JP4241083B2 - Operational risk measurement program, operational risk measurement method, and operational risk measurement device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量プログラム、オペレーショナルリスク計量方法およびオペレーショナルリスク計量装置に関し、特に、オペレーショナルリスクの値の妥当性および安定性を向上したオペレーショナルリスク計量プログラム、オペレーショナルリスク計量方法およびオペレーショナルリスク計量装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、企業の業務に存在する様々なリスクを計量し、リスクに対する対策を講じることが求められている。例えば、貸出業務などの信用取引にかかる信用リスクや為替・金利取引にかかる市場リスクでは、計量の基礎となる実績データが多いため、実績データに基づいたリスクの計量を高い信頼性でおこなうことができる。
【0003】
一方、事務処理のミスなどによって発生する事務リスクや、コンピュータシステムのシステム構成によって発生するシステムリスクなどのオペレーショナルリスクは、過去の実績データが乏しいため、実績データのみから計量したリスクの値は信頼性が著しく低い。
【0004】
そこで近年、オペレーショナルリスクを高い精度で計量する手法の開発が重要な課題となっている。具体的には、過去の実績から事故発生確率を求め、現在の取引件数と事故発生確率から発生する事故の件数を予測し、現在の取引金額の分布から事故件数分の金額を取り出して合算することで損失額を予測する手法が考案されている。すなわち、複数の取引について、どの取引に事故が発生するかを特定することはできないため、事故発生率に基づいてランダムに取引を選出し、選出した取引に事故があったものとしてその取引金額を損失額としている。
【0005】
ここで、現在の取引金額の分布は、複数の要因によって発生する取引金額を含むため、特定のパラメトリックな分布、例えば対数正規分布などを当てはめることは難しいことがある。そこで、従来のオペレーショナルリスク計量では、現在の取引金額をそのまま用い、事故件数分の取引金額をランダムに特定して合算することで損失額を予測していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−338124号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在の取引金額から事故件数分の取引を特定する構成では、過去に生じていない取引金額を取り出すことができないため、計量したオペレーショナルリスクの値は十分な信頼性を持つとはいえなかった。特に取引の件数が少ない場合にはオペレーショナルリスクの計量結果に大きな誤差が生じるという問題点があった。たとえば、取引件数が少ない場合には、比較的発生確率が低く、高額な取引が実績として挙がらない可能性がある。このように発生確率が低くともオペレーショナルリスクの算出に重要な取引金額を取り出すことができないと、算出したオペレーショナルリスクが不当に低い値となり、リスクを過小評価することになる。
【0008】
また、取引金額の中に本来発生する可能性の非常に低い金額、すなわち、本来の分布から外れた値が含まれていた場合、この外れ値の影響によってオペレーショナルリスクの測量結果が不安定になるという問題点があった。特にオペレーショナルリスクの計量では高い金額の取引が重要であるため、外れ値の金額が高い場合、計量したオペレーショナルリスクの値が現実とはかけ離れて高いものになっていることもあった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、取引件数が少ない場合や取引金額の分布がスムーズでない場合であっても妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量装置およびオペレーショナルリスク計量方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量プログラムにおいて、コンピュータを前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理手段と、前記平滑化処理手段が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出手段と、として機能させることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させる。
【0012】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、前記取引の金額の各々について対数正規分布を割り当て、各対数正規分布を合成した分布を前記平滑化取引金額分布として出力することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、取引金額の各々についてわりあてた対数正規分布を合成して平滑化取引金額分布として出力し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するようにコンピュータに演算させる。
【0014】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、前記平滑化取引金額分布の高額領域における確率点の値が所定の値となる帯域幅を設定し、当該帯域幅を有する対数正規分布を前記取引金額の各々に割り当てることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、高額領域における確率点が所定の値となるような帯域幅を用いて取引金額分布を平滑化し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを算出するようにコンピュータに演算させる。
【0016】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、取引金額の最大値の分布を示す最大取引金額分布から前記確率点の値を算出することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、平滑化取引金額の分布の高額領域の形状が取引金額の最大値の分布にできるだけ一致するように帯域幅を設定し、この帯域幅を用いて平滑化した取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようコンピュータに演算させる。
【0018】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、最大損失額の発生確率から前記確率点の値を算出することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、平滑化取引金額の分布の高額領域の形状が最大損失額の発生確率に合致するように帯域幅を設定し、この帯域幅を用いて平滑化した取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させる。
【0020】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記確率点の値を複数の銀行における取引実績から算出することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、複数の銀行における取引実績から最大取引金額分布または最大損失額の発生確率を算出し、算出した最大取引金額分布または最大損失額の発生確率から平滑化における帯域幅を設定するようにコンピュータに演算させる。
【0022】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記オペレーショナルリスク算出手段の内部に、取引事故が発生する確率を示す事故率と現在の取引件数から発生する事故件数を算出する事故件数算出手段と、前記事故件数算出手段が算出した事故件数分の取引金額を前記平滑化取引金額分布から取り出して合算する損失額算出手段と、前記損失額算出手段が算出する損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するリスク値算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、取引事故の発生確率と取引件数から発生する事故の件数を求め、事故件数分の取引金額を平滑化取引金額分布から取り出して合算することで損失額を算出する処理を繰り返すことで損失額の分布を作成し、損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させる。
【0024】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラムは、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、前記取引金額分布の高額領域を選択的に平滑化して前記平滑化取引金額分布を作成することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量プログラムは、金額の高い取引の分布に特に適合する平滑化取引金額分布を算出し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを算出するようにコンピュータに演算させる。
【0026】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量方法は、コンピュータが、取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量方法において、前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理工程と、前記平滑化処理工程が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量方法は、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出する。
【0028】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量装置は、取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量装置において、前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理手段と、前記平滑化処理手段が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量装置は、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するように構成している。
【0030】
また、本発明に係るオペレーショナルリスク計量装置は、上記の発明において、前記平滑化処理手段は、前記取引の金額の各々について対数正規分布を割り当て、各対数正規分布を合成した分布を前記平滑化取引金額分布として出力することを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、オペレーショナルリスク計量装置は、取引金額の各々についてわりあてた対数正規分布を合成して平滑化取引金額分布として出力し、この平滑化取引金額分 布からオペレーショナルリスクを計量するように構成している。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るオペレーショナルリスク計量プログラム、オペレーショナルリスク計量方法およびオペレーショナルリスク計量装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
この実施の形態1では、銀行業務のオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量装置について説明する。図1は、本実施の形態1にかかるオペレーショナルリスク計量装置の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、オペレーショナルリスク計量装置1は、その内部に表示部2、入力部3、制御部4、記憶部5、取引金額分布算出部6、平滑化処理部7およびオペレーショナルリスク算出部8を有している。
【0034】
表示部2は、液晶パネルやディスプレイなどの表示デバイスであり、入力部3は、キーボードやマウスなどの入力デバイスであり、記憶部5は、ハードディスク装置などの記憶デバイスである。この記憶部5には、現在の取引の内容を示す現在取引データ31、過去の取引における最大の取引金額の実績を示す最大取引金額実績データ32、過去の事故の実績を示す事故実績データ33が記憶されている。
【0035】
制御部4は、オペレーショナルリスク計量装置1を全体制御する制御部である。この制御部4には、表示部2、入力部3、記憶部5に加え、取引金額分布算出部6、平滑化処理部7およびオペレーショナルリスク算出部8が接続される。
【0036】
取引金額分布作成部6は、記憶部5の現在取引データ31を用い、現在の取引金額の分布状態を示す取引金額分布を作成する。平滑化処理部7は、取引金額分布作成部6が作成した取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布を作成する。
【0037】
オペレーショナルリスク算出部8は、平滑化処理部7が作成した平滑化取引分布と、記憶部5に記憶された事故実績データ33からオペレーショナルリスクの算出をおこなう。
【0038】
具体的には、平滑化処理部7は、その内部に最大金額分布作成部11、帯域幅算出部12、平滑化取引金額分布作成部13を備えている。最大金額分布作成部11は、記憶部5に記憶された最大取引実績データ32から過去の取引における最大金額の分布を最大取引金額分布として作成する。
【0039】
帯域幅算出部12は、取引金額分布を平滑化した場合に、高額な取引に対応する分布の形状が最大取引金額分布の形状に一致するように平滑化における帯域幅を算出する。平滑化取引金額分布作成部13は、帯域幅算出部12が算出した帯域幅を用いて取引金額分布を平滑化し、平滑化取引金額分布を作成する。
【0040】
また、オペレーショナルリスク算出部8は、その内部に事故件数算出部21、損失額算出部22、リスク値算出部23を備えている。事故件数算出部21は、事故実績データ33から取引における事故の発生率を算出し、現在取引データ31に記憶された取引の件数と事故の発生率から事故件数を予測する。損失額算出部22は、事故件数算出部21が算出した事故件数分の取引金額を平滑化取引金額分布から取り出して合計し、損失額を算出する。
【0041】
事故件数算出部21と損失額算出部22は、事故件数の算出と損失額の算出とを所定回数、たとえば10000回繰り返し、算出した損失額の分布を作成する。リスク値算出部23は、この損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出する。
【0042】
すなわち、オペレーショナルリスク計量装置1は、図2に示すように、最大取引実績データ21から最大取引金額分布41を作成し、現在取引データ32から取引金額分布42を作成する。この取引金額分布42の高額領域における分布形状が最大取引金額分布41の形状と一致する平滑化取引金額分布44を作成する。
【0043】
また、事故実績データ33から事故発生率43を算出し、事故発生率43と取引金額データ32から事故件数45を予測する。この事故件数分の取引金額を平滑化取引金額分布44から取り出して合算することで損失額46を算出し、この損失額46の算出を所定回数繰り返すモンテカルロシミュレーションによって得た損失額46の分布からオペレーショナルリスク47の値を算出する。
【0044】
つぎに、オペレーショナルリスク計量装置1によるオペレーショナルリスクの算出を、具体例を挙げて説明する。図3は、記憶部5が記憶するデータの内容を説明する説明図である。図3(a)に示すように、現在取引データ31は、取引名称と取引金額とを関連付けて記憶している。具体的には現在取引データ31は、取引「a1」に対して金額「1,000,000」を記憶し、取引「a2」に対して金額「50,000」を記憶し、取引「a3」に対して金額「300,000」を記憶し、取引「a4」に対して金額「1,200,000」を記憶し、取引「a5」に対して金額「800,000」を記憶している。
【0045】
また、最大取引実績データ32は、図3(b)に示すように、各期の取引金額のうち、最大の金額を記憶している。具体的には、「k期」について金額「1,000,000」を、「k+1期」について金額「9,800」を、「k+2期」について金額「200」を記憶し、「l期」について金額「65,000」を記憶している。
【0046】
同様に、事故実績データ33は、図3(c)に示すように、各期の事務取引件数と、各期における元本事故の発生件数とを関連付けて記憶している。なお、ここで元本事故とは事故の発生によって取引金額全体が損失となるものをいう。具体的には、「i期」における事務取引件数は「5,000」であり、元本事故は1件発生している。また、「i+1期」における事務取引件数は「5,500」であり、元本事故は発生していない。また、「i+2期」における取引件数は「5,000」件であり、元本事故は2件発生している。さらに「j期」における事務取引件数は「8,000」であり、元本事故は発生していない。
【0047】
最大取引金額分布作成部11は、図4(a)に示すように、最大取引実績データ32から最大取引金額分布41を作成する。ここで、最大取引金額分布41は、横軸が各取引の金額の常用対数、縦軸が取引件数のヒストグラムである。さらに、最大取引金額分布作成部11は、最大取引金額分布41に任意の分布をあてはめて、最大取引金額の密度関数を作成する。ここでは、最大取引金額分布作成部11は、最大取引金額分布41に対して極値分布をあてはめて最大取引極値分布41aを作成する。なお、最大取引金額分布41にあてはめる分布は、極値分布に限らず、正規分布などの任意の分布を用いることができる。
【0048】
一方、取引金額分布作成部6は、図4(b)に示すように、現在取引データ31から取引金額分布42を作成する。取引金額分布42も最大取引金額分布41と同様に、横軸が各取引の金額の常用対数、縦軸が取引件数のヒストグラムである。
【0049】
平滑化取引金額分布作成部13は、取引金額分布42を平滑化して平滑化取引金額分布44を作成する。具体的には、取引金額分布42に含まれる取引データのそれぞれに対して密度関数をわりあて、各取引データにわりあてた密度関数を合成した密度関数を平滑化取引金額分布44として出力する。より具体的には、各取引データに対し、帯域幅bの対数正規分布を密度関数として割り当てている。
【0050】
したがって、現在取引金額分布42に含まれる取引データをXi(i=1,2、・・・・N)、Kを対数正規分布の密度関数とすると、平滑化取引金額分布44の密度関数f(x)は、
【数1】
として表される。
【0051】
この密度関数f(x)の形状は、各取引データにわりあてる対数正規分布の帯域幅bに依存して決定される。帯域幅bの算出は、帯域幅算出部12によって算出する。この時、帯域幅算出部12は、平滑化取引金額分布44の密度関数において、高額な取引を示す領域の形状を最大取引金額分布41の形状に一致させる。
【0052】
具体的には、帯域幅算出部12は、ある信頼水準pに対する平滑化取引金額分布44の確率点と最大取引極値分布41aの確率点が等しくなるように帯域幅bを算出する。より具体的には、
【数2】
を帯域幅bについて解くことで、所望の帯域幅bの値を得ることができる。この時、信頼水準pに対する最大取引極値分布41aの確率点41bを図4(a)に示すように高額領域に設定し、信頼水準pに対する平滑化取引金額分布44の確率点44aを図4(b)に示すように高額領域に設定することで、平滑化取引金額分布44の高額領域の形状を最大取引極値分布の形状に一致させることができる。
【0053】
オペレーショナルリスク算出部8は、平滑化処理部7が出力した平滑化取引金額分布44および事故実績データ32から損失額を算出する処理を所定回数、たとえば10,000回繰り返して損失額の分布を算出し、オペレーショナルリスクを求める。具体的には、事故件数算出部21は、まず、事故実績データ32からランダムに期を選択してその期における事故発生率を算出する。
【0054】
たとえば、事故件数算出部21が「i期」を選択した場合、i期における事務取引件数は5,000件、元本事故は1件であるので、事故発生率は0.2%となる。また、事故件数算出部21が「i+2期」を選択した場合、「i+2」期における事務取引件数は5,000件、元本事故は2件であるので、事故発生率は0.4%となる。一方、事故件数算出部21が「i+1期」または「j期」を選択した場合、「i+1」期および「j期」における元本事故は0件であるので、事故発生率は0%となる。その後、事故件数算出部21は、算出した事故発生率と現在取引データ31が有する取引データの件数とを乗じて事故件数を予測し、予測した事故件数を出力する。
【0055】
損失額算出部22は、事故件数算出部21が出力した事故件数分の取引金額を平滑化取引金額分布44から取り出して合算し、損失額46を算出する。この事故件数の予測と損額金額の算出とを所定回数繰り返すモンテカルロシミュレーションによって、図5に示す損失額分布48が得られる。
【0056】
リスク値算出部23は、この損失額分布48からオペレーショナルリスクの値を算出する。具体的には、リスク値算出部23は、オペレーショナルリスクの値として、損失額分布48の平均値と特定の信頼水準値を算出する。この特定の信頼水準値としては、例えば損失額分布48の99%点や、99.9%点が用いられる。このように損失額分布48の99%点や99.9%点における損失額は、VaR(Value at Risk)とよばれ、リスク管理に用いられる。
【0057】
ところで、取引金額分布42の作成および平滑化取引金額分布44の作成に際して、現在取引データ31の全てのデータを用いる必要はない。オペレーショナルリスク47の算出では、高額取引の影響が大きく、低額取引の影響は小さい。したがって、現在取引データ31に含まれるデータのうち、高額な取引のみを用いて平滑化取引金額分布44を作成することで、処理負荷を軽減して処理速度を向上しつつ、正確なオペレーショナルリスクの計量をおこなうことができる。また、平滑化を行う場合に、取引の金額に応じて重み付けをするように構成しても良い。
【0058】
つぎに、オペレーショナルリスク計量装置1の処理動作を説明する。図6は、オペレーショナルリスク計量装置1の処理動作を示すフローチャートである。同図に示すように、オペレーショナルリスクの計量をおこなう場合、まず取引金分布作成部6が現在取引データ31から取引金額分布42を作成する(ステップS101)。つぎに、最大取引金額分布作成部11が最大取引実績データ32から最大取引金額分布41を作成する(ステップS102)。
【0059】
帯域幅算出部12は、平滑化取引金額分布44の高額領域の形状が最大取引金額分布41の形状と一致する帯域幅bを算出する(ステップS103)。さらに、平滑化取引金額分布作成部13は、算出した帯域幅bを用いて取引金額分布42を平滑化し、平滑化取引金額分布44を作成する(ステップS104)。
【0060】
つぎに、事故件数算出部21は、事故実績データ33からランダムに期を選択し、事故発生率43を算出する(ステップS105)。さらに事故件数算出部21は、現在取引データ31の取引件数に事故発生率43を乗じて事故件数45を算出する(ステップS106)。
【0061】
つぎに、損失額算出部22は、平滑化取引金額分布44から事故件数分の取引金額を取り出して合算し、損失額を算出する(ステップS107)。この損失額算出の実行回数が所定回数以下である場合(ステップS108,No)、事故件数算出部21は、再度事故件数の算出をおこなう(ステップS105)。
【0062】
一方、損失額算出の実行回数が所定の回数に達した場合(ステップS108,Yes)、リスク値算出部23は、損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出し(ステップS109)、処理を終了する。
【0063】
上述してきたように、本実施の形態1に示したオペレーショナルリスク計量装置1では、現在の取引金額の分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成し、平滑化取引金額分布から事故件数分の取引金額を取り出して合算することで損失額をもとめるようにしているので、過去に生じていない取引金額の値をとりだすことができる。したがって、取引件数が少ない場合であっても損失額の算出における信頼性を向上させ、オペレーショナルリスクの値を正確に算出することができる。
【0064】
また、取引金額の分布を平滑化することで、外れ値の影響が分布全体に及ばないようにすることができるので、オペレーショナルリスクの値を安定的に算出することができる。
【0065】
さらに、取引金額分布を平滑化する場合に、平滑化取引金額の分布の高額領域の形状が最大取引金額の分布の形状と一致するように帯域幅を設定しているので、オペレーショナルリスクの値に影響の大きい高額取引の分布を高い精度で平滑化し、オペレーショナルリスクの信頼性をさらに向上している。
【0066】
ところで、上述のオペレーショナルリスクの計量では、平滑化取引金額分布の高額領域の形状が最大取引金額分布に一致するように平滑化の帯域幅を設定したが、帯域幅の設定は、平滑化取引金額分布の高額領域の形状を高い精度で再現できる手法であれば、他の手法を用いても良い。
【0067】
たとえば、帯域幅の設定に最大損失額の実績をもちいてもよい。ここで最大損失額とは、各年や各期における損失額のうち、最も高額の損失額である。近年、各銀行の最大損失額の実績が公開されているため、複数の銀行における最大損失額の実績を利用することで十分なサンプル数が確保できるという利点がある。すなわち、複数の銀行における最大損失額の実績から最大損失額の分布を求めることで、十分な数のサンプルに基づいて適切な分布を得ることができる。この最大損失額の分布をもとに平滑化取引金額分布を作成することで、オペレーショナルリスクの値を精度良く算出できることとなる。
【0068】
具体的には、記憶部5に最大取引実績データ32に変えて、図7に示すような最大損失実績データ34を記憶する。最大損失実績データ34は、銀行「c1」の「i期」の最大損失額を「200」、「i+1期」の最大損失額を「50」、「i+2期」の最大損失額を「300」と記憶している。
【0069】
また、最大損失実績データ34は、銀行「c2」の「i期」の最大損失額を「40」、「i+1期」の最大損失額を「200」、「i+2期」の最大損失額を「267」と記憶している。同様に、最大損失実績データ34は、銀行「c3」の「i期」の最大損失額を「100」、「i+1期」の最大損失額を「60」、「i+2期」の最大損失額を「160」と記憶している。
【0070】
この最大損失実績データ34では、9期に一度生じる最大損失額は「300」、3期に一度生じる最大損失額は「200」となる。各期の取引件数が20件であるとすると、9期に一度生じる損失額「300」は、20×9件に1件生じる損失と考えることができる。すなわち、損失額「300」は、損失額の分布の1/(20×9)=0.00555・・・≒0.56%点である。同様に、3期に一度生じる損失額「200」は、20×3件に1件生じる損失と考えることができるので、損失額「200」は、1/(20×3)=0.01667・・・≒1.67%点となる。
【0071】
そこで、平滑化取引金額分布44の密度関数f(x)に対して
【数3】
を解いて帯域幅bを求めることにより、平滑化取引金額分布44の0.56%点の金額が「300」となる帯域幅bの値を得ることができる。
【0072】
このように、最大損失実績データ34から帯域幅を算出することにより、各銀行が公開する最大損失実績データを利用して平滑化取引金額分布の高額領域の形状を定めることができる。
【0073】
なお、本実施の形態1では、現在取引データ31、最大取引実績データ32、事故実績データ33および最大損失実績データ34を全てオペレーショナルリスク計量装置1内部の記憶部5に記憶することとしているが、これらのデータの一部、もしくは全てをネットワーク経由で取得する構成としてもよい。この時、各データはそれぞれ本実施の形態に示した形式と同一である必要はなく、任意のデータから適宜必要なデータを作成する構成としても良い。
【0074】
また、本実施の形態1では、事故が発生した場合に取引の金額が全て損失となる元本事故について説明したが、事故発生時に遅延損害金や過怠金といった取引金額の一定割合が損失額となるケースを想定した構成としてもよい。
【0075】
さらに、本実施の形態1では、個々の事故の発生に相関関係が無いものとして事故発生率をもとめているが、個々の事故の発生に相関関係を設定して事故発生率を算出しても良い。たとえばシステムリスクなどのリスクは、時間経過とともに発生率の逓減する逓減性と、複数の事故が同時に発生する同時性とを有する。この逓減性と同時性とを考慮して事故発生率を算出することで、システムリスクの算出をさらに正確におこなうことができる。
【0076】
また、本実施の形態1では、銀行業務のオペレーションリスク計量を想定したオペレーショナルリスク計量装置について説明したが、本発明の利用はこれに限定されるものではなく、たとえばエマージング市場におけるリスク管理のように単一の分布を当てはめることが困難な場合や事業価値のシミュレーションのようにサンプル数が少ない場合に有効に活用でき、さらにはモンテカルロシミュレーションの安定性確保や、クラスター分析による多次元の密度推定などに広く用いることができる。
【0077】
さらに、本実施の形態1では、平滑化取引金額分布の帯域幅を特定する為に、最大取引金額の分布や最大損失額の分布を用いることとして説明したが、本発明の利用はこれに限定されるものではない。たとえば、特定の事態の発生を想定して作成したシナリオを用い、シナリオシミュレーションによって平滑化取引金額分布の帯域幅を定めることで、特定の事態が発生した場合におけるオペレーショナルリスクの値を算出することができる。具体的には、特定の企業の倒産、地震等の自然災害の発生、経済状態の変化など、実績を使用できない状態におけるオペレーションリスクを求める場合に、このシナリオシミュレーションを用いることで所望のオペレーションリスクを計量することができる。
【0078】
また、帯域幅の設定は、最大取引金額の分布や最大損失額の分布などの実績とシナリオシミュレーションとを組み合わせて用いることができるのは言うまでも無い。たとえば、複数の銀行の実績にさらにシナリオシミュレーションを用いることで、特定の状況におけるオペレーショナルリスクを、多数の実績をもとに正確に算定することが可能となる。すなわち、特定の銀行の実績のみを用いるか、複数の銀行の実績を利用するか、シナリオシミュレーションを使用するか、は、目的とするオペレーショナルリスクの内容に応じて任意に設定すれば良い。
【0079】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、上記実施の形態1に示したオペレーショナルリスク計量装置と同様の機能を有するオペレーショナルリスク計量プログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0080】
図8に示すコンピュータシステム100は、本体部101、本体部101からの指示により表示画面102aに画像等の情報を表示するディスプレイ102、このコンピュータシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード103、ディプレイ102の表示画面102a上の任意の位置を指定するマウス104、ローカルエリアネットワーク(LAN)106または広域エリアネットワーク(WAN)に接続するLANインターフェース、インターネットなどの公衆回線107に接続するモデム105が備えられている。ここで、LAN106は、ほかのコンピュータシステム(PC)111、サーバ112、プリンタ113等とコンピュータシステム100とを接続している。また、図9に示すように、本体部101は、CPU121、RAM122、ROM123、ハードディスクドライブ(HDD)124、CD−ROMドライブ125、FDドライブ126、I/Oインターフェース127およびLANインターフェース128を備えている。
【0081】
このコンピュータシステム100においてオペレーショナルリスク計量を実行する場合、記憶媒体に記憶された、オペレーショナルリスク計量プログラムをコンピュータシステム100にインストールする。インストールされたオペレーショナルリスク計量プログラムは、HDD124に記憶され、RAM122、ROM123などを利用してCPU121により実行される。ここで、記憶媒体とは、CD−ROM109、フロッピィディスク108、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体やコンピュータシステム100の内外に備えられたハードディスク124等の記憶装置のほか、LAN106を介して接続されたインストール元のデータ管理プログラムを保持するサーバ112のデータベース、あるいは、ほかのコンピュータシステム111並びにそのデータベースや、さらに公衆回線107上の伝送媒体をも含むものである。
【0082】
上述してきたように、本実施の形態2では、実施の形態1に示したオペレーショナルリスク計量装置が有する構成をソフトウェアによって実現したオペレーショナルリスク計量プログラムをコンピュータシステム100上で実行することで、実施の形態1に示したオペレーショナルリスク計量装置と同様の効果を、一般的なコンピュータシステムを用いて実現することができる。
【0083】
(付記1)取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量装置において、
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理手段と、
前記平滑化処理手段が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出手段と、
を備えたことを特徴とするオペレーショナルリスク計量装置。
【0084】
(付記2)前記平滑化処理手段は、前記取引の金額の各々について対数正規分布を割り当て、各対数正規分布を合成した分布を前記平滑化取引金額分布として出力することを特徴とする付記1に記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0085】
(付記3)前記平滑化処理手段は、前記平滑化取引金額分布の高額領域における確率点の値が所定の値となる帯域幅を設定し、該帯域幅を有する対数正規分布を前記取引金額の各々に割り当てることを特徴とする付記2に記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0086】
(付記4)前記平滑化処理手段は、取引金額の最大値の分布を示す最大取引金額分布から前記確率点の値を算出することを特徴とする付記3に記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0087】
(付記5)前記平滑化処理手段は、最大損失額の発生確率から前記確率点の値を算出することを特徴とする付記3に記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0088】
(付記6)前記確率点の値を複数の銀行における取引実績から算出することを特徴とする付記4または5に記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0089】
(付記7)前記オペレーショナルリスク算出手段は、取引事故が発生する確率を示す事故率と現在の取引件数から発生する事故件数を算出する事故件数算出手段と、前記事故件数算出手段が算出した事故件数分の取引金額を前記平滑化取引金額分布から取り出して合算する損失額算出手段と、前記損失額算出手段が算出する損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するリスク値算出部と、を備えたことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0090】
(付記8)前記平滑化処理手段は、前記取引金額分布の高額領域を選択的に平滑化して前記平滑化取引金額分布を作成することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載のオペレーショナルリスク計量装置。
【0091】
(付記9)取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量方法において、
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理工程と、
前記平滑化処理工程が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出工程と、
を含むことを特徴とするオペレーショナルリスク計量方法。
【0092】
(付記10)取引の金額の分布状態を示す取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するオペレーショナルリスク計量プログラムにおいて、
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理工程と、
前記平滑化処理工程が作成した平滑化取引金額分布から前記オペレーショナルリスクを算出するオペレーショナルリスク算出工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするオペレーショナルリスク計量プログラム。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるオペレーショナルリスク計量プログラムは、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させるので、取引件数が少ない場合や取引金額の分布がスムーズでない場合であっても妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0094】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、取引金額の各々についてわりあてた対数正規分布を合成して平滑化取引金額分布として出力し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するようにコンピュータに演算させるので、取引金額の分布を簡易に平滑化し、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0095】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、高額領域における確率点が所定の値となるような帯域幅を用いて取引金額分布を平滑化し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを算出するようにコンピュータに演算させるので、オペレーショナルリスクの計量に重要な高額取引の分布を正確に求め、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0096】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、平滑化取引金額の分布の高額領域の形状が取引金額の最大値の分布に一致するように帯域幅を設定し、この帯域幅を用いて平滑化した取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させるので、高額取引の分布が最大取引金額分布に一致するように平滑化取引金額分布を算出し、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0097】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、滑化取引金額の分布の高額領域の形状が最大損失額の発生確率に合致するように帯域幅を設定し、この帯域幅を用いて平滑化した取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させるので、高額な取引の分布が最大損失額の発生確率に合致する平滑化取引金額分布を作成し、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0098】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、複数の銀行における取引実績から最大取引金額分布または最大損失額の発生確率を算出し、算出した最大取引金額分布または最大損失額の発生確率から平滑化における帯域幅を設定するようにコンピュータに演算させるので、複数の銀行の実績からオペレーショナルリスクの計量に重要な高額取引の分布を正確に求め、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0099】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、取引事故の発生確率と取引件数から発生する事故の件数を求め、事故件数分の取引金額を平滑化取引金額分布から取り出して合算することで損失額を算出する処理を繰り返すことで損失額の分布を作成し、損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するようにコンピュータに演算させるので、モンテカルロシミュレーションを用いて妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0100】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量プログラムは、金額の高い取引の分布に特に適合する平滑化取引金額分布を算出し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを算出するようコンピュータに演算させるので、オペレーショナルリスクの計量に重要な高額取引の分布を選択的に作成し、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的かつ高速に計量可能なオペレーショナルリスク計量プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【0101】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量方法は、コンピュータが、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するので、取引件数が少ない場合や取引金額の分布がスムーズでない場合であっても妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量方法を提供することができるという効果を奏する。
【0102】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量装置は、取引金額分布を平滑化した平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクの値を算出するように構成しているので、取引件数が少ない場合や取引金額の分布がスムーズでない場合であっても妥当なオペレ ーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量装置を提供することができるという効果を奏する。
【0103】
また、本発明によればオペレーショナルリスク計量装置は、取引金額の各々についてわりあてた対数正規分布を合成して平滑化取引金額分布として出力し、この平滑化取引金額分布からオペレーショナルリスクを計量するように構成しているので、取引金額の分布を簡易に平滑化し、妥当なオペレーショナルリスク値を安定的に計量可能なオペレーショナルリスク計量装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態1にかかるオペレーショナルリスク計量装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】 本発明に係るオペレーショナルリスクの算出を説明する説明図である。
【図3】 図1に示した記憶部が記憶するデータの内容を説明する説明図である。
【図4】 平滑化取引金額分布の作成を説明する説明図である。
【図5】 損失額分布およびオペレーショナルリスクの値の算出を説明する説明図である。
【図6】 オペレーショナルリスク計量装置1の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】 最大損失実績データを説明する説明図である。
【図8】 スレッド間に優先順位を設けたスレッド管理部の構成を示す図である。
【図9】 図8に示した本体部の構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 オペレーショナルリスク計量装置
2 表示部
3 入力部
4 制御部
5 記憶部
6 取引金額分布作成部
7 平滑化処理部
8 オペレーショナルリスク算出部
11 最大取引分布作成部
12 帯域幅算出部。
13 平滑化取引金額分布作成部
21 事故件数算出部
22 損失額算出部
23 リスク値算出部
31 現在取引データ
32 最大取引金額データ
33 事故実績データ
34 最大損失実績データ
41 最大取引金額分布
41a 最大取引極値分布
41b 確率点
42 取引金額分布
43 事故発生率
44 平滑化取引金額分布
44a 確率点
45 事故件数
46 損失額
47 オペレーショナルリスク
48 損失額分布
100,111 コンピュータシステム
101 本体部
102 ディスプレイ
102a 表示画面
103 キーボード
104 マウス
105 モデム
106 LAN
107 公衆回線
108 フロッピィディスク
109 CD−ROM
112 サーバ
113 プリンタ
121 CPU
122 RAM
123 ROM
124 ハードディスクドライブ
125 CD−ROMドライブ
126 フロッピィディスクドライブ
127 I/Oインターフェース
128 LANインターフェース
b 帯域幅[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention measures operational risk from a transaction amount distribution indicating a transaction amount distribution state.Operational risk measurement program, operational risk measurement method, and operational risk measurement apparatusIn particular, improved the validity and stability of operational risk valuesOperational risk measurement program, operational risk measurement method, and operational risk measurement apparatusAbout.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, it is required to measure various risks existing in business of a company and take measures against the risks. For example, in credit risk related to credit transactions such as lending operations and market risk related to foreign exchange and interest rate transactions, there is a lot of actual data that is the basis of measurement, so it is possible to measure risk based on actual data with high reliability. it can.
[0003]
On the other hand, operational risks such as administrative risks that occur due to mistakes in administrative processes and system risks that occur due to the system configuration of the computer system are limited in past performance data. Is remarkably low.
[0004]
Therefore, in recent years, the development of a method for measuring operational risk with high accuracy has become an important issue. Specifically, the probability of accident occurrence is obtained from past results, the number of accidents occurring is predicted from the current number of transactions and the probability of accident occurrence, and the amount of accidents is extracted from the current transaction amount distribution and combined. Therefore, a method for predicting the amount of loss has been devised. In other words, since it is not possible to specify which transaction will cause an accident for multiple transactions, a transaction is selected at random based on the accident occurrence rate, and the transaction amount is determined as if the selected transaction had an accident. Loss amount.
[0005]
Here, since the current transaction amount distribution includes transaction amounts generated by a plurality of factors, it may be difficult to apply a specific parametric distribution such as a lognormal distribution. Therefore, in the conventional operational risk measurement, the current transaction amount is used as it is, and the transaction amount corresponding to the number of accidents is randomly specified and added up to predict the loss amount (see, for example, Patent Document 1).
[0006]
[Patent Document 1]
JP 2001-338124 A
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the configuration that identifies the number of accidents from the current transaction amount, it is not possible to extract the transaction amount that has not occurred in the past, so the measured operational risk value was not sufficiently reliable. . In particular, when the number of transactions is small, there is a problem that a large error occurs in the measurement result of operational risk. For example, when the number of transactions is small, the probability of occurrence is relatively low, and there is a possibility that expensive transactions will not be listed as results. Thus, even if the probability of occurrence is low, if the transaction amount important for the calculation of operational risk cannot be extracted, the calculated operational risk is unreasonably low, and the risk is underestimated.
[0008]
In addition, if the transaction amount includes an extremely low amount that is unlikely to occur, that is, a value that deviates from the original distribution, the operational risk survey results become unstable due to the influence of this outlier. There was a problem. In particular, in the measurement of operational risk, it is important to trade a high amount of money. Therefore, when the amount of outliers is high, the value of the measured operational risk may be very high.
[0009]
This invention has been made to solve the above-mentioned problems caused by the prior art, and stably measures an appropriate operational risk value even when the number of transactions is small or the distribution of transaction amounts is not smooth. An object is to provide a possible operational risk weighing device and operational risk weighing method.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problems and achieve the object, operational risk measurement according to the present inventionprogramIs an operational risk metric that measures operational risk from the transaction amount distribution indicating the transaction amount distribution.programInComputerSmoothing processing means for smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution; operational risk calculation means for calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing means;To act asIt is characterized by that.
[0011]
According to this invention, operational risk measurementprogramTo calculate the operational risk value from the smoothed transaction amount distributionLet the computer compute.
[0012]
In the operational risk metric program according to the present invention, in the above invention, the smoothing processing unit assigns a lognormal distribution to each of the transaction amounts, and combines the logarithmic normal distribution into the smoothed transaction. It is output as a monetary distribution.
[0013]
According to this invention, operational risk measurementprogramThe log normal distribution assigned to each transaction amount is synthesized and output as a smoothed transaction amount distribution, and the operational risk is measured from this smoothed transaction amount distribution.Let the computer compute.
[0014]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, the smoothing processing unit sets a bandwidth at which a value of a probability point in a high amount region of the smoothed transaction amount distribution is a predetermined value, and sets a logarithmic normal distribution having the bandwidth as the log normal distribution. It is characterized by allocating to each transaction amount.
[0015]
According to this invention, operational risk measurementprogramSmoothes the transaction amount distribution using a bandwidth such that the probability point in the high amount region has a predetermined value, and calculates the operational risk from this smoothed transaction amount distribution.Let the computer compute.
[0016]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, the smoothing processing means calculates the value of the probability point from the maximum transaction amount distribution indicating the distribution of the maximum value of the transaction amount.
[0017]
According to this invention, operational risk measurementprogramSets the bandwidth so that the shape of the high-value area of the distribution of smoothed transaction amounts matches the distribution of the maximum value of transaction amounts as much as possible, and the value of operational risk from the transaction amount distribution smoothed using this bandwidth To calculateLet the computer compute.
[0018]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, the smoothing processing means calculates the value of the probability point from the probability of occurrence of the maximum loss amount.
[0019]
According to this invention, operational risk measurementprogramSets the bandwidth so that the shape of the high-value area of the smoothed transaction amount distribution matches the probability of occurrence of the maximum loss amount, and calculates the value of operational risk from the transaction amount distribution smoothed using this bandwidth LikeLet the computer compute.
[0020]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, the probability point value is calculated from transaction results at a plurality of banks.
[0021]
According to this invention, operational risk measurementprogramCalculate the maximum transaction amount distribution or the maximum loss occurrence probability from the transaction results at multiple banks, and set the smoothing bandwidth from the calculated maximum transaction amount distribution or the maximum loss occurrence probabilityLet the computer compute.
[0022]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, in the operational risk calculation means, an accident number calculation means for calculating the number of accidents occurring from an accident rate indicating the probability of occurrence of a transaction accident and the current number of transactions, and the number of accidents calculation means A risk amount calculation means for calculating the operational risk value from the loss amount distribution calculated by the loss amount calculation means and a loss amount calculation means for taking out the transaction amount for the number of accidents calculated from the smoothed transaction amount distribution and adding it up And a section.
[0023]
According to this invention, operational risk measurementprogramCalculates the loss amount by repeating the process of calculating the loss amount by obtaining the transaction amount for the number of accidents from the smoothed transaction amount distribution and adding them up from the smoothed transaction amount distribution. To calculate the operational risk value from the loss distributionLet the computer compute.
[0024]
In addition, the operational risk metric according to the present inventionprogramIn the above invention, the smoothing processing unit selectively smoothes a high price region of the transaction amount distribution to create the smoothed transaction amount distribution.
[0025]
According to this invention, operational risk measurementprogramCalculates a smoothed transaction value distribution that is particularly suited to the distribution of high-value transactions, and calculates operational risk from this smoothed transaction value distributionLet the computer do the calculation.
[0026]
Further, the operational risk measurement method according to the present invention includes:ComputerIn an operational risk measurement method for measuring an operational risk from a transaction amount distribution indicating a transaction amount distribution state, a smoothing process step of smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution, and the smoothing process step And an operational risk calculating step of calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by.
[0027]
According to this invention, the operational risk measurement method calculates an operational risk value from the smoothed transaction amount distribution obtained by smoothing the transaction amount distribution.
[0028]
Further, the operational risk weighing device according to the present invention is an operational risk weighing device that measures operational risk from a transaction amount distribution indicating a transaction amount distribution state, and smoothes the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution. Smoothing processing means, and operational risk calculation means for calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing means.
[0029]
According to the present invention, the operational risk weighing device is configured to calculate the value of the operational risk from the smoothed transaction amount distribution obtained by smoothing the transaction amount distribution.
[0030]
Further, in the operational risk weighing device according to the present invention, in the above invention, the smoothing processing unit assigns a lognormal distribution to each of the transaction amounts, and combines the logarithmic normal distribution into the smoothed transaction. It is output as a monetary distribution.
[0031]
According to the present invention, the operational risk weighing device synthesizes the log normal distribution assigned to each transaction amount and outputs it as a smoothed transaction amount distribution. It is configured to measure operational risk from the fabric.
[0032]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention will be described below with reference to the accompanying drawings.Operational risk measurement program, operational risk measurement method, and operational risk measurement apparatusThe preferred embodiment will be described in detail.
[0033]
(Embodiment 1)
In the first embodiment, an operational risk measurement device that measures operational risk of banking operations will be described. FIG. 1 is a schematic configuration diagram illustrating a schematic configuration of the operational risk weighing device according to the first embodiment. As shown in the figure, the operational
[0034]
The
[0035]
The control unit 4 is a control unit that totally controls the operational
[0036]
The transaction amount distribution creation unit 6 uses the
[0037]
The operational
[0038]
Specifically, the smoothing
[0039]
When the transaction amount distribution is smoothed, the
[0040]
The operational
[0041]
The accident number calculation unit 21 and the loss
[0042]
That is, the operational
[0043]
Further, the
[0044]
Next, the calculation of operational risk by the operational
[0045]
Further, the maximum
[0046]
Similarly, as shown in FIG. 3C, the
[0047]
The maximum transaction amount
[0048]
On the other hand, the transaction amount distribution creating unit 6 creates a
[0049]
The smoothed transaction amount
[0050]
Therefore, if the transaction data included in the current
[Expression 1]
Represented as:
[0051]
The shape of the density function f (x) is determined depending on the bandwidth b of the lognormal distribution assigned to each transaction data. The bandwidth b is calculated by the
[0052]
Specifically, the
[Expression 2]
Can be obtained for the bandwidth b to obtain the desired value of the bandwidth b. At this time, the
[0053]
The operational
[0054]
For example, when the accident number calculation unit 21 selects “i period”, the number of business transactions in the i period is 5,000 and there is one principal accident, so the accident occurrence rate is 0.2%. In addition, when the accident number calculation unit 21 selects “i + 2 period”, the number of business transactions in the “i + 2” period is 5,000 and the number of principal accidents is 2, so the accident rate is 0. 4%. On the other hand, if the accident number calculation unit 21 selects “i + 1 period” or “j period”, since there are no principal accidents in the “i + 1 period” and “j period”, the accident rate is 0%. Thereafter, the accident number calculation unit 21 predicts the number of accidents by multiplying the calculated accident occurrence rate by the number of transaction data included in the
[0055]
The loss
[0056]
The risk value calculation unit 23 calculates an operational risk value from the loss amount distribution 48. Specifically, the risk value calculation unit 23 calculates an average value of the loss amount distribution 48 and a specific confidence level value as the value of the operational risk. As this specific confidence level value, for example, the 99% point or 99.9% point of the loss amount distribution 48 is used. The loss amount at the 99% point or 99.9% point of the loss distribution 48 is called VaR (Value at Risk) and used for risk management.
[0057]
By the way, when creating the
[0058]
Next, the processing operation of the operational
[0059]
The
[0060]
Next, the accident number calculation unit 21 randomly selects a period from the
[0061]
Next, the loss
[0062]
On the other hand, when the number of loss calculation executions reaches a predetermined number (step S108, Yes), the risk value calculation unit 23 calculates an operational risk value from the loss distribution (step S109), and ends the process. To do.
[0063]
As described above, in the operational
[0064]
Further, by smoothing the distribution of the transaction amount, it is possible to prevent the outlier from affecting the entire distribution, so that the operational risk value can be calculated stably.
[0065]
In addition, when smoothing the transaction amount distribution, the bandwidth is set so that the shape of the high-value area of the smoothed transaction amount distribution matches the shape of the maximum transaction amount distribution. It smooths the distribution of high-value transactions with high impact with high accuracy and further improves the reliability of operational risk.
[0066]
By the way, in the above-mentioned operational risk measurement, the smoothing bandwidth is set so that the shape of the high-value area of the smoothed transaction amount distribution matches the maximum transaction amount distribution. Other techniques may be used as long as the technique can reproduce the shape of the high-price area of the distribution with high accuracy.
[0067]
For example, the record of maximum loss may be used for setting the bandwidth. Here, the maximum loss amount is the highest loss amount among the loss amounts in each year or each period. In recent years, since the record of the maximum loss amount of each bank has been disclosed, there is an advantage that a sufficient number of samples can be secured by using the record of the maximum loss amount of a plurality of banks. That is, by obtaining the distribution of the maximum loss amount from the results of the maximum loss amount at a plurality of banks, an appropriate distribution can be obtained based on a sufficient number of samples. By creating a smoothed transaction amount distribution based on this maximum loss distribution, the value of operational risk can be calculated with high accuracy.
[0068]
Specifically, the maximum
[0069]
In addition, the maximum
[0070]
In the maximum
[0071]
Therefore, for the density function f (x) of the smoothed
[Equation 3]
To obtain the bandwidth b, the bandwidth b value at which the amount of 0.56% of the smoothed
[0072]
In this way, by calculating the bandwidth from the maximum
[0073]
In the first embodiment, the
[0074]
Further, in the first embodiment, the principal accident in which the transaction amount is all lost when an accident occurs has been described. However, a certain percentage of the transaction amount, such as late damages and negligence, is assumed to be the loss amount when the accident occurs. It is good also as a structure supposing the following case.
[0075]
Further, in the first embodiment, the accident occurrence rate is calculated on the assumption that there is no correlation between occurrences of individual accidents, but even if the correlation is set for the occurrence of individual accidents and the accident occurrence rate is calculated. good. For example, a risk such as a system risk has a decreasing property in which an incidence rate decreases with the passage of time and a synchronism in which a plurality of accidents occur simultaneously. The system risk can be calculated more accurately by calculating the accident occurrence rate in consideration of the diminishing property and simultaneity.
[0076]
In the first embodiment, the operational risk measurement device that assumes the operational risk measurement of the banking business has been described. However, the use of the present invention is not limited to this, for example, risk management in the emerging market. It can be used effectively when it is difficult to fit a single distribution or when the number of samples is small, such as simulation of business value, and also to ensure stability of Monte Carlo simulation and multidimensional density estimation by cluster analysis. Can be widely used.
[0077]
Furthermore, in the first embodiment, it has been described that the distribution of the maximum transaction amount and the distribution of the maximum loss amount are used in order to specify the bandwidth of the smoothed transaction amount distribution, but the use of the present invention is limited to this. Is not to be done. For example, it is possible to calculate the operational risk value when a specific situation occurs by using a scenario created assuming the occurrence of a specific situation and determining the bandwidth of the smoothed transaction amount distribution by scenario simulation. it can. Specifically, this scenario simulation can be used to determine the desired operational risk when operating risk is not available, such as bankruptcy of a specific company, the occurrence of natural disasters such as earthquakes, and changes in economic conditions. Can be weighed.
[0078]
Needless to say, the bandwidth setting can be used in combination with a scenario simulation and a record of the maximum transaction amount distribution or the maximum loss amount distribution. For example, it is possible to accurately calculate the operational risk in a specific situation based on a large number of achievements by further using scenario simulation for the achievements of a plurality of banks. That is, whether to use only the results of a specific bank, to use the results of a plurality of banks, or to use a scenario simulation may be arbitrarily set according to the content of the target operational risk.
[0079]
(Embodiment 2)
In the second embodiment, a computer system that executes an operational risk measurement program having the same function as that of the operational risk measurement apparatus described in the first embodiment will be described.
[0080]
A
[0081]
When the operational risk measurement is executed in the
[0082]
As described above, in the second embodiment, the operational risk measurement program in which the configuration of the operational risk measurement apparatus shown in the first embodiment is realized by software is executed on the
[0083]
(Appendix 1) In an operational risk measurement device that measures operational risk from transaction amount distribution indicating the distribution of transaction amount,
Smoothing processing means for smoothing the transaction amount distribution and creating a smoothed transaction amount distribution;
Operational risk calculating means for calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing means;
An operational risk weighing device characterized by comprising:
[0084]
(Supplementary note 2) The
[0085]
(Additional remark 3) The said smoothing process means sets the bandwidth from which the value of the probability point in the high amount area | region of the said smoothing transaction amount distribution becomes a predetermined value, The logarithmic normal distribution which has this bandwidth is set to the said transaction amount. The operational risk weighing device according to
[0086]
(Additional remark 4) The said smoothing process means calculates the value of the said probability point from the maximum transaction amount distribution which shows distribution of the maximum value of transaction amount, The operational risk measurement apparatus of Additional remark 3 characterized by the above-mentioned.
[0087]
(Additional remark 5) The said smoothing process means calculates the value of the said probability point from the generation | occurrence | production probability of the largest loss amount, The operational risk measuring apparatus of Additional remark 3 characterized by the above-mentioned.
[0088]
(Supplementary note 6) The operational risk weighing device according to
[0089]
(Appendix 7) The operational risk calculation means includes an accident rate calculation means for calculating the number of accidents occurring from an accident rate indicating the probability of occurrence of a transaction accident and the current number of transactions, and the number of accidents calculated by the accident number calculation means. A loss amount calculating means for taking out and adding the transaction amount of the minutes from the smoothed transaction amount distribution, and a risk value calculating portion for calculating an operational risk value from the distribution of the loss amount calculated by the loss amount calculating means. The operational risk metering device according to any one of
[0090]
(Additional remark 8) The said smoothing process means selectively smoothes the high price area | region of the said transaction amount distribution, and produces the said smoothed transaction amount distribution, It is any one of Additional remarks 1-7 characterized by the above-mentioned. Operational risk weighing device.
[0091]
(Supplementary note 9) In the operational risk measurement method for measuring operational risk from the transaction amount distribution indicating the transaction amount distribution state,
A smoothing process for smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution;
An operational risk calculating step of calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing step;
An operational risk measurement method characterized by comprising:
[0092]
(Supplementary Note 10) In an operational risk measurement program that measures operational risk from transaction amount distribution indicating the state of transaction amount distribution,
A smoothing process for smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution;
An operational risk calculating step of calculating the operational risk from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing step;
An operational risk measurement program characterized by causing a computer to execute.
[0093]
【The invention's effect】
As explained above, operational risk measurement according to the present inventionprogramTo calculate the operational risk value from the smoothed transaction amount distributionLet the computer computeTherefore, even if the number of transactions is small or the transaction amount distribution is not smooth, the operational risk measurement that can stably measure the appropriate operational risk valueprogramThere is an effect that can be provided.
[0094]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramThe log normal distribution assigned to each transaction amount is synthesized and output as a smoothed transaction amount distribution, and the operational risk is measured from this smoothed transaction amount distribution.Let the computer computeTherefore, operational risk measurement that can easily smooth the distribution of transaction amounts and stably measure reasonable operational risk values.programThere is an effect that can be provided.
[0095]
Also, according to the present invention, operational risk measurementprogramSmoothes the transaction amount distribution using a bandwidth such that the probability point in the high amount region has a predetermined value, and calculates the operational risk from this smoothed transaction amount distribution.Let the computer computeTherefore, it is possible to accurately determine the distribution of high-value transactions that are important for operational risk measurement, and to stably measure reasonable operational risk values.programThere is an effect that can be provided.
[0096]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramSets the bandwidth so that the shape of the high-value area of the smoothed transaction amount distribution matches the distribution of the maximum value of the transaction amount, and calculates the value of operational risk from the transaction amount distribution smoothed using this bandwidth. As calculatedLet the computer computeTherefore, an operational risk measure that can stably measure reasonable operational risk values by calculating a smoothed transaction amount distribution so that the distribution of high-value transactions matches the maximum transaction amount distribution.programThere is an effect that can be provided.
[0097]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramSets the bandwidth so that the shape of the high-value area of the smoothing transaction amount distribution matches the probability of occurrence of the maximum loss amount, and calculates the value of operational risk from the transaction amount distribution smoothed using this bandwidth LikeLet the computer computeTherefore, we create a smoothed transaction amount distribution in which the distribution of expensive transactions matches the probability of occurrence of the maximum loss amount, and the operational risk measurement that can stably measure reasonable operational risk values.programThere is an effect that can be provided.
[0098]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramCalculate the maximum transaction amount distribution or the maximum loss occurrence probability from the transaction results at multiple banks, and set the smoothing bandwidth from the calculated maximum transaction amount distribution or the maximum loss occurrence probabilityLet the computer computeTherefore, it is possible to accurately determine the distribution of high-value transactions that are important for operational risk measurement from the performance of multiple banks, and to stably measure reasonable operational risk values.programThere is an effect that can be provided.
[0099]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramCalculates the loss amount by repeating the process of calculating the loss amount by obtaining the transaction amount for the number of accidents from the smoothed transaction amount distribution and adding them up from the smoothed transaction amount distribution. To calculate the operational risk value from the loss distributionLet the computer computeTherefore, operational risk measurement that enables stable measurement of reasonable operational risk values using Monte Carlo simulationprogramThere is an effect that can be provided.
[0100]
Further, according to the present invention, operational risk measurementprogramCalculates a smoothed transaction value distribution that is particularly suited to the distribution of high-value transactions, and calculates operational risk from this smoothed transaction value distributionLet the computer calculateTherefore, it is possible to selectively create distributions of high-value transactions that are important for operational risk measurement, and to measure appropriate operational risk values stably and quickly.programThere is an effect that can be provided.
[0101]
Further, according to the present invention, the operational risk measurement method comprises:ComputerSince the value of operational risk is calculated from the smoothed transaction amount distribution obtained by smoothing the transaction amount distribution, the appropriate operational risk value can be stably measured even when the number of transactions is small or the distribution of transaction amounts is not smooth. It is possible to provide a possible operational risk measurement method.
[0102]
In addition, according to the present invention, the operational risk weighing device is configured to calculate the value of operational risk from the smoothed transaction amount distribution obtained by smoothing the transaction amount distribution. A reasonable operation even if the distribution is not smooth The operational risk measuring device capable of stably measuring the national risk value can be provided.
[0103]
Further, according to the present invention, the operational risk weighing device synthesizes the lognormal distribution assigned to each transaction amount and outputs it as a smoothed transaction amount distribution, and measures the operational risk from the smoothed transaction amount distribution. Since it is configured, it is possible to provide an operational risk measuring device that can easily smooth the distribution of transaction amounts and stably measure an appropriate operational risk value.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic configuration diagram showing a schematic configuration of an operational risk weighing device according to a first embodiment.
FIG. 2 is an explanatory diagram illustrating calculation of operational risk according to the present invention.
FIG. 3 is an explanatory diagram illustrating the contents of data stored in a storage unit illustrated in FIG. 1;
FIG. 4 is an explanatory diagram illustrating creation of a smoothed transaction amount distribution.
FIG. 5 is an explanatory diagram for explaining calculation of a loss amount distribution and an operational risk value.
FIG. 6 is a flowchart showing a processing operation of the operational
FIG. 7 is an explanatory diagram illustrating maximum loss record data.
FIG. 8 is a diagram illustrating a configuration of a thread management unit in which priorities are set between threads.
FIG. 9 is an explanatory diagram illustrating a configuration of the main body shown in FIG.
[Explanation of symbols]
1 Operational risk weighing device
2 display section
3 Input section
4 Control unit
5 storage unit
6 Transaction amount distribution creation department
7 Smoothing processing part
8 Operational Risk Calculation Department
11 Maximum transaction distribution creation part
12 Bandwidth calculator.
13 Smoothing transaction amount distribution creation part
21 Accident Number Calculation Department
22 Loss calculation section
23 Risk value calculator
31 Current transaction data
32 Maximum transaction amount data
33 Accident data
34 Maximum loss data
41 Maximum transaction amount distribution
41a Maximum trading extreme value distribution
41b Probability point
42 Transaction amount distribution
43 Accident rate
44 Smoothing transaction amount distribution
44a Probability point
45 Number of accidents
46 Loss
47 Operational risk
48 Loss distribution
100,111 computer system
101 Main body
102 display
102a Display screen
103 keyboard
104 mouse
105 modem
106 LAN
107 Public line
108 floppy disk
109 CD-ROM
112 server
113 Printer
121 CPU
122 RAM
123 ROM
124 hard disk drive
125 CD-ROM drive
126 floppy disk drive
127 I / O interface
128 LAN interface
b Bandwidth
Claims (6)
コンピュータを
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理手段と、
前記平滑化処理手段が作成した平滑化取引金額分布から、取引事故が発生する確率に基づく事故件数分の取引金額を取り出して合算し、損失額を算出する処理を繰り返し損失額の分布を得る損失額分布算出手段と、
前記損失額分布算出手段が算出した損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するリスク値算出手段と、
として機能させるためのプログラム。In the operational risk measurement program that measures operational risk from the transaction amount distribution indicating the distribution of transaction amounts,
A smoothing processing means for smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution;
Loss to obtain the distribution of loss amount by repeating the process of calculating the loss amount by taking out the transaction amount for the number of accidents based on the probability that a transaction accident will occur from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing means Amount distribution calculating means,
A risk value calculating means for calculating an operational risk value from the loss distribution calculated by the loss distribution calculating means;
Program to function as.
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理工程と、
前記平滑化処理工程が作成した平滑化取引金額分布から、取引事故が発生する確率に基づく事故件数分の取引金額を取り出して合算し、損失額を算出する処理を繰り返し損失額の分布を得る損失額分布算出工程と、
前記損失額分布算出工程で算出した損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するリスク値算出工程と、
を含むことを特徴とするオペレーショナルリスク計量方法。In the operational risk measurement method in which the computer measures the operational risk from the transaction amount distribution indicating the distribution state of the transaction amount,
A smoothing process for smoothing the transaction amount distribution to create a smoothed transaction amount distribution;
Loss to obtain the distribution of loss amount by repeating the process of calculating the loss amount by taking out the transaction amount for the number of accidents based on the probability that a transaction accident will occur from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing process step Forehead distribution calculation step;
A risk value calculation step of calculating an operational risk value from the loss amount distribution calculated in the loss amount distribution calculation step;
An operational risk measurement method characterized by comprising:
前記取引金額分布を平滑化して平滑化取引金額分布を作成する平滑化処理手段と、
前記平滑化処理手段が作成した平滑化取引金額分布から、取引事故が発生する確率に基づく事故件数分の取引金額を取り出して合算し、損失額を算出する処理を繰り返し損失額の分布を得る損失額分布算出手段と、
前記損失額分布算出手段が算出した損失額の分布からオペレーショナルリスクの値を算出するリスク値算出手段と、
を備えたことを特徴とするオペレーショナルリスク計量装置。In an operational risk weighing device that measures operational risk from the transaction amount distribution indicating the distribution of transaction amounts,
Smoothing processing means for smoothing the transaction amount distribution and creating a smoothed transaction amount distribution;
Loss to obtain the distribution of loss amount by repeating the process of calculating the loss amount by taking out the transaction amount for the number of accidents based on the probability that a transaction accident will occur from the smoothed transaction amount distribution created by the smoothing processing means Amount distribution calculating means,
A risk value calculating means for calculating an operational risk value from the loss distribution calculated by the loss distribution calculating means;
An operational risk weighing device characterized by comprising:
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