JP4290265B2 - Novel asymmetric ligand - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な光学活性 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物、その製造中間体、該フェロセン化合物を配位子とする遷移金属錯体、及び種々の不斉合成用触媒として有用な触媒、並びにそれを用いた触媒的不斉合成反応に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、不斉水素化反応、不斉ヒドロシリル化反応等の触媒的不斉合成に利用できる遷移金属錯体については数多くの報告がなされている。中でもルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル等の遷移金属錯体に光学活性な三級ホスフィン化合物が配位した錯体は、不斉合成反応の触媒として優れた性能を有することが報告されている。この性能を更に高めるために、様々な構造のホスフィン化合物がこれまでに多数開発されている (野依良治著, “Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis", Wiley & Sons, New York, 1994)。
その中で、フェロセンを母核とする配位子の多くは面性不斉を有し、軸不斉配位子が多い中、特徴的な不斉化反応が期待できる。しかしながら、フェロセンを母核として有するホスフィン化合物については、これまでそうした化合物自体の合成例が少なく、実際、該化合物を配位子に有する不斉合成用触媒として利用可能な遷移金属錯体については、その報告例も少なく、例えば、(S)-(R)=BPPFA を配位子としたロジウム錯体(T. Hayashi, et al., Tetrahedron Letters, No. 14, pp.1133 (1976))、(R,R)-BPAF, (R,R)-BPNEを配位子としたパラジウム錯体(U. Nettekoven, et al., Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, pp.3185 (1997)) などが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反応の種類または対象とする基質によっては、生成物の選択性、触媒効率において必ずしも充分ではなく、触媒の改良の必要に迫られる場合がある。本発明は、触媒的不斉合成反応、例えば、不斉水素化反応、不斉ヒドロシリル化反応等、特に不斉ヒドロシリル化反応の触媒として優れた性能(化学選択性、エナンチオ選択性、触媒効率)を有する新規なホスフィン化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題の解決】
本発明は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、新規な光学活性 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物の遷移金属錯体が不斉ヒドロシリル化反応に有効であることを見出した。特に、単純ケトン類の不斉ヒドロシリル化において優れたエナンチオ選択性及び触媒効率を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0005】
本発明は、
〔1〕 一般式 (1):
【化9】
(式中、R1は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、R2は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物;
【0006】
〔2〕 一般式 (2):
【化10】
(式中、R1は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、R2は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセンボラン錯体化合物;
【0007】
〔3〕 上記〔1〕記載の一般式 (1)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物を配位子として含有し、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属錯体であることを特徴とする遷移金属錯体;
〔4〕 一般式 (3):
MmLnXpSq
〔式中、M はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属で、L は上記〔1〕記載の一般式 (1)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物で、X 及びS は
M=ロジウムのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=2 、q=0 で;
M=ルテニウムのとき、(i) m=n=1 、X=アセチルオキシ基、p=2 、q=0 、
(ii) X= 塩素、S=トリアルキルアミノ基、m=n=2 、p=4 、q=1 又は
(iii) X=メチルアリル基、m=n=1 、p=2 、q=0 で;
M=イリジウムのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=2 、q=0 で;
M=パラジウムのとき、(i) X=塩素、m=n=1 、p=2 、q=0 又は
(ii) X= p-アリル基、m=n=p=2 、q=0 で;
M=ニッケルのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=1 、p=2 、q= 0
である〕で表される遷移金属錯体;
【0008】
〔5〕 一般式 (4):
[MmLnXpSq]Yr
〔式中、M はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属で、L は上記〔1〕記載の一般式 (1)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物で、X 、S 及びY は
M=ロジウムのとき、X=1,5-シクロオクタジエン又はノルボルナジエン、Y=BF4 、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=p=r=1 、q=0 で;
M=ルテニウムのとき、(i) X=塩素、臭素又は沃素、S=ベンゼン又はp-シメン、Y=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=q=r=1 又は
(ii) Y=BF4、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=1 、p=q=0 、r=2 で;
M=イリジウムのとき、X=1,5-シクロオクタジエン又はノルボルナジエン、Y=BF4 、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=r=1 、p=1 、q=0 で;
M=パラジウムのとき、 Y=BF4、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=r=1 、p=q=0
である〕で表される金属錯体含有触媒;
【0009】
〔6〕 上記〔3〕記載の金属錯体を含有する不斉ヒドロシリル化触媒;
〔7〕 上記〔3〕記載の金属錯体を含有する不斉水素化触媒;
〔8〕 上記〔2〕記載の一般式 (2)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物のボラン錯体を脱ボラン錯化処理し、上記〔1〕記載の一般式 (1)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物を得ることを特徴とする方法;及び
〔9〕 ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属塩又は錯体と、上記〔1〕記載の一般式 (1)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物とを反応させて、該光学活性なフェロセン化合物を配位子に含むように錯体形成せしめることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、
〔10〕 該C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルペンチル基、n-ヘキシル基及びイソヘキシル基から成る群から選ばれたものであり、該環状アルキル基が、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2-t-ブチルシクロペンチル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基から成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕記載の化合物;
【0011】
〔11〕 1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルアダマンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(シクロプロピルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン及び 1,1'-ビス(アダマンチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕記載の化合物;
【0012】
〔12〕 (S,S)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン及び (R,R)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕記載の化合物;
〔13〕 該C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルペンチル基、n-ヘキシル基及びイソヘキシル基から成る群から選ばれたものであり、該環状アルキル基が、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2-t-ブチルシクロペンチル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基から成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔2〕記載の化合物;
〔14〕 (S,S)-1,1'-ビス(ボラナート (t-ブチル) メチルホスフィノ)フェロセン及び (R,R)-1,1'-ビス(ボラナート (t-ブチル) メチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔2〕記載の化合物;
【0013】
〔15〕 Lが、 1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルアダマンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(シクロプロピルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン及び 1,1'-ビス(アダマンチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたもので且つ光学活性なものであることを特徴とする上記〔4〕記載の遷移金属錯体;
〔16〕 Lが、 (S,S)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン及び (R,R)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔4〕記載の遷移金属錯体;
【0014】
〔17〕 Lが、 1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(t-ブチルアダマンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルエチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルイソプロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルn-プロピルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(シクロプロピルメチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロブチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルメチルシクロペンチルホスフィノ)フェロセン、 1,1'-ビス(メチルシクロヘプチルホスフィノ)フェロセン及び 1,1'-ビス(アダマンチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたもので且つ光学活性なものであることを特徴とする上記〔5〕記載の金属錯体含有触媒;
〔18〕 Lが、 (S,S)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン及び (R,R)-1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセンから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔5〕記載の金属錯体含有触媒;及び
【0015】
〔19〕 一般式(5) :
R3-C(=O)-R4
(式中、R3及びR4は、互いに独立に、任意に置換されていてよい鎖状又は環状のアルキル基、任意に置換されていてよいアリール基、任意に置換されていてよいアラルキル基及び任意に置換されていてよい複素環式基から成る群から選ばれたもので、さらに該R3及びR4は、一緒になって任意に置換されていてよい環を形成していてもよく(該環には、異種原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)が含有されていてもよい)、該任意の置換基としては、低級アルキル基、環状アルキル基、ハロゲン、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、N 原子が任意に置換されていてよいアミノ基 (例えば、アミノ基、低級アルキルアミノ基など) 、カルボキシル基、エステル基 (例えば、メトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルカルボニル基など) 、N 原子が任意に置換されていてよいアミド基、N 原子が任意に置換されていてよいアミドスルホニル基及びニトリル基から成る群から選ばれたものである) のケトン化合物を不斉ヒドロシリル化するための触媒であることを特徴とする上記〔6〕記載の触媒を提供する。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明では、不斉合成用触媒の配位子として有用である新規な1,1'- ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物、すなわち、 Fe[1-(R1R2P)-シクロペンタジエニル]2 (式中、R1及びR2は、上記と同義である) が提供される。当該不斉合成用触媒の配位子としては、光学活性体のものが使用される。
R1及びR2は、置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分枝鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、R1とR2はそれぞれ異なる。該C1〜C6の直鎖又は分枝鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。該環状アルキル基としては、代表的にはC3〜C12 の環状アルキル基であり、例えば、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2-t-ブチルシクロペンチル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。またR1及びR2における、該直鎖又は分枝鎖アルキル基や環状アルキル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基などが挙げられる。該置換基としては、下記R3, R4, R5及びR6として説明され、例示されたような基から選ばれてもよい。
R1及びR2は、それらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい。該非対称の環は、任意に置換基(上記で記載したような置換基)を有していてよい。該非対称の環としては、環を形成する鎖中に異種原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)を含んでいてよい3〜7員の環であってよく、例えば、R1とR2とが一緒になった基が、1-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1-メチルテトラメチレン基などのC1〜C6の分枝鎖アルキレン基、前記したような置換基を有しているC1〜C6の直鎖又はアルキレン基などが挙げられる。
R1及びR2の組合せとしては、好ましくは、メチル基とt-Bu基の組み合わせが挙げられる。
【0017】
好ましい化合物としては、
【化11】
(式中、R1a はC1〜C6の直鎖アルキル基で、R2a はC1〜C6の分岐鎖アルキル基、あるいはC3〜C12 の環状アルキル基である)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物が挙げられる。
【0018】
上記フェロセン化合物は、遷移金属、例えばロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)などと錯体を形成する。該遷移金属錯体における構成配位子としては、本発明の上記フェロセン化合物の他、例えば、当該分野において上記した遷移金属の錯体、特には不斉合成用触媒に用いられる遷移金属錯体において見出すことのできる配位子の中から選んだものが挙げられる。当該配位子としては、例えば、シクロオクタ-1,5- ジエン、ノルボルナジエン、ヘキサ-1,4- ジエンなどのジエン類、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)、2-プロペニル基(アリル基)、2-メチルアリル基(2-メタリル基)などのアリル性基、2,4-ジメチルペンタジエニル基、2,3,4-トリメチルペンタジエニル基、2,4-ジ(t-ブチル)ペンタジエニル基、2,4-ジメチル-1- オキサペンタジエニル基などのペンタジエニル性基、アセチルオキシ基、CF3C(=O)O 基、ピバロイルオキシ基((CH3)3C(=O)O基)などのカルボキシラート基、ベンゼン、p-シメンなどのフェニル基、トリエチルアミンなどの第3級アミン類が挙げられる。
【0019】
本発明の金属錯体は、公知の方法、例えば、社団法人日本化学会編、「第4版実験化学講座18, 有機金属錯体」、丸善株式会社、1991年; 野依良治著, “Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis", Wiley & Sons, New York, 1994; I. Ojima (Ed.), Catalytic Asymmetric Synthesis, VCH Publishers, Weinheim, 1993 などに記載の方法を用いて製造することができる。なお、以下に示す遷移金属錯体の式中において使用されている記号は、それぞれ
L: 本発明の化合物 (1)の中で、光学活性な化合物
cod: シクロオクタ-1, 5-ジエン
nbd: ノルボルナジエン
Ph: フェニル基
Ac: アセチル基
NEt3:トリエチルアミン
を示す。
ロジウム錯体を製造する場合の具体的な例としては、社団法人日本化学会編、「第4版 実験化学講座18, 有機金属錯体」、pp.339-344、丸善株式会社、1991年に記載の方法が挙げられる。例えば、ビス(cod) ロジウム(I) テトラフルオロホウ酸塩と本発明の化合物 (1)とを反応せしめて合成することができる。ロジウム錯体の具体例としては、例えば、[Rh(L)Cl]2, [Rh(L)Br]2, [Rh(L)I]2, [Rh(cod)(L)]BF4, [Rh(cod)(L)]ClO4, [Rh(cod)(L)]PF6, [Rh(cod)(L)]BPh4, [Rh(nbd)(L)]BF4, [Rh(nbd)(L)]ClO4, [Rh(nbd)(L)]PF6, [Rh(nbd)(L)]BPh4 などを挙げることができる。
【0020】
ルテニウム錯体を製造する場合の具体的な例としては、T. Ikariya, Y. Ishii, H. Kawano, T. Arai, M. Saburi, S. Yoshikawa and S. Akutagawa, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 922 (1988); K. Mashima, K. Kusano, T. Ohta, R. Noyori and H. Takaya, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1208 (1989)などに記載の方法が挙げられる。例えば、[Ru(cod)Cl2]n と本発明の化合物 (1)とをトリエチルアミン存在下にトルエン溶媒中で加熱還流することで得ることができる。別の方法では、[Ru(p-シメン)I2]2 と本発明の化合物 (1)とを塩化メチレンとエタノール中で加熱撹拌することにより調製することができる。ルテニウム錯体の具体例としては、例えば、Ru(OAc)2(L), Ru2Cl4(L)2NEt3,[RuCl(ベンゼン)(L)]Cl,
[RuBr(ベンゼン)(L)]Br, [RuI(ベンゼン)(L)]I, [RuCl(p-シメン)(L)]Cl,
[RuBr(p-シメン)(L)]Br, [RuI(p-シメン)(L)]I, [Ru(L)](BF4)2, [Ru(L)](ClO4)2, [Ru(L)](PF6)2, [Ru(L)](BPh4)2などを挙げることができる。
【0021】
イリジウム錯体を製造する場合の具体的な例としては、K. Mashima, T. Akutagawa, X. Zhang, T. Taketomi, H. Kumobayashi and S. Akutagawa, J. Organomet. Chem., 428, 213 (1992)に記載の方法などが挙げられる。例えば、[Ir(cod)(CH3CN)2]BF4と本発明の化合物 (1)とをテトラヒドロフラン中で還流反応せしめて合成することができる。イリジウム錯体の具体例としては、例えば、[Ir(L)Cl]2, [Ir(L)Br]2, [Ir(L)I]2, [Ir(cod)(L)]BF4, [Ir(cod)(L)]ClO4, [Ir(cod)(L)]PF6, [Ir(cod)(L)]BPh4, [Ir(nbd)(L)]BF4, [Ir(nbd)(L)]ClO4, [Ir(nbd)(L)]PF6, [Ir(nbd)(L)]BPh4 などを挙げることができる。
パラジウム錯体を製造する場合の具体的な例としては、Y. Uozumi and T. Hayashi, J. Am. Chem. Soc., 113, 9887 (1991) に記載の方法などが挙げられる。例えば、p-アリルパラジウムクロリドと本発明の化合物 (1)とを反応せしめて合成することができる。パラジウム錯体の具体例としては、例えば、PdCl2(L),[(p- アリル)Pd(L)]2, [Pd(L)]BF4, [Pd(L)]ClO4, [Pd(L)]PF6, [Pd(L)]BPh4などを挙げることができる。
【0022】
ニッケル錯体を製造する場合の具体的な例としては、社団法人日本化学会編、「第4版 実験化学講座18, 有機金属錯体」、pp.376、丸善株式会社、1991年; Y. Uozumi and T. Hayashi, J. Am. Chem. Soc., 113, 9887 (1991) に記載の方法などが挙げられる。例えば、塩化ニッケルと本発明の化合物 (1)とをイソプロパノールとメタノールの混合溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより調製できる。ニッケル錯体の具体例としては、例えば、NiCl2(L), NiBr2(L), NiI2(L) などを挙げることができる。
不斉合成用触媒の配位子として有用な上記フェロセン化合物は、新規な1,1'- ビス(ボラナートジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物、すなわち、Fe[1-(BH3R1R2P)-シクロペンタジエニル]2 (式中、R1及びR2は、上記と同義である) から得ることができる。
【0023】
好ましい中間体化合物としては、
【化12】
(式中、R1b はC1〜C6の直鎖アルキル基で、R2b はC1〜C6の分岐鎖アルキル基、あるいはC3〜C12 の環状アルキル基である)で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセンボラン錯体化合物が挙げられる。
本発明では、不斉配位子及び中間体において、ラセミ体、メソ体及び光学活性な化合物がそこに含まれる。光学活性体としては(+)体及び(−)体のいずれも含むが、配位子(+)体を用いて得られた反応生成物と配位子(−)を用いて得られた反応生成物は、鏡像異性体の関係となる。従って、目的化合物の立体配置に合わせて、配位子ホスフィノフェロセン化合物の(+)体又は(−)体を選択して使用することができる。
【0024】
製法:
これら化合物の製法について、以下に一例を示す。まず、煩雑さを避けるために本発明に含まれる化合物の中から下記の(6) で表される化合物;1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセンを例にして、本発明の製法の代表例を具体的に説明する。ただし、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0025】
【化13】
【0026】
すなわち、工程Aにおいて、フェロセン(7) とn-ブチルリチウム、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA) を反応させて、ジリチオ体(8) を調製し、ついで工程Bにおいて、該生成物にt-ブチルジクロロホスフィン、メチルマグネシウムブロミド、ボラン・テトラヒドロフラン錯体を順次反応させ、ビスホスフィンボラン体(9) を得る。シリカゲルクロマトグラフィーによりメソ体を除去し、工程Cではラセミ体を光学活性体分離用カラムを用いて液体クロマトグラフィーにより光学分割し、鏡像異性体(9S又は9R)を得る。更に該ホスフィンボラン体(9S又は9R)を工程Dでピロリジンと反応させ、目的とする光学活性 1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセン(6S又は6R)が高効率で製造できる。
【0027】
上記工程A及びBとしては、一般的には、フェロセン(7) のペンタジエニル基にビス置換ホスフィノ基を導入するために当業者に広く知られている方法の中から適宜適切な方法を選択して行うことができる。例えば、工程Aは、上記式で例示したように、フェロセンのペンタジエニル基を金属化する反応である。金属化に用いる試薬としては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウムなど)、あるいはそれらの誘導体( 例えば、ナトリウム−シクロペンタジエン、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、水素化カリウム、カリウムアミド、グリニャール試薬など)が挙げられる。好ましくは、リチウム化試薬を使用し、有機合成の分野でリチウム化試薬として知られたもの、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、フェニルリチウムなどのアリールリチウムでもって処理し、フェロセンリチウム誘導体を合成する。本反応は、好ましくは溶媒の存在下に行われ、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であるが、好適なものとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF) などのエーテル類、ペンタン、ヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などの不活性溶媒を使用できる。反応は、必要に応じて、TMEDA などの塩基存在下で行うことができる。また、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下で好適に行うことができる。反応温度は、−100 ℃〜常温程度であり、通常好ましくはドライアイス−アセトン浴やn-ヘキサノール−ドライアイス浴冷却下などの冷却した条件下で行われる。工程Bの第一段の反応は、得られた金属化フェロセン化合物にアルキル置換されたホスフィンハロゲン化合物などのリン含有化合物を反応させてホスフィン誘導体を形成せしめるものである。例えば、上記式で例示したように、得られたフェロセンリチウム誘導体は、アルキルジハロゲノホスフィンで処理し、モノアルキル置換ホスフィノ基をフェロセンのペンタジエニル基に導入する。本反応は、好ましくは溶媒の存在下に行われ、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であるが、好適なものとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF) などのエーテル類、ペンタン、ヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などの不活性溶媒を使用できる。反応は、必要に応じて、TMEDA などの塩基存在下で行うことができる。また、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下で好適に行うことができる。反応温度は、−100 ℃〜溶媒還流温度程度であり、通常好ましくは常温条件下で行われる。
次に、工程Bの第二段の反応は、1,1'- ビス(モノアルキルハロゲノホスフィノ)フェロセン誘導体を、グリニャール試薬などで処理して、リン原子上にアルキル基を導入するものである。本反応は、好ましくは溶媒の存在下に行われ、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であるが、好適なものとしては、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF) などのエーテル類などの不活性溶媒を使用できる。反応温度は、 0℃〜溶媒還流温度程度であり、通常好ましくは10〜60℃で還流しながら行われる。
【0028】
工程Bの最終段階では、得られた 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物を、ホウ素化合物で処理して、P-B 錯体を形成させるものである。ホウ素化合物としては、ボラン(BH3),ボランのテトラヒドロフラン配位体(BH3・THF), ボランのジメチルスルフィド(S(CH3)2) 配位体(BH3・S(CH3)2), ボランのアミン類との錯体(アミン類としては、NH3,t-ブチルアミン, ジメチルアミン, トリアルキルアミン, モルホリン, ピロリジン, ピペリジン, ピリジンなどが挙げられる) などが挙げられ、好ましくは、BH3, BH3・THF, BH3・S(CH3)2, ボラン・モルホリン錯塩, ボラン・ピロリジン錯塩, ボラン・ピペリジン錯塩, ボラン・トリアルキルアミン錯塩などが挙げられる。本反応は、好ましくは溶媒の存在下に行われ、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であるが、好適なものとしては、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF) などのエーテル類、ヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などの不活性溶媒を使用できる。また、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下で好適に行うことができる。反応温度は、−20℃〜溶媒還流温度程度であり、通常好ましくは氷冷却下で行われる。こうして得られた化合物(2) は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0029】
ラセミ体及びメソ体を含有している 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセンボラン錯体化合物は、必要に応じて、含まれているメソ体を分離した後、光学分割処理に付される。光学分割は、ホスフィン型の二座配位子を光学分割するにあたり使用されている当業者に公知の方法(例えば、分別結晶など)を用いて行うこともできるが、好適には dl-体を光学異性体に分離するのに使用される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラムにかけることにより、効率よく各光学活性体に分離することができる。HPLC用カラムとしては、当業者に広く知られているものを使用することができ、例えば、アミロース、セルロースなどの多糖類のカルバメート誘導体(例えば、糖の水酸基の水素の代わりに、3,5-ジメチルフェニルカルバモイル基、α- メチルベンジルカルバモイル基、p-クロロフェニルカルバモイル基、p-メチルフェニルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などを有するもの) 、セルロースなどのエステル誘導体(例えば、糖の水酸基の水素の代わりに、アセチル基、フェニルカルボニル基、p-メチルフェニルカルボニル基、3,5-ジメチルフェニルカルボニル基、p-クロロフェニルカルボニル基、シンナモイル基などを有するもの) 、ポリメタクリレートのトリフェニルメチルエステル誘導体あるいはジフェニルピリジルメチルエステル誘導体などで被覆されたり、あるいはそれが結合されている担体(例えば、シリカゲルなど) 、その他キラルなリガンドを含む担体などを使用しているものが挙げられる。具体的には、CHIRALPAK ( 商品名) シリーズ (ダイセル化学工業) 、CHIRALCEL ( 商品名) シリーズ (ダイセル化学工業) 、SUMIPAX ODS(商品名) シリーズ (SCAS, Japan)などが挙げられ、好適にはCHIRALPAK AD( 商品名: ダイセル化学工業) などを用いることができる。
光学分割処理されて得られた光学活性体 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセンボラン錯体化合物 (2)は、ボラン錯化体を脱錯化せしめることにより、本発明の光学活性体 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物 (1)に導くことができる。該脱錯化処理は、当業者に公知の方法を用いて行うこともできるが、好適にはジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミンなどのアルキルアミン類、ピロリジン, ピペリジン, ピリジンなどの複素環式アミン類で処理することにより、ボラン錯体を分解することにより行うことができる。本反応は、好ましくは溶媒の存在下に行われ、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であるが、好適なものとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF) などのエーテル類、ペンタン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、アルキルアミン類などのアミン化合物、ピロリジン、ピペリジン、ピリジンなどの複素環式化合物などを使用できる。反応は、必要に応じて、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下で好適に行うことができる。反応温度は、−100 ℃〜溶媒還流温度程度であり、通常好ましくは加熱還流条件下で行われる。
【0030】
上記製法において、上記t-ブチルジクロロホスフィンの代わりに、種々のアルキルクロロホスフィン(例えば、アダマンチルジクロロホスフィン、シクロヘキシルジクロロホスフィン、イソプロピルジクロロホスフィン、シクロプロピルジクロロホスフィン、シクロブチルジクロロホスフィン、sec-ブチルジクロロホスフィン、シクロペンチルジクロロホスフィン、シクロヘプチルジクロロホスフィンなど)、そしてメチルマグネシウムブロミドの代わりに、種々のアルキルマグネシウムハライド(例えば、エチルマグネシウムブロミド、n-プロピルマグネシウムブロミド、n-ブチルマグネシウムブロミド、t-ブチルマグネシウムブロミド、シクロプロピルマグネシウムブロミド、4-メチルシクロヘキシルマグネシウムブロミドなど)を用いることにより、様々な形態の一般式(1) の化合物を得ることができる。
その他の製法としては、一般式(1) の化合物は、公知の方法、例えば、J. Organometallic Chem., 529, pp. 455-463 (1997)に記載の方法を適宜修飾した方法を適用して行うことができる。
こうして得られた化合物(1) は、必要に応じて、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0031】
本発明の光学活性ビスホスフィン化合物を配位子とする遷移金属錯体は、不斉合成用触媒、特には、不斉水素化反応、不斉ヒドロシリル化反応の触媒として有用である。錯体を触媒として使用する場合は錯体の純度を高めてから使用しても良いが、また、錯体を精製することなく使用しても良い。
金属錯体の中では、特に、光学活性ビスホスフィン化合物である 1,1'-ビス(t-ブチルメチルホスフィノ)フェロセンを配位子として含むロジウム錯体は、単純ケトン類の不斉ヒドロシリル化反応において、これまで知られているシス配座の光学活性2座ホスフィン配位子より、高いエナンチオ選択性を与えるものである。また、デヒドロアミノ酸誘導体(例えば、Z-α- アセトアミド桂皮酸メチルエステル)の不斉水素化反応においても良好な結果を与える。
ヒドロシリル化反応とは、ケトン類のカルボニル基にSi-Hを付加してシリルエーテル基を形成せしめるものであり、形成されたシリルエーテル基は通常容易に加水分解を受けてアルコールを生成せしめるので、第二級アルコールの合成法として価値のあるものである。ケトン類の不斉ヒドロシリル化の例としては、例えば:
【0032】
【化14】
が挙げられる。
【0033】
R3, R4, R5及びR6は、互いに独立していてよい任意な置換基及び/又は官能基を有していてよい有機基、例えば任意に置換されていてもよい炭化水素基であり、該R3及びR4は、そしてR5及びR6は、互いに独立に一緒になって環を形成していてもよく、R3とR4とが互いに異なる基あるいは非対称である場合、上記式の*印の炭素原子は不斉炭素原子となる。例えば、R3及びR4は、互いに独立に、任意に置換されていてよい鎖状又は環状のアルキル基、任意に置換されていてよいアリール基、任意に置換されていてよいアラルキル基、任意に置換されていてよい複素環式基などが挙げられ、さらに該R3及びR4は、一緒になって任意に置換されていてよい環を形成していてもよく(該環には、異種原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)が含有されていてもよい)、該任意の置換基としては、低級アルキル基、環状アルキル基、ハロゲン、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、N 原子が任意に置換されていてよいアミノ基 (例えば、アミノ基、低級アルキルアミノ基など) 、カルボキシル基、エステル基 (例えば、メトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルカルボニル基など) 、N 原子が任意に置換されていてよいアミド基、N 原子が任意に置換されていてよいアミドスルホニル基、ニトリル基などが挙げられる。
【0034】
好ましくは、R3及びR4としては、任意に置換されていてよい鎖状又は環状アルキル基、任意に置換されていてよいアリール基、任意に置換されていてよいアラルキル基などが挙げられ、具体的には、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基など、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基などが挙げられる。環状の基に置換している場合の置換基の位置については、o位、m位、p位のいずれでもよいが、特にm位及びp位においてエナンチオ選択性が高い。
特に好ましくは、R3としては、置換していてよいアリール基、置換していてよいアラルキル基などが挙げられ、具体的には、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基など、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基など、そして置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン、低級アルコキシ基などが挙げられ、R4としては、低級アルキル基が挙げられ、それらは直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、neo-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。
上記ヒドロシリル化反応においては、当業者に公知のシリル化剤、例えば、R5R6置換ハロゲノシランなどを使用することができる。具体的なシリル化剤としては、ジフェニルクロロシラン、ナフチルフェニルクロロシランなどの置換ハロゲノシランが挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず、様々な実施形態が可能であり、本発明は本明細書及び図面に開示の思想に従ったものであるかぎり、すべての実施形態を包含することは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。旋光性は、JASCO DIO-370 polarimeter ( 商品名: JASCO)により測定した。
実施例1
1,1'-ビス〔ボラナート(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセンの合成
−78℃、アルゴン雰囲気下、激しく撹拌したt-ブチルジクロロホスフィン(6.7g, 42mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(THF, 60mL) 溶液中に、フェロセン(3.72g) 、n-ブチルリチウム- ヘキサン溶液(46mmol)、テトラメチルエチレンジアミン(25mmol)から調製した1,1'- ジリチオフェロセン- テトラメチルエチレンジアミン(20mmol)のヘキサンスラリー溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、冷却用バスを外し、室温で更に1時間撹拌した。
次に反応混合物を0℃に冷却し、メチルマグネシウムブロミド(70mL, 1.0M THF solution) を加え、50℃に加温した。1時間後、再び0℃に冷却し、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(100mL, 1.0M) を加えた。反応混合物を、塩酸を加えた氷水中に慎重に注ぎ、有機層を分液後、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去し、得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン:酢酸エチル=50:1)、dl- 体 4.15g(50%) と meso-体 0.84g(10%) を得た。
約200mg のdl- 体を光学異性体分離HPLC用カラムを用い光学分割し、各々100mg の(S,S)-体及び(R,R) 体(各99%ee 以上)を得た(ダイセル化学工業社製 CHIRALPAK AD , サイズφ0.46×L25cm 、流速 1.0ml/min、温度40℃、移動相 EtOH : hexane=5:95, (S,S)t1=7.5min, (R,R)t2=13.4min) 。
なお、絶対立体配置については、単結晶を作製し、X線結晶構造解析を行い、決定した((S,S)-体)。
【0036】
(S,S)-1,1'- ビス〔ボラナート(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセン
オレンジ色結晶:mp 203℃(dec);
[α ]D 26 -249°(c 0.49, CHCl3);
Rf=0.29(toluene : ethyl acetate = 50:1),
1H NMR(CDCl3)δ 1.00( d, 3JHP = 14.1Hz, 9H), 1.51(d, 2JHP = 9.8Hz, 3H), 4.24-4.25(m, 1H), 4.67-4.68(m, 2H), 4.72-4.73(m, 1H);
13C NMR(CDCl3)δ 5.91(d, JCP = 38.0Hz), 25.08( d, 2JCP = 2.5Hz), 28.80( d, JCP = 34.7Hz), 70.81(s), 70.83(s), 73.92( d, 2JCP = 8.3Hz), 73,98(d, 2JCP = 5.0Hz), 75.51( d, JCP = 15.7Hz);
11B NMR(CDCl3)δ-62.5(d, JBP = 58.6Hz);
31P NMR(CDCl3)δ-24.2(m);
IR(KBr)3085, 2980, 2370, 1475, 1295, 1065, 830 cm-1;
HRMS Calcd for C20H38B2FeKP2 (M+K+ ) 457.1630 found 457.1618
【0037】
(R,R)-1,1'-ビス〔ボラナート(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセン
オレンジ色結晶:mp 205℃(dec);
[α ]D 27 + 250°(c 0.54, CHCl3);
Rf=0.29(toluene:ethyl acetate = 50:1),
1H NMR(CDCl3)δ 1.00( d, 3JHP = 13.9Hz, 9H), 1.51(d, 2JHP = 10.0Hz, 3H), 4.23-4.24(m, 1H), 4.67-4.68(m, 2H), 4.72-4.73(m, 1H);
13C NMR(CDCl3)δ 5.90(d, JCP = 38.0Hz), 25.07( d, 2JCP = 2.5Hz), 28.79( d, JCP = 34.7Hz), 70.82(br s), 73.91(d, 2JCP = 8.3Hz), 73,98(d, 2JCP = 5.8Hz), 75.50( d, JCP = 15.7Hz);
11B NMR(CDCl3)δ-62.5(d, JBP = 58.6Hz);
31P NMR(CDCl3)δ-24.2(m);
IR(KBr)3085, 2980, 2370, 1475, 1295, 1065, 830 cm-1;
HRMS Calcd for C20H38B2FeKP2 (M+K+ ) 457.1630 found 457.1620
上記のメチルマグネシウムブロミドに代えて、エチルマグネシウムブロミド、n-プロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n-ブチルマグネシウムブロミド、シクロペンチルマグネシウムブロミド、又はシクロヘキシルマグネシウムブロミドを使用して、同様にして、それぞれ対応する光学活性1,1'- ビス〔ボラナートジアルキルホスフィノ〕フェロセン化合物を製造する。
【0038】
実施例2
(S,S)-1,1'-ビス〔(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセンの合成
アルゴン雰囲気下、実施例1で得た (S,S)-1,1'-ビス〔ボラナート(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセン(54mg, 0.13mmol)をピロリジン(1mL) 中、70℃で撹拌した。反応の終了をシリカゲル TLC(酢酸エチル:ヘキサン= 1:5、Rf値:ボラン体=0.3 、脱ボラン体=0.7 )にて確認し、90分後、原料化合物 (S,S)-1,1'-ビス〔ボラナート(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセンのスポットの消失を認めた。その後、減圧下ピロリジンを留去し、得られた粗結晶を脱気トルエンに溶かし、その溶液を短いシリカゲルカラムに通した。トルエンを減圧下留去し、オレンジ色の標記化合物をほぼ定量的(50mg) に得た。本結晶はすぐに次の錯体調製に用いた。
同様にして、該メチル体に代えて、エチル体、n-プロピル体、イソプロピル体、n-ブチル体、シクロペンチル体、又はシクロヘキシル体を製造する。
【0039】
実施例3
ロジウム錯体の調製
アルゴン雰囲気下、実施例2で得た (S,S)-1,1'-ビス〔(t-ブチル)メチルホスフィノ〕フェロセンを脱気テトラヒドロフラン(6mL) に溶かし、ビス(1, 5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(42mg, 0.11mmol)の脱気テトラヒドロフラン(6mL) 懸濁液(オレンジ色)中に加えた。
90分間撹拌後、オレンジ色懸濁液が透明な赤色溶液となったことを確認して、反応終了とし、反応混合物をアルゴン雰囲気下で濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた油状物をエーテルで洗浄し、減圧下に乾燥して目的のロジウム錯体をほぼ定量的(86mg) にオレンジ色粉末として得た。
同様にして、該メチル体のビスホスフィノフェロセン配位子に代えて、エチル体、n-プロピル体、イソプロピル体、n-ブチル体、シクロペンチル体、又はシクロヘキシル体の配位子を持つ錯体を調製する。
【0040】
実施例4
触媒的不斉ヒドロシリル化反応(1)
アルゴン雰囲気下、20mlのシュレンクチューブ中に実施例3で得たロジウム錯体(3.2mg, 0.005mmol)、新たに蒸留したテトラヒドロフラン(1mL) 、アセトフェノン(60mL, 0.5mmol) を加え、−20℃に冷却した。
次に1-ナフチルフェニルシラン(160mL, 0.75mmol) を加え、−20℃でアセトフェノンが消失するまで撹拌した。反応混合物に1規定塩酸(3mL) を加え、室温で2時間撹拌後、エーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去して得られた油状物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて精製し、(S)-1-フェニルエタノール(59mg, 96%, 92%ee)を得た。なお、光学純度は、HPLC(Daicel CHIRALCEL OJ (商品名: ダイセル化学工業), 2-propanol:hexane = 1:9) により決定した。なお、上記で用いたナフチルフェニルシランは、公知の方法に従って、フェニルトリクロロシランより合成した。
【0041】
実施例5
触媒的不斉ヒドロシリル化反応(2)
1−ナフチルフェニルシランの代わりに、ジフェニルシランを用い、アセトフェノンから、実施例4と同様にして(S)-1-フェニルエタノールを得た。収率99%, 89%ee。
実施例6
実施例4と同様にして、各種のケトンをヒドロシリル化し、対応するアルコールを得た。その結果を、表1に示す。
【0042】
【表1】
表中:
a: すべて THF中−20℃で反応を行った。ケトン:Rh:シラン=100:1:150
b: 単離収率
c: CHIRALCEL OJ( 商品名: ダイセル化学工業) カラム(i-PrOH-ヘキサン(1:9))を使用したHPLCにより測定
d: 旋光性により決定
e: ジフェニルシランを使用
f: Ceramospher Chiral RU-1(商品名: 資生堂) カラム(i-PrOH-ヘキサン(1:9))を使用
g: i-PrOH-ヘキサン(1:30)を使用
i: CHIRALCEL OB (商品名: ダイセル化学工業) カラム(i-PrOH-ヘキサン(1:30)) を使用
j: CHIRALCEL OD-H (商品名: ダイセル化学工業) カラム(i-PrOH-ヘキサン(1:19)) を使用
【0043】
【発明の効果】
本発明の新規なビスホスフィンは特に遷移金属錯体の配位子として有用である。また、遷移金属錯体は触媒的不斉合成反応、特に不斉ヒドロシリル化反応の触媒として有用であり、産業的にも極めて有用である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is useful as a novel optically active 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound, an intermediate for its production, a transition metal complex having the ferrocene compound as a ligand, and various asymmetric synthesis catalysts. And a catalytic asymmetric synthesis reaction using the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, many reports have been made on transition metal complexes that can be used for catalytic asymmetric synthesis such as asymmetric hydrogenation and asymmetric hydrosilylation. Among them, it has been reported that a complex in which an optically active tertiary phosphine compound is coordinated to a transition metal complex such as ruthenium, rhodium, iridium, palladium, and nickel has excellent performance as a catalyst for an asymmetric synthesis reaction. In order to further enhance this performance, many phosphine compounds having various structures have been developed so far (Ryoji Noyori, “Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis”, Wiley & Sons, New York, 1994).
Among them, many of the ligands having ferrocene as a mother nucleus have planar asymmetry, and a characteristic asymmetric reaction can be expected while there are many axially asymmetric ligands. However, for phosphine compounds having ferrocene as the mother nucleus, there have been few examples of synthesis of such compounds themselves, and in fact, for transition metal complexes that can be used as asymmetric synthesis catalysts having the compound as a ligand, There are few reports, for example, rhodium complexes with (S)-(R) = BPPFA as a ligand (T. Hayashi, et al., Tetrahedron Letters, No. 14, pp. 1133 (1976)), (R , R) -BPAF, palladium complexes with (R, R) -BPNE as a ligand (U.Nettekoven, et al., Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, pp.3185 (1997)) have been reported. Yes.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, depending on the type of reaction or the target substrate, the selectivity of the product and the catalyst efficiency are not always sufficient, and the catalyst may need to be improved. The present invention has excellent performance (chemical selectivity, enantioselectivity, catalytic efficiency) as a catalyst for asymmetric hydrosilylation reactions, such as catalytic asymmetric synthesis reactions such as asymmetric hydrogenation reactions and asymmetric hydrosilylation reactions. It aims at providing the novel phosphine compound which has this.
[0004]
[Solving the problem]
In order to solve the above-mentioned problems, the present invention has been made through extensive research, and as a result, a novel optically active 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound transition metal complex is effective for asymmetric hydrosilylation reactions. I found out. In particular, it has been found that it exhibits excellent enantioselectivity and catalytic efficiency in asymmetric hydrosilylation of simple ketones, and the present invention has been completed.
[0005]
The present invention
[1] General formula (1):
[Chemical 9]
(Where R1May have a substituent1~ C6A linear or branched alkyl group, or a cyclic alkyl group which may have a substituent, R2May have a substituent1~ C6A linear or branched alkyl group, or a cyclic alkyl group which may have a substituent, R1And R2Are different from each other or R1And R2May be combined with their bonded phosphorus atoms to form an asymmetric ring)), 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound;
[0006]
[2] General formula (2):
[Chemical Formula 10]
(Where R1May have a substituent1~ C6A linear or branched alkyl group, or a cyclic alkyl group which may have a substituent, R2May have a substituent1~ C6A linear or branched alkyl group, or a cyclic alkyl group which may have a substituent, R1And R2Are different from each other or R1And R2And may combine with the phosphorus atoms to which they are bonded to form an asymmetric ring), a 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferroceneborane complex compound;
[0007]
[3] A 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the general formula (1) described in [1] above is contained as a ligand, and is composed of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel. A transition metal complex, characterized in that it is a transition metal complex selected from the group;
[4] General formula (3):
MmLnXpSq
[Wherein M is a transition metal selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel, and L is 1,1′-bis (1) represented by the general formula (1) described in [1] above. Dialkylphosphino) ferrocene compounds, wherein X and S are
When M = rhodium, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = 2, q = 0;
When M = ruthenium, (i) m = n = 1, X = acetyloxy group, p = 2, q = 0,
(ii) X = chlorine, S = trialkylamino group, m = n = 2, p = 4, q = 1 or
(iii) X = methylallyl group, m = n = 1, p = 2, q = 0;
When M = iridium, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = 2, q = 0;
When M = palladium, (i) X = chlorine, m = n = 1, p = 2, q = 0 or
(ii) X = p-allyl group, m = n = p = 2, q = 0;
When M = nickel, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = 1, p = 2, q = 0
A transition metal complex represented by:
[0008]
[5] General formula (4):
[MmLnXpSq] Yr
[Wherein M is a transition metal selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel, and L is 1,1′-bis (1) represented by the general formula (1) described in [1] above. Dialkylphosphino) ferrocene compounds wherein X 1, S 2 and Y 3 are
When M = rhodium, X = 1,5-cyclooctadiene or norbornadiene, Y = BFFour , ClOFour, PF6Or BPhFour, M = n = p = r = 1 and q = 0;
When M = ruthenium, (i) X = chlorine, bromine or iodine, S = benzene or p-cymene, Y = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = q = r = 1 or
(ii) Y = BFFour, ClOFour, PF6Or BPhFour, M = n = 1, p = q = 0, r = 2;
When M = iridium, X = 1,5-cyclooctadiene or norbornadiene, Y = BFFour , ClOFour, PF6Or BPhFour, M = n = r = 1, p = 1, q = 0;
When M = Palladium, Y = BFFour, ClOFour, PF6Or BPhFour, M = n = r = 1, p = q = 0
A metal complex-containing catalyst represented by:
[0009]
[6] An asymmetric hydrosilylation catalyst containing the metal complex according to [3] above;
[7] An asymmetric hydrogenation catalyst containing the metal complex according to [3] above;
[8] A borane complex of the 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the general formula (2) described in the above [2] is deborane complexed, and the general formula described in the above [1] Obtaining a 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by (1); and
[9] A transition metal salt or complex selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel, and 1,1′-bis (dialkylphosphine represented by the general formula (1) described in [1] above. There is provided a process for producing a transition metal complex characterized in that a complex is formed by reacting a fino) ferrocene compound so that the optically active ferrocene compound is contained in a ligand.
[0010]
In another aspect, the invention provides:
[10] C1~ C6A linear or branched alkyl group of methyl group, ethyl group, n-propyl group, isopropyl group, n-butyl group, isobutyl group, sec-butyl group, t-butyl group, n-pentyl group, isopentyl group, neo-pentyl group, t-pentyl group, 2-methylpentyl group, n-hexyl group and isohexyl group, wherein the cyclic alkyl group is cyclopropyl group, methylcyclopropyl group, cyclobutyl Group, cyclopentyl group, 2-methylcyclopentyl group, 3-methylcyclopentyl group, cyclohexyl group, 2-methylcyclohexyl group, 3-methylcyclohexyl group, 4-methylcyclohexyl group, cycloheptyl group, 2-t-butylcyclopentyl group, The above-mentioned, which is selected from the group consisting of 4-t-butylcyclohexyl group, norbornyl group and adamantyl group [ 1] The compound described in;
[0011]
[11] 1,1'-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylethylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylisopropylphosphino) ferrocene 1,1'-bis (t-butyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopropylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclobutylphosphino ) Ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylmethylcyclopentylphosphino) Ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcycloheptylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butyladamantylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylethylphosphino) ferrocene, 1 , 1'-bis (methylisopropyl Ruphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (methyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (cyclopropylmethylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (methylcyclobutylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylmethylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis ( The compound according to the above item [1], which is selected from the group consisting of methylcycloheptylphosphino) ferrocene and 1,1′-bis (adamantylmethylphosphino) ferrocene;
[0012]
[12] From the group consisting of (S, S) -1,1'-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene and (R, R) -1,1'-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene The compound according to [1] above, which is selected from the group consisting of:
[13] The C1~ C6A linear or branched alkyl group of methyl group, ethyl group, n-propyl group, isopropyl group, n-butyl group, isobutyl group, sec-butyl group, t-butyl group, n-pentyl group, isopentyl group, neo-pentyl group, t-pentyl group, 2-methylpentyl group, n-hexyl group and isohexyl group, wherein the cyclic alkyl group is cyclopropyl group, methylcyclopropyl group, cyclobutyl Group, cyclopentyl group, 2-methylcyclopentyl group, 3-methylcyclopentyl group, cyclohexyl group, 2-methylcyclohexyl group, 3-methylcyclohexyl group, 4-methylcyclohexyl group, cycloheptyl group, 2-t-butylcyclopentyl group, The above-mentioned, which is selected from the group consisting of 4-t-butylcyclohexyl group, norbornyl group and adamantyl group [ 2] the compound according to the above;
[14] (S, S) -1,1'-bis (boranato (t-butyl) methylphosphino) ferrocene and (R, R) -1,1'-bis (boranato (t-butyl) methylphosphino ) The compound of the above-mentioned [2], wherein the compound is selected from the group consisting of ferrocene;
[0013]
[15] L is 1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (t-butylethylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (t-butylisopropylphosphine) Fino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopropylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclo) Butylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylmethylcyclopentyl) Phosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcycloheptylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butyladamantylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylethylphosphino) Ferrocene, 1,1'-bis (methyliso (Lopylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (cyclopropylmethylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclobutylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylmethylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis ( [4] The transition metal according to [4] above, which is selected from the group consisting of methylcycloheptylphosphino) ferrocene and 1,1′-bis (adamantylmethylphosphino) ferrocene and is optically active Complex;
[16] From (S, S) -1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene and (R, R) -1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene The transition metal complex according to [4] above, which is selected from the group consisting of:
[0014]
[17] L is 1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (t-butylethylphosphino) ferrocene, 1,1′-bis (t-butylisopropylphosphine) Fino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopropylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclo) Butylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylmethylcyclopentyl) Phosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butylcycloheptylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (t-butyladamantylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylethylphosphino) Ferrocene, 1,1'-bis (methyliso (Lopylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methyl n-propylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (cyclopropylmethylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclobutylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylcyclohexylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis (methylmethylcyclopentylphosphino) ferrocene, 1,1'-bis ( The metal complex as described in [5] above, which is selected from the group consisting of methylcycloheptylphosphino) ferrocene and 1,1′-bis (adamantylmethylphosphino) ferrocene and is optically active Containing catalyst;
[18] From (S, S) -1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene and (R, R) -1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene The metal complex-containing catalyst according to [5] above, which is selected from the group consisting of:
[0015]
(19) General formula (5):
RThree-C (= O) -RFour
(Where RThreeAnd RFourAre independently of each other an optionally substituted chain or cyclic alkyl group, an optionally substituted aryl group, an optionally substituted aralkyl group and an optionally substituted heterocycle. Selected from the group consisting of formula groups, and further RThreeAnd RFourMay form a ring which may be optionally substituted together (the ring may contain a heteroatom (for example, an oxygen atom, a sulfur atom, a nitrogen atom, etc.)) The optional substituent includes a lower alkyl group, a cyclic alkyl group, a halogen, a lower alkoxy group, a lower alkylthio group, a hydroxyl group, a nitro group, and an amino group optionally substituted with an N atom (for example, an amino group). , A lower alkylamino group, etc.), a carboxyl group, an ester group (for example, a methoxycarbonyl group, a t-butoxycarbonyl group, a phenoxycarbonyl group, a benzylcarbonyl group, etc.), an amide group in which the N atom may be optionally substituted, N A ketone compound (which is selected from the group consisting of an amidesulfonyl group and an nitrile group, the atoms of which may be optionally substituted). It provides a catalyst as described in [6], wherein it is a catalyst for Le of.
Other objects, features, excellence and aspects of the present invention will be apparent to those skilled in the art from the following description. However, it is understood that the description of the present specification, including the following description and the description of specific examples and the like, show preferred embodiments of the present invention and are presented only for explanation. I want. Various changes and / or modifications (or modifications) within the spirit and scope of the present invention disclosed herein will occur to those skilled in the art based on the following description and knowledge from other parts of the present specification. Will be readily apparent. All patent documents and references cited herein are cited for illustrative purposes and are not to be construed as a part of this specification. is there.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the present invention, a novel 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound that is useful as a ligand for asymmetric synthesis catalysts, namely Fe [1- (R1R2P) -cyclopentadienyl]2 (Where R1And R2Is as defined above). As the ligand for the asymmetric synthesis catalyst, an optically active ligand is used.
R1And R2Is optionally substituted C1~ C6A linear or branched alkyl group, or a cyclic alkyl group which may have a substituent, R1And R2Are different. C1~ C6Examples of the linear or branched alkyl group include, for example, methyl group, ethyl group, n-propyl group, isopropyl group, n-butyl group, isobutyl group, sec-butyl group, t-butyl group, and n-pentyl group. , Isopentyl group, neo-pentyl group, t-pentyl group, 2-methylpentyl group, n-hexyl group, isohexyl group and the like. As the cyclic alkyl group, typically, CThree~ C12A cyclic alkyl group such as cyclopropyl group, methylcyclopropyl group, cyclobutyl group, cyclopentyl group, 2-methylcyclopentyl group, 3-methylcyclopentyl group, cyclohexyl group, 2-methylcyclohexyl group, 3-methylcyclohexyl group. 4-methylcyclohexyl group, cycloheptyl group, 2-t-butylcyclopentyl group, 4-t-butylcyclohexyl group, norbornyl group, adamantyl group and the like. Also R1And R2Examples of the substituent of the straight chain or branched chain alkyl group or cyclic alkyl group include an alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an aryl group, and an alkylthio group. Examples of the substituent include the following RThree, RFour, RFiveAnd R6May be selected from the groups as described and exemplified.
R1And R2Together with their bound phosphorus atoms may form an asymmetric ring. The asymmetric ring may optionally have a substituent (a substituent as described above). The asymmetric ring may be a 3- to 7-membered ring which may contain a heteroatom (for example, an oxygen atom, a sulfur atom, a nitrogen atom, etc.) in the chain forming the ring.1And R2Is a C group such as 1-methylethylene group, 1-ethylethylene group, 1-methyltrimethylene group, 1,1-dimethyltrimethylene group, 1-methyltetramethylene group, etc.1~ C6A branched-chain alkylene group having a substituent as described above.1~ C6Or a straight chain or alkylene group.
R1And R2The combination of preferably includes a combination of a methyl group and a t-Bu group.
[0017]
Preferred compounds include
Embedded image
(Where R1aIs C1~ C6A linear alkyl group of R2aIs C1~ C6A branched alkyl group ofThree~ C121,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the following formula:
[0018]
The ferrocene compound forms a complex with a transition metal such as rhodium (Rh), iridium (Ir), ruthenium (Ru), palladium (Pd), nickel (Ni) and the like. As a constituent ligand in the transition metal complex, in addition to the ferrocene compound of the present invention, for example, it can be found in the transition metal complexes described above in the field, particularly in transition metal complexes used for asymmetric synthesis catalysts. The ligands that can be selected are listed. Examples of the ligand include dienes such as cycloocta-1,5-diene, norbornadiene, hexa-1,4-diene, halogen (for example, chlorine, bromine, iodine, etc.), 2-propenyl group (allyl group). ), Allylic groups such as 2-methylallyl group (2-methallyl group), 2,4-dimethylpentadienyl group, 2,3,4-trimethylpentadienyl group, 2,4-di (t-butyl) Pentadienyl group such as pentadienyl group, 2,4-dimethyl-1-oxapentadienyl group, acetyloxy group, CFThreeC (= O) O group, pivaloyloxy group ((CHThree)ThreeC (= O) O group) and the like, carboxyl groups such as benzene and p-cymene, and tertiary amines such as triethylamine.
[0019]
The metal complex of the present invention can be obtained by a known method, for example, edited by The Chemical Society of Japan, “Fourth Edition Experimental Chemistry Course 18, Organometallic Complex”, Maruzen Co., Ltd., 1991; Ryoji Noyori, “Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis ", Wiley & Sons, New York, 1994; I. Ojima (Ed.), Catalytic Asymmetric Synthesis, VCH Publishers, Weinheim, 1993, and the like. In addition, the symbols used in the following transition metal complex formulas are respectively
L: An optically active compound among the compounds (1) of the present invention
cod: cycloocta-1,5-diene
nbd: Norbornadiene
Ph: Phenyl group
Ac: Acetyl group
NEtThree: Triethylamine
Indicates.
Specific examples of the production of rhodium complexes are described in the Chemical Society of Japan, 4th edition, Experimental Chemistry Course 18, Organometallic Complex, pp.339-344, Maruzen Co., Ltd., 1991. A method is mentioned. For example, it can be synthesized by reacting bis (cod) rhodium (I) tetrafluoroborate with the compound (1) of the present invention. Specific examples of rhodium complexes include, for example, [Rh (L) Cl]2, [Rh (L) Br]2, [Rh (L) I]2, [Rh (cod) (L)] BFFour, [Rh (cod) (L)] ClOFour, [Rh (cod) (L)] PF6, [Rh (cod) (L)] BPhFour, [Rh (nbd) (L)] BFFour, [Rh (nbd) (L)] ClOFour, [Rh (nbd) (L)] PF6, [Rh (nbd) (L)] BPhFourAnd so on.
[0020]
Specific examples of the production of ruthenium complexes include T. Ikariya, Y. Ishii, H. Kawano, T. Arai, M. Saburi, S. Yoshikawa and S. Akutagawa, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 922 (1988); K. Mashima, K. Kusano, T. Ohta, R. Noyori and H. Takaya, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1208 (1989), etc. Is mentioned. For example, [Ru (cod) Cl2]nAnd the compound (1) of the present invention can be obtained by heating to reflux in a toluene solvent in the presence of triethylamine. Alternatively, [Ru (p-cymene) I2]2And the compound (1) of the present invention can be prepared by heating and stirring in methylene chloride and ethanol. Specific examples of the ruthenium complex include, for example, Ru (OAc)2(L), Ru2ClFour(L)2NEtThree, [RuCl (benzene) (L)] Cl,
[RuBr (benzene) (L)] Br, [RuI (benzene) (L)] I, [RuCl (p-cymene) (L)] Cl,
[RuBr (p-cymene) (L)] Br, [RuI (p-cymene) (L)] I, [Ru (L)] (BFFour)2, [Ru (L)] (ClOFour)2, [Ru (L)] (PF6)2, [Ru (L)] (BPhFour)2And so on.
[0021]
Specific examples of producing iridium complexes include K. Mashima, T. Akutagawa, X. Zhang, T. Taketomi, H. Kumobayashi and S. Akutagawa, J. Organomet. Chem., 428, 213 (1992 ) And the like. For example, [Ir (cod) (CHThreeCN)2] BFFourAnd the compound (1) of the present invention can be synthesized by a reflux reaction in tetrahydrofuran. Specific examples of iridium complexes include, for example, [Ir (L) Cl]2, [Ir (L) Br]2, [Ir (L) I]2, [Ir (cod) (L)] BFFour, [Ir (cod) (L)] ClOFour, [Ir (cod) (L)] PF6, [Ir (cod) (L)] BPhFour, [Ir (nbd) (L)] BFFour, [Ir (nbd) (L)] ClOFour, [Ir (nbd) (L)] PF6, [Ir (nbd) (L)] BPhFourAnd so on.
Specific examples of the production of the palladium complex include the method described in Y. Uozumi and T. Hayashi, J. Am. Chem. Soc., 113, 9887 (1991). For example, it can be synthesized by reacting p-allyl palladium chloride with the compound (1) of the present invention. Specific examples of the palladium complex include, for example, PdCl2(L), [(p-allyl) Pd (L)]2, [Pd (L)] BFFour, [Pd (L)] ClOFour, [Pd (L)] PF6, [Pd (L)] BPhFourAnd so on.
[0022]
Specific examples of the production of nickel complexes include the Japan Chemical Society, 4th edition, Experimental Chemistry Course 18, Organometallic Complex, pp. 376, Maruzen Co., Ltd., 1991; Y. Uozumi and Examples include the method described in T. Hayashi, J. Am. Chem. Soc., 113, 9887 (1991). For example, it can be prepared by dissolving nickel chloride and the compound (1) of the present invention in a mixed solvent of isopropanol and methanol and stirring with heating. Specific examples of the nickel complex include, for example, NiCl.2(L), NiBr2(L), NiI2(L).
The above ferrocene compound useful as a ligand for asymmetric synthesis catalysts is a novel 1,1′-bis (boronatodialkylphosphino) ferrocene compound, namely Fe [1- (BHThreeR1R2P) -cyclopentadienyl]2 (Where R1And R2Is synonymous with the above.
[0023]
Preferred intermediate compounds include
Embedded image
(Where R1bIs C1~ C6A linear alkyl group of R2bIs C1~ C6A branched alkyl group ofThree~ C121,1′-bis (dialkylphosphino) ferroceneborane complex compound represented by the following formula:
In the present invention, asymmetric ligands and intermediates include racemates, meso forms and optically active compounds. The optically active form includes both the (+) form and the (-) form, but the reaction product obtained using the ligand (+) form and the reaction obtained using the ligand (-). The product is in an enantiomeric relationship. Therefore, the (+) isomer or (-) isomer of the ligand phosphinoferrocene compound can be selected and used according to the configuration of the target compound.
[0024]
Manufacturing method:
An example is shown below about the manufacturing method of these compounds. First, in order to avoid complications, the compound represented by the following (6) among the compounds included in the present invention; 1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene is used as an example in the present invention. A typical example of the production method will be specifically described. However, the present invention is not limited to this example.
[0025]
Embedded image
[0026]
That is, in Step A, ferrocene (7) is reacted with n-butyllithium and tetramethylethylenediamine (TMEDA) to prepare a dilithio compound (8). Then, in Step B, the product is converted into t-butyldichlorophosphine. Then, methylmagnesium bromide and borane / tetrahydrofuran complex are reacted sequentially to obtain a bisphosphine borane (9). The meso form is removed by silica gel chromatography, and in Step C, the racemate is optically resolved by liquid chromatography using an optically active substance separation column to obtain the enantiomer (9S or 9R). Furthermore, the target optically active 1,1′-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene (6S or 6R) can be produced with high efficiency by reacting the phosphine borane (9S or 9R) with pyrrolidine in Step D. .
[0027]
As Steps A and B, generally, an appropriate method is appropriately selected from methods widely known to those skilled in the art in order to introduce a bis-substituted phosphino group into the pentadienyl group of ferrocene (7). It can be carried out. For example, Step A is a reaction for metallizing the pentadienyl group of ferrocene as exemplified by the above formula. Reagents used for metallization include alkali metals (eg, lithium, sodium, potassium, etc.), alkaline earth metals (eg, magnesium, etc.), or derivatives thereof (eg, sodium-cyclopentadiene, sodium bistrimethylsilylamide, hydrogen) Potassium halide, potassium amide, Grignard reagent, etc.). Preferably, using a lithiating reagent, those known as lithiating reagents in the field of organic synthesis, for example, alkyllithium such as n-butyllithium, sec-butyllithium, t-butyllithium, aryl such as phenyllithium Treat with lithium to synthesize ferrocene lithium derivatives. This reaction is preferably carried out in the presence of a solvent, and a conventional solvent that does not adversely influence the reaction can be used.Preferable examples include ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran (THF), pentane, Inert solvents such as hydrocarbons such as hexane and methylcyclohexane can be used. The reaction can be performed in the presence of a base such as TMEDA, if necessary. Moreover, it can carry out suitably in inert gas atmosphere, such as argon. The reaction temperature is about −100 ° C. to room temperature, and it is usually preferably performed under cooled conditions such as cooling with a dry ice-acetone bath or n-hexanol-dry ice bath. In the first stage reaction of Step B, the resulting metallized ferrocene compound is reacted with a phosphorus-containing compound such as an alkyl-substituted phosphine halogen compound to form a phosphine derivative. For example, as illustrated in the above formula, the obtained ferrocene lithium derivative is treated with an alkyldihalogenophosphine to introduce a monoalkyl-substituted phosphino group into the ferrocene pentadienyl group. This reaction is preferably carried out in the presence of a solvent, and a conventional solvent that does not adversely influence the reaction can be used.Preferable examples include ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran (THF), pentane, Inert solvents such as hydrocarbons such as hexane and methylcyclohexane can be used. The reaction can be performed in the presence of a base such as TMEDA, if necessary. Moreover, it can carry out suitably in inert gas atmosphere, such as argon. The reaction temperature is about −100 ° C. to the solvent reflux temperature, and it is usually preferably carried out under ordinary temperature conditions.
Next, in the second stage reaction of Step B, 1,1′-bis (monoalkylhalogenophosphino) ferrocene derivative is treated with a Grignard reagent or the like to introduce an alkyl group onto the phosphorus atom. . This reaction is preferably carried out in the presence of a solvent, and a conventional solvent that does not adversely influence the reaction can be used, but preferred examples include usually ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran (THF), etc. Inert solvents can be used. The reaction temperature is about 0 ° C. to the solvent reflux temperature, and the reaction temperature is usually preferably 10 to 60 ° C. while refluxing.
[0028]
In the final stage of Step B, the obtained 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound is treated with a boron compound to form a P—B complex. As boron compounds, borane (BHThree), Borane tetrahydrofuran coordination (BHThree・ THF), borane dimethyl sulfide (S (CHThree)2) Coordination body (BHThree・ S (CHThree)2), Complexes of borane with amines (for amines, NHThree, t-butylamine, dimethylamine, trialkylamine, morpholine, pyrrolidine, piperidine, pyridine, etc.), preferably BHThree, BHThree・ THF, BHThree・ S (CHThree)2, Borane / morpholine complex, borane / pyrrolidine complex, borane / piperidine complex, borane / trialkylamine complex, and the like. This reaction is preferably carried out in the presence of a solvent, and a conventional solvent that does not adversely influence the reaction can be used, but preferred examples include usually ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran (THF), Inert solvents such as hydrocarbons such as hexane and methylcyclohexane can be used. Moreover, it can carry out suitably in inert gas atmosphere, such as argon. The reaction temperature is about −20 ° C. to the solvent reflux temperature, and it is usually preferably carried out under ice cooling. The compound (2) thus obtained can be isolated and purified by known separation and purification means, for example, concentration, concentration under reduced pressure, solvent extraction, crystallization, recrystallization, phase transfer, chromatography and the like.
[0029]
The 1,1'-bis (dialkylphosphino) ferroceneborane complex compound containing racemic and meso forms is subjected to optical resolution after separating the contained meso forms as necessary. . The optical resolution can be performed using a method known to those skilled in the art (for example, fractional crystallization) used for optical resolution of a phosphine-type bidentate ligand. By applying to a high performance liquid chromatography (HPLC) column used for separation into optical isomers, separation into each optically active substance can be achieved efficiently. As the column for HPLC, those widely known to those skilled in the art can be used. For example, carbamate derivatives of polysaccharides such as amylose and cellulose (for example, 3,5- Ester derivatives such as dimethylphenylcarbamoyl group, α-methylbenzylcarbamoyl group, p-chlorophenylcarbamoyl group, p-methylphenylcarbamoyl group, phenylcarbamoyl group, etc. (for example, instead of hydrogen of sugar hydroxyl group) , An acetyl group, a phenylcarbonyl group, a p-methylphenylcarbonyl group, a 3,5-dimethylphenylcarbonyl group, a p-chlorophenylcarbonyl group, a cinnamoyl group), a triphenylmethyl ester derivative of polymethacrylate or diphenylpyridylmethyl Ester derivatives And the like using a carrier (for example, silica gel or the like) coated with or bound to the above, or a carrier containing a chiral ligand. Specific examples include CHIRALPAK (trade name) series (Daicel Chemical Industries), CHIRALCEL (trade name) series (Daicel Chemical Industries), and SUMIPAX ODS (trade name) series (SCAS, Japan). AD (trade name: Daicel Chemical Industries) can be used.
The optically active substance 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferroceneborane complex compound (2) obtained by the optical resolution treatment is obtained by decomplexing the borane complex, thereby producing the optically active substance 1 of the present invention. , 1'-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound (1). The decomplexing treatment can be carried out using methods known to those skilled in the art, but preferably alkylamines such as dimethylamine, diethylamine and methylethylamine, and heterocyclic amines such as pyrrolidine, piperidine and pyridine. Can be carried out by decomposing the borane complex. This reaction is preferably carried out in the presence of a solvent, and a conventional solvent that does not adversely influence the reaction can be used.Preferable examples include ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran (THF), pentane, Hydrocarbons such as hexane, methylcyclohexane, benzene and toluene, amine compounds such as alkylamines, and heterocyclic compounds such as pyrrolidine, piperidine and pyridine can be used. The reaction can be suitably performed in an inert gas atmosphere such as argon as necessary. The reaction temperature is about −100 ° C. to the solvent reflux temperature, and it is usually preferably carried out under heating and reflux conditions.
[0030]
In the above production method, instead of the t-butyldichlorophosphine, various alkylchlorophosphines (for example, adamantyldichlorophosphine, cyclohexyldichlorophosphine, isopropyldichlorophosphine, cyclopropyldichlorophosphine, cyclobutyldichlorophosphine, sec-butyldichlorophosphine, Cyclopentyldichlorophosphine, cycloheptyldichlorophosphine, etc., and various alkylmagnesium halides (eg, ethylmagnesium bromide, n-propylmagnesium bromide, n-butylmagnesium bromide, t-butylmagnesium bromide, cyclohexane) instead of methylmagnesium bromide Propyl magnesium bromide, 4-methylcyclohexyl magnesium bromide) Accordingly, it is possible to obtain a compound of the general formula (1) in various forms.
As other production methods, the compound of the general formula (1) can be obtained by applying a known method, for example, a method appropriately modified from the method described in J. Organometallic Chem., 529, pp. 455-463 (1997). It can be carried out.
The compound (1) thus obtained can be isolated and purified by known separation and purification means, for example, concentration, concentration under reduced pressure, solvent extraction, crystallization, recrystallization, phase transfer, chromatography, etc., if necessary. it can.
[0031]
The transition metal complex having the optically active bisphosphine compound of the present invention as a ligand is useful as a catalyst for asymmetric synthesis, particularly as a catalyst for asymmetric hydrogenation reaction and asymmetric hydrosilylation reaction. When the complex is used as a catalyst, it may be used after increasing the purity of the complex, or may be used without purifying the complex.
Among metal complexes, rhodium complexes containing 1,1'-bis (t-butylmethylphosphino) ferrocene, which is an optically active bisphosphine compound, as a ligand are particularly useful in asymmetric hydrosilylation reactions of simple ketones. , Which gives higher enantioselectivity than the conventionally known cis-conformation optically active bidentate phosphine ligands. Also, good results are obtained in the asymmetric hydrogenation reaction of a dehydroamino acid derivative (for example, Z-α-acetamidocinnamic acid methyl ester).
In the hydrosilylation reaction, Si—H is added to the carbonyl group of ketones to form a silyl ether group, and the formed silyl ether group is usually easily hydrolyzed to generate an alcohol. It is a valuable method for synthesizing secondary alcohols. Examples of asymmetric hydrosilylation of ketones include, for example:
[0032]
Embedded image
Is mentioned.
[0033]
RThree, RFour, RFiveAnd R6Is an organic group which may have an arbitrary substituent and / or a functional group which may be independent from each other, for example, an optionally substituted hydrocarbon group,ThreeAnd RFourAnd RFiveAnd R6May be combined independently of each other to form a ring, RThreeAnd RFourAre different from each other or asymmetric, the carbon atom marked with * in the above formula is an asymmetric carbon atom. For example, RThreeAnd RFourAre independently of each other an optionally substituted chain or cyclic alkyl group, an optionally substituted aryl group, an optionally substituted aralkyl group, an optionally substituted heterocycle And the like, and further RThreeAnd RFourMay form a ring which may be optionally substituted together (the ring may contain a heteroatom (for example, an oxygen atom, a sulfur atom, a nitrogen atom, etc.)) The optional substituent includes a lower alkyl group, a cyclic alkyl group, a halogen, a lower alkoxy group, a lower alkylthio group, a hydroxyl group, a nitro group, and an amino group optionally substituted with an N atom (for example, an amino group). , A lower alkylamino group, etc.), a carboxyl group, an ester group (for example, a methoxycarbonyl group, a t-butoxycarbonyl group, a phenoxycarbonyl group, a benzylcarbonyl group, etc.), an amide group in which the N atom may be optionally substituted, N An amidosulfonyl group, a nitrile group, etc. in which atoms may be optionally substituted are mentioned.
[0034]
Preferably RThreeAnd RFourAs examples thereof, an optionally substituted chain or cyclic alkyl group, an optionally substituted aryl group, an optionally substituted aralkyl group, and the like can be mentioned. Specifically, as the aryl group, Examples of the aralkyl group such as phenyl group and naphthyl group include benzyl group and phenethyl group. Examples of the substituent include a lower alkyl group, a halogen, and an alkoxy group. When substituted with a cyclic group, the position of the substituent may be any of the o-position, m-position, and p-position, but the enantioselectivity is particularly high at the m-position and p-position.
Particularly preferably RThreeAs examples thereof, an aryl group which may be substituted, an aralkyl group which may be substituted, and the like can be mentioned. Specifically, as an aryl group, a phenyl group, a naphthyl group, etc., as an aralkyl group, a benzyl group, a phenethyl group, etc. Examples of the substituent include a lower alkyl group, a halogen, and a lower alkoxy group, and RFourExamples of the alkyl group include lower alkyl groups, which may be linear or branched, and specifically include methyl, ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, isobutyl, sec -Butyl group, t-butyl group, n-pentyl group, isopentyl group, neo-pentyl group, t-pentyl group, 2-methylpentyl group, n-hexyl group and the like.
In the hydrosilylation reaction, a silylating agent known to those skilled in the art, for example, RFiveR6Substituted halogenosilanes and the like can be used. Specific examples of the silylating agent include substituted halogenosilanes such as diphenylchlorosilane and naphthylphenylchlorosilane.
[0035]
【Example】
The present invention will be specifically described below with reference to examples. However, the present invention is not limited to these examples, and various embodiments are possible. The present invention is based on the concept disclosed in the present specification and drawings. It is to be understood that all embodiments are included as long as they are followed.
All examples were performed or can be performed using standard techniques, except as otherwise described in detail, and are well known and routine to those skilled in the art. . Optical rotation was measured with JASCO DIO-370 polarimeter (trade name: JASCO).
Example 1
Synthesis of 1,1'-bis [boronate (t-butyl) methylphosphino] ferrocene
Ferrocene (3.72 g) and n-butyllithium-hexane solution (46 mmol) in a solution of −78 ° C., vigorously stirred t-butyldichlorophosphine (6.7 g, 42 mmol) in dry tetrahydrofuran (THF, 60 mL) Then, a hexane slurry solution of 1,1′-dilithioferrocene-tetramethylethylenediamine (20 mmol) prepared from tetramethylethylenediamine (25 mmol) was added dropwise over 1 hour. After dropping, the cooling bath was removed and the mixture was further stirred at room temperature for 1 hour.
The reaction mixture was then cooled to 0 ° C. and methylmagnesium bromide (70 mL, 1.0 M THF solution) was added and warmed to 50 ° C. After 1 hour, the mixture was cooled again to 0 ° C., and borane-tetrahydrofuran complex (100 mL, 1.0 M) was added. The reaction mixture was carefully poured into ice water to which hydrochloric acid was added, the organic layer was separated, and the aqueous layer was extracted with ethyl acetate. The organic layers were combined, washed with saturated brine, and dried over anhydrous sodium sulfate. The desiccant was removed, the solvent was distilled off under reduced pressure, and the resulting crude crystals were purified by silica gel column chromatography (toluene: ethyl acetate = 50: 1). 4.15 g (50%) of dl-form and meso-form 0.84 g (10%) was obtained.
Approximately 200 mg of dl-isomer was optically resolved using an optical isomer separation HPLC column to obtain 100 mg of (S, S) -isomer and (R, R) isomer (each 99% ee or more) (Daicel Chemical) CHIRALPAK AD, size φ0.46 × L25cm, flow rate 1.0ml / min, temperature 40 ° C, mobile phase EtOH: hexane = 5: 95, (S, S) t1 = 7.5min, (R, R) t2 = 13.4min).
The absolute configuration was determined by producing a single crystal and conducting X-ray crystal structure analysis ((S, S) -form).
[0036]
(S, S) -1,1'-Bis [boronate (t-butyl) methylphosphino] ferrocene
Orange crystals: mp 203 ° C (dec);
[α]D 26 -249 ° (c 0.49, CHClThree);
Rf = 0.29 (toluene: ethyl acetate = 50: 1),
1H NMR (CDClThree) δ 1.00 (d,ThreeJHP = 14.1Hz, 9H), 1.51 (d,2JHP = 9.8Hz, 3H), 4.24-4.25 (m, 1H), 4.67-4.68 (m, 2H), 4.72-4.73 (m, 1H);
13C NMR (CDClThree) δ 5.91 (d, JCP = 38.0Hz), 25.08 (d,2JCP = 2.5Hz), 28.80 (d, JCP = 34.7Hz), 70.81 (s), 70.83 (s), 73.92 (d,2JCP = 8.3Hz), 73,98 (d,2JCP = 5.0Hz), 75.51 (d, JCP = 15.7Hz);
11B NMR (CDClThree) δ-62.5 (d, JBP = 58.6Hz);
31P NMR (CDClThree) δ-24.2 (m);
IR (KBr) 3085, 2980, 2370, 1475, 1295, 1065, 830 cm-1;
HRMS Calcd for C20H38B2FeKP2(M + K+) 457.1630 found 457.1618
[0037]
(R, R) -1,1'-bis [boronate (t-butyl) methylphosphino] ferrocene
Orange crystals: mp 205 ° C (dec);
[α]D 27 + 250 ° (c 0.54, CHClThree);
Rf = 0.29 (toluene: ethyl acetate = 50: 1),
1H NMR (CDClThree) δ 1.00 (d,ThreeJHP = 13.9Hz, 9H), 1.51 (d,2JHP = 10.0Hz, 3H), 4.23-4.24 (m, 1H), 4.67-4.68 (m, 2H), 4.72-4.73 (m, 1H);
13C NMR (CDClThree) δ 5.90 (d, JCP = 38.0Hz), 25.07 (d,2JCP = 2.5Hz), 28.79 (d, JCP = 34.7Hz), 70.82 (br s), 73.91 (d,2JCP = 8.3Hz), 73,98 (d,2JCP = 5.8Hz), 75.50 (d, JCP = 15.7Hz);
11B NMR (CDClThree) δ-62.5 (d, JBP = 58.6Hz);
31P NMR (CDClThree) δ-24.2 (m);
IR (KBr) 3085, 2980, 2370, 1475, 1295, 1065, 830 cm-1;
HRMS Calcd for C20H38B2FeKP2(M + K+) 457.1630 found 457.1620
In place of the above-mentioned methylmagnesium bromide, ethyl magnesium bromide, n-propylmagnesium bromide, isopropylmagnesium bromide, n-butylmagnesium bromide, cyclopentylmagnesium bromide, or cyclohexylmagnesium bromide are used in the same manner. An active 1,1′-bis [boronate dialkylphosphino] ferrocene compound is prepared.
[0038]
Example 2
Synthesis of (S, S) -1,1'-bis [(t-butyl) methylphosphino] ferrocene
Under an argon atmosphere, (S, S) -1,1′-bis [boronate (t-butyl) methylphosphino] ferrocene (54 mg, 0.13 mmol) obtained in Example 1 was dissolved in pyrrolidine (1 mL) at 70 ° C. Stir. The completion of the reaction was confirmed by silica gel TLC (ethyl acetate: hexane = 1: 5, Rf value: borane body = 0.3, deborane body = 0.7), and after 90 minutes, starting compound (S, S) -1,1 Disappearance of the spot of '-bis [boronate (t-butyl) methylphosphino] ferrocene was observed. Thereafter, pyrrolidine was distilled off under reduced pressure, and the resulting crude crystals were dissolved in deaerated toluene, and the solution was passed through a short silica gel column. Toluene was distilled off under reduced pressure to obtain the orange title compound almost quantitatively (50 mg). This crystal was immediately used for the next complex preparation.
Similarly, instead of the methyl form, an ethyl form, n-propyl form, isopropyl form, n-butyl form, cyclopentyl form, or cyclohexyl form is produced.
[0039]
Example 3
Preparation of rhodium complexes
Under an argon atmosphere, (S, S) -1,1′-bis [(t-butyl) methylphosphino] ferrocene obtained in Example 2 was dissolved in degassed tetrahydrofuran (6 mL) to give bis (1,5-cyclohexane. Octadiene) rhodium (I) tetrafluoroborate (42 mg, 0.11 mmol) was added into a degassed tetrahydrofuran (6 mL) suspension (orange).
After stirring for 90 minutes, it was confirmed that the orange suspension became a transparent red solution, the reaction was completed, the reaction mixture was filtered under an argon atmosphere, and the filtrate was concentrated under reduced pressure. The obtained oil was washed with ether and dried under reduced pressure to obtain the objective rhodium complex almost quantitatively (86 mg) as an orange powder.
Similarly, instead of the methyl bisphosphinoferrocene ligand, a complex having an ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, cyclopentyl, or cyclohexyl ligand is prepared. To do.
[0040]
Example 4
Catalytic asymmetric hydrosilylation reaction (1)
Under an argon atmosphere, add the rhodium complex obtained in Example 3 (3.2 mg, 0.005 mmol), freshly distilled tetrahydrofuran (1 mL) and acetophenone (60 mL, 0.5 mmol) into a 20 ml Schlenk tube and cool to −20 ° C. did.
Next, 1-naphthylphenylsilane (160 mL, 0.75 mmol) was added and stirred at −20 ° C. until acetophenone disappeared. 1N Hydrochloric acid (3 mL) was added to the reaction mixture, the mixture was stirred at room temperature for 2 hr, extracted with ether, the organic layer was washed with saturated brine, and dried over anhydrous sodium sulfate. The desiccant was removed, and the solvent was distilled off under reduced pressure, and the resulting oily product was purified by silica gel thin layer chromatography to obtain (S) -1-phenylethanol (59 mg, 96%, 92% ee) . The optical purity was determined by HPLC (Daicel CHIRALCEL OJ (trade name: Daicel Chemical Industries), 2-propanol: hexane = 1: 9). The naphthylphenylsilane used above was synthesized from phenyltrichlorosilane according to a known method.
[0041]
Example 5
Catalytic asymmetric hydrosilylation reaction (2)
(S) -1-phenylethanol was obtained from acetophenone in the same manner as in Example 4 using diphenylsilane instead of 1-naphthylphenylsilane. Yield 99%, 89% ee.
Example 6
In the same manner as in Example 4, various ketones were hydrosilylated to obtain corresponding alcohols. The results are shown in Table 1.
[0042]
[Table 1]
In the table:
a: All reactions were performed in THF at −20 ° C. Ketone: Rh: silane = 100: 1: 150
b: Isolation yield
c: Measured by HPLC using CHIRALCEL OJ (trade name: Daicel Chemical Industries) column (i-PrOH-hexane (1: 9))
d: Determined by optical rotation
e: Use diphenylsilane
f: Ceramospher Chiral RU-1 (trade name: Shiseido) column (i-PrOH-hexane (1: 9)) is used
g: Use i-PrOH-hexane (1:30)
i: CHIRALCEL OB (trade name: Daicel Chemical Industries) column (i-PrOH-hexane (1:30)) is used
j: CHIRALCEL OD-H (trade name: Daicel Chemical Industries) column (i-PrOH-hexane (1:19)) is used
[0043]
【The invention's effect】
The novel bisphosphine of the present invention is particularly useful as a ligand for transition metal complexes. The transition metal complex is useful as a catalyst for catalytic asymmetric synthesis reaction, particularly asymmetric hydrosilylation reaction, and is extremely useful industrially.
It will be apparent that the invention may be practiced otherwise than as particularly described in the foregoing description and examples. Many modifications and variations of the present invention are possible in light of the above teachings, and thus are within the scope of the claims appended hereto.
Claims (9)
R1 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R2 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物。General formula (1):
R 1 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 2 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
The 1,1'-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by these.
R1 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R2 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセンボラン錯体化合物。General formula (2):
R 1 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 2 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of aralkyl groups, wherein R 1 and R 2 are different from each other, or R 1 and R 2 are phosphorous to which they are bonded. (It may form an asymmetric ring with atoms)
A 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferroceneborane complex compound represented by the formula:
R1 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R2 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物を配位子として含有し、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属錯体であることを特徴とする遷移金属錯体。General formula (1):
R 1 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 2 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
It is a transition metal complex selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel, containing a 1,1'-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the formula: Transition metal complex.
MmLnXpSq
〔式中、
M はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属で、
L は一般式 (1):
R1 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R2 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物で、
X 及びS は
M=ロジウムのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=2 、q=0 で;
M=ルテニウムのとき、
(i) m=n=1 、X=アセチルオキシ基、p=2 、q=0 、
(ii) X= 塩素、S=トリアルキルアミノ基、m=n=2 、p=4 、q=1 又は
(iii) X=メチルアリル基、m=n=1 、p=2 、q=0 で;
M=イリジウムのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=2 、q=0 で;
M=パラジウムのとき、
(i) X=塩素、m=n=1 、p=2 、q=0 又は
(ii) X= p-アリル基、m=n=p=2 、q=0 で;
M=ニッケルのとき、X=塩素、臭素又は沃素、m=n=1 、p=2 、q= 0
である〕
で表される遷移金属錯体。General formula (3):
MmLnXpSq
[Where,
M is a transition metal selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel,
L is the general formula (1):
R 1 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 2 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by
X and S are
When M = rhodium, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = 2, q = 0;
When M = ruthenium
(i) m = n = 1, X = acetyloxy group, p = 2, q = 0,
(ii) X = chlorine, S = trialkylamino group, m = n = 2, p = 4, q = 1 or
(iii) X = methylallyl group, m = n = 1, p = 2, q = 0;
When M = iridium, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = 2, q = 0;
When M = palladium
(i) X = chlorine, m = n = 1, p = 2, q = 0 or
(ii) X = p-allyl group, m = n = p = 2, q = 0;
When M = nickel, X = chlorine, bromine or iodine, m = n = 1, p = 2, q = 0
Is)
The transition metal complex represented by these.
[MmLnXpSq]Yr
〔式中、
M はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びニッケルから成る群から選ばれた遷移金属で、
L は一般式 (1):
R1 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R2 は、C 1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基;鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有しているC 1 〜C 6 の直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基;あるいは鎖状又は環状アルキル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択された置換基を有している環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物で、
X 、S 及びY は
M=ロジウムのとき、X=1,5-シクロオクタジエン又はノルボルナジエン、Y=BF4 、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=p=r=1 、q=0 で;
M=ルテニウムのとき、
(i) X=塩素、臭素又は沃素、S=ベンゼン又はp-シメン、Y=塩素、臭素又は沃素、m=n=p=q=r=1 又は
(ii) Y=BF4、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=1 、p=q=0 、r=2 で;
M=イリジウムのとき、X=1,5-シクロオクタジエン又はノルボルナジエン、Y=BF4 、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=r=1 、p=1 、q=0 で;
M=パラジウムのとき、 Y=BF4、ClO4、PF6 又はBPh4、m=n=r=1 、p=q=0
である〕
で表される金属錯体含有触媒。General formula (4):
[MmLnXpSq] Yr
[Where,
M is a transition metal selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel,
L is the general formula (1):
R 1 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 2 is selected from the group consisting of a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group ; a linear or cyclic alkyl group, a halogen, an amino group, a nitro group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, and an aralkyl group. C 1 -C 6 linear or branched alkyl group having a substituent ; cyclic alkyl group ; or linear or cyclic alkyl group, halogen, amino group, nitro group, alkoxy group, alkylthio group, aryl group And a cyclic alkyl group having a substituent selected from the group consisting of an aralkyl group,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by
X, S and Y are
When M = rhodium, X = 1,5-cyclooctadiene or norbornadiene, Y = BF 4 , ClO 4 , PF 6 or BPh 4 , m = n = p = r = 1, q = 0;
When M = ruthenium
(i) X = chlorine, bromine or iodine, S = benzene or p-cymene, Y = chlorine, bromine or iodine, m = n = p = q = r = 1 or
(ii) Y = BF 4 , ClO 4 , PF 6 or BPh 4 , m = n = 1, p = q = 0, r = 2;
When M = iridium, X = 1,5-cyclooctadiene or norbornadiene, Y = BF 4 , ClO 4 , PF 6 or BPh 4 , m = n = r = 1, p = 1, q = 0;
When M = palladium, Y = BF 4 , ClO 4 , PF 6 or BPh 4 , m = n = r = 1, p = q = 0
Is)
The metal complex containing catalyst represented by these.
R1は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、
R2は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有し
ていてよい環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物のボラン錯体を脱ボラン錯化処理し、一般式 (1):
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物を得ることを特徴とする方法。General formula (2):
R 1 is a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group which may have a substituent, or a cyclic alkyl group which may have a substituent,
R 2 is a straight-chain or branched-chain alkyl group or may have a substituent cyclic alkyl group, the or C 1 -C 6 optionally having a substituent,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
A borane complex of a 1,1'-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by general formula (1):
And obtaining a 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the formula:
R1は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、
R2は置換基を有していてよいC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてよい環状アルキル基で、
R1とR2とは互いに異なるものであるか、あるいは、R1とR2とはそれらの結合するリン原子と一緒になり、非対称の環を形成していてよい)
で表される 1,1'-ビス(ジアルキルホスフィノ)フェロセン化合物とを反応させて、該光学活性なフェロセン化合物を配位子に含むように錯体形成せしめることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。Transition metal salts or complexes selected from the group consisting of rhodium, iridium, ruthenium, palladium and nickel, and a general formula (1):
R 1 is a C 1 to C 6 linear or branched alkyl group which may have a substituent, or a cyclic alkyl group which may have a substituent,
R 2 is a straight-chain or branched-chain alkyl group or may have a substituent cyclic alkyl group, the or C 1 -C 6 optionally having a substituent,
R 1 and R 2 may be different from each other, or R 1 and R 2 may be combined with the phosphorus atom to which they are bonded to form an asymmetric ring)
And a 1,1′-bis (dialkylphosphino) ferrocene compound represented by the formula (1), to form a complex containing the optically active ferrocene compound as a ligand. Method.
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