JP4190960B2

JP4190960B2 - Bacteriostatic agent and food and drink containing the same

Info

Publication number: JP4190960B2
Application number: JP2003181060A
Authority: JP
Inventors: 修二安達; 孝司井上; 優美子河原
Original assignee: 株式会社ポッカコーポレーション
Priority date: 2003-06-25
Filing date: 2003-06-25
Publication date: 2008-12-03
Anticipated expiration: 2023-06-25
Also published as: JP2005013061A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静菌剤に関するものであり、更に詳細には糖アルコール脂肪酸エステルを有効成分とする静菌剤に関するものである。そしてこの静菌剤は、例えば飲食品に添加、含有せしめることにより、加工食品の保存期間中に、耐熱性芽胞細菌等の微生物の増殖を抑制ないし阻止して、飲食品の変敗を防止し、商品の価値を保持することができる。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、加工飲食品は商業的無菌性を確保する為に、何らかの加熱殺菌を施し微生物の増殖を防止している。この加熱殺菌課程で微生物を殺滅させるが、一方で加熱工程による飲食品の品質・風味低下や栄養成分の分解・劣化などが発生し商品価値を低下させる原因になる。
【０００３】
商業的無菌性とは、完全な無菌性を意味するものではなく、普通の条件下では腐敗変質を示さず、消費者の健康に対して有害な作用を示さない程度に加熱殺菌されたものであって、耐熱性胞子がある程度の確率で残存することが許容されるものである。しかしながら、近年の自動販売機の普及によって、商品の保存期間が長くなったり、あるいは加温して保存販売されるようになると、これに伴ない商品中に残存している耐熱性細菌胞子が発芽、増殖して、商品が腐敗変質する事故が発生することもあった。
【０００４】
また、特に、果汁などの酸性食品においては従来では知られていなかった耐熱性を有し酸性条件下でも生育する好酸性耐熱性菌の存在が知られ、変敗事故などの問題が発生するようになって来た。特にこれらの耐熱性を有し加熱工程でも生存する微生物はバチルス属及びその類縁菌が主な菌種である。本菌種は使用する原料中に存在する場合が多く、常に商品に混入する為に原料の規格管理を厳しくしたり、加熱処理を必要とするが、特に後者の場合、更に加熱処理するという操作が必要になるだけでなく、加熱による商品の品質劣化は免れない。
【０００５】
そこで加熱殺菌にかわる方法として、静菌剤を使用する方法が注目されるようになり、耐熱性芽胞菌の静菌剤として、ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルなどが開発され、一部は実用に供されている（例えば、特許文献１及び２参照）。これらはすぐれた静菌剤ではあるが、場合によっては、非常に多く使用しないと効果が認められなかったり、風味や香りを阻害したり、添加する事により乳化安定性を悪化しその他別の乳化安定剤を加える必要があるなど、コストや品質面でも十分満足できるものが少なく、もう一段の改良が希求されている。
【０００６】
一方、糖アルコール脂肪酸エステルについては、その中級脂肪酸エステルが近年になって開発され、その製造方法も明らかにされているが、静菌作用については何も知られていないし、ましてや、飲食品の静菌剤として使用されることについては全く何も知られていない（例えば、非特許文献１参照）。
【０００７】
【特許文献１】
特開昭５６−１８５７８号公報
【０００８】
【特許文献２】
特開昭６２−２０５７４８号公報
【０００９】
【非特許文献１】
ＪｏｕｒｎａｌｏｆＭｏｌｅｃｕｌａｒＣａｔａｌｙｓｉｓＢ：Ｅｎｚｙｍａｔｉｃ，６（１９９９）２１〜２７
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、従来既知の静菌剤とは全く相違する新規な静菌剤を開発する目的でなされたものであって、特に本発明は、加工飲食品の保存期間中に耐熱性芽胞菌の増殖を抑制し飲食品の変敗を防止すると共に、風香味や乳化安定性を悪化させる事無く商品の品質を保持させる新しいタイプの静菌剤を開発する事を目的とするものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成するためになされたものであって、本発明者らは、各種物質について広範にスクリーニングを行なった結果、炭素原子数４〜６の天然由来の甘味を有する糖アルコールの脂肪酸エステルが静菌作用を有することをはじめて見出した。そして更に検討の結果、糖アルコール脂肪酸エステルが、通常の食品腐敗菌はもとより通常の加熱処理では完全に死滅させることが困難な耐熱性芽胞菌に対しても静菌性を有することもはじめて見出した。
【００１２】
そのうえ更に、糖アルコール脂肪酸エステルは、これを飲食品に添加しても、静菌作用を充分に維持しており、飲食品における耐熱性芽胞菌の増殖を抑制及び／又は完全に阻止することができ、しかも、飲食品の風香味や乳化安定性にはいささかも影響しないという有用新知見もはじめて得た。すなわち、糖アルコール脂肪酸エステルがすぐれた静菌作用を有すること、しかもそのうえ、飲食品用の静菌剤として使用可能であることをはじめて見出したのである。
【００１３】
本発明は、これらの数多くの有用な新知見に基づき更に検討の結果、遂に完成されたものであって、糖アルコール脂肪酸エステルを有効成分とする静菌剤及びその利用に関するものである。
以下、本発明について詳述する。
【００１４】
本発明において使用する糖アルコール脂肪酸エステルのうちエリスリトール脂肪酸エステルは、物質自体は公知であり、その製造方法、例えば、Ｃａｎｄｉｄａａｎｔａｒｃｔｉｃａ（キャンディダ・アンタルクティカ）由来のリパーゼを固定したカラムを用いてエリスリトールを脂肪酸でエステル化して製造する方法も知られており（非特許文献１）、他の糖アルコール脂肪酸エステルも同様に製造することができる。
【００１５】
糖アルコール脂肪酸エステルとしては、各種糖アルコールと各種脂肪酸とのエステルが広範囲に使用することが可能である。糖アルコールとしては、炭素原子数４〜６のエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれもが使用可能であり、炭素原子数７〜２０、好ましくは１０〜１８の脂肪酸が挙げられ、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が例示される。また、エステルとしては、モノエステル、ジエステル、これらの混合物のいずれもが使用可能であるが、モノエステルが好適である。
【００１６】
本発明に係る静菌剤は、糖アルコール脂肪酸エステルを有効成分とするものであって、糖アルコール脂肪酸エステルのみから構成されていてもよいし、常用される希釈剤や増量剤を用いて製剤化してもよい。また、所望するのであれば、糖アルコール脂肪酸エステルのほかに、他の静菌剤を組み合わせて使用しても良いし、その他乳化剤や安定剤を併せて使用しても問題ない。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、安定剤としては、カラギーナンやセルロース等の増粘性多糖類の他、カゼインナトリウムなどが使用できる。
【００１７】
本発明に係る飲食品を製造するには、本静菌剤を飲食品にごく少量添加すればよく、有効成分である糖アルコール脂肪酸エステルを、飲食品に対して、最終濃度として３〜２０００ｐｐｍ、好ましくは５〜１０００ｐｐｍ添加、含有せしめればよい。
【００１８】
静菌剤として、糖アルコール脂肪酸エステルのみを単独で飲食品に対して添加することができ、上記したごく少量の添加で、その目的を達成するものである。したがって、本発明に係る飲食品の製造に格別の装置を必要とすることがなく、また、耐熱性芽胞菌等の微生物を静菌して、飲食品の変質を防止し、長期間に亘って加温条件下でも保存可能であるので、飲食品による商品クレームを減少することができ、食品衛生上非常に有益である。しかも、糖アルコール脂肪酸エステルは安全性が高く、ラットに経口投与したが、格別の急性毒性は確認されなかった。
【００１９】
本発明によれば、糖アルコール脂肪酸エステルを有効成分とする静菌剤が提供されるだけでなく、この静菌剤は、耐熱性芽胞形成細菌等食品腐敗菌の増殖を抑制及び／又は完全に阻止する方法が提供され、また、このようにして得られた静菌剤を添加した飲食品自体も提供される。耐熱性芽胞菌としては、主としてバチルス属とクロストリジウム属に属する芽胞形成菌が挙げられ、Ｂａｃｉｌｌｕｓｓｔｅａｒｏｔｈｅｒｍｏｐｈｉｌｌｕｓ、Ｂａｃｉｌｌｕｓｓｕｂｔｉｌｉｓ（枯草菌）、Ｂａｃｉｌｌｕｓｃｅｒｅｕｓ（セレウス菌）；Ｃｌｏｓｔｒｉｄｉｕｍｂｏｔｕｌｉｎｕｍ（ボツリヌス菌）、Ｃｌｏｓｔｒｉｄｉｕｍ
ｐｅｒｆｒｉｇｅｎｓ（ウェルシュ菌）；等が例示される。
【００２０】
本発明で使用される飲食品としては、清涼飲料水としてコーヒー（ブラック、ミルク入り、糖質入り等）、茶系飲料（無糖、有糖、ミルク入り、果肉入り等の発酵茶、半発酵茶、未発酵茶）、野菜ジュース、果汁飲料、ココア、スポーツドリンク、栄養・機能性ドリンク、嗜好飲料などがあり、その他として、スープ、レトルトカレー、レトルトシチューなどの液体食品が含まれる。特に、牛乳など乳含有液体食品や、果汁や果肉を含有した液体食品に効果的である。
【００２１】
飲食品のｐＨとしては、ｐＨが７以下のものであれば問題ないが、好ましくは、ｐＨ２〜７の範囲が良い。また、糖アルコール脂肪酸エステルの添加量についても、格別の制限はないが、３〜２０００ｐｐｍが好ましく、更に好ましくは５〜１０００ｐｐｍ添加すればよい。
【００２２】
本発明に係る耐熱性芽胞菌を含む各種微生物に対する静菌剤は、糖アルコール脂肪酸エステルからなるものであって、糖アルコールとしては、Ｃ４：エリスリトール、Ｃ５：キシリトール、アラビトール、Ｃ６：ソルビトール、マンニトールの少なくともひとつが挙げられ、脂肪酸としては、炭素原子数７〜２０の飽和又は不飽和の脂肪酸が挙げられ、好適例としては、Ｃ１２：ラウリン酸、Ｃ１４：ミリスチン酸、Ｃ１６：パルミチン酸の少なくともひとつが挙げられる。エステルとしては、モノエステル、ジエステル、これらの混合物のいずれもが使用可能であるが、モノエステルを使用するのが好ましい。糖アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば後記する実施例や非特許文献１に記載されているように、固定化したリパーゼ（例えば、キャンディダ（Ｃａｎｄｉｄａ）属由来のリパーゼ）を触媒とする脂肪酸と糖アルコールとの縮合反応によるほか、他の方法によって製造されたものもすべて使用可能である。
【００２３】
本糖アルコール脂肪酸エステルは、すぐれた静菌作用、すなわち、本エステルの存在時に微生物の増殖を抑制及び／又は完全に阻止する作用を有するだけでなく、すぐれた乳化作用を有し、そのうえ、飲食品の風香味を悪化させたり品質を低下させたりすることがないため、化粧品や工業薬品用の静菌剤や乳化剤として利用できることはもちろんのこと、飲食品用の静菌剤や乳化剤としても有利に利用することができる。
【００２４】
以下、本発明の実施例について述べる。
【００２５】
【実施例１】
（１）エリスリトール脂肪酸エステルの合成及び精製方法
エリスリトール脂肪酸エステルの合成は、エリスリトール粉末を詰めたカラムとＣａｎｄｉｄａａｎｔａｒｃｔｉｃａ（ＲｏｃｈｅＭｏｌｅｃｕｌａｒＢｉｏｃｈｅｍｉｃａｌｓから購入）由来の固定化リパーゼカラムを接続し、それら各カラムを恒温槽で温度を制御するシステムにて行った。
【００２６】
その合成システム、つまり、アシルエリスリトールの連続製造システムの１例の模式図を図１に示す。図中、各数字は、それぞれ次のものを表わす。１：脂肪酸供給タンク、２：ポンプ、３：エリスリトール粉末を充填したステンレススチール製のカラム、４：Ｃａｎｄｉｄａａｎｔａｒｃｔｉｃａ由来の固定化リパーゼ充填床リアクター、５：システム内の圧力調整コイル、６：温度調節されたオーブン（恒温槽）、７：流出受タンク。
【００２７】
合成は次のようにして行った。ポンプ（２）によって、アセトンに溶解した各脂肪酸（１）をエリスリトール粉末充填カラム（３）に通液し、その後、固定化リパーゼカラム（４）に通液することにより、連続的に縮合反応を行った。反応は恒温槽（６）において、反応温度６０℃、加圧下にて行った。反応液は、タンク（７）に回収した。
【００２８】
タンク（７）内に回収した反応液中には、エリスリトール脂肪酸エステルのモノエステル及びジエステルの他に未反応のエリスリトールや脂肪酸が含まれるため、精製処理を行った。その精製工程の１例を図２に示した。図２は、エリスリトールラウリン酸モノエステル（ｍｏｎｏｌａｕｒｏｙｌｅｒｙｔｈｒｉｔｏｌ）（Ｃ１２−Ｅｒｙ）及びエリスリトールラウリン酸ジエステル（ｄｉｌａｕｒｏｙｌｅｒｙｔｈｒｉｔｏｌ）（ＤｉＣ１２−Ｅｒｙ）の回収、ならびに、未反応のラウリン酸（ｌａｕｒｉc ａｃｉｄ）（Ｃ１２）及びエリスリトール（ｅｒｙｔｈｒｉｔｏｌ）の再利用のスキームを示した図である。
【００２９】
先に述べたように、脂肪酸タンクから溶媒に溶解した脂肪酸（Ｃ１２：ラウリン酸）を取り出し、溶解したエリスリトール（Ｅｒｙ）と縮合反応せしめ、得られた反応産物を流出受タンクに回収した。この反応液には、エリスリトールラウリン酸モノエステル（Ｃ１２−Ｅｒｙ）、エリスリトール（Ｅｒｙ）、及びラウリン酸（Ｃ１２）が含まれている。
【００３０】
この反応液をエバポレーター処理して溶媒（アセトン）を除去し、その後、アセトニトリルを加えて、沈殿物（エリスリトール（Ｅｒｙ）とエリスリトールラウリン酸ジエステル（ＤｉＣ１２−Ｅｒｙ）を除去した。（これらは、脂肪酸供給タンク（１）に返送し、再循環した。）上清（エリスリトールラウリン酸モノエステル（Ｃ１２−Ｅｒｙ）及びラウリン酸（Ｃ１２）を含有）は、更にエバポレーター処理して溶媒（アセトニトリル）を除去し、その残渣にヘキサンを加え、沈殿物を回収してエリスリトールラウリン酸モノエステル（Ｃ１２―Ｅｒｙ）を精製した。一方、上清（ラウリン酸（Ｃ１２）を含有）は、エバポレーター処理し、回収したヘキサンは再利用し、ラウリン酸（Ｃ１２）は脂肪酸供給タンク（１）に返送し、再循環した。このシステムをくり返して循環することにより、本エステルの収率を高めることができた。
【００３１】
このようにして、脂肪酸としてラウリン酸（Ｃ１２）を用いたエリスリトールラウリン酸モノエステル（Ｃ１２−Ｅｒｙ）を製造した。同様にして、脂肪酸としてミリスチン酸（Ｃ１４）及びパルミチン酸（Ｃ１６）を用いたエリスリトール脂肪酸エステル（Ｃ１４−Ｅｒｙ及びＣ１６−Ｅｒｙ）を、それぞれ製造し、得られたエリスリトール脂肪酸モノエステルを静菌性試験及び乳化安定性試験のサンプルとした。
【００３２】
（２）Ｂａｃｉｌｌｕｓ属に対する静菌テスト
Ｂａｃｉｌｌｕｓ属に対する静菌テストを実施した。ＢａｃｉｌｌｕｓとしてＢａｃｉｌｌｕｓｓｔｅａｒｏｔｈｅｒｍｏｐｈｉｌｌｕｓ（ＪＣＭ２５０１）ＪＣＭより購入した菌を用いた。培養としては標準寒天培地（栄研器材（株））、６０℃にて培養を行い、芽胞を形成させた。静菌性の確認として標準寒天培地に各脂肪酸エステルを終濃度が１．６、３．１、６．３、１２．５、２５．０ｐｐｍとなる様に加え、１２１℃、１５分間のオートクレーブを行い、静菌性確認培地とした。また、芽胞の調製としては、８０℃、１０分間のヒートショックを行い栄養細胞を殺滅させた後、上記静菌確認用培地１０^４ｃｆｕ／ｍｌとなる様に希釈し、６０℃、３日間後の生育するコロニーをカウントした。
そのときの結果を下記表１に示す。
【００３３】

Ｃ１２：エリスリトールラウリン酸モノエステル、Ｃ１４：エリスリトールミリスチン酸モノエステル、Ｃ１６：エリスリトールパルミチン酸モノエステル
※ −記号：菌が増殖しない、＋記号：菌の増殖が認められた。
【００３４】
【実施例２】
実施例１で作製したエリスリトール脂肪酸エステルを用いた際のミルク入りコーヒーにおける乳化安定性及び風香味の確認を行った。
【００３５】
（配合）

【００３６】
上記原料を用いてミルク入りコーヒーを作製し、金属缶にホットパックを行い、その後１２３℃、１８分間殺菌を行い乳脂肪の分離や風香味を確認した。また、６０℃、２週間の加速度経時試験した物も同様に確認した。これらのテストは、男女各１０人からなる熟練したパネルによって行われ、乳化安定性試験は視認によりそして風香味は官能検査によって行われた。
得られた結果を下記表２に示した。
【００３７】

Ｃ１２：エリスリトールラウリン酸モノエステル、Ｃ１４：エリスリトールミリスチン酸モノエステル、Ｃ１６：エリスリトールパルミチン酸モノエステル
【００３８】
上記表中、乳化安定性及び風香味の結果における各記号は、それぞれ、次のことを表わす。
（乳化安定性）
◎：乳脂肪など分離認められない。○：一部加速度経時試験により乳脂肪の浮上（フェザーリング）が認められる。△：加速度経時試験で乳脂肪の浮上が認められるが、振ると分散し商品的には問題無い。×：加速度経時試験及び加速度経時試験前でも乳脂肪の分離・浮上が認められ商品価値無し。
（風香味）
◎：脂肪酸エステルの苦味、エグ味が全くない。○：若干、脂肪酸エステルの苦味・エグ味があるが全く問題なし。△：後味にエグ味、苦味がある。×：エグ味、苦味が強く商品価値無し。
【００３９】
以上の結果より、エリスリトール脂肪酸エステル（ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸）に関して耐熱性芽胞菌の生育を抑制し、飲食品における風香味および安定性を悪化させない事が確認された。
【００４０】
【発明の効果】
本発明によれば、糖アルコール脂肪酸エステル（糖アルコール：エリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、脂肪酸：ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等）を有効成分として用いることにより、加工食品の保存期間中に、耐熱性芽胞細菌の増殖を抑制し飲食品の変敗を防止し、商品の価値を保持する事が出来る耐熱性芽胞細菌の増殖抑制剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】エリスリトール脂肪酸エステルを製造するための連続システムを図示した模式図である。
【図２】エリスリトールラウリン酸モノエステル、エリスリトールラウリン酸ジエステルの回収、及び、未反応のラウリン酸とエリスリトールの再使用を示す工程図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a bacteriostatic agent, and more particularly to a bacteriostatic agent containing a sugar alcohol fatty acid ester as an active ingredient. This bacteriostatic agent, for example, is added to and contained in foods and drinks to suppress or prevent the growth of microorganisms such as heat-resistant spore bacteria during the preservation period of processed foods, thereby preventing deterioration of food and drinks. , Can hold the value of goods.
[0002]
[Prior art]
Traditionally, processed foods and drinks have been subjected to some heat sterilization to prevent the growth of microorganisms in order to ensure commercial sterility. Microorganisms are killed in this heat sterilization process, but on the other hand, the quality and flavor of foods and beverages and the decomposition and deterioration of nutritional components are caused by the heating process, which causes a reduction in commercial value.
[0003]
Commercial sterility does not mean complete sterility, it has been pasteurized to the extent that it does not show spoilage under normal conditions and does not have a detrimental effect on consumer health. Thus, heat-resistant spores are allowed to remain with a certain probability. However, with the recent spread of vending machines, when the shelf life of the product becomes longer or when it is stored and sold after heating, the heat-resistant bacterial spores remaining in the product germinate. In some cases, the product proliferated and the product was corrupted.
[0004]
In addition, especially in acidic foods such as fruit juice, the presence of acidophilic thermotolerant bacteria that are not known in the past and grow even under acidic conditions is known to cause problems such as deterioration accidents. Came. In particular, the Bacillus genus and its related microorganisms are the main bacterial species that have heat resistance and survive in the heating process. In many cases, this species is present in the raw material used, and since it is always mixed into the product, the standard management of the raw material becomes stricter and heat treatment is required. Is not only necessary, but the quality of products due to heating is unavoidable.
[0005]
Therefore, as a method to replace heat sterilization, a method using a bacteriostatic agent has attracted attention, and sucrose fatty acid esters and glycerin fatty acid esters have been developed as bacteriostatic agents for heat-resistant spore bacteria. (See, for example, Patent Documents 1 and 2). These are excellent bacteriostatic agents, but in some cases, if they are not used very often, the effect will not be recognized, the flavor and aroma will be inhibited, or the addition will deteriorate the emulsion stability and other emulsification There are few things that are sufficiently satisfactory in terms of cost and quality, such as the need to add stabilizers, and further improvements are desired.
[0006]
On the other hand, for sugar alcohol fatty acid esters, intermediate fatty acid esters have been developed in recent years and their production methods have been clarified, but nothing is known about the bacteriostatic action, and much less Nothing is known about being used as a fungicide (see Non-Patent Document 1, for example).
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 56-18578
[Patent Document 2]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-205748
[Non-Patent Document 1]
Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 6 (1999) 21-27.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made for the purpose of developing a novel bacteriostatic agent that is completely different from conventionally known bacteriostatic agents in view of the above-described state of the art, and in particular, the present invention is intended to preserve processed foods and drinks. To develop a new type of bacteriostatic agent that suppresses the growth of heat-resistant spore bacteria during the period, prevents deterioration of food and drink, and maintains product quality without deteriorating flavor and emulsification stability It is the purpose.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made to achieve the above object, and the present inventors have conducted extensive screening for various substances, and as a result, the sugar alcohol having a naturally derived sweetness having 4 to 6 carbon atoms. It was found for the first time that this fatty acid ester has bacteriostatic action. And as a result of further investigation, it was found for the first time that sugar alcohol fatty acid esters have bacteriostatic properties not only against normal food spoilage bacteria but also to heat-resistant spore bacteria that are difficult to kill completely by normal heat treatment. .
[0012]
Moreover, even when the sugar alcohol fatty acid ester is added to a food or drink, the bacteriostatic action is sufficiently maintained, and the growth of heat-resistant spore bacteria in the food or drink can be suppressed and / or completely prevented. It was also possible for the first time to obtain useful new knowledge that it did not affect the flavor and emulsification stability of food and drink. That is, it was found for the first time that the sugar alcohol fatty acid ester has an excellent bacteriostatic action and can be used as a bacteriostatic agent for foods and drinks.
[0013]
The present invention was finally completed as a result of further studies based on these many useful new findings, and relates to a bacteriostatic agent containing a sugar alcohol fatty acid ester as an active ingredient and use thereof.
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0014]
Among the sugar alcohol fatty acid esters used in the present invention, the erythritol fatty acid ester is known per se, and its production method, for example, erythritol using a column to which a lipase derived from Candida antarctica is fixed. There is also known a method of producing a product by esterification of a fatty acid (Non-Patent Document 1), and other sugar alcohol fatty acid esters can be produced in the same manner.
[0015]
As the sugar alcohol fatty acid ester, esters of various sugar alcohols and various fatty acids can be widely used. Examples of the sugar alcohol include erythritol, xylitol, arabitol, sorbitol, and mannitol having 4 to 6 carbon atoms. As the fatty acid, any of saturated fatty acid and unsaturated fatty acid can be used, and examples thereof include fatty acids having 7 to 20 carbon atoms, preferably 10 to 18 carbon atoms, such as capric acid, lauric acid, myristic acid, stearic acid. And oleic acid. As the ester, any of monoesters, diesters, and mixtures thereof can be used, but monoesters are preferred.
[0016]
The bacteriostatic agent according to the present invention comprises a sugar alcohol fatty acid ester as an active ingredient, and may consist of only a sugar alcohol fatty acid ester, or may be formulated using a commonly used diluent or bulking agent. May be. If desired, in addition to the sugar alcohol fatty acid ester, other bacteriostatic agents may be used in combination, or other emulsifiers and stabilizers may be used in combination. Examples of the emulsifier include glycerin fatty acid ester and sucrose fatty acid ester, and examples of the stabilizer include thickening polysaccharides such as carrageenan and cellulose, and sodium caseinate.
[0017]
In order to produce the food and drink according to the present invention, a very small amount of the bacteriostatic agent may be added to the food and drink, and the sugar alcohol fatty acid ester that is an active ingredient is 3 to 2000 ppm as a final concentration with respect to the food and drink. Preferably, 5 to 1000 ppm is added and contained.
[0018]
As a bacteriostatic agent, only a sugar alcohol fatty acid ester can be added to foods and drinks alone, and the object can be achieved with the addition of a very small amount as described above. Therefore, there is no need for a special device for the production of the food and drink according to the present invention, and the microorganisms such as heat-resistant spore bacteria are bacteriostatic to prevent deterioration of the food and drink, over a long period of time. Since it can be stored even under heated conditions, product complaints due to food and drink can be reduced, which is very beneficial for food hygiene. Moreover, sugar alcohol fatty acid esters are highly safe and were orally administered to rats, but no particular acute toxicity was confirmed.
[0019]
According to the present invention, not only a bacteriostatic agent comprising a sugar alcohol fatty acid ester as an active ingredient is provided, but the bacteriostatic agent suppresses and / or completely prevents the growth of food spoilage bacteria such as heat-resistant spore-forming bacteria. A method of inhibiting is also provided, and the food and drink itself to which the bacteriostatic agent thus obtained is added is also provided. Examples of thermostable spore bacteria include spore-forming bacteria belonging to the genus Bacillus and Clostridium, such as Bacillus stearothermophilus, Bacillus subtilis, Bacillus cereus, Clostridium botulinum, and Clostridium botulinum.
perfrigens (C. perfringens);
[0020]
As food and drink used in the present invention, soft drinks include coffee (black, milked, sugared, etc.), tea-based beverages (unsweetened, sugared, milked, pulped, etc. fermented tea, semi-fermented Tea, unfermented tea), vegetable juice, fruit juice drinks, cocoa, sports drinks, nutritional / functional drinks, taste drinks, and other liquid foods such as soups, retort curries, and retort stews. In particular, it is effective for milk-containing liquid foods such as milk, and liquid foods containing fruit juice and pulp.
[0021]
The pH of the food or drink is not a problem as long as the pH is 7 or less, but preferably in the range of pH 2-7. The amount of sugar alcohol fatty acid ester added is not particularly limited, but is preferably 3 to 2000 ppm, more preferably 5 to 1000 ppm.
[0022]
The bacteriostatic agent for various microorganisms including heat-resistant spore bacteria according to the present invention comprises sugar alcohol fatty acid ester, and as sugar alcohol, C4: erythritol, C5: xylitol, arabitol, C6: sorbitol, mannitol At least one of them, and examples of the fatty acid include saturated or unsaturated fatty acids having 7 to 20 carbon atoms. Preferred examples include at least one of C12: lauric acid, C14: myristic acid, and C16: palmitic acid. Can be mentioned. As the ester, any of a monoester, a diester, and a mixture thereof can be used, but it is preferable to use a monoester. Examples of sugar alcohol fatty acid esters include fatty acids and sugar alcohols catalyzed by immobilized lipases (for example, lipases derived from the genus Candida) as described in Examples and Non-Patent Document 1 described later. In addition to the condensation reaction with A, all those produced by other methods can be used.
[0023]
The present sugar alcohol fatty acid ester not only has an excellent bacteriostatic action, that is, has the effect of inhibiting and / or completely inhibiting the growth of microorganisms in the presence of the present ester, but also has an excellent emulsifying action. Since it does not deteriorate the flavor or quality of the product, it can be used as a bacteriostatic agent and emulsifier for cosmetics and industrial chemicals, and is also advantageous as a bacteriostatic agent and emulsifier for foods and beverages. Can be used.
[0024]
Examples of the present invention will be described below.
[0025]
[Example 1]
(1) Method of synthesizing and purifying erythritol fatty acid ester The synthesis of erythritol fatty acid ester is performed by connecting a column packed with erythritol powder and an immobilized lipase column derived from Candida antarctica (purchased from Roche Molecular Biochemicals), and each column is in a thermostatic bath. The temperature was controlled by a system.
[0026]
FIG. 1 shows a schematic diagram of an example of the synthesis system, that is, a continuous production system of acylerythritol. In the figure, each numeral represents the following. 1: fatty acid feed tank, 2: pump, 3: stainless steel column packed with erythritol powder, 4: immobilized lipase packed bed reactor from Candida antarctica, 5: pressure regulating coil in the system, 6: temperature controlled Oven (constant temperature bath), 7: Outflow receiving tank.
[0027]
The synthesis was performed as follows. Each fatty acid (1) dissolved in acetone is passed through the erythritol powder packed column (3) by the pump (2), and then passed through the immobilized lipase column (4) to continuously perform the condensation reaction. went. The reaction was carried out in a constant temperature bath (6) at a reaction temperature of 60 ° C. and under pressure. The reaction solution was collected in a tank (7).
[0028]
Since the reaction liquid collected in the tank (7) contains unreacted erythritol and fatty acid in addition to the monoester and diester of erythritol fatty acid ester, purification treatment was performed. An example of the purification process is shown in FIG. FIG. 2 shows the recovery of erythritol lauric acid monoester (C12-Ery) and erythritol lauric acid diester (DiC12-Ery) and unreacted lauric acid (C12). FIG. 3 shows a scheme for reusing erythritol.
[0029]
As described above, the fatty acid (C12: lauric acid) dissolved in the solvent was taken out from the fatty acid tank, condensed with erythritol (Ery), and the obtained reaction product was collected in the effluent receiving tank. This reaction liquid contains erythritol lauric acid monoester (C12-Ery), erythritol (Ery), and lauric acid (C12).
[0030]
The reaction solution was treated with an evaporator to remove the solvent (acetone), and then acetonitrile was added to remove precipitates (erythritol (Ery) and erythritol lauric acid diester (DiC12-Ery)). The supernatant (containing erythritol lauric acid monoester (C12-Ery) and lauric acid (C12)) was further evaporated to remove the solvent (acetonitrile), and returned to the tank (1) and recycled. Hexane was added to the residue, and the precipitate was recovered to purify erythritol lauric acid monoester (C12-Ery), while the supernatant (containing lauric acid (C12)) was treated with an evaporator, and the recovered hexane was The lauric acid (C12) is recycled and returned to the fatty acid supply tank (1) for recycling. It was. By circulating Repeat this system, it was possible to increase the yield of the ester.
[0031]
Thus, erythritol lauric acid monoester (C12-Ery) using lauric acid (C12) as a fatty acid was produced. Similarly, erythritol fatty acid esters (C14-Ery and C16-Ery) using myristic acid (C14) and palmitic acid (C16) as fatty acids were produced, respectively, and the resulting erythritol fatty acid monoester was bacteriostatically tested. And a sample for an emulsion stability test.
[0032]
(2) Bacteriostatic test against Bacillus genus A bacteriostatic test was carried out against Bacillus genus. As Bacillus, bacteria purchased from Bacillus stearothermophilus (JCM2501) JCM were used. As the culture, a standard agar medium (Eiken Equipment Co., Ltd.) was cultured at 60 ° C. to form spores. For confirmation of bacteriostatic properties, add each fatty acid ester to a standard agar medium so that the final concentration is 1.6, 3.1, 6.3, 12.5, 25.0 ppm, and then autoclave at 121 ° C for 15 minutes. This was done as a bacteriostatic confirmation medium. The spore was prepared by heat shocking at 80 ° C. for 10 minutes to kill vegetative cells, and then diluted to the above bacteriostatic confirmation medium 10 ⁴ cfu / ml, at 60 ° C. for 3 days. Later growing colonies were counted.
The results are shown in Table 1 below.
[0033]

C12: erythritol lauric acid monoester, C14: erythritol myristic acid monoester, C16: erythritol palmitic acid monoester *-symbol: no growth of bacteria, + symbol: growth of bacteria was observed.
[0034]
[Example 2]
The emulsification stability and flavor of the milk-containing coffee when using the erythritol fatty acid ester prepared in Example 1 were confirmed.
[0035]
(Combination)

[0036]
Coffee containing milk was prepared using the above raw materials, hot-packed in a metal can, and then sterilized at 123 ° C. for 18 minutes to confirm separation of milk fat and flavor. In addition, an object subjected to an acceleration aging test at 60 ° C. for 2 weeks was similarly confirmed. These tests were performed by skilled panels of 10 men and women, the emulsification stability test was visually and the flavor was sensory.
The obtained results are shown in Table 2 below.
[0037]

C12: erythritol lauric acid monoester, C14: erythritol myristic acid monoester, C16: erythritol palmitic acid monoester
In the above table, each symbol in the results of emulsion stability and flavor represents the following.
(Emulsification stability)
A: No separation of milk fat and the like is observed. ○: Floatation (feathering) of milk fat is observed by partial acceleration time test. (Triangle | delta): Although the floatation of milk fat is recognized by the acceleration aging test, if it shakes, it will disperse | distribute and there is no problem in goods. X: Separation / floating of milk fat was observed even before the acceleration aging test and the acceleration aging test, and there was no commercial value.
(Flavored)
A: No fatty acid ester bitterness or taste ○: Slightly fatty acid ester bitterness / egg taste, but no problem. (Triangle | delta): There are an egg taste and a bitter taste in aftertaste. ×: Strong taste and bitterness and no commercial value.
[0039]
From the above results, it was confirmed that erythritol fatty acid esters (lauric acid, myristic acid, palmitic acid) inhibit the growth of heat-resistant spore bacteria and do not deteriorate the flavor and stability of food and drink.
[0040]
【The invention's effect】
According to the present invention, sugar alcohol fatty acid esters (sugar alcohols: erythritol, xylitol, arabitol, sorbitol, mannitol, fatty acids: lauric acid, myristic acid, palmitic acid, etc.) are used as active ingredients, so that during the storage period of processed foods Furthermore, it is possible to provide a heat-resistant spore bacterium growth inhibitor capable of suppressing the growth of heat-resistant spore bacteria, preventing the deterioration of food and drink, and maintaining the value of the product.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram illustrating a continuous system for producing erythritol fatty acid esters.
FIG. 2 is a process diagram showing recovery of erythritol lauric acid monoester, erythritol lauric acid diester, and reuse of unreacted lauric acid and erythritol.

Claims

A bacteriostatic agent characterized by comprising a sugar alcohol fatty acid ester comprising erythritol as an active ingredient .

A bacteriostatic agent comprising a sugar alcohol fatty acid monoester composed of erythritol as an active ingredient .

The bacteriostatic agent according to claim 1 or 2, wherein the fatty acid is a saturated or unsaturated fatty acid having 7 to 20 carbon atoms.

The bacteriostatic agent according to claim 3, wherein the fatty acid is at least one selected from lauric acid, myristic acid, and palmitic acid.

The bacteriostatic agent according to any one of claims 1 to 4, wherein the bacteriostatic agent is a bacteriostatic agent against heat-resistant spore bacteria.

The bacteriostatic agent according to any one of claims 1 to 5, wherein the bacteriostatic agent is a bacteriostatic agent for food and drink.

A bacteriostatic method for food and drink, comprising adding the bacteriostatic agent according to claim 6.

The bacteriostatic method for food and beverage according to claim 7, wherein the concentration of the bacteriostatic agent is 3 to 2000 ppm.