JP4257633B2 - 熱電変換材料及び熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換材料及び熱電変換素子 Download PDF

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼーベック効果による熱電発電や、ペルチェ効果による電子冷凍等のいわゆる熱電効果(可動部の無いエネルギーの直接変換)に利用される高温用熱電変換材料及び熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換材料を用いた熱電発電や電子冷凍等の熱電変換は、振動、騒音、摩耗等を生じる可動部分が全くなく、構造が簡単で信頼性が高く、高寿命で保守が容易であるという特徴を持った簡略化されたエネルギー直接変換装置の作製を可能とするものであり、例えば、各種化石燃料等の燃焼によらず直接的に直流電力を得たり、冷媒を用いないで温度制御したりするのに適している。
【0003】
ところで、熱電変換材料において特性を評価するにあたり、以下の式で表される電力因子Qや性能指数Zが使用される。
【0004】
【数1】
Figure 0004257633
【0005】
【数2】
Figure 0004257633
【0006】
ここで、α:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、κ:熱伝導率である。熱電変換材料では、この性能指数Zが大きいこと、すなわちゼーベック係数αが高く、電気伝導率σが高く、熱伝導率κが低いことが望まれる。
【0007】
例えば、熱電変換材料を熱電発電などに用いる場合、熱電変換材料としては、Z=3×10−31/K以上の高い性能指数を有し、使用環境下で長期間安定に作動することが望まれる。また、車載用や排熱利用向けの熱電発電装置を量産するには、特に高温で十分な耐熱性・強度を有し、特性劣化が生じない材料と、これを安価に効率良く生産出来る製造方法が望まれる。
【0008】
従来、このような熱電変換材料としてはPbTe、あるいはMSi(M:Cr、Mn、Fe、Co)等のシリサイド化合物やそれらの混合物等のシリサイド系材料などが用いられている。
【0009】
また、TSb(T:Co、Ir、Ru)などのSb化合物を用いた例、例えば、化学組成においてCoSbを主成分とする材料に電気導電型を決定するための不純物を添加した熱電材料が報告されている(L.D.Dudkin and N.Kh.AbrikoSov, Soviet Physics Solid State Physics(1959)pp.126)B.N.Zobrinaand, L.D.Dudkin , Soviet Physics Solid State Physics(1960)pp1668)K.Matsubara, T.Iyanaga, T.Tsubouchi, K.Kishimoto and T.Koyanagi,American Institute of Physics (1995)pp226-229)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PbTeよりなる熱電変換材料は、熱電特性の指標となる性能指数Zが400℃前後で約1×10−31/Kと大きいものの、材料組成に揮発成分であるTeを含むため、融点が低く化学的安定性にも欠けるため、500℃以上での高温では使用できないという問題がある。さらに、揮発成分であるTeを含むことから製造過程が複雑となるため、組成変動による特性のばらつきが発生しやすく効率良く量産することが出来ないという問題点がある。またさらには、原料自体が高価であり、強い毒性を有するものであるという問題があった。
【0011】
一方、MSi(M=Cr、Mn、Fe、Co)等のシリサイド化合物やそれらの混合物等のシリサイド系材料は、原料が安価で毒性を含まず化学的に安定で800℃程度の温度領域でも使用可能であり、例えば『西田勲夫、上村欣一:熱電半導体とその応用(1983)pp.176−180 』に記載されているように比較的安価な製法で製造できることが知られている。しかし、シリサイド系材料の熱電特性はPbTeに比べ性能指数Zで1〜2×10−41/K 程度と一桁程度低く、PbTeに匹敵するような十分な熱電特性が得られていない。
【0012】
TSb(T:Co、Ir、Ru)などのSb化合物、例えば、化学組成においてCoSbを主成分とした熱電材料では、使用する原料が比較的安価で毒性を含むものがなく、また比較的高い性能指数(<1×10−31/K)を有していることが知られている。
【0013】
ここで、従来から知られているような化学組成CoSbを有する熱電変換材料では、得られる材料が立方晶型のCoSb結晶相のみを構成結晶相とし、それ以外の結晶相(CoSb、CoSb、Sb)は熱電特性を低下させる作用があるため除去する必要があるとされている。しかし、実際には、CoSbを溶製して得る方法では、凝固の際にCoSb以外の異相(CoSb、CoSb、Sb)が析出することが知られており、このような溶製材をCoSb単相にするには、600℃前後の温度にて約200時間程度の熱処理が必要となり製造工程が長期化するという問題がある。
【0014】
さらに、CoSb溶製材を粉砕・焼結する方法では、溶製時に析出した異相、すなわちCoSbよりも高い密度を有するCoSb、CoSbが焼成時にCoSbへ相変化するため、体膨張が発生し焼結が進行しないという問題がある。例えば、圧力5×10kg/cm、温度600℃の条件でホットプレスした場合でも十分に緻密化した材料は得られていない(参考文献:K.Matsubara, T.Iyanaga, T.Tsubouchi, K.Kishimoto and T.Koyanagi, American Institute of Physics (1995)pp226-229)。立方晶型CoSbの理論密度が7.64g/cmであるのに対し、文献報告値は最大で5.25g/cmとなっている。その結果、焼結体は著しく脆い材質となり、高温での材料強度が不十分な材料しか得られない。
【0015】
BiやTe、Se、Pbなどの重元素からなる材料を産業プロセス排ガスに晒した場合の耐久性や、高温反応雰囲気における構成成分の気化蒸発とそれによる汚染の問題から、低コストで高温まで安定に使用でき環境負荷の小さい新素材が求められている。
【0016】
このような背景から、酸化物を熱電材料として使用しようという気運が急速に高まっている。酸化物は一般に移動度が低く、普通は1019cm−3程度のキャリア濃度では金属的伝導を示さないため、熱電変換材料にはならないというのがこれまでの「常識」であった。しかし、1997年、層状酸化物NaCoが低い抵抗率を持ちながら、予想外に大きな熱起電力を持つことが見出された(特開2000−211971号公報)。この系の熱電特性は、他の酸化物に比べ群を抜いて高く、従来の既存実用材料に迫る性能を示すものである。
【0017】
しかしながら、焼結時にNaが揮散するため作成条件によって熱電特性が大きく異なるという問題を有する。また、高温で使用するとNa揮散して熱電特性が低下し、空気中に放置すると抵抗率が増加するという問題もある。さらに、Naが空気中の水分と反応しやすく性能が劣化する虞がある。
【0018】
一方、ブラウンミラーライト構造であるCa1.95La0.05Co2-xAlx5について、Co系ではじめて負の熱起電力を観測したと報告されている(小林 航、寺崎一郎、「Ca1.95La0.05Co2-xAlx5の伝導機構」、熱電変換シンポジウム2001(TEC2001))。
【0019】
しかしながら、この場合にも低温から室温まででの観測であり、高温での使用はできないという問題がある。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑み、500℃以上の高温でも安定して使用でき且つ毒性が低い熱電変換材料及び熱電変換素子を提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、(Ca1-xM1x2(Co1-yGay25(M1:La、Sr又はBa、0≦x<0.07、0.2≦y<0.5)で表される酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料にある。
【0022】
本発明の第2の態様は、第1の態様の熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子にある。
【0023】
本発明の第3の態様は、(Ca1-pM2p2(Co1-qFeq25(M2:La、Sr又はBa、0≦p<0.1、0.2≦q<1.0)で表される酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料にある。
【0024】
本発明の第4の態様は、第3の態様の熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子にある。
【0025】
本発明は、Ca1.95La0.05Co2-xAlx5のAlを他の13族の元素に置換した結果、Gaを用いた(Ca1-xLax2(Co1-yGay25は、ブラウンミラーライト構造(Brownmillerrite構造)をとり、500℃以上の高温でも安定して使用でき且つ毒性も低いという利点を有するものであるこという知見に基づいて完成されたものである。
【0026】
ここで、(Ca1-xM1x2(Co1-yGay25のM1がLaの場合及びM1が存在しない場合についてのX線回折図を図1に示す。この結果、何れもブラウンミラーライト構造をとることが確認された。また、本発明の熱電変換材料の母相であるCa2(Co - yGa2y)O5について、Gaの量に対する熱起電力の挙動を調べたところ、図2に示す結果となった。この結果、何れの場合も温度を上昇すると、負の熱起電力(N型)から正の熱起電力(P型)に変化するが、Gaの量が少ないほどNからPへの転移温度が低温側に移動することが確認された。また、Gaが少ない方が電気抵抗も小さくなることが確認された。一方、カルシウムサイトにLaをドープすると、キャリアが形成されて電気抵抗が低下するが、添加量が多くなるほど熱起電力が低下していくので、少ないドープ量とするのが好ましいことが確認された。
【0027】
また、Gaの代わりにFeを用いた(Ca1-pM2p2(Co1-qFeq25についても、ブラウンミラーライト構造をとって、高温においても良好な熱起電力を示すことが確認された。このように、非常に安価なFeCo系の母材において、熱起電力が確認されたのは初めてであり、今後の有効利用が期待できる。また、カルシウムサイトにLaをドープすると、キャリアが形成されて電気抵抗が低下するが、添加量が多くなるほど熱起電力が低下していくので、少ないドープ量とするのが好ましいことが確認された。なお、カルシウムサイトにLaの代わりにSrをドープしても同様な効果が得られたので、Srの代わりにBaを用いても同様な効果が得られることが予想される。また、Gaを用いた場合にも、Laの代わりにSrやBaを用いても同様な効果が得られることが予想される。
【0028】
なお、本発明の熱電変換材料は、C軸方向に配向していてもよい。これにより、層状構造に起因して層の平行方向と垂直方向による物性、特に電気抵抗率の異方性により、熱電特性が改善されることが予想される。ここで、C軸方向に配向させる配向制御は、ホットプレス法やプラズマ放電等の周知の方法により行うことができる。
【0029】
本発明のGaを用いた熱電変換材料において、Gaは、ブラウンミラーライト構造を保つことができる限界量以上で、できるだけ少ない方が望ましく、0.2≦y<0.5の範囲、好ましくは0.2≦y≦0.4の範囲である。yが0.2より小さいとブラウンミラーライト構造を安定して保つことができず、一方、yが0.5以上では不純物が析出してしまうからである。一方、La、Sr又はBaの量は、0≦x<0.07の範囲であり、好ましくは、0.01≦x≦0.02の範囲である。
【0030】
一方、本発明のFeを用いた熱電変換材料においては、Feは、コストの面から多い方が好ましいが、0.2≦q<1.0、好ましくはq<0.75、さらに好ましくはq≦0.5である。これより多いと、結晶型が崩れてしまうからである。一方、La、Sr又はBaの量は、p<0.1、好ましくは、p<0.075である。
【0031】
(Ca1-pM2p2(Co1-qFeq25において、M2がLaの場合はキャリアが形成されて電気抵抗が減少する。M2がBaまたはSrの場合は直接添加によるキャリアの変化はないが、Feが価数で2価と3価として存在し、母体自身の抵抗が低下している。Feの量が多くなると、Feの3価が増え抵抗は増大し、出力因子が低下するためFeはqが1.0未満であることが望ましい。
【0032】
以上説明した本発明の熱電変換材料を用いることにより、熱電特性の優れた熱電変換素子を構成することができる。熱電変換素子の構成は特に限定されず、従来から公知の構造を採用することができ、例えば、温度差から起電力を取り出す構造や、電力を加えてヒートポンプとして冷却又は加熱する構造を採用することができる。
【0033】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
(実施例1及び2)
純度99.99%のCaCO、純度99.9%のCo、純度99.9%のLaO、純度99.99%Ga23の粉末を、(Ca1-xLax2(Co1-yGay25のx=0、y=0.25(実施例1)、x=0、y=0.35(実施例2)、x=0.0125、y=0.25(実施例3)、x=0.025、y=0.25(実施例4)及びx=0.05、y=0.25(実施例5)となる混合比(化学量論組成)で秤量し、めのう乳鉢で30分程度混合し、大気中1000℃で12時間仮焼きを行った。これをめのう乳鉢で30分程度粉砕し、約1.2gの試料を一軸加圧成形法により成形し、成形品を大気中1050℃で12時間本焼きして焼結体とした。
【0035】
(比較例1)
比較のため、x=0、y=0.5(比較例1)、x=0.075、y=0.25(比較例2)となる混合比で秤量し、同様に焼結体を作製した。
【0036】
(試験例1)XRD測定
実施例1〜4及び比較例1の焼結体の同定を、X線回折で行った。測定にはマックサイエンス社製MXPでCuターゲットを用いた。測定条件は、以下の通りとした。
【0037】
測定範囲:5.0〜60.6deg
サンプリング間隔:0.02deg
スキャン速度:3.0/min
測定法:通常法(BG測定なし)
発生電圧:40kV
発生電流:30mA
発散スリット:1.0deg
散乱スリット:1.0deg
発光スリット:0.15mm
この結果は図1に示す。
【0038】
この結果、実施例1〜4では、何れもブラウンミラーライト構造をとることが確認されたが、Gaがy=0.5と多くなると(比較例1)単相が得られなくなることが確認された。
【0039】
(試験例2)
実施例3〜5並びに比較例2の焼結体について、以下の通り、熱起電力(ゼーベック係数)の温度依存性を測定した。
【0040】
(T<300K)
切りだした試料を銀ペーストで二枚の銅板上に跨るように固定し、液体ヘリウムを用いて室温から徐々に冷却しながら、一方に銅板にあるヒータによって試料両端に温度差ΔT(約5K)をつけ、そのときの起電力を読みとり測定した。計測線にはCu、熱電対にはCu−Ct、温度計はCernox温度計、ヒータはひずみゲージを用いた。
【0041】
(T>300K)
管状炉の片方にヒータを置いて炉全体の温度勾配を利用して試料両端に温度差ΔT(約20K)をつけた以外は、T<300Kの場合とほぼ同様に行った。
【0042】
この結果を図3に示す。この結果、Laの含有量が多くなると、ゼーベック係数が低下する傾向にあり、Laの添加量はy=0.07程度が限界であることがわかった。なお、y=0.075の比較例2では、X線回折図は示していないが、単相ではなくなり、ブラウンミラー結晶構造が安定して得られないこともわかっている。
【0043】
(試験例3)
実施例3〜5の焼結体について、直流四端子法により、電気抵抗率の温度依存性を測定した。この結果を図4に示す。
【0044】
この結果より、電気抵抗率はLaの添加量が小さいほど小さいことが確認された。
【0045】
(試験例4)
実施例3及び4の焼結体について出力因子の温度依存性を測定した結果を図5に示す。なお、出力因子は、P=α/ρにより算出した。
【0046】
(実施例6〜8)
純度99.99%のCaCO、純度99.9%のCo、純度99.99%Fe23の粉末を、(Ca1-pLap2(Co1-qFeq25のp=0、q=0.375(実施例6)、p=0、q=0.5(実施例7)、p=0、q=0.75(実施例8)となる混合比(化学量論組成)で秤量し、めのう乳鉢で30分程度混合し、大気中1000℃で12時間仮焼きを行った。これをめのう乳鉢で30分程度粉砕し、約1.2gの試料を一軸加圧成形法により成形し、成形品を大気中1100℃で12時間本焼きして焼結体とした。
【0047】
(比較例3)
比較のため、p=0、q=1.0(比較例3)となる混合比で秤量し、同様に焼結体を作製した。
【0048】
(実施例9〜12)
純度99.99%のCaCO、純度99.9%のCo、純度99.9%のLaO、純度99.99%Fe23の粉末を、(Ca1-pLap2(Co1-qFeq25のp=0.0125、q=0.5(実施例9)、p=0.025、q=0.5(実施例10)、p=0.0375、q=0.5(実施例11)及びp=0.05、q=0.5(実施例12)となる混合比(化学量論組成)で秤量し、めのう乳鉢で30分程度混合し、大気中1000℃で12時間仮焼きを行った。これをめのう乳鉢で30分程度粉砕し、約1.2gの試料を一軸加圧成形法により成形し、成形品を大気中1100℃で12時間本焼きして焼結体とした。
【0049】
(実施例13、14)
純度99.99%のCaCO、純度99.9%のCo、純度99.9%のSrCO、純度99.99%Fe23の粉末を、(Ca1-pSrp2(Co1-qFeq25のp=0.0125、q=0.5(実施例13)、p=0.025、q=0.5(実施例14)となる混合比(化学量論組成)で秤量し、めのう乳鉢で30分程度混合し、大気中1000℃で12時間仮焼きを行った。これをめのう乳鉢で30分程度粉砕し、約1.2gの試料を一軸加圧成形法により成形し、成形品を大気中1100℃で12時間本焼きして焼結体とした。
【0050】
(試験例5)XRD測定
実施例6〜14及び比較例3の焼結体の同定を、試験例1と同様に行った。この結果を図6〜図8に示す。
【0051】
この結果、実施例6〜14では、何れもブラウンミラーライト構造をとることが確認されたが、Feがq=1.0と多くなると(比較例3)ブラウンミラーライト構造が得られなくなることが確認された。
【0052】
(試験例6)
実施例6、7及び9〜14の焼結体について、試験例2と同様にして、熱起電力(ゼーベック係数)の温度依存性を測定した。
【0053】
この結果を図9〜図11に示す。この結果、CoをFeで置換するほど、熱起電力が大きくなることがわかった。また、CaサイトにLaの含有量が多くなると、ゼーベック係数が低下する傾向にあるが、Srを添加した場合には、未添加と同等の熱起電力を示すことがわかった。
【0054】
(試験例7)
実施例6、7及び9〜14の焼結体について、直流四端子法により、電気抵抗率の温度依存性を測定した。この結果を図12〜図14に示す。
【0055】
この結果より、電気抵抗率は、Feの置換量が少ない方が小さいことがわかった。また、カルシウムサイトの置換では、電気抵抗率は、特に高温ではLa又はSrの添加量が少ないほど小さいことが確認された。
【0056】
(試験例8)
実施例7、9、13及び14の焼結体について出力因子の温度依存性を測定した結果を図15及び16に示す。なお、出力因子は、P=α/ρにより算出した。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、500℃以上の高温でも安定して使用でき且つ毒性が低い熱電変換材料及び熱電変換素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例に係る熱電変換材料のX線回折図である。
【図2】本発明に係る熱電変換材料の熱起電力の温度依存性を示す図である。
【図3】本発明の実施例及び比較例に係る熱電変換材料の熱起電力を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る熱電変換材料の電気抵抗率の温度依存性を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る熱電変換材料の出力因子の温度依存性を示す図である。
【図6】本発明の実施例及び比較例に係る熱電変換材料のX線回折図である。
【図7】本発明の実施例に係る熱電変換材料のX線回折図である。
【図8】本発明の実施例に係る熱電変換材料のX線回折図である。
【図9】本発明の実施例に係る熱電変換材料の熱起電力の温度依存性を示す図である。
【図10】本発明の実施例に係る熱電変換材料の熱起電力の温度依存性を示す図である。
【図11】本発明の実施例に係る熱電変換材料の熱起電力の温度依存性を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係る熱電変換材料の電気抵抗率の温度依存性を示す図である。
【図13】本発明の実施例に係る熱電変換材料の電気抵抗率の温度依存性を示す図である。
【図14】本発明の実施例に係る熱電変換材料の電気抵抗率の温度依存性を示す図である。
【図15】本発明の実施例に係る熱電変換材料の出力因子の温度依存性を示す図である。
【図16】本発明の実施例に係る熱電変換材料の出力因子の温度依存性を示す図である。

Claims (4)

  1. (Ca1-xM1x2(Co1-yGay25(M1:La、Sr又はBa、0≦x<0.07、0.2≦y<0.5)で表されるブラウンミラーライト構造をとる酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料。
  2. 請求項1の熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子。
  3. (Ca1-pM2p2(Co1-qFeq25(M2:La、Sr又はBa、0≦p<0.1、0.2≦q<1.0)で表されるブラウンミラーライト構造をとる酸化物からなることを特徴とする熱電変換材料。
  4. 請求項3の熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子。
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