JP4230344B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、キャパシタを備え、例えば各種材料や装置を加熱する定着装置用いた電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にこれら装置によるキャパシタ利用の効率化を図ったものに関する。
複写機等の画像形成装置には、普通紙やOHP等の記録媒体上に画像を形成するが、画像形成の高速性や画像品質、コスト等から電子写真方式が多く採用されている。電子写真方式は、記録媒体上にトナー像を形成し、形成したトナー像を熱と圧力で記録媒体に定着する方法である。定着方式としては、安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。ヒートローラ方式は、ハロゲンヒータ等の発熱部材により加熱する加熱ローラと、加熱ローラに対向配置する加圧ローラを圧接してニップ部と称される相互圧接部を形成し、このニップ部にトナー像が転写された記録媒体を通して加熱、加圧するもので、これによりトナーを記録媒体に定着させる。
近年、環境問題が重要となり、複写機やプリンタ等の画像形成装置も省エネルギ化が進んでいる。この画像形成装置の省エネルギを考えるに当たって無視できないのは、トナーを記録媒体に定着する定着装置の省電力である。そこで、画像形成装置の待機時における定着装置の消費電力の低減としては、待機時には加熱ローラの温度を定着温度よりやや低い一定の温度に保っておき、使用時に直ちに使用可能温度まで立ち上げ、使用者が定着ローラの昇温を待つことがないようにする方式が多く採用されている。この方式の場合、定着装置を使用していないときにもある程度の電力を供給しておかなければならず、それによって余分なエネルギを消費するようになっている。この待機時の消費エネルギは、画像形成装置を構成する機器の消費エネルギの約7割から8割に該当すると言われている。
したがって、待機時の消費エネルギを削減し、より省電力化を図ることが望まれるようになってきており、未使用時には電力供給をゼロにすることが求められている。しかしながら、待機時にエネルギ消費をゼロにすると、定着装置の加熱ローラは鉄やアルミ等の金属ローラを主に使用していて熱容量が大きいため、約180℃前後の使用可能温度にまで昇温するには数分から十数分という長い加熱時間が必要になる。このような待ち時間は、使用者の使い勝手を悪化させてしまうので、消費電力が極力小さく、その一方で待機状態からの立ち上がりが速い加熱方式が望まれている。
加熱ローラの昇温時間を短くするためには、単位時間の投入エネルギ、すなわち定格電力を大きくすると良いことは明らかであり、実際に、プリント速度が速い高速機と称される画像形成装置には、電源電圧を200Vにして対応しているものも多い。しかしながら、日本国内の一般的なオフィスでは、商用電源は100V、15Aであり、200Vに対応させるには設置場所の電源関連設備に特別な工事を施す必要があり、200Vへの対応化はあまり一般的な解決法とはいえない。
すなわち、100V、15Aの商用電源を使用するかぎり、加熱ローラを短時間で昇温させようとしても、最大投入エネルギが電源により決まってしまうので、これを改善するために、定着装置が待機状態になったときに一定レベルだけ低い電圧を加熱ローラに供給して定着装置の温度が下がることを遅らせたり(例えば特許文献1参照)、定着装置の待機時に補助電源である二次電池を充電し、定着装置を立ち上げたときに主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給して立ち上がり時間を短縮するようにしたり(例えば特許文献2参照)している。
しかし、特許文献1に示された技術は、待機時においても定着装置に一定レベルだけ低い電圧を供給しているため、十分な省電力とはいえないものとなっている。また、立ち上げ時の最大供給電力を主電源装置から供給する電力より高めることを主にしたものではない。一方、特許文献2に示された定着装置は、立ち上げ時に主電源装置と二次電池や一次電池から電力を供給しており、二次電源としては一般に鉛蓄電池、ニカド電池、ニッケル水素電池を使用している。このような二次電池は、充放電を繰り返すと容量が劣化して低下していき、大電流で放電するほど寿命が短いという性質を持つ。またメモリ効果による容量低下という現象もある。一般的に大電流で長寿命とされているものでも、充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになる。したがって電池の交換頻度が多くなり、そのぶん手間がかかり、交換する電池代等のランニングコストもかさむ。さらに鉛蓄電池では電解液に液体の硫酸を使用する等、オフィス用機器としては好ましくない点もある。
また、大電力の供給を開始したり停止したりする際の急激な電流変化や突入電力等により加熱ローラが内蔵している加熱用回路への負荷が増大するとともに、周辺回路にも投入電流が流れてノイズが発生するという問題もある。このため、大容量の補助電源からの電力供給を頻繁にオン、オフさせることは好ましくない。また、大容量の電力を一度に供給すると供給過剰になり、加熱用回路の温度が上昇しすぎる可能性もある。
このような点を改善し、省電力効果を高めるとともに、大電力を供給する際の突入電流や急激な電流変化によるノイズを低減させ、かつ立ち上がり時間を短縮し、温度が上がりすぎることを防止することができる定着装置として、補助電源装置に充放電可能なキャパシタを使用し、充電器は主電源装置から供給される電力で補助電源装置のキャパシタを充電し、切替装置は補助電源装置の充電と補助電源装置からの補助発熱体に対する電力供給を切り替え、補助電源装置から補助発熱体に供給する電力量を調整する装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。キャパシタの基本機能としては、キャパシタから供給する電力によって補助ヒータを発熱させ、この熱を用いて加熱ローラが所定温度まで立ち上る時間を短縮すること、及び通紙時の定着温度の低下を防止することである。
特開平10−10913号公報 特開平10−282821号公報 特開2002−184554号公報
ところで上述のような温度低下防止には、キャパシタを所定の最低電圧まで充電して放電可能にしてから使用する必要がある。充電に要する時間は数十秒ないし2分程度の短時間程度ではあるが、その間はキャパシタを使用できなくなるため、充電時間を短くする必要がある。
本発明は、キャパシタ利用の効率化を図ることによって上記従来の問題点を解決できる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、主電源装置と、充放電可能な蓄電装置を備える補助電源装置と、前記主電源装置あるいは前記補助電源装置から供給される電力により発熱する加熱部を有する定着装置と、を備える画像形成装置において、
前記主電源装置の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、
前記電圧検出手段が検知した電圧値が所定の値より高い場合には、前記主電源装置から前記加熱部電力が供給されているときに放電する前記蓄電装置の放電開始可能電圧を下げることを特徴とする。
請求項2に係るものは、主電源装置と、充放電可能な蓄電装置を備える補助電源装置と、前記主電源装置あるいは前記補助電源装置から供給される電力により発熱する加熱部を有する定着装置と、を備える画像形成装置において、
前記主電源装置の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、
前記電圧検出手段が検知した電圧値が所定の値より低い場合には、前記主電源装置から前記加熱部と電力が供給されているときに放電する前記蓄電装置の放電開始可能電圧を上げることを特徴とする。
請求項3に係るものは、請求項1またはに記載の画像形成装置において、前記蓄電装置がキャパシタであることを特徴とする。
請求項4に係るものは、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記キャパシタが電気二重層コンデンサであることを特徴とする画像形成装置。
本発明は、主電源装置の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、検知した電圧値が所定の値より高い場合には蓄電装置の放電開始可能電圧を下げ、検知した電圧値が所定の値より低い場合には蓄電装置の放電開始可能電圧を上げることにより、充電時間を短縮し、キャパシタ等の蓄電装置の充電の効率化、最適化を図ることができる
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電子写真方式の複写機やプリンタ装置等の画像形成装置を概念的に示す断面図である。本実施形態の画像形成装置は主に、原稿を読み取る読み取りユニット11、画像を形成する画像形成部12、自動原稿搬送装置(ADF)13、ADF13から送り出される原稿をスタックする原稿排紙トレイ14、給紙カセット15ないし18を備える給紙部19、記録用紙をスタックする排紙部(排紙トレイ20)により構成してある。
そして、ADF13の原稿台21上に原稿Dをセットして図示せぬ操作部での操作、例えばプリントキーの押下操作をすると、最上位の原稿Dがピックアップローラ22の回転により矢印B1方向へ送り出され、原稿搬送ベルト23の回転により、画像読み取りユニット11に固定されたコンタクトガラス24上へ給送され、そこで停止する。コンタクトガラス24上に載置された原稿Dの画像は、画像形成部12とコンタクトガラス24の間に位置する読み取り装置25によって読み取る。読み取り装置25は、コンタクトガラス24上の原稿Dを照明する光源26、原稿画像を結像する光学系27、原稿画像を結像させるCCD等からなる光電変換素子28等を有している。画像読み取り終了後、原稿Dを搬送ベルト23の回転により矢印B2方向へ搬送して排紙トレイ14上へ排出する。このように、原稿Dを1枚ずつコンタクトガラス14上へ給送して原稿画像を画像読み取りユニット1によって読み取る。
一方、画像形成部2の内部には、像担持体である感光体30が配置してある。感光体30は、図において時計方向に回転駆動し、帯電装置31によって表面を所定の電位に帯電させる。また、書き込みユニット32からは、読み取り装置25によって読み取った画像情報に応じて光変調したレーザ光Lを照射し、帯電させた感光体30の表面をこのレーザ光Lで露光し、これによって感光体30の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置33を通るとき、対向する転写装置34によって感光体30と転写装置34の間に給送された記録媒体Pに転写する。トナー像転写後の感光体30の表面は、クリーニング装置35によって清掃する。
画像形成部2の下部に配置した複数の給紙カセット15ないし18には、紙等の記録媒体Pを収容してあり、いずれかの給紙カセット15ないし18から記録媒体Pを矢印B3方向へ送り出し、その記録媒体Pの表面に、上述のように感光体30の表面に形成したトナー像を転写する。次に、記録媒体Pを矢印B4で示すように画像形成部2内の定着装置36を通し、熱と圧力の作用によって記録媒体Pの表面に転写されたトナー像を定着させる。定着装置36を通った記録媒体Pを排出ローラ対37によって搬送し、矢印B5で示すように排紙トレイ20へ排出し、スタックする。
図2は、記録媒体Pに転写されたトナー像を加熱、加圧して記録媒体に固着させる定着装置36の一例を示す断面図、図3は定着装置36が備える本発明に係る加熱装置の一実施形態の構成を示す回路図である。
図示の定着装置36は、定着ローラ40と加圧ローラ41を有し、例えば通紙中の定着ローラ温度低下の防止用途として使う75cpm機では定着ローラ40には外径φ40で肉厚t0.7mmのアルミ製のローラを用いている。これは、30秒以内に定着可能な状態に昇温できる肉厚であるとともに、定着に必要なニップ幅Nを形成するのに必要な荷重でも破壊されないためである。75cpm機では、従来補助電源を使わない場合にはt5.0〜10mm程度の厚肉ローラを用いていたが、薄肉ローラと補助電源を組み合わせることによって大幅な立上時間の短縮が可能となっている。また、定着ローラの最外層にはPFAあるいはPTFEなどの離型層が形成されていることが望ましい。定着ローラ40には、例えばハロゲンヒータからなる主発熱体2aと補助発熱体2bからなる加熱部2を内蔵し、定着ローラ40と加圧ローラ41とで、トナーTが載った記録媒体Pを通過させて加圧、加熱するニップ部Nを形成している。
また本実施形態の加熱装置1は、加熱部2、主電源装置3、補助電源装置4、メインスイッチ5、充電器6、切替装置7及び制御手段8を有する。なお図3では主発熱体2aと補助発熱体2bからなる加熱部2を定着ローラ40の外側に位置させて描いてあるが、これは図示の都合によるものであり、両発熱体2a、2bは定着ローラ40内に設ける。
加熱部2は、主電源装置3から供給される電力により発熱する主発熱体2aと、補助電源装置4から供給される電力により発熱する補助発熱体2bを有し、被加熱体である定着ローラ40を加熱するようになっている。主電源装置3は、詳細な図示は省略するが、加熱装置1を設置した画像形成装置内において商用電源から電源供給を受ける。主電源装置3は、例えばコンセント等から供給される電力を、加熱部2に応じた電圧に調整する等の機能を有するが、周知であるので詳細な図示及び説明は省略する。
補助電源装置4は、充放電可能なキャパシタCを有する。キャパシタCとしては、例えば定格2.5Vで400〜1000F程度の静電容量を備えるセルを15〜40個直列に接続し、所定の定格電圧と容量を得るモジュール構成が望ましい。さらに連続通紙時の定着温度低下防止用途には、例えば定格300〜600w程度のヒータを用いるために500〜700Fセルを18〜22個直列に接続しているものが適する。これは、1〜2分程度の給電には十分な容量を備えるとともに、制御系の暴走で高温状態から全蓄電電力を給電した際にも電圧の低下とともに電力が低減し、発火の危険性を低減できる程度の容量となるためである。また、電圧が50V程度と感電の危険がないことも適する理由である。また、立ち上げ時に電力を供給する用途には、例えば定格800〜1000wのヒータを補助電源装置に並列に接続して合計で1600〜2000w程度の電力を供給するため、500〜700Fセルを36〜44個直列に接続しているものが適する。これは、10秒程度の給電には十分な電力を供給する容量と電圧を備えるととともに、連続通紙時に移行した際にも片方のヒータだけを使用して定着温度の低下を防止できる容量を有するためである。実稼働状態では、定格電圧よりも低い電圧を充電目標電圧としているが、これは電圧回路のバラツキやキャパシタセルの耐久性などを考慮して信頼性を向上できるためである。また、100F程度のより低い静電容量のセルを並列に接続したモジュール構成としてもよいが、セル一つあたりに必用な電子回路を減らせると共にセルに不具合が発生した際に検知しやすいため全セルを直列に接続することが望ましい。上記構成をとるのは、電気二重層キャパシタ等のキャパシタは、二次電池とは異なり、化学反応を伴わないために優れた特徴を有するためである。
既に述べたように、二次電池として一般的なニッケル−カドミウム電池を用いた補助電源装置では、急速充電を行っても数十分から数時間という長い時間を要するが、キャパシタを用いた補助電源装置4では数分程度の急速な充電が可能であり、同一時間内で待機状態と加熱状態を繰り返した場合、キャパシタを用いた補助電源装置4を使用することにより、加熱立ち上げ時に確実に補助電源装置4から電力を供給することができ、加熱部2を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。また、ニッケル−カドミウム電池は充放電の許容繰り返し回数が500回から1000回程度であるため、加熱用の補助電源としては寿命が短く、交換の手間やコストが問題となるが、電気二重層キャパシタを用いた補助電源装置4は充放電の許容繰り返し回数が数100万回以上であるとともに、充放電の繰り返しによる劣化も少なく、さらに、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要がないため、メンテナンスをほとんど必要とせず、長期間安定して使用することができる。
なお電気二重層キャパシタは、誘電体がなく、個体電極と溶液界面にできるイオンまたは溶媒分子の電荷が集中した電気二重層のイオン吸着層の吸、脱着反応(充、放電)を利用するもので、繰り返し充放電に強くて寿命が長く、メンテナンスの必要がなく、環境にやさしく、しかも他の種のバッテリに比べて充電時間が短く、充放電効率が高く、しかも電圧の検知により残電力がわかりやすい等の優れた特徴を有し、最近では静電容量が数万F、エネルギ密度が数十wh/kgという大容量のものも開発され、一層の大容量化が図られつつある。
メインスイッチ5は、主電源装置3から主発熱体2aに供給する電力をオン/オフするものであり、充電器6は、主電源装置3から供給される電力で補助電源装置4のキャパシタCを充電する。また切替装置7は、補助電源装置4の充電と補助電源装置4からの補助発熱体2bに対する電力供給を切り替えるものである。
制御手段8は、スイッチ9とCPU10を有し、予め設定された後述する条件で補助電源装置4から補助発熱体2bに供給する電力をオン/オフ等させる制御を行う。ただし、図示の制御手段8の構成は、加熱部2の制御を行う部分だけを示す単なる一例であって、画像形成装置全体の制御を行う装置で兼用する等の種々の構成を採用できる。また補助電源装置4に対する制御のための接続形態等も図示の例に限定されない。例えば切替装置7を切り替えてオン/オフ等の制御を行う構成等々種々の形態を採用できる。
このような加熱装置1の基本的な動作を説明する。まず待機時には、切替装置7を切り替えて補助電源装置4に充電器6を接続し、補助電源装置4のキャパシタCを充電しておく。この状態で加熱装置1で加熱部2を加熱するときは、メインスイッチ5をオンにして主電源装置3から主発熱体2aに電力を供給し、同時に切替装置7を切り替えて補助電源装置4から補助発熱体2bに電力を供給し、加熱部2に大容量の電力を供給する。このように加熱部2の加熱を開始するときに、主電源装置3と補助電源装置4の両方から大容量の電力を加熱部2に供給するから、加熱部2を短時間で所定の温度に立ち上げることができる。
また、補助電源装置4で加熱部2の補助発熱体2bに電力を供給して加熱を開始してから予め定めた所定の時間が経過したときに、制御手段8は補助電源装置4から補助発熱体2bに供給している電力を遮断して加熱部2の過熱を防止して所定の温度に維持する。補助電源装置4から補助発熱体2bに供給する電力は、供給を開始してから時間が経過するにつれて低減する。この供給電力の低減量に応じて、補助電源装置4から補助発熱体2bに供給している電力を遮断する時間を定め、供給電力がある程度低減したときに補助電源装置4から補助発熱体2bに供給している電力を遮断すると、大電力を供給している状態で遮断するときに発生する周囲回路の各部品の劣化や電磁ノイズを防止することができる。
このような構成の定着装置36に送られたトナー像Tが転写された記録媒体Pは、定着ローラ40と加圧ローラ41の間に搬送され、一定温度に加熱された定着ローラ40によりトナーTを加熱溶融し、記録媒体Pにトナー像として定着させる。そのため定着ローラ40の加熱部2が有する主発熱体2aと補助発熱体2bには主電源装置3と補助電源装置4から電力を供給し、それにより定着ローラ40の温度を上昇させ、かつ補助電源装置4から供給する電力をオン/オフ制御することにより、定着ローラ40の温度が高くなりすぎることを防止して、定着温度を一定温度あるいは所望の温度に保ち、または所要の温度変化を示すように制御することにより、トナーTを安定して加熱溶融させ、良質なトナー像Tを記録媒体Pに定着させる。また、定着ローラ40に内蔵した加熱部2の主発熱体2aと補助発熱体2bに主電源装置3と補助電源装置4から電力を供給して定着ローラ40の温度を上昇させるので、定着ローラ40の表面温度を所定の定着温度まで迅速に上昇させることができるようになっている。
図4は上記のように構成した画像形成装置の使用電力の変化を示す図(A)とキャパシタCの電圧変化を示す図(B)及び(C)である。待機時にあまり電力を消費していない状態から、画像形成の開始とともに使用電力は上限値まで増大し、画像形成時は上限値から少し少なくなり、その後に待機時の状態へと戻る。一般的には、画像形成時に電力的に余裕がある(図4中にXで示す)ことを利用して補助電源装置4のキャパシタCを充電している。キャパシタCの出力電圧は、待機時に最高値を示し、立ち上げ時に定着ローラ40の加熱のために電力を供給することによって下がり、画像形成時に充電を受けることによって待機時の状態へと復帰する。
図4(B)において、実線で示すのは画像形成中に充電した場合、一点鎖線で示すのは画像形成直後に充電した場合である。一般的には画像形成直後に充電するが、これは、直前の画像形成を終えた直後に画像形成を行うときにキャパシタCの充電が完了していないとcpm(コピー速度)の低下や充電待ち時間が発生し、画像形成装置全体としての機能が低下するためである。すなわち、補助電源装置4から補助発熱体2bに供給している電力を遮断したとき、補助電源装置4には十分に充電されていない状態となる。そこで加熱部2の温度が安定して比較的電力を消費しないときに、切替装置7を充電器6側に切り替えて補助電源装置4に充電器6を接続して主電源装置3から供給される電力で補助電源装置4を充電しておく。そして加熱部2に再度多量の電力を供給する必要があるとき、主電源装置3とともに補助電源装置4から電力を供給して加熱部2に多量のエネルギを供給する。さらに図4(C)は、連続通紙中の電力供給が不足して定着ローラ温度が低下するのを防ぐ用途にキャパシタCを使用した場合である。一般的には立ち上げ直後には装置全体が冷えているため電力が不足しやすいため、連続通紙中にキャパシタCからの給電を行う。これにより、連続通紙中に定着ローラ温度が回復するまでのcpmダウンや停止などの生産性低下を防ぐことが可能となる。
図5は、定着ローラ40の温度変化を示す図である。待機時には低温で、立ち上げ時には上述のような両発熱体2a、2bの発熱によって所定の定着温度(図では180℃)まで上昇し、画像形成中はほぼ定着温度に保たれ、画像形成動作の終了とともに徐々に低下していくという過程をとる。このとき、定着ローラ40の温度は環境条件によって室温(画像形成装置を設置した場所の温度)または画像形成装置内温度にまで低下する。
ところで、キャパシタCを放電停止電圧まで放電すると、当然ながら充電を行って次の放電に備える必要がある。また長時間装置を使用しないとキャパシタCの電圧は自然放電によって低下し、装置の立ち上がりに時間がかかってしまうため、キャパシタCの電圧を自動的に検知して自動的に充電する等の手法が採用されているが、いずれにしてもキャパシタCを放電可能にするには、所定の最低電圧まで充電する必要がある。充電に要する時間は数十秒ないし2分程度の短時間程度ではあるが、その間キャパシタCは使用できない。
そこで本発明は、この充電時間を短くするために、キャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。ただし、単に可変させるのではなく、加熱装置1の状況に関わる情報、換言すれば加熱装置1自体や、これを用いている定着装置36や画像形成装置に関する温度等の情報を検知し、検知情報に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。
図6は、上述した画像形成装置において定着ローラ40の加熱に用いるキャパシタCの、放電停止状態から充電開始、満充電(充電停止)、放電による電圧低下に至る電圧変化を示す。図示の例のキャパシタCは、満充電時の電圧が50Vとなっており、充電途中に電圧が30V以上になれば放電可能となっているが、本発明は、この例においては30Vとした放電可能電圧を、種々の条件に応じて制御手段8により可変させるものである。もちろん上述の電圧値は単なる一例であり、例えば満充電時45V、放電可能最低電圧32V、放電停止電圧20V等の構成もあり、本発明はこの例に限定されない。また充電開始t1から放電可能最低電圧到達時点t2までは例えば1分弱、満充電(充電停止)時t3までは2分以内(1〜1.5分)などであるが、これも単なる一例である。
<主電源装置の電圧値対応の実施例>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、主電源装置3の電圧値とすることができる。主電源装置3の電圧値を検出する電圧検出手段としては公知の種々の手段を採用すればよい。制御手段8は、主電源装置3の電圧検出値の変化に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。
例えば、主電源装置3の電圧値が所定の値より高い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を下げる。主電源装置3の電圧が高ければ主電源装置3の給電量が大きいと判断できる。そのような場合にはキャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量は小さくても良い。そこで、放電開始を可能にする最低充電電圧を可変にして、必要な電力が小さくて良い場合には電圧を下げることにより、充電時間を短縮する。なお充電時間を短縮することは、換言すれば、通常であれば充電途中の状態であっても放電可能とすることで充電時間の短縮化を実現しているものであり、以下の実施例においても同様である。
またこれとは逆に、主電源装置3の電圧値が所定の値より低い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を上げる。主電源装置3の電圧が低ければ主電源装置3の給電量が小さいと判断できるので、そのような場合にはキャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量を大きくしないと、定着ローラ40の温度が十分に上昇せず、定着装置36における画像の定着不良が発生し得るためである。なおこのような制御は、主電源装置3が交流電源であるか、直流電源であるかにかかわらず可能である。またなお、所定の電圧値は実験等により適宜定めるようにすればよい。以下に説明する各実施例においても所定の値については本例と同様である。
<加圧ローラの温度対応の実施例>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、定着ローラ40に対する加圧部材である加圧ローラ41の温度とすることができる。加圧ローラ41の温度を検出する温度検出手段としては公知の種々の温度センサ等の手段を採用すればよい。制御手段8は、加圧ローラ41の温度の変化に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。
例えば、加圧ローラ41の温度が所定の値より高い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を下げる。例えば画像形成装置に連続通紙を行って連続的に画像形成を行った場合、加圧ローラ41の温度も十分に高くなる。そのような場合には、定着ローラ40の熱が加圧ローラ41に奪われる量が少ないため、キャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量は小さくても良い。そこで、放電開始を可能にする最低充電電圧を可変にして、必要な電力が小さくて良い場合には電圧を下げることにより、充電時間を短縮する。
また逆に、加圧ローラ41の温度が所定の値より低い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を上げる。加圧ローラ41の温度が低い場合にはキャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量を大きくしないと、定着ローラ40の熱が加圧ローラ41の温度を上昇させるために消費され、定着ローラ40の温度が十分に上昇せず、定着装置36における画像の定着不良が発生し得るためである。
<環境温度対応の実施例>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、加熱装置1、定着装置36、画像形成装置の環境温度、例えば定着ローラ40と加圧ローラ41のニップ温度等とすることができる。もちろん、定着ローラ40と加圧ローラ41のニップ部Nの温度は計測しにくい面もあるので、本実施例での環境温度とは、加熱装置1、定着装置36あるいは画像形成装置の内部温度だけでなく、これら装置の外部温度も対象とすることができる。いずれにしても、そのような温度が定着装置36における画像の定着に影響を与える、あるいは与え得ると考えられるものすべてを情報検知の対象とすることができ、制御手段8は、環境温度の変化に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。
例えば、環境温度が所定の値より高い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を下げて充電時間を短縮し、低い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を上げる。環境温度が上述のようなものであれば、それが高ければ定着ローラ40への給電量が小さくても良く、低ければ定着不良を防止するためにキャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量を大きくする。なおその理由については、先の加圧ローラの温度対応の例と同様である。
<画像形成ジョブの内容対応の実施例1>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、定着装置36における前回のジョブでの定着通紙枚数とすることができる。定着通紙枚数を検知する手段としては通紙カウンタ等の公知の種々の手段を採用すればよい。制御手段8は、定着通紙枚数値に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。
例えば、定着装置36における前回のジョブにおける通紙枚数が所定の値より多い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を下げる。前回ジョブでの通紙枚数が多ければ、加圧ローラ41の温度も十分に高くなっているので、先の加圧ローラの温度対応の例と同様に、キャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量は小さくても良く、充電時間を短縮できる。
<画像形成ジョブの内容対応の実施例2>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、定着装置36における前回ジョブと今回ジョブとの時間間隔とすることができる。ジョブ間の時間間隔を検知する手段としてはタイマー等の公知の種々の手段を採用すればよい。制御手段8は、ジョブの時間間隔に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。例えば、ジョブ時間間隔が所定の値より短い場合にはキャパシタCの放電開始可能電圧を下げる。ジョブ時間間隔が短ければ加圧ローラ41の温度が高くなっていて、先の加圧ローラの温度対応の例と同様に、キャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量は小さくても良く、充電時間を短縮できる。
<画像形成ジョブの内容対応の実施例3>
キャパシタCの放電可能電圧を可変させる条件となる情報としては、定着装置36における前回ジョブの稼働時間とすることができる。ジョブ稼働時間を検知する手段としてはタイマー等の公知の種々の手段を採用すればよい。制御手段8は、前回ジョブの稼働時間に応じてキャパシタCの放電開始可能電圧を可変させる。例えば、定着装置36における前回ジョブ稼働時間が所定の値より長い場合には加圧ローラ41の温度が高くなっていて、これも先の加圧ローラの温度対応の例と同様に、キャパシタCの放電による補助発熱体2bへの給電量は小さくても良く、充電時間を短縮できる。
なお上述してきた各種の対応実施例については、単独であっても他と組み合わせてもいずれでも実施できる。また各実施例においては、キャパシタCの放電可能電圧を可変させる制御を加熱装置1が備える制御手段8により行うようにしているが、本発明はこれに限定されず、定着装置36あるいはこれを備える画像形成装置側に制御手段を備えて、これによって放電可能電圧の制御を行っても良く、またいずれの場合についても放電電圧制御のための専用の制御手段を備えても、あるいは他の制御手段を兼用するようにしても、いずれでもよく、図示の例には限定されない。
またなお、以上説明してきた実施例では、二つのローラ、すなわち定着ローラ40と加圧ローラ41によってニップ部Nを形成しているが、本発明の定着装置及びこれを用いた画像形成装置は、このような構成に限定されず、ローラとベルト、ベルトとベルトによりニップ部Nを形成するもの等、記録媒体Pが被加熱体と摺接または近接して通過するタイプ等種々の構成のものが採用可能である。また、本発明が図示のタイプの画像形成装置に限定されるものではなく、例えば感光体がドラム状ではなくベルトタイプのもの、中間転写ベルトを用いるカラー画像形成装置等々の種々のタイプの装置に適用可能である。さらには、補助電源装置としてキャパシタを用いたものだけでなく、二次電池を用いたものでも前記課題がより深刻であるとともに、前記構成により解決が図れるため、キャパシタ補助電源装置に限定するものではない。なお、二次電池のように出力電圧がほぼ一定のデバイスの場合は、図4(B)、(C)の縦軸はキャパシタ電圧でなく、残蓄電量となる。
本発明に係る画像形成装置の実施形態を示す概念的断面図 図1の画像形成装置に用いる本発明の実施形態に係る定着装置の構成を示す概念的断面図 本発明に係る加熱装置の一実施形態の構成を示す回路図 図1の画像形成装置の使用電力の変化を示す図(A)とキャパシタCの電圧変化を示す図(B)、(C) 定着ローラの温度変化を示す図 キャパシタの、放電停止状態から充電開始、満充電(充電停止)、放電による電圧低下に至る電圧変化を示す図
符号の説明
1:加熱装置
2:加熱部
2a:主発熱体
2b:補助発熱体
3:主電源装置
4:補助電源装置
5:メインスイッチ
6:充電器
7:切替装置
8:制御手段
9:スイッチ
10:CPU
11:読み取りユニット
12:画像形成部
13:自動原稿搬送装置(ADF)
14:原稿排紙トレイ
15、16、17、18:給紙カセット
19:給紙部
20:排紙トレイ
21:原稿台
25:読み取り装置
30:感光体
31:帯電装置
32:書き込みユニット
33:現像装置
34:転写装置
35:クリーニング装置
36:定着装置
37:排出ローラ対
40:定着ローラ
41:加圧ローラ
C:キャパシタ
D:原稿
P:記録媒体
T:トナー
N:ニップ部

Claims (4)

  1. 主電源装置と、充放電可能な蓄電装置を備える補助電源装置と、前記主電源装置あるいは前記補助電源装置から供給される電力により発熱する加熱部を有する定着装置と、を備える画像形成装置において、
    前記主電源装置の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、
    前記電圧検出手段が検知した電圧値が所定の値より高い場合には、前記主電源装置から前記加熱部電力が供給されているときに放電する前記蓄電装置の放電開始可能電圧を下げることを特徴とする画像形成装置。
  2. 主電源装置と、充放電可能な蓄電装置を備える補助電源装置と、前記主電源装置あるいは前記補助電源装置から供給される電力により発熱する加熱部を有する定着装置と、を備える画像形成装置において、
    前記主電源装置の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、
    前記電圧検出手段が検知した電圧値が所定の値より低い場合には、前記主電源装置から前記加熱部と電力が供給されているときに放電する前記蓄電装置の放電開始可能電圧を上げることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1またはに記載の画像形成装置において、
    前記蓄電装置がキャパシタであることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置において、
    前記キャパシタが電気二重層コンデンサであることを特徴とする画像形成装置。
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