイド溝82が形成されており、そのガイド溝82にセンサアーム81の他端に設けたピン83が摺動自在に嵌合する。
ねじ軸73、ナット部材74、ピン75、連結リンク76、ピン77,77、コントロールアーム71、回転角センサ80、センサアーム81およびピン83は、シリンダブロック14およびヘッドカバー16の側面から突出する壁部14a,16bの内側に収納され、壁部14a,16bの端面を覆うカバー78がボルト79…で壁部14a,16bに固定される。
前記リフト可変機構33において、アクチュエータモータ72でコントロールアーム71が図3の実線位置から反時計方向に回動すると、コントロールアーム71に連結されたコントロール軸68(図5参照)が反時計方向に回動し、図7Aに示すようにコントロール軸68の可動軸68aが上昇する。この状態で吸気カムシャフト31の動弁カム69でローラ65が押圧されると、固定支軸67、第1連結軸64、第2連結軸66および可動軸68aを結ぶ四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム63が鎖線位置から実線位置へと下方に揺動し、タペットねじ70,70が吸気弁19のステム19a…を押圧し、吸気弁19…を高リフトで開弁する。
アクチュエータモータ72でコントロールアーム71が図3の実線位置に回動すると、コントロールアーム71に連結されたコントロール軸68が時計方向に回動し、図7Bに示すようにコントロール軸68の可動軸68aが下降する。この状態で吸気カムシャフト31の動弁カム69でローラ65が押圧されると、前記四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム63が鎖線位置から実線位置へと下方に揺動し、タペットねじ70,70が吸気弁19…のステム19aを押圧し、吸気弁19…が低リフトで開弁する。
図8は吸気弁のリフト曲線を示しており、図7Aに対応する高リフト時の開角と、図7Bに対応する低リフト時の開角とは同一であり、弁リフト量だけが変化している。このように、リフト可変機構33を設けたことにより、吸気弁19…の開角を変更せずに、弁リフトだけを任意に変更することができる。
ところで、アクチュエータモータ72でコントロール軸68を揺動させて吸気弁19…の弁リフトを変更する際に、弁リフトの大きさ、つまりコントロール軸68の支軸68cの回動角を検出してアクチュエータモータ72の制御にフィードバックする必要がある。そのために、コントロール軸68の支軸68cの回動角を回転角センサ80で検出するようになっている。コントロール軸68の支軸68cの回動角を単に検出するだけなら、前記支軸68cに回転角センサを直結すれば良いが、低リフトの領域ではリフト量が僅かに変化しただけで吸気効率が大きく変化するため、コントロール軸68の支軸68cの回動角を精度良く検出してアクチュエータモータ72の制御にフィードバックする必要がある。それに対して、高リフトの領域ではリフト量が多少変化しても吸気効率が大きく変化しないため、前記回転角の検出にそれほど高い精度は要求されない。
図9に実線で示すコントロールアーム71の位置は低リフトの領域に対応し、そこから反時計方向に揺動した鎖線で示すコントロールアーム71の位置は高リフトの領域に対応している。低リフトの領域では、回転角センサ80のセンサ軸80aに固定したセンサアーム81のピン83がコントロールアーム71のガイド溝82の先端側(軸線Cから遠い側)に係合しているため、コントロールアーム71が僅かに揺動しただけでセンサアーム81は大きく揺動する。すなわちコントロール軸68の回動角に対するセンサ軸80aの回動角の比率が大きくなり、回転角センサ80の分解能が高まってコントロール軸68の回動角を高精度で検出することができる。
一方、コントロールアーム71が鎖線で示す位置に揺動した高リフトの領域では、回転角センサ80のセンサ軸80aに固定したセンサアーム81のピン83がコントロールアーム71のガイド溝82の基端側(軸線Cに近い側)に係合しているため、コントロールアーム71が大きく揺動してもセンサアーム81は僅かしか揺動しない。すなわちコントロール軸68の回動角に対するセンサ軸80aの回動角の比率が小さくなり、コントロール軸68の回動角の検出精度は低リフト時に比べて低くなる。
図10のグラフから明らかなように、コントロールアーム71の回転角が低リフト状態から高リフト状態に向かって増加してゆくと、最初はセンサアーム81の角度の増加率が高いために検出精度が高くなるが、次第に前記増加率が低くなって検出精度が低くなることが分かる。
このように、高価で検出精度の高い回転角センサを用いずとも、回転角センサ80のセンサアーム81をコントロールアーム71のガイド溝82に係合させることで、高い検出精度を必要とする低リフト状態における検出精度を確保し、コストダウンに寄与することができる。
このとき、コントロールアーム71の一端側(支軸68cに近い側)とセンサアーム81の一端側(回転角センサ80に近い側)とを接近させて配置し、コントロールアーム71の一端側にガイド溝82を形成したので、センサアーム81の長さを短くしてコンパクト化することができる。またコントロールアーム71の一端側にガイド溝82を形成すると、軸線Cからの距離が小さくなってガイド溝82の円周方向の移動量も小さくなるが、センサアーム81の長さも短くなるため、センサアーム81の回動角を充分に確保して回転センサ80の検出精度を確保することができる。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、吸気弁19…の開弁リフト量を連続的に変化させるためのリフト可変機構33において、第1および第2リンクアーム61,61,62がその一端部に有する第1および第2連結部61a,61a;62aは、一端部が一対の吸気弁19…に連動、連結される吸気側ロッカアーム63の他端部に並列して相対回動可能に連結され、第1リンクアーム61…の他端部の固定支持部61bはエンジン本体10における固定支軸67に回動可能に支承され、第2リンクアーム62の他端部の可動支持部62bは変位可能な可動軸68aで回動可能に支承されている。
したがって可動軸68aを無段階に変位させることで吸気弁19…のリフト量を無段階に変化させることが可能であり、しかも第1および第2リンクアーム61…,62の一端部が吸気側ロッカアーム63に回動可能として直接連結されており、両リンクアーム61…,62を配置するスペースを少なくして動弁装置のコンパクト化を図ることができ、動弁カム69からの動力が吸気側ロッカアーム63のローラ65に直接伝達されるので動弁カム69に対する優れた追従性を確保することができる。また吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向での吸気側ロッカアーム63、第1および第2リンクアーム61…,62の位置をほぼ同一位置に配置することができ、吸気カムシャフト31の軸線に沿う方向での動弁装置のコンパクト化を図ることができる。
また吸気側ロッカアーム63の一端部には、一対の吸気弁19…にそれぞれ当接するタペットねじ70,70がその進退位置を調節可能として螺合される一対の弁連結部63a,63aが設けられ、吸気側ロッカアーム63の一端部から前記ローラ65が配置される部分にかけて吸気側ロッカアーム63には、両弁連結部63a,63a間に配置されるリブ63eが突設されるので、吸気側ロッカアーム63の剛性向上を図ることができる。
また一対の第1リンクアーム61,61が、吸気側ロッカアーム63を両側から挟むように配置されており、第2リンクアーム62は、第1リンクアーム61…の両端部の回動軸線間を結ぶ直線L1に直交する方向から見て両第1リンクアーム61…間に配置されるようにして平板状に形成されるので、第2リンクアーム62に比べて受け持つ負荷が小さな第1リンクアーム61…の軽量、コンパクト化を可能としつつ、第1リンクアーム61…よりも大きな負荷が作用する第2リンクアーム62を、平板状とすることで、第2リンクアーム62の剛性を確保しつつ軽量化を図ることができる。
しかも少なくとも前記可動支持部62bが第1リンクアーム61…側に最も近づいた状態では、第1リンクアーム61の第1連結部61aおよび固定支持部61bの第2リンクアーム62側の側面間を結ぶ直線L2と可動支持部62bの一部が側面視で重なるようにして、可動支持部62bを収容可能な収容部59が、第1リンクアーム61,61に形成されているので、可動支持部62bの変位量を比較的大きく設定して吸気弁19…のリフト可変量を大きくすることを可能としつつ第1および第2リンクアーム61…,62を相互に近接させるようにして動弁装置をコンパクト化することができる。しかも前記収容部59の一部が前記両第1リンクアーム61…間に形成されるので、第1および第2リンクアーム61…,62をより近接させることで、より一層のコンパクト化を図ることができ、さらに収容部59は可動軸68aの少なくとも一部を収容可能に形成されるので、第1および第2リンクアーム61…,62をさらに一層近接させることで、動弁装置をさらに一層コンパクト化することができる。
第1および第2リンクアーム61…,62の一端部の第1および第2連結部61a…,61bは、一端部が吸気弁19…に連動、連結される吸気側ロッカアーム63の他端部に上下に並列して相対回動可能に連結されるものであり、第2リンクアーム62は第1リンクアーム61よりも短く形成されており、第2リンクアーム62の他端部の可動支持部62bは、第1リンクアーム61の他端部の固定支持部61bよりも吸気弁19…に近い位置に配置されるので、コントロール軸68を介してコントロールアーム71に第2リンクアーム62から作用する反力のモーメントを、てこの原理によって比較的小さく抑えることが可能となり、コントロールアーム71およびアクチュエータモータ72にかかる負荷を低減し、コントロールアーム71およびアクチュエータモータ72の信頼、耐久性の向上に寄与することができる。
吸気側ロッカアーム63には、第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…が第1連結軸64を介して回動可能に連結されるとともに、ローラ65が第1連結軸64を介して軸支され、吸気側ロッカアーム63のうち吸気カムシャフト31に対向する部分の外側面ならびに第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…の外側面が、側面視で重なるようにして第1連結軸64の軸線を中心とする優弧状に形成されるので、吸気側ロッカアーム63および第1リンクアーム61…の吸気カムシャフト31との干渉が生じることを回避しつつ、コンパクトな配置で第1リンクアーム61…の一端部を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結することができる。
またアクチュエータモータ72によって回動駆動されるコントロール軸68は、連結板68bの両端に、可動軸68aと、該可動軸68aと平行な軸線を有する支軸68cとが突設されて成るものであり、支軸68cがエンジン本体10のヘッドカバー16に回動可能に支承されるので、コントロール軸68を支軸68cの軸線まわりに回動せしめることで可動軸68aを容易に変位させることができ、アクチュエータモータ72によって可動軸68aを変位させる機構の単純化を図ることができる。
さらに第2リンクアーム62の第2連結部62aおよび吸気側ロッカアーム63の連結軸心すなわち第2連結軸66の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D2が、吸気弁19…の閉弁着座状態では吸気側ロッカアーム63に軸支されるローラ65の軸心すなわち第1リンクアーム61…における第1連結部61a…を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第1連結軸64の軸線と吸気弁19…の作動軸線との間の距離D1よりも小さく設定されているので、第2リンクアーム62および吸気側ロッカアーム63の連結軸心すなわち第2連結軸66を吸気弁19…側により近づけてリフト可変機構33ひいては動弁装置のコンパクト化を図ることができる。
しかも固定支軸67と、可動軸68aと、第2リンクアーム62を吸気側ロッカアーム63に回動可能に連結する第2連結軸66とが、吸気弁19…の最大リフト状態では動弁カム69の回動軸線すなわち吸気カムシャフト31の軸線に直交する平面で少なくとも軸径の一部を共通の一直線L5が通るように配置されるので、吸気弁19…の最大リフト状態で可動軸68aが第1リンクアーム61…側に極力近接するようにしてリフト可変機構33ひいては動弁装置のコンパクト化を図ることができる。
図11は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
第2リンクアーム62の他端部を回動可能に支承する可動支軸87は、一列に並ぶ複数気筒に共通にエンジン本体10に支承される単一のコントロール軸88に設けられるものであり、このコントロール軸88は、吸気側ロッカアーム63の両側に配置されるウエブ88a,88aと、両ウエブ88a,88aの基端部外面に直角に連なってエンジン本体10に回動可能に支承される支軸88b,88bと、吸気側ロッカアーム63における第2支持壁部63c,63cに対向するように配置されて両ウエブ88a,88a間を結ぶ連結部88cとを各気筒毎に有してクランク形状に構成され、可動支軸87は、両ウエブ88a,88a間を結ぶようにしてコントロール軸88に連結される。
コントロール軸88の各支軸88b…は、エンジン本体10に回動可能に支承され、各支軸88b…の1つは、ヘッドカバー16に設けられた支持孔16aから突出するものであり、このジャーナル部88bの先端に固定されるコントロールアーム71が、第1実施例と同様にしてアクチュエータモータ72(第1実施例の図3参照)によって駆動される。
この第2実施例によれば、上記第1実施例と同様の効果を奏することができる上に、連結部88cによってコントロール軸88の支持剛性を高めることができ、しかも連結部88cは吸気側ロッカアーム63における第2支持壁部63c,63cに対向するように配置されるものであり、コントロール軸88の移動範囲を確保し易いので、リフト特性の変更が容易である。
図12は本発明の第3実施例を示すものであり、上記各実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
吸気側ロッカアーム90の一端部には、タペットねじ70,70が進退位置を調節可能として螺合される一対の弁連結部90a,90aが設けられる。また吸気側ロッカアーム90の他端部には、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて配置される一対の第1支持壁部90b…と、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて第1支持壁部90b…の下方に配置される一対の第2支持壁部90c…と、吸気側ロッカアーム90における他端部の剛性を高めるために第1および第2支持壁部90b…,90c…間を連結する一対の連結壁部90d…とが設けられており、第1支持壁部90b…、第2支持壁部90c…および連結壁部90d…は、吸気カムシャフト31側に開くようにして略U字状に形成され、吸気側ロッカアーム90の上部には、該吸気側ロッカアーム90の一端部と、該ロッカアーム90の他端部すなわち第1支持壁部90b…側との間にかけて、前記両弁連結部90a,90a間に位置するリブ90eが突設される。
吸気カムシャフト31に設けられる動弁カム69に転がり接触するローラ65は、吸気側ロッカアーム90の他端部における第1支持壁部90b…間に配置されており、第1連結軸64を介してそれらの第1支持壁部90b…に軸支される。また一対の第1リンクアーム61…は、第1支持壁部90b…を両側から挟むように配置されるものであり、第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…は、前記第1連結軸64を介して第1支持壁部90b…に回動可能に連結され、動弁カム69は、前記両第1リンク61…の内側面間の距離よりも狭い幅を有するように形成される。
第2リンクアーム91は、その一端部に第2連結部91aを有するとともに他端部には可動支持部91bを有して平板状に形成され、第2連結部91aは、吸気側ロッカアーム90の他端部の第2支持壁部90c…間に、前記ローラ65に下方から対向するようにして配置され、第2連結軸92を介して第2支持壁部90c…に回動可能に連結される。
しかも第2支持壁部90c…の内側面間の距離L6が、ローラ65を挟む第1支持壁部90b…の内側面間の距離L7よりも大きく設定される。
この第3実施例によれば、平板状である第2リンク90の厚みを比較的大きく設定することができるので、第2リンクアーム91の剛性を高め、第2リンクアーム91の作動を一層安定化することができる。
図13は本発明の第4実施例を示すものであり、上記各実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
吸気側ロッカアーム94の一端部には、タペットねじ70,70が進退位置を調節可能として螺合される一対の弁連結部94a,94aが設けられる。また吸気側ロッカアーム94の他端部には、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて配置される一対の第1支持壁部94b…と、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて第1支持壁部94b…の下方に配置される一対の第2支持壁部94c…と、吸気側ロッカアーム94における他端部の剛性を高めるために第1および第2支持壁部94b…,94c…間を連結する一対の連結壁部94d…とが設けられており、第1支持壁部94b…、第2支持壁部94c…および連結壁部94d…は、吸気カムシャフト31側に開くようにして略U字状に形成され、吸気側ロッカアーム94の上部には、該吸気側ロッカアーム94の一端部と、該ロッカアーム94の他端部すなわち第1支持壁部94b…側との間にかけて、前記両弁連結部94a,94a間に位置するリブ94eが突設される。
吸気カムシャフト31に設けられる動弁カム69に転がり接触するローラ65は、吸気側ロッカアーム94の他端部における第1支持壁部94b…間に配置されており、第1連結軸64を介してそれらの第1支持壁部94b…に軸支される。また一対の第1リンクアーム61…は、第1支持壁部94b…を両側から挟むように配置されるものであり、第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…は、前記第1連結軸64を介して第1支持壁部94b…に回動可能に連結され、動弁カム69は、前記両第1リンク61…の内側面間の距離よりも狭い幅を有するように形成される。
第2リンクアーム95は、その一端部に第2連結部95aを有するとともに他端部には可動支持部95bを有して平板状に形成され、第2連結部95aは、吸気側ロッカアーム94の他端部の第2支持壁部94c…間に、前記ローラ65に下方から対向するようにして配置され、第2連結軸96を介して第2支持壁部94c…に回動可能に連結される。
しかも第2支持壁部94c…の内側面間の距離L8が、ローラ65を挟む第1支持壁部94b…の内側面間の距離L9よりも小さく設定される。
この第4実施例によれば、吸気側ロッカアーム94の第2リンクアーム95との連結部ならびに第2リンクアーム95自体の厚みを薄くして、動弁装置のコンパクト化に寄与することができる。
図14は本発明の第5実施例を示すものであり、上記各実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
吸気側ロッカアーム98の一端部には、タペットねじ70,70が進退位置を調節可能として螺合される一対の弁連結部98a,98aが設けられる。また吸気側ロッカアーム98の他端部には、吸気カムシャフト31の軸線方向に間隔をあけて配置される一対の第1支持壁部98b…と、第1支持壁部98b…の下方に配置される第2支持壁部98cと、吸気側ロッカアーム98における他端部の剛性を高めるために第1および第2支持壁部98b…,98c間を連結する一対の連結壁部98d…とが設けられており、第1支持壁部98b…および連結壁部98d…は、吸気カムシャフト31側に開くようにして略U字状に形成され、第2支持壁部98cは左右に分かれることなく両連結壁部98d…の下部に一体に連設される。また吸気側ロッカアーム98の上部には、該吸気側ロッカアーム98の一端部と、該ロッカアーム98の他端部すなわち第1支持壁部98b…側との間にかけて、前記両弁連結部98a,98a間に位置するリブ98eが突設される。
吸気カムシャフト31に設けられる動弁カム69に転がり接触するローラ65は、吸気側ロッカアーム98の他端部における第1支持壁部98b…間に配置されており、第1連結軸64を介してそれらの第1支持壁部98b…に軸支される。また一対の第1リンクアーム61…は、第1支持壁部98b…を両側から挟むように配置されるものであり、第1リンクアーム61…の一端部の第1連結部61a…は、前記第1連結軸64を介して第1支持壁部98b…に回動可能に連結され、動弁カム69は、前記両第1リンク61…の内側面間の距離よりも狭い幅を有するように形成される。
一対の前記第1リンクアーム61,61の下方において吸気側ロッカアーム98の第2支持壁部98cの両側には、一対の第2リンクアーム99,99が配置されており、これらの第2リンクアーム99,99と、上方の第1リンクアーム61,61とは、平面視で少なくとも一部が重なるように配置される。
第2リンクアーム99は、その一端部に第2連結部99aを有するとともに他端部に可動支持部99bを有して平板状に形成されており、第2リンクアーム99,99の第2連結部99a…は、吸気側ロッカアーム98の他端部の第2支持壁部98cを両側から挟むように配置され、第2連結軸100を介して第2支持壁部98cに回動可能に連結される。また両第2リンクアーム99…の可動支持部99b…は、コントロール軸68の可動軸68aで回動可能に支承される。
この第5実施例によれば、吸気側ロッカアーム98の第2支持壁部98cに、その第2支持壁部98cを両側から挟む一対の第2リンクアーム99,99の第2連結部99a…が第2連結軸100を介して連結されるので、吸気側ロッカアーム98の揺動作動を安定化することができ、しかも一対の第1リンクアーム61,61と、第1リンクアーム61…の下方に配置される第2リンクアーム99,99とが、平面視で少なくとも一部が重なるように配置されるので、吸気側ロッカアーム98の揺動作動をより一層安定化することができる。
本発明のさらに他の実施例として、1つの吸気側ロッカアームに対応した1つの第1リンクアームの一端部に、ローラ65を挟むようにして二股に分岐した第1連結部が設けられ、その第1連結部のさらに外側に配置されるようにして吸気側ロッカアームに設けられる二股の第1支持壁部と、前記第1連結部とがローラを軸支する第1連結軸で連結される構成としてもよく、そうすれば吸気側ロッカアームの剛性向上を図ることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では、吸気弁の動弁装置に本発明を適用した場合について説明したが、排気弁の動弁装置に本発明を適用することもできる。