JP4263848B2 - ビームスキャンアンテナ - Google Patents

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    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q3/00Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system
    • H01Q3/44Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system varying the electric or magnetic characteristics of reflecting, refracting, or diffracting devices associated with the radiating element

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  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はミリ波またはマイクロ波において使用されるアンテナに関し、特に機械的な駆動部がなく電気的な信号だけで作動させることができる移相器を用いて電磁波の位相を変化させることにより放射または吸収される電磁波のビーム方向を可変とした小型で高信頼性のビームスキャンアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ミリ波またはマイクロ波の応用技術であるレーダは、広い範囲を対象としてその範囲内に存在する物体の位置を正確に認識するために、電磁波のビームを細く絞ると同時にそのビームをスキャンさせることによって物体の位置を正確に認識する方式のものが多く用いられている。
【0003】
一方、近年では、走行中の障害物を検知するためにミリ波レーダが自動車に搭載されようとしている。このミリ波レーダは、自動車に搭載されるレーダであるために小型・軽量・高信頼性でかつ低コストであることが求められる。
【0004】
このような自動車用レーダのためのビームスキャンアンテナとしては、複数のアンテナをpinダイオード等で切り換える方式や、アンテナそのものを遥動させる方式等を採用したビームスキャンアンテナが実用化されている。
【0005】
また、現時点で自動車レーダとしては実用化はされていないものの、多くのレーダで利用されている、移相器を使ったビームスキャンアンテナもある。このビームスキャンアンテナは、ラッチドフェライト等の移相器を用いて、アレイアンテナ各素子に給電される信号の位相を精度良く変化させることによって、アレイアンテナから放射されるあるいはアレイアンテナに入力されるビームの方向を変化させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のビームスキャンアンテナにおいては、次のようないくつかの問題点がある。
【0007】
まず、アンテナそのものを遥動させるビームスキャンアンテナは、簡単な構造で作りやすいものであると同時にビーム方向を細かく切り換えることが可能であるものの、機械的な駆動部を持つために、自動車用レーダのように振動する装置に取り付けるためのレーダとしては高い信頼性が得にくい、という問題点がある。さらにアンテナを遥動させるスペースを確保する必要があるために、サイズが大きくなるという問題点も有している。
【0008】
また、複数のアンテナを切り換える方式は、機械的な制御を全く使わないために信頼性の高いビームスキャンアンテナを得ることができるという特長を有している。しかし、この方式では、ある瞬間に動作しているアンテナは全体の中の一部であるため、アンテナの利用効率が低く、小型化が困難であるという問題点がある。さらに、所望のアンテナ利得あるいはビーム径を得ようとすれば、アンテナ素子の形状や材質によらず一定以上のアンテナ開口面積が必要であるという特性を有していることから、所望のアンテナ利得あるいはビーム径を得るために同等の特性を持つ固定アンテナを複数個用意する必要があり、全体としてアンテナ面積を大きくせざるを得ず、これと同時に高周波におけるスイッチは挿入損失が大きいため高効率な動作が困難であるという問題点も有している。さらにまた、ビーム方向を細かく切り換えようとすれば、アンテナ数が増大するためにアンテナ全面積が増大し、またスイッチの数が増大するためにアンテナ利得が下がることになり、事実上、ビーム方向を細かく切り換えることができるビームスキャンアンテナを提供することが不可能であるという問題点がある。
【0009】
また、移相器を使うビームスキャンアンテナは、通常は移相器が大きく高価であるために、用途が限定されるという問題点がある。
【0010】
以上のように、ビームスキャンアンテナは、自動車用レーダを中心に、今後広く用いられると見込まれる技術であるにもかかわらず、小型・軽量・高信頼性でかつ低コストという要求を満たすものは存在しないのが現状である。
【0011】
本発明は上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械的な駆動部を有さず、完全に電気的な信号だけで一次放射器と集波器との相対位置を変更させることにより電磁波ビームのスキャンが可能な、小型・軽量で高信頼性かつ低コストのビームスキャンアンテナを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のビームスキャンアンテナは、平行に配置した2枚の金属板の間に電磁波を送受信する一次放射器と前記電磁波に対する平板状の集波器とを配置するとともに、前記金属板の一方に前記集波器との間で前記電磁波を結合させる複数の入出力部を設けて成り、前記集波器は、静電界により比誘電率を変化させることができる材料から成る基板の一方主面に前記電磁波の進行方向に略平行な複数の短冊状の電極が配設され、他方主面に前記短冊状の電極と対向させて短冊状または略全面に形成された対向電極が配設されて成り、前記電極および前記対向電極間に静電界を印加して前記集波器の前記電磁波の進行方向に垂直な方向の比誘電率を部分的に変化させることにより前記入出力部から放射または吸収する前記電磁波のビーム方向を可変としたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のビームスキャンアンテナは、上記構成のものであって、前記集波器の前記基板内において、前記電磁波の進行方向に垂直な面内で、前記短冊状の電極の短辺と垂直な方向には比誘電率を略同一とし、平行な方向には前記電磁波に対する屈折率を所定の点を頂点とする距離の二次関数的に分布させることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のビームスキャンアンテナによれば、平行に配置した2枚の金属板の間に電磁波を送受信する一次放射器と電磁波に対する平板状の集波器とを配置するとともに、金属板の一方に集波器との間で電磁波を結合させる複数の入出力部を設けて成り、この集波器を、静電界により比誘電率を変化させることができる材料から成る基板の一方主面に電磁波の進行方向に略平行な複数の短冊状の電極が配設され、他方主面に一方主面の短冊状の電極と対向させて短冊状または略全面に形成された対向電極が配設されて成り、電極および対向電極間に静電界を印加して集波器の電磁波の進行方向に垂直な方向の比誘電率を部分的に変化させることにより入出力部から放射または吸収する電磁波のビーム方向を可変としたことから、内部に機械的な駆動部を全く持たずかつ小型のビームスキャンアンテナとすることができ、従来のようにアンテナそのものを遥動させる場合と比較して信頼性を高めることができると同時にアンテナ遥動のためのスペースを確保しなくても済むために薄型化が可能であり、また従来のように複数のアンテナを切り換える場合と比較してレーダとして大幅に小型化を図ることができる。その結果、軽量・小型・高性能かつ低コストで、例えば自動車用レーダに最適のビームスキャンアンテナを提供することができる。
【0015】
本発明のビームスキャンアンテナにおける集波器の基板に用いられる、静電界により比誘電率を変化させることのできる材料としては、マイクロ波またはミリ波等のこのアンテナで使用する周波数帯、具体的には3GHz〜80GHz程度の周波数帯において、静電界の印加に応じて比誘電率が変化し、かつ誘電損失が小さい材料であれば種々のものを用いることができる。特に、その特性として、自動車等に搭載されることから、数十Vの印加電圧に対して比誘電率が静電界を印加しない場合に比べて20%程度あるいはそれ以上の変化をするものであって、誘電損失が1%以下と小さい材料であることが望ましい。
【0016】
このような材料としては、具体的には、例えば(Ba,Sr)TiO3・BaTiO3、SrTiO3等の強誘電体や、ガラス等のミリ波領域において誘電損失の小さい誘電体で形成されたセル中に封入されたネマチック液晶・コレステリック液晶・スメクチック液晶等の液晶材料、例えばメルク社製BL−036等、あるいは例えばべクトラやザイダーといった液晶ポリマー等が例示できる。
【0017】
そして、このような材料から成る基板の形状および寸法としては、アンテナアレイとほぼ同じサイズ、具体的には車間レーダであれば30〜50mm×60〜80mmの基板状とすればよい。
【0018】
またこれらの材料から成る基板を用いてこの一方主面に電磁波の進行方向に略平行な複数の短冊状の電極を配設し、他方主面にこれら短冊状の電極と対向させて短冊状または略全面に対向電極を配設して、この電極と対向電極との間に静電界を印加して内部の比誘電率を部分的に変化させることにより集波器とする構成の基本的な考え方は、例えば次の通りである。
【0019】
これまで、ビームスキャンアンテナにおいて集波器として利用されていた、電磁波を球面波と平面波との間で変換するレンズとしては、均一な誘電特性を持つ誘電体を外形が曲面の一部で囲まれた、いわゆるレンズ形状に成形したものが最も多く用いられていた。また、一部では、ロッドの中央部と周辺部との組成を連続的に変化させ、電磁波に対する屈折率を中央部で最も高くし、周辺部に向かって径に対して二次関数的に屈折率を低減した、いわゆるロッドレンズも用いられていた。このロッドレンズのように、平板状の基板の中央部で比誘電率を最も高くし、外周部に向かって距離の二次関数として比誘電率の平方根が減少するように比誘電率を低減すれば、電磁波に対する屈折率がその距離に応じて二次関数的に減少することとなり、外形形状が矩形の基板であっても、均一な誘電特性の材料から成るレンズと同様に集波器として動作させることが可能となる。
【0020】
そこで、印加される静電界の強さに対応して比誘電率が変化する材料から成る基板を用い、両面に電磁波の進行方向に略平行に複数の短冊状の電極を対向させて配置する、または片面に電磁波の進行方向に略平行に複数の短冊状の電極を配置し、もう片面には略全面に接地面となる電極を対向させて配置する電極構造をとることにより、一次放射器と入出力部との間で電磁波のビーム方向を移動させることができるように、集波器の基板内の比誘電率を材料の誘電特性の範囲内でほぼ任意の状態に分布させることができる。
【0021】
また、本発明のビームスキャンアンテナにおいては、集波器の基板内において、電磁波の進行方向に垂直な面内で、一方主面側の短冊状の電極の短辺と垂直な方向には比誘電率を略同一とし、平行な方向には電磁波に対する屈折率すなわち比誘電率の平方根を所定の点を頂点とする距離の二次関数的に分布するように、電極と対向電極との間に印加する外部電界(静電界)を調節することによって、矩形平板状の基板を平板型レンズとして機能させることができ、効率よく小型の集波器として動作させることができる。
【0022】
このように二次関数的に比誘電率の平方根を分布させるには、集波器の電極に印加する静電界を、例えば短冊状の電極に、対向する電極に対し、比誘電率の変化と静電界の電圧の関係式から求められる所望の電圧を加えればよい。例えば、比誘電率が印加電界に対して線形に減少する材料であれば、中央の短冊状の電極を0Vとし、最外部の短冊状の電極に誘電体の静電破壊電圧あるいは制御回路の能力によって決まる最大電圧を負荷し、その間の電圧は短冊状電極の中心部と中央との距離の4乗に応じて比例配分するように調節すればよい。
【0023】
そして、本発明のビームスキャンアンテナによれば、集波器においてはその電極および対向電極へ外部から印加する静電界を電圧制御等によって制御することにより内部の比誘電率の分布を制御できるため、外部から印加する静電界を変化させることにより基板の位置すなわち集波器の位置は固定したまま集波器内部の比誘電率分布を左右に平行移動することは容易であり、一次放射器に対して集波器の焦点の位置を容易に移動させることができ、これによってビーム方向を変化させてビームスキャンアンテナとして動作させることができる。
【0024】
このような静電界を印加するための短冊状の電極および短冊状または略全面に形成された対向電極は、その寸法としては加工法とコストにより決められる最も微細な寸法に設定される。また、これら電極は銅やアルミニウム等の電極をエッチング法で所望のパターン形状・寸法とすることによって基板の主面上に形成される。もちろん、材質により可能であれば厚膜法等のより低コストな方法で形成してもかまわない。
【0025】
また、本発明のビームスキャンアンテナを構成する平行に配置された2枚の金属板は、銅板やアルミ板を用いて、一次放射器の厚みと同等の間隔として互いに平行に配置されることが、構造を簡単にする上から望ましい。これら2枚の金属板は、ビームスキャンアンテナの筐体を構成する部材としても利用される。
【0026】
また、電磁波を送受信する一次放射器としては、端部を開放した導波管やダイポールアンテナ等のように効率的に電磁波ビームの放射が可能なものを用いればよく、集波器の焦点の位置に設置されて2枚の金属板の間に配置される。
【0027】
さらに、集波器との間で電磁波を結合させる複数の入出力部としては、平行平板間を伝送する電磁波が入出力部において反射することのない形状に開けたスロット等を用いればよく、できるだけ集波器に近い位置として2枚の金属板の一方に設けられることが望ましい。
【0028】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明のビームスキャンアンテナの実施の形態の一例について外観を示す斜視図である。図1において1は一方主面、この例では上面に複数の短冊状の電極を電磁波の進行方向に略平行に配設した集波器であり、2は平行に配置した2枚の金属板の一方、この例では上側の金属板に設けられた一次放射器としてのスロット、3は同じく上側の金属板に設けられた複数の入出力部としてのスロット、4は平行に配置した金属板から成るビームスキャンアンテナの筐体である。また、5は集波器1の電極に印加される静電界を示している。この例では、スロット2より電磁波が入力された場合を中心として説明する。
【0029】
まず、導波管等(図示せず)によりスロット2から入力された電磁波が集波器1の基板内を伝播する間に平面波に変換され、集波器1に結合されたスロット3より外部に放射される。このとき集波器1に印加される静電界5の強度および分布を短冊状の電極に加えられる電圧によって調節し、一次放射器であるスロット2の位置を頂点とし、集波器1の基板内の比誘電率の平方根をその頂点からの距離の二次関数的に分布させることにより、入出力部である複数のスロット3から放射される電磁波は等位相となり、スロット3の正面方向に電磁波のビームが放射されることとなる。また、静電界5の強度および分布を上記の条件を右あるいは左に平行移動するように調節して、二次関数の頂点をスロット2の位置からずらしたときには、その位置ずれの量に応じて複数のスロット3の隣り合うものから放射される電磁波の位相の差が等しくなり、その結果、これらの電磁波を合成したビームはスロット3の正面方向からその位相差に対応した角度をもって傾くことになる。
【0030】
なお、図1に示す例では、平行に配置した2枚の金属板のうち同一の金属板内に入力部である一次放射器としてのスロット2と出力部としてのスロット3とを設けたが、通常のビームスキャンアンテナでは、スペースの有効利用の観点から、別々の金属板に入力部と出力部とを分けて設けられることが多い。
【0031】
また、出力部としての複数のスロット3が単独でアンテナとして機能する場合には、この図1に示した構成のもの単独でビームスキャンアンテナとして十分に機能するものとなる。さらに、このスロット3にアンテナ素子やアンテナアレイを接続することにより、任意のビーム形状やアンテナ利得を得ることが可能である。さらにまた、このスロット3に平面アンテナ素子や平面アンテナアレイを接続すれば、任意のビーム形状やアンテナ利得を得ることが可能であり、かつ全体として薄型のビームスキャンアンテナを構成することができる。
【0032】
図1に示すような構成の本発明のビームスキャンアンテナにおいては、図2に2枚の金属板のうちスロット2およびスロット3のない側の金属板を取り除いた平面図で示すように、集波器1、スロット2およびスロット3を取り囲むように、金属枠体6を設けておくことが好ましい。このように金属枠体6を設けることにより、外部に不要に放射される電磁波を減少させることができ、アンテナ効率を向上させることが可能となる。このような金属枠体6は、例えば銅・アルミニウム・鉄等の導電性が良く加工性が良好な金属を用いて、集波器1の側面とはできるだけ近接させ、また一次放射器との位置関係については、後方に不要に放射される電磁波については効率的に前方に放射されるように、例えば一次放射器を焦点とした放物線状に成形し、入出力部との関係については、入出力部で最も効率良く放射されるように設置し、金属板との接続については半田付け等の金属接合を行なうように設けておくとよい。
【0033】
図3は本発明のビームスキャンアンテナにおける集波器1の実施の形態の一例を示す電磁波の進行方向に直交する方向の断面図であり、基板1aの両主面にそれぞれ同形状の複数の短冊状の電極1bと複数の短冊状の対向電極1cとが対向配置された場合の例を示している。このように短冊状の電極1bと短冊状の対向電極1cとを対向配置した場合には、静電界の制御が容易となる。
【0034】
一方、対向電極1cを電極1bと対向するように基板1aの略全面に形成した場合には、配線を簡略化することができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明のビームスキャンアンテナについて具体例を説明する。
【0036】
幅30mm×長さ50mmの銅製の金属板に、静電界の印加により比誘電率が2〜4の範囲で変化する材料から成る、長さ25mm×幅30mmの基板を金属板の電磁波の進行方向に対して直交する側の端面より5mmの位置に設置し、この基板の一方の主面に1mmの間隔で幅1mm×長さ25mmの短冊状の電極を形成し、他方の主面にはこれら電極と対向するように略全面に対向電極を形成し金属板と接続して接地面として、本発明のビームスキャンアンテナにおける集波器を作製した。また、一次放射器を集波器の30mmの辺の中心に密着させるように設けた。
【0037】
そして、短冊状の電極と対向電極(接地面)との間に印加する直流電圧を調整し、集波器の30mmの辺の中央で比誘電率が4、端部で比誘電率が2となり、その間は比誘電率の平方根が中央からの距離の二乗に比例して低下し、基板の長さ方向(電磁波の進行方向に相当する)には均一な誘電率分布となるように静電界を設定し、FDTD法(Finite Difference Time Domain法:時間領域差分法)を用いて電磁界分布のシミュレーションを行なった。
【0038】
このとき、集波器を構成する基板の長さ方向の中央部の端部において10GHzの入力信号を発生させ、集波器を構成する基板の厚み方向の中央部における一次放射器から入力されたマイクロ波信号の位相を調べた。その際、ある瞬間の入力されたマイクロ波信号の集波器の厚み方向の中央部の平面における電界分布を、集波器の中心から集波器に向かって右方向をプラスとして2mm刻みで調べた。その結果を図4に線図で示す。
【0039】
図4において横軸は金属板端部からの距離(単位:mm)を、縦軸は集波器の厚み方向の中心部の電界強度(単位:一次放射器から放射される電界の最大値により規格化)を表しており、各特性曲線は各位置における電界強度を示している。また、横軸における距離が5〜30mmの領域は、集波器として使用している誘電体基板の存在する位置を示している。
【0040】
図4に示されている通り、この条件においては、集波器の一次放射器から見て反対の辺でのマイクロ波信号の位相はすべて同一で、平板レンズの一方の焦点に一次放射器を設けた場合と同様の効果を示しており、この集波器は電磁波に対するレンズとして機能していることが分かる。
【0041】
次に、集波器と一次放射器との位置関係は固定したまま、集波器の基板上の電極に印加する直流電圧を平行移動させ、比誘電率が4の個所を集波器の中央から集波器の方向に向かって左に4mmずらし、比誘電率の分布も左に4mm平行移動した条件に設定して、同じくFDTD法により上記と同様のシミュレーションを行なった。この際も同様にある瞬間の入力されたマイクロ波信号の集波器の厚み方向の中央部の平面における電界分布を集波器の中心から集波器に向かって右方向をプラスとして2mm刻みで調べた。その結果を図5に図4と同様の線図で示す。
【0042】
図5に示す結果から明らかなように、この条件において集波器の一次放射器の反対側の空間でのマイクロ波信号の位相が0となる位置は、集波器の中央の延長線上では37mm、集波器の中央から左に10mm離れた直線上(−10mmの線)では位相が進んでおり、0となる点が33.5mm、逆に右に10mm離れた直線上(+10mmの線)では位相が遅れており、0となる点が41.5mmとなっている。またその間の位置においても中央からの距離に応じて位相が0となる点が異なっている。この範囲で位相は中央からの距離に応じて線形に変化し、±10mmの範囲では120度だけ直線状に変化していることになる。
【0043】
一般に等間隔に並んだ線状のアンテナアレイの主ビームの傾きと隣り合うアンテナ素子の位相差との関係は、
φ=(2πd/λ)sinθs
φ:隣り合う素子間の位相差
d:アンテナ素子ピッチ
λ:空間における電磁波の波長
θs:主ビームの傾き
と表される。
【0044】
上記のシミュレーションにおいて、集波器のごく近傍に入出力部を設け、かつその入出力部の個々が一個のアンテナ素子に接合されており、かつアンテナ素子間のピッチが4mmと仮定すると、本実施例においては空間での波長は30mmであり、また20mmの範囲で120度の位相差があるので、θs=30度となる。このことから明らかなように、集波器端部近傍の入出力部を通して放射される電磁波はその位置に応じて位相が線形に変化するため、これらを合成したビームが傾くことが明らかである。
【0045】
また位相の変化量は集波器の誘電率の分布によって決定されることは明らかであり、つまり集波器の短冊状電極に加えられる静電界の分布の頂点の位置等により位相変化量が決まる。したがって、静電界の分布を変化させることによって、集波器の材質により決定される比誘電率の変化率の範囲内でとることのできる分布に対応する範囲で任意の位相変化を行なうことができる。
【0046】
これにより、本発明のビームスキャンアンテナによれば、集波器に印加する静電界の変化に応じて入出力部から送信あるいは受信する電磁波のビームを傾けることができることが分かる。したがって、この静電界を例えば周期的に変化させることにより、電磁波のビームをスキャンすることができる。
【0047】
また、最小のスキャン角度は、集波器の材質とこれに印加される静電界分布により決まり任意の角度を選択することが可能である。一方、最大のスキャン角度は同様に集波器の材質と印加される静電界の分布により決められるが、最大値は集波器の材質によって決まる。すなわち、電界を加えない状態での比誘電率と電界をさらに加えても比誘電率の変化が飽和する状態における比誘電率との比率が大きければ大きいほど、より大きいスキャン角度を得ることができることから、実用上十分なスキャン角度でもって電磁波のビームをスキャンすることは容易である。
【0048】
以上により、本発明のビームスキャンアンテナは、機械的な駆動部を必要とせず、集波器への静電界の印加という電気的な信号制御のみで作動可能な、良好なビームスキャン特性を有するビームスキャンアンテナとなることが確認できた。
【0049】
なお、以上はあくまで本発明の実施の形態の例示であって、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、平行に配置した2枚の金属板として、裏面のほぼ全面をメタライズ加工したセラミック基板を用いてもよいし、裏面のほぼ全面に銅箔パターンを被着した樹脂回路基板を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明のビームスキャンアンテナによれば、平行に配置した2枚の金属板の間に電磁波を送受信する一次放射器と電磁波に対する平板状の集波器とを配置するとともに、金属板の一方に集波器との間で電磁波を結合させる複数の入出力部を設けて成り、この集波器を、静電界により比誘電率を変化させることができる材料から成る基板の一方主面に電磁波の進行方向に略平行な複数の短冊状の電極が配設され、他方主面に一方主面の短冊状の電極と対向させて短冊状または略全面に形成された対向電極が配設されて成り、電極および対向電極間に静電界を印加して集波器の電磁波の進行方向に垂直な方向の比誘電率を部分的に変化させることにより入出力部から放射または吸収する電磁波のビーム方向を可変としたことから、内部に機械的な駆動部を全く持たずかつ小型のビームスキャンアンテナとすることができ、動作の信頼性を高めることができると同時に薄型化も可能であり、レーダとして大幅に小型化を図ることができる。その結果、軽量・小型・高性能かつ低コストで、例えば自動車用レーダに最適のビームスキャンアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビームスキャンアンテナの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のビームスキャンアンテナの内部構造の例を示す平面図である。
【図3】本発明のビームスキャンアンテナに用いる集波器の例を示す断面図である。
【図4】本発明のビームスキャンアンテナの実施例における球面波を平面波に変換できる特性の評価結果を示す線図である。
【図5】本発明のビームスキャンアンテナの実施例における変換された平面波の位相を位置により変化させることができる特性の評価結果を示す線図である。
【符号の説明】
1・・・・集波器
1a・・・基板
1b・・・電極
1c・・・対向電極
2・・・・スロット(一次放射器)
3・・・・スロット(入出力部)
4・・・・筐体(金属板)
5・・・・静電界

Claims (2)

  1. 平行に配置した2枚の金属板の間に電磁波を送受信する一次放射器と前記電磁波に対する平板状の集波器とを配置するとともに、前記金属板の一方に前記集波器との間で前記電磁波を結合させる複数の入出力部を設けて成り、前記集波器は、静電界により比誘電率を変化させることができる材料から成る基板の一方主面に前記電磁波の進行方向に略平行な複数の短冊状の電極が配設され、他方主面に前記短冊状の電極と対向させて短冊状または略全面に形成された対向電極が配設されて成り、前記電極および前記対向電極間に静電界を印加して前記集波器の前記電磁波の進行方向に垂直な方向の比誘電率を部分的に変化させることにより前記入出力部から放射または吸収する前記電磁波のビーム方向を可変としたことを特徴とするビームスキャンアンテナ。
  2. 前記集波器の前記基板内において、前記電磁波の進行方向に垂直な面内で、前記短冊状の電極の短辺と垂直な方向には比誘電率を略同一とし、平行な方向には前記電磁波に対する屈折率を所定の点を頂点とする距離の二次関数的に分布させることを特徴とする請求項1記載のビームスキャンアンテナ。
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