以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
図1において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを支持するマスクステージMSTと、感光性の基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されたマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、基板P上に形成されたアライメントマークを検出可能なアライメント系(マーク検出系)ALと、投影光学系PLの像面に対するマスクM及び基板Pの位置情報を検出するフォーカス検出系AFと、投影光学系PL、アライメント系AL、及びフォーカス検出系AFを支持する定盤1と、定盤1を支持するコラム(支持構造体)100と、コラム100に設けられた複数の干渉計(姿勢検出装置)6〜15と、露光処理に関する動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。アライメント系AL及びフォーカス検出系AFはハウジングUに収容されてユニット化されており、このハウジングUを介して定盤1に支持されている。また、干渉計6〜15はコラム100に支持されている。コラム100は、上部プレート部100Aと、上部プレート部100Aの4隅のそれぞれより下方に延びる脚部100Bとを有しており、床面に水平に載置されたベースプレート110上に設置されている。本実施形態において、投影光学系PLは複数(7つ)並んだ投影光学モジュールPLa〜PLgを有しており、照明光学系ILも投影光学モジュールの数及び配置に対応して複数(7つ)の照明光学モジュールを有している。本実施形態において、基板Pはガラス基板に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものである。
本実施形態に係る露光装置EXは、投影光学系PLに対してマスクMと基板Pとを同期移動して走査露光する走査型露光装置であって、所謂マルチレンズスキャン型露光装置を構成している。以下の説明において、マスクM及び基板Pの同期移動方向をX軸方向(走査方向)、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりのそれぞれの方向をθX、θY、及びθZ方向とする。
照明光学系ILは、複数の光源と、複数の光源から射出された光束を一旦集合した後に均等分配して射出するライトガイドと、ライトガイドからの光束を均一な照度分布を有する光束(露光光)に変換するオプティカルインテグレータと、オプティカルインテグレータからの露光光をスリット状に整形するための開口を有するブラインド部と、ブラインド部を通過した露光光をマスクM上に結像するコンデンサレンズとを備えている。コンデンサレンズからの露光光ELはマスクMの複数のスリット状の照明領域を照明する。本実施形態における光源には水銀ランプが用いられ、露光光ELとしては、不図示の波長選択フィルタにより、露光に必要な波長であるg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などが用いられる。なお露光光ELとして、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、F2レーザ光(波長157nm)を用いることもできる。
マスクステージMSTは、コラム100の上部プレート部100A上に設けられている。マスクステージMSTは、マスクMを保持するマスクホルダ20と、上部プレート部100A上においてマスクホルダ20をX軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のリニアモータ21、21と、上部プレート部100Aに設けられ、X軸方向に移動するマスクホルダ20を案内する一対のガイド部22、22とを備えている。なお、図1には−Y側のリニアモータ21及びガイド部22は図示されていない。マスクホルダ20はバキュームチャックを介してマスクMを保持する。マスクホルダ20の中央部にはマスクMのパターン像が通過する開口部20Aが形成されている。リニアモータ21のそれぞれは、上部プレート部100A上において支持部材23で支持され、X軸方向に延びるように設けられた固定子21Aと、この固定子21Aに対応して設けられ、マスクホルダ20のY軸方向両側に固定された可動子21Bとを備えている。リニアモータ21は、固定子21Aをコイルユニット(電機子ユニット)で構成し可動子21Bを磁石ユニットで構成した所謂ムービングマグネット型リニアモータでもよいし、固定子21Aを磁石ユニットで構成し可動子21Bをコイルユニットで構成した所謂ムービングコイル型リニアモータでもよい。そして、可動子21Bが固定子21Aとの間の電磁気的相互作用により駆動することでマスクホルダ20がX軸方向に移動する。ガイド部22のそれぞれはX軸方向に移動するマスクホルダ20を案内するものであって、X軸方向に延びるように設けられ、コラム100の上部プレート部100Aに固定されている。マスクホルダ20の下部にはガイド部22と係合する凹部を有する被ガイド部材24、24が固定されている。被ガイド部材24、24とガイド部22、22との間には非接触ベアリングであるエアベアリングが設けられており、マスクホルダ20はガイド部22に対して非接触で支持されつつ、X軸方向に移動する。また、マスクステージMSTは、不図示ではあるが、マスクMを保持するマスクホルダ20をY軸方向及びθZ方向に移動する移動機構も有している。なお、マスクホルダ20は移動機構により、θX、θY、及びZ軸方向に移動可能に設けられてもよい。そして、上記リニアモータ及び移動機構によりマスクホルダ20の姿勢が調整可能である。以下の説明では、マスクホルダ20(マスクステージMST)の姿勢を調整可能な上記リニアモータ及び移動機構を適宜「マスクステージ駆動装置MSTD」と総称する。
図2は投影光学モジュールPLa〜PLgを支持している定盤1を示す概略斜視図、図3は平面図である。図2及び図3に示すように、投影光学系PLは複数の投影光学モジュールPLa〜PLgで構成されており、これら投影光学モジュールPLa〜PLgは定盤1に支持されている。投影光学系PLを構成する複数の投影光学モジュールPLa〜PLgのうち投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgがY軸方向に並んで配置され、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfがY軸方向に並んで配置されている。また、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとはX軸方向において対向するように配置されており、全体で千鳥状に配置されている。すなわち、千鳥状に配置されている投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、隣合う投影光学モジュールどうし(例えば投影光学モジュールPLaとPLb、PLbとPLc)をY軸方向に所定量変位させて配置されている。各投影光学モジュールPLa〜PLgの視野絞りは、例えば台形形状で、走査方向の視野絞りの開口幅の合計は常に等しくなるように設定されている。そのため、隣り合う投影光学モジュールPLa〜PLgの継ぎ部が重複して露光されるので、投影光学系の光学収差や露光照度が滑らかに変化するという利点を有している。
定盤1は、コラム(支持構造体)100の上部プレート部100Aに対して支持部2を介してキネマティックに支持されている。ここで、上部プレート部100Aの中央部には開口部100Cが設けられており、定盤1は上部プレート部100Aのうち開口部100Cの周縁部上に支持されている。そして、投影光学モジュールPLa〜PLgの下部が開口部100Cに配置されている。
支持部2は、V状内面3を有するV溝部材4と、V溝部材4のV状内面3に接する球面を有する球状部材5とを備えており、定盤1の3箇所の所定位置にそれぞれ設けられている。V溝部材4はコラム100の上部プレート部100Aに固定されている。また、定盤1の下面には球状部材5を配置可能な球面状凹部が形成されており、定盤1の球面状凹部の内面と球状部材5の球面とが接している。球状部材5はV溝部材4のV状内面3に載置された状態であって、V状内面3に対して球状部材5の表面はV字稜線La方向(図3矢印y参照)に摺動可能となっている。そして、V溝部材4のV字稜線Laの延長線のそれぞれが複数並んだ投影光学モジュールPLa〜PLgのXY方向におけるほぼ中央部Oで交わるように、V溝部材4のそれぞれが配置されている。
定盤1は、球面状凹部を介して球状部材5に載置された状態であって、球面状凹部の内面と球状部材5の表面とは摺動可能となっている。これら面どうしが摺動可能であることにより、例えばコラム100が僅かに変形した際、これら面どうしが摺動することでコラム100の変形の定盤1への影響が抑制されている。なお、V溝部材4のV状内面3、球状部材5の表面、及び定盤1の球面状凹部ののそれぞれに、例えばダイヤモンドライクカーボン等の低摩擦材料膜をコーティングしてもよい。これにより各面の静止摩擦係数が低減され、例えばコラム100が僅かに変形して前記面どうしが摺動する際に生じる応力が抑えられ、コラム100の変形の定盤1への影響を良好に抑えることができる。
定盤1は、例えばメタルマトリクス複合材(MMC:Metal Matrix Composites)により形成されている。メタルマトリクス複合材は金属をマトリクス材としてその中にセラミックス強化材を複合した複合材であり、ここでは金属としてアルミニウムを含むものが用いられている。定盤1の中央部には開口部1Aが形成されており、この開口部1Aにより投影光学モジュールPLa〜PLgそれぞれの露光光ELの光路が確保されている。ここで、定盤1は平面視において左右対称な六角形状(ホームベース状)に形成されており、Y軸方向に4つ並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgは定盤1の幅の広い部分で支持され、Y軸方向に3つ並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfは定盤1の幅の狭い部分で支持されている。すなわち、複数並んだ投影光学モジュールの数に応じて定盤1の形状が設定されており、これにより、投影光学モジュールPLa〜PLgを支持するのに十分な強度を得られる範囲において、使用材料が最小限に抑えられている。
投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、鏡筒PKと、鏡筒PKの内部に配置されている複数の光学素子(レンズ)とを有している。そして、−X側の投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、+X側の投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとの間に、アライメント系AL及びフォーカス検出系AFを収容したハウジングUが配置されている。投影光学系PLとアライメント系AL及びフォーカス検出系AFを収容したハウジングUとは、定盤1と一体で姿勢変化するようになっている。定盤1はコラム100に対してキネマティック支持され、上記材料で形成されているため、姿勢変化した際にもほぼ変形しない(歪まない)。
投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、定盤1に対して互いに独立して接続されており、又分離可能である。これにより、投影光学モジュールをモジュール単位で増減させることが可能となり、その場合において、投影光学モジュールの定盤1に対する取り付け・取り外し作業を容易に行うことができる。更に、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれを定盤1に対して互いに独立して接続及び分離可能としたことにより、定盤1の所定の基準位置(例えば開口部1Aの中心位置)に対してそれぞれ独立して位置決め可能であり、各投影光学モジュールPLa〜PLgの互いの相対位置を任意に設定することができる。
図4は、基板ステージPSTの概略斜視図である。基板ステージPSTはベースプレート110上に設けられている。基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダ30と、基板ホルダ30をY軸方向に案内しつつ移動自在に支持するガイドステージ35と、ガイドステージ35に設けられ、基板ホルダ30をY軸方向に移動するリニアモータ36と、ベースプレート110上において基板ホルダ30をガイドステージ35とともにX軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のリニアモータ31、31と、ベースプレート110上に設けられ、X軸方向に移動するガイドステージ35(及び基板ホルダ30)を案内する一対のガイド部32、32とを備えている。基板ホルダ30はバキュームチャックを介して基板Pを保持する。リニアモータ31のそれぞれは、ベースプレート110上において支持部材33で支持され、X軸方向に延びるように設けられた固定子31Aと、この固定子31Aに対応して設けられ、ガイドステージ35のY軸方向両端部に固定された可動子31Bとを備えている。リニアモータ31は、固定子31Aをコイルユニット(電機子ユニット)で構成し可動子31Bを磁石ユニットで構成した所謂ムービングマグネット型リニアモータでもよいし、固定子31Aを磁石ユニットで構成し可動子31Bをコイルユニットで構成した所謂ムービングコイル型リニアモータでもよい。そして、可動子31Bが固定子31Aとの間の電磁気的相互作用により駆動することで基板ホルダ30がガイドステージ35とともにX軸方向に移動する。ガイド部32のそれぞれは、X軸方向に移動するガイドステージ35及び基板ホルダ30を案内するものであって、X軸方向に延びるように設けられ、ベースプレート110に固定されている。ガイドステージ35の下部にはガイド部32と係合する凹部を有する被ガイド部材34、34が固定されている。被ガイド部材34、34とガイド部32、32との間には非接触ベアリングであるエアベアリング34Aが設けられており、ガイドステージ35はガイド部32に対して非接触で支持されつつ、X軸方向に移動する。同様に、リニアモータ36も、ガイドステージ35に設けられた固定子36Aと、基板ホルダ30に設けられた可動子36Bとを有しており、基板ホルダ30はリニアモータ36の駆動によりガイドステージ35に案内されつつY軸方向に移動する。また、リニアモータ31、31のそれぞれの駆動を調整することでガイドステージ35はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このリニアモータ31、31により基板ホルダ30がガイドステージ35とほぼ一体的にX軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。更に、基板ステージPSTは基板ホルダ30をZ軸方向、θX及びθY方向に移動する移動機構も有している。そして、上記リニアモータ及び移動機構により基板ホルダ30の姿勢が調整可能である。以下の説明では、基板ホルダ30(基板ステージPST)の姿勢を調整可能な上記リニアモータ及び移動機構を適宜「基板ステージ駆動装置PSTD」と総称する。
図5は、投影光学モジュールPLfの構成図である。以下では投影光学モジュールPLfについて説明するが、他の投影光学モジュールPLa、PLb、PLc、PLd、PLe、PLgも投影光学モジュールPLfと同様の構成である。投影光学モジュールPLfは、基板P上におけるマスクMのパターンをシフトするシフト調整機構40と、二組の反射屈折型光学系41、42と、投影光学モジュール(投影光学系)の像面のZ軸方向の位置及び傾斜を調整する像面調整機構43と、不図示の視野絞りと、基板P上におけるマスクMのパターンの倍率を調整するスケーリング調整機構44とを備えている。マスクMを通過した光束はシフト調整機構40に入射する。シフト調整機構40は、θY及びθX方向にそれぞれ回転可能な一対の平行平面ガラス板を備えている。一方の平行平面ガラス板がθY方向に回転することにより基板P上におけるマスクMのパターンの像がX軸方向にシフトし、他方の平行平面ガラス板がθX方向に回転することにより基板P上におけるマスクMのパターンの像がY軸方向にシフトする。シフト調整機構40を透過した光束は、1組目の反射屈折型光学系41に入射する。反射屈折型光学系41は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム45A、レンズ46、及び凹面鏡47を備えている。直角プリズム45Aは、θZ方向に回転可能に設けられており、回転することで基板P上におけるマスクMのパターンの像がθZ方向に回転する。つまり、直角プリズム45Aはローテーション調整機構としての機能を有している。反射屈折型光学系41により形成されるパターンの中間像位置には、基板P上における投影領域を設定する不図示の視野絞りが配置されており、例えば基板P上の投影領域を台形状に設定する。また、視野絞りの近傍(反射屈折型光学系41による中間像が形成される位置近傍)、換言すればマスクM及び基板Pに対してほぼ共役な位置には像面調整機構43が設けられている。像面調整機構43は、一対のくさび型光学部材を備えている。一方のくさび型光学部材に対して他方のくさび型光学部材がスライド移動することにより投影光学モジュールPLfの像面位置がZ軸方向に移動し、一方のくさび型光学部材に対して他方のくさび型光学部材がθZ方向に回転することにより投影光学モジュールPLfの像面が傾斜する。視野絞り及び像面調整機構43を透過した光束は、2組目の反射屈折型光学系42に入射する。反射屈折型光学系42は、反射屈折型光学系41と同様に、ローテーション調整機構としての直角プリズム45B、レンズ48、及び凹面鏡49を備えている。反射屈折型光学系42から射出した光束は、スケーリング調整機構44を通り、基板P上にマスクMのパターンの像を正立等倍で結像する。スケーリング調整機構44は、例えばレンズをZ軸方向に移動させることで、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)を調整する。
上記シフト調整機構40、ローテーション調整機構45A、45B、スケーリング調整機構44、及び像面調整機構43により、投影光学モジュールPLfの光学特性(結像特性)を調整する結像特性調整装置が構成される。なお、結像特性調整装置としては、一部の光学素子(レンズ)間を密封して内部圧力を調整する機構であってもよい。
図6は、ハウジングUに収容されているアライメント系AL及びフォーカス検出系AFの配置を示す模式図である。アライメント系ALは、投影光学系PLとは別のハウジングUに収容されたオフ・アクシス方式のアライメント系であって、基板P上に形成されたアライメントマークを検出可能な複数のマーク検出系AL1〜AL6を備えている。複数のマーク検出系AL1〜AL6は、基板Pに対向するようにY軸方向に並んで設けられている。フォーカス検出系AFは、基板Pに対向し、この基板PのZ軸方向における位置を検出する複数の基板側フォーカス検出系50(50a〜50g)と、マスクMに対向し、このマスクMのZ軸方向における位置を検出する複数のマスク側フォーカス検出系52(52a〜52d)とが設けられている。基板側フォーカス検出系50及びマスク側フォーカス検出系52のそれぞれも、Y軸方向に複数並んで配置されている。
図7は、アライメント系AL及び基板側フォーカス検出系50と、基板P上に形成されているアライメントマークm1〜m6との関係を示す図である。基板Pには、アライメント処理に用いられる複数のアライメントマークm1〜m6が設けられている。基板P上にはY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6がX軸方向の6箇所に間隔をおいて形成されており、全部で36個のアライメントマークが形成されている。そして、マーク検出系AL1〜AL6は、基板P上においてY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6に対応して設けられている。マーク検出系AL1〜AL6はアライメントマークm1〜m6のそれぞれに対向した状態で、これらアライメントマークm1〜m6を同時に検出可能である。なお図7に示す例では、基板P上に9つのパターン形成領域(ショット領域、露光領域)PA1〜PA9が形成されており、Y軸方向に並んだ複数のアライメントマークm1〜m6のうち、アライメントマークm1、m2がパターン形成領域PA3、PA6、PA9に配置され、アライメントマークm3、m4がパターン形成領域PA2、PA5、PA8に配置され、アライメントマークm5、m6がパターン形成領域PA1、PA4、PA7に配置されるように、アライメントマークm1〜m6のそれぞれの間隔が予め設定されている。
複数の基板側フォーカス検出系50a〜50gのうち、フォーカス検出系50a、50b、50d、50f、50gがY軸方向に所定間隔で並んで配置されているとともに、フォーカス検出系50c、50eがY軸方向に所定間隔で並んで配置されている。そして、これら2列のフォーカス検出系50a、50b、50d、50f、50gとフォーカス検出系50c、50eとがアライメント系AL(AL1〜AL6)を挟むように配置されている。基板側フォーカス検出系50a〜50gのそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板側フォーカス検出系50a〜50gの検出結果に基づいて、基板PのZ軸方向における位置を求める。更に、基板側フォーカス検出系50a〜50gはX軸及びY軸方向のそれぞれにおいて2次元的に配置されているので、制御装置CONTは複数の基板側フォーカス検出系50a〜50gの検出結果に基づいて、基板PのθX方向及びθY方向における姿勢を求めることができる。制御装置CONTは、求めたZ軸方向の位置、及びθX、θY方向における姿勢に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板PのZ軸方向の位置の調整(フォーカス調整)、及びθX、θY軸方向における姿勢の調整(レベリング調整)を行う。同様に、制御装置CONTは、複数のマスク側フォーカス検出系52a〜52dそれぞれの検出結果に基づいて、マスクMのフォーカス調整及びレベリング調整を行うことができる。
図8は、基板側フォーカス検出系50aを示す概略構成図である。なお、他の基板側フォーカス検出系50b〜50g、及びマスク側フォーカス検出系52a〜52dも、フォーカス検出系50aと同等の構成である。図8に示すように、フォーカス検出系50aは、検出光を射出するLEDからなる光源53と、光源53から射出した検出光が入射される送光レンズ系54と、送光レンズ系54を通過した光を、検出対象である基板P(あるいはマスクM)に傾斜方向から導くミラー55と、ミラー55を介して照射された検出光の基板P(あるいはマスクM)での反射光を受光レンズ系57に導くミラー56と、受光レンズ系57を通過した光を受光する撮像素子(CCD)58とを備えている。送光レンズ系54は、検出光を例えばスリット状に整形してから基板Pに照射する。ここで、検出対象である基板PのZ軸方向における位置がΔZ変位すると、傾斜方向から照射されたスリット状の検出光は、撮像素子58におけるX軸方向における結像位置をΔX変位させる。撮像素子58の撮像信号は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは撮像素子58による撮像位置の基準位置に対する変位量ΔXに基づいて、基板PのZ軸方向における変位量ΔZを求める。基板Pに対して垂直な線とフォーカス検出系から入射する光線とのなす角度をβとすると、2×ΔZ×sinβがフォーカス検出系の撮像素子58に対する横ずれとなるため、フォーカス検出系の光学系の倍率がNの場合には撮像素子58上でのずれ量をγとすると、γ=2×ΔZ×sinβ×Nとなる。
上記フォーカス検出系50a(50b〜50g、52a〜52d)では、光源53、送光レンズ系54、及びミラー55がフォーカス検出系の送光系を構成しており、ミラー56、受光レンズ系57、及び撮像素子58がフォーカス検出系の受光系を構成している。なお、光源53は複数のフォーカス検出系50a〜50g(52a〜52d)のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源53から射出された光を複数のライトガイド(光ファイバ)で分岐し、この分岐した複数の光を複数のフォーカス検出系のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、検出光も基板Pのフォトレジストに対して非感光性であることが望ましく、光源53より射出された光のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源53と基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。また撮像素子58は、基板P上のスリット光の非計測方向を圧縮するように配置されたシリンドリカルレンズと一次元ラインセンサで構成されてもよい。更に、光源には、フォトレジストの干渉性を考慮してハロゲンランプからの光をフィルタにより非感光性の波長にし、ファイバにて導光してもよい。
図9は、マーク検出系AL1の概略構成図である。なお、他のマーク検出系AL2〜AL6も、マーク検出系AL1と同等の構成である。図9に示すように、マーク検出系AL1は、アライメント用検出光を射出するハロゲンランプからなるアライメント用光源61と、光源61から射出した検出光をリレーレンズ63に導く光ファイバからなるライトガイド62と、リレーレンズ63の光路下流側に設けられたハーフミラー64と、ハーフミラー64と検出対象である基板P(アライメントマークm1〜m6)との間に設けられ、ハーフミラー64を通過した検出光を基板P上に照射する対物レンズ65と、照射された検出光の基板P(アライメントマーク)での反射光がハーフミラー64を介して導かれる偏向ミラー66と、偏向ミラー66からの反射光を分岐するビームスプリッタ67と、ビームスプリッタ67で分岐された2つの光束のうち一方の光束が入射する低倍率アライメント受光系68と、他方の光束が入射する高倍率アライメント受光系69とを備えている。低倍率アライメント受光系68は、低倍用レンズ系68Aと、低倍用撮像素子(CCD)68Bとを有しており、基板P上の広い領域を所定の精度で計測可能である。高倍率アライメント受光系69は、高倍用レンズ系69Aと、高倍用撮像素子(CCD)69Bとを有しており、基板Pの狭い領域を高精度で計測可能である。これら低倍率アライメント受光系68Aと高倍率アライメント受光系68Bとは同軸に配置されている。そして、照射されたアライメント用検出光の基板P(アライメントマークm1〜m6)での反射光は、低倍率アライメント受光系68と高倍率アライメント受光系69とのそれぞれに受光される。
低倍率アライメント受光系68は、アライメント用検出光により照射された基板Pの広い領域からの光情報に基づいて、アライメントマークm1(m2〜m6)の位置情報をラフな精度で検出するサーチアライメント処理を行う。一方、高倍率アライメント受光系69は、アライメント用検出光により照射された基板Pの狭い領域からの光情報に基づいて、アライメントマークm1(m2〜m6)の位置情報を高い精度で検出するファインアライメント処理を行う。低倍率アライメント受光系68及び高倍率アライメント受光系69のそれぞれは受光信号を制御装置CONTに出力し、制御装置CONTはアライメント受光系68、69それぞれの受光信号に基づいて画像処理を行い、マーク位置情報を求める。ここで、制御装置CONTでは、低倍率アライメント受光系68によるサーチアライメント処理結果を参照し、高倍率アライメント受光系69によるファインアライメント処理を行う。
マーク検出系AL1(AL2〜AL6)によりマーク位置情報を求める際、画像処理によりマークのエッジ情報からマーク位置を求める。なお、マーク位置を求める方法としてパターンマッチング法を用いるようにしてもよい。すなわち、制御装置CONTは、テンプレート画像を記憶した記憶装置(不図示)に接続されており、パターンマッチングによってテンプレートに一致するパターンの座標(ステージの移動座標系での位置)を求める。制御装置CONTは、この座標値を用いてつなぎ露光時や重ね合わせ露光時に生じたずれ量を求め、次回以降の露光の際には基板ステージ駆動装置PSTDに補正パラメータを与えることにより、位置合わせ精度を高める。
上記マーク検出系AL1(AL2〜AL6)では、光源61、ライトガイド62、及びリレーレンズ系63がアライメント系の送光系を構成しており、ビームスプリッタ67、低倍率アライメント受光系68、及び高倍率アライメント受光系69がアライメント系の受光系を構成している。なお、光源61は複数のアライメント系AL1〜AL6のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源61から射出された光を複数のライドガイド(光ファイバ)62で分岐し、この分岐した複数の光をマーク検出系AL1〜AL6のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、アライメント用検出光は基板Pのフォトレジストに対して非感光性であることが望ましく、ハロゲンランプからなる光源61より射出された光のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源61と基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。
図10はマスクホルダ20(マスクステージMST)の位置を計測するレーザ干渉システムSYSの概略構成図である。図10において、マスクホルダ20の上面のうち開口部20Aを挟んでY軸方向に並ぶ位置のそれぞれには、コーナーキューブからなるX移動鏡70、71が設けられている。また、マスクホルダ20の下面のうち−Y側の端縁にはX軸方向に延びるY移動鏡72が設けられている。X移動鏡70、71のそれぞれに対向する位置にはレーザ干渉計6、7がY軸方向に並んで設けられている。また、Y移動鏡72に対向する位置にはレーザ干渉計11が設けられている。レーザ干渉計6、7、11はコラム100の上部プレート部100Aの上面に設けられている(図1参照)。
定盤1には参照鏡73、74が取り付けられている。参照鏡73はレーザ干渉計6に対向する位置に設けられ、参照鏡74はレーザ干渉計7に対向する位置に設けられている。アライメント系(マーク検出系)ALを保持するハウジングUの−Y側面の上部には参照鏡75が設けられている。参照鏡75はレーザ干渉計11に対向する位置に設けられている。
Y軸方向に2つ並んだレーザ干渉計6、7のうち、+Y側のレーザ干渉計6は、X移動鏡70に測長ビーム(測定光)70Aを照射するとともに、参照鏡73に参照ビーム(参照光)73Aを照射する。一方、−Y側のレーザ干渉計7は、X移動鏡71に測長ビーム71Aを照射するとともに、参照鏡74に参照ビーム74Aを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくX移動鏡70、71及び参照鏡73、74それぞれからの反射光はレーザ干渉計6、7の受光部で受光され、レーザ干渉計6、7はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡73、74を基準としたX移動鏡70、71の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計6、7の計測結果は制御装置CONTに出力される。ここで、参照鏡73、74は定盤1に支持され、X移動鏡70、71はマスクホルダ20(マスクステージMST)に支持されているため、制御装置CONTはレーザ干渉計6、7の計測結果に基づいて、定盤1に対するマスクホルダ20のX軸方向における位置を求める。
更に、制御装置CONTは、Y軸方向に並んだレーザ干渉計6、7それぞれの計測結果に基づいて、定盤1に対するマスクホルダ20のθZ方向における位置を求める。
レーザ干渉計11は、Y移動鏡72に測長ビーム72Aを照射するとともに、参照鏡75に参照ビーム75Aを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくY移動鏡72及び参照鏡75それぞれからの反射光はレーザ干渉計11の受光部で受光され、レーザ干渉計11はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡75を基準としたY移動鏡72の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計11の計測結果は制御装置CONTに出力される。ここで、参照鏡75は定盤1に支持されたアライメント系ALを保持するハウジングUに設けられ、Y移動鏡72はマスクホルダ20に支持されているため、制御装置CONTはレーザ干渉計11の計測結果に基づいて、アライメント系ALを支持した定盤1に対するマスクホルダ20のY軸方向における位置を求める。
図11は基板ホルダ30(基板ステージPST)の位置を計測するレーザ干渉システムSYSの概略構成図である。図11において、基板ホルダ30の−X側の端縁にはY軸方向に延びるX移動鏡82が設けられ、基板ホルダ30の−Y側の端縁にはX軸方向に延びるY移動鏡83が設けられている。X移動鏡82に対向する位置には、3つのレーザ干渉計8、9、10がY軸方向に並んで設けられている。また、Y移動鏡83に対向する位置には、3つのレーザ干渉計13、14、15がX軸方向に並んで設けられている。レーザ干渉計8、9、10、13、14、15は、コラム100の上部プレート部100Aから垂下するように設けられている(図1参照)。また、レーザ干渉計11とレーザ干渉計14との間には、別のレーザ干渉計12が設けられている。
投影光学モジュールの鏡筒PKの−X側面には参照鏡77、78、79が設けられ、−Y側の側面には参照鏡80、81が設けられている。また、アライメント系(マーク検出系)ALを保持するハウジングUの−X側面の下部には参照鏡76が設けられており、ハウジングUはその−Y側面にZ軸方向に並んだ2つの参照鏡75、76を備えた構成となっている。参照鏡77は、Y軸方向に3つ並んだレーザ干渉計8、9、10のうち+Y側のレーザ干渉計8に対向する位置に設けられ、参照鏡78は中央のレーザ干渉計9に対向する位置に設けられ、参照鏡79は−Y側のレーザ干渉計10に対向する位置に設けられている。参照鏡80は、X軸方向に3つ並んだレーザ干渉計13、14、15のうち−X側のレーザ干渉計13に対向する位置に設けられ、参照鏡76は中央のレーザ干渉計12(及び14)に対向する位置に設けられ、参照鏡81は+X側のレーザ干渉計15に対向する位置に設けられている。
レーザ干渉計8は、X移動鏡82に測長ビーム82Aを照射するとともに、参照鏡77に参照ビーム77Aを照射する。レーザ干渉計9は、参照鏡78に参照ビーム78A、78Bを照射する。ここで、参照ビーム78A、78BはZ軸方向に並ぶように参照鏡78に照射される。レーザ干渉計10は、X移動鏡82に測長ビーム82Bを照射するとともに、参照鏡79に参照ビーム79Aを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくX移動鏡82及び参照鏡77、79それぞれからの反射光はレーザ干渉計8、10の受光部で受光され、レーザ干渉計8、10はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡77、79を基準としたX移動鏡82の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計8、10の計測結果は制御装置CONTに出力される。ここで、参照鏡77、79は定盤1に支持され、X移動鏡82は基板ホルダ30(基板ステージPST)に支持されているため、制御装置CONTはレーザ干渉計8、10の計測結果に基づいて、定盤1に対する基板ホルダ30のX軸方向における位置を求める。
更に、制御装置CONTは、Y軸方向に並んだレーザ干渉計8、10それぞれの計測結果に基づいて、定盤1に対する基板ホルダ30のθZ方向における位置を求める。
また、レーザ干渉計13は、Y移動鏡83に測長ビーム83Aを照射するとともに、参照鏡80に参照ビーム80Aを照射する。レーザ干渉計14は、Y移動鏡83に測長ビーム83Bを照射するとともに、参照鏡76に参照ビーム76Bを照射する。レーザ干渉計15は、Y移動鏡83に測長ビーム83Cを照射可能であるとともに、参照鏡81に参照ビーム81Aを照射する。ここで、X軸方向に3つのレーザ干渉計13、14、15が並んで設けられていることにより、基板ホルダ30のY軸方向における位置を計測する際に、走査移動する基板ホルダ30のX軸方向における位置に応じて使用するレーザ干渉計を切り替えて位置検出することができる。図11では、レーザ干渉計13、14から射出された測長ビーム83A、83BがY移動鏡83に照射され、レーザ干渉計15から射出される測長ビーム83CはY移動鏡83に照射されていない状態が図示されている。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくY移動鏡83及び参照鏡80、76、81それぞれからの反射光はレーザ干渉計13、14、15の受光部で受光され、レーザ干渉計13、14、15はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡80、76、81を基準としたY移動鏡83の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計13、14、15の計測結果は制御装置CONTに出力される。ここで、参照鏡80、76、81は定盤1に支持され、Y移動鏡83は基板ホルダ30に支持されているため、制御装置CONTはレーザ干渉計13、14、15の計測結果に基づいて、定盤1に対する基板ホルダ30のY軸方向における位置を求める。
更に、制御装置CONTは、X軸方向に並んだレーザ干渉計13、14、15それぞれの計測結果に基づいて、定盤1に対する基板ホルダ30のθZ方向における位置を求めることができる。
レーザ干渉計9は参照鏡78に対してZ軸方向に並ぶ2つの参照ビーム78A、78Bを照射する。レーザ干渉計9の計測結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、参照ビーム78A及び78Bそれぞれの光路長測定結果に基づいて、定盤1に支持されている投影光学モジュールPLa〜PLgのθY方向における姿勢、ひいては定盤1のθY方向における姿勢を求めることができる。
ハウジングUの−Y側に設けられたレーザ干渉計12は、Z軸方向に並ぶ参照鏡75、76のそれぞれに対して参照ビーム75B、76Aを照射する。レーザ干渉計12の計測結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、Z軸方向に並ぶ参照ビーム75B及び76Aそれぞれの光路長測定結果に基づいて、定盤1に支持されているハウジングU(アライメント系AL)のθX方向における姿勢、ひいては定盤1のθX方向における姿勢を求めることができる。
こうして、制御装置CONTは、レーザ干渉計より参照鏡に照射した参照ビームによる計測結果に基づいて、投影光学系PLと、アライメント系AL及びフォーカス検出系AFを収容したハウジングUとを支持する定盤1の姿勢を求めることができる。そして、投影光学系PLとアライメント系AL及びフォーカス検出系AFを収容したハウジングUとは定盤1に支持されて一体で姿勢変化するため、制御装置CONTは、定盤1の姿勢に基づいて、この定盤1に支持されたアライメント系AL、フォーカス検出系AF、及び投影光学系PLの姿勢を求めることができる。このとき制御装置CONTは、上述したように、レーザ干渉計の計測結果に基づいて、マスクステージMST及び基板ステージPSTに対するアライメント系AL(定盤1)の相対的な姿勢、すなわち、X軸、Y軸、θX、θY、及びθZ方向における位置を求めることができる。更に、制御装置CONTは、定盤1に支持されたフォーカス検出系AFの検出結果に基づいて、ハウジングU、ひいてはアライメント系AL及び定盤1に対するマスクステージMST及び基板ステージPSTのθX、θY、及びZ軸方向における位置(姿勢)も求めることができる。このように、制御装置CONTは、姿勢検出装置の一部を構成するレーザ干渉計、及びフォーカス検出系を使って、マスクステージMST及び基板ステージPSTに対するアライメント系ALの相対的な姿勢を検出することができる。
投影光学系PLを支持した定盤1がマスクステージMST及び基板ステージPSTに対して姿勢変化した場合、投影光学系PLを介したマスクMの基板P上でのパターン像の位置が変化する。そこで、制御装置CONTは、上記レーザ干渉計やフォーカス検出系を使って検出した定盤1(投影光学系PL)の姿勢情報に基づいて、マスクホルダ20の姿勢をマスクステージ駆動装置MSTDを介して制御する。例えば、制御装置CONTは、定盤1のθY方向への傾斜量を補正量として、マスクホルダ20の姿勢を補正する。これにより、定盤1の姿勢が変化した場合でも、定盤1に支持されている投影光学モジュールPLa〜PLgとマスクホルダ20(及びこのマスクホルダ20に保持されているマスクM)との相対位置を維持することができる。同様に、制御装置CONTは、検出した定盤1(投影光学系PL)の姿勢情報に基づいて、基板ホルダ30の姿勢を基板ステージ駆動装置PSTDを介して補正することもできるし、マスクステージMST及び基板ステージPST双方の姿勢を補正することもできる。こうすることにより、定盤1(投影光学系PL)の姿勢変化に基づく投影光学系PLを介した基板P上でのパターン像(投影像)の位置を補正することができる。あるいは、投影光学系PLを介した基板P上でのパターン像の位置を補正するために、制御装置CONTは、定盤1の姿勢情報に基づいて、投影光学系PLに設けられたシフト調整機構40などを含む上記結像特性調整装置を使って、パターン像の位置を補正するようにしてもよい。
あるいは、制御装置CONTは、定盤1の姿勢情報に基づいて、レーザ干渉計によるマスクステージMSTの位置計測結果及び基板ステージPSTの位置計測結果のうち少なくともいずれか一方を補正し、この補正した位置計測結果に基づいて、マスクステージMST及び基板ステージPSTを駆動するようにしてもよい。
また、定盤1に複数のアライメント系AL(マーク検出系AL1〜AL6)を搭載してあるので、アライメント系ALの姿勢を計測する系は、定盤1の姿勢を計測できる数で足りる。例えば、ピッチング、ローリング、及びθZ方向の回転などの3つを計測する系が挙げられる。このように、アライメント系の姿勢を検出する系を、複数のマーク検出系の数よりも少なくすることができる。
図12は、アライメント系ALを収容したハウジングUが傾斜した状態を示す模式図である。図12に示すように、ハウジングUの側面の上部及び下部のそれぞれには参照鏡75、76が設けられ、これら参照鏡75、76にレーザ干渉計12からの参照ビーム75B、76Aがそれぞれ照射されている。また、参照鏡76にはレーザ干渉計14からの参照ビーム76Bが照射され、基板ホルダ30上のY移動鏡83にはレーザ干渉計14からの測長ビーム83Bが照射されている。例えば、アライメント系ALがアライメントマークm1を中心として角度φ傾斜した場合、計測点自体に位置ずれは発生しないが、図12に示すように、レーザ干渉計14は参照鏡76に対して距離sの計測誤差を生じる。参照鏡76と移動鏡83とのZ軸方向に関する距離をL’とすると、s=L’×φとなる。距離L’は予め定まった所定値であるため、角度φを求めることにより、計測誤差sを求めることができる。この角度φは、レーザ干渉計12により計測することができる。すなわち、ハウジングUの傾斜前と傾斜後とでの参照鏡75の参照ビーム75Bの照射位置におけるY軸方向に関する変動距離をs’、参照鏡76の参照ビーム76Aの照射位置における変動距離をs”とすると、φ=(s’−s”)/Lであるので、s=(s’−s”)×L’/Lとなる。そして、求めた計測誤差sに基づいて補正量を求め、この補正量に基づいてステージ位置制御を行えばよい。
また、露光処理を行う前に、制御装置CONTはアライメント系ALを使って基板P上に形成されたアライメントマークm1〜m6を検出し、基板Pを所定の位置に位置合わせするアライメント処理を行うが、この場合も、定盤1(アライメント系AL)の姿勢情報に基づいて、アライメント系ALの検出結果を補正し、この補正した結果に基づいてアライメント処理することができる。こうすることにより、アライメント精度を向上することができる。
そして、露光処理を行う際には、マスクホルダ20にマスクMがロードされるとともに基板ホルダ30に基板Pがロードされる。制御装置CONTは、マスクMを保持したマスクホルダ20と基板Pを保持した基板ホルダ30とをX軸方向に同期移動しつつマスクMを照明光学系ILにより露光光ELで照明する。制御装置CONTは、定盤1の姿勢計測結果に基づいて、マスクホルダ20及び基板ホルダ30の姿勢をマスクステージ駆動装置MSTD及び基板ステージ駆動装置PSTDを介して制御し、定盤1に支持されている投影光学モジュールPLa〜PLgとマスクホルダ20(マスクM)及び基板ホルダ30(基板P)との相対位置関係を維持しつつ露光する。
露光中、マスクホルダ20及び基板ホルダ30の移動により、コラム100に歪み変形が生じる場合がある。しかしながら、投影光学モジュールPLa〜PLgは1つの定盤1により支持されているので、コラム100の変形の投影光学モジュールPLa〜PLgに対する影響は、コラム100にキネマティックに支持されている定盤1に遮られる。また、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは1つの定盤1により支持されているので互いの相対位置を変化させることがない。また、定盤1はコラム100に対して支持部2によりキネマティックに支持されているので、コラム100や定盤1自体が仮に熱変形してもキネマティック支持構造がこの変形分を吸収するため、投影光学系PLの結像特性に与える影響を抑えることができる。
なお、上述した構成を有する露光装置EXを組み立てる際には、投影光学モジュールPLa〜PLgを定盤1に取り付ける前に、投影光学モジュールPLa〜PLgそれぞれの光学特性調整が上記結像特性調整装置により調整される。そして、投影光学モジュールPLa〜PLgの光学特性調整が終わったら、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれが定盤1の基準位置に対して位置決めされつつ定盤1に取り付けられる。
以下、本発明に係る姿勢検出装置の一部を構成する干渉計の一実施形態について説明する。図13は、干渉計6〜15を含むレーザ干渉システムSYSの概略構成図である。レーザ干渉システムSYSは、光源120と、光源120から射出された光束を分岐するハーフミラーなどにより構成される光束分岐部121と、光源120と干渉計6〜15との間の光路上の所定位置に配置され、光束を拡大するビームエキスパンダ(拡大手段)122とを備えている。光源120は2つの異なる周波数を有する光束を射出可能なゼーマンレーザ装置により構成されている。光源120から射出された光束は、更に複数の光束分岐部121により複数の干渉計(計測軸)6〜15に対応した複数の光束に分岐され、所定位置に配置された反射ミラー123等を介して各干渉計6〜15に分配される。本実施形態において、光源120は1つ設けられ、この光源120から射出された光束を複数の干渉計6〜15のそれぞれに光束分岐部121を使って分岐する構成である。これにより、複数の干渉計6〜15のそれぞれに関して光源を設ける構成に比べて装置コストを抑えることができる。また、熱源となる光源120の数を減らすことにより露光精度に与える影響を低減することができる。
図14は、干渉計13の概略構成図である。なお他の干渉計も図14に示す干渉計13と同等の構成を有する。光源120から射出され、ビームエキスパンダ122、光束分岐部121、反射ミラー123を通過した光束は干渉計13に入射する。干渉計13は、反射ミラー123を介して入射された光束を測長ビーム83Aと参照ビーム80Aとに分割する偏光ビームスプリッタ(分割部)124と、偏光ビームスプリッタ124と移動鏡(測定光反射部)83との間に配置され、偏光ビームスプリッタ124からの測長ビーム83Aが通過するλ/4板125(125A、125B)と、偏光ビームスプリッタ124と参照鏡(参照光反射部)80との間に配置され、反射ミラー127を介した偏光ビームスプリッタ124からの参照ビーム80Aが通過するλ/4板126(126A、126B)と、移動鏡83で反射され偏光ビームスプリッタ124を介した測長ビーム83A、及び参照鏡80で反射され偏光ビームスプリッタ124を介した参照ビーム80Aのそれぞれが入射されるコーナーキューブ128と、偏光ビームスプリッタ(合成部)124で合成された測長ビーム83Aの反射光及び参照ビーム80Aの反射光の合成光(干渉光)を受光する受光部130と、偏光ビームスプリッタ124と受光部130との間に配置され、受光部130に入射する光束を制限する絞り及びピックアップレンズ等の光学素子を組み合わせた制限部(制限手段)129とを備えている。ビームエキスパンダ122は、光源120と偏光ビームスプリッタ124との間に配置されている。
ここで、受光部130は複数の干渉計(計測軸)6〜15のそれぞれに対応して複数設けられており、これら複数の受光部130それぞれの光束に対する感度特性は互いに異なっている。
光源120からビームエキスパンダ122を介して偏光ビームスプリッタ124に入射された光束は、測長ビーム83Aと参照ビーム80Aとに分割される。このうち測長ビーム83Aは、λ/4板125Aを通過した後、移動鏡83に照射される。λ/4板125Aを通過することで、直線偏光の測長ビーム83Aは円偏光に変換された後、移動鏡83に照射される。移動鏡83に照射された測長ビーム83Aの反射光は再びλ/4板125Aを通過した後、偏光ビームスプリッタ124に入射し、コーナーキューブ128に送光される。コーナーキューブ128を介した測長ビーム83Aは再び偏光ビームスプリッタ124に入射し、λ/4板125Bを通過した後、移動鏡83に照射される。その反射光はλ/4板125Bを再び通過した後、偏光ビームスプリッタ124に入射する。一方、偏光ビームスプリッタ124から射出された参照ビーム80Aは、反射ミラー127を介してλ/4板126Aを通過した後、参照鏡80に照射される。参照ビーム80Aは円偏光にて参照鏡80に照射され、その反射光は再びλ/4板126Aを通過した後、偏光ビームスプリッタ124に入射し、コーナーキューブ128に送光される。コーナーキューブ128を介した参照ビーム80Aは再び偏光ビームスプリッタ124に入射し、λ/4板126Bを通過した後、参照鏡80に照射される。その反射光はλ/4板126Bを再び通過した後、偏光ビームスプリッタ124に入射される。λ/4板125Bを通過した測長ビーム83A及びλ/4板126Bを通過した参照ビーム80Aは、偏光ビームスプリッタ124で合成され、その合成光束は制限部129で制限された後、受光部130に受光される。このように、本実施形態の干渉計13は、移動鏡(参照鏡)に対して測長ビーム(参照ビーム)を2回照射する所謂ダブルパス干渉計により構成されており、移動鏡83がたとえ傾いた場合であっても、その移動鏡83からの測長ビームの反射光の進行方向に変化がないという特徴を有している。
図15は、ダブルパス干渉計の模式図である。図15では、移動鏡83に照射される測長ビーム83Aについてのみ図示されており、λ/4板などは省略されている。図15において、光源120から射出された光束は、ビームエキスパンダ122及び反射ミラー123を介して偏光ビームスプリッタ124に入射される。測長ビーム83Aは、偏光ビームスプリッタ124の反射面で反射した後、移動鏡83の反射面に照射され、その反射光は偏光ビームスプリッタ124及びコーナーキューブ128を介して移動鏡83の反射面に2回照射された後、受光部130に受光される。このとき、移動鏡83の反射面の傾きがない場合(X軸に対する角度が0度である場合)、測長ビーム83Aは図15の破線で示すように進行し、偏光ビームスプリッタ124から射出され受光部130に向かう射出光束は、偏光ビームスプリッタ124に対して入射する入射光束と平行となる。一方、移動鏡83の反射面が角度θ傾いている場合、測長ビームは、図15の一点鎖線83A’で示すように進行するが、この場合においても、偏光ビームスプリッタ124からの射出光束は、入射光束と平行となる。つまり、移動鏡83の反射面の傾きがある場合とない場合とでの射出光束それぞれの進行方向は同じとなる。したがって、図16に示す模式図のように、移動鏡83に測長ビーム83Aを1回照射する構成である場合、移動鏡83に傾きがあると、傾きがない状態に対してその反射光の進行方向が変化し、受光部130に受光されない不都合が生じるが、図15を参照して説明したように、ダブルパス干渉計によれば、移動鏡83がたとえ傾いてもその反射光を受光部130で受光することができる。
ダブルパス干渉計は、長尺の移動鏡72、82、83等に測長ビームを照射する干渉計、あるいは定盤1(ハウジングU、鏡筒PK)の傾斜を検出するための参照鏡75、76、78等に参照ビームを照射する干渉計に採用される。これにより、移動鏡(参照鏡)が傾いても、移動鏡からの反射光に基づいて位置計測(姿勢計測)を行うことができる。なお、マスクホルダ20のX軸方向の位置を計測するための移動鏡70、71や、定盤1に設けられている参照鏡73、74などはコーナーキューブにより構成されており、このコーナーキューブに対する入射光とその反射光とは平行となるので、干渉計の受光部に受光される。
ところで、図15において、移動鏡83の傾き角度をθ、コーナーキューブ128の頂点と移動鏡83との距離をDとすると、移動鏡83に傾きがない場合の射出光束83Aの受光部130に対する照射位置に対して、傾きがある場合の射出光束83A’の受光部130に対する照射位置は、距離(移動量)Δ=4×D×θだけ移動する。例えば、距離Dが2500mm、移動鏡83のθZ方向の回転量を±200μrad、θX方向の回転量を±400μradとすると、距離Δは最大で約4.47mm程度となる。そして、光源120から射出された後の光束の径が5mm程度である場合、光束は受光部130に良好に受光されずにステージ位置計測できなくなる等の不都合が生じる可能性がある。つまり、図17中、(a)に示す模式図のように、受光部130の検出領域130Aに対して移動量Δが大きいと、径Hを有する光束が入射されない。そこで、図17中、(b)に示すように、ビームエキスパンダ122により光源120から射出された光束の径を拡大することで、移動鏡83が傾いて受光部130に対する光束の光路が移動(シフト)した場合であっても、光束は受光部130に受光される。
このとき、移動鏡83の姿勢変化(傾斜)に伴う移動鏡83で反射する測長ビーム83Aの移動量Δ(=4×D×θ)に応じて、ビームエキスパンダ122は光束を拡大する倍率を変更する。これにより、移動鏡83が傾いた場合でも光束をより確実に受光部130に受光させることができる。例えば、移動鏡83の傾き角度θが大きい場合(移動量Δが大きい場合)、ビームエキスパンダ122は倍率を大きくし、傾き角度θが小さい場合、倍率を小さくする。この場合、受光部130に対する光束の移動量Δを例えば予め実験等により求めておき、この求めた移動量Δに基づいてビームエキスパンダ122の倍率を設定することができる。そして、移動鏡83の傾きに伴って受光部130に対して光束(射出光束)が移動する方向に沿うように、ビームエキスパンダ122で光束83Aを拡大することで、受光部130に対して光束83Aを入射させることができる。
ビームエキスパンダ122による光束の拡大に伴い、その照度(所定面に照射されたときの単位面積あたりの光量)は低下する。そこで、受光部130に対する光束の光路が移動して例えばその一部が受光部130より外れても、受光される光量が所定値(許容値)以下とならない程度に、ビームエキスパンダ122の倍率を小さく抑えることが好ましい。そのため、移動鏡83で反射した光束83Aの受光部130に対する移動量Δと、受光部130の光束83Aに対する感度特性とに応じて、ビームエキスパンダ122の倍率が設定される。例えば、受光部130の感度が高い場合、ビームエキスパンダ122の倍率を大きくすることにより、移動量Δが大きい場合でも光束を受光部130に入射させることができる。この場合、ビームエキスパンダ122の倍率を大きくすることに伴って光束の照度(光強度)が低下するが、受光部130の感度は高いので、干渉計13は受光部130の受光結果に基づいて精度良い位置計測を行うことができる。
ところで、図13に示すように、光源120から射出された光束は、光束分岐部121で2つの光束に分岐された後、2つのビームエキスパンダ122A、122Bのそれぞれに入射し、一方のビームエキスパンダ122Aを通過した光束はマスクステージMST及び基板ステージPSTの主にX軸方向の位置を計測する干渉計6〜10に送られ、他方のビームエキスパンダ122Bを通過した光束は主にY軸方向の位置を計測する干渉計11〜15に送られる構成となっている。このとき、ビームエキスパンダ122Bの倍率のほうがビームエキスパンダ122Aの倍率より大きく設定されていることにより、長尺の移動鏡72、82、83等の姿勢変化に伴う受光部130に対する光束の移動量Δが大きくても、干渉計11〜15の受光部130は光束をより確実に受光することができる。
また、干渉計では、図18に示す模式図のように、測長ビームと参照ビームとが重なる(合成される)重複領域の光成分(重複光成分)に基づいて位置計測を行うが、移動鏡83が傾いて測長ビームが移動すると、重複領域が小さくなり、受光部130に受光される重複光成分の光量が低下して精度良い位置計測を行うことができない不都合が生じる。また、重複領域以外(非重複領域)の非重複光成分は干渉計(受光部130)に対するノイズ成分であり、重複光成分に対する非重複光成分の割合が多くなると重複光成分と非重複光成分とのコントラストが低下し、この場合も干渉計は精度良い位置計測を行うことができなくなる場合がある。
そこで、受光部130に対する光路手前側に、この受光部130に入射する光束を制限する制限部129を配置することで、ノイズ成分(非重複光成分)を除いた状態で、光束を受光部130に入射させることができる。これにより、重複光成分と非重複光成分とのコントラストが向上し、干渉計は位置計測を精度良く行うことができる。
上記重複光成分は、移動鏡83の姿勢変化に伴う受光部130に対する光束の移動量Δに応じて、その大きさが変化する。そこで、制限部129は、光束の移動量Δに応じて、受光部130に入射する光束を制限することにより、受光部130に入射する光束の光量を維持しつつ、ノイズ成分を除くことができる。なお、一般にレーザ光源はガウス分布となるため、詳細の光量はこの分布を考慮することが必要である。
なお、上記実施形態において、制限部129は、合成部としての偏光ビームスプリッタ124と受光部130との間に設けられた構成であるが、移動鏡(測定光反射部)83と受光部130との間に配置されていればよい。例えば、制限部129が移動鏡83と偏光ビームスプリッタ124との間に設けられていてもよい。これにより、ビームエキスパンダ122で拡大され移動鏡83で反射された光束の径を、その光束が受光部130に入射される前に制限できるため、受光部130に対するノイズ成分を除くことができる。一方、絞りを含む制限部129を移動鏡83と偏光ビームスプリッタ124との間に配置した場合、絞りにより回折した光成分の位相が変化する場合が考えられる。このとき、位相が変化した光成分を含む測長ビームと参照ビームとが偏光ビームスプリッタ124で合成され、その合成光に基づいて位置計測を行うと、位置計測誤差が生じる可能性がある。そこで、図14に示したように、制限部129を偏光ビームスプリッタ124と受光部130との間に配置することで、偏光ビームスプリッタ124を介した測長ビームと参照ビームとの双方の位相が同様に変化するので、測長ビームと参照ビームとの位相差に起因する位置計測誤差の発生を防止することができる。
そして、制限部129は、受光部130に対して入射させる光束の径を少なくとも参照ビームの径より小さくすることで、十分にノイズ成分を除いた状態で受光部130に入射させることができる。ここでは、制限部129は、光を集光するためのピックアップレンズの外径(有効径)にて制限する構成であるが、機械的な絞りを配置しても構わない。
ところで、上述したように、受光部130は各干渉計(計測軸)6〜15のそれぞれに設けられているが、光束に対して互いに異なる感度特性を有している。全ての受光部130を高感度のものにすることにより光源120のパワーを低減できるという利点があるが、高感度の受光部130は高価であって装置コストの上昇を招き、またノイズの影響を受けやすい。そこで、例えばその移動ストロークが大きく移動速度も高速であるステージの走査方向(X軸方向)の位置計測に用いる干渉計6、7、8、10等に高感度な受光部130を使用し、他の干渉計の受光部130については安価な受光部130を使用するといった構成とすることができる。そして、各受光部130のそれぞれに対してその受光部130の感度以上の光量の光束が照射されるように、複数の光束分岐部121それぞれの光量分岐比を最適に設定することが好ましい。
ここで、移動鏡83に傾きがない場合における受光部130に対して入射する信号強度(光強度)S0と、移動鏡83が傾き、受光部130に対して光束が距離Δ移動した場合における受光部130に対して入射する信号強度S1との比(=S1/S0)をH1、光源120から射出された光束を複数の計測軸(干渉計)に分岐したときの光量分岐比をH2、複数の受光部130どうしの感度比をH3としたとき、信号強度比H1及び感度比H3に応じて光量分岐比H2を設定することが好ましい。
簡単のために、図10に示したマスクホルダ20の位置を計測する干渉計6〜12について考える。干渉計11の計測対象である移動鏡72は長尺な移動鏡であり、この移動鏡72の姿勢変化に伴って干渉計11の受光部130に対して入射する光束は移動する。この干渉計11の受光部130における信号強度比H1を例えば0.8とする。一方、マスクホルダ20及び定盤1上の移動鏡及び参照鏡は例えばコーナーキューブにより形成されており、これらに照射された光束の反射光は、干渉計6、7、12の受光部130に対して移動しない。また、マスクホルダ20の走査方向の位置計測をする干渉計6、7の受光部130を、他の干渉計11、12の受光部130に比べて10倍高感度のものとする。つまり、干渉計6、7の受光部130と、干渉計11、12との感度比H3は10である。この場合、光源120から射出された光束を干渉計6、7、11、12のそれぞれに光束分岐部121を使って分岐する場合、干渉計6、7に対して供給する光量をR1、干渉計11に対して供給する光量をR2、干渉計12に対して供給する光量をR3とした場合、R1:R2:R3=1:8:10となるように各光束分岐部を設定することにより、干渉計6、7、11、12の受光部130のそれぞれは、光束(測長ビーム)を良好に受光することができる。なお実際には、例えば各光路上の光学素子の反射率や透過率も考慮して上記光量分岐比が決定され、例えば、高感度の受光素子の場合にはノイズに弱いといった特徴があるため、安全係数を5倍見込むと、R1:R2:R3=5:8:10のように設定される。
また、計測軸の数をm(但し、mは7以上の整数)、計測軸のそれぞれに配置される光束分岐部の数をnとしたとき、nは、2n ≧ mの条件を満足する最小値に設定されることが好ましい。例えば、計測軸を10軸に分岐し、光源120からの光束を各計測軸(干渉計)6〜15に等分配する場合、図19に示す模式図のように、光束分岐部121を直列に配置すると、第1の光束分岐部121Aの分岐比は0.1:0.9に設定され、第2の光束分岐部121Bの分岐比は0.1:0.8に設定される必要がある。ところが、製造誤差等に起因して光束分岐部121A〜121Iの分岐比が変動する。例えば製造誤差が±5%である場合、第1の光束分岐部121Aの分岐比は、0.05:0.95となる場合と、0.15:0.85となる場合とが考えられ、各軸に分岐される光量のばらつきが大きくなる。一方、各軸における分岐比が1:1に近づくほど、各軸に分岐される光量のばらつきは小さくなる。そこで、上記式を満足するように光束分岐部を設けることにより、各軸に分岐される光量のばらつきを抑えることができる。上記実施形態では、計測軸の数mは10であり、この場合、n=4となる。つまり、光源120から射出された光束を10軸に分岐する場合、1つの軸に対して最大で4つの光束分岐部121を配置することで、光束を良好に分岐できる。そこで、本実施形態における干渉システムSYSでは、図20に示すように、光源120から射出された光束は、光束分岐部121Aにより2つの軸J1、J2に分岐される。軸J1上には4つの光束分岐部121B〜121Eが配置され、それら光束分岐部121B〜121Eにより軸J1は4つの軸J3〜J6に分岐される。軸J4、J5、J6は干渉計10、9、8に接続される。軸J3上には2つの光束分岐部121F、121Gが配置され、それら光束分岐部121F、121Gにより軸J3は2つの軸J7、J8に分岐される。軸J7、J8は干渉計7、6に接続される。一方、軸J2上には3つの光束分岐部121H〜121Jが配置され、それら光束分岐部121H〜121Jにより軸J2は3つの軸J9〜J11に分岐される。軸J9、J11は干渉計13、15に接続される。軸J10上には3つの光束分岐部121K、121L、121Mが配置され、それら光束分岐部121K、121L、121Mにより軸J10は3つの軸J12〜J14に分岐される。軸J12、J13、J14は干渉計14、12、11に接続される。なお、本実施形態において、軸数が少ない場合(m<7)、光量のばらつきは顕著にあらわれないため、考慮していない。
なお、上記実施形態における露光装置EXは、互いに隣接する複数の投影光学モジュールPLa〜PLgを有する、いわゆるマルチレンズスキャン型露光装置であるが、投影光学系が1つである走査型露光装置ついても、本発明を適用することができる。更に、本実施形態の露光装置EXとして、図21に示すような、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置にも適用することができる。図19に示す例では、投影光学系PLは、鏡筒PKに設けられたフランジ部Fを介して定盤1に支持されている。また、この定盤1には複数のマーク検出系ALが支持されている。定盤1の側面には複数の参照鏡140が取り付けられており、この定盤1は不図示のコラムに対してキネマティックに支持されている。
なお、露光装置EXの用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニットと電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイスは、図22に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…定盤、2…支持部、6〜15…干渉計(姿勢検出装置)、20…マスクホルダ(マスクステージ)、30…基板ホルダ(基板ステージ)、50、52…フォーカス検出系、70、71、82、83…移動鏡(測定光反射部)、73〜81…参照鏡(参照光反射部)、100…コラム(支持構造体)、120…光源、122…ビームエキスパンダ(拡大手段)、124…偏光ビームスプリッタ(分割部、合成部)、129…制限部(制限手段)、130…受光部、AF…フォーカス検出系(姿勢検出装置)、AL(AL1〜AL6)…アライメント系(マーク検出系)、CONT…制御装置、EX…露光装置、J1〜J14…計測軸、 M…マスク、m1〜m6…アライメントマーク、MST…マスクステージ、P…基板、PL…投影光学系、PLa〜PLg…投影光学モジュール、PST…基板ステージ、SYS…干渉システム(干渉計、姿勢検出装置)