JP4191526B2 - 運動用具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運動用具に関するものであり、特に高齢者等の転倒を予防する目的で筋力および平衡感覚を向上させるための運動に用いる運動用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国において、100歳を超える者を含む高齢者が急激に増加している。そして、65歳以上の高齢者の約三分の一が、一年間に一回以上転倒経験があるという統計結果が提出されている。また、転倒が原因で自信を喪失し、活動能力がさらに低下すること、あるいは、転倒による下肢の骨折がもとで寝たきりになることがあり、高齢者の転倒が重大な社会問題になりつつある。そして、転倒を引起こす要因は、環境要因と身体的要因に分けられると考えられている。
【0003】
ここで、環境要因とは、住宅や道路、公共施設などにおける構造上の問題であり、つまづく原因となる突起物、滑りやすい床面、暗い室内、段差の大きい階段、および滑りやすい廊下などが挙げられる。一方、身体的要因はさらに医学的要因と体力的要因とに分けられる。
【0004】
そして、医学的要因とは、一時的な脳虚血による失神、三半規管能の減衰によるバランス低下に伴うつまづき、および転倒回避能の低下等を指している。一方、体力的要因とは、筋力、調整力等の行動体力、ストレス等に対する抵抗力、および行動力等の低下等を指している。上述の要因のうち、環境要因および医学的要因は本人だけの力では不可避的な場合が多いが、体力的要因の問題は本人の努力および鍛錬次第で改善が可能と考えられている。
【0005】
ところで、最近、高齢者において、歩行速度と筋力や平衡機能、持久力など一般的な体力指標との間に強い相関が認められ、高齢者にとって速く歩く能力(いわゆる、歩行能力)が大変重要であるということがわかっている。そのため、健康維持増進のために歩く高齢者が増えている。しかし、漫然たる散歩やウォーキングなどの持久性運動だけでは、老化を防ぐことは難しいため、積極的な筋力づくり運動を行うことが専門医などの間で重要視されてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、最近は高齢者を対象とした健康教室が各地のコミュニティーセンター等で盛ん行われるようになり、高齢者に対して持久力、筋力、バランス、および柔軟性に基礎をおいた運動指導を行っている。しかしながら、転倒予防を目的として、筋力とバランス感覚とを養うのに効果的な歩行運動を指導するものは少なかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、転倒予防を目的とした歩行運動に用いる運動用具の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運動用具は、「板状を呈するマット体のマット体上面から穿設され、運動者の足部の少なくとも一部が接地可能な接地面、及び前記接地面からの高さが最大の点を結んで形成され、前記足部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部と、互いに隣接する前記歩行表示部の間、および前記マット体の外周部と前記歩行表示部との間にそれぞれ形成され、前記歩行表示部の境界を示す境界部とを具備し、前記開口部は、前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記接地面及び前記境界部により形成された所定高さの段差によって爪先立ちの状態に強制することを」を、上述の課題を解決するための主要な構成とする。
【0009】
ここで、運動者は、加齢により筋力等が低下している高齢者、および事故、病気等により筋力等が低下している患者等が想定される。また、足部は、足首より下の部分を称する。そして、歩行訓練は、指定された場所に指定された順序で運足するものであり、転倒予防運動が例示される。なお、転倒予防運動とは、つまずかないための運動、およびつまずいた後の転倒回避能の向上を目的とした運動である。つまずかないための運動は、地面の突起物や滑りやすい床面に対応できる安定した下半身、上半身、および体幹の筋力作りを目的としており、具体的には、足を引上げる大腰筋、大腿四頭筋、足首を固定するのに重要な前頚骨筋、姿勢維持に重要な腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋、および下半身とのバランスを保つ上腕筋群、三角筋、僧房筋を強化するものである。一方、転倒回避能を向上させる運動は、つまづいた時にとっさのフォロー動作を行う調整力を養うものである。ここで、調整力は、体のふらつきを助ける平衡性、および素早く体を移動する敏捷性等を含む。
【0010】
また、運足場所の表示とは、歩行訓練を実施する運動者に対して、足部を着地させる領域を視覚的に示すことである。すなわち、歩行表示部は、足部を着地させる領域を、運動者に視認させるように区画されたものである。
【0011】
そして、マット体は、全体を四角形、円形等種々の形状に形成することができ、ゴム、プラスチック等の樹脂、および人工芝等種々の素材が適用可能である。また、開口部および接地面の形状は、四角形状、円形状等種々の形状で形成することが可能である。例えば、ゴムを使用して形成すると、運動者の足が接地面に着地した際の足への衝撃を吸収することができ、さらに、マット体、および歩行表示部を、四角形状に形成すると複数の歩行表示部の配置が容易となり、保管も容易であるため、係る素材および形状の選択が好適である。なお、年齢、性別、および運動者の運動能力等に応じて、歩行表示部の大きさを変更するものであってもよい。
【0012】
したがって、本発明に係る運動用具によれば、運足する場所を表示可能な複数の歩行表示部を有するため、運動者が歩行訓練を実施する際に、運足する領域を視認することが可能となる。例えば、規定の運足順序に従って歩行表示部の接地面に足部を着地させて歩行するインストラクターの後について、運動者がインストラクターと同じ順序で運足する歩行訓練を実施させる。また、インストラクターがいない場合でも、独りで歩行訓練を実施することも可能になる。さらに、歩行表示部が穿設され、境界部が接地面に対して凸状を呈するため、運動者の足部が接地面内に着地していない場合、運動者は境界部を足の裏で踏み、感触で接地面内に着地していないことを感知することができる。特に、運動者が高齢である場合、指定の歩行表示部の接地面内に足を着地したつもりでも、足の一部がその歩行表示部の外に出ている(到達していない場合、踏越えている場合等)ことが頻繁にある。そこで、指定の歩行表示部の接地面に足部を着地できていないことを運動者に認識させることにより、運動者はより注意を払って運動するようになり、調整力を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る運動用具は、「板状を呈するマット体と、前記マット体のマット体上面から突設され、前記マット体上面を複数に区画する境界部と、記境界部によってマット体上面に形成され、運動者の足部が接地可能な接地面、及び前記境界部の前記接地面からの高さが最大の点を結んで形成され、前記足部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部とを具備し、前記開口部は、前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記接地面及び前記境界部により形成された所定高さの段差によって爪先立ちの状態に強制すること」を、上述の課題を解決するための主要な構成とするものであってもよい。
【0014】
ここで、マット体、および歩行表示部等、上述と同様の名称のものについては、上述と同様とし、説明を省略する。
【0015】
したがって、略平面状のマット体上面に、複数の歩行表示部が形成され、上述と同様の作用を奏することができる。そして、マット体、および境界部は、別体として形成することが可能である。別体として形成する場合、例えば、マット体を人工芝、境界部をゴムを使用して形成することができる。これにより、歩行表示部と境界部が異なる素材であり、境界部が明確になり、運動者が運足する場所を認識することが容易になる。さらに、マット体と境界部が、同一の素材で色彩を変更したものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係る運動用具は、「板状を呈するマット体のマット体上面およびマット体下面を貫通して形成され、運動者の足部の少なくとも一部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部と、互いに隣接する前記歩行表示部の間、および前記マット体の外周部と前記歩行表示部との間にそれぞれ形成され、前記歩行表示部の境界を示す境界部とを具備し、前記マット体を所定の載置面に載置することにより、前記載置面および前記マット上面により所定高さの段差が形成され、前記開口部は、前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記段差によって爪先立ちの状態に強制すること」を、特徴とするものであってもよい。
【0017】
ここで、マット体、および歩行表示部等、上述と同様の名称のものについては、上述と同様とし、説明を省略する。そして、載置面は、体育館、および自宅等の床面、さらに、屋外の芝面等が例示される。
【0018】
したがって、本発明に係る運動用具によれば、例えば、体育館の床面(載置面)の上に載置することにより、運動者が運足する場所を床面上に表示することが可能となる。そして、床面とマット体上面により所定の高さの段差が形成されているため、運動者の足が、歩行表示部によって表示された床面に着地していない場合、運動者は境界部を足の裏で踏み、感触で指定された床面内に着地していないことを感知することができる。そして、指定の歩行表示部により表示された床面に足を着地できていないことを運動者に認識させることにより、運動者はより注意を払って運足するようになり、調整力を向上させることができる。
【0019】
さらに、歩行表示部は、マット体を貫通して形成されているため、運動用具を薄く形成することが可能となる。したがって、運動用具の重量を軽くすることが可能となり、運動用具を利用する際に、容易に持ち出すことができる。また、折畳んで収納することが容易になり、小さいスペースで保管をすることができる。
【0021】
したがって、本発明の運動用具を使用すると、運動者は踵を上げた状態で立ち姿勢を採り、歩行訓練を実施することになる。そして、踵で境界部を踏むと、足の裏の感触で運動者自身が、踵が下がっていることを知ることができるため、運動者は、踵を上げた状態を維持しようと心がけて運動し、大腰筋、大腿四頭筋、および前頚骨筋等が鍛えられる。したがって、つまずかないために重要な筋力およびつまずいた後の転倒回避能向上のために重要な調整力等を効率良く鍛えることができ、転倒予防に効果的である。
【0022】
さらに、上記運動用具を、「前記歩行表示部は、少なくとも縦4行×横4列の配置状態で整列して形成されている」ものとしてもよい。
【0023】
このようにすることで、運動者が指定された歩行表示部に運足する歩行訓練を実施する場合、種々のステップを含む歩行訓練を実施することが可能となる。したがって、運動者は、前進、後退、および左右の移動等を含むステップを実施し、種々の筋肉およびバランス感覚等を養うことができる。
【0024】
上記運動用具を、「前記境界部は、断面半円形状に形成されている」ものとしてもよい。
【0025】
これにより、境界部の出張りが緩やかになり、運動者が歩行訓練を実施する際に、境界部につまずいて転倒する等の可能性を軽減することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態である運動用具1について、図1乃至図4に基づいて詳しく説明する。ここで、図1は本発明の第一実施形態である運動用具1の構成を示す平面図であり、図2は運動用具1の構成を示す図1におけるA−A断面図であり、図3は接地面4を示す拡大説明図であり、図4は接地面4に足部Fを着地した状態を示す説明図であり、図5は運動用具1を用いて行う転倒予防運動の一例を示す説明図である。
【0027】
図1に示すように、運動用具1は、長方形状を呈するマット体2のマット体上面2aに、格子状の境界部3が配設され、正方形状を呈する接地面4および開口部5を有する歩行表示部6が「7×4」に整列して形成されている。そして、図2に示すように、境界部3は、断面略半円形状を呈しており、マット体2のマット体上面2aから突出している。ここで、寸法は、マット体2は、縦156cm、横90cm、接地面4は、20cm四方、開口部5は、22cm四方、および境界部3は、半径1cmであり、境界部3は、マット体上面2aから最大1cm突出している。さらに、開口部5は、境界部3の接地面4からの高さが最大の点を結んだ正方形を呈している(図1に、説明を簡略化するために、一部を一点鎖線で示す。)。なお、運動用具1は、弾性があり、足部Fへの衝撃を吸収するゴムを用いて、マット体2および境界部3を一体にして形成されている。
【0028】
次に、運動用具1の使用方法について図3乃至図5に基づいて詳細に説明する。ここで、本実施形態では、体育館等で開催されている健康運動教室において、運動用具1を用いて、転倒予防運動を実施するものとする。そして、運動者Eは、インストラクターの後について、インストラクターの運足を真似て転倒予防運動を実施する。なお、体育館で実施するため、運動者Eは、体育館シューズ等の運動靴を履いている。図5は、運動者Eが運動用具1の接地面4に足部Fを着地する順番を便宜的に示したものであり、実際の運動用具1に表示されているものではない。ここで、右足を”n”で、左足を”<n>”で示している(n=1,2,3,・・・)。
【0029】
まず、運動者Eは、運動用具1の外側に立つ(図5における紙面下側)。そして、”1”の接地面4に右の足部Fを着地し、”<1>”の接地面4に左の足部Fを着地する。ここで、接地面4は20cm四方の正方形状を呈し、一般的な大人の足のサイズより小さく形成されているため、運動者Eは、境界部3に足部Fを接触しないように、踵を上げた状態(いわゆる爪先立ち)を維持することになる(図4)。このとき、運動者Eは、爪先立ちによりふらつく体を転ばないようにしようとするため、平衡性、筋持久力(ものを持ちつづける能力)を養うことができ、姿勢維持に重要な腹直筋、腹斜筋、および脊柱起立筋等を強化することができる。なお、図3において、接地面4の大きさを明瞭に示すために、比較として裸足の足Bを模式的に示している。
【0030】
その後、運動者Eは、右の足部Fを”2”の接地面4に移動させる。このとき、運動者Eは、左の足部Fを”<1>”の接地面4に爪先立ちで着地した状態で、マット体上面2aに対して突出した境界部3を踏まない様に、右足を引上げ、左足でバランスを保って姿勢を維持し、右の足部Fを”2”の接地面4に移動する。同様に、2→<2>→3→<3>・・・と番号順に、インストラクターに従って、接地面4に、右足、左足の順に足部Fを着地して歩行する。すなわち、足部Fを指定の接地面4に移動させる度に、境界部3を越えるために足を引上げ、片方の足でバランスを保つ姿勢を採る。したがって、地面の突起物、滑りやすい床面に対応できる安定した下半身、上半身、および体幹の筋力が鍛えられる。具体的には、脚を引上げる大腰筋、および大腿四頭筋、足首を固定するのに重要な前頚骨筋、姿勢維持に重要な腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋、下半身とのバランスを保つ上腕筋群、三角筋、僧房筋が強化される。
【0031】
また、運動者Eが指定された接地面4内に足部Fを着地することができず境界部3を踏んだ場合に、境界部3はマット体上面2aより突出しているため、感触で境界部3を踏んでいることを運動者E自身に感知させることが可能となる。それにより、運動者Eは、着地した足部Fが指定された接地面4から外れていることを認識することができる。例えば、運動者Eが高齢者等の場合、指定の接地面4に足部Fを着地したつもりでも、その接地面4から外れていることが頻繁にある。そこで、着地した足部Fが指定の接地面4から外れていることを確実に認識させることにより、より注意して、確実に指定の接地面4に足部Fを着地するようになり、調整力を向上させることができる。
【0032】
したがって、第一実施形態の運動用具1を使用すると、つまずかないために重要な筋力およびつまずいた後の転倒回避能の向上のために重要な調整力等を効率良く鍛えることができ、効果的に転倒予防運動を実施することができる。
【0033】
次に、本発明の第二実施形態である運動用具101について、図6および図7に基づいて詳しく説明する。ここで、図6は運動用具101の構成を示す平面図であり、図7は運動用具101の構成を示す図6におけるB−B断面図である。
【0034】
図6に示すように、運動用具101は、略平板状を呈するマット体102のマット体上面102aおよびマット体下面102bを貫通して形成され、正方形状を呈する開口部103を有する歩行表示部104、隣接する歩行表示部104の間、および歩行表示部104とマット体102の外周部との間に形成される境界部105とを主に有する。ここで、マット体102は、マット体上面102aが縦135cm、横108cmの長方形状、マット体下面102bが縦137cm、横110cmの長方形状を呈し、厚さが1cmに形成されている。そして、開口部103は、27cm四方の正方形状、および境界部104は、断面が底辺2cm、高さ1cmの二等辺三角形状を呈している(図7)。なお、運動用具101も、第一実施形態の運動用具1と同様のゴムを用いて形成されている。
【0035】
本実施形態の運動用具101は、体育館、および自宅等の平滑な床面(載置面に相当)上に載置されることにより、床面上を境界部105によって複数に区画することができ、歩行表示部104によって、運動者Eが運足する場所を表示することができる。したがって、第一実施形態の運動用具1において示した運動と同様の運動を実施し、同様の効果を得ることができる。さらに、屋外の芝面上に載置して、裸足で歩行訓練を実施することもできる。このとき、運動者Eは、広い場所で、日光を浴び、足の裏に心地よい刺激を感じ、運動をすることができ、心身ともにリラックスした状態で筋力等を養うことができる。
【0036】
さらに、歩行表示部104は、マット体102を貫通して形成されるため、運動用具101の全体の重量を軽減することができる。したがって、例えば、体育館の倉庫に保管されている運動用具101を、運動を実施する際に持出す場合、高齢者等の力が弱い者でも、自分自身で持出し、準備することができる。また、第一実施形態の運動用具1と比較すると、接地面4を有さないため、比較的薄いマット体102を用いて運動用具101を形成することが可能である。したがって、折畳んで収納することがさらに容易となり、小さいスペースで保管することができる。
【0037】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良および設計の変更が可能である。
【0038】
すなわち、接地面4および境界部105によって床面上に区画される寸法は、年齢、性別、および運動者Eの能力等に応じて変更することが可能である。例えば、15cm四方の正方形状を呈する場合、運動者Eは、20cm四方の場合と比較してさらに踵を上げなければならなくなり、転倒せず運動を継続することが困難になり、それに伴い、さらに、平衡感覚、筋力等が養われる。したがって、若い運動者や運動能力の高い運動者等に好適である。逆に、例えば、30cm四方の正方形状を呈する場合、面積が大きくなり、足部Fを着地する余裕ができるため、指定された歩行表示部6,104に運足することが容易になる。したがって、高齢の運動者や初心者等に好適である。例えば、40代は15cm、50代は20cm、60代は25cm、70代は30cm等、年齢に応じて大きさを変更してもよい。さらに、能力等に応じて、約10cm〜50cmの範囲で変更可能である。
【0039】
また、接地面4、および境界部105によって床面上に区画される形状は、円形状、および三角形状等であってもよい。例えば、四角形状であると、マット体2、および床面等の上に無駄なスペースがなく区画を整列して形成することができ、運動者Eが安全かつ容易に足部Fを着地することができるため、四角形状が好適である。
【0040】
また、境界部3,105は、つまずく危険性の少ない傾斜を有する形状、例えば、断面台形状、および略山型状等であってもよい。さらに、接地面4および床面等からの高さは、安全面および踏んだという感覚を伝えることを考慮して、0.5cm〜1.5cm程度の範囲で変更することが可能である。
【0041】
また、運動用具1,101を形成する素材は、プラスチック、ウレタン、布材、木材および人工芝等であってもよい。例えば、人工芝を適用し、運動者Eが裸足で運動を実施することにより、足の裏に適度な刺激と快い感触を得ることができる。さらに、マット体2と境界部3とを異なる素材で形成し、着接するものであってもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の運動用具を使用することにより、運動者は、転倒予防を目的とした運動を効果的に実施することができ、つまずかないために必要な筋肉、およびつまずいた後の転倒回避能向上のための調整力等を養うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態の運動用具の構成を示す平面図である。
【図2】第一実施形態の運動用具の構成を示すA−A断面図である。
【図3】第一実施形態の運動用具の接地面を示す拡大説明図である。
【図4】第一実施形態の運動用具の接地面に足部を着地した状態を示す説明図である。
【図5】第一実施形態の運動用具を用いて行う転倒予防運動の一例を示す説明図である。
【図6】第二実施形態の運動用具の構成を示す平面図である。
【図7】第二実施形態の運動用具の構成を示すB−B断面図である。
【符号の説明】
1,101 運動用具
2,102 マット体
2a,102a マット体上面
3,105 境界部
4 接地面
5,103 開口部
6,104 歩行表示部
102b マット体下面
E 運動者
F 足部

Claims (5)

  1. 板状を呈するマット体のマット体上面から穿設され、運動者の足部の少なくとも一部が接地可能な接地面、及び前記接地面からの高さが最大の点を結んで形成され、前記足部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部と、
    互いに隣接する前記歩行表示部の間、および前記マット体の外周部と前記歩行表示部との間にそれぞれ形成され、前記歩行表示部の境界を示す境界部と
    を具備し、
    前記開口部は、
    前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、
    前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記接地面及び前記境界部により形成された所定高さの段差によって爪先立ちの状態に強制することを特徴とする運動用具。
  2. 板状を呈するマット体と、
    前記マット体のマット体上面から突設され、前記マット体上面を複数に区画する境界部と、
    記境界部によってマット体上面に形成され、運動者の足部が接地可能な接地面、及び前記境界部の前記接地面からの高さが最大の点を結んで形成され、前記足部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部と
    を具備し、
    前記開口部は、
    前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、
    前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記接地面及び前記境界部により形成された所定高さの段差によって爪先立ちの状態に強制することを特徴とする運動用具。
  3. 板状を呈するマット体のマット体上面およびマット体下面を貫通して形成され、運動者の足部の少なくとも一部が挿入される開口部を有し、前記運動者による歩行訓練の運足場所を表示可能な複数の歩行表示部と、
    互いに隣接する前記歩行表示部の間、および前記マット体の外周部と前記歩行表示部との間にそれぞれ形成され、前記歩行表示部の境界を示す境界部と
    を具備し、
    前記マット体を所定の載置面に載置することにより、前記載置面および前記マット上面により所定高さの段差が形成され、
    前記開口部は、
    前記運動者の前記足部のサイズに対して狭小に形成され、
    前記開口部に前記足部の少なくとも一部を挿入した前記運動者を、前記段差によって爪先立ちの状態に強制することを特徴とする運動用具。
  4. 前記歩行表示部は、
    少なくとも縦4行×横4列の配置状態で整列して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の運動用具。
  5. 前記境界部は、
    断面半円形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の運動用具。
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