以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係るカードコネクタのカバーを取り外したカード未挿入状態の外観斜視図、図2は図1のカードコネクタの第1のカード挿入初期状態を示す平面図、図3は図1のカードコネクタの第1のカードロック状態を示す平面図、図4は図1のカードコネクタの第2のカード挿入初期状態を示す平面図、図5は図1のカードコネクタの第2のカードロック状態を示す平面図、図6はカード未挿入時の第1コンタクトの状態を示す断面図、図7は第1のカード挿入時の第1コンタクトの状態を示す断面図、図8は第2のカード挿入時の第1コンタクトの状態を示す断面図である。このコネクタ1は第1のカード2と第1のカード2より長さが長く、かつ、厚さも厚く、横幅が狭い第2のカード3の2種類のメモリーカードに共用するもので、図2,図3,図7には第1のカード2の一例としてSDカードを示し、図4,図5,図8には第2のカード3の一例としてメモリースティックを示す。
図1〜図8に示す如く、ボディ4は合成樹脂等の絶縁材料からなり底板4a,左右側壁4b,4c及び後側壁4dを有し、板金製(導電性)で天板及び左右側板を有する図示しないカバーとでコネクタ1の薄い矩形箱状のハウジングを構成する。また、ボディ左右側壁4b,4cの前端部には該部の相対間隔を第2のカード3の横幅と略同じ寸法に形成するカード挿入口ガイド4e,4fを設けると共に、左右カード挿入口ガイド4e,4fの相対向する内側面に第1のカード2の左右側部を挿抜自在に嵌合させる左右カード挿入口ガイド溝4g,4hを設け、第1のカード2と第2のカード3が挿入可能な単一のカード挿入口部5を形成している。ボディ4の底面はカード挿入口部5と左右側部及び後半部を残して開口されている。
ボディ4の内側には複数の第1コンタクト6と複数の第2コンタクト7を、カード挿抜方向に沿って手前側と奥側に前後2列に備えている。両コンタクト6,7は細長い導電性の金属板バネからなる。第1コンタクト6はカード挿入口部5のボディ底板4aから略水平にカード挿入方向(後方)に延設する平坦状の長い基部6aとその基部6aの後端からボディ4の内側略中央部に後上り傾斜状に立ち上げる接片部6bとを有し、カード挿入口部5のボディ底板4aに並設する複数のコンタクト取り付け溝8に基部6aの前端部を圧入固定し、ボディ4の内側前部に片持ち支持で並設し、接片部6bの端部に第1のカード2の先端部下面側に並設されている図示しない複数の電極に接触させて電気的に接続させるための接点6cを形成している。また、基部6aの前端はカード挿入口部5のボディ底板4aの前側に突出させ、下面がボディ4の外底面と略面一になるように折り曲げ、基板のパターンに半田付けにより電気的に接続するための表面実装用の外部接点6dを形成している。他方、第2コンタクト7はボディ後側壁4dからボディ底板4aに沿って略水平にカードイジェクト方向(前方)に延設する平坦状の短い基部7aとその基部7aの前端からボディ4の内側最奥部に前上がり傾斜状に立ち上げる接片部7bとを有し、ボディ4の最奥底部にインサート成形により基部7aを一体固定し、ボディ4の内側最奥部に片持ち支持で並設し、接片部7bの端部に第2のカード3の先端部下面側に並設されている図示しない複数の電極に接触させて電気的に接続させるための接点7cを形成している。また、基部7aの後端はボディ後側壁4dの外側に突出させ、下面がボディ4の外底面と略面一になるように折り曲げ、基板のパターンに半田付けにより電気的に接続するための表面実装用の外部接点7dを形成している。
ボディ4の内側にはプッシュイン/プッシュアウト型のカードイジェクト機構9を備えている。イジェクト機構9はカード挿入方向に沿って手前側の前スライダ10と奥側の後スライダ11の2つに分割形成された合成樹脂材料からなるスライダ12を備えている。前スライダ10は左右カード挿入口ガイド4e,4fの後方に直列に配設する左右カード挿入ガイド10a,10bの前後下端部をボディ底板4aの開口部4i内でカード幅方向に平行に張設する前後横連結板10c,10dにより一体連結したもので、左右カード挿入口ガイド4e,4fの相対向する内側面と面一になる左右カード挿入ガイド10a,10bの相対向する内側面に第1のカード2の左右側部を挿抜自在に嵌合させる左右カード挿入ガイド溝10e,10fを設けると共に、左右カード挿入口ガイド溝4g,4hは左右カード挿入口ガイド4e,4fの前端から後端に貫通形成する一方、左右カード挿入ガイド溝10e,10fは左右カード挿入ガイド10a,1bの前端から後端近傍までに形成されて後端には貫通させず、この左右カード挿入ガイド溝10e,10fの後端に第1のカード2を挿入方向で受け止める左右係合面10g,10hを設けている。他方、後スライダ11は前スライダ10の左カード挿入ガイド10aの後方に直列に配設している。後スライダ11の後端部を除く内側面は左カード挿入ガイド10aの内側面と面一になっている。また、後スライダ11の後端部内側面は正規挿入姿勢で挿入された第2のカード3の先端左角部の角落とし部3aに沿うように内側に張り出し形成され、第2のカード3を挿入方向で受け止める係合面11aを設けている。尚、前スライダ10の右カード挿入ガイド10bには第1のカード2を左右係合面10g,10hで受け止めたときに第1のカード2の右側面に形成されたハーフロック用の係合溝2aに弾力的に係合させて前スライダ10に対して第1のカード2をカード挿抜方向で係合させるための図示しないハーフロック部材を有し、また、後スライダ11にも第2のカード3を係合面11aで受け止めたときに第2のカード3の左側面に形成されたハーフロック用の係合溝3bに弾力的に係合させて後スライダ11に対して第2のカード3をカード挿抜方向で係合させるための図示しないハーフロック部材を有する。
イジェクト機構9は単一のイジェクトバネ13を備えている。イジェクトバネ13はボディ後側壁4dと後スライダ11の間に入れる圧縮コイルバネからなり、後スライダ11を直接イジェクト方向(前方)に常時付勢し、その付勢力により後スライダ11の前端を左カード挿入ガイド10aの後端に押し当て、後スライダ11を介して前スライダ10を間接的にイジェクト方向に付勢するもので、カード未挿入時には左右カード挿入ガイド10a,10bの前端が左右カード挿入口ガイド4e,4fの後端に突き当たり、その左カード挿入ガイド10aの後端に後スライダ11の前端が接合する初期状態(図1,図6に示す状態)にスライダ12の前後スライダ10,11を復帰保持する。また、第1のカード挿入時には第1のカード2の挿入に前後スライダ10,11を一体的に追従移動させ、前後スライダ10,11を初期位置から一体的に後スライダ11の後端がボディ後側壁4dに突き当たる最押し込み位置まで移動させる一方、第2のカード挿入時には第2のカード3の挿入に後スライダ11のみを単独で追従移動させ、前スライダ10を初期位置に残して後スライダ11をこの後端がボディ後側壁4dに突き当たる最押し込み位置まで移動させるように構成している。
前後スライダ10,11を連動連結する連結ピン14を備えている。連結ピン14は後端を後スライダ11に係止させ、前端を左カード挿入ガイド10aに形成した長孔15に挿通させて左カード挿入ガイド溝10eの内側に突出させ、後スライダ11を単独移動可能に左カード挿入ガイド10aに連結すると共に、長孔15の前端から連結ピン14の前端を左カード挿入ガイド溝10eの溝側面に埋没させて左カード挿入ガイド10aとカード挿抜方向で係合させるノッチ15aを設け、左カード挿入ガイド10aの後端に後スライダ11の前端が接合する初期状態において連結ピン14の前端が長孔15の前端に保持されてノッチ15aに係合可能になり、第1のカード挿入時に左カード挿入ガイド溝10eに嵌合される第1のカード2の左側部により連結ピン14の前端をノッチ15aに押し込み、左カード挿入ガイド10aの後端に後スライダ11を接合状態で一体連結するように構成している。
イジェクト機構9は、単一のロック機構16を備えている。ロック機構16は後スライダ11の後部上面に形成するカム溝17と、両端部を一方向に直角に折曲げた細長い金属棒からなり後端折り曲げ部をボディ後側壁4dに係止し、前端折り曲げ部をカム溝17に摺動自在に嵌入するカムピン18とで構成されている。カム溝17は後端頂部の起点部17aと前端中央窪み部の係止部17cとを往路17b及び復路17dによりつなぐハート形に形成されており、第1のカード挿入時に一体連結されている前後スライダ10,11の初期位置から最押し込み位置の間の移動を許容し、かつ、前後スライダ10,11を初期位置から最押し込み位置に押し込むプッシュイン動作により係止部17cにカムピン18の前端折り曲げ部を係止させ、前後スライダ10,11をカード装着位置(図3に示す位置)にロック(前後スライダ10,11の初期位置への復帰移動を規制する。)すると共に、前後スライダ10,11をカード装着位置から最押し込み位置に押し込むプッシュアウト動作により係止部17cからカムピン18の前端折り曲げ部を離脱させ、前後スライダ10,11を初期位置に復帰させるように構成し、また、第2のカード挿入時に単独移動可能になっている後スライダ11の初期位置から最押し込み位置の間の単独移動を許容し、かつ、後スライダ11を単独で初期位置から最押し込み位置に押し込むプッシュイン動作により係止部17cにカムピン18の前端折り曲げ部を係止させ、後スライダ11を単独でカード装着位置(図5に示す位置)にロック(後スライダ11の初期位置への復帰移動を規制する。)すると共に、後スライダ11を単独でカード装着位置から最押し込み位置に押し込むプッシュアウト動作により係止部17cからカムピン18の前端折り曲げ部を離脱させ、後スライダ11を単独で初期位置に復帰させるように構成している。
そして、図6〜図8に示す如く、前スライダ10の前横連結板10cは第1コンタクト6の基部6aの下側に張設され、第1のコンタクト6の弾性変位支点を兼ねており、カード未挿入時には基部6aの前端部下面が当接する位置(図6に示す位置)にあり、第1のカード挿入時には前スライダ10が初期位置からカード挿入方向に押し込まれカード装着位置に移動することで、基部6aの後端部下面が当接する位置(図7に示す位置)に移動する一方、第2のカード挿入時には前スライダ10が初期位置から移動しないことで、カード未挿入時と同様に基部6aの前端部下面が当接する位置(図8に示す位置)に保持されるもので、第1コンタクト6の弾性変位支点から自由端の接点6cまでのバネ有効長Lを前スライダ10の前横連結板10cにより第1のカード挿入時よりも第2のカード挿入時に長くするように構成している(L2<L1)。
また、前スライダ10の後横連結板10dは第1コンタクト6の接片部6bの長さより長い間隔を設けて前横連結板10cの後方に平行に張設され、カード未挿入時には接片部6bの下方位置(図6に示す位置)にあり、第1のカード挿入時には接片部6bの下方から後方に外れる位置(図7に示す位置)に移動する一方、第2のカード挿入時にはカード未挿入時と同様に接片部6bの下方位置(図8に示す位置)に保持される。
さらに、前スライダ10には前後横連結板10c,10d介して各第1コンタクト6の基部6aの間に張設する複数の隔壁10iを設け、各隔壁10iの上面により左右カード挿入ガイド10a,10bの間にボディ底板4aの上面と面一になるカード支持底面10jを形成すると共に、各隔壁10iの間に各第1コンタクト6の基部6aを挿通させるコンタクト収容溝10kを形成し、第2のカード挿入時に第2のカード3により各第1コンタクト6の接片部6bを各コンタクト収容溝10kの内側に押し下げるように構成している。
次に、上記カードコネクタ1の動作を説明する。図1,図6に示す如く、コネクタ1はカード未挿入時、イジェクト機構9は前後スライダ10,11がイジェクトバネ13の付勢力により左右カード挿入ガイド10a,10bの前端が左右カード挿入口ガイド4e,4fの後端に突き当たり、その左カード挿入ガイド10aの後端に後スライダ11の前端が接合する初期位置に復帰保持され、左右カード挿入ガイド溝10e,10fが左右カード挿入口ガイド溝4g,4hの後端に連通接続されると共に、カム溝17の起点部17aにカムピン18の前端折り曲げ部が嵌入された初期状態(イジェクト状態)になっている。また、この初期状態では前スライダ10の前横連結板10cが第1コンタクト6の基部6aの前端部を支えるので、第1コンタクト6は基部6aの前端部から接片部6bの後端の接点6cまでの部分が有効になるが、このときのバネ有効長L1ではバネ機能は殆ど消失されることになる。
そして、図2,図3,図7に示す如く、第1のカード2が正規挿入姿勢でボディ4のカード挿入口部5における左右カード挿入口ガイド4e,4fの左右カード挿入口ガイド溝4g,4hの間から挿入されると、第1のカード2の先端部が前スライダ10における左右カード挿入ガイド10a,10bの左右カード挿入ガイド溝10e,10fの間に挿入されて行き、第1のカード2の先端が左カード挿入ガイド溝10eの内側に突出している連結ピン14の前端を通過するとき、第1のカード2の先端左角部で連結ピン14の前端を外側に押し退けてノッチ15aに押し込み、第1のカード2の先端が連結ピン14の前端を通過した以降は、第1のカード2の左側面で連結ピン14の前端の左カード挿入ガイド溝10eの内側への復帰が規制されてノッチ15aに係合保持され、前後スライダ10,11が連結ピン14により左カード挿入ガイド10aの後端に後スライダ11を接合した状態で一体連結される。また、第1のカード2はその先端が連結ピン14の前端を通過した後、その先端左右角部が左右カード挿入ガイド溝10e,10fの後端に達したとき左右の係合面10g,10hに突き当たり、これ以降、前後スライダ10,11が一体的に第1のカード2の挿入に追従移動し、第1のカード2によるカードイジェクト機構9のプッシュイン/プッシュアウト動作を可能にする。すなわち、図2に示す状態から第1のカード2を押し込むと、左右係合面10g,10hが後方へ押圧され、前後スライダ10,11が一体的に第1のカード2の押し込みに追従移動し、イジェクトバネ13の付勢力に抗して初期位置からボディ4の奥側へと押し込まれ、後スライダ11の後端がボディ後側壁4dに突き当たる最押し込み位置へと移動する。この時点で、第1のカード2の押し込みを解除すると、前後スライダ10,11は一体にイジェクトバネ13の付勢力により最押し込み位置からイジェクト方向へ押し戻される。この前後スライダ10,11の初期位置からの一連の動作によりカムピン18の前端折り曲げ部がカム溝17の起点部17aから往路17bを経て係止部17cに導入係止され、図3に示す如く、前後スライダ10,11のイジェクト方向への移動が最押し込み位置より少し手前のカード装着位置で規制され、ボディ4に対して前後スライダ10,11が一体的にカード装着位置にてロックされる。これにより、前スライダ10における左右カード挿入ガイド10a,10bの左右カード挿入ガイド溝10e,10fの間に嵌め込まれている第1のカード2の先端部下面の各電極が各第1コンタクト6の接点6cに乗り上がり接触して電気的に接続され、カード装着状態になる。
上記のカード装着時、前スライダ10の初期位置からカード装着位置への移動に伴い、第1コンタクト6の基部6aを支えている前横連結板10cも後方に移動するので、第1コンタクト6のバネ有効長Lが縮められる。そして、図7に示す如く、前スライダ10がカード装着位置に達したときには、前横連結板10cが第1コンタクト6の基部6aの後端部を支えるので、第1コンタクト6は接片部6bのみが有効になり、このときの有効長L2により最大のバネ圧が得られるので、各第1コンタクト6の接点6cは装着状態の第1のカード2の電極との電気接続に十分なバネ圧(接触圧)で接触することになる。
上記のカード装着状態で第1のカード2の押し込みを行うことにより、前記係合面10g,10hが後方へ押圧され、前後スライダ10,11は一体にイジェクトバネ13の付勢力に抗してカード装着位置から再び最押し込み位置へと移動する。この動作によりカムピン18の前端折り曲げ部がカム溝17の係止部17cから離脱して復路17dに導入され、前後スライダ10,11のイジェクト方向への移動規制が解除される(一体の前後スライダ10,11のロックが解除される)。この時点で、第1のカード2の押し込みを解除することにより、前後スライダ10,11は一体にイジェクトバネ13の付勢力により最押し込み位置からイジェクト方向へ押し戻され、初期位置へと復帰し、図2に示す如く、第1のカード2がイジェクトされて挿入初期位置で保持される。挿入初期位置にイジェクトされた第1のカード2はボディ4のカード挿入口部5から突出している端部を指で摘んで引抜くことによりボディ4から抜去ることができ、図1に示す如く、コネクタ1はカード未挿入状態になる。
上記のカードイジェクト時、前スライダ10のカード装着位置から初期位置への復帰に伴い、第1コンタクト6の基部6aを支えている前横連結板10cも前方に移動するので、第1コンタクト6のバネ有効長Lが延ばされる。そして、図6に示す如く、前スライダ10が初期位置に復帰したときには、上記のように前横連結板10cが第1コンタクト6の基部6aの前端部を支えるので、第1コンタクト6は基部6aの前端部から接片部6bの後端の接点6cまでの部分が有効になり、バネ機能が殆ど消失されるバネ有効長L1に戻される。また、第1のカード2がボディ4のカード挿入口部5から引抜れることにより連結ピン14の前端がノッチ15aから離脱して左カード挿入ガイド溝10eの内側へ復帰し、連結ピン14による前後スライダ10,11の一体連結が解除され、後スライダ11が単独で移動可能になる。
一方、図4,図5,図11に示す如く、第2のカード3は第1のカード2より横幅が狭いので、ボディ4のカード挿入口部5における左右カード挿入口ガイド4e,4fの間から正規挿入姿勢で挿入でき、その先端部が前スライダ10における左右カード挿入ガイド10a,10bの間に挿入される。このため、第2のカード3は連結ピン14による前後スライダ10,11の一体連結を解除したまま、前スライダ10を追従移動させることなく、左右カード挿入口ガイド10a,10bの間を通過し、後スライダ11の側方まで挿入され、第2のカード3の先端左側の角落とし部3aが後スライダ11の係合面11aに突き当たり、これ以降、後スライダ11が単独で第2のカード3の挿入に追従移動し、第2のカード3によるカードイジェクト機構9のプッシュイン/プッシュアウト動作を可能にする。すなわち、図4に示す状態から第2のカード3を押し込むと、係合面11aが後方へ押圧され、後スライダ11が第2のカード3の押し込みに追従移動し、イジェクトバネ13の付勢力に抗して初期位置からボディ4の奥側へと押し込まれ、後端がボディ後側壁4dに突き当たる最押し込み位置へと移動する。この時点で、第2のカード3の押し込みを解除すると、後スライダ11はイジェクトバネ13の付勢力により最押し込み位置からイジェクト方向へ押し戻される。この後スライダ11の初期位置からの一連の動作によりカムピン18の前端折り曲げ部がカム溝17の起点部17aから往路17bを経て係止部17cに導入係止され、図5に示す如く、後スライダ11のイジェクト方向への移動が最押し込み位置より少し手前の第1のカード挿入時と同じカード装着位置で規制され、ボディ4に対して後スライダ11がカード装着位置にてロックされる。これにより、第2のカード3の先端部下面の各電極が各第2コンタクト7の接点7cに乗り上がり接触して電気的に接続され、カード装着状態になる。
上記のカード装着時、図11に示す如く、第2のカード3は前スライダ10における左右カード挿入ガイド10a,10bの間を通過するとき、第2のカード3の下面で各第1コンタクト6の自由端の接点6cを下方に押圧して接片部6bを各コンタクト収容溝10kの内側に押し下げながら通過し、この押し下時の摩擦力とこれ以降の第2のカード3の下面と各第1コンタクト6の接点6cとの摩擦力が第2のカード3の挿入抵抗になるが、第2のカード挿入時には第2のカード3の挿入に後スライダ11のみが単独で追従移動し、前スライダ10は追従移動することなく初期位置に保持されているので、前横連結板10cも移動することなく第1コンタクト6の基部6aの前端部を支えたままになり、第1コンタクト6のバネ有効長Lが初期状態のバネ有効長L1に保持される。これにより、第1コンタクト6のバネ機能は殆ど消失され、バネ圧は第2のカード3の挿入に殆ど影響を及ぼさない程度にまで極端に小さくなっているので、第2のカード3も第1のカード2と略同じ挿入力で装着でき、両カード2,3の挿入力に差を生じるのを低減又は防止できる。
上記のカード装着状態で第2のカード3の押し込みを行うことにより、前記係合面11aが後方へ押圧され、後スライダ11はイジェクトバネ13の付勢力に抗してカード装着位置から再び最押し込み位置へと移動する。この動作によりカムピン18の前端折り曲げ部がカム溝17の係止部17cから離脱して復路17dに導入され、後スライダ11のイジェクト方向への移動規制が解除される(後スライダ11のロックが解除される)。この時点で、第2のカード3の押し込みを解除することにより、後スライダ11はイジェクトバネ13の付勢力により最押し込み位置からイジェクト方向へ押し戻され、前端が初期位置に保持されている前スライダ10の左カード挿入ガイド10aの後端に接合する初期位置へと復帰し、図4に示す如く、第2のカード3がイジェクトされて挿入初期位置で保持される。挿入初期位置にイジェクトされた第2のカード3はボディ4のカード挿入口部5から突出している端部を指で摘んで引抜くことによりボディ4から抜去ることができ、図1に示す如く、コネクタ1はカード未挿入状態になる。
以上のように、第1のカード2と第1のカード2より長さが長く横幅が狭い第2のカード3とのサイズの異なる2種類のカードが挿入可能なハウジングであるボディ4内に、第1のカード2の電極と接触させて電気的に接続させる片持ち支持の板バネからなる第1コンタクト6と、第2のカード3の電極と接触させて電気的に接続させる片持ち支持の板バネからなる第2コンタクト7を、カード挿入方向に沿って手前側と奥側に前後2列に備えると共に、カード挿抜方向に摺動するイジェクト用のスライダ12を備えるカードコネクタにおいて、スライダ12をカード挿入方向に沿って手前側の前スライダ10と奥側の後スライダ11の2つに分割形成し、前スライダ10は第1コンタクト6の下側に張設されてこの弾性変位支点を兼ねる横連結板10cにより一体に連結される左右のカード挿入ガイド10a,10bを有し、第2のカード挿入時には第2のカード3が左右のカード挿入ガイド10a,10bの間を通過して後スライダ11を単独で追従移動させると共に、左右のカード挿入ガイド10a,10bには第1のカード2の左右側部を所定長さだけ挿抜自在に嵌合させる左右のカード挿入ガイド溝10e,10fが形成され、第1のカード挿入時には第1のカード2が前後スライダ10,11を一体的に追従移動させるように構成し、第1コンタクト6の弾性変位支点から自由端までのバネ有効長Lを前スライダ10の横連結板10cにより第1のカード挿入時よりも第2のカード挿入時に長くすることで、第1のカード挿入時には第1コンタクト6のバネ有効長を縮めて第1のカード2の電極との電気接続に必要な十分なバネ圧を得る一方で、第2のカード挿入時には第1コンタクト6のバネ有効長を第1のカード挿入時よりも長くしてバネ圧を下げるので、両カード2,3を略同じ挿入力で装着することができる。
また、スライダ12を第1のカード2の挿入に追従移動する前スライダ10と第2のカード3の挿入に追従移動する後スライダ11の二つに分割形成したが、これら前後スライダ10,11と単一のイジェクトバネ13と単一のロック機構16により両カード2,3に共用できるプッシュイン/プッシュアウト型のカードイジェクト機構9を構成しているので、すなわち、両カード2,3ごとに独立したプッシュイン/プッシュアウト型のカードイジェクト機構を備える必要がないので、サイズの異なる2種類のカード2,3に共用できるカードコネクタ1の構造を簡潔にでき、コストも低減できる。
図9〜図11に示す如く、第1コンタクト6の接片部6bに接点6cからさらに後方に延設する延長部6eを設け、第1のカード挿入時に第1コンタクト6の接片部6bの下方より後方に外れる位置に移動する後横連結板10dにより前記延長部6eの端部を支え、基部6aの後端部を支えている前横連結板10cとで第1コンタクト6の接片部6bを前後端2点で支持するように構成している。すなわち、カード未挿入時及び第2のカード挿入時に前スライダ10の後横連結板10cにより1点支持される第1コンタクト6を第1のカード2が挿入されてカード装着位置に達したときに2点支持に切り替えて支持するように構成している。
上記のように前スライダ10の前横連結板10cよりカード挿入方向に沿って奥側にも別の後横連結板10dを平行に設け、第1のカード挿入時には奥側の後横連結板10dにより第1コンタクト6の自由端(延長部6eの端部)を支持し、第1コンタクト6を手前側の前横連結板10cとで2点支持することで、前スライダ10の前横連結板10cによりバネ圧を可変にする第1コンタクト6を第1のカード2の電極に確実に電気接続することができる。