JP4282974B2 - 符号量制御装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号を所定データレートに符号化する際に用いる符号量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
映像信号を符号化して記録あるいは伝送する際には、符号化データの発生符号量を所定データレートに保つことが望まれる。その手法の一つであるMPEG−2規格の符号化方式では、仮想的なバッファを定義し、この仮想バッファ占有量に応じて量子化の行程で直交変換データを除算する際の係数である量子化ステップを制御することで符号化の後に発生する符号量が目標量に近付くように制御する符号量制御装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図2に従来例の符号量制御装置のブロック図を示す。図2において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、205は符号量計測手段、206は目標量入力端子、207は予定量算出手段、208は誤差量算出手段、209は量子化ステップ設定手段、210は量子化ステップ記憶手段である。
【0004】
以上のように構成された従来の符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0005】
映像信号は所定ブロック単位に直交変換された後に直交変換データ入力端子201より入力される。この直交変換データは、設定された量子化ステップに従い量子化手段202で量子化され、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。また、この符号化データは符号量計測手段205にも入力され、その発生符号量が計測される。
【0006】
予定量算出手段207は目標量入力端子206から入力された目標量に基づき予定符号量を求め、誤差量算出手段208において予定符号量と発生符号量の差分量を求める。量子化ステップ設定手段209は、仮想的なバッファを定義することで、この誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて各処理ブロックにおける量子化ステップを算出する。ここで、目標量をT、ピクチャ内の処理ブロック数をMB、既に符号化された(j−1)番目までの処理ブロックの発生符号量をB[j−1]、仮想バッファの初期値をd0とした時、(j−1)番目までの予定符号量はT・(j−1)/MB、差分量はB[j−1]−T・(j−1)/MBと計算され、j番目のバッファ占有量d[j]および量子化ステップQ[j]は以下のように求められる。
【0007】
d[j]=d0+B[j−1]−T・(j−1)/MB (1)
Q[j]=31・d[j]/r (2)
rは量子化ステップの応答速度を制御する係数であり、データレートをBr、映像信号の1秒間に含まれるピクチャ数をPrとした時、(式3)により与えられる。
【0008】
r=2・Br/Pr (3)
ピクチャ内の全ての処理ブロックの符号化が終了した時点で、仮想バッファ占有量d[j]を量子化ステップ記憶手段210に保持し、次のピクチャの仮想バッファ占有量の初期値d0として用いることでピクチャ間で連続した量子化ステップの制御を行うことができる。このように、目標量と発生符号量との差分値をフィードバックさせることで、ピクチャの目標量と発生符号量を一致させる制御を行うことができる。ここでは、簡単のため仮想バッファが1種類の場合について説明したが、ピクチャタイプ毎に仮想バッファを設定し、仮想バッファ占有量を管理することで量子化ステップをピクチャタイプ毎に制御するのが一般的である。
【0009】
以上のようにして、映像信号を符号化した際の発生符号量を目標量に制御することができる。
【0010】
【特許文献1】
特許第2873781号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の構成では、映像の特性が変化した場合などに、応答速度rにより量子化ステップの変化量が制限されているために量子化ステップの変化が映像の特性の変化に追従できず、発生符号量と目標量に大幅なずれが生じてしまったり、発生符号量が大量に発生することで以降のピクチャの符号化に影響を及ぼす可能性があった。量子化ステップの変化量を大きくするために(式2)においてQ[j]を求める際に重み係数を乗算するという手法も検討されているが、量子化ステップを連続的に制御するには重み係数の算出に一定以上の精度が必要となり、回路で実現するには複雑な処理となってしまうといった問題があった。
【0012】
また、目標量に対し使用可能な最大符号量が十分に大きく、目標量に対して余分な符号量を使用すればピクチャ内の画質を均一にできる場合にも、発生符号量を目標量に近づけようとする一定のフィードバックが掛かることにより量子化ステップが変化し、ピクチャ内の画質が不均一となってしまう問題があった。
【0013】
また、ピクチャタイプ毎に仮想バッファを設定した場合、映像の特性の変化によりIピクチャで量子化ステップの変化が追従できず目標量に対して発生符号量が大量に発生した場合、次に符号化を行うPピクチャの仮想バッファは変化が発生する前の状態であることから、Iピクチャで行われた制御と同様にしてPピクチャにおいてもピクチャ内での量子化ステップの急激な変化が発生し、発生符号量が目標量を大きく超過してしまうという可能性があった。
【0014】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、簡単な構成で映像の特性が変化した際の影響を抑圧して、発生符号量が目標量から大きくずれないようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本願第1の発明の符号量制御装置は、予定符号量と発生符号量からピクチャ終了時点で発生する符号量の過不足量を推定し、その推定量により、量子化ステップの制御に用いる各ブロックの予定符号量と発生符号量の誤差量を積算する際に重み付けを行うことで、過不足量が多くなると量子化ステップが変化しやすくなり、発生符号量が目標量を大きく超過することを防止するものである。
【0016】
本願第2の発明の符号量制御装置は、発生符号量を基に目標量を制限することで各ブロックの予定符号量を制限し、発生符号量が当初の目標量を大きく超過することを防止するものである。
【0017】
本願第3の発明の符号量制御装置は、過不足量を基に目標量を制限することで各ブロックの予定符号量を制限し、発生符号量が当初の目標量を大きく超過することを防止するものである。
【0021】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出する第1の予定量算出手段と、前記目標量から処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する第2の予定量算出手段と、現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定する推定手段と、前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出する差分手段と、前記過不足量が大きくなるに従い大きい値をとる重み係数を前記差分量に乗算した第1の誤差量を算出する重み付け手段と、前記第1の誤差量を積算した第2の誤差量を算出する積算手段と、前記第2の誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備えた符号量制御装置である。
【0022】
また、上記発明に加えて、重み付け手段が、前記過不足量が予め設定したN個(Nは正数)の閾値により仕切られたどの領域に含まれるかによって、重み係数を切り換える符号量制御装置である。
【0023】
さらに、上記発明に加えて、前記所定数のブロックで1ピクチャが構成されており、前記ピクチャを動き補償予測を用いてIピクチャ、PピクチャまたはBピクチャという異なるピクチャタイプの何れかに符号化する際に用いる符号量制御装置であって、前記重み付け手段において、Bピクチャに用いる重み係数の増加量は、他のピクチャタイプよりも大きい変化量である符号量制御装置である。
【0024】
本発明の請求項4に記載の発明は、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、前記目標量と前記第1の発生符号量から残りのブロックに対する残目標量を算出する残目標量算出手段と、前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより、処理対象ブロックに対する予定符号量を算出する予定量算出手段と、前記第2の発生符号量と前記予定符号量の差分量を算出する差分手段と、前記差分量を積算し誤差量を算出する積算手段と、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備えた符号量制御装置である。
【0025】
また、上記発明に加えて、残目標量算出手段が、目標量から第1の発生符号量を減算することにより残目標量を算出する符号量制御装置である。
【0026】
さらに、上記発明に加えて、前記所定数のブロックで1ピクチャが構成されており、予定量算出手段が、前記ピクチャ間の特性の変化が大きい場合に残目標量から予定符号量を算出し、前記特性の変化が小さい場合には目標量から予定符号量を算出する符号量制御装置である。
【0027】
本発明の請求項7に記載の発明は、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出する第1の予定量算出手段と、残りのブロックに対する残目標量を算出する残目標量算出手段と、前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより、処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する第2の予定量算出手段と、前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定する推定手段と、前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出する差分手段と、前記差分量を積算し誤差量を算出する積算手段と、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備え、前記残目標量算出手段が前記目標量を前記残目標量の初期値とし、前記過不足量が所定値より大きい場合には前記第2の発生符号量を、前記過不足量が前記所定値よりも小さい場合には前記第2の予定符号量を、前記残目標量から選択的に減算することで前記残目標量を更新する符号量制御装置である。
【0028】
また、上記発明に加えて、残目標量算出手段が、設定された目標量を残りのブロック数に分配した符号量に所定の係数を乗算することで最大残量と最小残量を設定し、計算により求まる残目標量が前記最大残量以上となった場合は前記最大残量を前記残符号量として再設定し、最小残量以下となった場合は最小残量を前記残符号量として再設定する符号量制御装置である。
【0035】
以上の各本発明の符号量制御装置は、次のように動作する。
【0036】
すなわち、本発明では、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出し、前記目標量から処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出し、現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測し、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測し、前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定し、前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出し、前記差分量に前記過不足量が大きくなるに従い大きい値をとる重み係数を乗算した第1の誤差量を算出し、前記第1の誤差量を積算した第2の誤差量を算出し、前記第2の誤差量に基づき量子化ステップを設定する。
【0037】
また、本発明では、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測し、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測し、前記目標量と前記第1の発生符号量から残りのブロックに対する残目標量を算出し、前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより処理対象ブロックに対する予定符号量を算出し、前記第2の発生符号量と前記予定符号量の差分量を算出し、前記差分量を積算し誤差量を算出し、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する。
【0038】
また、本発明では、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測し、処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測し、前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出し、残りのブロックに対する残目標量を算出し、前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出し、前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定し、前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出し、前記差分量を積算し誤差量を算出し、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定し、
前記残目標量算出手段が前記目標量を前記残目標量の初期値とし、前記過不足量が所定値より大きい場合には前記第2の発生符号量を、前記過不足量が前記所定値よりも小さい場合には前記第2の予定符号量を、前記残目標量から選択的に減算することで前記残目標量を更新する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明および本発明に関連する発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における符号量制御装置のブロック図を示す。図1において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、205は第1の符号量計測手段、206は目標量入力端子、207は第1の予定量算出手段、209は量子化ステップ設定手段、210は量子化ステップ記憶手段、101は推定手段、102は第2の符号量計測手段、103は第2の予定量算出手段、104は差分手段、105は重み付け手段、106は積算手段である。
【0044】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0045】
映像信号は所定ブロック単位に直交変換された後に直交変換データ入力端子201より入力される。この直交変換データは、設定された量子化ステップに従い量子化手段202で量子化され、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。また、符号化データは第1の符号量計測手段205および第2の符号量計測手段102に入力され、第1の符号量計測手段205では処理を行った全ブロックの発生符号量である第1の発生符号量を計測し、第2の符号量計測手段102では処理対象ブロックの発生符号量である第2の発生符号量を計測する。
【0046】
第1の予定量算出手段207および第2の予定量算出手段103は目標量入力端子206から入力された目標量に基づき、それぞれ第1の予定量算出手段207は処理を行った全ブロックに対する第1の予定符号量を算出し、第2の予定量算出手段103は処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する。
【0047】
次に、推定手段101は、第1の予定符号量と第1の発生符号量からピクチャ内の全ブロックに対する処理が終了した時点で発生する符号量の目標量に対する過不足量を推定する。過不足量の推定について、第1の予定符号量と第1の発生符号量の差分量(以降、第1の差分量とする)の推移を示す図3を用いて説明を加える。図3の横軸は処理ブロック数、縦軸は第1の差分量の絶対値を示しており、破線301はピクチャ内の全ブロック数を示している。まず、全ブロックの処理終了時点で3つの閾値X1、X2、X3を設け、過不足量をA、B、C、Dの4つの領域に分ける。この説明では3つの閾値を設ける場合について説明するが、本発明において閾値を3個数に限定するものではない。
【0048】
次に、それぞれの閾値に対する初期オフセット値m1、m2、m3を与える。ここで、これらの初期オフセット値は、ピクチャ内の先頭ブロック付近の処理を行う際に、僅かな差分量で領域間を飛び越えて不安定となってしまう現象を抑えるための所定の値である。こうして設定した閾値と初期オフセット値を用いて、例えば、(表1)に示す条件によって、第1の差分量から、過不足量がどの領域に到達するかを推定する。
【0049】
【表1】
図3中の第1の差分量の推移を示す実線302は、徐々に差分量が増加している状態を示しており、P1では領域Aに、P2では領域Bに過不足量が到達すると推定することができる。
【0050】
次に、差分手段104では、第2の発生符号量と第2の予定符号量とを用いてブロック毎の差分量(第2の差分量とする)を求める。重み付け手段105は、過不足量の推定結果を用いて、過不足量が大きくなるに従い大きい値をとる重み係数を第2の差分量に乗算して第1の誤差量を算出する。積算手段106は、この第1の誤差量を積算して第2の誤差量を算出し、量子化ステップ設定手段209に出力する。重み付け手段105の重み付けにより、第2の差分量が同じであっても、過不足量が大きい状態となった場合にはより大きな値をフィードバックすることができ、量子化ステップの追従性を高めることができる。また、この重み付けは積分値としてフィードバックされるため、高い精度は要求されず、例えば、(表2)に示すようにビットシフト演算で可能な2のべき乗となる値を用いても十分な効果を得ることができ、回路として実現する場合にも有用である。
【0051】
【表2】
さらに、複数ピクチャ毎に動き補償予測を用いて符号化する場合、処理対象のピクチャが他のピクチャにより参照されないピクチャについて、(表3)に示すように重み係数の増加分を大きくすることで、他のピクチャへ影響することなく、発生符号量の抑圧効果を高めることができる。
【0052】
【表3】
量子化ステップ設定手段209は、仮想的なバッファを定義することで、第2の誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて各処理ブロックにおける量子化ステップを算出する。ここで、目標量をT、ピクチャ内の処理ブロック数をMB、j番目の処理ブロックに対する第2の発生符号量をBs[j]、仮想バッファの初期値をd0、j番目の処理ブロックに対する重み係数をαとした時、第2の予定符号量はT/MB、(j−1)番目の差分量はBs[j−1]−T/MBと計算され、j番目のバッファ占有量d[j]は以下のように求められる。
【0053】
d[j]=d[j−1]+(Bs[j−1]−T/MB)・α (4)
(ここで、d[0]=d0、Bs[0]=0)
量子化ステップQ[j]は、(式4)により算出されたd[j]を従来例の(式2)に適応することで求めることができる。量子化ステップ記憶手段210に保持する仮想バッファ占有量d[j]は、(式4)もしくは従来例の(式1)により求まる値のいづれか一方を用いることとなるが、(式4)は急激な変化を起こした後であるため、(式1)の値を用いる方が安定した動作を行うことができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態1によれば、予定符号量と発生符号量からピクチャ終了時点で発生する符号量の過不足量を推定し、過不足量が大きい場合に量子化ステップの追従性を高めることで、発生符号量が目標量を大きく超過することを防止することができる。
【0055】
また、推定手段101において、過不足量を絶対値として評価したが、閾値を正と負の両方向に取り、それぞれに閾値を設定する構成としてもよい。
【0056】
また、過不足量の推定の例として図3および(表1)に示すように直線の式で領域分けを行ったが、図4に示すように処理ブロックの進行に対してステップ状の境界線を設けることで、さらに簡単な回路で実現することも可能である。
【0057】
(実施の形態2)
図5に本発明の実施の形態2における符号量制御装置のブロック図を示す。図5において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、205は第1の符号量計測手段、206は目標量入力端子、209は量子化ステップ設定手段、210は量子化ステップ記憶手段、501は残目標量算出手段、502は第2の符号量計測手段、503は予定量算出手段、504は差分手段、505は積算手段である。
【0058】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0059】
映像信号は所定ブロック単位に直交変換された後に直交変換データ入力端子201より入力される。この直交変換データは、設定された量子化ステップに従い量子化手段202で量子化され、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。また、符号化データは第1の符号量計測手段205および第2の符号量計測手段502に入力され、第1の符号量計測手段205では処理を行った全ブロックの発生符号量である第1の発生符号量を計測し、第2の符号量計測手段502では処理対象ブロックの発生符号量である第2の発生符号量を計測する。
【0060】
残目標量算出手段501は目標量入力端子206から入力された目標量から第1の発生符号量を減算することで、残目標量を算出する。この時、目標量を残りのブロック数に分配した符号量に所定の係数を乗算することで最大残量と最小残量を設定し、算出した残目標量が最大残量を越える場合には最大残量を残目標量として再設定し、算出した残目標量が最小残量より小さい場合には最小残量を残目標量として再設定する。この制限を設けることで、ピクチャの後半で予定符号量が極端に制限されることを防止することができる。
【0061】
予定量算出手段503は残目標量を残りの処理ブロック数で除算することで、処理対象ブロックに対する予定符号量を算出する。次に、差分手段504において第2の発生符号量と予定符号量とを用いてブロック毎に差分量を求め、積算手段505にてこの差分量を積算して誤差量を算出する。
【0062】
量子化ステップ設定手段209は従来例の説明と同様にして、仮想的なバッファを定義することで、誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて各処理ブロックにおける量子化ステップを算出する。
【0063】
第1の発生符号量が予定量より多く発生すると、残目標量が少なくなることで各ブロックに分配される予定符号量が制限されるため、予定符号量と第2の発生符号量の差分量が大きくなることでフィードバック効果が大きくなり、量子化ステップの追従性を高めることができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態2によれば、目標量と発生符号量から残目標量を算出し、残目標量から算出した予定符号量と各ブロックの発生符号量を比較するという簡単な構成により、当初に設定した目標量に対して発生する符号量が大きく超過することを防止する効果を発揮する。
【0065】
なお、残目標量算出手段501で残目標量を算出する際に、単に目標量から第1の発生符号量を減算する構成としたが、実施の形態1で説明した推定手段101により過不足量の推定を行い、過不足量に応じて減算量に重み付けを行うこともできる。
【0066】
また、予定量算出手段503が、残目標量から予定符号量を算出するか、目標量から予定符号量を算出するかを切り替えるスイッチを設け、予め入力される映像信号のピクチャ間の特性の変化が大きいと識別できた場合などに限り、強制的に発生する符号量を抑制する処理を適切な映像に対して使用することで、通常画質に影響を与えない構成とすることができる。
【0067】
(実施の形態3)
図6に本発明の実施の形態3における符号量制御装置のブロック図を示す。図6において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、205は第1の符号量計測手段、206は目標量入力端子、207は第1の予定量算出手段、209は量子化ステップ設定手段、210は量子化ステップ記憶手段、601は推定手段、602は残目標量算出手段、603は第2の符号量計測手段、604は第2の予定量算出手段、605は差分手段、606は積算手段である。
【0068】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0069】
映像信号は所定ブロック単位に直交変換された後に直交変換データ入力端子201より入力される。この直交変換データは、設定された量子化ステップに従い量子化手段202で量子化され、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。また、符号化データは第1の符号量計測手段205および第2の符号量計測手段603に入力され、第1の符号量計測手段205では処理を行った全ブロックの発生符号量である第1の発生符号量を計測し、第2の符号量計測手段603では処理対象ブロックの発生符号量である第2の発生符号量を計測する。
【0070】
第1の予定量算出手段207は目標量入力端子206から入力された目標量に基づき、処理を行った全ブロックに対する第1の予定符号量を算出する。推定手段601は、第1の予定符号量と第1の発生符号量からピクチャ内の全ブロックに対する処理が終了した時点で発生する符号量の目標量に対する過不足量を推定する。推定方法は実施の形態1で説明した方法で行うことができる。
【0071】
第2の予定量算出手段604は、残目標量算出手段602の出力する残目標量を残りのブロック数で除算することで、処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する。
【0072】
残目標量算出手段602は目標量入力端子206から入力された目標量を残目標量の初期値として、各ブロックの処理が終了する毎に推定した過不足量に基づき、過不足量が小さい場合には第2の予定符号量を減算し、過不足量が大きい場合には第2の発生符号量を減算することで、残目標量を更新する。この時、実施の形態2の説明と同様に目標量に基づき最大残量と最小残量を設定し、残目標量を制限する。
【0073】
次に、差分手段605は、第2の発生符号量と第2の予定符号量とを用いてブロック毎に差分量を求め、積算手段606にてこの差分量を積算して誤差量を算出する。
【0074】
量子化ステップ設定手段209は従来例の説明と同様にして、仮想的なバッファを定義することで、誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて各処理ブロックにおける量子化ステップを算出する。
【0075】
過不足量が大きくなると、残目標量が少なくなることで各ブロックに分配される第2の予定符号量が制限されるため、第2の予定符号量と第2の発生符号量の差分量が大きくなることでフィードバック効果が大きくなり、量子化ステップの追従性を高めることができる。
【0076】
以上のように、本実施の形態3によれば、推定した発生符号量の過不足量により各ブロックに割り当てる第2の予定符号量を制限することで、当初に設定した目標量に対して発生する符号量が大きく超過することを防止する効果を発揮する。また、映像信号の特性に変化がなく過不足量が大きくならないピクチャの場合は、第2の予定符号量が制限されないため、適応的に量子化ステップを急激に変化させる処理をオフすることができる。
【0077】
なお、残目標量算出手段602で残目標量を算出する際に、過不足量に基づいて第2の予定符号量と第2の発生符号量を選択的に減算して残目標量を更新する構成としたが、第2の予定符号量と第2の発生符号量の重み付け平均を減算することで残目標量を更新する構成としてもよい。
【0078】
(実施の形態4)
図7に本発明に関連する発明の実施の形態4における符号量制御装置のブロック図を示す。図7において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、701は誤差量入力端子、702は量子化ステップ設定手段、703は最大ステップ入力端子、704は量子化ステップ制限手段、705は係数制限手段である。
【0079】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0080】
誤差量入力端子701には、目標量と符号化により発生した符号量を管理することで生成した誤差量が入力される。この誤差量は、例えば実施の形態1から3に示した方法により算出されるものである。
【0081】
量子化ステップ設定手段702は、仮想的なバッファを定義することで、誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて第1の量子化ステップを算出する。ここで、設定された目標量に対して処理するピクチャが複雑である場合、第1の量子化ステップは機器の仕様として決められた最大ステップを超える値が算出される場合がある。そこで、量子化ステップ制限手段704は、最大ステップ入力端子703から入力される最大ステップと第1の量子化ステップを比較し、第1の量子化ステップが最大ステップを越えない場合は第1の量子化ステップを第2の量子化ステップとし、最大ステップを越える場合は最大ステップを第2の量子化ステップとして出力する。
【0082】
量子化手段202は、第2の量子化ステップに基づき直交変換データ入力端子201から入力される直交変換データを量子化する。係数制限手段705は、前記第1の量子化ステップと前記第2の量子化ステップが異なる場合に、例えば第1の量子化ステップと第2の量子化ステップの差分量に応じて、量子化手段202の出力する量子化データの非ゼロ係数を高域係数からゼロに設定することで発生する符号量を制限する。
【0083】
係数制限手段705により高域係数が制限された量子化データは、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。
【0084】
以上のように、本実施の形態4によれば、誤差量から算出した第1の量子化ステップが機器の仕様として決められた最大ステップを超えた場合にも、量子化を最大ステップで実施しつつ、第1の量子化ステップを反映した符号量の削減を実現でき、目標量に対する発生符号量の超過を抑制する効果を発揮する。
【0085】
なお、係数制限手段705による係数の制限方法は、単に非ゼロ係数を高域係数からゼロに設定する方法に限定したものではなく、例えば量子化データの中でレベルの小さい係数からゼロにするといった方法でも、発生する符号量を制限する効果を発揮することができる。
【0086】
(実施の形態5)
図8に実施の形態5の符号量制御装置のブロック図を示す。図8において、201は直交変換データ入力端子、202は量子化手段、203は可変長符号化手段、204は符号化データ出力端子、205は符号量計測手段、206は目標量入力端子、207は予定量算出手段、208は誤差量算出手段、209は量子化ステップ設定手段、210は量子化ステップ記憶手段、801は推定手段、802は最大許容量入力端子、803は誤差量補正手段である。
【0087】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0088】
映像信号は所定ブロック単位に直交変換された後に直交変換データ入力端子201より入力される。この直交変換データは、設定された量子化ステップに従い量子化手段202で量子化され、可変長符号化手段203において可変長符号を用いて符号化することで符号化データに変換され、符号化データ出力端子204から出力される。また、符号化データは符号量計測手段205にも入力され、その発生符号量が計測される。
【0089】
予定量算出手段207は目標量入力端子206から入力された目標量に基づき予定符号量を求め、誤差量算出手段208において予定符号量と発生符号量の差分量を求める。
【0090】
次に、推定手段801は、予定符号量と発生符号量からピクチャ内の全ブロックに対する処理が終了した時点で発生する符号量の目標量に対する過不足量を推定する。推定方法は実施の形態1で説明した方法で行うことができる。
【0091】
誤差量補正手段803は、最大許容量入力端子802から入力される最大許容量、推定手段801で推定した過不足量および目標量を用い、例えば(表4)に示すように、目標量を最大許容量で除算した値に過不足量の領域による重み付けを行うことで補正係数を生成し、予定符号量と発生符号量の差分量に乗算することで誤差量を生成する。
【0092】
【表4】
(表4)に示す例では、目標量を超える最大許容量が与えられた場合にのみ補正係数が1.0以下の値となる領域が発生する。最大許容量が小さい場合には、補正係数が1.0となるため、量子化ステップの変化を緩やかにする効果はオフされ、従来例もしくは実施の形態1から4で示した符号量制御を行うことで、過不足量を抑制することができる。
【0093】
量子化ステップ設定手段209は、誤差量補正手段803から出力される誤差量を基に量子化ステップを算出する。
【0094】
以上のように、本実施の形態によれば、最大許容量が小さい場合には目標量に対する発生符号量の超過を抑制する処理を有効にし、最大許容量が十分に大きい場合にのみ量子化ステップの変化を緩やかにし、ピクチャ内の画質を均一にするといった効果を発揮することができる。
【0095】
なお、目標量を最大許容量で除算した値に過不足量の領域による重み付けを行うことで補正係数を生成する例を用いて説明したが、本発明に関連する発明は、補正係数の生成方法を(表4)に示す方法に限定するものではなく、最大許容量が十分に大きい場合に1.0以下となる補正係数を与えることができれば、他の算出方法を使用しても同様の効果を発揮することができる。
【0096】
また、誤差量補正手段803は、各ブロック毎にそのブロックに対する補正係数を生成し、処理ブロックに対する発生符号量と予定符号量との差分量に補正係数を乗算し、積算することで誤差量を算出する構成としてもよい。
【0097】
(実施の形態6)
図9に本発明に関連する発明の実施の形態6における符号量制御装置のブロック図を示す。図9において、209は量子化ステップ設定手段、210aは第1の量子化ステップ記憶手段、210bは第2の量子化ステップ記憶手段、901は誤差量入力端子、902は量子化ステップ出力端子、903は安定度識別手段、904は初期値調整手段である。
【0098】
以上のように構成された符号量制御装置について、以下その動作を説明する。
【0099】
誤差量入力端子901には、目標量と符号化により発生した符号量を管理することで生成した誤差量が入力される。この誤差量は、例えば実施の形態1から3に示した方法により算出されるものである。
【0100】
量子化ステップ設定手段209は、仮想的なバッファを定義することで、誤差量から仮想バッファ占有量を算出し、その占有量に応じて量子化ステップを算出し、量子化ステップ出力端子902に出力する。
【0101】
安定度識別手段903は、ピクチャ内の量子化ステップの変化量を監視し、例えばピクチャ内の量子化ステップの開始値と終了値の差を基に安定度情報を生成する。
【0102】
ピクチャ内の全ての処理ブロックの符号化が終了した時点の仮想バッファ占有量は、ピクチャタイプ毎にイントラ符号化ピクチャの場合には第1の量子化ステップ記憶手段210aに、動き補償予測を用いるピクチャの場合には第2の量子化ステップ記憶手段210bに保持される。この保持された仮想バッファ占有量は、新たに処理対象となったピクチャのピクチャタイプに合わせて使用され、こうして特性の異なるピクチャタイプ毎に量子化ステップの制御を行うことができる。この時、初期値調整手段904は、処理対象となったピクチャのピクチャタイプに合わせて第1の量子化ステップ記憶手段210aもしくは第2の量子化ステップ記憶手段210bに記憶した仮想バッファ占有量を選択し、さらに直前のピクチャの安定度情報を基に、安定度情報が安定状態を示している場合には選択した仮想バッファ占有量を、安定度情報が不安定状態を示している場合にはその度合いに応じて選択した仮想バッファ占有量を変換した値を量子化ステップ設定手段209に初期値として設定する。
【0103】
以上のように、本実施の形態6によれば、ピクチャタイプ毎に量子化ステップの制御を行っている場合に映像の特性が変化した際、ピクチャ内の符号量制御の安定度に合わせて、次に処理を行う異なるピクチャタイプのピクチャにおける量子化ステップの初期値を再設定することで、ピクチャタイプ毎にそれぞれ急激な量子化ステップの変動が発生することを防止することができ、発生符号量の安定化およびピクチャ内の画質の均一化に効果を発揮する。
【0104】
なお、説明では2つの量子化ステップ記憶手段を設けたが、ピクチャタイプの種類に合わせて量子化ステップ記憶手段を設ける構成とした場合にも、同様の処理を行うことができる。
【0105】
また、安定度情報を量子化ステップの変化量から求める構成としたが、目標量と発生符号量の誤差量から決定する構成としてもよい。
【0106】
本発明のプログラムは、上述した本発明の装置の各手段として、コンピュータを動作させるためのプログラムである。
【0107】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様である。
【0108】
また、記録媒体としては、ROM等が含まれる。
【0109】
又、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【0110】
以上の説明から明らかなように、本発明では、予定符号量と発生符号量から推定した過不足量に基づき量子化ステップの追従性を高めることで、発生符号量が目標量から大きくずれることを防止する効果を発揮する。また、発生符号量もしくは過不足量を基に目標量を制限することで各ブロックの予定符号量を制限し、発生符号量が目標量から大きくずれることを防止する効果を発揮する。さらに、機器の仕様の最大値を超える量子化ステップで量子化を実施して発生符号量を抑制したい場合に、機器の仕様の最大値を量子化ステップとして量子化処理を行った量子化データの高域係数を制限することで、機器の仕様を守りながらも発生符号量を抑制するという効果を発揮するものである。
本発明に関連する第1の発明の符号量制御装置は、機器の仕様の最大値となる量子化ステップで量子化を実施しても発生符号量が目標量を超過する場合に、演算過程で発生する機器仕様の最大値を超える仮の量子化ステップを用いて高域係数を制限することで、発生符号量を抑制するものである。
また、本発明に関連する第2の発明の符号量制御装置は、目標量と最大許容量が設定されている場合に、その最大許容量に応じてピクチャ内の量子化ステップの変化量を抑制し、ピクチャ内での画質の急激な変化を抑制するものである。
また、本発明に関連する第3の発明の符号量制御装置は、映像の特性が変化した場合にピクチャ内の量子化ステップの変化度合いに基づき次ピクチャの量子化ステップの初期値を再設定することで、次ピクチャにおいてピクチャ内での急激な量子化パラメータの変化を抑制するものである。
本発明に関連する第1の発明は、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、前記目標量と現時点までに符号化した発生符号量から第1の量子化ステップを設定する第1の量子化ステップ設定手段と、前記第1の量子化ステップを所定の最大ステップと比較し、前記最大ステップを越えない場合は前記第1の量子化ステップを第2の量子化ステップとし、前記最大ステップを越える場合は前記最大ステップを第2の量子化ステップとして出力する量子化ステップ制限手段と、入力される直交変換されたデータを前記第2の量子化ステップに基づき量子化する量子化手段と、前記第1の量子化ステップと前記第2の量子化ステップが異なる場合に前記量子化手段の出力する量子化データの高域係数を制限する係数制限手段とを備えた符号量制御装置である。
また、上記発明に加えて、係数制限手段が、第1の量子化ステップと第2の量子化ステップの差分量に応じて量子化データの非ゼロ係数を高域係数から所定数だけゼロに設定する符号量制御装置である。
本発明に関連する第2の発明は、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、前記目標量から予定符号量を算出する予定量算出手段と、符号化により発生した発生符号量を計測する符号量計測手段と、前記発生符号量と前記予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定する推定手段と、前記発生符号量と前記予定符号量の差分量を算出する誤差量算出手段と、予め設定された最大許容量が前記目標量に対して所定の割合以上の場合に前記過不足量に応じて1.0以下となる補正係数を生成し、前記差分量に乗算することで誤差量を生成する誤差量補正手段と、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備えた符号量制御装置である。
また、上記発明に加えて、誤差量補正手段が、各ブロックに対する発生符号量と予定符号量との差分量に補正係数を乗算した値を積算することで誤差量を算出する符号量制御装置である。
本発明に関連する第3の発明は、所定数のブロックからなるピクチャに対して設定された目標量と発生符号量の誤差量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、設定された量子化ステップの初期値に対して前記誤差量に基づく制御を加えることで量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段と、ピクチャに対する処理が終了した時点で前記量子化ステップの最終値を記憶する量子化ステップ記憶手段と、ピクチャ内の前記量子化ステップの変化量あるいは前記誤差量の少なくとも一方を用いてピクチャの安定度情報を求める安定度識別手段と、前記安定度情報を基に前記量子化ステップ記憶手段に記憶した最終値から次に処理を行うピクチャの前記量子化ステップの初期値を生成する初期値調整手段とを備えた符号量制御装置である。
また、上記発明に加えて、量子化ステップ記憶手段が、イントラ符号化ピクチャあるいは動き補償予測を用いるピクチャの少なくとも2種類以上の異なるピクチャタイプに対して独立して設けられた符号量制御装置であって、初期値調整手段が処理済ピクチャに対して求めた前記安定度情報をピクチャタイプの区別なく次に処理を行うピクチャに対して適用する符号量制御装置である。
また、本発明に関連する発明では、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
前記目標量と現時点までに符号化した発生符号量から第1の量子化ステップを設定し、前記第1の量子化ステップを所定の最大ステップと比較し、前記最大ステップを越えない場合は前記第1の量子化ステップを第2の量子化ステップとし、前記最大ステップを越える場合は前記最大ステップを第2の量子化ステップとして出力し、入力される直交変換されたデータを前記第2の量子化ステップに基づき量子化し、前記第1の量子化ステップと前記第2の量子化ステップが異なる場合に前記量子化データの高域係数を制限する。
また、本発明に関連する発明では、所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
前記目標量から予定符号量を算出し、符号化により発生した発生符号量を計測し、前記発生符号量と前記予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定し、前記発生符号量と前記予定符号量の差分量を算出し、予め設定された最大許容量が前記目標量に対して所定の割合以上の場合に前記過不足量に応じて1.0以下となる補正係数を生成し、前記差分量に乗算することで誤差量を生成し、前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する。
また、本発明に関連する発明では、所定数のブロックからなるピクチャに対して設定された目標量と発生符号量の誤差量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う場合、
設定された量子化ステップの初期値に対して前記誤差量に基づく制御を加えることで量子化ステップを設定し、ピクチャに対する処理が終了した時点で前記量子化ステップの最終値を記憶しておき、ピクチャ内の前記量子化ステップの変化量あるいは前記誤差量の少なくとも一方を用いてピクチャの安定度情報を求め、前記安定度情報を基に前記記憶した最終値から次に処理を行うピクチャの前記量子化ステップの初期値を生成する。
以上の説明から明らかなように、本発明に関連する発明では、目標量に対して十分に大きい最大許容量が設定されている場合に、ピクチャ内の量子化ステップの変化量を抑制することで、ピクチャ内の画質の均一化に効果を発揮する。また、ピクチャタイプ毎に独立して量子化ステップの制御を行う際にも、処理の終了したピクチャ内の符号量制御の安定度情報を基に異なるピクチャタイプの量子化ステップの初期値を再設定することにより、映像の特性が変化した際に各ピクチャタイプでそれぞれ急激な量子化ステップの変動が発生することを防止し、発生符号量の安定化およびピクチャ内の画質の均一化に効果を発揮する。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明によれば、簡単な構成で映像の特性が変化した際の影響を抑圧して、発生符号量が目標量から大きくずれないようにすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における符号量制御装置のブロック図
【図2】従来例における符号量制御装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における第1の予定符号量と第1の発生符号量の差分量の推移を示す第1の図
【図4】本発明の実施の形態1における第1の予定符号量と第1の発生符号量の差分量の推移を示す第2の図
【図5】本発明の実施の形態2における符号量制御装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態3における符号量制御装置のブロック図
【図7】本発明に関連する発明の実施の形態4における符号量制御装置のブロック図
【図8】本発明に関連する発明の実施の形態5における符号量制御装置のブロック図
【図9】本発明に関連する発明の実施の形態6における符号量制御装置のブロック図
【符号の説明】
101 推定手段
102 第2の符号量計測手段
103 第2の予定量算出手段
104 差分手段
105 重み付け手段
106 積算手段
201 直交変換データ入力端子
202 量子化手段
203 可変長符号化手段
204 符号化データ出力端子
205 第1の符号量計測手段
206 目標量入力端子
207 第1の予定量算出手段
209 量子化ステップ設定手段
210 量子化ステップ記憶手段
Claims (10)
- 所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、
前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出する第1の予定量算出手段と、
前記目標量から処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する第2の予定量算出手段と、
現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、
処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、
前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定する推定手段と、
前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出する差分手段と、
前記過不足量が大きくなるに従い大きい値をとる重み係数を前記差分量に乗算した第1の誤差量を算出する重み付け手段と、
前記第1の誤差量を積算した第2の誤差量を算出する積算手段と、
前記第2の誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備えたことを特徴とする符号量制御装置。 - 前記重み付け手段が、前記過不足量が予め設定したN個(Nは正数)の閾値により仕切られたどの領域に含まれるかによって、前記重み係数を切り換えることを特徴とする請求項1記載の符号量制御装置。
- 前記所定数のブロックで1ピクチャが構成されており、前記符号量制御装置は、前記ピクチャを動き補償予測を用いてIピクチャ、PピクチャまたはBピクチャという異なるピクチャタイプの何れかに符号化する際に用いる装置であり、
前記重み付け手段において、Bピクチャに用いる重み係数の増加量は、他のピクチャタイプよりも大きい変化量であることを特徴とする請求項1または2記載の符号量制御装置。 - 所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、
現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、
処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、
前記目標量と前記第1の発生符号量から残りのブロックに対する残目標量を算出する残目標量算出手段と、
前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより、処理対象ブロックに対する予定符号量を算出する予定量算出手段と、
前記第2の発生符号量と前記予定符号量の差分量を算出する差分手段と、
前記差分量を積算し誤差量を算出する積算手段と、
前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備えたことを特徴とする符号量制御装置。 - 前記残目標量算出手段が、前記目標量から前記第1の発生符号量を減算することにより前記残目標量を算出することを特徴とする請求項4記載の符号量制御装置。
- 前記所定数のブロックで1ピクチャが構成されており、前記予定量算出手段が、前記ピクチャ間の特性の変化が大きい場合に前記残目標量から前記予定符号量を算出し、前記特性の変化が小さい場合には前記目標量から前記予定符号量を算出することを特徴とする請求項4または5記載の符号量制御装置。
- 所定数のブロックに対して設定された目標量と符号化により発生した符号量を管理して量子化ステップを設定することにより符号量の制御を行う符号量制御装置であって、
現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の発生符号量を計測する第1の符号量計測手段と、
処理対象ブロックに対する第2の発生符号量を計測する第2の符号量計測手段と、
前記目標量から現時点までに符号化した全ブロックに対する第1の予定符号量を算出する第1の予定量算出手段と、
残りのブロックに対する残目標量を算出する残目標量算出手段と、
前記残目標量を残りの処理ブロック量で除算することにより、処理対象ブロックに対する第2の予定符号量を算出する第2の予定量算出手段と、
前記第1の発生符号量と前記第1の予定符号量から前記所定数のブロックに対する処理終了時に発生する前記目標量との過不足量を推定する推定手段と、
前記第2の発生符号量と前記第2の予定符号量の差分量を算出する差分手段と、
前記差分量を積算し誤差量を算出する積算手段と、
前記誤差量に基づき量子化ステップを設定する量子化ステップ設定手段とを備え、
前記残目標量算出手段が前記目標量を前記残目標量の初期値とし、前記過不足量が所定値より大きい場合には前記第2の発生符号量を、前記過不足量が前記所定値よりも小さい場合には前記第2の予定符号量を、前記残目標量から選択的に減算することで前記残目標量を更新することを特徴とする符号量制御装置。 - 前記残目標量算出手段が、設定された目標量を残りのブロック数に分配した符号量に所定の係数を乗算することで最大残量と最小残量を設定し、計算により求まる残目標量が前記最大残量以上となった場合は前記最大残量を前記残目標量として再設定し、最小残量以下となった場合は最小残量を前記残目標量として再設定することを特徴とする請求項4、5、6または7記載の符号量制御装置。
- 請求項1、4、7のいずれかに記載の符号量制御装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項9記載のプログラムを格納し、コンピュータにより処理可能なことを特徴とする記録媒体。
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