JP4223637B2 - 三次元自由造形方法および三次元自由造形装置 - Google Patents

三次元自由造形方法および三次元自由造形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元自由造形方法および三次元自由造形装置に関し、更に詳しくは、燃焼合成反応による反応生成物から実質的に構成される三次元形状物を造形するための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代の自動車・船舶・航空宇宙機器などの輸送機関またはエネルギプラントの熱機関などに適用される構造材料には、軽量で、良好な耐熱性を有していることが必要とされる。
このような要件を具備する材料として、アルミナイド系の金属間化合物が知られており、当該金属間化合物について、組成・組織の最適化・高性能化や所望の三次元形状物を得るための加工方法など実用化に向けた研究が各国で行われている。例えば、NiAlやTiAlなどの金属間化合物においては、800〜1200℃の高温環境下で使用できる耐熱性材料として、エンジン部品や宇宙航空機機体部品などへの応用を目指した開発が行われている。
従来、金属間化合物からなる三次元形状物は、鋳造法、鋳造物の塑性加工や機械加工、あるいは粉末冶金法により製造されている。
【0003】
しかしながら、金属間化合物は延性が小さくて加工がきわめて困難であり、かかる金属間化合物の成形加工には、煩雑な工程と多くのエネルギが必要となる。
このため、金属間化合物および当該金属間化合物の原料となる金属粉末の組成・組織の改質方法、溶解鋳造・鍛造・延伸などの塑性加工法を応用する開発が行われてきているが、所望の三次元形状物を得るための加工方法などは未だ確立されていない。
【0004】
上記のような問題に対し、金属間化合物からなる三次元模型を光造形法により作製することが試みられ、光(レーザ)照射による加熱と、燃焼合成反応による反応熱とを併用する実験が紹介されている〔紙谷、山田、丸谷:「燃焼合成反応を援用したセラミック模型のレーザー造形」(第16回ラピッド・プロトタイピング・シンポジウム予稿集,第81頁〜第84頁(1995.5))〕。
【0005】
この試みは、燃焼合成反応しうる1種以上の粉末状物質を堆積して材料層を形成し、この層の表面に選択的に光照射することにより、光照射領域において燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層を積層形成するものである。
【0006】
しかしながら、上記の報告においては、燃焼合成反応による発熱量の制御が困難であり、熱暴走によって光照射領域以外でも燃焼合成反応が生じるなど、この結果、所望の形状の造形物を得ることは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、金属間化合物からなる三次元形状物を少ないエネルギによって短時間で造形することができる新規な造形方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、金属間化合物からなる三次元形状物が複雑な形状を有するものであっても、短時間で確実に造形することができる造形方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記の造形方法を確実に実施することができる造形装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る三次元自由造形方法は、第1の材料を堆積して形成された材料層(n)の表面に、第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(n)を形成する工程と、この生成層(n)の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層(n+1)を形成するとともに、この材料層(n+1)の表面に、第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(n+1)を積層形成する工程とを含むことを特徴とする。
ここに、「生成層(n)の表面を含む平面」とは、生成層(n)の表面と、材料層(n)の残留部分の表面とからなる平面(X−Y平面)をいうものとする。
【0010】
請求項に係る三次元自由造形方法は、請求項に記載の三次元自由造形方法であって、前記第1の材料が粉末状であり、前記第2の材料が溶融状態で吐出されることを特徴とする。
請求項に係る三次元自由造形方法は、請求項1または請求項2に記載の三次元自由造形方法であって、前記反応生成物中に、チタン、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、バナジウム、モリブデン、コバルト、鉄、銅、タングステン、クロム、マンガン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セレン、テルル、ビスマス、ゲルマニウム、ケイ素、炭素、ホウ素、硫黄、リンおよび窒素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が含有されていることを特徴とする。
請求項に係る三次元自由造形方法は、請求項乃至請求項の何れかに記載の三次元自由造形方法であって、前記第1の材料および前記第2の材料の少なくとも一方が、複数の物質の混合物から構成されていることを特徴とする。
請求項に係る三次元自由造形方法は、請求項に記載の三次元自由造形方法であって、前記複数の物質の少なくとも1種の存在量が部分的に異なるように三次元形状物を造形することを特徴とする。
請求項に係る三次元自由造形方法は、請求項に記載の三次元自由造形方法であって、前記複数の物質の少なくとも1種の存在量が、X方向、Y方向およびZ方向の少なくとも一方向において連続的または段階的に変化するように三次元形状物を造形することを特徴とする。
【0011】
請求項に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項の何れかに記載の造形方法を実施するための三次元自由造形装置であって、造形物を載置するための造形台(10)と、この造形台(10)の上方に配置され、当該造形台(10)の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面(生成層の表面および残留する材料層の表面)上に第1の材料を堆積して材料層を形成するための堆積部(20)と、前記造形台(10)の上方に配置され、前記材料層の表面に第2の材料を選択的に吐出するための吐出部(30)とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項に係る三次元自由造形装置は、請求項に記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)がZ方向に移動可能であり、前記堆積部(20)がX方向および/またはY方向に移動可能であり、前記吐出部(30)がX方向およびY方向に移動可能であることを特徴とする。
請求項に係る三次元自由造形装置は、請求項に記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)が固定され、前記堆積部(20)がX方向および/またはY方向に移動可能であり、前記吐出部(30)がX方向およびY方向およびZ方向に移動可能であることを特徴とする。
また、前記堆積部(20)がZ方向に移動可能であってもよい。
【0013】
請求項10に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)、前記堆積部(20)および前記吐出部(30)を収容する容器(40)と、この容器(40)内を加熱する熱源(41)と、前記容器(40)内を真空状態とするための排気手段(42)とを備えていることを特徴とする。
請求項11に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)、前記堆積部(20)および前記吐出部(30)を収容する容器(40)と、この容器(40)内を加熱する熱源(41)と、前記容器(40)内の雰囲気ガスを循環させるガス循環手段(43)とを備えていることを特徴とする。
請求項12に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項11の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、造形台(10)の動作、吐出部(30)の動作、堆積部(20)の動作および造形環境を制御することのできる制御手段(50)を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項13に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記堆積部(20)が、燃焼合成反応に関与する第1の材料と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を堆積して材料層を形成することを特徴とする。
請求項14に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記吐出部(30)が、燃焼合成反応に関与する第2の材料と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を選択的に吐出することを特徴とする。
【0015】
請求項15に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)の上方に配置され、当該造形台(10)の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に任意の材料を堆積することにより、当該任意の材料と、前記堆積部(20)により堆積される第1の材料との混合物からなる材料層を形成するための第2の堆積部(26)を備えていることを特徴とする。
請求項16に係る三次元自由造形装置は、請求項15に記載の三次元自由造形装置であって、前記第2の堆積部(26)により堆積される任意の材料が、前記堆積部(20)により堆積される第1の材料の構成物質とは異なる、燃焼合成反応に関与する物質からなる材料(第1の材料)であることを特徴とする。
請求項17に係る三次元自由造形装置は、請求項15に記載の三次元自由造形装置であって、前記第2の堆積部(26)により任意の材料が、燃焼合成反応に関与しない第3の材料であることを特徴とする。
【0016】
請求項18に係る三次元自由造形装置は、請求項乃至請求項の何れかに記載の三次元自由造形方法を実施するための三次元自由造形装置であって、中心軸(100)の周りに回転可能な造形台(210)と、この造形台(210)の上方に配置され、任意の材料を堆積して材料層を形成するための堆積部(220)と、前記造形台(210)の上方に配置され、前記材料層の表面に任意の材料を選択的に吐出するための吐出部(230)とを備えていることを特徴とする。
請求項19に係る三次元自由造形装置は、請求項18に記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(210)が、Z方向に移動可能であり、前記堆積部(220)が、水平面の一方向に移動可能であり、前記吐出部(230)が、水平面の一方向に移動可能であることを特徴とする。
請求項20に係る三次元自由造形装置は、請求項18に記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(210)が、Z方向に固定され、前記堆積部(220)が、水平面の一方向およびZ方向に移動可能であり、前記吐出部(230)が、水平面の一方向およびZ方向に移動可能であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の造形方法は、燃焼合成反応による反応生成物を含有する生成層を逐次積層する工程を含む点に特徴を有する。
ここに、「反応生成物を含有する生成層」とは、当該反応生成物から実質的に構成される生成層をいうものとし、当該生成層中には、未反応の材料(第1の材料および/または第2の材料)が僅かに残留していてもよく、また、後述する第3の材料が含有されていてもよい。
【0018】
<燃焼合成反応>
本発明の造形方法に適用される「燃焼合成法」(Self−Propagating High Temperature Synthesis,もしくはCombustion Synthesis)は、高い反応熱を伴って化合物の生成反応が短時間に自発的に進行するプロセスであり、この燃焼合成法によれば、高融点セラミックスや金属間化合物を容易に合成することができる。燃焼合成の原理は、旧ソ連のメルジャーノフ等によって1967年に発見され、それ以降、理論的研究と応用への開発が進められている(日本金属学会会報第32巻第12号845頁)。
【0019】
燃焼合成反応を利用する本発明の造形方法によれば、材料自体の反応熱を生成層の形成(燃焼合成反応の伝播)に有効に利用することができるので、少ない消費エネルギで三次元形状物の造形を確実に行うことができる。
ここに、燃焼合成反応による金属間化合物の生成熱は100kJ/mol前後であり、化合時に1500〜2000℃の発熱反応を伴うことにより、合成反応が自発的に進行し、溶製法のように外部からの加熱を必要としない。
【0020】
三次元形状物を構成する反応生成物中には、チタン、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、バナジウム、モリブデン、コバルト、鉄、銅、タングステン、クロム、マンガン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セレン、テルル、ビスマス、ゲルマニウム、ケイ素、炭素、ホウ素、硫黄、リンおよび窒素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が含有されていることが好ましい。これらは、第1の材料または第2の材料に由来する物質、あるいは雰囲気ガスに由来する物質として導入される。
【0021】
<積層造形法>
本発明の造形方法(積層造形法)の一例を以下に示す。
先ず、造形台(ステージ)の表面に第1の材料を堆積して材料層(1)を形成するとともに、この材料層(1)の表面に、CADデータ(スライスデータ)に従って、第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(1)を造形台上に形成する。
【0022】
次に、この生成層(1)の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層(2)を形成するとともに、この材料層(2)の表面に、CADデータに従って第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(2)を積層形成する。この生成層(2)は生成層(1)の表面に強固に接合される。
【0023】
次に、この生成層(2)の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層(3)を形成するとともに、この材料層(3)の表面に、CADデータに従って第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(3)を積層形成する。この生成層(3)は生成層(2)の表面に強固に接合される。
【0024】
以下、同様に、生成層(n)の積層を繰り返すことにより、生成層間が強固に接合された積層体からなる三次元形状物を得ることができる。
【0025】
本発明において、「吐出領域」とは、第2の材料が吐出された位置を中心とする微小領域および当該微小領域が連続する線状もしくは面状の領域(目的とする三次元形状物の形状断面の一部分)をいい、前記微小領域の径は100μm〜10mmとされる。そして、第1の材料および第2の材料が共に存在する当該吐出領域内でのみ燃焼合成反応が起こることにより、熱暴走などの問題が生じることはなく、所望の形状の三次元形状物を確実に造形することができる。
本発明の造形方法において、生成層の厚さは、通常100μm〜10mmとされ、好ましくは100μm〜1mmとされる。
また、積層回数としては、前記生成層の厚さおよび造形される三次元形状物の高さによっても異なるが、例えば2〜1,000回とされ、第1の材料の堆積厚さを高さに応じて或いは積層の途中で変えることにより、好ましくは10〜100回程度とされる。
【0026】
造形台の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に堆積される第1の材料は、粉末状態であっても、溶融状態であってもよいが、粉末状態であることが好ましい。
【0027】
また、第1の材料からなる材料層の表面に選択的に吐出される第2の材料は、粉末状態で吐出されても、溶融状態で吐出されてもよいが、溶融状態で吐出されることが好ましい。
【0028】
吐出領域内で金属間化合物を燃焼合成しながら三次元的に自由造形する本発明の造形方法によれば、従来の方法(鋳造・鍛造、延伸などの加工法および煩雑な工程を含む冶金的手法)では不可能であった金属間化合物(高強度高融点材料)の緻密な自由造形を行うことが可能となる。
【0029】
アルミナイド系金属間化合物の燃焼合成の一例としては、粒径5μmのニッケル粉末(第1の材料)を堆積して直径約10mm、厚さ約6mmの材料層を形成し、当該材料層の表面に、670〜1200℃の温度で溶融状態とされたアルミニウムの液滴(第2の材料)を、前記ニッケル粉末と等しいモル比率で滴下(吐出)すると、吐出領域において前記ニッケル粉末と前記溶融アルミニウムとの燃焼合成反応が生じ、反応生成物として、粒状の金属間化合物が得られる。
【0030】
ここに、反応生成物である金属間化合物の組成および気孔の残存性(空隙率)は、滴下される溶融アルミニウムの温度に依存する。
すなわち、溶融アルミニウムの温度が800℃以上であると、ニッケルとアルミニウムとが1:1のモル比率で結合された金属間化合物(NiAl)が生成され、溶融アルミニウムの温度が670〜700℃であると、燃焼合成反応が不完全となり、NiAlとともにNi3 AlやNiAl3 などの金属間化合物も生成される。なお、不完全反応の生成物であるNi3 AlやNiAl3 などを含む化合物相を1200℃で2時間以上保持することにより、NiAlの単相を得ることができる。
【0031】
一方、金属間化合物の気孔の残存性に着目すると、溶融アルミニウムの温度が800℃であるときに生成される金属間化合物(NiAlの単相)の空隙率は35体積%であり、溶融アルミニウムの温度が1200℃であるときに生成される金属間化合物(NiAlの単相)は、その密度が理論密度とほぼ等しく、空隙率は無視できる程に小さくなる。
【0032】
なお、第1の材料としてチタン粉末を使用することにより、TiAl系の金属間化合物(TiAl,Ti3 Al,TiAl3 )を含む三次元形状物を得ることができる。
【0033】
溶融アルミニウムと金属粉末との反応制御に関して、反応域、生成相の密度、組織制御なども造形特性の重要な因子となる。これらの制御には、溶融アルミニウムおよび造形台の温度、溶融アルミニウムの液滴サイズ、滴下速度、金属粉末の粒子径との関係を最適化し反応制御を行うことが好ましい。
【0034】
本発明の造形方法により得られる三次元形状物は、金属間化合物に対する従来の方法(鋳造・鍛造、延伸などの加工法および煩雑な工程を含む冶金的手法)では、造形することが不可能またはきわめて困難であった複雑な形状を有する各種の製品(最終製品および構成部品)に適用することができる。かかる製品としては、硝子・セラミックス・プラスチックス・金属部品等の金型、通気孔付きガスタービンプレード、耐熱ノズル、高性能金属部品、耐食コーティング部品などを例示することができる。
【0035】
<具体的な積層造形法>
本発明の造形方法は、反応生成物を含有する生成層(n)の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層(n+1)を形成し、この材料層(n+1)の表面に、第2の材料を選択的に吐出することにより、反応生成物を含有する生成層(n+1)を積層形成する工程とを含むものであるが、本発明においては、第1の材料の堆積による材料層(n+1)の積層形成と、第2の材料の吐出による生成層(n+1)の積層形成とを並行して行ってもよい。すなわち、材料層(n+1)の一部を積層形成した段階で、当該材料層(n+1)の一部の表面に第2の材料を選択的に吐出して生成層(n+1)の一部を積層形成してもよい。
【0036】
図1は、そのような工程の一例を示すものである。
図1(a)に示すように、燃焼合成反応で生成されたNiAlからなる生成層(n)の表面の一部に、第1の材料であるニッケル粉末を堆積して材料層(n+1)の一部A1を形成し、この材料層(n+1)の一部A1の表面に、第2の材料である溶融アルミニウムを選択的に滴下する。
これにより、滴下領域(吐出領域)において燃焼合成反応が生じ、図1(b)に示すように、NiAlからなる生成層(n+1)の一部B1が積層形成される。この生成層(n+1)の一部B1は、生成層(n)の表面の一部に強固に接合(三次元的な層間接合)される。
【0037】
次いで、図1(c)に示すように、生成層(n)の表面の残部に、ニッケル粉末を堆積して材料層(n+1)の残部A2を形成し、この材料層(n+1)の残部A2の表面に溶融アルミニウムを選択的に滴下する。
これにより、滴下領域(吐出領域)において燃焼合成反応が生じ、図1(d)に示すように、NiAlからなる生成層(n+1)の残部B2が積層形成される。この生成層(n+1)の残部B2は、生成層(n)の表面の残部に強固に接合(三次元的な層間接合)されるとともに、隣接する生成層(n+1)の一部B1に対しても強固に接合(二次元的な層内接合)される。
【0038】
本発明の造形方法により得られる三次元形状物の特性に関しては、造形精度、密度、空隙率、組織、強度、靱性、熱応力、耐熱性、耐食性、研摩耗性等の最適化・制御を行う。このため、熱処理、HIP処理、表面コーティング処理等を施すことも可能である。また、必要に応じた仕上げ加工法を追加して行うこともできる。これらにより、亀裂や破損、応力集中などを生じない複雑な精密造形が可能となる。
【0039】
図2は、本発明の造形装置の一例の概略構成を示す説明図である。
図2に示す造形装置1は、造形台10と、堆積部20と、吐出部30とを備えている。
造形台10は、造形物を載置するためのステージであり、Z方向に移動(昇降)可能に設けられ、任意の位置(レベル)に停止させることができる。
堆積部20は、造形台10の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層を形成するための手段である。この堆積部20は、X方向に移動可能に設けられている。
吐出部30は、堆積部20によって形成された材料層の表面に、第2の材料を選択的に吐出するための手段であり、この吐出部30はX方向およびY方向に移動可能であり、設計データに基いて水平面上を自由に走査することができる。
【0040】
図3は、本発明の造形装置の一例の具体的構成を示す説明用断面図である。
図3に示す造形装置1は、NiAlを含有する生成層を積層して三次元形状物を造形する装置である。
この造形装置は、造形台10と、堆積部20(ニッケル粉末の堆積手段)と、吐出部30(溶融アルミニウムの吐出手段)と、これらの構成部材を外部から気密に区画する容器40と、この容器40内を加熱する熱源41と、前記容器40内を真空状態とするときに使用する排気手段42と、前記容器40内に雰囲気ガスを循環させるときに使用するガス供給手段43およびガス循環手段44と、造形に係る一連の動作を制御する制御手段(計算制御ユニット)50とを備えている。
【0041】
容器40内を加熱する熱源41としては高周波加熱器を例示することができ、容器40内の雰囲気温度は、温度検知器45により計測することができる。
排気手段42は、空気や不純物の介在を回避するなどのために容器40内を真空状態とするときに使用され、かかる排気手段42は、真空ポンプなどから構成される。
ガス供給手段43およびガス循環手段44は、容器40内に雰囲気ガスを循環させるときに使用され、ガス循環手段44は、送風機などから構成される。容器40内に循環される雰囲気ガスとしては、アルゴンなどの不活性ガス、窒素などの反応性ガスを例示することができる。
【0042】
本発明の造形装置を構成する造形台10には、造形過程で形成された材料層を加熱するためのヒータ12が内蔵され、造形台10の温度は温度検知器13により計測される。14は、造形台10をZ方向に移動させるための昇降機構である。
【0043】
本発明の造形装置を構成する堆積部20は、ニッケル粉末(第1の材料)を収容する篩21と、この篩21の先端に設けられたノズル部22と、前記篩21を振動させる加振機構23とを備えている。
堆積部20は、適宜の駆動機構によってX方向(図面の左右方向)に移動可能である。
ここに、ノズル部22の先端開口の形状は、円形、矩形など特に限定されるものではないが、短時間で均一な材料層を形成することができる観点からスリット状であることが好ましい。
また、堆積部20を移動させている過程で、スリット幅を変化させることにより、ニッケル粉末の供給量を変化させてもよい。
【0044】
本発明の造形装置を構成する吐出部30は、溶融状態のアルミニウム(第2の材料)を保持する坩堝31と、この坩堝31の先端に設けられたノズル部32と、ノズル部32の流路を包囲するように設けられた加熱器33と、坩堝31の周囲に設けられた熱源34と、吐出部30の温度を計測する温度検知器35と、溶融アルミニウムの微小液滴を形成するために振動予圧をかける圧電セラミック素子36とを備えている。
【0045】
溶融状態のアルミニウムを保持する坩堝31内にはアルゴンガスなどの不活性ガスが充填されている。
加熱器33は、アルミニウムを加熱溶融するための加熱手段であり、高周波加熱器または抵抗加熱器からなる。熱源34は、坩堝31内に保持されている溶融アルミニウムを所要の温度に維持するための熱源である。
ノズル部32の先端開口の形状は特に限定されるものではない。また、ノズル部32の先端開口の面積は、所要の吐出領域を形成する微小液滴が得られ、燃焼合成反応による生成層の形成が効率的に行われるよう適宜調整することができる。
吐出部30は、適宜の駆動機構によってX方向(図面の左右方向)およびY方向(図面の前後方向)に移動可能であり、造形台10の上方における水平面上を設計データに基いて自由に走査することができる。
【0046】
図3に示した造形装置によれば、下記のようにして三次元形状物の造形方法(本発明の造形方法)が実施される。なお、下記に示す一連の操作は、制御手段50により自動的に制御されている。
【0047】
〔1〕加振機構23により篩21を振動させた状態で、堆積部20を、造形台10の表面を掃引するようX方向に移動させることにより、ノズル部22から排出されたニッケル粉末を、造形台10の表面に堆積させ、これにより、一定の厚さの材料層81Aを形成する。材料層81Aの形成後、堆積部20をX方向に移動させてホームポジションに戻すか、造形台10の周辺部(吐出部30の動作に影響を与えない位置)に退避させる。
【0048】
〔2〕設計データ(スライスデータ)に従って、吐出部30をX方向およびY方向に移動させながら、材料層81Aの表面に、溶融アルミニウムの微小液滴を連続的または断続的に滴下(選択的に吐出)することにより、吐出領域においてニッケル粉末と溶融アルミニウムとの燃焼合成反応を生じさせ、NiAlからなる生成層81Bを造形台10上に形成する。
なお、溶融アルミニウムの微小液滴は、圧電セラミック素子36により振動予圧をかけることにより滴下され、液滴のサイズ(容積)、温度、滴下速度などは、制御手段50により制御することができる。
【0049】
〔3〕造形台10をZ方向に距離Dだけ降下させる。
【0050】
〔4〕加振機構23により篩21を振動させた状態で、堆積部20を、材料層81Bの表面を掃引するようX方向に移動させることにより、ノズル部22から排出されたニッケル粉末を、材料層81Bの表面に堆積させ、これにより、厚さDの材料層82Aを形成する。材料層82Aの形成後、堆積部20をX方向に移動させてホームポジションに戻す。
【0051】
〔5〕設計データ(スライスデータ)に従って、吐出部30をX方向およびY方向に移動させながら、溶融アルミニウムの微小液滴を材料層82Aの表面に選択的に滴下(吐出)することにより、吐出領域においてニッケル粉末と溶融アルミニウムとの燃焼合成反応を生じさせ、NiAlからなる生成層82Bを材料層81B上に形成する。ここに、生成層82Bは、生成層81Bの表面に強固に接合された状態となる。
【0052】
〔6〕以下、同様に、生成層の積層を繰り返した後、未反応領域のニッケル粉末を除去することにより、生成層間が強固に接合(三次元的な層間接合)された積層体からなる三次元形状物を得ることができる。
【0053】
<変形例>
本発明の造形装置および造形方法においては、上記の形態に限定されるものではなく、下記に示すように種々の変更が可能である。
【0054】
〔1〕造形台はZ方向に固定されていてもよい。かかる場合には、吐出部がZ方向にも移動可能であることが必要とされ、堆積部がZ方向に移動可能であってもよい。
【0055】
〔2〕吐出部により溶融アルミニウムの微小液滴を滴下するために、圧電セラミック素子36による振動予圧に代えて、パルスバルブによってアルゴンガスの圧力を印加してもよい。
【0056】
〔3〕堆積部20は、Y方向(図面の前後方向)に移動可能であってもよく、また、X方向およびY方向に移動可能で、水平面上を自由に走査することができるものであってもよい。
【0057】
〔4〕堆積部20により堆積される第1の材料は、ニッケル粉末と、他の金属粉末との混合物から構成されていてもよい。すなわち、第1の材料は、複数の物質の混合物から構成されていてもよい。ここに、他の金属粉末としては、アルミニウム(第2の材料の構成物質)の粉末を挙げることができる。ニッケル粉末と他の金属粉末との混合物を第1の材料として使用することにより、燃焼合成反応の反応制御を行うことができる。
【0058】
〔5〕吐出部30により吐出(滴下)される第2の材料は、アルミニウムと、他の金属との混合物から構成されていてもよい。すなわち、第2の材料は、複数の物質の混合物から構成されていてもよい。アルミニウムと他の金属との混合物を第2の材料として使用することにより、燃焼合成反応の反応制御を行うことができる。
【0059】
〔6〕堆積部20は、ニッケル粉末(燃焼合成反応に関与する第1の材料)と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を堆積して材料層を形成してもよい。かかる第3の材料としては、TiB2 粉末、Al2 3 粉末などのセラミック粉末を挙げることができる。これにより、セラミックにより強化された複合材料からなる三次元形状物を造形することができる。
【0060】
〔7〕吐出部30は、溶融アルミニウム(燃焼合成反応に関与する第2の材料)と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を選択的に吐出してもよい。かかる第3の材料としては、前記セラミック粉末を挙げることができる。これにより、セラミックにより強化された複合材料からなる三次元形状物を造形することができる。
【0061】
〔8〕堆積部20により形成される材料層中に、燃焼合成反応の生成物であるNiAl粉末が希釈剤として混入されていてもよい。
【0062】
〔9〕本発明の造形方法においては、積層される生成層のすべて、または任意の層に対して、切削、研削、研磨および酸洗などの腐食処理から選ばれた少なくとも1種の中間処理を行うことが好ましい。このような中間処理を行うことにより、最終的に得られる三次元形状物は、高い寸法精度および材料的な緻密性を有するものとなる。従って、本発明の造形装置には、これらの中間処理を行うための処理手段が設けられていることが好ましい。
【0063】
図4(a)〜(d)は、堆積部20とは異なる機構によってニッケル粉末(第1の材料)を堆積する過程を示す説明図であり、同図において、15は造形台、151は造形台の中央領域、152は造形台の周辺領域、83Aは材料層(第1層)、83Bは生成層(第1層)、90は擦切器、30は吐出部である。図4に示した堆積機構によれば、下記のようにしてニッケル粉末の堆積操作が行われる。
【0064】
(1)生成層83Bの形成後、造形台15の中央領域151を、形成すべき材料層(第2層)の厚みに相当する距離だけZ方向に移動し、ニッケル粉末の堆積空間を形成する〔同図(b)参照〕。
(2)ニッケル粉末Pを内包する擦切器90の下方に中央領域151が位置するよう、造形台15をX方向に移動する。これにより、擦切器90に内包されているニッケル粉末Pの一部が前記堆積空間に収容される〔同図(c)参照〕。
(3)造形台15をX方向に移動して元の位置まで戻す。これにより、前記堆積空間から溢れるニッケル粉末Pが擦切器90によって擦り切られ、周辺領域152のレベルに表面を有する材料層84A(第2層)が形成される〔同図(d)参照〕。
【0065】
図5は、本発明の造形装置の他の例の具体的構成を示す説明用断面図である。
図5に示す造形装置は、図3に示した造形装置に、構成要素として第2の堆積部26が付加されている。
第2の堆積部26は、造形台10の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に任意の材料を堆積することにより、当該任意の材料と、堆積部20により堆積される第1の材料との混合物からなる材料層を形成する手段である。
ここに、第2の堆積部26により堆積される任意の材料としては、▲1▼ 堆積部20により堆積される第1の材料の構成物質とは異なる、燃焼合成反応に関与する物質からなる材料(第1の材料)、および▲2▼ 燃焼合成反応に関与しない第3の材料を挙げることができ、当該第3の材料としては、セラミック粉末を例示することができる。
【0066】
▲1▼ 堆積部20により堆積される第1の材料の構成物質とは異なる物質からなる第1の材料を第2の堆積部26により堆積する場合には、形成される材料層において、堆積部20により堆積される第1の材料の構成物質Aと、第2の堆積部26により堆積される第1の材料の構成物質Bとの割合(A:B)が部分的に異なる三次元形状物を造形することができる。例えば、移動速度を変化させることにより、または、開口部の大きさを変化させることにより、同一の生成層間における両者の割合(A:B)を連続的(傾斜的)または段階的に変化させることができる。
【0067】
また、▲2▼ 第2の堆積部26により、第3の材料であるセラミック粉末を堆積することにより、セラミックにより強化された三次元形状物を造形することができるとともに、当該三次元形状物におけるセラミックの充填割合を任意に変化させることもできる。
なお、本発明の造形装置には、3つ以上の堆積部が設けられていてもよい。
【0068】
図6は、本発明の造形装置の他の例の概略構成を示す説明用斜視図である。
図6に示す造形装置200は、造形台210と、当該造形台210の上方に配置された堆積部220および吐出部230とを備えてなる。
【0069】
造形装置200を構成する造形台210は、造形物を載置するためのステージであり、中心軸100の周り(θ方向)に回転可能であるとともに、Z方向に移動(昇降)可能に設けられている。
【0070】
堆積部220は、造形台210の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に任意の材料を堆積して材料層を形成するための手段である。この堆積部220は、水平面上における一方向(矢印Rで示す方向)に移動可能に設けられている。堆積部220により堆積される任意の材料としては、ニッケル粉末など燃焼合成反応に関与する前記第1の材料を挙げることができる。
【0071】
吐出部230は、堆積部220によって形成された材料層の表面に、任意の材料を選択的に吐出するための手段であり、この吐出部230は、堆積部220の移動方向と同一方向に移動可能に設けられている。吐出部230により選択的に吐出される任意の材料としては、溶融アルミニウムなど燃焼合成反応に関与する前記第2の材料を挙げることができる。図6に示したような造形装置によれば、可動機構が少ないために、装置全体の構成を簡素化することができる。
【0072】
なお、造形台210がZ方向に固定されていてもよく、かかる場合には、堆積部220および吐出部230をそれぞれZ方向に移動可能とする必要がある。
また、堆積部220を構成するノズル部のスリット状開口の一端を前記中心軸100上に配置した状態で当該堆積部220固定すれば、前記スリットの長さを半径とする円形領域において、材料層の形成を行うことができる。
【0073】
図7は、図6に示す造形装置による造形過程の一例を示す斜視図であり、堆積部220によってニッケル粉末を堆積して形成した材料層85Aの表面に、溶融アルミニウムを選択的に吐出することにより、NiAl(燃焼合成反応生成物)を含有する生成層85Bを形成している状態を示しており、このような造形過程を行うことにより、生成層85Bが円盤状または螺旋状に積層されてなる三次元形状物を造形することができる。
【0074】
以上において、燃焼合成反応による反応生成物を含有する生成層を積層する工程を含む実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、燃焼合成反応に関与する2種以上の粉末状物質を結着してなる三次元形状物を積層造形法により造形した後、前記2種以上の粉末状物質の燃焼合成反応を行わせ、燃焼合成反応の反応生成物を含む三次元形状物を得る方法も本発明の範囲に包含される。
すなわち、本発明の造形方法の他の実施形態は、2種以上の粉末状物質を結着して材料層を積層する工程と、得られた積層体中において前記2種以上の粉末状物質の燃焼合成反応を生じさせて当該積層体を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。
ここに、材料層を積層する工程と、積層体を硬化させる工程との間には、通常、結着剤を脱脂する工程が含まれる。
粉末状物質を結着させるために好適な結着剤としては、当該粉末状物質に流動性を付与することのできる樹脂成分を挙げることができる。粉末状物質に流動性が付与されることにより、当該粉末状物質を比較的低温で吐出することができ、加熱器を使用する必要がなくなるため、省エネルギーの観点から好ましい。
【0075】
かかる造形方法を実施するための造形装置としては、造形物を載置するための造形台と、この造形台の上方に配置され、2種以上の粉末状物質と樹脂との混練物を堆積するための堆積部、または前記造形台の上方に配置され、樹脂成分と粉末との混合物を選択的に吐出するための吐出部とを備えている装置を挙げることができる。ここに、「造形台」、「2種以上の粉末状物質を堆積するための堆積部」および「樹脂成分を選択的に吐出するための吐出部」としては、図2に示した造形装置を構成する「造形台10」、「堆積部20」および「吐出部30」と同様のもの挙げることができる。すなわち、この造形方法を実施するために、図2および図3に示した装置を使用することも可能である。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が奏される。
〔1〕燃焼合成法によって生成層を形成することにより、材料自体の反応熱が生成層の形成(燃焼合成反応の伝播)に有効に利用され、この結果、金属間化合物などの高融点材料から構成される三次元形状物を少ない消費エネルギによって短時間で造形することができる。
〔2〕第1の材料および第2の材料が共に存在する吐出領域で燃焼合成反応を生じさせることにより、反応領域が制御されて熱暴走などの問題が生じることはなく、従来の方法(鋳造・鍛造、延伸などの加工法および煩雑な工程を含む冶金的手法)では造形することが不可能またはきわめて困難な複雑な形状を有する三次元形状物であっても、短時間で確実に造形することができる。
〔3〕設計データに忠実で寸法精度が高く、緻密性を有する金属間化合物から構成される三次元形状物を造形することができる。
〔4〕金属間化合物から構成される生成層同士が強固に接合された積層体からなる三次元形状物を得ることができる。
〔5〕第1の材料とセラミック材料との混合物を堆積して材料層を形成することにより、または、第2の材料とセラミック材料との混合物を選択的に吐出することにより、セラミックにより強化された金属間化合物から構成される三次元形状物を造形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の造形方法における積層形成過程の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の造形装置の一例の概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の造形装置の一例の具体的構成を示す説明用断面図である。
【図4】ニッケル粉末を堆積する過程の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の造形装置の他の例の具体的構成を示す説明用断面図である。
【図6】本発明の造形装置の他の例の概略構成を示す説明用斜視図である。
【図7】図6に示す造形装置による造形過程の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 造形装置
10 造形台
12 ヒータ
13 温度検知器
14 昇降機構
15 造形台
151 造形台の中央領域
152 造形台の周辺領域
20 堆積部
21 篩
22 ノズル部
23 加振機構
26 第2の堆積部
30 吐出部
31 坩堝
32 ノズル部
33 加熱器
34 熱源
35 温度検知器
36 圧電セラミック素子
40 容器
41 熱源
42 排気手段
43 ガス供給手段
44 ガス循環手段
45 温度検知器
50 制御手段
81A 材料層
81B 生成層
82A 材料層
82B 生成層
83A 材料層(第1層)
83B 生成層(第1層)
84A 材料層(第2層)
85A 材料層
85B 生成層
90 擦切器
100 中心軸
200 造形装置
210 造形台
220 堆積部
230 吐出部

Claims (20)

  1. 第1の材料を堆積して形成された材料層(n)の表面に、第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(n)を形成する工程と、
    この生成層(n)の表面を含む平面上に、第1の材料を堆積して材料層(n+1)を形成するとともに、この材料層(n+1)の表面に、第2の材料を選択的に吐出することにより、吐出領域において第1の材料と第2の材料との燃焼合成反応を生じさせ、この反応生成物を含有する生成層(n+1)を積層形成する工程とを含むことを特徴とする三次元自由造形方法。
  2. 請求項1に記載の三次元自由造形方法であって、
    前記第1の材料は粉末状であり、前記第2の材料は溶融状態で吐出されることを特徴とする三次元自由造形方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の三次元自由造形方法であって、
    前記反応生成物中に、チタン、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、バナジウム、モリブデン、コバルト、鉄、銅、タングステン、クロム、マンガン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セレン、テルル、ビスマス、ゲルマニウム、ケイ素、炭素、ホウ素、硫黄、リンおよび窒素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が含有されていることを特徴とする三次元自由造形方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の三次元自由造形方法であって、
    前記第1の材料および前記第2の材料の少なくとも一方が、複数の物質の混合物から構成されていることを特徴とする三次元自由造形方法。
  5. 請求項4に記載の三次元自由造形方法であって、
    前記複数の物質の少なくとも1種の存在量が部分的に異なるように三次元形状物を造形することを特徴とする三次元自由造形方法。
  6. 請求項4に記載の三次元自由造形方法であって、
    前記複数の物質の少なくとも1種の存在量が、X方向、Y方向およびZ方向の少なくとも一方向において連続的または段階的に変化するように三次元形状物を造形することを特徴とする三次元自由造形方法。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の三次元自由造形方法を実施するための三次元自由造形装置であって、
    造形物を載置するための造形台(10)と、
    この造形台(10)の上方に配置され、当該造形台(10)の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に第1の材料を堆積して材料層を形成するための堆積部(20)と、
    前記造形台(10)の上方に配置され、前記材料層の表面に第2の材料を選択的に吐出するための吐出部(30)とを備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  8. 請求項7に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記造形台(10)がZ方向に移動可能であり、
    前記堆積部(20)がX方向および/またはY方向に移動可能であり、
    前記吐出部(30)がX方向およびY方向に移動可能であることを特徴とする三次元自由造形装置。
  9. 請求項7に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記造形台(10)が固定され、
    前記堆積部(20)がX方向および/またはY方向に移動可能であり、
    前記吐出部(30)がX方向およびY方向およびZ方向に移動可能であることを特徴とする三次元自由造形装置。
  10. 請求項7乃至請求項9の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)、前記堆積部(20)および前記吐出部(30)を収容する容器(40)と、この容器(40)内を加熱する熱源(41)と、前記容器(40)内を真空 状態とするための排気手段(42)とを備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  11. 請求項7乃至請求項9の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)、前記堆積部(20)および前記吐出部(30)を収容する容器(40)と、この容器(40)内を加熱する熱源(41)と、前記容器(40)内の雰囲気ガスを循環させるガス循環手段(43)とを備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  12. 請求項7乃至請求項11の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、造形台(10)の動作、吐出部(30)の動作、堆積部(20)の動作および造形環境を制御することのできる制御手段(50)を備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  13. 請求項7乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記堆積部(20)は、燃焼合成反応に関与する第1の材料と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を堆積して材料層を形成することを特徴とする三次元自由造形装置。
  14. 請求項7乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記吐出部(30)は、燃焼合成反応に関与する第2の材料と、燃焼合成反応に関与しない第3の材料との混合物を選択的に吐出することを特徴とする三次元自由造形装置。
  15. 請求項7乃至請求項12の何れかに記載の三次元自由造形装置であって、前記造形台(10)の上方に配置され、当該造形台(10)の表面または造形過程における生成層の表面を含む平面上に任意の材料を堆積することにより、当該任意の材料と、前記堆積部(20)により堆積される第1の材料との混合物からなる材料層を形成するための第2の堆積部(26)を備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  16. 請求項15に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記第2の堆積部(26)により堆積される任意の材料が、前記堆積部(20)により堆積される第1の材料の構成物質とは異なる、燃焼合成反応に関与する物質からなることを特徴とする三次元自由造形装置。
  17. 請求項15に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記第2の堆積部(26)により任意の材料が、燃焼合成反応に関与しない第3の材料であることを特徴とする三次元自由造形装置。
  18. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の三次元自由造形方法を実施するための三次元自由造形装置であって、
    中心軸(100)の周りに回転可能な造形台(210)と、
    この造形台(210)の上方に配置され、任意の材料を堆積して材料層を形成するための堆積部(220)と、
    前記造形台(210)の上方に配置され、前記材料層の表面に任意の材料を選択的に吐出するための吐出部(230)とを備えていることを特徴とする三次元自由造形装置。
  19. 請求項18に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記造形台(210)が、Z方向に移動可能であり、
    前記堆積部(220)が、水平面の一方向に移動可能であり、
    前記吐出部(230)が、水平面の一方向に移動可能であることを特徴とする三次元自由造形装置。
  20. 請求項18に記載の三次元自由造形装置であって、
    前記造形台(210)が、Z方向に固定され、
    前記堆積部(220)が、水平面の一方向およびZ方向に移動可能であり、
    前記吐出部(230)が、水平面の一方向およびZ方向に移動可能であることを特徴とする三次元自由造形装置。
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