JP4284093B2 - 超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波モータを駆動源とし、移動体を往復運動させる案内装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ上に焼き付けられたチップの顕微鏡検査は、顕微鏡装置に付属するXYステージ上にウェハを置き、検査者が希望の視野が得られるようXYステージを操作して目視検査する方法が一般的である。
【0003】
この種のXYステージの駆動源としては、従来、ステッピングモータまたはロータリーエンコーダ付きのサーボモータ等を用い、その回転運動をボールねじ等を介して直線運動に変換する形式のものが一般的であった。しかし、これらのモータを駆動源として用いた場合、その構造上XYステージをコンパクトにすることができず、これにより顕微鏡装置自体を小型化することが困難であった。
【0004】
そこで新たな駆動源として、図3に示したような、超音波モータを用いた案内装置が考案されている。この案内装置は、ベース基盤17に設置されたクロスローラガイド等の一対のガイド部材12と、この一対のガイド部材12によって一方向へ直線的に案内されるステージ11を有する。ベース基盤17上に配置された超音波モータ13は、ステージ11にガイド部材12と平行に固定された摩擦部材14に当接している。
【0005】
このように、超音波モータを用いた場合、駆動源を比較的コンパクトに設置することが可能となるので、案内装置全体を小型化することが容易になる。
【0006】
超音波モータとしては、従来より様々な構造が提案されているが、一例として図3に示すような構造が挙げられる。この超音波モータ13は圧電素子13bより構成される振動体13cと、振動体13cの端面に一体形成された摩擦部材13aとから構成される。モータを駆動させるには、所定の交流電圧を電極13dおよび導線13eを介して圧電素子13bへ印加する。交流電圧の印加によって圧電素子13bは振動し、その振動は摩擦部材13aへ伝達され、摩擦部材13aの先端が楕円軌道を描くよう設計されている。この時、摩擦部材13aが押し当てられている案内装置の摩擦部材14との間に発生する摩擦力により、摩擦部材13a先端の動きが伝達され、ステージを駆動することができる。
【0007】
超音波モータは上記のような、サーボモータ等には見られない特殊な動作を有するが、適切な制御を行うことにより、従来のモータと遜色無い駆動源として使用できることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際の半導体検査装置に用いられる案内装置においては、上記構成に比べ簡便な構成とした案内装置も使用されている。例えば、試料交換時のみに使用される搬送装置等がこれに相当する。これらは一般に上記XYステージに比べるとさほど精密な位置決めは要求されない。従って、通常はサーボモータあるいはパルスモータ等を、案内装置側の位置検出手段なしに単独で駆動させる、いわゆるオープンループ方式が採用されている。
【0009】
しかしながら、従来超音波モータを用いた案内装置の構成としては、上記に説明したような、リニアスケール等の位置検出手段を配置し、位置検出手段からの位置情報をフィードバックして超音波モータの駆動信号を制御するクローズドループ方式が一般的であり、位置情報をフィードバックせずにモータを駆動するオープンループ方式での使用は殆ど見られない。これは超音波モータが摩擦駆動方式であるため、重量の大きな案内装置を駆動する場合、静止摩擦力に抗するための駆動開始時にモータへ与える指令信号と、移動中の指令信号に大きな差があり、オープンループ方式では安定した駆動状態が得られにくいといった問題があるためである。また、超音波モータの摩擦部材13aおよび案内装置の摩擦部材14は駆動回数を経るにつれて徐々に摩耗するため、一定の駆動条件を得るために超音波モータへ与えるべき指令信号は装置の使用期間とともに経時変化する恐れもあった。
【0010】
また、最悪の場合、モータに過度な指令信号を与えることでモータが故障してしまう恐れもあった。
【0011】
従って、超音波モータを上記搬送装置等に適用した場合、設置寸法等の点で従来のパルスモータ等を用いた場合に比べ利点があるものの、クローズドループを構成するためのリニアスケール等の位置検出手段と専用のコントローラが必要となり、システム構成が複雑かつ高価となってしまう。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置は、
移動体を駆動する超音波モータと、
該超音波モータを駆動する制御電圧を出力する制御手段と、
前記移動体の可動範囲の両端に配置され移動体が達したことを検出して前記制御手段に出力する2つのリミットセンサと、
前記可動範囲内の特定の位置に配置され移動体が存在することを検出して前記制御手段に出力する少なくとも1つ以上の中間点センサとを有し、
前記移動体が、目標とする前記リミットセンサのいずれかに移動する命令に対し、予め、現在のリミットセンサ又は中間点センサの何れか1つの検出から他のリミットセンサ又は中間点センサの1つ又は複数を検出するまでの所要時間を計測し、該計測値を基準に、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させることを特徴とする超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置を提供する。
【0013】
ここで、制御電圧値を変化させる具体的方法としては、以下の(1)〜(3)の何れかのように制御している。
(1)制御電圧値を以下のように所定の割合で時間に比例して変化させる方法
例えば、以下の式のように制御する。
実際の制御電圧値=Vref+dV(T−T0)
Vref:オープンループ方式で超音波モータを駆動させる場合の制御電圧値
dV:タイマ周期毎の制御電圧値Vrefを増加、減少させる変化値
T0:異常終了するまでの制限時間
T:所要時間
(2)2次曲線的に変化させる方法
例えば、以下の式のように制御する。
実際の制御電圧値=Vref+dV(T−T0)2
(3)不連続で電圧を変化させる方法
例えば、T=mT0(m=1,2,3,・・・)の時刻において、制御電圧にdV値を加える。
実際の制御電圧値=Vref+dV[T/T0]
但し、[T/T0]はT/T0を超えない最大の整数を表す。この場合、dVは(1)で用いるものより大きな値でも良い。リミットセンサ間の距離が長い案内装置では、(1)や(2)の方法では制御電圧が大きくなりすぎる恐れがあるので、この方法の方が良い。
【0014】
また、前記所要時間が所定の制限時間を超えた場合、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させて目標とする前記リミットセンサに移動体を移動させることを特徴とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
さらに、前記移動体の移動方向に沿って、前記リミットセンサ又は中間点センサの検出電圧値を順次、S0、S1、... 、Snとし、前記移動体の移動方向に対する現在の移動体の位置Dで、前記制御手段が、
Sk ≦ D < Sk+1(0≦k≦n−1)
または
Sk−1 < D ≦ Sk(1≦k≦n)
となる検出電圧値Skを検出できない場合は、前記移動体を駆動する前に、以下の(a)〜(d)の処理により検出電圧値Skを検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。
(a)前記超音波モータに前記制御電圧値を出力する。
(b)前記検出電圧値Skが検出されるかを監視する。
(c)予め、前記リミットセンサ又は中間点センサ間を移動する所要時間Tを計測し、前記所要時間Tが(a)の処理から所定の制限時間T1の時間を超えた場合、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させる。
(d)前記検出信号Skを検出するまで(c)の処理を繰り返す。
【0016】
さらに、前記(c)の処理において、前記所要時間Tが所定の制限時間T1の時間内であり、かつ、前記制限時間T1が所定の制限時間T0を超えた場合、異常とみなして終了することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記移動体が停止している状態で、前記制御手段が前記検出信号Skを検出し、かつ、目標とする前記リミットセンサに移動体が到達していないと判断した場合、前記(a)〜(d)の処理後に、以下の(e)〜(g)の処理により前記超音波モータへ出力する前記制御電圧値としての基準制御電圧値を計測したことを特徴とする。
(e)前記検出信号Skの検出状態を監視する。
(f)(e)で前記検出信号Skを検出した場合に、前記超音波モータへ出力する制御電圧値を所定の割合で変化させる。
(g)前記移動体が始動して検出信号Skが検出されない瞬間の前記超音波モータに出力する制御電圧値の絶対値を基準制御電圧値とする。
【0018】
また、前記移動体が特定のリミットセンサ又は中間点センサの1つを通過する所要時間T2を予め計測し、該所要時間T2が所定の制限時間T’以内である場合、前記超音波モータへ前記基準制御電圧値に設定することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置に用いられるコントローラ内部でのソフトウェア処理フローチャートを示した図である。また、図2は本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置の構成を示した図である。
【0020】
本発明においては、リニアスケール等の精密な位置検出手段を用いず、簡便な装置構成によりオープンループ方式で超音波モータを安全に使用した案内装置を提供するものである。
【0021】
本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置の一例として、図2に示した1軸のステージ装置を説明する。このステージ装置は、ベース基盤17に設置されたクロスローラガイド等の一対のガイド部材12と、この一対のガイド部材12によって一方向へ直線的に案内されるステージ11を有する。また、ベース基盤17上には超音波モータ13が配置され、この超音波モータ13は、ステージ11にガイド部材12と平行に固定された摩擦部材14に当接している。
【0022】
さらに、ベース基盤17には2つのリミットセンサ15a、15eおよび3つの中間点センサ15b、15c、15d(以下、あわせて「センサ」というときもある。)の計5個の光学センサが一列に設置されている。なお、この中間点センサ15b、15c、15dは3つで構成されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つでも構わないし、3つ以上でも良い。
【0023】
このセンサ15a〜15eの検出部をステージ11側に設置された遮光板16が遮ることで、ステージ11が該当するセンサ15a〜15eの検出範囲内に存在することを検出できる。
【0024】
このステージ装置に要求される動作は、2つのリミットセンサ15a、15e間の単純な往復運動のみとした。なお、ステージ11の移動方向として、リミットセンサ15aからリミットセンサ15eの方向に向かって移動する場合を「プラス方向」、リミットセンサ15eからリミットセンサ15aの方向に向かって移動する場合を「マイナス方向」と呼ぶことにする。
【0025】
また、ステージ装置にはコントローラ21が接続されている。コントローラ21は、超音波モータ13を駆動するため、超音波モータ13に対し出力信号としての制御電圧22を印加する。さらに5つのセンサからの検出信号23を受け取り、ステージ11の現在位置を検出する。
【0026】
制御電圧22の絶対値および符号は、それぞれ超音波モータ13の駆動力および駆動方向を決定する。また、コントローラ21には記憶手段としてのメモリ24が実装されており、メモリ24には以下に示す6個のパラメータVref,dV,T0,T1,T2が格納されている。
【0027】
Vref:オープンループ方式で超音波モータを駆動させる場合の制御電圧値
dV:タイマ周期毎の制御電圧値Vrefを増加、減少させる変化値
T0:異常終了するまでの制限時間
T1:隣接する各センサ間を移動体が移動する制限時間
T2:中間点センサS1〜S3の1つを遮光板が通過する所要時間
なお、VrefおよびdVはいずれも正数値である。また、ステージ11をマイナス方向へ移動させる場合は−符号を付けて使用する。
【0028】
さらに、コントローラ21には時間を計測するためのタイマ25が内蔵されており、時間T0〜T2との比較判断を実現する。実際の制御プログラムでは、処理の簡略化のため一定の周期でカウンタを計数し、カウンタ値を使った時間判定を行うことが多い。以下の例においても、パラメータT0、T1,T2はいずれもタイマカウンタの周期単位の値としてある。
【0029】
本発明におけるステージ装置の具体的な動作手順を図1に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、各手順を簡単のため図中の記号Pによって略記する。また、5つのセンサ15a〜15eの信号の状態は、コントローラ21内部でソフトウェア変数として処理される。以下の説明においては、この変数をXとし、Xはステージがセンサ15aよりセンサ15eに移動する伴ってS0〜S4の5種類(それぞれセンサ15a〜15eを検出した状態)、および0(いずれのセンサも非検出の状態)の計6種類の値を取り得るものとする。
【0030】
なお、以下で説明する動作は「リミットセンサ15aへの移動」すなわち状態S0の検出を目的とする。もう一方のリミットセンサ15eへの移動は各手順での移動方向に関する記述や制御電圧の符号が逆になるだけで以下の説明内容とまったく同様であるので説明は省略する。
【0031】
はじめに、P001でメモリからパラメータVref、dV、T0、T1、T2を読み込む。次いでP002において現在の各センサの検出状態を確認する。この時点で既にS0を検出していれば(P004、P007)移動の必要はないのでそのまま正常終了とする(P009)。S0〜S4のいずれの状態も検出できなかった場合(P005)、ステージ11の位置を特定するため次の[ステップA]の手順を実行する。一方、いずれかの状態(但しS0以外)を検出している場合(P006)は、[ステップB]の手順を開始する。
[ステップA]の手順
[ステップA]に入る前に、まず現在のステージ11の位置に最も近いいずれかのセンサ15a〜15eを検出する。ここでは、ステージ11をマイナス方向へ移動させながら、ステージ11の現在位置Dに対して
Sk ≦ D < Sk+1(0≦k≦3)
となるセンサ状態Sk を検出する。但し、ステージ11をプラス方向に移動させる場合には
Sk−1 < D ≦ Sk(1≦k≦n)
となるセンサ状態Sk を検出する。
【0032】
そして、ステップAになり、まず、超音波モータ13に制御電圧−Vrefを印加して駆動させ(P101)、ステージ11をマイナス方向へ移動させる。同時にタイマをスタートし、移動開始からの所要時間Tを計測する(P102)。以後、タイマ周期毎にセンサ15b〜15dの検出状態を監視し(P103、P104)、隣接するいずれかのセンサ15b〜15dを検出した場合には、その時点で制御電圧Vrefをゼロにして一旦ステージを停止させる(P105)。
【0033】
いずれかのセンサ15b〜15dを検出しない場合(P106)、制限時間T1を経過しても、いずれのセンサ15b〜15dも検出できない場合(P107)、超音波モータ13の駆動力不足が想定されるので、現在の制御電圧に−dVを加算して処理を継続する(P108)。さらに制限時間T0を経過した場合(P109)、直ちに停止し、異常終了(P902)とする。
【0034】
制限時間T1以内である場合はP103、P104、P106を繰り返し、いずれかのセンサ15b〜15dを検出した場合(ここではS0〜S4のいずれか)、ステージ11を停止し、S0が検出されない場合には、次の[ステップB]へ進む(P006)。特にS0を検出している場合は目標位置へ到達したので正常終了(P009)する。
[ステップB]の手順
[ステップB]においては、オープンループ駆動時の制御電圧値Vrefを更新して基準制御電圧値とする。上述の通り、超音波モータ13は移動体を動かす摩擦部材の摩耗等によって駆動力が経時変化するため、最適な駆動力を得るための制御電圧も変動する。従って、常に最新の駆動条件を把握するために本ステップを実行する必要がある。
【0035】
制御電圧をゼロからタイマ周期毎に−dVずつ変化させながら、センサの検出状態を監視する(P202、P203、P204)。[ステップB]の開始時点で検出していたセンサがOFF(変数Xの値が0)になった瞬間の制御電圧の絶対値を新しいVrefとしてメモリ24に記憶する(P205)。[ステップA]と同様、制限時間T0を経過してもセンサの検出状態が変化しなかった場合(P206)は異常終了(P902)とする。
【0036】
図4は、上述の[ステップB]におけるVrefの測定方法を模式図により説明したものである。センサ15を検出してステージ11が停止している状態(図中(a) の状態)から、遮光板16が完全にセンサ15より外れるまで(図中(c)の状態)の間、一定割合で制御電圧を増加させる。制御電圧値とステージ11の速度の変化を示したグラフに見られるように、制御電圧値が低い状態においてはステージ11は全く動かず、ある電圧を超えたあたりから急に動き始めることがわかる。これは上述の通り摩擦駆動方式特有の現象で、このステージが動き始めるまでの状態を超音波モータの「不感帯」と呼んでいる。
【0037】
この不感帯はモータの負荷(ステージ11の重量など)や摩擦部材の接触面状態により変化する。ステージ11を安定して移動させるには、制御電圧値を少なくともこの不感帯を上回る領域に設定しなければならない。しかしながら、オープンループ方式ではステージ11の位置を正確にすることが不可能であるため、通常不感帯を測定することができない。本発明ではこの[ステップB]の手順によってその概略値を測定し、制御電圧値を決定することができる。
【0038】
なお、遮光板16の幅がセンサ15の検出範囲に比べて大きい場合、センサ15を通過するのに要する時間が長くなり、結果として制御電圧値を過大に測定してしまう可能性がある。従って、遮光板16の寸法を適切に調整する必要がある。通常、その幅をセンサ15の検出幅と概略同程度の寸法とするのが望ましい。
【0039】
以上の手順によりVref値を更新したら制御電圧をそのまま維持して、次の[ステップC]へ進む。
[ステップC]の手順
[ステップC]においては、各センサ間をステップBで測定した適切な制御電圧値の絶対値で、最終目標のリミットセンサ15a(状態S0)を検出するまで移動させる。
【0040】
まず、各センサ15b〜15e間の通過に要した所要時間Tを計測するため、タイマをスタートさせた後(P301)、タイマ周期毎にセンサ15b〜15eの検出状態を調べる(P302,P303)。そして、次のセンサ15b〜15eを検出した場合(P304)、それが最終目標のS0であるなら(P305)正常終了(P009)とし、それ以外なら(P306)[ステップD]へ進む。制限時間T1’(T1’は隣接する各センサ間を移動体11が移動する制限時間と定義するが、これに限定されるものではなく、複数のセンサ間を通過する時間を定義しても良い)を経過してもいずれのセンサ15b〜15eも検出できなかった場合(P307)、それ以降タイマ周期あたりdVの割合で制御電圧の絶対値を増加させる(P308)。また、制限時間T0経過してもセンサの検出状態が変化しなかった場合(P309)は異常終了(P902)とする。
[ステップD]の手順
[ステップD]においては、[ステップC]で検出したセンサを通過(検出中のセンサがOFFになるまで移動)するまでの時間を計測し、現在の制御電圧を調節する。
【0041】
まず、時間計測のためのタイマをスタートする(P401)。タイマ周期毎のセンサの検出状態を調べ(P402、P403)、現在検出しているセンサがOFF(いずれのセンサも検出されない状態)になるまでの時間を調べる。仮に、この所要時間T’が制限時間T2以下の場合は、制御電圧の絶対値を基準制御電圧値Vrefに戻す(P406)。前項[ステップC]ではP308を繰り返すことにより制御電圧を過大に増加させてしまう可能性がある。このステップDはこの過大電圧に対する補正処理を行う。すなわち、ステージ11の移動速度を抑えることで、目標位置での急激な停止に伴うステージ機構の破損や摩擦部材の異常摩耗を防止する。
【0042】
[ステップC]および[ステップD]は、最終目標のS0を検出するまで交互に繰り返されることになる。
【0043】
なお、上記説明では省略したが、[ステップB]や[ステップC]において、必要以上に制御電圧を増加させないよう、適宜、制限時間T0、T1の値を調整する必要がある。また、場合によっては、制御電圧値の絶対値の上限を設定しておき、上限に達した場合はそれ以上のdV加算を実行しないようなアルゴリズムを用いても良い。
【0044】
さらに、上記説明ではVrefやdV値を移動方向に関係なく共通の値として用いるものと扱っているが、これらを移動方向別のパラメータとして管理しても良い。この方法は、例えば上下動を実現するZ軸ステージなど、移動方向によって駆動力に大きな違いが生じることが予想されるステージ装置等に適用する場合に有効である。
【0045】
また、上記説明では中間点センサ3個を直線上に配置して用いた案内装置についてのみ記述しているが、移動限界を検出するためのリミットセンサ、及び少なくとも1つ以上の中間点センサより構成される限り、センサの配置状態は本発明の主旨をまったく限定しない。例えば、信頼性を高めるためにセンサ個数を多くして各センサ間の距離を短くしても良い。望ましくは、できる限り各センサ間の距離が極端に離れないよう配置すべきである。センサ間の距離が長くなると、制限時間の設定が困難になり、安定した駆動条件を得ることが難しくなる恐れがある。なお、装置の設計上、センサ15a〜15e間の距離を均等にできない場合は、例えば制限時間T0,T1,T1’,T2,T2’を各センサ15a〜15e及びセンサ15a〜15e間毎に固有のパラメータとして管理する等の方法で対処することができる。
【0046】
さらに、上記説明ではコントローラ21内でセンサ15a〜15eの状態を個々のセンサ15a〜15eのON/OFFと一対一で対応させて管理しているが、例えば、複数のセンサ15a〜15eの信号状態を読み取り、その論理和あるいは論理積として管理しても良い。こうすることで、少ない個数のセンサでより正確な移動制御を実現することもできる。
【0047】
【実施例】
上記ステップA〜Dの手順に基づいてステージを駆動させた場合のステージ速度の変動を図6に示した。図中には比較実験として、制御電圧を一定で駆動させた場合の挙動も併せて示した。ここで各パラメータの値は、
Vref=1600mV(実験開始時点での値)
dV=50mV
T0=5000msec
T1=1000msec
T2=500msec
とし、タイマ周期は10msecとした。また、比較実験における一定制御電圧の値は本実験開始時点でのVrefの値と同じ1600mVとした。
【0048】
実験は、ステージを2つの中間点センサ15d,15c間に停止させた状態からリミットセンサ15aへ移動させる動作を1000回繰り返した。
【0049】
本発明では、1000回繰り返した後も正常に動作を実行しているのに対して、比較実験の例では1000回目においてステージが途中で停止している。
【0050】
ステージ停止位置を本発明の方法による動作のデータと対比すると、1000回目の略同じ位置で急激な速度変動が見られる。これは、摩擦部材の表面状態が摩耗により局所的に変化し、該当の箇所で駆動性能が劣化したため、その前後と同じ制御電圧では駆動力が不足して停止したものと考えられる。
【0051】
通常、比較実験のように超音波モータを単にオープンループ方式で駆動させると、このような摩擦部材の経時変化に対応できず、比較実験の例のように異常停止を引き起こす可能性がある。
【0052】
しかし、本発明によれば、摩擦部材の局所的な劣化による駆動力停止を検出可能である。具体的には、上記実験において15c→15bへの移動時、駆動力不足により速度が低下し、制限時間T1を下回ったため、制御電圧値を一時的に増加することで継続して駆動する(図2の[ステップC]手順を実行)。この時点で制御電圧値はやや過大となり、ステージ速度も異常検出前に比べ大きくなっているが、次いでセンサ15bを検出した時点で[ステップD]の手順を実行することで適正な制御電圧に戻されている。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体検査用顕微鏡等に用いられる、超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置において、精密な位置検出手段を追加せずにオープンループ駆動で信頼性の高い動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置に用いられるコントローラ内部でのソフトウェア処理フローチャートを示した図である。
【図2】本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置の構成を示した図である。
【図3】本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置に用いる超音波モータの構造を示した図である。
【図4】本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置を移動するための超音波モータ制御電圧を測定する方法を説明した図である。
【図5】本発明と従来の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置の駆動特性を比較した図である。
【符号の説明】
11…ステージ
12…ガイド部材
13…超音波モータ
13a…摩擦部材
13b…圧電素子
13c…振動体
13d…電極
13e…導線
14…摩擦部材
15…光学センサ
15a…リミットセンサ
15b…中間点センサ
15c…中間点センサ
15d…中間点センサ
15e…リミットセンサ
16…遮光板
17…ベース基盤
21…コントローラ
22…超音波モータ制御信号
23…センサ信号
24…メモリ
25…タイマ
Claims (5)
- 移動体を駆動する超音波モータと、
該超音波モータを駆動する制御電圧を出力する制御手段と、
前記移動体の可動範囲の両端に配置され移動体が達したことを検出して前記制御手段に出力する2つのリミットセンサと、
前記可動範囲内の特定の位置に配置され移動体が存在することを検出して前記制御手段に出力する少なくとも1つ以上の中間点センサとを有し、
前記移動体が、目標とする前記リミットセンサのいずれかに移動する命令に対し、予め、現在のリミットセンサ又は中間点センサの何れか1つの検出から他のリミットセンサ又は中間点センサの1つ又は複数を検出するまでの所要時間を計測し、該計測値を基準に、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させ、前記所要時間が所定の制限時間を超えた場合、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させて目標とする前記リミットセンサに前記移動体を移動させることを特徴とする超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。 - 前記移動体の移動方向に沿って、前記リミットセンサ又は中間点センサの検出電圧値を順次、S0、S1、... 、Snとし、前記移動体の移動方向に対する現在の移動体の位置Dで、前記制御手段が、
Sk ≦ D < Sk+1(0≦k≦n−1)
または
Sk−1 < D ≦ Sk(1≦k≦n)
となる検出電圧値Skを検出できない場合は、前記移動体を駆動する前に、以下の(a)〜(d)の処理により検出電圧値Skを検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。
(a)前記超音波モータに前記制御電圧値を出力する。
(b)前記検出電圧値Skが検出されるかを監視する。
(c)予め、前記リミットセンサ又は中間点センサ間を移動する所要時間Tを計測し、前記所要時間Tが(a)の処理から所定の制限時間T1の時間を超えた場合、前記超音波モータへの制御電圧値を変化させる。
(d)前記検出信号Skを検出するまで(c)の処理を繰り返す。 - 前記(c)の処理において、前記所要時間Tが所定の制限時間T1の時間内であり、かつ、前記制限時間T1が所定の制限時間T0を超えた場合、異常とみなして終了することを特徴とする請求項2に記載の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。
- 前記移動体が停止している状態で、前記制御手段が前記検出信号Skを検出し、かつ、目標とする前記リミットセンサに移動体が到達していないと判断した場合、前記(a)〜(d)の処理後に、以下の(e)〜(g)の処理により前記超音波モータへ出力する前記制御電圧値としての基準制御電圧値を計測して成る請求項2に記載の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。
(e)前記検出信号Skの検出状態を監視する。
(f)(e)で前記検出信号Skを検出した場合に、前記超音波モータへ出力する制御電圧値を所定の割合で変化させる。
(g)前記移動体が始動して検出信号Skが検出されない瞬間の前記超音波モータに出力する制御電圧値の絶対値を基準制御電圧値とする。 - 前記移動体が特定のリミットセンサ又は中間点センサの1つを通過する所要時間T2を予め計測し、該所要時間T2が所定の制限時間T’以内である場合、前記超音波モータへ前記基準制御電圧値に設定することを特徴とする請求項4に記載の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置。
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