JP4277159B2 - 新規なテトラピロリル置換ポルフィリン及びその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポルフィリン誘導体及びその製造方法にに関する、より詳しくは、新規なテトラピロリル置換ポルフィリン及びその製法に関する。本発明の化合物は反応性の官能基を持つのでポルフィリン骨格が多数結合した分子ワイヤーとして利用可能な多量体を得るための、また、ポルフィリンが腫瘍に選択的に蓄積すること、置換基にアルデヒドを持ち、アルデヒド基はタンパクのアミノ基と還元アミノ化で結合するので、この反応を利用したタンパク質の検出、また、ポルフィリンの又はその感光色素(機能性)誘導体などの光励起エネルギーを利用するフォトダイナミックセラピー等として有用な前駆体を提供する。
【0002】
【従来の技術】
ポルフィリン化合物は、自然界において、光合成を行なうクロロフィル、酸素運搬体であるヘモグロビン、分子状酸素を活性化し物質の代謝を行なうチトクロームP−450などの活性中心として存在し、それぞれ重要な機能を果たしている。従って多年にわたり、これら酵素系の機能を解明するために、金属ポルフィリン錯体が様々な手法で研究されてきている。
合成及び変形に多様性があることから、多くのメゾ置換テトラアリールポルフィリン類が合成され、これらを生物学的プロセスのモデル物質、触媒、機能性染料、造影剤、制ガン剤、抗ウイルス剤等の研究分野において利用されてきた。
メゾ−アリール置換化合物類の中でも、ピリジル、又はイミダゾリルのような複素環芳香族類は、メタル配位超分子の(自己)組織的集合体の形成の組立ブロック類を提供できるために、多くの関心が寄せられている。
【0003】
また、多年にわたりフォトダイナミックセラピーの治療材料としてもポルフィン誘導体が使用されており、臨床例も幾つか報告されている。この場合、体内に取込まれるまでに前述したように溶解性の点で非常に遅く、治療に要する時間がかかり患者に負担がかかるといった欠点がある。ポルフィン誘導体が水溶性である場合には、極めて優れた治療効果が期待できる。さらに、ポルフィリン誘導体の金属錯体は有機合成反応触媒(選択的酸化剤、還元剤)としても種々検討されているが、溶解性が改善されることで応用範囲が飛躍的に広がる可能性がある。
溶解性を改良するためにはアルキル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基などの水溶性を向上させる基を持つ基をポルフィリンに導入する等の工夫が必要となる。従って、これらの多くの用途の分子設計が可能な基本ポルフィリン類の提供は技術的に多大の貢献をすることは明らかである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
他方、ピロリル置換基を持つポルフィリン類については、ポルフィリン骨格及び分子ワイヤーとして応用化の可能性の点から重要であるにもかかわらず、これらに関する報告はあまりない。
本発明の課題は、前記メソ位にピロリル置換基を持つ、分子中に8つのピロリル単位を含んポルフィリン類を提供すること及び該ポルフィリン類の製造方法を提供することである。
本発明者等は、酸触媒を用いて2,4−ジホルミルピロールとピロールとの1:1縮合を反応させると、両ホルミル基がポルフィリンマクロ環に取り込まれるようにすることができ、その結果、二種の混合N(ピロールのα位のみがメチン結合を介して結合するものと、及びピロールのα位とβ位とがメチン結合を介して結合するものの二種の結合もの)を有するポルフィリン類に相当する化合物A又はB
【0005】
【化10】
【0006】
を得ることができるとの予想をして、前記A及びBの合成実験をした。ところが、予想に反して、前記合成実験において単離された生成物は前記二種の混合Nを有するポルフィリン類ではなく、ポルフィリン環のメゾ位の全てがピロール基で置換したメゾ−テトラピロリルポルフィリン類(TPyrPs)、即ち前記式1で表される化合物類である、ホルミル基の一つだけが反応したものが得られることを発見した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、式1で表される全てのメソ位がピロール基で置換した金属又は金属フリーテトラピロリル置換ポルフィリン化合物である。
【0008】
【化11】
【0009】
〔式1中、Pyr1,Pyr2,Pyr3,及びPyr4は、全てが式2又は式3のピロール基であても、前記2種のピロールが混合したものであっても良く、式2又は式3の基から選択され基である。
但し、式2は
【0010】
【化12】
【0011】
(式2中、R1は、H又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、R2はH、ホルミル又は式4である。)
【0012】
【化13】
【0013】
(式3中、R1及びR2は、式2と同じ)〕
【0014】
【化14】
【0015】
本発明の第2は、式5で表されるピロールと
【0016】
【化15】
【0017】
式6で表されるジホルミルピロール化合物
【化16】
【0018】
(式6中Rは、H又は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
とを縮合反応させて式7の化合物を得、式7の化合物を遷移金属化合物又は酸触媒及びピロールの存在下で処理して前記式1の金属又は金属フリーテトラピロリル置換ポルフィリン化合物類を製造する方法である。
【0019】
【化17】
【0020】
〔式7中、Pyr’1,Pyr’2,Pyr’3,及びPyr’4は、全てが式8又は式9のホルミル基置換ピロール基であても、また前記2種のピロールが混合したものであっても良く、式8又は式9の基から選択される基である。
但し、式8は
【0021】
【化18】
【0022】
(式8中、R1は、H又は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
【0023】
【化19】
【0024】
(式9中、R1は、式8と同じ)〕
【0025】
好ましくは、金属フリーの前記式1化合物を得る反応系に酸を存在させることを特徴とする前記テトラピロリル置換ポルフィリン化合物類を製造する方法であり、より好ましくは、金属フリーの前記式1化合物を得る反応をトリフルオロ酢酸を存在させたピロール中で行うことを特徴とする前記テトラピロリル置換ポルフィリン化合物類を製造する方法である。
【0026】
【本発明の実施の態様】
本発明のをより詳細に説明する。
A.本発明の新規なポルフィリン類は、前記式5のピロールと式6ジホルミル置換ピロールを用いるところに特徴がある。
当該反応に用いる酸としては、ポルフィリン類の製造に用いられる、トリフロロ酢酸(TFA)、三弗化硼素、三弗化ホウ素エーテラート(BF3OEt2)、鉱酸で接触処理したモンモリロナイトなど挙げることができる。
また、金属フリーの前記式1ポルフィリン類を製造する際にピロール中に存在させる酸としても、前記酸類を用いることができる。
【0027】
【実施例】
実施例1
2,4-ジホルミルピロール誘導体テトラピロリルポルフィリン化合物類(α,β混合型ホルミルテトラピロリルポルフィリン化合物類)(2-H,3-H+4-H,5-H)ピロール(134mg,2mmol)及び2,4-ジホルミルピロール(246mg,2mmol)の混合物を酢酸(100mL)に溶かし、110℃で40分間撹拌した。溶媒を取り除いた後の残渣を3%メタノール−CH2Cl2溶液としてシリカゲル(ワコーゲルC-300)カラムクロマトグラフにかけてた。R1−値は、10%メタノール−CH2Cl2溶液としてメルク−型薄膜クロマトグラフィー(Merck-Type60TLC)で測定した。
【0028】
各化合物の物性
1.2-H:αβββ形ホルミルテトラピロリルポルフィリン化合物
R1=0.62;1HNMR(DMSO-d6,500MHz,50℃):δ(ppm)13.02(s,1H,pyrrole-NH),12.85(s,3H,pyrrole-NH),10.11(s,1H,β-CHO),9.89(s,3H,α-CHO),9.15(s,2H,βH)8.21(s,1H,pyrrole-αH),8.08(d,J=7.0 Hz,3H,pyrrole-αH),7.91(d,J=6.0Hz,3H,pyrrole-βH),7.39(s,1H,pyrrole-βH),-2.68(s,2H,inner-NH);UV/vis(DMF):λmax〔nm〕421,520,559,654;MALDI-TOF;M/Z=683.4(M++1)。
MALDI-TOF=Matrix-assited Laser Desorption Ionization-Time of Flight
2.3-H:αβαβ及び4-H:ααββ形ホルミルテトラピロリルポルフィリン化合物(2つの異性体は分離不可能である)
R1=0.58;1HNMR(DMF-d7,500MHz,20℃):δ(ppm)12.83(br,2H,pyrrole-NH),12.81(s,2H,pyrrole-NH),9.99(s,2H,β-CHO),9.76(s,2H,α-CHO),9.04(br,4H,βH)8.91(br,4H,βH),8.15(s,2H,pyrrole-αH),8.04(s,2H,pyrrole-αH),7.81(s,2H,pyrrole-βH),-2.83 or -2.85(s,2H,inner-NH)
3.5-H:α,α,α,β形ホルミルテトラピロリルポルフィリン化合物
R1=0.55;1HNMR(DMSO-d6,500MHz,27℃):δ(ppm)13.14(s,3H,pyrrole-NH),13.00(s,1H,pyrrole-NH),10.10(s,3H,β-CHO),9.89(s,1H,α-CHO),9.20(br,2H,βH)9.07(m,6H,βH),8.34(s,3H,pyrrole-αH),8.27(s,1H,pyrrole-αH),8.11(s,1H,pyrrole-βH),-2.79(br,2H,inner-NH)
【0029】
実施例2
N-メチル-2,4-ジホルミルピロール誘導体テトラピロリルポルフィリン化合物類(2-Me,3-Me,+4-Me)の製造。
実施例1と同様の方法で製造。シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、1%メタノール−CH2Cl2溶液を用いた。
得られた化合物の物性
1.2-Me:αβββ形N-メチル-2,4-ジホルミル-テトラピロリルポルフィリン化合物
R1=0.78;1HNMR(CDCl3,500MHz,27℃):δ(ppm)10.13(s,1H,β-CHO),9.93(d,J=3.5 Hz,α-CHO),9.13(m,6H,βH),8.84(s,2H,βH),7.80(m,pyrrole-αH),7.69(d,J=5.5Hz,3H,pyrrole-βH),7.50(s,1H,pyrrole-βH),4.37(s,9H,CH3),3.42(s,3H,CH3),-2.67(s,2H,inner-NH);UV/vis(DMF):λmax〔nm〕421,520,559,654;FABMS;m/z(%強度)=783.4(100,M+)。
2.3-Me:αβαβ,及び4-Me:ααββ形N-メチル-2,4-ジホルミル-テトラピロリルポルフィリン化合物
R1=0.71;1HNMR(CDCl3,500MHz,27℃):δ(ppm)10.15(m,2H,β-CHO),9.96(s,2H,α-CHO),9.17(m,4H,βH),8.89(s,4H,βH),7.83(s,4H,pyrrole-αH),7.71(S,2H,pyrrole-βH),4.39(s,6H,CH3),3.43(m,6H,CH3),-2.66 又は-2.71(br,2H,inner-NH)
【0030】
実施例3
N-イソプロピル-,4-ジホルミルピロール誘導体テトラピロリルポルフィリン化合物類(1-iPr,2-iPr,3-iPr,+4-iPr)の製造。
A.1-iPrの調製
2.4-ジホルミル-1-イソプロピルピロール(165mg,1.0mmol)及び当量のピロールのCHCl3(100mL)溶液に、三フッ化ホウ素エーテラート(BF3OEt2:12.6μL,0.10mmol)を加え、室温にて1時間撹拌する。次いで、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン)(170mg,0.75mmol)を加え、室温にて1時間撹拌する。紫色の生成物がシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離され(ワコーゲルC-200:Wakogel C-200,1%メタノール/CH2Cl2溶液として)、メタノール/CH2Cl2から再結晶して1-iPrを紫色の固体として得られる。収率20%。
1-iPr:ββββ形の物性
融点、>300℃;1HNMR(CDCl3,500MHz,27℃):δ(ppm)9.94(d,J=2.0 Hz,4H,CHO),9.13(s,8H,β-H),8.00(s,4H,pyrrolyl-αH),7.86(d,J=2.0 Hz,4H,pyrrolyl-βH)5.84(sept,J=6.5 Hz,4H,CH3),1.8(d,J=6.5 Hz,24H,CH3),-2.60(s,2H,inner-NH);13CNMR(CDCl3,125.65MHz,-50℃):δ(ppm)180.50(CHO),155.07,138.13,133.89(βC),131.41(pyrrole-αC),131.24(pyrrole-βC),130.48,127.66(βC),125.82,112.76,49.68(CH),23.87(CH3);IR(KBr):1662.82cm-1(v(C=O));UV/vis(CHCl3):λmax〔nm〕(ε×10-4)428.5(57),526.0(1.4),568.5(2.0),662.0(0.87)(スペクトル:図1);FABMS:m/z(%強度)=850.6(86,M+),851.7(100,M++1);HRMS(FAB):C52H51N8O4〔M++1〕:計算値851.4033;実測値851.4139;成分分析:C52H50N804H2:計算値:C,71.87;H,6.03;N,12.89.実測値:C,72.26;H,6.00;N,12.50.プロトン化1-iPr:UV/vis(1%TFA-CH2Cl2):λmax〔nm〕454.0,709.0
化合物の上面図2(a)、側面図2(b)
【0031】
B.2-iPr,3-iPr,+4-iPrの製造
2.4-ジホルミル-1-イソプロピルピロール(165mg,1.0mmol)及びSnCl2(379mg,1.0mmol)の酢酸(10ml)溶液に、ピロール(67mg,1mmol)を加え室温にて1時間撹拌する。DDQ(340.5mg,1.5mmol)を加え、30分撹拌する。溶媒を除去後フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck Type 60;1%メタノール/CH2Cl2)により三成分を分離する。第二フラクションをメタノール/CH2Cl2からの再結晶して紫色の2-iPr固体を得た。第三フラクションから3-iPr及び4-iPr(1:1)混合物を得た。
2-iPr:αβββ形の物性
1HNMR(CDCl3,500MHz,27℃):δ(ppm)10.17(s,1H,βCHO),9.94(d,J=1.0 Hz,1H,α-CHO),9.93(d,J=1.0 Hz,2H,α-CHO),9.13(m,6H,β-H),8.88(d,J=4.5 Hz,2H,β-H),8.00(s,1H,pyrrolyl-αH),7.98(s,2H,pyrrolyl-αH),7.97(d,J=2.0 Hz,1H,pyrrolyl-αH),7.86(d,J=2.0 Hz,1H,pyrrolyl-βH),7.84(d,J=2.0 Hz,2H,pyrrolyl-βH),7.49(d,J=2.0 Hz,1H,pyrrolyl-βH),5.82(sept,J=6.5 Hz,3H,CH),3.99(sept,J=6.5 Hz,1H,CH),1.80(d,J=6.5 Hz,6H,CH3),1.79(d,J=6.5 Hz,12H,CH3),1.27(d,J=6.5 Hz,6H,CH3),-2.59(s,2H,inner-NH);UV/vis(CHCl3):λmax〔nm〕428.5,525.0,565.5),658.0.
【0032】
3-iPr:αβαβ及び4-iPr:ααββ形の物性(2つの異性体は分離不可能である)
1HNMR(CDCl3,500MHz,27℃):δ(ppm)10.17又は10.16(s,2H,β-CHO),9.93又は9.92(d,J=2.0 Hz,2H,α-CHO),9.14(m,4H,β-H),8.89(m,4H,βH),7.97(m,4H,pyrrolyl-αH),7.97(m,4H,pyrrolyl-αH),7.84又は7.82(d,J=2.0 Hz,2H,pyrrolyl-βH),7.50又は7.47(d,J=2.0 Hz,2H,pyrrolyl-βH),5.81(m,2H,CH),3.95(m,2H,CH),1.77(m,12H,CH3),1.25(m,12H,CH3),-2.62又は-2.68(br,2H,inner-NH)
【0033】
実施例4
N-イソプロピル-テトラピロリルポルフィリンジピロメタン誘導体
1-iPr(17mg,0.02mmol)のピロール(2mL)溶液に、トリフロロ酢酸(TFA、6.2μL0.08mmol)を加え、室温で30分間撹拌する。少量のトリエチルアミン(Et3N)を加え、ピロールを蒸留により取り除く。青−緑色の生成物がシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakogel C-200)により分離される。
分析結果
1NNMR(2%Et3N/CDCl3,500 MHz,室温):δ(ppm)9.14(br,8H,dipyrrometane-pyrrole-NH),8.53(s,8H,βH),7.54(s,4H,meso-pyrrole-αH),6.90(s,4H,meso-pyrrole-βH),6.78(d,J=2.0 Hz,8H,dipyrrometane-pyrrole-αH),6.24(s,8H,dipyrrometane-pyrrole-βH),5.89(s,4H,dipyrrometane-meso-H),4.64(sept,J=6.5 Hz,4H,isopropyl-CH),1.53(d,J=6.5Hz,24H,isopropyl-CH3),-2.42(br,2H,inner-NH);UV/vis(CHCl3):λmax〔nm〕438.5,539.5,588.0,680.0);MALDI-TOF-MS:m/z=1315.8(M++1).化合物のプロトン化形:UV/vis(CH2Cl3):λmax〔nm〕454.5,767.5
【0034】
実施例5
N-イソプロピル-ホルミル-テトラピロリルポルフィリンのNi錯体
1-iPr(315mg,0.37mmol)のトルエン溶液に、ニッケルアセチルアセトン(190mg,0.74mmol)を加え、環流温度で0.75時間撹拌する。溶媒を塩基性アルミナカラムを通して濾過し、過剰のニッケル塩を取り除き、蒸発により溶媒を取り除く。メタノール/CH2Cl3から再結晶して赤色固体の化合物を収率94%で得た。
生成物の分析結果
1NNMR(CDCl3,500 MHz,27℃):δ(ppm)9.86(d,J=1.0 Hz,4H,CHO),8.99(s,8H,β-H),7.73(s,4H,pyrrole-αH),7.69(d,J=1.0 Hz,4H,pyrrole-βH),6.96(dd,4H,pyrrolyl-H),4.53(sept,J-2.0 Hz,4H,CH),1.69(d,J=6.5 Hz,24H,CH3);UV/vis(CH2Cl3):λmax〔nm〕429.0,538.0;FABMS:m/z(%強度)=906.4(93,M+),907.4(100,M++1).
【0035】
実施例6
N-イソプロピル-テトラピロリルポルフィリンNi錯体化合物7(実施例5で合成した化合物、請求項1における式1の化合物においてNiが配位し、Pyr1〜4はその分析値から、式2のR 1 がイソプロピル、R 2 がホルミルのピロール基である、テトラピロリル置換ポルフィリンである。)(235mg,0.26mmol)のピロール溶液に、TFA(19.9μL,0.26)を加え、室温において3時間撹拌する。少量のEt3Nを加え、ピロールを蒸留により取り除く。紫色の生成物がフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Merck Type 60)により分離される。メタノール/CH2Cl3から再結晶して紫色の固体の化合物(原料のホルミル基が H に置き換わった化合物)を収率46%で得た。
生成物の分析結果
1NNMR(CDCl3,500 MHz,室温):δ(ppm)9.08(d,J=3.0 Hz,8H,β-H),7.31(dd,4H,pyrrole-αH),7.12(dd,4H,pyrrole-αH),6.96(dd,4H,pyrrole-βH),4.53(sept,J=6.5 Hz,4H,CH),1.69(d,J-6.5 Hz,24H,CH3);UV/vis(CH2Cl3):λmax〔nm〕433.5,544.0;588.5(スペクトル、図3);FABMS:m/z(%強度)=794.4(100,M+).
【0036】
なお、前記ポルフィリン類はNiの他にZn、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Th、U、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ab、Au、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi等で置換したものとすることができることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、前記ポルフィリン類はそのまま、また、該ポルフィリンの持つ反応性基、N原子の遷移金属との配位特性などを利用した、多くの有用な化合物の合成に利用できるという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3の1-iPr:ββββ形のスペクトル
【図2】 実施例3の1-iPr:ββββ形の上面図(a)、側面図(b)
【図3】 実施例6のN-イソプロピル-テトラピロリルポルフィリンNi錯体のスペクトル
Claims (4)
- 式5で表されるピロールと
- 請求項1に記載の金属フリーの式1の化合物を得る反応系に酸を存在させることを特徴とする請求項2に記載のテトラピロリル置換ポルフィリン化合物類を製造する方法。
- 請求項1に記載の金属フリーの式1の化合物を得る反応をトリフルオロ酢酸を存在させたピロール中で行うことを特徴とする請求項3に記載のテトラピロリル置換ポルフィリン化合物類を製造する方法。
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