JP4269726B2 - Sliding member, crankshaft, and variable compression ratio engine - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動部材、この摺動部材を用いたクランクシャフト、およびこの摺動部材を用いた可変圧縮比エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、摺動部材における摩擦を低減するためには、摺動部材の摺動面に微細な窪み、凹面、溝などを形成することが行われている。
【0003】
このような窪み、凹面、溝などを摺動部材に形成する従来の技術は、形成たとえば、往復摺動を行うピストン/ボアのフリクション低減を目的として、摺動面において、摺動方向に対して深さを変化させた微細な凹部を形成したものがある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−235852号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の摺動部材は、クランクシャフトなどように、回転運動する摺動条件における摺動方向と直交する方向の微細形状に関しては、凹部や窪み、溝の深さが均一であるため、接触部内の油膜厚さ分布や油膜保持能力に応じた最適化が図られておらず、低フリクションという機能が必ずしも十分に発現されないという問題があった。特にクランクシャフトでは、軸の曲げたわみが発生し、それを支えるメタル材の端部に油膜が薄い場所が存在し、深さの均一な凹凸を形成するだけでは、フリクション低減効果が限定されるだけでなく、軸受け端部での磨耗や焼き付きなどの損傷が懸念されるという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、回転運動する摺動部材において、フリクション低減効果を大きくし、かつ耐焼付き性に優れた摺動部材を提供することである。また、他の目的は、このようにフリクションを低減させた摺動部材を用いることで、回転部分における摩擦抵抗を少なくしたエンジンシステムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、外円筒の内周面に当接し、前記内周面に対してモリブデンチオカーボメートが含まれている油膜を介して当接し、周方向に相対的に回転する内円筒の外周面であって摺動面となる硬質炭素皮膜と、前記摺動面に設けられ、摺動方向と直交する方向の中心から端部方向へ、その深さ分布が中央ほど深く、端部ほど浅い複数の凹部と、を有し、前記硬質炭素皮膜は、水素原子の含有量が0.3原子%以下であり、かつ少なくともその表面に金属を4〜20原子%含むことを特徴とする硬質炭素皮膜摺動部材である。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明は、前記摺動部材を用いたことを特徴とする内燃機関のクランクシャフトである。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明は、シリンダ内を往復動するピストンにピストンピンを介して第1コンロットが接続され、当該第1コンロッドがコンロッド間接続ピンによって第2コンロッドと揺動可能に接続され、当該第2コンロッドがクランクシャフトとクランクピンによって回転可能に装着され、前記第2コンロッドが前記クランクピンを中心に回転位置を変更するためのコントロールロッドとコントロールロッド接続ピンにより揺動可能に接続され、当該コントロールロッドの前記第2コンロッドと接続されていない側の接続部に当該コントロールロッドを移動させて前記ピストンのストロークを変更する制御機構が接続されている可変圧縮比エンジンにおいて、少なくとも前記クランクシャフトの前記クランクピン部分に前記摺動部材を用いたことを特徴とする可変圧縮比エンジン。
【0010】
【発明の効果】
本発明の摺動部材によれば、摺動面を硬質炭素皮膜とし、この摺動面に摺動方向と直交する方向の中心から端部方向へ、深さ分布が油膜厚さ分布に応じて変化させた凹部を設けたので、摺動面の摩擦係数を下げることが可能となり、フリクション低減効果が大きくなり、耐焼付き性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明によるクランクシャフトによれば、クランクシャフト端部で発生する磨耗や焼き付きを抑制し、摩擦係数を低減することができる。
【0012】
さらに、本発明により可変圧縮比エンジンによれば、焼き付き性や磨耗が改善され、さらに摩擦係数が低減することにより摩擦損失を低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態として本発明を適応した部材の一つであるクランクシャフト受について簡単に説明する。
【0015】
図1はクランクシャフトの軸受け接触部における油膜厚さ分布を説明するための説明図で、図1(a)はクランクシャフトの一例を示す平面図であり、図1(b)は軸受け接触部における油膜厚さ分布示すグラフである。
【0016】
図示するように、クランクシャフト1の軸受けとの接触部2(図示円内の部分)の摺動面において、油膜厚さは、その中央部Sに比べて端部Tの方が薄い。
【0017】
本第1の実施の形態は、このようなクランクシャフト1の接触部2、すなわち、軸受けと接触する摺動面において、摺動方向と直交する方向の中心から端部方向へ、深さ分布がこの油膜厚さ分布に応じて変化する微細な凹部を形成し、さらに、おうぶに対して凸部となっている部分の表面、すなわち実際に摺動面5となる部分に硬質炭素皮膜を形成したものである。
【0018】
この硬質炭素皮膜としては、具体的にはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜6(図4参照)を用いている。
【0019】
DLC膜(Diamond−Like Carbon Films)とは、ダイヤモンドのように硬い炭素膜と言う意味でつけられた名称であり、このDLC膜は、通常、硬さがビッカース硬さHv2000〜4000、電気抵抗106〜1012Ω・cmであり、赤外線領域での透光性、高屈折率等の性質がある。またその結晶構造は非晶質である。
【0020】
このDLC膜の特徴は、大面積被覆、低温度(約150℃程度以上であれば可能)での被覆が可能であり、得られた膜の摩擦係数が極めて小さいことなどである。DLC膜が平滑である理由はアモルファス構造を持ち、結晶粒界を持たないためと考えられている。
【0021】
摺動面となるように設けられたDLC膜の膜厚は、好ましくは、0.5〜10μmである。これは、0.5μm未満であると摺動部材そのもの(通常は金属部材)とDLC膜との密着強度が不足して、部分的にはがれたり、また部分的にDLC膜の存在しない部分ができたりするために好ましくないものである。一方、10μmを超えて厚くするとDLC膜内の残留応力が大きくなって、同様に部分的に剥離してしまう可能性があるため好ましくないためである。
【0022】
そして、このDLC膜は、水素原子が10原子1%以下となるようにすることが好ましい。
【0023】
DLC膜は、その構造の乱れから、DLC膜における炭素原子に未結合の結合手を多く有し、油中においては、この未結合手を拠点として油分子が吸着するために摩擦係数が下がると考えられている。ところが、CVDのようにプロセス時の環境に水素が多く存在する場合、この未結合手に水素が結合して終端するために油分子が吸着しにくく、このため潤滑油中での摩擦係数が下がりにくい傾向になるものと考えられる。このためDLC膜中の水素原子は10原子%以下で少なければ少ないほど好ましいものである。
【0024】
さらにこのDLC膜からなる摺動面においては、少なくともその表面に金属が含まれていることが好ましい。このためにDLC膜には金属元素を添加する。これにより、潤滑油中の極圧添加剤が表面に吸着しやすくかつ反応生成物を表面に形成しやすくなり、潤滑油中で低摩擦な硬質炭素皮膜摺動部材とすることが可能になる。
【0025】
たとえば、省燃費を目的としてエンジンオイルなどに使用されるような鉱油および合成油を基油とし、モリブデンジチオカーバメートをモリブデン量として50〜1000ppm(質量比)、ジチオリン酸亜鉛をリン量として0.01〜0.2質量%を含む潤滑油中においては、表面に金属元素と酸素元素を含まない硬質炭素皮膜では潤滑油中に極圧添加剤として添加されているモリブデンジチオカーバメートおよびジチオリン酸亜鉛の添加剤皮膜が形成されず、炭素皮膜を形成しない鋼製の摺動部材よりも摩擦係数が逆に高くなってしまうのであるが、金属元素と酸素元素をその表面に含ませるようにすることで、極圧添加剤が表面に膜を形成しやすくなると推測されこれにより摩擦係数を下げることができる。
【0026】
ここで用いる金属としては、工業的に使用されていて、DLC膜中に含有させることのできる金属であれば使用可能である。具体的には、たとえば、元素周期律表の第2b、3、4、5a、6a、7a、および8族のうちから選ばれる少なくとも1種の金属元素を4〜20原子%、なかでもTi、Mo、W、Nb、Feなどは工業的にも広く利用されているため扱いやすく、また優れた効果を得ることができる。
【0027】
含有させる金属の量は、金属元素を4〜20原子%とすることが好ましい。これは、DLC膜の表面層中の金属元素量が4原子%未満では極圧添加剤が付着しにくく摩擦が高くなり、一方、20原子%超過では硬質炭素皮膜の炭素間の結合状態が変化し膜の性状が変わるため、摩擦係数が再び高くなってしまうためである。
【0028】
このように金属を含有させた場合、金属ととも酸素を含有させることがより好ましい。これは金属と酸素を同時に含有させて、DLC膜表面に金属を酸素を含ませるようにすることで、金属と酸素の協調作用により極圧添加剤が表面に膜を形成しやすくなると推測されこれにより、いっそう摩擦係数を下げることができる。
【0029】
酸素の含有量は特に規定されるものではないが、好ましくは6〜30原子%含むことが好ましい。これは、DLC膜の表面層中の酸素量が6%未満では、金属との協調作用低く極圧添加剤が付着しないため、酸素を入れた効果が少ない。一方、30原子%を超えると硬質炭素皮膜の炭素間の結合状態が変化し膜の性状が変わるために摩擦係数が高くなって好ましくない。なお、酸素を含有させた場合における金属の含有量は金属単独の含有量の場合と同じである。
【0030】
図2は摺動面における表面粗さを説明するための説明図であり、図2(a)はクランクシャフト1と軸受け接触部2の断面図、図2(b)は接触部2における摺動面の平面図である。また、図3は摺動面における凹部の深さ分布の一例を示すグラフである。
【0031】
図2(a)に示すように、クランクシャフト1の油膜を受ける接触部2には、この接触部2を取り巻くように軸受け3が設けられている。
【0032】
接触部2の摺動面5には、図2(b)に示すように、凹部4が形成されている。
【0033】
この凹部4は、摺動方向xと直交する方向yの中心から端部方向へ、深さ分布が油膜厚さ分布に応じて変化するように形成している。したがって、その深さは、図3に示すように、中央部ほど深く、端部に行くほど浅くなる。
【0034】
また、凹部の深さは、油膜厚さをhとし、凹部4の深さをtとして、その比をh/tとした場合に、h/tが0.2〜2と好ましく、具体的には、たとえば、摺動面5のベース面における凹凸の凸部の最大高さが1μm以下(下限値は0であるが実際には加工機械の精度限界となる)となるようにした場合に、凹部4の最大深さが0.5μm〜20μmであることが好ましい。
【0035】
このようにh/tを0.2〜2とすることで、より広い作動条件でフリクション低減効果を発現するとともに、軸受け3端部での磨耗や焼き付きなどの損傷を抑制する。作動条件により油膜厚さが変化するために、より広い作動条件においてフリクション低減効果を発現しつつ、耐磨耗性、耐焼付き性効果を両立させることが可能となるが、この範囲を超えると、動作条件による油膜厚さの変化に対応できなくなるおそれがあるため好ましくないものである。
【0036】
特にクランク軸では、アルミメタルのような軟質金属と鋼のような硬質金属との組み合わせで運転されるため、このような状態において、ベース面の凸部の最大高さが1μm以下、凹部4の最大深さを0.5μm〜20μmとすることで、固体接触を抑制し、耐磨耗性や耐焼き付き性が向上する。凸部の最大高さが1μmを超える場合、および凹部4の最大深さが20μmを超える場合には、耐磨耗性や耐焼き付き性が低下するため好ましくない。また、凹部4の最大深さが0.5μm未満の場合には、フリクション低減効果が十分得られない。
【0037】
また、凹部4の開口部の長さは、平均で15〜500μmとしている。これは、凹部4の開口部の長さが15μm未満であると、油膜の保持性能が悪化するために、固体接触が発生し好ましくない。一方、500μmを越えると、開口部分が広くなりすぎ、凹部への油の流入が増加して負荷容量が下がり固体接触が発生して耐焼き付き性が低下するため好ましくないものである。
【0038】
このように、凹部4の開口部の長さを平均で15〜500μmとすることで、前述の摩擦係数の低減、耐焼き付き性、耐磨耗性などの抑制を発現するだけでなく、微細形状付与による、振動の増加を抑制することができる。
【0039】
凹部4の形状は、長方形や円形などさまざまな形状が考えられる。たとえば、図4(a)に示すように、DLC膜6よりなる摺動面5に円形の凹部4を形成した形態、図4(b)に示すように、DLC膜6よりなる摺動面5に溝状の凹部4を形成した形態、図4(c)に示すように、DLC膜6よりなる摺動面5に長方形の凹部4を形成した形態などが考えられる。
【0040】
(実施例)
次に、上述のように構成された実施の形態に基づいて、実際にさまざまな凹部形状の摺動部材を製作して摩擦係数を求める実験を行った。
【0041】
図5は、本実施例に用いた内接2円筒を説明するための説明図である。
【0042】
実験に用いる摺動部材は、図5に示すように、外円筒10と内円筒20からなる内接2円筒を用いた。外円筒10は外径φ60の鋼製円筒11に内径φ45mmのアルミメタル12を圧入したものである。一方、内円筒20は外径がφ44.8mmの鋼鉄(SCM435H鋼)の焼き入れ焼き戻し材であり、Ra0.01μm以下に仕上げ加工を行った。内円筒20および外円筒10の幅はともに10mmである。
【0043】
内円筒20および外円筒10にはそれぞれACサーボモータ(不図示)を取り付け独立に回転制御できるようにしている。そして、油浴内にこの内円筒20および外円筒10を浸すことで、内円筒20および外円筒10の間に油膜を形成させた。
【0044】
実験は、ラジアル荷重500kg、油温度80℃、相対すべり速度0.2〜12m/sにおいて、平均速度を−2〜2m/sまで変化させ、内円筒軸に取り付けたトルクセンサにより回転トルクを計測して接線力を算出し、ラジアル荷重で除することにより摩擦係数を求めた。なお、平均速度は内円筒速度をu1、外円筒速度u2とした場合、(u1+u2)/2である。同様に相対すべり速度は、(u1−u2)である。
【0045】
測定した摩擦係数は、縦軸を相対すべり速度、横軸を平均速度で表したフリクションマップとして整理した。これらのフリクションマップを基に、摩擦係数の望小解析を実施した。
【0046】
図6はフリクションマップの一例である。フリクションマップとは、図示するように、縦軸を相対すべり速度、横軸を平均速度で表し、このマップ上に摩擦係数を等高線図として整理したものである。このマップにより内円筒表面の接触部2においてどのような摩擦係数分布となっているかがわかる。なお、図6においては、123個のデータをまとめたものである。
【0047】
摩擦係数は回転トルクとして望小解析を行った。望小解析は以下に示す式により計算した。
【0048】
望小解析
【0049】
【数1】
【0050】
(実施例および比較例)
実施例1〜3および比較例1〜6は、潤滑油に自動車用エンジンオイル5W−30SJを用いた。実施例5は、潤滑油に自動車用エンジンオイル0W−20(モリブデンジチオカーバメート入り)を用いた。
【0051】
各実施例は、いずれもφ44.8mmの内円筒表面に凹部微細形状を形成した(比較例は形成していない)。凹部微細形状は、マスクブラスト処理により形成した。すなわち、光リソグラフィ技術を利用し、樹脂製マスクに凹部微細形状を形成し、その樹脂マスクを円筒表面に貼り付けた後、平均粒径20μmのアルミナ砥粒を、投射ノズルからワ−クまでの距離を100mmとし、投射流量100g/min、投射圧0.4MPaの条件下で投射し、凹部微細形状を得た。その後、凹部微細形状周辺に形成されたエッジ部の盛り上がりを粒径9μmのテープラップフィルムにより除去し所望の形状を得た。
【0052】
その後、DLC膜の形成を行った。DLC膜は、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリング法により、基材表面に硬質炭素皮膜をコーティングしたものである。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。成膜時の試料温度は約250℃とした。
【0053】
なお、この方法では、凹部内にもDLC膜が形成され得るが、凹部内についてはDLC膜は形成されてもされなくてもよい。しかしDLC膜が凹部内にも形成される場合には、形成されたDLC膜によって凹部内が埋まってしまわないようにする必要がある。
【0054】
なお、実施例(実施例についてはDLC膜形成後)の凹部微細形状深さは、いずれのサンプルにおいても1μm、面積率は5%とした。
【0055】
図7は、実施例および比較例の凹部パターンを示す図面である。
【0056】
実施例1は、図7(a)に示すように、開口部の直径がφ120μmのディンプルを、中央部において最大深さが3μm、端部において0.3μmとなるように形成した。
【0057】
その後、テープラップ加工を施しディンプル周辺のエッジを除去した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリング法により、この基材表面に硬質炭素皮膜をコーティングした。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。成膜時の試料温度は約250℃とした。
【0058】
DLC膜形成後の摺動面の表面粗さを測定したところ仕上げ加工無しで皮膜表面の粗さはRa0.03μmであった。またDLC膜の厚さは予め試料の一部をマスクしておき、DLC膜が付着した部分とそうでない部分との段差を表面粗さ計で計測することにより求めた結果、0.6μmであった。
【0059】
DLC膜中の水素量の定量は二次イオン質量分析法(SIMS)によった。表面から深さ約20nmを掘り取り平均の水素量を求めた結果、0.3原子%であった。
【0060】
比較例1は、実施例1と同様に、開口部の直径がφ120μmのディンプルパターンとして(図7(a)参照)、その深さは実施例1と異なり、中央部から端部まで3μmとなるように形成した。DLC膜は実施例1と同様の手法、手順で形成した。DLC膜の厚さも同様に0.6μmであった。
【0061】
実施例2は、図7(b)に示すように、幅80μm、長さ×320μmの矩形状の凹部を、中央部での最大深さが3μm、端部において0.3μmとなるように形成した。DLC膜は実施例1と同様の手法、手順で形成した。DLC膜の厚さも同様に0.6μmであった。
【0062】
比較例2は、実施例2と同様に、幅80μm、長さ×320μmの矩形状パターンとして(図7(b)参照)、その深さは実施例2と異なり、中央部から端部まで3μmとなるように形成した。DLC膜は実施例1と同様の手法、手順で形成した。DLC膜の厚さも同様に0.6μmであった。
【0063】
実施例3は、図7(b)に示すように、幅80μm、長さ×320μmの矩形状パターンの凹部を、中央部での最大深さが2μm、端部での深さが0.3μmとなるように形成した。
【0064】
DLC膜は、炭素ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、サンプル基材の表面にコーティングしたものである。また、このスパッタリングにおいては、ターゲット上に二酸化チタン(TiO2)のプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiおよびOがDLC膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。
【0065】
またDLC膜の厚さは予め試料の一部をマスクしておき、硬質炭素皮膜が付着した部分とそうでない部分との段差を表面粗さ計で計測することにより求めた結果、0.7μmであった。
【0066】
DLC膜中の各元素の存在比の定量はオージェ電子分光法によった。実際に行ったオージェ電子分光法は、まず、分析装置内で試料表面を一定時間Arガスでエッチングし、次に分析装置から取り出してエッチングされた部分の深さを求めた。これを総エッチング時間に対し直線的に割り付けてエッチングレートを求めた。求められたエッチングレートは1分あたり3.8nmであった。
【0067】
次にこのエッチングレートをもとに一定の深さを掘り取るための時間を逆算し、試料をその時間だけ掘り取ってはオージェ電子分光により組成を分析する操作を所定の回数だけこれを繰り返し、各元素の深さ方向の分布(デプスプロファイル)を求めた。試料表面から5nmの地点から5nmごとに50nmの深さまで10点の測定を行い、その平均を以って「表面層の各元素の存在比」とみなした。この分析の結果、膜中にTiが7原子%、酸素は24原子%存在していた。
【0068】
比較例3は、図7(a)に示すように、開口部の直径がφ120μmのディンプル形状の凹部を、深さが中央部から端部まで3μmとなるように形成した。なお、DLC膜は形成していない。
【0069】
比較例4は、図7(c)に示すように(すなわち凹部を形成していない)、全面を表面粗さRaが0.01μm以下になるように、テープラップ加工を施し、鏡面に近い状態に仕上げた。
【0070】
その後、プラズマCVD法によってDLC膜を成膜した。炭素源にはベンゼンを用いた。試料温度は200℃とした。
【0071】
膜中の水素量の定量は二次イオン質量分析法(SIMS)によった。表面から深さ約20nmを掘り取り平均の水素量を求めた結果40原子%であった。
【0072】
比較例5は、図7(c)に示すように(すなわち凹部を形成していない)、全面を表面粗さRaが0.01μm以下になるように、テープラップ加工を施し、鏡面に近い状態に仕上げた。
【0073】
その後、DLC膜の形成を行った。DLC膜は、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリング法により、この基材表面に硬質炭素皮膜をコーティングしたものである。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。水素量を求めた結果0.3原子%であった。
【0074】
比較例6は、図7(c)に示すように(すなわち凹部を形成していない)、全面を表面粗さRaが0.01μm以下になるように、テープラップ加工を施し、鏡面に近い状態に仕上げた。なお、DLC膜は形成していない。
【0075】
実施例4は、幅80μm、長さ×160μmの矩形状の凹部を、中央部での最大深さが3μm、端部において0.3μmとなるように形成した。DLC膜は実施例1と同様の手法、手順で形成した。DLC膜の厚さも同様に0.6μmであった。
【0076】
実施例5は、幅80μm、長さ×160μmの矩形状の凹部を、中央部での最大深さが3μm、端部において0.3μmとなるように形成した。DLC膜は、炭素ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、サンプル基材の表面にコーティングしたものである。また、このスパッタリングにおいては、ターゲット上にMoのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりMoがDLC膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。
【0077】
またDLC膜の厚さは予め試料の一部をマスクしておき、硬質炭素皮膜が付着した部分とそうでない部分との段差を表面粗さ計で計測することにより求めた結果、0.7μmであった。
【0078】
比較例7は、炭素ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、サンプル基材の表面にDLC膜を形成した。また、このスパッタリングにおいては、ターゲット上に二酸化チタン(TiO2)のプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiおよびOがDLC膜中に入るようにした。Tiの添加量は1原子%となるようにした。スパッタリングの際のガスにはアルゴンを用いた。
【0079】
また、DLC膜の厚さは予め試料の一部をマスクしておき、硬質炭素皮膜が付着した部分とそうでない部分との段差を表面粗さ計で計測することにより求めた結果、0.7μmであった。また、凹部は形成していない。
【0080】
比較例8は、比較例7と同様の手法により、Ti含有量が25原子%となるように調整した。
【0081】
比較例9は、実施例1と同様の手法を用いて、直径φ50μmのディンプル状の凹部を、中央部での最大深さが3μm、端部においても3μmとなるように形成した。DLC膜は、炭素ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、サンプル基材の表面にコーティングしたものである。スパッタリングの際のガスにはアルゴンと水素の混合ガスを使用し、膜中の水素量を12原子%となるように調整した。
【0082】
これら実施例および比較例における望小解析結果を表1および表2に示す。なお、この表1におけるトルクは比較例6を1として比較した値である。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
まず、実施例1〜3と比較例3〜6の結果から、摺動面に凹部を形成するとともに摺動面そのものをDLC膜とすることで、低いトルクで回転可能となっており、この結果からDLC膜を摺動面とすることで摩擦係数が低くなっていることがわかる。そして、実施例1と比較例1、および実施例2と比較例2の結果から、それぞれ、同じようにDLC膜を形成した場合においては、凹部を中心部ほど深く、端部ほど浅くしたもの、すなわち、油膜厚さ分布に応じた凹部を形成したものが、いっそう低いトルクで回転可能となっており、摩擦係数が低くなっていることがわかる。
【0086】
また、実施例3の結果からは、モリブデンジチオカーバメート入りの潤滑油を用いた場合に、Ti(原子%(表中はat%と記載))入りのDLCとしたことで、いっそう低いトルクで回転可能となっており、摩擦係数が低くなっていることがわかる。
【0087】
同様に、実施例5の結果からもMo入りのDLCとしたことで、低いトルクで回転可能となっており、摩擦係数が低くなっていることがわかる。
【0088】
そして、比較例7および8の結果から、Ti入りのDCL膜を設けたとしてもその含有量が少ない場合(比較例7)、および多い場合(比較例8)には、いずれも、金属含有量が適切なはに無いではないため、実施例3および5よりトルクが高くなっていて、摩擦係数の低減効果が少ないことがわかる。
【0089】
また、比較例9の結果からDLC膜を摺動面として凹部を設けた場合でも、DLC膜中の水素が12原子%と多い場合には、摩擦係数の低減効果が低いことがわかる。これはまた、比較例4および9の結果と各実施例の結果と合わせれば、水素量は少なければすくなうほどよく、比較例4および9の傾向から水素含有量が10原子%以下にすることが好ましいことがわかる。
【0090】
以上説明したように本発明の実施の形態および実施例によれば、クランクシャフト1の摺動面5において、油膜厚さの分布と同じく、中央が深く、端部の方が浅くなるように微細な凹部4を形成し、摺動面にDLC膜を形成したので、フリクション低減効果を発現するとともに、軸受け3端部での磨耗や焼き付きなどの損傷を抑制するという優れた効果をもたらす。
【0091】
凹部4の深さを、油膜厚Zをh、凹部深さをtとして、その比をh/tが0.2〜2となるようにしたことで、さまざまな油膜厚さに対応して、より広い作動条件でフリクション低減効果を発現するとともに、軸受け3端部での磨耗や焼き付きなどの損傷を抑制することができる。
【0092】
さらに、摺動面5のベースの凹凸が凸面の最大高さが1μm以下となるようにし、凹部4の最大深さを0.5μm〜20μmとすることで、金属接触を抑制し、耐磨耗性や耐焼き付き性が向上する。
【0093】
そして、このクランクシャフト1を内燃機関に用いることにより、クランクシャフト1端部で発生する磨耗や焼き付きを抑制し、微細形状付与なしに比べて、摩擦係数を低下できるという優れた機能が発現される。
【0094】
すなわち、クランクシャフト1は、シリンダ内を往復動するピストンを有する内燃機関において、ピストンはピストンピンを介してアッパリンクと連結され、アッパリンクはUL間接続ピンを介してロアリンクと揺動可能に連結され、クランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、コントロールリンクとはLC間接続ピンを介して揺動可能に連結され、コントロールリンクのロアリンクとは連結されない接続点の位置を運転条件に応じて変更することにより機関圧縮比を可変制御するリンク機構を構成する。
【0095】
このリンク機構により、通常のレシプロエンジンに比べてクランクシャフト1に対する入力が増加した場合にも、焼き付き性や磨耗が改善され、さらに摩擦係数が低減することにより摩擦損失を低減できるという優れた効果がもたらされる。
【0096】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、前述した第1の実施の形態の摺動部材を用いた可変圧縮比エンジンである。
【0097】
図8は可変圧縮比エンジンのクランクシャフト部分とエンジンシリンダ内部の概略断面図である。
【0098】
この可変圧縮比エンジンは、シリンダ101内を往復動するピストン102に、ピストンピン103を介して第1コンロット104と接続されており、この第1コンロッド104がコンロッド間接続ピン105によって第2コンロッド106と揺動可能に接続されている。第2コンロッド106は、クランクシャフト1とクランクピン107によって回転可能に装着されている。そして第2コンロッド106は、さらに、コントロールロッド108とコントロールロッド接続ピン109により揺動可能に接続され、コントロールロッド108の第2コンロッド106と接続されていない側の接続部110は、このコントロールロッド108を移動させて機関圧縮比を可変制御する制御機構(不図示)に接続されている。
【0099】
このように構成された可変圧縮比エンジンは、コントロールロッド108を移動させて、第2コンロッド106をクランクピン107を中心にして回転させることで、実質的にコンロッド長(クランクピンからピストンピンまでの長さL)を変えてピストン102のストロークを変化させ、機関圧縮比を変更できるようにしている。
【0100】
このような第1コンロッド104と第2コンロッド106の接続部であるコンロッド間接続ピン105の部分、第2コンロッド106とクランクシャフト1の接続部であるクランクピン107の部分、および第2コンロッド106とコントロールロッド108の接続部であるコントロールロッド接続ピン109の部分は、いずれも摺動部であり、この摺動部に本発明を適用した摺動部材、すなわち、摺動面に摺動方向と直交する方向の中心から端部方向へ、深さ分布が油膜厚さ分布に応じて変化する微細な凹部を形成し、かつ凸部の表面にDLCを形成したものである。凹部は、油膜厚さをhとし、凹部の深さをtとした場合に、その比h/tが0.2〜3となることが好ましい。さらに摺動面は、ベース面の凹凸の最大高さが1μm以下、凹部の最大深さが0.5〜20μmであることが好ましい。
【0101】
これにより、通常のレシプロエンジンに比べて、接続部が多くなっているために、クランクシャフトに加わる力が大きくなる可変圧縮比エンジンにおいても、クランクシャフトのクランクピン部分のほか、その他の摺動部において摩擦係数を小さくすることが可能となり、摺動部における耐焼き付き性や耐磨耗性を改善することができ、エンジンの効率を良くすることが可能となる。
【0102】
なお、本第2の実施の形態においては、各ロッドが接続されている摺動部すべてに第1の実施の形態による摺動部材を用いたが、これに変えてクランクシャフトのみを本発明による摺動部材としてもよい。これは、可変圧縮比エンジンにおいては、上記のとおり接続部が多くなっているために、クランクシャフトに加わる力が通常のエンジンと比較して大きくなるため、このクランクシャフトのクランクピン部分の摩擦係数を下げるだけでも効率改善効果が期待できるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クランクシャフトの軸受け接触部における油膜厚さ分布を説明するための説明図であり、(a)はクランクシャフトの一例を示す平面図、(b)は軸受け接触部における油膜厚さ分布示すグラフである。
【図2】 摺動面における表面荒さを説明するための説明図であり、(a)はクランクシャフトと軸受け接触部の断面図、(b)は接触部における摺動面の平面図である。
【図3】 摺動面における凹部の深さ分布の一例を示すグラフである。
【図4】 摺動面の構造を示す図面である。
【図5】 内接2円筒を説明するための説明図である。
【図6】 フリクションマップの一例を示す図面である。
【図7】 微細な凹部パターンを示す図面である。
【図8】 可変圧縮比エンジンのクランクシャフト部分とエンジンシリンダ内部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト
2 接触部
3 軸受け
4 凹部
10 外円筒
11 鋼製円筒
12 アルミメタル
20 内円筒
101 シリンダ
102 ピストン
103 ピストンピン
104 第1コンロッド
105 コンロッド間接続ピン
106 第2コンロッド
107 クランクピン
108 コントロールロッド
109 コントロールロッド接続ピン[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a sliding member, a crankshaft using the sliding member, and a variable compression ratio engine using the sliding member.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in order to reduce the friction in the sliding member, it has been performed to form fine depressions, concave surfaces, grooves and the like on the sliding surface of the sliding member.
[0003]
The conventional technology for forming such depressions, concave surfaces, grooves, etc. in the sliding member is to form the sliding surface with respect to the sliding direction in order to reduce the friction of the piston / bore that performs reciprocating sliding. There is one in which a fine recess having a changed depth is formed (see Patent Document 1).
[0004]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-235852
[Problems to be solved by the invention]
However, the conventional sliding member, such as a crankshaft, has a uniform recess, dent, and groove depth with respect to the fine shape in the direction perpendicular to the sliding direction under the sliding condition of rotational movement. There has been a problem that optimization according to the oil film thickness distribution in the section and the oil film holding ability has not been achieved, and the function of low friction is not necessarily fully exhibited. Especially in crankshafts, bending of the shaft occurs, and there is a place where the oil film is thin at the end of the metal material that supports it, and only by forming unevenness with uniform depth, the effect of reducing friction is limited. In addition, there is a problem that damage such as wear and seizure at the bearing end is concerned.
[0006]
SUMMARY OF THE INVENTION Accordingly, an object of the present invention is to provide a sliding member having a large friction reduction effect and excellent seizure resistance in a sliding member that rotates. Another object is to provide an engine system in which the frictional resistance in the rotating portion is reduced by using the sliding member with reduced friction.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for solving the above-mentioned problems is in contact with the inner peripheral surface of the outer cylinder, is in contact with the inner peripheral surface via an oil film containing molybdenum thiocarbamate, and is relatively in the circumferential direction. The hard carbon film that is the outer peripheral surface of the rotating inner cylinder and serving as the sliding surface, and the depth distribution from the center of the direction orthogonal to the sliding direction to the end direction is closer to the center. The hard carbon film has a hydrogen atom content of 0.3 atomic% or less, and contains at least 4 to 20 atomic% of metal on the surface thereof. It is a hard carbon film sliding member characterized by these.
[0008]
Moreover, the present invention for solving the above-mentioned problems is a crankshaft of an internal combustion engine using the sliding member.
[0009]
Further, in the present invention for solving the above problems, a first conrot is connected to a piston that reciprocates in a cylinder via a piston pin, and the first conrod can be swung with a second conrod by a connecting pin between connecting rods. The second connecting rod is rotatably mounted by a crankshaft and a crankpin, and the second connecting rod can be swung by a control rod and a control rod connecting pin for changing the rotational position around the crankpin. In a variable compression ratio engine connected to a control mechanism for changing the stroke of the piston by moving the control rod to a connection portion of the control rod that is not connected to the second connecting rod, In the crankpin portion of the crankshaft Variable compression ratio engine characterized by using a serial sliding member.
[0010]
【The invention's effect】
According to the sliding member of the present invention, the sliding surface is made of a hard carbon film, and the depth distribution varies depending on the oil film thickness distribution from the center of the direction perpendicular to the sliding direction to the end direction. Since the changed concave portion is provided, the friction coefficient of the sliding surface can be lowered, the effect of reducing friction is increased, and seizure resistance can be improved.
[0011]
Further, according to the crankshaft of the present invention, it is possible to suppress wear and seizure generated at the end of the crankshaft and reduce the friction coefficient.
[0012]
Furthermore, according to the variable compression ratio engine of the present invention, the seizure property and wear are improved, and the friction loss can be reduced by further reducing the friction coefficient.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
[0014]
(First embodiment)
First, a crankshaft receiver that is one of the members to which the present invention is applied will be briefly described as an embodiment.
[0015]
FIG. 1 is an explanatory view for explaining the oil film thickness distribution in the bearing contact portion of the crankshaft, FIG. 1 (a) is a plan view showing an example of the crankshaft, and FIG. 1 (b) is in the bearing contact portion. It is a graph which shows oil film thickness distribution.
[0016]
As shown in the drawing, the oil film thickness of the sliding surface of the contact portion 2 (portion in the circle shown) with the bearing of the
[0017]
In the first embodiment, in the
[0018]
Specifically, a diamond-like carbon (DLC) film 6 (see FIG. 4) is used as the hard carbon film.
[0019]
A DLC film (Diamond-Like Carbon Films) is a name given in the sense of a hard carbon film such as diamond. This DLC film usually has a Vickers hardness of Hv 2000 to 4000 and an electric resistance of 10 6 to 10 12 Ω · cm, and has properties such as translucency in the infrared region and high refractive index. The crystal structure is amorphous.
[0020]
The characteristics of this DLC film are that it can be coated at a large area, at a low temperature (possible if it is about 150 ° C. or higher), and the obtained film has a very small coefficient of friction. The reason why the DLC film is smooth is considered to have an amorphous structure and no crystal grain boundary.
[0021]
The thickness of the DLC film provided to be the sliding surface is preferably 0.5 to 10 μm. This is because if the thickness is less than 0.5 μm, the adhesion strength between the sliding member itself (usually a metal member) and the DLC film is insufficient, and a part of the DLC film may be peeled off. This is not preferable. On the other hand, if the thickness exceeds 10 μm, the residual stress in the DLC film increases, and there is a possibility of partial peeling in the same manner, which is not preferable.
[0022]
In this DLC film, it is preferable that the hydrogen atoms be 10 atoms or 1% or less.
[0023]
The DLC film has many bonds that are not bonded to the carbon atoms in the DLC film due to the disorder of the structure. In oil, oil molecules are adsorbed based on these bonds, and the friction coefficient decreases. It is considered. However, when a large amount of hydrogen is present in the process environment as in CVD, the hydrogen bonds to the dangling bonds and terminates, making it difficult for oil molecules to be adsorbed, which reduces the coefficient of friction in the lubricating oil. It seems to be difficult. For this reason, it is preferable that the number of hydrogen atoms in the DLC film is 10 atomic% or less and the smaller it is.
[0024]
Furthermore, it is preferable that at least the surface of the sliding surface made of the DLC film contains metal. For this purpose, a metal element is added to the DLC film. As a result, the extreme pressure additive in the lubricating oil is easily adsorbed on the surface and the reaction product is easily formed on the surface, and a hard carbon film sliding member having low friction in the lubricating oil can be obtained.
[0025]
For example, mineral oil and synthetic oil used for engine oil and the like for the purpose of saving fuel are used as base oil, molybdenum dithiocarbamate is 50 to 1000 ppm (mass ratio) in terms of molybdenum, and zinc dithiophosphate is 0.01 in terms of phosphorus. Addition of molybdenum dithiocarbamate and zinc dithiophosphate added as extreme pressure additives to the lubricating oil in hard carbon coatings that do not contain metal and oxygen elements on the surface in lubricating oil containing ~ 0.2% by mass The agent film is not formed, and the friction coefficient becomes higher than that of the steel sliding member that does not form the carbon film, but by including a metal element and an oxygen element on its surface, It is presumed that the extreme pressure additive tends to form a film on the surface, thereby reducing the friction coefficient.
[0026]
As the metal used here, any metal that is industrially used and can be contained in the DLC film can be used. Specifically, for example, at least one metal element selected from
[0027]
The amount of the metal to be contained is preferably 4 to 20 atomic% of the metal element. This is because when the amount of the metal element in the surface layer of the DLC film is less than 4 atomic%, the extreme pressure additive is difficult to adhere and the friction becomes high, while when it exceeds 20 atomic%, the bonding state between carbons of the hard carbon film changes. This is because the friction coefficient is increased again because the properties of the film change.
[0028]
Thus, when a metal is contained, it is more preferable to contain oxygen with a metal. It is presumed that by adding metal and oxygen at the same time so that the metal is included in the DLC film surface, the extreme pressure additive can easily form a film on the surface by the cooperative action of the metal and oxygen. Thus, the friction coefficient can be further reduced.
[0029]
The oxygen content is not particularly limited, but it is preferably 6 to 30 atomic%. This is because when the amount of oxygen in the surface layer of the DLC film is less than 6%, the cooperative action with the metal is low and the extreme pressure additive does not adhere, so that the effect of adding oxygen is small. On the other hand, if it exceeds 30 atomic%, the bonding state between carbons of the hard carbon film changes, and the properties of the film change. In addition, the content of the metal when oxygen is contained is the same as the content of the metal alone.
[0030]
2A and 2B are explanatory views for explaining the surface roughness on the sliding surface. FIG. 2A is a cross-sectional view of the
[0031]
As shown in FIG. 2A, the
[0032]
As shown in FIG. 2B, a
[0033]
The
[0034]
The depth of the recess is preferably 0.2 to 2 when the oil film thickness is h, the depth of the
[0035]
By setting h / t to 0.2 to 2 in this way, a friction reducing effect is exhibited under a wider operating condition, and damage such as wear and seizure at the end of the
[0036]
In particular, the crankshaft is operated with a combination of a soft metal such as aluminum metal and a hard metal such as steel. In such a state, the maximum height of the convex portion of the base surface is 1 μm or less, and the
[0037]
Moreover, the length of the opening part of the recessed
[0038]
In this way, by setting the average length of the opening of the
[0039]
Various shapes such as a rectangle and a circle are conceivable as the shape of the
[0040]
(Example)
Next, on the basis of the embodiment configured as described above, experiments were conducted in which sliding members having various concave shapes were actually manufactured to obtain a friction coefficient.
[0041]
FIG. 5 is an explanatory diagram for explaining the inscribed two cylinders used in this embodiment.
[0042]
As the sliding member used in the experiment, an inscribed two cylinder composed of an
[0043]
An AC servomotor (not shown) is attached to each of the
[0044]
In the experiment, when the radial load is 500 kg, the oil temperature is 80 ° C., the relative sliding speed is 0.2 to 12 m / s, the average speed is changed from −2 to 2 m / s, and the rotational torque is measured by the torque sensor attached to the inner cylindrical shaft. Then, the tangential force was calculated, and the coefficient of friction was obtained by dividing by the radial load. The average speed is (u1 + u2) / 2 when the inner cylinder speed is u1 and the outer cylinder speed u2. Similarly, the relative sliding speed is (u1-u2).
[0045]
The measured coefficient of friction was organized as a friction map with the vertical axis representing relative sliding speed and the horizontal axis representing average speed. Based on these friction maps, we performed a small-scale analysis of the friction coefficient.
[0046]
FIG. 6 is an example of a friction map. As shown in the figure, the friction map is such that the vertical axis represents relative sliding speed and the horizontal axis represents average speed, and the friction coefficient is arranged on the map as a contour map. From this map, it can be seen what friction coefficient distribution is in the
[0047]
The coefficient of friction was analyzed as a rotational torque. The desired analysis was calculated by the following formula.
[0048]
Small hope analysis [0049]
[Expression 1]
[0050]
(Examples and Comparative Examples)
In Examples 1 to 3 and Comparative Examples 1 to 6, automobile engine oil 5W-30SJ was used as the lubricating oil. In Example 5, automotive engine oil 0W-20 (containing molybdenum dithiocarbamate) was used as the lubricating oil.
[0051]
In each of the examples, a concave fine shape was formed on the inner cylindrical surface of φ44.8 mm (comparative example was not formed). The concave fine shape was formed by mask blasting. That is, using a photolithographic technique, a concave fine shape is formed on a resin mask, the resin mask is affixed to the cylindrical surface, and alumina abrasive grains having an average particle diameter of 20 μm are then applied from the projection nozzle to the workpiece. The distance was set to 100 mm, and projection was performed under the conditions of a projection flow rate of 100 g / min and a projection pressure of 0.4 MPa to obtain a fine concave portion. Thereafter, the bulge of the edge portion formed around the concave fine shape was removed with a tape wrap film having a particle size of 9 μm to obtain a desired shape.
[0052]
Thereafter, a DLC film was formed. The DLC film is obtained by coating the base material surface with a hard carbon film by a magnetron sputtering method using carbon as a target. Argon was used as the gas during sputtering. The sample temperature during film formation was about 250 ° C.
[0053]
In this method, the DLC film can also be formed in the recess, but the DLC film may or may not be formed in the recess. However, when the DLC film is also formed in the recess, it is necessary to prevent the recess from being filled with the formed DLC film.
[0054]
In addition, the recess fine shape depth of the example (after the DLC film formation in the example) was 1 μm and the area ratio was 5% in any sample.
[0055]
FIG. 7 is a drawing showing a recess pattern of an example and a comparative example.
[0056]
In Example 1, as shown in FIG. 7A, a dimple having an opening with a diameter of 120 μm was formed so that the maximum depth was 3 μm at the center and 0.3 μm at the end.
[0057]
Thereafter, tape lapping was performed to remove edges around the dimples, and then a hard carbon film was coated on the surface of the substrate by a magnetron sputtering method using carbon as a target. Argon was used as the gas during sputtering. The sample temperature during film formation was about 250 ° C.
[0058]
When the surface roughness of the sliding surface after the DLC film was formed was measured, the roughness of the coating surface was Ra 0.03 μm without finishing. The thickness of the DLC film was 0.6 μm as a result of obtaining a step difference between the portion where the DLC film was adhered and the portion where the DLC film was adhered and measuring it with a surface roughness meter. It was.
[0059]
The amount of hydrogen in the DLC film was determined by secondary ion mass spectrometry (SIMS). As a result of digging a depth of about 20 nm from the surface and determining the average amount of hydrogen, it was 0.3 atomic%.
[0060]
Similar to Example 1, Comparative Example 1 is a dimple pattern with an opening having a diameter of 120 μm (see FIG. 7A), and its depth is 3 μm from the center to the end, unlike Example 1. Formed as follows. The DLC film was formed by the same method and procedure as in Example 1. Similarly, the thickness of the DLC film was 0.6 μm.
[0061]
In Example 2, as shown in FIG. 7B, a rectangular recess having a width of 80 μm and a length of 320 μm is formed so that the maximum depth at the center is 3 μm and the end is 0.3 μm. did. The DLC film was formed by the same method and procedure as in Example 1. Similarly, the thickness of the DLC film was 0.6 μm.
[0062]
Similar to Example 2, Comparative Example 2 is a rectangular pattern having a width of 80 μm and a length of 320 μm (see FIG. 7B), and the depth is 3 μm from the center to the end, unlike Example 2. It formed so that it might become. The DLC film was formed by the same method and procedure as in Example 1. Similarly, the thickness of the DLC film was 0.6 μm.
[0063]
In Example 3, as shown in FIG. 7B, a rectangular pattern with a width of 80 μm and a length of 320 μm has a maximum depth of 2 μm at the center and a depth of 0.3 μm at the end. It formed so that it might become.
[0064]
The DLC film is formed by coating the surface of the sample base material by magnetron sputtering using a carbon target. Further, in this sputtering, a titanium dioxide (TiO 2 ) plate was placed on the target, and at the same time, sputtering was performed so that Ti and O entered the DLC film. Argon was used as the gas during sputtering.
[0065]
The thickness of the DLC film was obtained by masking a part of the sample in advance and measuring the step between the portion with the hard carbon film attached and the portion with no hard carbon film with a surface roughness meter. there were.
[0066]
The abundance ratio of each element in the DLC film was determined by Auger electron spectroscopy. In the actual Auger electron spectroscopy, first, the surface of the sample was etched with Ar gas for a certain period of time in the analyzer, and then the depth of the etched portion was obtained by taking out from the analyzer. This was assigned linearly with respect to the total etching time to obtain the etching rate. The obtained etching rate was 3.8 nm per minute.
[0067]
Next, the time for digging a certain depth based on this etching rate is calculated back, and the operation of digging the sample for that time and analyzing the composition by Auger electron spectroscopy is repeated a predetermined number of times, The distribution (depth profile) of each element in the depth direction was determined. Ten points were measured from a
[0068]
In Comparative Example 3, as shown in FIG. 7A, a dimple-shaped recess having an opening with a diameter of 120 μm was formed so as to have a depth of 3 μm from the center to the end. A DLC film is not formed.
[0069]
In Comparative Example 4, as shown in FIG. 7C (that is, no recess is formed), the entire surface is tape-wrapped so that the surface roughness Ra is 0.01 μm or less, and is close to a mirror surface. Finished.
[0070]
Thereafter, a DLC film was formed by plasma CVD. Benzene was used as the carbon source. The sample temperature was 200 ° C.
[0071]
The amount of hydrogen in the membrane was determined by secondary ion mass spectrometry (SIMS). A depth of about 20 nm was dug from the surface and the average amount of hydrogen was determined to be 40 atomic%.
[0072]
In Comparative Example 5, as shown in FIG. 7C (that is, no recess is formed), the entire surface is tape-wrapped so that the surface roughness Ra is 0.01 μm or less, and is close to a mirror surface. Finished.
[0073]
Thereafter, a DLC film was formed. The DLC film is obtained by coating a hard carbon film on the surface of the base material by magnetron sputtering using carbon as a target. Argon was used as the gas during sputtering. As a result of obtaining the amount of hydrogen, it was 0.3 atomic%.
[0074]
In Comparative Example 6, as shown in FIG. 7C (that is, no recess is formed), the entire surface is tape-wrapped so that the surface roughness Ra is 0.01 μm or less, and is close to a mirror surface. Finished. A DLC film is not formed.
[0075]
In Example 4, a rectangular recess having a width of 80 μm and a length of 160 μm was formed such that the maximum depth at the center was 3 μm and the end was 0.3 μm. The DLC film was formed by the same method and procedure as in Example 1. Similarly, the thickness of the DLC film was 0.6 μm.
[0076]
In Example 5, a rectangular recess having a width of 80 μm and a length of 160 μm was formed such that the maximum depth at the center was 3 μm and the end was 0.3 μm. The DLC film is formed by coating the surface of the sample base material by magnetron sputtering using a carbon target. Further, in this sputtering, a Mo plate was placed on the target, and sputtering was performed at the same time so that Mo entered the DLC film. Argon was used as the gas during sputtering.
[0077]
The thickness of the DLC film was obtained by masking a part of the sample in advance and measuring the step between the portion with the hard carbon film attached and the portion with no hard carbon film with a surface roughness meter. there were.
[0078]
In Comparative Example 7, a DLC film was formed on the surface of the sample substrate by magnetron sputtering using a carbon target. Further, in this sputtering, a titanium dioxide (TiO 2 ) plate was placed on the target, and at the same time, sputtering was performed so that Ti and O entered the DLC film. The amount of Ti added was 1 atomic%. Argon was used as the gas during sputtering.
[0079]
Further, the thickness of the DLC film was determined by measuring a step difference between a portion where the hard carbon film was adhered and a portion where the hard carbon film was adhered with a surface roughness meter in advance by masking a part of the sample. Met. Moreover, the recessed part is not formed.
[0080]
Comparative Example 8 was adjusted by the same method as Comparative Example 7 so that the Ti content was 25 atomic%.
[0081]
In Comparative Example 9, a dimple-like recess having a diameter of 50 μm was formed using the same method as in Example 1 so that the maximum depth at the center was 3 μm and the end was 3 μm. The DLC film is formed by coating the surface of the sample base material by magnetron sputtering using a carbon target. A mixed gas of argon and hydrogen was used as a gas during sputtering, and the amount of hydrogen in the film was adjusted to 12 atomic%.
[0082]
Tables 1 and 2 show the results of the desired analysis in these examples and comparative examples. The torque in Table 1 is a value compared with Comparative Example 6 as 1.
[0083]
[Table 1]
[0084]
[Table 2]
[0085]
First, from the results of Examples 1 to 3 and Comparative Examples 3 to 6, it was possible to rotate with a low torque by forming a recess on the sliding surface and using the sliding surface itself as a DLC film. It can be seen that the friction coefficient is lowered by using the DLC film as the sliding surface. And, from the results of Example 1 and Comparative Example 1, and Example 2 and Comparative Example 2, respectively, when the DLC film was formed in the same manner, the concave portion was deeper at the center and shallower at the end, That is, it can be seen that the concave portion corresponding to the oil film thickness distribution can be rotated with a lower torque and the friction coefficient is low.
[0086]
Further, from the results of Example 3, when using a lubricating oil containing molybdenum dithiocarbamate, the DLC containing Ti (atomic% (shown as at% in the table)) was used, so that rotation with a lower torque was achieved. It can be seen that the coefficient of friction is low.
[0087]
Similarly, from the results of Example 5, it can be seen that the use of DLC with Mo enables rotation with a low torque and a low friction coefficient.
[0088]
From the results of Comparative Examples 7 and 8, even when a Ti-containing DCL film was provided, the content was low when the content was low (Comparative Example 7) and when the content was high (Comparative Example 8). Is not appropriate, the torque is higher than in Examples 3 and 5, and it can be seen that the effect of reducing the friction coefficient is small.
[0089]
Further, it can be seen from the results of Comparative Example 9 that even when the concave portion is provided with the DLC film as a sliding surface, the effect of reducing the friction coefficient is low when hydrogen in the DLC film is as large as 12 atomic%. In addition, when the results of Comparative Examples 4 and 9 are combined with the results of each Example, the smaller the amount of hydrogen, the better. The hydrogen content should be 10 atomic% or less from the tendency of Comparative Examples 4 and 9. Is preferable.
[0090]
As described above, according to the embodiments and examples of the present invention, the sliding
[0091]
By setting the depth of the
[0092]
Further, the unevenness of the base of the sliding
[0093]
By using this
[0094]
That is, the
[0095]
With this link mechanism, even when the input to the
[0096]
(Second Embodiment)
The second embodiment is a variable compression ratio engine using the sliding member of the first embodiment described above.
[0097]
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view of the crankshaft portion of the variable compression ratio engine and the inside of the engine cylinder.
[0098]
The variable compression ratio engine is connected to a
[0099]
In the variable compression ratio engine configured as described above, the
[0100]
The connecting
[0101]
As a result, the number of connecting parts is larger than that of a normal reciprocating engine, so even in a variable compression ratio engine where the force applied to the crankshaft is large, in addition to the crankpin part of the crankshaft, other sliding parts Thus, it is possible to reduce the friction coefficient, improve seizure resistance and wear resistance at the sliding portion, and improve engine efficiency.
[0102]
In the second embodiment, the sliding members according to the first embodiment are used for all the sliding portions to which the rods are connected. Instead, only the crankshaft is used according to the present invention. A sliding member may be used. This is because, in a variable compression ratio engine, since the number of connections is increased as described above, the force applied to the crankshaft is larger than that in a normal engine. This is because an efficiency improvement effect can be expected simply by lowering the value.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory diagram for explaining the oil film thickness distribution at a bearing contact portion of a crankshaft, (a) is a plan view showing an example of a crankshaft, and (b) is an oil film thickness distribution at a bearing contact portion. It is a graph to show.
2A and 2B are explanatory views for explaining surface roughness on a sliding surface, in which FIG. 2A is a cross-sectional view of a crankshaft and a bearing contact portion, and FIG. 2B is a plan view of the sliding surface at the contact portion;
FIG. 3 is a graph showing an example of a depth distribution of a concave portion on a sliding surface.
FIG. 4 is a drawing showing a structure of a sliding surface.
FIG. 5 is an explanatory diagram for explaining an inscribed two cylinder.
FIG. 6 is a drawing showing an example of a friction map.
FIG. 7 is a drawing showing a fine recess pattern.
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view of a crankshaft portion and an engine cylinder inside a variable compression ratio engine.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (4)
前記摺動面に設けられ、摺動方向と直交する方向の中心から端部方向へ、その深さ分布が中央ほど深く、端部ほど浅い複数の凹部と、を有し、
前記硬質炭素皮膜は、水素原子の含有量が0.3原子%以下であり、かつ少なくともその表面に金属を4〜20原子%含むことを特徴とする硬質炭素皮膜摺動部材。 Abutting the inner circumferential surface of the outer cylinder, contacting the inner circumferential surface via an oil film containing molybdenum thiocarbamate, and the outer circumferential surface of the inner cylinder rotating relative to the circumferential direction. A hard carbon film as a moving surface;
Provided on the sliding surface, from the center in the direction perpendicular to the sliding direction to the end direction, the depth distribution is deeper toward the center, and has a plurality of recesses shallower toward the end,
The hard carbon film sliding member, wherein the hard carbon film has a hydrogen atom content of 0.3 atomic% or less and contains at least 4 to 20 atomic% of metal on the surface thereof.
少なくとも前記クランクシャフトの前記クランクピン部分に請求項1または2記載の摺動部材を用いたことを特徴とする可変圧縮比エンジン。A first conrot is connected to a piston that reciprocates in the cylinder via a piston pin, the first connecting rod is swingably connected to a second connecting rod by a connecting pin between connecting rods, and the second connecting rod is connected to a crankshaft and a crank. The second connecting rod is rotatably mounted by a pin, and the second connecting rod is swingably connected by a control rod for changing a rotational position around the crank pin and a control rod connecting pin, and the second connecting rod of the control rod In a variable compression ratio engine to which a control mechanism for changing the stroke of the piston is moved by moving the control rod to a connection part on the side not connected,
3. A variable compression ratio engine, wherein the sliding member according to claim 1 is used at least in the crank pin portion of the crank shaft.
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