JP4170027B2 - 圧搾方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、濾材上に載置された被圧搾物の上面を回転押圧手段で押圧し、その被圧搾物中の液分を前記濾材を介して排出する圧搾方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬品、その他の化学製品等を含むスラリー液から液分を除去する濾過乾燥機は、図10に示すように、スラリー液を収納する容器52を備えている。容器52の床面は濾材54により構成されており、その容器52の内部が気体で加圧されることでスラリー液が搾られ、液分は濾材54を介して容器52の外に排出される。さらに、容器52の内部にはほぼ水平な状態で回転する複数の回転翼55が設けられている。回転翼55は、スラリー液から液分が除去される過程で生成されたケーキKを上方から押圧してそのケーキKをさらに圧搾する部材であり、それらの回転翼55の回転軸56が昇降シリンダ57に連結されている。昇降シリンダ57は、回転翼55及び回転軸56を昇降させるシリンダであり、ケーキKの圧搾初期から圧搾終期に渡って回転翼55等を微速で連続的に押し下げる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転翼55を連続的に押し下げる方法では、例えば、ケーキKが想定したより軟らかい場合に、回転翼55がケーキKの内部に入り込んでしまうことがある。回転翼55がケーキKに埋まると、ケーキKを圧搾できなくなる。
また、ケーキKが想定したより固い場合にも、回転翼55がケーキKの上面から受ける押圧反力が大きくなり、回転翼55の回転負荷が増大する。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、回転押圧手段の回転負荷に応じて回転押圧手段を下降させることで、被圧搾物の圧搾を良好に行うとともに、回転機のオーバーロードの防止を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、各々の請求項に記載された発明によって解決される。
請求項1の発明は、モータの回転力で回転押圧手段を定速回転させ、その回転押圧手段により濾材上に載置された被圧搾物の上面を押圧し、その被圧搾物中の液分を前記濾材を介して排出する圧搾方法であって、前記回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときの前記モータの消費電力から回転負荷を測定し、その測定値を基準にして下限値及び所定値を決定する工程と、前記回転押圧手段の回転負荷を測定しながらその回転押圧手段を下降させ、前記回転負荷が所定値以上になったときに、前記回転押圧手段の下降を停止させる下降工程と、前記下降工程において下降させた前記回転押圧手段を一定の高さ位置に保持した状態で、その回転押圧手段により前記被圧搾物の上面を押圧する定位置押圧工程と、前記定位置押圧工程において、前記回転負荷が下限値以下になったときに、再び、前記回転押圧手段を下降させ、前記回転負荷が所定値以上になったときに前記回転押圧手段の下降を停止させる再下降工程と、前記再下降工程において下降させた前記回転押圧手段をその高さ位置に保持した状態で、前記回転押圧手段により前記被圧搾物の上面を押圧する再定位置押圧工程とを有することを特徴とする。
【0006】
本発明によると、下降工程では回転押圧手段の回転負荷が所定値を大きく超えないようにその回転押圧手段を下降させるため、回転押圧手段の損傷や回転機のオーバーロードを防止できる。
また、定位置押圧工程では回転押圧手段を一定の高さ位置に保持した状態でその回転押圧手段により被圧搾物の上面を押圧するため、例えば、被圧搾物が想定したより軟らかい場合でもその回転押圧手段が徐々に被圧搾物の内部に入り込んでしまうトラブルが生じない。このため、被圧搾物の圧搾を良好に行える。
ここで、被圧搾物の圧搾が正常に行われているときは、回転押圧手段が被圧搾物の上面を押圧しながら擦るため、被圧搾物の上面は徐々に低下するとともに平滑になり、回転押圧手段の回転負荷は減少する。
【0007】
請求項2の発明では、回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときのモータの消費電力から回転負荷を測定し、その測定値を基準にして最上限値を決定し、前記回転押圧手段の回転負荷が最上限値以上になったときに、前記回転押圧手段を上昇させることを特徴とする。
これにより、回転押圧手段の損傷を防止できる。
【0008】
請求項3の圧搾装置により、請求項1の発明を実施することができる。
請求項4の圧搾装置により、請求項2の発明を実施することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図9に基づいて、本発明の実施形態1に係る圧搾方法及びその装置の説明を行う。本実施形態に係る圧搾方法は、薬品、その他の化学製品等を含むスラリー液から水分を除去して粉体等を得る濾過乾燥機において実施される圧搾方法に関する。ここで、図1は濾過乾燥機の全体側面図、図2は被圧搾物の上面を回転押圧手段が押圧する状態を表す縦断面図である。また、図3〜図6は、圧搾方法を表すフローチャート、図7、図8は、圧搾方法を表すタイムチャートである。また、図9は、回転押圧手段の回転負荷とモータの電力値及び電流値との関係を表すグラフである。
【0010】
濾過乾燥機1は、図1に示すように、スラリー液を収納する略円筒形の容器2を備えている。容器2の床面は濾材4によって構成されており、スラリー液中の液分がその濾材4を介して外部に排出される。なお、濾材4から排出された液分は濾液配管4pによって所定位置まで導かれる。また、容器2の下部側面には、乾燥後の粉体等を排出する開孔2hが形成されており、その開孔2hの位置に排出装置3が設けられている。
容器2の天井端部には、その容器2内に加圧ガスを供給するガス配管2pが接続されている。容器2内に加圧ガスが供給されると、スラリー液の表面にガス圧が加わることでスラリー液が搾られ、液分は濾材4を介して容器2の外に排出される。
【0011】
容器2の天井部中央には、シール機能を備える軸受け部5が縦に設置されており、その軸受け部5に支軸6が回転可能かつ軸方向(上下方向)に摺動可能に支持されている。軸受け部5の上には歯車機構7が設けられており、その歯車機構7が容器2の上部中央に設置された架台2sによって支持されている。歯車機構7はモータ7mの回転力を支軸6に伝達する機構であり、支軸6が通される筒状の第一歯車部材(図示されていない)を有している。第一歯車部材と支軸6とは上下方向のスプラインにより、上下摺動可能かつ相対回転不能な状態で連結されている。さらに、第一歯車部材はモータ7mに連結された第二歯車部材と噛合している。これによって、モータ7mの回転力は第二歯車部材、第一歯車部材及びスプラインを介して支軸6に伝達される。
【0012】
支軸6の上端部は歯車機構7の上方に突出しており、この支軸6の上端部が上部軸受け8によって支持されている。上部軸受け8は、支軸6を回転可能に支持するとともに、その支軸6に対して上昇あるいは下降方向の押圧力を付与する部材であり、支軸6と上下方向において相対移動不能に保持されている。
上部軸受け8のハウジング8hには支持材8sが固定されており、その支持材8sに油圧シリンダ9のピストンロッド(図示されていない)が連結されている。油圧シリンダ9は、支軸6及び後記する回転翼10を昇降させるシリンダであり、そのケース部9cが架台2sに縦向きに固定されている。
【0013】
支軸6は、軸受け部5よりも下側がベローズ6bによって被われており、その支軸6の外周面に容器2内のスラリー等が付着しないように構成されている。支軸6の下端部にはソケット6dが連結されており、そのソケット6dの外周面に複数の回転翼10が水平、かつ等間隔で取付けられている。回転翼10は、スラリー液から液分が除去される過程で生成されたケーキKを上方から押圧する部材であり、支軸6と共に反時計回りに回転する際にケーキKを押圧できるように構成されている。
即ち、ケーキKが本発明の被圧搾物に相当する。
【0014】
回転翼10は、図2の断面図に示すように、縦面12と、水平な下面14とを有しており、その縦面12と下面14との間にケーキKを押圧するR面15が形成されている。さらに、回転翼10の長さ寸法はソケット6dの外周面から容器2の内壁面までの距離とほぼ等しく設定されている。なお、回転翼10の構造はケーキKの種類に応じて適宜変更可能である。例えば、回転円盤の半径方向にローラを設ける構造にすることも可能である。
即ち、回転翼10が本発明の回転押圧手段に相当する。
【0015】
支軸6及び回転翼10を昇降させる油圧シリンダ9は油圧装置19(図1参照)によって駆動される。油圧装置19は、第1電磁弁SOL1、第2電磁弁SOL2及び第3電磁弁SOL3を備えており、それらの電磁弁SOL1〜3がコントローラ20からの制御信号によってON/OFF動作する。
【0016】
第2電磁弁SOL2及び第3電磁弁SOL3がOFF状態で、第一電磁弁SOL1がONすると、油圧シリンダ9はピストンロッドを延出する方向に動作し、支軸6及び回転翼10は上昇する。第1電磁弁SOL1及び第3電磁弁SOL3がOFF状態で、第2電磁弁SOL2がONすると、油圧シリンダ9はピストンロッドを収納する方向に高速で動作し、支軸6及び回転翼10は高速下降する。第1電磁弁SOL1及び第2電磁弁SOL2がOFF状態で、第3電磁弁SOL3がONすると、油圧シリンダ9はピストンロッドを収納する方向に緩やかに動作し、支軸6及び回転翼10は低速下降する。
即ち、油圧シリンダ9、油圧装置19等が本発明の昇降手段に相当し、コントローラ20が本発明の制御手段に相当する。
【0017】
支軸6及び回転翼10を回転させるモータ7mは一定回転速度で使用され、その消費電力は常に電力検出器17によって計測される。そして、電力検出器17の出力信号(電力信号)がコントローラ20に入力される。支軸6及び回転翼10はモータ7mが定速回転することにより、一定速度で回転する。このため、モータ7mの消費電力値から間接的に回転翼10の回転負荷を測定することができる。なお、モータ7mの回転速度は操業の途中で変更されることはないが、ケーキK等の種類に応じて任意に設定可能になっている。
コントローラ20は、回転翼10の回転負荷を監視しながら、図3から図6のフローチャートに基づいて、間欠的にその回転翼10を下降させ、ケーキKの圧搾を実施する。
即ち、電力検出器17が本発明の回転負荷測定手段に相当する。
【0018】
次に、図3から図6のフローチャート及び図7、図8のタイムチャート等に基づいて、濾過乾燥機におけるケーキKの圧搾方法について説明する。ここで、図3のフローチャートは圧搾方法の主要工程を表したものであり、それらの主要工程の詳細な手順が図4〜図6のフローチャートに示されている。また、図7、図8のタイムチャートには、最上部に回転翼10の高さ位置と時間との関係を表すグラフが示されており、その下にモータ7mの消費電力(以下、回転翼10の回転負荷という)と時間との関係を表すグラフが示されている。また、回転負荷のグラフ下にはその回転負荷の最上限出力、上限出力及び下限出力のON/OFF状況、さらにその下には油圧装置19の第1〜第3電磁弁(SOL1〜3)のON/OFF状況が示されている。
【0019】
先ず、容器2の内部にスラリー液が注入された後、ガス配管2pから容器2内に加圧ガスが供給される。これによって、スラリー液が搾られ、スラリー液中の液分は濾材4を介して外部に排出される。このようにして、スラリー液が搾られてケーキ状に変化すると、モータ7mが駆動される(図3のステップ101参照)。モータ7mの起動時には大きな起動電流が流れるため、図7に示すように、モータ7mの消費電力も最上限値を超えて上昇する。この状態がモータ7mの過負荷状態と判定されないように、所定のスタートタイムの間は回転負荷と設定値(下限値、上限値等)との比較は行われない。
【0020】
モータ7mの駆動により、そのモータ7mの回転力が歯車機構7及びスプライン等を介して支軸6に加わり、その支軸6及び回転翼10が定速で反時計回りに回転する。なお、支軸6及び回転翼10は油圧シリンダ9によって上限位置に保持されている。この状態が、図7におけるタイミングZ1である。
次に、回転翼10の高速下降が行われる(図3のステップ102)。回転翼10の高速下降工程では、図4に示すように、先ず、コントローラ20からの信号で油圧装置19の第2電磁弁SOL2がONする(ステップ111)。これによって、油圧シリンダ9はピストンロッドを収納する方向に動作し、支軸6及び回転翼10は高速で下降する。回転翼10等が下降を開始したタイミングが、図7におけるタイミングZ2である。
【0021】
回転翼10が高速で下降して、その回転翼10がケーキKの上面に接近したことがリミットスイッチ及びポテンションメータ(図示されていない)で検出されると(ステップ112)、コントローラ20からの信号で油圧装置19の第2電磁弁SOL2がOFFする(ステップ113)。この状態が、図7におけるタイミングZ4である。
【0022】
また、回転翼10の下降と平行して基準値の設定が行われる(図3のステップ103)。基準値の設定工程は、図5に示すように、回転翼10がケーキKの上面に接触していない状態における回転負荷、即ち、無負荷状態の回転負荷を基準値として記憶することにより行う(ステップ121)。この状態が、図7におけるタイミングZ3である。そして、この基準値に基づいて回転翼10の回転負荷の下限値、上限値及び最上限値が設定される。なお、前記基準値を設定するタイミングは、モータ7mのスタートタイムの後であって回転翼10がケーキKの上面に接触していないときであればいつでも良い。
なお、図5のステップ122からステップ127までの処理は、基準値を再設定するための処理であり、後記する。
【0023】
回転翼10が高速で下降して、その回転翼10がケーキKの上面に接近すると延展工程が実施される。延展工程が実施されると、先ず、総延展時間タイマーT4のカウントが開始される(図5 ステップ120)。次に、処理は、ステップ122、ステップ123、ステップ137から図6のステップ131に進む。これによって、コントローラ20からの信号で油圧装置19の第3電磁弁SOL3がONする。第3電磁弁SOL3がONすると、油圧シリンダ9がピストンロッドを収納する方向に緩やかに動作し、支軸6及び回転翼10は低速で下降する。なお、第3電磁弁SOL3がONするタイミングは、高速下降工程において第2電磁弁SOL2がOFFするタイミングと同時である。このため、高速下降中の回転翼10等は、ケーキKの近傍位置から低速下降に切替わる。
【0024】
回転翼10は下降する過程で徐々にケーキKの上面に接触するため、下降量が大きくなるにつれてその回転翼10の回転負荷が増加する。そして、回転負荷が既に設定された下限値以上になると、下限出力がONする(図7におけるタイミングZ5)。この状態から引き続き回転翼10が下降し、回転翼10が受ける押圧反力が下降とともに増加して回転負荷が上限値以上になると、上限出力がONする(ステップ132)。上限出力がONすると、コントローラ20からの信号で第3電磁弁SOL3がOFFし(ステップ133)、油圧シリンダ9がロックすることで回転翼10等の下降が停止する。この状態が、図7におけるタイミングZ6である。上限出力は、回転負荷が所定時間t2以上、上限値を超えているときにONする。これによって、雑音等による誤作動を防止できる。
即ち、ステップ131〜ステップ133までの処理が本発明の下降工程に相当し、上限値が本発明の所定値に相当する。
【0025】
回転翼10が一定の高さ位置に保持された状態で定速回転すると、図2に示すように、その回転翼10がケーキKの上面を押圧しながら擦るため、ケーキKの上面は徐々に低くなる。即ち、前記上面が低下した分だけケーキKの体積が減少し、そのケーキKは回転翼10によって搾られる。また、ケーキKに生じたクラックKCも、回転翼10がケーキKの上面を擦ることにより塞がれ、加圧ガスの圧力が効率的にケーキKの表面に加わるようになる。これによって、ケーキKの圧搾効率が向上する。
【0026】
このように、回転翼10の働きでケーキKの上面が徐々に低下し、さらにケーキKの上面が平滑になるため、回転翼10が一定の高さ位置に保持された状態では、通常、回転負荷は時間の経過とともに減少する。このようにして、回転翼10によるケーキKの押圧が所定時間T3だけ行われると(ステップ134)、回転負荷は最上限値と比較される(ステップ135)。延展が正常に行われているときは、回転負荷は最上限値よりも小さいため、回転負荷はステップ136で下限値と比較される。そして、回転負荷が下限値以下になるまでステップ135からステップ136までの処理が繰り返し実行される。
即ち、ステップ134〜ステップ136までの処理が本発明の定位置押圧工程に相当する。
【0027】
回転負荷が下限値以下になって下限出力がOFFすると、総延展時間T4が経過してなければ、処理はステップ136からステップ131に進み、コントローラ20からの信号で第3電磁弁SOL3がONする。この状態が、図7におけるタイミングZ7である。
これによって、油圧シリンダ9はピストンロッドを収納する方向に緩やかに動作し、支軸6及び回転翼10は再び低速で下降する。
回転翼10の下降により前述のように回転負荷が上昇し、回転負荷が上限値以上になると、上限出力がONする(ステップ132)。上限出力がONすると、コントローラ20からの信号で第3電磁弁SOL3がOFFし(ステップ133)、油圧シリンダ9がロックすることで回転翼10はその高さ位置に保持される。この状態が、図7におけるタイミングZ8である。
【0028】
回転翼10が一定の高さ位置に保持された状態で定速回転すると、前述のように、その回転翼10がケーキKの上面を押圧しながら擦り、そのケーキKは回転翼10によって搾られる。
このように、回転翼10が定位置にある状態での押圧(定位置押圧)、下降、定位置押圧、下降 … が繰り返し行われ(ステップ131〜ステップ136)、所定の延展時間が経過すると、ケーキKの延展処理が終了する。
【0029】
次に、延展工程中にトラブルが発生した場合の動作を説明する。
前述のように、回転翼10が一定の高さ位置に保持された状態では、通常、回転負荷は時間の経過とともに減少する。しかし、例えば、ケーキKの上面に固形物が埋まっているような場合には、その固形物が回転翼10に引っかかり回転負荷が増加する場合がある。図8のEに示すように、回転負荷が上限値からさらに上昇して最上限値まで達すると、最上限出力がONする。この状態が、図8のタイミングZ9である。最上限出力がONすると(ステップ135)、コントローラ20からの信号で第1電磁弁SOL1がONして(ステップ138)、油圧シリンダ9はピストンロッドを延出する方向に動作する。これによって、支軸6及び回転翼10は上昇し、回転翼10がケーキKの上面から離れることで、回転負荷が減少する。
【0030】
そして、回転負荷が下限値以下になると下限出力がOFFし(ステップ139)、コントローラ20からの信号で第1電磁弁SOL1がOFFする(ステップ140)。さらに、これと同時に、第3電磁弁SOL3がONし、油圧シリンダ9はピストンロッドを収納する方向に緩やかに動作し、支軸6及び回転翼10は再び低速で下降する。この状態が、図8のタイミングZ10である。
回転翼10が下降してその回転翼10がケーキKの上面に接触し始めると、下降量の増加とともに回転負荷が上昇する。そして、回転負荷が上限値以上になると、上限出力がONする(ステップ132)。上限出力がONすると、コントローラ20からの信号で第3電磁弁SOL3がOFFし(ステップ133)、油圧シリンダ9がロックすることで回転翼10はその高さ位置に保持される。この状態が、図8におけるタイミングZ11である。
【0031】
この状態から、図8に示すように、回転負荷が低下せず最上限値まで上昇すると、前述のように最上限出力がONして油圧シリンダ9が動作し支軸6及び回転翼10は上昇する。
逆に、図8のFに示すように、回転翼10が所定の高さ位置に保持された状態で、回転負荷が低下すれば、前述のように延展作業(ステップ131からステップ136)が繰り返し実行される。そして、総延展時間T4が経過した段階で延展工程が終了する(ステップ137)。
【0032】
次に、図5に基づいて、基準値を再設定する手順について説明する。無負荷状態の回転負荷は時間の経過とともに徐々に低下する。この原因は、操業が長時間に及ぶと熱等の影響で潤滑油の粘度が低下し、歯車機構7等の摩擦抵抗が低下するためと考えられる。したがって、基準値の再設定が必要になる。
最初に基準値が設定されたタイミングからタイマT1で時間を計測し(ステップ122)、その時間が予め決められた操業時間を超えると(ステップ123)、コントローラ20からの信号で油圧装置19の第1電磁弁SOL1がONする(ステップ124)。
【0033】
油圧シリンダ9はピストンロッドを延出する方向に動作し、支軸6及び回転翼10は上昇する。そして、所定の上昇時間T2経過後、第1電磁弁SOL1がOFFして油圧シリンダ9がロックされ、回転翼10等はその位置に保持される。上昇時間T2は、回転翼10がケーキKから離れるのに十分な時間に設定されている。この状態で、測定された回転翼10の回転負荷が基準値として再設定される。そして、このタイミングからタイマT1で時間が計測され、その時間が予め決められた操業時間を超えると、再び基準値の設定が行われる。
【0034】
上記したように、本実施形態に係る圧搾方法によると、回転翼10を一定の高さ位置に保持した状態でその回転翼10によりケーキKの上面を押圧するため、例えば、ケーキKが想定したより軟らかい場合でも回転翼10が徐々にケーキKの内部に入り込んでしまうトラブルが生じない。また、ケーキKの圧搾が正常に行われているときは、回転翼10がケーキKの上面を押圧しながら擦るため、ケーキKの上面は徐々に低下するとともに平滑になり、回転翼10の回転負荷は減少する。このため、一定の高さ位置に保持された回転翼10の回転負荷を測定することにより、ケーキKの圧搾が正常に行われたか否かを判定できる。また、回転負荷が上限値以上にならないように回転翼10を下降させるため、例えば、ケーキKが想定したより固い場合や軟らかい場合でも、回転翼10の下降量を適正値に設定できる。このため、回転翼10の損傷やモータ7mのオーバーロードを防止できる。
【0035】
また、モータ7mで回転翼10を回転させ、そのモータ7mで消費された電力により回転翼10の回転負荷を測定するため、前記回転負荷を精度良く測定できる。図9は、回転翼10の回転負荷とモータの消費電力値及び電流値との関係を表すグラフであり、横軸に回転負荷、縦軸に消費電力値及び電流値を表している。グラフから明らかなように、消費電力値は回転負荷にほぼ比例して変化するのに対し、電流値は回転負荷に対してその変化率は小さい。このため、モータの電流値から回転負荷を求めるよりも、電力値から回転負荷を求める方が、測定精度上好ましい。
【0036】
また、回転翼10の回転負荷が最上限値以上になったときには、その回転翼10を上昇させるため回転翼10の損傷を防止できる。
また、回転翼10がケーキKの上面に接触していないときの回転負荷(基準値)に基づいて下限値、上限値及び最上限値を決定するため、下限値、上限値及び最上限値を適正に設定できる。
なお、回転翼10を反時計回りに回転させる例を示したが、回転翼の構造を変えれば、時計回りに回転させることも可能である。
【0037】
なお、本実施形態ではモータ7mの消費電力から回転負荷を求める例を示したが、トクルメータで支軸6の回転トルクを測定し、その回転トルクから回転翼10の回転負荷を求めることも可能である。
また、油圧シリンダ9で支軸6及び回転翼10を昇降させる例を示したが、例えばラック&ピニオン機構、ボールネジ&ナット機構を使用してモータにより、支軸6及び回転翼10を昇降させることも可能である。
また、被圧搾物としてケーキを例に説明したが、ケーキ以外にも使用することは可能である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によると、回転押圧手段により被圧搾物を正常に圧搾できるとともに、回転押圧手段の損傷や回転機のオーバーロードを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 濾過乾燥機の全体側面図である。
【図2】 回転押圧手段が被圧搾物の上面を押圧する状況を表す縦断面図である。
【図3】 圧搾方法を表すフローチャートである。
【図4】 圧搾方法を表すフローチャートである。
【図5】 圧搾方法を表すフローチャートである。
【図6】 圧搾方法を表すフローチャートである。
【図7】 圧搾方法を表すタイムチャートである。
【図8】 圧搾方法を表すタイムチャートである。
【図9】 回転負荷と消費電力値及び消費電流値との関係を表すグラフである。
【図10】 従来の濾過乾燥機の全体側面図である。
【符号の説明】
K ケーキ(被圧搾物)
1 濾過乾燥機
2 容器
4 濾材
7 歯車機構
7m モータ
9 油圧シリンダ(昇降手段)
19 油圧装置(昇降手段)
10 回転翼(回転押圧手段)
17 電力検出器(回転負荷測定手段)
20 コントローラ(制御手段)
Claims (4)
- モータの回転力で回転押圧手段を定速回転させ、その回転押圧手段により濾材上に載置された被圧搾物の上面を押圧し、その被圧搾物中の液分を前記濾材を介して排出する圧搾方法であって、
前記回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときの前記モータの消費電力から回転負荷を測定し、その測定値を基準にして下限値及び所定値を決定する工程と、
前記回転押圧手段の回転負荷を測定しながらその回転押圧手段を下降させ、前記回転負荷が所定値以上になったときに、前記回転押圧手段の下降を停止させる下降工程と、
前記下降工程において下降させた前記回転押圧手段を一定の高さ位置に保持した状態で、その回転押圧手段により前記被圧搾物の上面を押圧する定位置押圧工程と、
前記定位置押圧工程において、前記回転負荷が下限値以下になったときに、再び、前記回転押圧手段を下降させ、前記回転負荷が所定値以上になったときに前記回転押圧手段の下降を停止させる再下降工程と、
前記再下降工程において下降させた前記回転押圧手段をその高さ位置に保持した状態で、前記回転押圧手段により前記被圧搾物の上面を押圧する再定位置押圧工程と、
を有することを特徴とする圧搾方法。 - 請求項1に記載の圧搾方法であって、
前記回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときの前記モータの消費電力から回転負荷を測定し、その測定値を基準にして最上限値を決定し、前記回転押圧手段の回転負荷が最上限値以上になったときに、前記回転押圧手段を上昇させることを特徴とする圧搾方法。 - モータの回転力で回転押圧手段を定速回転させ、その回転押圧手段により濾材上に載置された被圧搾物の上面を押圧し、その被圧搾物中の液分を前記濾材を介して排出する圧搾装置であって、
前記回転押圧手段を昇降させる昇降手段と、
前記モータの消費電力から回転押圧手段の回転負荷を測定する回転負荷測定手段と、
回転負荷測定手段により測定された回転負荷の測定値を下限値、あるいは所定値と比較し、前記回転負荷の測定値が下限値以下のときに前記回転押圧手段を下降させる信号を前記昇降手段に対して出力し、前記回転負荷の測定値が所定値以上のときに前記回転押圧手段の下降を停止させる信号を前記昇降手段に対して出力する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときの回転負荷の測定値を基準にして下限値及び所定値を決定することを特徴とする圧搾装置。 - 請求項3に記載の圧搾装置であって、
前記制御手段は、前記回転押圧手段が被圧搾物の上面に接触していないときの回転負荷の測定値を基準にして最上限値を決定し、前記回転負荷の測定値を最上限値と比較し、前記回転負荷の測定値が最上限値以上のときに、回転押圧手段を上昇させる信号を前記昇降手段に対して出力することを特徴とする圧搾装置。
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