JP4255271B2 - 太陽光発電システムおよびその設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電システムおよび太陽光発電システムの設置方法に関し、特に、太陽光発電システムを構成する各種部品の一式をシステム設置現場まで輸送し、その設置現場に太陽光発電システムを設置するための構成および設置方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、太陽光発電システムは、太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、配線ケーブル、架台、蓄電池等といった各種部品から構成される。従来より、一般的に、これら各種部品は、生産工場において個別に生産され、同一部品の複数個が各部品の種類ごとに個別に箱体に梱包されて、それぞれシステム設置現場まで輸送される。そして、このシステム設置現場において開梱されて各箱体から必要部品が取り出され、それぞれが組み合わされ太陽光発電システムが組み立てられる。
【0003】
特に、このシステムを輸出する場合は、上記各部品の種類ごとに個別に梱包した箱体をコンテナボックスに収納することになる。そして、輸出先で、コンテナボックスから各箱体が搬出され、行き先(システム設置現場)毎に分類され、輸送される。
【0004】
上記の一般的な輸送形態の場合、箱体の輸送機関による積み降ろし作業時に、部品が破損してしまったり、積み降ろしのたびに行われる分類作業において分類を間違えて部品が紛失し、システム設置現場に所定の構成部品が届かなくなってしまうことがある。
【0005】
この不具合を解消する方法として、比較的小型または小規模のシステムの場合、特開昭63−19754号公報に示されているように、蓄電池システムを構成する各種部品の一式を予め生産工場において組み立てた後、収納箱に収めておくことが行われている。また、特開平7−224506号公報に記載されているように、ユニットに分解し、支持構造体毎に一体的に組み立ててユニット製品として完成品に近い形にしておき、現場でユニットを組み合わせ、システムを組み立てることも行われている。これにより、システム設置現場までの輸送や、現場での施工に要する時間を軽減することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−19754号公報
【特許文献2】
特開平7−224506号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような方法は、比較的小型または小規模のシステムまたはユニットであるが故に実現できるものである。つまり、このような場合には、システムまたはユニットを完成品に近い形にしたとしてもそれほど大型のものにはならない。従って、陸上輸送機関の例えば貨物自動車への積載が可能である。このため、システムまたはユニットとして完成品としてシステム設置現場まで輸送することができる。
【0008】
ところが、例えば3kWクラス以上の大型のシステムを単一製品として輸送する場合、輸送できる最小単位の大きさに制限があるため、システム構成部品を組み立てて運ぶことはできない。
【0009】
このような課題に対して、本出願人は、特願2001−221679において、太陽光発電システム構成部品をすべてシステム箱体に梱包して、システム設置現場まで運び、システム箱体を固定した後、システム箱体に架台を取付け、太陽電池モジュールを取付け、太陽光発電システムを組み立てる太陽光発電システムを提案している。
【0010】
本発明は、この発明に対し、さらに効果的に課題を解決する手段を提供するもので、その目的は、各種のシステム構成部品がシステム設置現場まで輸送された後、このシステム設置現場において組み立てられる太陽光発電システムに対し、部品の破損や紛失を抑制して、設置するときに通常必要な予備品を不要とするとともに、システム構成部品を梱包するための箱体をさらに有効に活用し、現地組み立て作業をさらに簡単にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、太陽電池モジュールを含む構成部品を、1つの箱体に収納または取り付けて設置現場まで移送し、前記箱体の少なくとも1つの壁板を他の壁板との連結部を中心に回動可能にし、前記太陽電池モジュールを前記箱体の回動可能な壁板に配設して、前記箱体を構成部品の一部とし、設置に際して前記壁板を回動させて前記箱体を変形した状態として、設置現場にて構成部品を組み立てる太陽光発電システムの設置方法において、前記箱体の側板は、前記太陽電池モジュールが配設される回動可能な壁板を前記側板にもたれかからせたときに、前記太陽電池モジュールの設置角度が設定されるように折りたたまれる。
【0012】
この方法では、全ての部品をまとめて移送するため、一部の部品が紛失するのを確実に防止することができる。また、部品を箱体に収納することで部品の破損を避けることができる。しかも、その箱体自体を部品として利用するため、箱体の処理、例えば返送が不要になる。
【0013】
ここで、箱体の少なくとも1つの壁板を他の壁板との連結部を中心に回動可能にし、設置に際して壁板を回動させて箱体を変形した状態とするようにし、さらに、太陽電池モジュールの配設される回動可能な壁板を側板にもたれかからせたときに、箱体の側板が、太陽電池モジュールの設置角度が設定されるように折りたたまれることによって、太陽光を多く受ける向きに太陽電池モジュールを設定するのが容易になる。また、太陽電池モジュールの設置角度は、太陽光発電システムを設置する場所の緯度等によって決まる最適値に設定するとよい。
【0014】
設置現場への移送前に、太陽電池モジュールを箱体の回動可能な壁板に、設置後の配設状態で取り付けておくこともできる。このようにすると、設置現場での作業が少なくなる。
【0015】
前記目的を達成するために、本発明ではまた、太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールが配設される基台とを含み、基台が複数の板状部材より成り、かつ変形可能であって、基台の一形状において複数の板状部材が略閉じた空間を形成し、少なくとも1つの板状部材が他の板状部材との連結部を中心に回動可能であり、板状部材の回動により基台が変形する太陽光発電システムにおいて、太陽電池モジュールは回動可能な板状部材に配設され、前記基台の側板は、前記太陽電池モジュールが配設される回動可能な板状部材を前記側板にもたれかからせたときに、前記太陽電池モジュールの設置角度が設定されるように折りたたまれる構成とする。
【0016】
複数の板状部材が略閉じた空間を形成する基台の形状では、基台を構成部品を収納するための箱体として利用することが可能であり、これにより、上記の設置方法を容易に採用することができる。また、基台を変形させた状態で設置することにより、太陽光を多く受ける向きに太陽電池モジュールを設定することが容易になる。
【0017】
また、少なくとも1つの板状部材が他の板状部材との連結部を中心に回動可能であり、板状部材の回動により基台が変形することによって、基台を変形させる際に板状部材を一旦分離して取り付け直す必要がなく、変形作業を容易に行うことができる。
【0018】
さらに、太陽電池モジュールは回動可能な板状部材に配設されることによって、太陽光を多く受ける設定とするのが容易になる。
【0019】
太陽電池モジュールは、板状部材の2つの面のうち、その板状部材が略閉じた空間を形成するときに内側を向く面に配設するとよい。太陽電池をあらかじめ板状部材に取り付けておく場合に、移送中の損傷を防止することができる。
【0020】
また、太陽電池モジュールが配設される回動可能な板状部材の傾斜角度を調節する調節機構を備えるようにするとよい。太陽の高度は緯度によって相違するが、調節機構を備えることで、配設現場の緯度に応じて、太陽光を最も多く受け得る設定とすることが可能になる。
【0021】
回動可能な複数の板状部材の回動軸が略平行な構成とすることができる。この構成では、略閉じた空間を形成するときに異なる壁板(例えば、天板と前板)を成す板状部材を変形後に略同一平面上に位置させることが可能になり、太陽電池モジュールの配設に利用し得る面積を大きくすることができる。
【0022】
また、回動可能な板状部材が他の回動可能な板状部材に直接連結されており、それらの板状部材の回動軸が略垂直な構成とすることもできる。この構成でも、略閉じた空間を形成するときに異なる壁板を成す板状部材を変形後に略同一平面上に位置させることが可能になり、太陽電池モジュールの配設に利用し得る面積を大きくすることができる。しかも、1つの板状部材とその両側の2つの板状部材(例えば、天板と2つの側板、または、前板と2つの側板)を変形後に略同一平面上に位置させることが可能になって、太陽電池モジュールの配設に利用し得る面積が一層大きくなる。
【0023】
基台が、略閉じた空間を形成する板状部材のほかに、それらの板状部材のいずれかに連結されて連結部を中心に回動可能で、形成される略閉じた空間に収容可能な板状部材を有するようにして、複数の太陽電池モジュールを、略閉じた空間を形成する回動可能な板状部材と収容可能な板状部材に配設するようにしてもよい。この構成でも、太陽電池モジュールの配設に利用し得る面積を大きくすることができる。
【0024】
この場合、収容可能な板状部材が、略閉じた空間を形成する回動可能な板状部材に直接連結されており、それらの板状部材の回動軸が略垂直な構成とすることができる。このようにすると、略閉じた空間を形成する複数の板状部材の回動軸を垂直にする場合と同様に、収容可能な2つの板状部材を含む3つの板状部材を変形後に略同一平面上に位置させることが可能になり、太陽電池モジュールの配設に利用し得る面積が一層大きくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態は例示にすぎず、本発明は各実施形態に限定されるものではない。
【0026】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の太陽光発電システムの設置前の外観を図1に模式的に示す。図1に示すように、システム箱体1は直方体状であり、天板2、前板3、2つの側板4、後板5、底板6の各板より形成されている(側板4の一方、後板5、および底板6は図に現れていない)。システム箱体1の外側は例えば鉄板製であり、高い機械的強度を有する。システム箱体1の大きさは、例えば、横6.06m、高さ2.59m、奥行き2.44mである。内部には、太陽電池モジュールをはじめ、構成部品の全てが収納されている。
【0027】
天板2と後板5、前板3と底板6はそれぞれ、例えば蝶番にて連結されており、天板2は後板5との連結部を中心として、また前板3は底板6との連結部を中心として回動可能である。この実施形態では、側板4も、太陽電池モジュールの設置角度に適するよう、図中点線で示す線4aで折りたためる構成、例えば、2つの板を蝶番にて連結した構造としている。
【0028】
太陽光発電システムの設置後の外観を図2に模式的に示す。設置は、システム箱体1を開いて収納している構成部品を取り出し、システム箱体1を変形させて固定し、太陽電池モジュール7を前板3に配設し、他の部品を適宜に配設して、全部品を一体に組み立てることより行われる。各太陽電池モジュール7は、一般のように、直列に電気接続されストリングを形成し、各ストリングが並列にパワーコンディショナに電気接続される。パワーコンディショナから適宜必要とされるところに電気が出力される。夜間等の非発電時等のために、蓄電池が接続されている場合もある。
【0029】
図1のシステム箱体1には、1つの太陽光発電システムを構成する構成部品として、例えば、大きさが、縦約120cm、横約80cmの出力約130Wの太陽電池モジュールを12台、6V、100Ah程度の蓄電池を32台、3kWパワーコンディショナ1台、太陽電池モジュール固定枠材一式、電気接続のための接続ケーブル一式、前記各種部材固定用または締結用のボルトナット等の固定部材一式等が収納されている。そして、これがシステム設置現場まで輸送される。この輸送は、例えば陸上輸送機関である大型貨物自動車の荷台に積載されることにより行われる。
【0030】
システム箱体1の上記寸法は、一般的な大型貨物自動車の荷台に積載できる程度の大きさなので、特別な輸送手段は不要である。また、図示していないが、底板6の四隅付近には、システム設置現場の基礎部分(基礎コンクリート床)に固定するためのアンカー取付け孔が形成されており、この孔は、輸送中にはキャップ等によって閉塞されている。
【0031】
システム箱体1は、システム設置現場へ輸送された後、上記のようにシステム構成部品の1つとして利用される。以下、本太陽光発電システムの構成例、および、施工例についてより詳しく説明する。
【0032】
図1のシステム箱体が設置現場へ到着すると、蓋部である天板2および前板3が開放され、収納されていた各種部品一式を取り出す。その後、システム箱体1の底板6のアンカー取付け孔に、システム設置現場の基礎部分(基礎コンクリート床)に打ち込まれているアンカーボルト等を挿入し、ナットを装着して、システム箱体1を基礎部分に固定する。
【0033】
この後、図2に示すように、天板2をシステム箱体内部に折り込み、側板4を図1に示す点線部4aで折り込むことにより、太陽電池モジュール設置角度を設定し、前板3をこの線にもたれかかせ、ボルトナットで、折り込まれた側板4に固定する。前板3の太陽電池モジュール設置面7aには、予め太陽電池モジュール固定枠材8が取り付けられており、12台の太陽電池モジュール7をモジュール固定枠材8に載置し、ボルトナット等で固定する。もちろん、モジュール固定枠材8を後で取り付けられるように、モジュール固定枠材8取付け用のネジ孔等が形成されているだけでも良い。この場合、設置現場でモジュール固定枠材を取り付ける。
【0034】
その後、蓄電池およびパワーコンディショナ等をケーブルにより接続する。これにより、太陽光発電システムが完成する。
【0035】
このように、システム箱体1が太陽光発電システムの基礎架台として使用される。なお、太陽電池モジュール7の設置角度の最適値は、設置する場所の緯度等によって決まるので、図1に示している側板4の折り込み線は、予め設定しておく。また、側板4を使わない場合、図示しない架台固定用の支持棒を用いて、支持棒に前板3を、ボルトナットで固定しても良いし、後板5を支持棒の替わりに用いても良い。支持棒の高さ、前板3との固定位置等を適宜選ぶことにより太陽電池モジュールの設置角度の調節ができる。また、各板で構成される空間を、居住空間、または、倉庫として利用することができる。このようにして、太陽光発電システムが設置される。本実施形態では、1.5kW程度のシステムとなる。
【0036】
このように本実施形態の太陽光発電システムでは、システムを構成するすべての構成部品をシステム箱体に梱包してシステム設置現場まで輸送することができる。システム設置現場までシステム箱体が開放されることは無いので、部品の破損、紛失が無くなる。また、システム箱体1が基礎架台となるので、太陽光発電システムの設置のための専用の基礎架台等を別途作成する必要が無くなり、さらに、システム箱体を廃棄または返送する必要が無くなる。また、システム箱体の前板3を太陽電池モジュール固定枠材として使用するので、設置現場での作業が非常に簡単になる。
【0037】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を図3に模式的に示す。第1の実施形態では、前板3を太陽電池モジュール7の設置面としたが、本実施形態では、図3に示すように、天板2を太陽電池モジュール設置面7aとする。システム箱体の大きさ、システム構成部品は第1の実施形態と同じである。太陽電池モジュール7の設置面は、(a)のように、天板2の表側(輸送時のシステム箱体の外側面)とする場合と、(b)のように裏側(輸送時のシステム箱体の内側面)とする場合がある。
【0038】
設置面を表側とすると、前板3をシステム箱体の内側に折り込んだ後、天板2を下側に折り込むだけでよく、作業が簡単である。設置角度は前述と同様であるが、後板5を傾ける方法、支持棒を使う方法等がある。設置面を裏側とすると、天板2を前板3に連結して前板3とともに回動させることになり、構造がやや複雑になるが、太陽電池モジュール設置面7aは輸送中システム箱体内にあるので、複雑な構造としても、輸送中に破損することが無く、より安全である。また、予め梱包前に太陽電池モジュール7を、太陽電池モジュール設置面7aに取付けておくことができ、設置現場での作業が簡単になる。この場合、システム箱体は図1において、モジュール固定枠材8が外からは見えない構造となっている。
【0039】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の太陽光発電システムの設置前の外観を図4に模式的に示し、設置後の外観を図5に模式的に示す。第1、第2の実施形態では、太陽電池モジュール7の設置面は一面のみであったが、本実施形態では、複数の板を回動させて複数の板を太陽電池モジュール7の設置に使用する。
【0040】
システム箱体11は、図4に示すように、天板2の外面と、前板3の外側面に、モジュール固定枠材8が予め取り付けられている。もちろん、モジュール固定枠材8を後で取り付けられるように、モジュール固定枠材取付け用のネジ孔等を形成しておくだけでも良い。前板3は底板6に連結され、天板2は前板3に連結されており、前板3は底板6との連結部を中心に、また、天板2は前板3との連結部を中心に、回動可能である。両者の回動軸は平行である。さらに、後板5も底板6との連結部を中心に回動可能である。
【0041】
システム箱体11の大きさは前述の例と同じであるが、この中には、1つの太陽光発電システムを構成する構成部品として、例えば、大きさが、縦約120cm、横約80cmの出力約130Wの太陽電池モジュールを24台、2V、150Ah程度の蓄電池を96台、3kWパワーコンディショナ1台、太陽電池モジュール固定枠材一式、電気接続のための接続ケーブル一式、前記各種部材固定用または締結用のボルトナット等の固定部材一式等が収納されている。
【0042】
図5に示すように、天板2と前板3を回動させて、両者の板面がほぼ平行で重ならないようにする。天板2と前板3の板面は同一平面となることが望ましい。設置角度は前述と同様である。この後、モジュール固定枠材8に前述と同様太陽電池モジュール7を取り付けるのであるが、1つの面に12台、計24台の太陽電池モジュール7を取り付ける。他の作業は前述と同様である。図5に示すように、後板5を傾け、天板2に固定する固定位置を適宜選ぶことにより、太陽電池モジュールの設置角度の調節ができる。本実施形態の太陽光発電システムは、3kW程度となる。このように、本実施形態では、第1、第2の実施形態よりも多くの太陽電池モジュール7が設置でき、大出力化が可能である。
【0043】
<第4の実施形態>
第4の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を図6に示す。太陽電池モジュール7の設置面として、天板2または前板3のうちどちらか一方と、2つの側板4を用いる。天板2を用いる場合、天板2を後板5に連結し、側板4を天板2に連結して、各々が連結部を中心に回動するようにする。前板3を用いる場合、天板2を底板6に連結し、側板4を前板3に連結して、各々が連結部を中心に回動するようにする。いずれの場合も、側板4の回動軸は天板2や前板3の回動軸に垂直である。
【0044】
図示しないが、このシステム箱体は、天板2または前板3のうちどちらか一方と、2つの側板4の外側面に、モジュール固定枠材8が予め取り付けられている。もちろん、モジュール固定枠材を後で取り付けられるように、モジュール固定枠材取付け用のネジ孔等を形成しておくだけでも良い。システム箱体の大きさは前述の例と同じで、この中には、1つの太陽光発電システムを構成する構成部品として、例えば、大きさが、縦約120cm、横約80cmの出力約130Wの太陽電池モジュールを24台、2V、150Ah程度の蓄電池を96台、3kWパワーコンディショナ1台、太陽電池モジュール固定枠材一式、電気接続のための接続ケーブル一式、前記各種部材固定用または締結用のボルトナット等の固定部材一式等が収納されている。
【0045】
設置現場で、2つの側板4を回動させ、さらに天板2または前板3を回動させて、側板4が天板2または前板3の略延長上に位置するように展開する。このとき、三者がほぼ同一面となるように設定するのが望ましいが、重なり部により太陽電池モジュール7の設置可能面積が特に減少しなければ、同一面でなくても特にかまわない。設置角度は前述と同じであるが、側板4を利用しない方法に限られる。この後、太陽電池モジュール7を、前板3に12台、側板4それぞれに6台設置する。その後、前述と同様の配線等を行い、太陽光発電システムが完成する。
【0046】
太陽電池モジュール7の設置に前板3を用いる場合の、設置後の側面図を図7(a)に模式的に示し、天板2を用いる場合の、設置後の側面図を図7(b)、(c)に模式的に示す。図7(b)に示す構造では前板3の端部で天板2を支持し、図7(c)に示す構造では前板3の略全体で天板2を支持し、いずれも支持棒10で前板3を支持している。設置角度は前述と同様である。
【0047】
なお、側板4を270゜回動させて、側板4の裏側面を太陽電池モジュール7の設置に用いるようにすることも可能である。このようにすると、配置面積は小さくなるが、太陽電池モジュール設置面は輸送中システム箱体内にあるので、複雑な構造としても、輸送中に破損することが無く、より安全である。また、予め梱包前に太陽電池モジュール7を側板4に取付けておくことができ、設置現場での作業が簡単になる。
【0048】
また、図6、図7(a)〜(c)に示すように、側板4に代えて、専用の太陽電池モジュール設置板9を用いる構成とすることもできる。設置板9は、天板2または前板3の両端に回動可能に連結してシステム基台の内部に収容しておき、設置現場で回動させて外部に出すようにする。この場合、設置角度の調節に、側板4を利用することも可能である。
【0049】
<第5の実施形態>
第5の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を図8に示す。これは、さらに大型の太陽光発電システムであり、第3の実施形態の構造を基本として、第4の実施形態の構造を組み合わせたものである。システム箱体の大きさは前述の例と同じで、この中には、1つの太陽光発電システムを構成する構成部品として、例えば、大きさが、縦約120cm、横約80cmの出力約130Wの太陽電池モジュールを48台、2V、1000Ah程度の蓄電池を96台、3kWパワーコンディショナ2台、太陽電池モジュール固定枠材一式、電気接続のための接続ケーブル一式、前記各種部材固定用または締結用のボルトナット等の固定部材一式等が収納されている。
【0050】
2つの側板4が前板3に、2つの設置板9が天板2に、回動可能に連結されている。設置現場で、まず、側板4を回動させて前板3の略延長に位置させ、次いで、収納されていた設置板9を回動させて天板2の略延長上に位置させ、さらに、前板3と天板2を回動させる。このとき、全体がほぼ同一面となるように設定するのが望ましいが、重なり部により太陽電池モジュール7の設置可能面積が特に減少しなければ、同一面でなくても特にかまわない。設置角度は前述と同じであるが、側板4を利用しない方法に限られる。この後、太陽電池モジュール7を、前板3に12台、側板4それぞれに6台、天板2に12台、設置板9それぞれに6台設置する。その後、前述と同様の配線等を行い、太陽光発電システムが完成する。このシステムは6kW程度となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の太陽光発電システムの設置方法によれば、全ての部品をまとめて移送するので、一部の部品が紛失するのを確実に防止することができる。また、部品を箱体に収納することで部品の破損を避けることができる。しかも、その箱体自体を部品として利用するため、箱体の処理、例えば返送が不要になる。特に、壁板を回動させることで箱体を変形するようにすると、変形のための作業が容易であり、設置の作業能率が高まる。
【0052】
本発明の太陽光発電システムでは、上記の設置方法を採用することが可能であり、設置を容易にかつ能率よく行うことができる。しかも、複数の板状部材に太陽電池モジュールを配設することも可能であり、大規模なシステムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の太陽光発電システムの設置前の外観を模式的に示す斜視図。
【図2】 第1の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を模式的に示す斜視図。
【図3】 第2の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を模式的に示す斜視図。
【図4】 第3の実施形態の太陽光発電システムの設置前の外観を模式的に示す斜視図。
【図5】 第3の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を模式的に示す斜視図。
【図6】 第4の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を模式的に示す斜視図。
【図7】 第4の実施形態の太陽光発電システムの設置後の模式的側面図。
【図8】 第5の実施形態の太陽光発電システムの設置後の外観を模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
1、11 システム箱体
2 天板
3 前板
4 側板
5 後板
6 底板
7 太陽電池モジュール
8 太陽電池モジュール固定枠材
9 太陽電池モジュール設置板
10 支持棒
4a 折りたたみ線
7a 太陽電池モジュール設置面
Claims (6)
- 太陽電池モジュールを含む構成部品を、1つの箱体に収納または取り付けて設置現場まで移送し、前記箱体の少なくとも1つの壁板を他の壁板との連結部を中心に回動可能にし、前記太陽電池モジュールを前記箱体の回動可能な壁板に配設して、前記箱体を構成部品の一部とし、設置に際して前記壁板を回動させて前記箱体を変形した状態として、設置現場にて構成部品を組み立てる太陽光発電システムの設置方法において、
前記箱体の側板は、前記太陽電池モジュールが配設される回動可能な壁板を前記側板にもたれかからせたときに、前記太陽電池モジュールの設置角度が設定されるように折りたたまれることを特徴とする太陽光発電システムの設置方法。 - 設置現場への移送前に、太陽電池モジュールを箱体の回動可能な壁板に、設置後の配設状態で取り付けておくことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システムの設置方法。
- 前記太陽電池モジュールの設置角度は、前記太陽光発電システムを設置する場所によって決まる最適値となることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電システムの設置方法。
- 太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールが配設される基台とを含み、基台が複数の板状部材より成り、かつ変形可能であって、基台の一形状において複数の板状部材が略閉じた空間を形成し、少なくとも1つの板状部材が他の板状部材との連結部を中心に回動可能であり、板状部材の回動により基台が変形する太陽光発電システムにおいて、
太陽電池モジュールは回動可能な板状部材に配設され、
前記基台の側板は、前記太陽電池モジュールが配設される回動可能な板状部材を前記側板にもたれかからせたときに、前記太陽電池モジュールの設置角度が設定されるように折りたたまれることを特徴とする太陽光発電システム。 - 太陽電池モジュールが、板状部材の2つの面のうち、その板状部材が略閉じた空間を形成するときに内側を向く面に配設されることを特徴とする請求項4に記載の太陽光発電システム。
- 前記太陽電池モジュールの設置角度は、前記太陽光発電システムを設置する場所によって決まる最適値となることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の太陽光発電システム。
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