JP4269413B2 - 内燃機関用燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの運転状態、冷却水温度および吸気温度に基づいて燃料温度を推定算出し、その算出された燃料温度に基づいて、燃料噴射量制御部材の作動状態を補正制御することが可能な内燃機関用燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、特開平1−290945号公報に開示されているように、回転速度センサを用いてディーゼルエンジンの機関回転数を検出し、燃料温度センサを用いて燃料噴射ポンプ内の燃料温度を検出し、機関回転数および燃料温度に基づいて、ディーゼルエンジンに噴射する燃料噴射量を補正することにより、適正な燃料噴射量制御を行うことは一般的に知られている。
【0003】
しかし、このディーゼルエンジン用燃料噴射制御装置によれば、燃料温度センサを燃料噴射量制御部材に装着する必要があり、燃料温度センサの取付スペースの確保や精度良く温度を検出するための取付部の加工等が必要となる。このため、製品コストを上昇させる上に、搭載設計上の自由度を損なうという問題が生じている。
【0004】
そこで、従来より、実開昭63−4347号公報に開示されているように、内燃機関の始動時に、内燃機関が吸入する吸入空気の温度を検出する吸気温センサの指示値に基づいて燃料温度を算出し、その算出した燃料温度に基づいて始動時の燃料増量係数を算出し、その算出した燃料増量係数に基づいて燃料噴射弁の開弁時間を補正するようにした内燃機関用燃料噴射制御装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内燃機関用燃料噴射制御装置によれば、車両停止時のように走行風の影響を受けない状態においては、吸気温度と燃料温度とは相関があり、推定可能であるが、車両走行時は吸気温度が走行風の影響を受けており、吸気温度はあまり変化しないのに対し、燃料温度は車両の運転状態に応じて変化するため、吸気温度と燃料温度との相関が必ずしもあるとは言えず、吸気温度だけでは車両の運転領域全般に渡って燃料温度を推定算出することは困難であるという問題が生じている。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされもので、製品コストの低コスト化を図れ、且つ搭載設計上の自由度を損なうことなく、内燃機関の始動時、アイドル運転時、車両走行時のように車両の運転領域全般に渡って、適正な燃料噴射量制御を行うことのできる内燃機関用燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、運転状態検出手段にて検出した内燃機関の運転状態、冷却水温度検出手段にて検出した冷却水温度、および吸気温度検出手段にて検出した吸気温度に基づいて、燃料温度を推定算出する燃料温度算出手段と、この燃料温度算出手段にて推定算出された燃料温度に基づいて、燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、この燃料噴射量算出手段にて算出された燃料噴射量に基づいて、燃料噴射量制御部材の作動状態を制御する噴射量制御手段とを備えている。
そして、燃料温度算出手段は、運転状態検出手段にて検出した内燃機関の運転状態、冷却水温度検出手段にて検出した冷却水温度、および吸気温度検出手段にて検出した吸気温度に基づいて、内燃機関の運転モードを判定する運転モード判定手段、およびこの運転モード判定手段にて判定された内燃機関の運転モードが継続している時間を算出する継続時間算出手段を有している。また、運転モード判定手段にて判定された内燃機関の運転モード、および継続時間算出手段にて算出された継続時間に基づいて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出する。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、上記のような構成によって、燃料温度センサを用いることなく、内燃機関を冷却する冷却水温度、内燃機関に吸い込まれる吸気温度、および内燃機関の運転状態から燃料温度を推定算出し、その算出された燃料温度の指示値に基づいて内燃機関に噴射する燃料噴射量を補正制御することができるので、内燃機関の始動時、アイドル運転時、車両走行時のようなエンジン、車両の運転領域全般に渡り、低コストで適正な燃料噴射量制御を行うことができる。
【0009】
請求項1および請求項2に記載の発明は、図12に示したように、運転状態検出手段101にて検出した内燃機関の運転状態、冷却水温度検出手段102にて検出した冷却水温度、および吸気温度検出手段103にて検出した吸気温度に基づいて、内燃機関の運転モードを判定する運転モード判定手段104と、この運転モード判定手段104にて判定された内燃機関の運転モードが継続している時間を算出する継続時間算出手段105と、運転モード判定手段104にて判定された内燃機関の運転モード、および継続時間算出手段105にて算出された継続時間に基づいて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出する燃料温度算出手段106と、この燃料温度算出手段106にて推定算出された燃料温度に応じて補正噴射量を算出する噴射量燃温補正量算出手段107と、この噴射量燃温補正量算出手段107にて算出された補正噴射量に応じて最終噴射量を算出する最終噴射量算出手段108とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、上記のような構成によって、内燃機関の運転状態、冷却水温度および吸気温度に基づいて、内燃機関の運転モードを判定することができる。また、内燃機関の運転モードおよびこの運転モードの継続時間に基づいて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することができる。これにより、内燃機関の始動時、アイドル運転時、車両走行時のようなエンジン、車両の運転領域全般に渡って適正な燃料噴射量制御を行うことができる。
【0011】
なお、請求項3に記載のように、運転状態検出手段として、内燃機関の機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段、燃料噴射量を検出する噴射量検出手段、車両の走行速度を検出する車速検出手段、あるいはアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段のうちいずれか1つ以上を用いても良い。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、アイドル運転モードや走行運転モードに応じて実際の燃料温度の変化が異なるため、燃料温度算出手段では、運転モード判定手段にて判定された内燃機関の運転モードによって設定される燃料温度算出係数を用いて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することにより、燃料温度を精度良く算出することができる。
【0013】
例えばアイドル運転モード時には、時間の経過に伴い、ある温度まではほぼリニアに上昇し、その後に安定する傾向にあるため、時間があまり経過しておらず、燃料温度の低い領域の燃料温度算出係数を、時間が大きく経過して、燃料温度の高い領域の燃料温度算出係数よりも大きい値に設定することにより、アイドル運転モード時の燃料温度を精度良く算出することができる。
【0014】
また、走行運転モード時には、低回転、低負荷領域から高回転、高負荷領域になるにつれて、実際の燃料温度の昇温速度が速くなる傾向にあるため、高回転、高負荷領域になるにつれて燃料温度算出係数を大きい値に設定することにより、走行運転モード時の燃料温度を精度良く算出することができる。
【0015】
請求項5および請求項6に記載の発明によれば、冷却水温度の昇温特性はサーモスタットの開弁特性により決定される。例えば冷却水温度は、内燃機関の始動後、約80℃まではほぼリニアに急上昇し、それを越えるとサーモスタットが開弁してラジエータに冷却水が還流する。このため、冷却水温度の昇温速度は鈍り緩やかなカーブを描く。その後に、冷却水温度の上昇に伴いサーモスタットの開弁リフト量が大きくなるため、冷却水温度は約90〜95℃付近でほぼ安定する。そして、燃料温度は、冷却水温度の上昇に対し、多少の時間的な遅れを伴うが、冷却水温度の昇温特性と燃料温度の昇温特性とは相関があるため、冷却水温度の昇温特性、つまりサーモスタットの開弁特性によって設定される燃料温度算出係数を用いて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することにより、燃料温度を精度良く算出することができる。
【0016】
請求項5および請求項7に記載の発明によれば、冷却水温度の昇温特性、つまりサーモスタットの開弁特性によって設定される燃料温度算出係数を用いて、内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することにより、燃料温度を精度良く算出することができる。そして、内燃機関が始動してからサーモスタットが開弁するまでの第1の領域では、冷却水温度の昇温特性が急であるが、内燃機関始動直後で内燃機関の周りの空気温度や燃料噴射量制御部材の温度が低いため、熱伝導率が低く、燃料温度の昇温速度が遅い傾向にある。また、サーモスタットが開弁してからそのサーモスタットの開弁リフト量が安定するまでの第2の領域では、第1の領域に比べて内燃機関の周りの空気温度や燃料噴射量制御部材の温度が高いため、熱伝導率が高く、第1の領域に比べて燃料温度の昇温速度が速い傾向にある。
【0017】
また、サーモスタットの開弁リフト量が安定した以降の第3の領域では、第2の領域に比べて内燃機関の周りの空気温度や燃料噴射量制御部材の温度が高く、熱伝導率は高いと考えられるが、冷却水温度の昇温特性が緩やかなため、燃料温度の昇温速度は第2の領域に比べて遅くなる傾向にある。したがって、サーモスタットが開弁してからそのサーモスタットの開弁リフト量が安定するまでの第2の領域の燃料温度算出係数を、第1の領域および第3の領域等の他の領域の燃料温度算出係数よりも大きい値に設定することにより、燃料温度を精度良く算出することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
〔実施例の構成〕
図1ないし図19は本発明の実施例を示したもので、図1はディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの全体構成を示した図である。
【0019】
本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムは、多気筒(本例では4気筒)のディーゼルエンジン(以下エンジンと略す)1の運転状態、車両の走行状態および運転者の操作量(意思)を各種センサにより検出して、電子制御ユニット(Electronic・Control・Unit:以下ECUと言う)9に伝えて、各種センサからの情報により最適な燃料噴射量および噴射時期を演算し、それぞれを制御する燃料噴射量制御用、噴射時期制御用アクチュエータに指令するように構成されている。
【0020】
先ず、本実施例のエンジン1の構造を図1に基づいて簡単に説明する。このエンジン1は、冷却水によって冷却される水冷式のエンジン本体10と、このエンジン本体10の吸気マニホールドに連結されて、エンジン本体10に吸入空気を流入させるための吸気管11と、エンジン本体10の排気マニホルールドに連結されて、エンジン本体10から排気ガスを流出させるための排気管12とを備えている。
【0021】
本実施例のエンジン本体10は、シリンダブロック13、シリンダヘッド14およびオイルパン15等から構成されている。シリンダブロック13内には、連接棒17を介してクランク軸(クランクシャフト)18に連結されたピストン19が配設されている。
【0022】
そして、シリンダヘッド14、ピストン19およびシリンダ20によって囲まれた部位には、後記する燃料噴射ノズル3から高圧燃料が噴射される主燃焼室21が形成されている。また、シリンダヘッド14には、特に寒冷時のエンジン1の始動を補助するためのグロープラグ22が装着された副燃焼室23が形成されている。
【0023】
ここで、本実施例のエンジン1の冷却方式は、エンジン1を冷却する冷却水をラジエータ(放熱器)で冷却する水冷式である。すなわち、図示しないラジエータを通って冷却された冷却水は、エンジン1で駆動するウォータポンプ(図示せず)でエンジン1のウォータジャケット24内へ送り込まれて、エンジン内部(シリンダ20の外周部、シリンダヘッド14等)を冷却し、サーモスタット(図示せず)を経由し、ラジエータへ戻る。
【0024】
なお、サーモスタットは、冷却水温度が所定温度(例えば80℃)以上に上昇すると、ラジエータに冷却水が還流するように開弁し、その後は冷却水温度の上昇に伴い開弁リフト量が大きくなる流量制御弁である。
【0025】
そして、エンジン1の吸気管11の途中には、絞り弁(スロットルバルブ)25が配設されている。また、吸気管11に排気再循環ガス(EGRガス)を導く排気ガス還流管26の途中には、EGRバルブ27が配設されている。
【0026】
絞り弁25は、バキュームポンプ(V/P)28によって駆動されると、吸気管11内に形成される吸気通路の開度を変更することで吸入空気量を調節する。また、EGRバルブ27は、バキュームポンプ(V/P)29によって駆動されると、排気ガス還流管26内に形成される還流通路の開度を変更することで排気ガス還流量(EGR量)を調節する。
【0027】
ここで、エンジン1には、ECU9にセンサ信号を送るセンサとして、吸気温センサ41、吸気圧センサ42、水温センサ43およびクランク角センサ44等が装着されている。
【0028】
吸気温センサ41は、エンジン1のエアクリーナ40に配設されて、エンジン1の吸気管11内に吸入される吸入空気温度(吸気温度)を検出する吸気温度検出手段である。
【0029】
吸気圧センサ42は、吸気管11に配設されて、エンジン1の吸気管11内に吸入される吸入空気圧力(吸気圧)を検出する吸気圧検出手段である。水温センサ43は、エンジン1のシリンダブロック13に配設されて、ウォータジャケット24内を還流する冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段である。クランク角センサ44は、エンジン1のシリンダブロック13の下部側壁に配設されて、クランク軸18の角度を検出するクランク角度検出手段である。
【0030】
ここで、本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの燃料配管系には、燃料タンク(図示せず)内の燃料を汲み上げるフィードポンプ(図示せず)と、フィードポンプにより吸い出された燃料を加圧する分配型燃料噴射ポンプ(以下噴射ポンプと略す)2と、この噴射ポンプ2から高圧燃料が圧送される複数個(本例では4個)の燃料噴射ノズル3とが配設されている。
【0031】
燃料噴射ノズル3は、エンジン1のシリンダヘッド14に各気筒に対応して個別に取り付けられて、噴射ポンプ2によって高圧に加圧された燃料をより良い着火、燃焼が得られるように霧化させると共に、空気と良く混合させるために各副燃焼室23の大きさ、形状に合わせ隅々まで行き渡せる機能を有する。
【0032】
次に、本実施例の噴射ポンプ2の構造を図1に基づいて簡単に説明する。なお、噴射ポンプ2の構成は、周知であるので、噴射ポンプ2全体の詳細な説明は省略し、本発明の燃料噴射制御装置に必要な構成について説明する。
【0033】
噴射ポンプ2は、エンジン1のクランク軸18にベルト等を介して連結されたポンプ駆動軸(図示せず)の回転により駆動されて燃料を加圧し、その加圧されて高圧となった燃料を各気筒毎の燃料噴射ノズル3に圧送する。そして、ポンプ駆動軸には、円盤状のパルサ(図示せず)が取り付けられている。そして、パルサの外周面には、エンジン1の気筒数と同数(本実施例では4箇所)の欠歯が等角度間隔で形成され、各欠歯の間には、所定数の突起が等角度間隔で形成されている。
【0034】
パルサの外周面と対向する位置には、パルサの外周面に形成された突起が横切る毎に検出信号を発生する回転速度センサ(ポンプ角センサ)45が配設されている。この回転速度センサ45は、本発明の運転状態検出手段に相当するもので、噴射ポンプ2の回転速度、すなわち、エンジン1の機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段である。
【0035】
また、噴射ポンプ2に取り付けられるアクチュエータとして、エンジン1の各副燃焼室23内への燃料噴射量を変更する燃料噴射量制御部材4、およびエンジン1の各副燃焼室23内への燃料噴射時期を変更する噴射時期制御部材5が搭載されている。
【0036】
燃料噴射量制御部材4は、電磁コイルが通電されていない状態で開弁して高圧室内の燃料を燃料室へ溢流し、電磁コイルが通電されている状態で閉弁して高圧室から燃料室への燃料の溢流を止める電磁スピル弁(SPV)等が使用される。噴射時期制御部材5は、噴射ポンプ2のタイマ装置の制御油圧として作用する燃料圧力を調整するタイミングコントロールバルブ(TCV)等が使用される。
【0037】
ECU9は、本発明の運転モード判定手段、継続時間算出手段、燃料温度算出手段、燃料噴射量制御手段、燃料噴射量算出手段、噴射量燃温補正量算出手段、最終噴射量算出手段を構成するものである。このECU9の内部には、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータが設けられ、各種センサからのセンサ信号は、ECU9内の入力回路(INPUT)によってA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0038】
そして、各種センサとは、吸気温センサ41、吸気圧センサ42、水温センサ43、クランク角センサ44、回転速度センサ45、アクセル開度センサ46、車速センサ47、エアコンスイッチ(A/C・SW)51、イグニッションスイッチ(IG・SW)52、ニュートラルスイッチ(N・SW)53、スタータスイッチ(ST・SW)54等である。
【0039】
アクセル開度センサ46は、アクセルペダル48の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度検出手段である。車速センサ47は、車両の走行速度を検出する車速検出手段である。
【0040】
エアコンスイッチ51は、車両用空調装置(エアコン:A/C)の運転開始(ON)および運転停止(OFF)を検出するためのスイッチである。ニュートラルスイッチ53は、車両の自動変速機を変速するためのセレクトレバーがニュートラル(N)位置に設定されているか否かを検出するためのスイッチである。
【0041】
ECU9の出力回路(OUTPUT)には、燃料噴射量制御部材4、噴射時期制御部材5、グロープラグ22、バキュームポンプ28、29およびメインリレー30等が接続されている。これにより、燃料噴射量制御部材4、噴射時期制御部材5、グロープラグ22、バキュームポンプ28、29およびメインリレー30は、ECU9によって電子制御される。
【0042】
〔実施例の制御方法〕
次に、本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの制御方法を図1ないし図11に基づいて簡単に説明する。ここで、図2ないし図7はECU9の制御プログラムを示した制御フローチャートである。
【0043】
先ず、各種センサからのセンサ信号および各種スイッチからのスイッチ信号を取り込む。具体的には、エンジン回転速度(NE)、アクセル開度(ACCPF)、燃料噴射量(QFIN)、冷却水温度(THW)、吸気温度(THA)、車速、吸気圧力、スタータスイッチ信号、アイドルスイッチ信号を取り込む(ステップS1)。
【0044】
次に、ステップS1で得た情報に基づいて、エンジン1の始動時か否かを判定する(ステップS2)。この判定結果がYESの場合には、全てのカウンタC1〜C14をクリアする(ステップS3)。次に、始動時判定フラグをONし、他の運転モード判定フラグをOFFする(ステップS4)。
【0045】
次に、ステップS1で取り込んだ冷却水温度(THW)、吸気温度(THA)のデータを用いて、予め設定された始動時の燃料温度算出係数(EKST)とで下記の数1の式に基づいて始動時燃料温度(THFSO)を求める(ステップS5)。
【数1】
THFSO=(THW+THA)×EKST
【0046】
ここで、数1の式は、始動時の燃料温度と冷却水温度と吸気温度とには相関があることから導かれた式である。これは、図8にエンジン停止後の燃料温度と冷却水温度と吸気温度の変化を実験的に求めたグラフを示す。このグラフからも確認できるように、燃料温度は冷却水温度と吸気温度と同様にエンジン停止後の時間経過に伴い温度低下していき、最終的には雰囲気温度にて安定する。
【0047】
ここで、燃料温度は常に冷却水温度と吸気温度との間に位置しており、3つの温度には相関があることが分かる。よって、エンジン1の始動時の冷却水温度と吸気温度が分かれば、始動時の燃料温度が推定可能である。このため、実験結果により最適な算出式(数1の式)を導いた。ここで、始動時の燃料温度算出係数(EKST)は実験結果により最適な値に予め設定されている。
次に、ステップS5で算出された始動時燃料温度(THFSO)を燃料温度(THFS)として取り込む(ステップS6)。
【0048】
また、ステップS2の判定結果がNOの場合、すなわち、エンジン1の始動時ではないと判定された場合には、アイドル運転モード時であるか否かを判定する。具体的には、エンジン回転速度(NE)がアイドル回転速度であるか否かを判定する(ステップS7)。この判定結果がYESの場合には、燃料温度(THFS)がアイドル運転判定燃料温度(ETHFSIDL)よりも小さいか否かを判定する(ステップS8)。この判定結果がYESの場合には、アイドル1フラグがONであるか否かを判定する(ステップS9)。
【0049】
この判定結果がNOの場合には、他の運転モードからアイドル1運転モードに切り替わったことを示し、他の運転モード継続カウンタC2〜C14を全てクリアする(ステップS10)。次に、アイドル1判定フラグをONし、他の運転モード判定フラグを全てOFFする(ステップS11)。次に、他の運転モードからアイドル1運転モードへ切り替わった時の燃料温度(THFS)の値をTHFSMとしてメモリする(ステップS12)。
【0050】
次に、アイドル1運転モード継続時間(C1)をカウントする(ステップS13)。次に、ステップS12でメモリされたTHFSMと予め設定されたアイドル1燃料温度算出係数(EK1)とアイドル1運転モード継続時間(C1)とを用いて、下記の数2の式に基づいてアイドル1運転モード時の燃料温度(THFS1)を求める(ステップS14)。
【数2】
THFS1=THFSM+EK1×C1
【0051】
ここで、数2の式は、燃料温度は運転モードとその運転モードの継続時間に相関があることから導かれた式で、アイドル1燃料温度算出係数(EK1)は予め実験により求め、最適な値に設定されている。
次に、ステップS14で算出されたアイドル1運転モード時の燃料温度(THFS1)を燃料温度(THFS)として取り込む(ステップS15)。
【0052】
また、ステップS9の判定結果がYESの場合、すなわち、アイドル1フラグがONと判定された場合には、アイドル1運転モードが継続中であることを示し、ステップS13でアイドル1運転モード継続時間(C1)をインクリメントし、ステップS14でアイドル1運転モード時の燃料温度(THFS1)を算出し、ステップS15で燃料温度(THFS)を同様にして求める。
【0053】
また、ステップS8の判定結果がNOの場合、すなわち、燃料温度(THFS)がアイドル運転モード判定燃料温度(ETHFSIDL)よりも大きいと判定された場合には、アイドル2フラグがONであるか否かを判定する(ステップS16)。この判定結果がNOの場合には、他の運転モードからアイドル2モードに切り替わったことを示し、他の運転モード継続カウンタC1およびC3〜C14を全てクリアする(ステップS17)。
【0054】
次に、アイドル2判定モードフラグをONし、他の運転モード判定フラグを全てOFFする(ステップS18)。次に、他の運転モードからアイドル2運転モードへ切り替わった時の燃料温度(THFS)の値をTHFSMとしてメモリする(ステップS19)。
【0055】
次に、アイドル2運転モード継続時間(C2)をカウントする(ステップS20)。次に、ステップS19でメモリされたTHFSMと予め設定されたアイドル2燃料温度算出係数(EK2)とアイドル2運転モード継続時間(C2)とを用いて、下記の数3の式に基づいてアイドル2運転モード時の燃料温度(THFS2)を求める(ステップS21)。
【数3】
THFS2=THFSM+EK2×C2
【0056】
ここで、数3の式は、数2の式と同様にして導き出された式で、アイドル2燃料温度算出係数(EK2)は予め最適な値に設定されている。
次に、ステップS21で算出されたアイドル2運転モード時の燃料温度(THFS2)を燃料温度(THFS)として取り込む(ステップS22)。
【0057】
また、ステップS16の判定結果がYESの場合、すなわち、アイドル2フラグがONと判定された場合には、アイドル2運転モードが継続中であることを示し、ステップS20でアイドル2運転モード継続時間(C2)をインクリメントし、ステップS21でアイドル2運転モード時の燃料温度(THFS2)を算出し、ステップS22で燃料温度(THFS)を同様にして求める。
【0058】
ここで、アイドル運転モード時に設定される燃料温度算出係数(EK1、EK2)について説明する。図9はアイドル運転時の燃料温度の変化を実験的に求めたグラフである。
【0059】
この図9のグラフからも確認できるように、アイドル運転時の燃料温度は時間の経過に伴い、ある温度まではほぼリニアに上昇し、その後、安定する傾向にある。これは、燃料温度が低い場合はエンジンからの輻射熱やエンジンルーム内の雰囲気温度の上昇により燃料温度は上昇していくが、ある程度の温度上昇後は、エンジン負荷が小さく、エンジンの発熱量も少ないため、エンジンルーム内の雰囲気温度も上昇せず安定の方向に向かう。それに伴い燃料温度も安定する。
【0060】
この結果、本発明においては、アイドル運転時は燃料温度の低い領域:アイドル1と燃料温度の高い領域:アイドル2の2つの運転モードに分けて算出するようにしている。アイドル運転モード判定燃料温度(ETHFSIDL)は、燃料温度がほぼ安定した値に設定し、燃料温度算出係数(EK1)は少なくとも燃料温度算出係数(EK2)に対し大きい値(EK1>EK2)に設定するのが好ましい。精度良く、燃料温度を算出するため、それぞれの値は予め実験により求めた最適な値に設定する。
【0061】
また、ステップS7の判定結果がNOの場合、すなわち、アイドル運転時ではないと判定された場合には、エンジン回転速度(NE)が運転モード判定エンジン回転速度(ENETHFS)よりも小さいか否かを判定する(ステップS23)。この判定結果がYESの場合には、燃料噴射量(QFIN)が運転モード判定噴射量(EQTHFS)よりも小さいか否かを判定する(ステップS24)。この判定結果がYESの場合には、その時の冷却水温度(THW)が運転モード判定冷却水温度(ETHW1L)よりも小さいか否かを判定する(ステップS25)。
【0062】
この判定結果がYESの場合には、運転モード11フラグがONであるか否かを判定する(ステップS26)。この判定結果がNOの場合には、他の運転モードから運転モード11に切り替わったことを示し、他の運転モード継続カウンタC1、C2およびC4〜C14を全てクリアする(ステップS27)。
【0063】
次に、運転モード11判定フラグをONし、他の運転モード判定フラグを全てOFFする(ステップS28)。次に、他の運転モードから運転モード11へ切り替わった時の燃料温度(THFS)の値をTHFSMとしてメモリする(ステップS29)。
【0064】
次に、運転モード11継続時間(C3)をカウントする(ステップS30)。次に、ステップS29でメモリされたTHFSMと予め設定された運転モード11燃料温度算出係数(EK3)と運転モード11継続時間(C3)とを用いて、下記の数4の式に基づいて運転モード11時の燃料温度(THFS3)を求める(ステップS31)。
【数4】
THFS3=THFSM+EK3×C3
【0065】
ここで、数4の式は、数2の式と同様にして導き出された式で、運転モード11燃料温度算出係数(EK3)は予め最適な値に設定されている。
次に、ステップS31で算出された運転モード11時の燃料温度(THFS3)を燃料温度(THFS)として取り込む(ステップS32)。
【0066】
ここで、走行運転モード毎に設定される燃料温度算出係数(EK3〜EK14)について説明する。図10は低回転、低負荷の領域での冷却水温度と燃料温度の変化を実験的に求めたグラフである。この図10のグラフを用いて燃料温度算出係数の関係について説明する。
【0067】
燃料温度の昇温特性は冷却水温度の上昇に伴い、傾きの異なるほぼリニアな3段階の昇温特性からなる。その3段階の運転領域をそれぞれ運転モード11、12、13とし、それぞれの昇温特性から求めた燃料温度算出係数をそれぞれEK3、EK4、EK5とする。また、精度良く算出するためにこれらの係数の大きさは、少なくともEK4はEK3、EK5に対しそれよりも大きい値に設定されるのが好ましい。
【0068】
以下にその理由を述べる。燃料温度はエンジンからの輻射熱による熱伝達により昇温することは公知であり、そのエンジンからの輻射熱の大きさは冷却水温度に比例すると考えられる。また、冷却水温度の昇温特性は、エンジンの運転条件、サーモスタットの開弁特性等により決定される。
【0069】
図10の例で冷却水温度はエンジン始動後、約80℃まではほぼリニアに急上昇し、それを越えるとサーモスタットが開弁するため、昇温速度は鈍り緩やかなカーブを描く、その後、冷却水温度の上昇に伴い、サーモスタットの開弁リフト量が大きくなるため、約90℃〜95℃付近でほぼ安定する。
【0070】
上記のような冷却水温度の昇温特性によるエンジンからの輻射熱の熱量も、同様の特性になっていると考えられるが、ここで、燃料温度はエンジンルーム内の空気や燃料噴射量制御部材を透過し、熱伝達により昇温するため、冷却水温度の上昇に対し、時間的に遅れを伴う。また、昇温速度は空気や燃料噴射量制御部材の熱伝導率の影響を受ける。
【0071】
図10の例で燃料温度算出係数EK3、EK4に相当する部分は時間的な遅れを考慮すると、冷却水温度が約80℃までの急上昇している領域が相当すると考えられる。
【0072】
EK4>EK3となるのはEK3の領域はエンジン始動直後で、エンジン周りの空気温度、燃料噴射量制御部材の温度が低いため、熱伝達率は低い。EK4の領域はEK3の領域に比べて空気温度、燃料噴射量制御部材の温度が高いため、熱伝達率が高く、燃料温度の昇温速度は速くなるためである。
【0073】
また、EK4>EK5となるのはEK5の領域はEK4の領域に比べて空気温度、燃料噴射量制御部材の温度が高く、熱伝導率は高いと考えられているが、冷却水温度の昇温特性が緩やかなため、燃料温度の昇温速度はEK4に比べて遅くなるためである。
【0074】
ここで、運転モードを判定する冷却水温度(ETHW1L、ETHW1H)は実験によって最適な値に設定することが好ましいが、通常、ETHW1Lの値はサーモスタットの開弁温度付近になり、ETHW1Hの値はサーモスタットの全開温度付近になる。これらの傾向は、他の運転モード領域(運転モード21〜23、31〜33、41〜43)においても同様である。
【0075】
図10の例では、低回転、低負荷領域を示したが、これらの傾向は他の運転モード領域(運転モード21〜23、31〜33、41〜43)においても同様である。また、運転領域が高回転、高負荷になるにつれて、エンジンからの輻射熱量も増大し、燃料温度の昇温速度も速くなるため、燃料温度算出係数も大きくなることは実験的に分かっており、それらの係数値を予め実験によって求めた最適な値に設定することにより、燃料温度を精度良く算出できる。
【0076】
また、ステップS26の判定結果がYESの場合、すなわち、運転モード11フラグがONと判定された場合には、運転モード11が継続中を示し、ステップS30で運転モード11継続時間(C3)をインクリメントし、ステップS31で運転モード11時の燃料温度(THFS3)を算出し、ステップS32で燃料温度(THFS)を同様にして求める。
【0077】
以下同様にして、ステップS33〜S117の判定処理や演算処理を行って、エンジン回転速度(NE)、燃料噴射量(QFIN)、冷却水温度(THW)より各運転モード12、13、21〜23、31〜33、41〜43を判定し、それぞれの運転モードの継続時間(C4〜C14)をカウントし、各運転モード時の燃料温度(THFS4〜THFS14)を算出し、その算出された各運転モード時の燃料温度(THFS4〜THFS14)を燃料温度(THFS)として取り込む。
【0078】
次に、ステップS6、S15、S22、S32、S40、S47、S55、S63、S70、S79、S87、S94、S102、S110、S117で算出された各運転モード時の燃料温度(THFS)が、燃料温度上限値(ETHFSMAX)よりも小さいか否かを判定する(ステップS121)。この判定結果がYESの場合には、各エンジン回転速度(NE)毎に予め設定された標準燃料温度(THFSOUT、図11(a)参照)と燃料温度(THFS)との燃料温度差(ΔTHFS)を求める(ステップS123)。
【0079】
次に、ステップS123で求めた燃料温度差(ΔTHFS)とエンジン回転速度(NE)の値に基づいて補正噴射量(QATHFS)を制御特性マップ(図11(b)参照)より求める(ステップS124)。ここで、制御特性(QATHFS)マップは、予め実験等により最適な値に設定されている。
【0080】
次に、エンジン回転速度(NE)とアクセル開度(ACCPF)とから算出されるベース噴射量(QBASE)とステップS124で求めた補正噴射量(QATHFS)とを用いて最終噴射量(QFIN)を算出する(ステップS125)。
【0081】
また、ステップS121の判定結果がYESの場合、すなわち、各運転モード時の燃料温度(THFS)が燃料温度上限値(ETHFSMAX)以上であると判定された場合には、燃料温度(THFS)は燃料温度上限値(ETHFSMAX)に達していることを示し、燃料温度(THFS)として燃料温度上限値(ETHFSMAX)の値を取り込む(ステップS122)。
【0082】
その後は、ステップS123で同様に燃料温度差(ΔTHFS)を求め、ステップS124で同様に補正噴射量(QATHFS)を制御特性(QATHFS)マップより求め、ステップS125で同様に最終噴射量(QFIN)を算出する。これらの制御フローチャートをエンジン始動時からエンジン停止時まで繰り返し実行する。
【0083】
ここで、ステップS125で算出された最終噴射量(QFIN)に基づく制御信号を、噴射ポンプ2の燃料噴射量制御部材4に送ることで、燃料噴射量制御部材4が最終噴射量(QFIN)に応じた作動を行い、燃料噴射量が最適な値に制御される。
【0084】
〔実施例の効果〕
以上のように、本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムは、燃料温度センサを用いることなく、エンジン1の冷却水温度、吸気温度およびエンジン回転速度等からエンジン1の運転モードを算出し、且つその運転モードが継続している継続時間を算出した後に、算出した運転モードおよびその継続時間から燃料温度を推定算出し、その推定算出された燃料温度の指示値に基づいてエンジン1の副燃焼室23へ噴射する燃料噴射量を補正制御するようにしたので、エンジン1の始動時、アイドル運転時、車両走行時のようなエンジン1、車両の運転領域全般に渡って、適正な燃料噴射量制御を行うことができる。
【0085】
また、燃料温度センサを燃料噴射量制御部材4に装置することなく、燃料温度を推定算出しているので、燃料温度センサを燃料噴射量制御部材に装着する必要はなく、燃料温度センサの取付スペースの確保や精度良く温度を検出するための取付部の加工等が不要となる。このため、ディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの製品コストを低減させることができ、搭載設計上の自由度を損なうことを防止できる。
【0086】
〔変形例〕
本実施例では、各運転モードの判定にエンジン回転速度(NE)、燃料噴射量(QFIN)、エンジン1の冷却水温度(THW)を用いたが、それらの制御信号以外に、車速、アクセル開度(ACCPF)、吸気温度(THA)の制御信号を用いて各運転モードの判定を行うようにしても良い。
【0087】
本実施例では、噴射ポンプとして分配型燃料噴射ポンプ2を用い、燃料噴射量制御部材として電磁スピル弁を用いたが、噴射ポンプとして列型燃料噴射ポンプを用い、燃料噴射量制御部材としてコントロールラックを駆動するアクチュエータを用いても良い。
【0088】
本実施例では、本発明を、ターボチャージャ無しのエンジン1に適用した例を説明したが、本発明を、ターボチャージャ付きのディーゼルエンジンに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの全体構成を示した概略構成図である(実施例)。
【図2】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図3】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図4】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図5】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図6】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図7】ECUの制御プログラムの一例を示した制御フローチャートである(実施例)。
【図8】エンジン停止後の燃料温度、冷却水温度、吸気温度の変化を実験的に求めたグラフである(実施例)。
【図9】アイドル運転時の燃料温度の変化を実験的に求めたグラフである(実施例)。
【図10】低回転、低負荷の領域での冷却水温度と燃料温度の変化を実験的に求めたグラフである(実施例)。
【図11】(a)は各エンジン回転速度毎に予め設定された標準燃料温度を示した図で、(b)はエンジン回転速度と補正噴射量との関係を示した図である(実施例)。
【図12】本発明の内燃機関用燃料噴射制御装置を示した制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン
2 噴射ポンプ
3 燃料噴射ノズル
4 燃料噴射量制御部材
5 噴射時期制御部材
9 ECU(運転モード判定手段、継続時間算出手段、燃料温度算出手段、噴射量制御手段、噴射量燃温補正量算出手段、最終噴射量算出手段)
41 吸気温センサ(吸気温度検出手段)
42 吸気圧センサ(吸気圧検出手段)
43 水温センサ(冷却水温度検出手段)
44 クランク角センサ(クランク角度検出手段)
45 回転速度センサ(運転状態検出手段、機関回転速度検出手段)
101 運転状態検出手段
102 冷却水温度検出手段
103 吸気温度検出手段
104 運転モード判定手段
105 継続時間算出手段
106 燃料温度算出手段
107 噴射量燃温補正量算出手段
108 最終噴射量算出手段
Claims (7)
- (a)内燃機関への燃料噴射量を変更する燃料噴射量制御部材と、
(b)前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
(c)前記内燃機関を冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
(d)前記内燃機関内に吸入される吸入空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、
(e)前記運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態、前記冷却水温度検出手段にて検出した冷却水温度、および前記吸気温度検出手段にて検出した吸気温度に基づいて、前記内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出する燃料温度算出手段と、
(f)この燃料温度算出手段にて推定算出された燃料温度に基づいて、燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
(g)この燃料噴射量算出手段にて算出された燃料噴射量に基づいて、前記燃料噴射量制御部材の作動状態を制御する噴射量制御手段と
を備えた内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記燃料温度算出手段は、前記運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態、前記冷却水温度検出手段にて検出した冷却水温度、および前記吸気温度検出手段にて検出した吸気温度に基づいて、前記内燃機関の運転モードを判定する運転モード判定手段、
およびこの運転モード判定手段にて判定された前記内燃機関の運転モードが継続している時間を算出する継続時間算出手段を有し、
前記運転モード判定手段にて判定された前記内燃機関の運転モード、および前記継続時間算出手段にて算出された継続時間に基づいて、前記内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記燃料噴射量算出手段は、前記燃料温度算出手段にて推定算出された燃料温度に応じて補正噴射量を算出する噴射量燃温補正量算出手段、
およびこの噴射量燃温補正量算出手段にて算出された補正噴射量に応じて最終噴射量を算出する最終噴射量算出手段を有することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記運転状態検出手段は、前記内燃機関の機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段、燃料噴射量を検出する噴射量検出手段、車両の走行速度を検出する車速検出手段、あるいはアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段のうちいずれか1つ以上であることを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちいずれかに記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記燃料温度算出手段は、前記運転モード判定手段にて判定された前記内燃機関の運転モードによって設定される燃料温度算出係数を用いて、前記内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちいずれかに記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の冷却水温度の変化に応じて開閉を行い、ラジエータへ流れる冷却水流量を調整するサーモスタットを備え、
前記サーモスタットは、前記内燃機関の冷却水温度が所定値以上に上昇した際に、前記ラジエータに冷却水を供給するように開弁することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項5に記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記燃料温度算出手段は、前記サーモスタットの開弁特性によって設定される燃料温度算出係数を用いて、前記内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。 - 請求項5に記載の内燃機関用燃料噴射制御装置において、
前記燃料温度算出手段は、前記サーモスタットの開弁特性によって設定される燃料温度算出係数を用いて、前記内燃機関へ噴射する燃料温度を推定算出すると共に、
前記サーモスタットが開弁してからそのサーモスタットの開弁リフト量が安定するまでの領域の燃料温度算出係数を、他の領域の燃料温度算出係数よりも大きい値に設定することを特徴とする内燃機関用燃料噴射制御装置。
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