JP4189160B2 - Method for adjusting the degree of acetyl substitution of cellulose acetate - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテートを熟成することにより、セルロースアセテート分子間またはセルロースアセテート分子内のアセチル置換度を調整する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアセテート、特にアセチル置換度が2.6以上であるセルロースアセテート(一般にセルローストリアセテートに分類されるもの)は、その強靭性と難燃性から様々な分野で使用されている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における具体的な用途しては、偏光板保護膜、位相差フイルムおよびカラーフィルターが代表的である。
セルロースアセテートフイルムは、一般にソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。
【0003】
セルロースアセテートフイルムのようなセルロースアセテート製品をソルベントキャスト法で製造する場合、セルロースアセテートのアセチル置換度、セルロースアセテートの溶媒への溶解性およびセルロースアセテート製品の物性(光学的性質を含む)の関係が非常に重要である。従来から、セルロースアセテートのアセチル置換度が高い場合は溶媒への溶解性が低く製品の物性が良好であり、置換度が低い場合は溶解性が高く物性が不良であるとの関係が一般的な原則として知られている。
セルロースアセテートの溶媒としては、従来からジクロロメタンが使用されている。セルロースアセテートは、ジクロロメタンに非常に良く溶解する。従って、従来では特別な場合を除き、高置換度のセルローストリアセテートをジクロロメタンに溶解した溶液で、ソルベントキャスト法により良好な物性の製品を製造していた。すなわち、ジクロロメタンを溶媒として使用する場合、高置換度セルローストリアセテートの溶解性の低さは、問題点として顕在化していなかった。
【0004】
ところが、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素は、近年、地球環境保護の観点から、その使用が著しく制限される方向にある。また、ジクロロメタンは、低沸点(41℃)であるため、製造工程において揮散しやすい。このため、作業環境においても問題がある。これらの問題を解決するため、密閉された環境で作業が行われている。
特開平9−95544号、同9−95557号および同9−95538号の各公報は、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物を冷却し、さらに加温することによって、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解してセルロースアセテート溶液を調製する方法を提案している。この冷却工程と加温工程を有する方法(以下、冷却溶解法と称する)によると、従来の方法では溶解することができなかった、セルロースアセテートと有機溶媒の組み合わせであっても、溶液を調製することができる。冷却溶解法は、溶解性が低い(アセチル置換度が2.6以上の)セルローストリアセテートから製品を製造する場合に特に有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
冷却溶解法により、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素を使用しなくても、溶解性が低い(アセチル置換度が2.6以上の)セルローストリアセテートからソルベントキャスト法により製品を製造することが可能になった。
しかし、冷却溶解法を用いても、アセチル置換度が高いセルロースアセテートは、有機溶媒への溶解性が低い。また、アセチル置換度が高いセルロースアセテートを有機溶媒に溶解して溶液を製造しても、溶液の安定性に問題がある場合が多い。
【0006】
本発明の目的は、アセチル置換度が比較的高いセルロースアセテートの溶解性を改善することである。
本発明の別の目的は、2位、3位および6位のアセチル置換度の関係が適切に調節されたセルロースアセテートを提供することである。
本発明のまた別の目的は、溶解性と粘度との調節が容易なセルロースアセテート溶液を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、適切な物性および光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムを提供することである。
本発明のさらにまた別の目的は、アセチル置換度が比較的高いセルロースアセテートの溶液を用いて、物性が良好なセルロースアセテートフイルムを製造することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(6)のセルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法、下記(7)、(8)のセルロースアセテートの製造方法、下記(9)〜(20)のセルロースアセテート、下記(21)、(22)のセルロースアセテート溶液、下記(23)のセルロースアセテートフイルムの製造方法、および下記(24)、(25)のセルロースアセテートフイルムにより達成された。
【0008】
(1)セルロースアセテートを、触媒、アセチル供与体、および水またはアルコールの存在下、かつ水およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃至10モル%の条件下で熟成することにより、分子間または分子内のアセチル置換度を調整することを特徴とするセルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法。
(2)アセチル供与体が、酢酸または酢酸エステルである(1)に記載のアセチル置換度の調整方法。
(3)触媒が、酸または金属イオンである(1)に記載のアセチル置換度の調整方法。
(4)触媒が酸であって、熟成中、酸触媒の存在量が、アセチル供与体の0.1乃至10モル%の範囲である(3)に記載のアセチル置換度の調整方法。
(5)熟成温度が、20乃至125℃である(1)に記載のアセチル置換度の調整方法。
(6)熟成時間が10分乃至10時間である(1)に記載のアセチル置換度の調整方法。
【0009】
(7)セルロースを溶媒中で酸触媒の存在下、酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテートを合成する工程、そして、合成したセルロースアセテートを、残存する酸触媒、アセチル供与体、および水またはアルコールの存在下、かつ水およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃至10モル%の条件下で熟成する工程からなるセルロースアセテートの製造方法。
(8)セルロースを溶媒中で酸触媒の存在下、酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテートを合成する工程、酸触媒を中和して反応を停止する工程、そして、合成したセルロースアセテートを、触媒、アセチル供与体、および水またはアルコールの存在下、かつ水およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃至10モル%の条件下で熟成する工程からなるセルロースアセテートの製造方法。
【0010】
(9)アセチル置換度が2.636乃至2.958であるセルロースアセテートであって、分子間置換度分布曲線の最大ピークが0.080未満の半値幅(単位は相当する置換度差)を有することを特徴とするセルロースアセテート。
(10)分子間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で定義されるYよりも小さい値の半値幅を有する(9)に記載のセルロースアセテート:
Y=−0.1788X+0.5788
[式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度である]。
【0011】
(11)アセチル置換度が2.636乃至2.958であるセルロースアセテートであって、分子間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で定義されるYよりも小さい値の半値幅を有することを特徴とするセルロースアセテート:
Y=−0.1788X+0.5788
[式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度である]。
(12)3450乃至3550cm-1の波数に赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅が135cm-1以下であることを特徴とするセルロースアセテート。
【0012】
(13)2位、3位および6位のアセチル置換度が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とするセルロースアセテート:
(I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70
(II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70
(III) 2DS+3DS>1.80
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3DSは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DSは、6位のアセチル置換度である]。
(14)2位、3位および6位のアセチル置換度が、さらに下記式(VI)を満足する(13)に記載のセルロースアセテート:
(VI) 2DS+3DS−6DS<1
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3DSは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DSは、6位のアセチル置換度である]。
【0013】
(15)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下記式(VII)を満足する(13)に記載のセルロースアセテート:
(VII) 2DS+3DS>1.82
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そして、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
(16)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下記式(VIII)を満足する(15)に記載のセルロースアセテート:
(VIII) 2DS+3DS>1.84
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そして、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
【0014】
(17)2位、3位および6位のアセチル置換度が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴とするセルロースアセテート:
(III) 2DS+3DS>1.80
(IV) 3DS<2DS
(V) 6DS>0.80
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3DSは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DSは、6位のアセチル置換度である]。
(18)6位のアセチル置換度が、さらに下記式(IX)を満足する(17)に記載のセルロースアセテート:
(IX) 6DS<0.98
[式中、6DSは、6位のアセチル置換度である]。
【0015】
(19)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下記式(VII)を満足する(17)に記載のセルロースアセテート:
(VII) 2DS+3DS>1.82
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そして、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
(20)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下記式(VIII)を満足する(19)に記載のセルロースアセテート:
(VIII) 2DS+3DS>1.84
[式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そして、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
【0016】
(21)上記(9)〜(20)のいずれか一つに記載のセルロースアセテートが有機溶媒中に溶解しているセルロースアセテート溶液。
(22)有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化水素を含まない(21)に記載のセルロースアセテート溶液。
【0017】
(23)上記(9)〜(20)のいずれか一つに記載のセルロースアセテートを有機溶媒で膨潤させる工程;得られた膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却する工程;冷却した混合物を0乃至200℃に加温して、セルロースアセテートの有機溶媒溶液を得る工程;そして、得られた有機溶媒溶液を支持体上に塗布して、セルロースアセテートフイルムを形成する工程からなるセルロースアセテートフイルムの製造方法。
【0018】
(24)上記(9)〜(20)のいずれか一つに記載のセルロースアセテートからなるセルロースアセテートフイルム。
(25)3450乃至3550cm-1の波数にセルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下であることを特徴とするセルロースアセテートフイルム。
【0019】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、アセチル供与体および触媒の存在下でセルローストリアセテートを熟成する際に、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体の0.1乃至10モル%に調整すると、セルローストリアセテートのアセチル置換度が均一になることが判明した。
アセチル置換度が低いセルロースジアセテートについては、逆相HPLCを用いた分子間置換度分布の評価方法が、T.R.Floyd (J.Chromatogr.,629,243(1993) )および川井(高分子論文集、Vol.54,No.9,526(1997) )により報告されている。しかし、アセチル置換度が高いセルローストリアセテートについては、特に報告がない。
本発明者が、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートについて、さらに研究を進めたところ、アセチル置換度が均一であると、置換度が比較的高い値(2.636〜2.958)のセルローストリアセテートであっても、溶解性が良好であることが判明した。すなわち、アセチル置換度を均一にすることによって、アセチル置換度が高いセルローストリアセテートの溶液を用いて、物性が良好なセルローストリアセテート製品を製造することができる。
【0020】
さらに、本発明者が研究を進めたところ、セルロースアセテートを熟成する際に、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体の0.1乃至10モル%に調整すると、分子間のみならず、分子内の2位、3位および6位のアセチル置換度も、容易かつ適切に調整できることが判明した。
2位、3位および6位のアセチル置換度について、有効な調節手段が得られたため、前記式(I)〜(III)を満足するような2位および3位のアセチル置換度の合計と6位のアセチル置換度との関係が適切なセルロースアセテートや、前記式(III)〜(V)を満足するような2位、3位および6位のアセチル置換度の関係が適切なセルロースアセテートを得ることが可能になった。
このように2位、3位および6位のアセチル置換度が適切に調整されたセルロースアセテートを用いると、溶解性と粘度との調節が容易なセルロースアセテート溶液を容易に調製することができる。また、本発明により、適切な物性および光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムも、容易に製造することが可能になった。
【0021】
さらにまた、本発明者の研究を進めた結果、良好な溶解性を有するセルロースアセテートは、特有の赤外線吸収スペクトルを示すことが判明した。すなわち、3450乃至3550cm-1の波数にセルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下であるセルロースアセテートを使用すると、セルロースアセテートが良好に溶解している溶液が得られる。そのセルロースアセテート溶液を使用することで、適切な物性および光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムを製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
[セルロースアセテートの製造]
セルロースアセテート原料のセルロースとしては、綿花リンターや木材パルプを用いることができる。原料セルロースを混合して使用してもよい。
セルロースアセテートは、セルロースを溶媒中で触媒の存在下、酢酸または無水酢酸と反応させてを合成する。溶媒として酢酸、触媒として硫酸、そして、アセチル供与体として無水酢酸を使用することが普通である。
【0023】
セルロースアセテートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、無水酢酸(アセチル供与体)−酢酸(溶媒)−硫酸(触媒)による液相酢化法である。具体的には、木材パルプのようなセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却した酢化混液に投入して酢酸エステル化し、セルロースアセテートを合成する。上記酢化混液は、一般に、溶媒としての酢酸、アセチル供与体(エステル化剤)としての無水酢酸および触媒としての硫酸を含む。無水酢酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。酢化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水酢酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム、亜鉛またはアンモニウムの炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。
【0024】
従来の方法では、得られたセルロースアセテートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン化熟成し、所望のアセチル置換度および重合度を有するセルロースアセテートまで変化させている。そして、所望のセルロースアセテートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、中和することなく、水または希酢酸中にセルロースアセテート溶液を投入(あるいは、セルロースアセテート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアセテートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアセテートを得ていた。
特開平11−5851号公報には、アセチル化反応において少ない硫酸量を選択することにより6位置換度が比較的高いセルロースアセテートが得られる旨が開示されている。しかし、そのような低硫酸条件において製造したセルロースアセテートは、溶液において白濁を生じたり、溶解性が良好ではないとの問題が生じる場合がある。アセチル化の反応は、固相であるセルロース原料がアセチル化を受けて少しずつ溶解しながら進行する。低硫酸条件下での反応では、先に溶解したセルロースと後で溶解したセルロースとで反応速度に違いが生じ、その結果、アセチル置換度が不均質なセルロースアセテートが製造されたと考えることができる。
【0025】
本発明者の研究の結果、セルロースアセテートを、アセチル供与体、アセチル供与体の0.1乃至10モル%(0.1モル%以上、10モル%未満)の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成すると、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートを製造できることが判明した。
また、本発明者の研究の結果、セルロースアセテートを、アセチル供与体、アセチル供与体の0.1乃至10モル%(0.1モル%以上、10モル%未満)の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成すると、2位、3位および6位のアセチル置換度を容易かつ適切に調整できることも判明した。
【0026】
セルロースアセテートの合成と熟成(アセチル置換度の調整)とを連続して実施する場合は、合成反応を停止するための中和処理(酸触媒の中和)を実施しないか、あるいは部分的な中和処理として、合成反応で用いた触媒の全量もしくはその一部を熟成反応で利用することができる。
アセチル供与体は、分子内にアセチル基(−COCH3 )を有し、触媒存在下のエステル交換反応またはエステル形成反応によって、セルロースアセテートの未反応の水酸基(−OH)にアセチル基を供与できる化合物である。アセチル供与体は、酢酸または酢酸エステルが好ましく、酢酸または酢酸とアルコールとのエステルがさらに好ましい。
【0027】
本発明者の研究によれば、水およびアルコールの存在量がアセチル供与体の10モル%以上である場合、置換度が高い(2位、3位および6位のアセチル置換度の合計が2.636以上の、特に2.70以上の)セルローストリアセテートでは、アセチル基が離脱しやすい。
これに対して、水およびアルコールの存在量を、アセチル供与体の10モル%未満(好ましくは7モル%未満)まで低下させると、遊離水酸基のアセチル化反応が、離脱反応に対し無視できない速さで起こる。その結果、反応は平衡点に向かって収束する傾向になる。従って、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体の10モル%未満に調整することで、アセチル供与体とセルロースアセテートとの反応を可逆的にすることができる。すなわち、未反応の水酸基(2位、3位または6位)を有するグルコース単位およびアセチル供与体(R−O−COCH3 :Rは、水素原子、アルキル基)と、未反応の水酸基を含まない(全てアセチル基が結合した)グルコース単位および水またはアルコール(R−OH:Rは、水素原子、アルキル基)との平衡条件を調節することにより、セルロースアセテートのアセチル置換度を均一に調整できる。
上記の平衡条件を実現するために、一定量(アセチル供与体の0.1モル%以上)の水またはアルコールが必要である。
【0028】
また、本発明者の研究によれば、アセチル供与体とセルロースアセテートとの反応を可逆的にすれば、2位、3位または6位のアセチル置換度の調整も容易になる。すなわち、下記式に示すように、2位、3位または6位に未反応の水酸基を有するグルコース単位と、アセチル供与体(R−O−COCH3 :Rは、水素原子、アルキル基)との平衡条件を調節することにより、2位、3位および6位のアセチル置換度を効果的に調整することができる。
【0029】
【化1】
【0030】
熟成工程における触媒としては、酸または金属(例、チタン、スズ)イオンが好ましい。酸としては、通常のプロトン酸のみではなく、ルイス酸も有効である。熟成反応を、酢酸エステル(アセチル供与体)−アルコール(溶媒)系で実施する場合は、金属アルコキシドや有機塩基(例、ジアルキルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール)も、触媒として用いることができる。最も好ましい触媒は、酸である。
酸触媒は、強酸(例、スルホン酸、過塩素酸、硫酸、三フッ化ホウ素、四フッ化ホウ素酸)が好ましい。入手の容易さ、安定性、毒性、腐食性のような諸性質を考慮すると、硫酸が最も好ましい。なお、100℃以上の反応条件では、アセチル供与体である酢酸を、酸触媒として使用することもできる。酢酸が、アセチル供与体と触媒との機能を兼ねる態様も本発明に含まれる。
触媒の使用量は、触媒機能(酸触媒の場合は酸性度)と反応温度とを考慮して決定する。
【0031】
熟成反応は、従来から酢酸(アセチル供与体)−水(溶媒)系で実施することが普通であった。ただし、従来の熟成反応では、水が酢酸に対して10モル%以上存在する条件下で実施していた。このような条件下では、セルロースアセテートのエステル結合の分解反応のみが進行して、置換度が低下する。よって、そのような熟成反応では、2位、3位および6位のアセチル置換度を調整することはできなかった。
本発明の熟成反応では、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体の10モル%未満(好ましくは7モル%未満)に制限することによって、2位、3位および6位のアセチル置換度を調整する。
なお、セルロースアセテートを合成する工程では、一般に過剰量の無水酢酸を使用するが、熟成工程の前に、過剰の無水酢酸を酢酸まで加水分解しておく(熟成工程では無水酢酸が存在しない)ことが好ましい。
【0032】
熟成反応においては、アセチル供与体が溶媒として機能できるため、別に溶媒を添加する必要はない。ただし、反応に対して不活性な液体を、溶媒として使用することもできる。アセチル供与体以外の溶媒は、アセチル供与体に対して、5倍(質量倍)以下の量で使用することが好ましい。アセチル供与体以外の溶媒は、熟成反応においてセルロースアセテートを溶解状態に保つことができる液体から選択すればよい。溶媒の例には、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン)、ニトロ化合物(例、ニトロメタン、ニトロベンゼン)、スルホン(例、スルホラン)およびエーテル(例、ジオキサン)が含まれる。
酸触媒(例、スルホン酸、過塩素酸、硫酸)を使用する場合、熟成中の酸触媒の存在量は、アセチル供与体の0.1乃至10モル%の範囲であることが好ましく、0.2乃至2モル%の範囲であることがさらに好ましい。すなわち、熟成中は、触媒の存在量に大きな変化がなく、触媒の存在量は上記の範囲内であることが望ましい。
熟成温度が、20乃至125℃であることが好ましく、30乃至70℃であることがさらに好ましい。
熟成時間は、10分乃至10時間であることが好ましく、30分乃至3時間であることがさらに好ましい。
【0033】
以上述べたような、水またはアルコールのアセチル供与体に対するモル比(X)、触媒のアセチル供与体に対するモル比(Y)、熟成温度(T)および熟成時間(t)は、個々の条件に加えて、条件全体としての調整も重要である。
前述したアセチル供与体とセルロースアセテートとの平衡反応を適切に調整するためには、熟成工程における反応条件を、下記式で定義される反応履歴パラメータ(R)が20を越える値となるように調節することが好ましい。Rは、30を越える値であることがさらに好ましく、40を越える値であることが最も好ましい。
R=∫YZ/Xdt
式中、Xは、反応系中の水またはアルコールのアセチル供与体に対するモル比(%)であり;Yは、反応系中の触媒のアセチル供与体に対するモル比(%)であり;Zは、温度換算係数(3(T-30)/20 :Tは熟成温度(℃))であり;そして、tは、熟成時間(単位:分)である。なお、Xが0.1モル%未満の場合は、0.1として計算する。
【0034】
[セルロースアセテートの分子間置換度]
上記の製造方法を採用することにより、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートを合成することができる。
アセチル置換度が不均一なセルロースアセテートから、クロマトグラフィーのような精製手段を用いて、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートを分離することもできる。しかし、上記のような製造方法の改良によって、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートを合成する方が経済的であり好ましい。
【0035】
セルロースアセテートの(平均)アセチル置換度は、2.636乃至2.958であることが好ましい。
アセチル置換度は、手塚(Tezuka,Carbonydr.Res.273,83(1995) )の方法に従いNMRで測定できる。すなわち、セルロースアセテート試料の遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、炭素13のスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチルとプロピオニルの存在比から、元のセルロースアセテートにおける酢化度を求めることができる。
【0036】
セルロースアセテートの平均置換度を求める最も一般的な方法は、ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定方法である。ASTMに従い求めた酢化度(結合酢酸量)を、次式で置換度に換算してもよい。
DS=162×AV×0.01/(60−42×AV×0.01)
上記式において、DSはアセチル置換度であり、AVは酢化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の値は、前記のNMR測定値との間に若干の誤差が生じることが普通である。換算値とNMR測定値とが異なる場合は、NMR測定値を採用する。また、NMR測定の具体的方法によって値が相違する場合は、上記手塚の方法によるNMR測定値を採用する。
【0037】
本明細書において、アセチル置換度が均一なセルロースアセテートとは、分子間置換度分布曲線の最大ピークが0.080未満の半値幅を有するか、あるいは、分子間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で定義されるYよりも小さい値の半値幅を有するセルロースアセテートであることを意味する。
Y=−0.1788X+0.5788
上記式において、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度である。
セルロースアセテートは、分子間置換度分布曲線の最大ピークが0.080未満かつ上記式で定義されるYよりも小さい値の半値幅を有することが最も好ましい。
【0038】
セルロースアセテートの分子間置換度分布曲線は、逆相HPLCにおけるセルロースアセテートの溶出曲線を得て、溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチル置換度(0〜3)に換算することにより得ることができる。
逆相HPLCの処理条件は、以下の通りである。
溶媒組成: クロロホルム/メタノール(9/1、v/v):メタノール/水(8/1、v/v)=20:80からクロロホルム/メタノール(9/1、v/v)100へ28分間のリニアグラジエント
カラム: ノバパックフェニル3.9×150mm(Waters製)
カラム温度: 30℃
流速: 0.7ml/分
試料濃度: 2mg/ml
注入量: 20マイクロリットル
検出器: エバポレイティブ光散乱検出器(ELSD-MK-III、Varex製)
ドリフトチューブ温度:80℃
ガス流量: 2.1SLPM
【0039】
溶出曲線を分子間置換度分布曲線に変換する際には、4種以上の置換度の異なる試料を用いて、同じ測定条件で溶出時間を測定し、溶出時間(T)から置換度(DS)を求める換算式を得る。すなわち、溶出時間(T)と置換度(DS)との関係から、最小二乗法によりキャリブレーションカーブの関数(通常は、下記の2次式)を求める。
DS=aT2 +bT+c
上記式において、DSはアセチル置換度であり、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の係数である。
【0040】
図1は、実施例4で得られたセルロースアセテートの分子間置換度分布曲線である。
図2は、比較例4で得られたセルロースアセテートの分子間置換度分布曲線である。
図1および図2における横軸のDSは、アセチル置換度を意味する。図1および図2における縦軸の強度は、横軸のアセチル置換度を有するセルロースアセテートの存在量に相当する。
図1に示す分子間置換度分布曲線では、アセチル置換度が2.795の位置に、図2に示す分子間置換度分布曲線では、アセチル置換度が2.851の位置に、最大ピーク(E)が認められる。
分子間置換度分布曲線の低置換度側の基部(A)と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引く。分子間置換度分布曲線の最大ピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、分子間置換度分布曲線との二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点の幅を、最大ピークの半値幅とする。
【0041】
[セルロースアセテートの分子内置換度]
前述した製造方法を採用することにより、2位、3位および6位のアセチル置換度が適切に調節されたセルロースアセテートを合成することもできる。
2位、3位および6位のアセチル置換度が、下記式(I)〜(III)を満足するセルロースアセテートを用いると、適切な物性および光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムを製造することができる。
(I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70
(II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70
(III) 2DS+3DS>1.80
式(I)〜(III)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0042】
2位、3位および6位のアセチル置換度は、下記式(VI)を満足することも好ましい。
(VI) 2DS+3DS−6DS<1
式(VI)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0043】
2位および3位のアセチル置換度は、下記式(VII)を満足することも好ましく、下記式(VIII)を満足することがさらに好ましい。
(VII) 2DS+3DS>1.82
(VIII) 2DS+3DS>1.84
式(VII)および(VIII)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、そして、3DSは、3位のアセチル置換度である。
【0044】
図3は、式(I)〜(III)、(VI)〜(VIII)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9および12〜14と比較例1のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。グラフの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)および3位のアセチル置換度(2DS)の合計(2DS+3DS)であり、グラフの縦軸は6位のアセチル置換度(6DS)である。
式(I)を満足するセルロースアセテートは、図3に(I)として示した実線(2DS+3DS=6DS×4−1.70)よりも下側の領域である。
式(II)を満足するセルロースアセテートは、図3に(II)として示した実線(2DS+3DS=−6DS×4+5.70)よりも上側の領域である。
式(III)を満足するセルロースアセテートは、図3に(III)として示した実線(2DS+3DS=1.80)よりも右側の領域である。
式(VI)を満足するセルロースアセテートは、図3に(VI)として示した実線(2DS+3DS−6DS=1)よりも左側の領域である。
式(VII)を満足するセルロースアセテートは、図3に(VII)として示した実線(2DS+3DS=1.82)よりも右側の領域である。
式(VIII)を満足するセルロースアセテートは、図3に(VIII)として示した実線(2DS+3DS=1.84)よりも右側の領域である。
なお、黒丸1〜9および12〜14は、実施例1〜9および12〜14のセルロースアセテートであり、白丸C1は、比較例1のセルロースアセテートである(比較例2は、グラフの圏外)。
【0045】
また、2位、3位および6位のアセチル置換度が、下記式(III)〜(V)を満足するセルロースアセテートを用いると、適切な粘度および溶解性を有するセルロースアセテート溶液を調製することができる。
(III) 2DS+3DS>1.80
(IV) 3DS<2DS
(V) 6DS>0.80
式(III)〜(V)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0046】
2位および3位のアセチル置換度は、下記式(VII)を満足することも好ましく、下記式(VIII)を満足することがさらに好ましい。
(VII) 2DS+3DS>1.82
(VIII) 2DS+3DS>1.84
式(VII)および(VIII)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、そして、3DSは、3位のアセチル置換度である。
【0047】
2位および3位のアセチル置換度は、下記式(X)を満足することも好ましい。
(X) 3DS>2DS×2−1
式(X)において、2DSは、2位のアセチル置換度であり、そして、3DSは、3位のアセチル置換度である。
【0048】
図4は、式(III)、(IV)、(VII)、(VIII)および(X)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9および12〜14と比較例1、2のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。グラフの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)であり、グラフの縦軸は3位のアセチル置換度(3DS)である。
式(III)を満足するセルロースアセテートは、図4に(III)として示した実線(2DS+3DS=1.80)よりも上側の領域である。
式(IV)を満足するセルロースアセテートは、図4に(IV)として示した実線(3DS=2DS)よりも下側の領域である。
式(VII)を満足するセルロースアセテートは、図4に(VII)として示した実線(2DS+3DS=1.82)よりも上側の領域である。
式(VIII)を満足するセルロースアセテートは、図4に(VIII)として示した実線(2DS+3DS=1.84)よりも上側の領域である。
式(X)を満足するセルロースアセテートは、図4に(X)として示した実線(3DS=2DS×2−1)よりも左側の領域である。
なお、黒丸1〜9および12〜14は、実施例1〜9および12〜14のセルロースアセテートであり、白丸C1、C2は、比較例1、2のセルロースアセテートである。
【0049】
式(I)〜(X)のうち、4以上の式を満足するセルロースアセテートが好ましく、5以上の式を満足するセルロースアセテートがより好ましく、6以上の式を満足するセルロースアセテートがさらに好ましく、7以上の式を満足するセルロースアセテートがさらにまた好ましく、8以上の式を満足するセルロースアセテートが最も好ましい。全ての式を満足するセルロースアセテートが特に好ましい。
セルロースアセテートの2位、3位および6位のアセチル置換度は、セルロースアセテートをプロピオニル化処理した後、13C−NMRの測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydr. Res. 273, 83-91(1995))に記載がある。
【0050】
[赤外線吸収スペクトル]
セルロースアセテートは、3450乃至3550cm-1の波数に赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅が135cm-1以下であることが好ましい。吸収極大は、3455乃至3540cm-1の波数に存在することがさらに好ましく、3460乃至3530cm-1の波数に存在することが最も好ましい。吸収極大の半値幅は、130cm-1以下であることがさらに好ましく、125cm-1以下であることが最も好ましい。
セルロースアセテートの赤外線吸収スペクトルは、ソルベントキャスト法でセルロースアセテートフイルムを作製してから測定する。具体的な測定手順は、実施例6について後述する。
【0051】
測定により得られる赤外線吸収スペクトル(縦軸を吸光度とする)から、吸収極大と半値幅を求める。赤外線吸収スペクトルの吸収バンドの解析については、田所宏行著、高分子の構造(化学同人、1976年)の219〜221頁に記載がある。
図5は、赤外線吸収スペクトルの半値幅を説明するためのチャートである。
図5に示すスペクトルでは、波長が3500cm-1付近に、水酸基の吸収バンドが認められる。吸収バンドの高波数側(3700cm-1付近)の基部(A)と、低波数側(3250cm-1付近)の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引く。吸収バンドのピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決定し、ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、スペクトルとの二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点の幅を、バンドの半値幅(Δν1/2)とする。
なお、吸収バンド(3450乃至3550cm-1の波数)に複数の吸収ピークが存在する場合は、最大の吸収ピークを測定基準(図5におけるE)に採用すればよい。
【0052】
メチルセルロースの赤外線吸収スペクトルについては、近藤の報告(Kondo, Cellulose, 4, 281(1997))がある。
製造済みのセルロースアセテートフイルム(例えば、フイルム製品)においても、同様に測定した赤外線吸収スペクトルにおいて、3450乃至3550cm-1の波数に吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅が135cm-1以下であることが好ましい。ただし、セルロースアセテートフイルム製品では、添加剤(例えば、紫外線吸収剤)が吸収スペクトルに影響する場合がある。従って、セルロースアセテートフイルム製品では、セルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルを測定する。
【0053】
[有機溶媒]
セルロースアセテートは有機溶媒に溶解して、セルロースアセテート溶液を調製して各種用途(例えば、フイルムの製造)に使用することが普通である。有機溶媒の例には、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素およびアルコールが含まれる。
なお、技術的には、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアセテートフイルムから、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
【0054】
有機溶媒は、炭素原子数が2乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が2乃至12のエステルから選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0055】
炭素原子数が2乃至12のエーテルの例には、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセチルアセトンが含まれる。
炭素原子数が2乃至12のエステルの例には、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。メチルアセテート(酢酸メチル)を50質量%以上含む酢酸メチル系有機溶媒が特に好ましく用いられる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0056】
特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三種類の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が2乃至12のエステルから選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
第1の溶媒のケトンおよびエステルについては、前述した通りである。なお、第1の溶媒を二種類併用してもよい。例えば、ケトン(例、アセトン)とエステル(例、酢酸メチル)との混合溶媒を、第1の溶媒として使用してもよい。
第2の溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコール)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。第2の溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アルコールの炭素原子数は、1乃至4であることが好ましく、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく用いられる。
【0057】
第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノール(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−ブタノール(101.9℃)、シクロヘキサノール(161℃)、2−フルオロエタノール(103℃)、2,2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサ−2−メチル−2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、パーフルオロ−tert−ブタノール(45℃)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクトフルオロ−1−ペンタノール(142℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95℃)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクタノール(165℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタノール(82℃)および2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルアルコール(115℃)が含まれる。
【0058】
アルコールについては、前記第2の溶媒の定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコールとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒として使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノールを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他のアルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)を第3の溶媒として使用していもよい。
炭化水素は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。であることがさらに好ましい。
炭化水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜144.4℃)が含まれる。
【0059】
三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃至95質量%含まれることが好ましく、60乃至92質量%含まれることがより好ましく、65乃至90質量%含まれることが更に好ましく、70乃至88質量%含まれることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30質量%含まれることが好ましく、2乃至27質量%含まれることがより好ましく、3乃至24質量%含まれることがさらに好ましく、4乃至22質量%含まれることが最も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30質量%含まれることが好ましく、2乃至27質量%含まれることがより好ましく、3乃至24質量%含まれることがさらに好ましく、4乃至22質量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒としてもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択することが好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタンを併用してもよい。
【0060】
有機溶媒の沸点は、20乃至300℃であることが好ましく、30乃至200℃であることがより好ましく、40乃至100℃であることがさらに好ましく、50乃至80℃であることが最も好ましい。
本発明では、冷却溶解法により、以上のような有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解して、溶液を形成することが好ましい。冷却溶解法は、膨潤工程、冷却工程および加温工程からなる。なお、室温でセルロースアセテートを溶解できる有機溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0061】
[膨潤工程]
膨潤工程においては、セルロースアセテートと有機溶媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒により膨潤させる。
膨潤工程の温度は、−10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実施する。
セルロースアセテートと有機溶媒との比率は、最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至30質量%であることが好ましく、8乃至20質量%であることがさらに好ましく、10乃至15質量%であることが最も好ましい。
溶媒とセルロースアセテートとの混合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで攪拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分であることが好ましく、20乃至120分であることがさらに好ましい。
膨潤工程において、溶媒とセルロースアセテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0062】
[冷却工程]
冷却工程においては、膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。なお、特開平9−95544号、同9−95557号および同9−95538号の各公報に記載の実施例は、3℃/分程度の冷却速度である。
冷却工程においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却時に減圧すると、冷却時間を短縮することができる。減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
具体的な冷却手段としては、様々な方法または装置が採用できる。
【0063】
例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することができる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構からなる冷却装置が好ましく用いられる。
また、−105乃至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、より迅速に冷却することもできる。
【0064】
さらに、−100乃至−10℃に冷却された液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0mmの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。冷却に使用する液体については、特に制限はない。
冷却された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分離する工程を行なうことが好ましい。
冷却工程において、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例えば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出すことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造することができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないように調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と搬送を同時に実施することもできる。
【0065】
[加温工程]
加温工程においては、冷却した膨潤混合物を0至200℃に加温する。加温工程の最終温度は、通常は室温である。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。なお、特開平9−95544号、同9−95557号および同9−95538号の各公報に記載の実施例は、3℃/分程度の加温速度である。
加圧しながら加温すると、加温時間を短縮することができる。加圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、溶解が不充分である場合は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
具体的な加温手段としては、様々な方法または装置が採用できる。
【0066】
例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することができる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を加温するため容器の周囲に設けられている加温機構からなる加温装置が好ましく用いられる。
【0067】
また、加温された液体中へ、直径が0.1乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物を入れることにより膨潤混合物を加温することで、さらに迅速に膨潤混合物を加温することも可能である。
冷却工程において、膨潤混合物を糸状に押し出す方法を採用した場合は、その糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投入すればよい。冷却工程を糸状押し出し以外の方法で実施した場合は、加温工程において冷却した膨潤混合物を加温用液体中へ糸状に押し出す。なお、糸状押し出しを連続して実施する場合は、製造したセルロースアセテート溶液を次の膨潤混合物の加温用の液体として順次利用することができる。すなわち、製造し加温された状態のセルロースアセテート溶液中に、糸状の膨潤混合物を投入し、混合物を迅速に加温してセルロースアセテート溶液を得る。
【0068】
さらに、冷却した膨潤混合物を筒状の容器内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転させ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲から膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレメントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されている。
さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整された圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定するが一般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶媒の沸点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20kgw/cm2 である。
【0069】
[溶液製造後の処理]
製造した溶液は、必要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度調整、成分添加などの処理を実施することができる。
添加する成分は、セルロースアセテート溶液の用途に応じて決定する。セルロースアセテートフイルムの場合、代表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、染料および紫外線吸収剤である。さらに、この段階で微粒子(好ましくは、微粒子を分散したセルロースアセテートの希釈溶液)を添加することが好ましい。
【0070】
[微粒子]
セルロースアセテートフイルムは、1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含むことができる。微粒子は滑り剤として機能して、フイルムの動摩擦係数を改善する。
微粒子としては、無機化合物を用いることが好ましい。無機化合物の例には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムが含まれる。二酸化ケイ素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが好ましく、二酸化ケイ素が特に好ましい。
無機化合物の微粒子は、表面処理により粒子表面にメチル基を導入することができる。例えば、酸化ケイ素の微粒子をジクロロジメチルシランやビス(トリメチルシリル)アミンで処理すればよい。
【0071】
二酸化ケイ素の微粒子は、既に市販されている(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R974TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。また、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル(株)製)。
微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmであることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであることが最も好ましい。
微粒子は、セルロースアセテートに対して、0.005乃至0.3質量%の量で使用することが好ましく、0.01乃至0.1質量%の量で使用することがさらに好ましい。
微粒子は、後述するフイルムの製造工程のいずれの段階で添加してもよい。好ましくは、セルロースアセテートの有機溶剤溶液と類似の組成の希釈溶液を作成し、希釈溶液中に微粒子を分散させる。そして、有機溶剤溶液と微粒子を含む希釈溶液を混合して、その混合液からフイルムを形成すると、微粒子が均一に分散しているフイルムを製造することができる。
【0072】
[可塑剤]
セルロースアセテートフイルムには、一般に可塑剤を添加する。
可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホスフェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステルおよびリノール酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、クエン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブチルが含まれる。オレイン酸エステルの例には、オレイン酸ブチルが含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリアセチン、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
可塑剤の添加量は、一般にセルロースアセテートの量の0.1乃至40質量%の範囲であり、1乃至20質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0073】
[劣化防止剤]
劣化防止剤をセルロースアセテートフイルムに添加してもよい。劣化防止剤の例には、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。
劣化防止剤の添加量は、セルロースアセテートフイルムの0.01乃至0.5質量%であることが好ましく、0.05乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。
【0074】
[紫外線吸収剤]
セルロースアセテートフイルム中に、紫外線吸収剤を練り込んでもよい。紫外線吸収剤は、セルロースアセテートフイルムの経時安定性を向上させる。紫外線吸収剤は、可視領域に吸収を持たないことが望ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物(例、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン)、ベントトリアゾール系化合物(例、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)およびサリチル酸系化合物(例、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル)が用いられる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアセテートフイルムに対して0.5乃至20質量%の範囲であることが好ましく、1乃至10質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0075】
[染料]
セルロースアセテートフイルムに染料を添加して、ライトパイピング現象を防止してもよい。
染色の色相はグレーが好ましい。セルロースアセテートフイルムの製造温度域での耐熱性に優れ、かつセルロースアセテートとの相溶性に優れた化合物を、染料として用いることが好ましい。
二種類以上の染料を混合して用いてもよい。
【0076】
[フイルム製膜]
以上の冷却溶解法によるセルロースアセテートの有機溶媒溶液(ドープ)の調製は、通常のソルベントキャスト法における溶液調製(常温または高温での攪拌)と全く異なるが、得られた溶液からフイルムを製膜する工程は、通常のソルベントキャスト法と同様に実施できる。
セルロースアセテート溶液は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体としては、ドラムまたはバンドが用いられる。通常のソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
【0077】
支持体上に形成したセルロースアセテートフイルムは、乾燥が終了する前(有機溶媒がフイルムの30質量%以上)に支持体から剥離して、さらに乾燥することが好ましい。そのためには、支持体上での溶液のゲル化が迅速に進行する必要がある。溶液のゲル化を促進するためには、アルコール(前述した第3の溶媒)のような貧溶媒の使用が有効である。また、流延方法の改良によりゲル化を促進することもできる。
10℃以下に冷却した支持体に溶液を流延すると、溶液のゲル化が促進される(特公平5−17844号公報記載)。支持体の冷却は、冷媒または冷風の使用により実施できる。支持体を冷却する方法では、2秒以上乾燥風を用いて支持体上のフイルムを乾燥してもよい。得られたフイルムを支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。
30℃以上に加熱した支持体に溶液を流延してから、支持体を20℃以下に冷却しても、溶液のゲル化が促進される(特開昭61−148013号、同61−158413号の各公報記載)。支持体の加熱は、支持体表面へのヒーター取り付け、熱風吹きつけやドラムへの温水通水ににより実施できる。溶液の流延直後に速やかに温度を上昇させることが好ましい。そして、加熱の初期段階においては、溶媒の蒸発による多量の潜熱を必要とする。そのため、加熱の初期段階では、上記のような加熱手段に加えて、裏面からの熱風やヒーター(蒸気ヒーター、赤外線ヒーター)のような補助加熱手段を併用することが好ましい。支持体の冷却は、放冷の他、冷風吹きつけやドラムへの冷水通水のような強制冷却により実施できる。
【0078】
以上のように製造したセルロースアセテートフイルムは、その優れた光学的性質および物性を利用して、様々な用途に使用できる。特に、液晶表示装置の光学的用途において、特に本発明のフイルムが有効である。
光学的な用途においては、セルロースアセテートフイルムにAG(アンチグレアー)処理またはAR(反射防止処理)を実施してもよい。特にAR処理を用いると、フイルムの光透過率を3%程度改善することができる。AR処理では、具体的にはフイルム上に反射防止膜(単層、2層膜、あるいは3層以上の多層膜)を設けて、反射損失を減少させる。反射防止膜の具体的な素材については、薄膜ハンドブック(オーム社、昭和58年12月10日)の818〜821頁に記載がある。
【0079】
[偏光板保護膜および液晶表示装置]
セルロースアセテートフイルムの光学的用途としては、液晶表示装置の偏光板保護膜または位相差板が特に好ましい。
液晶表示装置は、一般に液晶表示素子と偏光板とを有する。
液晶表示素子は、液晶層、それを保持するための基板および液晶に電圧を加え
るための電極層からなる。基板および電極層は、いずれも表示のために透明な材料を用いて製造される。透明基板としては、ガラス薄板または樹脂フイルムが使用される。多少の屈曲性が要求される液晶表示装置の場合は、樹脂フイルムを使用する必要がある。液晶基板には、高い透明性に加えて、低複屈折率および耐熱性が要求される。液晶表示装置に位相差板を設ける場合もある。位相差板は、液晶画面の着色を取り除き、白黒化を実現するための複屈折フイルムである。位相差板も、樹脂フイルムを用いて製造する。位相差板には、高い複屈折率が要求される。
偏光板は、保護膜と偏光膜とからなる。偏光膜は、ヨウ素または二色性染料を偏向素子として用いた樹脂フイルムである。保護膜は、偏光膜を保護する目的で、偏光膜の片面または両面に設けられる。なお、偏光膜の片面のみに保護膜を設ける場合は、一般に上記の液晶基板が他の面の保護膜として機能する。偏光板保護膜には、透明性と低複屈折率(低レターデーション値)が要求されるため、本発明のセルロースアセテートフイルムが特に有利に用いられる。
【0080】
偏光板の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
偏光板保護膜は、25乃至350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至200μmの厚さを有することがさらに好ましい。保護膜には、紫外線吸収剤、滑り剤、劣化防止剤あるいは可塑剤を添加してもよい。
偏光板保護膜上にさらに表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれる。
偏光板およびその保護膜については、特開平4−219703号、同5−212828号および同6−51117号各公報に記載がある。
【0081】
【実施例】
[実施例1]
(セルロースアセテートの合成)
α−セルロース含量が約97質量%の木材パルプ(水分含量:7.31質量%)を解砕した。パルプ302.1gに対して、140gの氷酢酸を均一に散布し攪拌した後、室温で90分間放置した。予め冷却した無水酢酸769.7g、酢酸1170.3gおよび98%硫酸23.08gの混合液中に、パルプを投入し、混合した。反応温度を、外部冷却/加温によって、反応開始時の0℃から60分後に37℃に直線的に昇温し、さらに90分間37℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
【0082】
(セルロースアセテートの熟成)
合成したセルロースアセテートの溶液に26質量%の酢酸水溶液62.05gを加え、温度を47℃に上げて、90分間保持してセルロースアセテートを熟成した。混合比は、セルロースアセテート499質量部に対して、酢酸(アセチル供与体)1658質量部、水23.3質量部、硫酸(触媒)22.6質量部であった。よって、酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、4.68モル%であった。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、41であった。
【0083】
(後処理)
熟成終了後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液188gを加えて攪拌した。得られた溶液を激しく攪拌しながら約6リットルの10質量%酢酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0084】
(セルロースアセテートの分析)
製造したセルロースアセテートについて、アセチル置換度(平均総置換度)と重合度を測定した。
さらに、逆相HPLCの溶出曲線を測定し、それを分子間置換度分布曲線に変換して、最大ピークの半値幅を求めた。
以上の結果を第1表に示す。
【0085】
次に、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)、6位の置換度(6DS)を測定した。測定結果は、第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、1の黒丸としてプロットした。
置換度の測定は、手塚(Tezuka, Carbohydr. Res. 273, 83(1995) )の方法に従い実施した。すなわち、試料セルロースアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、炭素13のスペクトルを測定する。アセチル基のカルボニル炭素のシグナルは169ppmから171ppmの領域に、高磁場から2位、3位、6位の順、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチルとプロピオニルの存在比から、もとのセルロースアセテートにおけるアセチル基の分布を求めることができる。
【0086】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテート17質量部と、酢酸メチル/メタノール/n−ブタノール混合溶媒(混合比:80/15/5)80.28質量部およびトリフェニルホスフェート(可塑剤)2.72質量部とを混合した。室温では、セルロースアセテートは溶解せず、混合溶媒中で膨潤してスラリーを形成していた。
次に、膨潤混合物を冷却・加温用容器に入れ、ゆっくり攪拌しながら、水/エチレングリコールを冷媒として容器外部から−30℃まで冷却した(冷却速度:8℃/分)。混合物が均一に冷却されて固化するまでの30分間、冷却を継続した。
その後、冷媒の代わりに温水を用いて容器外部から加温し、内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の攪拌を開始し、室温まで加温した(加温速度:8℃/分)。
さらに、以上の冷却と加温の操作をもう一回繰り返して行った。
冷却溶解法により得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0087】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を、乾燥膜厚が100μmとなるようにバンド流延機を用いて有効長6mのバンド上に流延した。バンド温度は0℃であった。その後、2秒間、乾燥風に当てた後、フイルムをバンドから剥ぎ取り、フイルムの両端を固定しながら100℃で3分、130℃で5分、そして160℃で5分と段階的に乾燥して残存溶媒を蒸発させ、さらに120℃で3時間乾燥した。
このようにして得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0088】
[実施例2]
(セルロースアセテートの熟成)
市販の(コットンリンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度360、NMR測定による置換度2.84の)セルロースアセテート200gを、ジクロロメタン1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水2.65gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、1.63モル%であった。
得られた溶液を30℃で3時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、55であった。
【0089】
(後処理)
熟成終了後、過塩素酸に対して2等量に相当する酢酸ナトリウム(過塩素酸の70質量%水溶液1質量部に対して、1.75質量部)を加え、よく攪拌した後、激しく攪拌しながら7.5リットルの水を徐々に加えて沈澱を形成した。沈澱は、酢酸臭が消えるまで流水洗浄し、遠心脱液し、さらに3時間の流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0090】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、2の黒丸としてプロットした。
【0091】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0092】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0093】
[実施例3]
(セルロースアセテートの熟成)
実施例2で用いた市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水2.65gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、1.63モル%であった。
以上の溶液を30℃で5時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、92であった。
【0094】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理して、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、3の黒丸としてプロットした。
【0095】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0096】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0097】
[実施例4]
(セルロースアセテートの熟成)
実施例2で用いた市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であった。
以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、72であった。
【0098】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理して、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、4の黒丸としてプロットした。
【0099】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0100】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0101】
[実施例5]
(セルロースアセテートの熟成)
実施例2で用いた市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であった。
以上の溶液を30℃で15時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、107であった。
【0102】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理して、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、5の黒丸としてプロットした。
【0103】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0104】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0105】
[比較例1]
(セルロースアセテートの熟成)
実施例1で合成したセルロースアセテート200gをジクロロメタン1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であった。
以上の溶液を30℃で20時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、60であった。
【0106】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理して、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、C1の白丸としてプロットした。
【0107】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、白濁が認められ、不透明な部分(ままこ状物)が認められた。
【0108】
[比較例2]
(セルロースアセテートの熟成)
実施例1で合成したセルロースアセテート200gをジクロロメタン1167mlと酢酸834mlの混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であった。
以上の溶液を30℃で30時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、90であった。
【0109】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に後処理した。
次に、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)、6位の置換度(6DS)および重合度を測定した。測定結果は、第2表に示す。また、2位の置換度(2DS)および3位の置換度(3DS)については、図4のグラフに、C2の白丸としてプロットした(図3では、圏外)。
【0110】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明ではあるが、不均一な部分が認められた。
【0111】
[比較例3]
(セルロースアセテートの合成)
木材パルプを原料とするセルロース100質量部に、硫酸14.2質量部、無水酢酸260質量部および酢酸360質量部を加えて、40℃で95分間酢化反応を行った後、酢酸マグネシウムを用いて、硫酸の2/3量を硫酸マグネシウムに中和した。
中和後の酢酸(アセチル供与体)に対する水の量を計算したところ、20モル%であった。
【0112】
(セルロースアセテートの熟成)
得られた溶液を65℃で100分間保ち、セルロースアセテートを熟成した。その後、実施例1と同様に後処理して、セルロースアセテートを分離した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、15であった。
【0113】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。結果を、第1表および第2表に示す。
【0114】
(セルロースアセテート溶液の調製)
製造したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製した。
得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したところ、透明ではあるが、不均一な部分が認められた。
【0115】
[比較例4]
(セルロースアセテートの合成)
コットンリンター550gに、酢酸2747g、無水酢酸1630gおよび硫酸64.4gを加え、ニーダー中、120分をかけて0℃から40℃まで昇温しながらアセチル化した。
【0116】
(セルロースアセテートの熟成)
得られた溶液に酢酸マグネシウムの24質量%水溶液328gを添加した。原料の含水率を考慮して、この溶液の組成を計算すると、セルロースアセテート978g、酢酸4053g、硫酸10.1g、水177gであった。水/アセチル供与体のモル比は、14.5%であった。
溶液を52℃で100分間保持して熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、3.7であった。
【0117】
(後処理)
熟成終了後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液376gを加えて攪拌した。得られた溶液を激しく攪拌しながら約12リットルの10質量%酢酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0118】
(セルロースアセテートの分析)
製造したセルロースアセテートについて、アセチル置換度(総置換度)と重合度を測定した。
さらに、逆相HPLCの溶出曲線を測定し、それを分子間置換度分布曲線に変換して、最大ピークの半値幅を求めた。
以上の結果を第1表に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
[実施例6]
(セルロースアセテートの合成)
コットンリンターを原料とするセルロース100質量部に、硫酸9.2質量部、無水酢酸276質量部および酢酸551質量部を加えて、常法によりセルロースをエステル化した。酢酸マグネシウムを用いて中和して得られたセルロースアセテートを、62℃で40分間保持した。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
【0122】
(セルロースアセテートの熟成)
合成したセルロースアセテートを用い、酢酸(アセチル供与体)に対する水の量を1.63モル%、酢酸(アセチル供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.498モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)を55に変更した以外は、実施例1と同様にして、熟成工程を行った。
【0123】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に後処理して、分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、6の黒丸としてプロットした。
【0124】
(赤外線吸収スペクトルの測定)
絶乾したセルロースアセテート200mgを、ジクロロメタン/メタノール(9/1:質量比)5gに溶解した。得られた溶液をガラス板上に流延し、バーコータを用いて厚さを均一にした。これを風乾して、セルロースアセテートフイルム試料を得た。フイルムの厚さは、(セルロースアセテートの未置換水酸基由来の吸収バンドのピークにおける)透過率が約40%となるように調節した。
作製したフイルムは、105℃で30分以上、真空乾燥した。そして、赤外線発生装置の窓枠に対して、充分な大きさ(24mm×27mm)となるようにフイルムを裁断した。これにより、赤外線が試料ホルダーにより遮蔽されないようにした。
フイルム試料は、窒素雰囲気下、3650cm-1付近に認められる吸着水に由来すると思われる吸収ピークが消失するまで保持した。測定は、パーキンエルマー社製FT−IR1650型機を用いた。測定した赤外線吸収スペクトルは、前述したように解析して、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第3表に示す。
【0125】
[実施例7]
(セルロースアセテートの熟成)
市販の(コットンリンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度360、NMR測定による置換度2.84の)セルロースアセテート1150質量部をジクロロメタン8220質量部と酢酸4800質量部との混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテートの酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート1150質量部に対して、酢酸11788質量部、水78質量部および過塩素酸98質量部を添加した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、2.2モル%であった。
以上の溶液を30℃で5時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、67.5であった。
【0126】
(後処理)
熟成終了後、過塩素酸に対して1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止した。このようにして、粘度平均重合度が288、置換度が2.84のセルロースアセテートを得た。
【0127】
(セルロースアセテートの分析)
得られたセルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、7の黒丸としてプロットした。
【0128】
(赤外線吸収スペクトルの測定)
得られたセルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第3表に示す。
【0129】
(セルロースアセテート溶液の調製)
得られたセルロースアセテート15質量部を、室温(25℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的に不透明な、ままこ状物が認められた。
このスラリーを、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分間保持した。これにより得られたセルロースアセテート溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0130】
[実施例8]
(セルロースアセテートの熟成)
市販の(コットンリンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度360、NMR測定による置換度2.84の)セルロースアセテート200質量部をジクロロメタン1600質量部と酢酸867質量部との混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテートの酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート200質量部に対して、酢酸2050質量部、水18.7質量部および70質量%過塩素酸水溶液24.3質量部を添加した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、4.2モル%であった。
以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、71であった。
【0131】
(後処理)
熟成終了後、過塩素酸に対して1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止した。このようにして、粘度平均重合度が318、置換度が2.81のセルロースアセテートを得た。
【0132】
(セルロースアセテートの分析)
得られたセルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、8の黒丸としてプロットした。
【0133】
(赤外線吸収スペクトルの測定)
得られたセルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第3表に示す。
【0134】
(セルロースアセテート溶液の調製)
得られたセルロースアセテート15質量部を、室温(25℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的に不透明な、ままこ状物が認められた。
このスラリーを、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分間保持した。これにより得られたセルロースアセテート溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0135】
[実施例9]
(セルロースアセテートの熟成)
市販の(コットンリンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度360、NMR測定による置換度2.84の)セルロースアセテートを用い、セルロースアセテートの熟成に要した時間を15時間、酢酸(アセチル供与体)に対する水の量を4.18モル%、酢酸(アセチル供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.498モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)を107に変更した以外は、実施例1と同様にして、熟成工程を行った。
【0136】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、9の黒丸としてプロットした。
【0137】
(赤外線吸収スペクトルの測定)
得られたセルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第3表に示す。
【0138】
【表3】
【0139】
[実施例10]
(赤外線吸収スペクトルの測定)
総置換度(2DS+3DS+6DS)が2.896、2DS+3DS−6DSの値が0.896のセルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、90であった。
【0140】
[実施例11]
(赤外線吸収スペクトルの測定)
総置換度(2DS+3DS+6DS)が2.877、2DS+3DS−6DSの値が0.967のセルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、118であった。
【0141】
[比較例5]
(赤外線吸収スペクトルの測定)
総置換度(2DS+3DS+6DS)が2.845、2DS+3DS−6DSの値が1.069のセルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であった。
【0142】
[比較例6]
(赤外線吸収スペクトルの測定)
総置換度(2DS+3DS+6DS)が2.925、2DS+3DS−6DSの値が1.075のセルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であった。
【0143】
[実施例12]
(セルロースアセテートの熟成)
乾燥した市販の(木材パルプを通常の条件でアセチル化して得られた重合度311、NMR測定による置換度2.85の)セルロースアセテート500gを、ジクロロメタン1333gと酢酸1033gとの混合液に溶解した。水13.31gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、均一となった後、40℃に保った。トルエンスルホン酸一水和物36.92gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、熟成反応を開始した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、4.2モル%であった。7時間後、無水酢酸ナトリウム29gを溶かした260gの酢酸を滴下し、熟成反応を終了した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、151であった。
【0144】
(後処理)
反応後の酢酸溶液からロータリーエバポレータでジクロロメタンを留去した後、実施例2と同様に激しく攪拌しながら約4.5リットルの水を加えて沈澱を形成した。沈澱は、分離し、洗浄し、遠心脱液し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0145】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、分析した。結果を、第4表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、12の黒丸としてプロットした。
【0146】
[実施例13]
(セルロースアセテートの熟成)
添加する水の量を2.91gに変更(酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、1.6モル%)し、反応時間を2時間20分に変更した以外は、実施例12と同様にセルロースアセテートを熟成し、後処理を実施した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、132であった。
【0147】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、分析した。結果を、第4表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、13の黒丸としてプロットした。
【0148】
[実施例14]
(セルロースアセテートの合成)
水分8.2質量%を含む解砕されたパルプ1520gに、698gの酢酸を均一に散布し、攪拌の後、90分間室温で放置した。約−10℃に冷却した無水酢酸3930.6g、酢酸5755gおよび98%硫酸115.4gの混合液中に上記の酢酸含浸パルプを投入し、混合した。外部冷却と外部加温とによって、反応温度を反応開始時点の0℃から70分後に37℃まで直線的に昇温し、さらに80分間、37℃を維持してセルロースアセテートを合成した。
【0149】
(セルロースアセテートの熟成)
合成したセルロースアセテートの溶液に、30%酢酸水溶液383.7gを添加し、反応温度47℃で130分間保持した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、6.0モル%であった。その後、酢酸マグネシウム4水和物の水溶液297gを加え、反応を停止した。
熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、43であった。
【0150】
(後処理)
得られた溶液を激しく攪拌しながら、約30リットルの10%酢酸水溶液に投入し、沈澱を形成した。沈澱は、濾別し、流水洗浄し、熱水洗浄し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0151】
(セルロースアセテートの分析)
熟成したセルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。結果を、第4表に示す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6DS)については、図3および図4のグラフに、14の黒丸としてプロットした。
【0152】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られたセルロースアセテートの分子間置換度分布曲線である。
【図2】比較例4で得られたセルロースアセテートの分子間置換度分布曲線である。
【図3】式(I)〜(III)、(VI)〜(VIII)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9および12〜14と比較例1のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。
【図4】式(III)、(IV)、(VII)、(VIII)および(X)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9および12〜14と比較例1、2のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。
【図5】赤外線吸収スペクトルの半値幅を説明するためのチャートである。
【図6】実施例10、11と比較例5、6との赤外線吸収スペクトルを示すチャートである。
【符号の説明】
図1および図2のA 分子間置換度分布曲線の低置換度側基部
図1および図2のB 分子間置換度分布曲線の高置換度側基部
図1および図2のC ピーク(E)から横軸への垂線とベースライン(A−B)との交点
図1および図2のD ピーク(E)と交点(C)との中間点
図1および図2のE 分子間置換度分布曲線の最大ピーク
図1および図2のA’、B’ 中間点(D)を通ってベースライン(A−B)と平行な直線と、分子間置換度分布曲線との二つの交点
図1および図2のDS アセチル置換度
2DS 2位のアセチル置換度
3DS 3位のアセチル置換度
6DS 6位のアセチル置換度
2DS+3DS 2位のアセチル置換度および3位のアセチル置換度の合計
1の黒丸 実施例1のセルロースアセテート
2の黒丸 実施例2のセルロースアセテート
3の黒丸 実施例3のセルロースアセテート
4の黒丸 実施例4のセルロースアセテート
5の黒丸 実施例5のセルロースアセテート
6の黒丸 実施例6のセルロースアセテート
7の黒丸 実施例7のセルロースアセテート
8の黒丸 実施例8のセルロースアセテート
9の黒丸 実施例9のセルロースアセテート
12の黒丸 実施例12のセルロースアセテート
13の黒丸 実施例13のセルロースアセテート
14の黒丸 実施例14のセルロースアセテート
C1の白丸 比較例1のセルロースアセテート
C2の白丸 比較例2のセルロースアセテート
(I) 2DS+3DS=6DS×4−1.70に相当する実線
(II) 2DS+3DS=−6DS×4+5.70に相当する実線
(III) 2DS+3DS=1.80に相当する実線
(IV) 3DS=2DSに相当する実線
(VI) 2DS+3DS=6DS+1に相当する実線
(VII) 2DS+3DS=1.82に相当する実線
(VIII) 2DS+3DS=1.84に相当する実線
(X) 3DS=2DS×2−1に相当する実線
図5のA 吸収バンドの高波数側基部
図5のB 吸収バンドの低波数側基部
図5のC ピーク(E)から横軸への垂線とベースライン(A−B)との交点
図5のD ピーク(E)と交点(C)との中間点
図5のE 吸収バンドのピーク
図5のA’、B’ 中間点(D)を通ってベースライン(A−B)と平行な直線と、スペクトルとの二つの交点
図5のΔν1/2 半値幅
10 実施例10の赤外線吸収スペクトル
11 実施例11の赤外線吸収スペクトル
C5 比較例5の赤外線吸収スペクトル
C6 比較例6の赤外線吸収スペクトル[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for adjusting the degree of acetyl substitution between cellulose acetate molecules or within cellulose acetate molecules by aging cellulose acetate.
[0002]
[Prior art]
Cellulose acetate, particularly cellulose acetate having an acetyl substitution degree of 2.6 or more (generally classified as cellulose triacetate) is used in various fields because of its toughness and flame retardancy. Cellulose acetate film is a typical support for photographic light-sensitive materials. Cellulose acetate films are also used in liquid crystal display devices whose market is expanding in recent years due to their optical isotropy. As specific applications in the liquid crystal display device, a polarizing plate protective film, a retardation film and a color filter are typical.
Cellulose acetate film is generally produced by a solvent cast method. In the solvent cast method, a solution (dope) in which cellulose acetate is dissolved in a solvent is cast on a support, and the solvent is evaporated to form a film.
[0003]
When cellulose acetate products such as cellulose acetate film are produced by the solvent cast method, the relationship between the degree of acetyl substitution of cellulose acetate, the solubility of cellulose acetate in a solvent, and the physical properties (including optical properties) of the cellulose acetate product are very high. Is important to. Conventionally, when the degree of acetyl substitution of cellulose acetate is high, the solubility in the solvent is low and the physical properties of the product are good, and when the degree of substitution is low, the relationship is high that the solubility is high and the physical properties are poor. Known as a principle.
Conventionally, dichloromethane is used as a solvent for cellulose acetate. Cellulose acetate dissolves very well in dichloromethane. Therefore, unless otherwise specified, products having good physical properties have been produced by a solvent cast method using a solution obtained by dissolving cellulose triacetate having a high degree of substitution in dichloromethane. That is, when dichloromethane is used as a solvent, the low solubility of the highly substituted cellulose triacetate has not been manifested as a problem.
[0004]
However, the use of halogenated hydrocarbons such as dichloromethane has recently been significantly restricted from the viewpoint of protecting the global environment. In addition, since dichloromethane has a low boiling point (41 ° C.), it is easily volatilized in the manufacturing process. For this reason, there is also a problem in the work environment. To solve these problems, work is performed in a sealed environment.
JP-A-9-95544, JP-A-9-95557, and JP-A-9-95538 disclose that cellulose acetate is dissolved in an organic solvent by cooling and further heating a mixture of cellulose acetate and an organic solvent. A method for preparing a cellulose acetate solution is proposed. According to the method having the cooling step and the heating step (hereinafter referred to as a cooling dissolution method), a solution is prepared even with a combination of cellulose acetate and an organic solvent that could not be dissolved by the conventional method. be able to. The cooling dissolution method is particularly effective when a product is produced from cellulose triacetate having low solubility (acetyl substitution degree of 2.6 or more).
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
Cooling dissolution method makes it possible to manufacture products from cellulose triacetate with low solubility (acetyl substitution degree 2.6 or more) by solvent casting method without using halogenated hydrocarbons such as dichloromethane. became.
However, even when the cooling dissolution method is used, cellulose acetate having a high degree of acetyl substitution has low solubility in an organic solvent. Even when cellulose acetate having a high degree of acetyl substitution is dissolved in an organic solvent to produce a solution, there are often problems with the stability of the solution.
[0006]
The object of the present invention is to improve the solubility of cellulose acetate having a relatively high degree of acetyl substitution.
Another object of the present invention is to provide a cellulose acetate in which the relationship between the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position is appropriately adjusted.
Another object of the present invention is to provide a cellulose acetate solution in which the solubility and viscosity can be easily adjusted.
Still another object of the present invention is to provide a cellulose acetate film having appropriate physical properties and optical properties.
Still another object of the present invention is to produce a cellulose acetate film having good physical properties using a solution of cellulose acetate having a relatively high degree of acetyl substitution.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The object of the present invention is to adjust the degree of acetyl substitution of the cellulose acetates (1) to (6) below, the method for producing cellulose acetates (7) and (8) below, and the celluloses (9) to (20) below. It was achieved by an acetate, a cellulose acetate solution of the following (21) and (22), a method for producing a cellulose acetate film of the following (23), and a cellulose acetate film of the following (24) and (25).
[0008]
(1) Cellulose acetate is aged in the presence of a catalyst, an acetyl donor, and water or an alcohol, and the amount of water and alcohol is 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor. Or the adjustment method of the acetyl substitution degree of the cellulose acetate characterized by adjusting the acetyl substitution degree in a molecule | numerator.
(2) The method for adjusting the degree of acetyl substitution according to (1), wherein the acetyl donor is acetic acid or an acetate ester.
(3) The method for adjusting the degree of acetyl substitution according to (1), wherein the catalyst is an acid or a metal ion.
(4) The method for adjusting the degree of acetyl substitution according to (3), wherein the catalyst is an acid, and the amount of the acid catalyst during ripening is in the range of 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor.
(5) The method for adjusting the degree of acetyl substitution according to (1), wherein the aging temperature is 20 to 125 ° C.
(6) The method for adjusting the degree of acetyl substitution according to (1), wherein the aging time is 10 minutes to 10 hours.
[0009]
(7) a step of reacting cellulose in a solvent with acetic acid or acetic anhydride in the presence of an acid catalyst to synthesize cellulose acetate, and then synthesizing the cellulose acetate with the remaining acid catalyst, acetyl donor, and water or alcohol And aging under the condition that the amount of water and alcohol is 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor.
(8) A step of reacting cellulose with acetic acid or acetic anhydride in the presence of an acid catalyst in a solvent to synthesize cellulose acetate, a step of neutralizing the acid catalyst to stop the reaction, and a synthesized cellulose acetate, A process for producing cellulose acetate comprising a step of aging in the presence of a catalyst, an acetyl donor, and water or an alcohol, and the amount of water and alcohol is 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor.
[0010]
(9) Cellulose acetate having an acetyl substitution degree of 2.636 to 2.958, wherein the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half width of less than 0.080 (the unit is a corresponding substitution degree difference). Cellulose acetate characterized by that.
(10) The cellulose acetate according to (9), wherein the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half-value width smaller than Y defined by the following formula:
Y = −0.1788X + 0.5788
[Wherein X is the degree of acetyl substitution of cellulose acetate].
[0011]
(11) A cellulose acetate having an acetyl substitution degree of 2.636 to 2.958, wherein the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half-value width smaller than Y defined by the following formula: Characteristic cellulose acetate:
Y = −0.1788X + 0.5788
[Wherein X is the degree of acetyl substitution of cellulose acetate].
(12) 3450-3550cm -1 Has an absorption maximum of an infrared absorption spectrum at a wave number of 135 cm, and the half-value width of the absorption maximum is 135 cm. -1 The cellulose acetate characterized by the following.
[0012]
(13) Cellulose acetate, wherein the acetyl substitution degree at the 2-position, 3-position and 6-position satisfies the following formulas (I) to (III):
(I) 2DS + 3DS <6DS × 4-1.70
(II) 2DS + 3DS <−6DS × 4 + 5.70
(III) 2DS + 3DS> 1.80
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position; and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position].
(14) The cellulose acetate according to (13), wherein the acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions further satisfies the following formula (VI):
(VI) 2DS + 3DS-6DS <1
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position; and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position].
[0013]
(15) The cellulose acetate according to (13), wherein the degree of acetyl substitution at the 2-position and the 3-position further satisfies the following formula (VII):
(VII) 2DS + 3DS> 1.82
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position].
(16) The cellulose acetate according to (15), wherein the degree of acetyl substitution at the 2-position and the 3-position further satisfies the following formula (VIII):
(VIII) 2DS + 3DS> 1.84
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position].
[0014]
(17) Cellulose acetate, wherein the acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions satisfies the following formulas (III) to (V):
(III) 2DS + 3DS> 1.80
(IV) 3DS <2DS
(V) 6DS> 0.80
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position; and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position].
(18) The cellulose acetate according to (17), wherein the 6-position acetyl substitution degree further satisfies the following formula (IX):
(IX) 6DS <0.98
[Wherein 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position].
[0015]
(19) The cellulose acetate according to (17), wherein the degree of acetyl substitution at the 2-position and 3-position further satisfies the following formula (VII):
(VII) 2DS + 3DS> 1.82
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position].
(20) The cellulose acetate according to (19), wherein the acetyl substitution degree at the 2nd and 3rd positions further satisfies the following formula (VIII):
(VIII) 2DS + 3DS> 1.84
[Wherein 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position].
[0016]
(21) A cellulose acetate solution in which the cellulose acetate according to any one of (9) to (20) is dissolved in an organic solvent.
(22) The cellulose acetate solution according to (21), wherein the organic solvent does not substantially contain a halogenated hydrocarbon.
[0017]
(23) A step of swelling the cellulose acetate according to any one of (9) to (20) above with an organic solvent; a step of cooling the obtained swelling mixture to −100 to −10 ° C .; a cooled mixture A cellulose acetate film comprising the steps of: heating to 0 to 200 ° C. to obtain an organic solvent solution of cellulose acetate; and coating the obtained organic solvent solution on a support to form a cellulose acetate film Manufacturing method.
[0018]
(24) A cellulose acetate film comprising the cellulose acetate according to any one of (9) to (20) above.
(25) 3450-3550 cm -1 Has an absorption maximum of an infrared absorption spectrum originating from cellulose acetate, and the full width at half maximum of 135 cm. -1 A cellulose acetate film characterized by:
[0019]
【The invention's effect】
As a result of the study by the present inventors, when aging cellulose triacetate in the presence of an acetyl donor and a catalyst, adjusting the amount of water and alcohol to 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor, It was found that the degree of acetyl substitution was uniform.
For cellulose diacetate with a low degree of acetyl substitution, TRFloyd (J. Chromatogr., 629, 243 (1993)) and Kawai (Polymer Papers, Vol. 54) No. 9,526 (1997)). However, there is no report on cellulose triacetate having a high degree of acetyl substitution.
When the present inventor further researched cellulose acetate having a uniform degree of acetyl substitution, cellulose triacetate having a relatively high degree of substitution (2.636 to 2.958) when the degree of acetyl substitution is uniform. Even so, it was found that the solubility was good. That is, by making the degree of acetyl substitution uniform, a cellulose triacetate product having good physical properties can be produced using a solution of cellulose triacetate having a high degree of acetyl substitution.
[0020]
Furthermore, as a result of research conducted by the present inventor, when aging cellulose acetate, adjusting the amount of water and alcohol to 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor, not only intermolecular but also intramolecular It has been found that the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position of can be adjusted easily and appropriately.
Since effective control means were obtained for the acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions, the total of the 2nd and 3rd acetyl substitution degrees satisfying the above formulas (I) to (III) and 6 Cellulose acetate having an appropriate relationship with the degree of acetyl substitution at the position, and cellulose acetate having an appropriate relationship with the degree of acetyl substitution at the 2nd, 3rd and 6th positions satisfying the above formulas (III) to (V) It became possible.
Thus, when the cellulose acetate in which the acetyl substitution degree at the 2-position, 3-position and 6-position is appropriately adjusted is used, a cellulose acetate solution with easy adjustment of solubility and viscosity can be easily prepared. In addition, according to the present invention, a cellulose acetate film having appropriate physical properties and optical properties can be easily produced.
[0021]
Furthermore, as a result of advancing research by the present inventors, it has been found that cellulose acetate having good solubility exhibits a unique infrared absorption spectrum. That is, 3450 to 3550 cm -1 Has an absorption maximum of an infrared absorption spectrum originating from cellulose acetate, and the full width at half maximum of 135 cm. -1 When the following cellulose acetate is used, a solution in which cellulose acetate is well dissolved can be obtained. By using the cellulose acetate solution, a cellulose acetate film having appropriate physical properties and optical properties can be produced.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Production of cellulose acetate]
Cotton cellulose and wood pulp can be used as cellulose as a cellulose acetate raw material. You may mix and use raw material cellulose.
Cellulose acetate is synthesized by reacting cellulose with acetic acid or acetic anhydride in the presence of a catalyst in a solvent. It is common to use acetic acid as a solvent, sulfuric acid as a catalyst, and acetic anhydride as an acetyl donor.
[0023]
The basic principle of the cellulose acetate synthesis method is described in Mita et al., Wood chemistry, 180-190 (Kyoritsu Shuppan, 1968). A typical synthesis method is a liquid phase acetylation method using acetic anhydride (acetyl donor) -acetic acid (solvent) -sulfuric acid (catalyst). Specifically, a cellulose raw material such as wood pulp is pretreated with an appropriate amount of acetic acid, and then charged into a precooled acetylated mixed solution to be acetic acid ester to synthesize cellulose acetate. The acetylated mixed solution generally contains acetic acid as a solvent, acetic anhydride as an acetyl donor (esterification agent), and sulfuric acid as a catalyst. Acetic anhydride is usually used in a stoichiometric excess over the sum of the cellulose that reacts with it and the water present in the system. After completion of the acetylation reaction, a neutralizing agent (for example, sodium, potassium, calcium, magnesium, iron, etc.) is used for hydrolysis of excess acetic anhydride remaining in the system and neutralization of a part of the esterification catalyst. An aqueous solution of aluminum, zinc or ammonium carbonate, acetate or oxide) is added.
[0024]
In the conventional method, the obtained cellulose acetate is saponified and aged by maintaining it at 50 to 90 ° C. in the presence of a small amount of an acetylation reaction catalyst (generally, remaining sulfuric acid), and the desired degree of acetyl substitution and The cellulose acetate having a polymerization degree is changed. When the desired cellulose acetate is obtained, the catalyst remaining in the system is completely neutralized with the neutralizing agent as described above, or water or Cellulose acetate solution was put into acetic acid (or water or dilute acetic acid was put into cellulose acetate solution) to separate cellulose acetate, and cellulose acetate was obtained by washing and stabilization treatment.
JP-A-11-5851 discloses that cellulose acetate having a relatively high degree of substitution at the 6-position can be obtained by selecting a small amount of sulfuric acid in the acetylation reaction. However, cellulose acetate produced under such low sulfuric acid conditions may cause problems such as white turbidity in the solution or poor solubility. The acetylation reaction proceeds while the cellulose raw material, which is a solid phase, undergoes acetylation and gradually dissolves. In the reaction under low sulfuric acid conditions, it can be considered that the cellulose acetate having a non-homogeneous degree of acetyl substitution was produced as a result of the difference in the reaction rate between the cellulose dissolved earlier and the cellulose dissolved later.
[0025]
As a result of the present inventors' research, cellulose acetate is obtained in the presence of acetyl donor, 0.1 to 10 mol% (0.1 mol% or more and less than 10 mol%) of water or alcohol and a catalyst. It has been found that when aging, cellulose acetate having a uniform degree of acetyl substitution can be produced.
In addition, as a result of the study by the present inventors, cellulose acetate is present in the presence of acetyl donor, 0.1 to 10 mol% (0.1 mol% or more and less than 10 mol%) of water or alcohol and catalyst of acetyl donor. It has also been found that when aging under, the degree of acetyl substitution at the 2nd, 3rd and 6th positions can be adjusted easily and appropriately.
[0026]
When the synthesis and aging of cellulose acetate (adjustment of acetyl substitution degree) are carried out continuously, neutralization treatment (acid catalyst neutralization) for stopping the synthesis reaction is not carried out or partly As the sum treatment, the entire amount of the catalyst used in the synthesis reaction or a part thereof can be used in the aging reaction.
An acetyl donor has an acetyl group (—COCH Three And a compound capable of donating an acetyl group to an unreacted hydroxyl group (—OH) of cellulose acetate by a transesterification reaction or an ester formation reaction in the presence of a catalyst. The acetyl donor is preferably acetic acid or an acetic ester, more preferably acetic acid or an ester of acetic acid and an alcohol.
[0027]
According to the study of the present inventor, when the abundance of water and alcohol is 10 mol% or more of the acetyl donor, the degree of substitution is high (the total degree of acetyl substitution at the 2nd, 3rd and 6th positions is 2. In cellulose triacetate having 636 or more (especially 2.70 or more), the acetyl group is easily released.
On the other hand, when the abundance of water and alcohol is reduced to less than 10 mol% (preferably less than 7 mol%) of the acetyl donor, the acetylation reaction of the free hydroxyl group is not negligible with respect to the elimination reaction. Happens at. As a result, the reaction tends to converge toward the equilibrium point. Therefore, the reaction between the acetyl donor and cellulose acetate can be made reversible by adjusting the abundance of water and alcohol to less than 10 mol% of the acetyl donor. That is, a glucose unit having an unreacted hydroxyl group (2-position, 3-position or 6-position) and an acetyl donor (R—O—COCH) Three : R is a hydrogen atom, an alkyl group), an unreacted hydroxyl group-free glucose unit (all with an acetyl group bonded) and water or alcohol (R—OH: R is a hydrogen atom, an alkyl group) By adjusting the conditions, the acetyl substitution degree of cellulose acetate can be adjusted uniformly.
In order to achieve the above equilibrium conditions, a certain amount (0.1 mol% or more of the acetyl donor) of water or alcohol is required.
[0028]
Further, according to the study of the present inventor, if the reaction between the acetyl donor and cellulose acetate is made reversible, the adjustment of the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position or 6-position can be facilitated. That is, as shown in the following formula, a glucose unit having an unreacted hydroxyl group at the 2-position, 3-position or 6-position, and an acetyl donor (R—O—COCH Three : R can effectively adjust the degree of acetyl substitution at the 2nd, 3rd and 6th positions by adjusting the equilibrium condition with R).
[0029]
[Chemical 1]
[0030]
As the catalyst in the aging step, acid or metal (eg, titanium, tin) ions are preferable. As the acid, not only a normal proton acid but also a Lewis acid is effective. When the aging reaction is carried out in an acetic acid ester (acetyl donor) -alcohol (solvent) system, a metal alkoxide or an organic base (eg, dialkylaminopyridine, N-methylimidazole) can also be used as a catalyst. The most preferred catalyst is an acid.
The acid catalyst is preferably a strong acid (eg, sulfonic acid, perchloric acid, sulfuric acid, boron trifluoride, tetrafluoroboric acid). In consideration of various properties such as availability, stability, toxicity, and corrosivity, sulfuric acid is most preferable. In addition, under the reaction conditions of 100 ° C. or higher, acetic acid as an acetyl donor can be used as an acid catalyst. An embodiment in which acetic acid serves as both an acetyl donor and a catalyst is also included in the present invention.
The amount of catalyst used is determined in consideration of the catalyst function (acidity in the case of an acid catalyst) and the reaction temperature.
[0031]
The aging reaction has been conventionally carried out in an acetic acid (acetyl donor) -water (solvent) system. However, the conventional ripening reaction was performed under conditions where water was present in an amount of 10 mol% or more based on acetic acid. Under such conditions, only the decomposition reaction of the ester bond of cellulose acetate proceeds, and the degree of substitution decreases. Therefore, in such an aging reaction, the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position could not be adjusted.
In the aging reaction of the present invention, the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position is adjusted by limiting the amount of water and alcohol present to less than 10 mol% (preferably less than 7 mol%) of the acetyl donor. To do.
In the process of synthesizing cellulose acetate, an excess amount of acetic anhydride is generally used, but before the aging step, excess acetic anhydride is hydrolyzed to acetic acid (no acetic anhydride is present in the aging step). Is preferred.
[0032]
In the ripening reaction, since the acetyl donor can function as a solvent, it is not necessary to add a solvent separately. However, a liquid inert to the reaction can also be used as a solvent. The solvent other than the acetyl donor is preferably used in an amount of 5 times (mass times) or less with respect to the acetyl donor. The solvent other than the acetyl donor may be selected from liquids that can keep the cellulose acetate in a dissolved state in the ripening reaction. Examples of solvents include halogenated hydrocarbons (eg, dichloromethane, chloroform, 1,1,2,2-tetrachloroethane), nitro compounds (eg, nitromethane, nitrobenzene), sulfones (eg, sulfolane) and ethers (eg, Dioxane).
When an acid catalyst (eg, sulfonic acid, perchloric acid, sulfuric acid) is used, the amount of the acid catalyst during aging is preferably in the range of 0.1 to 10 mol% of the acetyl donor, and More preferably, it is in the range of 2 to 2 mol%. That is, during ripening, the amount of catalyst present is not significantly changed, and the amount of catalyst present is preferably within the above range.
The aging temperature is preferably 20 to 125 ° C, more preferably 30 to 70 ° C.
The aging time is preferably 10 minutes to 10 hours, and more preferably 30 minutes to 3 hours.
[0033]
As described above, the molar ratio of water or alcohol to acetyl donor (X), the molar ratio of catalyst to acetyl donor (Y), aging temperature (T) and aging time (t) are added to the individual conditions. Therefore, adjustment as a whole condition is also important.
In order to appropriately adjust the above-described equilibrium reaction between the acetyl donor and cellulose acetate, the reaction conditions in the ripening process are adjusted so that the reaction history parameter (R) defined by the following formula is a value exceeding 20. It is preferable to do. R is more preferably a value exceeding 30, and most preferably a value exceeding 40.
R = ∫YZ / Xdt
Where X is the molar ratio of water or alcohol in the reaction system to acetyl donor (%); Y is the molar ratio of catalyst to acetyl donor in the reaction system (%); Z is Temperature conversion factor (3 (T-30) / 20 : T is the aging temperature (° C.); and t is the aging time (unit: minutes). In addition, when X is less than 0.1 mol%, it calculates as 0.1.
[0034]
[Intermolecular substitution degree of cellulose acetate]
By adopting the above production method, cellulose acetate having a uniform degree of acetyl substitution can be synthesized.
Cellulose acetate with a uniform degree of acetyl substitution can also be separated from cellulose acetate with a non-uniform degree of acetyl substitution using a purification means such as chromatography. However, it is more economical and preferable to synthesize cellulose acetate having a uniform degree of acetyl substitution by improving the production method as described above.
[0035]
The (average) acetyl substitution degree of cellulose acetate is preferably 2.636 to 2.958.
The degree of acetyl substitution can be measured by NMR according to the method of Tezuka (Tezuka, Carbondr. Res. 273, 83 (1995)). That is, a free hydroxyl group of a cellulose acetate sample is propionylated with propionic anhydride in pyridine. The obtained sample is dissolved in deuterated chloroform, and the spectrum of
[0036]
The most common method for determining the average degree of substitution of cellulose acetate is a method for measuring the degree of acetylation in ASTM-D-817-91 (testing method for cellulose acetate and the like). The degree of acetylation (bound acetic acid amount) determined according to ASTM may be converted to the degree of substitution by the following formula.
DS = 162 * AV * 0.01 / (60-42 * AV * 0.01)
In the above formula, DS is the degree of acetyl substitution, and AV is the degree of acetylation (%). Note that it is normal that a slight error occurs between the value of the degree of substitution obtained by conversion and the above NMR measurement value. When the converted value and the NMR measurement value are different, the NMR measurement value is adopted. Further, when the value differs depending on the specific method of NMR measurement, the NMR measurement value by the Tezuka method is adopted.
[0037]
In the present specification, cellulose acetate having a uniform degree of acetyl substitution means that the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half width of less than 0.080, or the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve is It means that the cellulose acetate has a half-value width smaller than Y defined by the formula.
Y = −0.1788X + 0.5788
In the above formula, X is the degree of acetyl substitution of cellulose acetate.
Most preferably, the cellulose acetate has a half-value width with a maximum peak of an intermolecular substitution degree distribution curve of less than 0.080 and smaller than Y defined by the above formula.
[0038]
The intermolecular substitution degree distribution curve of cellulose acetate can be obtained by obtaining the elution curve of cellulose acetate in reverse phase HPLC and converting the horizontal axis (elution time) of the elution curve into the degree of acetyl substitution (0 to 3). it can.
The processing conditions of reverse phase HPLC are as follows.
Solvent composition: Chloroform / methanol (9/1, v / v): Methanol / water (8/1, v / v) = 20: 80 to chloroform / methanol (9/1, v / v) 100 for 28 minutes Linear gradient
Column: Novapack phenyl 3.9 × 150 mm (Waters)
Column temperature: 30 ° C
Flow rate: 0.7 ml / min
Sample concentration: 2 mg / ml
Injection volume: 20 microliters
Detector: Evaporative light scattering detector (ELSD-MK-III, manufactured by Varex)
Drift tube temperature: 80 ° C
Gas flow rate: 2.1SLPM
[0039]
When converting an elution curve to an intermolecular substitution degree distribution curve, the elution time is measured under the same measurement conditions using four or more samples having different substitution degrees, and the elution time (T) to the substitution degree (DS). A conversion formula for obtaining is obtained. That is, from the relationship between the elution time (T) and the degree of substitution (DS), a calibration curve function (usually the following quadratic equation) is obtained by the least square method.
DS = aT 2 + BT + c
In the above formula, DS is the degree of acetyl substitution, T is the elution time, and a, b and c are coefficients of the conversion formula.
[0040]
FIG. 1 is an intermolecular substitution degree distribution curve of cellulose acetate obtained in Example 4.
FIG. 2 is an intermolecular substitution degree distribution curve of cellulose acetate obtained in Comparative Example 4.
In FIG. 1 and FIG. 2, DS on the horizontal axis means the degree of acetyl substitution. The strength on the vertical axis in FIGS. 1 and 2 corresponds to the amount of cellulose acetate having the degree of acetyl substitution on the horizontal axis.
In the intermolecular substitution degree distribution curve shown in FIG. 1, the maximum peak (E) is obtained at the position where the acetyl substitution degree is 2.795, and in the intermolecular substitution degree distribution curve shown in FIG. ) Is allowed.
A base line (A-B) in contact with the base part (A) on the low substitution degree side of the intermolecular substitution degree distribution curve and the base part (B) on the high substitution degree side is drawn. A vertical line is drawn from the maximum peak (E) of the intermolecular substitution degree distribution curve to the horizontal axis. An intersection (C) between the perpendicular and the base line (AB) is determined, and an intermediate point (D) between the maximum peak (E) and the intersection (C) is obtained. A straight line parallel to the baseline (A-B) is drawn through the intermediate point (D), and two intersection points (A ′, B ′) with the intermolecular substitution degree distribution curve are obtained. A perpendicular line is drawn from the two intersection points (A ′, B ′) to the horizontal axis, and the width of the two intersection points on the horizontal axis is defined as the half-value width of the maximum peak.
[0041]
[Intramolecular substitution degree of cellulose acetate]
By adopting the production method described above, cellulose acetate in which the degree of acetyl substitution at the 2nd, 3rd and 6th positions is appropriately adjusted can be synthesized.
By using cellulose acetate whose acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions satisfies the following formulas (I) to (III), a cellulose acetate film having appropriate physical properties and optical properties can be produced. .
(I) 2DS + 3DS <6DS × 4-1.70
(II) 2DS + 3DS <−6DS × 4 + 5.70
(III) 2DS + 3DS> 1.80
In formulas (I) to (III), 2DS is the acetyl substitution degree at the 2-position, 3DS is the acetyl substitution degree at the 3-position, and 6DS is the acetyl substitution degree at the 6-position.
[0042]
The degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position preferably satisfies the following formula (VI).
(VI) 2DS + 3DS-6DS <1
In formula (VI), 2DS is the acetyl substitution degree at the 2-position, 3DS is the acetyl substitution degree at the 3-position, and 6DS is the acetyl substitution degree at the 6-position.
[0043]
The degree of acetyl substitution at the 2-position and the 3-position preferably satisfies the following formula (VII), and more preferably satisfies the following formula (VIII).
(VII) 2DS + 3DS> 1.82
(VIII) 2DS + 3DS> 1.84
In formulas (VII) and (VIII), 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position, and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position.
[0044]
FIG. 3 illustrates the definition of the degree of acetyl substitution of formulas (I) to (III) and (VI) to (VIII) and the degree of acetyl substitution of the cellulose acetates of Examples 1 to 9 and 12 to 14 and Comparative Example 1. It is a graph for. The horizontal axis of the graph is the total (2DS + 3DS) of the 2-position acetyl substitution degree (2DS) and the 3-position acetyl substitution degree (2DS), and the vertical axis of the graph is the 6-position acetyl substitution degree (6DS).
The cellulose acetate satisfying the formula (I) is a region below the solid line (2DS + 3DS = 6DS × 4-1.70) shown as (I) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (II) is a region above the solid line (2DS + 3DS = −6DS × 4 + 5.70) shown as (II) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (III) is a region on the right side of the solid line (2DS + 3DS = 1.80) shown as (III) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (VI) is a region on the left side of the solid line (2DS + 3DS-6DS = 1) shown as (VI) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (VII) is a region on the right side of the solid line (2DS + 3DS = 1.82) shown as (VII) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (VIII) is a region on the right side of the solid line (2DS + 3DS = 1.84) shown as (VIII) in FIG.
Black circles 1-9 and 12-14 are the cellulose acetates of Examples 1-9 and 12-14, and white circle C1 is the cellulose acetate of Comparative Example 1 (Comparative Example 2 is outside the graph).
[0045]
In addition, when a cellulose acetate whose acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions satisfies the following formulas (III) to (V) is used, a cellulose acetate solution having an appropriate viscosity and solubility can be prepared. it can.
(III) 2DS + 3DS> 1.80
(IV) 3DS <2DS
(V) 6DS> 0.80
In the formulas (III) to (V), 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position, 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position, and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position.
[0046]
The degree of acetyl substitution at the 2-position and the 3-position preferably satisfies the following formula (VII), and more preferably satisfies the following formula (VIII).
(VII) 2DS + 3DS> 1.82
(VIII) 2DS + 3DS> 1.84
In formulas (VII) and (VIII), 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position, and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position.
[0047]
The degree of acetyl substitution at the 2nd and 3rd positions preferably satisfies the following formula (X).
(X) 3DS> 2DS × 2-1
In formula (X), 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position, and 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position.
[0048]
FIG. 4 shows the definition of the degree of acetyl substitution of formulas (III), (IV), (VII), (VIII) and (X) and the cellulose acetates of Examples 1-9 and 12-14 and Comparative Examples 1 and 2. It is a graph for demonstrating acetyl substitution degree. The horizontal axis of the graph is the acetyl substitution degree (2DS) at the 2-position, and the vertical axis of the graph is the acetyl substitution degree (3DS) at the 3-position.
The cellulose acetate satisfying the formula (III) is a region above the solid line (2DS + 3DS = 1.80) shown as (III) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (IV) is a region below the solid line (3DS = 2DS) shown as (IV) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (VII) is a region above the solid line (2DS + 3DS = 1.82) shown as (VII) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (VIII) is a region above the solid line (2DS + 3DS = 1.84) shown as (VIII) in FIG.
The cellulose acetate satisfying the formula (X) is a region on the left side of the solid line (3DS = 2DS × 2-1) shown as (X) in FIG.
Black circles 1-9 and 12-14 are cellulose acetates of Examples 1-9 and 12-14, and white circles C1, C2 are cellulose acetates of Comparative Examples 1 and 2.
[0049]
Among formulas (I) to (X), cellulose acetate satisfying 4 or more formulas is preferable, cellulose acetate satisfying 5 or more formulas is more preferable, cellulose acetate satisfying 6 or more formulas is more preferable, and 7 Cellulose acetate satisfying the above formula is more preferable, and cellulose acetate satisfying 8 or more formula is most preferable. Cellulose acetate satisfying all the formulas is particularly preferred.
The degree of acetyl substitution at the 2-position, 3-position and 6-position of cellulose acetate can be determined by measuring 13 C-NMR after propionylation treatment of cellulose acetate. Details of the measurement method are described in Tezuka et al. (Carbohydr. Res. 273, 83-91 (1995)).
[0050]
[Infrared absorption spectrum]
Cellulose acetate is 3450-3550cm -1 Has an absorption maximum of an infrared absorption spectrum at a wave number of 135 cm, and the half-value width of the absorption maximum is 135 cm. -1 The following is preferable. Absorption maximum is 3455-3540cm -1 More preferably, it is present at a wave number of 3460-3530 cm. -1 Most preferably, it exists at a wave number of. The full width at half maximum of the absorption maximum is 130 cm -1 More preferably, 125 cm -1 Most preferably:
The infrared absorption spectrum of cellulose acetate is measured after a cellulose acetate film is prepared by a solvent cast method. A specific measurement procedure will be described later with respect to Example 6.
[0051]
From the infrared absorption spectrum obtained by the measurement (the vertical axis is absorbance), the absorption maximum and the half width are obtained. The analysis of the absorption band of the infrared absorption spectrum is described in pages 219 to 221 of Hiroyuki Tadokoro, polymer structure (Chemical Doujin, 1976).
FIG. 5 is a chart for explaining the half-value width of the infrared absorption spectrum.
In the spectrum shown in FIG. 5, the wavelength is 3500 cm. -1 In the vicinity, a hydroxyl absorption band is observed. High wave number side of absorption band (3700cm -1 Near the base (A) and the low wavenumber side (3250 cm) -1 A base line (A-B) in contact with the base (B) in the vicinity) is drawn. A vertical line is drawn from the peak (E) of the absorption band to the horizontal axis. An intersection (C) between the perpendicular and the base line (AB) is determined, and an intermediate point (D) between the peak (E) and the intersection (C) is obtained. A straight line parallel to the base line (AB) is drawn through the intermediate point (D), and two intersection points (A ′, B ′) with the spectrum are obtained. A perpendicular line is drawn from the two intersections (A ′, B ′) to the horizontal axis, and the width of the two intersections on the horizontal axis is defined as the half-value width (Δν1 / 2) of the band.
An absorption band (3450 to 3550 cm) -1 In the case where there are a plurality of absorption peaks at the wave number of (2), the maximum absorption peak may be adopted as the measurement standard (E in FIG. 5).
[0052]
Regarding the infrared absorption spectrum of methylcellulose, there is a report by Kondo (Kondo, Cellulose, 4, 281 (1997)).
In the manufactured cellulose acetate film (for example, a film product), the infrared absorption spectrum measured in the same manner is 3450 to 3550 cm. -1 The absorption maximum is at the wave number of, and the full width at half maximum of the absorption maximum is 135 cm. -1 The following is preferable. However, in cellulose acetate film products, additives (for example, UV absorbers) may affect the absorption spectrum. Therefore, in the cellulose acetate film product, an infrared absorption spectrum originating from cellulose acetate is measured.
[0053]
[Organic solvent]
Cellulose acetate is usually dissolved in an organic solvent to prepare a cellulose acetate solution and used for various purposes (for example, production of film). Examples of organic solvents include ketones, esters, ethers, hydrocarbons and alcohols.
Technically, halogenated hydrocarbons such as dichloromethane can be used without problems, but from the viewpoint of the global environment and working environment, the organic solvent preferably does not substantially contain halogenated hydrocarbons. “Substantially free” means that the proportion of halogenated hydrocarbon in the organic solvent is less than 5% by mass (preferably less than 2% by mass). Moreover, it is preferable that halogenated hydrocarbons such as dichloromethane are not detected at all from the produced cellulose acetate film.
[0054]
The organic solvent preferably includes a solvent selected from ethers having 2 to 12 carbon atoms, ketones having 3 to 12 carbon atoms, and esters having 2 to 12 carbon atoms.
The ether, ketone and ester may have a cyclic structure. A compound having two or more functional groups of ether, ketone and ester (that is, —O—, —CO— and —COO—) can also be used as the organic solvent. The organic solvent may have another functional group such as an alcoholic hydroxyl group. In the case of an organic solvent having two or more types of functional groups, the number of carbon atoms may be within the specified range of the compound having any functional group.
[0055]
Examples of the ether having 2 to 12 carbon atoms include dimethyl ether, methyl ethyl ether, diisopropyl ether, dimethoxymethane, dimethoxyethane, 1,4-dioxane, 1,3-dioxolane, tetrahydrofuran, anisole and phenetole.
Examples of the ketone having 3 to 12 carbon atoms include acetone, methyl ethyl ketone, diethyl ketone, diisobutyl ketone, cyclohexanone, methylcyclohexanone and acetylacetone.
Examples of the ester having 2 to 12 carbon atoms include methyl formate, ethyl formate, propyl formate, pentyl formate, methyl acetate, ethyl acetate and pentyl acetate. A methyl acetate organic solvent containing 50% by mass or more of methyl acetate (methyl acetate) is particularly preferably used.
Examples of the organic solvent having two or more kinds of functional groups include 2-ethoxyethyl acetate, 2-methoxyethanol and 2-butoxyethanol.
[0056]
A particularly preferred organic solvent is a mixed solvent of three different solvents, wherein the first solvent is selected from ketones having 3 to 12 carbon atoms and esters having 2 to 12 carbon atoms, The solvent is selected from linear monohydric alcohols having 1 to 5 carbon atoms, and the third solvent is selected from alcohols having a boiling point of 30 to 170 ° C. and hydrocarbons having a boiling point of 30 to 170 ° C.
The ketone and ester of the first solvent are as described above. Two types of the first solvent may be used in combination. For example, a mixed solvent of a ketone (eg, acetone) and an ester (eg, methyl acetate) may be used as the first solvent.
The second solvent is selected from linear monohydric alcohols having 1 to 5 carbon atoms. The hydroxyl group of the alcohol may be bonded to the end of the hydrocarbon straight chain (primary alcohol) or may be bonded to the middle (secondary alcohol). Specifically, the second solvent is selected from methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol, 2-butanol, 1-pentanol, 2-pentanol and 3-pentanol. The number of carbon atoms of the linear monohydric alcohol is preferably 1 to 4, more preferably 1 to 3, and most preferably 1 or 2. Ethanol is particularly preferably used.
[0057]
The third solvent is selected from alcohol having a boiling point of 30 to 170 ° C. and hydrocarbon having a boiling point of 30 to 170 ° C.
The alcohol is preferably monovalent. The hydrocarbon portion of the alcohol may be linear, branched or cyclic. The hydrocarbon moiety is preferably a saturated aliphatic hydrocarbon. The hydroxyl group of the alcohol may be any of primary to tertiary.
Examples of alcohols include methanol (boiling point: 64.65 ° C.), ethanol (78.325 ° C.), 1-propanol (97.15 ° C.), 2-propanol (82.4 ° C.), 1-butanol (117. 9 ° C), 2-butanol (99.5 ° C), t-butanol (82.45 ° C), 1-pentanol (137.5 ° C), 2-methyl-2-butanol (101.9 ° C), cyclo Hexanol (161 ° C.), 2-fluoroethanol (103 ° C.), 2,2,2-trifluoroethanol (80 ° C.), 2,2,3,3-tetrafluoro-1-propanol (109 ° C.), 1, 3-difluoro-2-propanol (55 ° C.), 1,1,1,3,3,3-hexa-2-methyl-2-propanol (62 ° C.), 1,1,1,3,3,3- Hexafluoro-2-pro Diol (59 ° C.), 2,2,3,3,3-pentafluoro-1-propanol (80 ° C.), 2,2,3,4,4,4-hexafluoro-1-butanol (114 ° C.), 2,2,3,3,4,4,4-heptafluoro-1-butanol (97 ° C.), perfluoro-tert-butanol (45 ° C.), 2,2,3,3,4,4,5 5-octofluoro-1-pentanol (142 ° C.), 2,2,3,3,4,4-hexafluoro-1,5-pentanediol (111.5 ° C.), 3,3,4,4, 5,5,6,6,7,7,8,8,8-tridecafluoro-1-octanol (95 ° C.), 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6 7,7,8,8,8-pentadecafluoro-1-octanol (165 ° C.), 1- (pentafluorophenyl) ethano Le (82 ° C.) and 2,3,4,5,6-pentafluoro benzyl alcohol (115 ° C.) are included.
[0058]
As for the alcohol, it overlaps with the definition of the second solvent, but any alcohol different from the alcohol used as the second solvent can be used as the third solvent. For example, when ethanol is used as the second solvent, other alcohols included in the definition of the second solvent (methanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol, 2-butanol, 1-pentanol) , 2-pentanol or 3-pentanol) may be used as the third solvent.
The hydrocarbon may be linear, branched or cyclic. Either aromatic hydrocarbons or aliphatic hydrocarbons can be used. The aliphatic hydrocarbon may be saturated or unsaturated. More preferably.
Examples of hydrocarbons include cyclohexane (boiling point: 80.7 ° C), hexane (69 ° C), benzene (80.1 ° C), toluene (110.6 ° C) and xylene (138.4-144.4 ° C). Is included.
[0059]
The three kinds of mixed solvents preferably contain 50 to 95% by mass of the first solvent, more preferably 60 to 92% by mass, still more preferably 65 to 90% by mass, and 70 to 88%. Most preferably, it is contained by mass%. The second solvent is preferably contained in an amount of 1 to 30% by mass, more preferably 2 to 27% by mass, further preferably 3 to 24% by mass, and 4 to 22% by mass. Most preferred. The third solvent is preferably contained in an amount of 1 to 30% by mass, more preferably 2 to 27% by mass, further preferably 3 to 24% by mass, and 4 to 22% by mass. Most preferred.
Furthermore, another organic solvent may be used in combination to form a mixed solvent of four or more. In the case of using four or more kinds of mixed solvents, the fourth and subsequent solvents are also preferably selected from the three kinds of solvents described above. Solvents other than the above-mentioned three solvents include ethers having 3 to 12 carbon atoms (eg, diisopropyl ether, dimethoxyethane, diethoxyethane, 1,4-dioxane, 1,3-dioxolane, tetrahydrofuran, anisole) , Phenetole) or nitromethane may be used in combination.
[0060]
The boiling point of the organic solvent is preferably 20 to 300 ° C., more preferably 30 to 200 ° C., further preferably 40 to 100 ° C., and most preferably 50 to 80 ° C.
In the present invention, it is preferable to form a solution by dissolving cellulose acetate in the above organic solvent by a cooling dissolution method. The cooling dissolution method includes a swelling process, a cooling process, and a heating process. In addition, even if it is an organic solvent which can melt | dissolve a cellulose acetate at room temperature, there exists an effect that a uniform solution can be obtained rapidly according to the cooling dissolution method.
[0061]
[Swelling process]
In the swelling step, cellulose acetate and an organic solvent are mixed and the cellulose acetate is swollen with the solvent.
The temperature of the swelling process is preferably −10 to 55 ° C. Usually performed at room temperature.
The ratio of cellulose acetate and organic solvent is determined according to the concentration of the solution finally obtained. In general, the amount of cellulose acetate in the mixture is preferably 5 to 30% by mass, more preferably 8 to 20% by mass, and most preferably 10 to 15% by mass.
The mixture of the solvent and cellulose acetate is preferably stirred until the cellulose acetate is sufficiently swollen. The stirring time is preferably 10 to 150 minutes, more preferably 20 to 120 minutes.
In the swelling step, components other than the solvent and cellulose acetate, for example, a plasticizer, a deterioration inhibitor, a dye, and an ultraviolet absorber may be added.
[0062]
[Cooling process]
In the cooling step, the swollen mixture is cooled to −100 to −10 ° C. The cooling temperature is preferably a temperature at which the swollen mixture is solidified.
The cooling rate is preferably 4 ° C./min or more, more preferably 8 ° C./min or more, and most preferably 12 ° C./min or more. The faster the cooling rate, the better. However, 10,000 ° C./second is the theoretical upper limit, 1000 ° C. second is the technical upper limit, and 100 ° C./second is the practical upper limit. The cooling rate is a value obtained by dividing the difference between the temperature at the start of cooling and the final cooling temperature by the time from the start of cooling until the final cooling temperature is reached. The examples described in JP-A-9-95544, JP-A-9-95557, and JP-A-9-95538 have a cooling rate of about 3 ° C./min.
In the cooling process, it is desirable to use an airtight container in order to avoid moisture mixing due to condensation during cooling. Further, if the pressure is reduced during cooling, the cooling time can be shortened. In order to perform decompression, it is desirable to use a pressure resistant container.
Various methods or apparatuses can be adopted as specific cooling means.
[0063]
For example, when the swollen mixture is stirred and conveyed in a cylindrical container and the swollen mixture is cooled from the periphery of the container, the swollen mixture can be cooled quickly and uniformly. For this purpose, a cylindrical container, a spiral conveyance mechanism provided in the container for conveying the inside of the cylindrical container while stirring the swollen mixture, and the periphery of the container for cooling the swollen mixture in the container A cooling device composed of a cooling mechanism provided in is preferably used.
Moreover, the solvent cooled to -105 thru | or -15 degreeC can be added to a swelling mixture, and can also be cooled more rapidly.
[0064]
Furthermore, the swollen mixture can be cooled more rapidly by extruding the swollen mixture into a liquid cooled to −100 to −10 ° C. into a thread having a diameter of 0.1 to 20.0 mm. Is possible. There is no particular limitation on the liquid used for cooling.
When using a method of cooling the swollen mixture by extruding the swollen mixture into a cooled liquid, a step of separating the swollen swollen mixture from the cooling liquid is performed between the cooling step and the heating step. It is preferable.
In the cooling step, since the swollen mixture is gelled in a thread form, the swollen mixture and the cooling liquid can be easily separated. For example, it is possible to remove the thread-like swelling mixture from the liquid using a net. Instead of a net, a plate having slits or holes may be used. The material of the net or plate is not particularly limited as long as the material does not dissolve in the liquid. Nets and plates can be manufactured from various metals and various plastic materials. The mesh size, slit width, and hole size are adjusted according to the diameter of the thread so that the thread does not pass through. Further, the belt for transporting the thread-like swelling mixture from the cooling device to the heating device may be formed in a net shape so that separation and transport can be performed simultaneously.
[0065]
[Heating process]
In the heating step, the cooled swelling mixture is heated to 0 to 200 ° C. The final temperature of the heating step is usually room temperature.
The heating rate is preferably 4 ° C./min or more, more preferably 8 ° C./min or more, and most preferably 12 ° C./min or more. The higher the heating rate, the better. However, 10,000 ° C./second is the theoretical upper limit, 1000 ° C./second is the technical upper limit, and 100 ° C./second is the practical upper limit. The heating rate is a value obtained by dividing the difference between the temperature at the start of heating and the final heating temperature by the time from the start of heating until the final heating temperature is reached. The examples described in JP-A-9-95544, JP-A-9-95557, and JP-A-9-95538 have a heating rate of about 3 ° C./min.
When heating is performed while applying pressure, the heating time can be shortened. In order to perform pressurization, it is desirable to use a pressure-resistant container.
In addition, when the dissolution is insufficient, the cooling process to the heating process may be repeated. Whether or not the dissolution is sufficient can be determined by merely observing the appearance of the solution with the naked eye.
Various methods or apparatuses can be adopted as specific heating means.
[0066]
For example, when the swollen mixture is stirred and conveyed in a cylindrical container, and the swollen mixture is heated from the periphery of the container, the swollen mixture can be quickly and uniformly heated. For this purpose, a cylindrical container, a spiral conveyance mechanism provided in the container for conveying the inside of the cylindrical container while stirring the swollen mixture, and a container for heating the swollen mixture in the container. A warming device comprising a warming mechanism provided around is preferably used.
[0067]
It is also possible to warm the swollen mixture more rapidly by warming the swollen mixture by putting the thread-like swollen mixture having a diameter of 0.1 to 20.0 mm into the heated liquid. is there.
In the cooling step, when a method of extruding the swollen mixture into a thread shape is adopted, the thread-like swollen mixture may be put into a heating liquid. When the cooling process is performed by a method other than the thread extrusion, the swollen mixture cooled in the heating process is extruded into a warming liquid in a thread form. In addition, when performing filamentary extrusion continuously, the produced cellulose acetate solution can be sequentially used as a liquid for heating the next swollen mixture. That is, the filamentous swollen mixture is put into a manufactured and heated cellulose acetate solution, and the mixture is rapidly heated to obtain a cellulose acetate solution.
[0068]
Further, the cooled swollen mixture is introduced into a cylindrical container, the flow of the swollen mixture is divided into a plurality of parts in the container, and the direction of the flow of the divided mixture is rotated in the container. Repeatedly, the swollen mixture can be warmed from around the container. As described above, a container provided with a partition for dividing and rotating a substance flow is generally known as a static mixer. Static mixer, a typical static mixer TM (Kenix) has a clockwise element that divides the substance flow in two and rotates it 180 degrees clockwise, and a counterclockwise element that divides the substance flow in two and rotates it counterclockwise 180 degrees In the container, they are alternately shifted by 90 degrees.
Furthermore, the swollen mixture may be heated to a temperature equal to or higher than the boiling point of the solvent under a pressure adjusted so that the solvent does not boil. The temperature is determined depending on the type of the solvent, but is generally 60 to 200 ° C. The pressure is determined by the relationship between the temperature and the boiling point of the solvent, but is generally 1.2 to 20 kgw / cm. 2 It is.
[0069]
[Processing after solution production]
The manufactured solution can be subjected to treatment such as concentration adjustment (concentration or dilution), filtration, temperature adjustment, and component addition as necessary.
The component to be added is determined according to the use of the cellulose acetate solution. In the case of cellulose acetate film, typical additives are plasticizers, deterioration inhibitors (eg, peroxide decomposers, radical inhibitors, metal deactivators, acid scavengers), dyes and UV absorbers. . Furthermore, it is preferable to add fine particles (preferably a diluted solution of cellulose acetate in which fine particles are dispersed) at this stage.
[0070]
[Fine particles]
The cellulose acetate film can contain fine particles having an average particle size of 1.0 μm or less. The fine particles function as a slipping agent and improve the dynamic friction coefficient of the film.
As the fine particles, it is preferable to use an inorganic compound. Examples of inorganic compounds include silicon dioxide, titanium dioxide, aluminum oxide, zirconium oxide, calcium carbonate, calcium carbonate, talc, clay, calcined kaolin, calcined calcium silicate, hydrated calcium silicate, aluminum silicate, magnesium silicate And calcium phosphate. Silicon dioxide, titanium dioxide and zirconium oxide are preferred, and silicon dioxide is particularly preferred.
The fine particles of the inorganic compound can introduce a methyl group to the particle surface by surface treatment. For example, silicon oxide fine particles may be treated with dichlorodimethylsilane or bis (trimethylsilyl) amine.
[0071]
Silicon dioxide microparticles are already commercially available (eg, Aerosil R972). TM , R972D TM , R974 TM , R812 TM , Manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.). There are also commercially available zirconium oxide particles (eg, Aerosil R976). TM , R811 TM , Manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.).
The average particle diameter of the fine particles is preferably 1.0 μm or less. The average particle size is more preferably 0.1 to 1.0 μm, and most preferably 0.1 to 0.5 μm.
The fine particles are preferably used in an amount of 0.005 to 0.3% by mass, more preferably 0.01 to 0.1% by mass, based on cellulose acetate.
The fine particles may be added at any stage of the film production process described below. Preferably, a diluted solution having a composition similar to that of an organic solvent solution of cellulose acetate is prepared, and fine particles are dispersed in the diluted solution. Then, by mixing an organic solvent solution and a dilute solution containing fine particles and forming a film from the mixed solution, a film in which the fine particles are uniformly dispersed can be produced.
[0072]
[Plasticizer]
A plasticizer is generally added to the cellulose acetate film.
As the plasticizer, phosphoric acid ester or carboxylic acid ester is used. Examples of phosphate esters include triphenyl phosphate, tricresyl phosphate, octyl diphenyl phosphate, triethyl phosphate and tributyl phosphate. Representative carboxylic acid esters include phthalic acid esters, citric acid esters, oleic acid esters, and linoleic acid esters. Examples of the phthalic acid ester include dimethyl phthalate, diethyl phthalate, dibutyl phthalate, dimethoxyethyl phthalate, dioctyl phthalate and diethylhexyl phthalate. Examples of the citrate ester include acetyl triethyl citrate and acetyl tributyl citrate. Examples of oleic acid esters include butyl oleate. Examples of other carboxylic acid esters include ethyl phthalyl ethyl glycolate, butyl phthalyl butyl glycolate, triacetin, methyl acetyl ricinoleate, dibutyl sebacate and various trimellitic acid esters.
The amount of the plasticizer added is generally in the range of 0.1 to 40% by mass of the amount of cellulose acetate, and more preferably in the range of 1 to 20% by mass.
[0073]
[Deterioration inhibitor]
A deterioration inhibitor may be added to the cellulose acetate film. Examples of the deterioration preventing agent include a peroxide decomposer, a radical inhibitor, a metal deactivator, and an acid scavenger. The deterioration preventing agents are described in JP-A-3-199201, JP-A-51907073, JP-A-5-194789, JP-A-5-271471, and JP-A-6-107854. As a particularly preferred example of the deterioration preventing agent, butylated hydroxytoluene (BHT) can be mentioned.
The addition amount of the deterioration inhibitor is preferably 0.01 to 0.5% by mass, more preferably 0.05 to 0.2% by mass of the cellulose acetate film.
[0074]
[Ultraviolet absorber]
An ultraviolet absorber may be kneaded into the cellulose acetate film. The ultraviolet absorber improves the aging stability of the cellulose acetate film. It is desirable that the ultraviolet absorber has no absorption in the visible region.
Examples of the ultraviolet absorber include benzophenone compounds (eg, 2,4-dihydroxybenzophenone, 2-hydroxy-4-methoxybenzophenone, 2-hydroxy-4-n-octoxybenzophenone, 4-dodecyloxy-2-hydroxybenzophenone, 2,2 ′, 4,4′-tetrahydroxybenzophenone, 2,2′-dihydroxy-4,4′-dimethoxybenzophenone), benttriazole compounds (eg, 2- (2′-hydroxy-5-methylphenyl) Benzotriazole, 2- (2′-
The addition amount of the ultraviolet absorber is preferably in the range of 0.5 to 20% by mass, more preferably in the range of 1 to 10% by mass with respect to the cellulose acetate film.
[0075]
[dye]
A dye may be added to the cellulose acetate film to prevent the light piping phenomenon.
The dyeing hue is preferably gray. A compound having excellent heat resistance in the production temperature range of cellulose acetate film and excellent compatibility with cellulose acetate is preferably used as the dye.
Two or more dyes may be mixed and used.
[0076]
[Film filming]
Preparation of the organic solvent solution (dope) of cellulose acetate by the above cooling dissolution method is completely different from the solution preparation (stirring at normal temperature or high temperature) in the usual solvent cast method, but a film is formed from the obtained solution. The process can be carried out in the same manner as a normal solvent cast method.
The cellulose acetate solution is cast on a support and the solvent is evaporated to form a film. The concentration of the solution before casting is preferably adjusted so that the solid content is 18 to 35%. The surface of the support is preferably finished in a mirror state. A drum or a band is used as the support. As for the casting and drying method in the usual solvent casting method, U.S. Pat. No. 736892, JP-B Nos. 45-4554, 49-5614, JP-A-60-176834, No. 60-203430, and No. 62-115035.
[0077]
The cellulose acetate film formed on the support is preferably peeled off from the support before drying is completed (the organic solvent is 30% by mass or more of the film) and further dried. For this purpose, the gelation of the solution on the support needs to proceed rapidly. In order to promote gelation of the solution, it is effective to use a poor solvent such as alcohol (the third solvent described above). Further, gelation can be promoted by improving the casting method.
When the solution is cast on a support cooled to 10 ° C. or less, gelation of the solution is promoted (described in JP-B-5-17844). The support can be cooled by using a refrigerant or cold air. In the method of cooling the support, the film on the support may be dried using a drying air for 2 seconds or more. The obtained film can be peeled off from the support and further dried with high-temperature air whose temperature is successively changed from 100 to 160 ° C. to evaporate the residual solvent.
Even if the solution is cast on a support heated to 30 ° C. or higher and then the support is cooled to 20 ° C. or lower, gelation of the solution is promoted (Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 61-148013 and 61-158413). Each publication). The support can be heated by attaching a heater to the support surface, blowing hot air, or passing hot water through the drum. It is preferable to immediately raise the temperature immediately after casting the solution. In the initial stage of heating, a large amount of latent heat due to evaporation of the solvent is required. Therefore, in the initial stage of heating, in addition to the above heating means, auxiliary heating means such as hot air from the back surface or a heater (steam heater, infrared heater) is preferably used in combination. The support can be cooled not only by cooling but also by forced cooling such as blowing cold air or passing cold water through the drum.
[0078]
The cellulose acetate film produced as described above can be used for various applications by utilizing its excellent optical properties and physical properties. In particular, the film of the present invention is effective for optical applications of liquid crystal display devices.
In optical applications, the cellulose acetate film may be subjected to AG (antiglare) treatment or AR (antireflection treatment). In particular, when the AR process is used, the light transmittance of the film can be improved by about 3%. In the AR process, specifically, an antireflection film (single layer, two-layer film, or a multilayer film of three or more layers) is provided on the film to reduce reflection loss. Specific materials for the antireflection film are described in pages 818 to 821 of the thin film handbook (Ohm, Dec. 10, 1983).
[0079]
[Polarizing plate protective film and liquid crystal display device]
As an optical use of the cellulose acetate film, a polarizing plate protective film or a retardation plate of a liquid crystal display device is particularly preferable.
A liquid crystal display device generally has a liquid crystal display element and a polarizing plate.
The liquid crystal display element applies voltage to the liquid crystal layer, the substrate for holding it and the liquid crystal.
For the electrode layer. Both the substrate and the electrode layer are manufactured using a transparent material for display. As the transparent substrate, a glass thin plate or a resin film is used. In the case of a liquid crystal display device that requires some flexibility, it is necessary to use a resin film. The liquid crystal substrate is required to have low birefringence and heat resistance in addition to high transparency. In some cases, a phase difference plate is provided in the liquid crystal display device. The retardation plate is a birefringent film for removing the color of the liquid crystal screen and realizing black and white. The phase difference plate is also manufactured using a resin film. The phase difference plate is required to have a high birefringence.
A polarizing plate consists of a protective film and a polarizing film. The polarizing film is a resin film using iodine or a dichroic dye as a deflecting element. The protective film is provided on one side or both sides of the polarizing film for the purpose of protecting the polarizing film. In the case where a protective film is provided only on one side of the polarizing film, the liquid crystal substrate generally functions as a protective film on the other side. Since the polarizing plate protective film requires transparency and low birefringence (low retardation value), the cellulose acetate film of the present invention is particularly advantageously used.
[0080]
Examples of the polarizing film of the polarizing plate include an iodine polarizing film, a dye polarizing film using a dichroic dye, and a polyene polarizing film. Any polarizing film is generally produced using a polyvinyl alcohol film.
The polarizing plate protective film preferably has a thickness of 25 to 350 μm, more preferably 50 to 200 μm. You may add a ultraviolet absorber, a slip agent, a deterioration preventing agent, or a plasticizer to a protective film.
A surface treatment film may be further provided on the polarizing plate protective film. The functions of the surface treatment film include hard coat, anti-fogging treatment, anti-glare treatment and antireflection treatment.
The polarizing plate and its protective film are described in JP-A-4-219703, 5-212828 and 6-511117.
[0081]
【Example】
[Example 1]
(Synthesis of cellulose acetate)
Wood pulp having an α-cellulose content of about 97% by mass (water content: 7.31% by mass) was crushed. To 302.1 g of pulp, 140 g of glacial acetic acid was uniformly sprayed and stirred, and then left at room temperature for 90 minutes. The pulp was put into a pre-cooled mixed solution of 769.7 g of acetic anhydride, 1170.3 g of acetic acid, and 23.08 g of 98% sulfuric acid, and mixed. The reaction temperature was increased linearly to 37 ° C. 60 minutes after 0 ° C. at the start of the reaction by external cooling / heating, and maintained at 37 ° C. for 90 minutes. In this way, cellulose acetate was synthesized.
[0082]
(Aging of cellulose acetate)
To the synthesized cellulose acetate solution, 62.05 g of a 26% by mass aqueous acetic acid solution was added, the temperature was raised to 47 ° C., and maintained for 90 minutes to ripen the cellulose acetate. The mixing ratio was 1658 parts by mass of acetic acid (acetyl donor), 23.3 parts by mass of water, and 22.6 parts by mass of sulfuric acid (catalyst) with respect to 499 parts by mass of cellulose acetate. Therefore, the amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 4.68 mol%.
The value of the reaction history parameter (R = ∫YZ / Xdt) in the aging step was calculated to be 41.
[0083]
(Post-processing)
After completion of aging, 188 g of a 24 mass% magnesium acetate aqueous solution was added and stirred. The obtained solution was added to about 6 liters of 10% by mass acetic acid aqueous solution with vigorous stirring, and the resulting precipitate was filtered, washed with running water, washed with hot water, washed with running water, and centrifuged to remove liquid. And dried at 50 ° C.
[0084]
(Analysis of cellulose acetate)
About the manufactured cellulose acetate, the acetyl substitution degree (average total substitution degree) and the polymerization degree were measured.
Furthermore, the elution curve of reverse phase HPLC was measured and converted into an intermolecular substitution degree distribution curve, and the half-width of the maximum peak was determined.
The above results are shown in Table 1.
[0085]
Next, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were measured. The measurement results are shown in Table 2. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as a black circle in the graphs of FIGS.
The degree of substitution was measured according to the method of Tezuka (Tezuka, Carbohydr. Res. 273, 83 (1995)). That is, the free hydroxyl group of the sample cellulose acetate is propionylated with propionic anhydride in pyridine. The obtained sample is dissolved in deuterated chloroform, and the spectrum of
[0086]
(Preparation of cellulose acetate solution)
17 parts by mass of the cellulose acetate produced, 80.28 parts by mass of a mixed solvent of methyl acetate / methanol / n-butanol (mixing ratio: 80/15/5) and 2.72 parts by mass of triphenyl phosphate (plasticizer) are mixed. did. At room temperature, the cellulose acetate did not dissolve and swollen in the mixed solvent to form a slurry.
Next, the swollen mixture was placed in a cooling / heating container, and slowly cooled to −30 ° C. from the outside of the container using water / ethylene glycol as a refrigerant (cooling rate: 8 ° C./min). Cooling was continued for 30 minutes until the mixture was uniformly cooled and solidified.
Thereafter, warm water was used in place of the refrigerant to heat from the outside of the container, and when the content of the sol was advanced to some extent, stirring of the content was started and the content was heated to room temperature (heating rate: 8 ° C. / Min).
Further, the above cooling and heating operations were repeated once more.
When the state of the solution obtained by the cooling dissolution method was observed while still standing at ordinary temperature (23 ° C.), it was a transparent and uniform solution. Furthermore, when stored for 20 days, transparency and uniformity were maintained, and good solubility and solution stability were shown.
[0087]
(Production of cellulose acetate film)
The obtained cellulose acetate solution was cast on a band having an effective length of 6 m using a band casting machine so that the dry film thickness was 100 μm. The band temperature was 0 ° C. Then, after 2 seconds of exposure to drying air, peel off the film from the band, and dry it stepwise at 100 ° C for 3 minutes, 130 ° C for 5 minutes, and 160 ° C for 5 minutes while fixing both ends of the film. The remaining solvent was evaporated and further dried at 120 ° C. for 3 hours.
The cellulose acetate film thus obtained showed good optical properties (high optical isotropy and transparency).
[0088]
[Example 2]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of commercially available cellulose acetate (with a polymerization degree of 360 obtained by acetylating cotton linters under normal conditions and a substitution degree of 2.84 by NMR measurement) was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and a rotary evaporator. The dichloromethane was evaporated and evaporated. 2050 g of acetic acid, 2.65 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the sum of the amount added as water and the amount of water contained in the aqueous perchloric acid solution) was 1.63 mol%.
The obtained solution was kept at 30 ° C. for 3 hours to age the cellulose acetate.
The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging step was calculated to be 55.
[0089]
(Post-processing)
After completion of aging, sodium acetate equivalent to 2 equivalents to perchloric acid (1.75 parts by mass with respect to 1 part by mass of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid) was added and stirred well, followed by vigorous stirring While adding 7.5 liters of water, a precipitate was formed. The precipitate was washed with running water until the odor of acetic acid disappeared, centrifuged and drained, further washed with running water and centrifuged for 3 hours, and dried at 50 ° C.
[0090]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Tables 1 and 2. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as black dots of 2 in the graphs of FIGS.
[0091]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while standing still at room temperature (23 ° C.), it was a transparent and uniform solution. Furthermore, when stored for 20 days, transparency and uniformity were maintained, and good solubility and solution stability were shown.
[0092]
(Production of cellulose acetate film)
A cellulose acetate film was produced in the same manner as in Example 1 using the obtained cellulose acetate solution.
The obtained cellulose acetate film exhibited good optical properties (high optical isotropy and transparency).
[0093]
[Example 3]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of the commercially available cellulose acetate used in Example 2 was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and the dichloromethane was evaporated and distilled off by a rotary evaporator. 2050 g of acetic acid, 2.65 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the sum of the amount added as water and the amount of water contained in the aqueous perchloric acid solution) was 1.63 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 5 hours to age the cellulose acetate.
The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 92.
[0094]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 2 and analyzed. The results are shown in Tables 1 and 2. In addition, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as black dots of 3 in the graphs of FIGS.
[0095]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while standing still at room temperature (23 ° C.), it was a transparent and uniform solution. Furthermore, when stored for 20 days, transparency and uniformity were maintained, and good solubility and solution stability were shown.
[0096]
(Production of cellulose acetate film)
A cellulose acetate film was produced in the same manner as in Example 1 using the obtained cellulose acetate solution.
The obtained cellulose acetate film exhibited good optical properties (high optical isotropy and transparency).
[0097]
[Example 4]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of the commercially available cellulose acetate used in Example 2 was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and the dichloromethane was evaporated and distilled off by a rotary evaporator. 2050 g of acetic acid, 18.35 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the total of the amount added as water and the amount of water contained in the perchloric acid aqueous solution) was 4.18 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 10 hours to age the cellulose acetate. The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging step was calculated to be 72.
[0098]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 2 and analyzed. The results are shown in Tables 1 and 2. Further, the substitution degree at the 2nd position (2DS), the substitution degree at the 3rd position (3DS), and the substitution degree at the 6th position (6DS) were plotted as 4 black circles in the graphs of FIGS.
[0099]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while standing still at room temperature (23 ° C.), it was a transparent and uniform solution. Furthermore, when stored for 20 days, transparency and uniformity were maintained, and good solubility and solution stability were shown.
[0100]
(Production of cellulose acetate film)
A cellulose acetate film was produced in the same manner as in Example 1 using the obtained cellulose acetate solution.
The obtained cellulose acetate film exhibited good optical properties (high optical isotropy and transparency).
[0101]
[Example 5]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of the commercially available cellulose acetate used in Example 2 was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and the dichloromethane was evaporated and distilled off by a rotary evaporator. 2050 g of acetic acid, 18.35 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the total of the amount added as water and the amount of water contained in the perchloric acid aqueous solution) was 4.18 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 15 hours to age the cellulose acetate. The value of the reaction history parameter (R = パ ラ メ ー タ YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 107.
[0102]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 2 and analyzed. The results are shown in Tables 1 and 2. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as black circles in the graphs of FIGS.
[0103]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while standing still at room temperature (23 ° C.), it was a transparent and uniform solution. Furthermore, when stored for 20 days, transparency and uniformity were maintained, and good solubility and solution stability were shown.
[0104]
(Production of cellulose acetate film)
A cellulose acetate film was produced in the same manner as in Example 1 using the obtained cellulose acetate solution.
The obtained cellulose acetate film exhibited good optical properties (high optical isotropy and transparency).
[0105]
[Comparative Example 1]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of the cellulose acetate synthesized in Example 1 was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and the dichloromethane was evaporated and distilled off by a rotary evaporator. 2050 g of acetic acid, 54.13 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the sum of the amount added as water and the amount of water contained in the aqueous perchloric acid solution) was 10.00 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 20 hours to age the cellulose acetate. The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging step was calculated to be 60.
[0106]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 2 and analyzed. The results are shown in Tables 1 and 2. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as white circles of C1 in the graphs of FIGS.
[0107]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while standing at room temperature (23 ° C.), white turbidity was observed, and an opaque portion (remaining cocoon) was observed.
[0108]
[Comparative Example 2]
(Aging of cellulose acetate)
200 g of the cellulose acetate synthesized in Example 1 was dissolved in a mixed solution of 1167 ml of dichloromethane and 834 ml of acetic acid, and the dichloromethane was evaporated and distilled off by a rotary evaporator. 2050 g of acetic acid, 54.13 g of water and 24.4 g of a 70% by weight aqueous solution of perchloric acid were added to dissolve the cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) (the sum of the amount added as water and the amount of water contained in the aqueous perchloric acid solution) was 10.00 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 30 hours to age the cellulose acetate.
The value of the reaction history parameter (R = パ ラ メ ー タ YZ / Xdt) in the aging step was calculated and found to be 90.
[0109]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 1.
Next, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), the substitution degree at the 6-position (6DS) and the degree of polymerization were measured. The measurement results are shown in Table 2. Further, the substitution degree at the 2nd position (2DS) and the substitution degree at the 3rd position (3DS) were plotted as C2 white circles in the graph of FIG. 4 (out of range in FIG. 3).
[0110]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while still standing at normal temperature (23 ° C.), a transparent but non-uniform portion was observed.
[0111]
[Comparative Example 3]
(Synthesis of cellulose acetate)
To 100 parts by mass of cellulose made from wood pulp, 14.2 parts by mass of sulfuric acid, 260 parts by mass of acetic anhydride and 360 parts by mass of acetic acid were added and subjected to an acetylation reaction at 40 ° C. for 95 minutes, and then magnesium acetate was used. Then, 2/3 of the sulfuric acid was neutralized with magnesium sulfate.
It was 20 mol% when the quantity of the water with respect to the acetic acid (acetyl donor) after neutralization was calculated.
[0112]
(Aging of cellulose acetate)
The resulting solution was kept at 65 ° C. for 100 minutes to age the cellulose acetate. Thereafter, post-treatment was performed in the same manner as in Example 1 to separate cellulose acetate.
The value of the reaction history parameter (R = パ ラ メ ー タ YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 15.
[0113]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0114]
(Preparation of cellulose acetate solution)
Using the produced cellulose acetate, a cellulose acetate solution was prepared by a cooling dissolution method in the same manner as in Example 1.
When the state of the obtained solution was observed while still standing at normal temperature (23 ° C.), a transparent but non-uniform portion was observed.
[0115]
[Comparative Example 4]
(Synthesis of cellulose acetate)
To 550 g of cotton linters, 2747 g of acetic acid, 1630 g of acetic anhydride and 64.4 g of sulfuric acid were added, and acetylated while raising the temperature from 0 ° C. to 40 ° C. over 120 minutes in a kneader.
[0116]
(Aging of cellulose acetate)
To the resulting solution was added 328 g of a 24% by weight aqueous solution of magnesium acetate. When the composition of this solution was calculated in consideration of the water content of the raw material, it was 978 g of cellulose acetate, 4053 g of acetic acid, 10.1 g of sulfuric acid, and 177 g of water. The water / acetyl donor molar ratio was 14.5%.
The solution was aged by holding at 52 ° C. for 100 minutes.
The value of the reaction history parameter (R = パ ラ メ ー タ YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 3.7.
[0117]
(Post-processing)
After completion of aging, 376 g of a 24 mass% magnesium acetate aqueous solution was added and stirred. The obtained solution was added to about 12 liters of a 10% by mass acetic acid aqueous solution with vigorous stirring, and the resulting precipitate was filtered, washed with running water, washed with hot water, washed with running water, and centrifuged to remove liquid. And dried at 50 ° C.
[0118]
(Analysis of cellulose acetate)
About the manufactured cellulose acetate, the acetyl substitution degree (total substitution degree) and the polymerization degree were measured.
Furthermore, the elution curve of reverse phase HPLC was measured and converted into an intermolecular substitution degree distribution curve, and the half-width of the maximum peak was determined.
The above results are shown in Table 1.
[0119]
[Table 1]
[0120]
[Table 2]
[0121]
[Example 6]
(Synthesis of cellulose acetate)
To 100 parts by mass of cellulose using cotton linter as a raw material, 9.2 parts by mass of sulfuric acid, 276 parts by mass of acetic anhydride and 551 parts by mass of acetic acid were added, and cellulose was esterified by a conventional method. Cellulose acetate obtained by neutralization with magnesium acetate was kept at 62 ° C. for 40 minutes. In this way, cellulose acetate was synthesized.
[0122]
(Aging of cellulose acetate)
Using synthesized cellulose acetate, the amount of water to acetic acid (acetyl donor) is 1.63 mol%, the amount of perchloric acid (catalyst) to acetic acid (acetyl donor) is 0.498 mol%, and reaction history parameters The aging step was performed in the same manner as in Example 1 except that (R = ∫YZ / Xdt) was changed to 55.
[0123]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was post-treated in the same manner as in Example 1 and analyzed. The results are shown in Table 3. Further, the substitution degree at the 2nd position (2DS), the substitution degree at the 3rd position (3DS), and the substitution degree at the 6th position (6DS) were plotted as black dots of 6 in the graphs of FIGS.
[0124]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
200 mg of completely dried cellulose acetate was dissolved in 5 g of dichloromethane / methanol (9/1: mass ratio). The obtained solution was cast on a glass plate, and the thickness was made uniform using a bar coater. This was air-dried to obtain a cellulose acetate film sample. The thickness of the film was adjusted so that the transmittance (at the peak of the absorption band derived from the unsubstituted hydroxyl group of cellulose acetate) was about 40%.
The produced film was vacuum-dried at 105 ° C. for 30 minutes or more. And the film was cut | judged so that it might become sufficient magnitude | size (24 mm x 27 mm) with respect to the window frame of an infrared rays generator. This prevented infrared rays from being shielded by the sample holder.
Film sample is 3650cm under nitrogen atmosphere -1 It was kept until the absorption peak which seems to be derived from adsorbed water observed in the vicinity disappeared. The measurement used the FT-IR1650 type machine made from Perkin Elmer. The measured infrared absorption spectrum was analyzed as described above to determine the half width (Δν1 / 2). The results are shown in Table 3.
[0125]
[Example 7]
(Aging of cellulose acetate)
1150 parts by weight of a commercially available cellulose acetate (with a polymerization degree of 360 obtained by acetylating cotton linters under normal conditions and a substitution degree of 2.84 by NMR measurement) in a mixed liquid of 8220 parts by weight of dichloromethane and 4800 parts by weight of acetic acid Dissolve and evaporate and distill off dichloromethane using a rotary evaporator. The acetic acid dope of the obtained cellulose acetate was transferred to a reaction vessel, and 11788 parts by mass of acetic acid, 78 parts by mass of water and 98 parts by mass of perchloric acid were added to 1150 parts by mass of cellulose acetate. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 2.2 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 5 hours to age the cellulose acetate.
The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging step was calculated and found to be 67.5.
[0126]
(Post-processing)
After completion of aging, sodium acetate corresponding to 1.75 equivalents of perchloric acid was added to a 10% by mass acetic acid solution, and the reaction was stopped by stirring for 10 minutes. Thus, a cellulose acetate having a viscosity average polymerization degree of 288 and a substitution degree of 2.84 was obtained.
[0127]
(Analysis of cellulose acetate)
The obtained cellulose acetate was analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 3. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as black dots of 7 in the graphs of FIGS.
[0128]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
About the obtained cellulose acetate, the infrared absorption spectrum was measured like Example 6, and the half value width ((DELTA) (nu) 1/2) was calculated | required. The results are shown in Table 3.
[0129]
(Preparation of cellulose acetate solution)
15 parts by mass of the obtained cellulose acetate was mixed with 68 parts by mass of methyl acetate and 17 parts by mass of acetone at room temperature (25 ° C.) to prepare a slurry having a cotton concentration of 15% by mass. The obtained slurry was transparent gel-like, and partially opaque, and a residue was observed.
The slurry was cooled in a methanol bath adjusted to -40 ° C with dry ice for 2 hours. In the removed slurry, many bubbles were generated due to the permeation of the solvent. This was left at room temperature for 10 minutes, and then kept in a hot water bath set at 40 ° C. for 10 minutes. The cellulose acetate solution thus obtained was transparent and had good fluidity.
[0130]
[Example 8]
(Aging of cellulose acetate)
200 parts by mass of a commercially available cellulose acetate (with a polymerization degree of 360 obtained by acetylating cotton linters under normal conditions and a substitution degree of 2.84 by NMR measurement) in a mixed solution of 1600 parts by mass of dichloromethane and 867 parts by mass of acetic acid Dissolve and evaporate and distill off dichloromethane using a rotary evaporator. The acetic acid dope of the obtained cellulose acetate was transferred to a reaction vessel, and 2050 parts by mass of acetic acid, 18.7 parts by mass of water and 24.3 parts by mass of a 70% by mass perchloric acid aqueous solution were added to 200 parts by mass of cellulose acetate. . The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 4.2 mol%.
The above solution was kept at 30 ° C. for 10 hours to age the cellulose acetate.
It was 71 when the value of the reaction history parameter (R = XYZ / Xdt) in the aging step was calculated.
[0131]
(Post-processing)
After completion of aging, sodium acetate corresponding to 1.75 equivalents of perchloric acid was added to a 10% by mass acetic acid solution, and the reaction was stopped by stirring for 10 minutes. Thus, a cellulose acetate having a viscosity average polymerization degree of 318 and a substitution degree of 2.81 was obtained.
[0132]
(Analysis of cellulose acetate)
The obtained cellulose acetate was analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 3. Further, the substitution degree at the 2nd position (2DS), the substitution degree at the 3rd position (3DS), and the substitution degree at the 6th position (6DS) were plotted as black circles in the graphs of FIGS.
[0133]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
About the obtained cellulose acetate, the infrared absorption spectrum was measured like Example 6, and the half value width ((DELTA) (nu) 1/2) was calculated | required. The results are shown in Table 3.
[0134]
(Preparation of cellulose acetate solution)
15 parts by mass of the obtained cellulose acetate was mixed with 68 parts by mass of methyl acetate and 17 parts by mass of acetone at room temperature (25 ° C.) to prepare a slurry having a cotton concentration of 15% by mass. The obtained slurry was transparent gel-like, and partially opaque, and a residue was observed.
The slurry was cooled in a methanol bath adjusted to -40 ° C with dry ice for 2 hours. In the removed slurry, many bubbles were generated due to the permeation of the solvent. This was left at room temperature for 10 minutes, and then kept in a hot water bath set at 40 ° C. for 10 minutes. The cellulose acetate solution thus obtained was transparent and had good fluidity.
[0135]
[Example 9]
(Aging of cellulose acetate)
Using commercially available cellulose acetate (degree of polymerization 360 obtained by acetylation of cotton linters under normal conditions, degree of substitution 2.84 by NMR measurement), the time required for aging cellulose acetate was 15 hours, and acetic acid (acetyl The amount of water to the donor) is 4.18 mol%, the amount of perchloric acid (catalyst) to acetic acid (acetyl donor) is 0.498 mol%, and the reaction history parameter (R = ∫YZ / Xdt) is 107. The aging process was performed in the same manner as in Example 1 except that the aging process was performed.
[0136]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was processed and analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 3. Further, the substitution degree at the 2nd position (2DS), the substitution degree at the 3rd position (3DS), and the substitution degree at the 6th position (6DS) were plotted as black circles in the graphs of FIGS.
[0137]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
About the obtained cellulose acetate, the infrared absorption spectrum was measured like Example 6, and the half value width ((DELTA) (nu) 1/2) was calculated | required. The results are shown in Table 3.
[0138]
[Table 3]
[0139]
[Example 10]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
Infrared absorption spectra were measured in the same manner as in Example 6 for cellulose acetate having a total substitution degree (2DS + 3DS + 6DS) of 2.896 and 2DS + 3DS-6DS of 0.896. The results are shown in FIG. The full width at half maximum (Δν1 / 2) was 90.
[0140]
[Example 11]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
Infrared absorption spectra were measured in the same manner as in Example 6 for cellulose acetate having a total substitution degree (2DS + 3DS + 6DS) of 2.877 and a value of 2DS + 3DS-6DS of 0.967. The results are shown in FIG. The full width at half maximum (Δν1 / 2) was 118.
[0141]
[Comparative Example 5]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
Infrared absorption spectra were measured in the same manner as in Example 7 for cellulose acetate having a total substitution degree (2DS + 3DS + 6DS) of 2.845 and a value of 2DS + 3DS-6DS of 1.069. The results are shown in FIG. The full width at half maximum (Δν1 / 2) was 137.
[0142]
[Comparative Example 6]
(Measurement of infrared absorption spectrum)
An infrared absorption spectrum was measured in the same manner as in Example 7 for cellulose acetate having a total substitution degree (2DS + 3DS + 6DS) of 2.925 and a value of 2DS + 3DS-6DS of 1.075. The results are shown in FIG. The full width at half maximum (Δν1 / 2) was 137.
[0143]
[Example 12]
(Aging of cellulose acetate)
500 g of dried and commercially available cellulose acetate (having a degree of polymerization of 311 obtained by acetylating wood pulp under normal conditions and a degree of substitution of 2.85 by NMR measurement) was dissolved in a mixed liquid of 1333 g of dichloromethane and 1033 g of acetic acid. 150 g of acetic acid containing 13.31 g of water was added with stirring. 150 g of acetic acid containing 36.92 g of toluenesulfonic acid monohydrate was added with stirring to initiate the ripening reaction. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 4.2 mol%. After 7 hours, 260 g of acetic acid in which 29 g of anhydrous sodium acetate was dissolved was added dropwise to complete the ripening reaction.
It was 151 when the value of the reaction history parameter (R = XYZ / Xdt) in the aging step was calculated.
[0144]
(Post-processing)
After distilling off dichloromethane from the acetic acid solution after the reaction by a rotary evaporator, about 4.5 liters of water was added with vigorous stirring as in Example 2 to form a precipitate. The precipitate was separated, washed, centrifuged and drained, washed with running water and centrifuged, and dried at 50 ° C.
[0145]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was processed and analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 4. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS) and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as 12 black circles in the graphs of FIGS.
[0146]
[Example 13]
(Aging of cellulose acetate)
The amount of water to be added was changed to 2.91 g (the amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 1.6 mol%), and the reaction time was changed to 2 hours and 20 minutes. Cellulose acetate was aged and post-treatment was performed.
The value of the reaction history parameter (R = ∫YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 132.
[0147]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was processed and analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 4. The substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as 13 black circles in the graphs of FIGS.
[0148]
[Example 14]
(Synthesis of cellulose acetate)
698 g of acetic acid was uniformly sprinkled on 1520 g of the pulverized pulp containing moisture of 8.2% by mass, and after stirring, left at room temperature for 90 minutes. The above-mentioned acetic acid-impregnated pulp was put into a mixed liquid of 3930.6 g of acetic anhydride, 5755 g of acetic acid, and 115.4 g of 98% sulfuric acid cooled to about −10 ° C. and mixed. By external cooling and external heating, the reaction temperature was linearly increased to 37 ° C. after 70 minutes from 0 ° C. at the start of the reaction, and maintained at 37 ° C. for 80 minutes to synthesize cellulose acetate.
[0149]
(Aging of cellulose acetate)
To the synthesized cellulose acetate solution, 383.7 g of 30% aqueous acetic acid solution was added, and maintained at a reaction temperature of 47 ° C. for 130 minutes. The amount of water relative to acetic acid (acetyl donor) was 6.0 mol%. Thereafter, 297 g of an aqueous solution of magnesium acetate tetrahydrate was added to stop the reaction.
The value of the reaction history parameter (R = / YZ / Xdt) in the aging process was calculated to be 43.
[0150]
(Post-processing)
The resulting solution was poured into about 30 liters of 10% aqueous acetic acid while vigorously stirring to form a precipitate. The precipitate was separated by filtration, washed with running water, washed with hot water, washed with running water and centrifuged and dried at 50 ° C.
[0151]
(Analysis of cellulose acetate)
The aged cellulose acetate was analyzed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 4. Further, the substitution degree at the 2-position (2DS), the substitution degree at the 3-position (3DS), and the substitution degree at the 6-position (6DS) were plotted as 14 black circles in the graphs of FIGS.
[0152]
[Table 4]
[Brief description of the drawings]
1 is an intermolecular substitution degree distribution curve of cellulose acetate obtained in Example 4. FIG.
2 is an intermolecular substitution degree distribution curve of cellulose acetate obtained in Comparative Example 4. FIG.
FIG. 3 illustrates the definition of the degree of acetyl substitution of formulas (I) to (III) and (VI) to (VIII) and the degree of acetyl substitution of cellulose acetates of Examples 1 to 9 and 12 to 14 and Comparative Example 1. It is a graph for.
FIG. 4 shows the definition of the degree of acetyl substitution of formulas (III), (IV), (VII), (VIII) and (X) and the cellulose acetates of Examples 1-9 and 12-14 and Comparative Examples 1 and 2. It is a graph for demonstrating acetyl substitution degree.
FIG. 5 is a chart for explaining a half-value width of an infrared absorption spectrum.
6 is a chart showing infrared absorption spectra of Examples 10 and 11 and Comparative Examples 5 and 6. FIG.
[Explanation of symbols]
Low substitution degree base of intermolecular substitution degree distribution curve of FIG. 1 and FIG.
High substitution degree base of B intermolecular substitution degree distribution curve of FIG. 1 and FIG.
The intersection of the perpendicular from the C peak (E) to the horizontal axis in FIGS. 1 and 2 and the base line (AB)
The middle point between D peak (E) and intersection (C) in FIG. 1 and FIG.
1 and 2 E peak of intermolecular substitution degree distribution curve
Two intersection points of a straight line parallel to the base line (AB) through the intermediate points (D) of FIGS. 1 and 2 and an intermolecular substitution degree distribution curve
1 and 2 DS acetyl substitution degree
2DS Degree of acetyl substitution at the 2-position
3DS 3-position acetyl substitution degree
6DS 6th position acetyl substitution
2DS + 3DS Sum of the degree of acetyl substitution at the 2-position and the degree of acetyl substitution at the 3-position
1 black circle Cellulose acetate of Example 1
2 black circles Cellulose acetate of Example 2
3 black circles Cellulose acetate of Example 3
4 black circles Cellulose acetate of Example 4
Black circle of 5 Cellulose acetate of Example 5
6 black circle Example 6 Cellulose Acetate
7 black circle Example 7 Cellulose Acetate
8 black circles Cellulose acetate of Example 8
9 black circles Cellulose acetate of Example 9
12 black circles Cellulose acetate of Example 12
13 black circles Cellulose acetate of Example 13
14 black circles Cellulose acetate of Example 14
C1 white circle Cellulose acetate of Comparative Example 1
C2 white circle Cellulose acetate of Comparative Example 2
(I) Solid line corresponding to 2DS + 3DS = 6DS × 4-1.70
(II) Solid line corresponding to 2DS + 3DS = −6DS × 4 + 5.70
(III) Solid line corresponding to 2DS + 3DS = 1.80
(IV) Solid line corresponding to 3DS = 2DS
(VI) Solid line corresponding to 2DS + 3DS =
(VII) Solid line corresponding to 2DS + 3DS = 1.82
(VIII) Solid line corresponding to 2DS + 3DS = 1.84
(X) Solid line corresponding to 3DS = 2DS × 2-1
Fig. 5 A Absorption band base on the high wavenumber side
Fig. 5 B Absorption band base on the low wavenumber side
Intersection of perpendicular line from C peak (E) to horizontal axis in FIG. 5 and baseline (AB)
Fig. 5 D Midpoint between peak (E) and intersection (C)
Fig. 5 E Absorption band peak
Two intersections of the spectrum with the straight line parallel to the base line (AB) through the midpoint (D) of A ′ and B ′ in FIG.
Δν1 / 2 half-width in Fig. 5
10 Infrared absorption spectrum of Example 10
11 Infrared absorption spectrum of Example 11
C5 Infrared absorption spectrum of Comparative Example 5
C6 Infrared absorption spectrum of Comparative Example 6
Claims (9)
(I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70
式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3DSは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。Cellulose acetate having an acetyl substitution degree of 2.636 to 2.958, wherein the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half-width of less than 0.080, and is further in positions 2, 3, and 6. Cellulose acetate characterized in that the degree of acetyl substitution satisfies the following formula (I):
(I) 2DS + 3DS <6DS × 4-1.70
In the formula, 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position; and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position.
Y=−0.1788X+0.5788
[式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度である]。 The cellulose acetate according to claim 4, wherein the maximum peak of the intermolecular substitution degree distribution curve has a half-value width smaller than Y defined by the following formula:
Y = −0.1788X + 0.5788
[Wherein X is the degree of acetyl substitution of cellulose acetate].
(II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70
(III) 2DS+3DS>1.80
(IV) 3DS<2DS
式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3DSは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。 The cellulose acetate according to claim 4, wherein the acetyl substitution degree at the 2nd, 3rd and 6th positions satisfies the following formulas (II) to (IV):
(II) 2DS + 3DS <−6DS × 4 + 5.70
(III) 2DS + 3DS> 1.80
(IV) 3DS <2DS
In the formula, 2DS is the degree of acetyl substitution at the 2-position; 3DS is the degree of acetyl substitution at the 3-position; and 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position.
(V) 6DS>0.80
式中、6DSは、6位のアセチル置換度である。 Further 2-position, 3-position and 6-position acetyl substitution degree of cellulose acetate according to claim 4, characterized by satisfying the following formula (V):
(V) 6DS> 0.80
In the formula, 6DS is the degree of acetyl substitution at the 6-position.
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