JP4290043B2 - 量子計算装置及び方法並びに計算時間評価方法 - Google Patents
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Description
(非特許文献16)
すでに説明したように、R.P.Feynmanの考えた量子計算は、現在主流となっているD.Deutschの定式化した量子チューリング機械モデルより以前に考えられていたモデルである。Feynmanの量子計算は、計算という行為を可逆な過程として表現し、これを量子力学のユニタリー変換として実現するハミルトニアンを構成することに力が注がれでいる。これは、当時の研究が、計算操作をエントロピーの増大しない物理系で実現し、熱の発生を抑えることを目的としていたからと考えられる。そのため、計算効率については、それほど重要視されていない(D.Deutschの量子チューリング機械モデルでは、計算効率が重視されている)。この点を踏まえて、以下に、Feynmanの量子計算について、概略を述べる。
で表わされる。レジスターとして、n個のqubitを用意すると、その状態は次のように書き表される。
|xi〉(xi∈{0,1}, i=1,…,n)は、(1)で表わされるi番目のqubitの基底を表わしているとする。
という、一連のユニタリー変換を作用させるとする。例えば、V1 (1,2)は|x1〉と|x2〉の二つのqubitに作用する2-bit reversible exclusive-or gate、
であるとしてもよい(非特許文献7)。
ただし、{ci,ci †}=1、cici=ci †ci †=0 for i=0,…,mとする。H†=Hが成立していることに注意する。ci †ciは、プログラム実行番号用qubit部(系C)|yi〉に作用する生成、消滅演算子で、
をみたす。しかし、すでに説明したように、各qubitは個別に区別可能な粒子なので(同種粒子とは見なさない)、異なるqubitに作用する演算子は全て互いに可換とする。よって、
となる。Vi、Vi †は、すでに説明したように計算レジスター用qubit部(系R)に作用するユニタリー演算子である。
が時間発展する場合、プログラム実行番号用qubit部のケットベクトル|y0,…ym〉の、状態|1〉にあるqubitの総数は保存する。これは、Hの各項に、必ずqubitの生成、消滅演算子が一つずつ対になって含まれているからである。Hのこの性質は、VmVm-1…V1を順に作用させる際に、大切な役割を果たす。
を用意する。qubit全体を無限小時間Δtだけ発展させると、Hに含まれる項のうち実質的に作用できるのはc1 †c0V1の項だけなので、
となる。このような無限小時間発展を続けて行うと、
となる。ただし、ここで示した近似計算では、Δtの1次のオーダーまでしか取り込んでいない。
という状態は、もう一度、無限小時間発展
を作用させることによって、
に分かれる。このように、無限小時間発展
を繰り返し作用させることは、計算操作の前進と後退の両方を引き起こす。
この状態は、
の重ね合せと考えられる。ただし、V0=Iとしている。|iC〉はプログラム実行番号用qubit部で、
をみたすとする。|iC〉は、次のように、プログラム実行番号用qubit部で、ただ一つi番目のqubitが|1〉、他のqubitは全て|0〉という状態である。
Hの各項が作用して、プログラム実行番号用qubit部の|1〉の状態が左端から右端に動くにつれて、順次、Viが計算レジスター用qubit部に作用されていく。このように、(5)で与えられるハミルトニアンで記述される量子計算機では、実行プログラムの各ステップでの状感が重ね合わされているという特徴を持っている。
(非特許文献17)
送信者Aから受信者Bに、適当な通信路を使って、量子力学的な状態を信号として送り、情報のやり取りを行う場合を考える(図4の(i))。通信路において、外部の環境との相互作用によって、送信者Aからの量子力学的な状態が変化し、状態のコヒーレントな性質が損なわれた場合、送信者Aからの量子的な信号は雑音を受けたことになる。このように、外部の環境との相互作用によって信号となる量子力学的な状態が損なわれる通信系を、noisy quantum channel(量子雑音通信路)と呼ぶ。
とする。系Qの初期状態をρQ、系Eの初期状態をある純粋状態|0E〉〈0E|とする。結合系QEのユニタリー発展を表す演算子をUQE(UQE†UQE=I(ヘ゛クトル))。このとき、系Qの状態は次のように変化する。
TrEは、H(Hilbert)Eで部分的にトレースを取るという意味である。
に拡張した際、上記式もpositive semi-definiteであるという、complete positiveの性質を$Qは持つ。
1.全ての、trace-preserving,completely positive linear map $Qは、unitary representationを持つ。
C.H.Bennett, 'Logical Reversibility of Computation', IBM Journal of Research and Develeopment,17,525-532,(1973) 'The Themodynamics of Computation- a Review',Int.J.Thor.Phys.,21,pp.905-940,(1982) R.P.Feynman,'Feynman Lectures on Computation',Addison-Wesley Publishing Company,INC.(1996) P.Benioff,'Quantum Mechanical Models of Turing Machines That Dissipate No Energy',Phys.Rev.Lett.48,1581(1982) D.Deutsch, 'Quantum thory, the Church-Turing principle and the universal quantum computer', Proc.R.Soc.Lound. A 400, 97-117(1985) D.Deutsch,'Quantum computational networks',Proc.R.Soc.Lond.A 425,73-90(1989) A.Barenco, C.H.Bennett, R.Cleve, D.P.DiVincenzo, N.Margolus, P.Shor, T.Sleator, J.Smolin and H.Weinfurter, 'Elementary gates for quantum Computation', Phys. Rev. A 52,3457(1995) D.R.Simon, 'On the Power of Quantum Computation', in Proceedings of the 35th Annual Symposium on Foundations of Computer Science(ed.S.Goldwasser), IEEE Computer Society Press, Los Alamitos, CA, pp.116-123(1994) P.W.Shor,'Algorithms for quantum computation: Discrete logarithms and factoring',in Proceedings of the 35th Annual Symposium on Foundations of Computer Science(ed.S.Goldwasser), IEEE Computer Society, Los Alamitos, CA, pp.124-134(1994) P.W.Shor, 'Polynomial-Time Algorithms for Prime Factorization and Discrete Logarithms on a Quantum Computer', LANL quantum physics archive quant-ph/9508027, SIAM J.Computing 26(1997)1484 D.Deutsch and R.Jpzsa,'Rapid solution of problems by quantum computation', Proc.R.Soc.Lond.A(1992)439,553-558 L.K.Grover,'A fast quantum mechanical algorithm for database search', LANL quantum physics archive quant-ph/9605043 L.K.Grover, 'Quantum Mechanics Helps in Searching for a Needle in a Haystack', Phys.Rev.Lett.79,325(1997) M.Boyer, G.Brassard, P.Hφyer and A.Tapp, 'Tight bounds on quantum searching', LANL quantum physics archive quant-ph/9605034, Fortschr.Phys.46,493-506(1998) 細谷暁夫、「グローバーのアルゴリズム」、数理科学「特集、量子コンピュータ」、No.424,pp.29-35,1998年10月号、サイエンス社 R.P.Feynman,'Feynman Lectures on Computation', Section Six, 'Quantum Mechanical Computers', Addison-Wesley Publishing Company, INC.(1996) B.Schumacher,'Sending entanglement through noisy quantum channels,'Phys. Rev.A 54,2614(1996),LANL quantum physics archive quant-ph/9604023 C.H.Bennett, C.A.Fuchs and J.A.Smolin, 'Entanglement-Enhanced Classical Communication on a Noisy Quantum Channel', Quantum Communication, Computing,and Measurement, edited by Hirota et al., Plenum Press, New York, p.79(1997), LANL quantum physics archive quant-ph/9611006
各々個別に識別することが可能な二準位系または三以上の準位を持つ量子系であるqubitを複数個用意し、これらのqubitによってプログラム実行番号を表すための複数のqubitからなる第1qubit部と、計算レジスター用に使用される複数のqubitからなる第2qubit部とを構成し、これら2つのqubit部に属するqubit間の相互作用によって引き起こされるユニタリー時間発展によって、演算操作を行う量子力学的な状態を利用した演算手段と、
プログラム実行番号を表す前記第1qubit部を、適当な基底で観測する観測手段とを備える。
プログラム実行番号を表すための複数のqubitからなる第1qubit部と、計算レジスター用に使用される複数のqubitからなる第2qubitの、これら2つのqubit部に属するqubit間の相互作用によって引き起こされるユニタリー時間発展によって、量子力学的な状態を利用した演算操作を行う演算工程と、
前記第1qubit部を適当な基底で観測し、前記演算操作が終了したかどうかを識別する識別工程とを備える。
前記識別工程における、観測による計算終了の識別行為を、前記第1qubit部の初期状態を入力とし、この入力が、時間発展の間、別の系、すなわち、計算レジスター用qubit部との相互作用によってデコヒーレンスを受け、出力部であらかじめ定められた、正常に終了したことを示す状態を受信する量子雑音通信路と解釈して、前記のあらかじめ定められた正常に終了したことを示す状態を受信する確率を計算する確率計算工程と、
前気化区立計算工程により前記演算操作の終了のための全時間の期待値を求め、この期待値を最小にする、量子計算機の一回当たりの動作時間を評価する評価工程とを備える計算時間評価方法が提供される。
まず、実施形態の概要を述べる。本実施形態は、Feynmanの考えた量子計算機として、プログラム実行番号を表すqubit部分と、計算レジスター用に使用されるqubit部分を用意し、これらのqubit間の相互作用から生じるユニタリー時間発展により演算操作を行う際、プログラム実行番号を表すqubit部を、適当な基底で観測することで、計算操作が終了したかどうかを識別する。
ここで説明される内容は、複数のqubitによって、プログラム実行番号を表すためのqubit部と、計算レジスター用に使用されるqubit部を構成し、これらのqubit間の相互作用によって引き起こされるユニタリー時間発展によって、演算操作を行う量子計算機において、プログラム実行番号を表すqubit部を、適当な基底で観測することで、計算操作が終了したかどうかを識別し、計算操作が正常に終了したことを示す状態が観測されるまで、計算機内部の状態を初期化し、ある一定の時間、計算機内部の状態をユニタリー発展させ、プログラム実行番号qubit部を観測するという、一連の操作を繰り返す量子計算機、および、計算方法、についてである。
と書くことにする。|0C)=|1,0,…,0C〉はプログラム実行番号用qubit部の初期状態を、|φR〉は計算レジスター用qubit部の初期状態を表している。例えば、|mC)を観測する確率Pφは、時刻tでのプログラム実行番号用qubit部の密度演算子を、
として、
で表される。
とする。Aμ,φ Cは、|ψC〉について線形な演算子で、添え字φは計算レジスター用qubit部の初期状態|φR〉に依存することを示している。このAμ,φ Cを使えば、
ただし、
となり、ρCはKrausの表現で与えられることが分かる。
で与えられる。ただし、ここで、
を使った。Pφ(t)がtをパラメーターとする関数であることに注意する。τ- φを最小にするtを求めることができれば、計算時間を節約することができる。
ここで説明される内容は、qubitとして(1/2)-spinを用意し、プログラム実行番号qubit部と計算レジスター用qubit部の間の相互作用として、二つのスピンの内積による相互作用を利用することを特徴とする量子計算機、および、前記の量子計算機の構成方法において、否定ゲートを実行することを特徴とする量子計算機、および、計算方法に関するものである。
そこで、系CRの相互作用ハミルトニアンは次のように与えられる。
ただし、cc †、ccは系Cのqubitの生成、消滅演算子、bR †、bRは系Rのqubitの生成、消滅演算子で、H(Hilbert)C、H(Hilbert)Rの基底を、
と表示することにすると、
と表される。なお、αは実数としている。
ただし、ωC=μC/2,ωR=μR/2としていてる。
より十分弱い場合、スピン−スピン相互作用の項はx成分の積で近似できる(N.A.Gershenfeld and I.L.Chuang,'Bulk Spin Resonance Quantum Computation', Science,vol.275,p.350,January,1997,および、D.G.Cory, M.D.Price and T.F.Havel,'Nuclear magnetic resonance spectroscopy:an experimentally accessible paradigm for quantum computation',LANL quantum physics archive quantum -ph/9709001,および、北川勝浩、「NMR量子コンピュータ」、数理科学「特集、量子コンピュータ」、No.424,pp.43-50,1998年10月号、サイエンス社)。よって、ハミルトニアンは次の形で書き表せられる。
ただし、
となる。
をみたすので、ユニタリー発展演算子は、
ただし、
と分離することができる。このような場合、系Cの発展では、相互作用項ΔHが重要で、一体のハミルトニアンH0 C、H0 Rの効果は気にかけなくてよい。そのことを以下に説明する。
での密度演算子ρCRは、次のように発展する。
よって、系Cの発展を見ると、
と書き表せられる。この、(30)で定義される$C(ρC)は、ハミルトニアンとして相互作用項ΔHだけでなく、系Qの一体ハミルトニアンH0 Cも考慮されていることに注意する。また、これとは別に、相互作用項のみ考慮した、
を定義しておく。
とすると、{|i〉}はH(Hilbert)C上の正規直交基底を成す。$C(ρC)に対して、固有値λiが観測される確率は、
ただし、|i'C〉=U0 Q†|iC〉となる。
が得られる(Aμ,0 Cの添え字0は、系Rの初期状撃が|0R〉であることを示している)。cosτ=√xとすると、
ただし、
というKrausの表現が得られる。これは、One-Pauli noisy channelと呼ばれる量子通信の分野では良く研究されているモデルである。
計算終了を示す状態|1C〉を得る確率P0は、
で与えられる。計算終了時間の期待値は、
のように表される。
とすると、最も効率的にNot-gateが実行できて、実行時間の期待値は、
となる。
となる。このことを、以下に説明する。|φR〉を任意の状態、
とおくと、Krausの表現での演算子Aμ,φ Cは、
のように表される。従って、
が得られる。
ここで説明される内容は、プログラム実行番号qubit部には二準位系を、計算レジスター用qubit部には三準位系を使用し、qubit間の相互作用として、前記の二準位系の生成、消滅演算子と、三準位系の状態遷移演算子の結合した相互作用を利用し、1-bitの繰り上げを考慮した加算を実現する量子計算機、および、計算方法、に関するものである。
を取る。次の関係、
が成立する。
のように定義される。このとき、
より、S† μν=Sνμが成立する。
の粒子が存在する状態を|1C〉、存在しない状態を|0C〉として、系Cの粒子の吸収、放出によって、三準位系Rの準位が上がったり、下がったりする系を表していると理解すればよい(図3)。なお、(42),(43)で、二準位系Cの換わりに、輻射場(光子の場)と相互作用させたものは、Jaynes-Cummingsモデルと呼ばれ、1960年代から詳しく研究されている。Jaynes-Cummingsモデルについての包括的な解説として、B.W.Shore and P.L.Knight,1993,'Topical review:The Jaynes-Cummings model',J.mod.Optics,40,1195,がある。
(ここで、今の場合は、これまでの議論とは異なり、系Cの初期状態を|0C〉でなく、|1C〉と設定していることに注意する。)よって、|-R〉を'0'、|0R〉を'1'、|+R〉を'10'と解釈すると、ΔHは2進数の任意の1-bitに1を加える計算を行い、かつ、桁のくり上がりを表示するgateを実行すると考えられる。
を得る。特に、
とすると、[H0,ΔH]=0が成立し、相互作用項ΔHが重要で、H0の項は本質的でないことが示される。そこで、これより、議論を簡単にするため、(48)が成立する場合についてのみ考えることにする。
と分離することができる。さらに、
ただし、
とすれば、明らかに、[H0 C,H0 R]=0が成立するので、
と分離できる。よって、最終的に、
と分離される。U0 CとU0 Rは可換だが、UΔと、U0 C及びU0 Rは可換でないことに注意する。
での密度演算子ρCRは、
のように発展する。よって、系Cの発展について見ると、
と書ける。よって、第一の実施形態での考察と同様にして、エルミート演算子TCで表される物理量を観測する場合、$C(ρC)に対してU0 C†TCU0 Cを観測していると解釈すれば良いことが分かる。そこで、相互作用ハミルトニアンを表すΔH=κSx CSx Rの部分が本質的と考えることにする。
を具体的に求めることにする。H(Hilbert)Cの基底を
と表示することにする。また、H(Hilbert)Rの基底を
ただし、
と表示することにする。ここで、|+R〉と|1R〉、|-R〉と|-1R〉が異なる基底であることに注意する。これにより、
と表される。
となり、
ただし、
というKrausの表現が得られる。これは、、Two-Pauli noisy channelと呼ばれる量子通信の分野では良く研究されているモデルである。
計算終了を示す状態|0C〉を得る確率P0は、
で与えられる。計算終了時間の期待値は、
のように表される。よって、系Rの初期状態が|0R〉のとき、計算終了時間の期待値は(第一の実施形態)と同じで、図2のグラフに示したとおりとなる。
のように発展する。計算終了を示す状態|0C〉を得る確率P−は、
で与えられる。よって、計算終了時間の期待値は、
となり、τ- 0の場合と同様、図2のグラフのとおりとなる。
のように発展する。計算終了を示す状態|0C〉を得る確率P+は、
で与えられる。よって、計算終了時間の期待値は無限大となってしまう。
のように表す。
ここで説明される内容は、二つのスピンの内積による相互作用を利用する量子計算機において、(1/2)-spinとして、電子、核子等のフェルミオンのスピン、特に、固体中の電子、核子のスピン、高分子化合物中の核子のスピンを利用することを特徴とする量子計算機に関するものである。
ここで説明される内容は、二準位系の生成、消滅演算子と、三準位系の状態遷移演算子の結合した相互作用を利用する量子計算機において、二準位系として、電子等のフェルミオン、三準位系として、原子の基底状態、第一、第二励起状態、特に、電子を吸収、放出することによって、準位を変えるイオンを利用することを特徴とする量子計算機に関するものである。
Claims (16)
- 各々個別に識別することが可能な二準位系または三以上の準位を持つ量子系であるqubitを複数個用意し、これらのqubitによってプログラム実行番号を表すための複数のqubitからなる第1qubit部と、計算レジスター用に使用される複数のqubitからなる第2qubit部とを構成し、これら2つのqubit部に属するqubit間の相互作用によって引き起こされるユニタリー時間発展によって、演算操作を行う量子力学的な状態を利用した演算手段と、
プログラム実行番号を表す前記第1qubit部を、適当な基底で観測する観測手段と
を備えることを特徴とする量子計算装置。 - プログラム実行番号を表す前記第1qubit部を適当な基底で観測する前記観測手段の観測結果に基づいて、前記演算操作が終了したかどうかを識別する識別手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の量子計算装置。
- 前記演算操作が正常に終了したことを示す状態が前記第1qubit部で観測されるまで、計算機内部の状態を初期化し、ある一定の時間、計算機内部の状態をユニタリー発展させ、該第1qubit部を観測するという、一連の操作を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の量子計算装置。
- 前記qubitとして(1/2)-spinを用意し、前記第1qubit部と前記第2qubit部の間の相互作用として、2つのスピンの内積による相互作用を利用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の量子計算装置。
- 前記第1qubit部には二準位系を、前記第2qubit部には三準位系を使用し、該第1qubit部と第2qubit部の間の相互作用として、前記の二準位系の生成、消滅演算子と、三準位系の状態遷移演算子の結合した相互作用を利用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の量子計算装置。
- 前記演算手段が、否定ゲートを実行することを特徴とする請求項4に記載の量子計算装置。
- 1-bitの繰り上げを考慮した加算を実現することを特徴とする請求項5に記載の量子計算装置。
- (1/2)-spinとして、電子、核子等のフェルミオンのスピン、特に、固体中の電子、核子のスピン、高分子化合物中の核子のスピンを利用することを特徴とする請求項4又は6に記載の量子計算装置。
- 二準位系として電子等のフェルミオン、三準位系として、原子の基底状態、第一、第二励起状態、特に、電子を吸収、放出することによって、準位を変えるイオンを利用することを特徴とする、請求項5又は7に記載の量子計算装置。
- プログラム実行番号を表すための複数のqubitからなる第1qubit部と、計算レジスター用に使用される複数のqubitからなる第2qubitの、これら2つのqubit部に属するqubit間の相互作用によって引き起こされるユニタリー時間発展によって、量子力学的な状態を利用した演算操作を行う演算工程と、
前記第1qubit部を適当な基底で観測し、前記演算操作が終了したかどうかを識別する識別工程とを備えることを特徴とする量子計算方法。 - 前記演算操作が正常に終了したことを示す状態が前記第1qubit部で観測されるまで、前記2つのqubit部の状態を初期化し、ある一定の時間、該2つのqubit部の状態をユニタリー発展させ、該第1qubit部を観測するという、一連の操作を繰り返すことを特徴とする請求項10に記載の量子計算方法。
- qubitとして(1/2)-spinを用意し、プログラム実行番号qubit部と計算レジスタ用qubit部の間の相互作用として、二つのスピンの内積による相互作用を利用することを特徴とする請求項10又は11に記載の量子計算方法。
- 前記第1qubit部には二準位系を、前記第2qubit部には三準位系を使用し、該第1qubit部と第2qubit部の間の相互作用として、前記の二準位系の生成、消滅演算子と、三準位系の状態遷移演算子の結合した相互作用を利用することを特徴とする請求項10又は11に記載の量子計算方法。
- 前記演算工程において、否定ゲートを実行することを特徴とする請求項12に記載の量子計算方法。
- 1-bitの繰り上げを考慮した加算を実現することを特徴とする請求項13に記載の量子計算方法。
- 請求項11の量子計算方法における計算時間評価方法であって、
前記識別工程における、観測による計算終了の識別行為を、前記第1qubit部の初期状態を入力とし、この入力が、時間発展の間、別の系、すなわち、計算レジスター用qubit部との相互作用によってデコヒーレンスを受け、出力部であらかじめ定められた、正常に終了したことを示す状態を受信する量子雑音通信路と解釈して、前記のあらかじめ定められた正常に終了したことを示す状態を受信する確率を計算する確率計算工程と、
前気化区立計算工程により前記演算操作の終了のための全時間の期待値を求め、この期待値を最小にする、量子計算機の一回当たりの動作時間を評価する評価工程とを備えることを特徴とする計算時間評価方法。
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