JP4291095B2 - 濾過板、脱水乾燥装置および脱水乾燥方法 - Google Patents
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Description
乾燥製品の製造においても、脱水機が用いられる。この場合、材料を均一に脱水することが求められている。
脱水処理を行う方法として、例えば、フィルタープレス式の脱水機を用いる方法がある。フィルタープレス式の脱水機は、濾過板で囲まれた濾過室内に濾布を配備したものであり、この濾布内に汚泥等の被処理物を充填し、収容する。そして、被処理物を圧搾し、絞り出た水分を濾過室外に排出して被処理物の脱水を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、フィルタープレスを行うのみでは、脱水された被処理物(以下、脱水ケーキという)の含水率は20〜80%であり、このような脱水ケーキを直接焼却するには多量のエネルギーを要した。そこで、脱水ケーキをさらに乾燥する方法があるが、その場合は乾燥装置を別途必要とした。
そこで、フィルタープレス式の脱水機において、脱水効率をより高めるものとして、被処理物を圧搾した後に、ダイヤフラム膜を介して蒸気や温水などの熱を被処理物に与え、真空条件下で乾燥を行う脱水乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、濾過室に収容された被処理物の厚みを小さくしないと、乾燥が不十分であった。すなわち、単位時間あたりに乾燥することができる被処理物量が不十分であった。
さらに、脱水ケーキを製品とする場合は、長時間の加熱によって製品が変質することがあった。
前記壁板は、樹脂、中でもポリオレフィン樹脂、特に、ポリプロピレンからなることが好ましい。
前記排液機構は、前記濾過室から空気を吸引する吸引ポンプを有することが好ましい。
ここで、樹脂からなる壁板を用いると、軽量・安価に濾過板を構成することができる。また、ポリオレフィン樹脂からなる壁板を用いると、壁板自体の熱伝導率を低くすることができるので、電磁波の照射を受けた被処理物から壁板への放熱を抑制することができ、さらに乾燥効率を改良できる。さらに、ポリプロピレンからなる壁板を用いると、さらに高温・高圧での脱水乾燥を実現することができる。
さらに、排液機構において濾過室から空気を吸引する吸引ポンプを設けると、さらに少量のエネルギーで脱水乾燥処理を完了することができる。
さらに、均一乾燥が可能であり、温度を容易に制御することができるので、含水率その他の性質の安定した脱水ケーキを提供することができる。
<濾過板>
図1は、本発明の濾過板の一例における中央断面図である。
図1に示すように、この例では、2枚の壁板10が、平板状の電極12を介して積層されて濾過板14を成している。ここで、電極12には、導線を接続する接続孔16が設けられている。2枚の壁板10の外側には、それぞれ凹部17が形成されており、該凹部17の底面には、プレート18が接着されている。
図2に、図1に示した電極12の側面図を示す。
図2に示すように、電極12において、接続孔16は、凸状に成形された接続部22上に穿設されている。
図3に、この例の濾過板の側面図を示す。
図1、3に示すように、電極12は、接続孔16を有する接続部22が壁板10の上下に露出するように配備されている。
図3に示すように、側面が概ね正方形に成形された壁板10の中央に凹部17が位置し、壁板10の一隅に、凹部17に係らない位置で、被処理物を濾過板14外から凹部17へ導入する原液口24が設けられている。壁板10の残る三隅に、凹部17に係らない位置で、濾液を凹部17から濾過板14外へ排出する排液口26が設けられている。
この例の濾過板では、図1、3に示すように、凹部17の底面に接着されたプレート18に、濾液を誘導する排水溝20が形成されている。
図3、4に示すように、原液口24は濾過板14を貫通して設けられており、該原液口24の上端のうち凹部17側は、凹部17の底面と同じ高さに成形されている。
図5は、図3のD−D線断面図である。
図5に示すように、排液口26は濾過板14を貫通して設けられている。
図3、5に示すように、排水溝20は互いに平行にあるいは交差して形成されており、該排水溝20は、凹部17の三隅に設けられた集液孔28に通じている。該集液孔28は集液管30に通じており、該集液管30は、排液口26に連通している。
なお、図3、4に示すように、電極12を介して積層された2枚の壁板10は、これら壁板10の四隅において、締結部材32により互いに締結されている。
壁板10が非導電性であることにより、壁板10が電磁波を吸収しないので、本発明の濾過板を用いて後述の濾過板配列体を構成して被処理物を収容した場合に、電極12から被処理物へ効率よく電磁波を照射することができる。
また、原液口24の配置は、壁板10の一隅でなくてもよく、被処理物を濾過板14外から凹部17へ導入することができればよい。排液口26の配置は、壁板10の三隅でなくてもよく、濾液を凹部17から濾過板14外へ排出することができればよい。排水溝20は、溝型に限定されず、濾液を凹部17から排液口26へ誘導することができればよい。例えば、凹部17の底面において、プレート18および一方の壁板10を貫通して設けられた孔と、その孔に続く配管とをもって、排水溝20、集液孔28、および集液管30に代えることができる。
本発明の濾過板を用いて、本発明の脱水乾燥装置を構成することができる。
図6〜8に、本発明の脱水乾燥装置の一例の断面図を示す。この例の脱水乾燥装置は、図1に示した濾過板14の両側面に濾布を設置し、濾布の積層された2以上の濾過板14を組み立てたものであり、図6、図7は、それぞれ図3におけるB−B線、A−A線に相当する概略断面図である。図8は、図3におけるC−C’―C’’線に相当する概略断面図である。
この例では、図6に示すように、濾過板14の両側面に濾布40が設置されており、濾布40の設置された複数の濾過板14が、凹部17を向かい合わせにして配列されて、濾過板配列体42を成している。ここで、これらの濾過板14は、各濾過板14の凹部17が相互に連通されることにより、外部から隔離されて被処理物を収容する濾過室44を形成している。
すなわち、濾過板14は、被処理物を収容する濾過室44を形成するように配列されて濾過板配列体42を成しており、濾布40は、濾過室44側に設置されている。
なお、図6、7においては濾過板配列体42を一対の濾過板14から構成される形態として示しているが、この例における濾過板配列体42は、実際には図8に示すように3以上の濾過板14を配列したものである。
また、この例の脱水乾燥装置においては、濾過板配列体42において、排液口26が相互に連通されることにより、各々の濾過板14の三隅に相当する位置に、濾過板配列体42を貫通して、濾過室44から脱水乾燥装置外部へ濾液を排出する排出路(図示しない)が形成される。
さらに、前記排液機構において、図8に示すように、連通された排液口26の最端部に、濾過室44から空気を吸引する吸引ポンプ110が接続されている。吸引ポンプ110を動作させることにより、濾過室44から空気を吸引して濾過室44内を減圧することができる。
さらに、この例では、濾過室44に被処理物を供給する機構として、脱水乾燥装置の外部から、濾過板配列体42を成す最外層の濾過板14の原液口24に通じる導入管100と、該導入管100に附設された加圧ポンプ102とが設けられている。
この例における濾過板配列体42では、図6に示すように、電極12を挟む2枚の壁板10がいずれも凹部17を有する濾過板14を用いており、3枚の濾過板14が二つの濾過室44を成しているが、例えば、壁板のうち一方のみが凹部を有する濾過板を用いて、2枚の濾過板が一つの濾過室を形成する単位を繰り返す形態としてもよい。
この例において、濾過室44の厚みおよび容積は、凹部23の深さを設定することで任意に設定できる。例えば、所望の被処理物の乾燥速度、乾燥させる被処理物の分量等に応じて設定すればよい。
例えば、被処理物を、容易に焼却される程度まで乾燥させることを目的とする場合は、電極12に周波数が1MHz〜1GHzの電磁波(高周波)を発生させ、本発明の脱水乾燥装置で処理された被処理物を、そのまま乾燥製品として提供することを目的とする場合は、周波数が1GHz〜300GHzの電磁波(マイクロ波)を発生させるように電磁波発生機構を設定することが好ましい。マイクロ波を発生させる場合は、脱水乾燥装置の全体をシールドで覆うことが必要である。
以下、本発明の脱水乾燥方法の好ましい一例を説明する。
図9、10は、本発明の脱水乾燥方法の一例として、図6〜8に示した脱水乾燥装置を用いた方法を示す工程図である。
まず、被処理物を濾過板により形成される濾過室に供給して脱水する脱水工程を行う。
なお、図9、10において、図中の矢印は、導入管100から導入された被処理物の移動方向、または集液管30から排液口26への濾液の移動方向を示す。
濾過板配列体42を構成する最外側の濾過板14のうち一方の濾過板14の原液口24を閉鎖して、他方の導入管100に接続した加圧ポンプ102を運転することにより、図9に示すように、被処理物を脱水乾燥装置外から、被処理物の導入路46へ導入する。このことにより、被処理物は、導入管100から、被処理物の導入路46を介して、各々の濾過室44へ移送される。すなわち、被処理物106が、濾過板14により形成される濾過室44に供給される。
図9に示すように、脱水乾燥装置の全ての濾過室44、被処理物の導入路46、および導入管100に被処理物106が充填されるまで、加圧ポンプ102を運転する。
加圧ポンプ102の運転をさらに継続すると、被処理物106は濾過室44内で加圧され、濾布40を介して濾過板14の凹部17に押し付けられる。このとき、被処理物106に含まれる固形分は濾布40を透過しないので、この固形分は濾過室44内に残留する。一方、被処理物106に含まれる水分は、濾過室44から濾布40を透過して濾液となり、この濾液は排水溝20へ移行する。したがって、加圧ポンプの運転を継続することにより、被処理物106が脱水される。
濾布40を透過した濾液は、排水溝20を通って集液孔28に到達し、該集液孔28から集液管30へ移行した後、図7に示した排液口26を通過して脱水乾燥装置外へ排出される。
排液口26から濾液の排出される速度が1g/分程度にまで減少したら、加圧ポンプの運転を停止すると同時に、加圧ポンプ102が接続された側の原液口24を閉じる。
図10−(a)に示すように、濾過板配列体42の最外側に位置する二つの原液口24をいったん開放し、これらのうち一方の原液口24からエアブローすることで、被処理物の導入路46に充填された被処理物106を、他方の原液口24から排出させ、被処理物の導入路46を空にする。このことにより、後述のように吸引ポンプ110を運転した際に、余剰の被処理物が残留することによる吸引効率の低下を防止することができる。
吸引ポンプ110を真空吸引側に設定して運転することにより、濾過室44内を減圧する。同時に、電極12が配列順に交互に正極および負極となるように高周波発生器108を運転して、電極12から電磁波を発生させることにより、濾過室44内に充填された被処理物106に電磁波を照射する。このように電磁波を照射することにより、被処理物106に残留する水のみが加熱されて蒸発するので、被処理物106が乾燥される。
この例では、吸引ポンプ110を運転することにより、濾過室44内が、例えば0.02MPa程度の減圧雰囲気下に保たれるので、大気圧条件下よりも低温で、すなわち、より少量のエネルギーで水が蒸発する。
さらに、回収された脱水ケーキを焼却あるいは加工・包装に供することにより、被処理物の廃棄処分、あるいは被処理物を材料とする乾燥製品の製造を完了することができる。
脱水工程において、図8に示した吸引ポンプ110を濾液排出機構に切り替えて運転することにより、濾布40を透過して凹部17に到達した濾液を、排液口26から脱水乾燥装置の外部に吸引排出させてもよい。
この例では、脱水工程においてダイヤフラムを用いていないが、ダイヤフラムを用いる公知の圧搾方式を用いてもよい。さらに、ダイヤフラムを用い、かつ排液口側から吸引ポンプで吸引して、濾布の外側を減圧雰囲気としてもよい。
この例では、乾燥工程において、原液口側の配管をいったんエアブローすることによって洗浄し、その後、原液口を閉じて、吸引ポンプにより吸引しているが、吸引ポンプを用いない場合、エアブローは不要である。
乾燥工程において、この例のように吸引ポンプ110を用いて濾過室44内を減圧する場合は、高周波発生器108を運転するのと同時に吸引ポンプ110を運転することが好ましい。但し、吸引ポンプ110を運転して濾過室44内を真空状態にした後に、高周波発生器108を運転しても構わない。
電極12に発生させる電磁波の周波数、照射時間等を制御すれば、被処理物の加熱温度について温度制御を行うことができる。
被処理物を脱水乾燥する処理時間、すなわち脱水工程を行う時間および乾燥工程を行う時間は適宜設定できるが、例えば、前記脱水工程を1時間行い、乾燥工程を1時間行うことで、従来方法では良好な脱水乾燥を行えなかった大きな厚みの脱水ケーキを処理することができる。また、従来の脱水方法と同程度の分量の被処理物に対し、従来方法と同程度の処理時間をかけて脱水工程および乾燥工程を完了させると、被処理物の含水率を0%に近くすることもできる。
さらに、乾燥工程において濾過室44内を減圧雰囲気とすることにより、より低温で水分が蒸発するので、さらに効率のよい脱水乾燥が実現される。
ここで、ポリオレフィン樹脂からなる壁板を用いると、電磁波の照射を受けた被処理物から壁板への放熱を抑制することができ、さらに乾燥効率を改良できる。さらに、ポリプロピレンからなる壁板を用いると、さらに高い温度、高い圧力での脱水乾燥処理を実現することができる。
さらに、本発明の濾過板は、大幅な改造を伴わずに既存の脱水機に設置可能であり、一つの装置内で被処理物の乾燥までを完了させることができるため、従来用いられていた乾燥設備や乾燥工程を省くことができ、大幅な合理化を実現することができる。
本発明の脱水乾燥装置では、電磁波による加熱を行うため、真空中でも被処理物を加熱することができる。したがって、電磁波照射による加熱と同時に真空吸引を行うことにより、乾燥に要するエネルギーをさらに低減しつつ、乾燥を行うことができる。
さらに、均一乾燥が可能であり、温度を容易に制御することができるので、含水率その他の性質の安定した脱水ケーキを提供することができる。
なお、本発明の脱水乾燥方法は、圧搾式、フィルタープレス式、単式、複式等のいかなる脱水方式にも適用することができる。
さらに、温度制御によって、殺菌等の用途にも用いることができる。
12 電極
14 濾過板
24 原液口
26 排液口
40 濾布
42 濾過板配列体
44 濾過室
106 被処理物
108 高周波発生器
110 吸引ポンプ
Claims (8)
- 非導電性の壁板と、該壁板内に配備され電磁波を発生する電極とを具備することを特徴とする濾過板。
- 前記壁板は、樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の濾過板。
- 前記壁板は、ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の濾過板。
- 前記壁板は、ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項3に記載の濾過板。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の濾過板が、被処理物を収容する濾過室を形成するように配列された濾過板配列体と、前記濾過板の前記濾過室側に設けられた濾布と、該濾布を透過した濾液を排出する排液機構と、前記電極に電磁波を発生させる電磁波発生機構とを有することを特徴とする脱水乾燥装置。
- 前記排液機構は、前記濾過室から空気を吸引する吸引ポンプを有することを特徴とする請求項5に記載の脱水乾燥装置。
- 被処理物を請求項1ないし4のいずれかに記載の濾過板により形成される濾過室に供給して脱水する脱水工程と、該濾過室内で被処理物に前記濾過板の電極から電磁波を照射して乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする脱水乾燥方法。
- 前記乾燥工程において、前記濾過室内を減圧することを特徴とする請求項7に記載の脱水乾燥方法。
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