JP4212825B2 - 個人認証方法とその装置、及び個人認証システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば認証対象者の音声をマイクで集音し、該音声に基づいて本人であるか否かを認証するような個人認証方法とその装置及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、音声による個人認証方法として、認証対象者の声紋を利用したものが存在している。該声紋は、音声を時間、周波数及び大きさで表現したパターンであり、この声紋に対して周波数分析を行い、予め登録している個人パターンとマッチングすることで、本人であるか否かを認証している。
【0003】
この声紋を利用する個人認証は、例えばパーソナルコンピュータに備える場合であれば、近年増加しているマイク付きのパーソナルコンピュータにソフトウェアをインストールするだけで使用でき、スキャナ等の他のハードウェアが不要であるため、虹彩,網膜,指紋等他のバイオメトリクス認証技術と比較してコストパフォーマンスが潜在的に優れている。
【0004】
このような声紋を利用する方式としては、事前に登録したキーワードと比較するキーワード認証方式と、通常の会話中の自由音声から認証するフリーワード認証方式が存在している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記フリーワード認証方式は、本人の会話を録音して再生すると、その会話内容がどのようなものであっても本人であると認証してしまうため、他人によるなりすましが容易でありセキュリティレベルに問題があった。
【0006】
また、両方式とも使用するのが声紋であるため、集音時にマイクのノイズが発生すると、声紋の周波数に影響して認証率が低下することとなるため、パーソナルコンピュータに付属のマイクでは不十分であり、高精度のマイクが必要であった。
さらには、認証対象者が風邪をひいた場合等、声質が変化した場合に声紋が一致せず、本人でないと識別されるという問題も存在していた。
【0007】
この発明は、セキュリティレベルが高く、低コストでノイズの影響が少ない音声による個人認証システムを提案し、個人認証システムの導入を促して社会のセキュリティ問題解決に貢献することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、認証対象者の音声を集音手段で集音し、該音声中の音量変化によって現れる音量特徴部の複数を特徴部抽出手段で抽出し、前記複数の音量特徴部の相関関係に現れる個人特徴情報を個人特徴割出手段で割り出し、記憶手段に記憶した認証対象者別の基準特徴情報と前記個人特徴情報とを比較手段で比較し、該比較結果に基づき認証手段で本人を認証する個人認証方法又はその装置であって、前記音量特徴部を、認証対象者の発音開始部、所定音量を超過する複数の極大音量部、及び発音終了部で構成し、前記相関関係を、少なくとも前記極大音量部間の時間に基づいた前記音量特徴部間の時間比率、及び、前記極大音量部間の音量比率で構成することを特徴とする。
【0009】
これにより、認証対象者の音声の音量に基づいて本人か否かを確認することができ、ノイズの干渉による影響を受けずに手軽かつ高精度な個人認証が可能になる。
【0010】
また、音量に基づいて本人か否かを確認するため、風邪等の体調の影響を受けることなく、常時高精度で個人認証することが可能となる。
【0011】
さらには、周波数特性を認証条件に使用しないため、個人特徴情報の抽出が容易であり、かつ基準特徴情報との比較も容易となり、マッチング時間が短縮できる。これにより、大規模システムで相当数の人数を個人認証するような場合であっても、迅速かつ確実に本人を認証することができる。
【0012】
音量特徴部間の時間比率で認証することにより、例えば認証対象者が本人であると正しく認識できなかったため再度ゆっくり発音された場合等、認証対象者の気分や体調によって変化する発音スピードに対応することができる。すなわち、発音スピードが変化しても音量特徴部が現れる時間比率は同一若しくはほぼ同一であり、この特性を利用して本人であると認証することが可能になる。
【0013】
前記集音手段は、ハンドマイク、卓上マイク、ヘッドマイク等、音を集音する集音装置で構成することを含む。
【0014】
前記特徴音量部は、発音開始部、発音終了部、所定音量を超過する複数の極大音量部で構成する。
前記特徴音量部の抽出は、認証対象者の発音終了後に抽出する、あるいは発音中にリアルタイムで特徴抽出することを含む。
【0015】
前記相関関係に現れる個人特徴情報は、少なくとも前記極大音量部間の時間に基づいた前記音量特徴部間の時間比率、及び、前記極大音量部間の音量比率で構成する。
また極大音量部が現れる順番との複合で形成することを含む。
【0016】
前記基準特徴情報は、前記個人特徴情報を同一の認証対象者から複数回サンプリングした平均データ、又は各サンプリングデータの傾向から本人として許容する所定の幅(例えば標準偏差×所定数)を持たせた認証許容データ等の基準データで構成することを含む。
【0017】
前記比較手段は、前記個人特徴情報と前記基準特徴情報とをマッチングするマッチングプログラムを実行するCPU(中央演算処理装置)又はMPU(マイクロプロセッサ)等の制御装置で構成することを含む。
【0018】
前記認証手段は、前記比較手段の結果が所定値、所定値以内又は所定値以外であれば本人として認証する認証プログラムを実行するCPU又はMPU等の制御装置で構成することを含み、認証結果を出力することを含む。
【0019】
前記構成により、単語や文章等の言葉を人が発声する際、同一の言葉であれば同一若しくはほぼ同一のアクセントで発音することを利用し、このアクセントを的確に抽出して個人認証を行うことができる。
【0020】
また好ましい実施の形態として、前記相関関係に、前記極大音量部が現れる順番を更に加えて構成することができる。
【0021】
またこの発明は、前記集音手段を備えて認証対象者に操作させる操作端末と、前記記憶手段を備えて前記基準特徴情報を管理する管理サーバを通信手段で通信可能に接続し、前記個人認証方法を実行可能に構成した個人認証システムとすることができる。
【0022】
前記特徴部抽出手段、個人特徴割出手段、記憶手段、比較手段、及び認証手段は、前記管理サーバに備える、又は前記操作端末に備える、あるいは管理サーバと操作端末の両方に備える、若しくは一部を操作端末に備えて残りを管理サーバ備えることを含む。
【0023】
前記記憶手段は、前記管理サーバ、前記操作端末、又は、前記管理サーバ又は/及び前記操作端末と通信可能なその他の装置(データベースサーバ等)に備えることを含む。
【0024】
前記構成により、認証対象者の基準特徴情報を管理サーバで一元管理することができ、基準特徴情報の更新及び管理が容易になると共に、利用を許可する認証対象者以外の基準特徴情報が不正に登録されるような不正行為を、管理サーバの管理のみで排除することができる。
【0025】
また、操作端末を複数備えた場合であっても、認証対象者である利用者は、各操作端末で個人認証を受けることが可能になり、個人毎に操作端末を設置する必要がなく、操作端末の台数削減を実現すると共に利用者の利便性を向上することができる。
【0026】
またこの発明は、前記個人認証システムに使用する操作端末とすることができる。
これにより、利用者は操作端末を操作して個人認証を受けることが可能になる。
【0027】
またこの発明は、前記個人認証システムに使用する管理サーバとすることができる。
これにより、基準特徴情報を一元管理することができる。
【0028】
【発明の効果】
この発明により、個人認証の導入件数を増大し、セキュリティ強化が望まれる社会の要望に答え、個人認証市場を活性化させ、コンピュータの発達した現代の社会活動の健全性を向上することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、図1に示す個人認証システム1のシステム構成図と共に、個人認証システム1の構成について説明する。
【0030】
個人認証システム1は、認証データベース(認証DB)21を備えた管理サーバ10と、認証対象者に操作させる複数の操作端末30,…とを、ハブ(図示省略)を介してLANケーブル2で接続して構成しており、これにより一企業内のイントラネットを構築している。
【0031】
前記管理サーバ10は、CD−ROMドライブ17を搭載した本体11と、該本体11に接続したモニタ14、キーボード15、マウス16、及び認証データベース21を格納したハードディスク20(後述)とを備えている。
【0032】
前記認証データベース21は、図2のデータ説明図に示すように、認証対象者のID、パスワード、氏名、認証禁止か否かを示す認証禁止フラグ、発音のアクセント数、及び後述する時間比率の平均値m1,m2,…で形成する認証基準データを記憶しており、該認証基準データを本人認証の基準とする。
【0033】
図1に示した前記操作端末30は、CD−ROMドライブ37を搭載した本体31と、該本体31に接続したモニタ34、キーボード35、マウス36、及び個人認証用のマイク38とを備えている。
【0034】
また、前記管理サーバ10及び前記操作端末30には、個人認証システム1に必要なソフトウェアとして、図3の斜視図に示すソフトウェアパッケージ50に同梱の各プログラムをインストール済みである。
【0035】
該ソフトウェアパッケージ50は、サーバ用インストールCD−ROM51、サーバ管理者用テクニカルマニュアル52、端末用インストールCD−ROM53、端末利用者用ユーザマニュアル54、及びユーザ登録カード55を、包装ケース56に収納して構成している。
【0036】
前記サーバ用インストールCD−ROM51は、認証データベース、特徴割出プログラム、比較認証プログラム、基準登録プログラム、及び基準データ作成プログラムをインストールするサーバ用インストールプログラムを記録している。
【0037】
前記端末用インストールCD−ROM53は、音声取得プログラム、及び認証依頼プログラムをインストールする端末用インストールプログラムを記録している。
【0038】
以上に説明したシステム構成により、管理サーバ10で認証基準データの認証データベース21への登録及び管理を実行し、操作端末30を操作する利用者(認証対象者)の音声をマイク38(操作端末30側)で集音して、本人であるか否かを認証することができる。
【0039】
次に、図4の管理サーバ10の制御回路を示すブロック図と共に、管理サーバ10の構造について説明する。
【0040】
管理サーバ10は、CPU、ROM及びRAMで構成する制御装置13を備え、該制御装置13にI/Oインータフェース12を介して以下の各装置を接続している。
【0041】
モニタ14は、制御装置13から受信するRGB信号に従って、文字、図形、及び記号等の画像を表示する。この画像には、認証データベース21をメンテナンスするメンテナンス画面や、システム管理者が認証対象者にIDを発行する画面を含む。
【0042】
キーボード15は、認証対象者にアルファベット、数字、記号を入力させる装置であり、入力されたキー信号を入力信号として制御装置13に送信する。認証対象者へのID発行時には、ID、パスワード、及び氏名といった認証基準データに必要な個人情報の入力を許容する。
【0043】
マウス16は、サーバ管理者若しくは認証対象者が制御装置13に命令を伝えるためのポインティングデバイスであり、座標信号及びクリック信号を入力信号として制御装置13に送信する。
【0044】
CD−ROMドライブ17は、CD−ROMに記録されたサーバ用インストールプログラム等のデータを読み込み、この読込信号を制御装置13に送信する。
【0045】
LANボード19は、操作端末30と通信を行うための通信装置であり、制御装置13から受信する通信信号に従って操作端末30と通信し、該操作端末30から受信したデータを通信信号として制御装置13に送信する。
【0046】
ハードディスク20は、前述のサーバ用インストールプログラムでインストールした認証データベース21、特徴割出プログラム(PG)22、比較認証プログラム23、基準登録プログラム24、及び基準データ作成プログラム25を記憶しており、制御装置13から受信する書込信号に従ってデータの更新(認証基準データの更新及びインストールを含む)を実行し、読込信号として必要なデータを制御装置13に送信する。
【0047】
以上の構造により、管理サーバ10は、認証データベース21のメンテナンスと認証対象者へのID発行が実行可能になり、操作端末30と通信して認証対象者の平均値m等を登録し、個人認証することができる。
【0048】
次に、図5の操作端末30の制御回路を示すブロック図と共に、操作端末30の構造について説明する。
【0049】
操作端末30は、CPU、ROM及びRAMで構成する制御装置33を備え、該制御装置33にI/Oインータフェース32を介して以下の各装置を接続している。
【0050】
モニタ34は、制御装置33から受信するRGB信号に従って、文字、図形、及び記号等の画像を表示する。この画像には、認証対象者を特定するためのID及びパスワード入力画面、認証対象者に認証用キーワードである氏名を発声させて集音する集音画面、認証対象者の認証基準データを登録する際の登録画面等の個人認証に必要な画面を含む。
【0051】
キーボード35は、認証対象者にアルファベット、数字、記号を入力させる装置であり、入力されたキー信号を入力信号として制御装置33に送信する。認証基準データの登録時には、ID及びパスワードといった認証基準データに必要な入力を許容する。
【0052】
マウス36は、制御装置33に利用者(認証対象者)が命令を伝えるためのポインティングデバイスであり、座標信号及びクリック信号を入力信号として制御装置33に送信する。
【0053】
CD−ROMドライブ37は、CD−ROMに記録された端末用インストールプログラム等のデータを読み込み、この読込信号を制御装置33に送信する。
【0054】
マイク38は、集音した音声を音声信号として制御装置33に送信する。これにより、認証対象者を本人と認証するために必要な音声データを取得する。また、認証対象者の認証基準となる認証基準データの作成時にも、登録に必要な認証対象者の音声を取得する。
【0055】
LANボード39は、管理サーバ10と通信を行うための通信装置であり、制御装置33から受信する通信信号に従って管理サーバ10と通信し、該管理サーバ10から受信したデータを通信信号として制御装置33に送信する。
【0056】
ハードディスク40は、前述の端末用インストールプログラムでインストールした音声取得プログラム41及び認証依頼プログラム42等の必要なデータを記憶しており、制御装置33から受信する書込信号に従ってデータの更新(インストールを含む)を実行し、読込信号として必要なデータを制御装置33に送信する。
【0057】
以上の構造により、認証対象者は操作端末30のマイク38に向かって発声し、この音声に基づく個人認証を受けることができる。これによって、個人認証を受けて初めて閲覧可能となる重要データや社外秘データ等の特別データにアクセスする、あるいは他のソフトウェアのアップグレードや環境設定の変更等、実行可能者が限定されている特殊操作を実行するといったことが可能になる。また、操作端末30から認証対象者としての登録を受けることができるため、登録時の利便性にも優れている。
【0058】
次に、図6に示す操作端末30の制御装置33の動作を示す処理フロー図と共に、管理サーバ10に認証対象者の認証基準データを登録する処理について説明する。
【0059】
この登録処理を実行するにあたっては、利用者は予め管理サーバ10を管理するシステム管理者に依頼して、ID及びパスワードの発行を受ける。該ID及びパスワードは、利用者の氏名と共にシステム管理者によって認証データベース21(図1)に記憶(登録)され、利用者が操作端末30で前記ID及びパスワードを入力したとき、前記認証データベース21に平均値m(図2)等の必要データが未登録であることがトリガーとなって以下の登録処理を実行する。
【0060】
制御装置33は、モニタ34に図7の画面イメージ説明図の(A)に示す登録データ入力画面を表示し(ステップs1)、今回の登録で認証対象者となる利用者にID及びパスワードを入力させる(ステップs2)。
【0061】
制御装置33は、音声取得プログラム41を起動し、(B)に示す音声入力画面をモニタ34に表示し(ステップs3)、利用者に氏名を発音させて、その音声をマイク38で集音して取得する(ステップs4)。
【0062】
なお、このとき利用者にキーワードとして氏名を発音させるようにしているが、これは氏名の発音がアクセントの抽出に最も適しているからである。すなわち、日常生活において電話で氏名を名乗る等の機会は多く、このとき相手に認識させるためにわかりやすくアクセントを強調して発音する独特の癖が個人毎に存在し、この安定した癖によって音量変化の特徴が他のキーワードよりも顕著に表れると共に、他人によるなりすましを防止する効果も高まる。
【0063】
もちろん、このキーワードは氏名に限定することなく、利用者が任意のキーワードを音声入力してもかまわず、音声取得プログラム41は、氏名であろうと他のキーワードであろうと変わりなく利用者の音声を示す音声データを取得することができる。
【0064】
このようにして取得した音声データは、時刻と音量の2次元グラフにして表示すると、図8の特徴抽出説明図の(D)に示す複雑な波形グラフg1となり、該波形グラフg1を取得した時点で音声取得プログラム41を終了する。
【0065】
制御装置33は、利用者に発声させて音声データを取得した回数が10回未満であるかチェックし、10回未満であればステップs3にリターンし、10回以上であれば次のステップに進む(ステップs5)。
【0066】
10回分の音声データを取得すると、該音声データを全て管理サーバ10に送信する(ステップs6)。
【0067】
前記音声データを受信した管理サーバ10の制御装置13は、基準データ作成プログラム25を起動し、まず前記10個の音声データの各波形グラフg1に対して外形を取得し、(E)に示すような外形グラフg2を10個作成する(ステップs7)。
前記基準データ作成プログラム25によって、(F)に示すように、予め定められている音量Va以上に前記外形グラフg2が突出している部分の極大点の時刻を示す特徴時刻v1及びv2を抽出し、これと共に音量がノイズの範囲を最初に超えた点の時刻を示す特徴時刻v0、及び音量がノイズの範囲に収まった点の時刻を示す特徴時刻v3を、各外形グラフg2毎に抽出する(ステップs8)。なお、前記特徴時刻v1及びv2は、発声(発話)における認証対象者のアクセントに対応している。
【0068】
制御装置13(管理サーバ側)は、まず音声データ(サンプリングデータ)毎に前記特徴時刻v3の時刻から前記特徴時刻v0の時刻を減算した発声時間(v3−v0)を算出し、該発声時間(v3−v0)を各音声データに対する各単位時間、すなわち1.00とする。
【0069】
音声データ毎に前記単位時間に対する特徴時刻v0からv1間の時間比率t1、特徴時刻v1からv2間の時間比率t2、…を割り出し、10回分の音声データによる各時間比率t1、t2、…の平均値m1、m2、…を算出し(ステップs9)、前記基準データ作成プログラム25を終了する。
【0070】
なお、前記単位時間は、上述のように10個別々に使用するのではなく、10回分の発声時間(v3−v0)の平均値で求めた1つの単位時間を使用するように構成しても良い。
【0071】
制御装置13は、基準登録プログラム24を起動し、前記平均値m(m1,m2,…)を認証基準データとして、図2に示した認証データベース21に登録し、前記基準登録プログラム24を終了する(ステップs10)。このとき、操作端末30に登録完了を送信する。なお、このとき前記各平均値mに対して標準偏差を求めておいても良い。該標準偏差を利用する場合には、サンプリングデータ(音声データ)の個々のばらつきに対応し、精度の高い個人認証を行うことができる。
【0072】
前記登録完了を受信した操作端末30は(ステップs11)、図7の(C)に示す登録完了画面を表示し(ステップs12)、登録処理を終了する。
【0073】
以上の動作により、図2に示したように、認証対象者となる利用者の認証基準データを、認証データベース21に登録することができ、前記利用者を認証対象者として個人認証を実行するためのサーバ環境が整う。
【0074】
次に、図9及び図11に示す操作端末30の制御装置33の動作を示す処理フロー図と共に、図10に示す画面イメージ説明図を参照して、認証対象者が操作端末30で個人認証を受ける処理について説明する。
【0075】
図5に示した制御装置33は、モニタ34に図10の(G)に示すID&パスワード入力画面を表示し(ステップn1)、認証対象者にIDとパスワードを入力させる(ステップn2)。
【0076】
前記ID及びパスワードの認証対象者の認証禁止フラグが1、すなわち認証禁止となっていた場合は(ステップn3)、「誤認回数が所定回数を上回っています。システム管理者に再登録を依頼してください。」と認証禁止である旨をモニタ34に表示し(ステップn4)、処理を終了する。
【0077】
認証禁止フラグが1でなかった場合には、制御装置33は音声取得プログラム41を起動し、図10の(H)に示す音声入力画面を表示する(ステップn5)。
認証対象者に氏名(若しくはキーワード)を発音させ、これをマイク38で集音する音声入力を実行し、これにより音声データを取得して音声取得プログラム41を終了する(ステップn6)。
【0078】
制御装置33は、認証依頼プログラム42を起動し、前記音声データを管理サーバ10に送信する(ステップn7)。
ここで、前記音声データを受信した管理サーバ10は、認証対象者が本人か否かを照合する照合処理を実行する(ステップn8)。該照合処理については、図11に示す処理フロー図と共に説明する。
【0079】
管理サーバ10の制御装置13は、特徴割出プログラム22を起動し、まず前記音声データの波形グラフg1(図8の(D))の外形を取得して、外形グラフg2(図8の(E))を作成する(ステップp1)。
前記特徴割出プログラム22によって、(F)に示したように、予め定められている音量Va以上に前記外形グラフg2が突出している部分の極大点の時刻を示す特徴時刻v1及びv2を抽出し、これと共に音量がノイズの範囲を最初に超えた点の時刻を示す特徴時刻v0、及び音量がノイズの範囲に収まった点の時刻を示す特徴時刻v3を抽出する(ステップp2)。
【0080】
制御装置33は、前記特徴時刻v3の時刻から前記特徴時刻v0の時刻を減算した発声時間(v3−v0)を算出し、該発声時間(v3−v0)を単位時間、すなわち1.00とする。前記特徴時刻v0からv1間の時間比率t1、特徴時刻v1からv2間の時間比率t2、…を割り出し、(ステップp3)、前記特徴割出プログラム22を終了する。
【0081】
制御装置13は、比較認証プログラム23を起動し、前記時間比率t1,t2…と認証基準データに記憶の平均値m1,m2とを比較し、その差を算出する(ステップp4)。
【0082】
前記差が予め設定した本人許容誤差(例えば標準偏差×所定数)の範囲内であるか否か(例えば、各時間比率tと各平均値mの差全てが本人許容誤差以内であるか否か、又は前記差のうち所定数(例えば9割)が本人許容誤差以内であるか否か)によって認証の可否を判断する(ステップp5)。
【0083】
前記認証がOKであれば認証結果として認証OKを操作端末30に送信し(ステップp6)、NGであれば認証結果として認証NGを操作端末30に送信して(ステップp7)、比較認証プログラム23を終了し管理サーバ10の処理を終了する。
【0084】
図9に戻って、操作端末30は認証結果を受信し、認証依頼プログラム42を終了する(ステップn9)。
【0085】
前記認証結果が認証OKであった場合には(ステップn10)、アクセス許可を出力して、認証対象者が操作端末30で社外秘データ等のセキュリティデータにアクセスすることを許容し、個人認証処理を終了する(ステップn11)。
【0086】
認証NGであった場合には、認証エラー画面をモニタ34に表示し(ステップn12)、エラー回数が所定回数以内であれば(ステップn13)、エラー回数に1追加してステップn3にリターンする(ステップn14)。
【0087】
エラー回数が所定回数を超えた場合(例えば10回連続して認証NGと判断された場合)には、この認証対象者の認証を禁止するための禁止データ(ID及び認証禁止フラグで形成)を管理サーバ10に送信し(ステップn15)、管理サーバ10で認証データベース21の該ID(図2参照)の認証対象者に対して、認証禁止フラグを1に更新し、認証禁止登録を行う(ステップn16)。
【0088】
以上の動作により、図12の効果説明図に示すように、例えば認証基準データの作成時には落ち着いて発音したため、(I)の基準に示すように全体で2.13秒かけて氏名を入力し、個人認証時には急いで発音したため、(I)の今回に示すように1.57秒で氏名を入力した場合にも対応できる。
【0089】
すなわち、そのままであれば氏名を発音する時間全体が大幅に異なり、比較すると本人でないと認識してしまうところ、時間全体を単位時間(1.00)としてその比率で特徴時刻vの比較を行うため、本人であると正しく認証することができる。
これにより、認証対象者を音声で正確に認証することができ、重要データにアクセス可能な利用者を制限して、セキュリティを確保することが可能になる。また、特徴割出プログラム22及び比較認証プログラム23を管理サーバ10にのみ備えることで、認証に関するプログラムを解析されるようなハッキングの危険性を回避することができる。
【0090】
すなわち、操作端末30に特徴割出プログラム22及び比較認証プログラム23を備えた場合は、操作端末30に対して手を加えればハッキング可能となるため、全操作端末30の厳重管理が必要となるが、この実施形態では管理サーバ10のみを厳重管理すれば、前記ハッキング行為を排除することができる。
【0091】
さらには、認証対象者が風邪をひいた場合等、声質が変化した場合であっても、この影響を受けることなくアクセント(特徴時刻v1,v2)を抽出できるため、認証対象者の体調に影響されず常時高精度で個人認証することができる。
【0092】
なお、音量Vaの値又は/及び特徴時刻vの抽出個数は、管理サーバ10でシステム管理者が設定できるように構成しても良い。これにより、個人認証システム1を導入する企業や施設毎に、個別の認証基準を設定することができ、認証基準は個人認証システム1の提供者さえも知り得ぬ情報となって、セキュリティレベルを向上することができる。
【0093】
また、標準偏差による認証基準データとの本人許容誤差をシステム管理者が任意に設定できるように構成しても良い。これにより、個人認証システム1を導入する企業や施設が要求する堅牢度に対し、本人として認証する本人許容誤差(許容レベル)を柔軟に変更して対応することが可能になる。
【0094】
また、特徴時刻vは、音量Va以上に突出している部分の極大点から抽出したが、最大音量となる極大点から突出量の大きい順に1又は複数の特徴時刻vを抽出しても良い。この場合は、例えば3箇所の特徴時刻vを抽出すると設定した場合、認証対象者の声量及びマイクの性能の変化により集音レベル(録音レベル)が変化しても常に3箇所の特徴時刻vを抽出することとなる。これにより、基準データに対する集音データ全体の音量差の影響を受けずに本人認証することができ、より認証精度を向上することができる。
【0095】
また、特徴割出プログラム22、比較認証プログラム23、基準登録プログラム24、及び基準データ作成プログラム25は、全て又は一部(例えば基準登録プログラム24以外の各プログラム)を操作端末30に備えても良い。これにより、管理サーバ10の負荷を軽減して処理速度を向上し、多人数が使用する大規模システムでもストレスなく利用することができる。
【0096】
また、パスワードはシステム管理者による発行後、利用者が操作端末30で自由に若しくは所定の制限範囲内で変更可能に構成しても良い。
【0097】
また、個人認証システム1は、イントラネットに限らずインターネットを介して利用可能に構成しても良く、操作端末30のハードディスク40に全てのプログラム及びデータを格納して操作端末30’を形成し、該操作端末30’単体で使用可能に構成しても良い。
【0098】
また、欧米人などの外国人は、日本人よりもアクセント時の音量変化が顕著であるため、個人認証システム1を外国人専用としても良い。
【0099】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の集音手段は、実施形態のマイク38に対応し、
以下同様に、
通信手段は、LANボード19,39に対応し、
記憶手段は、ハードディスク20に対応し、
特徴部抽出手段は、特徴割出プログラム22を実行する制御装置13に対応し、
個人特徴割出手段は、特徴割出プログラム22を実行する制御装置13に対応し、
比較手段は、比較認証プログラム23を実行する制御装置13に対応し、
認証手段は、比較認証プログラム23を実行する制御装置13に対応し、
個人認証装置は、操作端末30’に対応し、
音量特徴部は、特徴時刻vに対応し、
発音開始部は、特徴時刻v0に対応し、
所定音量部は、特徴時刻v1,v2に対応し、
発音終了部は、特徴時刻v3に対応し、
個人特徴情報は、時間比率tに対応し、
基準特徴情報は、平均値mに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】個人認証システムのシステム構成図。
【図2】認証基準データのデータ説明図。
【図3】ソフトウェアパッケージの斜視図。
【図4】管理サーバの制御回路を示すブロック図。
【図5】操作端末の制御回路を示すブロック図。
【図6】管理サーバの制御装置の動作を示す処理フロー図。
【図7】管理サーバの画面イメージ説明図。
【図8】特徴抽出説明図。
【図9】操作端末の制御装置の動作を示す処理フロー図。
【図10】操作端末の画面イメージ説明図。
【図11】操作端末の制御装置の動作を示す処理フロー図。
【図12】効果説明図。
【符号の説明】
1…個人認証システム
10…管理サーバ
13…制御装置
19…LANボード
20…ハードディスク
22…特徴割出プログラム
23…比較認証プログラム
30…操作端末
30’…操作端末
38…マイク
39…LANボード
51…サーバ用インストールCD−ROM
53…端末用インストールCD−ROM
v…特徴時刻
t…時間比率
m…平均値
Claims (7)
- 認証対象者の音声を集音手段で集音し、
該音声中の音量変化によって現れる音量特徴部の複数を特徴部抽出手段で抽出し、
前記複数の音量特徴部の相関関係に現れる個人特徴情報を個人特徴割出手段で割り出し、
記憶手段に記憶した認証対象者別の基準特徴情報と前記個人特徴情報とを比較手段で比較し、
該比較結果に基づき認証手段で本人を認証する
個人認証方法であって、
前記音量特徴部を、認証対象者の発音開始部、所定音量を超過する複数の極大音量部、及び発音終了部で構成し、
前記相関関係を、少なくとも前記極大音量部間の時間に基づいた前記音量特徴部間の時間比率、及び、前記極大音量部間の音量比率で構成する
個人認証方法。 - 前記相関関係に、前記極大音量部が現れる順番を更に加えて構成する
請求項1記載の個人認証方法。 - 認証対象者の音声を集音する集音手段と、
該音声中の音量変化によって現れる複数の音量特徴部を抽出する特徴部抽出手段と、
前記音量特徴部の相関関係に現れる個人特徴情報を割り出す個人特徴割出手段と、
記憶手段に記憶した認証対象者別の基準特徴情報と前記個人特徴情報とを比較する比較手段と、
該比較結果に基づき本人を認証する認証手段を備えた
個人認証装置であって、
前記音量特徴部を、認証対象者の発音開始部、所定音量を超過する複数の極大音量部、及び発音終了部で構成し、
前記相関関係を、少なくとも前記極大音量部間の時間に基づいた前記音量特徴部間の時間比率、及び、前記極大音量部間の音量比率で構成した
個人認証装置。 - 前記相関関係に、前記極大音量部が現れる順番を更に加えて構成する
請求項3記載の個人認証装置。 - 前記集音手段を備えて認証対象者に操作させる操作端末と、
前記記憶手段を備えて前記基準特徴情報を管理する管理サーバを通信手段で通信可能に接続し、
請求項1又は2に記載の個人認証方法を実行可能に構成した
個人認証システム。 - 請求項5記載の個人認証システムに使用する
操作端末。 - 請求項5記載の個人認証システムに使用する
管理サーバ。
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